JP6842739B2 - 被覆部材 - Google Patents

被覆部材 Download PDF

Info

Publication number
JP6842739B2
JP6842739B2 JP2016218741A JP2016218741A JP6842739B2 JP 6842739 B2 JP6842739 B2 JP 6842739B2 JP 2016218741 A JP2016218741 A JP 2016218741A JP 2016218741 A JP2016218741 A JP 2016218741A JP 6842739 B2 JP6842739 B2 JP 6842739B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
intermediate layer
coating layer
base material
layer
coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016218741A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018076202A (ja
Inventor
堅 楊
堅 楊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Sintered Alloy Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Sintered Alloy Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Sintered Alloy Ltd filed Critical Sumitomo Electric Sintered Alloy Ltd
Priority to JP2016218741A priority Critical patent/JP6842739B2/ja
Publication of JP2018076202A publication Critical patent/JP2018076202A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6842739B2 publication Critical patent/JP6842739B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Coating By Spraying Or Casting (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、カーボン基材上にセラミックを含む被覆層を備える被覆部材に関する。特に、カーボン基材上の被覆層の剥離を抑制でき、耐久性に優れる被覆部材に関する。
鉄粉などの金属粉末の成形体を焼結した焼結体からなる焼結部品が、自動車部品や機械部品などに利用されている。焼結部品としては、例えばスプロケット、ロータ、ギア、リング、フランジ、プーリー、ベーン、軸受けなどが挙げられる。一般に、焼結部品は、金属粉末を含有する原料粉末を金型で加圧成形して圧粉成形体を作製し、これを焼結することで製造されている。鉄系焼結部品の場合、焼結工程では、真空雰囲気中や不活性ガス雰囲気中、1120〜1300℃で焼結が行われる。
焼結工程では、通常、成形体をトレーに載せて焼結炉で焼結しており、トレーには、耐熱性に優れるカーボン製のトレーが使用されている。カーボン製のトレーに成形体を直接載せた場合、焼結時に、成形体に含まれる金属成分(Feなど)とトレーの炭素(C)とが反応して固着(焼付き)が起こり、製品の歩留まりが低下する問題がある。そこで、トレーと成形体との反応を防止するため、トレー表面にアルミナなどのセラミックを溶射して、セラミックの被覆層を形成することが行われている(特許文献1を参照)。
カーボン基材上にセラミック被覆層が形成されたトレーを使用することで、トレーと成形体との反応を有効に防止できる。しかし、カーボン基材上にセラミック被覆層を直接形成した場合、基材と被覆層との密着力が弱く、焼結の際に基材と被覆層との熱膨張係数の差による熱応力によって被覆層が容易に剥がれる。そのため、被覆層が容易に剥離するなど耐久性に問題があり、繰り返し使用することが難しい。
特許文献1には、カーボン基材とセラミック被覆層との密着力を高めるため、カーボン基材上に、Mo、W、Nb、Zr、Taなどの耐熱性金属の中間層を形成し、中間層上にYやAlなどの被覆層を形成することが提案されている。
特開2010−99774号公報
特許文献1では、中間層として、Mo、W、Nb、Zr、Taなどの耐熱性金属を用いている。これら耐熱性金属はCと共晶反応し難い元素であるため、固相拡散によりカーボン基材と中間層とが結合して接合されていると考えられる。固相拡散による接合では、十分な密着力を得ることが難しい場合があり、被覆層の剥離を満足できる程度に抑制することが難しく、必ずしも十分な耐久性を有しているとは言い難い。
そこで、本発明の目的の一つは、カーボン基材上の被覆層の剥離を抑制でき、耐久性に優れる被覆部材を提供することにある。
本発明の一態様に係る被覆部材は、以下のとおりである。
カーボン基材上にセラミックを含む被覆層を備える被覆部材であって、
前記カーボン基材と前記被覆層との間に、Fe、Cr及びNiから選択される少なくとも1種の元素を合計で20質量%以上含有する中間層を備える。
上記被覆部材は、カーボン基材上の被覆層の剥離を抑制できる。
実施形態1に係る被覆部材の構成例を示す概略断面図である。 試料No.2−1の被覆部材を厚さ方向に切断した断面を示すSEM像である。 試料No.2−1の被覆部材を厚さ方向に切断した断面におけるEDXの分析領域を示すSEM像である。 図3に示す領域のEDX分析結果を示す図である。
本発明者は、カーボン基材と被覆層との間にCと共晶反応する特定の金属元素を含有する中間層を設けることで、カーボン基材と被覆層との接着力を高めることができることを見出した。これにより、被覆層の剥離が効果的に抑制され、耐久性が大幅に向上するとの知見を得た。最初に、本発明の実施形態を列挙して説明する。
[本発明の実施形態の説明]
(1)本発明の一形態に係る被覆部材は、以下のとおりである。
カーボン基材上にセラミックを含む被覆層を備える被覆部材であって、
前記カーボン基材と前記被覆層との間に、Fe、Cr及びNiから選択される少なくとも1種の元素を合計で20質量%以上含有する中間層を備える。
上記被覆部材によれば、カーボン基材と被覆層との間に上記特定の元素を含有する中間層を備えることで、中間層によってカーボン基材と被覆層との接着力を高めることができる。したがって、上記被覆部材は、カーボン基材上の被覆層の剥離を抑制でき、耐久性に優れる。
Fe、Cr及びNiは、Cと共晶反応する金属元素である。上記被覆部材では、中間層とカーボン基材との接触部分で、中間層に含まれるこれらの金属がカーボン基材のCと共晶反応する温度以上の加熱により液相となり、共晶合金を形成する。このときの共晶温度は上記金属単体の融点よりも低く、それぞれの融点よりも低い温度で液相が生じる。これにより、中間層とカーボン基材との間が共晶反応により接合され、中間層とカーボン基材とが化学的に結合することになるため、強固に密着する。また、中間層と被覆層との接触部分において、カーボン基材と共晶反応する加熱により中間層が液化(融解)した際に中間層に含まれる上記金属が被覆層の凹凸に入り込み、中間層と被覆層とが機械的に結合するため、強固に密着する。よって、中間層がカーボン基材及び被覆層に対して密着性に優れることから、中間層を介してカーボン基材と被覆層とが強固に接着される。中間層におけるFe、Cr及びNiの合計の含有量が20質量%以上であることで、共晶合金化により、カーボン基材及び被覆層に対する中間層の密着力を高め、カーボン基材と被覆層との接着力を確保できる。
(2)上記被覆部材の一形態として、前記被覆層の全面に対する前記中間層の面積比率が20%以上であることが挙げられる。
カーボン基材と被覆層との間に介在する中間層の面積比率が被覆層の全面に対して20%以上であることで、カーボン基材及び被覆層に対する中間層の密着力が向上し、カーボン基材と被覆層との接着力を十分に確保できる。よって、被覆層の剥離をより抑制でき、耐久性が向上する。
(3)上記被覆部材の一形態として、前記中間層の厚さが0.5μm以上10μm以下であることが挙げられる。
中間層の厚さが0.5μm以上であることで、カーボン基材及び被覆層に対する中間層の密着性が向上する効果が得られ易い。一方で、中間層が厚くなり過ぎても、それ以上の効果が得られないため、中間層の厚さの上限は、例えば10μm以下である。また、中間層の厚さが10μm以下であれば、中間層とカーボン基材とが共晶反応する温度以上に加熱して中間層が液化した際に被覆層がズレたり、剥落することを抑制し易い。
(4)上記被覆部材の一形態として、前記セラミックがアルミナであることが挙げられる。
被覆層に含まれるセラミックがアルミナ(Al)であることで、被覆部材を焼結部品の製造において焼結の際に成形体を載せるトレーとして使用する場合、被覆層によってカーボン基材と成形体との反応を抑制して固着を防止できる。
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る被覆部材の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<被覆部材>
図1を参照して、実施形態1に係る被覆部材1の構成について説明する。図1は、被覆部材1を厚さ方向に切断した断面図である。被覆部材1は、焼結部品の製造において成形体を焼結する際のトレーに使用されるものである。被覆部材1は、カーボン基材10と、カーボン基材10上にセラミックを含む被覆層20とを備え、カーボン基材10と被覆層20との間に中間層30を備える。実施形態1に係る被覆部材1の特徴の1つは、中間層30がFe、Cr及びNiから選択される少なくとも1種の元素を含有することにある。以下、被覆部材1の構成を詳しく説明する。
(カーボン基材)
カーボン基材10は、炭素材料からなり、公知のものを利用できる。カーボン基材10の形状や寸法は特に限定されるものではなく、被覆部材1の用途に応じて適宜選択できる。この例では、カーボン基材10は、炭素繊維を炭素で固めた複合材料(C/Cコンポジット)の板材であり、カーボン基材10の一方の表面上に後述する中間層30及び被覆層20が厚さ方向に順に形成されている。
(被覆層)
被覆層20は、セラミックを含む層であり、カーボン基材10の表面上に形成されている。セラミックとしては、焼結部品の製造において焼結時に成形体と反応しないものであればよく、例えば、周期表4、5、6族元素、Y、Al及びSiから選択される少なくとも1種の金属の酸化物が挙げられ、具体的には、Al、ZrO、Yなどの酸化物が挙げられる。被覆層20の厚さは、適宜設定すればよく、例えば20μm以上400μm以下である。被覆層20の厚さは、100μm前後(例えば50μm以上150μm以下)であることがより好ましく、この場合、中間層30に被覆層20をより強固に密着させ易い。
被覆層20の形成方法としては、公知の方法を採用でき、具体的には、溶射法が挙げられる。この例では、被覆層20は、溶射法によって形成されたAlからなる層であり、多孔質である。また、被覆層20はカーボン基材10の表面を実質的に覆っており、被覆部材1の厚さ方向から平面視したとき、被覆層20のサイズ(面積)はカーボン基材10のサイズ(面積)と略等しい。
(中間層)
中間層30は、Fe、Cr及びNiから選択される少なくとも1種の元素を含有する層であり、カーボン基材10と被覆層20との間に介在する。Fe、Cr及びNiは、カーボン基材10のCと共晶反応する金属であり、後述する加熱処理によりCと共晶反応する温度以上に加熱することで液相となり、Cと共晶合金を形成する。中間層30がカーボン基材10と共晶反応により共晶合金を形成することによって接合され、中間層30とカーボン基材10とが化学的に結合することになるため、強固に密着する。また、加熱処理により中間層30が液化(融解)した際に、上記金属が被覆層20の凹凸に入り込み、中間層30と被覆層20とが機械的に結合することになるため、強固に密着する。これら金属とCとの共晶温度は、Fe−C:1147℃、Cr−C:1543℃、Ni−C:1327℃である。これら金属のうち、FeはCとの共晶温度が低く、中間層30はFeを必須元素として含有することが好ましい。Fe、Cr及びNi以外の元素としては、例えば、Fe、Cr又はNiと固溶体又は金属間化合物を形成する元素、具体的には、C、Si、Mn、P、S、Mo、Cu、Al、Nb、Tiなどの元素が挙げられる。
中間層30がカーボン基材10と共晶合金化した場合、カーボン基材10と被覆層20との結合部にCが拡散した中間層30が形成される。中間層30は、カーボン基材10との接触面からCが拡散して共晶合金化するため、カーボン基材10側でC濃度が高い傾斜組成を有する。中間層30には、Fe、Cr及びNiから選択される金属又はその合金以外に、Alなどの上記セラミックの成分を含有してもよい。また、中間層30は、被覆部材1の厚さ方向から平面視したとき、カーボン基材10の表面の全面に亘って形成されていてもよいし、まだら状(島状)に局所的に分散して形成されていてもよい。
〈Fe、Cr及びNiの含有量〉
中間層30におけるFe、Cr及びNiの含有量が合計で20質量%以上であることが挙げられる。Fe、Cr及びNiの合計含有量が20質量%以上であることで、中間層30の共晶合金化により、カーボン基材10及び被覆層20に対する中間層30の密着性を確保できる。これら金属の含有量が多いほど、Cとの共晶反応により共晶合金が生成され、加熱処理したときに液相が発生することから、カーボン基材10及び被覆層20に対する中間層30の密着力を高められる。Fe、Cr及びNiの合計含有量は、例えば40質量%以上が好ましく、更に50質量%以上が好ましい。
Fe、Cr及びNiの含有量(質量%)は、次のようにして求めることができる。被覆部材1を厚さ方向に切断した断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、元素分析により中間層30を抽出する。具体的には、カーボン基材10と被覆層20との結合部における元素分布をエネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)又は電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)により分析したときに、Fe、Cr及びNiの少なくとも1種の元素が検出される領域を中間層30とする。そして、結合部断面における元素分布の面分析により、検出領域内の各元素濃度の平均値を求め、Fe、Cr及びNiの各含有量(質量%)を定量する。ここでは、結合部断面のうち、上記金属元素が検出される領域の10箇所以上についてFe、Cr及びNiの含有量(質量%)をそれぞれ測定し、その平均値とする。
〈中間層の面積比率〉
被覆層20の全面に対する中間層30の面積比率が20%以上であることが挙げられる。ここで、「面積比率」とは、被覆部材1の厚さ方向から平面視したときに、被覆層20の面積に対する中間層30の総面積の比率(%)である。中間層30の面積比率が20%以上であることで、カーボン基材10及び被覆層20に対する中間層30の接触面積を確保でき、密着力が向上する。中間層30の面積比率が大きいほど、カーボン基材10及び被覆層20に対する中間層30の接触面積が増え、密着力がより向上することから、中間層30の面積比率は、例えば60%以上が好ましく、更に80%以上が好ましい。
中間層30の面積比率(%)は、次のようにして求めることができる。被覆層20を剥がして中間層30を露出させ、被覆層20で覆われていた全面を元素分析し、中間層30が存在する領域の面積を定することにより求める。具体的には、EDX又はEPMAによる元素分布の面分析により、Fe、Cr及びNiの少なくとも1種の元素が検出される領域の面積を測定し、被覆層20の面積に対する面積比率(%)を算出する。
〈中間層の厚さ〉
中間層30の厚さが0.5μm以上10μm以下であることが挙げられる。中間層30の厚さが0.5μm以上であることで、カーボン基材10及び被覆層20に対する中間層30の密着性向上効果が得られ易い。一方で、中間層30が厚くなり過ぎても、それ以上の効果が得られず、また、中間層30が厚くなり過ぎると、加熱処理したときに多量の液相が発生して被覆層20のズレや剥離が生じ易くなるため、中間層30の厚さの上限は、例えば10μm以下である。中間層30の厚さが10μm以下、特に5μm以下であれば、中間層30が加熱処理により液化した際に被覆層20がズレたり、剥落することを効果的に抑制できる。中間層30の厚さは、例えば5μm以下が好ましく、更に2μm以下が好ましい。
中間層30の厚さ(μm)は、次のようにして求めることができる。被覆部材1を厚さ方向に切断した断面をSEMで観察し、元素分析により中間層30の厚さを測定する。具体的には、EDX又はEPMAによりカーボン基材10と被覆層20との結合部断面における元素分布を面分析して、Fe、Cr及びNiの少なくとも1種の元素が検出される領域の厚さを測定する。ここでは、結合部断面のうち、上記金属元素が検出される領域の10箇所以上について厚さ(μm)を測定し、その平均値とする。
上述した実施形態1に係る被覆部材1は、例えば、カーボン基材10上に中間層30を形成した後、中間層30上に被覆層20を形成することで製造することが可能である。
中間層30の形成方法としては、例えば溶射法や物理的蒸着(PVD)法などを用いることができる。中間層30の材料には、Fe、Cr及びNiから選択される金属又はその合金を用いることができる。合金としては、例えばFe−Cr系ステンレス鋼(例、SUS430、SUS434など)やFe−Cr−Ni系ステンレス鋼(例、SUS304、SUS316など)が挙げられる。
中間層30の形成条件を制御することで、中間層30の面積比率や厚さを変更することが可能である。溶射法であれば、溶射する粒子のサイズを大きくしたり、溶射回数を増やしたり、溶射時間を長くするなど溶射条件を調整することにより、中間層30の形成面積を増やしたり、中間層30の厚さを厚くできる。蒸着法であれば、蒸着時間を長くすることで、中間層30の厚さを厚くできる。
必要に応じて、被覆層20を形成した後、中間層30とカーボン基材10とが共晶反応する温度以上で被覆部材1を加熱処理する。具体的には、中間層30に含まれるFe、Cr又はNiとカーボン基材10のCとが共晶反応する温度以上、例えば1200℃以上に加熱する。これにより、中間層30にカーボン基材10のCが拡散し、Fe、Cr又はNiがCと共晶反応することにより共晶合金を形成して中間層30とカーボン基材10とが接合される。加熱処理した際、加熱処理の初期に液相が発生して共晶合金が形成され、その後はCの拡散によって融点が上がる。そのため、共晶反応により共晶合金が形成されると、同じ温度で再度加熱処理しても液相が出現することはない。なお、被覆部材1は、焼結部品の製造において焼結の際に成形体を載せるトレーに使用されることから、焼結の際に1200℃以上に加熱される。そのため、被覆部材1を焼結する際のトレーに使用する場合は、中間層30とカーボン基材10とを共晶反応させるための加熱処理を予め実施していなくても、焼結の際に共晶反応が起こり、中間層30が共晶合金化されるので、加熱処理は省略してもよい。
<被覆部材の作用効果>
実施形態1の被覆部材1は、次の効果を奏する。
(1)被覆部材1は、中間層30とカーボン基材10とが共晶反応により接合され、化学的結合により強固に密着する。また、共晶反応する温度以上で加熱処理することによって、中間層30が液化した際に被覆層20の凹凸に入り込み、中間層30と被覆層20とが機械的結合により強固に密着する。したがって、被覆部材1は、中間層30を介してカーボン基材10と被覆層20とが強固に接着されることから、カーボン基材10上の被覆層20の剥離を抑制でき、耐久性に優れる。特に、中間層30におけるFe、Cr及びNiの合計の含有量が20質量%以上であることで、共晶合金化により、カーボン基材10及び被覆層20に対する中間層30の密着力を高め、カーボン基材10と被覆層20との接着力を確保できる。
(2)中間層30の面積比率が20%以上であることで、カーボン基材10及び被覆層20に対する中間層30の密着力が向上し、カーボン基材10と被覆層20との接着力を十分に確保できる。
(3)中間層30の厚さが0.5μm以上10μm以下(特に5μm以下)であることで、カーボン基材10及び被覆層20に対する中間層30の密着性向上効果が得られ易く、また、中間層30が加熱処理により液化した際に被覆層20がズレたり、剥落することを抑制し易い。
[試験例1]
カーボン基材上に中間層を形成した後、中間層上にAlの被覆層を形成して被覆部材を製造し、その評価を行った。カーボン基材には、C/Cコンポジット製の板材を用いた。
(試料No.1−1、1−2)
カーボン基材の表面上にSUS434(Fe−18質量%Cr−1質量%Mo)を溶射して中間層を形成した。溶射は基材表面の全面に1回行い、基材表面の全面に中間層をまだら状に分散して形成した。
次に、中間層上にAlを溶射して被覆層を形成した。被覆層は基材表面の全面に形成し、被覆層の厚さは100μmとなるように制御した。被覆層の形成後、被覆部材を真空雰囲気中、1200℃で60分間の加熱処理を行った。この被覆部材を試料No.1−1とする。
試料No.1−1とは異なり、カーボン基材の表面上にSUS434を蒸着して、基材表面の全面に亘って膜状に中間層を形成した。その後、試料No.1−1と同様に、被覆層を形成し、加熱処理を行った。この被覆部材を試料No.1−2とする。
(試料No.2−1、2−2)
中間層の形成材料にSUS316(Fe−18質量%Cr−12質量%Ni−2.5質量%Mo)を用いた以外は試料No.1−1と同様にして、試料No.2−1の被覆部材を製造した。また、中間層の形成材料にSUS316を用いた以外は試料No.1−2と同様にして、試料No.2−2の被覆部材を製造した。
(試料No.3−1、3−2)
中間層の形成材料に純鉄(Fe:99.5質量%以上)を用いた以外は試料No.1−1と同様にして、試料No.3−1、3−2の被覆部材を製造した。ここでは、溶射条件を変更して、試料No.3−1、3−2における中間層の形成面積や厚さを異ならせた。
作製した各試料の被覆部材について、中間層におけるFe、Cr及びNiの合計含有量、中間層の面積比率及び中間層の厚さを測定した。
(Fe、Cr及びNiの含有量)
被覆部材を厚さ方向に切断した断面をSEM−EDX(日本電子株式会社製JSM‐6610LA)で観察し、EDXによりカーボン基材と被覆層との結合部断面の元素分布を分析した。そして、EDX分析によりFe、Cr及びNiの少なくとも1種の元素が検出される領域を中間層とし、中間層におけるFe、Cr及びNiの各含有量(質量%)を定量し、これら元素の合計含有量を求めた。その結果を表1に示す。EDX分析の測定条件は、加速電圧:15.0kV、倍率:2000倍とした。
(中間層の面積比率)
被覆層を剥がして中間層を露出させ、被覆層で覆われていたカーボン基材表面の全面をSEM−EDXで観察し、EDX分析によりFe、Cr及びNiの少なくとも1種の元素が検出される領域を中間層として、中間層が存在する領域の面積を測定した。そして、被覆層の面積に対する中間層の面積比率(%)を算出した。その結果を表1に示す。
(中間層の厚さ)
被覆部材を厚さ方向に切断した断面をSEM−EDXで観察し、EDXによりカーボン基材と被覆層との結合部断面の元素分布を分析した。そして、EDX分析によりFe、Cr及びNiの少なくとも1種の元素が検出される領域を中間層として、中間層の厚さ(μm)を測定した。その結果を表1に示す。
各試料の被覆部材について、被覆層の剥離に対する耐久性を評価した。
耐久性の評価は、被覆部材を焼結炉に入れ、焼結部品の焼結条件と同じ条件で加熱試験を繰り返し15回以上行い、被覆層の剥離が生じるまでの回数を測定した。試験を実施した試料数は、各試料につき5個(n=5)とした。加熱試験の条件は、不活性雰囲気中、1250℃×60分間とした。被覆層の剥離の有無は目視で確認し、被覆層に亀裂が生じた場合も剥離と判定した。その結果を表1に示す。
比較として、カーボン基材上に中間層を形成せずに、カーボン基材の表面上に直接Alを溶射して被覆層を形成し、試料No.100の被覆部材を作製した。試料No.100の被覆部材についても、被覆層の剥離に対する耐久性を同様にして評価した。その結果を表1に示す。
表1に示すように、カーボン基材上に中間層を形成していない試料No.100では、1〜2回の加熱試験で被覆層の剥離が発生し、耐久性に劣る結果となった。これに対し、中間層を備える試料No.1−1、1−2、2−1、2−2及び3−2では、加熱試験を5回以上行っても被覆層の剥離が発生せず、試料No.100に比較して、被覆層の剥離が十分に抑制されていることが分かる。特に、中間層の面積比率が60%以上で、且つ、中間層の厚さが0.5μm以上10μm以下を満たす試料No.1−2、2−1、2−2及び3−2は、加熱試験を15回以上行っても被覆層が剥離せず、耐久性が大幅に向上していることが分かる。一方、中間層を形成した試料のうち、試料No.3−1は、試料No.100に比較して耐久性に優れるとはいうものの、中間層の面積比率が小さく、また、中間層の厚さが厚過ぎるため、中間層を備える他の試料に比べると被覆層の剥離を十分に抑制できなかったものと考えられる。
図2は、試料No.2−1の被覆部材を厚さ方向に切断した断面におけるカーボン基材と被覆層との境界部分を拡大して示すSEM像であり、上から順に倍率が100倍、200倍、2000倍である。SEMの加速電圧は15kVである。図2において、下側の濃灰色部分がカーボン基材、上側の薄灰色部分が被覆層(アルミナ溶射膜)であり、カーボン基材と被覆層との間には中間層が存在する。図2の下図(倍率:2000倍)において、カーボン基材と被覆層との境界部分における図中の矢印で示す部分には、カーボン基材と被覆層とが中間層によって結合された結合部が形成されている。
図3は、試料No.2−1の被覆部材を厚さ方向に切断した断面において、カーボン基材と被覆層との境界部分近傍におけるEDXにより元素分析した領域(図3中、四角で囲む領域)を示す図である。分析領域のサイズは20μm×10μmとした。図4は、図3に示すカーボン基材と被覆層との境界部分近傍における結合部(中間層)を含む分析領域をEDXにより元素分析した結果を示す図であり、上図は、得られたEDXスペクトルを示し、下図は、ZAF法による簡易定量分析の結果を示す。EDX分析の測定条件は、加速電圧:15.00kV、倍率:×2000、照射電流:1.00000nA、PHAモード:T3、経過時間:80.93sec、有効時間:80.00sec、デッドタイム:1%、計数率:1645cps、エネルギー範囲:0−20keVとした。図4のEDX分析結果に示すように、結合部を含む領域においてFe、Cr、Niが検出され、中間層が存在することが確認できた。
本発明の被覆部材は、焼結部品の製造において焼結の際に成形体を載せる焼結用トレーに好適に利用可能である。
1 被覆部材
10 カーボン基材
20 被覆層
30 中間層

Claims (4)

  1. カーボン基材上にセラミックを含む被覆層を備える被覆部材であって、
    前記カーボン基材と前記被覆層との間であって、前記カーボン基材の表面に設けられた中間層を備え、
    前記中間層は、Feを含有すると共に、Fe、Cr及びNiから選択される少なくとも1種の元素を合計で20質量%以上含有する金属又は合金で構成されており
    前記中間層の厚さは、0.5μm以上5μm以下である、
    被覆部材。
  2. 前記被覆層の全面に対する前記中間層の面積比率が20%以上である請求項1に記載の被覆部材。
  3. 前記中間層は、Feを50質量%以上含有する、請求項1又は請求項2に記載の被覆部材。
  4. 前記セラミックがアルミナである請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の被覆部材。
JP2016218741A 2016-11-09 2016-11-09 被覆部材 Active JP6842739B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016218741A JP6842739B2 (ja) 2016-11-09 2016-11-09 被覆部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016218741A JP6842739B2 (ja) 2016-11-09 2016-11-09 被覆部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018076202A JP2018076202A (ja) 2018-05-17
JP6842739B2 true JP6842739B2 (ja) 2021-03-17

Family

ID=62148952

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016218741A Active JP6842739B2 (ja) 2016-11-09 2016-11-09 被覆部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6842739B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018076202A (ja) 2018-05-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7018603B2 (ja) クラッド層の製造方法
US20060029512A1 (en) TiB2 rod, and method of fabrication and use
FR2660938A1 (fr) Systemes de revetement pour la protection du titane envers l'oxydation.
Deng et al. Microstructure and oxidation resistance of a multiphase Mo-Si-B ceramic coating on Mo substrates deposited by a plasma transferred arc process
US20170095883A1 (en) Bonded metal product
JP6735497B2 (ja) 金属間化合物合金、金属部材及びクラッド層の製造方法
JP2010215951A (ja) 焼結複合摺動部品およびその製造方法
JP6842739B2 (ja) 被覆部材
US20120208045A1 (en) Method of fabricating amorphous coatings on crystalline substrates
US6309699B2 (en) Method of producing a metallic part exhibiting excellent oxidation resistance
CN108136482A (zh) 热锻造用模具、使用该热锻造模具的锻造制品的制造方法以及热锻造用模具的制造方法
JP2004316850A (ja) 摺動部材およびその製造方法
FR2546448A1 (fr) Objet metallique revetu et procede pour sa fabrication
JP6447859B2 (ja) 溶射皮膜被覆部材および溶射皮膜の製造方法
Kim et al. Cyclic Oxidation and Interdiffusion Behaviour of a NiCrAlY Coated Powder Metallurgy Beta Gamma TiAl–2Nb–2Mo Alloy
JP2008291316A (ja) すべり軸受の製造法
JP6996921B2 (ja) 焼却炉用熱電対の保護管用構造体及びその製造方法
JP2013515173A (ja) ニッケルアルミナイドコーティングの形成方法
JP4361213B2 (ja) 真空下における電子ビームによる蒸発及び凝縮によって金属製基材に傾斜保護コーティングを形成するための組成物
JP2020200491A (ja) 円筒型スパッタリングターゲット、及び、円筒型スパッタリングターゲットの製造方法
JP5258611B2 (ja) 鉄系材料
JP4060072B2 (ja) 基材と含アルミニウム耐酸化性金属コーティングとの適合性を改善するコーティング中間層
JP4032654B2 (ja) 耐ピックアップ性・耐高温摩耗特性に優れた表面被覆材料
JP3917568B2 (ja) 耐熱・耐酸化性溶射皮膜被覆部材およびその製造方法
TWI278521B (en) Multi-component alloy coating layer

Legal Events

Date Code Title Description
A625 Written request for application examination (by other person)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A625

Effective date: 20190521

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200515

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200525

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200721

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200928

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201028

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210121

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210210

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6842739

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250