JP6839676B2 - ケーブル接続部の放熱構造 - Google Patents
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例えば、ケーブル接続部を有するケーブル線路において、重負荷時に過負荷運転を行った場合、その過負荷運転によって接続部の温度が上昇することがあるが、金属ケースの外側に放熱フィンを設けたことでその温度上昇を抑えて、接続部が熱により損傷するのを防いでいる。
電力ケーブルの導体同士が金属ケース内で接続されているケーブル接続部の放熱構造であって、
前記ケーブル接続部を含んで前記金属ケース内に収容されている内装ケーブルと前記金属ケースの間には空隙が設けられており、
前記空隙には、前記金属ケースに少なくとも一部が当接している熱伝導フィンが、前記内装ケーブルから離間した配置に設けられていることを特徴とする。
前記熱伝導フィンに対向している前記内装ケーブルの周面には、保護層が設けられていることを特徴とする。
前記熱伝導フィンの前記内装ケーブル側の端部は、面取りされた形状を有していることを特徴とする。
前記熱伝導フィンには、ヒートパイプの蒸発部が固定されており、
前記ヒートパイプの凝縮部は、前記金属ケースの外側に配置されていることを特徴とする。
前記金属ケース内の空隙には、所定の気体が充填されていることを特徴とする。
管体である前記金属ケースの管軸方向を左右方向に沿わせた状態において、
前記熱伝導フィンは、前記内装ケーブルの下方よりも前記内装ケーブルの上方に多く設けられていることを特徴とする。
管体である前記金属ケースの管軸方向を左右方向に沿わせた状態において、
前記内装ケーブルの上方の前記熱伝導フィンよりも、前記内装ケーブルの下方の前記熱伝導フィンの方が、前記内装ケーブルから離間していることを特徴とする。
本実施形態では、電力ケーブル10の導体同士が金属ケース20内で接続されているケーブル接続部の放熱構造100について説明する。
図1(a)は、実施形態1のケーブル接続部の放熱構造100を一部断面視して示す概略図である。
電力ケーブル10は、例えば、図1(a)に示すように、中心導体1と、中心導体1を被覆するケーブル絶縁体2と、ケーブル絶縁体2を被覆するケーブル遮蔽層3と、ケーブル遮蔽層3を被覆するケーブル金属被層4と、ケーブル金属被層4を被覆するシースであるケーブル防護層5と、を備えている。
中心導体1は、例えば、銅やアルミニウムで構成された導体である。
ケーブル絶縁体2は、例えば、架橋ポリエチレン(XLPE)で構成された層である。
ケーブル遮蔽層3は、例えば、半導電性架橋ポリエチレン、ワイヤーシールド(銅線)、シールドメッシュ、金属線を編み込んだ布テープ、半導電性テトロンテープ、鉛テープなどで構成された層である。
ケーブル金属被層4は、例えば、アルミ被、鉛被、SUS被などで構成された層である。
ケーブル防護層5は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンなどで構成された層である。
この接続部遮蔽層8によって、両ケーブルのケーブル金属被層4が電気的に接続されている。
また、中間接続部絶縁層7は、例えば、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)製の絶縁テープを巻き付けて形成したものでも、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPR)やシリコーンゴム(LSR)からなるゴムユニットを装着して形成したものでもよい。
また、接続部遮蔽層8は、例えば、導電性テープ、金属メッシュテープ、編組線(金属編組)などを巻き付けて形成した金属材料からなる層である。
その金属ケース20の両端部には、金属ケース20とケーブル金属被層4とに跨るように巻き付けられた平編線6が設けられており、その平編線6が金属ケース20の端部周囲を覆っている。平編線6は、例えばメッキした軟銅線を織った編組線であり、金属ケース20とケーブル金属被層4とを電気的に接続している。
また、金属ケース20の各端部からケーブル防護層5にかけて、ガラステープや遮水チューブ等によって防水処理がなされた防食部9が設けられている。
この金属ケース20内に収容されている内装ケーブルCと、金属ケース20の間には空隙Gが設けられている。
ここでいう内装ケーブルCとは、電力ケーブル10の接続箇所の周囲に設けられた中間接続部絶縁層7や電力ケーブル10のケーブル遮蔽層3、およびそれらを被覆する接続部遮蔽層8までを含むものとする。
熱伝導フィン30は、金属製の部材であり、金属ケース20内の温度が上昇して空隙Gに熱がこもった場合、その熱を一旦吸収して金属ケース20に伝導するようにして、金属ケース20の外部へ放熱する機能を有している。
つまり、熱伝導フィン30は、電力ケーブル10の接続部分が発熱したことに伴い、金属ケース20内の温度が上昇した場合、空隙Gにこもった熱を金属ケース20に伝導して放熱し、金属ケース20内の温度上昇(空隙Gの空気の温度上昇)を低減する機能を有している。
特に、実施形態1の熱伝導フィン30は、金属ケース20の管軸方向の中央側であって、内装ケーブルC(接続部遮蔽層8)の大径部の周囲を囲う配置に取り付けられている。
複数の熱伝導フィン30が金属ケース20の内面に取り付けられたことによって、金属ケース20が熱伝導フィン30を介して空隙G内の空気と触れる面積が増すようになり、金属ケース20の外部への放熱効率が上がるようになっている。
この熱伝導フィン30の外環部31が金属ケース20に内接しており、熱伝導フィン30のフランジ部32は、内装ケーブルCの接続部遮蔽層8と接触しない寸法に設計されている。
本実施形態では、熱伝導フィン30のフランジ部32の内縁と、内装ケーブルCの接続部遮蔽層8との間に10[mm]の間隔をあけるようにした。
この間隔をあけるように熱伝導フィン30を設計したことで、電力ケーブル10の接続部分が熱膨張することがあっても、内装ケーブルCの接続部遮蔽層8が熱伝導フィン30(フランジ部32)と接触しないので、熱伝導フィン30によって内装ケーブルCが損傷してしまうことがない。
また、熱伝導フィン30(フランジ部32)と、内装ケーブルC(接続部遮蔽層8)との間に適正な間隔をあけており、熱伝導フィン30によって内装ケーブルCが損傷してしまうことがないので、金属ケース20内に熱伝導フィン30を設けたことによる不具合が生じることはなく、このケーブル接続部の放熱構造100は良好に機能する。
例えば、ケーブル接続部の放熱構造100における金属ケース20内の空隙Gの空気を所定の気体に置換するようにして、その空隙Gに所定の気体を充填していてもよい。
例えば、金属ケース20内の空隙Gに、空気よりも熱伝導率の高いヘリウムガスが充填されていれば、電力ケーブル10の接続部分が発熱した熱を金属ケース20の外部へ放出する放熱効率が上がるので、金属ケース20内の温度上昇をより一層低減することができる。
また例えば、金属ケース20内の空隙Gに、希ガスや窒素などの不活性ガスが充填されていれば、金属ケース20内の各部が酸化による劣化を起こさなくなるので、ケーブル接続部の放熱構造100の長寿命化を図ることができる。
次に、本発明に係るケーブル接続部の放熱構造の実施形態2について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
具体的には、熱伝導フィン30の内装ケーブルC側の端部であるフランジ部32の内縁が面取りされて、丸みを帯びた形状に形成されている。
例えば、この熱伝導フィン30のフランジ部32の内縁は、0.5R以上の面取りがなされていることが好ましい。
つまり、熱伝導フィン30のフランジ部32の内縁が面取りされた形状を有していれば、金属ケース20内に熱伝導フィン30を設けたことによる不具合が生じることは殆んどないので、このケーブル接続部の放熱構造100は良好に機能する。
この実施形態3では、金属ケース20の一端側に4個、他端側に4個の計8個の熱伝導フィン30が、金属ケース20の内面に内接して取り付けられている。
なお、熱伝導フィン30のフランジ部32の内縁と、内装ケーブルCのケーブル遮蔽層3との間に10[mm]の間隔をあけるようにした。
例えば、図4に示すように、ケーブル接続部の放熱構造100は、金属ケース20の管軸方向の中央側であって、内装ケーブルC(接続部遮蔽層8)の大径部の周囲を囲う配置に取り付けられた熱伝導フィン30と、金属ケース20の管軸方向の両側であって、内装ケーブルCのケーブル遮蔽層3の周囲を囲う配置に取り付けられた熱伝導フィン30の両方を備えていてもよい。
このように、より多くの熱伝導フィン30が設けられているほど放熱効率が上がるので、このケーブル接続部の放熱構造100であれば、より一層好適な放熱を行って、金属ケース20内の温度上昇を良好に低減することができる。
つまり、このケーブル接続部の放熱構造100には、熱伝導フィン30に対向している内装ケーブルCの周面に、内装ケーブルCを保護するための保護層40が設けられている。
具体的には、金属ケース20の管軸方向の中央側に取り付けられた熱伝導フィン30の配置に対応させて、内装ケーブルC(接続部遮蔽層8)の大径部の周囲を被覆した保護層40が設けられている。
この保護層40は、導電性であっても絶縁性であってもよいが、導電性である方が好ましい。
そして、熱伝導フィン30のフランジ部32の内縁が保護層40に接触しているか否かは問わないものとする。
つまり、熱伝導フィン30のフランジ部32が保護層40に接触していなければ、当然、熱伝導フィン30は内装ケーブルCに接触していない。
一方、熱伝導フィン30のフランジ部32が保護層40に接触していても、保護層40は内装ケーブルCの構成ではないので、その熱伝導フィン30は内装ケーブルCに接触していないことに相当する。
つまり、内装ケーブルCの周面に、その内装ケーブルCを保護するための保護層40が設けられていれば、金属ケース20内に熱伝導フィン30を設けたことによる不具合が生じることはないので、このケーブル接続部の放熱構造100は良好に機能する。
例えば、図6に示すように、金属ケース20の管軸方向の両側に取り付けられた熱伝導フィン30の配置に対応させて、内装ケーブルCのケーブル遮蔽層3の周囲を被覆した保護層40を設けるようにしてもよい。
このような構成のケーブル接続部の放熱構造100であれば、熱伝導フィン30のフランジ部32が内装ケーブルCのケーブル遮蔽層3に接触することがない。
つまり、熱伝導フィン30が内装ケーブルCを損傷させてしまうことがなく、金属ケース20内に熱伝導フィン30を設けたことによる不具合が生じることはないので、このケーブル接続部の放熱構造100は良好に機能する。
この熱伝導フィン30は、フランジ部32の幅の狭い箇所が接続部の下側となるように金属ケース20に取り付けられている。
このような構成のケーブル接続部の放熱構造100では、内装ケーブルCの上方の熱伝導フィン30のフランジ部32よりも、内装ケーブルCの下方の熱伝導フィン30のフランジ部32の方が、内装ケーブルCから離間している。
本実施形態では、内装ケーブルCの上方の熱伝導フィン30のフランジ部32の内縁と、内装ケーブルCの接続部遮蔽層8との間に10[mm]の間隔をあけ、内装ケーブルCの下方の熱伝導フィン30のフランジ部32の内縁と、内装ケーブルCの接続部遮蔽層8との間に20[mm]の間隔をあけるようにした。
この間隔をあけるように熱伝導フィン30を設計したことで、電力ケーブル10の接続部分が熱膨張することや、内装ケーブルCが自重で下方に撓むことがあっても、内装ケーブルCの接続部遮蔽層8が熱伝導フィン30(フランジ部32)と接触しないので、熱伝導フィン30によって内装ケーブルCが損傷してしまうことがない。
これにあわせ、熱伝導フィン30のフランジ部32の長さを、金属ケース20の両端部付近のものよりも中央部付近のものの方が短くなるようにして、内装ケーブルCの中央部付近が自重で若干下がったとしても、内装ケーブルCと熱伝導フィン30(フランジ部32)とが接近し過ぎないように保つようにしてもよい。
つまり、熱伝導フィン30が内装ケーブルCを損傷させてしまうことがなく、金属ケース20内に熱伝導フィン30を設けたことによる不具合が生じることはないので、このケーブル接続部の放熱構造100は良好に機能する。
この実施形態6では、環形状の熱伝導フィン30と半環形状の熱伝導フィン30aが管軸方向に交互に配設されており、7個の環形状の熱伝導フィン30と7個の半環形状の熱伝導フィン30aが、金属ケース20の内面に内接して取り付けられている。
特に、半環形状の熱伝導フィン30aは、接続部の上側となるように金属ケース20に取り付けられている。
このような構成のケーブル接続部の放熱構造100では、内装ケーブルCの下方よりも内装ケーブルCの上方に、より多くの熱伝導フィン(30,30a)のフランジ部32が設けられている。
そして、この実施形態6のケーブル接続部の放熱構造100は、内装ケーブルCの上方の熱がこもり易い空隙Gに多くの熱伝導フィン30,30aを備えているので、その熱伝導フィン30,30aを介して金属ケース20の外部へ効率よく放熱することができる。
この熱伝導フィン35の複数枚(本実施形態では14枚)環状金属板36の外縁は、金属ケース20の内面に内接している。
また、この熱伝導フィン35の連結金属棒37の両端部は、それぞれ金属ケース20の内壁に固定されている。
この熱伝導フィン36aの環状金属板36の外縁は、金属ケース20の内面に内接している。
また、ヒートパイプの凝縮部52(放熱部ともいう)は、金属ケース20の外側に配置されている。
なお、ヒートパイプ50の構成や機能は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
実施形態9のケーブル接続部の放熱構造100は、プレハブジョイントの放熱構造である。
この実施形態9のケーブル接続部の放熱構造100では、例えば、図11に示すように、導体接続体1aの周囲に内導電極11が設けられており、ケーブル絶縁体2とケーブル遮蔽層3の周囲にストレスコーン12が設けられている。
また、金属ケース20の管軸方向の中央側の空間には、エポキシユニット13が充填されている。
また、金属ケース20の管軸方向の両側の金属ケース20内に空隙Gが設けられている。
プレハブジョイントであっても、熱伝導フィン30は金属ケース20の内面に内接して取り付けられており、熱伝導フィン30のフランジ部32の内縁は、内装ケーブルCから離間した配置にある。
なお、実施形態9での内装ケーブルCは、金属ケース20内の空隙Gの領域にある電力ケーブル10のケーブル遮蔽層3部分である。
例えば、図12に示すように、2つのプレハブジョイントを接続した態様のケース構造にも、本発明に係る放熱構造を適用できる。
図12に示すケーブル接続部の放熱構造100では、金属ケース20の管軸方向の両側の金属ケース20内と、金属ケース20の管軸方向の中央側の金属ケース20内とに空隙Gが設けられている。
また、この金属ケース20の管軸方向の中央側であって、内装ケーブルCのケーブル遮蔽層3の周囲を囲う配置に熱伝導フィン30が設けられている。
これら熱伝導フィン30は、金属ケース20の内面に内接して取り付けられている。
1a 導体接続体
2 ケーブル絶縁体
3 ケーブル遮蔽層
4 ケーブル金属被層
5 ケーブル防護層
6 平編線
7 中間接続部絶縁層
8 接続部遮蔽層
9 防食部
10 電力ケーブル
20 金属ケース
30、30a 熱伝導フィン
31 外環部
32 フランジ部
35 熱伝導フィン
36 環状金属板
36a 熱伝導フィン
37 連結金属棒
40 保護層
50 ヒートパイプ
51 ヒートパイプの蒸発部
52 ヒートパイプの凝縮部
100 ケーブル接続部の放熱構造
C 内装ケーブル
G 空隙(気体)
Claims (7)
- 電力ケーブルの導体同士が金属ケース内で接続されているケーブル接続部の放熱構造であって、
前記ケーブル接続部を含んで前記金属ケース内に収容されている内装ケーブルと前記金属ケースの間には空隙が設けられており、
前記空隙には、前記金属ケースに少なくとも一部が当接している熱伝導フィンが、前記内装ケーブルから離間した配置に設けられていることを特徴とするケーブル接続部の放熱構造。 - 前記熱伝導フィンに対向している前記内装ケーブルの周面には、保護層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル接続部の放熱構造。
- 前記熱伝導フィンの前記内装ケーブル側の端部は、面取りされた形状を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のケーブル接続部の放熱構造。
- 前記熱伝導フィンには、ヒートパイプの蒸発部が固定されており、
前記ヒートパイプの凝縮部は、前記金属ケースの外側に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のケーブル接続部の放熱構造。 - 前記金属ケース内の空隙には、所定の気体が充填されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のケーブル接続部の放熱構造。
- 管体である前記金属ケースの管軸方向を左右方向に沿わせた状態において、
前記熱伝導フィンは、前記内装ケーブルの下方よりも前記内装ケーブルの上方に多く設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のケーブル接続部の放熱構造。 - 管体である前記金属ケースの管軸方向を左右方向に沿わせた状態において、
前記内装ケーブルの上方の前記熱伝導フィンよりも、前記内装ケーブルの下方の前記熱伝導フィンの方が、前記内装ケーブルから離間していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のケーブル接続部の放熱構造。
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