JP6838978B2 - 軟弱地盤の改良装置及び軟弱地盤の改良工法 - Google Patents

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Description

本発明は、水分を多く含む軟弱地盤から水分を除去して、軟弱地盤を硬質地盤に改良するために用いられる軟弱地盤の改良装置及び軟弱地盤の改良工法に関するものである。
従来の軟弱地盤の改良工法としては、改良対象の地盤表面を気密シートで覆い、真空ポンプにより気密シート内側の空気を抜いて、改良対象の地盤に負圧を発生させ、その負圧により地盤内の水を、土中や土上に設けたドレーン材の内部に浸入させて、そのドレーン材の内部を通って水を地盤の外部に排出する工法が知られていた(例えば特許文献1の図4)。
図6ないし図9は、従来の軟弱地盤の改良工法に用いる従来の軟弱地盤の改良装置について説明するために、参照する図である。
図6に示すように、従来の軟弱地盤の改良装置は、多数の鉛直ドレーン材5が、改良対象の地盤3の内部に、水平方向に所定の間隔をおいて、鉛直方向に伸びるように地盤中に打設されており、その鉛直ドレーン材5の上端部5aは地盤表面3aから上方に突出していた。
また図6,図7に示すように、複数の水平ドレーン材7が、地盤表面3aの上に水平方向に伸びるように配置され、互いに所定の間隔をおいて平行に配置されていた。そして、水平ドレーン材7の長さ方向の複数の位置には、鉛直ドレーン材5の上端部5aが、水を受け渡し可能に接触するように配置されていた。
鉛直ドレーン材5や水平ドレーン材7は、図8に示すように、それらの長さ方向に対して垂直な断面が、細長い矩形状に形成され、その断面は、中心板部61とその表裏両面に複数の立設部63が形成された芯部材と、この芯部材の周囲を覆う膜状のフィルタ65から構成されていた。
そして、図8に示す断面の、芯部材の中心板部61及び立設部63と、フィルタ65との間には空隙67が形成され、この空隙67はドレーン材5,7の長さ方向に連続している。そして、水がフィルタ65の目を通ってドレーン材内部の空隙67に浸入し、浸入した水が空隙67を通ってドレーン材5,7の長さ方向に移動可能となっていた。
次に図6,図7に示すように、地盤表面3aの上には集水管9が水平方向に伸びるように配置され、複数の水平ドレーン材7と直交するように配置されていた。そして図9に示すように、集水管9はその円周状の肉厚部に、軸線が管の中心に向くような貫通孔9aが複数形成された管状部材9bと、この管状部材9bの周囲を覆う膜状のフィルタ9cを備えて構成されていた。
集水管9と水平ドレーン材7は図6に示すように、互いの凸曲面と凹曲面が接触するように配置されるだけで、図8に示すような水平ドレーン材7の空隙67と、フィルタ65の目と、図9に示すような集水管9のフィルタ9cの目と、貫通孔9aが連通して、水が受け渡し可能な状態になっていた。
そして、図6に示すように、これらの水平ドレーン材7、集水管9及びそれらの間から露出した改良対象の地盤3の地盤表面3aの上から、その地盤表面3aの全面を覆うように、気密シート11が敷設されていた。
気密シート11の周縁部11aの気密処理は、図7に示すように、改良対象の地盤3の周縁部に沿って地盤3を包囲するように、断面がV字溝状のシート埋設穴13を掘削し、そこに気密シート11の周縁部11aを埋設することにより行なっていた。
そして、図6に示すように、排水管19の地盤3側の端部が、気密シート11を貫いて集水管9に接続され、排水管19の地盤3と反対側の端部が、負圧の発生源であるドレーン用真空ポンプ21に連結されていた。排水管19はその円周状の肉厚部に貫通孔は形成されていない無孔管状部材であり、気密シート11の気密性を損なわないように配慮してその端部が集水管9に接続されていた。
このような従来の軟弱地盤の改良装置を用いた、従来の軟弱地盤の改良工法によれば、ドレーン用真空ポンプ21を作動させて集水管9の内部の空気や、集水管9の貫通孔9aを通って、気密シート11と地盤表面3aとの間の空気を吸引することにより、改良対象の地盤3に負圧が発生し、これにより鉛直ドレーン材5及び水平ドレーン材7を伝って地盤3の内部の水分が集水管9に吸引されて地盤3の外部に排出される。その結果、水分を多く含む軟弱地盤が改良されて、目的とする硬質の地盤に変えることができる。
特許第3138909号公報
しかしながら、上述したような従来の軟弱地盤の改良工法においては、ドレーン用真空ポンプ21を作動させると、気密シート11と地盤表面3aとの間に発生した負圧により、地盤3の内部の水分が外部に排出されると同時に、シート埋設穴13に埋設した気密シート11の周縁部11aの周辺の地盤3から、気密シート11の外側の空気が気密シート11の内側へと吸気されていた。
そして、気密シート11の内側に吸気された空気は、鉛直ドレーン材5から水平ドレーン材7、更に集水管9、排水管19、ドレーン用真空ポンプ21という、本来は地盤3の内部の水分を排出するための経路(以下「排水経路」という)を通り、地盤3の内部の水分と一緒に排出されていた。
そして、気密シート11の外部から吸気された空気が排水経路に流れ込むことにより、改良対象の地盤3に発生する負圧と大気圧との間の差圧が小さくなってしまい、各ドレーン材からの吸水効果、ひいては軟弱地盤の改良効果が低減してしまうという問題があった。
また、このような状況下で、地盤3に発生する負圧と大気圧との間の差圧をより大きくするためには、ドレーン用真空ポンプ21を排気能力が大きなものと交換する必要が生じ、ドレーン用真空ポンプ21にかかるコスト、ひいては軟弱地盤の改良装置にかかるコストが増大してしまうという問題もあった。
また、前記排水経路には気密シート11の外部から吸気された空気と地盤3の内部から吸水された水が一緒に流れるので、必要な水の流量を確保するためにはドレーン材や配管の断面積が大きなものと交換する必要が生じ、その結果、ドレーン材や配管にかかるコストが増大し、ひいては軟弱地盤の改良装置にかかるコストが増大してしまうという問題もあった。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、気密シート外部の空気が排水経路に流れ込んで気密シート内部の負圧と大気圧との間の差圧が小さくなってしまうことを防止することにより、各ドレーン材からの吸水効果を向上させて地盤改良の効果を向上させることができる、軟弱地盤の改良装置及び軟弱地盤の改良工法を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために、本発明による軟弱地盤の改良装置は、
改良対象の地盤の内部に鉛直方向に配置された複数の鉛直排水用部材と、
前記地盤の表面の上に水平方向に配置し、前記鉛直排水用部材と水を受け渡し可能に接続した複数の水平排水用部材と、
前記水平排水用部材と前記地盤の表面を覆うように敷設し、周縁部を前記地盤の周縁部に沿って前記地盤の所定の深さに埋設した気密シートと、
前記水平排水用部材に連結されたドレーン用真空ポンプと、
前記気密シートの周縁部に沿って前記地盤を包囲するように配置された吸気用部材と、
前記吸気用部材に連結された吸気用真空ポンプを備え、
前記ドレーン用真空ポンプを作動させて、前記鉛直排水用部材や前記水平排水用部材を通って前記地盤内の水分を排出させると共に、
前記吸気用真空ポンプを作動させて、前記吸気用部材を通って前記地盤の周縁部から前記気密シートと前記地盤の間に浸入する空気を排出させるようにした
ことを特徴とするものである。
また、本発明による軟弱地盤の改良装置は、
前記吸気用部材は、前記気密シートの周縁部と共に前記地盤の周縁部に沿って前記地盤の所定の深さに埋設されることを特徴とするものである。
また、本発明による軟弱地盤の改良装置は、
前記吸気用部材は、前記地盤の表面の周縁部の上に配置され、
前記地盤の周縁部に沿って間隔をおいて鉛直吸気用部材を前記地盤の内部に鉛直方向に配置し、
前記鉛直吸気用部材と前記吸気用部材を空気を受け渡し可能に接続させて配置し、
前記気密シートは、前記水平排水用部材と前記吸気用部材及び前記地盤の表面を覆うように敷設されたことを特徴とするものである。
上記課題を解決するために、本発明による軟弱地盤の改良工法は、
改良対象の地盤の内部に鉛直方向に配置された複数の鉛直排水用部材により前記地盤内の水分を吸引し、
前記地盤の表面の上に水平方向に配置し、前記鉛直排水用部材と水を受け渡し可能に接続した複数の水平排水用部材により前記地盤内の水分を吸水し、
前記水平排水用部材と前記地盤の表面を覆うように敷設し、前記地盤の周縁部に沿ってその周縁部が前記地盤の所定の深さに埋設された気密シートにより前記地盤表面を密封し、
前記気密シートの周縁部に沿って前記地盤を包囲するように配置した吸気用部材から吸気して前記地盤の外部に排出させ、
前記水平排水用部材に連結されたドレーン用真空ポンプを作動させて、前記鉛直排水用部材と前記水平排水用部材から吸水して前記地盤の外部に排出させると共に、
前記吸気用部材に連結された吸気用真空ポンプを作動させて、前記吸気用部材により前記地盤の周縁部から前記気密シートと前記地盤の間に浸入する空気を吸引して前記地盤の外部に排出させるようにした
ことを特徴とするものである。
また、本発明による軟弱地盤の改良工法は、
前記吸気用部材は、前記気密シートの周縁部と共に前記地盤の周縁部に沿って前記地盤の所定の深さに埋設されることを特徴とするものである。
また、本発明による軟弱地盤の改良工法は、
前記吸気用部材は、前記地盤の表面の周縁部の上に配置され、
前記地盤の周縁部に沿って間隔をおいて鉛直吸気用部材を前記地盤の内部に鉛直方向に配置し、
前記鉛直吸気用部材と前記吸気用部材を空気を受け渡し可能に接続させて配置し、
前記気密シートは、前記水平排水用部材と前記吸気用部材及び前記地盤の表面を覆うように敷設されることを特徴とするものである。
このような本発明による軟弱地盤の改良装置によれば、
改良対象の地盤の内部に鉛直方向に配置された複数の鉛直排水用部材と、
前記地盤の表面の上に水平方向に配置し、前記鉛直排水用部材と水を受け渡し可能に接続した複数の水平排水用部材と、
前記水平排水用部材と前記地盤の表面を覆うように敷設し、周縁部を前記地盤の周縁部に沿って前記地盤の所定の深さに埋設した気密シートと、
前記水平排水用部材に連結されたドレーン用真空ポンプと、
前記気密シートの周縁部に沿って前記地盤を包囲するように配置された吸気用部材と、
前記吸気用部材に連結された吸気用真空ポンプを備え、
前記ドレーン用真空ポンプを作動させて、前記鉛直排水用部材や前記水平排水用部材を通って前記地盤内の水分を排出させると共に、
前記吸気用真空ポンプを作動させて、前記吸気用部材を通って前記地盤の周縁部から前記気密シートと前記地盤の間に浸入する空気を排出させるようにしたことにより、
気密シート外部の空気が排水経路に流れ込んで気密シート内部の負圧と大気圧との間の差圧が小さくなってしまうことを防止することにより、各ドレーン材からの吸水効果を向上させて地盤改良の効果を向上させることができる。
また、このような本発明による軟弱地盤の改良工法によれば、
改良対象の地盤の内部に鉛直方向に配置された複数の鉛直排水用部材により前記地盤内の水分を吸引し、
前記地盤の表面の上に水平方向に配置し、前記鉛直排水用部材と水を受け渡し可能に接続した複数の水平排水用部材により前記地盤内の水分を吸水し、
前記水平排水用部材と前記地盤の表面を覆うように敷設し、前記地盤の周縁部に沿ってその周縁部が前記地盤の所定の深さに埋設された気密シートにより前記地盤表面を密封し、
前記気密シートの周縁部に沿って前記地盤を包囲するように配置した吸気用部材から吸気して前記地盤の外部に排出させ、
前記水平排水用部材に連結されたドレーン用真空ポンプを作動させて、前記鉛直排水用部材と前記水平排水用部材から吸水して前記地盤の外部に排出させると共に、
前記吸気用部材に連結された吸気用真空ポンプを作動させて、前記吸気用部材により前記地盤の周縁部から前記気密シートと前記地盤の間に浸入する空気を吸引して前記地盤の外部に排出させるようにしたことにより、
気密シート外部の空気が排水経路に流れ込んで気密シート内部の負圧と大気圧との間の差圧が小さくなってしまうことを防止することにより、各ドレーン材からの吸水効果を向上させて地盤改良の効果を向上させることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る軟弱地盤の改良装置の概略を示した鉛直断面図である。 図1に示す軟弱地盤の改良装置の平面図である。 吸気管17の構造を示すその斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係る軟弱地盤の改良装置の概略を示した鉛直断面図である。 図4に示す軟弱地盤の改良装置の平面図である。 従来の軟弱地盤の改良装置の概略を示した鉛直断面図である。 図6に示す従来の軟弱地盤の改良装置の平面図である。 ドレーン材の構造を示す断面図である。 集水管9の構造を示すその斜視図である。
以下、本発明による軟弱地盤の改良装置及び軟弱地盤の改良工法を実施するための形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
図1ないし図3は、本発明の第1の実施の形態に係る軟弱地盤の改良装置について説明するために参照する図である。なお、図6ないし図9に示した従来の軟弱地盤の改良装置と同様の部分には、一部を除き同じ符号を付して説明するものとする。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る軟弱地盤の改良装置は、多数の鉛直ドレーン材5(鉛直排水用部材)が、改良対象の地盤3の内部に、水平方向に所定の間隔をおいて、互いに平行かつ鉛直方向に伸びるように地盤中に打設されており、その鉛直ドレーン材5の上端部5aは地盤表面3aから上方に突出している。
また図2に示すように、複数の水平ドレーン材7(水平排水用部材)が、地盤表面3aの上に水平方向に伸びるように配置され、互いに所定の間隔をおいて平行に配置されている。そして、水平ドレーン材7の長さ方向の複数の位置には、鉛直ドレーン材5の上端部5aが、水を受け渡し可能に接触するように接続されている。
このような水平ドレーン材7と鉛直ドレーン材5の接続は、例えば、地盤表面3aから突出した鉛直ドレーン材5の上端部5aを折り曲げて水平ドレーン材7と重ね、その重ねた2つの部材をステイプル(大型のホッチキスのような)で固定する等の作業で行う。
鉛直ドレーン材5や水平ドレーン材7は、図8に示す従来のものと同様に、それらの長さ方向に対して垂直な断面が、細長い矩形状に形成され、その断面は、中心板部61とその表裏両面に複数の立設部63が形成された芯部材と、この芯部材の周囲を覆う膜状のフィルタ65から構成されている。
そして、図8に示すドレーン断面の、芯部材の中心板部61及び立設部63と、フィルタ65との間には空隙67が形成され、この空隙67はドレーン材5,7の長さ方向に連続している。そして、水がフィルタ65の目を通ってドレーン材内部の空隙67に浸入すると、浸入した水が空隙67を通ってドレーン材5,7の長さ方向に移動可能となっている。
鉛直ドレーン材5や水平ドレーン材7は、例えば、硬質塩化ビニルやポリオレフィン樹脂製の、中心板部61と立設部63を有する芯部材の周囲を、ポリエステル系不織布のフィルタ65で覆ったプラスチックボードドレーンを使用したり、環境への負荷低減を考慮して生分解性の樹脂材料を用いたドレーン材を使用したりすることができる。
次に、図1,図2に示すように、地盤表面3aの上には集水管9が水平方向に伸びるように配置され、複数の水平ドレーン材7と直交するように配置されていた。そして図9に示すように、集水管9はその円周状の肉厚部に、軸線が管の中心に向くような貫通孔9aが複数形成された管状部材9bと、この管状部材9bの周囲を覆う膜状のフィルタ9cを備えて構成されている。
また、集水管9には、例えば硬質塩化ビニル管を用いた排水管19の地盤表面3a側の端部が接続されている。この接続は、例えば、気密シート11の一部を開口し、その開口部に排水管19を挿通して集水管9と接続した後、気密シート11の気密性を維持するために、排水管19とその周囲の気密シート11の開口の間の隙間を塞ぐように、気密シート11の外側から気密シート11をバインド(ガス配管用のホースの端部をガス配管に締め付けるのに用いるような締め付け具)で排水管19に締め付けることにより行う。
そして、排水管19の他端側にはドレーン用真空ポンプ21が連結して設けられている。
集水管9と水平ドレーン材7は図1に示すように、互いの凸曲面と凹曲面が接触するように配置されるだけで、図8に示すような水平ドレーン材7の空隙67と、フィルタ65の目と、図9に示すような集水管9のフィルタ9cの目と、貫通孔9aが連通して、水が受け渡し可能な状態になっている。集水管9は、例えば、硬質塩化ビニル製の管状部材9bに、不織布の膜状のフィルタ9cを巻き付けたものを使用することができる。
そして図1に示すように、水平ドレーン材7、集水管9及びそれらの間から露出する改良対象の地盤3の地盤表面3aの上に、その地盤表面3aの全面を覆うように、気密シート11が敷設されている。気保険密シート11には、例えば、軟質塩化ビニル等の合成樹脂製のシートを使用することができる。
地盤3が広い面積の場合は、既製品の所定寸法幅のシートを複数枚並べ、その隣接端部同士を接着することにより1枚の大きな気密シート11を構成してもよい。また、気密シート11に傷が付くとその気密性が損なわれるので、気密シート11の下に保護マットを重ねて敷設してもよい。
次に、図2に示すように、改良対象の地盤3の周縁部に沿って、地盤3を包囲するように、断面がV字溝状のシート埋設穴13を掘削し、その内部に気密シート11の周縁部11aを垂らして配置する。
次に、図1,図2に示すように、気密シート11の周縁部11aの形状に沿って、吸気管17(吸気用部材)を、シート埋設穴13の底部の、気密シート11の周縁部11aの下側に配置する。
吸気管17は、図3に示すように、その円周状の肉厚部に、軸線が管の中心に向くような貫通孔17aが複数形成された管状部材17bと、この管状部材17bの周囲を覆う膜状のフィルタ17cを備えて構成されている。
すなわち吸気管17は、その貫通孔17aを通じて管外の空気を管内に吸気することは可能だが、その管状部材17bの周囲を覆うフィルタ17cを備えていることにより、貫通孔17aから管内への土砂の侵入は防止できるように構成されている。
次に、図1,図2に示すように、シート埋設穴13内に配置された吸気管17に、排気管23の一端が接続され、排気管23の他端側には吸気用真空ポンプ25が連結して設けられてる。排気管23はその円周状の肉厚部に複数の貫通孔が形成されていない無孔の管状部材であり、この排気管23には例えば、硬質塩化ビニル管を用いることができる。
そして、シート埋設穴13を埋戻土15により埋め戻すことにより、気密シート11の周縁部11aの気密処理を行うことができる。
このような軟弱地盤の改良装置を用いて実施される軟弱地盤の改良工法の実施の形態について、以下に説明する。
ドレーン用真空ポンプ21を作動させることにより、従来の軟弱地盤の改良工法と同様に、集水管9の内部の空気や、集水管9の貫通孔9aを通って気密シート11と地盤表面3aとの間の空気が吸引され、改良対象の地盤3に負圧が発生し、これにより鉛直ドレーン5材及び水平ドレーン材7を伝って地盤3の内部の水分が集水管9に吸引されて地盤3の外部に排出される。
そして、これと同時に、吸気用真空ポンプ25を作動させることにより、シート埋設穴13に埋設された気密シート11の周縁部11aの周辺の空気が、吸気管17に吸気されて排気管23を通って排出される。
従来の軟弱地盤の改良工法においては、気密シート11の外部の空気が気密シート11の内部に吸気されていたことにより、気密シート11の内部の地盤3に働く負圧と大気圧との間の差圧が低減されていたのに対し、この実施の形態に係る軟弱地盤の改良工法によれば、気密シート11の外部の空気は吸気管17、排気管23という経路を通って排出され、鉛直ドレーン5材及び水平ドレーン材7を伝って地盤3の内部の水分が集水管9に吸引されるような前記排水経路とは異なる経路で排出されるので、気密シート11の外部の空気が前記排水経路に流れ込む量を減少させることができる。
そしてこのことにより、従来のように気密シート11の外部の空気が前記排水経路に流れ込むことにより気密シート11の内部の地盤3に働く負圧の、大気圧との間の差圧が低減することを防ぎ、大気圧との差が大きい負圧を発生させることができるので、各ドレーン材からの吸水効果、ひいては地盤改良の効果を向上させることができる。
また、ドレーン用真空ポンプ21の排気能力を大きくすることなく大気圧との差が大きい負圧が得られるため、ドレーン用真空ポンプ21の排気能力を大きくすることによるコスト高を防止することができ、ひいては軟弱地盤の改良装置のコスト高を防止することができる。
また、上記排水経路の水や空気の流量が減少するため、ドレーン材や配管の断面積を大きくする必要がないので、そのことによるコスト高を防止することができ、ひいては軟弱地盤の改良装置のコスト高を防止することができる。また、ドレーン材や配管の施工性が向上し、施工期間も短縮することができる。
また、吸気管17が気密シート11の周縁部11aの下側に配置されているため、気密シート11の下側に達した空気のみが吸気管17に吸引され、気密シート11の上側の空気を吸引することがないので、前記排水経路に流れ込む可能性が高い場所の空気のみを効率よく吸気することができる。
このように本発明の第1の実施の形態によれば、気密シート外部の空気が排水経路に流れ込んで気密シート内部の負圧と大気圧との間の差圧が小さくなってしまうことを防止することにより、各ドレーン材からの吸水効果を向上させて地盤改良の効果を向上させることができる。
図4,図5は、本発明の第2の実施の形態に係る軟弱地盤の改良装置について説明するために参照する図である。なお、前記第1の実施の形態に係る軟弱地盤の改良装置と同様の部分には同じ符号を付して説明するものとする。
本実施の形態に係る軟弱地盤の改良装置は、図4に示すように、吸気管17が気密シート11の内側の地盤表面3a上に配置され、地盤3の周縁部に打設された吸気用鉛直ドレーン材18(鉛直吸気用部材)と接続されている点において、前記第1の実施の形態における軟弱地盤の改良装置と異なるものである。
すなわち、地盤3の周縁部に沿って、水平方向に所定の間隔をおいて、複数の吸気用鉛直ドレーン材18が打設されている。この吸気用鉛直ドレーン材18は、図8に示されたものと同様の構造を有する部材である。また吸気用鉛直ドレーン材18は、地盤3の内部に鉛直方向に互いに平行に打設され、その上端部は地盤表面3aから上方に突出している。
次に、図5に示すように、吸気管17(吸気用部材)を地盤表面3aの周縁部の上に水平方向に伸びるように配置する。吸気管17は、図3に示されたものと同様の構造を有する部材である。また、吸気管17と地盤表面3aから上方に突出した吸気用鉛直ドレーン材18の上端部は互いに接触しており、相互間で水や空気が受け渡し可能に接続されている。
そして、これらの水平ドレーン材7、集水管9、吸気管17及びそれらの間から露出した改良対象の地盤3の地盤表面3aの上に、その地盤表面3aの全面を覆うように気密シート11を敷設する。気密シート11の周縁部11aには気密処理を施し、この気密処理は従来の軟弱地盤の改良装置と同様に、改良対象の地盤3の外縁に掘削したシート埋設穴13に埋設することにより行う。
そして、排気管23の一端が気密シート11を貫いて吸気管17に接続し、排気管23の他端は吸気用真空ポンプ25に連結している。排気管23はその円周状の肉厚部に貫通孔が形成されてない無孔の管状部材であり、気密シート11の気密性を損なわないように吸気管17に接続されている。
その他の構成は、前記第1の実施の形態に係る軟弱地盤の改良装置と同様である。すなわち、地盤3の内部に鉛直ドレーン材5が打設され、地盤表面3a上に水平ドレーン材7、集水管9が配置され、集水管9には排水管19、ドレーン用真空ポンプ21が連結されている。
このような実施の形態に係る軟弱地盤の改良装置を用いた軟弱地盤の改良工法によっても、気密シート11の外部の空気が、吸気用鉛直ドレーン材18、吸気管17、排気管23という経路を通って排出され、鉛直ドレーン5材及び水平ドレーン材7を伝って地盤3の内部の水分が集水管9に吸引されるような前記排水経路とは異なる経路で排出されるので、気密シート11の外部の空気が前記排水経路に流れ込む量を減少させることができる。
そしてこのことにより、従来のように気密シート11の外部の空気が前記排水経路に流れ込むことにより気密シート11の内部の地盤3に働く負圧の、大気圧との間の差圧が低減することを防ぎ、大気圧との間の差圧が大きい負圧を発生させることができるので、各ドレーン材からの吸水効果、ひいては地盤改良の効果を向上させることができる。
また、ドレーン用真空ポンプ21の排気能力を大きくすることなく大気圧との差が大きい負圧が得られるため、ドレーン用真空ポンプ21の排気能力を大きくすることによるコスト高を防止することができ、ひいては軟弱地盤の改良装置のコスト高を防止することができる。
また、上記排水経路の水や空気の流量が減少するため、ドレーン材や配管の断面積を大きくする必要がないので、そのことによるコスト高を防止することができ、ひいては軟弱地盤の改良装置のコスト高を防止することができる。また、ドレーン材や配管の施工性が向上し、施工期間も短縮することができる。
また、吸気用鉛直ドレーン材18の打設は鉛直ドレーン材5の打設と施工内容がほぼ同じなので連続して施工することができ、吸気管17の配置と集水管9の配置も施工内容がほぼ同じなので連続して施工することができる。このため、新たに吸気管17をシート埋設穴13に埋設する工程を要する第1の実施の形態と比較して施工内容が単純であり、施工期間をより短縮することができる。
このような本発明の第2の実施の形態によっても、気密シート外部の空気が排水経路に流れ込んで気密シート内部の負圧と大気圧との間の差圧が小さくなってしまうことを防止することにより、各ドレーン材からの吸水効果を向上させて地盤改良の効果を向上させることができる。
なお、本発明は、前記第1,第2の実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を達成することができる範囲内であれば、種々の変更が可能である。
例えば、前記第1,第2の実施の形態に係る軟弱地盤の改良装置においては、地盤3の内部からの水分の排出を1つのドレーン用真空ポンプ21により行なっていたが、これらに限定される必要はなく、複数台のドレーン用真空ポンプ21を用いてもよい。
また、改良対象の地盤3が広い面積の場合は、地盤3を複数のブロックに区分けし、ブロック毎に排水経路を分けて設け、それぞれの排水経路毎にドレーン用真空ポンプ21を設置してもよい。
同じように、前記第1,第2の実施の形態に係る軟弱地盤の改良装置においては、地盤3の周辺に配置された吸気管17の全体を1台の吸気用真空25ポンプにより吸気していたが、これらに限定される必要はなく、複数台の吸気用真空ポンプ25を用いてもよい。
例えば、地盤3の外周に配置された吸気管17を複数の区間に区分けし、区間毎に吸気用真空ポンプ25を設置してもよい。
また、前記第1,第2の実施の形態に係る軟弱地盤の改良装置を併用してもよい。すなわち、シート埋設穴13に埋設した吸気管17から吸気を行う経路と併せて、地盤3の周縁部に吸気用鉛直ドレーン材18を打設し、これに接続した吸気管17から吸気を行う経路を設け、上記2つの経路で吸気を行なうことで、気密シート11の外部の空気が前記排水経路に流れ込む量を更に減少させ、地盤改良の効果を一層向上させるようにしてもよい。
また、前記第1,第2の実施の形態に係る軟弱地盤の改良装置においては、鉛直排水用部材、水平排水用部材として図8に示すようなドレーン材が用いられていたが、このようなドレーン材に限定される必要はなく、例えば、内部を水や空気が浸透可能な砂礫等を用いて形成された砂杭(サンドパイル)や、砂層(サンドマット)などの他の構造の排水用部材を用いてもよい。
また、前記第1,第2の実施の形態に係る軟弱地盤の改良装置においては、地盤3に発生した負圧により、気密シート11を地盤3の地盤表面3a上に大気圧で押圧するが、気密シート11の上に載荷盛土をして、その載荷重による押圧と併用することにより、地盤改良を一層促進させるようにしてもよい。
3 地盤
3a 地盤表面
5 鉛直ドレーン材
5a 上端部
7 水平ドレーン材
9 集水管
9a 貫通孔
9b 管状部材
9c フィルタ
11 気密シート
11a 周縁部
13 シート埋設穴
15 埋戻土
17 吸気管
17a 貫通孔
17b 管状部材
17c フィルタ
18 吸気用鉛直ドレーン材
19 排水管
21 ドレーン用真空ポンプ
23 排気管
25 吸気用真空ポンプ
61 中心板部
63 立設部
65 フィルタ
67 空隙

Claims (6)

  1. 改良対象の地盤の内部に鉛直方向に配置された複数の鉛直排水用部材と、
    前記地盤の表面の上に水平方向に配置し、前記鉛直排水用部材と水を受け渡し可能に接続した複数の水平排水用部材と、
    前記水平排水用部材と前記地盤の表面を覆うように敷設し、周縁部を前記地盤の周縁部に沿って前記地盤の所定の深さに埋設した気密シートと、
    前記水平排水用部材に連結されたドレーン用真空ポンプと、
    前記気密シートの周縁部に沿って前記地盤を包囲するように配置された吸気用部材と、
    前記吸気用部材に連結された吸気用真空ポンプを備え、
    前記ドレーン用真空ポンプを作動させて、前記鉛直排水用部材や前記水平排水用部材を通って前記地盤内の水分を排出させると共に、
    前記吸気用真空ポンプを作動させて、前記吸気用部材を通って前記地盤の周縁部から前記気密シートと前記地盤の間に浸入する空気を排出させるようにした
    ことを特徴とする軟弱地盤の改良装置。
  2. 前記吸気用部材は、前記気密シートの周縁部と共に前記地盤の周縁部に沿って前記地盤の所定の深さに埋設されることを特徴とする請求項1に記載の軟弱地盤の改良装置。
  3. 前記吸気用部材は、前記地盤の表面の周縁部の上に配置され、
    前記地盤の周縁部に沿って間隔をおいて鉛直吸気用部材を前記地盤の内部に鉛直方向に配置し、
    前記鉛直吸気用部材と前記吸気用部材を空気を受け渡し可能に接続させて配置し、
    前記気密シートは、前記水平排水用部材と前記吸気用部材及び前記地盤の表面を覆うように敷設された
    ことを特徴とする請求項1に記載の軟弱地盤の改良装置。
  4. 改良対象の地盤の内部に鉛直方向に配置された複数の鉛直排水用部材により前記地盤内の水分を吸引し、
    前記地盤の表面の上に水平方向に配置し、前記鉛直排水用部材と水を受け渡し可能に接続した複数の水平排水用部材により前記地盤内の水分を吸水し、
    前記水平排水用部材と前記地盤の表面を覆うように敷設し、前記地盤の周縁部に沿ってその周縁部が前記地盤の所定の深さに埋設された気密シートにより前記地盤表面を密封し、
    前記気密シートの周縁部に沿って前記地盤を包囲するように配置した吸気用部材から吸気して前記地盤の外部に排出させ、
    前記水平排水用部材に連結されたドレーン用真空ポンプを作動させて、前記鉛直排水用部材と前記水平排水用部材から吸水して前記地盤の外部に排出させると共に、
    前記吸気用部材に連結された吸気用真空ポンプを作動させて、前記吸気用部材により前記地盤の周縁部から前記気密シートと前記地盤の間に浸入する空気を吸引して前記地盤の外部に排出させるようにした
    ことを特徴とする軟弱地盤の改良工法。
  5. 前記吸気用部材は、前記気密シートの周縁部と共に前記地盤の周縁部に沿って前記地盤の所定の深さに埋設されることを特徴とする請求項4に記載の軟弱地盤の改良工法。
  6. 前記吸気用部材は、前記地盤の表面の周縁部の上に配置され、
    前記地盤の周縁部に沿って間隔をおいて鉛直吸気用部材を前記地盤の内部に鉛直方向に配置し、
    前記鉛直吸気用部材と前記吸気用部材を空気を受け渡し可能に接続させて配置し、
    前記気密シートは、前記水平排水用部材と前記吸気用部材及び前記地盤の表面を覆うように敷設される
    ことを特徴とする請求項4に記載の軟弱地盤の改良工法。
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