以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる番号を付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能を有する複数の構成を、必要に応じて通信装置100Aおよび通信装置100Bなどのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を区別する必要が無い場合、同一符号のみを付する。例えば、通信装置100Aおよび通信装置100Bを特に区別する必要がない場合には、単に通信装置100と称する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施形態(ワイルドカードPIDを用いた通信)
1−1.システム構成
1−2.装置の機能構成
1−3.装置の機能詳細
1−4.装置の処理
1−5.動作例
1−6.第1の実施形態のまとめ
2.第2の実施形態(ダイレクトリンク識別情報を用いた通信)
2−1.装置の機能詳細
2−2.装置の処理
2−3.動作例
2−4.第2の実施形態のまとめ
3.第3の実施形態(メッシュネットワークリンク識別情報を用いた通信)
3−1.装置の機能詳細
3−2.装置の処理
3−3.動作例
3−4.第3の実施形態のまとめ
4.応用例
5.むすび
<1.第1の実施形態(ワイルドカードPIDを用いた通信)>
まず、本開示の第1の実施形態について説明する。本実施形態においては、無線通信ネットワーク識別子(以下、PHY識別子またはPIDとも称する。)を含むPHYヘッダが通信され、複数の第1のレベルのPID(以下、通常のPIDとも称する。)が特定される第2のレベルのPID(以下、ワイルドカードPIDとも称する。)を用いた通信が行われる。
<1−1.システム構成>
図1を参照して、本開示の第1の実施形態に係る通信システムの構成について説明する。図1は、本開示の第1の実施形態に係る通信システムの概略的な構成および各種情報の設定状態の例を示す図である。
本実施形態に係る通信システムは、AP100およびSTA200を備える。具体的には、当該通信システムは、複数のAP100およびSTA200を備え、1つのAP100および1つまたは複数のSTA200によって無線通信ネットワークが形成される。例えば、図1に示したように、AP100AならびにSTA200Aおよび200Bを含むBSS1が形成され、AP100BおよびSTA200Cを含むBSS2が形成され、AP100CおよびSTA200Dを含むBSS3が形成され、AP100DおよびSTA200Eを含むBSS4が形成される。
また、当該通信システムにおける無線通信ネットワークは通信範囲が他の無線通信ネットワークと重複し得る。例えば、図1に示したように、BSS1とBSS2〜BSS4の各々とはAP100−1またはSTA200−1の通信範囲が重複するため、BSSがオーバラップしている、すなわち、BSS1〜BSS4は互いにOBSS(Overlap BSS)であるといえる。
このようなOBSSが存在する状況の下では、自BSS内向けの通信であるか他BSS向けの通信であるかを識別することが望まれる。そこで、BSSを識別するための情報が送信されるフレームに含まれる。例えば、従来では、MAC(Media Access Control)層ではBSSIDが用いられ、PHY層ではBSSのCOLOR情報が用いられる。特に、COLOR情報はPHYヘッダに含まれるため、通信装置は、自BSSのCOLOR情報が含まれていない場合、当該PHYヘッダの後続を受信せずに済む。その結果、通信装置における電力消費が抑制される。
他方で、従来のCOLOR情報を含むPHYヘッダでは複数のBSS宛てにフレームを送信することが困難である。例えば、COLOR情報にはいずれかのBSSに係るCOLOR情報の値が格納されることになるため、不特定または複数のBSSを宛先として指定することが困難である。そのため、従来では、不特定または複数のBSSを宛先とする場合には、COLOR情報を含まないPHYヘッダが用いられるか、または不特定もしくは複数のBSSが宛先であることを示す情報が追加されたPHYヘッダが用いられていた。しかし、前者の場合、COLOR情報を用いることによってもたらされる消費電力の低減という効果が失われ、後者の場合、PHYヘッダのサイズが増加することにより通信効率が低下する。
そこで、本実施形態に係る通信システムは、複数の第1のレベルの無線通信ネットワーク識別子が特定される第2のレベルの無線通信ネットワーク識別子を含む無線通信ネットワーク識別子を有するPHYヘッダを用いる。以下、当該通信システムの動作を実現する当該通信システムの構成要素の1つである通信装置100−1および200−1についてそれぞれ詳細に説明する。なお、説明の便宜上、第1〜第3の実施形態に係る通信装置を、通信装置100−1〜通信装置100−3のように、末尾に実施形態に対応する番号を付することにより区別する。
<1−2.装置の機能構成>
以上、本開示の第1の実施形態に係る通信システムの構成について説明した。次に、図2を参照して、本実施形態に係るAP100−1およびSTA200−1(以下、通信装置100−1(200−1)とも称する。)の機能構成について説明する。図2は、本開示の第1の実施形態に係る通信装置100−1(200−1)の概略的な機能構成の例を示すブロック図である。
通信装置100−1(200−1)は、図2に示したように、無線通信モジュール101(201)、有線通信モジュール102(202)、機器制御部103(203)、情報入力部104(204)および情報出力部105(205)を備える。
無線通信モジュール101(201)は、AP100−1またはSTA200−1との無線通信を行う。具体的には、無線通信モジュール101(201)は、機器制御部103(203)から得られるデータを送信し、受信されるデータを機器制御部103(203)に提供する。詳細については後述する。
有線通信モジュール102(202)は、有線を介して外部の装置と通信を行う。具体的には、有線通信モジュール102(202)は、インターネットと接続され、インターネットを介して外部の装置と通信を行う。例えば、有線通信モジュール102(202)は、無線通信モジュール101(201)が通信により取得したデータを外部の装置にインターネットを介して送信する。
機器制御部103(203)は、通信装置100−1(200−1)の動作を全体的に制御する。具体的には、機器制御部103(203)は、無線通信モジュール101(201)および有線通信モジュール102(202)の通信を制御する。例えば、機器制御部103(203)は、情報入力部104(204)から得られるデータを無線通信モジュール101(201)または有線通信モジュール102(202)に送信させる。また、機器制御部103(203)は、無線通信モジュール101(201)または有線通信モジュール102(202)の通信により得られるデータを情報出力部105(205)に出力させる。
情報入力部104(204)は、通信装置100−1(200−1)の外部からの入力を受け付ける。具体的には、情報入力部104(204)は、ユーザ入力またはセンサから得られる情報を受け付ける。例えば、情報入力部104(204)は、キーボードもしくはタッチパネル等の入力装置またはセンサ等の検出装置である。
情報出力部105(205)は、データを出力する。具体的には、情報出力部105(205)は、機器制御部103(203)から指示されるデータを出力する。例えば、情報出力部105(205)は、画像情報に基づき画像を出力するディスプレイまたは音声情報に基づき音声もしくは音楽を出力するスピーカ等である。
なお、上記構成のうちの有線通信モジュール102(202)、情報入力部104(204)および情報出力部105(205)は通信装置100−1(200−1)に含まれなくてもよい。
(無線通信モジュールの構成)
続いて、図3を参照して、無線通信モジュール101(201)の機能構成について説明する。図3は、本開示の第1の実施形態に係る無線通信モジュール101(201)の概略的な機能構成の例を示すブロック図である。
無線通信モジュール101(201)は、図3に示したように、通信部として、データ処理部110(210)、制御部120(220)および無線通信部130(230)を備える。
(1.データ処理部)
データ処理部110(210)は、図3に示したように、インタフェース部111、送信バッファ112、送信フレーム構築部113、受信フレーム解析部114および受信バッファ115を備える。
インタフェース部111は、通信装置100−1(200−1)に備えられる他の機能構成と接続されるインタフェースである。具体的には、インタフェース部111は、当該他の機能構成、例えば機器制御部103(203)からの伝送が所望されるデータの受け取り、または当該機器制御部103(203)への受信データの提供等を行う。
送信バッファ112は、送信されるデータを格納する。具体的には、送信バッファ112は、インタフェース部111によって得られたデータを格納する。
送信フレーム構築部113は、送信されるフレームを生成する。具体的には、送信フレーム構築部113は、送信バッファ112に格納されるデータまたは制御部120(220)によって設定される制御情報に基づいてフレームを生成する。例えば、送信フレーム構築部113は、送信バッファ112から取得されるデータからフレーム(パケット)を生成し、生成されるフレームにメディアアクセス制御(MAC)のためのMACヘッダの付加および誤り検出符号の付加等の処理を行う。
受信フレーム解析部114は、受信されたフレームの解析を行う。具体的には、受信フレーム解析部114は、無線通信部130(230)によって受信されたフレームの宛先の判定および当該フレームに含まれるデータまたは制御情報の取得を行う。例えば、受信フレーム解析部114は、受信されるフレームについて、MACヘッダの解析、符号誤りの検出および訂正、ならびにリオーダ処理等を行うことにより当該受信されるフレームに含まれるデータ等を取得する。
受信バッファ115は、受信されたデータを格納する。具体的には、受信バッファ115は、受信フレーム解析部114によって取得されたデータを格納する。
(2.制御部)
制御部120(220)は、図3に示したように、処理制御部121および信号制御部122を備える。
処理制御部121は、データ処理部110(210)の動作を制御する。具体的には、処理制御部121は、通信の発生を制御する。例えば、処理制御部121は、通信の接続要求が発生すると、アソシエーション処理またはオーセンティケーション処理といった接続処理または認証処理に係るフレームをデータ処理部110(210)に生成させる。
また、処理制御部121は、送信バッファ112におけるデータの格納状況または受信フレームの解析結果等に基づいてフレーム生成を制御する。例えば、処理制御部121は、送信バッファ112にデータが格納されている場合、当該データが格納されるデータフレームの生成を送信フレーム構築部113に指示する。また、処理制御部121は、受信フレーム解析部114によってフレームの受信が確認された場合、受信されたフレームへの応答となる確認応答フレームの生成を送信フレーム構築部113に指示する。
信号制御部122は、無線通信部130(230)の動作を制御する。具体的には、信号制御部122は、無線通信部130(230)の送受信処理を制御する。例えば、信号制御部122は、処理制御部121の指示に基づいて送信および受信のためのパラメタを無線通信部130(230)に設定させる。
なお、PIDなどの無線通信ネットワークに関する情報は、制御部120(220)によって管理される。例えば、制御部120(220)は、自BSSおよび他BSSのCOLOR情報などのBSS情報を管理する。
(3.無線通信部)
無線通信部130(230)は、図3に示したように、送信処理部131、受信処理部132およびアンテナ制御部133を備える。
送信処理部131は、フレームの送信処理を行う。具体的には、送信処理部131は、送信フレーム構築部113から提供されるフレームに基づいて、送信される信号を生成する。より具体的には、送信処理部131は、信号制御部122からの指示により設定されるパラメタに基づいてフレームに係る信号を生成する。例えば、送信処理部131は、データ処理部110(210)から提供されるフレームについて、制御部120(220)によって指示されるコーディングおよび変調方式等に従って、エンコード、インタリーブおよび変調を行うことによりシンボルストリームを生成する。また、送信処理部131は、前段の処理によって得られるシンボルストリームに係る信号を、アナログ信号に変換し、増幅し、フィルタリングし、および周波数アップコンバートする。
なお、送信処理部131は、フレームの多重化処理を行ってもよい。具体的には、送信処理部131は、周波数分割多重化または空間分割多重化に係る処理を行う。
受信処理部132は、フレームの受信処理を行う。具体的には、受信処理部132は、アンテナ制御部133から提供される信号に基づいてフレームの復元を行う。例えば、受信処理部132は、アンテナから得られる信号について、信号送信の際と逆の処理、例えば周波数ダウンコンバートおよびデジタル信号変換等を行うことによりシンボルストリームを取得する。また、受信処理部132は、前段の処理によって得られるシンボルストリームについて、復調およびデコード等を行うことによりフレームを取得し、取得されるフレームをデータ処理部110(210)または制御部120(220)に提供する。
なお、受信処理部132は、多重化フレームの分離に係る処理を行ってもよい。具体的には、受信処理部132は、周波数分割多重化され、または空間分割多重化されたフレームの分離に係る処理を行う。
また、受信処理部132は、チャネル利得を推定してもよい。具体的には、受信処理部132は、アンテナ制御部133から得られる信号のうちの、プリアンブル部分またはトレーニング信号部分から複素チャネル利得情報を算出する。なお、算出される複素チャネル利得情報は、フレーム多重化に係る処理およびフレーム分離処理等に利用される。
アンテナ制御部133は、少なくとも1つのアンテナを介して信号の送受信を行う。具体的には、アンテナ制御部133は、アンテナを介して送信処理部131によって生成される信号を送信し、アンテナを介して受信される信号を受信処理部132に提供する。また、アンテナ制御部133は、空間分割多重化に係る制御を行ってもよい。
なお、PIDなどを含むPHYヘッダの送受信処理は、無線通信部130(230)によって行われる。処理の詳細については後述する。また、以下では、データ処理部110(210)、制御部120(220)および無線通信部130(230)を単にデータ処理部110、制御部120および無線通信部130とも称する。
<1−3.装置の機能詳細>
次に、本実施形態に係る通信装置100−1(200−1)の機能詳細について説明する。以下では、送信側として動作する通信装置100−1(200−1)(以下、送信装置とも称する。)および受信側として動作する通信装置100−1(200−1)(以下、受信装置とも称する。)に分けて機能をそれぞれ説明する。
(A.送信装置の機能)
まず、送信装置の機能について説明する。
(A−1.ワイルドカードPIDの設定)
送信装置は、データ送信要求が発生すると、当該データの送信先を設定する。具体的には、送信装置は、送信先となる無線通信ネットワークに係る無線通信ネットワーク識別子を設定する。例えば、送信装置は、送信先となるBSSが物理層で識別されるPIDを設定する。当該PIDとしては、例えばBSSのCOLOR情報がある。
ここで、送信装置は、送信先となる第1のレベルの無線通信ネットワークが複数である場合は、複数の当該第1のレベルの無線通信ネットワーク識別子が特定される第2のレベルの無線通信ネットワーク識別子を用いる。具体的には、送信装置は、送信先となるPIDが複数である場合、複数のPIDが特定されるワイルドカードPIDを設定する。当該ワイルドカードPIDは、全てのPIDが特定されるPID(以下、不特定ワイルドカードPIDとも称する。)である。例えば、制御部120は、データ送信要求が発生すると、当該データの送信先が不特定のBSSである場合、全てのCOLOR情報が特定されるワイルドカード値(以下、不特定ワイルドカードCOLOR情報とも称する。)をCOLOR情報として設定する。なお、不特定ワイルドカードPIDと後述する特定ワイルドカードPIDとを区別しない場合には、単にワイルドカードPIDと称する。これはCOLOR情報についても同様である。
なお、ワイルドカードPIDは複数種類設けられてもよい。具体的には、ワイルドカードPIDは、全てのPIDのうちの一部のPIDが特定されるPID(以下、特定ワイルドカードPIDとも称する。)であってもよく、当該不特定ワイルドカードPIDは複数設けられてもよい。そして、送信装置は、送信されるフレームの用途に基づいて当該不特定ワイルドカードPIDを選択する。フレームの用途としては、例えばデータの伝送または通信処理もしくは通信処理以外の動作処理の指示などの制御指令の伝送などがある。また、当該不特定ワイルドカードPIDは、送信されるフレームの属性に基づいて選択される。例えば、フレームの属性としては、フレームの種類、内容、送信対象範囲、優先度またはセキュリティレベルなどがある。送信装置は、送信されるフレームの属性に対応する不特定ワイルドカードPIDをPHYヘッダに含まれるPIDとして設定する。なお、PIDがCOLOR情報である場合は、特定ワイルドカードPIDを特定ワイルドカードCOLOR情報とも称する。
また、当該不特定ワイルドカードPIDは、送信されるフレームの送信先の属性に基づいて選択されてもよい。例えば、フレームの送信先の属性としては、通信装置の属するBSS、通信装置の種類、位置またはセキュリティレベルなどがある。送信装置は、送信されるフレームの送信先となる通信装置の属性に対応する不特定ワイルドカードPIDをPHYヘッダに含まれるPIDとして設定する。
例えばフレームの送信先の属性が通信装置の属するBSSである場合、送信装置は、フレームの送信先となる通信装置の属するBSSが複数であるときは、当該複数のBSSが特定されるワイルドカードPIDをPHYヘッダのPIDとして設定する。より詳細には、異なるBSSにそれぞれ属する複数の通信装置がフレームの送信先であるときは、制御部120は、当該送信先の属するBSSのCOLOR情報の全てまたは一部が特定されるワイルドカードCOLOR情報を選択し、選択されるワイルドカードCOLOR情報をPHYヘッダに格納するCOLOR情報として用いる。
(A−2.リンク方向識別情報の設定)
送信装置は、送信されるフレームの受信対象をさらに絞り込むための情報を設定する。具体的には、制御部120は、送信されるフレームについてのリンク方向識別情報を設定する。より具体的には、リンク方向識別情報は、アップリンク識別情報およびダウンリンク識別情報である。例えば、リンク方向識別情報は、アップリンク標識およびダウンリンク標識の組である。
より詳細には、制御部120は、送信されるフレームがアップリンクフレームすなわちAP向けのフレームである場合、アップリンク標識を1に設定し、ダウンリンク標識を0に設定する。また、制御部120は、送信されるフレームがダウンリンクフレームすなわちSTA向けのフレームである場合、ダウンリンク標識を1に設定し、アップリンク標識を0に設定する。なお、各標識の値が設定される代わりに、各標識の有無が設定されてもよい。また、上記では、リンク方向識別情報はアップリンク標識およびダウンリンク標識の組である例を説明したが、リンク方向識別情報はアップリンク標識およびダウンリンク標識のうちの一方のみであってもよい。
(A−3.PHYヘッダの送信)
送信装置は、PIDを有するPHYヘッダを有するフレームを送信する。具体的には、制御部120は、データ送信要求に基づいて、フレームをデータ処理部110に生成させる。また、制御部120は、当該フレームのPHYヘッダを無線通信部130に生成させる。そして、無線通信部130は、生成されたフレームがデータ処理部110から提供されると、生成されたPHYヘッダを送信し、当該PHYヘッダに続けてフレームを送信する。なお、PHYヘッダは、PLCPヘッダを有し、PHY層で処理される。
当該PHYヘッダには、設定されたPIDおよびリンク方向識別情報が格納される。具体的には、当該PHYヘッダには、通常のPIDまたはワイルドカードPIDならびにアップリンク標識およびダウンリンク標識が格納される。さらに、図4を参照して、送信装置の送信するフレームの構成について説明する。図4は、本実施形態に係る送信装置の送信するフレームの構成例を示す図である。
図4に示したように、送信装置の送信するフレームは、STF(Short Training Field)、LTF(Long Training Field)、SIG(Signal)-A、D-STF、D-LTF1〜DLTFN、SIG-BおよびDataといったフィールドを含む。また、Dataフィールドは、MAC Header、Data PayloadおよびFCS(Frame Check Sequence)といったフィールドを含む。また、MAC Headerフィールドは、Frame Type、Duration、Address1〜Address3、Sequence Control、Address4、QoS ControlおよびHT Controlといったフィールドを含む。さらに、図5および図6を参照して、当該SIG-Aフィールドの詳細について説明する。図5および図6は、本実施形態に係る送信装置の送信するフレームのPHYヘッダにおけるシグナリング情報の構成例を示す図である。
図5は、フレームの種別が制御フレームである場合のSIG-Aフィールドの構成例を示す。図5に示したように、SIG-Aフィールドは、ダウンリンク標識が格納されるDL(Downlink) Indication、STBC(Space Time Block Coding)、アップリンク標識が格納されるUL(Uplink) Indication、BW(Bandwidth)、Nsts、PID、PARTIAL AID(Association ID)、SGI(Short GI)、Coding、MCS(Modulation and Coding Set)、Smoothing、Aggregation、Length、Response Indication、Doppler、NDP Indication、CRC(Cyclic Redundancy Check)およびTailといったフィールドを含む。なお、PIDフィールドとしてはBSSのCOLORフィールドがある。
図6は、フレームの種別がデータフレームである場合のSIG-Aフィールドの構成例を示す。図6に示したように、SIG-Aフィールドは、MU(Multi User)/SU(Single User)、STBC、アップリンク標識が格納されるUL Indication、BW、Nsts、PID、PARTIAL AID、SGI、Coding、MCS、Beam Channel/Smoothing、Aggregation、Length、Response Indication、ダウンリンク標識が格納されるDL Indication、Doppler、CRCおよびTailといったフィールドを含む。
なお、PHYヘッダの後続となるフレームはアグリゲーションフレームであってもよい。具体的には、送信装置は、ワイルドカードPIDから特定される通常のPIDに係るネットワークに属する装置宛てのデータを連結し、連結されたデータをPHYヘッダの後続として送信する。例えば、制御部120は、設定されたワイルドカードCOLOR情報から特定されるCOLOR情報(以下、通常のCOLOR情報とも称する。)に係るBSSに属する通信装置宛てのデータが複数ある場合、データ処理部110に当該複数のデータに係るデータペイロードを生成させ、生成されるデータペイロードを連結させる。そして、無線通信部130は、連結されたデータペイロード含むフレームをPHYヘッダの後に続けて送信する。なお、連結されるデータの単位は、MSDU(MAC Service Data Unit)であってもよく、MPDU(MAC Protocol Data Unit)であってもよく、また他のデータの単位であってもよい。
(B.受信装置の機能)
続いて、受信装置の機能について説明する。
(B−1.PHYヘッダの受信)
受信装置は、PIDを含むPHYヘッダを受信する。具体的には、無線通信部130は、PHYヘッダが受信されると、当該PHYヘッダに含まれるPIDおよびリンク方向識別情報を取得する。取得されたPIDおよびリンク方向識別情報は制御部120に提供される。
(B−2.後続処理の判定)
受信装置は、PHYヘッダに含まれるPIDに基づいて当該PHYヘッダの後続を受信する。具体的には、受信装置は、受信されたPHYヘッダに含まれるPIDが通常のPIDである場合、当該PIDに係るBSSに自装置が属するかに応じてPHYヘッダの後続を受信する。また、受信装置は、受信されたPHYヘッダに含まれるPIDがワイルドカードPIDである場合、当該ワイルドカードPIDから特定される通常のPIDに係るBSS(以下、対象BSSとも称する。)に自装置が属するかに応じてPHYヘッダの後続を受信する。例えば、無線通信部130から提供されるCOLOR情報が特定ワイルドカードCOLOR情報である場合、当該特定ワイルドカードCOLOR情報から自BSSのCOLOR情報が特定されるときには、自BSSが当該フレームの受信対象となる。また、提供されるCOLOR情報が不特定ワイルドカードCOLOR情報である場合は、全てのBSSが特定されるため、自BSSが当該フレームの受信対象となる。そのため、制御部120は、PHYヘッダを含むフレームのリンク方向が自装置向きであるときには、当該フレームにおけるPHYヘッダの後続部分を受信すると判定する。
さらに、受信装置は、PIDに加えてリンク方向識別情報に応じてPHYヘッダの後続を受信する。具体的には、受信装置は、対象BSSに自装置が属する場合、当該PHYヘッダのリンク方向識別情報に応じて当該PHYヘッダの後続を受信する。例えば、制御部120は、無線通信部130から提供されたリンク方向識別情報がアップリンクを示し(すなわちアップリンク標識が1であり、かつダウンリンク標識が0である)かつ自装置がAPである場合、自BSSが対象BSSであるときは、当該PHYヘッダに係るフレームにおける当該PHYヘッダの後続部分を受信すると判定する。また、制御部120は、リンク方向識別情報がダウンリンクを示し(すなわちダウンリンク標識が1であり、かつアップリンク標識が0である)かつ自装置がSTAである場合、自BSSが対象BSSであるときは、当該PHYヘッダの後続部分を受信すると判定する。
(B−3.後続処理の実行)
受信装置は、PHYヘッダの後続の受信有無に応じて後続処理を実行する。具体的には、受信装置は、当該PHYヘッダの後続を受信すると判定される場合、当該PHYヘッダの後続の受信処理を実行する。例えば、制御部120は、PHYヘッダに含まれる後続のMACヘッダに含まれる情報に基づいて当該PHYヘッダ後続、例えばMPDUを無線通信部130およびデータ処理部110に受信させる。
また、受信装置は、当該PHYヘッダの後続を受信しないと判定される場合、受信処理を中止する。例えば、制御部120は、無線通信部130に当該PHYヘッダの後続を復号させない。
さらに、受信装置は、当該PHYヘッダの後続の受信有無に応じてスリープの実行有無を制御する。具体的には、受信装置は、当該PHYヘッダの後続の受信有無に応じて、当該PHYヘッダの後続の送信期間中の通信処理の休止を制御する。例えば、制御部120は、当該PHYヘッダの後続を受信しないと判定されると、無線通信部130に当該PHYヘッダの後続の受信が終了するまでの間、通信機能を停止させる。なお、送信機能または受信機能のいずれか一方のみが停止させられてもよい。
また、受信装置は、スリープしない場合、PHYヘッダの受信信号強度に基づいて、当該PHYヘッダの後続の受信期間中の送信処理の停止有無を制御する。具体的には、受信装置は、当該PHYヘッダの後続の受信有無に応じて、PHYヘッダの受信信号強度に基づく当該PHYヘッダの後続の送信期間についての自装置の送信停止期間の設定制御を行う。例えば、制御部120は、PHYヘッダの後続を受信しないと判定され、フレームの受信信号強度(または受信電界強度)が閾値以上である場合で、自装置がスリープ対応装置でないまたは何らかの事情でスリープすることが困難なときは、スリープの代わりに当該PHYヘッダの後続の受信期間に対してNAV(Network Allocation Vector)のような送信停止期間を設定する。この場合、当該PHYヘッダの後続の受信期間における通信の干渉を抑制することができる。
また、制御部120は、PHYヘッダの後続を受信しないと判定され、フレームの受信信号強度が閾値未満である場合は、送信停止期間を設定しない。そのため、自装置においてデータ送信要求が発生すると、当該PHYヘッダの後続の送信期間中であってもフレームが送信される。この場合、無線通信リソースの利用効率を向上させることができる。
なお、受信装置は、PHYヘッダの受信信号強度に基づいてスリープの実行有無を制御してもよい。例えば、制御部120は、PHYヘッダの後続を受信しないと判定され、フレームの受信信号強度が閾値以上である場合、無線通信部130に通信処理を休止させる。
<1−4.装置の処理>
次に、本実施形態に係る通信装置100−1(200−1)の処理について説明する。
(送信装置の処理)
まず、図7を参照して、通信装置100−1(200−1)が送信装置として動作する場合の処理について説明する。図7は、本実施形態に係る送信装置の処理を概念的に示すフローチャートである。
送信装置は、データ送信要求が発生すると(ステップS301)、当該データ送信要求に係るデータを取得する(ステップS302)。具体的には、データ処理部110は、送信が所望されるデータが提供されると、提供されるデータを送信バッファ112に格納する。
次に、送信装置は、PIDの利用可否を判定する(ステップS303)。具体的には、制御部120は、PLCPヘッダにCOLOR情報を含めるか否かを判定する。
PIDが利用可能であると判定されると、送信装置は、複数のBSSに対する送信であるかを判定する(ステップS304)。具体的には、制御部120は、PLCPヘッダにCOLOR情報を含めると判定されると、フレームの送信先となるBSSが複数であるかを判定する。
複数のBSSに対する送信でないと判定されると、送信装置は、特定用途のフレームであるかを判定する(ステップS305)。具体的には、制御部120は、フレームの送信先が複数のBSSでないと判定されると、当該フレームの属性または当該フレームの送信先の属性に基づいて特定用途のフレームであるかを判定する。
特定用途のフレームであると判定されると、送信装置は、特定ワイルドカードPIDを設定する(ステップS306)。具体的には、制御部120は、特定用途のフレームであると判定されると、フレームの属性またはフレームの送信先の属性に基づいて特定ワイルドカードCOLOR情報を設定する。
ステップS305にて特定用途のフレームでないと判定されると、送信装置は、不特定ワイルドカードPIDを設定する(ステップS307)。具体的には、制御部120は、特定用途のフレームでないと判定されると、不特定ワイルドカードCOLOR情報を設定する。
ステップS304にて特定のBSSに対する送信であると判定されると、送信装置は、他BSSに対する送信であるかを判定する(ステップS308)。具体的には、制御部120は、フレームの送信先が他BSS全体または他BSSに属する通信装置であるかを判定する。
他BSSに対する送信であると判定されると、送信装置は、他BSSのPIDを設定する(ステップS309)。具体的には、制御部120は、フレームの送信先が他BSSであると判定されると、当該他BSSのCOLOR情報を設定する。
他BSSに対する送信でないと判定されると、送信装置は、自BSSに対する送信であるかを判定する(ステップS310)。具体的には、制御部120は、フレームの送信先が他のBSSでないと判定されると、当該フレームの送信先が自BSS全体または自BSSに属する通信装置であるかを判定する。
自BSSに対する送信であると判定されると、送信装置は、自BSSのPIDを設定する(ステップS311)。具体的には、制御部120は、フレームの送信先が自BSSであると判定されると、当該自BSSのCOLOR情報を設定する。
次に、送信装置は、APに対する送信であるかを判定する(ステップS312)。具体的には、制御部120は、送信先がAPとして動作する通信装置であるかを判定する。
APに対する送信であると判定されると、送信装置は、アップリンク識別情報を設定する(ステップS313)。具体的には、制御部120は、送信先がAPであると判定されると、アップリンク標識を1に設定する。なお、ダウンリンク標識が0に設定されてもよい。
ステップS312にてAPに対する送信でないと判定されると、送信装置は、STAに対する送信であるかを判定する(ステップS314)。具体的には、制御部120は、送信先がAPでないと判定されると、送信先がSTAとして動作する通信装置であるかを判定する。
STAに対する送信であると判定されると、送信装置は、ダウンリンク識別情報を設定する(ステップS315)。具体的には、制御部120は、送信先がSTAであると判定されると、ダウンリンク標識を1に設定する。なお、アップリンク標識が0に設定されてもよい。
次に、送信装置は、PLCPヘッダを構築する(ステップS316)。具体的には、制御部120は、設定されたCOLOR情報、アップリンク標識およびダウンリンク標識を含むPLCPヘッダを無線通信部130に構築させる。
また、ステップS303にてPIDが利用可能でないと判定されると、送信装置は、PIDを利用しないPLCPヘッダを構築する(ステップS317)。具体的には、制御部120は、COLOR情報を含まないフォーマットのPLCPヘッダを無線通信部130に構築させる。
次に、送信装置は、フレームを構築する(ステップS318)。具体的には、制御部120は、送信バッファ112に格納されるデータをデータペイロードとして含むフレームをデータ処理部110に構築させる。構築されるフレームは無線通信部130に提供される。
次に、送信装置は、無線伝送路の利用可否を判定する(ステップS319)。具体的には、無線通信部130は、キャリアセンス等を利用することにより、無線伝送路が空いているかを判定する。
無線伝送路が利用可能であると判定されると、送信装置は、フレームを送信する(ステップS320)。具体的には、無線通信部130は、無線伝送路が空いていると判定されると、構築されたPLCPヘッダと提供されたフレームとを続けて送信する。
(受信装置の処理)
続いて、図8を参照して、通信装置100−1(200−1)が受信装置として動作する場合の処理について説明する。図8は、本実施形態に係る受信装置の処理を概念的に示すフローチャートである。
受信装置は、PLCPヘッダが受信される(ステップS401)と、当該PLCPヘッダにおけるPIDの有無を判定する(ステップS402)。具体的には、無線通信部130は、PLCPヘッダが受信されると、当該PLCPヘッダにCOLOR情報が含まれるかを判定する。
PLCPヘッダにPIDが含まれると判定されると、受信装置は、当該PIDがワイルドカードPIDであるかを判定する(ステップS403)。具体的には、無線通信部130は、PLCPヘッダにCOLOR情報が含まれると判定されると、当該COLOR情報を制御部120に提供し、制御部120は、提供されたCOLOR情報がワイルドカードCOLOR情報であるかを判定する。
PIDがワイルドカードPIDであると判定されると、受信装置は、当該ワイルドカードPIDがPHYヘッダの後続の受信を示すかを判定する(ステップS404)。具体的には、制御部120は、COLOR情報がワイルドカードCOLOR情報であると判定されると、当該ワイルドカードCOLOR情報から自装置が当該PHYヘッダの後続を受信すべきであることを示す、第2のレベルのCOLOR情報としてのワイルドカードCOLOR情報であるかを判定する。
また、ステップS403にてPIDがワイルドカードPIDでないと判定されると、受信装置は、当該PIDが自BSSのPIDであるかを判定する(ステップS405)。具体的には、制御部120は、ワイルドカードCOLOR情報でないCOLOR情報が自BSSの、第1のレベルのCOLOR情報としての通常のCOLOR情報であるかを判定する。
ステップS404にてワイルドカードPIDがPHYヘッダの後続の受信を示すと判定される場合、またはステップS405にてPIDが自BSSのPIDであると判定される場合、受信装置は、リンク方向が自装置向きであるかを判定する(ステップS406)。具体的には、制御部120は、自装置がAPである場合、リンク方向識別情報がアップリンクを示すか、すなわちアップリンク標識が1かつダウンリンク標識が0であるかを判定する。また、制御部120は、自装置がSTAである場合は、リンク方向識別情報がダウンリンクを示すか、すなわちアップリンク標識が0かつダウンリンク標識が1であるかを判定する。
リンク方向が自装置向きであると判定される場合、受信装置は、MACヘッダを受信する(ステップS407)。具体的には、制御部120は、自装置がAPである場合にリンク方向識別情報がアップリンクを示すとき、または自装置がSTAである場合にリンク方向識別情報がダウンリンクを示すときは、PLCPヘッダの後続であるMACヘッダを無線通信部130およびデータ処理部110に受信させる。なお、ステップS402にてPLCPヘッダにPIDが含まれないと判定される場合も当ステップに処理が進められる。
次に、受信装置は、フレームに自装置向けのデータが含まれるかを判定する(ステップS408)。具体的には、制御部120は、受信されたMACヘッダに含まれるフレームの宛先情報、例えばアドレス情報に自装置が含まれるかを判定する。
自装置向けのデータが含まれると判定されると、受信装置は、当該データを受信する(ステップS409)。具体的には、制御部120は、MACヘッダの示す宛先に自装置が含まれると判定されると、MACヘッダの後続のデータを無線通信部130およびデータ処理部110に受信させる。
自装置向けのデータが含まれないと判定されると、受信装置は、NAVを設定する(ステップS410)。具体的には、制御部120は、MACヘッダの示す宛先に自装置が含まれないと判定されると、MACヘッダのDurationフィールドに格納される期間についてNAVを設定する。
また、ステップS405にてPIDが自BSSのPIDでないと判定される場合、またはステップS406にてリンク方向が自装置向きでないと判定される場合、受信装置は、フレームの受信を中止する(ステップS411)。具体的には、制御部120は、フレームの受信処理を無線通信部130に中止させる。
次に、受信装置は、受信信号強度が閾値以上であるかを判定する(ステップS412)。具体的には、無線通信部130は、PLCPヘッダの受信信号強度が閾値以上であるかを判定する。なお、判定対象はMACヘッダの受信信号強度であってもよい。
受信信号強度が閾値以上であると判定されると、受信装置は、NAVを設定する(ステップS413)。具体的には、制御部120は、受信信号強度が閾値以上であると判定されると、当該フレームの送信終了までの期間、またはMACヘッダのDurationフィールドに格納される期間についてNAVを設定する。このように、スリープの制御有無に関わらずNAVの設定有無が制御されてもよい。なお、受信信号強度が閾値未満の場合、NAVは設定されず、バックオフカウンタの減算などの送信のための処理が継続される。
次に、受信装置は、休眠可否を判定する(ステップS414)。具体的には、制御部120は、通信機能のスリープが可能かを判定する。なお、受信装置の機能がスリープさせられてもよい。
休眠が可能と判定される場合、受信装置は、NAV期間中、自装置を休眠させる(ステップS415)。具体的には、制御部120は、スリープが可能であると判定されると、設定されているNAV期間中、自装置の通信処理を無線通信部130およびデータ処理部110に休止させる。
なお、ステップS401にてPLCPヘッダは受信されていないと判定される場合、受信装置は、PLCPヘッダでない信号の検出有無を判定する(ステップS416)。具体的には、無線通信部130は、PLCPヘッダ以外の信号が検出されたかを判定する。なお、PLCPヘッダ以外の信号が検出されたと判定されると、処理がステップS412に進められ、検出されていないと判定されると、処理がステップS401に戻される。
<1−5.動作例>
以上、本実施形態に係る通信装置100−1(200−1)の機能および処理について説明した。次に、図9および図10を参照して、不特定ワイルドカードPIDを用いた通信の例について説明する。図9は、本実施形態に係る通信システムにおける不特定ワイルドカードPIDを用いた通信の例を説明するための模式図であり、図10は、本実施形態に係る通信システムにおける不特定ワイルドカードPIDを用いた通信の例を説明するためのフレームシーケンス図である。
例えば、図9に示したようなSTA200−1Bが送信装置として不特定ワイルドカードPIDを用いた通信を行う場合を考える。
まず、送信装置は、不特定ワイルドカードPIDをPIDとして含むPHYヘッダを有するフレームを送信する。例えば、図9に示したように、STA200−1Bは、AP100−1A、B、DおよびSTA200−1A、C〜Eに向けて不特定ワイルドカードPIDを示すWという値をPIDの値として含むPHYヘッダを送信する。
当該PHYヘッダを受信した受信装置は、当該PHYヘッダに含まれる不特定ワイルドカードPIDに基づいて自装置が受信対象であるかを判定する。例えば、STA200−1BからPHYヘッダを受信した各受信装置は、当該PHYヘッダに含まれるPIDが不特定ワイルドカードPIDあるため、自装置が受信対象であるとそれぞれ判定する。
次に、受信装置は、受信信号強度に応じてPHYヘッダの後続を受信する。例えば、STA200−1Dは、PHYヘッダの受信信号強度が閾値未満であったため、図10に示したようにPHYヘッダの後続を受信しない。その他の受信装置は、PHYヘッダの後続を受信し、自装置宛てのデータを取得する。例えば、図10に示したように、複数のデータ、プローブ要求、アクション情報、AP向けデータおよびSTA向けデータなどが連結されたフレームが受信され、AP100−1Aは、自装置宛てのプローブ要求およびAP向けデータを取得する。また、STA200−1Aは、受信されるフレームからSTA向けデータのみを取得する。
また、PHYヘッダの後続が受信される場合、受信装置は、当該フレームの受信期間を送信停止期間に設定する。例えば、図10に示したような菱形を端点とする直線で示されるPHYヘッダの受信完了後からPHYヘッダの後続の受信完了後までの期間は、NAV期間に設定される。なお、PHYヘッダの受信信号強度が閾値未満であることによりPHYヘッダの後続が受信されない場合、受信装置は、NAV期間を設定せず、仮に当該フレームの送信期間中にデータ送信要求が発生したときには、当該データ送信要求に係るフレームを送信してもよい。
続いて、図11および図12を参照して、特定ワイルドカードPIDを用いた、一部のBSSに対する通信の例について説明する。図11は、本実施形態に係る通信システムにおける特定ワイルドカードPIDを用いた通信の例を説明するための模式図であり、図12は、本実施形態に係る通信システムにおける特定ワイルドカードPIDを用いた通信の例を説明するためのフレームシーケンス図である。
例えば、図11に示したようなSTA200−1Bが送信装置として特定ワイルドカードPIDを用いた通信を行う場合を考える。
まず、送信装置は、特定ワイルドカードPIDをPIDとして含むPHYヘッダを送信する。例えば、図11に示したように、STA200−1Bは、AP100−1A、B、DおよびSTA200−1A、C〜Eに向けて特定ワイルドカードPIDを示すW1という値をPIDの値として含むPHYヘッダを有するフレームを送信する。なお、当該特定ワイルドカードPIDは、送信されるフレームの属性に基づいて選択される。
当該PHYヘッダを受信した受信装置は、当該PHYヘッダに含まれる特定ワイルドカードPIDに基づいて自装置が受信対象であるかを判定する。例えば、STA200−1BからPHYヘッダを受信した各受信装置は、当該PHYヘッダに含まれる特定ワイルドカードPIDから自装置がPHYヘッダの後続を受信すべきであることを示す、第2のレベルとしての特定ワイルドカードPIDであるかをそれぞれ判定する。
次に、受信装置は、受信信号強度に応じてPHYヘッダの後続を受信する。例えば、特定ワイルドカードPIDにより、PIDが2であるBSS2およびPIDが4であるBSS4に属する通信装置に対して当該PHYヘッダの後続を受信すべきことが示される場合、図12に示したように、PIDが2または4であるBSS2およびBSS4に属するAP100−1およびSTA200−1は、フレーム全体を受信する。また、それ以外の受信装置であってPHYヘッダの受信信号強度が閾値以上であった受信装置、例えば100−1Aなどは、PHYヘッダの後続の受信を中止し、NAVを設定する。受信信号強度が閾値未満であったSTA200−1Dは、PHYヘッダの後続の受信を停止するが、NAVは設定しない。なお、NAVを設定する受信装置は、NAV期間に相当する期間、通信機能をスリープさせてもよい。
<1−6.第1の実施形態のまとめ>
このように、本開示の第1の実施形態によれば、送信装置は、無線通信ネットワーク識別子(PID)を有するPHYヘッダを有するフレームを送信し、当該PIDは、複数の第1のレベルの無線通信ネットワーク識別子(通常のPID)が特定される第2のレベルの無線通信ネットワーク識別子(ワイルドカードPID)を含む。また、受信装置は、PIDを有するPHYヘッダを受信し、当該ワイルドカードPIDに基づいて当該PHYヘッダの後続を受信する。このため、1つのPIDを用いて複数のBSSを宛先とすることができる。従って、先行技術では宛先となるBSSの数が増加するとPHYヘッダのサイズも増大していたが、本実施形態では、PHYヘッダのサイズが宛先となるBSSの数に依存しないため、PHYヘッダのサイズの増大を抑制できる。よって、複数のBSSを宛先とする通信においても、PIDを含むPHYヘッダの利用による消費電力の低減効果を維持したまま、通信効率の低下を抑制することが可能となる。
また、上記ワイルドカードPIDは、全ての上記通常のPIDが特定される第2のレベルの無線通信ネットワーク識別子(不特定ワイルドカードPID)を含む。このため、PIDを含むPHYヘッダのフォーマットを維持しながら、フレームの宛先として特定のBSSまたは不特定のBSSを切り替えることができる。従来の通信装置は、不特定のBSSを宛先とする場合、PIDを含まないPHYヘッダのフォーマットを利用していた。そのため、少なくとも2種類のフォーマットに通信装置が対応することが要求された。これに対し、本構成によれば、1種類のフォーマットへの対応で足り、それにより処理および構成を簡素化することができる。従って、通信装置の処理負荷および製造コストを低減することが可能となる。また、従来では、通信装置がBSSに参入していないすなわちアソシエーションが未処理である場合、当該PHYヘッダの後続を受信することは困難であった。これに対し、本構成では、BSSに参入していない通信装置であっても、ワイルドカードPIDが指定される場合にはPHYヘッダの後続を受信するように動作させることができる。従って、BSSに参入できなかった通信装置を通信対象として救済することが可能となる。
また、上記ワイルドカードPIDは、一部の上記通常のPIDが特定される第2のレベルの無線通信ネットワーク識別子(特定ワイルドカードPID)を含む。このため、全てのBSSのうちの一部のBSSのみにおいてPHYヘッダの後続フレームが受信されることにより、受信対象を絞り込むことができる。従って、受信装置における電力の浪費を抑制することが可能となる。
また、上記特定ワイルドカードPIDは、送信されるフレームの用途に基づいて選択される。このため、フレームの送信先を当該フレームの用途に関係のあるBSSに絞り込むことができる。従って、受信装置における無駄な受信処理が省略されることにより、電力の浪費をさらに抑制することが可能となる。
また、上記特定ワイルドカードPIDは、上記送信されるフレームの属性に基づいて選択される。このため、フレームの用途に密接に関わるフレームの属性が利用されることにより、宛先となるBSSをより受信対象として適正なBSSに絞り込むことができる。また、フレームの属性という画一的な情報を利用することにより、ワイルドカードPIDの選択処理の複雑化を回避することができる。
また、上記特定ワイルドカードPIDは、上記送信されるフレームの送信先の属性に基づいて選択される。このため、フレームの用途を定める要素の1つであるフレームの送信先が利用されることにより、宛先となるBSSをより受信対象として適正なBSSに絞り込むことができる。また、送信先の属するBSSが特定されるワイルドカードPIDが選択される場合には、ワイルドカードPIDから特定されるPIDに不適切なBSSが含まれる可能性を低下させることができる。
また、上記PHYヘッダは、リンク方向識別情報を有する。このため、BSSだけでなくさらに通信装置が特定されることにより、受信対象をさらに詳細に絞り込むことができる。従って、受信装置の消費電力をより効果的に抑制することが可能となる。
また、上記リンク方向識別情報は、ダウンリンク識別情報を含む。このため、フレームに係る通信がアップリンク通信またはダウンリンク通信のいずれであるかを判定することができる。従って、自装置がAPまたはSTAのいずれかとして動作するかに応じてフレームの受信可否が判断されることにより、受信対象でないフレームの受信回避の確実性を向上させることが可能となる。なお、リンク方向識別情報は、上述したようにアップリンク識別情報であってもよい。
また、送信装置は、上記ワイルドカードPIDから特定される上記通常のPIDに係るネットワークに属する装置宛てのデータを連結し、連結されたデータを上記PHYヘッダの後続として送信する。このため、ワイルドカードPIDから特定されるPIDに係るBSSに属する受信装置宛てのデータをまとめて伝送することができる。従って、同じBSS宛ての通信回数が削減され、無線通信リソースの利用効率の向上および受信装置の消費電力の低減が可能となる。
また、上記PIDは、BSSを物理層で識別するための情報を含む。このため、受信装置は、既存のBSSのCOLOR情報などの情報に基づいて受信可否を判断することができる。従って、既存の通信フォーマットが利用されることにより、既存の送受信処理を流用することができ、装置のコストの増加を抑制することが可能となる。
また、受信装置は、上記ワイルドカードPIDから特定される上記通常のPIDに係る対象無線通信ネットワーク(対象BSS)に自装置が属するかに応じて上記PHYヘッダの後続を受信する。従来は、PIDとBSSとは一対一で対応しており、宛先となるBSSを追加するとPHYヘッダへ格納するPIDも追加されることになっていた。これに対し、本構成によれば、受信装置側でワイルドカードPIDに基づいて自BSSが受信対象であるか判定されることにより、宛先となるBSSよりも少ない数のPIDを指定することができる。従って、PHYヘッダのサイズの増大を抑制し、通信効率の低下を抑制することが可能となる。
また、受信装置は、上記PHYヘッダの後続の受信有無に応じて、当該PHYヘッダの後続の送信期間中の通信処理の休止を制御する。ここで、受信対象でないフレームの送信期間は自装置の送信も抑制されるため、通信処理を停止しても自装置にとって問題はない。そのため、デメリットなく通信装置の消費電力を低減することができる。
また、受信装置は、上記PHYヘッダの後続を受信有無に応じて、上記PHYヘッダの受信信号強度に基づく当該PHYヘッダの後続の送信期間についての自装置の送信停止期間の設定制御を行う。ここで、PHYヘッダが受信された場合であっても受信信号強度が弱いときには、PHYヘッダの後続の送信期間に自装置がフレームを送信しても当該PHYヘッダの後続に与える影響は小さいと考えられる。従って、受信信号強度が弱いときにはNAVを設定しないことにより、無線通信リソースの効率的に活用することが可能となる。
また、受信装置は、上記対象BSSに自装置が属する場合、上記PHYヘッダのリンク方向識別情報に応じて上記PHYヘッダの後続を受信する。このため、リンク方向が自装置向きのフレームのみが受信されることにより、自装置宛てでないフレームについての受信処理にかかる処理負荷および消費電力を低減することができる。
<2.第2の実施形態(ダイレクトリンク識別情報を用いた通信)>
以上、本開示の第1の実施形態について説明した。次に、本開示の第2の実施形態について説明する。
従来では、通信装置は、フレーム全体を受信した後でなければ自装置が受信対象であるかを判定することが困難であった。例えば、受信対象が特定される情報はMACヘッダに格納されるため、通信装置はまずMACヘッダを復号する。他方で、当該MACヘッダに誤りがなかったかを判定するためには、フレームの末尾のFCSといった情報を利用することになる。そのため、自装置が受信対象であるかどうかを判定するためには、結果として受信対象でなかったとしてもフレームの末尾まで復号することが一律に要求される。その結果、受信対象でない通信装置において無駄な受信処理が行われることにより、消費電力の低減が妨げられていた。
これに対し、受信対象を絞り込む技術がいくつか提案されている。しかし、より効率的に消費電力を低減させる技術が求められていた。そこで、本実施形態では、ダイレクトリンク通信が特定される2つの情報を有するPHYヘッダを用いた通信が行われる。以下、詳細について説明する。なお、第1の実施形態と実質的に同一である説明については省略する。
<2−1.装置の機能詳細>
始めに、本実施形態に係る通信装置100−2(200−2)の機能詳細について説明する。なお、第1の実施形態と同様に、送信装置および受信装置に分けて機能をそれぞれ説明する。
(A.送信装置の機能)
まず、送信装置の機能について説明する。なお、本実施形態では、リンク方向識別情報の設定機能およびPHYヘッダの送信機能において第1の実施形態の機能と差異があるため、これらの機能についてのみ説明する。
(A−2.リンク方向識別情報の設定)
送信装置は、送信されるフレームについてのダイレクトリンク識別情報をリンク方向識別情報として設定する。具体的には、ダイレクトリンク識別情報は、ダイレクトリンク通信が識別される2つの識別情報である。例えば、ダイレクトリンク識別情報は、アップリンク識別情報およびダウンリンク識別情報の組である。より詳細には、制御部120は、送信されるフレームがダイレクトリンクフレームすなわちSTAからSTAに向けたフレームである場合、アップリンク標識を0に設定し、ダウンリンク標識を0に設定する。
(A−3.PHYヘッダの送信)
送信装置は、ダイレクトリンク通信が識別されるダイレクトリンク識別情報を含むPHYヘッダを有するフレームを送信する。具体的には、当該PHYヘッダには、アップリンク標識およびダウンリンク標識の両方が格納される。なお、当該PHYヘッダには、通常のPIDまたはワイルドカードPIDが格納されてもよい。
また、送信装置は、ダイレクトリンク通信適応装置宛てのデータを連結し、連結されたデータをPHYヘッダの後続として送信する。例えば、制御部120は、ダイレクトリンク通信に適応する通信装置宛てのデータが複数ある場合、データ処理部110に当該複数のデータに係るデータペイロードを生成させ、生成されるデータペイロードを連結させる。そして、無線通信部130は、連結されたデータペイロード含むフレームをPHYヘッダの後に続けて送信する。なお、上記複数のデータは、通常のPIDまたはワイルドカードPIDから特定される通常のPIDに係るBSSに属する通信装置宛てのデータに絞り込まれてもよい。
(B.受信装置の機能)
続いて、受信装置の機能について説明する。なお、本実施形態では、後続処理の判定機能のみ第1の実施形態と異なるため、当該機能についてのみ説明する。
(B−2.後続処理の判定)
受信装置は、PHYヘッダに含まれるダイレクトリンク通信が識別される2つ情報に基づいて当該PHYヘッダの後続を受信する。具体的には、受信装置は、アップリンク識別情報とダウンリンク識別情報とによってダイレクトリンク通信が識別される場合、自装置がダイレクトリンク通信を受信すべきSTAであるかに基づいてPHYヘッダの後続を受信する。例えば、制御部120は、無線通信部130から提供されたダイレクトリンク識別情報がダイレクトリンクを示し(すなわちアップリンク標識が0であり、かつダウンリンク標識が0である)かつ自装置がダイレクトリンク通信を受信すべきSTAである場合、PHYヘッダの後続を受信すると判定する。
さらに、受信装置は、自装置のダイレクトリンク通信の適応有無に基づいてPHYヘッダの後続を受信する。例えば、制御部120は、ダイレクトリンク識別情報がダイレクトリンクを示しかつ自装置がダイレクトリンク通信を受信すべきSTAである場合、自装置についてのダイレクトリンク通信への適応有無を判定する。自装置がダイレクトリンク通信に適応していると判定される場合、制御部120は、PHYヘッダの後続を受信すると判定する。なお、自装置がダイレクトリンク通信に適応している場合であっても、ダイレクトリンク通信の有無の設定に応じてPHYヘッダの後続の受信有無が判定されてもよい。これにより、自装置が受信すべきフレームをさらに絞り込むことができ、電力の浪費をさらに抑制することが可能となる。
なお、PHYヘッダがPIDを有する場合、受信装置は、当該PIDに係る無線通信ネットワークに自装置が属するかに応じてPHYヘッダの後続を受信する。例えば、制御部120は、PHYヘッダが通常のPIDを有する場合、当該通常のPIDが自BSSに係るPIDであるかに応じてPHYヘッダの後続の受信有無を判定する。また、PHYヘッダが特定ワイルドカードPIDを有する場合、制御部120は、当該特定ワイルドカードPIDから特定されるPIDに自BSSに係るPIDが含まれるかに応じてPHYヘッダの後続の受信有無を判定する。なお、PHYヘッダが不特定ワイルドカードPIDを有する場合、制御部120は、PHYヘッダの後続を受信すると判定する。
また、受信装置は、PHYヘッダのフォーマットが認識できない場合、従来のPHYヘッダのフォーマットとして当該PHYヘッダを受信してもよい。具体的には、受信装置は、ダイレクトリンク識別情報である2つの情報のうちの少なくとも一方が認識されない場合、PHYヘッダの後続を受信する。例えば、無線通信部130は、アップリンク標識またはダウンリンク標識のいずれか一方または両方を認識できない場合は、当該認識できない情報を無視し、その他の情報を取得する。
<2−2.装置の処理>
次に、本実施形態に係る通信装置100−2(200−2)の処理について説明する。なお、第1の実施形態における処理と実質的に同一の処理については説明を省略する。
(送信装置の処理)
まず、図13を参照して、通信装置100−2(200−2)が送信装置として動作する場合の処理について説明する。図13は、本実施形態に係る送信装置の処理を概念的に示すフローチャートである。
送信装置は、データ送信要求が発生すると(ステップS501)、当該データ送信要求に係るデータを取得する(ステップS502)。
次に、送信装置は、リンク方向識別情報の利用可否を判定する(ステップS503)。具体的には、制御部120は、アップリンク標識およびダウンリンク標識の両方を含むPLCPヘッダが利用可能かを判定する。
リンク方向識別情報を利用すると判定されると、送信装置は、送信要求に係るデータの通信がダイレクトリンク通信であるかを判定する(ステップS504)。具体的には、制御部120は、データ通信がSTA間の通信であるかを判定する。例えば、ダイレクトリンク通信であるかどうかは、データの宛先または属性に基づいて判定される。
当該データの通信がダイレクトリンク通信であると判定されると、送信装置は、ダイレクトリンク識別情報を設定する(ステップS505)。具体的には、制御部120は、データ通信がSTA間の通信であると判定されると、アップリンク標識を0に設定し、ダウンリンク標識を0に設定する。
当該データの通信がダイレクトリンク通信でないと判定されると、送信装置は、当該データの通信がアップリンク通信であるかを判定する(ステップS506)。具体的には、制御部120は、データ通信がSTA間の通信でないと判定されると、当該データ通信がSTAからAPへの通信であるかを判定する。
当該データの通信がアップリンク通信であると判定されると、送信装置は、アップリンク識別情報を設定する(ステップS507)。具体的には、制御部120は、データ通信がSTAからAPへの通信であると判定されると、アップリンク標識を1に設定し、ダウンリンク標識を0に設定する。
当該データの通信がアップリンク通信でないと判定されると、送信装置は、ダウンリンク識別情報を設定する(ステップS508)。具体的には、制御部120は、データ通信がSTAからAPへの通信でないと判定されると、アップリンク標識を0に設定し、ダウンリンク標識を1に設定する。
次に、送信装置は、送信要求に係るデータの宛先が自BSS内の装置であるかを判定する(ステップS509)。具体的には、制御部120は、データの宛先となる装置が自装置の属するBSSと同じBSSに属するかを判定する。
当該宛先が自BSS内の装置であると判定されると、送信装置は、自BSSのPIDを設定する(ステップS510)。具体的には、制御部120は、データの宛先となる装置が自BSSに属する場合、自BSSに係るCOLOR情報をPHYヘッダに含めるCOLOR情報として設定する。
当該宛先が自BSS内の装置でないと判定されると、送信装置は、他のBSSのPIDを設定する(ステップS511)。具体的には、制御部120は、データの宛先となる装置が自BSSに属しない場合、当該データの宛先となる装置の属するBSSに係るCOLOR情報をPHYヘッダに含めるCOLOR情報として設定する。
次に、送信装置は、PLCPヘッダを構築する(ステップS512)。また、ステップS503にてリンク方向識別情報を利用しないと判定された場合、送信装置は、リンク方向識別情報を利用しないPLCPヘッダを構築する(ステップS513)。
次に、送信装置は、フレームを構築し(ステップS514)、無線伝送路の利用可否を判定する(ステップS515)。無線伝送路が利用可能であると判定されると、送信装置は、フレームを送信する(ステップS516)。
(受信装置の処理)
続いて、図14を参照して、通信装置100−2(200−2)が受信装置として動作する場合の処理について説明する。図14は、本実施形態に係る受信装置の処理を概念的に示すフローチャートである。
受信装置は、PLCPヘッダが受信される(ステップS601)と、当該PLCPヘッダにPIDが含まれるかを判定する(ステップS602)。具体的には、無線通信部130は、PLCPが受信されると、当該PLCPヘッダにCOLOR情報が含まれるかを判定する。
PIDがPLCPヘッダに含まれると判定されると、受信装置は、PIDを取得する(ステップS603)。具体的には、無線通信部130は、PLCPヘッダにCOLOR情報が含まれている場合、当該COLOR情報を制御部120に提供する。
次に、受信装置は、取得PIDが自BSSのPIDであるかを判定する(ステップS604)。具体的には、制御部120は、無線通信部130から提供されたCOLOR情報が自BSSに係る第1のレベルとしての通常のCOLOR情報と一致するかを判定する。なお、COLOR情報が第2のレベルのCOLOR情報としてのワイルドカードCOLOR情報である場合、制御部120は、当該ワイルドカードCOLOR情報が当該PHYヘッダの後続を受信すべきことを示す、第2のレベルとしてのワイルドカードCOLOR情報であるかを判定してもよい。
取得PIDが自BSSのPIDであると判定されると、受信装置は、リンク方向識別情報を取得する(ステップS605)。具体的には、制御部120は、PLCPヘッダから取得されるアップリンク標識およびダウンリンク標識を無線通信部130から取得する。
次に、受信装置は、リンク方向識別情報に基づいてPLCPヘッダに係る通信がダイレクトリンク通信であるかを判定する(ステップS606)。具体的には、制御部120は、アップリンク標識が0でかつダウンリンク標識が0であるかを判定する。
当該通信がダイレクトリンク通信であると判定されると、受信装置は、ダイレクトリンク通信への適応有無を判定する(ステップS607)。具体的には、制御部120は、アップリンク標識が0でかつダウンリンク標識が0であると判定されると、自装置がダイレクトリンク通信に適応しているかを判定する。なお、制御部120は、自装置がダイレクトリンク通信に適応し、かつダイレクトリンク通信を許可する設定となっているかを判定してもよい。
また、ステップS606にて通信がダイレクトリンク通信でないと判定された場合、受信装置は、自装置がAPであるときは、通信がアップリンク通信であるかを判定する(ステップS608)。具体的には、制御部120は、自装置がAPであるときは、アップリンク標識が1でかつダウンリンク標識が0であるかを判定する。
自装置がAPでかつ通信がアップリンク通信でないと判定されると、受信装置は、自装置がSTAであるときは、通信がダウンリンク通信であるかを判定する(ステップS609)。具体的には、制御部120は、自装置がSTAであるときは、アップリンク標識が0でかつダウンリンク標識が1であるかを判定する。
ステップS607にて自装置がダイレクトリンク通信に適応していると判定された場合、ステップS608にて自装置がAPでかつ通信がアップリンク通信であると判定された場合、またはステップS609にて自装置がSTAでかつ通信がダウンリンク通信であると判定された場合には、受信装置は、MACヘッダを受信する(ステップS610)。なお、ステップS602にてPIDが含まれないと判定される場合も、ステップS610に処理が進められる。
次に、受信装置は、フレームに自装置向けのデータが含まれるかを判定する(ステップS611)。自装置向けのデータが含まれると判定されると、受信装置は、当該データを受信し(ステップS612)、自装置向けのデータが含まれないと判定されると、NAVを設定する(ステップS613)。
ステップS604にて取得PIDが自BSSのPIDでないと判定された場合、ステップS607にてダイレクトリンク通信に適応していないと判定された場合、またはステップS609にて自装置がSTAでかつ通信がダウンリンク通信であると判定されなかった場合は、受信装置は、フレームの受信を中止する(ステップS614)。
次に、受信装置は、受信信号強度が閾値以上であるかを判定し(ステップS615)、受信信号強度が閾値以上であると判定されると、NAVを設定する(ステップS616)。
次に、受信装置は、休眠可否を判定し(ステップS617)、休眠が可能と判定される場合、NAV期間中、自装置を休眠させる(ステップS618)。
<2−3.動作例>
以上、本実施形態に係る通信装置100−2(200−2)の機能および処理について説明した。次に、図15および図16を参照して、ダイレクトリンク識別情報を用いた通信の例について説明する。図15は、本実施形態に係る通信システムにおけるダイレクトリンク識別情報を用いた通信の例を説明するための模式図であり、図16は、本実施形態に係る通信システムにおけるダイレクトリンク識別情報を用いた通信の例を説明するためのフレームシーケンス図である。
例えば、図15に示したようなSTA200−2Bが送信装置としてダイレクトリンク識別情報を用いた通信を行う場合を考える。
まず、送信装置は、リンク方向識別情報としてダイレクトリンク識別情報を含むPHYヘッダを送信する。例えば、図15に示したように、STA200−2Bは、AP100−2A、B、DおよびSTA200−2A、C〜Eに向けてアップリンク標識が0でかつダウンリンク標識が0であるPHYヘッダを有するフレームを送信する。
当該PHYヘッダを受信した受信装置は、当該PHYヘッダに含まれるPIDとダイレクトリンク識別情報とに基づいて自装置が受信対象であるかを判定する。例えば、STA200−2BからPHYヘッダを受信した各受信装置は、当該PHYヘッダに含まれるPIDが自BSSに係るPIDであるかを判定する。また、当該各受信装置は、当該PHYヘッダに含まれるアップリンク標識およびダウンリンク標識の両方が0あるため、自装置がSTAでかつダイレクトリンク通信に適応しているかを判定する。
次に、受信装置は、受信対象の判定結果に基づいてPHYヘッダの後続を受信する。例えば、PHYヘッダに含まれるPIDが2であり、アップリンク標識およびダウンリンク標識の両方が0であるため、PIDが2であるBSS2に属し、かつダイレクトリンク通信に適応するSTA200−2Cのみが受信対象となる。従って、図12に示したように、STA200−2Cは、PHYヘッダの後続を受信し、ダイレクトリンク通信適応装置向けのデータを取得する。また、他の通信装置は、当該PHYヘッダの後続の送信期間にNAVを設定する。なお、NAVを設定する受信装置は、NAV期間に相当する期間、通信機能をスリープさせてもよい。また、PHYヘッダの受信信号強度が閾値未満であったSTA200−2Dは、PHYヘッダの後続の受信を停止するが、NAVは設定しない。
<2−4.第2の実施形態のまとめ>
このように、本開示の第2の実施形態によれば、送信装置は、ダイレクトリンク通信が識別される2つの情報を有するPHYヘッダを送信する。また、受信装置は、ダイレクトリンク通信が識別される2つの情報を有するPHYヘッダを受信し、当該2つの情報に基づいてPHYヘッダの後続を受信する。このため、従来と比べて、通信がダイレクトリンク通信であるかどうかの識別のための情報のサイズを低減することができる。従って、PHYヘッダより後のデータ部分の受信にかかる消費電力の増加を抑制することが可能となる。
また、上記2つの情報は、アップリンク識別情報およびダウンリンク識別情報を含む。また、受信装置は、当該アップリンク識別情報と当該ダウンリンク識別情報とによってダイレクトリンク通信が識別される場合、自装置がステーションであるかに基づいて上記PHYヘッダの後続を受信する。このため、PHYヘッダに含まれ得る情報を利用することにより、新たな情報をPHYヘッダに追加することなく、ダイレクトリンク通信であるかを識別することができる。
また、送信装置は、上記ダイレクトリンク通信適応装置宛てのデータを連結し、連結されたデータをPHYヘッダの後続として送信する。このため、ダイレクトリンク通信が可能なSTA宛てのデータをまとめて伝送することができる。従って、ダイレクトリンク通信が可能なSTA宛ての同じデータに係る通信の回数が低減され、無線通信リソースの利用効率の向上および受信対象のSTAのみならずそれ以外の受信装置の消費電力の低減が可能となる。
また、上記PHYヘッダは、無線通信ネットワーク識別子を有する。また、受信装置は、当該無線通信ネットワーク識別子に係る無線通信ネットワークに自装置が属するかに応じて上記PHYヘッダの後続を受信する。このため、ダイレクトリンク通信に適応するSTAのうちの特定のBSSに属するSTAのみを受信対象とすることができる。従って、当該特定のBSSに属するSTA以外の電力消費を抑制することが可能となる。
また、受信装置は、自装置のダイレクトリンク通信の適応有無に基づいて上記PHYヘッダの後続を受信する。このため、ダイレクトリンク通信に適応していないSTAを受信対象から外すことができる。従って、受信対象が適切に絞り込まれることにより、電力の浪費をさらに抑制することが可能となる。
受信装置は、ダイレクトリンク識別情報である2つの情報のうちの少なくとも一方が認識されない場合、PHYヘッダの後続を受信する。このため、PIDを含むPHYヘッダのフォーマットに適応していない受信装置であっても、フレームを受信させることができる。従って、通信装置100−2(200−2)と従来の通信装置とが混在するネットワークに対しても本実施形態の構成を適用することが可能となる。
なお、上記ではダイレクトリンク識別情報がアップリンク識別情報およびダウンリンク識別情報によって実現される例を説明したが、ダイレクトリンク識別情報は他の2つの情報を利用してもよい。
<3.第3の実施形態(メッシュネットワークリンク識別情報を用いた通信)>
以上、本開示の第2の実施形態について説明した。次に、本開示の第3の実施形態について説明する。本実施形態においては、第2の実施形態におけるダイレクトリンク識別情報の代わりにまたはそれに加えてメッシュネットワークリンク識別情報を用いた通信が行われる。
<3−1.装置の機能詳細>
始めに、本実施形態に係る通信装置100−3(200−3)の機能詳細について説明する。なお、第2の実施形態と同様に、送信装置および受信装置に分けて機能をそれぞれ説明する。
(A.送信装置の機能)
まず、送信装置の機能について説明する。なお、第2の実施形態の機能との差異についてのみ説明する。
(A−2.リンク方向識別情報の設定)
送信装置は、送信されるフレームについてのメッシュネットワークリンク識別情報をリンク方向識別情報として設定する。具体的には、メッシュネットワークリンク識別情報は、メッシュネットワーク通信が識別される2つの識別情報である。例えば、メッシュネットワークリンク識別情報は、アップリンク識別情報およびダウンリンク識別情報の組である。より詳細には、制御部120は、送信されるフレームがメッシュネットワーク通信に係るフレームである場合、アップリンク標識を1に設定し、ダウンリンク標識を1に設定する。なお、メッシュネットワーク通信は、APおよびSTAを問わず全ての通信装置間の通信である。
(A−3.PHYヘッダの送信)
送信装置は、メッシュネットワーク通信が識別されるメッシュネットワークリンク識別情報を含むPHYヘッダを送信する。具体的には、当該PHYヘッダには、アップリンク標識およびダウンリンク標識の両方が格納される。
また、送信装置は、メッシュネットワーク通信適応装置宛てのデータを連結し、連結されたデータをPHYヘッダの後続として送信する。例えば、制御部120は、メッシュネットワーク通信に適応する通信装置宛てのデータが複数ある場合、データ処理部110に当該複数のデータに係るデータペイロードを生成させ、生成されるデータペイロードを連結させる。そして、無線通信部130は、連結されたデータペイロード含むフレームをPHYヘッダの後に続けて送信する。
(B.受信装置の機能)
続いて、受信装置の機能について説明する。なお、第2の実施形態の機能との差異についてのみ説明する。
(B−2.後続処理の判定)
受信装置は、PHYヘッダに含まれるメッシュネットワーク通信が識別される2つ情報に基づいて当該PHYヘッダの後続を受信する。具体的には、受信装置は、アップリンク識別情報とダウンリンク識別情報とによってメッシュネットワーク通信が識別される場合、自装置のメッシュネットワーク通信に対する適応有無に基づいてPHYヘッダの後続を受信する。例えば、制御部120は、無線通信部130から提供されたメッシュネットワークリンク識別情報がメッシュネットワーク通信を示す(すなわちアップリンク標識が1であり、かつダウンリンク標識が1である)場合、PHYヘッダの後続を受信すると判定する。
さらに、受信装置は、自装置のメッシュネットワーク通信の適応有無に基づいてPHYヘッダの後続を受信する。例えば、制御部120は、リンク方向識別情報がメッシュネットワーク通信を示す場合、自装置についてのメッシュネットワーク通信への適応有無を判定する。自装置がメッシュネットワーク通信に適応していると判定される場合、制御部120は、PHYヘッダの後続を受信すると判定する。なお、自装置がメッシュネットワーク通信に適応している場合であっても、メッシュネットワーク通信の有無の設定に応じてPHYヘッダの後続の受信有無が判定されてもよい。これにより、自装置が受信すべきフレームをさらに絞り込むことができ、電力の浪費をさらに抑制することが可能となる。
<3−2.装置の処理>
次に、本実施形態に係る通信装置100−3(200−3)の処理について説明する。なお、第1または第2の実施形態における処理と実質的に同一の処理については説明を省略する。
(送信装置の処理)
まず、図17を参照して、通信装置100−3(200−3)が送信装置として動作する場合の処理について説明する。図17は、本実施形態に係る送信装置の処理を概念的に示すフローチャートである。
送信装置は、データ送信要求が発生すると(ステップS701)、当該データ送信要求に係るデータを取得し(ステップS702)、リンク方向識別情報の利用可否を判定する(ステップS703)。
リンク方向識別情報を利用すると判定されると、送信装置は、送信要求に係るデータの通信がメッシュネットワーク通信であるかを判定する(ステップS704)。具体的には、制御部120は、データ通信がメッシュネットワーク通信であるかをデータの宛先または属性などに基づいて判定する。
当該データの通信がメッシュネットワーク通信であると判定されると、送信装置は、メッシュネットワークリンク識別情報を設定する(ステップS705)。具体的には、制御部120は、データ通信がメッシュネットワーク通信であると判定されると、アップリンク標識を1に設定し、ダウンリンク標識を1に設定する。
当該データの通信がメッシュネットワーク通信でないと判定されると、送信装置は、当該データの通信がアップリンク通信であるかを判定し(ステップS706)、当該データの通信がアップリンク通信であると判定されると、アップリンク識別情報を設定する(ステップS707)。
当該データの通信がアップリンク通信でないと判定されると、送信装置は、ダウンリンク識別情報を設定する(ステップS708)。なお、送信装置はさらに、第2の実施形態のようにデータ通信がダイレクトリンク通信であるかを判定し、ダイレクトリンク識別情報を設定してもよい。
次に、送信装置は、送信要求に係るデータの宛先が自BSS内の装置であるかを判定し(ステップS709)、当該宛先が自BSS内の装置であると判定されると、自BSSのPIDを設定する(ステップS710)。当該宛先が自BSS内の装置でないと判定されると、送信装置は、他のBSSのPIDを設定する(ステップS711)。
次に、送信装置は、PLCPヘッダを構築する(ステップS712)。また、ステップS703にてリンク方向識別情報を利用しないと判定された場合、送信装置は、リンク方向識別情報を利用しないPLCPヘッダを構築する(ステップS713)。
次に、送信装置は、フレームを構築し(ステップS714)、無線伝送路の利用可否を判定する(ステップS715)。無線伝送路が利用可能であると判定されると、送信装置は、フレームを送信する(ステップS716)。
(受信装置の処理)
続いて、図18を参照して、通信装置100−3(200−3)が受信装置として動作する場合の処理について説明する。図18は、本実施形態に係る受信装置の処理を概念的に示すフローチャートである。
受信装置は、PLCPヘッダが受信される(ステップS801)と、当該PLCPヘッダにPIDが含まれるかを判定し(ステップS802)、PIDがPLCPヘッダに含まれると判定されると、PIDを取得する(ステップS803)。
次に、受信装置は、取得PIDが自BSSのPIDであるかを判定し(ステップS804)、取得PIDが自BSSのPIDであると判定されると、リンク方向識別情報を取得する(ステップS805)。
次に、受信装置は、リンク方向識別情報に基づいてPLCPヘッダに係る通信がメッシュネットワーク通信であるかを判定する(ステップS806)。具体的には、制御部120は、アップリンク標識が1でかつダウンリンク標識が1であるかを判定する。
当該通信がメッシュネットワーク通信であると判定されると、受信装置は、メッシュネットワーク通信への適応有無を判定する(ステップS807)。具体的には、制御部120は、アップリンク標識が1でかつダウンリンク標識が1であると判定されると、自装置がメッシュネットワーク通信に適応しているかを判定する。なお、制御部120は、自装置がメッシュネットワーク通信に適応し、かつメッシュネットワーク通信を許可する設定となっているかを判定してもよい。
また、ステップS806にて通信がメッシュネットワーク通信でないと判定された場合、受信装置は、自装置がAPであるときは、通信がアップリンク通信であるかを判定する(ステップS808)。
自装置がAPでかつ通信がアップリンク通信でないと判定されると、受信装置は、自装置がSTAであるときは、通信がダウンリンク通信であるかを判定する(ステップS809)。
ステップS807にて自装置がメッシュネットワーク通信に適応していると判定された場合、ステップS808にて自装置がAPでかつ通信がアップリンク通信であると判定された場合、またはステップS809にて自装置がSTAでかつ通信がダウンリンク通信であると判定された場合には、受信装置は、MACヘッダを受信する(ステップS810)。なお、ステップS802にてPIDが含まれないと判定される場合も、ステップS810に処理が進められる。
次に、受信装置は、フレームに自装置向けのデータが含まれるかを判定する(ステップS811)。自装置向けのデータが含まれると判定されると、受信装置は、当該データを受信し(ステップS812)、自装置向けのデータが含まれないと判定されると、NAVを設定する(ステップS813)。
ステップS804にて取得PIDが自BSSのPIDでないと判定された場合、ステップS807にてメッシュネットワーク通信に適応していないと判定された場合、またはステップS809にて自装置がSTAでかつ通信がダウンリンク通信であると判定されなかった場合は、受信装置は、フレームの受信を中止する(ステップS814)。
次に、受信装置は、受信信号強度が閾値以上であるかを判定し(ステップS815)、受信信号強度が閾値以上であると判定されると、NAVを設定する(ステップS816)。
次に、受信装置は、休眠可否を判定し(ステップS817)、休眠が可能と判定される場合、NAV期間中、自装置を休眠させる(ステップS818)。
<3−3.動作例>
以上、本実施形態に係る通信装置100−3(200−3)の機能および処理について説明した。次に、図19および図20を参照して、メッシュネットワークリンク識別情報を用いた通信の例について説明する。図19は、本実施形態に係る通信システムにおけるメッシュネットワークリンク識別情報を用いた通信の例を説明するための模式図であり、図20は、本実施形態に係る通信システムにおけるメッシュネットワークリンク識別情報を用いた通信の例を説明するためのフレームシーケンス図である。
例えば、図19に示したようなSTA200−3Bが送信装置としてメッシュネットワークリンク識別情報を用いた通信を行う場合を考える。
まず、送信装置は、リンク方向識別情報としてメッシュネットワークリンク識別情報を含むPHYヘッダを送信する。例えば、図19に示したように、STA200−3Bは、AP100−3A、B、DおよびSTA200−3A、C〜Eに向けてアップリンク標識が1でかつダウンリンク標識が1であるPHYヘッダを送信する。
当該PHYヘッダを受信した受信装置は、当該PHYヘッダに含まれるPIDとメッシュネットワークリンク識別情報とに基づいて自装置が受信対象であるかを判定する。例えば、STA200−3BからPHYヘッダを受信した各受信装置は、当該PHYヘッダに含まれるPIDが自BSSに係るPIDであるかを判定する。また、当該各受信装置は、当該PHYヘッダに含まれるアップリンク標識およびダウンリンク標識の両方が1であるため、自装置がメッシュネットワーク通信に適応しているかを判定する。
次に、受信装置は、受信対象の判定結果に基づいてPHYヘッダの後続を受信する。例えば、PHYヘッダに含まれるPIDが4であり、アップリンク標識およびダウンリンク標識の両方が1であるため、PIDが4であるBSS4に属し、かつメッシュネットワーク通信に適応する通信装置のみが受信対象となる。従って、図20に示したように、AP100−3DおよびSTA200−3Cは、PHYヘッダの後続を受信し、メッシュネットワーク通信適応装置向けのデータを取得する。また、他の通信装置は、当該PHYヘッダの後続の送信期間にNAVを設定する。なお、NAVを設定する受信装置は、NAV期間に相当する期間、通信機能をスリープさせてもよい。また、PHYヘッダの受信信号強度が閾値未満であったSTA200−3Dは、PHYヘッダの後続の受信を停止するが、NAVは設定しない。
<3−4.第3の実施形態のまとめ>
このように、本開示の第3の実施形態によれば、送信装置は、メッシュネットワーク通信が識別される2つの情報を有するPHYヘッダを送信する。また、受信装置は、メッシュネットワーク通信が識別される2つの情報を有するPHYヘッダを受信し、当該2つの情報に基づいてPHYヘッダの後続を受信する。このため、通信がメッシュネットワーク通信であるかどうかの識別のための情報のサイズの増加を抑制することができる。従って、PHYヘッダより後のデータ部分の受信にかかる消費電力の増加を抑制することが可能となる。
また、上記2つの情報は、アップリンク識別情報およびダウンリンク識別情報を含む。このため、また、受信装置は、当該アップリンク識別情報と当該ダウンリンク識別情報とによってメッシュネットワーク通信が識別される場合、自装置のメッシュネットワーク通信に対する適応有無に基づいて上記PHYヘッダの後続を受信する。このため、PHYヘッダに含まれ得る情報を利用することにより、新たな情報をPHYヘッダに追加することなく、メッシュネットワーク通信であるかを識別することができる。
また、送信装置は、メッシュネットワーク通信適応装置宛てのデータを連結し、連結されたデータを上記PHYヘッダの後続として送信する。このため、メッシュネットワーク通信が可能な通信装置宛てのデータをまとめて伝送することができる。従って、メッシュネットワーク通信が可能なSTA宛ての同じデータに係る通信の回数が低減され、無線通信リソースの利用効率の向上および受信対象の受信装置のみならずそれ以外の受信装置の消費電力の低減が可能となる。
また、上記PHYヘッダは、無線通信ネットワーク識別子を有する。また、受信装置は、当該無線通信ネットワーク識別子に係る無線通信ネットワークに自装置が属するかに応じて上記PHYヘッダの後続を受信する。このため、メッシュネットワーク通信に適応する通信装置のうちの特定のBSSに属する通信装置のみを受信対象とすることができる。従って、当該特定のBSSに属する通信装置以外の電力消費を抑制することが可能となる。
<4.応用例>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用可能である。例えば、通信装置200は、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPC、携帯型ゲーム端末若しくはデジタルカメラなどのモバイル端末、テレビジョン受像機、プリンタ、デジタルスキャナ若しくはネットワークストレージなどの固定端末、又はカーナビゲーション装置などの車載端末として実現されてもよい。また、通信装置200は、スマートメータ、自動販売機、遠隔監視装置又はPOS(Point Of Sale)端末などの、M2M(Machine To Machine)通信を行う端末(MTC(Machine Type Communication)端末ともいう)として実現されてもよい。さらに、通信装置200は、これら端末に搭載される無線通信モジュール(例えば、1つのダイで構成される集積回路モジュール)であってもよい。
一方、例えば、通信装置100は、ルータ機能を有し又はルータ機能を有しない無線LANアクセスポイント(無線基地局ともいう)として実現されてもよい。また、通信装置100は、モバイル無線LANルータとして実現されてもよい。さらに、通信装置100は、これら装置に搭載される無線通信モジュール(例えば、1つのダイで構成される集積回路モジュール)であってもよい。
<4−1.第1の応用例>
図21は、本開示に係る技術が適用され得るスマートフォン900の概略的な構成の一例を示すブロック図である。スマートフォン900は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース913、アンテナスイッチ914、アンテナ915、バス917、バッテリー918及び補助コントローラ919を備える。
プロセッサ901は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はSoC(System on Chip)であってよく、スマートフォン900のアプリケーションレイヤ及びその他のレイヤの機能を制御する。メモリ902は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含み、プロセッサ901により実行されるプログラム及びデータを記憶する。ストレージ903は、半導体メモリ又はハードディスクなどの記憶媒体を含み得る。外部接続インタフェース904は、メモリーカード又はUSB(Universal Serial Bus)デバイスなどの外付けデバイスをスマートフォン900へ接続するためのインタフェースである。
カメラ906は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を有し、撮像画像を生成する。センサ907は、例えば、測位センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び加速度センサなどのセンサ群を含み得る。マイクロフォン908は、スマートフォン900へ入力される音声を音声信号へ変換する。入力デバイス909は、例えば、表示デバイス910の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、キーパッド、キーボード、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス910は、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどの画面を有し、スマートフォン900の出力画像を表示する。スピーカ911は、スマートフォン900から出力される音声信号を音声に変換する。
無線通信インタフェース913は、IEEE802.11a、11b、11g、11n、11ac及び11adなどの無線LAN標準のうちの1つ以上をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース913は、インフラストラクチャーモードにおいては、他の装置と無線LANアクセスポイントを介して通信し得る。また、無線通信インタフェース913は、アドホックモード又はWi−Fi Direct(登録商標)等のダイレクトリンク通信モードにおいては、他の装置と直接的に通信し得る。なお、Wi−Fi Directでは、アドホックモードとは異なり2つの端末の一方がアクセスポイントとして動作するが、通信はそれら端末間で直接的に行われる。無線通信インタフェース913は、典型的には、ベースバンドプロセッサ、RF(Radio Frequency)回路及びパワーアンプなどを含み得る。無線通信インタフェース913は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサ及び関連する回路を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース913は、無線LAN方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又はセルラ通信方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよい。アンテナスイッチ914は、無線通信インタフェース913に含まれる複数の回路(例えば、異なる無線通信方式のための回路)の間でアンテナ915の接続先を切り替える。アンテナ915は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、無線通信インタフェース913による無線信号の送信及び受信のために使用される。
なお、図21の例に限定されず、スマートフォン900は、複数のアンテナ(例えば、無線LAN用のアンテナ及び近接無線通信方式用のアンテナ、など)を備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ914は、スマートフォン900の構成から省略されてもよい。
バス917は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース913及び補助コントローラ919を互いに接続する。バッテリー918は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、図21に示したスマートフォン900の各ブロックへ電力を供給する。補助コントローラ919は、例えば、スリープモードにおいて、スマートフォン900の必要最低限の機能を動作させる。
図21に示したスマートフォン900において、図3を用いて説明したデータ処理部110、制御部120および無線通信部130は、無線通信インタフェース913において実装されてもよい。また、これら機能の少なくとも一部は、プロセッサ901又は補助コントローラ919において実装されてもよい。例えば、スマートフォン900は、ワイルドカードPIDを含むPHYヘッダを送信し、またはワイルドカードPIDに基づいてPHYヘッダの後続を受信する。この場合、スマートフォン900または通信相手の消費電力を低減しながら通信効率の低下を抑制することができる。また、スマートフォン900は、ダイレクトリンク識別情報もしくはメッシュネットワークリンク識別情報を含むPHYヘッダを送信し、またはこれらの識別情報に基づいてPHYヘッダの後続を受信する。この場合、ダイレクトリンク通信またはメッシュネットワーク通信を識別可能なPHYヘッダの受信にかかる、スマートフォン900または通信相手の消費電力の増加を抑制することができる。
なお、スマートフォン900は、プロセッサ901がアプリケーションレベルでアクセスポイント機能を実行することにより、無線アクセスポイント(ソフトウェアAP)として動作してもよい。また、無線通信インタフェース913が無線アクセスポイント機能を有していてもよい。
<4−2.第2の応用例>
図22は、本開示に係る技術が適用され得るカーナビゲーション装置920の概略的な構成の一例を示すブロック図である。カーナビゲーション装置920は、プロセッサ921、メモリ922、GPS(Global Positioning System)モジュール924、センサ925、データインタフェース926、コンテンツプレーヤ927、記憶媒体インタフェース928、入力デバイス929、表示デバイス930、スピーカ931、無線通信インタフェース933、アンテナスイッチ934、アンテナ935及びバッテリー938を備える。
プロセッサ921は、例えばCPU又はSoCであってよく、カーナビゲーション装置920のナビゲーション機能及びその他の機能を制御する。メモリ922は、RAM及びROMを含み、プロセッサ921により実行されるプログラム及びデータを記憶する。
GPSモジュール924は、GPS衛星から受信されるGPS信号を用いて、カーナビゲーション装置920の位置(例えば、緯度、経度及び高度)を測定する。センサ925は、例えば、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び気圧センサなどのセンサ群を含み得る。データインタフェース926は、例えば、図示しない端子を介して車載ネットワーク941に接続され、車速データなどの車両側で生成されるデータを取得する。
コンテンツプレーヤ927は、記憶媒体インタフェース928に挿入される記憶媒体(例えば、CD又はDVD)に記憶されているコンテンツを再生する。入力デバイス929は、例えば、表示デバイス930の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス930は、LCD又はOLEDディスプレイなどの画面を有し、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの画像を表示する。スピーカ931は、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの音声を出力する。
無線通信インタフェース933は、IEEE802.11a、11b、11g、11n、11ac及び11adなどの無線LAN標準のうちの1つ以上をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース933は、インフラストラクチャーモードにおいては、他の装置と無線LANアクセスポイントを介して通信し得る。また、無線通信インタフェース933は、アドホックモード又はWi−Fi Direct等のダイレクトリンク通信モードにおいては、他の装置と直接的に通信し得る。無線通信インタフェース933は、典型的には、ベースバンドプロセッサ、RF回路及びパワーアンプなどを含み得る。無線通信インタフェース933は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサ及び関連する回路を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース933は、無線LAN方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又はセルラ通信方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよい。アンテナスイッチ934は、無線通信インタフェース933に含まれる複数の回路の間でアンテナ935の接続先を切り替える。アンテナ935は、単一の又は複数のアンテナ素子を有し、無線通信インタフェース933による無線信号の送信及び受信のために使用される。
なお、図22の例に限定されず、カーナビゲーション装置920は、複数のアンテナを備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ934は、カーナビゲーション装置920の構成から省略されてもよい。
バッテリー938は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、図22に示したカーナビゲーション装置920の各ブロックへ電力を供給する。また、バッテリー938は、車両側から給電される電力を蓄積する。
図22に示したカーナビゲーション装置920において、図3を用いて説明したデータ処理部110、制御部120および無線通信部130は、無線通信インタフェース933において実装されてもよい。また、これら機能の少なくとも一部は、プロセッサ921において実装されてもよい。例えば、カーナビゲーション装置920は、ワイルドカードPIDを含むPHYヘッダを送信し、またはワイルドカードPIDに基づいてPHYヘッダの後続を受信する。この場合、カーナビゲーション装置920または通信相手の消費電力を低減しながら通信効率の低下を抑制することができる。また、カーナビゲーション装置920は、ダイレクトリンク識別情報もしくはメッシュネットワークリンク識別情報を含むPHYヘッダを送信し、またはこれらの識別情報に基づいてPHYヘッダの後続を受信する。この場合、ダイレクトリンク通信またはメッシュネットワーク通信を識別可能なPHYヘッダの受信にかかる、カーナビゲーション装置920または通信相手の消費電力の増加を抑制することができる。
また、無線通信インタフェース933は、上述した通信装置100として動作し、車両に乗るユーザが有する端末に無線接続を提供してもよい。
また、本開示に係る技術は、上述したカーナビゲーション装置920の1つ以上のブロックと、車載ネットワーク941と、車両側モジュール942とを含む車載システム(又は車両)940として実現されてもよい。車両側モジュール942は、車速、エンジン回転数又は故障情報などの車両側データを生成し、生成したデータを車載ネットワーク941へ出力する。
<4−3.第3の応用例>
図23は、本開示に係る技術が適用され得る無線アクセスポイント950の概略的な構成の一例を示すブロック図である。無線アクセスポイント950は、コントローラ951、メモリ952、入力デバイス954、表示デバイス955、ネットワークインタフェース957、無線通信インタフェース963、アンテナスイッチ964及びアンテナ965を備える。
コントローラ951は、例えばCPU又はDSP(Digital Signal Processor)であってよく、無線アクセスポイント950のIP(Internet Protocol)レイヤ及びより上位のレイヤの様々な機能(例えば、アクセス制限、ルーティング、暗号化、ファイアウォール及びログ管理など)を動作させる。メモリ952は、RAM及びROMを含み、コントローラ951により実行されるプログラム、及び様々な制御データ(例えば、端末リスト、ルーティングテーブル、暗号鍵、セキュリティ設定及びログなど)を記憶する。
入力デバイス954は、例えば、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作を受け付ける。表示デバイス955は、LEDランプなどを含み、無線アクセスポイント950の動作ステータスを表示する。
ネットワークインタフェース957は、無線アクセスポイント950が有線通信ネットワーク958に接続するための有線通信インタフェースである。ネットワークインタフェース957は、複数の接続端子を有してもよい。有線通信ネットワーク958は、イーサネット(登録商標)などのLANであってもよく、又はWAN(Wide Area Network)であってもよい。
無線通信インタフェース963は、IEEE802.11a、11b、11g、11n、11ac及び11adなどの無線LAN標準のうちの1つ以上をサポートし、近傍の端末へアクセスポイントとして無線接続を提供する。無線通信インタフェース963は、典型的には、ベースバンドプロセッサ、RF回路及びパワーアンプなどを含み得る。無線通信インタフェース963は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサ及び関連する回路を集積したワンチップのモジュールであってもよい。アンテナスイッチ964は、無線通信インタフェース963に含まれる複数の回路の間でアンテナ965の接続先を切り替える。アンテナ965は、単一の又は複数のアンテナ素子を有し、無線通信インタフェース963による無線信号の送信及び受信のために使用される。
図23に示した無線アクセスポイント950において、図3を用いて説明したデータ処理部110、制御部120および無線通信部130は、無線通信インタフェース963において実装されてもよい。また、これら機能の少なくとも一部は、コントローラ951において実装されてもよい。例えば、無線アクセスポイント950は、ワイルドカードPIDを含むPHYヘッダを送信し、またはワイルドカードPIDに基づいてPHYヘッダの後続を受信する。この場合、無線アクセスポイント950または通信相手の消費電力を低減しながら通信効率の低下を抑制することができる。また、無線アクセスポイント950は、ダイレクトリンク識別情報もしくはメッシュネットワークリンク識別情報を含むPHYヘッダを送信し、またはこれらの識別情報に基づいてPHYヘッダの後続を受信する。この場合、ダイレクトリンク通信またはメッシュネットワーク通信を識別可能なPHYヘッダの受信にかかる、無線アクセスポイント950または通信相手の消費電力の増加を抑制することができる。
<5.むすび>
以上、本開示の第1の実施形態によれば、1つのPIDを用いて複数のBSSを宛先とすることができる。従って、先行技術では宛先となるBSSの数が増加するとPHYヘッダのサイズも増大していたが、本実施形態では、PHYヘッダのサイズが宛先となるBSSの数に依存しないため、PHYヘッダのサイズの増大を抑制できる。よって、複数のBSSを宛先とする通信においても、PIDを含むPHYヘッダの利用による消費電力の低減効果を維持したまま、通信効率の低下を抑制することが可能となる。
また、本開示の第2の実施形態によれば、従来と比べて、通信がダイレクトリンク通信であるかどうかの識別のための情報のサイズを低減することができる。従って、PHYヘッダの受信にかかる消費電力の増加を抑制することが可能となる。
また、本開示の第3の実施形態によれば、通信がメッシュネットワーク通信であるかどうかの識別のための情報のサイズの増加を抑制することができる。従って、PHYヘッダの受信にかかる消費電力の増加を抑制することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、ダイレクトリンク通信がSTA間の通信であるとしたが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、ダイレクトリンク通信はAP間の通信であってもよい。
また、上記各実施形態で開示される構成は、それぞれ組み換えられてもよく、組合せられてもよい。例えば、通信装置100(200)は、第1〜第3の実施形態に係る機能を全て備え、当該機能に従って動作してもよい。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
また、上記の実施形態のフローチャートに示されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的にまたは個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
また、通信装置に内蔵されるハードウェアに上述した通信装置の各論理構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、当該コンピュータプログラムが記憶された記憶媒体も提供され得る。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
無線通信ネットワーク識別子を有するPHY(Physical Layer)ヘッダを有するフレームを送信する通信部を備え、
前記無線通信ネットワーク識別子は、複数の第1のレベルの無線通信ネットワーク識別子が特定される第2のレベルの無線通信ネットワーク識別子を含む、通信装置。
(2)
前記第2のレベルの無線通信ネットワーク識別子は、全ての前記第1のレベルの無線通信ネットワーク識別子が特定される前記第2のレベルの無線通信ネットワーク識別子を含む、前記(1)に記載の通信装置。
(3)
前記第2のレベルの無線通信ネットワーク識別子は、一部の前記第1のレベルの無線通信ネットワーク識別子が特定される前記第2のレベルの無線通信ネットワーク識別子を含む、前記(1)または(2)に記載の通信装置。
(4)
前記一部の前記第1のレベルの無線通信ネットワーク識別子が特定される前記第2のレベルの無線通信ネットワーク識別子は、送信されるフレームの用途に基づいて選択される、前記(3)に記載の通信装置。
(5)
前記一部の前記第1のレベルの無線通信ネットワーク識別子が特定される前記第2のレベルの無線通信ネットワーク識別子は、前記送信されるフレームの属性に基づいて選択される、前記(3)または(4)に記載の通信装置。
(6)
前記一部の前記第1のレベルの無線通信ネットワーク識別子が特定される前記第2のレベルの無線通信ネットワーク識別子は、前記送信されるフレームの送信先の属性に基づいて選択される、前記(3)〜(5)のいずれか1項に記載の通信装置。
(7)
前記PHYヘッダは、リンク方向識別情報を有する、前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の通信装置。
(8)
前記リンク方向識別情報は、ダウンリンク識別情報を含む、前記(7)に記載の通信装置。
(9)
前記リンク方向識別情報は、ダイレクトリンク識別情報を含む、前記(7)または(8)に記載の通信装置。
(10)
前期通信部は、前記第2のレベルの無線通信ネットワーク識別子から特定される前記第1のレベルの無線通信ネットワーク識別子に係るネットワークに属する装置宛てのデータを連結し、連結されたデータを前記PHYヘッダの後続として送信する、前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の通信装置。
(11)
前記無線通信ネットワーク識別子は、BSS(Basic Service Set)を物理層で識別するための情報を含む、前記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の通信装置。
(12)
無線通信ネットワーク識別子を有するPHY(Physical Layer)ヘッダを受信する通信部を備え、
前記無線通信ネットワーク識別子は、複数の第1のレベルの無線通信ネットワーク識別子が特定される第2のレベルの無線通信ネットワーク識別子を含み、
前記通信部は、前記第2のレベルの無線通信ネットワーク識別子に基づいて前記PHYヘッダの後続を受信する、通信装置。
(13)
前期通信部は、前記第2のレベルの無線通信ネットワーク識別子から特定される前記第1のレベルの無線通信ネットワーク識別子に係る対象無線通信ネットワークに自装置が属するかに応じて前記PHYヘッダの後続を受信する、前記(12)に記載の通信装置。
(14)
前記通信部は、前記PHYヘッダの後続の受信有無に応じて、前記PHYヘッダの後続の送信期間中の通信処理の休止を制御する、前記(12)または(13)に記載の通信装置。
(15)
前記通信部は、前記PHYヘッダの後続を受信有無に応じて、前記PHYヘッダの受信信号強度に基づく前記PHYヘッダの後続の送信期間についての自装置の送信停止期間の設定制御を行う、前記(12)〜(14)のいずれか1項に記載の通信装置。
(16)
前記通信部は、前記対象無線通信ネットワークに自装置が属する場合、前記PHYヘッダのリンク方向識別情報に応じて前記PHYヘッダの後続を受信する、前記(13)に記載の通信装置。
(17)
通信部により、無線通信ネットワーク識別子を有するPHY(Physical Layer)ヘッダを有するフレームを送信することを含み、
前記無線通信ネットワーク識別子は、複数の第1のレベルの無線通信ネットワーク識別子が特定される第2のレベルの無線通信ネットワーク識別子を含む、通信方法。
(18)
通信部により、無線通信ネットワーク識別子を有するPHY(Physical Layer)ヘッダを受信することを含み、
前記無線通信ネットワーク識別子は、複数の第1のレベルの無線通信ネットワーク識別子が特定される第2のレベルの無線通信ネットワーク識別子を含み、
前期通信部により、前記第2のレベルの無線通信ネットワーク識別子に基づいて前記PHYヘッダの後続を受信することを含む、通信方法。
また、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(21)
ダイレクトリンク通信が識別される2つの情報を有するPHY(Physical Layer)ヘッダを有するフレームを送信する通信部を備える、通信装置。
(22)
前記2つの情報は、アップリンク識別情報およびダウンリンク識別情報を含む、前記(21)に記載の通信装置。
(23)
前期通信部は、ダイレクトリンク通信適応装置宛てのデータを連結し、連結されたデータを前記PHYヘッダの後続として送信する、前記(21)または(22)に記載の通信装置。
(24)
前記PHYヘッダは、無線通信ネットワーク識別子を有する、前記(21)〜(23)のいずれか1項に記載の通信装置。
(25)
ダイレクトリンク通信が識別される2つの情報を有するPHY(Physical Layer)ヘッダを受信し、
前記2つの情報に基づいて前記PHYヘッダの後続を受信する、通信部を備える、通信装置。
(26)
前記2つの情報は、アップリンク識別情報およびダウンリンク識別情報を含み、
前記通信部は、前記アップリンク識別情報と前記ダウンリンク識別情報とによってダイレクトリンク通信が識別される場合、自装置がステーションであるかに基づいて前記PHYヘッダの後続を受信する、前記(25)に記載の通信装置。
(27)
前記通信部は、自装置のダイレクトリンク通信の適応有無に基づいて前記PHYヘッダの後続を受信する、前記(25)または(26)に記載の通信装置。
(28)
前記PHYヘッダは、無線通信ネットワーク識別子を有し、
前記通信部は、前記無線通信ネットワーク識別子に係る無線通信ネットワークに自装置が属するかに応じて前記PHYヘッダの後続を受信する、前記(25)〜(27)のいずれか1項に記載の通信装置。
(29)
通信部により、ダイレクトリンク通信が識別される2つの情報を有するPHY(Physical Layer)ヘッダを有するフレームを送信することを含む、通信方法。
(30)
通信部により、ダイレクトリンク通信が識別される2つの情報を有するPHY(Physical Layer)ヘッダを受信することと、
前記2つの情報に基づいて前記PHYヘッダの後続を受信することと、
を含む、通信方法。
(31)
メッシュネットワーク通信が識別される2つの情報を有するPHY(Physical Layer)ヘッダを有するフレームを送信する通信部を備える、通信装置。
(32)
前記2つの情報は、アップリンク識別情報およびダウンリンク識別情報を含む、前記(31)に記載の通信装置。
(33)
前期通信部は、メッシュネットワーク通信適応装置宛てのデータを連結し、連結されたデータを前記PHYヘッダの後続として送信する、前記(31)または(32)に記載の通信装置。
(34)
前記PHYヘッダは、無線通信ネットワーク識別子を有する、前記(31)〜(33)のいずれか1項に記載の通信装置。
(35)
メッシュネットワーク通信が識別される2つの情報を有するPHY(Physical Layer)ヘッダを受信し、
前記2つの情報に基づいて前記PHYヘッダの後続を受信する、通信部を備える、通信装置。
(36)
前記2つの情報は、アップリンク識別情報およびダウンリンク識別情報を含み、
前記通信部は、前記アップリンク識別情報と前記ダウンリンク識別情報とによってメッシュネットワーク通信が識別される場合、自装置のメッシュネットワーク通信に対する適応有無に基づいて前記PHYヘッダの後続を受信する、前記(35)に記載の通信装置。
(37)
前記通信部は、前記2つの情報のうちの少なくとも一方が認識されない場合、前記PHYヘッダの後続を受信する、前記(35)または(36)に記載の通信装置。
(38)
前記PHYヘッダは、無線通信ネットワーク識別子を有し、
前記通信部は、前記無線通信ネットワーク識別子に係る無線通信ネットワークに自装置が属するかに応じて前記PHYヘッダの後続を受信する、前記(35)〜(37)のいずれか1項に記載の通信装置。
(39)
通信部により、メッシュネットワーク通信が識別される2つの情報を有するPHY(Physical Layer)ヘッダを有するフレームを送信することを含む、通信方法。
(40)
通信部により、メッシュネットワーク通信が識別される2つの情報を有するPHY(Physical Layer)ヘッダを受信することと、
前記2つの情報に基づいて前記PHYヘッダの後続を受信することと、
を含む、通信方法。