本発明は公知の電源の不備の多くを克服して、新たな特徴及び効果を電気グリルのような器具に与える。例えば、本発明の実施形態は、より正確な量の電力を電気的負荷に供給することができるデジタル電力供給装置を提供する。更に、本発明の実施形態は、複数の電気的負荷を独立して制御することを可能にする。本発明の更に他の実施形態は、電源を壁面コンセントに接続することから起こることがある高調波電流及びフリッカを低減させる。更なる実施形態は、高調波電流及びフリッカ干渉を低減させつつ、電気的負荷の無線制御を提供する。
本発明の好ましい実施形態によれば、デジタル電力供給装置が与えられ、このデジタル電力供給装置は、それぞれ第1と第2のトライアックを通じて電圧ラインへ接続された第1と第2の負荷と、第1と第2のトライアックと電子的に通信するマイクロプロセッサとを備え、そのマイクロプロセッサは、第1及び第2のトライアックをそれぞれ起動及び解除することにより、離散電力レベルを第1及び第2の負荷へ供給するように構成されている。このデジタル電力供給装置はマイクロプロセッサと電子的に通信する無線コントローラを含んでもよい。更に、マイクロプロセッサは少なくとも1つの希望目標温度を受信し得る。この希望目標温度は、無線コントローラを介して、遠隔デバイスから無線で受信し得る。この希望目標温度は、マイクロプロセッサと電子的に通信するユーザー入力デバイスを介して受信し得る。
本発明の実施形態によれば、マイクロプロセッサは、第1の負荷に対応する第1の希望目標温度と第2の負荷に対応する第2の希望目標温度とを受信する。更に、デジタル電力供給装置は、マイクロプロセッサと電子的に通信する少なくとも1つの熱電対を含み得る。選択的に、第1の熱電対は第1の負荷に近接して位置し、第2の熱電対は第2の負荷に近接して位置する。離散電力レベルは0%、50%、及び100%としてもよい。更に、マイクロプロセッサは、第1の希望目標温度に到達するまで100%電力を第1の負荷へ、且つ第2の希望目標温度に到達するまで100%電力を第2の負荷へ、同時に供給するように構成してもよい。
他の実施形態はデジタル電力供給装置を有する電気グリルを与え、この電気グリルは、トライアックを通じて電圧ラインへ接続された少なくとも1つの加熱素子と、そのトライアックと電子的に通信するマイクロプロセッサとを備え、そのマイクロプロセッサは、トライアックを起動又は解除することにより、加熱素子へ離散電力レベルを供給するように構成され、電気グリル内の位置における温度を測定する少なくとも1つの温度検知デバイスを備え、この温度検知デバイスはマイクロプロセッサと電子的に通信し、及び、希望目標温度を受信して、この希望目標温度に基づいて上温度帯と下温度帯とを定めるように構成されたバンドコントローラを備える。離散電力レベルは、0%、50%、及び100%としてもよい。
選択的に、マイクロプロセッサは、温度検知デバイスから受信した温度を連続的に監視するように適合且つ構成され、このマイクロプロセッサは更に、下温度帯に到達するまで100%電力を加熱素子へ供給するように適合且つ構成されている。このマイクロプロセッサは、上温度帯に到達するまで50%電力を加熱素子へ供給するように更に適合且つ構成することができ、このマイクロプロセッサは加熱素子を通過するac電流波を交互に遮断及び許可することにより、50%電力を供給し得る。このマイクロプロセッサは、上温度帯に到達したときに0%電力を加熱素子へ供給するように更に適合且つ構成することができる。更に、バンドコントローラはより低い希望目標温度に対しては温度帯を動的に下げると共に、より高い希望目標温度に対しては温度帯を動的に上げるように適合且つ構成し得る。
例えば、250F(121℃)の希望目標温度は、希望目標温度を25F下回る下温度帯と、希望目標温度に等しい上温度帯とを持ち得る。250F(121℃)と400F(204℃)との間の希望目標温度は、希望目標温度を10F下回る下温度帯と、希望目標温度を10F上回る上温度帯とを持ち得る。400F(204℃)を超える希望目標温度は、希望目標温度に等しい下温度帯と希望目標温度を15F上回る上温度帯とを持ち得る。
更なる実施形態は無線電気グリルシステムを与え、この電気グリルシステムは、トライアックを通じて電圧ラインへ接続された少なくとも1つの加熱素子を有する電気グリルと、そのトライアックと電子的に通信するマイクロプロセッサとを備え、このマイクロプロセッサは、トライアックを起動又は解除することにより離散電力レベルを加熱素子へ供給するように構成されており、電気グリル内の位置における温度を測定する少なくとも1つの熱電対を備え、この熱電対はマイクロプロセッサと電子的に通信し、及び、マイクロプロセッサと電子的に通信する無線コントローラを備える。このシステムは、スクリーンとユーザー入力デバイスとを有する遠隔デバイスを更に含んでもよく、この遠隔デバイスは、電気グリルの無線コントローラを介して電気グリルと無線通信する。或る実施形態においては、遠隔デバイスはユーザーへ食品プロファイルのメニューを表示すると共に、ユーザーからユーザー入力デバイスを介して選択された食品プロファイルを受け取る。
或る実施形態においては、遠隔デバイスは選択された食品プロファイルに関連した目標温度を決定して、この目標温度を電気グリルへ無線で通信する。マイクロプロセッサは、下温度帯に到達するまで第1の離散電力レベルを加熱素子へ供給するように適合且つ構成してもよい。マイクロプロセッサは、下温度帯に一旦到達したならば第2の離散電力レベルを加熱素子へ供給するように更に適合且つ構成することができる。マイクロプロセッサは、上温度帯を一旦超えたならば、第3の離散電力レベルを加熱素子へ供給するように更に適合且つ構成することができる。例えば、或る実施形態においては、第1の離散電力レベルは100%であり、第2の離散電力レベルは50%であり、及び第3の離散電力レベルは0%である。或る実施形態においては、加熱素子を通過するAC電流の一つおきの波を許可することにより、50%の離散電力レベルが達成される。
更に、遠隔デバイスは、ユーザー入力デバイスを介してユーザー入力に応答して「オフ」信号を電気グリルへ送るように構成することができ、マイクロプロセッサは「オフ」信号に応答して0%電力を供給するように構成される。選択的に、マイクロプロセッサは、熱電対における温度に基づいて推定周囲温度を計算するように適合且つ構成することができ、このマイクロプロセッサは推定周囲温度を目標温度と比較するように更に適合且つ構成される。本発明の実施形態は、トライアックと並列をなし、且つマイクロプロセッサと通信するように構成されたラッチリレーを更に含んでもよい。そのマイクロプロセッサは、ラッチリレーを起動してトライアックを解除することにより、100%電力を加熱素子へ供給するように適合且つ構成してもよい。
従って、本発明の目的は正確な電力制御を与え、複数の負荷を独立に制御でき、電源により壁面コンセントへもたらされる高調波電流及びフリッカを低減させることができるデジタル電力供給装置を提供することである。
本発明の他の目的は改良された電源を提供することであり、これは電源グリルと共に使用し得るものを含むが、それに限定されるものではない。
本発明の更なる目的は電気グリルにおいて使用でき、2つ以上の加熱素子に独立制御を与えるデジタル電力供給装置を提供することである。
本発明の更なる目的は壁面コンセントへより僅かな高調波電流をもたらすデジタル電力供給装置を提供することである。
本発明の更なる目的は壁面コンセントへフリッカをより僅かしかもたらさないデジタル電力供給装置を提供することである。
本発明の更なる目的は高調波電流及びフリッカの標準的な制限及び/又は規定に従う電気グリルで使用するためのデジタル電力供給装置を提供することである。
本発明の更なる目的は電気グリルで使用するための2つ以上の加熱素子へ可変電力を供給するデジタル電力供給装置を提供することである。
本発明の更なる目的は可変電力を供給する位相カット技術を用いるデジタル電力供給装置を提供することである。
本発明の更なる目的は離散電力レベルを供給するデジタル電力供給装置を提供することである。
本発明の更なる目的は短いデューティ・サイクルを与えることにより加熱素子の寿命を向上させることである。
本発明の更なる目的は希望目標温度を達成し、その温度を維持するための技術を提供することである。
本発明の更なる目的は電気グリル内のデジタル電力供給装置を提供することであり、これは操作パラメータを遠隔的に監視する無線能力を有するのみならず、電力レベルを無線で制御することである。
発明者の用語の定義
本願の多数の請求項又は明細書で用いられる以下の用語は、それらが法の要請に合致する最も広い意味を持つことが意図されている。
本明細書で使用されるように、「電力アレイ」は値のアレイを規定し、各値は1波サイクルに供給される電力の割合(0.0≦x≦1.0を表す。例示的な電力アレイは4つのセルを有するものとして説明してあるが、他の大きさのアレイが可能であることを理解されたい。
本明細書で使用されるように「位相角アレイ」は値のアレイを規定し、各値は1波サイクルにおける位相角「カット」を表す。例示的な位相角アレイは4つのセルを有するものとして説明してあるが、他のサイズのアレイが可能であることを理解されたい。
本明細書で使用される「タイミングパターン」は位相制御されたAC波形を形成する「オン」及び「オフ」信号のパターンを意味する。
代替的な意味が可能であるときは、明細書又は請求項の何れにおいても当業者の理解に合致する最も広い意味が意図されている。請求項中における全ての単語は文法、通商又は英語の通常且つ慣例的語法に従って用いられることが意図されている。
本発明(単数形で用いることもあるが、複数形を除外するものではない)の表明した及び表明していない特徴、目的及び効果は以下の説明及び図面から明らかになり、図において用いる同様な参照符号は様々な図における同様な要素を表す。
以下に記載されるのは、特許請求の範囲に記載された発明の好ましい実施形態若しくは最良の代表例であると現在のところ信じられるものである。実施形態及び好ましい実施形態に対する将来及び現在の代表例若しくは修正例が意図されている。更に、機能、目的、構造及び結果に些細な変化を加えるにすぎない任意の代替例及び修正例も本願の請求項に包含されることが意図されている。本発明は、係属中の特許出願である発明の名称“Electric Grill With Current Protection Circuitry”(出願人により出願され、出願番号15/200,687号を有する)及び同じく係属中の特許出願である発明の名称“Wireless Control And Monitoring For Elctric Grill With Current Protection Circuitry”(本願と同日に出願され、共にウェーバー‐スティーブン プロダクツ エルエルシーへ譲渡され、その全体が参照により本願に組み込まれている)に説明された電気保護回路を有する電気グリルに及び/又はその一部に使用し得る。
本発明は一般にデジタル電力供給装置を含み、これは2つ以上の電気的負荷のために独立した電力制御、及び連続的可変電力を与えることができる。本発明の実施形態は、電力系統へもたされる高調波及び/又はフリッカの量を低減し得る。当業者は、このデジタル電力供給装置は任意の電気的負荷又は負荷の組み合わせ(ヒーター、モーターなどを含む)へ供給するのに使用し得ることを知っているであろう。ここに説明された好ましい実施形態において、負荷は、例えば電気グリルに見られる加熱素子である。
電気グリルは独立負荷制御を有するデジタル電力供給装置のための1つの適切な用途である。その理由は、ユーザーは電気グリルの一方の側で高熱を、且つグリルの他方の側で低熱を望むことがあるためである。このような配置は、異なる温度を必要とする様々な食品を同時にグリルで焼くか、間接グリル法を用いることをユーザーに可能とさせる。間接グリル法は、食品を調理面の一方の側に置きながら他方の側を加熱することにより、食品と加熱面との間の直接接触を避ける。可変電力の更なる利点は、ユーザーに電力設定を入力させて、目標とされた温度を達成することを可能にすることである。これは、長時間に亘って低温で調理することを可能にする。
ここで図面を参照すると、図1−15は電気グリル110とデジタル電力供給装置200の好ましい実施形態を示す。例示として、図1A及び図1Bは電気グリル110を示す。図1Aはハウジング106を含む電気グリル110の外側を示し、ハウジングには、左右の制御ノブ101及び102のみならず、ディスプレイ103を装着することができる。電気グリル110は、AC壁面コンセントに接続するために電源コード107を含み得る。左右制御ノブ101及び102、並びにディスプレイ103は、本明細書に詳細に説明するマイクロコントローラ213に接続することができる。
図1Bに示すように、左右の制御ノブ101及び102はそれぞれ第1及び第2の加熱素子203及び204に協動させることができ、かくして二重調理領域を形成する。代表的な炉若しくは調理面112は図1Bにも示される。各々の加熱素子203及び204は、ノブ101、102により、又は加熱素子203、204に関連づけられた任意の他のコントローラによりそれぞれ独立して制御することができる。左のノブ101と右のノブ102とは、グリルハウジング106の外側に配置することができる。ノブ101及び102又は当業者により理解される任意の他の入力デバイスはマイクロプロセッサ213に接続して1つ以上の加熱素子203、204の操作モードを設定するようにすることができる。
ノブ101及び102又は(例えばタッチスクリーン又はボタンなど)任意の他の入力デバイス(又はここで記述される無線手段)を用いて、ユーザーは各加熱素子203及び204の操作モードを選択し得る。この操作モードは、加熱素子のための希望温度又は電力設定を含んでもよい。本明細書に更に詳細に説明するマイクロプロセッサ213は、選択された電力を供給するために加熱素子203及び204に供給される電流を制御する。マイクロプロセッサ213は、それぞれ加熱素子203及び204の近傍に配置された熱電対221及び222から読み込まれた現在の温度をフィードバックループを用いて受け取り、各加熱素子203及び204ごとに希望温度を達成することができる。当業者には、ノブ、加熱素子、温度センサ及び/又はディスプレイの様々な種類と個数を使用し得ることを知っているであろう。
電気グリル110は、ディスプレイ103又は他のユーザーインタフェースを選択的に含むことがある。1つの例においては、ディスプレイ103はマイクロプロセッサ213に接続されて、1つ以上の加熱素子203、204の現在の設定又は操作に関する情報を表示することができる。例えば、ディスプレイ103は、加熱素子203及び204の近傍における現在の温度(熱電対221及び222により測定されたもの)及びユーザーがノブ101及び/又は102を介して設定した希望温度又は電力設定を表示することができる。
ここで図2A及び2Bを参照すると、一般的な、非限定的な条件下で、デジタル電力供給はマイクロプロセッサ213により達成することができ、これはユーザーの希望電力設定を受け取ってトライアック208及び209を制御し、電圧ライン201から加熱素子203及び204を通じてニュートラル202を通って壁面コンセントへ帰還するように流れるAC電流を有効(又は無効)にする。更にここに設けられているのは、特別に構成されたマイクロプロセッサ213であり、これは加熱素子203及び204へのAC電流を、電気グリル110によりAC壁面コンセントへもたらされる高調波電流及びフリッカの量を低減する方式で制御し得る。
図2Aの実施形態で示すように、マイクロプロセッサ213はトライアックドライバ211及び212と通じており、次にこれらはそれぞれのトライアック208及び209を制御する。マイクロプロセッサ213が加熱素子203及び204へ電力を供給し得る機構は、トライアック208及び209をそれらに対応するトライアックドライバ211及び212を介してオン又はオフ(それぞれ「有効」及び「無効」と称することもある)に切り換えることによる。
特に、トライアック208及び209は、マイクロプロセッサ213からのパルスにより起動されたとき、「オン」に切り換わる。電流はAC電流波がゼロに交差するまで流れ続ける。ゼロ交差の後、トライアックはオフに切り換わり、次回にマイクロプロセッサ213がそれをオンに切り換えるまでオフに留まる。一例では典型的な壁面コンセントのようなAC電流が60Hzで、ゼロ交差は1/120秒ごとに起こる。ゼロ交差検出ユニット210は、AC波がゼロ交差するたびに、マイクロプロセッサ213へ信号を通信するために設けられている。この信号を使って、マイクロプロセッサ213は交流電流のゼロ交差にそのタイミングを同期させることができる。
マイクロプロセッサ213とトライアック208及び209との間の直接通信を可能とするのに代えて、トライアックドライバ211及び212が、マイクロプロセッサ213とトライアック208及び209との間のインターフェースに使われる。トライアックドライバは、低電圧DC源(例えばマイクロプロセッサ)(図2A及び2Bの実施形態に見られる)により高電圧トライアックを制御することができる。更に、トライアックドライバは、トライアックにおける潜在的な高電流又は高電圧からデバイスを絶縁するのに用いられる。トライアックドライバ211及び212がマイクロプロセッサ213とトライアック208及び209との間でインターフェースするのと同時に、マイクロプロセッサ213はトライアック208及び209における電圧及び電流から絶縁される。
「オン」トライアックは、それを通じて電流を流れさせるが、「オフ」トライアックは電流を流させない。かくして、「オン」トライアック208はAC電流を(電圧ライン201から)第1の加熱素子203を通じて流れるのを可能にすると共に、「オン」トライアック209は、AC電流を(電圧ライン201から)第2の加熱素子204を通じて流れるのを可能にする。マイクロプロセッサ213が加熱素子203及び/又は204へ電力を供給するというときは、マイクロプロセッサ213がそれぞれのトライアックドライバを有効にして、それが関連するトライアックを「オン」に切り換えて、ライン201からのAC電流の流れを可能にすることを意味する。この開示を通じて、マイクロプロセッサ213が加熱素子へ電力を供給することへの言及は、マイクロプロセッサ213が「オン」又は「有効」パルス信号を介して所定の加熱素子のトライアックドライバをアクティブにすることを意味することと理解されたい。
当業者に理解されるように、トライアックは3つの電極デバイス又は三極管であり、交流電流を伝導する。トライアックは、一種の固体双方向性スイッチである。この開示はトライアックを用いるデジタル電力供給装置を説明するが、任意の固体双方向性スイッチをトライアックの代わりに使用し得ることを理解されたい。加熱素子203及び204は、より多くの電流がそれらを流れるにつれて温度が上がる抵抗ヒーターであることがある。代表的な加熱素子は、1150ワットを引き出すことがある。他の加熱素子203、204も当業者に理解されるように使用し得る。
本発明の実施形態においてマイクロプロセッサ213は各々の加熱素子203及び204に対して最も近位に位置する1つ以上の熱電対221及び222から温度フィードバックを選択的に受け取り、希望温度が達成されたときを認識するようにする。図1Bは各々の加熱素子203及び204に隣接する熱電対221及び222の例を示す。図1Bは例として熱電対を示すが、サーミスタ、抵抗性熱デバイス等その他の装置を非限定的に含め、すべての型式の温度センサを用いることができると理解されるべきである。実施形態においては、フィードバックがマイクロプロセッサ213により用いられて、ノブ101及び/又は102で選択された希望温度が達成されるまで、加熱素子203及び204へ供給される電流を調節することができる。その結果、ユーザーは加熱素子203及び204に対する希望操作モードを(独立に)選択することができる。本発明の実施形態においては、マイクロプロセッサ213は、希望設定温度に達するまで供給される電流を制御して、次いで希望温度を維持することができる。
次にマイクロプロセッサ213の処理について述べると、マイクロプロセッサ213は、トライアック208及び209を「オン」と「オフ」との間でトグリングさせることにより、(ユーザーの選択に従い)適切な量の電力を供給するように構成し得る。上述のように、有効化(又は「オン」)されたトライアック208又は209は、AC電流がライン201からそれぞれ加熱素子203又は204を通じて流れることを可能にする。従って、長い「オン」期間はより多くのAC電流を流し、ひいてはより多くの電力を供給することを可能にする。反対に、より長い「オフ」期間は、低い電力供給をもたらす。
本発明の実施形態においは、マイクロプロセッサ213は位相角制御技術を用いて、「オン」と「オフ」との間のトグリングのパターンを形成することができる。「オン」と「オフ」との間のトグリングにより形成された制御パターンは、加熱素子203及び204を通じて電圧ライン201から流れるAC電流の(延長線上で考えて、電力の)位相角を制御する。この種の制御パターンは、AC流の波形が「カット(切断)される」ので、「位相カッティング」と称されることがある。波は、一つのAC波サイクルの一部分の間の電流の流れを無効にすることによりカットされる。このようにして、波の一部は「カット」される。「オン」及び「オフ」のタイミングパターンは、位相制御された波を形成する。希望電力供給について波をカットする正しい角度を決定するために、マイクロプロセッサ213は次式を解く:
(角度)=arccos(2x−1)
ここでxは希望供給電力である(割合:0.0≦x≦1.0として表される)。マイクロプロセッサ213は、加熱素子203及び204へ供給されるAC正弦波をカットする角度を解くようにプログラムされている。本開示は角度を「度」で表するが、当業者にはあらゆる角度測定値が単位「ラジアン」に変換できることが理解されよう。
一例が図3Aに示され、これはマイクロプロセッサ213がAC波を90°でカットする例を示す。90°カットは、全ての利用可能な電力の半分(即ち50%)を供給する波を導く。図3Aは、AC電流の一波サイクルを示す。当業者は全波が正の半分と負の半分を有することを理解するであろう。波サイクルは電流の値がゼロである301から始まる。301と303との間の領域である符号302は、陰影のついた灰色であり、トライアックが有効ではなく、従って電流が供給されていないことを示す。90°位相角を表す303において、マイクロプロセッサ213はパルス信号を送りトライアックを起動して、かくして加熱素子を通じて流れる電流を可能とする。(換言すれば、マイクロプロセッサ213は303にて電力供給を始める)。305において電流はゼロ交差してトライアックはオフへ切り換わる。トライアックは、270°位相角を表す307までオフのままである。270°において、マイクロプロセッサ213は再び起動パルスを送り、307と309との間、即ち270°から360°までの90°位相において電流が流れる。
要するに、図3Aは、マイクロプロセッサ213が、それぞれ90°位相を表し、合計で180°の304及び308で表す領域へ電力を供給することを示す。各々がまた90°を表し、合計で180°の302及び306で表された影付き領域については、電力は供給されない。このように、マイクロプロセッサ213は、利用可能な電力の半分、即ち50%を供給している。異なる電力の割合を供給するために、マイクロプロセッサ213は、半波のより早い段階で起動パルスを送り、より多くの電力を供給するか、半波のより遅い段階で起動パルスを送り、より少ない電力を供給することができる。如何なる希望電力の割合についても、適切な位相角カットは、(角度)=arccos(2x−1)について解くマイクロプロセッサ213により計算し得る。図3Aの例においては、50%の電力供給が選択された。従って、マイクロプロセッサ213は計算(位相角)=arccos(2*0.5−1)=90°を実行した。図3Bは図3Aの「カット」された波の部分を取り除いて、実際に供給された電力のみを示す。
ここで図3Cを参照すると、表示されたグラフは図3A及び図3Bに説明した90°位相カットにより電源系統へもたらされた高調波電流を示す。換言すれば、これらのプロットされた高調波電流は、電気グリルが壁面コンセントに接続されて、図3A/図3Bに説明された90°位相カットをなすときに、建物の電力ラインにもたされ得る。このプロットは1150W加熱素子を用いてなされる。高調波の導入は、それが電磁干渉をもたらすので、好ましくない。更に、例えばIEC 61000−3−2 電磁気互換性(EMC)−Part3−2のような規格があり、これはデバイスにより壁面コンセントへもたらされるかもしれない高調波電流のレベルを制限する。高調波電流制限は、図3Cのグラフの中に線分としてプロットされている。図3Cから明白であるように、90°位相カットによりもたらされた高調波電流(点としてプロットされている)は高調波制限(線分としてプロットされている)を越える。換言すれば、図3Cにおけるグラフは、複数の点(RMS電流を表す)が高調波制限をマークする線より高いことを示す。これは、図3A/3Bの波形には高調波電流があって、IEC規格を満たさないことを意味する。例えば、点310におけるRMS電流は、高調波制限の限度311を越える(即ち、上方にある)高調波電流の1つの例である。
従って、本発明の実施形態は、電気的負荷へ電力を供給するために、大きさを低減させた高調波電流を誘発する波カットを用いるように特に構成されたマイクロプロセッサ213を含む。第1の問題として、出願人の試験は、波カットの直後に全波サイクル「オン」又は全波サイクル「オフ」が続くとき高調波電流波の大きさが低減されることを示した。出願人の試験の結果は図4及び図5に示される。特に、図4Aは、図3Aにおけるのと同様な90°カットを有する第1の波サイクルを示すが、完全に「オン」の後続の第2の波サイクル(409と410との間)が続く。同様に、図5Aは図3Aにおけるのと同様な90°カットを有する第1の波サイクルを示し、更に、完全に「オフ」の第2の全波サイクル(509と510との間)が後に続く。明瞭化のために、図4B及び図5Bは波の「カット」部分を伴わずに、同様なそれぞれのパターンを示す。図4C及び図5Cに示される出願人の試験は、90°カットは、後続の全「オン」又は全「オフ」波サイクルが続くとき、より僅かな高調波を誘導することを示す。これらの結果は図4C及び図5Cに見ることができ、そこでプロットされた高調波電流(点)は、いまやIEC規格(線分としてプロットされる)の高調波制限の限度の下にあって、図3Cにプロットされた高調波電流よりも顕著に低い。例として、図4Cは、例示的なRMS電流点410を示し、これは高調波制限411の下にある。図3Cと異なり、図4CのRMS電流は高調波制限より低い。同様なことが図5Cにあてはまり、ここでは例示的な電流点510が511の高調波制限の限度の下にある。
従って、本発明の実施形態は、カット波に全「オン」又は全「オフ」波の何れかが続くように特に構成されたマイクロプロセッサ213を含む。更に、マイクロプロセッサ213は、高調波電流を低減させるパターンで電流を引き出しつつ、2つの独立した加熱素子203、204の間で引き出された電流を分割するように管理するように特に構成することができる。換言すれば、マイクロプロセッサ213は、両方の独立した加熱素子203、204の電力の必要条件を満たしつつ、電気グリル110へ導かれる全体的な電流のパターンを管理しなければならない。電気グリル110へ導かれる全体的な電流のパターンは、電気グリル110の総電力アレイと称することができる。電気グリル110の総電力アレイは、第1の加熱素子203の電力アレイに第2の加熱素子204の電力アレイを加えた合計である。例示的な電力アレイは、4つのセルであることがあり、各々のセルは波形で供給される電力の割合を表す値(0.0≦x≦1.0)が格納されている。このように、例示的な電力アレイは、4つの波のパターンを表すことがある。電気グリル110により引き出される総電力(又は、電流)が加熱素子で引き出される電力(電流)の合計であることが理解されよう。加熱素子203、204に供給される波形パターンは、4つのセル化された電力アレイとして同様に表現し得る。第1の加熱素子の電力アレイと第2の加熱素子の電力アレイの合計は、電気グリル総電力アレイに等しい。同じことは、電気グリル110の内に存在する加熱素子の数の如何に関わらずあてはまる。電気グリル110の高調波電流は、総電力アレイに表された電気グリル110により引き出された波のパターンに依存する。高調波電流を低減するために、電気グリル110の総電力アレイは、各々の「カット」波に全「オン」又は全「オフ」サイクルが続くパターンを表さねばならない。
図6は、比較的僅かな高調波しかもたらさない2つの加熱素子を制御するためのマイクロプロセッサ213の例示的な構成を示すフローチャートである。一般的に言って、マイクロプロセッサ213は、各々の加熱素子203、204へ供給する電力アレイを計算する。電力アレイは、2つの加熱素子203、204の各々についてのユーザー電力設定並びに熱電対221及び222からのフィードバックに依存する。この例では、各々の電力アレイは4つのセルからなり(但し、他の数のセルが使われることもある)、各々のセルは0.0≦x≦1.0の間の範囲の数を格納する。4つのセルの各々は波サイクルを表し、セルの数値はその波サイクルの期間中に供給された電力の割合を示す。例として、「1|0|1|0」のアレイは、1つの「オン」波、1つの「オフ」波、もう1つの「オン」波、及びもう1つの「オフ」波を表す。マイクロプロセッサ213は、トライアックドライバ211及び212を上述の方式でトグリングすることにより、2つの計算された電力アレイを用いて波形を2つの加熱素子203、204へ供給する。
より詳しくは図6を参照すると、マイクロプロセッサ213は第1及び第2のユーザー入力デバイス、例えば左ノブ101及び右ノブ102と通信する。第1及び第2のユーザー入力デバイスは、2つの加熱素子203、204の各々について電力レベルを伝える。希望電力レベルは、ステップ601及び602においてマイクロプロセッサ213により総電力の割合に変換されることができる。マイクロプロセッサ213は、ステップ604において、総電力603が50%以上か否かを判定する。
ユーザーが選択した総電力が50%未満である場合の605において、マイクロプロセッサ213は第1の電力アレイのセルの充填(又は「割り当て」)を開始する。図7は、マイクロプロセッサ213が電力アレイの充填又は割り当てを実行するステップを示す。図7に明らかなように、マイクロプロセッサ213の計算はユーザーにより要請された総電力を用いて、701で開始される。(これは603で決定されたように、右加熱素子のために要請された電力と左加熱素子により要請された電力との合計である)。要請された総電力割合は、ステップ702において8倍(それぞれ2アレイ×4セルがあるため)される。ステップ702の値は(図では[702]を使用して表記する)、703で電力アレイを割り当てるのに用いられる。702の値が2.0以下であるならば、702の値は第1と第3のアレイ要素の間に均一に配分されて、「([702]/2)|0|([702]/2)|0」に達する。これは、ステップ704に見られる。702の値が2.0より大きいならば、第1及び第3のアレイ要素には「1」が格納され、残り(2を702の値から引く)は第2と第4のセルの間に均一に配分される。これは705に見られる。この技術を使用して、高調波電流の大きさを低減するために、電力アレイはカット波に続く全「オン」波又は全「オフ」波を持たせるように構築される。更に、以下で更に詳細に説明するように、電力アレイの交互のパターンはフリッカを低減させる。ここで図6に戻ると、ステップ606において、第2の電力アレイは4つのゼロが格納される:「0|0|0|0」。
再び図6を参照すると、総電力603が50%以上であるならば、ステップ(607)において、マイクロプロセッサ213は第1の電力アレイを全て1の(「1|1|1|1」)により格納する。次いでマイクロプロセッサ213は706及び707の条件式を用いて第2の電力アレイを割り当てる。ユーザーが50%よりも多く又はそれ未満の電力を要請したか否かに関わらず、2つの電力アレイの一方が交互のパターン「A|B|A|B」を有し、一方、他方のアレイはパターン「C|C|C|C」を有し、ここでC=0又は1である。第1及び第2の電力アレイが割り当てられた後に、それらは加熱素子203及び204へ供給される。
電力は、4つのセル電力アレイにおける値に基づいて、マイクロプロセッサ213によりトライアックドライバへ供給される。上述したように、各々のセルは1つの全波サイクルを表し、セルの数値はその波サイクルで供給する電力の割合を表す。同じく上述したように、本発明の実施形態は電力を制御するために位相カッティング技術を用いる事がある。このように、ステップ609において、マイクロプロセッサ213は、電力アレイにおけるセルにより表された電力を達成するために、そこで波を「カット」する位相角を計算するように構成される。マイクロプロセッサ213は次式を解くように構成されている。
(角度)=arccos(2*電力−1)
ここで「電力」とは電力アレイのセルにおける数によって表された電力である。マイクロプロセッサ213は、この角度を用いて、セルの数の値に対応する電力を有する波サイクルを供給する。この計算は各々の電力アレイにおける各々のセルについて繰り返すことができる。各々の電力アレイの各々のセルは、対応する位相角610及び611に変換し得る。対応する位相角アレイは、電力割合ではなく、位相角を格納し、電力アレイに同じフォーマットで格納し得る。
ステップ614において、マイクロプロセッサ213は、そのタイミングをライン201におけるAC電流の位相角に同期させることができる。上述のように、マイクロプロセッサ213は、AC電流がゼロ交差検出ユニット210からのゼロを交差するたびに、ゼロ交差検出210からゼロ交差を受け取る。ゼロ交差信号はかくしてAC波とマイクロプロセッサ213のタイミング(従って延長線上で考えると、角度)を同期させることができる。例えば、当業者はAC電流の波は時間における示された点において以下の角度を有することを認識するであろう。
この情報を用いると、マイクロプロセッサ213は内蔵タイミング機構、例えばクロック信号発生器又は任意の他の適切な機構を用いて、適切な「カット」のために必要とされる角度に対応する瞬間に「オン」即ち「有効化」パルスを送る。例えば、表1は、トライアックをゼロ交差の0.004166667秒後に起動することにより90度カットをなせることを示す。マイクロプロセッサ213は、適切な時点でトライアックを有効にするために、クロック信号を使用し得る。この開示を読んでいる当業者は、任意の希望「カット」についてのタイミングを如何に計算するかを理解するであろう。
ここでステップ612及び613を参照すると、T1と等しい期間に亘って第1の電力アレイは第1のトライアックドライバ211へ供給され、第2の電力アレイは第2のトライアックドライバ212へ供給される。この電力供給は、第1の期間T1に亘って連続的に繰り返され、その後、マイクロプロセッサ213は第2の期間T2に亘って第1の電力アレイを第2のトライアックドライバ211へ供給し、第2の電力アレイを第1のトライアックドライバ212へ繰り返し供給する。T1の時間経過後、供給は「フリップ」されて、第1のトライアックドライバ211は第2の電力アレイをT2の継続期間に亘って受け取る。第1と第2の電力アレイは、合計すると、電気グリル110の総電力アレイに等しく、このように、当然、第1及び第2の電力アレイは常に同時に供給されねばならない。
ここで、615及び616における期間T1及びT2の計算について説明する。期間T1及びT2の目的は、各加熱素子のために独立して選択された電力によって2つの加熱素子(又は任意の他の電気的負荷)の間で、電気グリル(又は本発明の実施形態を用いた任意の他のデバイス)により導かれる総電力を「分割」若しくは割り当てることである。ステップ605乃至608で形成された電力アレイは、電気グリル全体のために許容可能な波パターンを形成する。電力アレイの合計は、電気グリル110の総電力アレイであり、各々のカット波に続いて全「オン」又は全「オフ」波を有して、高調波電流の大きさを低減する。それぞれの加熱素子203、204への各々の電力アレイの供給時間を計算することが更に必要である。
期間T1は第1の加熱素子203についての電力設定を採ることにより計算され、603で選択された総電力によって除される。次いで、この比は電力供給位相により乗算され、これは、この例では2秒であるが、変動することがある。T1及びT2は、総要請電力に対する所定の加熱素子の電力設定の単純な比である。計算は、以下の式によって要約することができる。
T1=2秒*(第1の加熱素子についての電力選択)/((第1の加熱素子についての電力選択))+(第2の加熱素子についての電力選択)。
同様に、T2は同じ計算であり、この時間は第2の加熱素子204ついてのものである。
T2=2秒*(第2の加熱素子についての電力選択)/((第1の加熱素子についての電力選択)+(第2の加熱素子についての電力選択))。
図8は、2秒の電力供給相に亘る第1及び第2のトライアックドライバへの第1及び第2の電力アレイのマイクロプロセッサ213の電力供給をまとめたものである。第1のトライアックドライバ211(そしてその結果として第1の加熱素子203)は、時間T1の間、第1の電力アレイによって表される波を受け取る。次いで、時間T2の間、第2の電力アレイのセルにより表された波を受け取る。逆に、第2のトライアックドライバ212(そしてその結果として第2の加熱素子204)は期間T1中に第2の電力アレイのセルによって表される波を受け取り、次いで、期間T2中に第1の電力アレイのセルによって表される波を受け取る。
本発明の実施形態は、2つよりも多くの負荷へ独立して電力を供給するために拡大し得る。デジタル電力供給装置が「n」個の負荷を独立して制御する実施形態においては、n個の電力アレイが必要とされる。更に、604における決定は、総電力を100%/nと比較する。図7の電力アレイを充填する技術はなおも適用可能であり、八(8)を乗算するのではないが、ステップ702で(n*4)により乗算することが必要である。更に、ステップ615及び616において、n期間が必要とされる。図9は、n期間に亘って供給されるn電力アレイのタイミングを示す。独立した制御を伴わない複数のヒーターによる実施形態もこの開示によって意図されていることを了承されたい。
本発明は、2つの加熱素子を独立に制御して、可変電力を与えつつ、低減された高調波電流及びフリッカを与えるための方法も提供する。本発明の実施形態において、ユーザーは、電気グリル110を起動して、例えばノブ101及び102を調節することにより、第1及び第2の電力レベルを選択する。電気グリル110を起動することによって、ユーザーはマイクロプロセッサ213を制御して以下のステップを実行し、1つ以上の加熱素子を制御するという利益を受ける。或る実施形態は任意の数のノブ又は無線を含めて他のユーザー入力を含み得ることを理解されたい。電気グリル110を起動することにより、ユーザーはマイクロプロセッサ213をオンにする。マイクロプロセッサ213はユーザーの選択した電力設定を受け取って、上述した計算を実行して、位相制御された波形を加熱素子203及び204へ供給する制御パターンでトライアックドライバ211及び212を起動する。
本発明の実施形態において、マイクロプロセッサ213は、2つの電力アレイ605−608をデータを格納することによって適切に位相制御された波形を計算するステップを実行する。各々の電力アレイは、4つのセルを有することがある。各々のセルは数「n」を包含し、ここで0.0≦n≦1.0である。数「n」は、電力の「n」パーセントを有する波形を表す。この波は、「過剰な」電力を排除するためにカットされる。マイクロプロセッサ213は、全ての加熱素子203、204により要請される総電力を計算することによって、電力アレイを充填するステップを実行し、これは、選択された電力の総可能電力と比較した割合として表現してもよい(小数の形式で)。
ユーザーにより要請された総電力(即ち全ての加熱素子についての総要請電力)が全体的な利用可能な電力の50%未満であるならば、マイクロプロセッサ213は第1の電力アレイを充填するステップを実行する(605)。電力アレイは、総電力数を電力配列の4つのセルに分布させることによって割り当てられる。606において、マイクロプロセッサ213は、第2の電力アレイへ全てゼロを格納する(即ち「0000」)ステップを実行する。ユーザーによって要請された総電力が全体的な電力の50%以上であるならば、マイクロプロセッサ213は第1の電力アレイを1で格納する(即ち「1|1|1|1」)ステップを実行し、第2の電力アレイは図7のステップに従って格納される(総電力−50%、即ち[702]マイナス4)。
第1及び第2の電力アレイが計算された後、マイクロプロセッサ213は各々の電力アレイのセルに対応する波形を供給する。具体的には、各々のセルの値は、1波サイクルで供給される電力の割合を表す。電力の任意の所定の割合を有する波を供給するために、マイクロプロセッサ213は位相角=arccos(2*x−1)を計算し、ここでxは任意の所定のセルに記述された電力の割合である。マイクロプロセッサ213は、計算された角度を用いて、計算された位相角に対応する時間点においてトライアックドライバ211又は212へ「オン」信号を供給する。マイクロプロセッサ213は、ゼロ交差信号及び上述の表1を用いて正しいタイミングを決定することができる。
マイクロプロセッサ213は、時間T1の期間の間、第1の電力アレイを第1のトライアックドライバ211へ、第2の電力アレイを第2のトライアックドライバ212へ繰り返し供給する。T1が経過した後、マイクロプロセッサ213は期間T2についての第1及び第2の電力アレイを「フリップ」する。換言すれば、図8に見られるように、T1が終了した後、T2が開始し、第1の電力アレイが第2のトライアックドライバ212へ供給され、第2の電力アレイが第1のトライアックドライバ211へ供給される。
マイクロプロセッサ213は以下のようにT1及びT2を計算するステップを実行する。
T1=2秒*(第1のヒーター総電力/組み合わせヒーター総電力)
T2=2秒*(第2のヒーター総電力/組み合わせヒーター総電力)
数学的には、T1+T2=2秒の電力供給相という計算になる。
このように、電力アレイは、2秒の組み合わせ電力供給相について供給される。より長いかより短い電力供給相を使用し得ることが意図されている。2秒後に、マイクロプロセッサ213は電力アレイを再計算する場合がある。電力アレイを再計算することによって、マイクロプロセッサ213はユーザー設定の変更を考慮するか、又は、加熱素子の温度を上げることから温度を維持することへ切り換える。
上述の装置及び方法へ適用される操作例が与えられる。例えば、ユーザーは第1と第2の加熱素子203と204とについて異なる電力レベルでグリル110を使いたいことがあり、例えば、マイクロプロセッサ213は第1の加熱素子203にその最大電力の17.5%を持たせ、第2の加熱素子204にその最大電力の僅か5%を持たせるように決定することがある。ここに説明される実施形態に従って、マイクロプロセッサ213は、それぞれ、17.5%と5%の電力を供給しつつ、電気グリルによりAC壁面コンセントにもたらされる高調波電流を低減するパターンで電力を引き出すように構成される。
この例では、第1及び第2の電力アレイは、以下のように計算される。第1及び第2の選択された電力レベルを合算して、総選択電力とする。例えば、17.5%+5%=22.5%、即ち0.225(603を参照)。これは50%未満であるので、マイクロプロセッサ213はステップ605を始める。ここに説明された技術を用いて、マイクロプロセッサ213は、八(8)を乗算して0.225*8=1.8とする。次に、マイクロプロセッサ213は第1の電力アレイに値1.8を格納する。具体的には、第1のセル及び第3のセルは、(1.8)/2=0.9の値を受け取る。第2及び第4のセルは、「0」のままである。このように、第1の電力アレイは「0.9|0|0.9|0」であり、第2の電力アレイは「0|0|0|0」である。
期間時間T1について、第1の電力アレイは第1のトライアックドライバ211へ供給され、第2の電力アレイは第2のトライアックドライバ212へ同時に供給される。第1及び第2の電力アレイの供給において、マイクロプロセッサ213は、波のカットに対応する時間において「オン」信号をそれぞれのトライアックドライバ211及び/又は212へ送る。例えば、第1の電力アレイの第1のセルは90%電力波(即ち0.9)が供給されることを指示する。90%電力波はarccos(2*0.9−1)=36.86°の「カット」角を必要とする。マイクロプロセッサ213は、36.86°においてトライアックドライバ211を「オン」に切り換えることにより90%電力波を供給する。表1の値と同様に、36.86°カットはゼロ交差の後の0.0017秒に電力を供給することによりなされる。続いて、第2のセルは、0%を有する「オフ」波が供給されることを指示する。第3の波は第1の波と同じであり、即ち、36.86°におけるカットであり、第4の波は第2の波と同じであり、即ち「オフ」である。第2の電力アレイはこの例では「0|0|0|0」であり、従って第2のトライアックドライバ212は未だ起動されていない。
この供給パターンは、612及び613に説明されたように期間T1に亘って持続する。ここでT1は、T1=2秒*(第1ヒーター総電力/組み合わせ総電力)=2*(0.175/0.225)=2*0.78=1.56秒として計算される。同様にT2=2*(0.05/0.225)=0.44秒である。この例においては、T1=1.56秒に亘って、第1の電力アレイ(「0.9|0|0.9|0」)は第1の加熱素子203へ供給され、第2の電力アレイ(「0|0|0|0」)は第2の加熱素子204へ供給される。1.56秒後、マイクロプロセッサ213は、0.44秒の期間に亘って第1及び第2の電力アレイの供給を「フリップ」する。組み合わせた2秒が経過した後に、マイクロプロセッサ213はその時間点において必要な電力に応じて第1及び第2の電力アレイを再充填することにより開始し得る。
マイクロプロセッサ213が、ここに記載されたステップを実行することに関連した読み取り及び/又は書き込みのための内蔵又は外部のメモリ1000及び構成を含み得ることが理解されよう。更に、マイクロプロセッサ213は内蔵又は外部クロック信号を有することができ、このクロック信号は「オン」信号をトライアックへ送る時間に用いることができることが理解されよう。クロック信号は、オンボード・クロック信号発生器1001により、又は外部クロックにより生成し得る。図10は、マイクロプロセッサ213への入力及び電力を示す例示的な概略図である。例は、左右のノブ101、102とディスプレイ103を含む。更なる例は、熱電対221、222と、トライアックドライバ208及び209との通信を含む。メモリ1000とクロック1001も示されて、ゼロ交差ユニット210からの入力信号1002も示されている。
ここに記載されたデバイス及び方法の実施形態の更なる利益は、デジタル電力供給装置200により壁面コンセントにもたらされるフリッカの低減である。フリッカは、特定の頻度で、コンセントへ接続している光源がちらつくか、暗くなる原因になるので好ましくない。図11は、IEC61000−3−3 電磁気互換性(EMC)−Part3−3(電圧変動及びフリッカ)のフリッカ制限を示す。フリッカは電圧における%変化で測定される。
本発明の実施形態は、単独の電力供給相内の波カットからもたらされる電圧変化に基づく壁面コンセントへのフリッカレベルを低減することができる。当業者は、フリッカは通常はデバイスの「定常状態」の間に測定されることを認識するであろう。
単独の電力供給相における電圧変化がフリッカ規制に従う。1101に見られるように(及び規格に更に記述される)、IEC 61000−3−3要求の最後のデータ・ポイントは1分につき2875電圧変化にある。これは、23.96Hzのサイクリング周波数と同等である。換言すれば、23.96Hzより高い周波数で起きる電圧変化は、それが人間の知覚を越えているので、フリッカ条件がない。ここに開示されたデバイスと方法の実施形態は、電気グリル110が波カットと全「オン」又は全「オフ」波との間で交番する波パターンを形成する。このパターンに従えば、電気グリル110は、50Hz ACで1秒につき25電圧変化(25Hz)及び60Hz ACで1秒につき30電圧変化(30Hz)を形成する。この25Hz及び30Hzサイクリング周波数は規格の最後のデータ点の23.96Hzを上回るのでフリッカ条件を満たす。
本発明の更なる利点は多重電力アレイへの電力分割及びそれらの多重加熱素子への供給から得られる。図6及び図7に記載された技術を用いて、電力アレイの1つは、常に「0|0|0|0」又は「1|1|1|1」である。これは、加熱素子203又は204の一方のみが「カット」波を任意の所定の時間に受け取ることができることを確実にする。その結果、電気グリル110の使用した電流(又は電力)は、最大定格電力の半分(1/2)より大きく降下することは決してない。例を挙げるために、電気グリル110により引き出された組み合わせ2300ワットで、2つの加熱素子203及び204がそれぞれ1150ワットを引き出すならば、1つの加熱素子203又は204において90°でさえ1150ワットの最大電力降下をもたらさないであろう。これは、高調波電流の大きさを低減するのを助ける。
フリッカ及び高調波条件を依然として満足しつつ、2つ以上の負荷、例えば加熱素子203、204に独立に電力を供給する代替的な構成及び方法も本明細書に開示される。例えば、完全な可変電力(即ち、0から100%の連続的範囲)を供給する必要がない実施形態においては、マイクロプロセッサ213は、離散値、例えば0%、50%、又は100%電力を各加熱素子へ(独立に)供給するように構成してもよい。そのような実施形態においては、図6から図9及びそれらに関連した文節で説明した電力アレイ計算を実行する必要はない。本明細書に開示されたように、フリッカ及び高調波要請の遵守は、離散電力供給を用いて依然として達成し得る。マイクロプロセッサ213は0%、50%、または100%の組み合わせで独立に2つの加熱素子へ供給するように構成し得るので、フリッカ又は高調波歪をもたらす如何なる位相カットも回避される。
更に具体的には、図12は、マイクロプロセッサ213、及び電気グリル110が一般に如何にして、離散電力レベルを用いて、電気システムへ位相カットを導入することなく、加熱素子203、204へ電力を供給するかを図解する。例えば、波形1201は0%電力供給を示す。波形1202は50%電力供給を示し、これは、加熱素子203、204へ供給された電流を制御する(例えば、「オン」及び「オフ」波を交互に供給する)ことにより、マイクロプロセッサ213が供給する。更に具体的には、波形1202において、マイクロプロセッサ213は、1つの完全な波サイクルを供給して、次いで次の波を「スキップする」ことにより、50%電力を供給する。従って、1つのみの波が2つのサイクル毎に供給されて、これは50%電力供給の状態に達する。1203の波形は完全な電力供給を示し、その間にマイクロプロセッサ213は完全な波形を供給する。
波形1204乃至1208は2つの加熱素子の各々への0%、50%、又は100%電力の組み合わせを示す。例えば、2つの加熱素子が共に0%電力で操作されるならば、組み合わせ電力使用量(例えば、電気グリル110についての組み合わせ電力プロファイル)は0であり、即ち、波形1204に見られるように平坦な線である。一方の加熱素子が0%で操作され、他方が50%で操作されるとき、組み合わせ電力プロファイルは、波形1205に見られるように、25%であり、ここで波形振幅は最大の半分であり、全ての第2の波形はスキップされる。当業者は、このような波形は可能な電力の25%に達することを知っているであろう。
1206の波形は利用可能な電力の50%を引き出すデバイス(例えば電気グリル110)を表す。この状況は、両方の加熱素子が50%の電力を引き出している場合、又は一方の加熱素子が100%の電力を引き出し、第2の加熱素子が0%の電力を引き出す場合に発生する。波形1202の目盛から必ずしも目で見て解るわけではないが、共に50%の電力で動作する第1及び第2の加熱素子は交互の波形を受けることを理解すべきである。換言すれば、マイクロプロセッサ213は、1つの波形を第1の加熱素子に送り、次の波形を第2の加熱素子などに送る。この交互のパターンは、1206に見られるように、滑らかな全体的な電力使用プロファイルを生成する。
1207の波形は、一方の加熱素子が100%の電力を引き出し、2番目の加熱素子が50%の電力を引き出しているか、又はその逆の場合に発生する75%の全電力使用量を表す。1207に見られるように、全振幅と半分の振幅を有する波が交番し、これは組み合わせられた75%の電力供給を与える。最後に、1208の波形は、両方の加熱素子が100%で動作している場合に発生する全体的な100%電力使用量を示す。1208の波形は、1206において50%の電力供給の振幅の2倍を有する。
開示されたデジタル電力供給装置及び電力供給のための方法は、電気グリルの回路に選択的に実装し得る。図2Aは、電気グリルに回路を与えるために保護回路200に選択的に追加できる更なる構成要素を示す。例えば、ライン201及びニュートラル202は、逓降変圧器215へ接続することができ、これにはゼロ交差検出ユニット210が接続されている。逓降変圧器215は低減された2次電圧を供給するので、ゼロ交差検出ユニット210は、ライン201とニュートラル202との間で、高電圧にさらされることなく、ゼロ交差を検出することができる。
更に選択的な実施形態は、全波整流器216を含み、これは漏電検出ユニット217へ給電し、これは次いで、電気機械的ラッチ206又は207(図2A参照)をトリップするトリップコントローラ218と通信する。漏電検出ユニット217はライン201とニュートラル202との間の信号不均衡を受けて、ラッチをトリップして有害な電流状況を防止する。
更なる選択的な実施形態は、ウォッチドッグモニター220を含み、これはマイクロプロセッサ213の操作を監視し、マイクロプロセッサ213の故障の際にトライアックドライバ211及び212を無効化する。また、マイクロプロセッサ213を駆動するのに使用することができるAC/DC電力変換器214と、加熱素子203及び204へ流れている電流を監視するためにマイクロプロセッサ213により用いることができる電流センサ、例えばホール効果センサ219とが設けられている。
図2Bは更に、トライアック208及び209とそれぞれ並列に構成されたリレー225及び226を開示する。リレー225及び226は、それぞれ加熱素子203及び204への電流の供給を制御するためにマイクロプロセッサ213によって制御ライン(図示せず)を介して制御される。リレー225、226とトライアック208、209との間の並列構成のために、電流は、リレー又はトライアックの何れかを作動させることによって加熱素子203、204に供給することができる。別の言い方をすれば、マイクロプロセッサ213は、それぞれのトライアック208、209又はそれぞれのリレー225、226の何れかを使用して、加熱素子203、204に電流を供給することができる。
加熱素子203、204にそれぞれ電流を供給することができる2つの構成要素(リレー及びトライアック)を有することの利点は、発熱を低減するためにマイクロプロセッサ213が2つの構成要素を交互に切り替えることができることである。例えば、加熱素子203、204に100%電力を供給することは、トライアック208、209が作動時に過熱する可能性がある。より具体的には、加熱素子203、204は、高温が望まれるとき比較的に高い電流量を引き出し、トライアック208、209を通る電流を長時間に亘って供給すると、トライアック208、209が過熱して最終的に劣化する可能性がある。これを回避するために、マイクロプロセッサ213は、「高」または比較的に高い電流を加熱素子203、204に送るときに、トライアック208、209を無効にし、代わりにリレー225、226を起動することができる。次に、加熱素子203及び/又は204にリレー225及び/又は226をそれぞれ通じて電流が流れ、それによってトライアック208、209が過熱するのを防止する。
開示されたデジタル電力供給装置が電気グリルに使用される実施形態では、希望目標温度を達成して維持することが望ましい場合がある。図2A−Bに示されるバンドコントローラ223は、希望目標温度を達成して維持するために設けてもよい。図2A−Bは、更に、バンドコントローラ223の機能を有するマイクロプロセッサ213の実施形態を示す。本開示の利益を有する当業者は、バンドコントローラ223をマイクロプロセッサ213の物理的及び/又は仮想的な従属部品とするか、又はこれに代えて、別個のハードウェア及び/又はソフトウェア構成要素としてもよいことを理解するであろう。本発明の実施形態においては、バンドコントローラ223はユーザー入力を介して目標温度を受け取って、加熱素子203、204へ供給された電力(即ち、電流)の量を制御して、ユーザーが選択した目標温度を達成するように構成してもよい。
バンドコントローラ223は、供給される電流の量を制御することによって加熱素子203、204における目標温度を達成して維持するためにハードウェア及びソフトウェアアプリケーションを用いることができる。バンドコントローラ223は、加熱素子203、204の近傍に位置する熱電対221、222からフィードバックを受け取って、そのようなフィードバックを用いて、目標温度がいつ到達したかを決定するようにしてもよい。本発明の実施形態において、熱電対221、222を用いているグリルの調理ボックス内の周囲温度を推定することが望ましい場合がある。特により高い温度で作動するとき、周囲温度(例えば加熱素子より上方に6インチ[約15.2センチメートル]又は8インチ[約20.3センチメートル]の位置の温度)が加熱素子203、204における温度とは同一ではない状況がある。食品がグリルの調理ボックス内の至る所に置かれるので(例えば加熱素子203、204より上方に6インチ[約15.2センチメートル]又は8インチ[約20.3センチメートル]の格子上)、バンドコントローラ223(及び/又はマイクロプロセッサ213)は、加熱素子203、204における温度よりもむしろ推定周囲温度に基づいて作動することが望ましい場合がある。周囲温度に基づく操作は、食品の温度のより正確な測定値を提供し、従って、食品の出来具合のより正確な測定を与える。
例示として、図13は熱電対121、122における温度1302に基づく周囲温度1301を正確に推定するための出願人の試験データを表す。そのx軸で、図13は、熱電対121、122で測定された温度1302を表す。そのy軸で、図13は対応する推定された周囲温度1301を表す。曲線1303は、測定された温度(x軸)の関数として、推定された周囲温度(y軸)を示す。図13の推定周囲温度は、ユーザーが料理用格子を設置し得る位置である加熱素子よりも数インチ上方で測定された。より高い温度では、周囲温度が熱電対で測定された温度から分かれることは明白になり、換言すれば、より高い温度では、加熱素子よりも上方の位置の推定周囲温度は加熱素子の温度よりも速く上昇する。例示として、参照点1304においては、推定周囲温度と熱電対1302の温度とは共に概ね等しく、150F(約65.6℃)である。より高い温度(例えば参照点1305)においては、熱電対の温度は300F(約148.9℃)であり、一方、推定周囲温度は概ね400F(約204.4℃)まで上昇した。このように、より高い温度では、より高いオフセットが正確に周囲温度を推定するために必要とされる。
図13に示されたオフセットを用いて、マイクロプロセッサ213、及び/又はバンドコントローラ223は、熱電対221、222で測定された温度に基づいて推定された周囲温度を計算するために、ハードウェア及び/又はソフトウェアに適合して且つ構成し得る。図13のオフセットは例示としてのみ与えられており、要因、例えば、調理用格子の高さと、周囲の状況に影響を及ぼすかもしれない他の要因とに基づいて増減し得ることを理解されたい。更に、マイクロプロセッサ213及び/又はバンドコントローラ223は、そのような推定された周囲温度をフィードバックループの一部として用い、目標温度にいつ到達するかについて判定することができる。換言すれば、或る実施形態においては、目標温度は推定周囲温度を指すことがあり、他の実施形態において、目標温度は熱電対221、222における温度を指すことがある。
更に他の実施形態が食品の温度を測定するために食品プローブ(図示せず)を用いることがあり、食品プローブから読み取られた温度に基づいて、目標温度にいつ到達するかを判定することも意図されている。食品プローブは温度検知デバイスであり、これはユーザーにより食品(例えばステーキ又は鶏の胸肉)へ挿入されることがあり、食品の内部温度を測定する。食品プローブを用いて温度を検知することは、それが食品の内部温度の正確な決定ひいてはその出来具合を与え、或る調理スタイルに有益なことがある。
一貫して目標温度を維持するために、バンドコントローラ223は所定の目標温度を囲んでいる温度「帯」を決定でき、その帯は、目標温度に近づくにつれて、加熱素子203、204に供給される電力(即ち、電流)の量を示す。本発明の実施形態においては、帯は、0%、50%、及び100%電力を表す領域を形成する。1401を上回る領域は0%電力が供給される温度領域を表し、1401と1403との間の領域は50%電力が供給される領域を表し、1403の下の領域は100%電力供給を表す。バンドコントローラ223は帯を用いて、加熱素子へ供給して希望目標温度を達成して維持するための適切な電力(例えば、電流)を決定する。例えば一例として、図14Aにおける例に見られるように、バンドコントローラ223は、希望目標温度1402が達成されるまで、100%電力を供給し、次いで上部帯1401に到達するまで、電力を50%に下げる。上部帯1401を越えたならば、バンドコントローラ223は電力を0%に下げる。温度が下部帯1403へ降下する(若しくは下回る)ならば、電力は再び100%に増加される。バンドコントローラ223は、熱電対221、222からフィードバックを連続的に受け取って、このフィードバック(或る実施形態においては、上述した推定周囲温度)を適切な温度帯と比較する。このように、温度は下部帯1403と上部帯1401との間を変動して、目標温度に近づく。
更に、本発明の実施形態において、バンドコントローラ223は、希望目標温度に従い帯を動的にシフトする。温度帯の動的シフトはより正確な温度調節を可能とし、ユーザーが選択された目標温度を概ね維持することを可能とする。これは、低い温度において、50%電力設定が電気グリルの温度が希望目標温度を過ぎて増加し続ける原因になることがあるので生じる。他方、より高い温度では、50%電力を供給することは、温度が下降を始める原因になることがある。従って、バンドコントローラ223は、低い希望目標温度について下部電力帯1403を下げて補償することがある。他方、より高い温度範囲においては、バンドコントローラ223は、より高い帯へシフトさせることがある。低い希望目標温度に対応する下げられた温度帯の例は、図14Bに示されている。図14Bにおいて、低い目標温度が選ばれて、バンドコントローラ223は上部電力帯(1401)を目標温度に対応させてシフトさせた。反対に、図14Cは、比較的に高い目標温度を示し、このためにバンドコントローラ223は電力帯を上昇させて、目標温度を100%電力帯(1403)と一致させた。図14Bにおいては、目標温度は電力帯1401と重なるが、図14Cにおいては、目標温度は電力帯1403と重なる。電力帯についての例示的な値は以下の表に示される。
独立して運転することができる複数の加熱素子を有する実施形態においては、ユーザーは複数の目標温度を入力することができる。例えば、2つの独立した加熱素子203、204を有する実施形態は、2つの別々の目標温度を受け取ることがあり、その各々は1つの加熱素子に対応している。目標温度は、任意の数の可能なユーザー入力を通じてバンドコントローラ223に伝えられる。非限定的な例として、可能なユーザー入力は、ノブ101、102を含む。ユーザー入力は、無線コントローラ224と通信するように構成された無線デバイスから、無線コントローラ224を介して無線で受信することもできる。そのような実施形態において、無線コントローラ224は、Wi−Fi、ブルートゥース(登録商標)、無線周波数又はその他の形態の無線通信を通して無線で遠隔デバイスと通信するように構成してもよい。遠隔デバイスは、携帯電話、タブレット、ラップトップ、コンピュータ、及び無線通信ができる任意の他の形態のデバイスを含む。図15は例示的な遠隔デバイス1501を表し、これはディスプレイ1502とユーザー入力デバイス1503とを有し、電気グリル110の無線コントローラ224と通信する。非限定的な例においては、遠隔デバイス1501は、タッチスクリーンをその入力デバイス1503として有する携帯電話としてもよい。使用されるデバイスの種類に関係なく、遠隔デバイス1501は、1つ以上の目標温度を表すユーザー入力を受け取って、この目標温度を無線コントローラ224を介して無線で電気グリル110に通信するように構成することが意図されている。
例示的な実施形態において、遠隔デバイス1501は、希望目標温度をユーザーから直接に受け取るように適合且つ構成してもよい。そのような実施形態においては、ユーザーは、目標温度を選択するために入力デバイス1503を使用することができる。他の例示的な実施形態においては、遠隔デバイス1501は、調理すべき肉の種類、及び希望の出来具合を選択するユーザー入力を受け取って、そのユーザーの選択について適切な目標温度を決定するように適合且つ構成してもよい。そのような実施形態においては、遠隔デバイス1501は、希望食品プロファイルと関連した適切な目標温度を記憶するメモリ1504を有していてもよい。ユーザーは、このように入力デバイス1503を用いて、食品プロファイルを選択すると共に、遠隔デバイス1501は関連する目標温度を無線で通信する。目標温度を制御することに加えて、遠隔デバイス1501の実施形態は、「オン」及び/又は「オフ」信号を無線で、無線コントローラ224を介して、マイクロプロセッサ213及び/又はバンドコントローラ223へ送信するように適合且つ構成されている。そのように、ユーザーは、電気グリル110をオン及びオフするのみならず、電気グリル110の両方の希望目標温度を制御することができる。
遠隔デバイス1501と電気グリル110との間の(無線コントローラ224を介する)無線通信の更なる例は、遠隔デバイス1501からディスプレイ103についての設定を遠隔に制御する能力を含む。このように、遠隔デバイス1501は、電気グリル110のディスプレイ103に表示される情報を無線で制御するように適合且つ構成してもよい。遠隔デバイス1501は、どの情報をディスプレイ103に表示するかを制御すると共に、ユーザーに温度測定に関する(C)摂氏と(F)華氏との間の切り換えを可能にしてもよい。そのような情報は、電気グリル110の現在の温度、周囲温度、目標温度のみならず、グリルがどれくらい作動しているか、食品をどれくらい調理しているか、又は、食品がその目標温度に到達するまで時間がどれくらい残っているかを示すタイマーを含んでもよい。そのような情報は、電気グリル110から、無線コントローラ224を介して、遠隔デバイス1501まで更に無線で送信されてもよい。
次に、遠隔デバイス1501は、そのような情報をユーザーに遠隔デバイスディスプレイ1502上に与え、予め定められた温度に達したならば、或いは、食品が所定の時間調理されたならば、その情報を更に用いて、電気グリル110をオフに無線で切り換え、又はその希望目標温度を下げるようにしてもよい。例示的な実施形態においては、食品プロファイルはメモリ1504に記憶され、ここでは、そのような食品プロファイルが、所定の食品についての適切な目標温度及び/又は適切な調理時間の何れかを示す。遠隔デバイス1501は電気グリル110から無線で受け取られた情報を監視して、適切な温度又は調理時間に達したか否かを判定するようにしてもよい。遠隔デバイス1501は、そのことが起こった時点で、電気グリル110をオフに切り換えて、及び/又は聴覚的又は視覚的警報を与えるように適合且つ構成してもよい。そのような聴覚的及び/又は視覚的警報は遠隔デバイス1501に設けてもよく、電気グリル110に設けてもよく、或いはその両方でもよい。
更に、本発明の実施形態は、無線通信を用いて電気グリル110から遠隔デバイス1501へエラーコードを送ることも意図されており、そのエラーコードは、ここで更に説明するように、安全ではない電流の状態を示すようにすることができる。エラーコードを遠隔デバイス1501に送ることは、安全でない電流の状態がいつ起こったかについてユーザーが遠隔で理解することを可能にするという利点があり、遠隔デバイス1501は、安全ではない電流の状態を修正するための安全助言を更に表示するのみならず、安全ではない状態を導いた状態を記録するようにすることができる。
エラーコードは、例えば図2に示される回路と共に作動するマイクロプロセッサ213により判定し得る。ここに更に解説されるように、マイクロプロセッサ213は、制御ラインを介して、短絡検出ユニット217及びホール効果センサ219と通信し得る。このように、マイクロプロセッサ213は、短絡が検出されたことを示している短絡検出ユニット217から制御信号を受け取るように適合且つ構成してもよい。同様に、マイクロプロセッサ213は、ホール効果センサ219からの信号を用いて加熱素子203及び204へ供給される電流におけるエラーを認識するように適合且つ構成してもよい。ここに更に説明するように、ホール効果センサ219からのゼロ電流の読み取りは、加熱素子203及び204が少しの電流も受け取っていないことを示す一方、予期しない高い電流読み取りは、過剰な電流が過熱素子203及び204へ流れていることを示す(例えば「過電流」状況)。
本発明の実施形態において、マイクロプロセッサ213は、これらのエラーを認識して、無線コントローラ224を介して、発生したエラーに対応するエラーコードを無線で通信するように適合且つ構成してもよい。例えば、「01」のエラーコードは、短絡が検出されたことを示し、「02」は、ホール効果センサ219が電流が加熱素子203及び/又は204へと流れていないと判定したことを示し、及び「03」は、ホール効果センサ219が予期しない高い電流が加熱素子203及び/又は204へ流れているのを検出したことを示すようにすることができる。マイクロプロセッサ213が「自己チェック」機能を含むチップである実施形態においては、「04」のエラーコードは、自己チェックピンがマイクロプロセッサ213の故障を判定するならば、送るようにすることができる。当業者には、如何なる種類のコードでも各々のエラーを示すのに用いられ得ることが認識されるであろう。エラーに応じて、聴覚的又は視覚的警報が電気グリル110(例えば、ディスプレイ103上を含めて)において合図されるようにしてもよい。同様に、遠隔デバイス1501は、エラーコードを受け取ると即座に、聴覚的又は視覚的警報を与えるようにしてもよい。エラーコードの識別及び送信に関する更なる開示は、出願人の係属中の出願第15/200,687号、発明の名称”Electric Grill with Circuit Protection Circuitry”、出願日2016年7月1日、及び同じく係属中の特許出願、発明の名称”Wireless Control And Monitoring For Electric Grill With Current Protection Circuitry”、本願と同日出願に見い出され、これらの両方はウェーバー‐スティーブン プロダクツ エルエルシーに譲渡されており、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれている。
遠隔デバイス1501は、エラーコードを無線で受け取り、ディスプレイ1502上にエラーの種類を特定するメッセージをユーザーに表示するように適合且つ構成してもよい。そのようなエラー・メッセージは、遠隔デバイス1501における聴覚的又は視覚的警報を伴うことができる。遠隔デバイス1501は更に、メモリ1504に記憶されたメッセージを表示し、ユーザーがエラーを修正するために採るべき処置を説明するように適合且つ構成してもよい。例えば、ここに更に説明されるように、図2の回路は短絡に応じてリレー206及び/又は207を切るように構成してもよい。従って、マイクロプロセッサ213が短絡を示すエラーコード(例えば「01」)を遠隔デバイス1501に送るならば、遠隔デバイス1501は短絡が起こったことをユーザーに警報すると共に、ユーザーにリレー206及び/又は207をリセットするように促すメッセージを表示するようにしてもよい。
エラー「02」に応じて、遠隔デバイス1501は電流が加熱素子203及び/又は204へ流れていないことをユーザーに警報するように適合且つ構成してもよい。電流の流れの欠如は、例えば、加熱素子203、204が適切に設置されていない(起こる場合がある)時の、開回路を示すことがある。このように、遠隔デバイス1501は、加熱素子203、204を取り外して、再度設置することをユーザーに促すメッセージを表示してもよい。エラーが持続するならば、遠隔デバイス1501はユーザーに製造業者に連絡することを促すようにしてもよい。
同様に、エラーコード「03」が受け取られたならば、過電流が生じている。過電流の1つの可能性がある原因は、ユーザーが誤った抵抗値を有する非互換性の若しくは不良品の加熱素子を設置したことである。(誤って低い抵抗値を有する加熱素子は不適切に高い電流がその中を流れる原因になる)。例えば、120Vで作動するように設計された加熱素子は、230Vで機能するには低く過ぎる抵抗値を有し、過電流を引き起こす。このように、ユーザーは加熱素子をチェックするか、それを新しいものと交換するように促されるようにしてもよい。
遠隔デバイス1501は、エラーのログを作製して、それらをメモリ904に記憶させることができる。そのようなエラーログは、発生した各々のエラーの記録を含むことができる。更に、遠隔デバイス1501が電気グリル510から状態情報(例えば加熱素子の温度、周囲温度、温度目標、調理時間などの)を受け取る実施形態において、そのような状態情報は、エラーログに記録されることもある。状態情報は、連続的に供給されてもよく、または、エラーに応じて供給されてもよい。例示として、エラーが発生する前にグリルはどれくらい調理していたか、エラーの時点のグリルの温度、及び他の関連する情報が解っていることが有利なことがある。エラーログは、エラーを診断するのに有効である場合がある。当業者には、多種多様なパラメータがエラーログの一部として記録されて記憶されることが理解されるであろう。
或る実施形態においては、遠隔デバイス1501は、インターネット接続1505を有することができる。インターネット接続1505は、遠隔デバイス1501に、記録されたエラーログを選択的に第三者、例えば電気グリルの製造業者に送らせることを可能にする。従って、製造業者は、発生したエラーとエラーの周囲の状況をよりよく理解することができる。これは、製品修理と改善を導くことができる。
上述した理由で、本発明の或る実施形態は、加熱素子の寿命を延ばすためにデジタル電力供給装置を与えることがあり、このデジタル電力供給装置は、フリッカ条件を満たし、また高調波条件を満たす。これらの利益は、ここに記載されたデバイスと方法を使用して達成し得る。例えば、2秒の電力供給相を用いることは、加熱素子が常に完全に拡大するか完全に収縮することを防ぐ。加熱素子を完全に拡大するか収縮させる長い電力供給相は、加熱素子の寿命に非常に有害である。AC流によって決定される25−30Hzのサイクリング周波数を持つ交互の波パターンを記述する総電力アレイを形成することによって、フリッカ条件は満たされる。更に、本発明のデバイス及び方法を用いて形成し得る総電力アレイは、全「オン」又は全「オフ」波を有するカット波が常に続くことによって、高調波電流を低減する。高調波電流は電気グリル110の組み合わせ負荷を2つ以上の素子に分割することによっても低減される。
上述の説明は、本発明を規定する以下の請求項で使用される語の意味又は要旨を限定することを目的とするものではない。むしろ、説明と実施形態は、様々な実施形態を理解することを支援するために提供されている。構造、機能、又は結果の将来的な変更例が存在し、これは実質的な変更ではなく、それらの僅かな変形例は請求項により包含されるように意図された請求項の範囲内であることが意図されている。従って、本発明の好ましい実施形態が例示されて説明されている一方、当業者には幾多の変形例及び変更例が請求された発明を逸脱しない範囲でなすことができることが理解されるであろう。更に、用語「請求された発明」又は「本発明」は本明細書ではときおり単数形で使用されているが、説明して請求したように複数の発明があることが理解されよう。
本発明の様々な特徴は、以下の特許請求の範囲に記載されている。