JP6837890B2 - 粉じん飛散抑制材及び粉じん飛散抑制方法 - Google Patents

粉じん飛散抑制材及び粉じん飛散抑制方法 Download PDF

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本発明は、粉じん飛散抑制材、及びこの粉じん飛散抑制材を用いた粉じん飛散抑制方法に関する。
解体工事でコンクリート等を破砕する際、また、トンネル工事で岩石等を破砕する際、コンクリートや砕石の微細な粉が粉じんとして発生する。粉じんは作業環境を悪化させるだけでなく、周辺環境に飛散した場合、近隣に悪影響を及ぼす。特に都心部においては、周辺環境に配慮する必要がある。
粉じんの飛散を抑制するために、従来から破砕箇所に散水しているが、単に散水するだけでは十分でない。そこで、粉じんの飛散を抑制する効果を高めるために、散水する水に添加剤を加えることがある。
添加剤として界面活性剤を用いることが多い。これは、水滴が粉じんに接触しても弾かれるが、界面活性剤が水の表面張力を下げる性質を使用して、界面活性剤を含む水が粉じんの周りに吸着するので、粉じんが飛散することを防ぐことができるためである。
例えば、特許文献1には、解体作業の対象となる建物をシートで覆い、一部に設けた開口から重機のアームを差込んで解体する際、アーム先端に設置されたノズルから薬液水溶液を解体部に向けて噴射することが記載されている。薬液としてアニオン系の界面活性剤を用い、霧又は泡の形態の水溶液としてノズルから噴射される。
また、特許文献2には、粉じん発生部位に起泡剤溶液を投射し、衝突により発生した泡によって粉じんの飛散を抑制することが記載されている。
特許第3986490号公報 特許第4177825号公報
しかしながら、上記特許文献1,2に記載された技術を含めた従来技術では、粉じんの飛散を十分に抑制することはできず、少しでも効果的に粉じんの飛散を抑制することが求められていた。
本発明は、以上の点に鑑み、粉じんの飛散抑制効果の向上を図ることが可能な粉じん飛散抑制材及び粉じん飛散抑制方法を提供することを目的とする。
本発明の粉じん飛散抑制材は、粉じんに水を付着させて粉じんの飛散を抑制する粉じん飛散抑制材であって、ファインバブル発生装置を稼働して得たファインバブル水に界面活性剤が添加されてなることを特徴とする。
本発明の粉じん飛散抑制材によれば、後述する実施例から分かるように、単なる水に界面活性剤が添加されてなる粉じん飛散抑制材と比較して、粉じん抑制効果の向上を図ることが可能となる。さらに、上記特許文献1,2に記載された技術のように粉じん飛散抑制材が泡の形態をとる粉じん飛散抑制材と比較しても、粉じん抑制効果の向上を図ることが可能となる。
これらは、第1に、見かけの濡れ性が向上したためである。見かけの濡れ性が向上した理由は、ファインバブルは球相当直径が100μmを超える通常の気泡に比べて、同容積で比較すると気泡の比表面積が大きく、気液界面での作用や物理的吸着が飛躍的に優れているので、固体粒子に効果的に付着するため、ファインバブルと粉じん表面との間に界面活性剤が添加された水が廻り込んで粉じん全体を包むようになるからであると推測する。
第2に、ファインバブルは、疎水性作用があり同じく疎水性部分を持つ物質に付着しやすい、負に帯電するため帯電している物質に付着しやすいなどの性質があるので、ファインバブルが粉じんに付着しやすいからであると推測する。
本発明の粉じん飛散抑制材において、表面張力が65dyne/cm以下であることが好ましい。
この場合、後述する実施例から分かるように、粉じん飛散抑制材中の添加剤の濃度の割合を増加させて表面張力を65dyne/cm(65×10−3N/m)を超えるものとしても、粉じんの飛散を抑制する効果が左程向上しないので、添加剤の量などを抑制することができるためである。
また、本発明の粉じん飛散抑制材において、前記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であり、0.1体積%以上添加されていることが好ましい。
この場合、非イオン性界面活性剤は起泡性を有さないので、ファインバブルによっても泡立つことがなく、粉じんの飛散を抑制する効果が低下することの防止を図ることが可能となる。さらに、後述する実施例から分かるように、非イオン性界面活性剤が0.1体積%未満であると、その濃度の小ささに応じて、粉じんの飛散を抑制する効果が低下するが、濃度が0.1体積%を超えても粉じんの飛散を抑制する効果が左程向上しないからである。
また、本発明の粉じん飛散抑制材において、前記ファインバブル水におけるファインバブルの割合が0.002体積%以上であることが好ましい。
この場合、後述する実施例から分かるように、ファインバブルの割合が0.002体積%以下であればその割合の小ささに応じて粉じんの飛散を抑制する効果が低下するが、0.002体積%を超えていれば粉じんの飛散を抑制する効果がほぼ同じであるためである。
本発明の粉じん飛散抑制材方法は、粉じんに水を付着させて粉じんの飛散を抑制する粉じん飛散抑制方法であって、ファインバブル発生装置を稼働してファインバブル水を得る工程と、前記ファインバブル水に界面活性剤を添加して粉じん飛散抑制材を製造する工程と、前記粉じん飛散抑制材を粉じん発生源に散布する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の粉じん飛散抑制材方法によれば、後述する実施例から分かるように、単なる水に界面活性剤が添加されてなる粉じん飛散抑制材を散布する場合と比較して、粉じん抑制効果の向上を図ることが可能となる。さらに、ファインバブルは球相当直径が100μmを超える通常の気泡に比べて、同容積で比較すると気泡の比表面積が大きく、気液界面での作用や物理的吸着が飛躍的に優れているので、上記特許文献1,2に記載された技術のように粉じん飛散抑制材が泡の形態をとる粉じん飛散抑制材を散布する場合と比較して、粉じん抑制効果の向上を図ることが可能となる。
添加剤濃度と粉じん除去率との関係を示すグラフ。 添加剤濃度と粉じん飛散抑制材の表面張力との関係を示すグラフ。 ファインバブル発生装置の稼働時間及び添加剤濃度と粉じん飛散抑制材の表面張力との関係を示すグラフ。
本発明の粉じん飛散抑制材について説明する。
本粉じん飛散抑制材は、コンクリート、岩石等を破砕する際に発生する粉じんの飛散を抑制する添加材であり、ファインバブル水に界面活性剤が添加されてなるものである。
ファインバブルは、球相当直径が100μm以下の気泡と定義されている。特に、直径が1〜100μmの気泡は「マイクロバブル」、直径が1μm以下の気泡は「ウルトラファインバブル」とされるが、本発明のファンバブル水は、これらマイクロバブル及びウルトラファインバブルを含むファインバブルを含有する水溶液である。
ファインバブルは、球相当直径が100μmを超える通常の気泡に比べて、同容積で比較すると気泡の比表面積が大きいので、気液界面での作用や物理的吸着が飛躍的に優れているという利点を有する。例えば、ファインバブルは通常の気泡と比較して、固体粒子に効果的に付着することによって、粒子周辺に水が廻り込み、見かけの濡れ性が向上する。
また、ファインバブルは通常の気泡と比較して、水中での上昇速度が遅く、長く水中に留まる。さらに、ファインバブルは通常の気泡と異なり、コロイドとしての側面を有し、負に帯電しているので、ファインバブル同士は反発し合う。このため、ファインバブル同士の結合がなく、気泡濃度の減少がほとんど生じないといった性質を有する。
ファインバブル水におけるファインバブルの割合は0.002体積%以上であることが好ましい。これは、後述する実施例から分かるように、ファインバブルの割合が0.002体積%以下である場合は、この割合が大きいほど、粉じん飛散抑制効果が向上するためである。
なお、ファインバブルの割合が0.002体積%以上である場合、この割合が大きくなっても、粉じん飛散抑制効果がほとんど向上せず、ファインバブルを発生させるファインバブル発生装置の稼働時間が長くなり、作業時間及びエネルギー効率の点から好ましくない。よって、ファインバブル水におけるファインバブルの割合は0.002体積%又はこれを少し超えた割合であることが最も好ましい。
界面活性剤は、分子内に水になじみやすい親水基と水になじみにくい疎水基を有する物質の総称であり、両親媒性分子とも呼ばれる。
一般的に、表面張力が弱くなると、粉じん飛散抑制材の粉じんの飛散抑制効果が向上する。全ての界面活性剤は水の表面張力を弱める作用を有するので、本発明の添加剤として用いる界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤(アニオン界面活性剤)、陽イオン性界面活性剤(カチオン界面活性剤)、両性界面活性剤(双性界面活性剤)、非イオン性界面活性剤(ノニオン界面活性剤)の何れであってもよい。
ただし、非イオン性界面活性剤を添加剤として用いることが好ましい。これは、イオン性界面活性剤は起泡剤として機能するものが多く、ファインバブル水と混合、攪拌したり、解体対象へ投射・衝突させる際に泡立つ可能性があるためである。泡立つと、解体対象の表面が視認できなくなると共に、粉じんの混じった溶液を回収した後に消泡してから処理する必要があり、不都合である。よって、添加剤として非イオン性界面活性剤であって起泡剤としての機能のないものを使用することが好ましい。
非イオン性界面活性剤がファインバブル水に添加されている場合、添加量は0.1体積%以上であることが好ましい。これは、後述する実施例から分かるように、非イオン性界面活性剤の添加量は0.1体積%以下である場合は、添加量が多いほど、粉じん飛散抑制効果が向上するためである。
なお、非イオン性界面活性剤の添加量は0.1体積%を超えると、添加量の増加に伴って粉じん飛散抑制効果は向上するが、添加量に比例するほどの効果は示さないので、添加量に対する効果向上の割合が減少する。よって、非イオン性界面活性剤の添加量は0.1体積%又はこれを少し超えた添加量であることが、非イオン性界面活性剤のコストを考慮すると最も好ましい。
そして、粉じん飛散抑制材は、ファインバブル水に界面活性剤を添加することにより製造する。これは、界面活性剤を添加した水に対してファインバブル装置を用いてファインバブル水にした場合と比べて、粉じん飛散抑制効果が優れているからである。この理由は、界面活性剤がファインバブル装置を通過することによって、界面活性剤に何らかの変化が生じ、表面張力を弱める作用が低下したためであると考えられる。
本発明の粉じん飛散抑制方法は、上述したようにして、ファインバブル水に界面活性剤を添加して粉じん飛散抑制材を製造する工程と、この粉じん飛散抑制材を粉じん発生源に散布する工程とを含んでいる。
粉じん発生源は、例えば、解体工事におけるコンクリート破砕箇所、トンネル工事における岩石破砕箇所などである。粉じん飛散抑制材を、粉じんの発生と同時に散布しても、粉じんの発生前に予め散布しておいても、これらの散布を組み合わせてもよい。
粉じん飛散抑制材は、従来の界面活性剤を水に添加したものを散布するときと、散布装置、散布流量、散布時間などを同様にして散布すればよい。
以下、本発明の実施例及び比較例について説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されない。
密閉された空間内で粉じんを発生させ、発生した粉じんの除去率を測定した。
具体的には、一辺1800mmの立方体状の密閉された部屋において、作業者が電動ベビーサンダーを用いて同じ研磨条件でコンクリートを研磨し、粉じんを発生させた。研磨開始による粉じんの発生と同時に、ハイワッシャーを用いて粉じん飛散抑制材を研磨箇所に50mL/分の流量で散布し、研磨しながら散布を20秒間継続した。その後、30秒間拡散させた後、60秒、飛散している粉じんの量を計測し、その計測値から粉じんの除去率を求めた。なお、研磨の開始から計測の終了まで、室内に設けたファンで粉じんを拡散させた。
粉じん濃度を、室内に配置した柴田科学株式会社製のデジタル粉塵計LD−5Rを用いて測定した。そして、除去率は、「粉じん飛散抑制材を使用しない場合の粉じん量」から「粉じん飛散抑制材を使用した場合の粉じん量」を差し引いた値を「粉じん飛散抑制材を使用しない場合の粉じん量」で除したものとして算出した。各種の粉じん飛散抑制材を散布した場合の粉じんの除去率を図1のグラフに示した。
比較例1として、粉じん飛散抑制材として、添加剤(浸透剤)を何も加えていない水(添加剤の濃度が0体積%の水道水)を用いた場合、図1に示すように粉じんの除去率は約62%であった。
比較例2として、粉じん飛散抑制材として、添加剤を何も加えていないファインバブル水(添加剤の濃度が0体積%のファインババブル水)を用いた場合、図1に示すように粉じんの除去率は約67%であり、水道水の場合と比較して、除去率は向上した。
なお、ファインバブル水は、25Lの水道水に対して株式会社坂本技研製のファインバブル発生装置を1時間稼働させて得たものを使用した。このファインバブル発生装置は、株式会社株荏原製作所製のポンプEBARA POMP 40DWT6.25SBに、株式会社坂本技研製の微細気泡発生ノズルMBF−S25Aを2本設置したものとして構成されており、微細気泡発生ノズル1本当たり、水流量が40L/分、空気流量が1〜2L/分の性能を有するものであった。
比較例3として、粉じん飛散抑制材として、水道水に濃度を変えて添加剤を添加したものを用いた場合、図1に示すように、粉じん飛散抑制材として水又はファインバブル水を用いた場合と比較して、除去率は向上した。
添加剤として、株式会社タック製の浸透剤TACフィルトSを用いた。TACフィルトSは、主成分がジメチルポリシロキサンであるシリコーン系であり、形態はエマルジョン型、外観は乳白色液体、pHは7.0であり中性である。比重は1.00である。
TACフィルトSは、毒性が極めて低く、作業者が吸引しても人体に問題はない。また、TACフィルトS水溶液が散水後に地表、地中、河川水等に混入しても安全上問題なく、環境性能に優れている。
実施例として、粉じん飛散抑制材として、比較例3と同じ添加剤を濃度を変えて、比較例2と同じファインバブル水に添加したものを用いた場合、図1に示すように、粉じん飛散抑制材として水に添加剤を添加したものと比較して、除去率は2%〜8%程度向上した。
添加剤の濃度と粉じん飛散抑制材の表面張力との関係を図2のグラフに示した。なお、添加剤は、比重が1.00であるので、濃度は体積%と重量%とで同じである。また、このグラフで添加剤濃度が0.1体積%の値を65dyne/cmにプロットしているが、これは後述するように、ファインバブル発生装置を1〜5分稼働させて得たファインバブル水に添加剤を0.1体積%加えた場合の表面張力の平均値である。
ここで、水及びファインバブル水にそれぞれ添加剤を添加した場合の粉じん飛散抑制材の表面張力を求めた。株式会社マツボー製の携帯式接触角計PG−X+を使用して水滴の接触角を計測し、この水滴の形状に基づいて表面張力を算定した。
図2から分かるように、ベースが水及びファインバブル水である双方の場合に共通に、添加剤の濃度の増加に伴って表面張力は低下したが、ファインバブル水のほうが低下の程度が大きかった。ただし、これは実際に表面張力が低下したのではなく、見かけの濡れ性が向上したことが表面張力の低下として計測されたものと考える。これより、ファインバブル水をベースした場合、見かけの濡れ性が向上した分、水をベースにした場合に比べて粉じんに吸着させやすくすることができると言える。
図1から分かるように、水をベースした場合、ファインバブル水をベースにした場合共に添加剤を加えることにより粉じん除去率が向上した。これは、図2から分かるように、添加剤により表面張力を低下させたことにより、何れの場合も粉じん除去効果が向上したためであると考えられる。
また、図1から分かるように、添加剤を添加しない場合も添加した場合も共に、水をベースした場合と比較してファインバブル水をベースにしたほうが粉じん除去率が向上した。
これは、第1に、見かけの濡れ性が向上したためであると考えられる。見かけの濡れ性が向上した理由は、ファインバブルは固体粒子に効果的に付着するため、ファインバブルと粉じん表面との間に界面活性剤が添加された水が廻り込んで粉じん全体を包むようになるからであると推測される。そして、第2に、ファインバブルは疎水性作用があり同じく疎水性部分を持つ物質に付着しやすい、負に帯電するため帯電している物質に付着しやすいなどの性質があるからであると推測される。
図1に戻って、添加剤の濃度が0.1体積%までは、ベースが水でもマイクロバブル水でも、粉じんの除去率は急激に増加したが、添加剤の濃度が0.1体積%を超えて増加しても双方共に粉じんの除去率はあまり増加しなかった。
図2を参照すると、添加剤の添加量が0.1体積%を超えても、粉じん飛散抑制材の表面張力は大きく減少している。このことから、粉じんの除去効果は、添加剤の添加量が0.1体積%を超えると必ずしも粉じん飛散抑制材の表面張力の減少に応じて大きくなるものではなく、添加剤の濃度が0.1体積%以上であれば、所定の効果が期待できることが分かった。これは、計測された表面張力の減少は、実際の表面張力の減少によるものだけではなく、見かけの濡れ性が向上したことにより、見かけの表面張力が減少したことに起因するからであると推測される。そして、見かけの濡れ性による粉じん抑制効果は、見かけの表面張力の低下分より大きいと言える。
以上より、TACフィルトSは毒性が低くほぼ無害であるが、安全性と経済性から添加量は少ないほうが好ましいので、添加剤の使用量を抑制したうえで、効果的に粉じんを抑制するには、添加剤の濃度を0.1体積%とすることが好ましいことが分かった。ただし、添加剤の濃度が0.1体積%を超えると、その濃度量に比例して粉じんの除去効果を得られるものではないが漸増はするので、除去効果をさらに高める必要がある場合の添加剤の濃度は、0.1体積%を超えたものとしてもよい。
次に、ファインバブル発生装置の稼働時間、及びファインバブル水に添加した添加剤の濃度を変えた場合の表面張力を測定した。ファインバブル発生装置の稼働時間及び添加剤の濃度と表面張力との関係を図3のグラフに示した。
ファインバブル発生装置の稼働時間が長くなるほど、ファインバブル水中のファインバブルの体積割合は高くなるものと考えられる。しかし、表面張力はファインバブル発生装置の稼働時間が30秒までは低下するが、それ以降はほぼ横ばいになっており、これ以上稼働させても見かけの濡れ性は向上しないと考えられる。なお、実際に使用する場合は安全率を考えて稼働時間を1分間とすることが望ましい。
上記のファインバブル発生装置を1分稼働させた場合、ファインバブル発生装置を通過する水道水の流量は80L、空気の流量は3.0Lであり、これは、25Lの水道水に対して、水の通過流量が全水量の3.2倍、空気の通過流量が全水量の12%であった。
100Lの水にファインバブル発生装置を30分間稼働させた場合、得られたファインバブル水を1L取り出し、超音波を照射して全てのファインバブルを除去したところ、0.0155mLだけ減少した。これより、25Lの水にファインバブル発生装置を1分稼働させて得られるファインバブル水中のファインバブルの割合は0.002体積%であると推定される。
これより、添加剤の濃度に拘わらず、ファインバブル水中のファインバブルの体積割合は0.002体積%以下である場合は、この体積割合が大きいほど粉じん飛散抑制材の表面張力は減少するが、体積割合が0.002体積%を超える場合は、体積割合が大きくなっても粉じん飛散抑制材の表面張力はほぼ同じである(見かけの濡れ性が向上しない)ことが分かった。
また、図3から分かるように、添加剤の濃度が増加するほど、粉じん飛散抑制材の表面張力が減少した。しかし、添加剤の濃度が変わっても、ファインバブル発生装置の稼働時間が30秒を超えると表面張力がほぼ同じであった。これは、前述したようにファインバブルによる濡れ性の向上による効果は表面張力の低下として計測されるので、ファインバブル発生装置を30秒以上稼働させて、良好な粉じん除去効果を奏することが期待できるファインバブルの割合になると推測される。
以上のことから、ファインバブル発生装置を安全率を考慮して1分以上稼働させて得たファインバブル水をベースとして、添加剤を0.1体積%以上加えたものが粉じん飛散抑制材として好適であると言える。
なお、添加剤の濃度が0.1体積%の表面張力は、ファインバブル水をベースとした場合は平均で65dyne/cm(65×10−3N/m)であった。よって、上記を言い換えれば、ファインバブル水におけるファインバブルの割合が0.002体積%以上であり、表面張力が65dyne/cm以下であることが粉じん飛散抑制材として好適であると言える。
なお、本発明は、上述した実施例に具体的に記載した添加剤及びマイクロバブル発生装置などに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内であれば適宜変更することができる。

Claims (5)

  1. 粉じんに水を付着させて粉じんの飛散を抑制する粉じん飛散抑制材であって、ファインバブル発生装置を稼働して得たファインバブル水に界面活性剤が添加されてなることを特徴とする粉じん飛散抑制材。
  2. 表面張力が65dyne/cm以下であることを特徴とする請求項1に記載の粉じん飛散抑制材。
  3. 前記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であり、0.1体積%以上添加されていることを特徴する請求項1又は2に記載の粉じん飛散抑制材。
  4. 前記ファインバブル水におけるファインバブルの割合が0.002体積%以上であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の粉じん飛散抑制材。
  5. 粉じんに水を付着させて粉じんの飛散を抑制する粉じん飛散抑制方法であって、
    ファインバブル発生装置を稼働してファインバブル水を得る工程と、
    前記ファインバブル水に界面活性剤を添加して粉じん飛散抑制材を製造する工程と、
    前記粉じん飛散抑制材を粉じん発生源に散布する工程とを含むことを特徴とする粉じん飛散抑制方法。
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