JP6837787B2 - 塩化ビニル系塗料及び管材 - Google Patents

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Description

本発明は、塩化ビニル系共重合体を含む塩化ビニル系塗料に関する。
マンション、アパート、戸建住宅、及び商業施設等においては、給水や排水等を行うために、管材や板材等が多く使用されている。また、家庭の台所や飲食店街等の業務用厨房からの排水には、ラード等の食用油脂分が多く含まれている。この油脂分は、管材や板材等に付着しやすく、管材や板材等の表面に徐々に蓄積されていき、管材や板材等の性能を低下させることが知られている。
また、塩化ビニルモノマー及び親水性モノマーの共重合体(塩化ビニル系共重合体)は吸水可能であり、吸水によって油脂分の付着を抑制することができる。管材や板材等の成形体の表面に塩化ビニル系共重合体の薄膜を形成させることで、管材や板材等の成形体の表面への油脂分の付着を抑制することができる。管材や板材等の成形体の表面に薄膜を形成させる方法としては、塗装等が挙げられる。
塗装により管材や板材等の成形体の表面に薄膜(塗膜)を形成する方法では、塩化ビニル系共重合体を含む塗料が使用される。該塗料には、塩化ビニル系共重合体を膨潤させるために、有機溶剤が含まれている。塗装により管材や板材等の成形体の表面に薄膜(塗膜)を形成する方法では、管材や板材等の成形体の構造に関係なく、管材や板材等の成形体の表面に薄膜(塗膜)を形成することができる。しかし、上記塗料に含まれる有機溶剤の影響で、管材や板材等の成形体に品質に問題が発生することがある。管材や板材等の成形体の品質に問題が生じないことが求められている。
下記の特許文献1には、粉末状着色剤(A)と、塩化ビニル系樹脂(B)と、有機溶剤(C)とを含む塩化ビニル系塗料が開示されている。上記粉末状着色剤(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂(a1)と、該樹脂(a1)より軟化点が低い合成樹脂又は常温固形可塑剤(a2)と、常温液状可塑剤(a3)と、顔料(a4)とを含む。また、特許文献1の実施例では、上記有機溶剤(C)として、メチルエチルケトン(沸点:79.6℃)が記載されている。
特開平5−156200号公報
特許文献1に記載のような従来の塩化ビニル系塗料では、該塗料に含まれる有機溶剤の乾燥速度が遅いことがある。塗装により管材や板材等の成形体の表面に塗膜を形成する際に、塩化ビニル系塗料の有機溶剤の乾燥速度が遅い場合には、管材や板材等の成形体の表面にソルベントクラックが発生することがある。結果として、管材や板材等の成形体の強度や耐久性等の機械的特性が低下することがある。
本発明の目的は、有機溶剤の乾燥速度を適度に速めて、均一かつ適度な厚みの塗膜を形成することができる塩化ビニル系塗料を提供することである。
本発明の広い局面によれば、塩化ビニルモノマー及び親水性モノマーの共重合体と、有機溶剤とを含み、前記有機溶剤100重量%中、沸点が70℃以下の有機溶剤の含有量が、70重量%以上、95重量%以下である、塩化ビニル系塗料が提供される。
本発明に係る塩化ビニル系塗料のある特定の局面では、塩化ビニル系塗料100重量%中、前記塩化ビニルモノマー及び親水性モノマーの共重合体の含有量が、5重量%以上、20重量%未満である。
本発明に係る塩化ビニル系塗料は、塩化ビニルモノマー及び親水性モノマーの共重合体と、有機溶剤とを含み、上記有機溶剤100重量%中、沸点が70℃以下の有機溶剤の含有量が、70重量%以上、95重量%以下であるので、有機溶剤の乾燥速度を適度に速めて、均一かつ良好な塗膜を形成することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(塩化ビニル系塗料)
本発明に係る塩化ビニル系塗料は、塩化ビニルモノマー及び親水性モノマーの共重合体と、有機溶剤とを含む。本発明に係る塩化ビニル系塗料では、上記有機溶剤100重量%中、沸点が70℃以下の有機溶剤の含有量が、70重量%以上、95重量%以下である。本発明に係る塩化ビニル系塗料は、上記有機溶剤として、沸点が70℃以下の有機溶剤と、沸点が70℃を超える有機溶剤とを含む。上記有機溶剤100重量%は、有機溶剤全体の含有量であり、沸点が70℃以下の有機溶剤と、沸点が70℃を超える有機溶剤との合計100重量%である。
本発明に係る塩化ビニル系塗料では、上述した構成が備えられているので、有機溶剤の乾燥速度を適度に速めて、均一かつ適度な厚みの塗膜を形成することができる。結果として、塗膜の表面への油脂分の付着を抑制することができる。また、本発明に係る塩化ビニル系塗料では、有機溶剤の乾燥速度を適度に速めているので、ソルベントクラックの発生を抑えることができ、強度を高めることができる。
本発明に係る塩化ビニル系塗料は、塩化ビニルモノマー及び親水性モノマーの共重合体(塩化ビニル系共重合体)を含む。上記共重合体を含む塗料を使用することによって、長期間に渡り、塗膜の表面への油脂分の付着を効果的に抑制することができる。結果として、長期間に渡り、上記塗膜が形成された管材や板材等の成形体の表面への油脂分の付着を効果的に抑制することができる。
上記共重合体(塩化ビニル系共重合体)は、塩化ビニルモノマーに由来する構造単位と、親水性モノマーに由来する構造単位とを有する。上記親水性モノマーに由来する構造単位は、上記共重合体の分子中で、側鎖に置換又は結合していてもよく、主鎖に置換又は結合していてもよい。長期間に渡り、塗膜の表面への油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記親水性モノマーに由来する構造単位は、主鎖に置換又は結合していることが好ましい。
長期間に渡り、塗膜の表面への油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記塩化ビニル系共重合体における上記親水性モノマーに由来する構造単位が、親水性基を有する非イオン性成分であることが好ましい。上記非イオン性成分が上記塩化ビニル系共重合体の分子中に含有されている場合において、上記非イオン性成分は、側鎖に置換又は結合していてもよく、主鎖に置換又は結合していてもよい。
長期間に渡り、塗膜の表面への油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記塩化ビニル系共重合体中の親水性モノマーに由来する構造単位の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
長期間に渡り、塗膜の表面への油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記塩化ビニル系共重合体の吸水率は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは1重量%を超え、さらに好ましくは3重量%以上である。上記塩化ビニル系共重合体の吸水率は、親水性の指標の1つである。上記塩化ビニル系共重合体の吸水率が、1重量%以上であると、塗膜の表面に油脂分がより一層付着し難くなる。長期間に渡り、塗膜の表面への油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記塩化ビニル系共重合体の吸水率は、高い方が好ましい。上記塩化ビニル系共重合体の吸水率の上限は、特に限定されない。塩化ビニル系共重合体の吸水後の強度を維持する観点からは、上記塩化ビニル系共重合体の吸水率は、10重量%以下であってもよい。
塗膜の外観不良をより一層抑制する観点からは、上記塩化ビニル系塗料100重量%中、塩化ビニルモノマー及び親水性モノマーの共重合体(塩化ビニル系共重合体)の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上であり、好ましくは20重量%未満、より好ましくは17重量%未満、さらに好ましくは15重量%未満である。上記塩化ビニル系共重合体の含有量が、上記下限以上であると、管材や板材等の成形体に上記塩化ビニル系塗料を塗装する際に、1回の塗装による塗膜の膜厚が薄くなり難く、重ね塗り回数を減らすことができ、塗膜の膜厚にばらつきが生じ難くなる。上記塩化ビニル系共重合体の含有量が、上記上限未満であると、上記塩化ビニル系塗料の粘度が高くなり難く、塗装機器による霧化が容易になる。また、塗膜の表面に気泡が残り難くなり、塗膜に外観不良が発生し難くなる。
(非イオン性成分)
長期間に渡り、塗膜の表面への油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記塩化ビニル系共重合体が、親水性基を有する非イオン性成分を含有することが好ましい。長期間に渡り、塗膜の表面への油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記親水性基は、水酸基、アミド基、エステル基又はエーテル基であることが好ましい。上記非イオン性成分は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記非イオン性成分は、例えば、共重合体等の化合物の部分構造単位(部分骨格)であってもよい。共重合体等の化合物が、非イオン性成分を構成する材料から形成されていてもよい。上記非イオン性成分が2種以上併用される場合には、2種以上の非イオン性成分が有する親水性基は同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記非イオン性成分又は上記非イオン性成分を構成する材料としては、例えば、水酸基、アミド基、エステル基又はエーテル基等の親水性の非イオン性基を有する非イオン性モノマー及び非イオン性ポリマー等が挙げられる。
上記非イオン性モノマーとしては、ビニルアルコール化合物、ヒドロキシアルキル基(例えば炭素数1〜8)を有する(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシアルキル基(例えば炭素数1〜8)を有する(メタ)アクリルアミド、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、アルキル(例えば炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミド、ジアルキル(例えばアルキル基の総炭素数2〜8)(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−ビニル環状アミド、アルキル基(例えば炭素数1〜8)を有する(メタ)アクリル酸エステル、片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物であるポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有するアリルエーテル化合物であるポリアルキレングリコールのアリルエーテル、片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有するビニルエーテル化合物であるポリアルキレングリコールのビニルエーテル、片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有するスチリルエーテル化合物であるポリアルキレングリコールのスチリルエーテル、及び環状アミド基を有する(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルとを示す。「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとを示す。「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルとメタクリロイルとを示す。
上記ヒドロキシアルキル基(例えば炭素数1〜8)を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び上記ヒドロキシアルキル基(例えば炭素数1〜8)を有する(メタ)アクリルアミドとしては、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及びN−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルとしては、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、及びポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記多価アルコールの炭素数は好ましくは1〜8である。上記多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルの炭素数は好ましくは1〜8である。上記多価アルコールはポリアルキレングリコールであることが好ましく、ポリエチレングリコールであることがより好ましい。反応性を確保するために、上記アルキレングリコールの平均重合度は好ましくは4以上であり、好ましくは140以下、より好ましくは100以下である。
上記アルキル(例えば炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミドとしては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、及びN−イソブチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記ジアルキル(例えばアルキル基の総炭素数2〜8)(メタ)アクリルアミドとしては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、及びN,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記N−ビニル環状アミドとしては、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
上記アルキル基(例えば炭素数1〜8)を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、及びn−ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有する化合物に関しては、上記アルキルエーテル骨格におけるアルキル基の炭素数は好ましくは1〜20であり、上記アルキルエーテル骨格にアリール基が置換されていてもよく、上記アリールエーテル骨格におけるアリール基の炭素数は好ましくは6〜12であり、上記アリールエーテル骨格に炭素数1〜14のアルキル基が置換されていてもよい。上記アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、及びナフチル基等が挙げられる。上記アリール基は、フェニル基であることが好ましい。片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有する化合物に関しては、上記ポリアルキレングリコールにおけるアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。上記アルキレン基の炭素数は好ましくは1〜20である。上記ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールであることが好ましい。ポリエチレングリコールの水素原子が炭素数1〜18のアルキル基で置換されたポリアルキレングリコールを用いてもよい。置換されているエチレングリコール単位は、全エチレングリコール単位の50重量%以下であることが好ましい。反応性を確保するために、上記ポリアルキレングリコールの平均重合度は好ましくは4以上であり、好ましくは140以下、より好ましくは100以下である。上記スチリルエーテルにおけるスチリル基は、α位及びβ位の少なくとも一方が、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン化アルキル基で置換されていてもよく、芳香環上に炭素数1〜20のアルキル基があってもよい。
上記環状アミド基を有する(メタ)アクリルアミドとしては、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
上記非イオン性モノマーは、ビニルアルコール化合物、(メタ)アクリルアミド系モノマー、ヒドロキシアルキル基(例えば炭素数1〜8)を有する(メタ)アクリル酸エステル、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有するアリルエーテル化合物であるポリアルキレングリコールのアリルエーテル、片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有するビニルエーテル化合物であるポリアルキレングリコールのビニルエーテル、片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有するスチリルエーテル化合物であるポリアルキレングリコールのスチリルエーテル、又はN−ビニル環状アミドであることが好ましく、特に、ビニルアルコール化合物、ヒドロキシアルキル基(例えば炭素数1〜8)を有する(メタ)アクリル酸エステル、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有するアリルエーテル化合物であるポリアルキレングリコールのアリルエーテル、片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有するビニルエーテル化合物であるポリアルキレングリコールのビニルエーテル、片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有するスチリルエーテル化合物であるポリアルキレングリコールのスチリルエーテル、又はN−ビニル環状アミドであることがより好ましい。
長期間に渡り、塗膜の表面への油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記非イオン性成分は、ポリアルキレングリコール基又は環状アミド基を有することが好ましく、ポリアルキレングリコール基又は環状アミド基を有する化合物を含むことが好ましい。
長期間に渡り、塗膜の表面への油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記塩化ビニル系共重合体中の上記非イオン性成分の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。上記非イオン性成分が、共重合体等の化合物の部分構造単位である場合に、上記塩化ビニル系共重合体中の上記非イオン性成分の含有量は、共重合体等の化合物の全体の含有量ではなく、共重合体等の化合物の部分構造単位である非イオン性成分の含有量を示す。
(親水性モノマー)
塩化ビニルモノマー及び親水性モノマーの共重合体(塩化ビニル系共重合体)において、上記親水性モノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。したがって、上記共重合体は、親水性モノマーに由来する構造単位を1種のみ有していてもよく、2種以上有していてもよい。上記親水性モノマーを2種以上併用する場合に、2種以上の親水性モノマーが有する親水性基は同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記親水性モノマーとしては、例えば、(1)非イオン性モノマー、(2)アミノ基、アンモニウム基、ピリジル基、イミノ基又はベタイン構造等のカチオン性基を有するビニルモノマー(以下、「(2)カチオン性モノマー」と記載することがある)、(3)カルボキシル基、スルホ基又はリン酸基等のアニオン性基を有するビニルモノマー(以下、「(3)アニオン性モノマー」と記載することがある)、及び(4)その他のモノマーが挙げられる。上記カチオン性モノマー及び上記アニオン性モノマーはそれぞれ、塩の形態であってもよい。
上記(1)非イオン性モノマーの具体例としては、上述した非イオン性成分が挙げられる。
上記(2)カチオン性モノマーの具体例としては、アミノ基を有するモノマーの酸中和物、及び、アミノ基を有するモノマーを、ハロゲン化アルキル(例えば炭素数1〜22)、ハロゲン化ベンジル、アルキル(例えば炭素数1〜18)もしくはアリール(例えば炭素数6〜24)、スルホン酸又は硫酸ジアルキル(例えばアルキル基の総炭素数2〜8)等により4級化した化合物等が挙げられる。
上記アミノ基を有する化合物としては、ジアルキルアミノ基(例えば総炭素数2〜44)を有する(メタ)アクリル酸エステル、ジアルキルアミノ基(例えば総炭素数2〜44)を有する(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノ基(例えば総炭素数2〜44)を有するスチレン化合物、ビニルピリジン化合物、N−ビニル複素環化合物、及びビニルエーテル化合物等が挙げられる。
上記ジアルキルアミノ基(例えば総炭素数2〜44)を有する(メタ)アクリル酸エステル及び上記ジアルキルアミノ基(例えば総炭素数2〜44)を有する(メタ)アクリルアミドとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジ−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びジ−t−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記ジアルキルアミノ基(例えば総炭素数2〜44)を有するスチレン化合物としては、ジメチルアミノスチレン、及びジメチルアミノメチルスチレン等が挙げられる。
上記ビニルピリジン化合物としては、2−ビニルピリジン、及び4−ビニルピリジン等が挙げられる。
上記N−ビニル複素環化合物としては、N−ビニルイミダゾール等が挙げられる。
上記ビニルエーテル化合物としては、アミノエチルビニルエーテル、及びジメチルアミノエチルビニルエーテル等が挙げられる。
上記(2)カチオン性モノマーの他の具体例としては、ジアリル型4級アンモニウム塩、及びベタイン構造を有するビニルモノマー等が挙げられる。
上記ジアリル型4級アンモニウム塩としては、4−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、及びジエチルジアリルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
上記ベタイン構造を有するビニルモノマーとしては、N−(3−スルホプロピル)−N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(3−スルホプロピル)−N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(3−カルボキシメチル)−N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、及びN−カルボキシメチル−N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等が挙げられる。
上記(2)カチオン性モノマーが有するカチオン性基の中でも、アミノ基又はアンモニウム基が好ましい。上記(2)カチオン性モノマーは、アミノ基又はアンモニウム基を有するモノマーであることが好ましい。
上記(3)アニオン性モノマーとしては、重合性不飽和基を有するカルボン酸モノマー、重合性不飽和基を有するカルボン酸モノマーの酸無水物(1つのモノマー中に2つ以上のカルボキシル基を有する場合)、重合性不飽和基を有するスルホン酸モノマー、片末端にスルホ基(−SOH)を有するポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、片末端にスルホ基(−SOH)を有するポリエチレングリコールのアリルエーテル、片末端にスルホ基(−SOH)を有するポリエチレングリコールのビニルエーテル、片末端にスルホ基(−SOH)を有するポリエチレングリコールのスチリルエーテル、及び重合性不飽和基を有するリン酸モノマー等が挙げられる。
上記重合性不飽和基を有するカルボン酸モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びイタコン酸等が挙げられる。
上記重合性不飽和基を有するスルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、及び2−(メタ)アクリルアミド−2−アルキル(例えばアルキル基の炭素数1〜4)プロパンスルホン酸等が挙げられる。
片末端にスルホ基(−SOH)を有するポリエチレングリコールのスチリルエーテルに関しては、上記スチリルエーテルにおけるスチリル基は、α位及びβ位の少なくとも一方が、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン化アルキル基で置換されていてもよく、芳香環上に炭素数1〜20のアルキル基があってもよい。
片末端にスルホ基(−SOH)を有する化合物に関しては、上記ポリエチレングリコールの水素原子が炭素数1〜18のアルキル基で置換されたポリアルキレングリコールを用いてもよい。置換されているエチレングリコール単位は、全エチレングリコール単位の50%以下であることが好ましい。
上記重合性不飽和基を有するリン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、及び(メタ)アクリロイロキシアルキル(例えばアルキル基の炭素数1〜4)リン酸等が挙げられる。
上記(3)アニオン性モノマーにおけるアニオン性基は、塩基性物質により、任意の中和度に中和されてもよい。この場合、ポリマー中の全てのアニオン性基又はその一部のアニオン性基は、塩を生成する。ここで、塩における陽イオンとしては、アンモニウムイオン、総炭素数3〜54のトリアルキルアンモニウムイオン、炭素数2〜4のヒドロキシアルキルアンモニウムイオン、総炭素数4〜8のジヒドロキシアルキルアンモニウムイオン、総炭素数6〜12のトリヒドロキシアルキルアンモニウムイオン、アルカリ金属イオン、及びアルカリ土類金属イオン等が挙げられる。上記総炭素数3〜54のトリアルキルアンモニウムイオンとしては、トリメチルアンモニウムイオン、及びトリエチルアンモニウムイオン等が挙げられる。
中和は、モノマーの段階で行われてもよく、ポリマー(例えば、塩化ビニル系共重合体)の段階で行われてもよい。
上記親水性モノマーに由来する構造単位が、水酸基を有するモノマーに由来する構造単位である場合には、水酸基を有するモノマーに由来する構造単位は、ビニルアルコール構造単位であることが好ましく、酢酸ビニル構造単位が加水分解により変換されたビニルアルコール構造単位を含むことが好ましい。
ビニルアルコール構造単位を導入するために、塩化ビニルと酢酸ビニルとを共重合させ、得られた共重合体中に含まれる酢酸ビニル構造単位を加水分解することにより、ビニルアルコール構造単位に変換することが好ましい。なお、加水分解は、酢酸ビニル構造単位100重量%に対して行われていなくてもよく、ビニルアルコール構造単位に変換されていない酢酸ビニル構造単位が、本発明の効果を実質的に損なわない範囲にて存在してもよい。
長期間に渡り、塗膜の表面への油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記親水性モノマーは、上記非イオン性モノマーであることが好ましい。長期間に渡り、塗膜の表面への油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記親水性モノマーは、ポリアルキレングリコール基又は環状アミド基を有するモノマーであることが好ましい。
長期間に渡り、塗膜の表面への油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記塩化ビニル系共重体において、上記塩化ビニルモノマーに由来する構造単位と上記親水性モノマーに由来する構造単位との合計100重量%中、上記親水性モノマーに由来する構造単位の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上である。塗膜の表面の耐擦傷性をより一層高める観点からは、上記塩化ビニル系共重体において、上記塩化ビニルモノマーに由来する構造単位と上記親水性モノマーに由来する構造単位との合計100重量%中、上記親水性モノマーに由来する構造単位の含有量は、好ましくは40重量%以下、より好ましくは35重量%以下である。
(重合方法)
塩化ビニルモノマーと親水性モノマーとを共重合させて共重合体(塩化ビニル系共重合体)を得る共重合方法について説明する。共重合の方法としては特に限定されず、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法、及び沈殿重合法等が挙げられる。これらの方法の中では、懸濁重合法、乳化重合法又は沈殿重合法が好ましい。
上記懸濁重合法により重合を行う際には、分散剤又は油溶性重合開始剤等を用いてもよい。上記分散剤の使用により、材料中における材料成分の水への分散安定性を高めることができ、共重合を安定的に進行させることができる。
上記分散剤としては特に限定されず、ポリ(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸塩/アルキルアクリレート共重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルの部分けん化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン、及び無水マレイン酸/スチレン共重合体等が挙げられる。上記分散剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記油溶性重合開始剤は特に限定されない。上記油溶性重合開始剤は、ラジカル重合開始剤であることが好ましい。上記油溶性重合開始剤としては、有機パーオキサイド化合物及びアゾ化合物が挙げられる。上記有機パーオキサイド化合物としては、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート及びα−クミルパーオキシネオデカノエート等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、2,2−アゾビスイソブチロニトリル及び2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等が挙げられる。上記油溶性重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
共重合を行う際には、重合中に重合槽内に付着する付着物の量を少なくする目的で、スケール防止剤、pH調整剤又は酸化防止剤等を用いてもよい。さらに、必要に応じて、重合槽の内部、攪拌翼及び邪魔板等の形状、並びに重合槽の材質等を変更してもよい。
上記スケール防止剤は特に限定されず、ポリアミノベンゼン、多価フェノール、アミノフェノール、アルキル置換フェノール等から選ばれた1種又は2種以上の化合物の縮合反応によって得られる多価フェノール等が挙げられる。上記スケール防止剤は、水又は有機溶媒に希釈されていてもよい。上記スケール防止剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記懸濁重合法は、例えば、以下の方法により行われる。温度調整機及び攪拌機を備える重合器内に、純水、上記分散剤、上記油溶性重合開始剤、必要に応じて水溶性増粘剤及び重合度調節剤を含む分散溶液を入れ、真空ポンプにより重合器内から空気を排除する。次に、攪拌条件下で、原料の全てを重合器内に入れる。その後、重合器内を昇温し、所望の重合温度で、材料の重合反応を進行させ、グラフト共重合を行う。共重合反応を行う際に、重合温度は好ましくは30℃以上、好ましくは90℃以下であり、重合時間は好ましくは2時間以上、好ましくは20時間以下である。
上記懸濁重合法では、ジャケット温度を変えることにより反応容器内の温度、すなわち、重合温度を制御可能である。反応終了後には、例えば未反応の塩化ビニルを主成分とするビニルモノマーを除去してスラリー状にし、さらに、脱水及び乾燥を行うことにより、目的とする塩化ビニル系共重合体を得ることができる。
(塩化ビニル系共重合体の他の詳細)
上記塩化ビニル系共重合体の重合度は、好ましくは500以上、好ましくは2000以下である。上記重合度が上記下限以上であると、疲労特性等の長期性能が損なわれ難い。上記重合度が上記上限以下であると、成形時に高温にする必要がなくなり、加工性がより一層良好になる。
成形する前の上記塩化ビニル系共重合体は、粒子であることが好ましい。粒子である上記塩化ビニル系共重合体の粒子径は、好ましくは0.1μm以上、好ましくは500μm以下である。上記粒子径が上記下限以上であると、乾燥時に微粉状態とならず、取扱い性がより一層高くなる。上記粒子径が上記上限以下であると、粒子を得る際の重合時の反応がより一層不安定になり難い。
上記塩化ビニル系共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の有機材料と併用されてもよい。例えば、機械的強度の更なる向上のため、後塩素化塩化ビニル系樹脂、アクリル樹脂等を、上記塩化ビニル系重合体と併用してもよい。
(有機溶剤)
本発明に係る塩化ビニル系塗料は、有機溶剤を含む。上記塩化ビニル系塗料では、上記有機溶剤100重量%中、沸点が70℃以下の有機溶剤の含有量が、70重量%以上、95重量%以下である。有機溶剤の乾燥速度をより一層速くする観点からは、上記有機溶剤100重量%中、沸点が70℃以下の有機溶剤の含有量は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上であり、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。沸点が70℃以下の有機溶剤の含有量が、上記下限以上であると、沸点が70℃を超える有機溶剤の含有量がより一層少なくなるため、上記塩化ビニル系塗料の乾燥速度がより一層速くなり、上記塩化ビニル系塗料を塗装した管材や板材等の成形体にソルベントクラックがより一層発生し難くなる。結果として、発生したソルベントクラックによって、上記成形体の機械的特性が低下することを防ぐことができる。上記沸点が70℃以下の有機溶剤及び上記沸点が70℃を超える有機溶剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記沸点が70℃以下の有機溶剤としては特に限定されず、テトラヒドロフラン、アセトン、及びエタノール等が挙げられる。
上記沸点が70℃を超える有機溶剤としては特に限定されず、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、及びN,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
塗膜の外観不良をより一層抑制する観点からは、上記塩化ビニル系塗料100重量%中、上記有機溶剤の全体の含有量は、好ましくは83重量%以上、より好ましくは85重量%以上であり、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。
塗膜の外観不良をより一層抑制する観点からは、上記塩化ビニル系塗料100重量%中、上記塩化ビニル系塗料に含まれる固形分の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上であり、好ましくは17重量%未満、より好ましくは15重量%未満である。上記塩化ビニル系塗料に含まれる固形分とは、上記有機溶剤を除く、上記塩化ビニル系塗料に含まれている全ての成分である。上記塩化ビニル系塗料が、上記塩化ビニル系共重合体及び上記有機溶剤のみを含む場合には、上記固形分の含有量は上記塩化ビニル系共重合体の含有量であり、上記塩化ビニル系塗料が、上記塩化ビニル系共重合体と上記有機溶剤と他の成分とを含む場合には、上記固形分の含有量は上記塩化ビニル系共重合体と他の成分との合計の含有量である。
(他の成分)
上記塩化ビニル系塗料には、必要に応じて、各種の添加剤を用いてもよい。上記添加剤としては、安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、顔料及び可塑剤等が挙げられる。上記添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記安定剤としては特に限定されず、熱安定剤及び熱安定化助剤等が挙げられる。上記熱安定剤としては特に限定されず、有機錫系安定剤、鉛系安定剤、カルシウム−亜鉛系安定剤、バリウム−亜鉛系安定剤、及びバリウム−カドミウム系安定剤等が挙げられる。上記有機錫系安定剤としては、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、及びジブチル錫ラウレートポリマー等が挙げられる。上記安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱安定化助剤としては特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、りん酸エステル、ポリオール、ハイドロタルサイト、及びゼオライト等が挙げられる。上記熱安定化助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記滑剤としては、内部滑剤、及び外部滑剤が挙げられる。上記内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。上記内部滑剤としては特に限定されず、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、及びビスアミド等が挙げられる。上記外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用される。上記外部滑剤としては特に限定されず、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、及びモンタン酸ワックス等が挙げられる。上記滑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記加工助剤としては特に限定されず、アクリル系加工助剤等が挙げられる。上記アクリル系加工助剤としては、重量平均分子量が10万〜200万であるアルキルアクリレート−アルキルメタクリレート共重合体等が挙げられ、具体的には、n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、及び2−エチルヘキシルアクリレート−メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。上記加工助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記衝撃改質剤としては特に限定されず、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、塩素化ポリエチレン、及びアクリルゴム等が挙げられる。上記衝撃改質剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記耐熱向上剤としては特に限定されず、α−メチルスチレン系、及びN−フェニルマレイミド系樹脂等が挙げられる。上記耐熱向上剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記酸化防止剤としては特に限定されず、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びシアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。上記紫外線吸収剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光安定剤としては特に限定されず、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。上記光安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記充填剤としては特に限定されず、炭酸カルシウム、及びタルクなどが挙げられる。上記充填剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記顔料としては特に限定されず、有機顔料及び無機顔料が挙げられる。上記有機顔料としては、アゾ系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、スレン系有機顔料、及び染料レーキ系有機顔料等が挙げられる。上記無機顔料としては、酸化物系無機顔料、クロム酸モリブデン系無機顔料、硫化物・セレン化物系無機顔料、及びフェロシアニン化物系無機顔料等が挙げられる。上記顔料としては、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記可塑剤は、成形時の加工性を高める目的で添加されていてもよい。可塑剤の添加により成形品の耐熱性が低下することがあるため、可塑剤の添加量は少ない方が好ましい。上記可塑剤としては特に限定されず、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、及びジ−2−エチルヘキシルアジペート等が挙げられる。上記可塑剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(用途)
マンション、アパート、戸建住宅、及び商業施設等においては、給水や排水等を行うために、管材や板材等が多く使用されている。管材や板材などの各種の塗膜形成対象部材上に、塩化ビニル系塗料を用いて、塗膜を形成することができる。それによって、塗膜形成対象部材と、該塗膜形成対象部材の表面上に配置された塗膜を形成することができる。
塗膜の表面への油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記塗膜の厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは20μm以上である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)塩化ビニル系共重合体の作製
攪拌機及びジャケットを備えた反応容器内にノンスケール剤を塗布し、下記の表1に示す塩化ビニルを除く配合材料を一括で入れた。その後、真空ポンプで反応器内の空気を排出し、攪拌しながら塩化ビニルを入れた。次いで、ジャケット温度を制御して、下記の表1に示す重合温度にて重合を開始し、反応器内の圧力が所定圧力まで低下することで反応の終了を確認し、反応を停止した。その後、未反応の塩化ビニルを除去し、さらに、脱水及び乾燥を行うことで、塩化ビニル系共重合体を得た。
(2)塩化ビニル系塗料の作製
攪拌機を備えたガラスビーカーに、下記の表1に示す有機溶剤をビーカー内に入れて攪拌を開始した。その後、作製した塩化ビニル系共重合体を徐々に添加した。25℃で12時間以上攪拌し、塩化ビニル系共重合体を十分に膨潤させた後、金属メッシュ(100メッシュ)で処理することで異物及びゲル状成分を除去し、塩化ビニル系塗料を得た。
(実施例2)
有機溶剤の組成をテトラヒドロフラン70重量%及びシクロヘキサノン30重量%から、テトラヒドロフラン95重量%及びシクロヘキサノン5重量%に変更したこと、並びに、塩化ビニル系塗料の固形分を10重量%から、17重量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、塩化ビニル系共重合体及び塩化ビニル系塗料を得た。
(比較例1)
塩化ビニル系塗料の固形分を10重量%から、20重量%に変更したこと、並びに有機溶剤の組成をテトラヒドロフラン70重量%及びシクロヘキサノン30重量%から、テトラヒドロフラン100重量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、塩化ビニル系共重合体及び塩化ビニル系塗料を得た。
(比較例2)
塩化ビニル系塗料の固形分を10重量%から、4重量%に変更したこと、並びに有機溶剤の組成をテトラヒドロフラン70重量%及びシクロヘキサノン30重量%から、テトラヒドロフラン100重量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、塩化ビニル系共重合体及び塩化ビニル系塗料を得た。
(比較例3)
有機溶剤の組成をテトラヒドロフラン70重量%及びシクロヘキサノン30重量%から、テトラヒドロフラン50重量%及びシクロヘキサノン50重量%に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、塩化ビニル系共重合体及び塩化ビニル系塗料を得た。
(評価)
(1)重合度
塩化ビニル系共重合体の重合度を、JIS K6720−2に準拠して測定した。なお、発生した不溶解物は濾別し、可溶解分のみを用いて測定した。
(2)塩化ビニルの含有率(塩化ビニルモノマーに由来する構造単位の含有量)
塩化ビニル系共重合体における塩素重量含有率(Cl%)はJIS K7229に準拠して、電位差滴定法にて測定した。
この塩素重量含有率(C=Cl%/100)から下記式(X)により、塩化ビニル(塩化ビニルモノマーに由来する構造単位)の含有率を算出した。
塩化ビニルの含有率(重量%)=(C/56.7)×100 ・・・式(X)
(3)親水性モノマーに由来する構造単位の含有量
親水性モノマーに由来する構造単位の含有量は下記式(Y)で算出した。
親水性モノマーに由来する構造単位の含有量(重量%)=100−塩化ビニルの含有量 ・・・式(Y)
(4)カップ測定
アネスト岩田社製粘度カップNK−2を用いて、カップ内の溶液が落ち切るまでの時間を測定した。
(5)塗料の塗装可否
精和産業社製エアレス塗装機「TP−1223」を用いて、得られた塩化ビニル系塗料を下記の条件で吐出させた。ガン先から吐出される塗料の状態を目視で確認した。塗料の塗装可否を下記の基準で判定した。
[条件]
ガン:TPG
エア元圧:0.3MPa〜0.5MPa
[塗装可否の判定基準]
○:塩化ビニル系塗料が霧化されている
×:塩化ビニル系塗料が霧化されていない
(6)塗膜の外観不良の有無
精和産業社製エアレス塗装機「TP−1223」を用いて、得られた塩化ビニル系塗料の塗装を下記の条件で実施した。塗装後、鉄箔板に形成された塗膜を目視で観察した。塗膜の外観不良の有無を下記の基準で判定した。
[条件]
ガン:TPG
エア元圧:0.3MPa〜0.5MPa
吹付対象:鉄箔板
乾燥条件:吹付後、1分以内に60℃のオーブンに入れて1時間乾燥
[塗膜の外観不良の有無の判定基準]
○:鉄箔板に形成された塗膜10cm中、気泡が存在しない
△:鉄箔板に形成された塗膜10cm中、気泡が1〜2個存在する
×:鉄箔板に形成された塗膜10cm中、気泡が3個以上存在する
(7)塗膜の膜厚
塩化ビニル樹脂(徳山積水工業社製「TS800E」)100重量部に、錫安定剤(日東化成社製「KK6476」)2重量部、及び滑剤(三井化学社製「HW220MP」)0.3重量部を配合した。得られた配合物を、以下の条件で混練及びプレスすることで、塩化ビニル樹脂成形体の成形を実施した。
[条件]
ロール:安田製機製作所社製 ミキシングロール
ロール温度:180℃
ロール時間:2分(巻きつき後)
プレス:東邦マシナリー社製 熱プレス成形機
プレス温度:180℃
プレス時間:予熱3分+加圧3分
プレス圧力:200kgf/cm
プレスサイズ:厚み3mm×長さ200mm×幅200mm
得られた成形体を切り出して、JIS K 6741に記載されている呼び径25以下用のダンベル形状のサンプルを作製した。得られたサンプルに対して、精和産業社製エアレス塗装機「TP−1223」を用いて、得られた塩化ビニル系塗料の塗装を上記(6)に記載した条件で実施した。形成された塗膜の膜厚を塗装前後のサンプルの厚みの差から算出した。サンプルの厚みは、マイクロメーター(ミツトヨ社製「MDC−255X」)を用いて測定した。
(8)成形体の引張破断伸び
上記(7)で得られた塗装されたサンプルを用いて、JISK7318の条件に準拠し、引張破断伸びを測定した。引張試験機としては、島津製作所社製「オートグラフAGH−S」を用いた。
配合組成及び結果を下記の表1に示す。また、評価しなかった場合に、「−」と記載した。
Figure 0006837787
なお、比較例3では、乾燥速度が遅く、ソルベントクラックが発生していために、引張破断伸びが低かった。

Claims (4)

  1. 塩化ビニルモノマー及び親水性モノマーの共重合体と、有機溶剤とを含み、
    前記親水性モノマーが、ポリアルキレングリコール基を有する(メタ)アクリル酸エステルであり、
    塩化ビニル系塗料100重量%中、前記塩化ビニルモノマー及び前記親水性モノマーの共重合体の含有量が、5重量%以上、20重量%未満であり、
    前記有機溶剤100重量%中、沸点が70℃以下の有機溶剤の含有量が、70重量%以上、95重量%以下である、塩化ビニル系塗料。
  2. 前記(メタ)アクリル酸エステルが、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルである、請求項1に記載の塩化ビニル系塗料。
  3. 請求項1又は2に記載の塩化ビニル系塗料を用いた塗膜が表面に形成されている、管材。
  4. 前記塗膜の厚みが、0.5μm以上、22μm以下である、請求項に記載の管材。
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