JP2018003859A - 多層管 - Google Patents

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紘平 森高
Kohei Moritaka
紘平 森高
久保 喜弘
Yoshihiro Kubo
喜弘 久保
修平 冠
Shuhei Kammuri
修平 冠
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Abstract

【課題】層間の剥離を生じ難くし、かつ、長期間に渡り、内表面における油脂分の付着を抑制することができる多層管を提供する。
【解決手段】本発明に係る多層管は、第1の層と、前記第1の層の外表面に積層された第2の層とを備え、前記第1の層が、親水性基を有する非イオン性成分を含有し、前記第2の層が、前記第1の層側の内表面に、最大深さが3μm以上である凹部を有し、前記第1の層が、前記第2の層の前記凹部内に凸部を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、防汚性を有する多層管に関する。
家庭の台所や飲食店街等の業務用厨房からの排水には、ラード等の食用油脂分が多く含まれている。この油脂分は、排水管やその先の下水道管の内表面に付着する。排水管の内面に付着した油脂分は徐々に蓄積されていき、管内を詰まらせるほどに堆積する。そのため、定期的に高圧水洗浄等のメンテナンスが必要である。
下記の特許文献1には、親水化材料を樹脂管の内表面に塗布するか、又は、多層構造の樹脂管の内層に親水性の材料を使用する等して、樹脂管の内側に親水性の膜又は層を形成する方法が開示されている。
特開2004−270764号公報
特許文献1に記載のような従来の方法では、短期的には、油脂分の付着を防止できるが、長期的には、油脂分の付着防止効果は十分ではない。管中を流れる物質の種類によっては、樹脂管の内側の親水性の膜又は層が破壊され、剥離する場合がある。
本発明の目的は、層間の剥離を生じ難くし、かつ、長期間に渡り、内表面における油脂分の付着を抑制することができる多層管を提供することである。
本発明の広い局面によれば、第1の層と、前記第1の層の外表面に積層された第2の層とを備え、前記第1の層が、親水性基を有する非イオン性成分を含有し、前記第2の層が、前記第1の層側の内表面に、最大深さが3μm以上である凹部を有し、前記第1の層が、前記第2の層の前記凹部内に凸部を有する、多層管が提供される。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記第1の層の前記凸部がない領域における厚みが、5μm以上、500μm以下である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記第1の層中の前記非イオン性成分の含有量が、1重量%以上である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記第1の層の吸水率が、3重量%以上である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記第1の層の内表面の水に対する接触角が、84°以下である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記非イオン性成分が、ポリアルキレングリコール基又は環状アミド基を有する。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記第1の層が、塩化ビニルモノマーと親水性モノマーとの共重合体を含み、前記共重合体における前記親水性モノマーに由来する構造単位が、前記非イオン性成分である。
前記親水性モノマーが、ポリアルキレングリコール基又は環状アミド基を有するモノマーであることが好ましく、ポリアルキレングリコール基を有するモノマーであってもよく、環状アミド基を有するモノマーであってもよい。
本発明に係る多層管は、第1の層と、上記第1の層の外表面に積層された第2の層とを備え、上記第1の層が、親水性基を有する非イオン性成分を含有し、上記第2の層が、上記第1の層側の内表面に、最大深さが3μm以上である凹部を有し、上記第1の層が、上記第2の層の上記凹部内に凸部を有するので、層間の剥離を生じ難くし、かつ、長期間に渡り、内表面における油脂分の付着を抑制することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る多層管を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(多層管)
本発明に係る多層管は、第1の層と、第2の層とを備える。本発明に係る多層管は、第1の層と、第2の層との少なくとも2層を備える多層管である。上記第2の層は、上記第1の層の外表面に積層されている。上記第1の層と上記第2の層とは接している。上記第1の層は管状であることが好ましい。上記第2の層は管状であることが好ましい。
本発明に係る多層管では、上記第1の層の内表面が、多層管の内表面であることが好ましい。上記第1の層は、多層管における最も内側に位置していることが好ましい。
本発明に係る多層管では、上記第1の層が、親水性基を有する非イオン性成分を含有する。上記第1の層は、親水性基を有する非イオン性成分を含有するので、上記第1の層は、吸水性を有することが好ましい。
本発明に係る多層管では、上記第2の層が、上記第1の層側の内表面に、最大深さが3μm以上である凹部を有し、かつ上記第1の層が、上記第2の層の上記凹部内に凸部を有する。上記第1の層の凸部は、上記第2の層の凹部内に挿入されている状態である。
本発明では、上記の構成が備えられているので、層間の剥離を生じ難くし、かつ、多層管の内表面における油脂分の付着を抑制することができる。本発明に係る多層管では、上記第1の層と上記第2の層との界面接着力が優れており、上記第1の層が上記第2の層から剥離し難くなることで、長期間に渡り、多層管の内表面における油脂分の付着を抑制することができる。
長期間に渡り、多層管の内表面における油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記第1の層の上記凸部がない領域における厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは20μm以上であり、好ましくは500μm以下、より好ましくは150μm以下である。
長期間に渡り、多層管の内表面における油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記第1の層の吸水率は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは1重量%を超え、更に好ましくは3重量%以上、特に好ましくは5重量%以上である。
上記第1の層の吸水率は、親水性の指標の1つである。上記第1の層の吸水率が、1重量%以上であると、多層管の内表面に油脂分がより一層付着し難くなる。長期間に渡り、多層管の内表面における油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記第1の層の吸水率は、高い方が好ましい。
上記第1の層の吸水率の上限は、特に限定されない。吸水後の強度を高く保つ観点からは、上記第1の層の吸水率は、10重量%以下であってもよい。
長期間に渡り、多層管の内表面における油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記第1の層の内表面の水に対する接触角は、好ましくは84°以下、より好ましくは80°以下である。
上記第1の層の水に対する接触角は、親水性の指標の1つである。上記第1の層の水に対する接触角が上記上限以下であると、親水性が高く、多層管の内表面に油脂分がより一層付着し難くなる。上記第1の層の内表面の水に対する接触角の下限は、特に限定されない。長期間に渡り、多層管の内表面における油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記第1の層の水に対する接触角は、0°を超え、0°に近い方が好ましい。
長期間に渡り、多層管の内表面における油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記第1の層が、塩化ビニルモノマーと親水性モノマーとの共重合体を含むことが好ましい。上記共重合体(塩化ビニル系共重合体)は、塩化ビニルモノマーに由来する構造単位と、親水性モノマーに由来する構造単位とを有する。長期間に渡り、多層管の内表面における油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記共重合体における上記親水性モノマーに由来する構造単位が、上記非イオン性成分であることが好ましい。上記非イオン性成分が、上記共重合体の分子中に含有されている場合に、上記非イオン性成分は、側鎖に置換又は結合していてもよく、主鎖に置換又は結合していてもよい。
長期間に渡り、多層管の内表面における油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記第1の層中の上記共重合体の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは20重量%以上であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
[第2の層における凹部及び第1の層における凸部]
上記第2の層は、上記第1の層側の内表面に、最大深さが3μm以上である凹部を有する。上記凹部は、溝であることが好ましい。上記第2の層の上記凹部の最大深さは、好ましくは3μm以上、より好ましくは10μm以上であり、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。上記第1の層の上記凸部の最大高さは、好ましくは3μm以上、より好ましくは10μm以上であり、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。上記凹部の最大深さが上記下限以上であったり、上記凸部の最大高さが上記上限以下であったりすると、上記第1の層と上記第2の層との界面接着力がより一層高くなる。上記凹部の最大深さが上記上限以下であったり、上記凸部の最大高さが上記下限以上であったりすると、多層管の強度がより一層高くなる。
上記凹部は、溶剤によるソルベントクラックによって作製されてもよく、やすり等で作製されてもよい。
上記第2の層の上記凹部の平均深さは、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上であり、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.25mm以下である。上記第1の層の上記凸部の平均高さは、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上であり、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.25mm以下である。上記凹部の平均深さが上記下限以上であったり、上記凸部の平均高さが上記上限以下であったりすると、上記第1の層と上記第2の層との界面接着力がより一層高くなる。上記凹部の平均深さが上記上限以下であったり、上記凸部の平均高さが上記下限以上であったりすると、多層管の強度がより一層高くなる。
上記第2の層の上記凹部がない領域における厚みの、上記第2の層の上記凹部の最大深さに対する比は、好ましくは2以上である。
上記第1の層の上記凸部がない領域における厚みの、上記第1の層の上記凸部の最大高さに対する比は、好ましくは2以上である。
[非イオン性成分]
上記非イオン性成分は、親水性基を有する。長期間に渡り、多層管の内表面における油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記親水性基は、水酸基、アミド基、エステル基又はエーテル基であることが好ましい。上記非イオン性成分は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記非イオン性成分は、例えば、共重合体等の化合物の部分構造単位(部分骨格)であってもよい。共重合体等の化合物が、非イオン性成分を構成する材料から形成されていてもよい。上記非イオン性成分が2種以上併用される場合には、2種以上の非イオン性成分が有する親水性基は同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記非イオン性成分又は上記非イオン性成分を構成する材料としては、例えば、水酸基、アミド基、エステル基又はエーテル基等の親水性の非イオン性基を有する非イオン性モノマー及び非イオン性ポリマー等が挙げられる。
上記非イオン性モノマーとしては、ビニルアルコール化合物、ヒドロキシアルキル基(例えば炭素数1〜8)を有する(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシアルキル基(例えば炭素数1〜8)を有する(メタ)アクリルアミド、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、アルキル(例えば炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミド、ジアルキル(例えばアルキル基の総炭素数2〜8)(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−ビニル環状アミド、アルキル基(例えば炭素数1〜8)を有する(メタ)アクリル酸エステル、片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物であるポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有するアリルエーテル化合物であるポリアルキレングリコールのアリルエーテル、片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有するビニルエーテル化合物であるポリアルキレングリコールのビニルエーテル、片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有するスチリルエーテル化合物であるポリアルキレングリコールのスチリルエーテル、及び環状アミド基を有する(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルとを示す。「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとを示す。「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルとメタクリロイルとを示す。
上記ヒドロキシアルキル基(例えば炭素数1〜8)を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び上記ヒドロキシアルキル基(例えば炭素数1〜8)を有する(メタ)アクリルアミドとしては、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及びN−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルとしては、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、及びポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記多価アルコールの炭素数は好ましくは1〜8である。上記多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルの炭素数は好ましくは1〜8である。上記多価アルコールはポリアルキレングリコールであることが好ましく、ポリエチレングリコールであることがより好ましい。反応性を確保するために、上記アルキレングリコールの平均重合度は好ましくは4以上、好ましくは140以下、より好ましくは100以下である。
上記アルキル(例えば炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミドとしては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、及びN−イソブチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記ジアルキル(例えばアルキル基の総炭素数2〜8)(メタ)アクリルアミドとしては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、及びN,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記N−ビニル環状アミドとしては、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
上記アルキル基(例えば炭素数1〜8)を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、及びn−ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有する化合物に関しては、上記アルキルエーテル骨格におけるアルキル基の炭素数は好ましくは1〜20であり、上記アルキルエーテル骨格にアリール基が置換されていてもよく、上記アリールエーテル骨格におけるアリール基の炭素数は好ましくは6〜12であり、上記アリールエーテル骨格に炭素数1〜14のアルキル基が置換されていてもよい。上記アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、及びナフチル基等が挙げられる。上記アリール基は、フェニル基であることが好ましい。片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有する化合物に関しては、上記ポリアルキレングリコールにおけるアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。上記アルキレン基の炭素数は好ましくは1〜20である。上記ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールであることが好ましい。ポリエチレングリコールの水素原子が炭素数1〜18のアルキル基で置換されたポリアルキレングリコールを用いてもよい。置換されているエチレングリコール単位は、全エチレングリコール単位の50重量%以下であることが好ましい。反応性を確保するために、上記ポリアルキレングリコールの平均重合度は好ましくは4以上、好ましくは140以下、より好ましくは100以下である。上記スチリルエーテルにおけるスチリル基は、α位及びβ位の少なくとも一方が、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン化アルキル基で置換されていてもよく、芳香環上に炭素数1〜20のアルキル基があってもよい。
上記環状アミド基を有する(メタ)アクリルアミドとしては、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
上記非イオン性モノマーは、ビニルアルコール、(メタ)アクリルアミド系モノマー、ヒドロキシアルキル(例えば炭素数1〜8)基を有する(メタ)アクリル酸エステル、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有するアリルエーテル化合物であるポリアルキレングリコールのアリルエーテル、片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有するビニルエーテル化合物であるポリアルキレングリコールのビニルエーテル、片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有するスチリルエーテル化合物であるポリアルキレングリコールのスチリルエーテル、又はN−ビニル環状アミドであることが好ましく、特に、ビニルアルコール、ヒドロキシアルキル(例えば炭素数1〜8)基を有する(メタ)アクリル酸エステル、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有するアリルエーテル化合物であるポリアルキレングリコールのアリルエーテル、片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有するビニルエーテル化合物であるポリアルキレングリコールのビニルエーテル、片末端にアルキルエーテル骨格又は片末端にアリールエーテル骨格を有するスチリルエーテル化合物であるポリアルキレングリコールのスチリルエーテル、又はN−ビニル環状アミドであることがより好ましい。
長期間に渡り、多層管の内表面における油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記非イオン性成分は、ポリアルキレングリコール基又は環状アミド基を有することが好ましく、ポリアルキレングリコール基又は環状アミド基を有する化合物を含むことが好ましい。
長期間に渡り、多層管の内表面における油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記第1の層中の上記非イオン性成分の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは10重量%以上であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。上記非イオン性成分が、共重合体等の化合物の部分構造単位である場合に、上記第1の層中の上記非イオン性成分の含有量は、共重合体等の化合物の全体の含有量ではなく、共重合体等の化合物の部分構造単位である非イオン性成分の含有量を示す。
[親水性モノマー]
上記塩化ビニルモノマーと親水性モノマーとの共重合体において、上記親水性モノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。したがって、上記第1の層は、親水性モノマーに由来する構造単位を1種のみ有していてもよく、2種以上有していてもよい。上記親水性モノマーを2種以上併用する場合に、2種以上の親水性モノマーが有する親水性基は同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記親水性モノマーとしては、例えば、(1)非イオン性モノマー、(2)アミノ基、アンモニウム基、ピリジル基、イミノ基又はベタイン構造等のカチオン性基を有するビニルモノマー(以下、「(2)カチオン性モノマー」と記載することがある)、(3)カルボキシル基、スルホ基又はリン酸基等のアニオン性基を有するビニルモノマー(以下、「(3)アニオン性モノマー」と記載することがある)、及び(4)その他のモノマーが挙げられる。上記カチオン性モノマー及び上記アニオン性モノマーはそれぞれ、塩の形態であってもよい。
上記(1)非イオン性モノマーの具体例としては、上述した非イオン性成分が挙げられる。
上記(2)カチオン性モノマーの具体例としては、アミノ基を有するモノマーの酸中和物、及び、アミノ基を有するモノマーを、ハロゲン化アルキル(例えば炭素数1〜22)、ハロゲン化ベンジル、アルキル(例えば炭素数1〜18)もしくはアリール(例えば炭素数6〜24)、スルホン酸又は硫酸ジアルキル(アルキル基の総炭素数2〜8)等により4級化した化合物等が挙げられる。
上記アミノ基を有する化合物としては、ジアルキルアミノ基(例えば総炭素数2〜44)を有する(メタ)アクリル酸エステル、ジアルキルアミノ基(例えば総炭素数2〜44)を有する(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノ基(例えば総炭素数2〜44)を有するスチレン化合物、ビニルピリジン化合物、N−ビニル複素環化合物、及びビニルエーテル化合物等が挙げられる。
上記ジアルキルアミノ基(例えば総炭素数2〜44)を有する(メタ)アクリル酸エステル及び上記ジアルキルアミノ基(例えば総炭素数2〜44)を有する(メタ)アクリルアミドとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジ−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びジ−t−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記ジアルキルアミノ基(アルキル基の総炭素数2〜44)を有するスチレン化合物としては、ジメチルアミノスチレン、及びジメチルアミノメチルスチレン等が挙げられる。
上記ビニルピリジン化合物としては、2−ビニルピリジン、及び4−ビニルピリジン等が挙げられる。
上記N−ビニル複素環化合物としては、N−ビニルイミダゾール等が挙げられる。
上記ビニルエーテル化合物としては、アミノエチルビニルエーテル、及びジメチルアミノエチルビニルエーテル等が挙げられる。
上記(2)カチオン性モノマーの他の具体例としては、ジアリル型4級アンモニウム塩、及びベタイン構造を有するビニルモノマー等が挙げられる。
上記ジアリル型4級アンモニウム塩としては、4−ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、及びジエチルジアリルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
上記ベタイン構造を有するビニルモノマーとしては、N−(3−スルホプロピル)−N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(3−スルホプロピル)−N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(3−カルボキシメチル)−N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、及びN−カルボキシメチル−N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等が挙げられる。
上記(2)カチオン性モノマーが有するカチオン性基の中でも、アミノ基又はアンモニウム基が好ましい。上記(2)カチオン性モノマーは、アミノ基又はアンモニウム基を有するモノマーであることが好ましい。
上記(3)アニオン性モノマーとしては、重合性不飽和基を有するカルボン酸モノマー、重合性不飽和基を有するカルボン酸モノマーの酸無水物(1つのモノマー中に2つ以上のカルボキシル基を有する場合)、重合性不飽和基を有するスルホン酸モノマー、片末端にスルホ基(−SOH)を有するポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、片末端にスルホ基(−SOH)を有するポリエチレングリコールのアリルエーテル、片末端にスルホ基(−SOH)を有するポリエチレングリコールのビニルエーテル、片末端にスルホ基(−SOH)を有するポリエチレングリコールのスチリルエーテル、及び重合性不飽和基を有するリン酸モノマー等が挙げられる。
上記重合性不飽和基を有するカルボン酸モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びイタコン酸等が挙げられる。
上記重合性不飽和基を有するスルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、及び2−(メタ)アクリルアミド−2−アルキル(例えば炭素数1〜4)プロパンスルホン酸等が挙げられる。
片末端にスルホ基(−SOH)を有するポリエチレングリコールのスチリルエーテルに関しては、上記スチリルエーテルにおけるスチリル基は、α位及びβ位の少なくとも一方が、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン化アルキル基で置換されていてもよく、芳香環上に炭素数1〜20のアルキル基があってもよい。
片末端にスルホ基(−SOH)を有する化合物に関しては、上記ポリエチレングリコールの水素原子が炭素数1〜18のアルキル基で置換されたポリアルキレングリコールを用いてもよい。置換されているエチレングリコール単位は、全エチレングリコール単位の50%以下であることが好ましい。
上記重合性不飽和基を有するリン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、及び(メタ)アクリロイロキシアルキル(例えば炭素数1〜4)リン酸等が挙げられる。
上記(3)アニオン性モノマーにおけるアニオン性基は、塩基性物質により、任意の中和度に中和されてもよい。この場合、ポリマー中の全てのアニオン性基又はその一部のアニオン性基は、塩を生成する。ここで、塩における陽イオンとしては、アンモニウムイオン、総炭素数3〜54のトリアルキルアンモニウムイオン、炭素数2〜4のヒドロキシアルキルアンモニウムイオン、総炭素数4〜8のジヒドロキシアルキルアンモニウムイオン、総炭素数6〜12のトリヒドロキシアルキルアンモニウムイオン、アルカリ金属イオン、及びアルカリ土類金属イオン等が挙げられる。上記総炭素数3〜54のトリアルキルアンモニウムイオンとしては、トリメチルアンモニウムイオン、及びトリエチルアンモニウムイオン等が挙げられる。
中和は、モノマーの段階で行われてもよく、ポリマー(例えば、塩化ビニル系共重合体)の段階で行われてもよい。
上記親水性モノマーに由来する構造単位が、水酸基を有するモノマーに由来する構造単位である場合には、水酸基を有するモノマーに由来する構造単位は、ビニルアルコール構造単位であることが好ましく、酢酸ビニル構造単位が加水分解により変換されたビニルアルコール構造単位を含むことが好ましい。
ビニルアルコール構造単位を導入するために、塩化ビニルと酢酸ビニルとを共重合させ、得られた共重合体中に含まれる酢酸ビニル構造単位を加水分解することにより、ビニルアルコール構造単位に変換することが好ましい。なお、加水分解は、酢酸ビニル構造単位100重量%に対して行われていなくてもよく、ビニルアルコール構造単位に変換されていない酢酸ビニル構造単位が、本発明の効果を実質的に損なわない範囲にて存在してもよい。
長期間に渡り、多層管の内表面における油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記親水性モノマーは、上記非イオン性モノマーであることが好ましい。長期間に渡り、多層管の内表面における油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記親水性モノマーは、ポリアルキレングリコール基又は環状アミド基を有するモノマーであることが好ましい。
長期間に渡り、多層管の内表面における油脂分の付着をより一層抑制する観点からは、上記塩化ビニル系共重体において、上記塩化ビニルモノマーに由来する構造単位と上記親水性モノマーに由来する構造単位との合計100重量%中、上記親水性モノマーに由来する構造単位の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは10重量%以上、更に好ましくは30重量%以上であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
[重合方法]
上記塩化ビニルモノマーと上記親水性モノマーとを共重合させて共重合体(塩化ビニル系共重合体)を得る共重合方法について説明する。共重合の方法としては特に限定されず、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法、及び沈殿重合法等が挙げられる。これらの方法の中では、懸濁重合法、乳化重合法又は沈殿重合法が好ましい。
上記懸濁重合法により重合を行う際には、分散剤又は油溶性重合開始剤等を用いてもよい。上記分散剤の使用により、材料中における材料成分の水への分散安定性を高めることができ、共重合を安定的に進行させることができる。
上記分散剤としては特に限定されず、ポリ(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸塩/アルキルアクリレート共重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルの部分けん化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン、及び無水マレイン酸/スチレン共重合体等が挙げられる。上記分散剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記油溶性重合開始剤は特に限定されない。上記油溶性重合開始剤は、ラジカル重合開始剤であることが好ましい。上記油溶性重合開始剤としては、有機パーオキサイド化合物及びアゾ化合物が挙げられる。上記有機パーオキサイド化合物としては、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート及びα−クミルパーオキシネオデカノエート等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、2,2−アゾビスイソブチロニトリル及び2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等が挙げられる。上記油溶性重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
共重合を行う際には、重合中に重合槽内に付着する付着物の量を少なくする目的で、スケール防止剤、pH調整剤又は酸化防止剤等を用いてもよい。さらに、必要に応じて、重合槽の内部、攪拌翼及び邪魔板等の形状、並びに重合槽の材質等を変更してもよい。
上記スケール防止剤は特に限定されず、ポリアミノベンゼン、多価フェノール、アミノフェノール、アルキル置換フェノール等から選ばれた1種又は2種以上の化合物の縮合反応によって得られる多価フェノール等が挙げられる。上記スケール防止剤は、水又は有機溶媒に希釈されていてもよい。上記スケール防止剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記懸濁重合法は、例えば、以下の方法により行われる。温度調整機及び攪拌機を備える重合器内に、純水、上記分散剤、上記油溶性重合開始剤、必要に応じて水溶性増粘剤及び重合度調節剤を含む分散溶液を入れ、真空ポンプにより重合器内から空気を排除する。次に、攪拌条件下で、原料の全てを重合器内に入れる。その後、重合器内を昇温し、所望の重合温度で、材料の重合反応を進行させ、グラフト共重合を行う。共重合反応を行う際に、重合温度は好ましくは30℃以上、好ましくは90℃以下であり、重合時間は好ましくは2時間以上、好ましくは20時間以下である。
上記懸濁重合法では、ジャケット温度を変えることにより反応容器内の温度、すなわち、重合温度を制御可能である。反応終了後には、例えば未反応の塩化ビニルを主成分とするビニルモノマーを除去してスラリー状にし、さらに、脱水及び乾燥を行うことにより、目的とする塩化ビニル系共重合体を得ることができる。
[塩化ビニル系共重合体の他の詳細]
上記塩化ビニル系共重合体の重合度は好ましくは500以上、好ましくは2000以下である。上記重合度が上記下限以上であると、疲労特性等の長期性能が損なわれ難い。上記重合度が上記上限以下であると、成形時に高温下にする必要がなくなり、加工性がより一層良好になる。
多層管に成形する前の上記塩化ビニル系共重合体は、粒子であることが好ましい。粒子である上記塩化ビニル系共重合体の粒子径は、好ましくは0.1μm以上、好ましくは500μm以下である。上記粒子径が上記下限以上であると、乾燥時に微粉状態とならず、取扱い性がより一層高くなる。上記粒子径が上記上限以下であると、粒子を得る際の重合時の反応がより一層不安定になり難い。
上記塩化ビニル系共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の有機材料と併用されてもよい。例えば、機械的強度の更なる向上のため、アクリル樹脂等を、上記塩化ビニル系重合体と併用してもよい。
また、上記塩化ビニル系共重合体は、後塩素化塩化ビニル系樹脂であってもよい。
[多層管の他の詳細]
多層管には、必要に応じて、各種の添加剤を用いてもよい。上記添加剤としては、安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、顔料及び可塑剤等が挙げられる。上記添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記安定剤としては特に限定されず、熱安定剤及び熱安定化助剤等が挙げられる。上記熱安定剤としては特に限定されず、有機錫系安定剤、鉛系安定剤、カルシウム−亜鉛系安定剤、バリウム−亜鉛系安定剤、及びバリウム−カドミウム系安定剤等が挙げられる。上記有機錫系安定剤としては、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、及びジブチル錫ラウレートポリマー等が挙げられる。上記安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱安定化助剤としては特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、りん酸エステル、ポリオール、ハイドロタルサイト、及びゼオライト等が挙げられる。上記熱安定化助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記滑剤としては、内部滑剤、及び外部滑剤が挙げられる。上記内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。上記内部滑剤としては特に限定されず、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、及びビスアミド等が挙げられる。上記外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用される。上記外部滑剤としては特に限定されず、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、及びモンタン酸ワックス等が挙げられる。上記滑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記加工助剤としては特に限定されず、アクリル系加工助剤等が挙げられる。上記アクリル系加工助剤としては、重量平均分子量が10万〜200万であるアルキルアクリレート−アルキルメタクリレート共重合体等が挙げられ、具体的には、n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、及び2−エチルヘキシルアクリレート−メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。上記加工助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記衝撃改質剤としては特に限定されず、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、塩素化ポリエチレン、及びアクリルゴム等が挙げられる。上記衝撃改質剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記耐熱向上剤としては特に限定されず、α−メチルスチレン系、及びN−フェニルマレイミド系樹脂等が挙げられる。上記耐熱向上剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記酸化防止剤としては特に限定されず、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びシアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。上記紫外線吸収剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光安定剤としては特に限定されず、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。上記光安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記充填剤としては特に限定されず、炭酸カルシウム、及びタルクなどが挙げられる。上記充填剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記顔料としては特に限定されず、有機顔料及び無機顔料が挙げられる。上記有機顔料としては、アゾ系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、スレン系有機顔料、及び染料レーキ系有機顔料等が挙げられる。上記無機顔料としては、酸化物系無機顔料、クロム酸モリブデン系無機顔料、硫化物・セレン化物系無機顔料、及びフェロシアニン化物系無機顔料等が挙げられる。
上記可塑剤は、成形時の加工性を高める目的で添加されていてもよい。可塑剤の添加により成形品の耐熱性が低下することがあるため、可塑剤の添加量は少ない方が好ましい。上記可塑剤としては特に限定されず、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、及びジ−2−エチルヘキシルアジペート等が挙げられる。上記可塑剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
[多層管]
上記多層管では、上記第1の層と上記第2の層との2層により、多層管の一部又は全部が構成されている。上記第1の層が、多層管の接液層に用いられることにより、長期間に渡り、多層管の内表面に油脂分の付着を抑制することができる。上記第2の層の外表面に、第3の層が積層されていてもよい。
図1に、本発明の一実施形態に係る多層管を模式的に断面図で示す。
図1に示す多層管11は、管状の第1の層1と、第1の層1の外表面に積層された管状の第2の層2とを備える。第1の層1は、最も内側の層である。第1の層1の内側の表面は、多層管11内を流れる物質(液など)に接する。多層管11は、本発明の一実施形態に係る多層管である。
多層管11では、第1,第2の層1,2が直接接するように積層されている。
上記多層管は、上記第1の層及び上記第2の層以外の層(例えば、第3の層)を備えていてもよい。他の層は、第1の層の内側に配置されていてもよく、第2の層の外側に配置されていてもよい。
上記第1の層及び上記第2の層以外の層(例えば、第3の層)は特に限定されず、熱可塑性樹脂層、繊維強化樹脂層、ガスバリア層、金属層及び接着剤層等から、目的とする機能に応じて適宜選定して組み合わせることができる。
上記熱可塑性樹脂層の材料としては、オレフィン系樹脂及び塩化ビニル樹脂等が挙げられる。上記オレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。
上記繊維強化樹脂層としては、熱可塑性樹脂と強化用繊維とを組み合わせた層等が挙げられる。上記強化用繊維として、従来公知の全ての物が使用できる。上記強化用繊維は無機繊維であってもよく、有機繊維であってもよい。上記無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、シリコン・チタン・炭素繊維、ボロン繊維及び微細な金属繊維等が挙げられる。上記有機繊維としては、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維及びポリアミド繊維等が挙げられる。これらの強化用繊維は、連続繊維が長手方向に配される場合、長手方向に配された連続繊維とこの連続繊維と直交又は交差する連続繊維とが配される場合、並びに有限長さの繊維が配される場合等で用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)塩化ビニル系共重合体の作製
攪拌機及びジャケットを備えた反応容器内にノンスケール剤を塗布し、下記の表1に示す塩化ビニルを除く配合材料を一括で入れた。その後、真空ポンプで反応器内の空気を排出し、攪拌しながら塩化ビニルを入れた。次いで、ジャケット温度を制御して、下記の表1に示す重合温度にて重合を開始し、反応器内の圧力が所定圧力まで低下することで反応の終了を確認し、反応を停止した。その後、未反応の塩化ビニルを除去し、さらに、脱水及び乾燥を行うことで、塩化ビニル系共重合体を得た。
(2)塩化ビニル系樹脂溶液の調製
ビーカーに表1に示す成分をすべて入れ、マグネットスターラ―にて、12時間撹拌し、塩化ビニル系樹脂溶液を得た。溶剤として、THF(テトラヒドロフラン)1000重量部を用いた。
(3)多層管の作製
硬質塩化ビニル管(JIS K6746、VP50A)を用意した。
得られた塩化ビニル系樹脂溶液を、上記硬質塩化ビニル管(第2の層)の内表面に塗り付け、60℃で1時間乾燥させて第1の層を形成し、多層管を作製した。このとき、硬質塩化ビニル管の内表面に、上記塩化ビニル系樹脂溶液中の溶剤によるソルベントクラックによって、凹部(溝)が形成された。
(実施例2)
塩化ビニル系樹脂溶液の調製時に、溶剤をシクロヘキサノンに変更したこと以外は実施例1と同様にして、多層管を作製した。
(実施例3)
塩化ビニル系樹脂溶液の調製時に、溶剤を2−ブタノンに変更したこと、並びに多層管の作製時に、第1の層の厚みを表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、多層管を作製した。
(実施例4)
塩化ビニル系樹脂溶液の調製時に、溶剤をTHF700重量部とアセトン300重量部とに変更したこと、並びに多層管の作製時に、第1の層の凸部が無い領域の厚みを表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、多層管を作製した。
(実施例5)
塩化ビニル系共重合体の作製時に、親水性モノマーを、N−ビニル−2−ピロリドン20.0重量部に変更し、イオン交換水の含有量を250重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、多層管を作製した。
(比較例1)
塩化ビニル系共重合体を用いずに、ポリ塩化ビニル(徳山積水工業社製「TS−1000R」)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、多層管を作製した。
(比較例2)
塩化ビニル系樹脂溶液の調製時に、溶剤をアセトンに変更したこと以外は実施例1と同様にして、多層管を作製した。
(評価)
(1)重合度
塩化ビニル系共重合体の重合度を、JIS K6720−2に準拠して測定した。なお、発生した不溶解物はろ別し、可溶解分のみを用いて測定した。
(2)塩化ビニルの含有量(塩化ビニルに由来する構造単位の含有率)
塩化ビニル系共重合体における塩素重量含有率(Cl%)をJIS K7229に準拠して、電位差滴定法にて測定した。
この塩素重量含有率(C=Cl%/100)から下記式(X)により、塩化ビニル(塩化ビニルモノマーに由来する構造単位)の含有量を算出した。
塩化ビニルの含有量(重量%)=(C/56.7)×100 ・・・式(X)
(3)非イオン性成分(親水性モノマーに由来する構造単位)の含有量
親水性モノマーに由来する構造単位の含有量は下記式(Y)で算出した。
親水性モノマーに由来する構造単位の含有量(重量%)=100−塩化ビニルの含有量 ・・・式(Y)
(4)第1の層の凸部がない領域における厚み
第1の層を形成する前の管(硬質塩化ビニル管)の凹部がない領域における厚みと、第1の層を形成した後の多層管の凹部がない領域における厚みとをマイクロメーターで5点測定し、平均値を算出した。それぞれの差分から第1の層の凸部がない領域における厚みを算出した。
(5)第2の層の凹部の最大深さ及び平均深さの測定
得られた多層管の断面を光学顕微鏡により目視観察し、第2の層の凹部の最大深さ及び平均深さを測定した。
(6)親水性の評価(吸水率)
得られた多層管から第1の層を彫刻刀で削り取り、第1の層の評価サンプルを得た。採取した評価サンプルを、25℃の水に7日間浸漬し、下記式(Z)から算出した。
吸水率(重量%)=(浸漬後の重量(g)−浸漬前の重量(g))/浸漬前の重量(g)×100・・・式(Z)
(7)親水性の評価(水に対する接触角)
得られた多層管の内表面において、親水性の測定を行った。得られた多層管を水に2時間浸漬したのち、キムワイプにて表面の水気をふき取った直後に測定を行った。
23℃、相対湿度50%の室内で、協和界面科学社製「FACE接触角計CA−X150型」を用いて、液滴法によって水の接触角(°)を測定した。この接触角は、親水性の指標の1つである。
(8)油脂分の付着量の評価
得られた多層管を長さ15cmに切り出し、評価サンプルを得た。25℃の室内において、23日間、ラード5重量%水溶液(水94重量%、ラード5重量%、界面活性剤1重量%)を評価サンプル内に流通させた。流量は3L/分であり、15分の流通、15分の停止を1サイクルとして、サイクルを繰り返した。試験中、ラード5重量%水溶液は、循環させて用いた。
評価サンプルの内面に付着したラードをスポンジでかきとり、スポンジの重量増分でラード付着量を測定した。なお、ラードとして、雪印メグミルク社製「雪印純正ラード」を用いた。油脂分付着量を下記の基準で判定した。
[油脂分の付着量の判定基準]
○○:ラードの付着量が、0.5g未満
○:ラードの付着量が、0.5g以上、1g未満
△:ラードの付着量が、1g以上、5g未満
×:ラードの付着量が、5g以上
(9)碁盤目テープ試験(旧JIS K5400)
得られた多層管を用いて、旧JIS K5400に準拠する方法で評価した。評価結果を下記の基準で判定した。
[碁盤目テープ試験の判定基準]
5:剥れなし
4:剥離した面積が全試験面積の5%未満
3:剥離した面積が全試験面積の5%以上、15%未満
2:剥離した面積が全試験面積の15%以上、35%未満
1:剥離した面積が全試験面積の35%以上、65%未満
0:剥離した面積が全試験面積の65%以上
結果を表1に示す。
Figure 2018003859
1…第1の層
2…第2の層
11…多層管

Claims (10)

  1. 第1の層と、前記第1の層の外表面に積層された第2の層とを備え、
    前記第1の層が、親水性基を有する非イオン性成分を含有し、
    前記第2の層が、前記第1の層側の内表面に、最大深さが3μm以上である凹部を有し、
    前記第1の層が、前記第2の層の前記凹部内に凸部を有する、多層管。
  2. 前記第1の層の前記凸部がない領域における厚みが、5μm以上、500μm以下である、請求項1に記載の多層管。
  3. 前記第1の層中の前記非イオン性成分の含有量が、1重量%以上である、請求項1又は2に記載の多層管。
  4. 前記第1の層の吸水率が、3重量%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層管。
  5. 前記第1の層の内表面の水に対する接触角が、84°以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層管。
  6. 前記非イオン性成分が、ポリアルキレングリコール基又は環状アミド基を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多層管。
  7. 前記第1の層が、塩化ビニルモノマーと親水性モノマーとの共重合体を含み、
    前記共重合体における前記親水性モノマーに由来する構造単位が、前記非イオン性成分である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の多層管。
  8. 前記親水性モノマーが、ポリアルキレングリコール基又は環状アミド基を有するモノマーである、請求項7に記載の多層管。
  9. 前記親水性モノマーが、ポリアルキレングリコール基を有するモノマーである、請求項8に記載の多層管。
  10. 前記親水性モノマーが、環状アミド基を有するモノマーである、請求項9に記載の多層管。
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