JP6837477B2 - 交換フィルターシステムを持つ塗装ブース - Google Patents

Description

本発明は、スプレーしぶきを除去するフィルターを交換するためのシステムが設けられた塗料吹き付けブースに関する。

通常、塗料吹き付けブースには、スプレーしぶき、すなわち霧状となった過剰の塗料をブースの外側に運び出すため、作業領域を通過する空気流が供給される。スプレーしぶきが巻き込まれる空気は、これが環境へと放出されるか、あるいはブースに向けて導入される可能性がある前に、塗料を必ず取り除かなければならず、この理由のため、空気流は適当なろ過システムを通過するようにされる。

フィルターを用いるシステムは、これらが塗料で満たされるようになるので、詰まってしまい、定期的に交換されなければならない。これは、ブースが少なからぬ期間に亙って機能しないという結果をしばしばもたらす。さらに、このフィルター交換作業は複雑であって「汚染された」領域にてしばしば作業せざるを得ない整備要員にとって厄介である可能性がある。

本発明の大まかな目的は、スプレーしぶき除去フィルターの交換を容易にするための手段を有するろ過システムを持ったブースを提供することである。

この目的に鑑み、本発明により見出されたアイデアは、塗料が内側に吹き付けられると共にスプレーしぶきを排除するための空気流が供給される塗料吹き付けチャンバーを具えた塗料吹き付けブースであって、前記塗料のスプレーしぶきを前記空気流からろ過して分離するため、このブースの少なくとも１つのフィルターユニットへと前記空気流が運ばれ、前記フィルターユニットは、複数の交換可能なフィルターモジュールを具え、それぞれのフィルターモジュールは、前記フィルターユニットのハウジングの内側に取り出し可能に収容され、このブースは、前記複数のフィルターモジュールのそれぞれを、そのハウジングと、前記フィルターモジュールを当該ブースに入れるか、該ブースから出すための出し入れ領域との間で取り出して移送するためのレールシステムを具えており、前記レールシステムは、前記ハウジングの内側に拘束される作業位置と取り出し位置との間を移動可能である取り出し可能なフレームをそれぞれのハウジングのために具え、前記フレームにはまた、対応するフィルターモジュールが取り付けられると共に前記取り出し可能なフレームが前記作業位置にある場合に前記ハウジングの内側に収容されるように意図されるキャリッジを支持する第１の組のレール部が設けられており、前記レールシステムは、前記第１の組のレール部から前記フレームの取り出し方向に間隔をあけた第２の組のレール部をさらに具え、これら第１および第２の組は、前記フレームの取り出し方向に対して交差する水平方向に延在し、前記第２の組は、前記取り出し可能なフレームが前記作業位置にある場合、前記ハウジングの外側に留まっているように意図され、前記取り出し可能なフレームの前記レール部の第１および第２の組は、対応する前記取り出し可能なフレームと前記出し入れ領域との間のフィルターモジュールの移動のための通路の一部を形成することを特徴とするブースを提供することである。

本発明によるブースの一部破断概略正面図を示す。 図１のＩＩ−ＩＩ線に沿って切断したブースの概略平面図を示す。 フィルターの交換作業中の図１によるブースの一部を拡大した概略図を示す。 図１のそれと同様な概略図を示し、本発明によるブースの可能な実施形態の一バリエーションを示している。

本発明の画期的な原理および従来技術と比較したその利点をより明瞭に例示するため、これらの原理を適用した実施形態の一実施例が添付図面を用いて以下に記述されよう。

図面に関し、図１は、概ね１０によって表された本発明による塗料吹き付けブースを示している。

このブースは、対象物１２（例えば自動車の車体）に吹き付けるためのチャンバー１１を具えている。吹き付けられる対象物を周知の連続移送システム１３によってチャンバー１１へと移送することが都合が良い。

このチャンバー１１には、塗装される対象物の表面に塗料を吹き付けるように操作される周知の塗料吹き付け器具（図示せず）が設けられている。この塗料吹き付け器具をスプレーガンが設けられた周知のロボットアームの形態で実現することが都合良く可能である。

スプレーしぶきをチャンバー１１から排除するための空気は、ブースの内側に循環される。チャンバーを通る空気の連続流を生じさせるため、例えば適当な空気循環ファン（図示せず）を本質的に周知の技術によって提供することが都合が良い。

空気流の循環のため、チャンバー１１の床１４を、チャンバーの空気がここを通って引き込まれる格子で構成することが都合が良い。従って、チャンバーの天井には、塗料の吹き付け作業中に上端から下方へとチャンバーを垂直に通過する連続した空気流を生ずるように、対応した空気入口１５が設けられている。チャンバー１１を出た空気流は、スプレーしぶきを留めておく少なくとも１つのフィルターユニット１６に運ばれる。このフィルターユニットは、対応するハウジング１８の内側にそれぞれ収容される交換可能な複数のフィルターモジュール１７を具えることが都合が良く、フィルターモジュールのための台座を形成するハウジングは、チャンバーからの空気の入口と、ろ過後の空気を放電させる出口との間にこれを結合する。

特に、空気がフィルターに入ることを可能にするための通路２１と、出口２４とをそれぞれのハウジング１８に設けることが都合が良い。

図１に示した実施形態において、フィルターユニットをブースの鉛直中央平面に対し、鏡像配置にて相互に対向して全部で２つ配することが都合が良い。この平面は、ブースの前後に延在する方向を画成する移送システム１３の移動方向に対して平行であることが都合が良い。空気が床１４を通って引かれるブースの実施形態において、このフィルターユニットまたは複数のフィルターユニット１６を床１４の下に直接配することが好ましい。

図示した実施形態において、概ねＴ字形状の断面を有するチャンバー１９があることが都合が良く、これは床１４の下で水平に延在してそこから空気を導入するための上部ヘッダー２０を、フィルターモジュールに沿って延在すると共にフィルターへの空気の流入を可能にする通路２１を形成するＴ字の垂直部分と共に画成する。通路２１の内側には、適切な開口２５を設けた個々のハウジング１８にあるフィルターモジュールの入口２２が相互に並んで配置されている。同様に、個々のハウジング１８におけるフィルターモジュールの出口２３は、ハウジング１８により形成され、かつ（好ましくはハウジングの底の）出口２４に結合されたチャンバーに通じている。

図示した実施形態において、フィルターモジュールは、両側に配置された入口と出口とを持つ平行六面体形状を有することが都合が良い。これらフィルターは、種々の適当な種類のものであって良く、例えば板紙から作られる使い捨て式のものもまた、可能である。

それぞれのハウジング１８の出口２４は、ブースから空気を排出するための流路２７に（好ましくは一つ以上の、例えば「ポケット」式のさらなるフィルター２６を介して）結合することが都合が良い。この流路２７は、最終的に空気を外部に排出し、かつ／または浄化した空気の再利用のため、これをチャンバー１１へと運んで戻すことができる。

また、ハウジングの出口２４には、フィルターモジュールを出る空気流を絞り、かつ／または閉止するための制御ゲート２８を設けることが都合が良い。

図１において、ブースへの空気流は、矢印によって概略的に表されている。それで、チャンバー１１の底から通路２１へと通る空気は、すべてのフィルターモジュールへと並列に導入される。それぞれのモジュールへと通った後、空気はハウジング１８（それぞれ箱型の筐体の形態にあることが都合が良い）へと入り、そして排出流路２７に達するように出口２４から出る。

また、図２にて明瞭に見ることができるように、本発明によるブースは、複数のフィルターモジュール１７のそれぞれを、そのハウジングと、これらフィルターモジュールをブースに入れるか、またはブースから出すための出し入れ領域３１との間で取り出して移送するためのレールシステム３０を具えている。

このレールシステムは、高架式のものであって、それぞれのハウジング１８のために、ガイド５１（好ましくは高架式のもの）に対して滑動する取り出し可能なフレーム５０を具えていることが都合が良い。そしてまた、この取り出し可能なフレームは、第１の組のレール部５２と、第２の組のレール部５３とを具えている。これら両方の組は、ガイド５１にあるフレームの取り出し方向に対して交差する水平方向に延在している。

第１の組５２は、ハウジング１８の内側に収容されてフィルターモジュール１７が取り付けられるキャリッジ５４を支持するように意図されている。その代わり、第２の組はハウジングの外側にとどまっている。

図２に明瞭に見ることができるように、同じフレーム５０のレール部の組は、相互に間隔をあけられ、フレーム５０が使用または作業位置にある場合（例えば図２の下）、第１の組のレール部５２は、対応するフィルターモジュール１７が作業位置へともたらされるように、対応するハウジング１８の内側に挿入されるのに対し、第２の組のレール部５３は固定部５５に対し位置調整され、取り付け／取り外し領域３１の方に向けられた完全な外部レール通路を（ブースの他のフレーム５０の組のレール部と共に）もたらすようになっている。

同様に、フレームが取り出された場合、（例えば図２の右上に見ることができるように）、第１の組のレール部５２は、出し入れ領域３１の方に向けた完全な外部レール通路を（ブースの他のフレーム５０のレール部の組と共に）もたらすように、固定部５５に対して位置を調整される。

このようにして、取り出し可能なフレームの第１および第２の組のレール部は、対応する取り出し可能なフレームと、出し入れ領域との間のフィルターモジュールの移動のためのレール通路部を代わりに形成する。

フレームの取り出しのため、それぞれのハウジングはまた、閉止した時に気密となる対応したドア５６を具えている。このドア５６は、図２の上側に示すように、それぞれのハウジングに蝶番で取り付けられたドアであってよく、あるいはまた、ハウジングを閉止するか、これを開く間仕切り位置にそれぞれ対応した使用中の作業位置と取り出し位置との間をフレームと共に移動するように、レールの組の間に取り付けられた（図２に破線で示す）間仕切り５７であってもよい。

ハウジング１８へと空気を流入させるための側（すなわちハウジングの入口開口２５）には、フィルターモジュールへと空気を導入する開口を閉止するための手段もまた、設けられている。この手段は、（図２の左上に示した）休止位置と、各フィルターモジュールへと流入させるための開口の１つをこれがそれぞれ閉止する作業位置との間を移動するように、通路に沿って移動する可動間仕切り３７（本質的に知られ、従って図示しない手段、例えばチェーン伝動システムにより電動化されていることが都合が良い）を具えていることが都合がよい。この方法において、フィルターモジュールを交換することが必要となった場合、このモジュールへの空気入口を閉止するように間仕切りを移動させ、そしてフレーム５０をそのガイド５１に対して外側に滑動させることによって、モジュールがハウジングから取り出される。また、ハウジングからの空気のための出口２４をゲート２８によって閉止することが都合が良い。このようにして、交換されるハウジングを完全にブースの空気流から隔離することができ、ブースの作業を妨げない。

そのレール部５２を有する取り出されたモジュールが固定部５５に対してひとたび位置調整されると、フィルターモジュールを、そのキャリッジ５４と共に領域３１に関してレールに沿って滑動させることができ、必要に応じてこれを洗浄または廃棄するために取り外すことができる。

そして次に、上述した取り出しのための処置の逆がハウジングへと導入されるように、新たなモジュールをレール部に装着して空のハウジングへと移送することができる。

例えば、図示しない適当な周知のエレベーターまたはコンベアーを使って例えば倉庫からこれらのモジュールを取り出し、これらを出し入れ領域３１から、およびこれらの領域へと動かすことができる。例えば、板紙から作られた互換性のあるフィルターの場合、出し入れ領域はまた、使用済みモジュールのための本質的に知られた種類の適当な圧縮器具を都合良く具えることも可能である。

フィルターモジュールは、ハウジング１８と入り側通路２１との間の連通開口２５の外周端縁３６に対してその端縁がシール状態で密着する入口側を有することが都合が良い。この方法において、これは塗料吹き付けチャンバーからフィルターを通る空気流の気密性および循環を確実にするため、端縁３６に対してフィルターを載せるだけで足りる。例えば、閉止または作業位置にあるドアまたはフレームを用いてモジュールに加えられるスラスト力によって、シール接触を確実にすることができ、あるいはさらなる周知の拘束手段を設けて作業位置にモジュールを保持するために作動させることができる。

図３は、作業者によるフィルターモジュール１７の取り出しおよび交換のための作業の破断正面図をより大きく詳細に示している。

鏡像構成の２つのフィルターユニットを持つ実施形態が特に有利であると考えられているけれども、それにも拘らず、例えば処理される空気流がより制限されている場合、単一のフィルターユニットを用いることもまた可能である。これは、例えば図４に示されており、フィルターへと空気を運ぶための本質的にＴ字形のチャンバーは、入り側通路の片側にだけフィルターモジュールを有し、従って単一のフィルター移送および移動システムが設けられている。残余に関し、塗料吹き付けブースの構造は、上述したものと同一であってよい。

この時点で、あらかじめ定めた目的がどのように達成されているかが明確である。本発明によるブースに関し、プラントを停止する必要すらなく、フィルターを周期的に容易かつ迅速に交換することが可能である。空気流が複数のフィルターを用いて分けられるため、一つのフィルターをその取り出しおよび交換のために閉止しても、作業全体のために必要な空気流の時間を過度に減らさない。このレールシステムのおかげで、作業者は交換作業をより容易かつ少ない労力で行うことができる。しかしながら、この移動システムは、単純で強く、かつ相対的に低コストである。

本発明の革新的な原理を適用した上の一実施形態の説明は、これらの革新的な原理の実施例として明かにもたらされ、従ってここで請求された権利の範囲を限定するように見なしてはならない。

例えば、ここで当業者が容易に想像することができるように、出し入れ領域を、新たなフィルターが届く入り側領域と、使用済みのフィルターが移送される出側領域とに分けることができる。これらの領域は、例えばレール部５２または５３および固定部５５によって形成された２つの移動通路の両端部にあってよい。

移動システムはまた、自動的または半自動的であってよい。例えば、これらが使用または作業位置と、取り出し位置との間でこれらの制御された移動のために電動化されるように、フレーム５０を都合良く設計することができる。

フィルターの交換を所定の作業周期に従ってプログラムされた時間にて周期的に行うことができ、あるいは適当なセンサーをまた、設けることもでき、このセンサーは、ある一定量よりも多くまで詰まっていることをこれが検出した場合にフィルターの交換を要求する。全部の交換作業中に、フィルターモジュールはまた、すべてのフィルターモジュールが完全に交換されるまで、一回に付き１つずつ（あるいは対応付けられた独立した自動化システムを持つ２つのフィルターユニットの場合、対で）連続的に交換することができる。従って、交換のために必要とされる全期間に亙り、塗料吹き付けブースを機能させるように保つことができる。

可燃性材料で作られた使い捨てフィルターの場合、使用済みフィルターの高温焼却のための方法を考えることができ、この方法は、フィルターそれ自体およびこれに含まれる塗料を燃料の少なくとも一部として用いる。フィルターを除去することに加え、この燃焼を燃焼蒸気からの熱回収のために有効利用することが可能である。

Claims (8)

1. 塗料が吹き付けられると共にスプレーしぶきを排除するための空気流が供給される塗料吹き付けチャンバー（１１）を具えた塗料吹き付けブース（１０）であって、前記塗料のスプレーしぶきを前記空気流からろ過して分離するため、このブース（１０）の少なくとも１つのフィルターユニット（１６）へと前記空気流が運ばれ、前記フィルターユニット（１６）は、複数の交換可能なフィルターモジュール（１７）を具え、それぞれのフィルターモジュール（１７）は、前記フィルターユニットのハウジング（１８）の内側に取り出し可能に収容され、このブース（１０）は、前記複数のフィルターモジュール（１７）のそれぞれを、そのハウジング（１８）と、前記フィルターモジュール（１７）を当該ブース（１０）に入れるか、当該ブース（１０）から出すための出し入れ領域（３１）との間で取り出して移送するためのレールシステム（３０）を具えており、前記レールシステム（３０）は、前記ハウジング（１８）の内側に拘束される作業位置と取り出し位置との間を移動可能である取り出し可能なフレーム（５０）をそれぞれのハウジング（１８）のために具え、前記フレーム（５０）にはまた、対応するフィルターモジュール（１７）が取り付けられると共に前記取り出し可能なフレーム（５０）が前記作業位置にある場合に前記ハウジング（１８）の内側に収容されるように意図されるキャリッジ（５４）を支持する第１の組のレール部（５２）が設けられており、前記レールシステム（３０）は、前記第１の組のレール部（５２）から前記フレーム（５０）の取り出し方向に間隔をあけた第２の組のレール部（５３）をさらに具え、これら第１および第２の組（５２、５３）は、前記フレーム（５０）の取り出し方向に対して交差する水平方向に延在し、前記第２の組（５３）は、前記取り出し可能なフレーム（５０）が前記作業位置にある場合、前記ハウジングの外側に留まっているように意図され、前記取り出し可能なフレーム（５０）の前記レール部の第１および第２の組（５２、５３）は、対応する前記取り出し可能なフレーム（５０）と前記出し入れ領域（３１）との間のフィルターモジュール（１７）の移動のための通路の一部を形成することを特徴とするブース（１０）。
2. それぞれのハウジング（１８）は、塗料吹き付けチャンバー（１１）から来る空気のための第１の入口（２５）を有し、前記フィルターモジュール（１７）が前記ハウジング（１８）の内側の作業位置にある場合、前記フィルターモジュール（１７）の対応する入口（２２）が結合され、前記フィルターモジュール（１７）が前記ハウジング（１８）から取り出された場合、この第１の入口（２５）を閉じるための制御手段（３７）が設けられていることを特徴とする請求項１に記載のブース（１０）。
3. 前記制御手段（３７）は、休止位置と作業位置との間を動くように滑動し、これが前記ハウジング（１８）の第１の入口（２５）をそれぞれ閉じる可動間仕切り（３７）を具えていることを特徴とする請求項２に記載のブース（１０）。
4. それぞれのハウジング（１８）は、これが前記ハウジング（１８）の内側の前記フィルターモジュール（１７）へと通った後の空気のための出口（２４）を有し、この出口（２４）を制御可能に閉じるための制御ゲート（２８）が設けられていることを特徴とする請求項２に記載のブース（１０）。
5. 前記ハウジング（１８）の第１の入口（２５）は、前記塗料吹き付けチャンバー（１１）からの前記空気が到達する共用通路（２１）の内側に設けられていることを特徴とする請求項２に記載のブース（１０）。
6. 前記フィルターユニット（１６）の数が２つであり、前記塗料吹き付けチャンバー（１１）の床の下に鏡像構成にて配置されていることを特徴とする請求項１に記載のブース（１０）。
7. Ｔ字形断面を持つチャンバー（１９）が前記塗料吹き付けチャンバー（１１）の床の下に設けられ、Ｔ字の水平部分は、前記塗料吹き付けチャンバー（１１）の床を通過する前記空気流を運ぶための流路（２０）を形成し、Ｔ字の垂直部分は、前記フィルターモジュール（１７）の入口（２２）が現われる流路（２１）をその内側に形成していることを特徴とする請求項１に記載のブース（１０）。
8. さらなるフィルター（２６）が前記フィルターモジュール（１７）の下流にあることを特徴とする請求項１に記載のブース（１０）。

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