JP6837026B2 - 風圧検出位置演算装置、移動体運動制御装置、風圧検出位置演算方法、風圧検出位置演算プログラム、及び移動体運動制御プログラム - Google Patents

風圧検出位置演算装置、移動体運動制御装置、風圧検出位置演算方法、風圧検出位置演算プログラム、及び移動体運動制御プログラム Download PDF

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Description

本発明は、風圧検出位置演算装置、移動体運動制御装置、風圧検出位置演算方法、風圧検出位置演算プログラム、及び移動体運動制御プログラムに関する。
横風がある環境下で自動車等の移動体が移動する場合に、横風に応じた空気力が移動体に作用して変動する移動体の挙動を抑制する技術が知られている。例えば、車両の車体側面左右一対の圧力検出点における車体表面の圧力を、ホース又は管路を通じて唯一のセンサで差圧として検出し、検出した差圧を用いて横風外乱の車両挙動への影響を最小化する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、唯一のセンサで検出した車両の左右側面の差圧を用いて、横風帯への突入及び離脱を判断し、横風外乱の車両に対する影響を最小化する車両の制御量を求め、操舵機構を制御する。また、車両の前後左右に圧力計を設けて、これらの圧力計の出力値各々による差圧を用いて車両に作用する空気力を検出し、横風外乱による車両の挙動変化に対して、直進走行安定性等を図るために操舵補助する技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平5−193512号公報 特開2007−131018号公報
ところで、移動体に作用する空気力を推定する場合、車速と外乱風速による合成風速に基づく動圧を考慮することが要求される。しかしながら、自動車等の移動体における左右一対の圧力を検出し、その差圧を用いて移動体に作用する空気力を推定する場合、外乱風速を実時間で取得することは一般に困難であるため、動圧が考慮されず、移動体に作用する空気力を精度よく推定することが困難である。また、差圧を用いて移動体に対する風向及び風速を推定する場合も同様である。
また、センサの設置位置によって、風向及び風速、又は空気力の推定精度の低下を招く場合がある。例えば、移動体に対する上下方向の外乱及び移動体の上下方向のの姿勢変化、或いは移動体前方で風の流れが大きく剥離することによって、圧力を検出するセンサの設置位置に応じてセンサ出力値が変化する場合などである。
本発明は、上記事実を考慮してなされたもので、簡単な構成で、風圧の検出位置を演算し、動圧を考慮して、風向及び風速、または移動体に作用する空気力等の風に関する物理量を推定可能な風圧の検出位置を演算することができる風圧検出位置演算装置、移動体運動制御装置、風圧検出位置演算方法、風圧検出位置演算プログラム、及び移動体運動制御プログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の風圧検出位置演算装置は、
風向に応じた移動体表面の風圧分布を示す風圧分布情報を取得する取得部と、
前記風圧分布情報に基づいて、予め定めた風向での前記移動体表面の垂直方向の風圧変動が第1閾値未満の風圧領域を設定する設定部と、
前記風圧領域内で、かつ前記移動体表面における水平方向の複数の位置における風圧の和が第2閾値を超える風圧検出候補範囲を抽出する抽出部と、
前記移動体の構造に基づいて、前記風圧検出候補範囲内で、かつ前記移動体前方で少なくとも左右方向に離れた複数の位置を、前記風圧を検出する検出部の設置位置として導出する導出部と、
を備えている。
本発明の風圧検出位置演算装置によれば、移動体表面で垂直方向の風圧変動が第1閾値未満の風圧領域が設定部で設定される。これにより、移動体に対する上下方向の外乱及び移動体の上下方向の姿勢変化に対して風圧が不安定になることが予測される領域の設定が抑制される。抽出部は、風圧領域から風圧の和が第2閾値を超える風圧検出候補範囲を抽出する。例えば、移動時に移動体に与えられる動圧は、所定値以上の正圧になると予測され、第2閾値を正の値に設定することで、風圧検出候補範囲で風圧の和を動圧とみなして風圧を検出することが可能となる。導出部は、例えば、移動体の構造に基づいて風圧検出候補範囲内に風圧を検出する検出部を設置することが可能な位置を導出する。これにより、風の流れが剥離することにより、風圧が不安定になることが予測される領域の設定が抑制され、かつ、風圧の和を動圧とみなして風圧を検出することが可能となる検出部の設置位置を導出できる。
前記演算部で演算する前記設置位置は、前記移動体の前方に左右対称に配置される一対の圧力センサの位置とすることができる。
前記抽出部は、前記移動体の周辺における風に関する物理量を推定するために、設定された風向に基づいて、前記風圧検出候補範囲を抽出する。
前記風に関する物理量は、風向及び風速の少なくとも一方に関する物理量とすることができる。
前記風に関する物理量は、前記移動体の挙動を変化させる方向に作用する空気力に関する物理量とすることができる。例えば、移動体の周辺における風に関する物理量として、空気力を推定する場合、様々な風向及び風速による空気力が与えられると考えられる。そこで、予め風洞実験又は解析等によって、空気力を推定する場合に影響する風向を求めておき、抽出部で、予め求めた風向を設定すればよい。
本発明の移動体運動制御装置は、
風圧検出位置演算装置で導出された前記設置位置に設置され、かつ複数の風圧を検出する検出部と、
前記検出部で検出された複数の風圧の差及び風圧の和に基づいて、風向及び風速を示す前記移動体の周辺における風に関する物理量を導出する風況導出部と、
前記風況導出部で導出された前記風に関する物理量に基づいて、前記移動体の挙動を変化させる方向に作用する空気力を推定する空気力推定部と、
前記空気力推定部で推定された空気力に基づいて、前記空気力の作用に応じて変化する前記移動体の挙動を予測する挙動予測部と、
前記移動体が、前記挙動予測部で予測された挙動を打ち消す挙動を行うように前記移動体の運動を制御する運動制御装置を制御する制御部と、
を備えている。
本発明の移動体運動制御装置によれば、風向及び風速を示す風況推定のための風圧検出位置として導出された位置に、検出部を設置し、差圧及び和圧を用いて風向及び風速の少なくとも一方が導出される。そして、導出された風向及び風速に基づいて、風によって車両に作用する空気力を推定し、その空気力に応じて変化する移動体の運動を制御する。例えば、風によって移動体に作用する空気力により変化する移動体の挙動を打ち消す挙動を行うように制御することで、移動体に作用する風による影響を抑制することができる。
また、本発明の移動体運動制御装置は、
風圧検出位置演算装置で導出された前記設置位置に設置され、かつ複数の風圧を検出する検出部と、
前記検出部で検出された複数の風圧の差及び風圧の和に基づいて、前記移動体の挙動を変化させる方向に作用する空気力を推定する空気力推定部と、
前記空気力推定部で推定された空気力に基づいて、前記空気力の作用に応じて変化する前記移動体の挙動を予測する挙動予測部と、
前記移動体が、前記挙動予測部で予測された挙動を打ち消す挙動を行うように前記移動体の運動を制御する運動制御装置を制御する制御部と、
を備えている。
また、他の移動体運動制御装置によれば、空気力推定のための風圧検出位置として導出された位置に、検出部を設置し、差圧及び和圧を用いて空気力が導出される。そして、導出された空気力に基づいて、その空気力に応じて変化する移動体の運動を制御する。このように、移動体に作用する風による影響を抑制することができる。
本発明の風圧検出位置演算方法は、
コンピュータが、
風向に応じた移動体表面の風圧分布を示す風圧分布情報を取得し、
前記風圧分布情報に基づいて、予め定めた風向での前記移動体表面の垂直方向の風圧変動が第1閾値未満の風圧領域を設定し、
前記風圧領域内で、かつ前記移動体表面における水平方向の複数の位置における風圧の和が第2閾値を超える風圧検出候補範囲を抽出し、
前記移動体の構造に基づいて、前記風圧検出候補範囲内で、かつ前記移動体前方で少なくとも左右方向に離れた複数の位置を、前記風圧を検出する検出部の設置位置として導出する
ことを含む。
本発明の風圧検出位置演算プログラムは、
コンピュータを、前記風圧検出位置演算装置の各部として機能させる。
本発明の移動体運動制御プログラムは、
移動体に搭載されたコンピュータを、前記移動体運動制御装置として機能させる。
このような、風圧検出位置演算方法、及び風圧検出位置演算プログラムによっても、移動体に対する上下方向の外乱及び移動体の上下方向の姿勢変化、或いは流れが剥離することにより、風圧が不安定になることが予測される領域の設定が抑制され、かつ、風圧の和を動圧とみなして風圧を検出することが可能となる検出部の設置位置を導出できる。
以上説明したように本発明によれば、簡単な構成で、風向及び風速、または移動体に作用する空気力等の風に関する物理量を推定可能な風圧の検出位置を演算することができる、という効果が得られる。
車両に搭載された電子機器の配置例及び空気力に関する座標系の一例を示すイメージ図である。 楕円曲線で表される差圧と和圧との対応関係の一例を示すイメージ図である。 風向と角度との対応関係の一例を示すイメージ図である。 走行中に取得した差圧及び和圧の実測値と、風速100km/hの風洞実験により取得した差圧及び和圧の楕円近似曲線とを示すイメージ図である。 風向の実測値の時間特性と、差圧及び和圧による風向の推定値の時間特性とを示すイメージ図である。 風速の実測値の時間特性と、差圧及び和圧による風速の推定値の時間特性とを示すイメージ図である。 相違する位置に設置された一対の圧力センサの位置関係の一例を示すイメージ図である。 水平方向に離間する位置に設置された一対の圧力センサによる差圧及び和圧の関係の一例を示すイメージ図である。 演算装置の構成の一例を示すブロック図である。 圧力係数と風向との関係の一例を示すイメージ図である。 差圧と和圧の対応関係の一例を示すイメージ図である。 風圧の検出位置と、和圧との風向毎の関係の一例を示すイメージ図である。 風圧検出候補範囲の一例を示すイメージ図である。 風圧検出位置演算装置の構成の一例を示すブロック図である。 風圧検出位置演算装置として作動する演算装置で実行される位置演算プログラムによる処理の流れの一例を示すフローチャートである。 車両に設置された運動制御装置の一例を示す機能ブロック図である。 運動制御装置の構成の一例を示すブロック図である。 運動制御装置における車両挙動制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。 圧力係数の時間特性を示すイメージ図である。 空気力及び空力モーメントの時間特性を示すイメージ図である。 風圧検出候補範囲の一例を示すイメージ図である。
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。
本実施形態は、移動体において、風に関する物理量を推定するための風圧の検出位置を演算する装置の一例として、風圧検出位置演算装置を説明する。また、本実施形態では、自動車等の車両を移動体の一例として説明する。
[第1実施形態]
本実施形態に係る風圧検出位置演算装置は、風に関する物理量の一例として風向及び風速の少なくとも一方を示す風況を推定する場合に、開示の技術を適用したものである。
まず、本実施形態に係る風圧検出位置演算装置の説明に先立って風況の推定について説明する。
図1に、本実施形態において車両に適用される座標系の一例を示す。
図1に示すように、本実施形態では、空力6分力を用いて空気力を扱う。具体的には、空気力に関する座標系として、車両の重心CMを原点とする3次元座標系を用いる。つまり、車両の重心CMから車両前後方向の後方へ向かう方向をx方向の軸とし、車両の重心CMから車両幅方向の右方へ向かう方向をy方向の軸とし、車両の重心CMから車両上下方向の上方へ向かう方向をz方向の軸とする。そして、x方向の軸に沿う方向に作用する空気力を空気力Fxとし、y方向の軸に沿う方向に作用する空気力を空気力Fyとし、z方向の軸に沿う方向に作用する空気力を空気力Fzとする。また、x方向の軸を中心に時計周りの回転方向に作用するモーメントをモーメントMxとし、y方向の軸を中心に時計周りの回転方向に作用するモーメントをモーメントMyとし、z方向の軸を中心に時計周りの回転方向に作用するモーメントをモーメントMzとする。なお、空気力F及びモーメントMは、同様に扱うことが可能な場合は、空気力Fi及びモーメントMiと称して説明する。また、xyzの各軸を区別して説明する場合には対象軸の記号を付して説明する。
また、本実施形態では、風況を推定するための風圧の検出位置の一例として、車両中心から水平方向の左右の位置に、風圧を検出する検出位置を設置する場合を説明する。しかし、開示の技術は、車両中心から水平方向の左右に風圧を検出する検出位置を設置することに限定されるものではない。
そこで、風圧を検出する場合の一例として、車両前方の車両幅方向の左右2か所に圧力センサ25を設置する場合を説明する。図1には、説明の便宜上、車両前方のフロントバンパFBPの中央付近で、かつ左右の異なる位置に、前方左側設置の圧力センサ25L、及び前方右側設置の圧力センサ25Rが設置された場合の一例が示されている。従って、以下の説明では、圧力センサ25Lの圧力値p及び圧力センサ25Rの圧力値pを用いて、次に示す(1)式により求まる和圧psum、及び(2)式により求まる差圧pdiffを用いることとする。すなわち、本実施形態では、車両左右の圧力値の和圧psumを動圧とみなし、和圧psum、及び差圧pdiffに基づいて、風向及び風速の少なくとも一方を示す風況を推定する。そして、本実施形態に係る風圧検出位置演算装置は、後述するように、風況を推定するための風圧を検出する検出位置を演算する。
sum =p+p ・・・(1)
diff =p−p ・・・(2)
(風向β・風速U)
ここで、風況である風向β及び風速Uは、差圧pdiffと和圧psumを用いて導出できる。なお、以下の説明を簡単にするため、風向及び風速の導出は、車両が直進する走行中の直進状態を前提とした場合を説明する。
図2に、予め風洞実験から得られた差圧pdiff、及び和圧psumの対応関係の一例を示す。
図2に示すように、一対の圧力センサ25による差圧pdiff、と和圧psumとは、車速に対して楕円上の円弧を辿る対応関係となる。
図2に示す例では、一対の圧力センサ25により導出された差圧pdiff及び和圧psum の関係が点Xpとして得られた場合を示している。この場合、100km/hの定常風速における差圧pdiffと和圧psum の関係を、基準(ref)とすると、(3)式に示すように、点Oから点Xpまでの距離L及び基準までの距離Lref が風速Uの2乗に比例する。なお、ρは空気密度を示し、大気圧及び温湿度センサ23のセンサ出力から導出する。
従って、次に示す(4)式を用いて風速Uを導出することができる。
差圧pdiff、と和圧psumとが楕円曲線による対応関係にある場合、点Xpへ向かう方向は、風向βに対応する。すなわち、風向βは、差圧pdiff及び和圧psum によるベクトルと、和圧psum の値を0とする差圧pdiffの軸との成す角度φに対応し、係数θを用いて多項式で近似した次の(5)式で表すことができる。係数θは、風洞実験及び解析処理等により予め取得することができる。
従って、次に示す(5)式を用いて風向βを導出することができる。
図3に、風向βと角度φとの対応関係の一例を示す。
図3に示す例では、予め実験又は解析処理により得られた対応関係に適合するように、上記(5)式の関数fが設定される。
図4に、差圧pdiff及び和圧psum による楕円近似曲線と、実測値の関係を示す。図4の例では、向かい風を受けながら100km/hで定常走行する車両において取得したデータ(図4では実走行データと表記している。)と、風洞実験による差圧pdiff及び和圧psum から楕円近似した対応関係を曲線Ovalで示した。図4に示すように、楕円近似曲線と実走行データの対応関係が理解される。
図5に、向かい風を受けながら100km/hで定常走行する車両において取得した風向βの実測値の時間特性と、同時に取得した差圧pdiff及び和圧psum により算出した風向βの推定値の時間特性とを示す。図5の例では、実測値の時間特性をβreal、推定値の時間特性をβestで示した。図5に示すように、差圧pdiff及び和圧psum による風況から推定した風向βが実測値に適合することが理解される。
図6に、向かい風を受けながら100km/hで定常走行する車両において取得した風速Uの実測値の時間特性と、同時に取得した差圧pdiff及び和圧psum により算出した推定値の時間特性とを示す。図6の例では、実測値の時間特性をUreal、推定値の時間特性をUestで示した。図6に示すように、差圧pdiff及び和圧psum から推定した風速Uが実測値に適合することが理解される。
このように、風速Uは、差圧pdiff及び和圧psum によるベクトルのスカラ量である点Oからの距離から導出することができ、また、差圧pdiff及び和圧psum によるベクトルの角度φから風向βを導出することができる。
(センサ設置位置)
ここで、一対の圧力センサ25について、車両への設置位置と、センサ出力との関係について説明する。
まず、差圧pdiff及び和圧psumを用いて風況を推定する場合における、車両への圧力センサの設置位置による影響を検証した。
上記では、図1に示す位置に設置した一対の圧力センサ25のセンサ出力によって、車速に対して楕円上の円弧となる差圧pdiff及び和圧psumの関係になる場合を説明した。
ところが、差圧pdiff及び和圧psumの関係は、一対の圧力センサ25の車両に設置する位置への依存性を有する。
図7に、一対の圧力センサ25L、25Rと、一対の圧力センサ25L、25Rの位置から水平方向に各々離間する位置に設置した一対の圧力センサ25La、25Raとの位置関係の一例を示す。また、図8に、一対の圧力センサ25La、25Raによる差圧pdiff及び和圧psumの関係の一例を示す。
図8に示すように、一対の圧力センサ25La、25Raによる差圧pdiff及び和圧psumの関係は、速度に対して楕円上の円弧となる特性から逸脱する。そして、差圧pdiff及び和圧psumの関係が速度に対して一意に定まらない場合が生じる。図8に示す例では、差圧pdiff及び和圧psumの関係が、和圧psumが負の値で、かつ図2に示す楕円特性と逆特性(図8に示す下方に凸の特性)になっている。
これは、一対の圧力センサ25La、25Raの各々の設置位置近傍で、風の流れが剥離し、風圧が不安定になる影響と考えられる。従って、一対の圧力センサは、風の流れが剥離し、風圧が不安定になる影響を抑制した位置に設置されることが好ましい。
すなわち、差圧pdiff及び和圧psumの関係が速度に対して一意に定まる特性にするためには、少なくとも和圧psumが正の値となる位置に一対の圧力センサを設置すればよい。
そこで、本実施形態に係る風圧検出位置演算装置は、風況を推定するために、風圧が不安定になる影響を抑制し、差圧pdiff及び和圧psumの関係が速度に対して一意に定まる特性に適合する圧力センサの設置位置を導出する。
図9に、本実施形態に係り、風に関する物理量を推定可能な風圧の検出位置を演算する風圧検出位置演算装置としての演算装置10の構成の一例をブロック図で示す。本実施形態では、風に関する物理量の一例として風向及び風速の少なくとも一方を示す風況を推定する。
図9に示すように、演算装置10は、装置本体12を備え、装置本体12は、圧力マップ導出装置14、及び操作部15の各々からの情報に基づいて、風に関する物理量である風況を推定可能な風圧の検出位置を求めて、表示部16、及び通信部17へ出力する。
圧力マップ導出装置14は、風によって車両に作用する風圧、すなわち、風向に応じた車両表面の風圧分布を示す風圧分布情報を圧力マップとして導出する機能部を有する装置である。圧力マップ導出装置14の一例には、相違する風速で偏揺角を変化させて行った風洞実験において対象の車両表面の各位置の風圧を計測して、その実測値を対象の車両表面の各位置に対応付けて圧力マップとして導出する装置が挙げられる。また、他例には、対象の車両の構造データを用いて、相違する風速で偏揺角を変化させる模擬を数値計算等で行い、模擬結果による対象の車両表面の各位置の風圧と、対象の車両表面の各位置とを対応付けた圧力マップを導出するシミュレーション装置が挙げられる。
図10に、対象の車両表面の圧力マップの一例を示す。
図10に示す例では、風向が0度の場合における対象の車両の前方の表面に与えられる風圧に関する等高線マップが示されている。
装置本体12は、情報取得部121、風圧領域設定部122、適合範囲抽出部123、及び位置推定部124を備えている。
情報取得部121は、圧力マップ導出装置14、及び操作部15の各々からの情報を取得し、風圧領域設定部122へ出力する機能部である。具体的には、情報取得部121は、上述の圧力マップ導出装置14から対象の車両表面の圧力マップを示す情報を取得する。
また、情報取得部121は、ユーザによる操作によって操作部15から演算条件を取得する。
演算条件は、風圧の検出位置の推定にあたり、検出された風圧から導出する対象、すなわち、風に関する物理量を特定するための条件である。すなわち、本実施形態では、情報取得部121は、演算条件として、風向及び風速の少なくとも一方を示す情報が演算条件として取得される。
風圧領域設定部122は、風圧の検出位置として適合する風圧領域を設定して、設定された風圧領域を、適合範囲抽出部123へ出力する機能部である。具体的には、風圧領域設定部122は、対象の車両表面の圧力マップにおいて、所定方向の風圧勾配が第1閾値未満の領域を、風圧領域として設定する。ここでは、所定方向の風圧勾配として、垂直方向の風圧勾配を用い、第1閾値は、予め実験等により定められる。例えば、第1閾値は、風圧勾配の絶対値(|dp/dz|)が略0である値が設定される。すなわち、上部又は下部から角度を持って流入される外乱が生じた場合であっても、風向及び風速の少なくとも一方の導出への影響が抑制される値が設定される。
一方、図10に示すように、車両前方の上部領域(点線で囲んだ範囲)AR1では、圧力の等高線が垂直方向に比べて水平方向に広がっており、垂直方向の圧力勾配が水平方向の圧力勾配に比べて急峻になる。一方、車両前方の下部領域AR2は、垂直方向の圧力勾配が緩慢になっている。例えば、上部領域AR1に、風圧を検出する検出位置を設定すると、外乱が上部又は下部から角度を持って流入する場合、及び車両の姿勢が縦方向に変化する場合、和圧psumが変化し易い。和圧psumが変化すると、差圧pdiffが変化しない場合でも、風向・風速の変化と誤検知する可能性が高く、したがって、風向・風速の推定誤差が大きくなる可能性がある。
従って、圧力マップにおける等高線が垂直方向に沿う方向に近くなる予め定めた第1閾値未満の領域を風圧を検出する検出位置を設定すれば、外乱が上部又は下部から角度を持って流入する場合、及び車両の姿勢が縦方向に変化する場合であっても、和圧psumの変化が抑制され、風向・風速の推定誤差も抑制される。そこで、風圧領域設定部122は、予め定めた第1閾値未満の領域を、風圧の検出位置として適合する風圧領域に設定する。
図11に、風圧領域設定部122で設定された風圧領域ARpの一例を示す。
図11に示す例では、車両最前方の表面に風圧領域ARpが設定された場合が示されている。
適合範囲抽出部123は、上述のように情報取得部121で取得された演算条件に適合する風圧検出候補範囲を、風圧領域ARpから抽出して、抽出された風圧検出候補範囲を、位置推定部124へ出力する機能部である。具体的には、適合範囲抽出部123は、設定された風圧領域ARpから、所定方向の異なる位置における和圧psumが第2閾値を超える領域を、風圧検出候補範囲として抽出する。ここでは、所定方向の異なる位置の一例として、車両中心CLから水平方向の左右に、風圧を検出する検出位置を設置する場合を想定する。また、第2閾値は、例えば0が定められる。なお、風圧検出候補範囲は、風向及び風速の少なくとも一方を示す演算条件に応じて抽出される。
すなわち、風の流れの剥離の影響が抑制されるセンサの設置可能領域は、差圧pdiff及び和圧psumの関係が上に凸の放射状の分布をもつ領域内であり、特に、風向(β=0)での車両走行時に和圧psumが正の値(psum>0)となる位置を含む領域である。
図12に、風圧の検出位置と、和圧との風向毎の関係の一例を示す。
図12に示す例では、車両中心CLから水平方向の左右に定めた一方の位置を検出位置としている。また、図12に示す例では、風向βの一例として、0度、10度、20度、30度、40度、及び50度の各風向βにおける風圧を検出する検出位置と、和圧psumとの関係が示されている。
図12に示すように、風圧を検出する検出位置と、和圧psumとの関係は、車両中心CLから水平方向に距離Wが大きくなるに従って、和圧psumが小さくなる特性である。そして、風向βが、0度、10度、20度、及び30度の特性は、距離Wが650を超えると、負の値になる。また、風向βが50度の特性は、距離Wが360を超えると、負の値になる。
そこで、本実施形態では、風向βが0度の特性で、和圧psumが正の値となる距離W(=650mm)までの距離を圧力センサ25の設置可能な距離として、その設置可能な距離を境界とする領域を風圧領域ARpから抽出する。
図13に、適合範囲抽出部123で抽出された風圧検出候補範囲ARβの一例を示す。
図13に示す例では、本実施形態に係る風に関する物理量である風況を推定可能な風圧の検出位置を含む領域として、風圧領域ARpから複数の風圧検出候補範囲ARβ(斜線領域)が抽出された場合が示されている。
位置推定部124は、上述のように適合範囲抽出部123で抽出された風圧検出候補範囲ARβから、一対の圧力センサ25の設置位置を推定して、推定された設置位置を、表示部16及び通信部17へ出力する機能部である。具体的には、位置推定部124は、抽出された風圧検出候補範囲ARβにおいて、車両の車体に設置可能で、かつ例えば左右に等しい距離となる位置を、一対の圧力センサ25の設置候補位置として推定する。
ユーザは、表示部16に表示された設置位置を確認し、車両の車体に取り付ける一対の圧力センサ25の設置位置を決定する。そして、車両に一対の圧力センサ25が取り付けられる。また、通信部17によって、他の装置に送信される。これによって、他の装置において、一対の圧力センサ25の設置候補位置として推定された位置を確認することができる。
なお、図9に示す演算装置10、及び装置本体12は、風圧検出位置演算装置の一例である。また、図9に示す情報取得部121は、取得部の一例であり、風圧領域設定部122は、設定部の一例であり、適合範囲抽出部123は、抽出部の一例であり、位置推定部124は、導出部の一例である。
(コンピュータ)
以上説明した演算装置10は、コンピュータによる構成で実現することができる。
図14に、本実施形態に係る風圧検出位置演算装置として作動する演算装置10を、コンピュータにより実現する構成の一例を示す。
図14に示すように、演算装置10として動作するコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)12A、RAM(Random Access Memory)12B、およびROM(Read Only Memory)12Cを備えたコンピュータ本体12PCを含んで構成されている。ROM12Cは、風に関する物理量を推定可能な風圧の検出位置を演算する各種機能を実現するための位置演算プログラム12Pを含む。装置本体12は、入出力インタフェース(I/O)12Dを備え、CPU12A、RAM12B、ROM12C、及びI/O12Dは各々コマンド及びデータを授受可能なようにバス12Eを介して接続されている。また、I/O12Dには、後述する圧力マップを導出する圧力マップ導出装置14、キーボード及びマウス等の入力装置を含む操作部15、ディスプレイ等の表示部16、並びに他装置と通信する通信部17が接続される。
コンピュータ本体12PCは、位置演算プログラム12PがROM12Cから読み出されてRAM12Bに展開され、RAM12Bに展開された位置演算プログラム12PがCPU12Aによって実行されることで、演算装置10として動作する。なお、位置演算プログラム12Pは、風に関する物理量を推定可能な風圧の検出位置を演算する各種機能を実現するためのプロセスを含む(詳細は後述)。
図15には、コンピュータにより実現した風圧検出位置演算装置として作動する演算装置10における位置演算プログラム12Pによる処理の流れの一例が示されている。
まず、ステップS100では、初期値の取得処理が実行される。ステップS100では、ユーザによる操作によって操作部15から演算条件、すなわち、風向及び風速の少なくとも一方を示す情報が演算条件として取得される。次のステップS102では、対象の車両に対して風向に応じた車両表面の圧力分布のデータを取得する取得処理が実行される。ステップS102では、圧力マップ導出装置14から対象の車両表面の圧力マップを示す情報が取得される。ステップS100及びステップS102の処理は、図9に示す情報取得部121の動作の一例である。
次に、ステップS104では、ステップS102で取得した圧力マップ(図10)において、風圧の検出位置として適合する風圧領域を設定する。具体的には、対象の車両表面の圧力マップにおいて、垂直方向の風圧勾配が第1閾値として予め定められた風圧勾配の絶対値(|dp/dz|)の略0未満の領域が風圧領域ARp(図11)として設定される。ステップS104の処理は、図9に示す風圧領域設定部122の動作の一例である。
次のステップS108では、ステップS100で取得された演算条件に適合する風圧検出候補範囲を、風圧領域ARpから抽出する。具体的には、風圧領域ARpから、例えば、車両中心CLから左右の異なる位置で和圧psumが第2閾値として予め定められた、風向(β=0)での車両走行時に和圧psumが正の値(psum>0)となる位置を含む領域を、風圧検出候補範囲ARβ(図13)として抽出する。ステップS108の処理は、図9に示す適合範囲抽出部123の動作の一例である。
次のステップS110では、風圧検出候補範囲ARβ内で、一対の圧力センサ25の設置位置を推定する。具体的には、風圧検出候補範囲ARβにおいて、車両の車体に設置可能で、かつ例えば左右に等しい距離となる位置を、一対の圧力センサ25の設置候補位置として推定する。そして、次のステップS112で、推定された一対の圧力センサ25の設置位置を示す情報を、表示部16及び通信部17へ出力し、本処理ルーチンを終了する。ステップS110及びステップS112の処理は、図9に示す位置推定部124の動作の一例である。
このように、本実施形態に係る風圧検出位置演算装置によれば、車両前方で計測する左右の異なる位置に設置された一対の圧力センサ25に関して、風の流れが剥離し、風圧が不安定になる影響を抑制した設置位置が導出される。これによって、風に関する物理量として風向及び風速の少なくとも一方を示す風況を高精度に推定することができる。
(運動制御装置)
次に、本実施形態に係る風圧検出位置演算装置により演算された位置で風圧を検出、すなわち、一対の圧力センサ25L及び圧力センサ25Rのセンサ出力を用いて、車両の運動を制御する場合の一例を説明する。
図16に、車両に設置された運動制御装置22の構成の一例をブロック図で示す。
運動制御装置22は、風によって車両に作用する空気力により変化する車両の挙動を抑制するように車両の運動を制御する装置である。本実施形態では、一対の圧力センサ25L及び圧力センサ25Rのセンサ出力から導出される風向β及び風速Uを用いて空気力を推定し、その空気力によって生じる車両の運動を制御する。
運動制御装置22は、情報取得部221、空気力演算部222、車両運動演算部223、及び風向・風速演算部224を備えている。情報取得部221の入力側は、車両に設置された大気圧及び温湿度センサ23、車速センサ24、及び一対の圧力センサ25(25Lと25R)に接続されている。情報取得部221の出力側は、空気力演算部222、及び車両運動演算部223を介して車両に設置された車両運動制御部28に接続されている。また、情報取得部221の出力側は、風向・風速演算部224を介して空気力演算部222にも接続されている。
情報取得部221は、大気圧及び温湿度センサ23、車速センサ24、及び一対の圧力センサ25からの情報を取得し、空気力演算部222、及び風向・風速演算部224へ出力する機能部である。
風向・風速演算部224は、上述したように、差圧pdiff及び和圧psumを用いて、風況である風向β及び風速Uを導出する機能部である。
空気力演算部222は、自車の車速と、風向・風速演算部224で導出された風向β及び風速Uを用いて、空気力を演算し、演算された空気力を示す情報を車両運動演算部223へ出力する機能部である。車両運動演算部223は、入力された空気力の作用に応じて変化する車両の挙動を相殺又は抑制する車両運動制御量を演算し、車両運動制御部28へ出力する機能部である。車両運動制御部28は、車両の挙動に作用する操舵制御、制動制御、及び駆動力制御等の車両運動制御を行う機能部である。
本実施形態では、空気力演算部222は、自車の車速と、風向β及び風速Uを用いて、例えば横力及びヨーモーメントを演算する。なお、車速と、風向β及び風速を用いて横力及びヨーモーメント等を演算して車両運動制御量を演算する処理は、特開平7−47968号公報等に記載されているように周知の技術であるため、詳細な説明を省略する。
なお、情報取得部221で取得された一対の圧力センサ25からの情報を用いて導出された風向β及び風速Uを示す情報は、車両に搭載された図示しない表示部に出力して、車両の乗員に提示してもよい。これにより、車両の乗員は風向β及び風速Uによる風が車両に対して作用されることを確認することができる。
以上説明した運動制御装置22は、コンピュータによる構成で実現することができる。
図17に、本実施形態に係る運動制御装置22を、コンピュータにより実現する構成の一例を示す。
図17に示すように、運動制御装置22として動作するコンピュータは、CPU22A、RAM22B、およびROM22Cを備えた装置本体22Xを含んで構成されている。ROM22Cは、自車の車速、風向β及び風速Uに応じた処理を行う車両挙動制御プログラム22Pを含んでいる。装置本体22Xは、入出力インタフェース(I/O)22Dを備えており、CPU22A、RAM22B、ROM22C、及びI/O22Dは各々コマンド及びデータを授受可能なようにバス22Eを介して接続されている。また、I/O22Dには、空気密度を算出するための大気圧及び温湿度センサ23、車速を計測する車速センサ24、一対の圧力センサ25、及び車両運動制御部28が接続されている。
装置本体22Xは、車両挙動制御プログラム22PがROM22Cから読み出されてRAM22Bに展開され、RAM22Bに展開された車両挙動制御プログラム22PがCPU22Aによって実行されることで、運動制御装置22として動作する。
図18には、コンピュータにより実現した運動制御装置22における車両挙動制御プログラム22Pによる処理の流れの一例が示されている。装置本体22Xでは、車両挙動制御プログラム22PがROM22Cから読み出されてRAM22Bに展開され、RAM22Bに展開された車両挙動制御プログラム22PをCPU22Aが実行する。
まず、ステップS200では、大気圧及び温湿度センサ23による空気密度、車速センサ24からの車速、及び一対の圧力センサ25からの圧力値を取得する情報取得処理が実行される。ステップS200の処理は、図16に示す情報取得部221の動作に対応する。
次のステップS202では、一対の圧力センサ25からの圧力値に基づいて、すなわち、差圧pdiff及び和圧psumを用いて風向β及び風速Uを導出する処理が実行される。ステップS202の処理は、図16に示す風向・風速演算部224の動作に対応する。
次のステップS204では、自車の車速と、風向β及び風速Uを用いて、例えば車両に作用するモーメント及び空気力を導出する。ステップS204の処理は、図16に示す空気力演算部222の動作に対応する。
次に、ステップS206では、演算された空気力に応じて変化する車両の挙動を予測し、予測された車両の挙動を相殺又は抑制する車両の運動演算処理が実行される。
次のステップS208では、電源遮断等による終了指示がなされたかを判断し、否定判断された場合には、ステップS200へ処理を戻す。ステップS208で肯定判断された場合には、本処理ルーチンを終了する。
このように、本実施形態の運動制御装置22によれば、風況推定のための風圧検出位置として導出された位置に、一対の圧力センサ25を設置し、差圧pdiff及び和圧psumを用いて風向β及び風速Uの少なくとも一方を導出できる。そして、導出された風向β及び風速Uに基づいて、風によって車両に作用する空気力に応じて車両の運動を制御する。これによって、風によって車両に作用する空気力を推定し、その空気力により変化する車両の挙動を抑制することができる。例えば、導出された風向β及び風速Uに基づいて、風によって車両に作用する空気力に応じて変化する車両の挙動を打ち消す挙動を行うように制御する。これにより、風による影響が抑制されるように、車両の挙動を制御することができる。
なお、図16に示す運動制御装置22は、移動体運動制御装置の一例である。また、図16に示す風向・風速演算部224は、風況導出部の一例である。空気力演算部222は、空気力推定部の一例である。車両運動演算部223は、挙動予測部の一例である。車両運動制御部は、制御部の一例である。
なお、本実施形態では、一対の圧力センサ25の差圧pdiffと和圧psum とから風向β及び風速Uを導出した。しかし、開示の技術は、これに限定されるものではなく、例えば、差圧pdiffを和圧psum で除した圧力係数Cpdiffを用いて、風向βを導出してもよい。
[第2実施形態]
本実施形態に係る風圧検出位置演算装置は、風に関する物理量の一例として空気力を推定する場合に、開示の技術を適用したものである。本実施形態は、上記実施形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
まず、本実施形態に係る風圧検出位置演算装置の説明に先立って空気力の推定について説明する。風により車両に作用する空気力も、差圧pdiffと和圧psumを用いて導出できる。
(空気力の推定)
本実施形態では、車速と外乱風速による合成風速に基づく動圧を考慮するため、次に示す(6)式を用いて、圧力値を無次元化する。すなわち、圧力センサ25Lの圧力値p及び圧力センサ25Rの圧力値pの和圧psumを動圧とみなし、(2)式を用いて演算された差圧pdiffを、(1)式を用いて演算された和圧psumで除算して圧力係数Cpdiffを演算する。
Cpdiff =pdiff/psum ・・・(6)
このように、和圧psumを動圧とみなすことにより、車速[m/s]及び車両周囲の大気圧、並びに温湿度から算出する気流密度[kg/m]を用いる必要はない。このため、大気圧及び温湿度センサは必須のものではない。
本実施形態は、上記無次元化された圧力値を用いて空力6分力の各々を演算することで、空気力を推定する場合を説明する。すなわち、和圧psum を動圧として扱い、和圧psumを用いて無次元化して、モーメント係数CMiを演算し、空気力係数Cを演算することで、空気力を推定する。
モーメント係数CMiは、モーメントMを用いて次の(7)式に示すように定義でき、空気力係数Cは、空気力Fを用いて次の(8)式に示すように定義できる。
Mi=M/(psum ・A・L) ・・・(7)
=F/(psum ・A) ・・・(8)
ただし、Aは車両前方投影面積[m]であり、Lは車両代表長さ(ホイールベース長)[m]である。
また、これらの各係数は、各時刻における圧力係数Cpdiffを用いて表すことができる。詳細には、モーメント係数CMiは、次の(9)式に示すモーメント推定式を用いることにより精度良く推定することができる。

・・・(9)
また、空気力係数Cは、次の(10)式に示す空気力推定式を用いることにより精度良く推定することができる。

・・・(10)
なお、(9)式及び(10)式で用いた係数θij及びθMij はメモリに予め記憶しておく。この係数は、風洞実験及び数値計算等で予め求めても良い。
従って、車両が走行中の或る時刻tにおける圧力センサ25Lの圧力値を圧力値p(t)とし、圧力センサ25Rの圧力値を圧力値p(t)とすると、或る時刻tにおける圧力係数Cpdiff(t)は、或る時刻tにおける和圧psum(t)、及び差圧pdiff(t)を用いて、次に示す(11)式から演算できる。
Cpdiff(t) =pdiff(t)/psum(t) ・・・(11)
そして、(11)式の演算結果を、(7)式から(10)式に代入することで、車両が走行中の或る時刻tにおけるモーメントM(t)、及び空気力F(t)を導出することができる。すなわち、次に示す(12)式を用いて、車両が走行中の或る時刻tにおけるモーメントM(t)を導出でき、次に示す(13)式を用いて、空気力F(t)を導出できる。
(t)=CMi・(psum (t)・A・L) ・・・(12)
(t)=C・(psum (t)・A) ・・・(13)
このように、或る時刻tにおける圧力センサ25の圧力値の差圧及び和圧を用いて空気6分力(モーメントM(t)及び空気力F(t))を導出することができる。
なお、空気力を(9)式及び(10)式による推定式で求める方法以外にも、予め風洞等において、偏揺角β、風速Uを変化させて実験又はシミュレーション演算を実施し、実験結果又は演算結果から、差圧pdiff及び和圧psum と、空気力との対応関係をマップとして導出することもできる。この導出したマップをメモリに記憶しておき、内挿などの補間により空気力を導出すればよい。
図19に、風洞実験の実測値による風圧に基づき導出される圧力係数Cpdiffの時間特性を示す。図19に示すように、圧力係数Cpdiffが時間と共に変動することが理解される。また、図20に、風圧に基づき推定した空気力及び空力モーメントの時間特性を示す。図20に示すように、空気力及び空力モーメントが時間と共に変動することが理解される。
ところで、上述したように、一対の圧力センサ25による差圧pdiff及び和圧psumの関係は、速度に対して楕円上の円弧となる特性から逸脱する場合がある(図8参照)。この場合、差圧pdiff及び和圧psumの関係が速度に対して一意に定まらない。これは、風の流れが剥離することにより、風圧が不安定になる影響を受ける位置に、一対の圧力センサ25が設置されたためと考えられ、空気力を推定する場合の誤差が増大する。このため、空気力を推定する一対の圧力センサは、風の流れが剥離することにより、風圧が不安定になる影響を抑制した位置に設置されることが好ましい。
そこで、本実施形態に係る風圧検出位置演算装置は、空気力を推定するために、風圧が不安定になる影響を抑制し、差圧pdiff及び和圧psumの関係が速度に対して一意に定まる特性に適合する圧力センサの設置位置を導出する。すなわち、本実施形態では、風に関する物理量の一例として空気力を推定する。
本実施形態に係る風圧検出位置演算装置としての演算装置10の構成は、図9に示す構成と同様である。すなわち、演算装置10では、装置本体12において、圧力マップ導出装置14、及び操作部15の各々からの情報に基づいて、空気力を推定可能な風圧の検出位置を求めて、表示部16、及び通信部17へ出力する。
本実施形態に係る演算装置10では、情報取得部121は、ユーザによる操作によって操作部15から、空気力を示す情報が演算条件として取得する。
風圧領域設定部122は、上記実施形態と同様に、対象の車両表面の圧力マップにおいて、垂直方向の風圧勾配が第1閾値(|dp/dz|が略0)未満の領域を、風圧領域として設定する。第1閾値は、上部又は下部から角度を持って流入される外乱が生じた場合であっても、空気力の推定への影響が抑制される値である。このように、第1閾値未満の領域を風圧を検出する検出位置を設定すれば、外乱が上部又は下部から角度を持って流入する場合、及び車両の姿勢が縦方向に変化する場合であっても、和圧psumの変化が抑制され、空気力の推定誤差も抑制される。
適合範囲抽出部123は、空気力を推定するための風圧検出候補範囲を、風圧領域ARpから抽出して、抽出された風圧検出候補範囲を、位置推定部124へ出力する機能部として動作する。適合範囲抽出部123は、設定された風圧領域ARpから、和圧psumが第2閾値を超える領域を、空気力を推定するための風圧検出候補範囲として抽出する。ここでは、空気力を推定する場合に目標となる予め定めた風向(βtarget)での車両走行時に和圧psumが正の値(psum>0)となる位置を含む領域が風圧検出候補範囲として抽出される。目標となる予め定めた風向(βtarget)は、空気力を推定する場合に網羅する風向βの最大値を設定することが好ましい。
図12に示すように、風向βが大きくなるにしたがって和圧psumが正の値(psum>0)となる風圧の検出位置までの距離が短くなる。そこで、本実施形態では、50度の風向を目標の風向(βtarget=50)とし、和圧psumが正の値となる距離W(=360mm)までの距離を圧力センサ25の設置可能な距離として、その設置可能な距離を境界とする領域を風圧領域ARpから抽出する。
図21に、本実施形態に係る適合範囲抽出部123で抽出された風圧検出候補範囲ARuの一例を示す。
図21に示す例では、風に関する物理量である空気力を推定可能な風圧の検出位置を含む領域として、風圧領域ARpから複数の風圧検出候補範囲ARu(斜線領域)が抽出された場合が示されている。
位置推定部124は、上述のように適合範囲抽出部123で抽出された風圧検出候補範囲ARuから、一対の圧力センサ25の設置位置を推定して、推定された設置位置を、表示部16及び通信部17へ出力する。
そして、ユーザは、表示部16に表示された設置位置を確認し、車両の車体に取り付ける一対の圧力センサ25の設置位置を決定する。そして、車両に一対の圧力センサ25が取り付けられる。また、通信部17によって、他の装置に送信される。これによって、他の装置において、一対の圧力センサ25の設置候補位置として推定された位置を確認することができる。
(コンピュータ)
以上説明した演算装置10は、上記と同様に、図14に示すコンピュータによる構成で実現することができる。また、図15に示す位置演算プログラム12Pによる処理の実行によって、演算装置10は、風圧検出位置演算装置として作動する。
風圧検出位置演算装置として作動する演算装置10では、空気力を示す情報が演算条件として取得され、圧力マップ導出装置14から対象の車両表面の圧力マップを示す情報が取得される(ステップS100、S102)。次に、圧力マップ(図10)において、風圧の検出位置として適合する風圧領域ARp(図11)が設定される(ステップS104)。次に、空気力推定に適合する風圧検出候補範囲として、風圧領域ARpから、風向(βtarget)での車両走行時に和圧psumが正の値(psum>0)となる位置を含む領域が、風圧検出候補範囲ARu(図21)として抽出される(ステップS108)。次に風圧検出候補範囲ARu内で、一対の圧力センサ25の設置位置が推定され(ステップS110)、推定された一対の圧力センサ25の設置位置を示す情報を、表示部16及び通信部17へ出力し(ステップS112)、本処理ルーチンを終了する。
このように、本実施形態に係る風圧検出位置演算装置によれば、車両前方で計測する左右の異なる位置に設置された一対の圧力センサ25に関して、風の流れが剥離することにより、風圧が不安定になる影響を抑制した設置位置が導出される。これによって、風に関する物理量として空気力を高精度に推定することができる。
(運動制御装置)
次に、本実施形態に係る風圧検出位置演算装置により演算された位置で検出された風圧により推定した空気力に基づいて、車両の運動を制御する場合の一例を説明する。この車両の運動を制御する運動制御装置22の構成は、図16に示す運動制御装置22と同様の構成である。
なお、本実施形態では、一対の圧力センサ25のセンサ出力から空気力を推定し、推定された空気力に基づいて車両の運動を制御するので、図16に示す風向・風速演算部224は不要である。また、空気密度を用いないため、大気圧及び温湿度センサ23も不要である。本実施形態に係る空気力演算部222は、自車の車速と、一対の圧力センサ25のセンサ出力とに基づいて、空気力を演算し、演算された空気力を示す情報を車両運動演算部223へ出力する機能部として動作する。
車両運動演算部223は、入力された空気力の作用に応じて変化する車両の挙動を相殺する車両運動制御量を演算し、車両運動制御部28へ出力する。車両運動制御部28は、車両の挙動に作用する操舵制御、制動制御、及び駆動力制御等の車両運動制御を行う。
例えば、車両運動演算部223は、車両運動制御部28において車両運動制御が行われる制御量を演算する。このため、車両運動演算部223は、例えば、車両運動制御モデルを用いて制御量を演算する。
本実施形態では、車両運動制御モデルとして、一般的な2輪モデルの車両運動方程式を用いる。この車両運動方程式に、推定された空気力Fy、ヨーモーメントMzを、外力項として追加する。車両運動方程式では、追加された外力項によるヨーレートを相殺するフィードフォワード制御を行うため、さらに追加した外力項として制御量パラメータを設定する。制御量パラメータの一例には、車両のヨーレートを最小限にする操舵角制御を行うための制御量パラメータ、及びトルクベクタリングを行うための制御量パラメータ等が挙げられる。なお、操舵角制御を行う技術の一例には、特許4613668号公報に記載された技術があり、トルクベクタリングを行う技術の一例には、特開2016−37179号公報に記載された技術がある。
本実施形態では、制動制御のうち、前輪のブレーキ制御の制御量パラメータを用いて制御する一例を説明する。
まず、ブレーキによる入力ヨーモーメントMtを、2輪モデルを用いて決定する。2輪モデルにより、車両運動は、次に示す(14)式及び(15)式で表すことができる。


ただし、式中の記号は次のものである。
m :車両質量[kg]
v :車速[m/s]
s :ラプラス演算子
β :車両重心点の横すべり角[deg]
r :車両のヨーレート[deg/s]
f :前輪等価コーナリングパワー[N/deg]
r :後輪等価コーナリングパワー[N/deg]
f :車両重心点と前車軸間の距離[m]
r :車両重心点と後車軸間の距離[m]
δf :前輪舵角[deg]
δr :後輪舵角[deg]
z :車両のヨーイング慣性モーメント[Nm]
:ブレーキ制御により発生するヨーモーメント[Nm]
前記(14)式及び(15)式により、車両に作用するモーメントMz、空気力Fyにより生じるヨーレート及びヨーレート変化を抑制するために必要なモーメントMtは、次に示す(16)式で表すことができる。
前記(16)式で示されるモーメントをブレーキ制御によりタイヤ前後力として与えることで、車両の挙動を抑制することができる。この場合、タイヤ前後力により生じるヨーモーメントは、タイヤ前後力とブレーキトルクの関係から、次に示す(17)式で表すことができる。なお、後輪については常に前後力が一定、かつ駆動力、転がり抵抗が左右前輪で同じと仮定する。

ただし、式中の記号は次のものである。
:フロント車輪トレッド幅[m]
R :車輪有効半径[m]
br:右車輪ブレーキトルク[Nm]
bl:左車輪ブレーキトルク[Nm]
これにより、入力ブレーキトルクは、次に示す(18)式及び(19)式で表すことができる。
運動制御装置22は、上記と同様に、図17に示すコンピュータによる構成で実現することができる。
また、図18に示す車両挙動制御プログラム22Pによる処理の実行によって、運動制御装置22として動作する。なお、本実施形態では、一対の圧力センサ25のセンサ出力に基づいて、空気力を推定し、推定された空気力に応じて車両の運動を制御するので、図18に示す風向・風速を導出する処理は不要である。すなわち、本実施形態では、ステップS202の処理が省略される。
まず、車速センサ24からの車速、及び一対の圧力センサ25からの圧力値を取得する情報取得処理が実行され(ステップS200)、自車の車速と、一対の圧力センサ25からの圧力値とを用いて、例えば車両に作用するモーメント及び空気力を導出する(ステップS204)。すなわち、前述のように、(12)式及び(13)式に示す関係式に基づいて車両が走行中の或る時刻tにおけるモーメントM(t)、及び空気力F(t)が導出される。そして、導出された空気力に応じて変化する車両の挙動を予測し、予測された車両の挙動を相殺又は抑制する車両の運動演算処理が実行される(ステップS206)。すなわち、前記のように、(14)式から(19)式に示す関係式に基づいて空気力に応じて変化する車両の挙動を相殺する車両の運動制御量が演算される。
このように、本実施形態の運動制御装置によれば、空気力推定のための風圧検出位置として導出された位置に、一対の圧力センサ25を設置し、その差圧及び和圧に基づいて、車両の挙動を変化させる空気力を推定できる。特に、一対の圧力センサ25の和圧を動圧とみなして、車両に作用する空気力を推定するので、時々刻々と変化する動圧を考慮して、車両の挙動変化を抑制することができる。このように、本実施形態によれば、簡単な構成で、車両に作用する空気力に応じて車両の挙動として生じる影響を抑制することができる。
上記実施形態では、風に関する物理量の一例として風向及び風速の少なくとも一方を示す風況を推定する場合と、空気力を推定する場合との各々について検出位置を導出する場合を説明したが、開示の技術は、これらを組み合わせてもよい。例えば、風向及び風速の少なくとも一方を示す風況、及び空気力を推定する場合についての検出位置を導出してもよい。
なお、本実施形態に係る演算装置10に含まれる装置本体12は、構成する各構成要素を、上記で説明した各機能を有する電子回路等のハードウェアにより構築してもよく、構成する各構成要素の少なくとも一部を、コンピュータにより当該機能を実現するように構築してもよい。
また、本実施形態では、説明を簡単にするために、車両に対して左右方向に流れる横風を考慮する場合を説明したが、車両に対して上下方向に流れる風を考慮することもできる。この場合、一対の圧力センサ25として、上下方向の空気力のセンサ出力を得るために、左右方向だけでなく、上下方向の圧力を計測できるように配置すればよい。
さらに、本実施形態に係る一対の圧力センサ25は、車両前方のフロントバンパFBP付近で、かつ左右の異なる位置に設置された圧力センサ25L及び圧力センサ25Rに限定されるものではない。
なお、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
10 演算装置
12 装置本体
12P 位置演算プログラム
12PC コンピュータ本体
14 圧力マップ導出装置
22 運動制御装置
22P 車両挙動制御プログラム
22X 装置本体
24 車速センサ
25 圧力センサ(25L、25La、25R、25Ra)
28 車両運動制御部
121 情報取得部
122 風圧領域設定部
123 適合範囲抽出部
124 位置推定部
221 情報取得部
222 空気力演算部
223 車両運動演算部
224 風向・風速演算部
β 風向
φ 角度
ARp 風圧領域
ARβ 風圧検出候補範囲
ARu 風圧検出候補範囲
Ci 空気力係数
Cpdiff 圧力係数
Fi 空気力
U 風速
W 距離
diff 差圧
sum 和圧

Claims (10)

  1. 風向に応じた移動体表面の風圧分布を示す風圧分布情報を取得する取得部と、
    前記風圧分布情報に基づいて、予め定めた風向での前記移動体表面の垂直方向の風圧変動が第1閾値未満の風圧領域を設定する設定部と、
    前記風圧領域内で、かつ前記移動体表面における水平方向の複数の位置における風圧の和が第2閾値を超える風圧検出候補範囲を抽出する抽出部と、
    前記移動体の構造に基づいて、前記風圧検出候補範囲内で、かつ前記移動体前方で少なくとも左右方向に離れた複数の位置を、前記風圧を検出する検出部の設置位置として導出する導出部と、
    を備えた風圧検出位置演算装置。
  2. 前記導出部で導出する前記設置位置は、前記移動体の前方に左右対称に配置される一対の圧力センサの位置である
    請求項1に記載の風圧検出位置演算装置。
  3. 前記抽出部は、
    前記移動体の周辺における風に関する物理量を推定するために、設定された風向に基づいて、前記風圧検出候補範囲を抽出する
    請求項1又は請求項2に記載の風圧検出位置演算装置。
  4. 前記風に関する物理量は、風向及び風速の少なくとも一方に関する物理量である、
    請求項3に記載の風圧検出位置演算装置。
  5. 前記風に関する物理量は、前記移動体の挙動を変化させる方向に作用する空気力に関する物理量である、
    請求項3に記載の風圧検出位置演算装置。
  6. 請求項4に記載の風圧検出位置演算装置で導出された前記設置位置に設置され、かつ複数の風圧を検出する検出部と、
    前記検出部で検出された複数の風圧の差及び風圧の和に基づいて、風向及び風速を示す前記移動体の周辺における風に関する物理量を導出する風況導出部と、
    前記風況導出部で導出された前記風に関する物理量に基づいて、前記移動体の挙動を変化させる方向に作用する空気力を推定する空気力推定部と、
    前記空気力推定部で推定された空気力に基づいて、前記空気力の作用に応じて変化する前記移動体の挙動を予測する挙動予測部と、
    前記移動体が、前記挙動予測部で予測された挙動を打ち消す挙動を行うように前記移動体の運動を制御する運動制御装置を制御する制御部と、
    を備えた移動体運動制御装置。
  7. 請求項5に記載の風圧検出位置演算装置で導出された前記設置位置に設置され、かつ複数の風圧を検出する検出部と、
    前記検出部で検出された複数の風圧の差及び風圧の和に基づいて、前記移動体の挙動を変化させる方向に作用する空気力を推定する空気力推定部と、
    前記空気力推定部で推定された空気力に基づいて、前記空気力の作用に応じて変化する前記移動体の挙動を予測する挙動予測部と、
    前記移動体が、前記挙動予測部で予測された挙動を打ち消す挙動を行うように前記移動体の運動を制御する運動制御装置を制御する制御部と、
    を備えた移動体運動制御装置。
  8. コンピュータが、
    風向に応じた移動体表面の風圧分布を示す風圧分布情報を取得し、
    前記風圧分布情報に基づいて、予め定めた風向での前記移動体表面の垂直方向の風圧変動が第1閾値未満の風圧領域を設定し、
    前記風圧領域内で、かつ前記移動体表面における水平方向の複数の位置における風圧の和が第2閾値を超える風圧検出候補範囲を抽出し、
    前記移動体の構造に基づいて、前記風圧検出候補範囲内で、かつ前記移動体前方で少なくとも左右方向に離れた複数の位置を、前記風圧を検出する検出部の設置位置として導出する
    ことを含む風圧検出位置演算方法。
  9. コンピュータを、請求項1から請求項5の何れか1項に記載された風圧検出位置演算装置の各部として機能させるための風圧検出位置演算プログラム。
  10. 移動体に搭載されたコンピュータを、請求項6又は請求項7に記載された移動体運動制御装置として機能させるための移動体運動制御プログラム。
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