JP6835538B2 - 中空糸膜束の少なくとも一端部を筒状のモジュールケースに固定する方法 - Google Patents
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Description
特許文献6は、接着剤が移動するための特定の溝を有している仮キャップの発明である。
筒状のモジュールケースの少なくとも一端部側の開口部に対して、底板と接着剤の注入口を有する外枠の組み合わせからなるポッティング容器を接続した後、前記チューブが配置された端部側が前記ポッティング容器の底板に当接されるように中空糸膜束を収容する第2工程、
前記ポッティング容器の外枠の接着剤注入口から接着剤を注入する第3工程、
第3工程において接着剤を注入した後、またはさらに接着剤を注入しながら、前記チューブが配置された中空糸膜束の端部側と前記筒状のモジュールケースを遠心接着法により固定する第4工程、
前記ポッティング容器を取り外す第5工程を有している、中空糸膜束の端部を筒状のモジュールケースに固定する方法であって、
前記第2工程において、前記チューブの第1端開口部と前記ポッティング容器の接着剤注入口の一部が接続されるように配置し、第4工程の遠心接着法において、前記チューブの第1開口部と接続されていない接着剤注入口と前記チューブの第2端開口部から接着剤を前記中空糸膜束の端部側に供給する、中空糸膜束の少なくとも一端部を筒状のモジュールケースに固定する方法を提供する。
図1(a)に示すとおり、中空糸膜束10の第1端部11と第2端部12のうち、第1端部11側に合成樹脂からなるチューブ20を中空糸膜束10内に配置する。
なお、図1(a)では、第1端部11側のみチューブ20を配置しているが、中空糸膜束10の両端部を接着剤で固定する場合は、さらに第2端部12側にもチューブ20を配置する。
また、図1(a)では中空糸膜束10を縦にした状態で示しているが、横にした状態であってもよいし、必要に応じて中空糸膜束10の1箇所または複数箇所をバンドなどにより束ねたり、中空糸膜束10の端部を除いた部分をネットで包囲したりしてもよい。
チューブ20を配置するときは、図1(a)に示すとおり、大部分が中空糸膜10aで包囲されているが一部面が露出されている形態のほか、中空糸膜10a内に埋設された形態のものでもよい。
中空糸膜束10を構成する中空糸膜10aは、公知の材料(合成樹脂)からなる中空糸膜を使用することができる。
チューブ20は、透明であるものが接着剤の詰まりが確認できるので好ましい。ここで透明とは、肉眼で見たときにチューブ20を間において反対側が確認できる程度のものである。
チューブ20の内径は、接着剤を通すことができる大きさであればよく、例えば、1〜15mmの範囲にすることができ、好ましくは3〜10mmの範囲にすることができる。
チューブ20の長さは、最大長さが中空糸膜束10の直径と同じ長さのものであり、直径長さの20〜100%の長さ範囲から選択することができ、30〜100%の長さ範囲が好ましい。
チューブ20は、図1(b)に示すとおり、中空糸膜束10の直径に沿って配置することが好ましい。
第1工程では、図2(a)、(b)に示すとおり、中空糸膜束10の第1端部11側において、合成樹脂からなる長いチューブ30と短いチューブ31の2本を配置することもできる。
長いチューブ30と短いチューブ31の長さ比は、長いチューブ30の長さを1とすると、短いチューブ31の長さは0.3〜0.7の範囲が好ましい。
長いチューブ30と短いチューブ31の2本を使用するときは、図2(c)に示すとおり、長いチューブ30が中空糸膜束10の長さ方向の外側になり、短いチューブ31が中空糸膜束10の長さ方向の内側になるように配置する。
長いチューブ、中間長さのチューブ、短いチューブの長さ比は、長いチューブの長さを1とすると、中間長さのチューブ長さは0.5〜0.8、短いチューブの長さは0.3〜0.5の範囲が好ましい。
長いチューブ、中間長さのチューブ、短いチューブの3本を使用するときは、長いチューブが中空糸膜束10の長さ方向の外側になり、短いチューブが中空糸膜束10の長さ方向の内側になり、中間長さのチューブがそれらの間に位置するように配置することが好ましい。
複数本のチューブを使用するときは、中空糸膜束10の長さ方向に重ねて配置する。
底板51と外枠52は、金属または合成樹脂からなるものを使用することができる。
底板51は、モジュールケース40の半径方向の断面積よりも十分に大きくなっている。
外枠52は、短い筒形状のものであり、第1開口部52aが底板51に当接されており、反対側の第2開口部52bがモジュールケース40の第1端開口部41に外側から嵌め込まれている。
外枠52の第1開口部52aと底板51は、例えば底板51に形成された環状溝内に外枠52の第1開口部52aが嵌め込まれるようにされている。
外枠52の第2開口部52bとモジュールケース40の第1端開口部41は、互いの外径を調整することで圧入されるようになっているか、互いの接続部分においてねじ合わされるようになっている。
外枠52の接着剤注入口53は、外枠52内に接着剤60を注入するための外側注入口53aと、外側注入口53aから注入された接着剤60が中空糸膜束10の第1端部11側に移行するための内側注入口53bを有している。
なお、図3または図4は、モジュールケース40を縦にした状態にしているが、モジュールケース40内に中空糸膜束10を収容するときは、モジュールケース40は横にしたり、斜めにしたりすることもできる。
また、ポッティング容器50を接続する前のモジュールケース40に中空糸膜束10を収容した後、チューブ20を配置してもよいし、モジュールケース40に外枠52のみを接続して、そこに中空糸膜束10を収容した後でチューブ20を配置してもよい。
さらに第2工程では、チューブ20の第1端開口部20aと外枠52の内側注入口53bの一部が接続されるように配置する。
内側注入口53bの開口径(d1)とチューブ20の第1開口部の径(d2)は、d1>d2の関係を満たしている。
d2/d1は、0.1〜0.5が好ましく、0.2〜0.4がより好ましい。
第2工程では、内側注入口53bの中心軸とチューブ20の中心軸が一致するように接続することが好ましい。
第3工程では、必要量の全量の接着剤60を注入することができるし、必要用の一部量の接着剤60は次工程にて注入するようにしてもよい。
接着剤60は、熱可塑性樹脂接着剤、熱硬化性樹脂接着剤、ゴム系接着剤などの公知の合成樹脂製の接着剤を使用することができるが、熱可塑性樹脂接着剤が好ましい。
接着剤60は、幅広い粘度のものを使用することができるが、本発明では特に高粘度の接着剤60を使用したときに優れた効果が得られるものであり、例えば、粘度が400mPa・s以上の接着剤を使用することができ、好ましくは粘度が400〜600mPa・sの接着剤を使用することができる。粘度は、BH型粘度計を用い、液温が45℃、ローターNO.4、20r/mの測定条件により測定される数値である。
第3工程と第4工程は、一つの工程として連続して実施することができる。
接着剤注入口53の開口径(d1)とチューブ20の第1端開口部の径(d2)がd1>d2の関係を満たしているため、接着剤60は内側注入口53bとチューブ20の両方から供給される。
遠心接着時における回転数は、例えば粘度が400〜600mPa・sの接着剤を使用するとき、600〜2000r/mが好ましい。
遠心接着時における温度は、例えば粘度が400〜600mPa・sの接着剤を使用するとき、30〜70℃が好ましい。
このため、粘度の低い接着剤は勿論のこと、粘度の高い接着剤を使用した場合でも接着剤の拡散が容易になっている。
第4工程の終了時には、中空糸膜束10の第1端部11の全ての中空糸膜10a同士が接着剤60により一体化されていると共に、中空糸膜束10の第1端部11とモジュールケース40の内壁面が固定されている。
チューブ20は、接着剤60により中空糸膜束10の第1端部11側に埋設された状態になっている。
その後、モジュールケース40の第1開口部41に沿う辺り(図6の矢印部分)にて、固化した接着剤60と第1開口部41から飛び出ている中空糸膜束10を切断する。このとき、チューブ20は切断された部分に含まれていることになる。
なお、モジュールケース40の第1開口部41から飛び出した状態の固化した接着剤60は切断されるものであるため、ポッティング容器50を取り外すときに固化した接着剤60の一部が破壊されてもよい。
その後、モジュールケース40の開口されている端部に液出入り口を有するキャップを接続して、中空糸膜モジュールを得ることができる。
中空糸膜束として、次の3種類の膜を使用した。
FUS1021:ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製のポリエーテルスルホン膜,内径0.21mm、外径0.31mm
FUS1031:ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製のポリエーテルスルホン膜,内径0.30mm、外径0.48mm
FUS1041:ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製のポリエーテルスルホン膜,内径0.40mm、外径0.68mm
中空糸膜束の直径は約37mm、長さは約260mmであった。
チューブとして、外径4mm、厚さ0.2mm、長さ37mmのポリプロピレンからなるものを1本用意した。
モジュールケースとして、内径37.5mm、外径41mm、長さ228mmの筒状モジュールケースを用意した。
ポッティング容器として、シリコンゴムからなる底板(縦114mm、横65mm、厚さ3mm)、ポリプロピレンからなる外枠(接着剤注入口を除いた開口部の直径約37.5mm)を用意した。
接着剤として、2液硬化型ポリウレタン接着剤(温度45℃における粘度500mPa・s)を用意した。
遠心接着装置として、遠心機、遠心ワーク、注入ポットからなる小型遠心接着装置を用意した。
図1に示すように、中空糸膜束の一端部側に1本のチューブを直径に沿って配置した。
その後、図3(a)、(b)に示すようにして中空糸膜束を配置した。
その後、遠心接着装置に取り付けた状態で、図5(a)、(b)に示すようにして接着剤を注入した。
その後、遠心接着装置を作動させ、遠心接着(1400r/m,温度60℃)を実施した。
その後、図6に示すようにポッティング容器を取り外した。
その後、モジュールケースから飛び出している中空糸膜束(チューブを含まない)と樹脂を切断して切断面を観察したところ、全ての中空糸膜が接着剤で一体化されており、さらに中空糸膜束がモジュールケースの内壁面に対して固定されていた。
10a 中空糸膜
20 チューブ
40 モジュールケース
50 ポッティング容器
51 底板
52 外枠
53 接着剤注入口
Claims (5)
- 中空糸膜束の少なくとも一端部側に合成樹脂からなり、開口径d2の第1端開口部と第2端開口部を有するチューブを配置する第1工程、
筒状のモジュールケースの少なくとも一端部側の開口部に対して、底板と開口径d1の接着剤注入口を有する外枠の組み合わせからなるポッティング容器を接続した後、前記チューブが配置された端部側が前記ポッティング容器の底板に当接されるように中空糸膜束を収容する第2工程、
前記ポッティング容器の外枠の接着剤注入口から接着剤を注入する第3工程、
第3工程において接着剤を注入した後、またはさらに接着剤を注入しながら、前記チューブが配置された中空糸膜束の端部側と前記筒状のモジュールケースを遠心接着法により固定する第4工程、
前記ポッティング容器を取り外す第5工程を有している、中空糸膜束の端部を筒状のモジュールケースに固定する方法であって、
前記第1工程において、前記チューブが、一部のみが露出され、残部が前記中空糸膜束で包囲されているか、または全部が前記中空糸膜束に埋設されており、
前記第2工程において、チューブの第1端開口部の開口径d2と接着剤注入口の開口径d1がd1>d2の関係を満たしており、前記チューブの第1端開口部と前記ポッティング容器の接着剤注入口の一部が接続されるように配置し、第4工程の遠心接着法において、前記チューブの第1端開口部と接続されていない接着剤注入口と前記チューブの第2端開口部から接着剤を前記中空糸膜束の端部側に供給する、中空糸膜束の少なくとも一端部を筒状のモジュールケースに固定する方法。 - 前記チューブの第1端開口部の開口径d2と接着剤注入口の開口径d1がd2/d1=0.1〜0.5であり、前記チューブを前記中空糸膜束の端部の直径に沿って配置する、請求項1記載の中空糸膜束の少なくとも一端部を筒状のモジュールケースに固定する方法。
- 前記チューブが、異なる長さの複数本のチューブの組み合わせであり、長いチューブが前記中空糸膜束の長さ方向の外側になり、短いチューブが前記中空糸膜束の長さ方向の内側になるように中空糸膜束の端部側に配置する、請求項1または2記載の中空糸膜束の少なくとも一端部を筒状のモジュールケースに固定する方法。
- 前記チューブが、同じ長さの複数本のチューブの組み合わせであり、前記中空糸膜束の長さ方向に重ねて配置する、請求項1または2記載の中空糸膜束の少なくとも一端部を筒状のモジュールケースに固定する方法。
- 前記接着剤として、粘度400〜600mPa・s範囲のものを使用する、請求項1〜4のいずれか1項記載の中空糸膜束の少なくとも一端部を筒状のモジュールケースに固定する方法。
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