JP6834247B2 - 金属材料用表面処理剤、金属接合体および金属材料の接着方法 - Google Patents

金属材料用表面処理剤、金属接合体および金属材料の接着方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属材料用表面処理剤、金属接合体および金属材料の接着方法に関し、さらに詳しくは金属部材の表面において接着剤に対する親和性を改善して該接着剤による強固な接着を可能にする表面処理剤およびこれを使用して接着剤で金属材料を接着させる方法ならびに該表面処理剤で処理された金属材料を接着剤で接合してなる金属接合体に関する。
ステンレス鋼、冷延鋼、ニッケル、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛めっき鋼などの各種金属材料は、優れた耐食性や表面外観を活かして建材や電子機器など多くの分野で幅広く使用されている。これらの金属材料を構造材や各種部品として使用する場合は、金属板などの金属部材同士を相互に接合したり、金属板を他の部品や部材と接合したりすることを要求されることが多い。このような場合、従来は溶接やロウ接によって金属部材同士を接合することが多かった。
しかし、例えば溶接により金属板を接合する場合、溶接された金属板の表面に溶接痕が残るため金属板特有の優れた表面外観が損なわれやすく、特にステンレス鋼の場合は溶接痕により美麗な意匠性が著しく損なわれることが問題になることがある。また、金属部材に溶接を行った場合は溶接歪みが問題になることがあり、亜鉛めっき鋼板の場合は溶接部の亜鉛層が下地鉄層と合金化して耐食性が低下するおそれがある。溶接痕や溶接歪みは板金加工で除去することができるが、板金加工は多くの労力と長時間の作業を要する上、騒音の発生等の作業環境上の問題も抱えている。そのため、作業者はもちろん周辺住民からも敬遠されている。
そこで、溶接に代わる金属材料の接合方法として、近年、接着剤を用いて接合する接着法が注目されている。接着剤を用いる接着法は、金属部材の表面外観をほとんど損なわないため、上記した板金加工が不要になるという利点がある。しかし、一般に金属材料の表面は安定な酸化皮膜で覆われている場合が多く、特にステンレス鋼の酸化皮膜は耐食性に優れている反面、接着剤との親和性が極めて低く、接着力に劣るという問題があった。
また、電子機器の発熱部にヒートシンク部材を取り付ける場合、ニッケルめっきされたステンレス鋼にTIM(Thermal Interface Material:熱伝導性インターフェース材料)を確実に接着させることが放熱性にとって重要であるが、ニッケルの表面は不活性であるため、TIMの素材であるシリコーン系ポリマーとの親和性が低くなり、十分な放熱性が得られないことがあった。更にニッケル等の金属板は接着接合界面の耐水性に劣るので、金属板の接着部を高温高湿雰囲気に曝すと接着力が短期間で著しく低下するという問題も抱えていた。
このような金属材料の接着剤に対する親和性、特にエポキシ系やアクリル系の接着剤に対する親和性は、予め金属材料の表面を酸で活性化処理することにより改善することができる。例えば、ステンレス鋼板の表面を硫酸と蓚酸との混合水溶液で処理する方法が知られている。また、アルミニウム板やアルミニウム合金板をリン酸水溶液または重クロム酸水溶液に浸漬するか、あるいは浸漬しながら陽極で電気的に酸化させる方法も知られている。これらの処理方法は、優れた接着性を発現することが知られており、航空機の組立工程等で実用化されている。また、亜鉛めっき鋼板では、防錆力向上のためリン酸処理やクロメート処理が行われており、これら処理は接着性の向上にも寄与している。
しかし、上記酸処理によりステンレス鋼表面を活性化させる方法は、ステンレス鋼表面にスマットを発生させるという問題がある。このスマットは、重クロム酸と硫酸との混合水溶液でステンレス鋼表面を処理する脱スマット処理によって除去することができる。しかしながら、脱スマット処理はクロム含有排水を発生させるため、環境破壊の観点から厳しく制限されている。また、亜鉛めっき鋼板用のリン酸処理やクロメート処理においても、その排液が環境汚染を引き起こすおそれがあるので廃液処理等を考慮する必要が生じ得る。
最近では、このような脱スマット処理の必要がない接合方法として、予めステンレス鋼板の表面にプライマーを塗装して有機系薄膜(プライマー層)を形成させることで接着性を高める方法が試みられている。例えば、特許文献1には、ステンレス鋼板の接着性を高めるため、酸性リン酸エステルおよび/またはその塩と水とを含む水性プライマーを用いてステンレス鋼板を処理する方法が記載されている。また、シランカップリング剤を用いてステンレス鋼板に接着性を付与する技術が知られており、例えば、特許文献2には、シラン系カップリング剤を用いてステンレス鋼の表面を処理することにより、フッ素系塗膜との接着性を改善する方法が記載されている。
特開平6−93211号公報 特公平6−57872号公報
上記したように、特許文献1や特許文献2にはステンレス鋼板等の金属板に対して酸性リン酸エステルやシラン系カップリング剤を用いて表面処理することによって、これら金属板のエポキシ系接着剤に対する親和性を向上させることが記載されている。しかしながら、これらの表面処理法で処理した後に接着したステンレス鋼板の接着強度および耐久性は実用上十分とは言えず、接着構造体として長期に安定して使用することはできなかった。
そこで、化学的な接着法に代えて例えばサンドペーパーやサンドブラストによる表面粗面化を行うなどの物理的(機械的)な手法で金属面の接着力を高めることがある。この場合、金属表面の粗面化により接着面積が増大するため見掛けの接着力は増大するが、高温高湿雰囲気下での曝露試験では接着力は大きく低下することがあった。
本発明は上記した従来の課題に鑑みてなされたものであり、接着剤に対する付着性に優れた下地層を金属材料の表面に形成することが可能な表面処理剤を提供することを目的としている。特に、エポキシ系やアクリル系等の接着剤による金属材料の接着に際して、高い接着強度と接着耐久性を付与することが可能な環境負荷の低い表面処理剤を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明者らは金属材料の接着法について鋭意研究を重ねた結果、アゾールシラン化合物とアミノ系シランカップリング剤とを所定の割合で配合して得た溶液を表面処理剤として金属等の表面に塗布し、これにより形成される下地層としての塗膜の上にエポキシ系やアクリル系の接着剤を塗布して接着することで、接着強度の耐久性を大幅に向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明が提供する表面処理剤は、アゾールシラン化合物およびアミノ系シランカップリング剤を含有する溶液からなる表面処理剤であって、該溶液中の該アゾールシラン化合物の濃度が0.1質量%以上4.2質量%以下であり、該溶液中の該アミノ系シランカップリング剤の濃度が0.1質量%以上0.5質量%以下であることを特徴としている。
また、本発明が提供する金属接合体は、金属材同士が接着剤で接合されてなる金属接合体であって、該金属材同士の対向する両接合面のうち少なくとも一方に上記本発明の表面処理剤からなる表面処理剤層が形成されていることを特徴としている。
また、本発明が提供する金属材料の接着方法は、接着剤を用いて金属材料同士を接着する金属材料の接着方法であって、双方の金属材料の接着面の少なくとも一方に対して上記本発明の表面処理剤を塗布して下地層を成膜した後、アクリル系接着剤またはエポキシ系接着剤で接着することを特徴としている。
本発明によれば、接着剤に対する付着性に優れた下地層を金属材料の表面に成膜できるので、接着剤による金属材料の接着に際して高い接着強度および接着耐久性が得られる。
以下、本発明の金属材料用の表面処理剤の一具体例について説明する。この本発明の一具体例の表面処理剤は、アゾールシラン化合物およびアミノ系シランカップリング剤の双方を必須成分として含有する溶液であり、ステンレス鋼、普通鋼、ニッケル、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛めっき鋼などの各種金属材料に適用することができ、これらの中では特にステンレス鋼、普通鋼、ニッケルに好適に適用することができる。互いに接合させる金属同士は同種の金属材料であってもよいし、異種の金属材料の組合せでもよい。適用する金属材料の形状については特に限定はなく、板材や金属部品などの様々な形態の部材に適用できる。また、金属材料を樹脂やプラスチック等の金属以外の材料と接合する場合に適用してもよい。
上記した2種類の必須成分を溶解させる表面処理剤の溶媒には水や有機溶剤を使用することができるが、水を溶媒として用いるのが好ましい。以下、溶媒に水を用いた水溶液の表面処理剤の場合について説明する。上記の2種類の必須成分のうちの一方のアゾールシラン化合物は、その分子内にアゾール環またはアゾール環とベンゼン環との縮合環と、アルコキシシリル基とを有する構造であることが好ましい。特に、アゾールシラン化合物は、イミダゾールシラン、ベンズイミダゾールシラン、ベンゾトリアゾールシラン、およびこれらの誘導体からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
上記アゾールシラン化合物は、表面処理剤としての水溶液中の濃度が0.1質量%以上4.2質量%以下であることが重要である。この濃度が0.1質量%未満では金属材料の表面を下地層で略均一に被覆することが困難になり、未処理部ができやすくなるため好ましくない。逆に、4.2質量%を超えるとアゾールシラン層が嵩高くなり、凝集破壊し易くなるため好ましくない。
アゾールシラン化合物は、例えば10%水溶液の形態の金属表面処理剤(日鉱金属株式会社製、商品名:PA−2)として市販されており、これを使用して表面処理剤を調製してもよい。この市販品(PA−2)のアゾールシラン化合物は、オリゴマー化された状態で作製されているため造膜性に優れており、また、そのアゾール構造に由来する極性の高さからステンレス鋼、普通鋼、ニッケル等の金属表面との親和性が高く、下地層として優れた特性を有している。なお、アゾールシランには、必要に応じて触媒としてのホウ素化合物や界面活性剤としての脂肪族カルボン酸等の添加物が添加されていてもよい。
アゾールシラン化合物は上記したように金属用表面処理剤として普及しているが、構造材の接着用としては接着耐久性がやや不足しているため、改善が求められていた。そこで本発明の一具体例の表面処理剤では、もう一方の必須成分であるアミノ基を有するシランカップリング剤(以下、アミノ系シランカップリング剤とも称する)がアゾールシラン化合物と共に水溶液に含まれている。これにより表面処理剤の接着性が大きく向上し、優れた接着強度と接着耐久性が発現される。
このように、アミノ系シランカップリング剤をアゾールシラン化合物に加えることにより接着性が改善される理由は、アミノ系シランカップリング剤のアミノ基は極性が非常に強いため、ステンレスの酸化クロム層、ニッケル層等の金属層に強固に吸着することによるものと考えられる。例えばステンレス表面の酸化クロム層は大気中の水分により一部が水和されており、その表面等電点(Isoelectric Point of Surface)は7付近にあり、塩基性のアミノ基が吸着し易くなっている。また、アゾールシラン化合物中に存在するエトキシ基やメトキシ基は、アミノ系シランカップリング剤中に存在するエトキシ基やメトキシ基と脱水縮合により結合するため、非常に強固なハイブリッド膜が形成される。上記の理由により、表面処理剤は優れた接着性能を発揮すると考えられる。
このような特徴を有するアミノ系シランカップリング剤には、各種のアミノ基を有するシランカップリング剤を使用でき、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメトキシシラン、3−トリエトキシル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。これらの中では3−アミノプロピルトリエトキシシランがより好ましい。
本発明の一具体例の表面処理剤は、上記した効果が安定的に得られるようにするため、水溶液中のアミノ系シランカップリング剤の濃度を0.1質量%以上0.5質量%以下にすることが重要である。この濃度が0.1質量%未満ではアゾールシランとの併用により得られる効果が不十分になるおそれがあり、逆に0.5質量%を超えると、アミノ系シランカップリング剤自身の脱水縮合反応が優先して進み、アゾール系シランとの併用により得られる効果が発揮されにくくなる。
次に、上記した本発明の一具体例の表面処理剤を用いて金属材料同士を接着する方法について説明する。なお、本発明の一具体例の表面処理剤を用いた金属材料の接着方法は、前述したようにステンレス鋼、普通鋼、ニッケル、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛めっき鋼などの各種金属材料に適用できるが、以下の説明ではステンレス鋼に適用する場合について説明する。
先ず、好ましくは純水にアゾールシラン化合物およびアミノ系シランカップリング剤をそれぞれ上記した所定の濃度範囲内になるように添加して攪拌機で混合する。これにより、表面処理剤としての水溶液を調製する。次に、調製した表面処理剤としての水溶液を、互に接着される2枚のステンレス鋼板の各々の接着面に塗布する。塗布法については特に限定はなく、表面処理剤としての水溶液に金属材料を浸漬する方法や金属材料の表面にハケなどで塗布する方法など、公知の手段が使用できる。浸漬の場合は浸漬時間は1秒から10分程度でよく、好ましくは1秒から60秒である。表面処理剤の塗布後は、100〜150℃の温度で乾燥させる。
このようにして下地層が成膜された2枚のステンレス鋼板の片方または両方の下地層の上に接着剤を塗布し、両下地層側が対向するように2枚の板材を重ね合わせて接着させる。これにより、高い接着強度および接着耐久性を有する接合体が得られる。接着に用いる接着剤としては、シランカップリング剤と化学結合(共有結合)を形成するものであれば特に限定はなく、例えば市販の1液型または2液型エポキシ接着剤、イソシアネートを硬化剤とするウレタン系接着剤、ラジカル硬化型の変性アクリル系接着剤、加熱硬化型のシリコーン系接着剤などを挙げることができる。これらの中ではステンレス鋼板用には油面接着性にも優れるラジカル硬化型の変性アクリル系接着剤や2液型エポキシ接着剤が好ましい。例えば、変性アクリル系接着剤ではスリーエム製のスコッチウェルドEPX メタルグリップを挙げることができ、2液型エポキシ接着剤ではスリーエム製のスコッチウェルドEP190を挙げることができる。
以上説明したように、本発明の表面処理剤を使用して下地層を形成することにより、接着剤を用いて同種の金属材料や異種の金属材料を接着するという簡単な施工によって、従来の酸混合水溶液での表面処理やシランカップリング剤などの化学処理による表面処理を行う場合とほぼ同等以上の高い接着強度と優れた耐久性を有する建材その他の構造材等の金属接合体を有害な公害物質を生じることなく作製することができる。特に、この金属接合体の接着部は高温での耐湿性に優れており、沸騰水による浸漬のような高温高湿環境下に曝されても高い接着強度を長期間にわたって保持することができる。
また、ニッケル等の金属材にTIMを適用する場合の表面処理剤としても好適に使用することができる。即ち、ニッケル表面は非常に不活性であるため有機材料に対する接着性を高めるのが難しく、その表面に接着させたTIMとの接着力が熱負荷により著しく低下することがあるが、上記の表面処理剤でニッケル板の表面を処理することで、サンドブラストなどの表面粗面化を行うことなくニッケルの平滑な表面を維持したまま、TIMの素材である例えば有機・無機複合系薄膜との接着性を極めて簡便に高めることができる。
更に、本発明の表面処理剤は電気絶縁材料の接着に用いることもできる。すなわち、本発明の表面処理剤は、高温の強酸または強アルカリの水溶液中のような過酷な使用条件においても接着部は安定した接着性を維持できる上、塗膜の架橋密度が非常に高いので、強酸、強塩基性水溶液中で使用される金属用絶縁膜などの各種電気化学プロセスへの適用という新たな展開が可能である。
[実施例A]
以下、実施例および比較例の表面処理剤を用いて表面処理した金属板同士を接着剤で接着し、その接着強度および耐久性を評価した。なお、下記の実施例や比較例によって本発明が制限されるものではない。先ず、アゾールシラン化合物およびアミノ系シランカップリング剤として、それぞれ日鉱商事製のアゾールシラン重合体(商品名PA−2:10質量%水溶液)および信越シリコーン製の3−アミノプロピルトリエトキシシラン(商品名KBE−903)を用意した。
次に、30〜50gの範囲内で純水が入れられている複数のビーカーのそれぞれにアゾールシラン化合物としてのPA−2を0.5〜21gの範囲内で様々な含有量となるように秤量して添加し、スターラーにより3分間撹拌することで溶解させた。続いて、上記複数のビーカーのそれぞれにアミノ系シランカップリング剤としてのKBE−903を0.05〜0.20gの範囲内で様々な含有量となるように秤量して添加し、更に3分間撹拌することで溶解させた。このようにして試料1〜16の表面処理剤の水溶液を調製した。
また、アミノ系シランカップリング剤としてKBE−903の代わりに信越シリコーン製のN-2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名KBM−603)を使用して試料17の表面処理剤を作製した。更に、比較のため、純水にアゾールシラン重合体のみを添加して試料18および19の表面処理剤を作製した。このようにして作製した試料1〜19の表面処理剤の各々に含まれる純水、アゾールシラン化合物およびアミノ系シランカップリング剤の量と濃度を下記表1に示す。
Figure 0006834247
次に、接着対象となる板厚1.2mmのSUS304ステンレス鋼板から幅25mm、長さ100mmの複数の矩形の試験片をそれらの長手方向が圧延方向に向くように切り出した。これら複数の試験片を常温のアセトンに3分間浸漬して脱脂した後、常温の10%塩酸水溶液に3分間浸漬させて酸洗し、蒸留水で洗浄した。そして、上記の試料1〜19の表面処理剤の各々に、上記試験片を4枚ずつ60秒間浸漬させた。浸漬後は温度100℃の乾燥機内で乾燥させた。
このようにして得た表面処理剤の各試料当たり4枚の処理済み試験片に対して、2枚ずつ変性アクリル系接着剤(スリーエム製スコッチウェルドEPX メタルグリップ)を塗布してラップ幅12.5mmで接着した。これにより、試料1〜19の表面処理剤でそれぞれ処理した試料1A〜19Aの接合体を各々2個ずつ作製した。更に、表面処理剤による表面処理を行わずに前述した脱脂、酸洗および水洗のみを行った4枚の試験片の2枚ずつに対して同様に変性アクリル系接着剤で接着して試料20Aの接合体を2個作製した。
そして、上記各試料2個の接合体のうちの一方に対して、その接着部を室温で7日間かけて完全に硬化させた後、JIS K6850に準拠して剪断接着強度を測定して初期せん断強度を調べた。更に、接着部の耐湿性を調査するため、上記各試料2個の接合体のうちのもう一方に対して、温度80℃で相対湿度98%以上の雰囲気に60日間暴露した後、同様にせん断接着強度を測定して60日後せん断強度を調べた。その測定結果を下記表2に示す。
Figure 0006834247
上記表2の結果から、本発明の要件を満たす試料1〜17の表面処理剤でそれぞれ表面処理した試料1A〜17Aの接合体は、高温高湿度下でも高い接着性耐久性が維持されていることがわかる。これに対して、試料18〜19のアゾールシラン化合物だけでそれぞれ表面処理した試料18A〜19Aの接合体および表面処理剤での表面処理を行わなかった試料20Aの接合体の接着強度は、初期および60日後のいずれにおいても試料1A〜17Aの接合体に比べて劣っていた。
[実施例B]
接着剤に変性アクリル系接着剤に代えてエポキシ系接着剤(スリーエム製スコッチウェルドEP−190)を用いた以外は実施例Aと同様にして作製した試料1B〜20Bの接合体に対して、実施例Aと同様にして初期と60日後のせん断強度を測定した。その測定結果を下記表3に示す。
Figure 0006834247
上記表3の結果から、本発明の要件を満たす試料1〜17の表面処理剤でそれぞれ表面処理した試料1B〜17Bの接合体は、高温高湿度下でも高い接着性耐久性が維持されていることがわかる。これに対して、試料18〜19のアゾールシラン化合物だけでそれぞれ表面処理した試料18B〜19Bの接合体および表面処理剤での表面処理を行わなかった試料20Bの接合体の接着強度は、初期および60日後のいずれにおいても試料1B〜17Bの接合体に比べて劣っていた。
[実施例C]
SUS304ステンレス鋼板に代えて板厚1.6mmの冷間圧延鋼板を金属板に使用し、接着剤には変性アクリル系接着剤に代えてエポキシ系接着剤(スリーエム製スコッチウェルドEP−190)を用いた以外は実施例Aと同様にして作製した試料1C〜20Cの接合体に対して、実施例Aと同様にして初期と60日後のせん断強度を測定した。その測定結果を下記表4に示す。
Figure 0006834247
上記表4の結果から、本発明の要件を満たす試料1〜17の表面処理剤でそれぞれ表面処理した試料1C〜17Cの接合体は、高温高湿度下でも高い接着性耐久性が維持されていることがわかる。これに対して、試料18〜19のアゾールシラン化合物だけでそれぞれ表面処理した試料18C〜19Cの接合体および表面処理剤での表面処理を行わなかった試料20Cの接合体の接着強度は、初期および60日後のいずれにおいても試料1C〜17Cの接合体に比べて劣っていた。
[実施例D]
SUS304ステンレス鋼板に代えて板厚1.6mmのアルミニウム・チタン合金(2024−T3)を金属板に使用し、接着剤には変性アクリル系接着剤に代えてエポキシ系接着剤(スリーエム製スコッチウェルドEP−190)を用いた以外は実施例Aと同様にして作製した試料1D〜20Dの接合体に対して、実施例Aと同様にして初期と60日後のせん断強度を測定した。その測定結果を下記表5に示す。
Figure 0006834247
上記表5の結果から、本発明の要件を満たす試料1〜17の表面処理剤でそれぞれ表面処理した試料1D〜17Dの接合体は、高温高湿度下でも高い接着性耐久性が維持されていることがわかる。これに対して、試料18〜19のアゾールシラン化合物だけでそれぞれ表面処理した試料18D〜19Dの接合体および表面処理剤での表面処理を行わなかった試料20Dの接合体の接着強度は、初期および60日後のいずれにおいても試料1D〜17Dの接合体に比べて劣っていた。
[実施例E]
SUS304ステンレス鋼板に代えて板厚1.2mmの熔融亜鉛めっき鋼板を金属板に使用し、接着剤には変性アクリル系接着剤に代えてエポキシ系接着剤(スリーエム製スコッチウェルドEP−190)を用いた以外は実施例Aと同様にして作製した試料1E〜20Eの接合体に対して、実施例Aと同様にして初期と60日後のせん断強度を測定した。その測定結果を下記表6に示す。
Figure 0006834247
上記表6の結果から、本発明の要件を満たす試料1〜17の表面処理剤でそれぞれ表面処理した試料1E〜17Eの接合体は、高温高湿度下でも高い接着性耐久性が維持されていることがわかる。これに対して、試料18〜19のアゾールシラン化合物だけでそれぞれ表面処理した試料18E〜19Eの接合体および表面処理剤での表面処理を行わなかった試料20Eの接合体の接着強度は、初期および60日後のいずれにおいても試料1E〜17Eの接合体に比べて劣っていた。
[実施例F]
SUS304ステンレス鋼板に代えて板厚1.0mmのJIS H4551ニッケル板(スタンダードテストピース社)を金属板に使用し、接着剤には変性アクリル系接着剤に代えてエポキシ系接着剤(スリーエム製スコッチウェルドEP−190)を用いた以外は実施例Aと同様にして試料1F〜20Fの接合体を作製した。これら試料1F〜20Fの接合体に対して、初期のせん断強度は実施例Aと同様に試験を行ったが、耐湿性試験では接合体を60℃、相対湿度98%以上の雰囲気に60日間暴露した後、実施例Aと同様にしてせん断接着強度を測定した。その測定結果を下記表7に示す。
Figure 0006834247
上記表7の結果から、本発明の要件を満たす試料1〜17の表面処理剤でそれぞれ表面処理した試料1F〜17Fの接合体は、高温高湿度下でも高い接着性耐久性が維持されていることがわかる。これに対して、試料18〜19のアゾールシラン化合物だけでそれぞれ表面処理した試料18F〜19Fの接合体および表面処理剤での表面処理を行わなかった試料20Fの接合体の接着強度は、60日後において試料1F〜17Fの接合体に比べて劣っていた。
[実施例G]
接着剤にエポキシ系接着剤に代えて変性アクリル系接着剤(スリーエム製スコッチウェルドEPX メタルグリップ)を用いた以外は実施例Fと同様にして作製した試料1G〜20Gの接合体に対して、実施例Fと同様にして初期と60日後のせん断強度を測定した。その測定結果を下記表8に示す。
Figure 0006834247
上記表8の結果から、本発明の要件を満たす試料1〜17の表面処理剤でそれぞれ表面処理した試料1G〜17Gの接合体は、高温高湿度下でも高い接着性耐久性が維持されていることがわかる。これに対して、試料18〜19のアゾールシラン化合物だけでそれぞれ表面処理した試料18G〜19Gの接合体および表面処理剤での表面処理を行わなかった試料20Gの接合体の接着強度は、60日後において試料1G〜17Gの接合体に比べて劣っていた。
[実施例H]
SUS304ステンレス鋼板に代えて板厚1.6mmの銅板を使用した以外はそれぞれ実施例Aの試料7および実施例Bの試料7と同様の条件で2種類の接合体を作製した。これらに対して実施例Aと同様にして初期と60日後のせん断接着強度を測定した。その結果、前者は初期のせん断強度が14MPa、60日後のせん断強度が12MPaであり、後者は初期のせん断強度が18MPa、60日後のせん断強度が14MPaであった。よって、銅板においてもSUS304ステンレス鋼板と同様に高温高湿度下でも高い接着性耐久性が維持されることがわかる。
[実施例I]
SUS304ステンレス鋼板に代えて板厚1.6mmのアルミニウム板を使用した以外はそれぞれ実施例Aの試料7および実施例Bの試料7と同様の条件で2種類の接合体を作製した。これらに対して実施例Aと同様にして初期と60日後のせん断接着強度を測定した。その結果、前者は初期のせん断強度が14MPa、60日後のせん断強度が10MPaであり、後者は初期のせん断強度が18MPa、60日後のせん断強度が14MPaであった。よって、アルミニウム板においてもSUS304ステンレス鋼板と同様に高温高湿度下でも高い接着性耐久性が維持されることがわかる。


Claims (6)

  1. アゾールシラン化合物およびアミノ系シランカップリング剤を含有する溶液からなる表面処理剤であって、該溶液中の該アゾールシラン化合物の濃度が0.1質量%以上4.2質量%以下であり、該溶液中の該アミノ系シランカップリング剤の濃度が0.1質量%以上0.5質量%以下であることを特徴とする金属材料用表面処理剤。
  2. 前記アゾールシラン化合物が、イミダゾールシラン、ベンズイミダゾールシラン、ベンゾトリアゾールシラン、およびこれらの誘導体からなる群より選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の金属材料用表面処理剤。
  3. テンレス鋼、普通鋼、ニッケル、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、および亜鉛めっき鋼のうち、同種の金属材料同士の少なくとも一方の接合面または異種の金属材料の組合せの少なくとも一方の接合面に塗布されることを特徴とする、請求項1または2に記載の金属材料用表面処理剤。
  4. 金属材同士が接着剤で接合されてなる金属接合体の製造方法であって、該金属材同士の対向する両接合面のうち少なくとも一方に請求項1から3のいずれか1項に記載の表面処理剤を塗布して乾燥することで下地層を形成した後、該下地層の上に接着剤を塗布して該金属材同士を接合することを特徴とする金属接合体の製造方法
  5. 接着剤を用いて金属材料同士を接着する金属材料の接着方法であって、双方の金属材料の接着面の少なくとも一方に対して請求項1または2に記載の表面処理剤を塗布して下地層を成膜した後、アクリル系接着剤またはエポキシ系接着剤で接着することを特徴とする金属材料の接着方法。
  6. 前記双方の金属材料が、ステンレス鋼、普通鋼、ニッケル、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、および亜鉛めっき鋼のうち、同種の金属材料同士または異種の金属材料の組合せであることを特徴とする、請求項に記載の金属材料の接着方法。
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