しかしながら、特許文献1では、車載通信装置は鉄道車両の機器の故障情報及び鉄道車両の位置情報を送信すると記載されているだけであり、その送信をいかにして行うかについては不明である。
例えば、下記特許文献1の図1に開示されている前記従来の車両状態モニタリングシステムにおいて、1つの車載通信装置により単に定期的に情報を送信するだけであれば、車両がトンネル内や山間部等や基地局から離れた位置に位置している場合には、車載通信装置と無線通信網の基地局との間の無線通信が行うことができなくなってしまい、その際に車載通信装置から送信した情報は、基地局で受信されず、ひいては監視センタに届かずに、監視センタにおいて受信した情報には欠落が生じ、機器の故障等の適切な監視を行うことができない。
このような事情は、故障情報のみならず車両において時系列的に収集された他の情報についても同様であるとともに、鉄道車両のみならず自動車等の他の移動体についても同様である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、移動体において時系列的に収集された情報を、リアルタイム性が高い状態でかつ情報の欠落が低減された状態で基地局へ無線通信により送り届けることができる移動体の情報送信装置、及び、これを用いた移動体監視システムを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段として、以下の各態様を提示する。第1の態様による移動体の情報送信装置は、移動体に搭載される情報送信装置であって、
無線通信方式が異なる複数の通信部であって、各々が、対応する地上側の基地局との間で無線通信を行う複数の通信部と、前記移動体において時系列的に収集された情報が、前記複数の通信部を併用して又は状況に応じて切り替えて使用して前記基地局へ送信されるように、前記複数の通信部を制御する通信制御部と、を備えたものである。
この第1の態様によれば、移動体において時系列的に収集された情報は、前記通信部により地上側の基地局へ無線通信で送信される。したがって、前記第1の態様によれば、特許文献1の図2に開示されている前記従来の車両状態モニタリングシステムと異なり、特許文献1の図1に開示されている前記従来の車両状態モニタリングシステムと同様に、移動体において時系列的に収集された情報を、リアルタイム性が高い状態で地上側の基地局(ひいては、基地局にネットワーク接続された監視センタのサーバなどの所望の送り先)に送り届けることができる。
そして、前記第1の態様では、無線通信方式が異なる複数の通信部が用いられている。各通信部毎に当該通信部に対応する基地局の数や位置やその通信感度等が互いに異なることに起因して、各通信部毎に当該通信部に対応する基地局との間の通信を行うことができない区域(以下、「通信不可区域」と呼ぶ。)は完全に同一ではなくずれることから、前記複数の通信部のうちのいずれかの通信部の通信不可区域内に移動体が位置していても、移動体は前記複数の通信部のうちの他のいずれかの通信部の通信不可区域外に位置し、当該通信部とこれに対応する基地局との間の通信が行うことができる場合も多い。したがって、前記第1の態様によれば、無線通信方式が異なる複数の通信部が用いられ、前記複数の通信部を併用して又は状況に応じて切り替えて使用して前記基地局へ送信されので、1つの通信部しか使用しない場合に比べて、情報の欠落が低減された状態でいずれかの基地局へ無線通信により送り届けることができる。
第2の態様による移動体の情報送信装置は、前記第1の態様において、前記移動体の現在位置を検出する位置検出部と、前記複数の通信部にそれぞれ対応する複数種類の所定区域であって、各々の種類の所定区域が、当該種類の所定区域に対応する前記通信部と当該通信部に対応する基地局との間の無線通信を行うことができない区域を含む複数種類の所定区域、を示す区域情報を記憶する区域情報記憶部と、前記現在位置と前記区域情報とに基づいて、前記複数の通信部から前記対応する基地局への送信に関する動作モードを第1の動作モード及び第2の動作モードのいずれにするかを、定期的に決定する動作モード決定手段であって、前記現在位置が、前記複数種類の所定区域に共通する共通区域内である場合には前記第1の動作モードに決定し、前記現在位置が前記共通区域外であることを必要条件として前記第2の動作モードに決定する動作モード決定手段と、前記動作モード決定手段により前記第1の動作モードに決定された場合に、前記時系列的に収集された情報のうち未だ前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードの処理対象とされていなかった新しい情報に対して、後で送信すべきであるという属性を付与する属性付与手段と、を備え、前記通信制御部は、前記動作モード決定手段により前記第2の動作モードに決定された場合に、前記時系列的に収集された情報のうち未だ前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードの処理対象とされていなかった新しい情報、及び、前記属性が付与された情報のうちの少なくとも一部が、前記複数の通信部のうちの少なくとも1つの通信部により当該通信部に対応する前記基地局へ送信されるように、前記複数の通信部を制御し、前記属性が付与された情報のうちの前記少なくとも一部に対して付与されていた前記属性を、当該情報の送信後に解除する属性解除手段を備えたものである。
この第2の態様によれば、前記現在位置と前記区域情報とに基づいて前記第1の動作モード及び前記第2の動作モードのいずれにするかが定期的に決定され、前記現在位置が前記複数種類の所定区域に共通する共通区域内である場合には前記第1の動作モードに決定され、前記現在位置が前記共通区域外であることを必要条件として前記第2の動作モードに決定され、前記第1の動作モードに決定された場合に、前記移動体において時系列的に収集された情報のうち未だ前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードの処理対象とされていなかった新しい情報に対して、後で送信すべきであるという属性が付与され、前記第2の動作モードに決定された場合に、前記時系列的に収集された情報のうち未だ前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードの処理対象とされていなかった新しい情報、及び、前記属性が付与された情報のうちの少なくとも一部が、前記複数の通信部のうちの少なくとも1つの通信部により当該通信部に対応する前記基地局へ送信される。
したがって、前記第1の態様によれば、基本的に、移動体の現在位置が前記共通区域内である場合にその時点の新しい情報には前記属性が付与され、移動体の現在位置が前記共通区域外である場合にその時点の新しい情報と前記属性が付与された情報とが送信されるので、いずれの通信部の無線通信も実際に行うことができないにも拘わらずに送信しその送信が適切に完了したものとみなして再送すらしないというような事態の多くが防止され、これにより、前記移動体において時系列的に収集された情報を、情報の欠落がより低減された状態でいずれかの基地局へ無線通信により送り届けることができる。のみならず、前記第1の態様によれば、基本的に、移動体の現在位置が前記共通区域外である場合にその時点の新しい情報は少なくとも送信されるので、相対的に価値の高い新しい情報は相対的に価値の低い古い情報に優先して送信されることとなり、移動体において時系列的に収集された情報を、より一層リアルタイム性が高い状態でいずれかの基地局へ無線通信により送り届けることができる。
第3の態様による移動体の情報送信装置は、前記第2の態様において、前記少なくとも1つの通信部は、前記複数の通信部の全部であるものである。
前記第2の態様では、前記少なくとも1つの通信部は前記複数の通信部のうちのいずれか一部の通信部でもよいが、前記第3の態様によれば、その場合に比べて、情報の欠落がより一層低減された状態でいずれかの基地局へ無線通信により送り届けることができる。
第4の態様による移動体の情報送信装置は、前記第2の態様において、前記少なくとも1つの通信部は、前記現在位置が自身に対応する種類の前記所定区域外である通信部であるものである。
前記第2の態様では、前記少なくとも1つの通信部は前記複数の通信部のうちのいずれか一部の通信部でもよいが、前記第3の態様によれば、その場合に比べて、情報の欠落がより一層低減された状態でいずれかの基地局へ無線通信により送り届けることができる。
第5の態様による移動体の情報送信装置は、前記第1の態様において、前記移動体の現在位置を検出する位置検出部と、前記複数の通信部にそれぞれ対応する複数種類の所定区域であって、各々の種類の所定区域が、当該種類の所定区域に対応する前記通信部と当該通信部に対応する基地局との間の無線通信を行うことができない区域を含む複数種類の所定区域、に共通する共通区域を示す区域情報を記憶する区域情報記憶部と、前記現在位置と前記区域情報とに基づいて、前記複数の通信部から前記対応する基地局への送信に関する動作モードを第1の動作モード及び第2の動作モードのいずれにするかを、定期的に決定する動作モード決定手段であって、前記現在位置が前記共通区域内である場合には前記第1の動作モードに決定し、前記現在位置が前記共通区域外であることを必要条件として前記第2の動作モードに決定する動作モード決定手段と、前記動作モード決定手段により前記第1の動作モードに決定された場合に、前記時系列的に収集された情報のうち未だ前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードの処理対象とされていなかった新しい情報に対して、後で送信すべきであるという属性を付与する属性付与手段と、を備え、前記通信制御部は、前記動作モード決定手段により前記第2の動作モードに決定された場合に、前記時系列的に収集された情報のうち未だ前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードの処理対象とされていなかった新しい情報、及び、前記属性が付与された情報のうちの少なくとも一部が、前記複数の通信部のうちの少なくとも1つの通信部により当該通信部に対応する前記基地局へ送信されるように、前記複数の通信部を制御し、前記属性が付与された情報のうちの前記少なくとも一部に対して付与されていた前記属性を、当該情報の送信後に解除する属性解除手段を備えたものである。
前記第2の態様では、前記区域情報は、前記複数の通信部にそれぞれ対応する複数種類の所定区域であって、各々の種類の所定区域が、当該種類の所定区域に対応する前記通信部と当該通信部に対応する基地局との間の無線通信を行うことができない区域を含む複数種類の所定区域、を示すのに対し、前記第5の態様では、前記区域情報は、各々の種類の所定区域が、当該種類の所定区域に対応する前記通信部と当該通信部に対応する基地局との間の無線通信を行うことができない区域を含む複数種類の所定区域、に共通する共通区域を示す点で、両者は異なるが、前記第5の態様によっても、前記第2の態様と同様に、前記移動体において時系列的に収集された情報を、情報の欠落がより低減された状態でかつより一層リアルタイム性が高い状態で、いずれかの基地局へ無線通信により送り届けることができる。
第6の態様による移動体の情報送信装置は、前記第5の態様において、前記少なくとも1つの通信部は、前記複数の通信部の全部であるものである。
前記第5の態様では、前記少なくとも1つの通信部は前記複数の通信部のうちのいずれか一部の通信部でもよいが、前記第6の態様によれば、その場合に比べて、情報の欠落がより一層低減された状態でいずれかの基地局へ無線通信により送り届けることができる。
第7の態様による移動体の情報送信装置は、前記第2乃至第6のいずれかの態様において、前記動作モード決定手段は、現在から所定時間経過後の将来の前記移動体の予測位置が前記共通区域内である場合には、前記第1の動作モードに決定するものである。
この第7の態様によれば、前記移動体が前記複数の通信部の通信不可区域に共通する区域(「共通通信不可区域」と呼ぶ。)の手前に位置しているがその区域の近くに位置している場合において実際の送信時には前記移動体が前記共通通信不可区域内に入ってしまっていずれの通信部によっても前記無線通信を行うことができなくなってしまうような事態を、防止することができ、これにより、送り届けられる情報の欠落をより低減させることができる。
第8の態様による移動体の情報送信装置は、前記第2乃至第7のいずれかの態様において、前記各々の種類の所定区域は、当該種類の所定区域に対応する前記通信部と当該通信部に対応する基地局との間の無線通信を行うことができない前記区域の前記移動体の進行方向の手前側に位置し当該無線通信を行うことができる区域であって、前記進行方向に所定距離を有する区域を、含むものである。
この第8の態様によれば、前記移動体が前記共通通信不可区域の手前に位置しているがその区域の近くに位置している場合において実際の送信時には前記移動体が前記共通通信不可区域内に入ってしまっていずれの通信部によっても前記無線通信を行うことができなくなってしまうような事態を、防止することができ、これにより、送り届けられる情報の欠落をより低減させることができる。
第9の態様による移動体の情報送信装置は、前記第2乃至第8のいずれかの態様において、前記通信制御部は、前記動作モード決定手段により前記第1の動作モードに決定された場合には、前記情報の送信が行われないように前記複数の通信部を制御するものである。
この第9の態様によれば、前記通信部による無駄な送信動作を回避することができる場合が多い。もっとも、前記第2乃至第8の態様では、前記動作モード決定手段により前記第1の動作モードに決定された場合にも前記情報の送信を行うようにしてもよい。
第10の態様による移動体の情報送信装置は、前記第2乃至第9のいずれかの態様において、前記各通信部の無線通信の現在の品質を示す指標を取得する指標取得手段を備え、前記動作モード決定手段は、前記少なくとも1つの通信部の前記指標が所定品質以上であることを示すことを必要条件として、前記第2の動作モードに決定するものである。
この第10の態様によれば、前記少なくとも1つの通信部の前記指標が所定品質以上であることを示すことを必要条件として前記第2の動作モードに決定され、前記指標が前記所定品質よりも低い場合には前記第1の動作モードに決定されることになるので、これにより、送り届けられる情報の欠落をより低減させることができる。
第11の態様による移動体の情報送信装置は、前記第10の態様において、前記指標は、RSSI、SNR、ノイズ強度及びCQIのうちの少なくとも1つに基づくものであるものである。
この第11の態様は、前記指標の具体例を挙げたものである。もっとも、前記第10の態様では、前記指標はこれらの具体例に限らない。
第12の態様による移動体の情報送信装置は、前記第2乃至第11のいずれかの態様において、前記区域情報を生成又は更新するための基礎情報を収集する基礎情報収集手段を備えたものである。
この第12の態様によれば、基礎情報収集手段を備えているので、前記基礎情報を容易に収集することができ、また、実際に移動する移動体で前記基礎情報を収集することができるので、当該基礎情報に基づいて前記区域情報を生成又は更新することで、前記区域情報の精度を高めることができる。
第13の態様による移動体の情報送信装置は、前記第12の態様において、前記基礎情報収集手段は、前記各通信部の前記無線通信の現在の品質を示す指標又は当該指標が所定品質以上の品質を示すか否かの判定結果と前記移動体の現在位置とを互いに関連づけて、前記基礎情報のうちの少なくとも一部として、定期的に収集するものである。
この第13の態様は、前記基礎情報の例を挙げたものである。もっとも、前記第12の態様では、前記基礎情報は、この例に限らず、例えば、前記指標又は前記判定結果及び現在位置を収集した時刻を含んでもよい。
第14の態様による移動体の情報送信装置は、前記第1の態様において、前記各通信部の無線通信の現在の品質を示す指標を取得する指標取得手段と、前記指標に基づいて、前記複数の通信部から前記対応する基地局への送信に関する動作モードを第1の動作モード及び第2の動作モードのいずれにするかを、定期的に決定する動作モード決定手段であって、前記複数の通信部の全ての通信部の前記指標が所定品質よりも低いことを示す場合には前記第1の動作モードに決定し、前記複数の通信部のうちの少なくとも1つの通信部の前記指標が前記所定品質以上であることを示す場合には前記第2の動作モードに決定する動作モード決定手段と、前記動作モード決定手段により前記第1の動作モードに決定された場合に、前記時系列的に収集された情報のうち未だ前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードの処理対象とされていなかった新しい情報に対して、後で送信すべきであるという属性を付与する属性付与手段と、を備え、前記通信制御部は、前記動作モード決定手段により前記第2の動作モードに決定された場合に、前記時系列的に収集された情報のうち未だ前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードの処理対象とされていなかった新しい情報、及び、前記属性が付与された情報のうちの少なくとも一部が、前記少なくとも1つの通信部により当該通信部に対応する前記基地局へ送信されるように、前記複数の通信部を制御し、前記属性が付与された情報のうちの前記少なくとも一部に対して付与されていた前記属性を、当該情報の送信後に解除する属性解除手段を備えたものである。
この第14の態様によれば、前記各通信部の無線通信の現在の品質を示す指標に基づいて前記第1の動作モード及び前記第2の動作モードのいずれにするかが定期的に決定され、前記複数の通信部の全ての通信部の前記指標が所定品質よりも低いことを示す場合には前記第1の動作モードに決定され、前記複数の通信部のうちの少なくとも1つの通信部の前記指標が前記所定品質以上であることを示す場合には前記第2の動作モードに決定され、前記第1の動作モードに決定された場合に、前記移動体において時系列的に収集された情報のうち未だ前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードの処理対象とされていなかった新しい情報に対して、後で送信すべきであるという属性が付与され、前記第2の動作モードに決定された場合に、前記時系列的に収集された情報のうち未だ前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードの処理対象とされていなかった新しい情報、及び、前記属性が付与された情報のうちの少なくとも一部が、前記少なくとも1つの通信部により当該通信部に対応する前記基地局へ送信される。
したがって、前記第14の態様によれば、基本的に、いずれの通信部によっても前記無線通信を行うことができない場合にその時点の新しい情報には前記属性が付与され、いずれかの通信部によって前記無線通信を行うことができる場合にその時点の新しい情報と前記属性が付与された情報とが送信されるので、いずれの通信部によっても前記無線通信が実際に行うことができないにも拘わらずに送信しその送信が適切に完了したものとみなして再送すらしないというような事態の多くが防止され、これにより、前記移動体において時系列的に収集された情報を、情報の欠落がより低減された状態で基地局へ無線通信により送り届けることができる。のみならず、前記第14の態様によれば、基本的に、いずれかの通信部によって前記無線通信を行うことができる場合にその時点の新しい情報は少なくとも送信されるので、相対的に価値の高い新しい情報は相対的に価値の低い古い情報に優先して送信されることとなり、移動体において時系列的に収集された情報を、より一層リアルタイム性が高い状態で基地局へ無線通信により送り届けることができる。
第15の態様による移動体の情報送信装置は、前記第14の態様において、前記指標は、RSSI、SNR、ノイズ強度及びCQIのうちの少なくとも1つに基づくものであるものである。
この第15の態様は、前記指標の具体例を挙げたものである。もっとも、前記第14の態様では、前記指標はこれらの具体例に限らない。
第16の態様による移動体の情報送信装置は、前記第14又は第15の態様において、前記属性付与手段は、前記動作モード決定手段により前記第1の動作モードに決定された場合に、前記時系列的に収集された情報のうち未だ前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードの処理対象とされていなかった前記新しい情報のみならず、前記時系列的に収集された情報のうち当該新しい情報に対してN回(Nは1以上の整数)前から1回前までに収集された情報に対しても、前記属性を付与するものである。
この第16の態様によれば、前記移動体が前記複数の通信部の通信不可区域に共通する区域(「共通通信不可区域」と呼ぶ。)の手前に位置しているがその区域の近くに位置している場合において実際の送信時には前記移動体が前記共通通信不可区域内に入ってしまっていずれの通信部によっても前記無線通信を行うことができなくなってしまうような事態が生じても、その際に送り届けることができなかった情報(N回前から1回前までに収集された情報)が再送されることになるので、これにより、送り届けられる情報の欠落をより一層低減させることができる。
第17の態様による移動体の情報送信装置は、前記第14乃至第16のいずれかの態様において、前記通信制御部は、前記動作モード決定手段により前記第1の動作モードに決定された場合には、前記情報の送信が行われないように前記複数の通信部を制御するものである。
この第17の態様によれば、前記通信部による無駄な送信動作を回避することができる場合が多い。もっとも、前記第14乃至第16の態様では、前記動作モード決定手段により前記第1の動作モードに決定された場合にも前記情報の送信を行うようにしてもよい。
第18の態様による移動体の情報送信装置は、前記第2乃至第17のいずれかの態様において、前記時系列的に収集された情報が一次的に記憶される記憶部であって、前記時系列的に収集された情報のうち、前記動作モード決定手段により前記第2の動作モードに決定された場合に送信された情報が削除される記憶部を、備えたものである。
この第18の態様によれば、前記時系列的に収集された情報を記憶する記憶部の記憶容量が少なくて済む。
第19の態様による移動体の情報送信装置は、前記第2乃至第17のいずれかの態様において、前記時系列的に収集された情報を、当該情報が送信されたか否かに拘わらずに、読み出し可能に記憶して保持する記憶部を、備えたものである。
この第19の態様によれば、前記時系列的に収集された情報が全体的に前記記憶部に記憶されるので、例えば、移動体の基地などにおいて当該情報を読み出して当該移動体の故障状況などを詳細に分析することもできる。
第20の態様による移動体の情報送信装置は、前記第1乃至第19のいずれかの態様において、前記移動体が鉄道車両であるものである。
この第20の態様は、移動体の具体例を挙げたものである。もっとも、前記第1乃至第19の態様では、移動体は鉄道車両に限らず、自動車等の他の移動体であってもよい。
第21の態様による移動体監視システムは、前記第1乃至第20のいずれかの態様による移動体の情報送信装置と、前記情報送信装置により送信された前記情報を、前記基地局を含むネットワークを介して受け取る監視センタのサーバと、を備えたものである。
この第21の態様によれば、移動体において時系列的に収集された情報を、リアルタイム性が高い状態でかつ情報の欠落が低減された状態で監視センタのサーバに送ることができるので、監視センタで前記移動体の状態を迅速に把握することができ、その状態に応じた対処を迅速に行うことができる。
本発明によれば、移動体において時系列的に収集された情報を、リアルタイム性が高い状態でかつ情報の欠落が低減された状態で基地局へ無線通信により送り届けることができる移動体の情報送信装置、及び、これを用いた移動体監視システムを提供することをができる。
以下、本発明による移動体の情報送信装置及びこれを用いた移動体監視システムについて、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態による移動体監視システム1を示す概略構成図である。図2は、図1中の移動体としての鉄道車両100並びにこれに搭載されたモニタ装置11及び情報送信装置12を示す概略構成図である。
本実施の形態による移動体監視システム1は、移動体としての鉄道車両100に搭載されたモニタ装置11により鉄道車両100において時系列的に収集された情報を無線通信により地上側の基地局13A,13B,13Cへ送信し鉄道車両100に搭載された情報送信装置12と、情報送信装置12により送信された前記情報を、基地局13Aを含む移動体通信網と基地局13Bを含む移動体通信網と基地局13Cを含む移動体通信網とを含むネットワーク13を介して受け取る監視センタのサーバ14と、を備えている。情報送信装置12は、本発明の一実施の形態による移動体の情報送信装置である。
前記各移動体通信網は、各移動体通信業者が提供しているものでもよいし、例えば、鉄道システム専用のものでもよい。ネットワーク13は、インターネット、公衆交換電話網(PSTN)、パケット交換網(PSN)、ISDN(Integrated Services Digital Network)などを含んでいてもよい。
モニタ装置11が鉄道車両100において時系列的に収集する情報としては、例えば、鉄道車両100に搭載されている種々の機器や装置の状態、種々のセンサからの検出情報、乗務員の操作等による種々の情報(例えば、備品の不足等を知らせる情報)などを挙げることができ、鉄道車両100の速度、起点からの鉄道車両100の自位置までの距離(例えば、駅や地上子などで補正しながら車輪の回転数に基づいて検出した距離)などを含む。なお、モニタ装置11は、収集した情報に基づいて機器状態等を表示して運転士等の乗務員に提示する機能を有している。
本実施の形態では、情報送信装置12は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、モニタ装置11から収集された情報を受けるべくモニタ装置11が接続されたり図示しない外部機器等と接続される入出力インターフェース24と、計時機能(時計機能)を有し現在時刻情報を出力する計時部25と、3つの通信部26A,26B,26Cと、ハードディスク又はSSD等の記憶装置27と、鉄道車両100の現在位置を検出する位置検出部としてのGPS受信部28と、これらを相互に接続するバス29とを備えている。
通信部26Aは、これに対応する地上側の基地局13Aとの間で第1の無線通信方式で無線通信を行う。通信部26Bは、これに対応する地上側の基地局13Bとの間で前記第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式で無線通信を行う。通信部26Cは、これに対応する地上側の基地局13Cとの間で前記第1及び第2の無線通信方式とは異なる第3の無線通信方式で無線通信を行う。通信部26A,26B,26Cのアンテナはそれぞれ別々でもよいし、1つのアンテナで共用してもよい。
本実施の形態では、GPS受信部28は必ずしも設けなくてもよい。また、本実施の形態では、トンネル内などでGPS受信部28がGPS信号を受信することができない場合には、モニタ装置11から得た前記起点からの距離を鉄道車両100の現在位置として用いる。
本実施の形態では、CPU21は、鉄道車両100において時系列的に収集された情報が、3つの通信部26A,26B,26Cを併用して又は状況に応じて切り替えて使用して基地局13A,13B,13Cへ送信されるように、3つの通信部26A,26B,26Cを制御する通信制御部としても機能するようになっている。
図3は、本実施の形態による移動体監視システム1の情報送信装置12の各通信部26A,26B,26Cの通信不可区域201A,201B,201Cとそれらの共通区域201の一例を、地図上の鉄道車両100の移動経路200の一部において模式的に示す説明図である。
図3(a)において、通信部26Aの通信不可区域(通信部26Aと基地局13Aとの間の通信を行うことができない区域)201Aを、移動経路200における黒塗りの部分で示し、通信部26Aの通信可区域(通信部26Aと基地局13Aとの間の通信を行うことができる区域)202Aを、移動経路200における白抜き部分で示している。
図3(b)において、通信部26Bの通信不可区域(通信部26Bと基地局13Bとの間の通信を行うことができない区域)201Bを、移動経路200における黒塗りの部分で示し、通信部26Bの通信可区域(通信部26Bと基地局13Bとの間の通信を行うことができる区域)202Bを、移動経路200における白抜き部分で示している。
図3(c)において、通信部26Cの通信不可区域(通信部26Cと基地局13Cとの間の通信を行うことができない区域)201Cを、移動経路200における黒塗りの部分で示し、通信部26Cの通信可区域(通信部26Cと基地局13Cとの間の通信を行うことができる区域)202Cを、移動経路200における白抜き部分で示している。
図3(d)において、通信部26A,26B,26Cの通信不可区域201A,201B,201Cに共通する共通区域(通信部26A,26B,26Cの全てとこれらにそれぞれ対応する基地局13A,13B,13Cとの間の通信を行うことができない区域)201を、移動経路200における黒塗りの部分で示し、移動経路200における共通区域201外の区域(通信部26A,26B,26Cのうちの1つ以上とこれに対応する基地局との間の通信が可能である区域)202を、移動経路200における白抜き部分で示している。なお、図3中の左右方向に延びる破線は、移動経路200における同一位置を示している。
通信不可区域201Aは、トンネル区域や山間部や基地局13Aから遠い区域などである。通信不可区域201Bは、トンネル区域や山間部や基地局13Bから遠い区域などである。通信不可区域201Cは、トンネル区域や山間部や基地局13Cから遠い区域などである。各通信部26A,26B,26C毎に当該通信部に対応する基地局の数や位置やその通信感度等が互いに異なることに起因して、図3に示すように、通信不可区域201A,201B,201Bは完全に同一ではなくずれている。
また、本実施の形態では、情報送信装置12は、モニタ装置11により鉄道車両100において時系列的に収集された情報を記憶する収集情報記憶部27bを備えている。本実施の形態では、収集情報記憶部27bは記憶装置27の一部の記憶領域となっているが、これに限らない。
図4は、図1及び図2に示す情報送信装置12の動作の一例を示す概略フローチャートである。
情報送信装置12が動作を開始すると、情報送信装置12のCPU21は、計時部25からその時点での現在時刻を読み込み(ステップS1)、現時点が定期処理の開始タイミング(所定時間(例えば、1秒)毎の開始タイミング)であるか否かを判定する(ステップS2)。
ステップS2において現時点が定期処理の開始タイミングでないと判定されると、ステップS1へ戻り、現時点が定期処理の開始タイミングとなるまで待つ。一方、ステップS2において現時点が定期処理の開始タイミングであると判定されると、ステップS3へ移行する。
ステップS3において、CPU21は、モニタ装置11から未だ受け取っていない新しい、モニタ装置11が時系列的に収集した情報を、モニタ装置11から受け取って収集情報記憶部27bに記憶させる。本実施の形態では、モニタ装置11による情報の収集タイミングの時間間隔と前記定期処理の開始タイミングの時間間隔が同一(例えば、1秒)とされている。これにより、本実施の形態では、ステップS3でモニタ装置11から受け取る情報は、モニタ装置11により最新に収集された情報のみとなる。もっとも、両者の時間間隔は必ずしも一致する必要はなく、例えば、前記定期処理の開始タイミングの時間間隔をモニタ装置11による情報の収集タイミングの時間間隔の2倍としてもよい。この場合には、ステップS3でモニタ装置11から受け取る情報は、モニタ装置11により最新に収集された情報とその1回前に収集された情報となる。
なお、モニタ装置11により時系列的に収集されステップS3において収集情報記憶部27bに記憶された情報は、収集情報記憶部27b内に保持され、例えば鉄道車両100が基地に戻ったときに、パーソナルコンピュータ等を入出力インターフェース24に接続することで、パーソナルコンピュータ等により収集情報記憶部27b内から読み出せるようになっている。
引き続いて、定期処理(ステップS5)が行われた後に、ステップS1へ戻る。
図5は、図4中の定期処理(ステップS5)の詳細を示す概略フローチャートである。
定期処理(ステップS5)が開始されると、CPU21は、新しい情報の送信処理を行う(ステップS61)。本実施の形態では、ステップS61において、CPU21は、直前のステップS3で読み込まれた情報(モニタ装置11が鉄道車両100において時系列的に収集した情報のうち、未だステップS18の処理対象にもステップS15以降の処理対象にもされていなかった新しい情報)をパケット送信するべく、当該情報から複数のパケットを生成し、これらのパケットが順次所定時間間隔をあけて通信部26A,26B,26Cの全てからそれぞれパケット送信されるように、通信部26A,26B,26Cを制御する。次回の定期処理の開始タイミングまでには、ステップS61のパケット送信が完了するようになっている。
ステップS61が終了すると、定期処理(ステップS5)が終了し、図5中のステップS1へ戻る。
本実施の形態によれば、鉄道車両100において時系列的に収集された情報は、通信部26A,26B,26Cにより地上側の基地局13A,13B,13Cへ無線通信で送信される。したがって、本実施の形態によれば、鉄道車両100において時系列的に収集された情報を、リアルタイム性が高い状態で地上側の基地局13A,13B,13C(ひいては、基地局13A,13B,13Cにネットワーク接続された監視センタのサーバ14)に送り届けることができる。したがって、監視センタで鉄道車両100の状態を迅速に把握することができ、その状態に応じた対処を迅速に行うことができる。
そして、本実施の形態では、無線通信方式が異なる通信部26A,26B,26Cが併用され、同じ情報が通信部26A,26B,26Cの全てからそれぞれ送信されるので、1つの通信部のみから情報を送信する場合に比べて、情報の欠落が低減された状態で基地局13A,13B,13Cのいずれかへ無線通信により送り届けることができ、ひいては、情報の欠落が低減された状態で監視センタのサーバ14に送り届けることができる。
すなわち、本実施の形態では、無線通信方式が異なる通信部26A,26B,26Cが用いられている。したがって、各通信部26A,26B,26C毎に当該通信部に対応する基地局の数や位置やその通信感度等が互いに異なることに起因して、図3に示すように、通信不可区域201A,201B,201Bは完全に同一ではなくずれている。このため、共通区域201は、通信不可区域201Aや通信不可区域201Bや通信不可区域201Cに比べて狭くなる。そして、本実施の形態では、同じ情報が通信部26A,26B,26Cの全てからそれぞれ送信されるので、基本的に、鉄道車両100が相対的に狭い共通区域201内に位置している場合にのみ送り届けられるデータに欠落が生ずる。一方、通信部26Aのみから情報を送信する場合には鉄道車両100が相対的に広い通信不可区域201Aに位置している場合に送り届けられるデータに欠落が生じ、通信部26Bのみから情報を送信する場合には鉄道車両100が相対的に広い通信不可区域201Bに位置している場合に送り届けられるデータに欠落が生じ、通信部26Cのみから情報を送信する場合には鉄道車両100が相対的に広い通信不可区域201Cに位置している場合に送り届けられるデータに欠落が生じる。したがって、本実施の形態によれば、1つの通信部のみから情報を送信する場合に比べて、情報の欠落が低減された状態で基地局13A,13B,13Cのいずれかへ無線通信により送り届けることができ、ひいては、情報の欠落が低減された状態で監視センタのサーバ14に送り届けることができるのである。
[第2の実施の形態]
図6は、本発明の第2の実施の形態による移動体監視システムの情報送信装置12を、移動体としての鉄道車両100及びモニタ装置と共に示す概略構成図であり、図2に対応している。
図6において、図2中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、以下に説明する点である。
本実施の形態では、通信部26Aは、通信部26Aと基地局13Aとの間の無線通信の現在の品質を示す指標(通信部26Aの現在の指標)を取得する指標取得部26Aaとしての機能を有している。通信部26Bは、通信部26Bと基地局13Bとの間の無線通信の現在の品質を示す指標(通信部26Bの現在の指標)を取得する指標取得部26Baとしての機能を有している。通信部26Cは、通信部26Cと基地局13Cとの間の無線通信の現在の品質を示す指標(通信部26Cの現在の指標)を取得する指標取得部26Caとしての機能を有している。
前記指標としては、例えば、RSSI(受信信号強度表示)、SNR(信号対雑音比)、ノイズ強度及びCQI(チャネル品質表示)のうちの少なくとも1つに基づくものとすることができる。
例えば、通信部26Aが指標取得部26Aaの機能としてRSSIを取得することができるがノイズ強度を取得することができない場合、CPU21は、通信部26Aから得たRSSIの値が所定値(例えば、−73dB)以上である場合には、通信部26Aと基地局13Aとの間の無線通信を行うことができるとして、当該指標が所定品質以上であることを示すものと判定し、RSSIの値が前記所定値よりも小さい場合には、通信部26Aと基地局13Aとの間の無線通信を行うことができないとして、当該指標が前記所定品質よりも低いことを示すものと判定する。この点は、指標取得部26Ba,指標取得部26Caについても同様である。
また、例えば、通信部26Aが指標取得部26Aaの機能としてRSSI及びノイズ強度の両方を取得することができる場合、CPU21は、RSSIの値が所定値(例えば、−73dB)以上であるという第1の条件を満たすとともに、SNR(dB)=RSSI(dBm)−ノイズ強度(dBm)の式で算出したSNRが所定値(例えば、25dbm)以上であるという第2の条件を満たす場合には、通信部26Aと基地局13Aとの間の無線通信を行うことができるとして、当該指標が所定品質以上であるこを示すものと判定し、前記第1及び第2の条件のいずれかを満たさない場合には、通信部26Aと基地局13Aとの間の無線通信を行うことができないとして、当該指標が前記所定品質よりも低いことを示すものと判定する。この点は、指標取得部26Ba,指標取得部26Caについても同様である。
本実施の形態では、情報送信装置12は、3つの通信部26A,26B,26Cにそれぞれ対応する3種類の所定区域203A,203B,203Cであって、各々の所定区域が、当該種類の所定区域に対応する通信部と当該通信部に対応する基地局との間の無線通信を行うことができない区域(通信不可区域)を含む3種類の所定区域203A,203B,203C、を示す区域情報を記憶する区域情報記憶部27aを有している。本実施の形態では、区域情報記憶部27aは記憶装置27の一部の記憶領域となっているが、これに限らない。なお、例えば鉄道車両100が基地に戻ったときに、パーソナルコンピュータ等を入出力インターフェース24に接続することで、パーソナルコンピュータ等により区域情報記憶部27a内に区域情報に新たに記憶させたり、区域情報記憶部27a内に区域情報を更新したりすることができるようになっている。
図7は、本実施の形態による移動体監視システムの情報送信装置12で用いられる区域情報が示す3つの通信部26A,26B,26Cにそれぞれ対応する3種類の所定区域203A,203B,203Cの一例と、それらの共通区域203の一例を、地図上の鉄道車両100の移動経路200の一部における各通信部26A,26B,26Cの通信不可区域201A,201B,201C及び通信可区域202A,202B,202Cと関連して模式的に示す説明図である。図7は、図3に対応している。図7において、図3中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
なお、本発明では、3種類の所定区域203A,203B,203Cを示す区域情報に代えて、3種類の所定区域203A,203B,203Cに共通する共通区域203を示す区域情報を用い、当該区域情報を区域情報記憶部27aに記憶させておいてもよい。
本実施の形態では、3種類の所定区域203A,203B,203Cは、通信不可区域201A,201B,201Cとそれぞれ同一にされ、3種類の所定区域203A,203B,203Cに共通する共通区域203は、通信不可区域201A,201B,201Cに共通する共通区域201と同一にされている。もっとも、本発明では必ずしもこれに限らない。
なお、所定区域203A,203B,203Cを示す区域情報は、所定区域203A,203B,203Cを直接的に示す情報であってもよいし、所定区域203Aではない区域、所定区域203Bではない区域及び所定区域203Cではない区域を直接的に示す情報であってもよい。後者の場合、所定区域ではない区域は、それ以外の区域によって所定区域を間接的に示すことになる。また、共通区域203を示す区域情報は、共通区域203を直接的に示す情報であってもよいし、共通区域203ではない区域を直接的に示す情報であってもよい。後者の場合、共通区域203ではない区域は、それ以外の区域によって共通区域203を間接的に示すことになる。
通信不可区域201A,201B,201Cは、例えば、トンネル区域や対応する基地局13A,13B,13Cから遠い区域などの既知の区域として設定してもよいし、後述する図9中のステップS17で鉄道車両100自身又は同型等の他車が過去に走行して取得しておいた基礎情報に基づいて定めてもよいし、後述する図9中のステップS17と同様の手法で実測して得た基礎情報に基づいて定めてもよいし、鉄道車両100を実際に走行させて通信部26A,26B,26Cからそれぞれ定期的に鉄道車両100の現在位置を現在時刻及び通信部の識別情報と関連づけて送信してサーバ14へ送りサーバ14に届かずに欠落した鉄道車両100の位置に基づいて定めてもよいし、これらの1つ又は2つ以上を併用して定めたり更新したりしてもよい。
また、本実施の形態では、情報送信装置12は、後述する図9中のステップS17で収集された、前記区域情報を生成又は更新するための基礎情報を記憶する基礎情報記憶部27cを備えている。本実施の形態では、基礎情報記憶部27cは記憶装置27の一部の記憶領域となっているが、これに限らない。
図8は、図5に示す情報送信装置12の動作の一例を示す概略フローチャートであり、図4に対応している。図8において、図4中のステップと同一又は対応するステップには同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
本実施の形態では、図8に示すように、ステップS3の後に、ステップS5の定期処理に代えて、ステップS4の定期処理が行われ、ステップS4の後にステップS1へ戻る。
なお、モニタ装置11により時系列的に収集されステップS3において収集情報記憶部27bに記憶された情報は、後述するステップS15,S16の後にもそのまま削除されることなく収集情報記憶部27b内に保持され、例えば鉄道車両100が基地に戻ったときに、パーソナルコンピュータ等を入出力インターフェース24に接続することで、パーソナルコンピュータ等により収集情報記憶部27b内から読み出せるようになっている。
図9は、図8中の定期処理(ステップS4)の詳細を示す概略フローチャートである。 定期処理(ステップS4)が開始されると、CPU21は、まず、前記区域情報による判定処理(ステップS11)を行う。図10は、図9中の区域情報による判定処理(ステップS11)の詳細を示す概略フローチャートである。
区域情報による判定処理(ステップS11)が開始されると、CPU21は、まず、GPS受信部28から鉄道車両100のその時点での現在位置を読み込む(ステップS21)。このとき、GPS受信部28がGPS信号を受信することができない場合には、CPU21は、モニタ装置11から、前記起点からの距離を鉄道車両100の現在位置として読み込む。
次いで、CPU21は、区域情報記憶部27aから前記区域情報を読み込み(ステップS22)。
引き続いて、CPU21は、ステップS21が読み込んだ現在位置が、ステップS22で読み込んだ区域情報が示す3種類の所定区域203A,203B,203Cに共通する共通区域203内であるか否かを判定する(ステップS23)。
ステップS23で現在位置が共通区域203内であると判定されると、CPU21は、判定結果フラグFAを1にセットし(ステップS28)、区域情報による判定処理(ステップS11)を終了し、図9中のステップS12へ移行する。一方、ステップS23で現在位置が共通区域203内ではない(すなわち、共通区域203外である)と判定されると、判定結果フラグFAを0にセットし(ステップS27)、区域情報による判定処理(ステップS11)が終了し、図9中のステップS12へ移行する。
ステップS12において、CPU21は、判定結果フラグFAが1であるか否かを判定する。判定結果フラグFAが1であると判定されると、ステップS18へ移行する。一方、判定結果フラグFAが1ではない(すなわち、0である)と判定されると、ステップS13へ移行する。
ステップS13において、CPU21は、通信品質指標による判定処理を行う。図11は、図9中の通信品質指標による判定処理(ステップS13)の詳細を示す概略フローチャートである。
通信品質指標による判定処理(ステップS13)が開始されると、CPU21は、まず、指標取得部26Aaとして機能する通信部26Aからその時点での通信部26Aの現在の指標、指標取得部26Baとして機能する通信部26Bからその時点での通信部26Bの現在の指標、指標取得部26Caとして機能する通信部26Cからその時点での通信部26Cの現在の指標を読み込み(ステップS31)、当該各指標が所定品質以上であることを示すか否かを前述したような手法で判定することによって、これら3つの指標のうちの少なくとも1つの指標が所定品質以上であることを示すか否かを判定する(ステップS32)。
ステップS32で現在の3つの指標のうちの少なくとも1つの指標が所定品質以上であることを示す(すなわち、通信部26A,26B,26Cのうちの少なくとも1つの通信部による無線通信を行うことができる)と判定されると、CPU21は、判定結果フラグFBを1にセットし(ステップS33)、通信品質指標による判定処理(ステップS13)を終了し、図9中のステップS14へ移行する。一方、ステップS32で3つ全ての指標が所定品質以上ではないことを示す(すなわち、全ての通信部26A,26B,26Cによる無線通信を行うことができない)と判定されると、CPU21は、判定結果フラグFBを0にセットし(ステップS34)、通信品質指標による判定処理(ステップS13)を終了し、図9中のステップS14へ移行する。
ステップS14において、CPU21は、判定結果フラグFBが1であるか否かを判定する。判定結果フラグFBが1ではない(すなわち、0である)と判定されると、ステップS18へ移行する。一方、判定結果フラグFBが1であると判定されると、ステップS15へ移行する。
ステップS18において、CPU21は、直前のステップS3で読み込まれた情報(モニタ装置11が鉄道車両100において時系列的に収集した情報のうち、未だステップS18の処理対象にもステップS15以降の処理対象にもされていなかった新しい情報)に対して、後で送信すべきであるという属性を付与する。本実施の形態では、CPU21は、当該情報を後にパケット送信すべく当該情報から複数のパケットを生成し、当該複数のパケットをRAM23内の所定記憶領域(「属性付与情報記憶領域」と呼ぶ。)に格納することによって、前記属性を付与している。RAM23内の属性付与情報記憶領域に格納されているパケットは、後で後述するステップS16で送信されるべく待機する。このとき、本実施の形態では、ステップS3で読み込まれ収集情報記憶部27bに記憶された情報は、そのまま削除されることなく収集情報記憶部27b内に保持される。情報に前記属性を付与する形式は、RAM23内の属性付与情報記憶領域にパケットとして記憶させることに限らず、例えば、収集情報記憶部27b内に記憶されている情報に対して、後で送信されるべきであることを示す属性データを関連づけることによって、前記属性を付与してもよい。
ステップS18の後に、ステップS17へ移行する。
ステップS15において、CPU21は、新しい情報の送信処理を行う。本実施の形態では、ステップS15において、CPU21は、直前のステップS3で読み込まれた情報(モニタ装置11が鉄道車両100において時系列的に収集した情報のうち、未だステップS18の処理対象にもステップS15以降の処理対象にもされていなかった新しい情報)をパケット送信するべく、当該情報から複数のパケットを生成し、これらのパケットが順次所定時間間隔をあけて通信部26A,26B,26Cの全てからそれぞれパケット送信されるように、通信部26A,26B,26Cを制御する。このとき、CPU21は、通信部26A,26B,26CのうちステップS32で指標が所定品質以上であること示すと判定された少なくとも1つの通信部のみからパケット送信されるように、通信部26A,26B,26Cを制御してもよい。
次いで、CPU21は、属性付与情報の送信処理を行う(ステップS16)。図12は、図9中の属性付与情報の送信処理(ステップS16)の詳細を示す概略フローチャートである。
属性付与情報の送信処理(ステップS16)が開始されると、CPU21は、まず、属性付与情報記憶領域内のパケット数を取得し(ステップS41)、そのパケット数が0であるか否かを判定する(ステップS42)。
ステップS42においてパケット数が0である(すなわち、属性付与情報記憶領域内にパケットが存在しない)と判定されると、属性付与情報の送信処理(ステップS16)を終了し、図9中のステップS17へ移行する。一方、ステップS42においてパケット数が0ではない(すなわち、属性付与情報記憶領域内にパケットが存在する)と判定されると、ステップS43へ移行する。
ステップS43において、CPU21は、属性付与情報記憶領域内のパケット数が所定数以上であれば、属性付与情報記憶領域内のパケットのうち前記所定数のパケットを、属性付与情報記憶領域内のパケット数が所定数よりも少なければ、属性付与情報記憶領域内の全てのパケットを、これらのパケットが順次所定時間間隔をあけて通信部26A,26B,26Cの全てからそれぞれパケット送信されるように、通信部26A,26B,26Cを制御する。このとき、CPU21は、通信部26A,26B,26CのうちステップS32で指標が所定品質以上であることを示すと判定された少なくとも1つの通信部のみからパケット送信されるように、通信部26A,26B,26Cを制御してもよい。なお、次回の定期処理の開始タイミングまでには、ステップS15のパケット送信とステップS16のパケット送信が完了するようになっている。
引き続いて、CPU21は、ステップS43で送信したパケットを属性付与情報記憶領域内から削除することによって、送信済みパケットに付与されていた前記属性を解除する(ステップS44)。その後、属性付与情報の送信処理(ステップS16)が終了し、図9中のステップS17へ移行する。
ステップS17において、CPU21は、前記区域情報を生成又は更新するための基礎情報を収集する基礎情報収集処理を行う。図13は、図9中の基礎情報収集処理(ステップS17)の詳細を示す概略フローチャートである。
基礎情報収集処理(ステップS17)が開始されると、CPU21は、まず、ステップS21と同様に、鉄道車両100のその時点での現在位置を読み込む(ステップS51)。
次いで、CPU21は、ステップS31と同様に、その時点での通信部26Aの現在の指標、その時点での通信部26Bの現在の指標、通信部26Cの現在の指標を読み込み(ステップS52)、これらの3つの指標の各々について当該指標が所定品質以上であることを示すか否かを前述したような手法で判定してそれらの判定結果を取得する(ステップS53)。
引き続いて、CPU21は、計時部25からその時点での現在時刻を読み込む(ステップS54)。
その後、CPU21は、ステップS51で読み込んだ現在位置、ステップS52で読み込んだ現在の各指標、ステップS53で取得した各判定結果、ステップS54で読み込んだ現在時刻を、互いに関連づけて、前記基礎情報として、基礎情報記憶部27cに書き込む(ステップS55)。
なお、ステップS51を行うことなく、基礎情報として、ステップS51で読み込んだ現在位置に代えて、直前のステップS21で読み込んだ現在位置を用いてもよい。また、同じ回の定期処理(ステップS4)において既にステップS31,S32が行われている場合には、ステップS52,S53を行うことなく、基礎情報として、ステップS52,S53で得た現在の各指標及び各判定結果に代えて、ステップS31,S32で得た現在の各指標及び各判定結果を用いてもよい。さらに、ステップS54を行うことなく、基礎情報として、直前のステップS1で読み込んだ現在時刻を用いてもよい。
ステップS55が終了すると、基礎情報収集処理(ステップS17)が終了しこれにより、定期処理(ステップS4)が終了し、図8中のステップS1へ戻る。
なお、ステップS55において基礎情報記憶部27cに書き込まれた基礎情報は、例えば鉄道車両100が基地に戻ったときに、パーソナルコンピュータ等を入出力インターフェース24に接続することで、パーソナルコンピュータ等により基礎情報記憶部27c内から読み出せるようになっている。その基礎情報を利用して前記区域情報を生成又は更新することできる。
本実施の形態では、ステップS11〜S14が、前記現在位置と前記区域情報とに基づいて、通信部26A,26B,26Cから基地局13A,13B,13Cへの送信に関する動作モードを第1の動作モード及び第2の動作モードのいずれにするかを、定期的に決定する動作モード決定手段であって、前記現在位置が前記共通区域203内である場合には前記第1の動作モードに決定し、前記現在位置が前記共通区域203外であることを必要条件として前記第2の動作モードに決定する動作モード決定手段に、相当している。また、本実施の形態では、ステップS18が前記第1の動作モードの処理に相当し、ステップS15,S16が前記第2の動作モードの処理に相当している。
そして、本実施の形態では、ステップS18が、前記動作モード決定手段により前記第1の動作モードに決定された場合に、鉄道車両100において時系列的に収集された情報のうち未だ前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードの処理対象とされていなかった新しい情報に対して、後で送信すべきであるという属性を付与する属性付与手段に、相当している。また、本実施の形態では、ステップS15,S16(ただし、ステップS44を除く。)が、前記動作モード決定手段により前記第2の動作モードに決定された場合に、鉄道車両100において時系列的に収集された情報のうち未だ前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードの処理対象とされていなかった新しい情報、及び、前記属性が付与された情報のうちの少なくとも一部が、前記基地局へ送信されるように、通信部26A,26B,26Cを制御する通信制御部に、相当している。さらに、本実施の形態では、ステップS44が、前記属性が付与された情報のうちの前記少なくとも一部に対して付与されていた前記属性を、当該情報の送信後に解除する属性解除手段に相当している。
本実施の形態によれば、鉄道車両100において時系列的に収集された情報は、通信部26A,26B,26Cにより地上側の基地局13A,13B,13Cへ無線通信で送信される。したがって、本実施の形態によれば、鉄道車両100において時系列的に収集された情報を、リアルタイム性が高い状態で地上側の基地局13A,13B,13C(ひいては、基地局13A,13B,13Cにネットワーク接続された監視センタのサーバ14)に送り届けることができる。したがって、監視センタで鉄道車両100の状態を迅速に把握することができ、その状態に応じた対処を迅速に行うことができる。
そして、本実施の形態では、ステップS11〜S14によって前記現在位置と前記区域情報とに基づいて前記第1の動作モード及び前記第2の動作モードのいずれにするかが定期的に決定され、前記現在位置が共通区域203内である場合には前記第1の動作モードに決定され、前記現在位置が前記共通区域203外であることを必要条件として前記第2の動作モードに決定され、前記第1の動作モードに決定された場合に、鉄道車両100において時系列的に収集された情報のうち未だ前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードの処理対象とされていなかった新しい情報に対して、後で送信すべきであるという属性が付与され(ステップS18)、前記第2の動作モードに決定された場合に、鉄道車両100において時系列的に収集された情報のうち未だ前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードの処理対象とされていなかった新しい情報、及び、前記属性が付与された情報のうちの少なくとも一部が、基地局13A,13B,13Cへ送信される(ステップS15,S16)。
したがって、本実施の形態によれば、基本的に、鉄道車両100の現在位置が共通区域203内である場合にその時点の新しい情報には前記属性が付与され、鉄道車両100の現在位置が前記共通区域203外である場合にその時点の新しい情報と前記属性が付与された情報とが送信されるので、前記無線通信が実際に行うことができないにも拘わらずに送信しその送信が適切に完了したものとみなして再送すらしないというような事態の多くが防止され、これにより、鉄道車両100において時系列的に収集された情報を、情報の欠落が低減された状態で基地局13A,13B,13Cの1つ以上へ無線通信により送り届けることができる。のみならず、本実施の形態によれば、基本的に、鉄道車両100の現在位置が共通区域203外である場合にその時点の新しい情報は少なくとも送信される(ステップS15)ので、相対的に価値の高い新しい情報は相対的に価値の低い古い情報に優先して送信されることとなり、鉄道車両100において時系列的に収集された情報を、よりリアルタイム性が高い状態で基地局13A,13B,13Cの1つ以上へ無線通信により送り届けることができる。
また、本実施の形態によれば、前記第1の動作モードに決定された場合(ステップS12でYESの場合とステップS14でNOの場合)には、情報の送信が行われないので、通信部26A,26B,26Cによる無駄な送信動作を回避することができる場合が多い。もっとも、本発明では、前記第1の動作モードに決定された場合にも前記情報の送信を行うようにしてもよい。
さらに、本実施の形態によれば、ステップS17で前記区域情報を生成又は更新するための基礎情報が収集されるので、前記基礎情報を容易に収集することができ、また、実際に移動する鉄道車両100で前記基礎情報を収集することができるので、当該基礎情報に基づいて前記区域情報を生成又は更新することで、前記区域情報の精度を高めることができる。
さらにまた、本実施の形態によれば、鉄道車両100において時系列的に収集された情報は、当該情報が送信されたか否かに拘わらずに、収集情報記憶部27bにおいて読み出し可能に記憶して保持されるので、前記時系列的に収集された情報が全体的に収集情報記憶部27bに記憶されるので、例えば、鉄道車両100の基地などにおいて当該情報を読み出して当該鉄道車両100の故障状況などを詳細に分析することもできる。もっとも、収集情報記憶部27bに記録された情報のうち、ステップS15,S16で送信済みの情報は、収集情報記憶部27b内から削除してもよい。この場合、収集情報記憶部27bの記憶容量を抑えることができる。
[第3の実施の形態]
図14は、前記第2の実施の形態による移動体監視システムの情報送信装置12で用いられている前記区域情報が示す共通区域203と関連して、鉄道車両100の現在位置及び将来位置の一例を模式的に示す図である。
図14において、現在位置の鉄道車両100を実線で記載し、将来位置の鉄道車両100を破線で記載している。図14中のXは、鉄道車両100の進行方向である。図14には、共通区域203のみならず、通信不可区域201A,201B,201C及び通信可区域202A又は202B又は202Cも示している。前述したように、前記第2の実施の形態では、所定区域203A,203B,203Cは通信不可区域201A,201B,201Cとそれぞれ同一にされているので、共通区域203は、通信不可区域201A,201B,201Cに共通する共通区域201と同一となっている。図14では、鉄道車両100は、現在は、共通区域201の手前の通信可区域202A又は202B又は202C内に位置しているが共通区域201の近くに位置している。鉄道車両100は、破線で示す近い将来では、共通区域201(すなわち、通信不可区域201A,201B,201Cの全て)内に入っている。
このような場合には、前記第2の実施の形態においては、現在においてステップS12でNO及びステップS14でYESと判定されて前記第2の動作モードが決定されても、ステップS15,S16の実際の送信時には鉄道車両100が全ての通信不可区域201A,201B,201C内に入っているので、通信部26A,26B,26Cのいずれもが、対応する基地局13A,13B,13Cとの間で無線通信を行うことができなくなってしまい、送り届けられる情報の欠落が生ずる。
これに対し、本発明の第3の実施の形態による移動体監視システムの情報送信装置は、このような情報の欠落を低減又は防止することができるものである。
本発明の第3の実施の形態が前記第2の実施の形態と異なる所は、前記第2の実施の形態では、図9中の区域情報による判定処理(ステップS11)の処理内容が図10に示す処理内容であるのに対し、本実施の形態では、図9中の区域情報による判定処理(ステップS11)の処理内容を図15に示す処理内容とした点のみである。
図15は、本発明の第3の実施の形態による移動体監視システムの情報送信装置の図9中の区域情報による判定処理の詳細を示す概略フローチャートであり、図10に対応している。
図15に示す処理内容が図10に示す処理内容と異なる所は、図15では、図10に対して、ステップS24〜S26が追加されている点のみである。
図15では、ステップS23でNOの場合、CPU21は、モニタ装置11から(あるいは車速センサから直接に)現在の鉄道車両100の速度を読み込み(ステップS24)、その速度に基づいて現在から所定時間経過(例えば、10秒)後の将来の鉄道車両100の位置(将来位置)を予測し(ステップS25)、予測された将来位置が共通区域203内であるか否かを判定し(ステップS26)、その判定結果がYESの場合にステップS28へ移行し、その判定結果がNOの場合にステップS27へ移行する。
したがって、本実施の形態では、鉄道車両100が現在通信可区域202A又は202B又は202C内に位置していても所定時間経過後の予測位置が共通区域203(通信不可区域201A,201B,201Cの全て)内に入れば、現在共通区域203(通信不可区域201A,201B,201Cの全て)内に入っている場合と同様に取り扱われる。このため、本実施の形態によれば、図14に示すような状況であれば、図15において、ステップS26でYESとなるので、送り届けられる情報の欠落が低減又は防止されることになる。
なお、以上の点以外については、本実施の形態によっても前記第2の実施の形態と同様の利点が得られる。
[第4の実施の形態]
図16は、本発明の第4の実施の形態による鉄道車両監視システムの情報送信装置で用いられる区域情報が示す共通区域203と関連して、鉄道車両100の現在位置及び将来位置の一例を模式的に示す図であり、図14に対応している。
本実施の形態も、前記第3の実施の形態と同様に、前記第2の実施の形態で生ずる情報の欠落を低減又は防止することができるものである。
本実施の形態が前記第2の実施の形態と異なる所は、前記第2の実施の形態では、所定区域203A,203B,203Cは通信不可区域201A,201B,201Cとそれぞれ同一にされているのに対し、本実施の形態では、(i)所定区域203Aは、通信不可区域201Aの他に、通信不可区域201Aの鉄道車両100の進行方向Xの手前側に位置し通信部26Aの無線通信を行うことができる区域(「追加区域」)であって、前記進行方向Xに所定距離を有する区域(「追加区域」)を含み、(ii)所定区域203Bは、通信不可区域201Bの他に、通信不可区域201Bの鉄道車両100の進行方向Xの手前側に位置し通信部26Bの無線通信を行うことができる区域(「追加区域」)であって、前記進行方向Xに所定距離を有する区域(「追加区域」)を含み、(iii)所定区域203Cは、通信不可区域201Cの他に、通信不可区域201Cの鉄道車両100の進行方向Xの手前側に位置し通信部26Cの無線通信を行うことができる区域(「追加区域」)であって、前記進行方向Xに所定距離を有する区域(「追加区域」)を含んでいる点のみである。これにより、図16に示すように、本実施の形態では、共通区域203は、201A,201B,201Cの全部が重なった領域(共通区域201)に、所定区域203A,203B,203Cのいずれかに追加されている追加領域を追加したものとなっている。
本実施の形態では、前記第3の実施の形態と異なり、前記第2の実施の形態と同じく、図9中の区域情報による判定処理の処理内容は図10に示す処理内容のままとされている。
本実施の形態によれば、本実施の形態では、鉄道車両100が現在通信可区域202A又は202B又は202C内に位置していても図16に示すような場合には共通区域203内に位置しているので、現在通信不可区域201A,201B,201Cの全部内に入っている場合と同様に取り扱われる。このため、本実施の形態によれば、前記第3の実施の形態と同様に、前記第2の実施の形態で生ずる情報の欠落が低減又は防止されることになる。
なお、以上の点以外については、本実施の形態によっても前記第2の実施の形態と同様の利点が得られる。
[第5の実施の形態]
図17は、本発明の第5の実施の形態による移動体監視システムの情報送信装置の図8中の定期処理(ステップS4)の詳細を示す概略フローチャートであり、図9に対応している。
本実施の形態が前記第2の実施の形態と異なる所は、前記第2の実施の形態では、図8中の定期処理(ステップS4)の処理内容が図9に示す処理内容であるのに対し、本実施の形態では、図8中の定期処理(ステップS4)の処理内容を図17に示す処理内容とした点のみである。
図17に示す処理内容が図9に示す処理内容と異なる所は、図17では、図9に対して、ステップS13,S14が取り除かれ、ステップS12でNOの場合は、ステップS15へ移行する点のみである。
なお、本実施の形態では、ステップS13におけるパケット送信時には、通信部26A,26B,26Cの全てからそれぞれパケット送信されるようにしてもよいし、通信部26A,26B,26CのうちステップS11で現在位置が共通区域203外であると判定された通信部のみからパケット送信されるようにしてもよい。また、本実施の形態では、ステップS16におけるパケット送信時には、通信部26A,26B,26Cの全てからそれぞれパケット送信されるようにしてもよいし、通信部26A,26B,26CのうちステップS11で現在位置が共通区域203外であると判定された通信部のみからパケット送信されるようにしてもよい。
本実施の形態によっても、前記第2の実施の形態とほぼ同様の利点が得られる。
なお、本発明では、第2の実施の形態に対して変形を加えて第3の実施の形態を得たのと同様の変形や、第2の実施の形態に対して変形を加えて第4の実施の形態を得たのと同様の変形を、第5の実施の形態に適用してもよい。
[第6の実施の形態]
図18は、本発明の第6の実施の形態による移動体監視システムの情報送信装置の図8中の定期処理(ステップS4)の詳細を示す概略フローチャートであり、図9に対応している。
本実施の形態が前記第2の実施の形態と異なる所は、前記第2の実施の形態では、図8中の定期処理(ステップS4)の処理内容が図9に示す処理内容であるのに対し、本実施の形態では、図8中の定期処理(ステップS4)の処理内容を図18に示す処理内容とした点のみである。
図18に示す処理内容が図9に示す処理内容と異なる所は、図18では、図9に対して、ステップS11,S12が取り除かれ、図8中の定期処理(ステップS4)が開始されると、直ちにステップS13が行われる点のみである。
本実施の形態では、区域情報記憶部27aや基礎情報記憶部27cや図9中の基礎情報収集処理(ステップS17)は、取り除いてもよい。
本実施の形態によっても、前記第2の実施の形態とほぼ同様の利点が得られる。
[第7の実施の形態]
前記第6の実施の形態では、図14に示すような状況では、前記第2の実施の形態と同様に、送り届けられる情報の欠落が生ずる。
本発明の第7の実施の形態による移動体監視システムの情報送信装置は、このような情報の欠落を低減又は防止することができるものである。
本実施の形態が前記第6の実施の形態と異なる所は、以下に説明する点のみである。
前記第6の実施の形態では、前記第2の実施の形態と同様に、ステップS18において、CPU21は、直前のステップS3で読み込まれた情報(モニタ装置11が鉄道車両100において時系列的に収集した情報のうち、未だステップS18の処理対象にもステップS15以降の処理対象にもされていなかった新しい情報)に対して、後で送信すべきであるという属性を付与するのに対し、本実施の形態では、当該新しい情報のみならず、モニタ装置11が鉄道車両100において時系列的に収集した情報のうち当該新しい情報に対してN回(Nは1以上の整数)前から1回前までに収集された情報(この情報は、収集情報記憶部27bに蓄積されている。)に対しても、前記属性を付与するものである。具体的は、本実施の形態では、CPU21は、当該N回(Nは1以上の整数)前から1回前までに収集された情報を収集情報記憶部27bから読み出して、これらから複数のパケットを生成し、当該複数のパケットも属性付与情報記憶領域に格納することによって、前記属性を付与する。
本実施の形態によれば、図14に示すように、鉄道車両100が共通区域201の手前に位置しているがその区域201の近くに位置している場合において実際の送信時には鉄道車両100が共通区域201(すなわち、通信不可区域201A,201B,201Cの全て)内に入ってしまって通信部26A,26B,26Cのいれずによっても無線通信を行うことができなくなってしまうような事態が生じても、その際に送り届けることができなかった情報(N回前から1回前までに収集された情報)が再送されることになるので、これにより、送り届けられる情報の欠落を低減又は防止することができる。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
例えば、前記第1乃至第7の実施の形態は、情報送信装置12が3つの通信部26A,26B,26Cを有する例であったが、本発明では、情報送信装置が有する通信部の数は2つ又は4つ以上でもよい。
また、例えば、前記第1乃至第7の実施の形態において、前記所定区域203A,203B,203Cは、通信不可区域201A,201B,201Cから鉄道車両100の進行方向Xの後側に所定距離だけ延長してもよい。
さらに、前記各実施の形態は移動体を鉄道車両100とした例であったが、本発明では移動体は鉄道車両100に限らない。