JP6833123B1 - 二酸化炭素吸着焼結体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造時に、二酸化炭素を発生させることがなく、また、燃焼排ガス中の二酸化炭素を低減することが可能な二酸化炭素吸着焼結体の製造方法を提供する。【解決手段】石炭灰のイグロス量を調整するイグロス量調整工程と、石炭灰に混合するCa源(コンクリート紛、鉄鋼スラグ)の混合量を調整するCa源調整工程と、イグロス量調整工程によってイグロス量が調整された石炭灰及び前記カルシウム源調整工程によって混合量が調整されたカルシウム源を混合させる混合工程と、混合工程によって混合された混合物にマイクロ波を照射して前記混合物を焼結温度以上に昇温させて焼結させる昇温工程と、昇温工程によって得られた前記混合物の焼結体を降温させる過程において、焼結体に燃焼排ガスを吹き込む降温工程と、を有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、石炭灰粉末を原料にすると共に二酸化炭素を吸着させた二酸化炭素吸着焼結体を製造する方法に関する
石炭を燃料として用いる火力発電所では、粉砕された石炭粉がボイラーで燃焼され、その熱エネルギーが電気に変換される。ボイラー中の石炭灰の大部分は燃焼ガスと共に煙道に送られ,電気集塵器で回収される。このような火力発電所で生じた石炭灰の多くは、コンクリート、コンクリート混和材、充填材、シールド材、土壌・地盤改良材等の製造に有効利用されるが、残りは、海域あるいは陸域で埋立処理されている。
このような石炭灰の利用は、石炭灰を単純に粉体として利用するものであるが,さらに付加価値をつけて多方面で有効利用することが求められている。そこで、石炭灰の新たな利用方法を確立するために、石炭灰を原料とした石炭灰焼結体を利用することが考えられており、従来においては、石炭灰を大気中で焼成させてセラミックス製品などの石炭灰焼結体を製造する方法(非特許文献1)や、真空中において短時間で高密度の焼結体を形成する方法(非特許文献2)等が考えられている。
小泉公志郎、石炭灰を利用した多孔質セラミックスの剛性とその特定、日本セラミックス協会学術論文誌、1998,第106巻第9号、p899-903 金子玄洋、SPS法を用いた高密度石炭灰焼結体の試作および 機械的特性、日本金属学会誌、2008, 第72巻第10号、p797-799
しかしながら、前者の石炭灰焼結体の製造方法によれば、石炭灰を大気中で焼結するので、石炭灰中に残留する未燃カーボンの燃焼反応により二酸化炭素が放出され、これにより焼結体内部に多数の細孔が形成され、焼結体の強度が劣ることが報告されている。また、後者の製造方法によれば、真空加熱炉などの非酸化雰囲気で焼結させる方法となるので、焼結体を製造するまでに時間を要し生産効率が悪くなる不都合がある。
さらに、前者の製造方法においては、焼結体の形成時に二酸化炭素が放出されるので、二酸化炭素の排出量を少なくする取り組みに逆行するものとなる。火力発電所の燃焼排ガスから発生する二酸化炭素は、地球温暖化の原因の一端となっており、中でも石炭火力発電所から排出される二酸化炭素は最も多くなっている。このため、火力発電所から排出される二酸化炭素の排出量を少なくする取り組みは非常に重要な課題となっており、石炭灰を利用した焼結体を製造するに当たっても、二酸化炭素を排出させないだけでなく、さらには燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸収することができれば、二酸化炭素の排出量の削減に大きく寄与することが可能となる。
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、製造時において、二酸化炭素を発生させることがなく、また、燃焼排ガス中の二酸化炭素を低減することが可能な二酸化炭素吸着焼結体の製造方法を提供することを主たる課題としている。
上記課題を達成するために、本発明に係る二酸化炭素吸着焼結体の製造方法は、石炭灰に対してCa源と必要に応じてNa源を混合させた混合物にマイクロ波を照射させて焼結温度以上に昇温させることで焼結させ、この混合物の焼結体を降温させる過程で前記焼結体に燃焼排ガスを吹き込むことで前記燃焼排ガス中の二酸化炭素を前記焼結体に吸着させたことを特徴としている。
より具体的には、石炭灰のイグロス量を調整するイグロス量調整工程と、石炭灰に混合するCa源の混合量を調整するCa源調整工程と、前記イグロス量調整工程によってイグロス量が調整された石炭灰及び前記カルシウム源調整工程によって混合量が調整されたカルシウム源を混合させる混合工程と、前記混合工程によって混合された混合物にマイクロ波を照射して前記混合物を焼結温度以上に昇温させて焼結させる昇温工程と、前記昇温工程によって得られた前記混合物の焼結体を降温させる過程において、前記焼結体に燃焼排ガスを吹き込む降温工程と、を有することを特徴としている。
ここで、Ca源としては、コンクリート廃棄物(コンクリートスラッジ、廃コンクリート)や鉄鋼スラグ等が挙げられる。
したがって、上述の製造方法によれば、マイクロ波により混合物を焼結させるので、焼結体の製造時に二酸化炭素を排出させることがなく、また、混合物にCa源が含まれているので、焼結させた後の降温工程において、燃焼排ガスを焼結体に吹き込むと、燃焼排ガス中の二酸化炭素が炭酸カルシウムとして焼結体の表面に吸着固定される。よって、二酸化炭素吸着焼結体の製造時に、燃焼排ガス中の二酸化炭素の量を低減することが可能となる。
また、混合物が焼結温度以上に昇温する時間を短くするために、前記石炭灰に混合させるNa源の混合量を調整するNa源調整工程をさらに設け、前記混合工程において、前記Na源調整工程によって混合量が調整されたNa源をさらに混合させるようにしてもよい。
ここで、Na源としては、水酸化ナトリウム溶液を用いても、塩化ナトリウム溶液を用いてもよく、塩化ナトリウム溶液の代わりに海水を用いてもよい。
また、昇温工程での混合物の昇温を促進するために、前記昇温工程においても、前記混合物に燃焼排ガスを吹き込んで混合物をプレヒートしてもよい。
このプレヒートにおいても、燃焼排ガスを利用しているので、排ガス中の二酸化炭素が炭酸カルシウムとして混合物に吸着することが期待されるが、炭酸カルシウムを吸着した混合物をマイクロ波を照射させて焼結させると、吸着していた炭酸カルシムが分解して二酸化炭素に戻ることが懸念される。そこで、昇温中に燃焼排ガスを吹き込む場合(排ガス中の二酸化炭素を炭酸カルシウムとして吸着固定させる場合)には、マイクロ波による加熱は、マイクロ波の磁界成分、電界成分、周波数を適宜調整して、炭酸カルシウムを避けて加熱する選択加熱を行うとよい。
なお、イグロス量調整工程による石炭灰のイグロス量の調整は、例えば、所定の発電所毎に生じるイグロス量(強熱減量)の異なる石炭灰を混合させることによって可能である。
また、石炭灰とCa源との混合割合は、重量比で9:1〜7:3に設定することが好ましく、Na源は、石炭灰にCa源を加えた重量を基準として3重量%を限度として加えることが好ましい。
また、前記石炭灰としては、フライアッシュを用いるとよい。
前記加熱工程で照射されるマイクロ波の周波数は、2.45GHz±0.5GHzであることが望ましく、混合物に照射される成分が電界成分であることが望ましい。また、この加熱工程では、マイクロ波を照射することにより、800℃以上、特に1200℃以上の温度まで加熱することが望ましい。なお、所定の温度までの到達時間は、前述したNa量によって調整可能である。
前記降温工程の冷却方法は、最終生成物の用途によって異なるもので、燒結形状を保持した状態の最終生成物としたい場合には徐冷することが望ましく、クリンカ化した最終生成物としたい場合には急冷することが望ましい。
以上述べたように、本発明によれば、石炭灰にCa源と必要に応じてNa源を混合させた混合物をマイクロ波で焼結させた後に、焼結体の降温過程で、燃焼排ガスを吹き込んで燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸着させて二酸化炭素吸着焼結体を製造したので、二酸化炭素吸着焼結体の製造時に二酸化炭素の発生が抑制されるだけでなく、燃焼排ガス中の二酸化炭素を低減することが可能となる。したがって、得られた二酸化炭素吸着焼結体は、石炭灰の焼結体として有効利用することができると共に二酸化炭素の排出量の削減に寄与することが可能となる。
本発明に係る二酸化炭素吸着焼結体の製造方法の概要を示したブロック図である。 イグロス量が異なる組成に関するμ波照射時間と表面温度の関係を示した特性線図である。 イグロス量と目標温度に達するまでの昇温時間との関係を示したグラフである。 Na量が異なる石炭灰に関するμ波照射時間と表面温度との関係を示した特性線図である。 イグロス量とNaOHの添加量との最適範囲を説明する図である。 石炭灰に混合させるNa量を変化させた場合のμ波照射時間と表面温度との関係を示す特性線図である。 廃コンクリートと石炭灰との比率と二酸化炭素の吸着量との関係を示す特性線図である。 焼結体に炭酸カルシウムが残留していることを示すX線回析の結果を示すデータである。 本発明に係る二酸化炭素吸着焼結体の他の製造方法の概要を示したブロック図である。
以下、本発明の実施形態について図面に基づき説明する。
石炭灰(フライアッシュ:FA)を用いて二酸化炭素吸着焼結体(二酸化炭素を炭酸カルシウムとして吸着固定させた焼結体)を生成するために、本発明においては、石炭灰(FA)にCa源の粉末とNa源を混合し、その上でこの混合物を焼結温度以上に昇温して焼結させ、焼結された混合物の焼結体を降温させる過程で二酸化炭素(CO2)を吸着させるようにしている。
具体的には、図1に示されるように、石炭灰のイグロス量を所定値に調整するイグロス量調整工程(ステップ100)と、前記石炭灰に混合するCa源の混合量を所定値に調整するCa源調整工程(ステップ200)と、前記石炭灰に混合するNa源の混合量を所定値に調整するNa源調整工程(ステップ300)と、前記イグロス量調整工程によってイグロス量が調整された石炭灰、前記Ca源調整工程によって混合量が調整されたCa源、及び前記Na源調整工程によって混合量が調整されたNa源を混合する混合工程(ステップ400)と、を備える。
その後、混合工程で混合された混合物をプレヒートするために発電所において石炭紛を燃焼して生じた燃焼排ガスを吹き込み(燃焼ガス吹込み工程:ステップ500)、これと同時に混合物に対してマイクロ波を照射して混合物を焼結温度まで昇温させ(昇温工程:ステップ600)、混合物を焼結させる処理を行う(ステップ700)。昇温時において吹き込む燃焼排ガスにより混合物をプレヒートするので、混合物の昇温が促進され、焼結処理までの時間を短くすることが可能となる。
そして、焼結処理後にマイクロ波による照射を停止し、焼結体を降温させる降温工程に移行する(ステップ800)。この降温工程においては、発電所から生じた前記燃焼排ガスを焼結体に吹込み(ステップ900)、これにより燃焼排ガス中の二酸化炭素(CO)を炭酸カルシウムとして焼結体に吸着させ、二酸化炭素吸着焼結体を生成する(ステップ1000)。
前記イグロス量調整工程100におけるイグロス量の調整は、例えば、イグロス量(強熱減量)が3%前後と低い発電所から生じる石炭灰(A灰)と、イグロス量が17%前後と高い発電所から生じる石炭灰(B灰)との混合比率を調整することによって可能である。下記の表1は、イグロス量の調整例を示すものである。
石炭灰に配合されるべき最適なイグロス量を決定するために、表1に記載された各試料1乃至7のそれぞれを容器(陶製)に投入し、断熱容器で囲った状態で、電子レンジにてマイクロ波(μ波)を照射し加熱(500W)を行った。μ波照射開始後、電子レンジから適宜取り出し、断熱容器の上部に設けられた穴から照射温度計にて試料の表面温度を計測した。目標温度は1200℃とした。加熱終了後、試料を断熱材で囲った状態で室内にて冷却し、燒結・溶融状況(試料の噴上げ、燒結、溶融)を確認した。この結果を、図2に示す。
この図2において、試料1(点線+)、試料2(点線△)、試料3(点線◇)、試料4(点線□)、試料5(点線〇)、試料6(点線×)、試料7(点線■)、A灰(実線×)の実験結果が特性線として示される。また、それぞれに記載されるラベルの凡例として(試料の噴上げ、燒結、溶融)が示される。噴き上げとしては、多、中、少、無が実験結果から選択され、燒結・溶融としては、〇:全体、□:大部分、△:中〜小部分、×:無しが実験結果から選択した。
図2に示される実験結果から、イグロス量が低下するにつれて、昇温温度が小さくなる傾向が概ね認められた。また、μ波の照射時間と温度昇温時間、及び噴上げ、燒結・溶融の結果から、イグロス量を6%より大きくすると、試料3(イグロス量6.5%)に見られるように、焼結しにくくなる場合があり、上述した資料の中では、試料4(イグロス量5.8%)が最も適していることが判明した。
以上のことから、昇温特性を高めるためには、イグロス量を大きくした方がいいが、イグロス量が6%を超えると、混合物が焼結しにくくなる(イグロスの高温域での燃焼により燃焼ガス量が増加するため細孔が増えて焼結が不十分になることがある)。また、イグロス量が5.8%程度以上では、図3に示されるように、昇温速度に大差がなくなる。そこで、イグロス量は、6重量%を上限とすることが望ましい。本件においては、Ca源(廃コンクリートや鉄鋼スラグ)をさらに混合するので、A灰とB灰とCa源の合計に対して、6重量%以下にするとよい。
イグロス量調整工程(ステップ100)で調整された石炭灰に混合させるCa源(Ca源調整工程200で混合量が調整されたCa源)としては、コンクリート廃棄物(コンクリートスラッジ、廃電柱などの廃コンクリート)や鉄鋼スラグなどのCa分を豊富に含んだ粉末が選定される。ここでは、Ca源として廃コンクリート紛を用いた場合について説明する。
マイクロ波による昇温工程において、800℃以上になると,石炭灰と廃コンクリート粉に含まれるCa分がCaOとなる。また、CaOの存在により,石炭灰の融点が低下することが確認されており、融点降下(=電気使用量=コスト)を見据えてCa分の石炭灰への混合割合を検討する必要がある。さらに、石炭灰と廃コンクリートとの混合割合について,廃コンクリート粉の混合量が多い方がCO2を多く吸着すると考えられるが、多量添加の場合には、石炭灰の処理に寄与しなくなる廃コンクリートが多くなるため、Ca分による融点降下の効果が無くなるまでの廃コンクリート粉の添加量が限界となる。したがって、以上の点を考慮して、石炭灰と廃コンクリート粉との混合割合は重量比で9:1〜7:3にすることが望ましい。
イグロス量調整工程(ステップ100)で調整された石炭灰に混合させるNa源(Na源調整工程300で混合量が調整されたNa源)としては、水酸化ナトリウム溶液を用いても、塩化ナトリウム溶液を用いてもよく、塩化ナトリウム溶液の代わりに海水を用いてもよい。
Na源は、二酸化炭素吸着焼結体を製造する上で、必ずしも必須となるものではないが、昇温特性を高めるために(短時間で焼結体を製造するために)、添加することが望ましい。
Na源として水酸化ナトリウム溶液を用いる場合、図4に示すように、イグロス量5.8%の石炭灰でNaOHの添加量を10%〜1%まで変化させてマイクロ波で昇温させた結果から、添加量が10%〜3%までは昇温し易くなることが判明したが、3%以上に添加するとNa分の溶融とイグロスのガスの噴出の関係から噴き上がり現象が生じる場合があった。このため、Na源は3%を上限として添加するとよい。
したがって、石炭灰を焼結・溶融するためのイグロス量とNa源の添加量については、昇温特性を高めるためにはイグロス量を多くし、また、Na源を多く添加することが有効であるが、上述した理由から、図5に示すように、Na源は3%を上限とし、イグロス量は5.8%=約6%を上限とする条件が最適であると推定される。
また、図6に示されるように、Na源(Na量添加物)として、塩化ナトリウム(NaCl)溶液を使用した場合には、イグロス量5.8%の混合灰に対して、食塩のナトリウム量を1.725%Naとした場合及び2.875%Naとした場合について、噴上げはなく1200℃到達まで30分であった。また、塩化ナトリウム溶液の代わりに海水を使用した場合には、Na量を1.339%Naとして実験した結果、噴上げは多く検出されたものの、昇温時間は約20分と早かった(食塩よりも海水の方が昇温特性が高いことが判明した)。
前記混合工程300において所定量のCa源と所定量のNa源が混合された石炭灰混合物は、昇温工程400において昇温される。この昇温工程においては、ボイラーから排出された350℃程度の燃焼排ガスを混合物に吹き込むことで、混合物をプレヒートし、昇温を促進させる。
この昇温工程600で照射されるマイクロ波の周波数は、2.45GHz±0.5GHzであることが望ましく、混合物に照射される成分が電界成分であることが望ましい。これは、マイクロ波より石炭灰混合物が受け取るエネルギーは、(複素誘電率)×(マイクロ波電界強度の2乗)と(複素透磁率)×(マイクロ波磁界強度の2乗)の和に比例する。共振摂動法の結果より、石炭灰混合物のマイクロ波加熱は、マイクロ波の持つ電界による寄与が大きいことが明らかになった。そのため、マイクロ波電界を照射することで、効率的な加熱が達成できると推察される。よって、昇温工程600では、混合物に上述した条件を有するマイクロ波を例えば1200℃まで昇温させるために照射する。
昇温工程600において焼結温度以上に加熱された石炭灰混合物は燒結され、その後、降温工程800で冷却される。この降温工程800での冷却方法は、最終生成物の用途によって異なるもので、燒結形状を保持した状態の最終生成物としたい場合には徐冷する。また、クリンカ化した最終生成物としたい場合には急冷する。これによって、要望された最終生成物を取得することが可能となる。
この降温工程の温度降下時(800〜300℃)において、COを吹き込み、吸着させる。COの吹き込みは、火力発電所の燃料排ガスを吹き込むことで行われ、より具体的には、ボイラーから出てすぐの公害対策設備に流入後の燃焼排ガスを用いるとよい。廃コンクリート紛には中性化したCa分(CaO)と水和反応している中性化していないCa分(Ca(OH))が含まれているので、排ガス中のCO2が吹き込まれることで、下記の化学式のように炭酸カルシウム(CaCO)が生成される。すなわち、排ガス中のCO2が炭酸カルシウムとして焼結体に固定される。
化学式
廃コンクリートと石炭灰との比率(廃コンクリート/石炭灰)に対するCO吸着量を測定すると、図7に示されるようになり、比率が30〜40%でCOの吸着量はピークとなるが、この比率は焼結体として利用する場合に適した比率を必ずしも示すものではない。実際の廃コンクリートと石炭灰との比率は、使用用途に適した性能が得られる焼結体を形成する観点から決定される。
なお、上述した方法によって得られた二酸化炭素吸着焼結体に炭酸カルシウムが残留しているか(CaOに変化していないか)否かを確認するために、以下の実験を行った。
(1)焼結した石炭灰を異なる3つのエリア(上部、中部、下部)に分け、それぞれの試料を、乳鉢で粉砕して粉末にし、XRD分析を行った。
図8から分かるように、CaO単体のXRDと比較すると、資料のピークは、CaOのピークからは外れ、CaCOのピークに近いことから、CaOになっている可能性は低く、CaCOが残留していることが分かった。ただ、各試料は、CaCO単体と比べて、最大ピーク角が変化しているので、なんらかの物質に変化している可能性がある。
(2)炭酸カルシウムは、融点が825〜898℃であり、この温度以上で酸化カルシウム(CaO)と二酸化炭素(CO)に分解される。そこで、焼結した石炭灰を異なる3つのエリア(上部、中部、下部)に分けて加熱し、それぞれに対して加熱中に発生したガスを石炭水に通し、石炭水が白濁するか否かで二酸化炭素(CO)の有無を確認した。その結果、加熱温度が高い中部および下部の試料で白濁が確認されたことから、焼結体に炭酸カルシウム(CaCO3)が残留していることが確認された。
したがって、上述した二酸化炭素吸着焼結体は、製造時に二酸化炭素の発生が抑制されるだけでなく、燃焼排ガス中の二酸化炭素を低減することが可能となる。
以上の例では、マイクロ波により混合物を昇温させて焼結処理を施した後の降温時に燃焼排ガスを焼結体に吹き込んでCOを焼結体に炭酸カルシウムとして固定したものであるが、図9に示されるように、マイクロ波による昇温工程(600)において、混合物に吹き込む燃焼排ガス中のCOを炭酸カルシウムとして吸着残留させるようにしてもよい。
昇温時に吹き込む燃料排ガスは、混合物の昇温を促進することで焼結処理までの時間を短くすることが可能となるが、燃焼排ガス中のCOが混合物に供給されるので、混合物にCOが炭酸カルシムとして吸着される。しかしながら、マイクロ波を調整することなく混合物に照射すると、吸着されている炭酸カルシウムが、酸化カルシウムと二酸化炭素に分解されてCOの吸着状態が解消される。そこで、この捕捉された炭酸カルシムをマイクロ波で直接加熱しないように、マイクロ波の電界、磁界、周波数を調節して、炭酸カルシウム以外を選択加熱して混合物を焼結させる。このような昇温手法を採用することで、昇温工程の300〜800℃において廃コンクリートのCaOやCa(OH)が二酸化炭素を炭酸カルシウムとして吸着した後は、マイクロ波の選択加熱により混合物を昇温させることで、内部に取り込まれた炭酸カルシウムを取り込まれたまま保持することが期待される。
なお、添加するNaClについても、CO(燃焼排ガス)を加えることで、Na2CO3(ソーダ灰)になるプロセスに類似しているので、Cl(塩素ガス)の排気効率を高めることが期待される。
また、以上の構成においては、Ca源として廃コンクリート紛を用いた例について述べたが、Ca成分を豊富に含んでいる鉄鋼スラグ等を廃コンクリート紛の代わりに、又は、廃コンクリート紛と併せて用いるようにしてもよい。
100 イグロス量調整工程
200 Ca源調整工程
300 Na源調整工程
400 混合工程
600 昇温工程
800 降温工程

Claims (11)

  1. 石炭灰に対してCa源と必要に応じてNa源を混合させた混合物にマイクロ波を照射させて焼結温度以上に昇温させることで焼結させ、この混合物の焼結体を降温させる過程で前記焼結体に燃焼排ガスを吹き込むことで前記燃焼排ガス中の二酸化炭素を前記焼結体に吸着させたことを特徴とする二酸化炭素吸着焼結体の製造方法。
  2. 前記混合物を昇温させる過程で前記混合物に燃焼排ガスを吹き込むことを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素吸着焼結体の製造方法。
  3. 石炭灰のイグロス量を調整するイグロス量調整工程と、
    石炭灰に混合するCa源の混合量を調整するCa源調整工程と、
    前記イグロス量調整工程によってイグロス量が調整された石炭灰及び前記カルシウム源調整工程によって混合量が調整されたカルシウム源を混合させる混合工程と、
    前記混合工程によって混合された混合物にマイクロ波を照射して前記混合物を焼結温度以上に昇温させて焼結させる昇温工程と、
    前記昇温工程によって得られた前記混合物の焼結体を降温させる過程において、前記焼結体に燃焼排ガスを吹き込む降温工程と、
    を有することを特徴とする二酸化炭素吸着焼結体の製造方法。
  4. 前記石炭灰に混合させるNa源の混合量を調整するNa源調整工程をさらに含み、
    前記混合工程は、前記イグロス量調整工程によってイグロス量が調整された石炭灰及び前記Ca源調整工程によって混合量が調整されたCa源に加え、前記Na源調整工程によって混合量が調整されたNa源を混合させるものであることを特徴とする請求項3に記載の二酸化炭素吸着焼結体の製造方法。
  5. 前記昇温工程においても、前記混合物に前記燃焼排ガスを吹き込むことを特徴とする請求項3又は4に記載の二酸化炭素吸着焼結体の製造方法。
  6. 前記マイクロ波による加熱は、生成される炭酸カルシウムを避けて加熱する選択加熱が行われることを特徴とする請求項2又は5記載の二酸化炭素吸着焼結体の製造方法。
  7. イグロス量調整工程は、発電所毎に生じるイグロス量の異なる石炭灰を混合させることによって石炭灰のイグロス量を調整することを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の二酸化炭素吸着焼結体の製造方法。
  8. 前記石炭灰と前記Ca源との混合割合は、重量比で9:1〜7:3に設定されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の二酸化炭素吸着焼結体の製造方法。
  9. 前記Ca源としては、コンクリート廃棄物若しくは鉄鋼スラグであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の二酸化炭素吸着焼結体の製造方法。
  10. 前記Na源としては、水酸化ナトリウム溶液若しくは塩化ナトリウム溶液であること、又は、前記塩化ナトリウム溶液の代わりとして海水を用いることを特徴とする請求項1,2又は4に記載の二酸化炭素吸着焼結体の製造方法。
  11. 前記石炭灰は、フライアッシュであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の二酸化炭素吸着焼結体の製造方法。
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