JP6832811B2 - 保護制御装置、および保護制御システム - Google Patents

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Description

本開示は、電力系統を保護するための保護制御装置および保護制御システムに関する。
従来、電力系統で発生した事故を検出するディジタル保護制御装置が使用されている。ディジタル保護制御装置は、電力系統から電流および電圧などの電気量(系統電気量)を収集することにより、事故等が発生したことを検出し、遮断器へ制御信号を送出する。このような保護制御装置としては、系統電圧の位相変化を検出して系統事故等を判定するものが知られている。
例えば、特開2012−159334号公報(特許文献1)は、系統の保護継電装置に適用可能な位相検出装置を開示している。位相検出装置は、正弦波信号から基本周波数近辺帯域以外をカットした電圧信号を得るディジタルフィルタと、電圧信号を3相−2相変換した2相電圧信号の位相を検出する極座標復調器と、サンプリング周期毎に検出する位相の前回値と今回値からサンプリング周期毎の位相変化分を求める差分演算回路と、位相変化分を基に位相跳躍の有無を判定する比較器とを備える。
特開2012−159334号公報
ここで、電力系統内に事故が発生した場合、発電機が同期運転を保つことができず不安定な運転状態になる、いわゆる脱調が生じることがある。例えば、各電気所間での位相差を用いて脱調状態を検出する方式が知られている。この方式では、電圧の位相急変が発生した場合、誤った位相差により脱調と誤検出される可能性がある。特許文献1では、位相跳躍を判定することを検討しているが、脱調については考慮されておらず上記問題に対応する技術を何ら教示ないし示唆するものではない。
本開示における目的は、電力系統における脱調の誤検出による誤動作の発生をより精度よく防止することが可能な保護制御装置を提供することである。
ある実施の形態に従うと、電力系統を保護するための保護制御装置が提供される。保護制御装置は、電力系統の自端で検出された第1電圧の入力を受け付けて、予め定められたサンプリング周期でディジタル量に変換する電圧入力部と、ディジタル量に変換された第1電圧に基づいて、当該第1電圧の振幅がゼロとなるゼロクロス点を検出するゼロクロス検出部と、ゼロクロス点間のサンプリング数に基づいて、第1電圧の位相を算出する位相算出部と、電力系統の相手端で検出された第2電圧の位相を、他の保護制御装置から受信する位相受信部と、第1電圧および第2電圧の位相差に基づいて、電力系統の脱調状態を検出する脱調検出部と、各ゼロクロス点間のサンプリング数の比較結果に基づいて、脱調検出部による検出出力をロックするロック部とを備える。
他の実施の形態に従うと、電力系統を保護するための保護制御システムが提供される。保護制御システムは、第1および第2の保護制御装置を備える。第1の保護制御装置は、電力系統の自端で検出された第1電圧の入力を受け付けて、予め定められたサンプリング周期でディジタル量に変換する電圧入力部と、ディジタル量に変換された第1電圧に基づいて、当該第1電圧の振幅がゼロとなるゼロクロス点を検出するゼロクロス検出部と、ゼロクロス点間のサンプリング数に基づいて、第1電圧の位相を算出する位相算出部と、電力系統の相手端で検出された第2電圧の位相を、第2の保護制御装置から受信する位相受信部と、第1電圧および第2電圧の位相差に基づいて、電力系統の脱調状態を検出する脱調検出部と、各ゼロクロス点間のサンプリング数の比較結果に基づいて、脱調検出部による検出出力をロックするロック部とを含む。
本開示によると、各ゼロクロス点間のサンプリング数の比較結果に基づいて脱調検出部による検出出力をロックすることにより、電力系統における脱調の誤検出による誤動作の発生をより精度よく防止することが可能となる。
保護制御システムの構成例を示す図である。 保護制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。 位相の算出方式を説明するための図である。 ゼロクロス点の検出方式を説明するための図である。 脱調検出方式を説明するための図である。 位相急変の検出方式の一例を説明するための図である。 位相急変の検出方式の他の例を説明するための図である。 保護制御装置の機能構成を示すブロック図である。 保護制御装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。また、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本発明にとって必ずしも必須のものではない。
<保護制御システム>
図1は、保護制御システム1000の構成例を示す図である。図1を参照して、保護制御システム1000は、電気所1Aと、電気所1Bと、伝送路40と、交流系統30A,30Bと、送電線Lとを含む。
電気所1Aおよび電気所1B間は、送電線Lにより接続されている。伝送路40は、例えば、サイクリック伝送方式を採用した電力専用通信ネットワークである。なお、伝送路40は、汎用伝送方式であるイーサネット(登録商標)網等のようなパケット通信の伝送形態を採用するIP網対応のネットワークを使用してもよい。
電気所1A,1Bは、例えば、変電所である。電気所1Aは、母線2Aと、保護制御装置10Aと、事故時などに送電線Lを切り離す遮断器20Aと、母線2Aの電圧Vaを検出する計器用変圧器5Aとを含む。電気所1Bは、母線2Bと、保護制御装置10Bと、事故時などに送電線Lを切り離す遮断器20Bと、母線2Bの電圧Vbを検出する計器用変圧器5Bとを含む。母線2Aと母線2Bとの間は、送電線L(一例として、3回線)で連絡されている。交流系統30A,30Bは、それぞれ母線2A,2Bの背後電源であり、例えば、発電機である。
保護制御装置10A,10B(以下、「保護制御装置10」とも総称する。)は、典型的には、ディジタル形の保護継電装置である。保護制御装置10Aは、計器用変圧器5Aから送電線Lの自端電圧である電圧Vaを取り込み、電圧Vaをディジタル変換する。保護制御装置10Aは、電圧Vaの位相θaを算出し、伝送路40を介して、位相θaを保護制御装置10Bに送信する。また、保護制御装置10Aは、保護制御装置10Bにより算出された、送電線Lの相手端電圧(すなわち、電圧Vb)の位相θbを伝送路40を介して受信する。
保護制御装置10Aは、自端の電圧Vaの位相θaと相手端の電圧Vbの位相θbの位相差Δθを算出し、当該位相差Δθに基づいて、電力系統の脱調状態(例えば、交流系統30Aまたは30Bの脱調状態)を検出する。一方、保護制御装置10Aは、自端の電圧Vaに基づいて位相急変を検出した場合、脱調検出出力のロックを行なう。具体的には、保護制御装置10Aは、脱調ではなく位相急変が発生したと判定した場合には遮断器20Aに遮断指令(すなわち、トリップ信号)を出力せず、位相急変ではなく脱調が発生したと判定した場合には遮断器20Aに遮断指令を出力する。保護制御装置10Aの構成および処理の詳細については後述する。なお、保護制御装置10Bでも保護制御装置10Aと同様な処理が実行される。
<ハードウェア構成>
図2は、保護制御装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。図2を参照して、保護制御装置10は、補助変成器50と、AD(Analog to Digital)変換部60と、演算処理部70とを含む。
補助変成器50は、計器用変圧器5A(または計器用変圧器5B)により検出された母線2A(または母線2B)の系統電気量(すなわち、系統電圧)を取り込み、より小さな電気量に変換して出力する。
AD変換部60は、補助変成器50から出力される系統電気量を取り込んでディジタル量に変換する。具体的には、AD変換部60は、アナログフィルタと、サンプルホールド回路と、マルチプレクサと、AD変換器とを含む。
アナログフィルタは、補助変成器50から出力される電圧の波形信号から高周波のノイズ成分を除去する。サンプルホールド回路は、アナログフィルタから出力される電圧の波形信号を予め定められたサンプリング周期でサンプリングする。マルチプレクサは、演算処理部70から入力されるタイミング信号に基づいて、サンプルホールド回路から入力される波形信号を時系列で順次切り替えてAD変換器に入力する。AD変換器は、マルチプレクサから入力される波形信号をアナログデータからディジタルデータに変換する。AD変換器は、ディジタル変換した波形信号を演算処理部70へ出力する。
演算処理部70は、プロセッサ72と、ROM73と、RAM74と、DI(ディジタル入力)回路75と、DO(ディジタル出力)回路76と、通信インターフェイス77と、入力インターフェイス78とを含む。これらは、バス71で結合されている。
プロセッサ72は、典型的には、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Multi Processing Unit)である。プロセッサ72は、予めROM73に格納されたプログラムを読み出して実行することによって、保護制御装置10の動作を制御する。なお、ROM73には、プロセッサ72によって用いられる各種情報が格納されている。なお、当該ハードウェアは、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)およびその他の演算機能を有する回路などであってもよい。
プロセッサ72は、バス71を介して、AD変換部60からディジタルデータを取り込む。プロセッサ72は、ROM73に格納されているプログラムに従って、取り込んだディジタルデータを用いて制御演算を実行する。プロセッサ72は、制御演算結果に基づいて、DO回路76を介して、遮断器20A(または20B)に制御指令を出力する。また、プロセッサ72は、DI回路75を介して、その制御指令に対する応答を受け取る。
また、プロセッサ72は、通信インターフェイス77を介して伝送路40に接続して、他の保護制御装置10と各種情報を送受信する。入力インターフェイス78は、典型的には、各種ボタン等であり、系統運用者からの各種設定操作を受け付ける。
<位相の算出方式>
保護制御装置10のプロセッサは、AD変換部60によりディジタル変換された電圧Vaに対して、高調波成分や直流分を除去するための信号処理(すなわち、ディジタルフィルタ処理)を実行する。これにより、母線2Aの電圧Vaから基本周波数(系統周波数)の成分を抽出した電圧データが得られる。電圧データは、サンプリング周期Tごとのディジタル値としてRAM74に順次格納され、リレー演算に用いられる。
サンプリング周期Tは、定格周波数frのK倍(Kは偶数)のサンプリング周波数fs(fs=K×fr)に対応する(T=1/fs)。以下の説明では、K=12とし、サンプリング周期Tは電気角30°に相当する時間であり、サンプリング周波数fsは12×fr(frは電力系統の定格周波数)であるとする。
図3は、位相の算出方式を説明するための図である。図3には、各サンプリング時刻における電圧データ(すなわち、正相電圧データ)が示されている。保護制御装置10Aは、当該電圧データを、電圧の時系列データとして格納する。具体的には、保護制御装置10Aは、脱調検出のリレー演算に必要な現時点から数サイクル前までの電圧データを格納する。
図3を参照して、現在のサンプリング時刻をt(m)とし、1サンプリング周期(Ts=1/fs)前の時刻をt(m−1)とし、以下同様に、nサンプリング周期前の時刻をt(m−n)とする。また、現在の時刻t(m)の電圧値(すなわち、電圧のディジタル値)をv(m)とし、時刻t(m−n)の電圧値をv(m−n)とする。現時点からnサンプリング周期前までの電流値がリレー演算に必要である場合、v(m)、v(m−1)、v(m−2)、・・・v(m−n)のn+1個の電圧値を含む時系列データがRAM74に格納される。
この時系列データは、サンプリング周期T毎に順次更新される。最新の電圧値v(m)が入力されると、以前のデータは順次1個ずつ繰り下げられる。図3の例では、現時点から1サイクル前までの(1サイクル分の)電圧データとして、v(m)〜v(m−11)の12個の電圧値が示されている。
まず、保護制御装置10Aのプロセッサ72は、前回のゼロクロス点から今回のゼロクロス点までのサンプリング数を算出する。具体的には、プロセッサ72は、電圧値v(m)と電圧値v(m−1)と比較して、電圧値v(m)が0以上であり、電圧値v(m−1)が0未満であるとの条件J1、あるいは電圧値v(m)が0未満であり、電圧値v(m−1)が0以上であるとの条件J2が成立するか否かを判定する。
図3の例では、電圧値v(m−10)が0以上であり電圧値v(m−11)が0未満である(すなわち、条件J1が成立)ため、時刻t(m−11)および時刻t(m−10)の間にゼロクロス点P1が存在する。また、電圧値v(m−4)が0未満であり電圧値v(m−5)が0以上であるため(すなわち、条件J2が成立)、時刻t(m−5)および時刻t(m−4)の間にゼロクロス点P2が存在する。
図4は、ゼロクロス点の検出方式を説明するための図である。図4の例では、負から正へのゼロクロス点の検出方式を説明する。図4を参照して、時刻t(m)の正の電圧値v(m)と、時刻t(m−1)の負の電圧値v(m−1)とを結ぶ直線501と、直線502(すなわち、v=0)との交点がゼロクロス点として検出される。
この場合、ゼロクロス点は、時刻t(m)から時間Tα遡った時刻に対応する。そのため、時間Tαは以下の式(1)で表される。
Tα={V(m)×(Tα+Tβ)}/{V(m)−V(m−1)}・・(1)
ここで、(Tα+Tβ)はサンプリング周期Tである(すなわち、1サンプリング期間に相当する)。{V(m)/{V(m)−V(m−1)}が、時間Tαに対応するサンプリング数となる。
再び、図3を参照して、式(1)を利用すると、ゼロクロス点P1から時刻t(m−10)までのサンプリング数Xαは以下の式(2)で表され、時刻t(m−5)からゼロクロス点P2までのサンプリング数Xβは以下の式(3)で表される。
Xα=V(m−10)/{V(m−10)−V(m−11)}・・・(2)
Xβ=V(m−5)/{V(m−5)−V(m−4)}・・・(3)
これにより、ゼロクロス点P1およびゼロクロス点P2間のサンプリング数Xは、サンプリング数Xα,Xβと、時刻t(m−10)〜時刻t(m−5)までのサンプリング数Xγ(ここでは、Xγ=5)を用いて、以下の式(4)により表される。
X=Xα+Xβ+Xγ・・・(4)
サンプリング数Xは、電圧データの半サイクルに対応するサンプリング数であるため、1サンプリングで進む角度φは以下の式(5)で表される。
φ=180°/X・・・(5)
これにより、ゼロクロス点P1から現在のサンプリング時刻t(m)までに進んだ位相、すなわち、サンプリング時刻t(m)での位相θ(m)は、以下の式(6)のように表わされる。なお、Xpは、時刻t(m−10)〜時刻t(m)までのサンプリング数である(図3の例では、Xp=10)。
θ(m)=(Xα+Xp)×φ・・・(6)
なお、半サイクル前のサンプリング数を基準に位相が算出されるため、時刻t(m)に対応する電圧値V(m)が正である場合、サンプリング時刻t(m)での位相θ(m)は、以下の式(7)のように表わされる。
θ(m)=(Xα+Xp)×φ−180・・・(7)
<脱調検出方式>
保護制御装置10は、上記の<位相の算出方式>を用いて算出された自端電圧の位相と、他の保護制御装置10から受信した相手端電圧の位相との位相差を算出し、当該位相差に基づいて、電力系統の脱調状態を検出する。
図5は、脱調検出方式を説明するための図である。ここでは、電気所1Aの場合を代表して説明する。図5には、自端の電圧Vaを基準ベクトルとし、相手端の電圧Vbを判定ベクトルとした位相特性が示されている。ここで、図5で示される平面の第2象限をα領域と称し、第3象限をβ領域と称する。すなわち、α領域は、位相差Δθが90°〜180°となる領域であり、β領域は、位相差Δθが180°〜270°となる領域である。
図5を参照して、この平面上において、相手端の電圧Vbがα領域からβ領域に移動したり、β領域からα領域に移動したりした場合に、保護制御装置10Aは脱調を検出する。例えば、保護制御装置10Aは、電圧Vbがα領域へ侵入してから予め定められた滞在確認時間を経過した後、β領域へ侵入した場合に脱調を検出する。また、保護制御装置10Aは、電圧Vbがβ領域へ侵入してから予め定められた滞在確認時間を経過した後、α領域へ侵入した場合に脱調を検出する。
<位相急変の検出方式>
上記<位相の算出方式>を用いて算出された自端電圧の位相と、相手端電圧の位相との位相差Δθに基づいて脱調を検出する方式(すなわち、上記<脱調検出方式>)では、系統事故、機器操作等で電圧の位相が急変すると、周波数が変動したと誤認識して「脱調」と誤検出される可能性がある。例えば、ある時点において、自端電圧の位相が急変し、相手端の位相が急変していない場合には、位相差Δθが大きくなってしまい脱調と誤検出される可能性がある。また、滞在確認時間を長くすることにより位相急変を脱調と誤検出する可能性は低減できるが十分ではない。さらに、滞在確認時間を長くすると、脱調なのか、位相急変なのかを迅速に検出できず、その後の対応に遅れが生じてしまう。
そこで、本実施の形態に従う保護制御装置10は、以下のように位相急変を確実に検出することにより、脱調と位相急変とを切り分けて検出する。
図6は、位相急変の検出方式の一例を説明するための図である。図6を参照して、時刻t1〜t5はサンプリング時刻を示している。図6の例では、ゼロクロス点Q2を超えてから電圧の位相急変が発生したものとする。
保護制御装置10のプロセッサ72は、時刻t4において、ゼロクロス点Q2を検出するとともに、上述した<位相の算出方式>を用いてゼロクロス点Q1およびゼロクロス点Q2間のサンプリング数Xa1を算出する。この場合、Xa1=2.1である。
ここで、プロセッサ72は、前回のゼロクロス点間のサンプリング数に対する、今回のゼロクロス点間のサンプリング数の割合が閾値Th1(ここでは、0.9とする)以下である場合、位相急変が発生したと判断する。換言すると、今回のゼロクロス点間のサンプリング数が、前回のゼロクロス点間のサンプリング数よりも10%以上小さい場合には、位相急変が発生したと判断する。
プロセッサ72は、時刻t5において、ゼロクロス点Q3を検出するとともに、ゼロクロス点Q2およびゼロクロス点Q3間のサンプリング数Xa2を算出する。この場合、Xa2=1.5である。このXa2の値は、Xa1×0.9=1.89以下であるため、プロセッサ72は、時刻t5において位相急変が発生したと判断する。この場合、プロセッサ72は、脱調の誤検出により遮断器が開放されないように、脱調検出出力(すなわち、トリップ信号の出力)をロックする。
図7は、位相急変の検出方式の他の例を説明するための図である。図7を参照して、時刻t1〜t8はサンプリング時刻を示している。図7の例では、ゼロクロス点Q2を超えてから電圧の位相急変が発生したものとする。
保護制御装置10のプロセッサ72は、時刻t4において、ゼロクロス点Q2を検出するとともに、ゼロクロス点Q1およびゼロクロス点Q2間のサンプリング数Xb1を算出する。この場合、Xb1=2.3である。
プロセッサ72は、今回のゼロクロス点間のサンプリング数に対する、次回のゼロクロス点間のサンプリング数の割合が閾値Th2(ここでは、1.1とする)以上であると推定される場合、位相急変が発生したと判断する。換言すると、次回のゼロクロス点間のサンプリング数が、今回のゼロクロス点間のサンプリング数よりも10%以上大きい場合には、位相急変が発生したと判断する。
具体的には、プロセッサ72は、各サンプリング時刻において、直近のゼロクロス点Q2から当該サンプリング時刻までのサンプリング数を算出し、当該算出したサンプリング数が、Xb1×1.1=2.53以上であるか否かを判断する。図7の例では、プロセッサ72は、時刻t7において、ゼロクロス点Q2から時刻t7までのサンプリング数が3.1であり、2.53以上であると判断する。すなわち、プロセッサ72は、時刻t7において、次回のゼロクロス点間のサンプリング数は、今回のゼロクロス点間のサンプリング数よりも10%以上大きいと推定し、位相急変が発生したと判断する。
この場合、プロセッサ72は、脱調の誤検出により遮断器が開放されないように、脱調検出出力をロックする。このように、直流分が重畳される等により次のゼロクロス点Q3が延びた場合であっても、プロセッサ72は、次のゼロクロス点Q3を待つことなく、位相急変が発生したと判断し脱調検出出力をロックできる。
<機能構成>
図8は、保護制御装置10の機能構成を示すブロック図である。図8を参照して、保護制御装置10は、主な機能構成として、ゼロクロス検出部104と、位相算出部106と、位相情報通信部108と、脱調検出部110と、ロック部112とを含む。これらの各機能は、例えば、演算処理部70のプロセッサ72がROM73に格納されたプログラムを実行することによって実現される。なお、これらの機能の一部または全部はハードウェアで実現されるように構成されていてもよい。保護制御装置10は、主にAD変換部60により実現される電圧入力部102をさらに含む。以下の説明では、電気所1Aに設けられた保護制御装置10Aの場合を代表して説明する。
電圧入力部102は、電力系統の自端(ここでは、母線2A)で検出された電圧Vaの入力を受け付けて、予め定められたサンプリング周期Tでディジタル量に変換する。
ゼロクロス検出部104は、取り込まれた電圧Vaに基づいて、電圧Vaの振幅がゼロとなるゼロクロス点を検出する。ゼロクロス検出部104は、上記の図4で説明したような検出方式によりゼロクロス点を検出する。
位相算出部106は、ゼロクロス点間のサンプリング数に基づいて、電圧Vaの位相を算出する。位相算出部106は、上記の式(2)〜式(4)によりゼロクロス点間のサンプリング数を算出し、式(5)〜式(7)により電圧Vaの位相を算出する。
位相情報通信部108は、通信インターフェイス77を介して、電力系統の相手端(ここでは、母線2B)で検出された電圧Vbの位相θbを保護制御装置10Bから受信する。また、位相情報通信部108は、通信インターフェイス77を介して、電圧Vaの位相θaを保護制御装置10Bに送信する。
脱調検出部110は、電圧Vaの位相θaと、電圧Vbの位相θbとの位相差Δθを算出し、当該位相差Δθに基づいて、電力系統の脱調状態(例えば、交流系統30Aまたは30Bの脱調状態)を検出する。脱調検出部110は、算出された位相差θaが基準位相差を超えた場合に、脱調状態を検出する。詳細には、脱調検出部110は、上記の図5で説明したような検出方式により脱調を検出する。後述するロック部112により脱調検出部110の検出出力がロックされていない場合、電力系統に接続された遮断器20Aを開放するための制御指令が出力される。
ロック部112は、各ゼロクロス点間のサンプリング数の比較結果に基づいて、脱調検出部110による検出出力をロックする。具体的には、ロック部112は、前回のゼロクロス点間のサンプリング数(例えば、Xa1)に対する、今回のゼロクロス点間のサンプリング数(例えば、Xa2)の割合が閾値Th1未満であるとの条件R1を満たす場合、脱調検出部110による検出出力をロックする。
また、ロック部112は、今回のゼロクロス点間のサンプリング数(例えば、Xb1)に対する、次回のゼロクロス点間のサンプリング数の割合が閾値Th2(例えば、1.1)以上と推定されるとの条件R2を満たす場合にも、脱調検出部110による検出出力をロックする。
<処理手順>
図9は、保護制御装置10の処理手順の一例を示すフローチャートである。以下の説明では、保護制御装置10Aの場合を代表して説明する。典型的には、図9に示す各ステップは、保護制御装置10Aのプロセッサ72によって実行される。
プロセッサ72は、AD変換部60によりディジタル変換された電圧Vaを取得して(ステップS10)、電圧Vaの位相θaを算出する(ステップS12)。プロセッサ72は、電圧Vbの位相θbを受信し(ステップS14)、位相差Δθを算出する(ステップS16)。
プロセッサ72は、電圧Vaの位相急変が発生しているか否かを判断する(ステップS18)。具体的には、プロセッサ72は、各ゼロクロス点間のサンプリング数に関する条件R1または条件R2が成立するか否かを判断する。具体的には、プロセッサ72は、条件R1または条件R2が成立する場合には、位相急変が発生していると判断する。
位相急変が発生している場合には(ステップS18においてYES)、プロセッサ72は、脱調検出の際に行われる遮断器20Aへのトリップ信号の出力をロックして(ステップS20、処理を終了する。
位相急変が発生していない場合には(ステップS18においてNO)、プロセッサ72は、脱調を検出したか否かを判断する(ステップS22)。具体的には、プロセッサ72は、位相差Δθが基準位相差以上である場合には脱調を検出したと判断する。
脱調を検出した場合(ステップS22においてYES)、プロセッサ72は、DO回路76を介して、遮断器20Aにトリップ信号を出力して(ステップS24)、処理を終了する。脱調を検出しない場合(ステップS22においてNO)、プロセッサ72は、トリップ信号を出力することなく処理を終了する。
<利点>
本実施の形態によると、位相急変と脱調とを切り分けて検出することにより、脱調の誤検出によるトリップ信号の出力を防止することができる。すなわち、電力系統において実際に発生した脱調状態をより精度よく検出することができる。また、直流分が重畳されてゼロクロス点が延びた場合には位相急変と判断するため、脱調検出出力を早くロックすることができる。
<その他>
上述の実施の形態として例示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1A,1B 電気所、2A,2B 母線、5A,5B 計器用変圧器、10A,10B 保護制御装置、20A,20B 遮断器、30A,30B 交流系統、40 伝送路、50 補助変成器、60 AD変換部、70 演算処理部、71 バス、72 プロセッサ、73 ROM、74 RAM、75 DI回路、76 DO回路、77 通信インターフェイス、78 入力インターフェイス、102 電圧入力部、104 ゼロクロス検出部、106 位相算出部、108 位相情報通信部、110 脱調検出部、112 ロック部、1000 保護制御システム。

Claims (5)

  1. 電力系統を保護するための保護制御装置であって、
    前記電力系統の自端で検出された第1電圧の入力を受け付けて、予め定められたサンプリング周期でディジタル量に変換する電圧入力部と、
    ディジタル量に変換された前記第1電圧に基づいて、当該第1電圧の振幅がゼロとなるゼロクロス点を検出するゼロクロス検出部と、
    ゼロクロス点間のサンプリング数に基づいて、前記第1電圧の位相を算出する位相算出部と、
    前記電力系統の相手端で検出された第2電圧の位相を、他の保護制御装置から受信する位相受信部と、
    前記第1電圧および前記第2電圧の位相差に基づいて、前記電力系統の脱調状態を検出する脱調検出部と、
    各ゼロクロス点間のサンプリング数の比較結果に基づいて、前記脱調検出部による検出出力をロックするロック部とを備える、保護制御装置。
  2. 前記ロック部は、前回のゼロクロス点間のサンプリング数に対する、今回のゼロクロス点間のサンプリング数の割合が第1閾値未満である場合、前記脱調検出部による検出出力をロックする、請求項1に記載の保護制御装置。
  3. 前記ロック部は、今回のゼロクロス点間のサンプリング数に対する、次回のゼロクロス点間のサンプリング数の割合が第2閾値以上と推定される場合、前記脱調検出部による検出出力をロックする、請求項1または請求項2に記載の保護制御装置。
  4. 前記第1電圧は送電線の自端側の母線電圧であり、前記第2電圧は前記送電線の相手端側の母線電圧である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の保護制御装置。
  5. 電力系統を保護するための保護制御システムであって、
    第1および第2の保護制御装置を備え、
    前記第1の保護制御装置は、
    前記電力系統の自端で検出された第1電圧の入力を受け付けて、予め定められたサンプリング周期でディジタル量に変換する電圧入力部と、
    ディジタル量に変換された前記第1電圧に基づいて、当該第1電圧の振幅がゼロとなるゼロクロス点を検出するゼロクロス検出部と、
    ゼロクロス点間のサンプリング数に基づいて、前記第1電圧の位相を算出する位相算出部と、
    前記電力系統の相手端で検出された第2電圧の位相を、前記第2の保護制御装置から受信する位相受信部と、
    前記第1電圧および前記第2電圧の位相差に基づいて、前記電力系統の脱調状態を検出する脱調検出部と、
    各ゼロクロス点間のサンプリング数の比較結果に基づいて、前記脱調検出部による検出出力をロックするロック部とを含む、保護制御システム。
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