以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。以下、本明細書において、同一機能を有するものは、特に断らない限り、同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
<<第一の実施形態>>
本発明の第一の実施形態を説明する。本実施形態では、保守運転時、エレベーターの乗場表示器に、保守運転中であることが判別可能に表示する。さらに、保守運転時、乗場表示器に、のりかごの位置が、乗降可能な位置であるか否かを判別可能に表示する。以下、通常時の運転を平常運転と呼ぶ。
まず、本実施形態の、エレベーターシステム100の全体構成を説明する。図1は、本実施形態のエレベーターシステム100の全体構成図である。本実施形態のエレベーターシステム100は、乗りかご105と、乗り場ドア103と、かごドア104と、釣り合い錘113と、巻上機112と、制御盤200と、主ロープ106と、伝送線110と、モード切替スイッチ(SW)111と、を備える。
エレベーターシステム100では、乗りかご105は、主ロープ106を介して釣り合い錘113と連結される。乗りかご105と釣り合い錘113とは、主ロープ106を巻上機112で駆動することで、昇降路108内を釣瓶式に昇降する。巻上機112は、制御盤200からの制御信号に従って駆動される。すなわち、制御盤200は、乗りかご105の走行動作を制御する。
モード切替SW111は、エレベーターシステム100の運転モード切り替えの指示を受け付ける。本実施形態のエレベーターシステム100は、平常運転モードと、保守運転モードとを有する。平常運転モードは、通常の運行時に選択される運転モードであり、保守運転モードは、保守点検作業時に選択される運転モードである。モード切替SW111は、平常運転モードから、保守運転モードへの移行の指示および保守運転モードから平常運転モードへの移行の指示を受け付ける。
モード切替SW111は、例えば、乗りかご105の操作盤、各階床の乗り場107の操作盤等に設置される。そして、作業員109による押下を受け付けると、SW信号を制御盤200へ出力する。なお、SW信号は、出力元の操作盤を区別可能な情報を含んでもよい。制御盤200では、SW信号を受信すると、運転モードを切り替える。
乗り場ドア103は、各階の乗り場107に設置される。また、かごドア104は、乗りかご105に配置される。平常運転モード時、制御盤200は、乗り場ドア103およびかごドア104の動作を制御する。例えば、乗りかご105が、目的階に到着した際、かごドア104と乗り場ドア103とが連動して開閉するよう制御する。一方、保守運転モード時は、手動で開閉可能なよう、各ドアに対する制御を解除する。
制御盤200は、さらに、エレベーターシステム100の乗場表示システム300の表示を制御する。ここで、本実施形態のエレベーターシステム100の、乗場表示システム300を説明する。
図2は、本実施形態のエレベーターシステム100の、乗場表示システム300の構成図である。また、図3は、特定の階の、乗り場107の正面図である。図2では、エレベーターの乗りかご105が、1階から10階までを走行する場合を例示する。図3では、一例として、2階から9階までの、いずれかの階を示す。
本実施形態のエレベーターシステム100の乗場表示システム300は、乗場表示器310を備える。乗場表示器310は、制御盤200からの制御信号(表示指示信号)に従って点灯および消灯する。表示指示信号は、伝送線110を介して制御盤200から乗場表示器310へ送信される。
乗場表示器310は、各階床の乗り場107に設けられた表示器である。図3に示すように、本実施形態の乗場表示器310は、例えば、乗り場ドア103の近傍に配置される。また、乗場表示器310は、平常運転時、かご呼びの登録を行う呼びボタン311を備える。呼びボタン311は、上昇を指示する上昇ボタンと、下降を指示する下降ボタンとの少なくとも一方を備える。
なお、乗場表示器310は、呼びボタン311だけでなく、乗りかご105の現在位置を表示するかご位置表示器や、乗りかご105の移動方向を表示する方向灯を備えていてもよい。
次に、本実施形態の制御盤200による乗場表示器310の表示制御について説明する。本実施形態の制御盤200は、平常運転時と保守運転時とで、乗場表示器310の表示態様を変更する。また、保守運転時は、乗りかご105の停止位置が、作業員109が乗降可能な位置であるか否かを判別し、可能ある場合と、可能でない場合とで、異なる表示態様で乗場表示器310を表示させる。
なお、本明細書においては、乗降可能な位置とは、安全に乗降ができる適切な位置という意味である。すなわち、保守運転時、作業員109が、手動で乗り場ドア103およびかごドア104を開放した際、作業員109および第三者が昇降路108内に転落しない位置である。また、可能でない位置とは、安全に乗降ができない、不適切な位置、という意味である。
上記制御を実現する制御盤200の機能を説明する。図4(a)は、本実施形態の制御盤200の機能ブロック図である。ここでは、乗場表示器310の表示制御に係る機能に主眼をおいて説明する。
本実施形態の制御盤200は、図4(a)に示すように、運転モード判別部210と、乗りかご位置判別部220と、表示制御部230と、走行制御部240と、ドア開閉制御部250と、を備える。また、表示指示信号として出力する表示パターンを保持する表示パターン記憶部260を備える。
制御盤200は、例えば、図4(b)に示すように、CPU291と、メモリ292と、記憶装置293と、外部機器インタフェース(I/F)294と、を備える、情報処理装置で実現される。例えば、上記各機能は、記憶装置293に予め記憶されたプログラムを、CPU291がメモリ292にロードして実行することにより実現される。なお、上記各機能の全部または一部は、電気回路等で実現されてもよい。
運転モード判別部210は、エレベーターシステム100の運転モードを判別する。本実施形態では、エレベーターシステム100の運転モードが、平常運転モードであるか、保守運転モードであるかを判別する。そして、判別結果を、その他の制御部に出力する。具体的には、モード切替SW111からSW信号を受信すると、運転モードを、現状の運転モードと異なる運転モードと判別する。
例えば、現状の運転モードが平常運転モードの場合、SW信号を受信すると、保守運転モードと判別する。一方、現状の運転モードが保守運転モードの場合、SW信号を受信すると、平常運転モードと判別する。そして、判別結果を運転モード信号として他の制御部に出力する。
乗りかご位置判別部220は、保守運転モード時、乗りかご105の位置が、乗降可能であるか否かを判別し、判別結果を判別結果信号として表示制御部230に出力する。
本実施形態では、各階床について、当該階床の乗場床高から乗りかご105までの距離が、予め定めた閾値以上であるか否かを判別する。ここでは、乗りかご105までの距離として、例えば、乗りかご105の天井までの距離と、乗りかご105の床までの距離とを、それぞれ算出し、それぞれ、所定の閾値以上であるか否かを判別する。閾値は、例えば、300mm等とする。
乗りかご位置判別部220は、まず、保守運転モードを意味する運転モード信号を受信すると、乗りかご105の位置を検出する。乗りかご105の位置は、例えば、巻上機112の回転を検出する回転検出センサの出力から検出する。ここで検出される乗りかご105の位置は、例えば、昇降路108の最下端から乗りかご105の床までの高さ(乗りかご105の床高HF)とする。そして、検出した乗りかご105の床高HFに、設計値である乗りかご105の高さを加え、乗りかご105の天井高HCを算出する。
各階床について、当該階床の乗場床高FFと、算出した床高HFおよび天井高HCとの差の絶対値(距離)ΔHFおよびΔHCをそれぞれ算出する。距離ΔHFおよびΔHCのいずれかが、閾値未満の場合、乗降可能と判別する。なお、閾値は、床高、天井高、それぞれ、異なる値を用いてもよい。
本実施形態の乗りかご位置判別部220は、上述のような乗降可否の判別を、各階床について、乗りかご105の天井高HCおよび床高HFに関し、行う。
例えば、図5に示す位置に乗りかご105があるものとする。また、距離ΔHCおよびΔHFと比較する閾値を、ともにL1とする。
例えば、3階においては、乗場床高FFと、乗りかご105の天井105cの高さ(天井高)HCとの差の絶対値である距離ΔHCは、閾値L1より小さい。従って、図5に示す位置に乗りかご105が有る場合、3階については、乗降可能と判別される。
また、2階については、乗りかご105の床高HFは、乗場床高FFと略同じである。従って、2階の乗場床高FFと、乗りかご105の床高HFとの差の絶対値である距離ΔHFは、閾値L1より小さい。このため、2階についても、乗降可能と判別される。
一方、1階と4階については、距離ΔHCもΔHFもともに閾値L1以上である。従って、これらの階については、乗降不可能と判別される。
表示制御部230は、乗場表示器310の表示を制御する。本実施形態では、運転モード判別部210から受信した運転モード信号および乗りかご位置判別部220から受信した判別結果信号に応じて、乗場表示器310へ、表示指示信号を送信する。乗場表示器310は、表示指示信号で特定される表示態様で乗場表示器310を表示させる。
本実施形態では、運転モードが平常運転モードの場合と、保守運転モードの場合とで、異なる表示パターンの表示指示信号を出力する。また、保守運転モード時は、さらに、乗りかご105の位置に応じて、異なる表示パターンの表示指示信号を出力する。
例えば、受信した運転モード信号が、平常運転を示す信号である場合、平常運転モード時の表示指示信号(平常時表示指示信号)を送信する。一方、運転モード信号が、保守運転を示す信号であり、かつ、判別結果信号が、乗降可能を示す信号である場合、保守運転モード時の表示指示信号の中で、乗りかご105の位置が乗降可能な場合の表示指示信号(第一の表示指示信号)を送信する。そして、運転モード信号が保守運転を示す信号であり、かつ、判別結果信号が、乗降不可を示す信号である場合、保守運転モード時の表示指示信号の中で、乗りかご105の位置が乗降不可である場合の表示指示信号(第二の表示指示信号)を送信する。
なお、各階床の乗場表示器310は、受信した表示指示信号に従って、乗場表示器310を点灯、消灯させる。
例えば、図5に示す例では、保守運転モード時、2階と3階の乗場表示器310には、第一の表示指示信号が送信され、保守運転・乗りかご位置乗降可能時の表示がなされる。一方、1階と4階の乗場表示器310には、第二の表示指示信号が送信され、保守運転・乗りかご位置乗降不可時表示がなされる。
各表示指示信号の表示パターンは、予め定められ、運転モード、乗りかご105の位置等に対応づけて制御盤200の表示パターン記憶部260に記憶される。本実施形態では、作業員109および第三者が、乗場表示器310を見て、容易に状況を判断可能なよう、それぞれ、異なる態様で表示されるように表示パターンは構成される。
異なる表示態様としては、例えば、表示色を変えてもよい。例えば、平常運転時は、白色、保守運転時は、赤色、青色とする等である。また、点滅周期を変えてもよい。例えば、平常運転時は、消灯させ、保守運転時は、点滅させる。そして、さらに、乗りかご105が乗降不可な位置の場合は、乗りかご105が乗降可能な位置の場合より、早い周期で点滅させる等である。また、表示色と表示周期とを組み合わせて異なる表示態様を構成してもよい。
次に、各表示指示信号の一例を説明する。図6に、各表示指示信号の例を示す。
ここでは、4種類の異なる周期の点灯・点滅パターン(表示パターン)A〜Dを示す。ON側にグラフがあるタイミングで、乗場表示器310が点灯し、OFF側にグラフがあるタイミングで、乗場表示器310が消灯する。
例えば、表示パターンAは、連続して赤色で点灯させる表示指示信号である。また、表示パターンBは、表示パターンCより遅い周期で、赤色で点滅させる表示指示信号である。表示パターンCは、表示パターンBより早い周期で、青色で点滅させる表示指示信号である。また、表示パターンDは、点灯させない表示指示信号である。
例えば、表示パターンDを、平常時表示指示信号に割り当て、表示パターンBを、第一の表示指示信号に割り当て、表示パターンCを第二の表示指示信号に割り当てる。
このように構成することにより、平常運転時は、通常どおり、乗場表示器310は、基本的に非点灯状態となる。なお、呼びボタン311が押下されると、上昇ボタンまたは下降ボタンのうち押下されたボタンが、通常どおりの色(例えば、白色等)で点灯する。
一方、保守運転時であって、乗りかご位置が乗降可能な位置の場合は、乗場表示器310は、表示パターンBの表示指示信号に従って表示される。すなわち、表示パターンCより遅い周期で、赤色が点滅する。
また、保守運転時であって、乗りかご位置が乗降不可能な位置の場合は、乗場表示器310は、表示パターンCの表示指示信号に従って表示される。すなわち、表示パターンBより早い周期で青色が点滅する。
なお、表示パターンは、明度等、表示色の属性を変えてもよい。
走行制御部240は、乗りかご105の走行を制御する。本実施形態では、例えば、呼びボタン311、または、乗りかご105内の行先指示ボタンからの信号に応じて、所定の階床へ乗りかご105を走行させるよう制御する。また、本実施形態では、運転モード判別部210からの判別結果に応じた運転モードで、走行を制御する。
ドア開閉制御部250は、乗り場ドア103およびかごドア104の開閉を制御する。本実施形態は、運転モード判別部210からの判別結果に応じた運転モードで、ドアの開閉を制御する。平常運転モード時、呼びボタン311が押下された階床、または行先指示ボタンで指示された階床に到着した際、これらのドアを開くよう制御する。一方、保守運転モード時は、これらのドアが自動で開かず、手動で開くよう制御する。
次に、本実施形態の制御盤200の各機能による、乗場表示器310の表示制御処理の流れを説明する。図7は、本実施形態の表示制御部230表示制御処理の処理フローである。本実施形態処理は、所定の時間間隔で実行される。
まず、表示制御部230は、運転モードが保守運転モードであるか否かを判別する(ステップS1101)。ここでは、運転モード判別部210から受信する運転モード信号で判別する。
保守運転モードでなく、平常運転モードであれば、表示制御部230は、平常運転モードに対応づけて表示パターン記憶部260に記憶される表示パターンの表示指示信号(平常時表示指示信号)を出力し(ステップS1102)、処理を終了する。
一方、ステップS1101で、保守運転モードと判別された場合、表示制御部230は、乗りかご105の位置が乗降可能な位置であるか否かを判別する(ステップS1103)。ここでは、乗りかご位置判別部220からの判別信号により判別する。
乗降可能な位置と判別された場合、表示制御部230は、保守運転モードであり、かつ、乗りかご105の位置が乗降可能な位置である場合に対応づけて記憶される表示パターンの表示信号(第一の表示指示信号)を出力し(ステップS1104)、処理を終了する。
一方、ステップS1103で、乗りかご105の位置が乗降不可な位置、と判別された場合、表示制御部230は、保守運転モードであり、かつ、乗りかご105の位置が乗降不可な位置である場合に対応づけて記憶される表示パターンの表示信号(第二の表示指示信号)を出力し(ステップS1105)、処理を終了する。
なお、上記ステップS1103は、各階床について、乗りかご位置が乗降可能か否かを判別する。従って、出力される表示指示信号は、階床毎に異なる。
以上説明したように、本実施形態によれば、平常運転モードと、保守運転モードとにおいて、異なる態様で、乗場表示器310を表示させる。従って、作業員109および第三者は、現状の乗りかご105の運転モードを、乗場表示器310の表示態様を見るだけで判別できる。従って、作業員109等は、容易に保守運転時であることを把握できるため、乗り場ドア103が開放される可能性の有無を知ることができ、安全性が向上する。
さらに、本実施形態によれば、保守運転モード時、乗りかご105の位置が乗降可能か否かにより、乗場表示器310の表示態様を変える。従って、作業員109および第三者は、乗場表示器310の表示を見るだけで、乗り場ドア103が開放された場合、安全であるか否かを判別できる。従って、より安全性の高いエレベーターシステムを実現できる。
また、本実施形態によれば、既存のハードウェアである乗場表示器310を用いて、上記機能を実現する。従って、新たなハードウェア構成を追加せず、安全性の高いエレベーターシステムを実現できる。
<変形例>
なお、上記実施形態では、保守運転モード時、乗りかご105の位置が、乗降可能であるか否かを、乗りかご105の天井高と床高との両方で判別しているが、いずれか一方のみで判別してもよい。
また、例えば、乗りかご105の天井高および床高のいずれか一方で判別する場合、各階床の乗場床高FFとの距離によって、段階的に表示態様を変更してもよい。
この変形例を、図5を用いて説明する。ここでは、乗りかご105の天井高HCと乗場床高FFとの差の絶対値(距離)で判別する場合を例にあげて説明する。また、閾値としてL1とL2との2つ設け、2段階で表示態様を変更する場合を例にあげて説明する。
例えば、閾値L1は、乗りかご105の天井に乗降可能な距離とする。また、閾値L2は、上下の最寄階の乗場までの距離とする。具体的には、閾値L1は、300mm、L2は、1800mm等と設定する。
例えば、乗りかご105の天井105cの乗場床高FFからの距離ΔHCが、閾値L1未満の場合の乗りかご105の位置を、第一の位置と呼ぶ。また、距離ΔHCが閾値L1以上、閾値L2未満の場合の乗りかご105の位置を、第二の位置と呼ぶ。また、距離ΔHCが、閾値L2以上の場合の乗りかご105の位置を、第三の位置と呼ぶ。
本変形例の場合、乗りかご位置判別部220は、乗りかご105の位置が、第一の位置にあるか、第二の位置にあるか、第三の位置にあるかを判別可能な信号を、表示制御部230に出力する。
すなわち、乗りかご位置判別部220は、各階床について、乗りかご105の天井高HCと当該階床の乗場床高FFとの間の距離ΔHCが、閾値L1未満であるか否かを判別し、L1未満の場合は、第一の位置にあると判別する。そして、閾値L1以上の場合は、閾値L2未満であるか否かを判別し、閾値L2未満の場合は、第二の位置にあると判別する。そして、閾値L2以上の場合は、第三の位置にあると判別する。
表示制御部230は、保守運転モード時、のりかご105が、第一の位置にあるか、第二の位置にあるか、第三の位置にあるかによって、さらに、表示態様を変える。すなわち、表示制御部230は、出力する表示指示信号を変える。
この場合の、表示指示信号の例を、図8に示す。図8は、乗りかご105の位置によって、明度を変化させる場合の例である。ここでは、3種類の異なる表示パターンE〜Gを示す。3種類の表示パターンE〜Gは、明度の低い順に並んでいる。表示パターンEは、一番暗いパターンを、表示パターンGは、一番明るいパターンを示す。
表示制御部230は、保守モード時、乗りかご105の位置により、明度の異なる表示パターンの表示指示信号を選択し、出力する。すなわち、乗りかご105と、床との距離に応じて表示パターンを変える。
例えば、距離が小さいほど、暗い明度の表示パターンを用いる。すなわち、乗りかご位置が第一の位置にある場合は、表示パターンEを、第二の位置にある場合は、表示パターンFを、第三の位置にある場合は、表示パターンGを選択し、出力する。
この場合の表示制御部230による表示制御処理の流れを、図9に示す。本処理も、第一の実施形態同様、所定の時間間隔で実行される。
表示制御部230は、平常運転モード時は、第一の実施形態と同様、平常時表示指示信号を出力する(ステップS1101、S1102)。
一方、保守運転モード時は、表示制御部230は、まず、乗りかご105の位置を判別する(ステップS1201)。乗りかご位置判別部220からの出力が、乗りかご105の位置が第一の位置であることを示す場合、表示パターンEを出力し(ステップS1202)、処理を終了する。第一の位置を示すとは、乗りかご105の天井高HCと、当該階床の乗場床高FFとの距離がL1未満の場合である。
一方、乗りかご105の位置が、第二の位置である場合(ステップS1203)、表示制御部230は、表示パターンFを出力し(ステップS1204)、処理を終了する。第二の位置であるとは、乗りかご105の天井高HCと、当該階床の乗場床高FFとの距離がL1以上L2未満の場合である。
そして、乗りかご105の位置が、第三の位置である場合、表示制御部230は、表示パターンGを出力し(ステップS1205)、処理を終了する。
なお、本変形例においても、乗りかご位置判別部220は、階床毎に、乗りかご105の天井105cと乗場床高との距離を判別し、表示制御部230は、階床毎に、いずれの表示パターンを出力するか決定する。
これにより、乗場表示器310は、乗りかご105が、作業員109が天井に乗降可能な位置との距離に応じて、表示光の明るさが変わる。本変形例の場合は、乗りかご105が乗降可能な位置に近づくにつれて、表示光が暗くなる。このため、保守運転モード時、作業員109は、乗りかご105が、乗り場107に近づいてくることが容易に把握できる。
なお、本変形例では、乗りかご105と乗場階床との距離に応じて明度を変える場合を例にあげて説明した。しかし、変更するのは、明度に限定されない。表示色や点滅周期を変更してもよい。また、明度の変更とこれらの変更とを組み合わせてもよい。
<<第二の実施形態>>
次に、本発明を適用する第二の実施形態を説明する。本実施形態では、各階床の乗り場107に、人感センサと照明器を設け、人が検知された場合、当該照明器を点灯させる。
本実施形態のエレベーターシステム100の構成は、基本的に第一の実施形態と同様である。以下、本実施形態について、第一の実施形態と異なる構成に主眼をおいて説明する。
図2示すように、本実施形態のエレベーターシステム100は、各階床に、第一の実施形態の構成に加え、センサシステム350を備える。センサシステム350は、伝送線110を介して、制御盤200に接続される。センサシステム350は、図3に示すように、例えば、三方枠340に取り付けられる。
本実施形態のセンサシステム350は、センサと照明器とを備える。センサには、例えば、検出範囲内の人物を検出する人感センサ等を用いる。検出範囲は、例えば、乗り場ドア103の近傍等とする。本実施形態では、センサが人物を検出すると、検出信号(センサ信号)を制御盤200に出力する。また、照明器は、制御盤200からの出力指示信号に応じて点灯、消灯する。
本実施形態の制御盤200の表示制御部230は、図10に示すように、センサシステム350のセンサ信号の有無により、センサシステム350への出力を変える。
本実施形態の表示制御部230は、保守運転モード時、センサシステム350の照明器に向けて、第一の出力指示信号を出力する。さらに、センサシステム350のセンサから人物を検出したことを意味する検出信号を受信すると、当該階床のセンサシステム350の照明器に向けて、第二の出力指示信号を出力する。
なお、表示制御部230は、平常運転モード時は、センサシステム350へ出力指示信号を出力しない。すなわち、平常運転モード時は、センサシステム350の照明器は点灯しない。
第一の出力信号と第二の出力信号とは、異なるパターンとする。例えば、第一の出力信号は、連続して点灯させる信号とする。これにより、乗り場107近傍の作業員109および第三者は、保守運転モードであることを把握できる。また、第二の出力指示信号は、例えば、2回フラッシュさせるよう指示する信号等である。これにより、乗り場ドア103に近づいた作業員109および第三者に、保守運転モードなので、乗り場ドア103およびかごドア104が手動で開放される可能性を、視覚的に報知する。
次に、本実施形態の表示制御部230による表示制御処理の流れを説明する。図11は、本実施形態の表示制御部230により表示制御処理の流れを説明するための処理フローである。
第一の実施形態同様、まず、表示制御部230は、運転モードが保守運転モードであるか否かを判別する(ステップS1101)。ここでは、運転モード判別部210から受信する運転モード信号で判別する。
保守運転モードでなく、平常運転モードであれば、表示制御部230は、平常運転モードに対応づけて表示パターン記憶部260に記憶される表示パターンの表示指示信号(平常時表示指示信号)を、乗場表示器310に出力し(ステップS1102)、処理を終了する。なお、本実施形態では、この処理は行わなくてもよい。
一方、ステップS1101で、保守運転モードと判別された場合、表示制御部230は、センサシステム350からセンサ信号を受信しているか否かを判別する(ステップS2101)。
センサ信号を受信している場合は、表示制御部230は、第一の出力指示信号をセンサシステム350に向けて出力し(ステップS2102)、処理を終了する。一方、センサ信号を受信していない場合は、第二の出力指示信号をセンサシステム350に向けて出力し(ステップS2103)、処理を終了する。
なお、表示制御部230は、保守運転モード時、まず、第一の出力指示信号をセンサシステム350へ出力し、その後、センサ信号の受信の有無を判別し、受信している場合、第二の出力指示信号を、センサシステム350に向けて出力するよう制御してもよい。
また、表示制御部230は、本実施形態においても、保守運転モード時、第一の実施形態および/または変形例同様、乗場表示器310に表示指示信号を出力してもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、保守運転モード時に、センサシステム350の照明器を点灯させる。従って、作業員109および第三者は、現状の乗りかご105の運転モードを、照明器により判別できる。
さらに、保守運転モード時に、作業員109および/または第三者が、乗り場ドア103に近づいた場合、照明器が点滅する。従って、近づいた人物に、乗り場ドア103が開放される可能性を的確に報知できる。従って、安全性の高いエレベーターシステムを実現できる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するためのものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。