JP6832239B2 - マクラギの製造方法 - Google Patents
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Description
マクラギをこのように構成することで、マクラギ本体に埋込まれたネジ部への横圧力(車輪とレールとの間に働く車軸方向の力)、及びふく進力(レールが車軸方向にずれる力)に対する強度が向上し、しかも引抜き抵抗力が大きくなる。したがって、部材をマクラギに確実に固定することができる。
なお、水抜き孔は、埋込み栓のネジ部内に浸入した雨水等を埋込み栓の外部に排出するためのものである。
本発明のマクラギの製造方法は、埋込み孔が形成されたマクラギ本体と、内部空間を有する筒状に形成され、内周面に第1端部から所定の範囲で雌ネジ部が設けられて前記埋込み孔内に配置された埋込み栓と、前記マクラギ本体と前記埋込み栓とを固定する接着体と、を備えるマクラギの製造方法であって、前記マクラギ本体の前記埋込み孔内に前記埋込み栓を配置する埋込み栓配置工程と、前記埋込み栓の第2端部の内周面を、前記埋込み栓から外部に突出する孔塞ぎ栓の外周面で液密に塞ぐ孔塞ぎ栓配置工程と、前記埋込み孔の内周面と前記埋込み栓の前記第2端部の外周面との間に流動性を有する接着性組成物を流し込み、前記接着性組成物を硬化させて前記接着体にして前記マクラギ本体と前記埋込み栓とを固定する固定工程と、前記埋込み栓の前記第2端部における前記内部空間から前記孔塞ぎ栓の少なくとも一部を除去し、前記埋込み栓の前記第2端部における前記内部空間を介して前記マクラギ本体の外部と前記埋込み栓の前記雌ネジ部とを連通させる除去工程と、を行うことを特徴としている。
なお、ここで言う埋込み栓の第2端部における内部空間は、埋込み栓の水抜き孔のことを意味する。
除去工程において、水抜き孔から孔塞ぎ栓の少なくとも一部を除去することで、水抜き孔を介してマクラギ本体の外部と埋込み栓の雌ネジ部とを連通させ、埋込み栓の水抜き孔が接着体により塞がれるのを抑制することができる。
この発明によれば、除去工程においてボルトの全体を除去することで、水抜き孔を大きくすることができる。
この発明によれば、孔塞ぎ栓としてボルトを用いなくても、除去工程において孔塞ぎ栓に内部空間を形成することで、内部空間を介してマクラギ本体の外部と埋込み栓の雌ネジ部とを連通させることができる。
この発明によれば、接着体の外面とマクラギ本体の外面との間に段差が無くなり、接着体及びマクラギ本体の外観を向上させることができる。
孔塞ぎ栓が筒状であることで、孔塞ぎ栓の一部を除去しなくても、孔塞ぎ栓の内部空間を介してマクラギ本体の外部と埋込み栓の雌ネジ部とを連通させ、埋込み栓の水抜き孔が接着体により塞がれるのを抑制することができる。
この発明によれば、接着体の外面及び孔塞ぎ栓の端面とマクラギ本体の外面との間に段差が無くなり、接着体、孔塞ぎ栓、及びマクラギ本体の外観を向上させることができる。
以下、本発明に係るマクラギの製造方法(以下、単に製造方法とも言う)の第1実施形態を、図1から図6を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の製造方法に好適に用いられるマクラギ1は、マクラギ本体11と、埋込み栓16と、接着体21と、を備えている。
マクラギ本体11は、軌条51の幅方向に長い直方体状に形成されている。例えば、マクラギ本体11は、エスロン ネオランバーFFU(登録商標、積水化学工業株式会社製)で形成することが好ましい。エスロン ネオランバーFFUは、ガラス長繊維を所定の方向(例えば幅方向)に引き揃えて熱硬化性樹脂中に埋設した熱硬化性樹脂発泡体である。なお、マクラギ本体11を木等で形成してもよい。
図1では、軌条51を構成する一対のレール52のうち一方のみを示している。
埋込み孔12の上端部には、小径孔部12aが形成されている。埋込み孔12の下端部には、小径孔部12aよりも内径が大きい大径孔部12bが形成されている。
例えば、小径孔部12aは、上下方向に沿って見たときに円形状である。大径孔部12bは、上下方向に沿って見たときに矩形状である(図4参照)。なお、小径孔部12a及び大径孔部12bの形状は、これに限定されない。
埋込み栓16は、軸線方向が上下方向に平行になるように配置されている。埋込み孔12の小径孔部12a内に配置された埋込み栓16の第1端部は、小径孔部12aを液密に塞ぐことが好ましい。なお、小径孔部12aと埋込み栓16の第1端部との間に、接着剤等の封止部材を配置してもよい。
例えば、埋込み栓16は鋼管で形成され、鍔部17は鋼板で形成されている。埋込み栓16と鍔部17とは、溶接等により接合されている。
埋込み栓16及び鍔部17を、樹脂等により一体に形成してもよい。
なお、図1においては、レール52を固定する一対の固定ボルト55のうちの一方を示していない。
なお、マクラギ本体11に対するレール52の高さを、マクラギ本体11とタイプレート54との間に調節板65を配置して調節してもよい。調節板65にはボルト孔65aが形成されていて、このボルト孔65aに固定ボルト55が挿入されている。
まず、埋込み栓配置工程(図2に示すステップS11)において、作業者は、図3及び図4に示すように、マクラギ本体11の埋込み孔12内に、埋込み栓16を配置する。このとき、マクラギ本体11の下面が上方になるように配置する。埋込み栓16の第1端部が埋込み孔12の小径孔部12aを液密に塞ぐように、埋込み栓16を配置する。鍔部17をマクラギ本体11の大径孔部12b内に配置する。
埋込み栓配置工程S11が終了すると、ステップS13に移行する。
マクラギ本体11の埋込み孔12から外部にボルト71の頭部が突出するように、ボルト71の軸部の長さ等を選ぶことが好ましい。なお、予め孔塞ぎ栓配置工程S13を行ってから、埋込み栓配置工程S11を行ってもよい。
孔塞ぎ栓配置工程S13が終了すると、ステップS15に移行する。
ポリオールとジイソシアネートとが重合により硬化してポリウレタンである接着体21になったときに、接着体21はマクラギ本体11と埋込み栓16とを固定する。
接着性組成物21Aが重合して接着体21になったときに、接着体21が埋込み孔12から外部に突出するように、埋込み孔12に流し込む接着性組成物21Aの量を決めることが好ましい。
固定工程S15が終了すると、ステップS17に移行する。
具体的には、ボルト71の頭部に図示しないスパナ等を係合させ、ボルト71を軸線周りに回転させることで、埋込み栓16の雌ネジ部16aからボルト71の雄ネジ部71aを取外す。
除去工程S17が終了すると、ステップS19に移行する。
以上で、製造方法S10の全工程が終了し、マクラギ1が製造される。マクラギ1を製造した後で、マクラギ本体11の下面が下方になるように配置する。マクラギ1に固定ボルト55等によりタイプレート54を固定し、さらに、タイプレート54にボルト58等によりレール52を固定する。
除去工程S17において、水抜き孔16bからボルト71を除去することで、水抜き孔16bを介してマクラギ本体11の外部と埋込み栓16の雌ネジ部16aとを連通させ、埋込み栓16の水抜き孔16bが接着体21により塞がれるのを抑制することができる。
平坦化工程S19において、接着体21の外面をマクラギ本体11の外面と面一にする。これにより、接着体21の外面とマクラギ本体11の外面との間に段差が無くなり、接着体21及びマクラギ本体11の外観を向上させることができる。
次に、本発明の第2実施形態について図7から図11を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図7に示すように、本実施形態の製造方法に好適に用いられるマクラギ2は、第1実施形態のマクラギ1の各構成に加えて、埋込み栓16の水抜き孔16bに端部が挿入された、円筒状の孔塞ぎ栓26を備えている。孔塞ぎ栓26には、内部空間26aが形成されている。
孔塞ぎ栓26は、ゴム等の樹脂で形成されている。接着体21の外面及び孔塞ぎ栓26の端面は、マクラギ本体11の外面と面一である。
孔塞ぎ配置工程S31では、図9に示すように、埋込み栓16の水抜き孔16bに孔塞ぎ栓26Aの端部を挿入する。孔塞ぎ栓26Aは、前述の孔塞ぎ栓26よりも長く、内部空間26aが形成されていない。すなわち、孔塞ぎ栓26Aは円柱状である。これにより、埋込み栓16の水抜き孔16bの内周面を、埋込み栓16から外部に突出する孔塞ぎ栓26Aの外周面で液密に塞ぐ。マクラギ本体11の埋込み孔12から外部に孔塞ぎ栓26Aが突出するように、孔塞ぎ栓26Aの長さ等を選ぶことが好ましい。
孔塞ぎ栓配置工程S31が終了すると、ステップS33に移行する。
接着性組成物21Aが重合して接着体21になったときに、接着体21が埋込み孔12から外部に突出するように、埋込み孔12に流し込む接着性組成物21Aの量を決めることが好ましい。接着性組成物21Aは、重合により硬化することで接着体21になる。
固定工程S33が終了すると、ステップS35に移行する。
なお、除去工程S37の後で、平坦化工程S35を行ってもよい。
以上で、製造方法S30の全工程が終了し、マクラギ2が製造される。
さらに、孔塞ぎ栓としてボルト71を用いなくても、除去工程S37において孔塞ぎ栓26Aに内部空間26aを形成することで、内部空間26aを介してマクラギ本体11の外部と埋込み栓16の雌ネジ部16aとを連通させることができる。孔塞ぎ栓26の内部空間26a内を流れる雨水等が、接着体21に接触しないようにすることができる。
次に、本発明の第3実施形態について図12から図15を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図12に示すように、本実施形態の製造方法に好適に用いられるマクラギ3は、第1実施形態のマクラギ1の各構成に加えて、埋込み栓16の水抜き孔16bに端部が挿入された、円筒状の孔塞ぎ栓31を備えている。孔塞ぎ栓31には、内部空間31aが形成されている。
孔塞ぎ栓31は、ポリカーボネート(PC)等の樹脂で形成されている。接着体21の外面及び孔塞ぎ栓31の端面は、マクラギ本体11の外面と面一である。
前述の埋込み栓配置工程S11を行った後で、孔塞ぎ栓配置工程(図13に示すステップS41)に移行する。
孔塞ぎ栓配置工程S41では、図14に示すように、埋込み栓16の水抜き孔16bに孔塞ぎ栓31Aの端部を挿入する。孔塞ぎ栓31Aは、前述の孔塞ぎ栓31よりも長い。孔塞ぎ栓31Aには、内部空間31aが形成されている。
埋込み栓16の水抜き孔16bの内周面を、埋込み栓16から外部に突出する孔塞ぎ栓31Aの外周面で液密に塞ぐ。マクラギ本体11の埋込み孔12から外部に孔塞ぎ栓31Aが突出するように、孔塞ぎ栓31Aの長さ等を選ぶことが好ましい。孔塞ぎ栓31Aの内部空間31aは、埋込み栓16の雌ネジ部16aに連通する。
孔塞ぎ栓配置工程S41が終了すると、ステップS43に移行する。
接続工程S43が終了すると、ステップS45に移行する。
以上で、製造方法S40の全工程が終了し、マクラギ3が製造される。
さらに、孔塞ぎ栓配置工程S41において埋込み栓16の水抜き孔16bの内周面を、孔塞ぎ栓31Aの外面で液密に塞ぐ。これにより、固定工程S43において埋込み孔12の内周面と埋込み栓16の第2端部の外周面との間に接着性組成物21Aを流し込んだ場合でも、この接着性組成物21Aは埋込み栓16の水抜き孔16b内に流れ込まない。
孔塞ぎ栓31Aが円筒状であることで、孔塞ぎ栓31Aの一部を除去しなくても、孔塞ぎ栓31Aの内部空間31aを介してマクラギ本体11の外部と埋込み栓16の雌ネジ部16aとを連通させ、埋込み栓16の水抜き孔16bが塞がれるのを抑制することができる。
なお、第1実施形態及び第3実施形態の製造方法S10,S40では、キリ等の工具Tを用いないため、孔塞ぎ栓に形成する孔の位置がずれて埋込み栓16の雌ネジ部16a等が損傷するのを抑えることができる。
例えば、前記第2実施形態及び第3実施形態では、雌ネジ部16aは埋込み栓16の第1端部のみに形成され、埋込み栓16の第2端部には形成されていなくてもよい。
埋込み栓16は円筒状であるとしたが、埋込み栓の形状はこれに限定されない。埋込み栓を上下方向に沿って見たときに、埋込み栓の外形は楕円形でもよいし、多角形等でもよい。
接着体21は、ポリウレタンであるとしたが、接着剤や熱可塑性樹脂等でもよい。この場合、接着体は架橋等により硬化する。
埋込み栓16に鍔部17が固定されていなくてもよい。
なお、このマクラギ1は、レール52を固定するだけでなく、例えば脱線防止ガード(ガードレール)を固定して用いることができる。すなわち、このマクラギ1は、脱線防止ガードの固定部分となる。
16 埋込み栓
16a 雌ネジ部
21 接着体
21A 接着性組成物
26,26A,31,31A 孔塞ぎ栓
26a,31a 内部空間
71 ボルト(孔塞ぎ栓)
71a 雄ネジ部
S10,S30,S40 製造方法(マクラギの製造方法)
S11 埋込み栓配置工程
S13,S31,S41 孔塞ぎ栓配置工程
S15,S33,S43 固定工程
S17,S37 除去工程
Claims (6)
- 埋込み孔が形成されたマクラギ本体と、内部空間を有する筒状に形成され、内周面に第1端部から所定の範囲で雌ネジ部が設けられて前記埋込み孔内に配置された埋込み栓と、前記マクラギ本体と前記埋込み栓とを固定する接着体と、を備えるマクラギの製造方法であって、
前記マクラギ本体の前記埋込み孔内に前記埋込み栓を配置する埋込み栓配置工程と、
前記埋込み栓の第2端部の内周面を、前記埋込み栓から外部に突出する孔塞ぎ栓の外周面で液密に塞ぐ孔塞ぎ栓配置工程と、
前記埋込み孔の内周面と前記埋込み栓の前記第2端部の外周面との間に流動性を有する接着性組成物を流し込み、前記接着性組成物を硬化させて前記接着体にして前記マクラギ本体と前記埋込み栓とを固定する固定工程と、
前記埋込み栓の前記第2端部における前記内部空間から前記孔塞ぎ栓の少なくとも一部を除去し、前記埋込み栓の前記第2端部における前記内部空間を介して前記マクラギ本体の外部と前記埋込み栓の前記雌ネジ部とを連通させる除去工程と、
を行うことを特徴とするマクラギの製造方法。 - 前記孔塞ぎ栓は、前記埋込み栓の前記雌ネジ部に嵌め合う雄ネジ部が形成されたボルトであり、
前記除去工程では、前記埋込み栓の前記第2端部における前記内部空間から前記ボルトを除去することを特徴とする請求項1に記載のマクラギの製造方法。 - 前記除去工程では、前記孔塞ぎ栓を前記埋込み栓の軸線方向の全長にわたって除去して、前記孔塞ぎ栓の内部空間を介して前記マクラギ本体の外部と前記埋込み栓の前記雌ネジ部とを連通させることを特徴とする請求項1に記載のマクラギの製造方法。
- 前記固定工程の後で、前記接着体の外面を、前記マクラギ本体の外面と面一にすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のマクラギの製造方法。
- 埋込み孔が形成されたマクラギ本体と、内部空間を有する筒状に形成され、内周面に第1端部から所定の範囲で雌ネジ部が設けられて前記埋込み孔内に配置された埋込み栓と、前記マクラギ本体と前記埋込み栓とを固定する接着体と、を備えるマクラギの製造方法であって、
前記マクラギ本体の前記埋込み孔内に前記埋込み栓を配置する埋込み栓配置工程と、
前記埋込み栓から外部に突出するとともに内部空間が前記雌ネジ部に連通する筒状の孔塞ぎ栓の外周面で、前記埋込み栓の第2端部の内周面を液密に塞ぐ孔塞ぎ栓配置工程と、
前記埋込み孔の内周面と前記埋込み栓の前記第2端部の外周面との間に流動性を有する接着性組成物を、前記接着性組成物が前記孔塞ぎ栓内に入らないように流し込み、前記接着性組成物を硬化させて前記接着体にして前記マクラギ本体と前記埋込み栓とを固定する固定工程と、
を行うことを特徴とするマクラギの製造方法。 - 前記固定工程の後で、前記接着体の外面及び前記孔塞ぎ栓の端面を、前記マクラギ本体の外面と面一にすることを特徴とする請求項5に記載のマクラギの製造方法。
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