以下、図面を参照し、本発明の車両制御システムおよび車両制御方法の実施形態について説明する。
[全体構成]
図1は、実施形態の車両制御システム1の構成図である。車両制御システム1が搭載される車両(以下、自車両Mと称する)は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
車両制御システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ12と、ファインダ14と、物体認識装置16と、HMI(Human Machine Interface)20と、車両センサ30と、運転操作子40と、ウィンカー(方向指示器)70と、マスター制御部100と、運転支援制御ユニット200と、走行駆動力出力装置300と、ブレーキ装置310と、ステアリング装置320とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、自車両Mの任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
レーダ12は、自車両Mの周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ12は、自車両Mの任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。レーダ12は、FM−CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
ファインダ14は、照射光に対する散乱光を測定し、対象までの距離を検出するLIDAR(Light Detection and Ranging、或いはLaser Imaging Detection and Ranging)である。ファインダ14は、自車両Mの任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ12、およびファインダ14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度、移動方向などを認識する。認識される物体は、例えば、車両や、ガードレール、電柱、歩行者、道路標識といった種類の物体である。物体認識装置16は、認識結果を運転支援制御ユニット200に出力する。また、物体認識装置16は、カメラ10、レーダ12、またはファインダ14から入力された情報の一部を、そのまま運転支援制御ユニット200に出力してもよい。
HMI20は、自車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI20は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの各種表示装置や、モード切替スイッチ20a、車線変更開始スイッチ20b、ウィンカーレバー代用スイッチ20cなどの各種ボタン、スピーカ、ブザー、タッチパネル等を含む。HMI20の各機器は、例えば、インストルメントパネルの各部、助手席や後部座席の任意の箇所に取り付けられる。
モード切替スイッチ20aは、例えば、運転支援モードと、手動運転モードとを相互に切り替えるためのスイッチである。運転支援モードは、例えば、運転支援制御ユニット200によって、走行駆動力出力装置300およびブレーキ装置310と、ステアリング装置320とのいずれか一方または双方が制御されるモードである。手動運転モードは、運転操作子40の操作量に応じて、走行駆動力出力装置300、ブレーキ装置310、およびステアリング装置320が制御されるモードである。
車線変更開始スイッチ20bは、運転支援モード下において、乗員によるステアリングホイールの操作に依らずに自車両Mを車線変更させる操舵支援制御を開始させるためのスイッチである。
ウィンカーレバー代用スイッチ20cは、例えば、乗員から操作を受け付けている間、ウィンカー70を点灯または点滅させるスイッチである。また、ウィンカーレバー代用スイッチ20cは、例えば、乗員から操作を受け付けてから所定時間が経過するまで、ウィンカー70を点灯または点滅させるスイッチであってもよいし、乗員から操作を受け付けてからウィンカー70を所定回数点滅させるスイッチであってもよい。ウィンカーレバー代用スイッチ20cは、「受付部」の一例である。
車両センサ30は、例えば、自車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。車両センサ30に含まれる各センサは、検出結果を示す検出信号を運転支援制御ユニット200に出力する。
運転操作子40は、例えば、上述したステアリングホイールや、ウィンカー70の作動および停止を切り替えるためのウィンカーレバー(方向指示スイッチ)40a、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバーなどの各種操作子を含む。運転操作子40の各操作子には、例えば、乗員による操作の操作量を検出する検出部が取り付けられている。例えば、ウィンカーレバー40aには、レバー位置検出部40bが設けられる。レバー位置検出部40bは、ウィンカーレバー40aの位置を検出する。また、アクセルペダルやブレーキペダルに設けられた検出部は、ペダルの踏込量を検出し、ステアリングホイールに設けられた検出部は、ステアリングホイールの操舵角や操舵トルクなどを検出する。そして、各検出部(レバー位置検出部40bも含む)は、検出結果を示す検出信号を運転支援制御ユニット200、もしくは、走行駆動力出力装置300、ブレーキ装置310、およびステアリング装置320のうち一方または双方に出力する。ウィンカーレバー40aは、「受付部」の他の例である。
図2は、ウィンカーレバー40aの位置について説明するための図である。図中Xは、自車両Mの進退方向を表し、Yは自車両Mの車幅方向を表し、Zは自車両Mの上下方向(鉛直方向)を表している。例えば、ウィンカーレバー40aの一端は、ある箇所に支持される。ウィンカーレバー40aは、乗員の操作を受けると、その一端の支持箇所を起点に上下方向(Z方向)に回動する。
図示の例のように、ウィンカーレバー40aがニュートラルポジションP0を基準に上方向に回動して、半押しポジションP1または全押しポジションP2に移動した場合、自車両Mの左側方のウィンカー70が作動する。「作動」とは、ウィンカー70として機能するランプ(ターンランプ)を点灯または点滅させる動作をいう。
ニュートラルポジションP0は、ウィンカー70を作動させない位置であり、ウィンカーレバー40aが操作されない場合、その位置が維持される。ウィンカーレバー40aがニュートラルポジションP0に位置した状態は、「第1の状態」の一例である。
半押しポジションP1は、自車両Mの左側方のウィンカー70を作動させる位置であり、ウィンカーレバー40aが操作されている間、その位置が維持され、ウィンカーレバー40aが操作されなくなったタイミングで、ウィンカーレバー40aの位置がニュートラルポジションP0へと移動する。例えば、乗員がウィンカーレバー40aを半押しポジションP1まで手で押し上げると左側方のウィンカー70が作動し、この状態で乗員が手を離すと、ウィンカーレバー40aが自らニュートラルポジションP0まで移動して、作動した左側方のウィンカー70が停止する。
全押しポジションP2は、自車両Mの左側方のウィンカー70を作動させる位置であり、ウィンカーレバー40aが操作されない場合、その位置が維持される。すなわち、乗員が一度ウィンカーレバー40aを全押しポジションP2に押し上げた場合、乗員がウィンカーレバー40aを押し下げるまで左側方のウィンカー70が作動し続けることになる。
また、図示の例のように、ウィンカーレバー40aがニュートラルポジションP0を基準に下方向に回動して、半押しポジションP1#または全押しポジションP2#に移動した場合、自車両Mの右側方のウィンカー70が作動する。
半押しポジションP1#は、自車両Mの右側方のウィンカー70を作動させる位置であり、ウィンカーレバー40aが操作されている間、その位置が維持され、ウィンカーレバー40aが操作されなくなったタイミングで、ウィンカーレバー40aの位置がニュートラルポジションP0へと移動する。例えば、乗員がウィンカーレバー40aを半押しポジションP1#まで手で押し下げると右側方のウィンカー70が作動し、この状態で乗員が手を離すと、ウィンカーレバー40aが自らニュートラルポジションP0まで移動して、作動した右側方のウィンカー70が停止する。ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1またはP1#に位置した状態は、「第2の状態」の一例である。また、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1に位置した状態は、「第3の状態」の一例であり、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1#に位置した状態は、「第4の状態」の一例である。
全押しポジションP2#は、自車両Mの右側方のウィンカー70を作動させる位置であり、ウィンカーレバー40aが操作されない場合、その位置が維持される。すなわち、乗員が一度ウィンカーレバー40aを全押しポジションP2に押し下げた場合、乗員がウィンカーレバー40aを押し上げるまで右側方のウィンカー70が作動し続けることになる。
レバー位置検出部40bは、例えば、ニュートラルポジションP0、半押しポジションP1、全押しポジションP2、半押しポジションP1#、全押しポジションP2#のどこにウィンカーレバー40aが位置するのかを検出する。
なお、ウィンカーレバー40aは、全押しポジションP2またはP2#に移動した後、ステアリングホイールのシャフト(回転軸)の回転を利用することで、ステアリングホイールが中立の位置に戻る際に、自らニュートラルポジションP0に戻ってもよい。すなわち、ウィンカーレバー40aは、オートキャンセラー機能を有していてもよい。
[マスター制御部の構成]
マスター制御部100は、例えば、切替制御部110と、HMI制御部120とを備える。これらの構成要素のうち一部または全部は、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することで実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
切替制御部110は、HMI20のモード切替スイッチ20aや車線変更開始スイッチ20bが操作されることで出力される検出信号に基づいて、自車両Mの運転モードを、手動運転モードと運転支援モードとの間で相互に切り替える。
自車両Mの運転モードが手動運転モードである場合、走行駆動力出力装置300、ブレーキ装置310、およびステアリング装置320には、運転操作子40の検出信号(各操作子の操作量がどの程度かを示す検出信号)が入力される。このとき、運転操作子40から入力される入力信号は、運転支援制御ユニット200を介して間接的に、走行駆動力出力装置300、ブレーキ装置310、およびステアリング装置320に出力されてもよい。
また、自車両Mの運転モードが運転支援モードである場合、走行駆動力出力装置300、ブレーキ装置310、およびステアリング装置320には、運転支援制御ユニット200から制御信号(各装置の制御量を示す信号)が入力される。
HMI制御部120は、例えば、切替制御部110により自車両Mの運転モードが切り替えられた場合、そのモードの切り替えに関する情報を、HMI20の各表示装置やスピーカなどに出力させる。
運転支援制御ユニット200の説明に先立って、走行駆動力出力装置300、ブレーキ装置310、およびステアリング装置320を説明する。走行駆動力出力装置300は、自車両Mが走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置300は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機などの組み合わせと、これらを制御するパワーECU(Electronic Control Unit)とを備える。パワーECUは、運転支援制御ユニット200から入力される情報、或いは運転操作子40から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
ブレーキ装置310は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、運転支援制御ユニット200から入力される情報、或いは運転操作子40から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置310は、運転操作子40に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置310は、上記説明した構成に限らず、運転支援制御ユニット200から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
ステアリング装置320は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、運転支援制御ユニット200から入力される情報、或いは運転操作子40から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
[運転支援制御ユニットの構成]
運転支援制御ユニット200は、例えば、外界認識部202と、自車位置認識部204と、追従走行支援制御部206と、車線維持支援制御部208と、車線変更支援制御部210とを備える。外界認識部202または自車位置認識部204は、「認識部」の一例である。また、車線変更支援制御部210は、「車線変更制御部」の一例である。
運転支援制御ユニット200の構成要素のうち一部または全部は、それぞれ、CPUやGPUなどのプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することで実現される。また、運転支援制御ユニット200の構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGAなどのハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
外界認識部202は、物体認識装置16を介してカメラ10、レーダ12、およびファインダ14から入力された情報に基づいて、周辺車両の位置、および速度、加速度等の状態を認識する。周辺車両の位置は、その周辺車両の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、周辺車両の輪郭で表現された領域で表されてもよい。周辺車両の「状態」とは、周辺車両の加速度やジャーク、あるいは「行動状態」(例えば車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。また、外界認識部202は、周辺車両に加えて、ガードレールや電柱、駐車車両、歩行者といった他の種類の物体の状態を認識してよい。
自車位置認識部204は、例えば、自車両Mが走行している車線(走行車線)、並びに走行車線に対する自車両Mの相対位置および姿勢を認識する。自車位置認識部204は、例えば、カメラ10によって撮像された画像から道路の区画線LMを認識し、認識した区画線LMの中で自車両Mに最も近い2本の区画線LMにより区画された車線を走行車線として認識する。そして、自車位置認識部204は、認識した走行車線に対する自車両Mの位置や姿勢を認識する。
図3は、自車位置認識部204により走行車線L1に対する自車両Mの相対位置および姿勢が認識される様子を示す図である。自車位置認識部204は、例えば、区画線LM1からLM3を認識し、自車両Mに最も近い区画線LM1およびLM2の間の領域を自車両Mの走行車線L1として認識する。そして、自車位置認識部204は、自車両Mの基準点(例えば重心)の走行車線中央CLからの乖離OS、および自車両Mの進行方向の走行車線中央CLを連ねた線に対してなす角度θを、走行車線L1に対する自車両Mの相対位置および姿勢として認識する。なお、これに代えて、自車位置認識部204は、自車線L1のいずれかの側端部に対する自車両Mの基準点の位置などを、走行車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。
また、自車位置認識部204は、例えば、自車線に隣接する隣接車線を認識してよい。例えば、自車位置認識部204は、自車線の区画線の次に自車両Mに近い区画線と、自車線の区画線との間の領域を隣接車線として認識する。図3の例では、例えば、自車位置認識部204は、自車線の区画線LM2と、その区画線LM2の次に自車両Mに近い区画線LM3との間の領域を右隣接車線L2として認識する。
追従走行支援制御部206は、例えば、外界認識部202により認識された周辺車両のうち、自車両Mの前方の所定距離(例えば50[m]程度)以内に存在する周辺車両(以下、前走車両と称する)に自車両Mが追従するように、走行駆動力出力装置300およびブレーキ装置310を制御して、予め決められた設定車速(例えば50〜100[km/h])の範囲内で自車両Mを加速または減速させる。「追従する」とは、例えば、自車両Mと前走車両との相対距離(車間距離)を一定に維持させる走行態様である。以下、このような走行態様で自車両Mの走行を支援する運転支援制御のことを、「追従走行支援制御」と称して説明する。なお、追従走行支援制御部206は、外界認識部202により前走車両が認識されていない場合、単に設定車速の範囲内で自車両Mを走行させてよい。
車線維持支援制御部208は、自車位置認識部204により認識された自車線を維持するように、ステアリング装置320を制御する。例えば、車線維持支援制御部208は、自車線の中央を自車両Mが走行するように自車両Mの操舵を制御する。以下、自車線の中央を走行するように制御する運転支援制御のことを、「車線維持支援制御」と称して説明する。
また、車線維持支援制御部208は、自車両Mが自車線の中央から左右いずれかに偏した位置を走行している場合、路外逸脱抑制制御を行う。例えば、車線維持支援制御部208は、路外逸脱抑制制御として以下の制御を行う。
例えば、車線維持支援制御部208は、自車線を区画する区画線LMと自車両Mとの距離が所定距離以下となるまで自車両Mが区画線LMに近づいた場合に、ステアリングホイールを振動させることで乗員に注意を促す。このとき、HMI制御部120は、HMI20の各種表示装置に画像を表示させたり、スピーカから音声などを出力させたりすることで、自車両Mが自車線から逸脱しそうであることを乗員に通知する。ステアリングホイールを振動させた後に、ステアリングホイールに対して乗員の操作が無い場合(操舵角や操舵トルクが閾値未満である場合)、車線維持支援制御部208は、ステアリング装置320を制御することで、転舵輪の向きを車線中央側に変更し、自車両Mが車線中央側へと復帰するように操舵を制御する。
車線変更支援制御部210は、例えば、車線変更可否判定部211と、車線変更実行部212とを備える。
車線変更可否判定部211は、例えば、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1またはP1#に第1所定時間Ta以上位置する場合に、自車両Mの右側と左側の隣接車線のうち、ウィンカーレバー40aが位置するポジションに応じて作動するウィンカー側の隣接車線(例えば右側のウィンカー70が作動すれば右隣接車線)への車線変更が可能であるか否かを判定する。例えば、車線変更可否判定部211は、以下の全ての条件を満たす場合に車線変更が可能であると判定し、いずれかの条件を満たさない場合に車線変更が可能でないと判定する。なお、車線変更可否判定部211は、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1またはP1#に第1所定時間Ta以上位置する場合に判定を開始するのに代えて、或いは加えて車線変更開始スイッチ20bやウィンカーレバー代用スイッチ20cが操作された場合に判定を開始してもよい。
条件(1):車線変更先の車線に障害物が存在しないこと。
条件(2):車線変更先の車線と自車線との間を区画する区画線LMが、車線変更の禁止(はみ出しの禁止)を表す道路標示でないこと。
条件(3):車線変更先の車線が認識されていること(実在していること)。
条件(4):車両センサ30により検出されたヨーレートが閾値未満であること。
条件(5):走行中の道路の曲率半径が所定値以上であること。
条件(6):自車両Mの速度が所定速度範囲内であること。
条件(7):車線変更のための操舵支援制御よりも優先順位の高い他の運転支援制御が行われていないこと。
条件(8):手動運転モードから運転支援モードに切り替わってから所定時間以上経過していること。
[条件(1)の判定方法]
例えば、車線変更可否判定部211は、条件(1)を満たすか否かを判定するために、隣接車線において車線変更先とする目標位置(以下、車線変更ターゲット位置TAsと称す)を設定し、この車線変更ターゲット位置TAsに周辺車両が障害物として存在しているか否かを判定する。
図4は、隣接車線に車線変更ターゲット位置TAsが設定される様子を模式的に示す図である。図中L1は自車線を表し、L2は右隣接車線を表している。また、矢印dは自車両Mの進行(走行)方向を表している。例えば、ウィンカーレバー40aの操作によって右隣接車線L2への車線変更が指示された場合、車線変更可否判定部211は、右隣接車線L2に存在する周辺車両の中から任意の2台の車両(例えば自車両Mに相対的に近い2台の車両)を選択し、選択した2台の周辺車両の間に車線変更ターゲット位置TAsを設定する。例えば、車線変更ターゲット位置TAsは、隣接車線の中央に設定される。以下、設定した車線変更ターゲット位置TAsの直前に存在する周辺車両を「前方基準車両mB」と称し、車線変更ターゲット位置TAsの直後に存在する周辺車両を「後方基準車両mC」と称して説明する。車線変更ターゲット位置TAsは、自車両Mと前方基準車両mBおよび後方基準車両mCとの位置関係に基づく相対的な位置である。
車線変更可否判定部211は、車線変更ターゲット位置TAsを設定した後、車線変更ターゲット位置TAsの設定位置を基に、図中に示すような禁止領域RAを設定する。例えば、車線変更可否判定部211は、自車両Mを車線変更先の隣接車線L2に射影し、射影した自車両Mの前後に若干の余裕距離を持たせた領域を禁止領域RAとする。禁止領域RAは、隣接車線L2を区画する一方の区画線LMから他方の区画線LMまで延在する領域として設定される。
そして、車線変更可否判定部211は、設定した禁止領域RAに周辺車両の一部も存在せず、自車両Mと前方基準車両mBとの衝突余裕時間TTC(Time-To-Collision)(B)が閾値Th(B)よりも大きく、且つ自車両Mと後方基準車両mCとの衝突余裕時間TTC(C)が閾値Th(C)よりも大きい場合に、条件(1)を満たすと判定する。「禁止領域RAに周辺車両が一部も存在しない」とは、例えば、上方から見て禁止領域RAと周辺車両を示す領域とが互いにオーバーラップしないことである。また、衝突余裕時間TTC(B)は、例えば、自車両Mの前端を隣接車線L2側に仮想的に延出させた延出線FMと前方基準車両mBとの距離を、自車両Mおよび前方基準車両mBの相対速度で除算することで導出される。また、衝突余裕時間TTC(C)は、例えば、自車両Mの後端を隣接車線L2側に仮想的に延出させた延出線RMと後方基準車両mCとの距離を、自車両Mおよび後方基準車両mCの相対速度で除算することで導出される。閾値Th(B)と閾値Th(C)は同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
条件(1)を満たさない場合、車線変更可否判定部211は、右隣接車線L2に存在する周辺車両の中から他の2台の車両を選択し、新たに車線変更ターゲット位置TAsを設定することで、条件(1)を満たすか否かの判定処理を繰り返し行う。この際に、運転支援制御ユニット200は、条件(1)を満たすような車線変更ターゲット位置TAsが設定されるまで、現在の速度が維持されるように自車両Mの速度を制御したり、車線変更ターゲット位置TAsの側方に自車両Mが移動するように自車両Mを加減速させたりしてよい。
なお、車線変更ターゲット位置TAsの設定時に隣接車線L2に周辺車両が一台も存在しない場合、車線変更可否判定部211は、禁止領域RAに干渉する周辺車両が存在しないことから、条件(1)を満たすと判定してよい。また、車線変更ターゲット位置TAsの設定時に隣接車線L2に周辺車両が一台のみ存在する場合、車線変更可否判定部211は、その周辺車両の前方や後方の任意の位置に車線変更ターゲット位置TAsを設定してよい。
[条件(2)の判定方法]
例えば、車線変更可否判定部211は、自車位置認識部204により認識された自車線と車線変更先の隣接車線との間の区画線、すなわち車線変更の際に跨ぐ必要のある区画線の種類に応じて、条件(2)を満たすか否かを判定する。例えば、自車線と車線変更先の隣接車線との間の区画線が、車線変更の禁止やはみ出しの禁止を表す道路標示(例えば黄色実線)である場合、条件(2)を満たさないと判定し、そうでないことを表す道路標示(例えば白色破線)である場合、条件(2)を満たすと判定する。
[条件(3)の判定方法]
例えば、車線変更可否判定部211は、ウィンカーレバー40a、車線変更開始スイッチ20b、またはウィンカーレバー代用スイッチ20cが操作されて車線変更が指示されたときに、車線変更先として指示された車線が自車位置認識部204によって認識されていない場合、条件(3)を満たさないと判定し、その車線が自車位置認識部204によって認識されている場合、条件(3)を満たすと判定する。これによって、例えば、乗員の誤操作によって隣接車線が存在しない側に車線変更が指示された場合であっても、自車位置認識部204が車線変更先として指示された車線を認識していないため、車線変更は開始されることになる。
[条件(4)の判定方法]
例えば、車線変更可否判定部211は、車両センサ30により検出されたヨーレートが閾値未満であるか否かに応じて、条件(4)を満たすか否かを判定する。この閾値は、例えば、車線変更したときに乗員に対して過負荷(車幅方向の加速度が閾値以上となること)が生じない程度のヨーレートに設定される。車線変更可否判定部211は、ヨーレートが閾値以上である場合、条件(4)を満たさないと判定し、ヨーレートが閾値未満である場合、条件(4)を満たすと判定する。
[条件(5)の判定方法]
例えば、車線変更可否判定部211は、走行中の道路の曲率半径が所定値以上であるか否かに応じて、条件(5)を満たすか否かを判定する。この所定値は、例えば、その道路に沿って自車両Mを走行させたときに乗員に対して過負荷が生じない曲率半径(例えば500[m]程度)に設定される。なお、所定値は、自車両Mの速度が小さくなるほどより小さな値(例えば200[m]程度)に設定され、自車両Mの速度が大きくなるほどより大きな値(例えば1000[m]程度)に設定されてよい。
[条件(6)の判定方法]
例えば、車線変更可否判定部211は、自車両Mの速度が所定速度範囲内であるか否かに応じて、条件(6)を満たすか否かを判定する。所定速度範囲は、例えば、70〜110[km/h]程度の速度帯に設定される。車線変更可否判定部211は、自車両Mの速度が所定速度範囲内でない場合、条件(6)を満たさないと判定し、自車両Mの速度が所定速度範囲内である場合、条件(6)を満たすと判定する。
[条件(7)の判定方法]
例えば、車線変更可否判定部211は、車線変更のための操舵支援制御よりも優先順位の高い他の運転支援制御が行われているか否かに応じて、条件(7)を満たすか否かを判定する。例えば、最も優先順位が高い運転支援制御は、障害物に対応して自車両Mを自動的に減速させる制動制御(以下、自動ブレーキ制御と称する)である。例えば、車線変更可否判定部211は、車線変更の可否を判定する際に自動ブレーキ制御が行われている場合、条件(7)を満たさないと判定し、そうでなければ条件(7)を満たすと判定する。
[条件(8)の判定方法]
例えば、車線変更可否判定部211は、切替制御部110により自車両Mの運転モードが手動運転モードから運転支援モードに切り替えられてから経過した時間に応じて、条件(8)を満たすか否かを判定する。例えば、車線変更可否判定部211は、運転支援モードに切り替えられてから所定時間以上経過していない場合、条件(8)を満たさないと判定し、所定時間以上経過した場合、条件(8)を満たすと判定する。この所定時間は、例えば、2秒程度に設定される。これによって、運転支援モード下において自車両Mの状態を定常状態へと遷移させてから車線変更を開始させることができる。
なお、車線変更可否判定部211は、ウィンカーレバー40a、車線変更開始スイッチ20b、またはウィンカーレバー代用スイッチ20cの操作有無に関わらずに、逐次、車線変更が可能であるか否かを判定してもよい。このとき、車線変更可否判定部211は、左隣接車線と右隣接車線との双方が認識されている場合、すなわち、車線変更の可能性のある車線が2車線存在する場合、各車線について上記条件を満たすか否かを判定する。
車線変更実行部212は、車線変更可否判定部211により車線変更が可能であると判定された場合、乗員のステアリングホイールの操作(操舵操作)に依らずに、走行駆動力出力装置300およびブレーキ装置310と、ステアリング装置320とを制御して、車線変更が可能であると判定された隣接車線(車線変更ターゲット位置TAsが設定された隣接車線)に対して自車両Mを車線変更させる。この際、車線変更実行部212は、ウィンカー70を作動させる。
例えば、車線変更実行部212は、車線変更可否判定部211により設定された車線変更ターゲット位置TAsの前後の周辺車両(前方基準車両mBおよび後方基準車両mC)との相対速度と、車線変更ターゲット位置TAsまでの相対距離とに基づいて、自車両Mが車線変更ターゲット位置TAsに到達するまでの目標速度を決定し、決定した目標速度に自車両Mの速度を近づけるように走行駆動力出力装置300およびブレーキ装置310を制御する。また、車線変更実行部212は、車線変更ターゲット位置TAsまでの車両進行方向に関する相対距離と車幅方向に関する相対距離とに基づいて、自車両Mが車線変更ターゲット位置TAsに到達するまでの目標舵角を決定し、決定した目標舵角に自車両Mの舵角を近づけるようにステアリング装置320を制御する。以下、自車両Mを自車線から隣接車線へと車線変更させる運転支援制御のことを、「自動車線変更支援制御」と称して説明する。自動車線変更支援制御は「車線変更制御」の一例である。
[自動車線変更支援制御が実施される一場面]
図5は、自動車線変更支援制御が行われる場面を、各制御のタイミングを示すタイミングチャートと共に示す図である。図中ALC(Auto Lane Change)は自動車線変更支援制御のことを表し、LKAS(Lane Keeping Assist System)は車線維持支援制御のことを表している。また、以下の説明では、車線変更可否判定部211が、ウィンカーレバー40aやウィンカーレバー代用スイッチ20cが操作されるよりも前に、既に車線変更の可否の判定処理を開始しているものとする。図示の例では、車線変更の可否判定処理が行われている状態を「ON状態」とし、この判定処理が行われていない状態を「OFF状態」として表している。また、図示の例では、時刻tallowの時点において、車線変更が可能であると判定されていること(図中ALC判定結果「可」)を表している。
図示の例では、時刻t0の時点では、ウィンカー70は作動しておらず、ステアリング装置320を制御する際の制御態様が車線維持支援制御(LKAS)であることを表している。
時刻t1は、左隣接車線L2への車線変更を指示するために、乗員がウィンカーレバー40aを半押しポジションP1に移動させたタイミングを表している。この場合、自車両Mの左側のウィンカー70が作動する(ウィンカー手動作動状態がOFF状態からON状態に切り替わる)。なお、時刻t1は、ウィンカーレバー代用スイッチ20cが操作されたタイミングを表していてもよい。
例えば、車線変更可否判定部211は、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1に移動した場合、そのポジションが維持されている時間を計時する。すなわち、車線変更可否判定部211は、乗員がウィンカーレバー40aを半押しポジションP1に手で押し上げてから手を離すまでの時間を計時する。車線変更可否判定部211は、計時した時間が第1所定時間Ta以上経過しているか否かを判定し、車線変更が可能であり、且つ第1所定時間Ta以上経過していればウィンカー70を継続して作動させることを許可し、車線変更が可能でない、又は第1所定時間Ta以上経過していなければウィンカー70を作動させることを禁止する。
車線変更実行部212は、車線変更が可能であり、且つ計時された時間が第1所定時間Ta以上経過している場合、すなわちウィンカー70を継続して作動させることが許可されている場合、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1からニュートラルポジションP0に戻る際に、ウィンカーレバー40aの操作に依らずにウィンカー70を作動させる。すなわち、車線変更実行部212は、自動的にウィンカー70を作動させる(ウィンカー自動作動状態がOFF状態からON状態に切り替わる)。
図示の例では、車線変更可否判定部211が、時刻t1よりも前の時刻tallowにおいて、車線変更が可能であると判定している。従って、車線変更実行部212は、時刻t1の時点から第1所定時間Ta経過したタイミング以降に自動的にウィンカー70を作動させる。なお、ウィンカー70が、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1(または半押しポジションP1#)からニュートラルポジションP0に戻ったとしても、所定時間(例えば3秒)または所定回数(例えば3、4回)に亘って自動的に点滅するワンタッチウィンカーである場合、第1所定時間Taをワンタッチウィンカーの自動点滅する時間よりも短い時間に設定することで、第1所定時間Taが経過した後に、乗員がウィンカーレバー40aから手を離したとしてもウィンカー70が消灯されずに、見かけ上ワンタッチウィンカーの自動点滅が継続されているかのように、ウィンカー70を継続して作動させることができる。なお、図5の例では、便宜上、ウィンカー手動作動がオン状態からオフ状態に切り替わるタイミングで、ウィンカー自動作動がオフ状態からオン状態に切り替わっている。ニュートラルポジションP0に戻った後もウィンカー70が所定時間または所定回数に亘って自動的に点滅する状態は、「第2の状態」の他の例である。
また、時刻t1では、ウィンカー70が作動したことを受けて、ステアリング装置320を制御する機能部が、車線維持支援制御部208から車線変更支援制御部210へと切り替わる。すなわち、ステアリング装置320の制御権が、車線維持支援制御部208から車線変更支援制御部210へと移り変わる。また、ウィンカーレバー40aまたはウィンカーレバー代用スイッチ20cが操作されたのか、または操作されていないのか、いずれか一方の判定結果を下すまで判定を継続するための第2所定時間Tbが設けられる。ウィンカーレバー40aまたはウィンカーレバー代用スイッチ20cが操作され始めた時刻t1から第2所定時間Tbが経過するまで、ウィンカーレバー40aまたはウィンカーレバー代用スイッチ20cが操作され続けた場合、車線変更可否判定部211は、乗員に車線変更を指示する意図があると判定し、各種制御を開始する。一方、ウィンカーレバー40aまたはウィンカーレバー代用スイッチ20cが操作され始めた時刻t1から第2所定時間Tbが経過する前に、ウィンカーレバー40aまたはウィンカーレバー代用スイッチ20cが操作されなくなった場合、車線変更可否判定部211は、乗員に車線変更を指示する意図がないと判定し、各種制御を開始しない。このように、第2所定時間Tbを設けることで、例えば、乗員がステアリングホイール44を操作する際に誤ってウィンカーレバー40aに触れた場合、前照灯などを点灯させるためのライトスイッチ等を操作する際に意図せずウィンカーレバー40aを操作してしまった場合、またはウィンカーレバー40aに対する操作にチャタリングが生じた場合に、誤った車線変更の指示に基づいて自動車線変更支援制御が実施されてしまうのを抑制することができる。また。ウィンカーレバー40aまたはウィンカーレバー代用スイッチ20cが操作され始めた時刻t1から第2所定時間Tbが経過するまでは、車線変更支援制御部210にステアリング装置320の制御権がないため、仮に車線変更可否判定部211によって車線変更が可能であると判定された場合であっても自動車線変更支援制御(ALC)は開始されないことになる。
また、車線変更可否判定部211は、時刻t1から計時した時間が、第3所定時間Tcよりも長く、且つ第4所定時間Tdよりも短いか否かを判定する。この際、車線変更可否判定部211は、図示のように、ウィンカー70の作動タイミングである時刻t1から更に第2所定時間Tbが経過した時点(t1+Tb)から計時を開始してもよいし、第2所定時間Tbを考慮せずに時刻t1から計時を開始してもよい。
車線変更可否判定部211は、計時した時間が第3所定時間Tc以上且つ第4所定時間Td未満の場合に、自動車線変更支援制御(ALC)の実行を許可し、それ以外の場合は自動車線変更支援制御(ALC)の実行を禁止する。
第3所定時間Tcは、自車両Mによる車線変更の合図を周辺車両に周知させるために設定された時間である。言い換えれば、第3所定時間Tcは、自車線に沿った走行を維持させながらウィンカー70の点灯(点滅)をしばらくの間継続させるために設定された時間である。第4所定時間Tdは、第3所定時間Tcよりも長い時間に設定される。例えば、第3所定時間Tcは数秒程度に設定され、第4所定時間Tdは十秒程度に設定される。
例えば、車線変更可否判定部211は、計時を開始してから第3所定時間Tc経過するまでの間に、車線変更が可能であると判定した場合であっても、この期間は自動車線変更支援制御(ALC)の実行を禁止する。この場合、車線変更実行部212は、車線変更可否判定部211によって既に車線変更が可能であると判定されていることから、第3所定時間Tcが経過するまでは自動車線変更支援制御(ALC)の実行を待機し、第3所定時間Tcを超えた時点(t1+Tb+Tc)で自動車線変更支援制御(ALC)を開始する。これによって、少なくとも第3所定時間Tcが経過するまでは車線変更が開始されないため、車線変更の意思を周辺車両に十分に周知させることができる。なお、ステアリング装置320を制御する際の制御態様が車線維持支援制御(LKAS)から自動車線変更支援制御(ALC)に遷移した場合であっても、第3所定時間Tcが経過し、且つ車線変更可否判定部211によって車線変更が可能であると判定されるまで、車線維持支援制御(LKAS)が継続される。つまり、自動車線変更支援制御(ALC)は実際に車線変更が可能となるまでは自車線を維持する制御を継続することとなる。
また、車線変更実行部212は、計時が開始されてから第3所定時間Tcが経過し、且つ第4所定時間Tdが経過していない場合に、車線変更可否判定部211により車線変更が可能であると判定された場合、車線変更が可能であると判定された時点で自動車線変更支援制御(ALC)を開始する。
図示の例では、時刻t1以前に車線変更可否判定部211によって車線変更が可能であると判定されているため、車線変更実行部212は、第3所定時間Tcを超えた時点で自動車線変更支援制御(ALC)を開始する(ALC実行状態がOFF状態からON状態に切り替わる)。
そして、車線変更実行部212は、車線変更先の隣接車線L2への車線変更が完了した時点で、自動車線変更支援制御(ALC)を停止する。「車線変更が完了した時点」とは、例えば、隣接車線L2の車線中央に自車両Mが到達したタイミングである。図示の例では、時刻t3において、自動車線変更支援制御(ALC)が停止されている。この際、車線変更実行部212は、車線変更が完了することが予測される時刻t3から第5所定時間TDEC分手前の時刻において、自動的に作動させたウィンカー70を停止させる。第5所定時間TDECは、例えば、自車両Mの車速が一定であると想定した場合に、自車両Mが車線変更先である隣接車線の車線中央を基準に自車線側に設けられた車幅方向のオフセット距離DDECを走行し切るのに要する時間に設定される。オフセット距離DDECは、例えば、隣接車線の最大幅の半分よりも短い距離に設定される。すなわち、オフセット距離DDECは、隣接車線の車線中央から自車線に達しない程度の距離に設定される。
なお、この自動車線変更支援制御(ALC)の停止に伴って、車線変更可否判定部211は、車線変更の可否判定処理を停止してよい。また、自動車線変更支援制御(ALC)の停止に伴って、ステアリング装置320の制御権は、車線変更支援制御部210から車線維持支援制御部208へと移り変わる。すなわち、自動車線変更支援制御(ALC)が行われている間に停止していた車線維持支援制御(LKAS)が再開される。また、車線変更を許可するための条件が成立しない場合、車線変更可否判定部211は、第2所定時間Tbが経過するまでの間、車線変更ターゲット位置TAsを繰り返し設定し、車線変更先のスペースを探索してよい。
図6は、車線変更先の隣接車線の目標位置について説明するための図である。例えば、ある時刻tiにおいて車線変更実行部212が自動車線変更支援制御(ALC)を開始した場合、車線変更実行部212は、自車両Mの基準点Pref(例えば重心)と、車線変更先である左隣接車線L2の車線中央CLL2との距離がオフセット距離DDECよりも大きいか否かに応じて、作動させているウィンカー70の停止タイミングを決定する。
例えば、時刻ti+1では、基準点Prefと左隣接車線L2の車線中央CLL2との距離が、オフセット距離DDECよりも長いDti+1であるため、車線変更実行部212は、ウィンカー70を作動させ続ける。時刻ti+2では、基準点Prefと左隣接車線L2の車線中央CLL2との距離が、オフセット距離DDECよりも短いDti+2であるため、車線変更実行部212は、作動させているウィンカー70を停止させる。これによって、周辺車両に自車両Mによる車線変更の合図を周知するとともに、自車両Mの車線変更が完了したと乗員が感じるタイミングと、車両制御システム1が車線変更を完了したと判定するタイミングとをマッチングすることができる。
一般的に、車線変更が行われている間、ウィンカー70を作動させておく場合、ウィンカーレバー40aを全押しポジションに移動させる必要がある。この場合、車線変更が完了した場合であっても、ステアリングホイールの舵角の変化が小さい場合、オートキャンセラー機能を有していてもウィンカーレバー40aがニュートラルポジションP0に戻らない場合があり、乗員が自らウィンカーレバー40aを操作してニュートラルポジションP0に戻す必要がある。このような場合、乗員は、自らウィンカー70の作動を停止させることに対して煩わしさを感じる傾向がある。
これに対して、本実施形態では、自車両Mが、隣接車線の車線中央を基準に設けられたオフセット距離DDECに達するまで、或いは現在時刻が、車線変更が完了することが予測される時刻から第5所定時間TDEC分手前の時刻に達するまで、乗員の操作に依らずにウィンカー70を作動させ続け、それらが過ぎた場合に、作動させたウィンカー70を停止させるため、車線変更が完了したのにも関わらずにウィンカー70の作動が停止しないといった場合に、乗員が自らウィンカー70を停止させる必要がなくなる。この結果、ウィンカー70を停止させる動作に対して乗員が煩わしく感じるのを解消することができる。
[自動車線変更支援制御が実施されない一場面]
図7は、自動車線変更支援制御が行われない場面を、各制御のタイミングを示すタイミングチャートと共に示す図である。図7の例では、上述した例と同様に、車線変更可否判定部211が、ウィンカーレバー40aやウィンカーレバー代用スイッチ20cが操作されるよりも前の時刻tallowにおいて、車線変更が可能であると判定している。
図示の例では、ウィンカーレバー40aの位置が半押しポジションP1となってから経過した時間が第1所定時間Ta未満であるため、車線変更可否判定部211は、時刻t1におけるウィンカーレバー40aの操作は車線変更を指示するものでないと判定し、ウィンカー70を作動させることを禁止する。これを受けて、車線変更実行部212はウィンカー70を作動させないと共に自動車線変更支援制御(ALC)を実行せずにキャンセルし、代わりに車線維持支援制御部208が車線維持支援制御(LKAS)を継続する(ウィンカー自動作動状態がOFF状態に維持される)。
[自動車線変更支援制御が実施されない他の場面]
図8は、自動車線変更支援制御が行われない場面を、各制御のタイミングを示すタイミングチャートと共に示す図である。図8の例では、上述した例と同様に、車線変更可否判定部211が、ウィンカーレバー40aやウィンカーレバー代用スイッチ20cが操作されるよりも前の時刻tallowにおいて、車線変更が可能であると判定している。
図示の例では、ウィンカーレバー40aの位置が半押しポジションP1となってから経過した時間が第1所定時間Ta以上であるため、車線変更可否判定部211は、時刻t1におけるウィンカーレバー40aの操作は車線変更を指示するものであると判定し、ウィンカー70を継続して作動させることを許可する。これを受けて、車線変更実行部212は、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1からニュートラルポジションP0に戻る際に、ウィンカーレバー40aの操作に依らずにウィンカー70を作動させる(ウィンカー自動作動状態がOFF状態からON状態に切り替わる)。
また、図示の例では、計時時間が第3所定時間Tc経過するまでの間に、半押しポジションP1からニュートラルポジションP0に戻ったウィンカーレバー40aが再度操作されている。すなわち、一度目のウィンカーレバー40aの操作を受けて車線変更実行部212が自動車線変更支援制御(ALC)を実行するよりも前に再度ウィンカーレバー40aが操作されている。この場合、車線変更可否判定部211は、二度目のウィンカーレバー40aに対する操作は一度目のウィンカーレバー40aに対する操作を取り消すための操作であると判定し、ウィンカー70を作動させることを禁止する。
例えば、一度目にウィンカーレバー40aが左側のウィンカー70を作動させるための半押しポジションP1に移動した後、二度目の操作としてウィンカーレバー40aが右側のウィンカー70を作動させるための半押しポジションP1#に移動した場合、車線変更可否判定部211は、二度目の操作を一度目の操作を取り消すための操作として判定する。すなわち、二度目の操作として、一度目に車線変更先として指示された方向の反対方向が車線変更先の方向として指示された場合、車線変更可否判定部211は、二度目の操作が一度目に行われた操作を取り消すための操作であると判定する。
なお、上述した例はあくまでも一例であり、例えば、一度目にウィンカーレバー40aが半押しポジションP1に移動した後、二度目にもウィンカーレバー40aが半押しポジションP1に移動するような場合、すなわち、二度目の操作として、一度目に車線変更先として指示された方向と同じ方向が車線変更先の方向として指示された場合であっても、車線変更可否判定部211は、これを一度目に行われた操作を取り消すための操作であると判定してもよい。
これを受けて、車線変更実行部212は既に作動させたウィンカー70を停止させると共に自動車線変更支援制御(ALC)を実行せずにキャンセルし、代わりに車線維持支援制御部208が車線維持支援制御(LKAS)を継続する(ウィンカー自動作動状態がOFF状態に維持される)。
[自動車線変更支援制御が実施されない他の場面]
図9は、自動車線変更支援制御が行われない場面を、各制御のタイミングを示すタイミングチャートと共に示す図である。図9の例では、上述した例と同様に、車線変更可否判定部211が、ウィンカーレバー40aやウィンカーレバー代用スイッチ20cが操作されるよりも前の時刻tallowにおいて、車線変更が可能であると判定している。
図示の例では、ウィンカーレバー40aの位置が半押しポジションP1となってから経過した時間が第1所定時間Ta以上であるため、車線変更可否判定部211は、時刻t1におけるウィンカーレバー40aの操作は車線変更を指示するものであると判定し、ウィンカー70を継続して作動させることを許可する。これを受けて、車線変更実行部212は、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1からニュートラルポジションP0に戻る際に、ウィンカーレバー40aの操作に依らずにウィンカー70を作動させる(ウィンカー自動作動状態がOFF状態からON状態に切り替わる)。
また、図示の例では、計時時間が第3所定時間Tc以上且つ第4所定時間Td未満である時刻t2#において、半押しポジションP1からニュートラルポジションP0に戻ったウィンカーレバー40aが再度半押しポジションP1に移動している。すなわち、一度目のウィンカーレバー40aの操作を受けて車線変更実行部212が自動車線変更支援制御(ALC)を実行した後に再度ウィンカーレバー40aが操作されている。この場合、車線変更可否判定部211は、前回のウィンカーレバーの操作は車線変更を指示するものでなかったと判定し、既に実行された自動車線変更支援制御(ALC)を中止できるか否かを判定する。
例えば、車線変更可否判定部211は、自車両Mが現在の車速を維持しながら所定時間または所定距離を走行した場合に、自車線L1と左隣接車線L2とを区画する区画線を自車両Mが越えるか否かを判定する。より具体的には、車線変更可否判定部211は、自車両Mが現在の車速を維持しながら所定時間または所定距離を走行した結果、自車両Mの基準点Prefが区画線を越えることが予測される場合、自車両Mが区画線を越えると判定し、自車両Mの基準点Prefが区画線を越えないことが予測される場合、自車両Mが区画線を越えないと判定する。
車線変更可否判定部211は、自車両Mが区画線を越えないと判定した場合、既に実行された自動車線変更支援制御(ALC)を中止できると判定し、自車両Mが区画線を越えると判定した場合、既に実行された自動車線変更支援制御(ALC)を中止できないと判定する。
車線変更実行部212は、車線変更可否判定部211によって自動車線変更支援制御(ALC)を中止できると判定された場合、作動させたウィンカー70を停止させ、現在位置から自車両Mを自車線L1の車線中央に戻すように、自動車線変更支援制御(ALC)を実行する。図中Txは、自車両Mを左隣接車線L2へと車線変更させるための自動車線変更支援制御(ALC)が実行されている期間を表し、Tyは、自車両Mを自車線L1の車線中央へと復帰させるための自動車線変更支援制御(ALC)が実行されている期間を表している。なお、車線変更実行部212は、車線変更可否判定部211によって自動車線変更支援制御(ALC)を中止できないと判定された場合、ウィンカー70を作動させ続けて、そのまま自車両Mを左隣接車線L2へと車線変更させる自動車線変更支援制御(ALC)を実行してよい。
[自動車線変更支援制御が実施される他の場面]
図10は、自動車線変更支援制御が行われる場面を、各制御のタイミングを示すタイミングチャートと共に示す図である。図10の例では、上述した例と異なり、車線変更可否判定部211が、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1に移動したのに伴って車線変更の可否の判定処理を開始し(ALC判定処理がOFF状態からON状態に切り替わり)、更に、計時時間が第3所定時間Tc以上且つ第4所定時間Td未満のある時刻tallowにおいて、車線変更が可能であると判定している。
図示の例では、ウィンカーレバー40aの位置が半押しポジションP1となってから経過した時間が第1所定時間Ta以上であるため、車線変更可否判定部211は、時刻t1におけるウィンカーレバー40aの操作は車線変更を指示するものであると判定し、ウィンカー70を継続して作動させることを許可する。これを受けて、車線変更実行部212は、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1からニュートラルポジションP0に戻る際に、ウィンカーレバー40aの操作に依らずにウィンカー70を作動させる(ウィンカー自動作動状態がOFF状態からON状態に切り替わる)。
また、第4所定時間Tdが経過していない時刻tallowに車線変更が可能であると判定されているため、車線変更実行部212は、時刻tallowに自動車線変更支援制御(ALC)を実行する。そして、車線変更実行部212は、車線変更が完了することが予測される時刻t3から第5所定時間TDEC分手前の時刻において、自動的に作動させたウィンカー70を停止させると共に、車線変更先の隣接車線L2への車線変更が完了した時刻t3で自動車線変更支援制御(ALC)を停止する。
[自動車線変更支援制御が実施されない他の場面]
図11は、自動車線変更支援制御が行われない場面を、各制御のタイミングを示すタイミングチャートと共に示す図である。図11の例では、車線変更可否判定部211が、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1に移動したのに伴って車線変更の可否の判定処理を開始している(ALC判定処理がOFF状態からON状態に切り替わる)。また、図示の例では、車線変更先である左隣接車線L2に周辺車両mが存在することから、ウィンカーレバー40aが操作されてから第4所定時間Tdが経過するまでに車線変更が可能であると判定されずに、第4所定時間Tdが経過したある時刻tallowにおいて、車線変更が可能であると判定されている。
図示の例では、ウィンカーレバー40aの位置が半押しポジションP1となってから経過した時間が第1所定時間Ta以上であるため、車線変更可否判定部211は、時刻t1におけるウィンカーレバー40aの操作は車線変更を指示するものであると判定し、ウィンカー70を継続して作動させることを許可する。これを受けて、車線変更実行部212は、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1からニュートラルポジションP0に戻る際に、ウィンカーレバー40aの操作に依らずにウィンカー70を作動させる(ウィンカー自動作動状態がOFF状態からON状態に切り替わる)。
また、図示の例では、計時が開始されてから第4所定時間Tdが経過するまでに、車線変更可否判定部211によって車線変更が可能であると判定されておらず、第4所定時間Tdが経過した時刻tallowにおいて、車線変更が可能であると判定されている。従って、第3所定時間Tcが経過した後(図中Twの期間)も待機させていた自動車線変更支援制御(ALC)を実行せずに中止すると共に、自動的に作動させたウィンカー70を停止させる。この場合、代わりに車線維持支援制御部208が車線維持支援制御(LKAS)を実行する。
[自動車線変更支援制御が実施されない他の場面]
図12は、自動車線変更支援制御が行われない場面を、各制御のタイミングを示すタイミングチャートと共に示す図である。図12の例では、車線変更可否判定部211が、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1に移動したのに伴って車線変更の可否の判定処理を開始している(ALC判定処理がOFF状態からON状態に切り替わる)。また、図示の例では、車線変更先である左隣接車線L2に周辺車両mが存在するものの、車線変更可否判定部211が、ウィンカーレバー40aなどが操作されるよりも前の時刻tallowにおいて、車線変更が可能であると判定している。
図示の例では、ウィンカーレバー40aの位置が半押しポジションP1となってから経過した時間が第1所定時間Ta以上であるため、車線変更可否判定部211は、時刻t1におけるウィンカーレバー40aの操作は車線変更を指示するものであると判定し、ウィンカー70を継続して作動させることを許可する。これを受けて、車線変更実行部212は、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1からニュートラルポジションP0に戻る際に、ウィンカーレバー40aの操作に依らずにウィンカー70を作動させる(ウィンカー自動作動状態がOFF状態からON状態に切り替わる)。
一方で、時刻t2において、外界認識部202が、左隣接車線L2に存在する周辺車両mの行動状態として、自車線L1に車線変更しようとしていることを認識している。この場合、車線変更可否判定部211は、将来のある時点t2#において、条件(1)を満たさなくなる蓋然性が高くなることから、新たに車線変更が可能でないと判定し、既に実行された自動車線変更支援制御(ALC)を中止できるか否かを判定する。図示の例では、既に実行された自動車線変更支援制御(ALC)を中止できると判定されているため、車線変更実行部212は、作動させたウィンカー70を停止させ、現在位置から自車両Mを自車線L1の車線中央に戻すように、自動車線変更支援制御(ALC)を実行する。このように、ウィンカーレバー40aが操作されて車線変更の指示が取り消されない場合であっても、車線変更先の車線に存在する周辺車両mの現時点または将来の状態に基づいて、適切に車線変更を実施することができる。
[処理フロー]
図13は、マスター制御部100および運転支援制御ユニット200による一連の処理を示すフローチャートである。例えば、本フローチャートの処理は、運転支援モード下において所定周期で繰り返し行われてよい。
まず、車線変更可否判定部211は、レバー位置検出部40bの検出信号に基づいて、ニュートラルポジションP0に位置するウィンカーレバー40aが半押しポジションP1またはP1#に移動させられたか否かを判定する(ステップS100)。
車線変更可否判定部211は、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1またはP1#に移動させられたと判定した場合、時間の計時を開始する(ステップS102)。
次に、車線変更可否判定部211は、計時を開始してから、ウィンカーレバー40aがニュートラルポジションP0に戻るまでに経過した時間が第1所定時間Ta以上であるか否かを判定する(ステップS104)。すなわち、車線変更可否判定部211は、ウィンカーレバー40aがニュートラルポジションP0に戻らないように乗員がレバーを支えていた時間が第1所定時間Ta以上であるか否かを判定する。
ウィンカーレバー40aがニュートラルポジションP0に戻るまでの時間が第1所定時間Ta未満である場合、車線変更可否判定部211は、ステップS100の処理におけるウィンカーレバー40aに対する操作が車線変更を指示する操作でないと判定する。そして、車線変更可否判定部211は、車線変更実行部212に対して、ウィンカー70の作動を継続させずに処理をステップS100に戻す。
一方、ウィンカーレバー40aがニュートラルポジションP0に戻るまでの時間が第1所定時間Ta以上である場合、車線変更可否判定部211は、ステップS100の処理におけるウィンカーレバー40aに対する操作が車線変更を指示する操作であると判定し、車線変更実行部212に対してウィンカー70を継続して作動させることを許可する。これを受けて、車線変更実行部212は、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1またはP1#からニュートラルポジションP0に戻るタイミングで、ウィンカーレバー40aの操作に依らずにウィンカー70を作動させる(ステップS106)。
次に、HMI制御部120は、HMI20を制御して、ウィンカーレバー40aの操作によって指示された車線変更を実行させずに待機させていることを乗員に通知する(ステップS108)。
図14は、車線変更の待機時にHMI20の表示装置に表示される画面の一例を示す図である。例えば、HMI制御部120は、HMI20の各表示装置に図14に例示するような画面を表示させることで、乗員に車線変更を待機させていることを通知する。また、HMI制御部120は、HMI20のスピーカから音声などを出力させることで、乗員に車線変更を待機させていることを通知してもよい。なお、HMI制御部120は、後述するステップS114またはステップS124に移行するまで、車線変更を待機させていることを通知するための画面を表示装置に継続して表示させてよい。
次に、車線変更可否判定部211は、ウィンカーレバー40aの操作によって作動したウィンカー側の隣接車線への車線変更が可能であるか否かを判定する(ステップS110)。例えば、車線変更可否判定部211は、ステップS100の処理において、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1に移動させられた場合、左隣接車線への車線変更が可能であるか否かを判定し、半押しポジションP1#に移動させられた場合、右隣接車線への車線変更が可能であるか否かを判定する。
車線変更が不可能であると判定した場合、車線変更可否判定部211は、ステップS102の処理で計時を開始してから現時点までに経過した時間ΔTと、第4所定時間Tdとを比較して、経過時間ΔTが第4所定時間Tdを超えたか否かを判定する(ステップS112)。
車線変更可否判定部211は、経過時間ΔTが第4所定時間Tdを超えていないと判定した場合、ステップS108に処理を戻す。これによって、計時を開始してから第4所定時間Tdが経過するまでは車線変更が可能か否かの判定が継続される。
一方、車線変更可否判定部211によって、経過時間ΔTが第4所定時間Tdを超えたと判定された場合、HMI制御部120は、HMI20を制御して、車線変更の実行がタイムアウトしたことを乗員に通知する(ステップS114)。
図15は、タイムアウト時にHMI20の表示装置に表示される画面の一例を示す図である。例えば、HMI制御部120は、HMI20の各表示装置に表示させる画面を、車線変更を待機させていることを通知するための画面(例えば図14参照)から、図15に例示するような画面に切り替えることで、タイムアウトしたことを乗員に通知する。すなわち、HMI制御部120は、HMI20を制御して、車線変更の待機を通知するための情報の出力を停止させ、新たにタイムアウトを通知するための情報を出力させる。
次に、車線変更可否判定部211は、自動車線変更支援制御の実行を禁止する(ステップS116)。これを受けて、車線変更実行部212は、実行せずに待機させていた自動車線変更支援制御を中止する。そして、車線変更実行部212は、ステップS106の処理で作動させたウィンカー70を停止させる(ステップS118)。
一方、車線変更可否判定部211は、ステップS110の処理において、車線変更が可能であると判定した場合、ステップS102の処理で計時を開始してから現時点までに経過した経過時間ΔTと、第3所定時間Tcとを比較して、経過時間ΔTが第3所定時間Tcを超えたか否かを判定する(ステップS120)。車線変更可否判定部211は、経過時間ΔTが第3所定時間Tcを超えていないと判定した場合、ステップS108に処理を戻す。これによって、計時を開始してから第3所定時間Tcが経過するまでは車線変更が実行されずに待機される。
一方、車線変更可否判定部211は、経過時間ΔTが第3所定時間Tcを超えたと判定した場合、前回のウィンカーレバー40aに対する操作を取り消すための操作があったか否かを判定する(ステップS122)。例えば、ステップS100の処理において、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1に移動させられており、ステップS122の処理において、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1#に移動させられた場合、車線変更可否判定部211は、ステップS122の処理におけるウィンカーレバー40aに対する操作が、ステップS100の処理におけるウィンカーレバー40aに対する操作を取り消すための操作であると判定する。この場合、車線変更可否判定部211は、ステップS116に処理を進める。
一方、ステップS100の処理以降、ウィンカーレバー40aが操作されていない場合、或いはウィンカーレバー40aが前回のポジションと同じポジションに移動させられた場合、車線変更可否判定部211は、前回のウィンカーレバー40aに対する操作を取り消すための操作がなかったと判定する。この場合、車線変更可否判定部211は、自動車線変更支援制御の実行を許可する(ステップS124)。これを受けて、車線変更実行部212は、実行せずに待機させていた自動車線変更支援制御を開始する(ステップS126)。この際、HMI制御部120は、HMI20を制御して、車線変更が開始されることを乗員に通知する。
図16は、自動車線変更支援制御の開始時にHMI20の表示装置に表示される画面の一例を示す図である。例えば、HMI制御部120は、HMI20の各表示装置に表示させる画面を、車線変更を待機させていることを通知するための画面(例えば図14参照)から、図16に例示するような画面に切り替えることで、乗員に車線変更が開始されることを通知する。また、HMI制御部120は、HMI20のスピーカから音声などを出力させることで、乗員に車線変更が開始されることを通知してもよい。
次に、車線変更可否判定部211は、車線変更実行部212によって自動車線変更支援制御が実行されている間、前回のウィンカーレバー40aに対する操作を取り消すための操作があったか否かを判定する(ステップS128)。
前回のウィンカーレバー40aに対する操作を取り消すための操作があったと判定した場合、車線変更可否判定部211は、既に実行された自動車線変更支援制御を中止できるか否かを判定する(ステップS130)。
車線変更可否判定部211によって自動車線変更支援制御を中止できると判定された場合、車線変更実行部212は、現在位置から自車両Mを自車線の車線中央に戻すように、自動車線変更支援制御を実行し(ステップS132)、作動させたウィンカー70を停止させる。なお、車線変更実行部212は、作動中のウィンカー70を停止させた後、このウィンカー70の反対側(自車両Mから見て車線中央側)のウィンカー70を作動させてもよい。
一方、車線変更可否判定部211によって自動車線変更支援制御を中止できないと判定された場合、車線変更実行部212は、隣接車線に車線変更させるための自動車線変更支援制御を継続する。
次に、車線変更実行部212は、車線変更先である隣接車線の車線中央までの距離と、オフセット距離DDECとを比較して、隣接車線の車線中央までの距離がオフセット距離DDEC以上となったか否かを判定する(ステップS134)。隣接車線の車線中央までの距離がオフセット距離DDEC未満である場合、車線変更実行部212は、ステップS128に処理を戻す。これによって、車線変更可否判定部211は、車線変更の指示操作を取り消すための操作がなされたか否かの判定を継続する。
一方、隣接車線の車線中央までの距離がオフセット距離DDEC以上である場合、車線変更実行部212は、ステップS118に処理を進めて、作動させたウィンカー70を停止させる。これによって本フローチャートの処理が終了する。
なお、上述した実施形態では、ウィンカーレバー40aが第1所定時間Ta以上半押しされ続け、第1所定時間Taが経過した以降のあるタイミングで元のニュートラルポジションP0に戻された場合、或いはウィンカーレバー代用スイッチ20cが第1所定時間Ta以上操作され続け、第1所定時間Taが経過した以降のあるタイミングで操作されなくなった場合であっても、車線変更実行部212が、車線変更が完了することが予測される時刻から第5所定時間TDEC分手前の時刻までウィンカー70の作動を継続させるものとして説明したがこれに限られない。例えば、ウィンカーレバー40aが全押しポジションP2またはP2#に移動させられてから第1所定時間Ta以上経過した以降に元のニュートラルポジションP0に戻された場合であっても、車線変更実行部212は、車線変更が完了することが予測される時刻から第5所定時間TDEC分手前の時刻までウィンカー70の作動を継続させてよい。
以上説明した実施形態によれば、車両の乗員の操作を受け付けると共に、受け付けた操作に応じて、ニュートラルポジションP0(第1の状態)と、半押しポジションP1またはP1#(第2の状態)とを含む位置のいずれかに移動するウィンカーレバー40a(受付部)と、ウィンカーレバー40aがニュートラルポジションP0から半押しポジションP1またはP1#に移動した場合に作動するウィンカー70と、ウィンカーレバー40aがニュートラルポジションP0から半押しポジションP1またはP1#に移動するのに応じて、自動車線変更支援制御(ALC)を実行する車線変更支援制御部210と、を備え、車線変更支援制御部210が、自動車線変更支援制御(ALC)を実行する際に、ウィンカーレバー40aがいずれかの半押しポジションからニュートラルポジションP0に戻った後も、自動車線変更支援制御(ALC)の実行状況が所定の状況になるまでウィンカー70の作動を継続させるため、車線変更の際にウィンカー70を適切な時間作動させることができる。
また、上述した実施形態によれば、自動車線変更支援制御(ALC)の実行状況に基づいて、ウィンカーレバー40aがいずれかの半押しポジションからニュートラルポジションP0に戻った後のウィンカー70の作動時間を決定するため、車線変更の際にウィンカー70をより適切に時間作動させることができる。
例えば、車線変更支援制御部210が、自車両Mが、隣接車線の車線中央を基準に設けられたオフセット距離DDECに達するまで、或いは現在時刻が、車線変更が完了することが予測される時刻から第5所定時間TDEC分手前の時刻に達するまで、ウィンカー70の作動を継続させるため、少なくとも自車両Mが区画線を越えるまでは周辺車両に車線変更の合図を出し続けることができると共に、自車両Mによる車線変更が完了したと乗員が感じるタイミングと、システム側が車線変更を完了したと判定するタイミングとをマッチングさせることができる。この結果、車線変更が完了したのにも関わらずにウィンカー70の作動が停止しないといった場合に、乗員が自らウィンカー70を停止させる必要がなくなり、ウィンカー70を停止させる動作に対する乗員の煩わしさを解消することができる。
また、上述した実施形態によれば、ウィンカーレバー40aがいずれかの半押しポジションに第1所定時間Ta以上継続して位置する場合に、ウィンカー70を継続して作動させると共に、自動車線変更支援制御(ALC)を実行するため、誤操作などによってウィンカーレバー40aが一時的に半押しポジションに移動した場合に車線変更が開始されてしまうのを抑制することができる。
また、上述した実施形態によれば、ウィンカーレバー40aがいずれかの半押しポジションに第1所定時間Ta以上継続して位置した後に、ウィンカーレバー40aが反対側の半押しポジションに移動させられた場合、自動車線変更支援制御(ALC)の実行を中止するため、乗員の意思を忠実に反映させた車線変更を実施することができる。
また、上述した実施形態によれば、車線変更先の車線と車線変更前の車線との間を区画する区画線を自車両Mが越えない場合に自動車線変更支援制御(ALC)の実行を中止するため、車線変更先の車線を走行する周辺車両により配慮しながら車線変更を中止することができる。
<実施形態の変形例>
以下、実施形態の変形例について説明する。上述した実施形態では、ウィンカーレバー40aが操作されてから経過した時間Δtが、第3所定時間Tc或いは第4所定時間Tdを経過しているか否かに応じて、車線変更を待機させるのか、禁止するのか、または開始させるのかを決定した。これに対して、実施形態の変形例では、ウィンカーレバー40aが操作されてから自車両Mの走行距離を計測し、その計測した距離が、第1所定距離或いは第2所定距離以上であるのか否かに応じて、車線変更を待機させるのか、禁止するのか、または開始させるのかを決定する。第2所定距離は、第1所定距離よりも長い距離に設定される。第1所定距離は、第3所定時間Tcと同様に、周辺車両に自車両Mの車線変更の意図を周知させるために設定された距離である。
例えば、実施形態の変形例では、第3所定時間Tcを第1所定距離に置き換え、第4所定時間Tdを第2所定距離に置き換えて、上述した実施形態のフローチャートの処理を適用してよい。これによって、実施形態の変形例では、車線変更支援制御部210が、ウィンカーレバー40aがいずれかの半押しポジションに移動してから自車両Mが第1所定距離(第3所定時間Tcに対応した距離)を走行したか否かに基づいて、車線変更の開始タイミングを決定するため、例えば、ウィンカー70が作動し、車線変更を開始させるための条件が満たされた場合であっても第2所定距離を走行するまでは車線変更の実行を待機させ、第1所定距離を走行した時点で車線変更を実行させることができる。
また、上述した実施形態では、ウィンカーレバー40aの位置が半押しポジションP1またはP1#となってから、そのポジションが第1所定時間Ta以上維持されている場合、ウィンカーレバー40aに対する操作が車線変更を指示するものであると判定したがこれに限られない。
例えば、ウィンカーレバー40aの位置が半押しポジションP1またはP1#となってから、第1所定時間Taよりも長い第6所定時間Te以上経過しても半押しポジションが維持されている場合、車線変更可否判定部211は、ウィンカーレバー40aに対する操作が車線変更を指示するものでないと判定する。そして、車線変更可否判定部211は、ウィンカー70を継続して作動させることを禁止する。この場合、車線変更実行部212は、ウィンカーレバー40aが半押しポジションからニュートラルポジションP0に戻ってもウィンカー70を自動的に作動させない。
図17は、自動車線変更支援制御が行われる場面を、各制御のタイミングを示すタイミングチャートと共に示す図である。図17の例では、上述した例と同様に、車線変更可否判定部211が、ウィンカーレバー40aやウィンカーレバー代用スイッチ20cが操作されるよりも前の時刻tallowにおいて、車線変更が可能であると判定している。
図示の例では、ウィンカーレバー40aの位置が半押しポジションP1となってから経過した時間が第1所定時間Ta以上且つ第6所定時間Te未満であるため、車線変更可否判定部211は、時刻t1におけるウィンカーレバー40aの操作は車線変更を指示するものであると判定し、ウィンカー70を作動させることを許可する。これを受けて、車線変更実行部212は、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1からニュートラルポジションP0に戻る際に、ウィンカーレバー40aの操作に依らずにウィンカー70を自動的に作動させる(ウィンカー自動作動状態がOFF状態からON状態に切り替わる)。
また、計時を開始する前に既に車線変更が可能であると判定されているため、車線変更実行部212は、第3所定時間Tcが経過するまでは自動車線変更支援制御(ALC)の実行を待機し、第3所定時間Tcを超えた時点(t1+Tb+Tc)で自動車線変更支援制御(ALC)を開始する。
図18は、自動車線変更支援制御が行われない場面を、各制御のタイミングを示すタイミングチャートと共に示す図である。図18の例では、上述した例と同様に、車線変更可否判定部211が、ウィンカーレバー40aやウィンカーレバー代用スイッチ20cが操作されるよりも前の時刻tallowにおいて、車線変更が可能であると判定している。
図示の例では、ウィンカーレバー40aの位置が半押しポジションP1となってから経過した時間が第6所定時間Te以上であるため、車線変更可否判定部211は、時刻t1におけるウィンカーレバー40aの操作は車線変更を指示するものでないと判定し、ウィンカー70を作動させることを禁止する。これを受けて、車線変更実行部212はウィンカー70を自動的に作動させないと共に自動車線変更支援制御(ALC)を実行せずにキャンセルし、代わりに車線維持支援制御部208が車線維持支援制御(LKAS)を継続する(ウィンカー自動作動状態がOFF状態に維持される)。
図19および図20は、マスター制御部100および運転支援制御ユニット200による一連の処理の他の例を示すフローチャートである。例えば、本フローチャートの処理は、運転支援モード下において所定周期で繰り返し行われてよい。
まず、車線変更可否判定部211は、レバー位置検出部40bの検出信号に基づいて、ニュートラルポジションP0に位置するウィンカーレバー40aが半押しポジションP1またはP1#に移動させられたか否かを判定する(ステップS200)。
車線変更可否判定部211は、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1またはP1#に移動させられたと判定した場合、時間の計時を開始する(ステップS202)。
次に、車線変更可否判定部211は、いずれかの半押しポジションに位置するウィンカーレバー40aがニュートラルポジションP0に戻されたか否かを判定する(ステップS204)。
ウィンカーレバー40aがニュートラルポジションP0に戻されたと判定した場合、車線変更可否判定部211は、計時している時間が第1所定時間Ta以上であり、且つ第6所定時間Te未満であるか否かを判定する(ステップS206)。
計時している時間が第1所定時間Ta未満である、または第6所定時間Te以上である場合、車線変更可否判定部211は、ステップS200の処理におけるウィンカーレバー40aに対する操作が車線変更を指示する操作でないと判定する。そして、車線変更可否判定部211は、車線変更実行部212に対して、ウィンカー70の作動を継続させずに処理をステップS200に戻す。
一方、計時している時間が第1所定時間Ta以上であり、且つ第6所定時間Te未満である場合、車線変更可否判定部211は、ステップS200の処理におけるウィンカーレバー40aに対する操作が車線変更を指示する操作であると判定し、車線変更実行部212に対してウィンカー70を継続して作動させることを許可する。これを受けて、車線変更実行部212は、ウィンカーレバー40aが半押しポジションP1またはP1#からニュートラルポジションP0に戻るタイミングで、ウィンカーレバー40aの操作に依らずにウィンカー70を自動的に作動させる(ステップS208)。
以下のステップS210〜S236の処理は、上述したステップS108〜S134の処理と同様であるため説明を省略する。このような処理によって、ウィンカーレバー40aに対する操作が、ある一定の時間(第6所定時間Te)以上継続されている場合には、この操作を、自動車線変更支援制御(ALC)を指示する操作ではなく、手動での車線変更時などに行われるウィンカーレバー40aに対する操作であると判断することができる。この結果、ウィンカーレバー40aの操作が、自動車線変更支援制御(ALC)の指示を意図する操作ではなかった場合であっても、第1所定時間Ta経過した後に第4所定時間Tdが経過するまでウィンカー70が点灯してしまう、といったことがなくなり、乗員が意図した自動車線変更支援制御(ALC)に合わせて、より正確にウィンカー70を自動的に点灯させることができる。
また、上述した変形例では、車線変更可否判定部211が、ウィンカーレバー40aの位置が半押しポジションP1またはP1#となってから、第1所定時間Taよりも長い第6所定時間Te以上経過しても半押しポジションが維持されていることを条件に、ウィンカーレバー40aに対する操作が車線変更を指示するものでないと判定したがこれに限られない。例えば、車線変更可否判定部211は、ウィンカーレバー40aの位置が全押しポジションP2またはP2#となってから、第6所定時間Te以上経過しても全押しポジションが維持されていることや、ウィンカーレバー代用スイッチ20cが第6所定時間Te以上経過して操作されていることを条件に、ウィンカーレバー40aに対する操作が車線変更を指示するものでないと判定してもよい。また、ウィンカー70が所謂ワンタッチウィンカーである場合も同様に、車線変更可否判定部211は、ウィンカーレバー40aが第6所定時間Te以上操作され続けていることを条件に、ウィンカーレバー40aに対する操作が車線変更を指示するものでないと判定してもよい。
また、自車の前方に存在する自車両Mよりも速度の低い他車両を追い越すイベント、予め設定された経路の従って自車両Mを走行させている際に分岐路や合流路へ車の進路を変更させるイベント等、自動運転システムが計画した経路を走行する為に車線変更を実施する必要がある場合において、それらのイベントで乗員によるウィンカーレバー40aやウィンカーレバー代用スイッチ20cの操作を行う場合にも適用できる。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。