JP7318540B2 - 車線変更支援装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自車両が走行中の車線である自車線から当該自車線に隣接する車線である隣接目標車線へと車線変更するための走行を支援する機能を備えた車線変更支援装置に関する。
従来から、車線変更を行うための操舵操作(ハンドル操作)を支援する車線変更支援制御を実行する車線変更支援装置(以下、「従来装置」と称呼される。)が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。従来装置は、運転者のウインカーレバーの操作に基づいて検出された車線変更支援要求を受け付けて、車線変更支援制御を実行する。
特開2018-103769号公報
ところで、国際基準では、車線変更支援制御の実行を開始するために必要な運転者の操作として、次の2種類の操作が要求されている。
即ち、車線変更支援装置(システム)の動作状態を、車線変更支援制御の実行を受付可能な待機状態(スタンバイ状態)へ移行させる操作(以下、「スタンバイ操作」と称呼される。)と、車線変更支援装置を待機状態から車線変更支援制御を実行する能動状態へ移行させる操作(以下、「受付操作」と称呼される。)とが、要求されている。更に、スタンバイ操作として「運転者の意図的操作」が要求され、受付操作として「車線変更側に方向指示器を作動させる操作」が要求されている。
これらの要求を満たすために、スタンバイ操作と受付操作とを、異なる入力機による2種類の操作のそれぞれに割り当てる場合、車線変更支援制御の実行を開始するために必要な運転者の操作が煩雑になってしまう。
一方で、受付操作とスタンバイ操作とを、同じウインカーレバーの所定操作にした場合、ウインカーレバーの所定操作が、スタンバイ操作であるのか、受付操作であるのかを区別することできない可能性が高い。従って、車線変更支援制御の実行を開始するために必要な運転者の操作が国際基準を満たさなくなってしまう可能性がある。
本発明は上述した課題に対処するためになされた。即ち、本発明の目的の一つは、車線変更支援制御の実行を開始するために必要な運転者の操作が、国際基準を満たした上で煩雑にならないようにすることができる車線変更支援装置を提供することにある。以下、本発明の車線変更支援装置は「本発明車線変更支援装置」と称呼される場合がある。
本発明車両変更支援装置装置は、車両が走行中の車線である自車線から当該自車線に隣接する車線である目標隣接車線へと当該車両が車線変更するための走行を支援するように当該車両の舵角を制御する車線変更支援制御を開始するために操作される操作部(54)と、画像を表示する表示部(62)と、前記車線変更支援制御を実行可能に構成され、前記表示部に表示する前記画像を制御する制御部(10)と、を備える。
前記制御部は、前記操作部に対する所定の操作が継続している時間である操作継続時間が、第1継続閾値時間(tref1)以上になった場合(ステップ620にて「Yes」との判定)、前記車線変更支援制御の実行開始の要求が発生したときに前記車線変更支援制御の実行を開始することが可能なスタンバイ状態で待機し(ステップ625)、前記表示部に、前記スタンバイ状態であることを示す第1画像(G2)を表示し(ステップ630)、前記操作継続時間が、前記第1継続閾値時間より長い第2継続閾値時間(tref2)以上になったとき(ステップ635にて「Yes」との判定)、前記車線変更支援制御の実行開始の要求が発生していると判定して、前記車線変更支援制御の実行を開始し(ステップ640)、前記第1画像を、前記車線変更支援制御を実行していることを示す第2画像(G3)に切り替えて、前記第2画像を前記表示部に表示する(ステップ645)ように構成される。
これによれば、車線変更支援制御の実行を開始するために必要な運転者の操作が、国際基準を満たした上で煩雑にならないようにすることができる。
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、本発明の各構成要素は、前記名称及び/又は符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る車線変更支援装置の概略構成図である。 図2は、図1に示した周辺レーダセンサの配設位置を示した自車両の平面図である。 図3は、車線維持制御を説明するための自車両及び道路の平面図である。 図4は、図1に示した情報ディスプレイに表示される画像の表示タイミング等を説明するためのタイムチャートである。 図5Aは、図1に示した情報ディスプレイに表示される画像の例を示す図である。 図5Bは、図1に示した情報ディスプレイに表示される画像の例を示す図である。 図5Cは、図1に示した情報ディスプレイに表示される画像の例を示す図である。 図6は、図1に示した運転支援ECUのCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
<構成>
本発明の実施形態に係る車線変更支援装置(以下、「本実施装置」とも称呼される。)は、図1に示したように、車両(以下において、他の車両と区別するために、「自車両」と称呼される。)に適用され、運転支援ECU10、エンジンECU30、ブレーキECU40、ステアリングECU50、メータECU60及び表示ECU70を備えている。尚、以下において、運転支援ECU10は、単に、「DSECU」とも称呼される。
これらのECUは、マイクロコンピュータを主要部として備える電気制御装置(Electric Control Unit)であり、図示しないCAN(Controller Area Network)を介して相互に情報を送信可能及び受信可能に接続されている。本明細書において、マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェースI/F等を含む。CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現するようになっている。これらのECUは、幾つか又は全部が一つのECUに統合されてもよい。
DSECUは、以下に列挙するセンサ(スイッチを含む。)と接続されていて、それらのセンサの検出信号又は出力信号を受信するようになっている。尚、各センサは、DSECU以外のECUに接続されていてもよい。その場合、DSECUは、センサが接続されたECUからCANを介してそのセンサの検出信号又は出力信号を受信する。
アクセルペダル11aの操作量APを検出するアクセルペダル操作量センサ11。
ブレーキペダル12aの操作量BPを検出するブレーキペダル操作量センサ12。
操舵ハンドルSWの操舵角θを検出する操舵角センサ13。
操舵ハンドルSWの操作により自車両のステアリングシャフトUSに加わる操舵トルクTraを検出する操舵トルクセンサ14。
自車両の走行速度(車速)を検出し、自車両の前後方向の速度(即ち、縦速度)である車速Vsxを検出する車速センサ15。
周辺レーダセンサ16a及びカメラセンサ16bを含む周辺センサ16。
操作スイッチ17。
自車両SVのヨーレートYRtを検出するヨーレートセンサ18。
自車両SVの前後方向の加速度Gxを検出する前後加速度センサ19。
自車両SVの横(車幅)方向(自車両SVの中心軸線に直交する方向)の加速度Gyを検出する横加速度センサ20。
周辺レーダセンサ16aは、図2に示したように、中央前方周辺センサ16FC、右前方周辺センサ16FR、左前方周辺センサ16FL、右後方周辺センサ16RR、及び、左後方周辺センサ16RLを備えている。周辺レーダセンサ16aは、単に、「レーダセンサ」と称呼される場合がある。
周辺センサ16FC,16FR,16FL,16RR及び16RLを個々に区別する必要が無い場合には、それらは周辺レーダセンサ16aと称呼される。周辺センサ16FC,16FR,16FL,16RR及び16RLは、実質的に互いに同一の構成を有する。
周辺レーダセンサ16aは、ミリ波帯の電波(以下、「ミリ波」と称呼する。)を利用する周知のセンサである。周辺レーダセンサ16aは、自車両SVと立体物(物標)との距離、自車両SVと立体物との相対速度、自車両SVに対する立体物の相対位置(方向)等を特定する物標情報を取得し、物標情報をDSECUに出力する。なお、周辺レーダセンサ16aに代えて、或いは、周辺レーダセンサ16aと共にライダー(LiDAR)を用いて、物標情報を検出してもよい。
中央前方周辺センサ16FCは、車体のフロント中央部に設けられ、自車両SVの前方領域に存在する立体物の物標情報を検出する。右前方周辺センサ16FRは、車体の右前コーナー部に設けられ、主に自車両SVの右前方領域に存在する立体物の物標情報を検出する。左前方周辺センサ16FLは、車体の左前コーナー部に設けられ、主に自車両SVの左前方領域に存在する立体物の物標情報を検出する。右後方周辺センサ16RRは、車体の右後コーナー部に設けられ、主に自車両SVの右後方領域に存在する立体物の物標情報を検出する。左後方周辺センサ16RLは、車体の左後コーナー部に設けられ、主に自車両SVの左後方領域に存在する立体物の物標情報を検出する。例えば、周辺レーダセンサ16aは、自車両SVからの距離が100メートル程度の範囲に入る立体物の物標情報を検出する。
カメラセンサ16bは、ステレオカメラであるカメラ部、及び、カメラ部によって撮影して得られた画像データを解析して道路の白線を認識するレーン認識部を備えている。カメラセンサ16b(カメラ部)は、自車両SVの前方の風景を撮影する。カメラセンサ16b(レーン認識部)は、所定の角度範囲(自車両SV前方に広がる範囲)を有する画像処理領域の画像データを解析して、自車両SVの前方の道路に形成された白線(区画線)を認識(検出)する。カメラセンサ16bは、認識した白線に関する情報をDSECUに送信する。
DSECUは、カメラセンサ16bから供給された情報に基づいて、図3に示したように、自車両SVの走行している車線(以下、「自車線」とも称呼する。)における左右の白線WLの幅方向の中心位置となる車線中心ラインCLを特定する。この車線中心ラインCLは、後述する車線維持支援制御における目標走行ラインとして利用される。更に、DSECUは、車線中心ラインCLのカーブの曲率Cuを演算する。尚、曲率Cuは、車線中心ラインCLが右にカーブしているとき正の値となり、車線中心ラインCLが左にカーブしているとき負の値となるように定義されている。
加えて、DSECUは、左白線WL及び右白線WLで区画される車線における自車両SVの位置及び向きを演算する。例えば、DSECUは、図3に示したように、自車両SVの基準点P(例えば、重心位置)と車線中心ラインCLとの道路幅方向の符号付き距離Dyを演算する。符号付き距離Dyの大きさは、自車両SVが車線中心ラインCLに対して道路幅方向に偏移している距離を示す。符号付き距離Dyは、自車両SVの基準点Pが車線中心ラインCLに対して道路幅方向の右側に偏移しているとき正の値となり、自車両SVの基準点Pが車線中心ラインCLに対して道路幅方向の左側に偏移しているとき負の値となるように定義されている。この符号付き距離Dyは以下において「横偏差Dy」とも称呼される。
DSECUは、車線中心ラインCLの方向と自車両SVの向いている方向(自車両SVの前後軸の方向)とのなす角度θyを演算する。この角度θyは以下において「ヨー角θy」とも称呼される。ヨー角θyは、自車両SVの向いている方向が車線中心ラインCLの方向に対して右回り側であるとき正の値となり、自車両SVの向いている方向が車線中心ラインCLの方向に対して左回り側であるとき負の値となるように定義されている。以下、曲率Cu、横偏差Dy、及び、ヨー角θyを表す情報(Cu、Dy、θy)は「車線関連車両情報」と称呼される場合がある。
カメラセンサ16bは、自車線の左白線WL及び右白線WLの種類(例えば、実線であるか破線であるか等)及び白線WLの形状等についての情報をDSECUに供給する。更に、カメラセンサ16bは、自車線に隣接する車線の左白線WL及び右白線WLの種類及び白線WLの形状等についてもDSECUに供給する。即ち、カメラセンサ16bは、「白線に関する情報」についてもDSECUに供給する。白線WLが実線である場合、車両がその白線WLを跨いで車線変更することは禁止されている。一方、白線WLが破線(一定の間隔で断続的に形成されている白線)の場合、車両がその白線WLを跨いで車線変更することは許可されている。車線関連車両情報(Cu、Dy、θy)、及び、白線WLに関する情報は、「車線情報」と称呼される場合がある。
操作スイッチ17は、何れも後述する「車線変更支援制御、車線維持制御、及び、追従車間距離制御」のそれぞれを実行するか否かについての選択を行うために運転者により操作される操作器である。従って、操作スイッチ17は、運転者の操作に応じて、上記の各制御の実行が選択されたか否かを示す信号を出力する。加えて、操作スイッチ17は、上記の各制御を実行する際の運転者の好みを反映するためのパラメータを運転者に入力又は選択させる機能も備えている。
エンジンECU30は、エンジンアクチュエータ31と接続されている。エンジンアクチュエータ31は、内燃機関32の吸入空気量を調整するためのスロットル弁の開度を変更するスロットル弁アクチュエータを含む。エンジンECU30は、エンジンアクチュエータ31を駆動することによって、内燃機関32が発生するトルクを変更することにより、自車両SVの駆動力を制御し加速状態(加速度)を変更することができる。
ブレーキECU40は、ブレーキアクチュエータ41に接続されている。ブレーキアクチュエータ41は、ブレーキECU40からの指示に応じて摩擦ブレーキ機構42のブレーキキャリパ42bに内蔵されたホイールシリンダに供給する油圧を調整し、その油圧によりブレーキパッドをブレーキディスク42aに押し付けて摩擦制動力を発生させる。従って、ブレーキECU40は、ブレーキアクチュエータ41を制御することによって、自車両SVの制動力を制御し加速状態(減速度)を変更することができる。
ステアリングECU50は、周知の電動パワーステアリングシステムの制御装置であって、モータ運転者51に接続されている。モータ運転者51は、転舵用モータ52に接続されている。転舵用モータ52は、自車両SVの「操舵ハンドル、操舵ハンドルに連結されたステアリングシャフト及び操舵用ギア機構等を含むステアリング機構」に組み込まれている。転舵用モータ52は、モータ運転者51から供給される電力によってトルクを発生し、このトルクによって操舵アシストトルクを加えたり、左右の操舵輪を転舵したりすることができる。即ち、転舵用モータ52は、自車両SVの舵角(転舵輪の転舵角度)を変更することができる。
ステアリングECU50は、ウインカーレバースイッチ53と接続されている。ウインカーレバースイッチ53は、後述するターンシグナルランプ61を作動(点滅)させるために運転者によって操作されるウインカーレバー54の操作位置を検出する検出スイッチである。
ウインカーレバー54はステアリングコラムに設けられている。ウインカーレバー54は、初期位置から右回り操作方向に所定角度回転された第1段階位置と、第1段階位置よりも更に所定回転角度だけ右回り操作方向に回転された第2段階位置と、の2つの位置に操作できるようになっている。ウインカーレバー54は、右回り操作方向の第1段階位置に運転者によって維持されている限りその位置を維持するが、運転者がウインカーレバー54から手を離すと初期位置に自動的に戻るようになっている。ウインカーレバースイッチ53は、ウインカーレバー54が右回り操作方向の第1段階位置にあるとき、ウインカーレバー54が右回り操作方向の第1段階位置に維持されていることを示す信号をステアリングECU50に出力する。
同様に、ウインカーレバー54は、初期位置から左回り操作方向に所定角度回転された第1段階位置と、第1段階位置よりも更に所定回転角度だけ左回り操作方向に回転された第2段階位置と、の2つの位置に操作できるようになっている。ウインカーレバー54は、左回り操作方向の第1段階位置に運転者によって維持されている限りその位置を維持するが、運転者がウインカーレバー54から手を離すと初期位置に自動的に戻るようになっている。ウインカーレバースイッチ53は、ウインカーレバー54が左回り操作方向の第1段階位置にあるとき、ウインカーレバー54が左回り操作方向の第1段階位置に維持されていることを示す信号をステアリングECU50に出力する。尚、このようなウインカーレバー54については、例えば、特開2005-138647号公報に開示されている。
メータECU60は、左右のターンシグナルランプ61(ウインカーランプ)及び情報ディスプレイ62と接続されている。
メータECU60は、図示しないウインカー駆動回路を介して、ウインカーレバースイッチ53からの信号及びDSECUからの指示等に応じて左又は右のターンシグナルランプ61を点滅させるようになっている。例えば、メータECU60は、ウインカーレバー54が左回り操作方向の第1段階位置に維持されていることを示す信号をウインカーレバースイッチ53が出力しているとき、左のターンシグナルランプ61を点滅させる。更に、メータECU60は、ウインカーレバー54が右回り操作方向の第1段階位置に維持されていることを示す信号をウインカーレバースイッチ53が出力しているとき、右のターンシグナルランプ61を点滅させる。
情報ディスプレイ62は、運転席の正面に設けられたマルチインフォメーションディスプレイである。情報ディスプレイ62は、車速及びエンジン回転速度等の計測値に加えて、各種の情報を表示する。例えば、メータECU60は、DSECUからの運転支援状態に応じた表示指令を受信すると、その表示指令により指定された画面(画像)を情報ディスプレイ62に表示させる。即ち、DSECUは、メータECU60を介して、所定の画面(画像)を情報ディスプレイ62に表示する。
表示ECU70は、ブザー71及び表示器72に接続されている。表示ECU70は、DSECUからの指示に応じ、ブザー71を鳴動させて運転者への注意喚起を行うことができる。更に、表示ECU70は、DSECUからの指示に応じ、表示器72に注意喚起用のマーク(例えば、ウォーニングランプ)を点灯させたり、警報画像を表示したり、警告メッセージを表示したり、運転支援制御の作動状況を表示したりすることができる。尚、表示器72はヘッドアップディスプレイであるが、他のタイプのディプレイであってもよい。
<基本的な運転支援制御の概要>
前述したように、DSECUは、追従車間距離制御、車線維持制御及び車線変更支援制御を実行するようになっている。車線維持制御は、追従車間距離制御が実行されている場合に限り実行される。車線変更支援制御は、車線維持制御が実行されている場合に限り実行される。
追従車間距離制御は、自車両SVの直前を走行している先行車(即ち、追従対象車両)と自車両SVとの車間距離を所定の距離に維持しながら、自車両SVを先行車に追従させる制御である。追従車間距離制御は周知である(例えば、特開2014-148293号公報、特開2006-315491号公報、特許第4172434号明細書、及び、特許第4929777号明細書等を参照。)。追従車間距離制御は、「ACC制御」とも称呼される。
車線維持制御は、車線情報及び車線関連車両情報を用いて、自車両SVの位置が「自車両SVが走行しているレーン(自車線)」内の目標走行ライン(例えば、自車線の中央ライン)付近に維持されるように、操舵トルクをステアリング機構に付与して自車両SVの舵角を変更し、以て、運転者の操舵操作を支援する制御である。車線維持制御は周知である(例えば、特開2008-195402号公報、特開2009-190464号公報、特開2010-6279号公報、及び、特許第4349210号明細書、等を参照。)。車線維持制御は、「LTA制御」とも称呼される。
車線変更支援制御は、自車両SVが、自車線(元車線)から「運転者が希望する、元車線に隣接する車線(目標隣接車線(目標車線))」に移動するように、操舵トルクをステアリング機構に付与することにより自車両SVの舵角を変更し、以て、運転者の操舵操作(車線変更のためのハンドル操作)を支援する制御である。車線変更支援制御は周知である(例えば、特開2016-207060号公報、及び、特開2017-74823号公報、等を参照。)。車線変更支援制御は、例えば、自車両SVを所定の時間にて元車線から目標隣接車線へと道路の幅方向に移動させるように、元車線の車線中央ラインを基準とした「自車両SVの目標横位置」を車線変更支援制御開始からの時間tの関数として設定し、自車両SVの横位置をその目標横位置に一致させるように自車両SVの舵角を変更する制御である。
<車線変更支援制御を開始するための操作>
DSECUは、ウインカーレバースイッチ53からの信号に基づいて、ウインカーレバー54が右回り操作方向の第1段階位置に保持される操作(保持操作)の継続時間を計測するようになっている。更に、DSECUは、その継続した継続時間がスタンバイ要求確定時間tref1以上であると判定したとき、DSECUを車線変更支援要求が発生したときに車線変更支援制御の実行を開始することが可能なスタンバイ状態で待機させたい要求(以下、「スタンバイ要求」とも称呼される。)を発していると判定するようになっている。なお、スタンバイ要求確定時間tref1は、便宜上、「第1継続閾値時間」とも称呼される。
更に、DSECUは、その計測した継続時間が予め設定した支援要求確定時間tref2以上であると判定したとき、運転者が右側車線への車線変更を行うために車線変更支援を受けたいという要求(即ち、車線変更支援要求)を発していると判定するようになっている。なお、支援要求確定時間tref2は、スタンバイ要求確定時間tref1より長い時間に設定され、便宜上、「第2継続閾値時間」とも称呼される。
更に、DSECUは、ウインカーレバースイッチ53からの信号に基づいて、ウインカーレバー54が左回り操作方向の第1段階位置に保持される操作(保持操作)の継続時間を計測するようになっている。更に、DSECUは、その継続した継続時間がスタンバイ要求確定時間tref1以上であると判定したとき、上述したスタンバイ要求を発していると判定するようになっている。更に、DSECUは、その計測した継続時間が予め設定した支援要求確定時間tref2以上であると判定したとき、運転者が、自車両SVの左側の車線への車線変更を行うために車線変更支援要求を発していると判定するようになっている。
<表示制御の概要>
図4は、自車両SVが右側の車線に車線変更を行う車線変更支援制御を実行するときの運転者のウインカーレバー54の操作のタイミング及び情報ディスプレイ62に表示される画像の表示タイミング等の例を説明するためのタイムチャートである。なお、自車両SVが左側の車線に車線変更を行う場合のウインカーレバー54の操作のタイミング及び情報ディスプレイ62に表示される画像の表示タイミング等の例は、図4の例とウインカーレバー54の操作及び車線変更の方向が異なること以外同様である。
時刻t1にてウインカーレバー54を右回り操作方向の第1段階位置に保持する保持操作に伴って、右のターンシグナルランプ61が点滅される。このとき、DSECUの動作状態は、デフォルト状態(スタンバイ状態及び制御ON状態ではない状態)であるので、図5Aに示したデフォルト画像G1を情報ディスプレイ62に表示する。
デフォルト画像G1は、LTA制御及びACC制御の実行状況に応じた当該実行状況を示す画像を含む。デフォルト画像G1は、中央部下端近傍に位置する車両前端部分画像VTと、車両前端部分画像VTの左右の両側に位置する2本の白線画像GWLと、白線画像GWLのそれぞれの外側に位置する青色の壁画像GWとを含む。更に、デフォルト画像G1は、車両前端部分画像VTの上方の領域に位置する追従対象車両と自車両SVとの車間距離を表すバロメータVMと、その上方に位置する車両後方部分画像VT’とを含む。
時刻t2にて保持操作の継続時間がスタンバイ要求確定時間tref1以上になって、DSECUが、スタンバイ要求が発生していると判定すると、DSECUは、車線変更支援要求が発生したと判定したときに車線変更支援制御の実行を開始することが可能なスタンバイ状態で待機する。
そして、DSECUは、図5Aに示したデフォルト画像G1を図5Bに示したスタンバイ画像G2に切り替えて、スタンバイ画像G2を情報ディスプレイ62に表示する。図5Bに示すスタンバイ画像G2は、右側の壁画像GWが省略され、車線変更支援時の自車両SVの走行軌跡(本例において、右側の車線へ車線変更するときの走行軌跡)に対応する矢印画像AM1が追加され、且つ、スタンバイ状態であることを示す旨のメッセージMG1が追加されている点においてのみ、図5Aに示したデフォルト画像G1と異なる。これにより、運転者の最初の保持操作によってDSECUがスタンバイ状態に移行した旨を、運転者に視覚により認識させることができる。なお、スタンバイ画像G2は、便宜上、「第1画像」とも称呼される。
時刻t3にて保持操作の継続時間が支援要求確定時間tref2以上になって、DSECUが、右側車線への車線変更支援要求が発生していると判定すると、DSECUは、右側車線への車線変更支援制御を実行する。
この場合、DSECUは、図5Bに示したスタンバイ画像G2を図5Cに示した制御ON画像G3に切り替えて、制御ON画像G3を情報ディスプレイ62に表示する。図5Cに示した制御ON画像G3は、車線変更支援制御が実行されている状態である(即ち、「制御ON状態(能動状態)」である)ことを示す画像であり、例えば、矢印画像AM1の表示態様がスタンバイ画像G2の表示態様と異なり、メッセージMG1に代えてメッセージMG2を含む点においてのみ、図5Bに示したスタンバイ画像G2と異なる。例えば、スタンバイ画像G2の矢印画像AM1は、矢印が所定の色で塗りつぶされていない表示態様で表示され、制御ON画像G3の矢印画像AM1は、矢印が所定の色(例えば、青色で)塗りつぶされている表示態様で表示される。なお、表示態様はこれに限定されない。矢印画像AM1の一方の表示態様は静止画、他方の表示態様は、動画であってもよい。制御ON画像G3は、便宜上、「第2画像」とも称呼される。
このように、スタンバイ画像G2が制御ON画像G3に切り替えられて、制御ON画像G3が情報ディスプレイ62に表示されることによって、最初の保持操作の次に継続して行われる保持操作によって、DSECUの動作状態がスタンバイ状態から制御ON状態に移行した旨を運転者に視覚により認識させることができる。
以上説明したように、DSECUの動作状態に応じて、情報ディスプレイ62に表示される画像を変えることにより、最初の保持操作が、デフォルト状態からスタンバイ状態へ移行するための操作であり、次の保持操作が、スタンバイ状態から制御ON状態へ移行するための操作であることの区別が、明確になる。
従って、本実施装置は、車線変更支援制御の実行を開始するために必要な運転者の操作が、国際基準を満たすようにすることができる。更に、最初の保持操作と次の保持操作とが同じ操作であるので、本実施装置は、車線変更支援制御の実行を開始するために必要な運転者の操作が、煩雑にならないようにすることができる。
時刻t3で車線変更支援制御が開始されると、自車両SVは、ウインカーレバー54の操作方向の目標車線に向かって移動し、元車線と目標車線との境界となる白線WBL(破線)を跨いで目標車線に進入する。
更に、DSECUは、所定のターンシグナルランプ条件が成立すると、右のターンシグナルランプ61が消灯される(時刻t4参照。)。所定のターンシグナルランプ消灯条件は、例えば、自車両SVが白線(破線)WBLを跨いだ後であるとの条件、及び、自車両SVの現在位置と最終目標横位置との間の横方向距離が消灯許可距離以下であるとの条件の両方が成立した場合、成立する。
更に、DSECUは、所定のLCA完了条件が成立すると車線変更支援制御を完了(終了)する(時刻t5参照。)。所定のLCA完了条件は、例えば、車線変更支援制御の開始からの経過時間が目標車線変更時間に達し、かつ、ターンシグナルランプ消灯条件が成立していることである。
更に、時刻t5にて車線変更支援制御が完了すると、DSECUは、図5Cに示した制御ON画像G3を図5Aに示したデフォルト画像G1に切り替えて、デフォルト画像G1を情報ディスプレイ62に表示する。
<具体的作動>
DSECUのCPU(以下、単に「CPU」と称呼される。)は、所定のタイミングになると所定時間が経過する毎に、図6に示したルーチンを実行する。
従って、CPUは、所定のタイミングになると図6のルーチンのステップ600から処理を開始してステップ605に進み、DSECUの動作状態がデフォルト状態であるか否かを判定する。
DSECUの動作状態がデフォルト状態である場合、CPUはステップ605にて「Yes」と判定してステップ610に進み、デフォルト画像G1を情報ディスプレイ62に表示する。
その後、CPUはステップ615に進み、車線変更支援制御の前提条件が成立したか否かを判定する。車線変更支援制御の前提条件は、次の3つの条件が総て成立しているときに成立する条件である。
・追従車間距離制御及び車線維持制御が実行中であること。
・操作スイッチ17によって車線変更支援制御の実行が選択されていること。
・自車両SVが車線変更支援制御の実行が許容される道路(例えば、高速自動車道路)を走行していること(例えば、車線変更支援装置が備える図示しないナビゲーション装置から取得した道路種別情報が高速自動車道路を表していること。)。
車線変更支援制御の前提条件が成立していない場合、CPUはステップ615にて「No」と判定してステップ695に進み、本ルーチンを一旦終了する。
これに対して、車線変更支援制御の前提条件が成立している場合、CPUはステップ615にて「Yes」と判定してステップ620に進む。CPUは、ステップ620に進むと、保持操作の継続時間がスタンバイ要求確定時間tref1以上になることにより、スタンバイ要求が発生したか否かを判定する。
スタンバイ要求が発生していない場合、CPUはステップ620にて「No」と判定してステップ695に進み、本ルーチンを一旦終了する。
スタンバイ要求が発生した場合、CPUはステップ620にて「Yes」と判定して以下に述べるステップ625及びステップ630の処理を順に実行した後、ステップ635に進む。
ステップ625:CPU(DSECU)は車線変更支援要求が発生したときに車線変更支援制御の実行を開始することが可能なスタンバイ状態で待機する。
ステップ630:CPUはスタンバイ画像G2を情報ディスプレイ62に表示する。
CPUはステップ635に進むと、DSECUが、保持操作の継続時間が支援要求確定時間tref2以上になることによって、車線変更支援要求が発生したか否かを判定する。
車線変更支援要求が発生していない場合、CPUはステップ635にて「No」と判定してステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対して車線変更支援要求が発生している場合、CPUは以下に述べるステップ640及びステップ645の処理を順に実行した後、ステップ695に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ640:車線変更支援要求によって指定された方向の車線(目標車線)への車線変更支援制御の実行を開始する。なお、車線変更支援制御の実行は、所定の車線変更制御支援許可条件(例えば、自車両SVと目標車線に位置している物標との衝突余裕時間(自車両SVと物標との間の車間距離を物標の縦相対速度で除した値)が閾値時間以上であること。)が成立した場合に実行を開始するようにしてもよい。車線変更支援制御は、上述の所定のLCA完了条件が成立した場合、完了される。車線変更支援制御が完了した場合、DSECUの動作状態がデフォルト状態に移行する。
ステップ645:CPUは、制御ON画像G3を情報ディスプレイ62に表示する。
<効果>
以上説明した本実施装置によれば、車線変更支援制御の実行を開始するために必要な運転者の操作が、国際基準を満たした上で煩雑にならないようにすることができる
<変形例>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の各実施形態においては、追従車間距離制御及び車線維持制御の実行中であることが、車線変更支援制御を実行するための前提となっているが、必ずしも、そのような前提は必要としない。
10…運転支援ECU、15…車速センサ、16a…周辺レーダセンサ、16FC…中央前方周辺センサ、16FR…右前方周辺センサ、16FL…左前方周辺センサ、16RR…右後方周辺センサ、16RL…左後方周辺センサ、16b…カメラセンサ、17…操作スイッチ、52…転舵用モータ、53…ウインカーレバースイッチ、54…ウインカーレバー、62…情報ディスプレイ

Claims (1)

  1. 車両が走行中の車線である自車線から当該自車線に隣接する車線である目標隣接車線へと当該車両が車線変更するための走行を支援するように当該車両の舵角を制御する車線変更支援制御を開始するために操作される操作部と、
    画像を表示する表示部と、
    前記車線変更支援制御を実行可能に構成され、前記表示部に表示する前記画像を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記操作部に対する所定の操作がなされた時点である操作開始時点から当該所定の操作が継続している時間である操作継続時間が、第1継続閾値時間以上になった場合、前記車線変更支援制御の実行開始の要求が発生したときに前記車線変更支援制御の実行を開始することが可能なスタンバイ状態での待機を開始し、前記表示部に、前記スタンバイ状態であることを示す第1画像を表示し、
    前記操作開始時点から前記所定の操作が継続している時間である前記操作継続時間が、前記第1継続閾値時間より長い第2継続閾値時間以上になったとき、前記車線変更支援制御の実行開始の要求が発生していると判定して、前記車線変更支援制御の実行を開始し、前記第1画像を、前記車線変更支援制御を実行していることを示す第2画像に切り替えて、前記第2画像を前記表示部に表示するように構成された、
    車線変更支援装置。
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