以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物に形成された開口部に納められた建具1における障子20の面方向を意味し、「見込方向」とは、障子20の厚み方向を意味する。
図1及び図2に示す建具1は、建物の躯体2により形成される開口部に用いられる開口部装置である。この建具1により室内側と室外側が区画される。
まず、建具1の全体構成について説明する。本実施形態の建具1は、躯体2に固定される枠体10と、枠体10の内側に配置される障子20と、障子20を開閉可能に支持する丁番70と、枠体10の室内側に配置される樹脂カバー40と、を主要な構成として備える。
枠体10は、上枠11と、下枠12と、吊元側縦枠13と、戸先側縦枠14と、が矩形に枠組みされて構成される。本実施形態の枠体10は、アルミニウム合金の押出し形材によって成形される。
図3及び図4に示すように、障子20は、ガラス21と、ガラス21を保持する框30と、を備える。框30は、上框31と、下框32と、吊元側縦框33と、戸先側縦框34と、が矩形に枠組みされて構成される。ガラス21の上端部は上框31のガラス保持溝310に収容され、下端部は下框32のガラス保持溝320に収容される。また、ガラス21の吊元側の端部は吊元側縦框33のガラス保持溝330に収容され、ガラス21の戸先側の端部は戸先側縦框34のガラス保持溝340に収容される。
障子20の戸先側縦框34にはレバーハンドル26と、レバーハンドル26に連動するラッチ機構27と、が配置される。障子20の開閉はレバーハンドル26の操作によって行われる。また、戸先側縦枠14には、ラッチ機構27の受け部28が設けられる。
丁番70は、吊元側縦枠13に固定され、障子20を開閉可能に支持する。丁番70は、上下方向に複数配置される。
樹脂カバー40は、枠体10の室内側を覆う樹脂製のカバー部材である。樹脂カバー40は、枠体10の構成に対応しており、上樹脂カバー41と、下樹脂カバー42と、左右両側にそれぞれ配置される縦樹脂カバー44と、を備える。
上樹脂カバー41は、額縁5の上部を保持するアングル部410を備え、下樹脂カバー42は、額縁5の下部を支持するアングル部420を備える。また、縦樹脂カバー44は、額縁5の側部を支持するアングル部440をそれぞれ備える。このように、本実施形態では、樹脂カバー40を介して額縁5が保持される。
図5を参照して戸先側縦枠14及び縦樹脂カバー44の構成について説明する。
戸先側縦枠14は、躯体側に固定される縦枠本体部140と、縦枠本体部140から見込方向室内側に延びる縦枠延出片141と、縦枠延出片141の先端でアングル部440を支持する金属製支持部145と、を備える。
縦樹脂カバー44は、縦枠本体部140に固定される第1縦樹脂部材441と、第1縦樹脂部材441に嵌合固定される第2縦樹脂部材442と、第1縦樹脂部材441の室内側端部に配置される上述のアングル部440と、を備える。
第1縦樹脂部材441は、その室内側の面に配置される弾性部材445を保持するクッション材保持部441aを備える。弾性部材445は、障子20の閉鎖時に戸先側縦框34の室内側の見付面に接触する。本実施形態の戸先側縦框34は、その室内側の面に樹脂部材345が配置されており、この樹脂部材345が弾性部材445に接触する。
第2縦樹脂部材442は、アングル部440の裏側(見込方向室外側)に位置し、第1縦樹脂部材441の見込面側に形成される凹部441bに嵌合固定される。
アングル部440は、縦樹脂カバー44の室内側端部に位置しており、内装材としての額縁5の室外側端部51を支持する。アングル部440は、平面視でその断面形状が見込方向室内側に開口する略C字状に形成される。
本実施形態のアングル部440は、見付方向の障子20側で見込方向室内側に延びる表側片440aと、見付方向の躯体側で見込方向室内側に延びる裏側片440bと、支持片嵌合部440dと、を備える。
アングル部440は、縦樹脂カバー44の長手方向(上下方向)全長に延びる一体的な部材で構成される。表側片440aと裏側片440bと支持片嵌合部440dは、分割される部品で構成されているわけではなく一体的な部材である。また、アングル部440自体も第1縦樹脂部材441と一体的に成形されている。
額縁5の室外側端部51が挿入された状態で、表側片440aは、額縁5の室外側端部51の表面(躯体側と反対側の面)に対向し、裏側片440bは、額縁5の室外側端部51の裏面(躯体側の面)に対向する。表側片440aと裏側片440bの間に額縁5の室外側端部51が挿入される挿入口446が形成される。なお、以下の説明において、裏側は額縁5において躯体側に位置して外側から見えない側とし、表側は裏側の反対側であって外側から見える側又は相対的に外側にある側とする。
裏側片440bが表側片420aよりも長く形成されている。また、裏側片440bの端部には表側片420aに向かって折り返すように屈曲する屈曲部440cが形成される。本実施形態の屈曲部440cは、その先端が見付方向吊元側を向いており、略直角に折れ曲がっている。屈曲部440cの室内側にはスペース447が形成され、該スペース447を利用して額縁5の挿入作業をスムーズに行うことができるようになっている。本実施形態では、屈曲部440cの端面が額縁5に当接している。
支持片嵌合部440dは、金属製支持部145によって支持される部位である。本実施形態の金属製支持部145は、アングル部440の支持片嵌合部440dに嵌合する嵌合部145aと、アングル部440の裏側片440bを支持する裏側支持片145bと、躯体側に接触する接触片145c,145dと、を備える。
アングル部440の支持片嵌合部440dが金属製支持部145の嵌合部145aに嵌合することにより、アングル部440の基端側が金属製である金属製支持部145によって強固に支持される状態となる。本実施形態では、支持片嵌合部440dと嵌合部145aの間には軟質性の樹脂で構成される弾性部材146が配置される。弾性部材146は、左右方向(見付方向)で支持片嵌合部440dと嵌合部145aに挟み込まれており、該弾性部材146が弾性変形した状態で支持片嵌合部440dと嵌合部145aが嵌合される。なお、弾性部材146を省略することもできる。
裏側支持片145bは、躯体側からアングル部440の裏側片440bの基端部まで延びた後、見込方向室内側に屈曲し、裏側片440bの裏側面に沿って延びている。この裏側支持片145bによって裏側片440bが裏側から支持される。
接触片145c,145dは、何れも躯体側に接触する部位である。接触片145cは、嵌合部145a側から見付方向躯体側に延びており、その端面が躯体2に接触している。接触片145dは、接触片145cの基端部から見込方向室内側に延びた後、躯体側に傾斜するように延びており、その端面が躯体2に接触している。接触片145c,145dにより、躯体2に対する金属製支持部145の位置が適切なものとなっている。
本実施形態では、戸先側縦枠14(枠体10)の長手方向に帯状に延びる加熱発泡材80が第1縦樹脂部材441と縦枠本体部140の間に配置される。加熱発泡材80は、火災時等の高温環境で発泡し、障子20と戸先側縦枠14の隙間を塞ぐためのものである。戸先側縦枠14と縦樹脂カバー44によって構成される加熱発泡材保持部94によって加熱発泡材80が保持されている。
本実施形態の加熱発泡材保持部94は、戸先側縦枠14に設けられる金属製保持部147と、縦樹脂カバー44に設けられる樹脂製保持部448と、から構成される。加熱発泡材保持部94を構成する各部について説明する。
金属製保持部147について説明する。金属製保持部147は、加熱発泡材80の一側の端部を嵌合する金属枠側嵌合部147aと、加熱発泡材80の室内側の面を支持する支持壁部147bと、を備える。
金属枠側嵌合部147aは、縦枠本体部140と縦枠延出片141の接続部分近傍に位置しており、見付方向吊元側に開口する凹状に形成される。金属枠側嵌合部147aの凹状の部分に加熱発泡材80の短手方向の躯体2側の端部が挿入される。本実施形態では、後述の折り返し部448bと金属枠側嵌合部147aの間に加熱発泡材80を挿入した状態で金属枠側嵌合部147aにかしめ加工が行われることにより、加熱発泡材80が脱落しないように抜け止めされている。
支持壁部147bは、縦枠本体部140と縦枠延出片141の接続部分近傍から見付方向(左右方向)の吊元側に延びている。支持壁部147bは、戸先側縦枠14の長手方向に沿って壁状に形成される。この支持壁部147bの室外側の面に加熱発泡材80の室内側の面が対向するように加熱発泡材80が固定されている。
支持壁部147bの室内側の面は、第1縦樹脂部材441の室外側の面に対向した状態で該第1縦樹脂部材441に近接配置されており、金属製保持部147の見込方向室内側が縦樹脂カバー44によって覆われている。これによって、金属製保持部147によって加熱発泡材80の一部をしっかり保持しつつ、当該金属製保持部147の室内側に配置される縦樹脂カバー44によって室外側と室内側を高い断熱性で区画できる。
樹脂製保持部448について説明する。樹脂製保持部448は、加熱発泡材80の他側の端部を保持する保持本体部448aと、加熱発泡材80の脱落を防止する折り返し部448bと、を備える。
保持本体部448aは、第1縦樹脂部材441の室外側の面から見込方向室外側に延びた後、支持壁部147bの吊元側の端部を回り込んで加熱発泡材80の見付方向吊元側の端面に対向し、この端面部分で加熱発泡材80を保持する。
折り返し部448bは、保持本体部448aから見付方向戸先側に突出しており、支持壁部147bとともに加熱発泡材80を見込方向で挟み込んでいる。加熱発泡材80の折り返し部448bに挟み込まれる側の端部は室内側に近いという意味で室内側の端部ということができ、金属枠側嵌合部147aに挿入される側の端部は、相対的に室内側から離れるという意味で室外側の端部ということもできる。
加熱発泡材80は、その見込方向室外側の面が開放されており、火災等で高温環境になると、見込方向室外側に発泡し、障子20と戸先側縦枠14の間で生じる隙間が塞がれる。樹脂製保持部448が火災等に起因する熱によって溶融していたとしても金属製保持部147によって加熱発泡材80の位置が適切に保持され続ける。また、本実施形態の加熱発泡材保持部94は、戸先側縦枠14の長手方向に延びており、線接触による高い保持性で加熱発泡材80が固定される。
以上、図5を参照して戸先側縦枠14及び戸先側の縦樹脂カバー44について説明したが、吊元側縦枠13及び吊元側の縦樹脂カバー44も、加熱発泡材保持部94を含めて左右対称となっている以外は同様の構成である。次に、図6を参照して下枠12及び下樹脂カバー42の構成について説明する。
下枠12は、躯体側に固定される下枠本体部120と、下枠本体部120から見込方向室内側に配置される室内側下枠部材121と、室内側下枠部材121の先端でアングル部420を支持する金属製支持部125と、を備える。
下樹脂カバー42は、下枠本体部120及び室内側下枠部材121に固定される第1下樹脂部材421と、第1下樹脂部材421に嵌合固定される第2下樹脂部材422と、第1下樹脂部材421の室内側端部に配置される上述のアングル部420と、を備える。
第1下樹脂部材421は、障子20の閉鎖時に下框32の室内側の見付面に対向する位置関係にある。本実施形態の下框32は、その室内側の面に樹脂部材325が配置されており、この樹脂部材325と第1下樹脂部材421が見込方向で対向した状態となる。
第2下樹脂部材422は、アングル部420の裏側(見込方向室外側)に位置し、第1下樹脂部材421の見込面側に形成される凹部421aに嵌合固定される。
アングル部420は、下樹脂カバー42の室内側端部に位置しており、内装材としての額縁5の室外側端部51を支持する。アングル部420は、左右方向視でその断面形状が見込方向室内側に開口する略C字状に形成される。
本実施形態のアングル部420は、上側で見込方向室内側に延びる表側片420aと、下側で見込方向室内側に延びる裏側片420bと、支持片嵌合部420dと、を備える。
アングル部420は、下樹脂カバー42の長手方向(左右方向)全長に延びる一体的な部材で構成される。表側片420aと裏側片420bと支持片嵌合部420dは、分割される部品で構成されているわけではなく一体的な部材である。また、アングル部420自体も第1下樹脂部材421と一体的に成形されている。
額縁5の室外側端部51が挿入された状態で、表側片420aは、額縁5の室外側端部51の表面(躯体側と反対側の面)に対向し、裏側片420bは、額縁5の室外側端部51の裏面(躯体側の面)に対向する。表側片420aと裏側片420bの間に額縁5の室外側端部51が挿入される挿入口426が形成される。
裏側片420bが表側片420aよりも長く形成されている。また、裏側片420bの端部には表側片420aに向かって折り返すように屈曲する屈曲部420cが形成される。屈曲部420cは、その先端が上方を向いており、略直角に折れ曲がっている。本実施形態の屈曲部420cは、その先端が裏側片420bに対向しており、略直角に折れ曲がっている。屈曲部420cの室内側にはスペース427が形成され、該スペース427を利用して額縁5の挿入作業をスムーズに行うことができるようになっている。本実施形態では、屈曲部420cの端面が額縁5に当接している。
支持片嵌合部420dは、金属製支持部125によって支持される部位である。本実施形態の金属製支持部125は、アングル部420の支持片嵌合部420dに嵌合する嵌合部125aと、アングル部420の裏側片420bを支持する裏側支持片125bと、躯体側に接触する接触片125cと、を備える。
アングル部420の支持片嵌合部420dが金属製支持部125の嵌合部125aに嵌合することにより、アングル部420の基端側が金属製である金属製支持部125によって強固に支持される状態となる。本実施形態では、支持片嵌合部420dと嵌合部125aの間には軟質性の樹脂で構成される弾性部材126が配置される。弾性部材126は、上下方向で支持片嵌合部420dと嵌合部125aの上部に挟み込まれており、該弾性部材126が弾性変形した状態で支持片嵌合部420dと嵌合部125aが嵌合される。なお、弾性部材126を省略することもできる。
裏側支持片125bは、躯体側からアングル部420の裏側片420bの基端部まで延びた後、見込方向室内側に屈曲し、裏側片420bの裏側面に沿って延びている。この裏側支持片125bによって裏側片420bが裏側から支持される。
接触片125cは、躯体側に接触する部位である。接触片125cは、嵌合部125a側から下方(見付方向躯体側)に延びており、その端面が躯体2に接触している。接触片125cにより、躯体2に対する金属製支持部125の位置が適切なものとなっている。
本実施形態では、下枠12(枠体10)の長手方向に帯状に延びる加熱発泡材80が第1下樹脂部材421と下枠本体部120の間に配置される。加熱発泡材80は、火災時等の高温環境で発泡し、障子20と下枠12の間の隙間を塞ぐためのものである。下枠12と下樹脂カバー42によって構成される加熱発泡材保持部92によって加熱発泡材80が保持されている。
本実施形態の加熱発泡材保持部92は、下枠12に設けられる金属製保持部127と、下樹脂カバー42に設けられる樹脂製保持部428と、から構成される。加熱発泡材保持部92を構成する各部について説明する。
金属製保持部127について説明する。金属製保持部127は、加熱発泡材80の一側の端部を嵌合する金属枠側嵌合部127aと、加熱発泡材80の室内側の面を支持する支持壁部127bと、を備える。
金属枠側嵌合部127aは、下枠本体部120から上方に延びており、その端部が上方に開口する凹状に形成される。金属枠側嵌合部127aの凹状の部分に加熱発泡材80の短手方向の躯体2側の端部(下部)が挿入される。本実施形態では、後述の折り返し部428bと金属枠側嵌合部127aの間に加熱発泡材80を挿入した状態で金属枠側嵌合部127aにかしめ加工が行われることにより、加熱発泡材80が抜け止めされるとともに下支えされている。
支持壁部127bは、金属枠側嵌合部127aの室内側の端部が上方に延長するように延びている。支持壁部127bは、下枠12の長手方向に沿って壁状に形成される。この支持壁部127bの室外側の面に加熱発泡材80の室内側の面が対向するように固定されている。
支持壁部127bの室内側の面は、第1下樹脂部材421の室外側の面に見込方向で間隔をあけて対向している。また、第1下樹脂部材421の室外側の面の下部からは金属枠側嵌合部127aの下方に潜り込むように延びる樹脂延出部421bが設けられる。このように本実施形態では金属製保持部127の見込方向室内側が下樹脂カバー42によって覆われている。これによって、金属製保持部127によって加熱発泡材80の一部をしっかり保持しつつ、当該金属製保持部127の室内側に配置される下樹脂カバー42によって室外側と室内側を高い断熱性で区画できる。
樹脂製保持部428について説明する。樹脂製保持部428は、加熱発泡材80の他側の端部を保持する保持本体部428aと、加熱発泡材80の脱落を防止する折り返し部422bと、を備える。
保持本体部428aは、第1下樹脂部材421の室外側の面から見込方向室外側に延びており、加熱発泡材80の上端面に対向している。保持本体部428aは上から加熱発泡材80に接触する。
折り返し部428bは、保持本体部428aから加熱発泡材80の室外側の面に対向するように下方に突出しており、支持壁部127bとともに加熱発泡材80を見込方向で挟み込んでいる。加熱発泡材80の折り返し部428bに挟み込まれる側の端部は室内側に近いという意味で室内側の端部ということができ、金属枠側嵌合部127aに挿入される側の端部は、相対的に室内側から離れるという意味で室外側の端部ということもできる。
加熱発泡材80は、その見込方向室外側の面が開放されており、火災等で高温環境になると、見込方向室外側に発泡し、障子20と下枠12の間で生じる隙間が塞がれる。樹脂製保持部428が火災等に起因する熱によって溶融していたとしても金属製保持部127によって加熱発泡材80の位置が適切に保持され続ける。また、本実施形態の加熱発泡材保持部92は、下枠12の長手方向に延びており、線接触による高い保持性で加熱発泡材80が固定される。
次に、図7を参照して上枠11及び上樹脂カバー41の構成について説明する。
上枠11は、躯体側に固定される上枠本体部110と、上枠本体部110から見込方向室内側に配置される室内側上枠部材112と、室内側上枠部材112の先端でアングル部410を支持する金属製支持部115と、を備える。本実施形態の室内側上枠部材112は、樹脂製の結合部材111を介して上枠本体部110に連結固定されている。
上樹脂カバー41は、上枠本体部110及び室内側上枠部材112に固定される第1上樹脂部材411と、第1上樹脂部材411の内側に嵌合固定される第2上樹脂部材412と、第1上樹脂部材411の室内側端部に配置される上述のアングル部410と、を備える。
第1上樹脂部材411は、障子20の閉鎖時に上框31の室内側の見付面に対向する位置関係にある。本実施形態の上框31は、その室内側の面に樹脂部材315が配置されており、この樹脂部材315と第1上樹脂部材411が見込方向で対向した状態となる。
第2上樹脂部材412は、アングル部410の裏側(見込方向室外側)に位置し、第1上樹脂部材411の見込面側に形成される凹部411aに嵌合固定される。
アングル部410は、上樹脂カバー41の室内側端部に位置しており、内装材としての額縁5の室外側端部51を支持する。アングル部410は、左右方向視でその断面形状が見込方向室内側に開口する略C字状に形成される。
本実施形態のアングル部410は、下側で見込方向室内側に延びる表側片410aと、上側で見込方向室内側に延びる裏側片410bと、支持片嵌合部410dと、を備える。
アングル部410は、上樹脂カバー41の長手方向(左右方向)全長に延びる一体的な部材で構成される。表側片410aと裏側片410bと支持片嵌合部410dは、分割される部品で構成されているわけではなく一体的な部材である。また、アングル部410自体も第1上樹脂部材411と一体的に成形されている。
額縁5の室外側端部51が挿入された状態で、表側片410aは、額縁5の室外側端部51の表面(躯体側と反対側の面)に対向し、裏側片410bは、額縁5の室外側端部51の裏面(躯体側の面)に対向する。表側片410aと裏側片410bの間に額縁5の室外側端部51が挿入される挿入口416が形成される。
裏側片410bが表側片410aよりも長く形成されている。また、裏側片410bの端部には表側片410aに向かって折り返すように屈曲する屈曲部410cが形成される。本実施形態の屈曲部410cは、その先端が下方を向いており、略直角に折れ曲がっている。屈曲部410cの室内側にはスペース417が形成される。本実施形態では、屈曲部410cの端面が額縁5に当接している。
支持片嵌合部410dは、金属製支持部115によって支持される部位である。本実施形態の金属製支持部115は、アングル部410の支持片嵌合部410dに嵌合する嵌合部115aと、アングル部410の裏側片410bを支持する裏側支持片115bと、躯体側に接触する接触片115cと、を備える。
アングル部410の支持片嵌合部410dが金属製支持部115の嵌合部115aに嵌合することにより、アングル部410の基端側が金属製である金属製支持部115によって強固に支持される状態となる。
裏側支持片115bは、躯体側からアングル部410の裏側片410bの基端部まで延びた後、見込方向室内側に屈曲し、裏側片410bの裏側面に沿って延びている。この裏側支持片115bによって裏側片410bが裏側から支持される。本実施形態では、支持片嵌合部410dと裏側支持片115bの屈曲部分の間には軟質性の樹脂で構成される弾性部材116が配置される。弾性部材116は、上下方向で支持片嵌合部410dと裏側支持片115bの屈曲部分に挟み込まれており、該弾性部材116が弾性変形した状態で支持片嵌合部410dと嵌合部115aが嵌合される。なお、弾性部材116を省略することもできる。
接触片115cは、躯体側に接触する部位である。接触片115cは、嵌合部115a側から上方(見付方向躯体側)に延びており、その端面が躯体2に接触している。接触片115cにより、躯体2に対する金属製支持部115の位置が適切なものとなっている。
本実施形態では、上枠11(枠体10)の長手方向に帯状に延びる加熱発泡材80が第1上樹脂部材411と上枠本体部110の間に配置される。加熱発泡材80は、火災時等の高温環境で発泡し、障子20と上枠11の間の隙間を塞ぐためのものである。上枠11と上樹脂カバー41によって構成される加熱発泡材保持部91によって加熱発泡材80が保持されている。
本実施形態の加熱発泡材保持部91は、上枠11に設けられる金属製保持部117と、上樹脂カバー41に設けられる樹脂製保持部418と、から構成される。加熱発泡材保持部91を構成する各部について説明する。
金属製保持部117について説明する。金属製保持部117は、加熱発泡材80の一側の端部を嵌合する金属枠側嵌合部117aと、加熱発泡材80の室内側の面を支持する支持壁部117bと、を備える。
金属枠側嵌合部117aは、上枠本体部110から下方に延びており、その端部が下方に開口する凹状に形成される。金属枠側嵌合部117aの凹状の部分に加熱発泡材80の短手方向の躯体2側の端部(上部)が挿入される。本実施形態では、後述の折り返し部418bと金属枠側嵌合部117aの間に加熱発泡材80を挿入した状態で金属枠側嵌合部117aにかしめ加工が行われることにより、加熱発泡材80が抜け止めされるとともに吊り下げ保持されている。
支持壁部117bは、金属枠側嵌合部117aの室内側の端部が下方に延長するように延びている。支持壁部117bは、上枠11の長手方向に沿って壁状に形成される。この支持壁部117bの室外側の面に加熱発泡材80の室内側の面が対向するように固定されている。
支持壁部117bの室内側の面は、第1上樹脂部材411の室外側の面に見込方向で間隔をあけて対向している。また、第1上樹脂部材411の室外側の面の上部からは金属枠側嵌合部117aの上部に接触する樹脂延出部411bが設けられる。このように本実施形態では金属製保持部117の見込方向室内側が上樹脂カバー41によって覆われている。これによって、金属製保持部117によって加熱発泡材80の一部をしっかり保持しつつ、当該金属製保持部117の室内側に配置される上樹脂カバー41によって室外側と室内側を高い断熱性で区画できる。
樹脂製保持部418について説明する。樹脂製保持部418は、加熱発泡材80の他側の端部を保持する保持本体部418aと、加熱発泡材80の脱落を防止する折り返し部412bと、を備える。
保持本体部418aは、第1上樹脂部材411の室外側の面から見込方向室外側に延びており、加熱発泡材80の下端面に対向している。保持本体部418aは、下から加熱発泡材80に接触する。
折り返し部418bは、保持本体部418aから加熱発泡材80の室外側の面に対向するように上方に突出しており、支持壁部117bとともに加熱発泡材80を見込方向で挟み込んでいる。加熱発泡材80の折り返し部418bに挟み込まれる側の端部は室内側に近いという意味で室内側の端部ということができ、金属枠側嵌合部117aに挿入される側の端部は、相対的に室内側から離れるという意味で室外側の端部ということもできる。
加熱発泡材80は、その見込方向室外側の面が開放されており、火災等で高温環境になると、見込方向室外側に発泡し、障子20と上枠11の間で生じる隙間が塞がれる。樹脂製保持部418が火災等に起因する熱によって溶融していたとしても金属製保持部117によって加熱発泡材80の位置が適切に保持され続ける。また、本実施形態の加熱発泡材保持部91は、上枠11の長手方向に延びており、線接触による高い保持性で加熱発泡材80が固定される。
以上説明した本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態の建具1は、開口部に固定される枠体10(上枠11、下枠12、吊元側縦枠13及び戸先側縦枠14)と、枠体10の内側に開閉可能に支持される障子20と、枠体10の室内側を覆う樹脂製の樹脂カバー40(上樹脂カバー41、下樹脂カバー42、及び縦樹脂カバー44)と、火災時に枠体10と障子20の隙間へ発泡する加熱発泡材80と、枠体10に配置され、加熱発泡材80の一側の端部を保持する金属製保持部117,127,147と、樹脂カバー40に配置され、加熱発泡材80の他側の端部を保持する樹脂製保持部418,428,448と、を備える。
これにより、加熱発泡材80を保持するための構成の一部を樹脂で構成できるので、加熱発泡材80まわりの断熱性を効果的に向上させることができる。また、樹脂製保持部418,428,448だけではなく金属製保持部117,127,147にも加熱発泡材80が保持されているので、樹脂製保持部418,428,448が火災時に溶融したとしても金属製保持部117,127,147によって加熱発泡材80の位置を適切な位置で保持し続けられる。即ち、本実施形態の構成により、加熱発泡材80回りの断熱性の向上及び加熱発泡材80の保持性の向上の両方を実現することができる。
また、本実施形態の金属製保持部117,127,147は、加熱発泡材80の室内側の面を支持する支持壁部117b,127b,147bを有する。
これにより、火災によって焼失しない金属製の支持壁部117b,127b,147bによって加熱発泡材80の室内側の面が支持されるので、室外側に加熱発泡材を適切に発泡させることができる。また、加熱発泡材80の三方が位置決めされるので、接着剤等を用いることなく、機械的な構造で加熱発泡材80を正確な位置で強固に固定することができる。
また、本実施形態の樹脂製保持部418,428,448は、加熱発泡材80の他側の端部を見込方向で挟み込む折り返し部418b,428b,448bを有する。
これにより、樹脂製保持部418,428,448によって加熱発泡材80の端部がしっかり固定されるので、経年や衝撃に起因して加熱発泡材80が剥がれ落ちる事態を確実に防止できる。また、折り返し部418b,428b,448bにより、加熱発泡材80が位置決めされるので、加熱発泡材80が設計時に想定した位置からずれて取り付けられる事態も確実に防止できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
上記実施形態では、金属製保持部117,127,147が支持壁部117b,127b,147bを有する構成であるが、この構成に限定されない。支持壁部117b,127b,147bの全部を金属製にせず、一部が樹脂製の支持壁部を形成する構成としてもよい。
加熱発泡材80の発泡方向についても、上記実施形態の見込方向室外側に発泡する構成に限定されない。加熱発泡材の発泡方向は、適宜、障子と枠との隙間へ向かって発泡すれば良く、別の実施形態として見込方向室外側以外の方向に発泡するものについても本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では、樹脂製保持部418,428,448が折り返し部418b,428b,448bを有する構成であるが、折り返し部418b,428b,448bを省略してもよい。また、金属製保持部117,127,147はかしめ加工によって加熱発泡材80の端部を固定する構成であるが、かしめ加工を省略してもよい。また、かしめ加工による固定の代わりに、締結部材や両面テープ又は接着剤を用いて加熱発泡材80を固定する構成としてもよい。