JP6830828B2 - 合成ガスから炭化水素を製造するための触媒、合成ガスから炭化水素を製造するための触媒の製造方法、及び炭化水素の製造方法 - Google Patents

合成ガスから炭化水素を製造するための触媒、合成ガスから炭化水素を製造するための触媒の製造方法、及び炭化水素の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、合成ガスから炭化水素を製造するための触媒、合成ガスから炭化水素を製造するための触媒の製造方法、及び炭化水素の製造方法に関する。
近年、地球温暖化等の環境問題が顕在化している。天然ガスは、他の炭化水素燃料、石炭等と比較して水素/炭素比(H/C)が高く、地球温暖化の原因物質である二酸化炭素排出量を抑えることができ、埋蔵量も豊富である。近年、このような天然ガスの重要性が見直されてきており、今後ますますその重要性および需要は増加するものと予想されている。天然ガス開発の手段の一つとして、Gas To Liquids(GTL)技術の開発が各所で精力的に行われている。GTL技術においては、天然ガスを合成ガスに変換した後、下記反応式に示すように、合成ガスをフィッシャー−トロプシュ(Fischer−Tropsch)合成反応(以下、「F−T合成反応」とも言う)を用いて輸送性・ハンドリング性の優れた灯・軽油等の液体炭化水素燃料に転換する。
Figure 0006830828
Sasol社、Shell社は、数万BPD(barrrels per day)規模のF−T合成についての商業プラントを稼働させている。F−T合成反応における触媒としては多孔質担体にコバルトを担持したものが一般的に使用され、更に種々の助触媒を含有させた触媒が開発されている(非特許文献1参照)。
このF−T合成反応は、触媒を用いて合成ガスを炭化水素に転換する発熱反応であるが、プラントの安定操業のためには反応熱を効果的に除去することが極めて重要である。現在までに実績のある反応形式としては、気相合成プロセス(固定床、噴流床、流動床)と、液相合成プロセス(スラリー床)が知られており、Sasol社の商業プラントではスラリー床、Shell社では固定床が採用されている。
固定床では反応器内部に抜熱管が配置されており、当該抜熱管によりF−T合成反応で発生した熱が除去される。しかしながら、抜熱管の抜熱性能には限界があるため、固定床では生産性を制限した運転が行われざるを得ない。一方、スラリー床では、熱容量の大きい液体溶媒中で反応が進行するため、高い生産性での運転が可能である。
ところで、上記商業プラントは、プラントコストが高く、小規模ガス田を対象とした場合に経済性が良好でない。このため、これら商業プラントによる開発では、現状、大規模天然ガス田のみが対象となっている。
したがって、地球上に数多く存在する小規模ガス田については、これまでF−T合成プラントの開発は行われていなかった。しかしながら、近年、これら小規模ガス田や海洋掘削船上に設置可能な小規模プラントに関する技術開発が、各所で精力的に行われている。海洋掘削船における小規模プラントでは、現在ではフレアとして処理されている石油随伴ガスからの液体炭化水素燃料転換が目的とされる。
このような小規模プラントの一連の開発の中で、マイクロチャネル反応器を用いたF−T合成反応技術が開発されている。マイクロチャネル反応器は、内径が数mm以下の微細な流路を有し、高い物質移動、伝熱性能を有する。さらに、マイクロチャネル反応器がF−T合成反応を行う原料ガスの流路と除熱を行う冷媒の流路とが交互に層状に重ね合わされた構造を有し、F−T合成反応を行う原料ガス供給方向と除熱を行う冷媒供給方向とが直交し、かつ、反応器の材質として金属を使用することにより、反応過程で発生する熱を効率的に除去することができるほか、原料ガスと冷媒との混合を防止することもできる。
前述のように大規模プラントにおける固定床のF−T合成反応では除熱性能に応じて発熱量を抑制する必要が生じ、生産量を抑えて運転する必要が多々生じている。一方で、上記のマイクロチャネル反応器を用いたF−T合成では、マイクロチャネル反応器の除熱性能が高く、生産性を高く設定することができるので、反応器容積当たりの炭化水素生産量が比較的高くなる。
ところで、発熱反応を起こすF−T合成触媒の外表面に、ゼオライトが被覆されたカプセル触媒を、マイクロチャネル内に充填する方法が報告されている(特許文献1)。ゼオライトは、炭化水素を分解する吸熱反応によって炭化水素を軽質化する。一般にF−T合成触媒の生成物はn−パラフィンが主であるが、カプセル触媒ではオレフィン、イソパラフィンの収率が比較的高いという特徴がある。オレフィンは、化学原料としての利用が可能である。化学原料は燃料と比較して価格が高く、したがって得られるオレフィンは、付加価値の高い生成物である。このようなカプセル触媒は、他にも特許文献2、特許文献3において報告されている。
特開2014−198332号公報 特開2007−196187号公報 特開2007−197628号公報
R.Oukaci et al.,Applied Catalysis A:General,186(1999)129-144
ところで、オレフィンの収率を向上させるためには、炭化水素を効率よく生成させる必要があり、フィッシャートロプシュ合成触媒のコバルト担持量を比較的多くする必要がある。しかしながら、発明者等の検討により、フィッシャートロプシュ合成触媒のコバルト担持量が多くなると、例えばフィッシャートロプシュ合成触媒全体に対し10質量%を超えると、ゼオライト系材料のうち、ベータゼオライト系材料においては、フィッシャートロプシュ合成触媒の外表面に付着しにくくなることが判ってきた。そして、現に、特許文献1〜3には、コバルト担持量が10質量%を超えるフィッシャートロプシュ合成触媒にゼオライト系材料を被覆した触媒は、具体的には開示されていない。このように、コバルト担持量が比較的低い触媒は、生産性を考慮すると固定床への適用や、小規模ガス田開発や石油随伴ガスからの液体炭化水素燃料転換のためのマイクロチャネル反応器での利用は現実的ではない。
また、本発明者らは、上記のような触媒を検討する中で、生産性を上げて副生水が多く発生しても性能の劣化の少ない、耐水性の高い担体であるアルミナ担体を採用することを検討した。この検討の中で、本発明者らは、特許文献1〜3や非特許文献1に記載されるような技術を採用しても、アルミナ担体上にゼオライト、特にベータゼオライトを十分な膜厚で形成することが困難であることを見出した。
さらに、コバルト担持量が比較的多いフィッシャートロプシュ合成触媒上にベータゼオライト系材料を被覆することが困難であることが判ってきたが、現に上述の文献においても、オレフィン収量を向上させるためのフィッシャートロプシュ合成触媒上のゼオライト系材料の形態、例えば膜厚等についての記載はなく、従来は一切知られていなかった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、耐水性の高い担体であるアルミナ担体にコバルトを担持したフィッシャートロプシュ合成触媒をベースとし、マイクロチャネル反応器等の様々な反応器で使用可能であり、化学原料として有用なオレフィンの収率が高い、合成ガスから炭化水素を製造するための触媒、合成ガスから炭化水素を製造するための触媒の製造方法、及び炭化水素の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討する中で、まず、アルミナ担体上にコバルト担持したフィッシャートロプシュ合成触媒上にベータゼオライト膜を形成するための方法を見出した。
そして、本発明者らは、マイクロチャネル反応器内で合成ガスから合成油(炭化水素)を製造する際に、アルミナ担体にコバルトを10質量%超の割合で担持してなるフィッシャートロプシュ合成触媒の外表面に、この生成した炭化水素を分解して軽質化するベータゼオライトを膜厚が4μm以上20μm以下の範囲で水熱合成法にて形成させたカプセル触媒を使用することで、比較的オレフィン収率が高くなることを見出して、本発明を為すに至った。本発明の要旨は、以下に記す通りである。
(1) アルミナ担体および当該アルミナ担体に担持されたコバルトを有するフィッシャートロプシュ合成触媒と、
前記フィッシャートロプシュ合成触媒の外表面に形成されたベータゼオライト膜とを有し、
前記フィッシャートロプシュ合成触媒を母数としたときのコバルト担持率が、10質量%超30質量%以下であり、
前記ベータゼオライト膜の膜厚は、4.0μm以上20μm以下である、合成ガスから炭化水素を製造するための触媒。
(2) 前記ベータゼオライト膜の膜厚が5.0μm以上15μm以下であることを特徴とする(1)に記載の合成ガスから炭化水素を製造するための触媒。
(3) 前記フィッシャートロプシュ合成触媒を母数としたときのコバルト担持率が、11質量%以上20質量%以下であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の合成ガスから炭化水素を製造するための触媒。
(4) (1)〜(3)のいずれか1項に記載の合成ガスから炭化水素を製造するための触媒を製造する方法であって、
アルミナ担体にコバルトを担持するフィッシャートロプシュ合成触媒の外表面に、水熱合成法により、硝酸カリウムの存在下においてベータゼオライト膜を形成させる、合成ガスから炭化水素を製造するための触媒の製造方法。
(5) さらに、前記ベータゼオライト膜の形成前に、前記フィッシャートロプシュ合成触媒を、ベータゼオライト膜の形成時に使用する反応液に対応する液に添加して、当該液を還流する、(4)に記載の合成ガスから炭化水素を製造するための触媒の製造方法。
(6) 前記水熱合成法におけるベータゼオライト膜を形成するための時間が、24時間以上120時間以下である、(4)又は(5)に記載の合成ガスから炭化水素を製造するための触媒の製造方法。
(7) (1)〜(3)のいずれか1項に記載の合成ガスから炭化水素を製造するための触媒を用いて、反応器内で合成ガスから炭化水素を製造する、炭化水素の製造方法。
(8) 前記反応器が多段階の層状構造を有するマイクロチャネル反応器であり、合成ガスを供給して炭化水素を製造するための層と、冷媒を供給して炭化水素製造で発生した熱を除熱するための層とが交互に配置され、これら層の流路が直交する方向に配列しており、炭化水素を製造する層の流路幅が4.0mm以下である、(7)に記載の炭化水素の製造方法。
本発明によれば、固定床やマイクロチャネル反応器等の様々な反応器内で炭化水素の生産性を高く設定しても、従来の触媒と比較して、化学原料として有用なオレフィンの収率が高くなる、耐水性の高い担体であるアルミナ担体にコバルトを担持したフィッシャートロプシュ合成触媒をベースとした合成ガスから炭化水素を製造するための触媒、合成ガスから炭化水素を製造するための触媒の製造方法、及び炭化水素の製造方法を提供できる。従って、生産コストが安く、生成物の付加価値が高くなり、マイクロチャネル反応器を用いた開発が期待される小規模ガス田や石油随伴ガスからの炭化水素生産も可能となる。
実施例1において得られた生成物の炭素数分布を示す図である。 実施例2において得られた生成物の炭素数分布を示す図である。 実施例3において得られた生成物の炭素数分布を示す図である。 実施例4において得られた生成物の炭素数分布を示す図である。 比較例1において得られた生成物の炭素数分布を示す図である。 比較例2において得られた生成物の炭素数分布を示す図である。 実施例5において使用したマイクロチャネル反応器を示す模式図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
〔触媒〕
本実施形態に係る触媒は、アルミナ担体および当該アルミナ担体に担持されたコバルトを有するフィッシャートロプシュ合成触媒と、フィッシャートロプシュ合成触媒の外表面に形成されたベータゼオライト膜とを有する。
フィッシャートロプシュ合成触媒中のアルミナ担体は、コバルトを担持、分散するための担体である。アルミナ担体は、耐水性が高い。したがって、フィッシャートロプシュ合成反応における炭化水素の製造において生産性を高く設定した場合には副生水が比較的多く生じるが、アルミナ担体を有する本実施形態に係る触媒は、このような環境においても担体の性状変化による性能の劣化が抑制されている。したがって、本実施形態に係る触媒は、生産性を高く設定することが可能であり、かつ、このような場合においても比較的長期間反応活性を高く維持することができる。
担体を構成するアルミナは、特に限定されないが、触媒活性の観点からはコバルトの分散度を高く保ち、担持したコバルトの反応に寄与する効率を向上させるために、比較的大きな比表面積を有することが好ましい。アルミナ担体の比表面積は、特に限定されないが、例えば、80〜600m/g、好ましくは100〜550m/g、より好ましくは比表面積が150〜500m/gである。比表面積は、例えば、BET法により測定することができる。
比表面積は、細孔径を小さくする、又は細孔容積を大きくすることにより大きくすることができる。すなわち、細孔径と細孔容積は、アルミナ担体の比表面積と関連している。
細孔径が8nmを下回ると、細孔内のガス拡散速度が水素と一酸化炭素では異なり、細孔の奥へ行くほど水素分圧が高くなるという結果を招き、F−T合成反応では副生成物といえるメタン等の常温常圧で気体である炭化水素が、多量に生成することになるため、細孔径は、8nm以上であることが好ましい。逆に、細孔径が50nmを超えると比表面積を増大させることが困難となり、活性金属の分散度が低下してしまうため、細孔径は、50nm以下であることが好ましい。アルミナ担体の細孔径は、好ましくは8〜50nm、より好ましくは10〜40nm、さらに好ましくは12〜30nmである。
また、細孔容積としては0.4cc/gを下回ると比表面積を増大させることが困難となるため、0.4cc/g以上とすることが好ましい。アルミナ担体の細孔容積は、好ましくは0.4〜4cc/g、より好ましくは0.6〜3.0cc/g、さらに好ましくは0.8〜2.0cc/gである。
なお、細孔容積は水銀圧入法や水滴定法により測定することができる。また、細孔径はガス吸着法や水銀ポロシメーターなどによる水銀圧入法により測定することが可能であるが、比表面積、細孔容積から計算で求めることもできる。
アルミナ担体は、好ましくは、細孔径8〜50nm、比表面積80〜600m/gおよび細孔容積0.4〜4cc/gを同時に満足する。アルミナ担体は、より好ましくは、細孔径10〜40nm、比表面積100〜550m/gおよび細孔容積0.6〜3.0cc/gを同時に満足し、さらに好ましくは、細孔径12〜30nm、比表面積150〜500m/gおよび細孔容積0.8〜2.0cc/gを同時に満足する。
コバルトは、アルミナ担体上に担持されている。アルミナ担体上に担持されたコバルトは、F−T合成反応ついて触媒活性を有する。フィッシャートロプシュ合成触媒中におけるコバルトの担持率(担持量)は、フィッシャートロプシュ合成触媒を母数とした場合に10質量%超30質量%以下であり、好ましくは11質量%以上20質量%以下である。コバルトの担持率が上記下限値を下回ると反応条件によっては活性を十分発現することができず、また、上記上限値を上回るとコバルトの分散度が低下し、担持したコバルトの利用効率が低下することとなり、不経済となる。また、外表面に形成されるベータゼオライトはコバルト担持率が多すぎると、水熱合成にて形成されにくく、後述する4〜20μmの範囲の膜厚形成が困難となる。なお、ここでいう担持率とは、担持したコバルトが最終的に100%還元されるとは限らないが、100%還元されたと考えて、コバルトの質量がフィッシャートロプシュ合成触媒の質量全体に占める割合を指す。
製造された触媒中のコバルト担持率は、酸分解やアルカリ溶融等の前処理後に高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)法により測定することができる。フィッシャートロプシュ合成触媒の質量は、同様に酸分解やアルカリ溶融等の前処理後にICP−AES法にてコバルト以外のアルミナ担体の成分を定量することで確認することができる。
アルミナ担体の質量は、以下の方法により求められる。まず、ICP−AES法によりフィッシャートロプシュ合成触媒の外表面にベータゼオライトが形成される触媒のアルミナ(アルミナ担体+ベータゼオライト)とシリカを定量分析する。次いで、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(SEM−EDS)により、断面分析した際のベータゼオライト膜のシリカ/アルミナ比を得る。そして、ベータゼオライト膜のシリカ/アルミナ比を考慮して、ICP−AES法にて定量されたアルミナ全体をアルミナ担体分とベータゼオライト分に区別することにより、アルミナ担体の質量が算出される。
上記フィッシャートロプシュ合成触媒の外表面には、ベータゼオライト膜が形成される。このように、フィッシャートロプシュ合成触媒の外表面にベータゼオライトが膜として形成されることにより、本発明の触媒は、ベータゼオライトとフィッシャートロプシュ合成触媒とが一体化した、一体型の触媒粒子、より具体的にはカプセル型触媒粒子となる。
上記ベータゼオライト膜中のベータゼオライトは、炭化水素を分解、異性化する機能を有する。そして、ベータゼオライトは、炭化水素を分解、異性化して、オレフィンやイソパラフィン等のより軽質化された炭化水素を生成することができる。さらに、炭化水素の分解反応は、吸熱反応である。したがって、ベータゼオライトが炭化水素を分解、異性化することにより、反応系内の除熱が可能となる。
従来、フィッシャートロプシュ合成のマイクロチャネル反応器における生産性を高く設定した場合には、除熱用のマイクロチャネル内で当初は液体であった除熱のための流体の冷媒が熱容量の小さい蒸気となり、当該蒸気が流通するマイクロチャネルでの除熱効率が低下することがある。このような場合、このマイクロチャネルに隣接するマイクロチャネル(F−T合成反応を行う原料ガスの流路)で発生した熱の効果的な除熱ができなくなって、反応が暴走する恐れがある。反応が暴走した際にはマイクロチャネル反応器内の温度が過度に上昇し、F−T合成反応が阻害されるだけでなく、触媒が失活し、その再生も困難になる。
しかしながら、本実施形態に係る触媒は、ベータゼオライトによる反応系内の除熱が可能であり、上述したような暴走を防止することができる。また、本実施形態に係る触媒により、マイクロチャネル反応器における生産性を比較的高く設定することが可能となる。
ゼータゼオライト膜の膜厚は4.0μm以上20μm以下であり、好ましくは5.0μm以上15μm以下である。ベータゼオライト膜の膜厚が上記下限値より薄くなると、オレフィン等の軽質化された炭化水素の収率が低下する。また、反応系全体の発熱量を抑制する効果が十分でなくなる。また、ベータゼオライト膜の膜厚が上記上限値より厚くなると、発熱量抑制の観点からは好ましいものの、所望の膜厚を得るための水熱合成時間が増加して触媒製造コストが著しく高くなる。
フィッシャートロプシュ合成触媒の外表面に形成されるベータゼオライト膜の膜厚は、触媒の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することにより測定することができる。触媒断面を観察するためのサンプル調製方法としては、触媒粒子を樹脂に埋め込んだ後、研磨する方法がある。なお、上記の膜厚は平均値であり、触媒断面のSEMによる観察にて測定する場合、膜厚が均一であれば測定箇所は数点で良いが、均一で無い場合には平均値を算出できる程度(例えば、周方向に略均等間隔となるように16箇所)の測定箇所を設定する必要がある。一部にゼオライト膜が形成されない欠陥部が存在する場合もあるが、このような場合には欠陥部は測定箇所とせずに、ゼオライト膜が形成されている箇所の平均値とする。なお、粒子が多い場合には複数の粒子について膜厚を測定し、平均化することが好ましい。粒子毎に膜厚が異なる場合には、複数粒子(例えば、10粒子)を代表として観察し、平均化すると良い。代表となる複数粒子の選択にあたっては、代表となる粒子よりも多くの粒子を観察した後、極端に膜厚の異なる粒子を除いた平均的な膜厚のもの(例えば、平均化された膜厚を基準に70〜130%の膜厚を有するもの)を選定する。異なる粒子径の触媒が混在する場合には、前記のように代表として観察する場合、平均粒子径程度の粒子径のもの(例えば、体積基準平均粒子径を基準に70〜130%の粒子径を有するもの)を選定する。平均粒子径の測定には、分散した触媒粒子にレーザー光を照射し、粒子からの散乱光強度の角度依存性を測定することにより粒子径分布を求めるレーザー回折式粒度分布測定装置を使用する。
また、従来のベータゼオライトの成膜方法を用いた場合、ベータゼオライト膜の膜厚を大きくすることが困難であり、本実施形態に係る触媒の上述したベータゼオライト膜の膜厚を達成することが困難であった。これに対し、本願発明者らは、後述する方法を見出し、本実施形態に係る触媒のベータゼオライト膜の膜厚を初めて達成することができた。
なお、ベータゼオライト細孔内の陽イオンとしては、プロトン(H)等が使用できる。
また、フィッシャートロプシュ合成触媒とベータゼオライトの混合比は、特に限定されず、フィッシャートロプシュ合成触媒の粒子径に応じて、適宜設定することができる。
なお、フィッシャートロプシュ合成触媒は細孔を保有しているため、フィッシャートロプシュ合成の表面は、触媒粒子の外表面と、細孔内の表面とが挙げられる。なお、本実施形態においては、フィッシャートロプシュ合成触媒の外表面にベータゼオライト膜が形成されていればよく、フィッシャートロプシュ合成触媒細孔内の表面にベータゼオライトが形成されていてもよい。
上述した本実施形態に係る触媒の平均粒子径は、特に限定されず、例えば、5.0μm以上、2.0mm以下であることができる。特に、マイクロチャネル反応器内で本実施形態に係る触媒が使用される場合、当該触媒の平均粒子径は、マイクロチャネルの流路幅よりも小さい必要があり、2.0mm以下であることが好ましい。このような場合において、本実施形態に係る触媒の平均粒子径の下限値は特に限定されないが、原料ガス供給による触媒層での圧力損失を考慮すると通常は5.0μm以上が好ましい。圧力損失と触媒充填率の双方を考慮した、操業安定性と反応性の観点からは20μm以上2.0mm以下の平均粒子径が好ましく、より好ましくは50μm以上1.8mm以下、更に好ましくは80μm以上1.5mm以下である。
ここで言う本実施形態に係る触媒の平均粒子径とは、フィッシャートロプシュ合成触媒の外表面に生成したベータゼオライトを形成させた一体型触媒の体積基準平均粒子径である。平均粒子径の測定にはレーザー回折法を適用するが、分散性が悪い等の理由でレーザー回折法による測定が困難な場合には、画像イメージング法等の手法を適用することができる。
上述した本実施形態に係る触媒は固定床において使用することで、従来のF−T合成触媒と比較して高い生産性で、且つ高いオレフィン収率で炭化水素を生産することができる。また、通常の固定床と比較して、より抜熱性能の高いマイクロチャネル反応器で使用すると、炭化水素の生産性をより高くすることができる。
〔合成ガスから炭化水素を製造するための触媒の製造方法〕
次に、本実施形態に係る合成ガスから炭化水素を製造するための触媒の製造方法の一例を説明する。本実施形態に係る製造方法は、アルミナ担体にコバルトを担持するフィッシャートロプシュ合成触媒の外表面に、水熱合成法により、硝酸カリウムの存在下においてベータゼオライト膜を形成させる、工程を有する。
まず、上記工程に先立ち、アルミナ担体にコバルトを担持させ、フィッシャートロプシュ合成触媒を得る。
アルミナ担体へのコバルトの担持方法としては、特に限定されず、通常の含浸法、インシピエントウェットネス(Incipient Wetness)法、沈殿法、イオン交換法等を用いることができる。担持において使用する原料(前駆体)であるコバルト化合物としては、例えば、コバルトの硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、塩化物、アセチルアセトナートを用いることができる。これらのコバルト化合物は、上記の各方法において溶媒に対し可溶であり、かつ、担持後に乾燥処理し、その後、還元処理、または焼成処理及び還元処理によって、カウンターイオン(例えばコバルト硝酸塩であればCo(NO中のNO )が揮散することができる。
上述した中でも、コバルト化合物としては、担持操作をする際に水溶液を用いることができる水溶性の化合物を用いることが製造コストの低減や安全な製造作業環境の確保のためには好ましい。硝酸コバルトなどは焼成時に酸化コバルトに容易に変化し、その後のコバルト酸化物の還元処理も容易であるため好ましい。
なお、コバルト化合物としては、溶媒に溶解可能であり、カウンターイオンが上記の各処理のいずれかにおいて揮散可能であれば、上に列挙された化合物に限らず任意の化合物を使用することができる。
次いで、コバルトを担持したアルミナ担体を、必要に応じて乾燥させる。乾燥時間は、特に限定されないが、例えば、0.5〜20時間とすることができる。乾燥温度は、特に限定されないが、例えば、50〜150℃とすることができる。
次いで、乾燥したコバルトを担持したアルミナ担体について焼成処理を行う。これにより、フィッシャートロプシュ合成触媒を得ることができる。焼成時間は、特に限定されないが、例えば、0.5〜15時間とすることができる。焼成温度は、特に限定されないが、例えば、300〜600℃とすることができる。
次いで、フィッシャートロプシュ合成触媒を、後述する水熱合成時に使用する反応液に対応する液に添加し、同液について還流処理を行うことが好ましい。これにより、フィッシャートロプシュ合成触媒の外表面にベータゼオライトが付着しやすくなる。したがって、ベータゼオライト膜の形成、積層がより容易となる。
このような液(還流液)としては、例えば、水熱合成時における反応液から反応基質成分が除去された液が挙げられる。なお、還流液は、水熱合成時における反応液から反応基質成分を除去した液と、その溶質の濃度が異なっていてもよい。また、水熱合成時における反応液から反応基質成分を除去した液から、一部の溶質が省略されていてもよい。さらに、ここでいう反応基質成分は、水熱合成時に実際に反応する基質のみならず、基質がイオンである場合には対となるイオンも含む。
例えば、水熱合成時における反応液が、水酸化テトラメチルアンモニウムを含む水溶液である場合、還流液は、水酸化テトラメチルアンモニウムを含む水溶液とすることができる。
還流時間は、特に限定されないが、例えば、1〜20時間とすることができる。還流温度は、特に限定されないが、例えば、60〜130℃とすることができる。
次いで、水熱合成法によりフィッシャートロプシュ合成触媒の外表面にベータゼオライト膜を形成させる。ベータゼオライト膜の形成は、例えば、シリカ源およびアルミナ源を含む水溶液(前駆体溶液)中にフィッシャートロプシュ合成触媒を添加し、加熱することにより行われる。
シリカ源としてはSiO(例えば、Aerosil200)、アルミナ源としてはアルミニウムイソプロポキシドを使用することができるがこれらに限定されない。
本実施形態において、前駆体溶液は、硝酸カリウムを含む。硝酸カリウムの存在下でベータゼオライト膜の形成を行うことにより、従来困難であったフィッシャートロプシュ合成触媒の外表面上へのベータゼオライト膜の形成が可能となる。硝酸カリウムの添加量はモル比でアルミナ源に対して、例えば、1/100〜1/2000である。
水熱合成における温度は、特に限定されないが、例えば、120〜180℃、好ましくは、145〜170℃とすることができる。
水熱合成の時間増加に伴い、フィッシャートロプシュ合成触媒の外表面に形成されるベータゼオライトの厚さが増加する。水熱合成の時間は、例えば24時間以上120時間以下であり、好ましくは48時間以上96時間以下である。上記範囲の下限値を下回ると、反応条件によっては十分にゼオライト膜が形成されず、上記範囲の上限値を上回ると触媒製造コストが増加することとなる。
なお、水熱合成においては、必要に応じ、反応液を撹拌してもよい。撹拌条件は、適宜設定可能である。
水熱合成によりベータゼオライト膜が形成されたフィッシャートロプシュ合成触媒は、水熱合成終了後適宜、洗浄、乾燥に供される。乾燥時間は、特に限定されないが、例えば、0.5〜20時間とすることができる。乾燥温度は、特に限定されないが、例えば、50〜150℃とすることができる。
次いで、乾燥した触媒について焼成処理を行う。これにより、本実施形態に係る合成ガスから炭化水素を製造するための触媒を得ることができる。焼成時間は、特に限定されないが、例えば、0.5〜15時間とすることができる。焼成温度は、特に限定されないが、例えば、400〜600℃とすることができる。
以下に、本実施形態に係る合成ガスから炭化水素を製造するための触媒の製造方法のより具体的な一例を示す。なお、当然ながら、本実施形態に係る触媒の製造方法は、下記の具体的な例に限定されるものではない。
まずコバルト前駆体の水溶液にアルミナ担体を含浸して担持後、必要に応じて乾燥(100℃、1時間)、焼成処理(450℃、10時間)を行い、フィッシャートロプシュ触媒を得る。
次いで、調製したフィッシャートロプシュ合成触媒を25質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TEAOH)水溶液中で還流(115℃、4時間)する。
次いで、シリカを25質量%のTEAOH水溶液に溶かし、1時間程度撹拌して均一なコロイド状にする。超音波を照射しながら、アルミニウムイソプロポキシドを25質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液に溶かし、上記のコロイド状溶液に15分程度かけて滴下する。その後、イオン交換水を加えて常温で2時間程度撹拌する。その後、硝酸カリウムを微量添加した後、F−T合成触媒を加え、水熱合成機にて155℃に加熱し、水熱合成を行う。水熱合成時の回転数は最初の30分は2rpmとして、その後は0rpmで20分、2rpmで2分を繰り返す(回転数、回転・停止のパターンは特に限定されない。)。
水熱合成終了後、触媒を取り出し、洗浄後のイオン交換水が中性となるまでイオン交換水で洗浄し、120℃で12時間乾燥する。乾燥終了後は500℃、5時間焼成処理を行うことで最終的に触媒が得られる。
〔炭化水素の製造方法〕
次に、本実施形態に係る炭化水素の製造方法について説明する。
本実施形態に係る炭化水素の製造方法では、上述した本実施形態に係る合成ガスから炭化水素を製造するための触媒を用いて、反応器内で合成ガスから炭化水素を製造する。
炭化水素の製造は、合成ガスと本実施形態に係る触媒とを接触させることにより行うことができる。
上記の炭化水素の製造に用いられる合成ガスとしては、水素と一酸化炭素の合計が全体の50体積%以上であるガスが、生産性の面から好ましい。特に、合成ガスは、水素と一酸化炭素のモル比(水素/一酸化炭素)が0.5〜4.0の範囲であることが望ましい。これは、水素と一酸化炭素のモル比が0.5未満の場合には、原料ガス中の水素の存在量が少な過ぎるため、一酸化炭素の水素化反応(F−T合成反応)が進みにくく、液状炭化水素の生産性が高くならないためであり、一方、水素と一酸化炭素のモル比が4.0を超える場合には、原料ガス中の一酸化炭素の存在量が少な過ぎるため、触媒活性に関わらず液状炭化水素の生産性が高くならないためである。
なお、合成ガスは、いかなる原料から製造されたものであってもよい。合成ガスの原料としては、特に限定されないが、例えば、天然ガス、石炭、重質油、石油排ガス、オイルシェール等の化石資源や、バイオマス、炭化水素を含む廃棄物等が挙げられる。
また、合成ガスと本実施形態に係る触媒との接触に用いられる反応器としては、特に限定されず、例えば、固定床、噴流床、流動床等の一般的な気相合成プロセス用反応器、スラリー床等の液相合成プロセス用反応器およびマイクロチャネル反応器等が挙げられる。上述した中でも、触媒当たりの生産性を考慮すると、マイクロチャネル反応器が好ましい。
マイクロチャネル反応器は、従来の固定床反応器のように内部に抜熱管を配置した容器ではなく、所定の幅の流路を備えた反応器である。同流路内において、触媒が充填されており、合成ガスが流路を通過する際に触媒と接触することにより、反応が生じ、炭化水素が生成する。また、マイクロチャネル反応器は、合成ガスが通過する流路に隣接した冷媒を通過させるための流路を備えている。合成ガスの反応による反応熱は、隣接する流路を通過する冷媒により除去される。
このような流路の幅(流路幅)としては特に限定されないが、1cm以下であることができる。また、流路内の触媒上で発生する反応熱を隣接流路内の冷媒流通によって効率的に除去する観点から、すなわち、マイクロチャネル反応器の流路内温度制御の観点からは、流路幅は、4.0mm以下であることが好ましく、2.0mm以下であることがより好ましい。一方で、流路内温度制御の観点からは流路幅は小さい方が好ましいが、流路が小さくなりすぎて流路を形成する基板厚さが大きくなりすぎると、単位体積当たりの生産性が小さくなるため、流路幅を決める際には生産性も考慮する必要がある。したがって、流路幅は、0.50mm以上であることが好ましく、1.0mm以上であることがより好ましい。
マイクロチャネル反応器の構造としては、特に限定されないが、例えば、多段階の層状構造であり、合成ガスを供給して炭化水素を製造するための層(反応層)と、冷媒を供給して炭化水素製造で発生した熱を除熱するための層(冷媒層)とが交互に配置されていることが好ましい。このような構造としては、より具体的には、複数の波板を介して基板が層状に重なった構造、基板にマイクロチャネルを形成させたものを層状に重ねた構造や、ハニカム構造等を採用することができる。このようなマイクロチャネル反応器の反応層の流路と冷媒層の流路とは、直交するように配列されることができる。すなわち、F−T合成反応を行う流路への原料ガス供給方向と、除熱を行う流路への冷媒供給方向とは直交とすることができる。
マイクロチャネル反応器の材質としては、金属や無機化合物を使用することができ、特に限定されないが、金属が好ましい。金属としては、ステンレス鋼などの鉄鋼材やアルミニウムなどが好適である。F−T合成反応は発熱反応であり、また、安定的に高い反応成績を維持するためには効率的な除熱が効果的であるので、流路が層状に構成される反応器で材質として金属を使用し、F−T合成反応を行う流路と、冷媒を流通させ除熱を行う流路とが交互に層状に重ね合わされたマイクロチャネル反応器を使用することにより良好な性能を得ることができる。
なお、マイクロチャネル反応器の単位体積当たりの生産性には流路を形成する基板及び流路内の波板の厚さも寄与することになるため、安全にF−T合成反応および除熱を実施できる範囲で、これらの厚さは小さい方が好ましい。例えば、ステンレス鋼を使用したマイクロチャネル反応器では基板や波板の厚さは、30〜200μmであることができる。
冷媒としては、熱を除去可能なものであれば良く特に限定されないが、水、特にボイラ給水(BFW)を使用するとF−T合成反応を行う流路内温度の制御性が良好であり好ましい。
このようなマイクロチャネル反応器内への合成ガスから炭化水素を製造する触媒の固定方法としては、流路幅よりも小さい粒子径の触媒を充填する方法を採用することができる。
炭化水素を製造する反応を行う際には、フィッシャートロプシュ合成触媒の中のコバルトが、還元された金属コバルトである必要がある。したがって、合成ガスを供給して炭化水素を製造する前に、水素ガス等の還元性ガスを流通させてフィッシャートロプシュ合成触媒の還元処理を行うことができる。このような還元処理は、特に限定されないが、例えば300〜500℃の温度で、2〜20時間行うことができる。例えば、還元処理の条件は、400℃で10時間とすることができる。
なお、触媒は、反応器への充填後に還元されてもよいし、充填前に還元されてもよい。例えば、マイクロチャネル反応器内に触媒を仕込む前に還元処理を行い、その後に充填することも可能である。還元処理後の触媒は、大気に触れて酸化失活しないように取り扱う必要があるが、担体上のコバルト金属等の表面を大気から遮断するような安定化処理を行うと、大気中での取り扱いが可能となり好適である。この安定化処理には、低濃度の酸素を含有する窒素、二酸化炭素、不活性ガスを触媒に触れさせて、担体上のコバルト金属等の極表層のみを酸化するいわゆるパッシベーション(不動態化処理)を行うとよい。
本実施形態に係る触媒中のコバルトが金属コバルトに十分に還元された状態で、反応器へ合成ガスを供給することにより、炭化水素を製造することができる。
炭化水素の製造時における条件は、特に限定されず、反応器の種類に応じ、従来適用されてきた条件を設定することができる。
特に、上記マイクロチャネル反応器における、炭化水素を製造する反応時における反応温度は、特に限定されないが、220〜300℃、好ましくは240〜280℃であることができる。また、反応時における系内の圧力は、特に限定されないが、例えば、0.8〜3.5MPa、好ましくは0.9〜2.5MPaであることができる。合成ガスのH/CO比(モル比)は特に限定されないが、好ましくは0.5〜3であり、より好ましくは1.0〜2.5である。
このような条件で実施される反応では、炭化水素を選択的に製造可能となりフィッシャートロプシュ合成触媒単独の場合と比較して、同一の転化率条件でもマイクロチャネル反応器内の発熱量を低下させることが可能となる。そのため、マイクロチャネル反応器内の熱暴走の発生が防止される。また、フィッシャートロプシュ合成触媒を単独で使用する場合には、生成油のほとんどは直鎖パラフィンであるが、ベータゼオライトがフィッシャートロプシュ合成触媒とともに共存することにより、イソパラフィンやオレフィンも同時に製造することができる。また、ベータゼオライト膜の存在により、フィッシャートロプシュ合成触媒を単独で使用する場合と比較すると、より軽質分の炭化水素が比較的選択的に生成する。
著しく転化率が高い、あるいは反応時間が長いなどの要因で、活性低下が生じた場合には、合成ガスの代わりに水素を含むガス(再生ガス)を供給することにより、触媒を再生することができる。再生ガスの水素含有量は、5%以上であることが好ましい。なお、再生ガス中の水素含有量は100%であってもよい。また、再生ガスは、水素に加え、窒素、アルゴン等の不活性ガスを含有してもよい。
触媒の再生の条件としては、触媒再生が進行すれば、特に限定されない。水素を含む再生ガスと触媒を接触させることによる触媒再生機構としては、副生水により酸化したコバルト等の再還元と、水素による析出炭素の除去によるものと推察される。
具体的には、再生時における温度は、例えば、100〜400℃であることができる。再生時における圧力は、例えば、常圧〜反応圧であることができる。特に、再生圧力を反応圧以下にすると、反応において反応圧に昇圧するためのコンプレッサーを利用することが可能となり、再生のために新たにコンプレッサーを設置する必要がなくなるため、設備コストの面から有利となる。また、再生時間は、例えば、1時間以上とすることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例及び比較例に限定されない。
〔実施例1〕
触媒学会参照触媒のアルミナ(JRC−ALO−6、粒子径0.85〜1.7mm、比表面積180m/g、細孔容積0.96cc/g、平均細孔径20nm)を担体として、フィッシャートロプシュ合成触媒を母数としてコバルト担持量が11質量%となるように硝酸コバルト六水和物水溶液を調製し、含浸担持した。(コバルト担持量(%)=(コバルト質量/(コバルト質量+アルミナ質量))×100)その後、120℃で12時間乾燥し、400℃で2時間焼成処理してCo/Al触媒を得た。調製したCo/Al触媒0.6gを25質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TEAOH)水溶液5g中で114℃にて4時間還流した。その後、溶液をろ過してCo/Al触媒を回収した。
4.2gのシリカ(Aerosil200)を10.3gの25質量%TEAOH水溶液に溶かし、1時間撹拌して、均一なコロイド状溶液を得た。超音波を照射しながらアルミニウムイソプロポキシド0.3gを41gの25質量%TEAOH水溶液に溶かし、上記のコロイド状溶液に15分かけて滴下した。その後、3.6gのイオン交換水を加えて、室温で2h撹拌した。前駆体溶液のモル比はシリカ:TEAOH:アルミナ:水=96.53:34.55:1.0:1130であった。前駆体溶液に硝酸カリウムを0.149g添加した後、還流処理したCo/Al触媒0.6gを加え、155℃、72時間の条件で水熱合成を行った。水熱合成時の回転プログラムは、最初の30分間は2rpm、その後は0rpmにて20分間、2rpmにて2分間の繰り返しとした。水熱合成終了後、触媒を取り出し、液性が中性となるまでイオン交換水で洗浄し、120℃で12時間乾燥した。乾燥終了後、500℃で5時間、焼成処理を行い、Co/Al触媒の外表面にベータゼオライト膜を形成させたβゼオライト−Co/Al触媒を得た。
上記で得られたβゼオライト−Co/Al触媒0.5gを8mmφの管型反応器に充填し、常圧で400℃にて10時間、還元処理を行い、窒素に置換して80℃まで降温した。次いで、管型反応器内に供給する気体H/CO=2の合成ガスに切り替えた。反応温度260℃、反応圧力1.0MPa、W(触媒質量)/F(合成ガス流量);(g・h/mol)=10に設定し、供給ガス及び管型反応器出口ガスの組成をガスクロマトグラフィーにより求め、CO転化率、CH選択率、C5+選択率、オレフィン選択率、イソパラフィン選択率をそれぞれ算出した。
以下の実施例に記載したCO転化率、CH選択率、C5+選択率、オレフィン選択率、イソパラフィン選択率は、それぞれ次に示す式により算出した。ここで、C5+とは炭素数5以上の炭化水素を示す。
Figure 0006830828
上記で調製した触媒を用いて、反応を行ったところ、CO転化率61.1%、CH選択率5.7%、C5+選択率63.4%、オレフィン選択率14.5%、イソパラフィン選択率37.0%であった。また、図1に示す炭素数分布の生成物が得られた。後述する比較例1に示したベータゼオライトが存在しないCo/Al触媒と比較して、生成物の炭素数分布は軽質化していることを確認した。ベータゼオライト−Co/Al触媒の断面をSEMを用いて観察したところ、Co/Al触媒外表面のベータゼオライトの膜厚は、11μmであった。
〔実施例2〕
コバルト担持量が15質量%となるようにCo/Al触媒を調製する他は、実施例1と同様にして、反応を行ったところ、CO転化率75.1%、CH選択率11.6%、C5+選択率55.2%、オレフィン選択率12.2%、イソパラフィン選択率27.1%であった。また、図2に示す炭素数分布の生成物が得られた。ベータゼオライト-Co/Al触媒の断面をSEMを用いて観察したところ、Co/Al触媒外表面のベータゼオライトの膜厚は、8μmであった。
〔実施例3〕
コバルト担持量が20質量%となるようにCo/Al触媒を調製する他は、実施例1と同様にして、反応を行ったところ、CO転化率87.3%、CH選択率18.5%、C5+選択率59.1%、オレフィン選択率8.3%、イソパラフィン選択率25.8%であった。また、図3に示す炭素数分布の生成物が得られた。ベータゼオライト−Co/Al触媒の断面をSEMを用いて観察したところ、Co/Al触媒外表面のベータゼオライトの膜厚は、6μmであった。
〔実施例4〕
コバルト担持量が25質量%となるようにCo/Al触媒を調製する他は、実施例1と同様にして、反応を行ったところ、CO転化率96.6%、CH選択率22.3%、C5+選択率61.0%、オレフィン選択率5.7%、イソパラフィン選択率28.0%であった。また、図4に示す炭素数分布の生成物が得られた。ベータゼオライト−Co/Al触媒の断面をSEMを用いて観察したところ、Co/Al触媒外表面のベータゼオライトの膜厚は4μmであった。
〔実施例5〕
図7に示す直交型マイクロチャネル反応器に触媒を充填し、ボイラ給水(BFW)で冷却しながら温度制御する他は、実施例1と同様にして、反応を行った。直交型マイクロチャネル反応器は、ステンレス(SUS)箔により形成された積層構造を有し、ステンレス箔間の隙間がボイラ給水または合成ガスの流路を形成している。また、ボイラ給水と合成ガスの流路は、ステンレス箔の積層構造において交互に配置されており、ボイラ給水と合成ガスの移動方向(流路の方向)は直交している。各流路には波板が配置され、各流路幅Wは、1.3mmである。得られた生成物を分析すると、CO転化率62.0%、CH選択率6.2%、C5+選択率62.4%、オレフィン選択率13.8%、イソパラフィン選択率36.0%であった。
なお、上記直交型マイクロチャネル反応器における反応において、反応の暴走は生じなかった。ベータゼオライト膜における吸熱反応により、Co/Al触媒の反応において生じた熱が吸収され、直交型マイクロチャネル反応器内における過度の温度の上昇が抑制されたことが推察される。
〔比較例1〕
ベータゼオライトが存在しないCo/Al触媒を使用する他は、実施例1と同様にして、反応を行ったところ、CO転化率98.8%、CH選択率14.8%、C5+選択率81.1%、オレフィン選択率4.5%、イソパラフィン選択率22.9%であった。また、図5に示す炭素数分布の生成物が得られた。
〔比較例2〕
コバルト担持量が30質量%となるようにCo/Al触媒を調製する他は、実施例1と同様にして、反応を行ったところ、CO転化率98.6%、CH選択率19.8%、C5+選択率55.0%、オレフィン選択率3.8%、イソパラフィン選択率24.1%であった。また、図6に示す炭素数分布の生成物が得られた。ベータゼオライト−Co/Al触媒の断面をSEMを用いて観察したところ、Co/Al触媒外表面のベータゼオライトの膜厚は、2.5μmであった。なお、実施例1と同様の水熱合成条件では4μm以上の膜厚は得られなかったが、水熱合成時間を大きく延長すること等で4μm以上の膜厚を得ることは可能である。
〔比較例3〕
コバルト担持量が30質量%となるようにCo/Al触媒を調製し、水熱合成において硝酸カリウムを添加せず、反応時間を150時間とした以外は、実施例1に示す水熱合成を実施した。ベータゼオライトの膜は形成されなかった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (7)

  1. ルミナ担体にコバルトを担持するフィッシャートロプシュ合成触媒の外表面に、水熱合成法により、硝酸カリウムの存在下においてベータゼオライト膜を形成させ
    前記アルミナ担体および当該アルミナ担体に担持された前記コバルトを有する前記フィッシャートロプシュ合成触媒と、前記フィッシャートロプシュ合成触媒の外表面に形成された前記ベータゼオライト膜とを有し、前記フィッシャートロプシュ合成触媒を母数としたときのコバルト担持率が、10質量%超30質量%以下であり、前記ベータゼオライト膜の膜厚は、4.0μm以上20μm以下である、触媒とする、合成ガスから炭化水素を製造するための触媒の製造方法。
  2. 前記フィッシャートロプシュ合成触媒を母数としたときのコバルト担持率が、11質量%以上20質量%以下であり、前記ベータゼオライト膜の膜厚が5.0μm以上15μm以下である、請求項1に記載の合成ガスから炭化水素を製造するための触媒の製造方法。
  3. さらに、前記ベータゼオライト膜の形成前に、前記フィッシャートロプシュ合成触媒を、ベータゼオライト膜の形成時に使用する反応液に対応する液に添加して、当該液を還流する、請求項1又は2に記載の合成ガスから炭化水素を製造するための触媒の製造方法。
  4. 前記水熱合成法におけるベータゼオライト膜を形成するための時間が、24時間以上120時間以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成ガスから炭化水素を製造するための触媒の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の合成ガスから炭化水素を製造するための触媒の製造方法により触媒を製造し、かつ、製造された前記触媒を用いて、反応器内で合成ガスから炭化水素を製造する、炭化水素の製造方法。
  6. 前記反応器が多段階の層状構造を有するマイクロチャネル反応器であり、合成ガスを供給して炭化水素を製造するための層と、冷媒を供給して炭化水素製造で発生した熱を除熱するための層とが交互に配置され、これら層の流路が直交する方向に配列しており、炭化水素を製造する層の流路幅が4.0mm以下である、請求項5に記載の炭化水素の製造方法。
  7. アルミナ担体および当該アルミナ担体に担持されたコバルトを有するフィッシャートロプシュ合成触媒と、
    前記フィッシャートロプシュ合成触媒の外表面に形成されたベータゼオライト膜とを有し、
    前記フィッシャートロプシュ合成触媒を母数としたときのコバルト担持率が、11質量%超20質量%以下であり、
    前記ベータゼオライト膜の膜厚は、5.0μm以上15μm以下である、合成ガスから炭化水素を製造するための触媒。
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