JP6830631B2 - 電子レンジ加熱容器の蓋体 - Google Patents

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Description

本発明は電子レンジ加熱容器の蓋体に関し、特に蓋体からの水蒸気の排気と排気部分の被覆を可能とする容器に関する。
調理済み食品をコンビニエンスストア等の小売店にて販売する際の加熱調理または持ち帰った後の加熱調理に際し、これらの食品を包装する容器は容器本体部と蓋体部の組み合わせからなる。特に、陳列、販売等の1回のみの使用に用いられる使い切り容器であることから、極力簡素化した構造である。そのため、現状、合成樹脂シートの成形品が容器の主流である。
食品の加熱調理や温め直しには、通常電子レンジ(マイクロ波照射)が使用される。そこで、食品容器ごと電子レンジ内に入れられそのまま加熱された後に提供される。実際に販売される食品に着目すると、スープ類のように水分量の多い食品から、炒め物等のように重量当たりの水分量の少ない食品まで存在し、食品の種類は実に多用である。ここで問題となることは、電子レンジによる食品の加熱調理の際、容器内の食品から水蒸気が発生することである。
容器本体と蓋体の嵌合を緩くすれば内部発生の水蒸気の排気は容易である。しかし、蓋体側の嵌合が緩い場合、製造、出荷、陳列の中間段階で蓋体が外れやすい等の問題から異物混入が懸念される。このため、食品の購入者からの評判は思わしくない。そこで、内部発生の水蒸気を容器外部に排気するための穴部を形成した蓋体が提案されている(特許文献1、2等参照)。特許文献1、2に代表される容器の蓋体によると、U字状またはV字状の切れ込みによる舌片状の開口部が蓋体に形成されている。水蒸気はこの舌片状の開口部を通過して容器外部に放出される。
U字状またはV字状の切れ込みによる舌片状の開口部の排気効率は良好である。ところが、水蒸気の排気が良好ということは、それだけ、舌片状の開口部からの異物侵入のおそれも増す。そのために、この場合、舌片状の開口部を塞ぐ封止テープが貼付されることがある。さらには、舌片状の開口部を保護する被覆フィルム部材も別途被せられる(特許文献3等参照)。特許文献3の構造によると、開口部の保護は向上する。しかしながら、切れ込みによる舌片が使用されていることから、当該舌片が折れて容器内部に落下してそれ自体が異物混入となる問題は依然として残っている。
そこで、効率の良い水蒸気の排気が可能であり、しかも、従前の切れ込みによる舌片状の開口部に替わる新たな水蒸気の排気部位の保護も高めた新たな構造が求められている。
特開2012−50672号公報 実用新案登録第3056026号公報 特開2009−28325号公報
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、従前のU字状またはV字状の切れ込みによる舌片状の開口部を用いた水蒸気の排気に代わる新たな排気構造を提案するとともに、水蒸気を排気する部位の保護性能も高めた電子レンジ加熱容器に用いられる蓋体を提供する。
すなわち、第1の発明は、電子レンジ加熱容器の容器本体の開口部に被着される蓋体であって、前記蓋体は蓋面部と前記蓋面部より境界部を介して下げられた凹所を備えており、前記凹所には電子レンジ加熱により電子レンジ加熱容器内に発生する水蒸気のための通気部が形成され、かつ、前記凹所の上方全部を覆う被覆シールが貼着されてなる蓋体において、前記蓋面部には前記凹所の境界部に接続し、網目状構造部よりなる凹凸部を備えた前記被覆シールの易剥離部が形成されているとともに、前記被覆シールが前記境界部と前記易剥離部の一部または全部を被覆していて、加熱時に電子レンジ加熱容器内の圧力により前記易剥離部に位置する前記被覆シールが剥離して前記凹所から電子レンジ加熱容器の外部への連通部が前記易剥離部と前記被覆シールの間に形成され、電子レンジ加熱容器内の水蒸気が前記連通部を介して外部へ排出されるようにしたことを特徴とする電子レンジ加熱容器の蓋体に係る。
第2の発明は、前記通気部がレーザー光線照射の穿設である第1の発明に記載の電子レンジ加熱容器の蓋体に係る。
第3の発明は、前記通気部が長孔であり、前記長孔の幅が0.15〜1mmである第1または2の発明に記載の電子レンジ加熱容器の蓋体に係る。
の発明は、前記易剥離部の前記凹凸部が、前記蓋面部より上側に突出または前記蓋面部より下側に突出している第1ないしのいずれかの発明に記載の電子レンジ加熱容器の蓋体に係る。
の発明は、前記境界部と前記易剥離部の間に平坦部が配されている第1ないしのいずれかの発明に記載の電子レンジ加熱容器の蓋体に係る。
の発明は、前記境界部から前記凹所にかけて誘導溝部が形成されている第1ないしのいずれかの発明に記載の電子レンジ加熱容器の蓋体に係る。
の発明は、前記蓋体が合成樹脂シートから形成されている第1ないしのいずれかの発明に記載の電子レンジ加熱容器の蓋体に係る。
の発明は、前記被覆シールに表示部が付されている第1ないしのいずれかの発明に記載の電子レンジ加熱容器の蓋体に係る。
第1の発明に係る電子レンジ加熱容器の蓋体によると、電子レンジ加熱容器の容器本体の開口部に被着される蓋体であって、前記蓋体は蓋面部と前記蓋面部より境界部を介して下げられた凹所を備えており、前記凹所には電子レンジ加熱により電子レンジ加熱容器内に発生する水蒸気のための通気部が形成され、かつ、前記凹所の上方全部を覆う被覆シールが貼着されてなる蓋体において、前記蓋面部には前記凹所の境界部に接続し、網目状構造部よりなる凹凸部を備えた前記被覆シールの易剥離部が形成されているとともに、前記被覆シールが前記境界部と前記易剥離部の一部または全部を被覆していて、加熱時に電子レンジ加熱容器内の圧力により前記易剥離部に位置する前記被覆シールが剥離して前記凹所から電子レンジ加熱容器の外部への連通部が前記易剥離部と前記被覆シールの間に形成され、電子レンジ加熱容器内の水蒸気が前記連通部を介して外部へ排出されるようにしたため、従前のU字状またはV字状の切れ込みによる舌片状の開口部を用いた水蒸気の排気に代わる新たな排気構造が可能となり、しかも、水蒸気を排気する部位の保護性能も高められる。また、易剥離部の凹凸部が網目状構造部であるため、被覆シールは易剥離部の凹凸部から剥がれやすい。
第2の発明に係る電子レンジ加熱容器の蓋体によると、第1の発明において、前記通気部がレーザー光線照射の穿設であるため、加工精度が良くしかも加工時間も短縮される。
第3の発明に係る電子レンジ加熱容器の蓋体によると、第1または2の発明において、前記通気部が長孔であり、前記長孔の幅が0.15〜1mmであるため、電子レンジ加熱時に発生した水蒸気の排気に十分な開口量を得ることができる。
の発明に係る電子レンジ加熱容器の蓋体によると、第1ないし3のいずれかの発明において、前記易剥離部の前記凹凸部が、前記蓋面部より上側に突出または前記蓋面部より下側に突出しているため、密着の強さが調整される。
の発明に係る電子レンジ加熱容器の蓋体によると、第1ないしのいずれかの発明において、前記境界部と前記易剥離部の間に平坦部が配されているため、凹所の密封性は高められる。
の発明に係る電子レンジ加熱容器の蓋体によると、第1ないしのいずれかの発明において、前記境界部から前記凹所にかけて誘導溝部が形成されているため、水蒸気の易剥離部への誘導が容易となる。
の発明に係る電子レンジ加熱容器の蓋体によると、第1ないしのいずれかの発明において、前記蓋体が合成樹脂シートから形成されているため、安価かつ簡便に量産して製造でき、使い切り容器とすることができる。
の発明に係る電子レンジ加熱容器の蓋体によると、第1ないしのいずれかの発明において、前記被覆シールに表示部が付されているため、被覆シール直下の凹所が隠されて見栄えが良くなる。
本発明の実施形態に係る電子レンジ加熱容器の蓋体と容器本体の分離状態の全体縦断面図である。 図1の蓋体の全体平面図である。 第1実施形態の凹所の部分拡大平面図である。 図3の凹所の部分拡大端面図である。 第2実施形態の凹所の部分拡大平面図である。 図5の凹所の部分拡大端面図である。 被覆シールの他の実施形態の平面図である。
図1の分離状態の全体縦断面図のとおり、図示の電子レンジ加熱容器1では、容器本体100に、本発明の実施形態に係る電子レンジ加熱容器1の蓋体10が組み合わされ、被着される。容器本体100の容器内部103に食品Cが収容され、蓋体10が被せられた状態のまま電子レンジのマイクロ波照射により加熱または加温(加熱調理)される。
電子レンジ加熱容器1(容器本体100と蓋体10の組み合わせ)は、主に、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、デパート、飲食店、惣菜専門店(デリカテッセン)、喫茶店、サービスエリア等の店舗にて販売される弁当、惣菜、麺料理類、スープ料理、さらにはコーヒー、ココア、紅茶、緑茶、薬草茶等の各種飲料類を包含する食品の包装にも使用され、電子レンジによる加熱調理を想定した容器である。電子レンジ加熱容器1は、主にワンウェイ(one−way)やディスポーザブル(disposable)等と称される1回のみの使用のための使い切り容器(使い捨て容器)である。使い切り容器とすることにより、食品の衛生管理に都合よい。
使い切り容器としての利用であるため、蓋体10は安価かつ簡便に量産して製造できる合成樹脂シート(プラスチック樹脂シート)から形成される。具体的には、蓋体10は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)等の熱可塑性樹脂のシート(合成樹脂シート)、さらにはポリ乳酸等の生分解性の熱可塑性樹脂のシートである。合成樹脂シートの厚さは適宜ではあるものの、概ね1mm以下の厚さであり、通常、200ないし700μmの厚さである。そして、合成樹脂シートは真空成形により成形される。合成樹脂シートを原料とした際、その成形時の量産性、加工精度等を考慮すると真空成形が簡便かつ最適である。また、後述するように、レーザー光線照射による加工も考慮されるためである。
容器本体100と蓋体10の組み合わせにおいて、合成樹脂シートの原料樹脂を同一種類としても異なる種類としてもよい。特に、電子レンジ加熱容器1は電子レンジによる加熱に対応するため、熱伝導を考慮して容器本体100側を発泡ポリスチレン製や紙製とすることもできる。使用する樹脂の種類は用途、内容物、包装対象により適宜選択される。
容器本体100では、上方から開口部101、胴部104、底部105により構成され、食品の量に十分対応した内容量の鉢状または椀状の容器となる。容器本体100の開口部101では、外縁フランジ部107、開口周壁部106、その下端に嵌着凹部109が形成される。そして、蓋体10の断面視U字の周壁部15は、蓋密着壁部16、周溝底部17、及び内側壁部18から形成され、蓋密着壁部16に嵌着凸部19が形成される。周壁部15の外縁には蓋フランジ部14が形成される。容器本体100と蓋体10の横断面形状は適宜であり図示の実施形態では相互の開口部分を円形としている(図2参照)。多角形や楕円形等の断面形状とすることも可能である。
図示の容器本体100に被着される蓋体10は、内嵌合と称される嵌合の形態であり、蓋体10の周囲が容器本体100の開口部101の内側に嵌り込む。蓋体10の周囲には、容器本体100の開口部101と内嵌合するための断面視U字の周壁部15が設けられている。蓋体10の周壁部15は、容器本体100の開口部101の内側へ受け入れられ嵌合可能となる。図示を省略するものの、嵌合時、開口周壁部106に蓋密着壁部16は密着することにより、容器本体100と蓋体10の相互の密着が強固となる。また、蓋体10の嵌着凸部19と容器本体100の嵌着凹部109の密着も伴う。よって、蓋体10は安易に容器本体100から脱離し難くなる。なお、嵌合形態は図示の内嵌合に加えて、例えば蓋体の縁が容器本体の開口部に対して外側から被さる外嵌合の形態としてもよい。
図1の縦断面図に加えて図2の蓋体の平面図にから理解されるように、蓋体10には蓋面部11が形成され、この蓋面部11より境界部25を介して下げられた凹所20が備えられる。この凹所20には通気部40が形成される。通気部40は、電子レンジ加熱容器1を電子レンジにより加熱した際に当該容器内に発生した水蒸気を容器の外部に排出する。また、蓋体10の蓋面部11に被覆シール50が貼着され、凹所20の上方全部は被覆シール50により覆われる。従って、凹所20の密封性は高く、凹所20及びその内部の通気部40は外部からの異物混入より保護される。
蓋面部11には、凹所20の境界部25に接続する易剥離部30A(第1実施形態)が備えられる。この易剥離部30Aに凹凸部31aが形成される。そして、凹所20の周囲の境界部25と易剥離部30A(凹凸部31a)の一部は被覆シール50により被覆される。図示では易剥離部30Aの約半分量である。つまり、易剥離部30Aは完全に被覆シール50により被覆されず、一部は露出した状態である。易剥離部30A(後出の30Bも同様)は長方形形状であり短辺(幅)は10ないし20mm、長辺は20ないし50mmの大きさが好ましい。易剥離部の短辺が短すぎる場合、被覆シールの貼着位置の調整が難しく作業性に支障を来たおそれがある。逆に短辺の長さが20mmを超える場合、性能以上の過剰な長さである。図示の形態に加えて、被覆シール50が易剥離部30A(後出の30B)の全部を被覆する貼着としてもよい(図示せず)。
結果、電子レンジ加熱容器1を電子レンジ加熱した際に当該容器内に発生した水蒸気の圧力により、易剥離部30Aに位置する被覆シール50に剥離する部分が生じる。そこで、当該剥離部分に凹所20から容器の外部へ通じる連通部35が形成される(後出の図4参照)。そこで、電子レンジ加熱容器1内の水蒸気は連通部35を介して容器の外部に排出される。
図示の蓋体10において、通気部40は幅の狭い長孔41である(図3参照)。さらに、図示の例の蓋面部11では、その外周側に蓋面部11より上方に隆起した取手部61,61が備えられる。電子レンジ加熱容器1は取手部61,61により持ちやすくなる。
図3の部分拡大平面図を用い凹所20とその周囲の構造を説明する。境界部25は蓋体10の平坦な蓋面部11から凹所20の窪みへと形状の切り換わる部分である(図1参照)。図示実施形態の凹所20は、傾斜状に周囲を囲む凹所壁部21と凹所底部22から形成される。凹所底部22に通気部40が形成される。通気部40の形状は、背景技術にて言及した舌片状の構造以外の構造であれば適宜である。本実施形態においては、複数の細いスリット状の長孔41としている。他に通気部40の構造は複数の円形とすることもできる(図示せず)。
通気部40(長孔41)の形成方法としては、蓋体10の凹所20(凹所底部22)に対しレーザー光線が照射される。そこで、細いスリット状の長孔41が凹所20内に穿設される。通気部40(長孔41)の形成に際し、例えば、針刺しやドリル、カッター等の物理的な加工方法の場合、時間を多く要することに加え、十分な加工精度が得られない等の点が挙げられる。また、孔形成に際し、微粉末の発生の問題も払拭できず、事後の洗浄の手間も必要となる。そこで、簡便かつ迅速に凹所20に通気部40(長孔41)を穿設できる点から、レーザー光線の照射が好ましく用いられる。特に、レーザー光線照射は、長孔41を凹所20に複数個穿設する上で加工精度が良くしかも加工時間も短縮されるため好ましい。
レーザー光線は加工出力、加工精度等を得ることができる種類であれば、特段限定されず、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、アルゴンレーザー等の各種レーザーとそれらの照射装置が使用される。前述のように、蓋体の材質が合成樹脂のシートから形成されている場合、通気部(長孔)はレーザー光線照射により簡単かつ短時間で穿設される。特に量産性に優れる。
通気部40の個々の長孔41の幅(長方形形状と見立てたときの短辺側の長さ)は0.15ないし1mmである。より好ましい長孔41の幅は0.3ないし0.5mmである。長孔41の幅の下限は、電子レンジ加熱時に発生した水蒸気の排気に十分な開口量を得るためである。幅の下限の0.15mmはおおよそ現状の加工技術を考慮した値である。長孔41の幅が0.15mmを下回る場合、長孔は狭くなりすぎであり長孔41からの水蒸気の排気効率は低下すると考えられる。結果、容器本体100に嵌合した蓋体10は内部圧力により外れやすくなる。また、レーザー光線の照射装置の精度上の下限とも考えられる。
加えて、合成樹脂シートから形成された蓋体10(凹所20)にレーザー光線を照射すると、当該照射部位において樹脂シートが溶解して孔が開く。しかし、設定の幅が狭すぎる場合、レーザー光線照射の熱により溶解した樹脂が冷却して固化する時点で互いに接合するおそれがある。そうすると、照射部位に所望の適切な長孔が形成されず、十分な水蒸気排気が損なわれてしまう。そのため、不用意な再接合を生じにくくさせる便宜から、幅の下限は0.15mm、好ましくは0.3mmとしている。
長孔41の幅の上限は、電子レンジ加熱容器1の内部への異物混入を有効に抑制するための大きさとするためである。例えば、一般に異物として認識される微小な昆虫等の場合、幅が1mmよりも狭くなると侵入は阻まれる。さらに幅が0.5mmよりも小さいと、容器内部への侵入阻止の効果が非常に高まる。そこで、幅の上限は1mmとし、より好ましい幅の上限は0.5mmとしている。従って、長孔41の幅は前述の範囲に規定される。
長孔41の長さ(排気長孔を長方形形状と見立てたときの長辺側の長さ)については、特段限定されないものの、概ね2mmないし15mmである。極端に短いようであれば、長孔41自体の開口面積を得ることはできず、所望の水蒸気排気に支障を来たす。また15mmを越えて長くなると、長孔41の穿設量が増して凹所20と凹所底部22の構造強度が低下しやすく好ましくない。そのため、長孔41の長さは前述の範囲に規定される。
通気部40(長孔41)は、当該電子レンジ加熱容器1ごと内容物の食品を電子レンジにより加熱する場合、容器本体100内(容器内部103)に収容された食品C(図1参照)から発生する水蒸気を容器の外部に排気するための部位である。前述の説明にあるとおり、容器における容器本体100と蓋体10の組み合わせの内嵌合の構造においては、開口部101における相互の嵌合と密着は強固である。そのため、内部発生の水蒸気は開口部101から外部に抜け出ることはほぼ無く、何らの水蒸気を排気する部位を備えなければ、電子レンジ加熱時に不用意に蓋体10が外れてしまうおそれがある。そこで、蓋体10側に通気部40が設けられていることにより、内部発生の水蒸気は効率良く排気可能となる。
図3の第1実施形態の易剥離部30Aにおける凹凸部31aの形成のため、凹凸部31aには網目状構造部32が採用される。図示の網目状構造部32は斜めの格子模様である。第1実施形態の易剥離部30Aの凹凸部31aでは、凹凸部31aの格子模様の線部34を残して大半の方形部33は蓋面部11より下側に突出している(図4参照)。このため、被覆シール50は凹凸部31aの格子の線部34のみで密着することになり、密着面積は減らされ、密着の強さが調整されている。よって、被覆シール50は易剥離部30Aの凹凸部31aから剥がれやすくしている。
また、境界部25と易剥離部30A(凹凸部31a)の間に平坦部26が配される。平坦部26が境界部25の周囲に配置されていることから、境界部25の周囲は被覆シール50により密着され、凹所20の密封性はより高められる。こうすると、電子レンジ加熱時以外に、被覆シール50が易剥離部30A(凹凸部31a)側において剥離するような場合に合っても平坦部26において剥離を止めることが出来る。
平坦部26を挟んで境界部25から易剥離部30A(凹凸部31a)までの距離が一定の場合、容器内部に発生した水蒸気の経路は形成され難くなる。あるいは、不規則な場所から水蒸気が噴出すおそれがある。そこで、常時、水蒸気を易剥離部30Aに誘導する必要がある。この点を踏まえ、境界部25から凹所20にかけて誘導溝部27が形成される。図示の例では、誘導溝部27は凹所壁部21に断面視V字状の切れ込みとして形成され、かつ、誘導溝部27の溝端部28は境界部25を越えて平坦部26にも食い込んだ形状である。そこで、平坦部26に他の部位よりも幅の狭い狭小部29が形成される。
図3から理解されるように、凹所20は境界部25を含めて被覆シール50の直下にあり、完全に被覆シール50の貼着により保護されている。さらに、被覆シール50により被覆されている境界部25寄りの易剥離部30Aについても、凹凸部31aの網目状構造部32が採用されているため、剥離し易さは確保される。同時に、易剥離部30Aの凹凸部31aは入り組んだ構造のため、被覆シール50が貼着していない部分からの異物の侵入に対して抑止可能である。
図4は易剥離部30Aを含む凹所20の部分拡大端面図である。同図を用い水蒸気排気の様子を説明する。電子レンジ加熱時に容器の内部において発生した水蒸気は容器本体100の開口部101からは漏出せず容器内部103に充満する。水蒸気は所定の圧力を超えたとき、水蒸気Vpは通気部40の長孔41から噴出し、凹所20とその直上の被覆シール50に覆われた凹所空間部24に到達する。凹所空間部24内の水蒸気Vpの圧力は均一である。特に図示のとおり、境界部25に誘導溝部27が形成されているため、水蒸気Vpは誘導溝部27を伝いながら境界部25を越えて平坦部26に到達する。さらに、水蒸気Vpは平坦部26の狭小部29に集中する。平坦部26の狭小部29の構造から、より短時間かつ低い水蒸気圧力により、水蒸気Vpは狭小部29及び易剥離部30Aの直上の被覆シール50の貼着を剥離させる。
こうして、凹所20(凹所空間部24)から電子レンジ加熱容器1の外部へと通じる連通部35が、易剥離部30Aと被覆シール50の間に形成される。易剥離部30Aについても、凹凸部31aの構造に起因して被覆シール50の剥離は容易であるため、易剥離部30Aに浸入した水蒸気Vpの圧力により剥離容易である。そこで、図示のとおり電子レンジ加熱時に水蒸気の経路となる連通部35が生じ、容器内部に発生した水蒸気は安定して容器の外部に排気される。容器本体100及び蓋体10の過剰な膨張は防がれ、不用意な蓋体の嵌合解除はなくなる。
続いて図5及び図6を用い第2実施形態の易剥離部30Bを説明する。第2実施形態の易剥離部30Bにおいてもその凹凸部31bの形成のため、凹凸部31bには網目状構造部32が採用される。図示の網目状構造部32は斜めの格子模様である。第2実施形態の易剥離部30Bの凹凸部31bでは、凹凸部31bの格子模様の方形部33を残して大半の線部34は蓋面部11より上側に突出している(図6参照)。このため、被覆シール50は凹凸部31bの格子の線部34で密着している。よって、被覆シール50は易剥離部30Bの凹凸部31bからも剥がれやすくしている。なお、第1実施形態の凹凸部31aと第2実施形態の凹凸部31bを比較すると、凹凸部31bは蓋面部11より線部34の高さが盛り上がった状態であり、より浮き上がりやすくしている。いずれの形態の選択は蓋面部の意匠、水蒸気の排出量等の考慮による。
第2実施形態にも境界部25と易剥離部30A(凹凸部31a)の間に平坦部26が配され、境界部25から凹所20にかけて誘導溝部27が形成される。そして、平坦部26に他の部位よりも幅の狭い狭小部29が形成される。これらの各部位における水蒸気通過時の作用、効果は前述の第1実施形態と同様である。また、図5から理解されるように、凹所20は境界部25を含めて被覆シール50の直下にあり、完全に被覆シール50の貼着により保護されている。さらに、被覆シール50により被覆されている境界部25寄りの易剥離部30Bについても、凹凸部31bの網目状構造部32が採用されているため、剥離し易さは確保される。同時に、易剥離部30Bの凹凸部31bは入り組んだ構造のため、被覆シール50が貼着していない部分からの異物の侵入に対して抑止可能である。
図6は易剥離部30Bを含む凹所20の部分拡大端面図である。電子レンジ加熱時に容器の内部において発生した水蒸気Vpは通気部40の長孔41から噴出し、凹所20とその直上の被覆シール50に覆われた凹所空間部24に到達する。水蒸気Vpは誘導溝部27を伝いながら境界部25を越えて平坦部26に到達する。さらに、水蒸気Vpは平坦部26の狭小部29に集中する。平坦部26の狭小部29の構造から、より短時間かつ低い水蒸気圧力により、水蒸気Vpは狭小部29及び易剥離部30Bの直上の被覆シール50の貼着を剥離させる。
こうして、凹所20(凹所空間部24)から電子レンジ加熱容器1の外部へと通じる連通部35が、易剥離部30Bと被覆シール50の間に形成される。易剥離部30Bについても、凹凸部31bの構造に起因して被覆シール50の剥離は容易であるため、易剥離部30Bに浸入した水蒸気Vpの圧力により剥離容易である。そこで、図示のとおり電子レンジ加熱時に水蒸気の経路が生じて容器内部に発生した水蒸気は安定して容器の外部に排気される。容器本体100及び蓋体10の過剰な膨張は防がれ、不用意な蓋体の嵌合解除はなくなる。
また、図3ないし図6に開示の蓋面部11における凹所20の構造から把握されるように、通気部40の長孔41から噴出した水蒸気が液化して水滴となった際、水滴は凹所20に溜まる。凹所空間部24は被覆シール50により閉じられているため、水滴は漏れ出て蓋面部11に広がらなくなる。加えて、易剥離部30A及び30Bの凹凸部31a及び31bの直上は被覆シール50の粘着面により被覆されていることから、易剥離部30A及び30Bの被覆シール50により被覆されていない部分から異物が浸入しようとしても、被覆シール50の粘着面により捕捉されやすくなる。
続く図7の平面図は被覆シールの他の実施形態である。被覆シール50には表示部51が付されている。図示は、表示部51として商品を示すバーコード52と、商品名53である。むろん、このほかに原材料名、販売者名等も表示部として付すことができる。被覆シール50に表示部51が形成されることによって、同被覆シール50の直下の凹所20の通気部40等が隠されて見栄えが良くなる。加えて、商品名等の表示シールの蓋面部への別途貼付も省略可能である。そのため、蓋面部がシール等により隠れる量は少なくなり、当該容器内の食品の盛り付け等は確認されやすく、購買者への訴求性も高まる。
本発明の電子レンジ加熱容器の蓋体は、単純な構造により効率良く水蒸気の排気が可能であり、さらに排気部位を保護する構造も備えており、電子レンジ加熱容器に用いられる蓋体の代替として極めて有効となる。
1 電子レンジ加熱容器
10 蓋体
11 蓋面部
15 周壁部
16 蓋密着壁部
20 凹所
21 凹所壁部
22 凹所底部
24 凹所空間部
25 境界部
26 平坦部
27 誘導溝部
28 溝端部
29 狭小部
30A,30B 易剥離部
31a,31b 凹凸部
32 網目状構造部
33 方形部
34 線部
35 連通部
40 通気部
41 長孔
50 被覆シール
51 表示部
100 容器本体
101 開口部
103 容器内部
104 胴部
105 底部
C 食品
Vp 水蒸気

Claims (8)

  1. 電子レンジ加熱容器の容器本体の開口部に被着される蓋体であって、前記蓋体は蓋面部と前記蓋面部より境界部を介して下げられた凹所を備えており、前記凹所には電子レンジ加熱により電子レンジ加熱容器内に発生する水蒸気のための通気部が形成され、かつ、前記凹所の上方全部を覆う被覆シールが貼着されてなる蓋体において、
    前記蓋面部には前記凹所の境界部に接続し、網目状構造部よりなる凹凸部を備えた前記被覆シールの易剥離部が形成されているとともに、
    前記被覆シールが前記境界部と前記易剥離部の一部または全部を被覆していて、
    加熱時に電子レンジ加熱容器内の圧力により前記易剥離部に位置する前記被覆シールが剥離して前記凹所から電子レンジ加熱容器の外部への連通部が前記易剥離部と前記被覆シールの間に形成され、電子レンジ加熱容器内の水蒸気が前記連通部を介して外部へ排出されるようにした
    ことを特徴とする電子レンジ加熱容器の蓋体。
  2. 前記通気部がレーザー光線照射の穿設である請求項1に記載の電子レンジ加熱容器の蓋体。
  3. 前記通気部が長孔であり、前記長孔の幅が0.15〜1mmである請求項1または2に記載の電子レンジ加熱容器の蓋体。
  4. 前記易剥離部の前記凹凸部が、前記蓋面部より上側に突出または前記蓋面部より下側に突出している請求項1ないしのいずれか1項に記載の電子レンジ加熱容器の蓋体。
  5. 前記境界部と前記易剥離部の間に平坦部が配されている請求項1ないしのいずれか1項に記載の電子レンジ加熱容器の蓋体。
  6. 前記境界部から前記凹所にかけて誘導溝部が形成されている請求項1ないしのいずれか1項に記載の電子レンジ加熱容器の蓋体。
  7. 前記蓋体が合成樹脂シートから形成されている請求項1ないしのいずれか1項に記載の電子レンジ加熱容器の蓋体。
  8. 前記被覆シールに表示部が付されている請求項1ないしのいずれか1項に記載の電子レンジ加熱容器の蓋体。
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