JP2018047953A - 電子レンジ加熱食品用容器 - Google Patents

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泰輔 下野
春太 山下
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春太 山下
満孝 福田
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満孝 福田
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Abstract

【課題】U字状またはV字状の切れ込みによる舌片状の開口部を用いた水蒸気の排気に代わる新たな排気構造を提案するとともに、その位置にも鋭意検討を重ねることにより、封止性能改善、異物混入抑制を実現し、資材コストの軽減にも有利であり、より良好な水蒸気排気を可能とする電子レンジ加熱食品用容器を提供する。【解決手段】容器本体部と容器本体部と嵌合する蓋体部10Aを備え食品を収容する電子レンジ加熱のための食品用容器であって、蓋体部が合成樹脂シートから形成されていて、蓋体部10Aの蓋面部11に上方に隆起した蓋突条部20が備えられ、レーザー光線照射により蓋突条部の幅方向に幅を0.15〜1mmに穿設されていて、蓋突条部の突条上面部22の幅方向全体を跨いで穿設された第1排気長孔41と、この穿設長さよりも短く穿設された第2排気長孔42とから構成される排気長孔部40が備えられる。【選択図】図2

Description

本発明は電子レンジ加熱食品用容器に関し、特に蓋体部からの水蒸気の効率よい排気を可能とする容器に関する。
調理済み食品をコンビニエンスストア等の小売店にて販売する際の加熱調理または持ち帰った後の加熱調理に際し、これらの食品を包装する容器は容器本体部と蓋体部の組み合わせからなる。特に、陳列、販売等の1回のみの使用に用いられる使い切り容器であることから、極力簡素化した構造である。そのため、現状、合成樹脂シートの成形品が容器の主流である。
食品の加熱調理や温め直しには、通常電子レンジ(マイクロ波照射)が使用される。そこで、食品容器ごと電子レンジ内に入れられそのまま加熱された後に提供される。実際に販売される食品に着目すると、スープ類のように水分量の多い食品から、炒め物等のように重量当たりの水分量の少ない食品まで存在し、食品の種類は実に多用である。ここで問題となることは、電子レンジによる食品の加熱調理の際、容器内の食品から水蒸気が発生することである。
容器本体と蓋体の嵌合を緩くすれば内部発生の水蒸気の排気は容易である。しかし、蓋体側の嵌合が緩い場合、製造、出荷、陳列の中間段階で蓋体が外れやすい等の問題から異物混入が懸念される。このため、食品の購入者からの評判は思わしくない。そこで、内部発生の水蒸気を容器外部に排気するための穴部を形成した蓋体が提案されている(特許文献1、2等参照)。特許文献1、2に代表される容器の蓋体によると、U字状またはV字状の切れ込みによる舌片状の開口部が蓋体に形成されている。水蒸気はこの舌片状の開口部を通過して容器外部に放出される。
U字状またはV字状の切れ込みによる舌片状の開口部の排気効率は良好である。ところが、水蒸気の排気が良好ということは、それだけ、舌片状の開口部からの異物侵入のおそれも増す。そのために、この場合、舌片状の開口部を塞ぐ封止テープが貼付されることがある。さらには、舌片状の開口部を被覆するためのフィルム部材も別途必要により被せられる。例えば、フィルム部材を被せる場合、舌片状の開口部の周りを取り囲む壁部が蓋体側に設けられ、舌片状の開口部の周りに隙間が形成される。そして、この壁部にも水蒸気の通り道が形成される等、構造が複雑となっていた。また、切れ込みによる舌片が折れて容器内部に落下すると、それ自体が異物混入となる問題も内包している。
上述のように、既存の水蒸気を排気する構造を採用した容器では本来の食品包装にのみ必要な資材以外も必要となり、コスト上昇が否めない。加えて、切れ込みによる舌片状の開口部の形状は一律であり、周辺構造の制約も多い。
特開2012−50672号公報 実用新案登録第3056026号公報
一連の経緯から、発明者は、U字状またはV字状の切れ込みによる舌片状の開口部を用いた水蒸気の排気に代わる新たな排気構造を模索してきた。その中で容器の蓋体部に微細な長孔を設けた構造が有効であることを見出した。しかも、微細な長孔であることから、破損や異物混入への耐性も良好であることが判明した。
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、従前のU字状またはV字状の切れ込みによる舌片状の開口部を用いた水蒸気の排気に代わる新たな排気構造を提案するとともに、その位置にも鋭意検討を重ねることにより、封止性能改善、異物混入抑制を実現し、資材コストの軽減にも有利であり、より良好な水蒸気排気を可能とする電子レンジ加熱食品用容器を提供する。
すなわち、請求項1の発明は、容器本体部と、前記容器本体部の開口部と嵌合する蓋体部とを備え、前記容器本体部内に食品を収容する電子レンジ加熱のための食品用容器であって、前記蓋体部の蓋面部に前記蓋面部から上方に隆起した蓋突条部が備えられ、前記蓋突条部に、電子レンジ加熱に際し前記容器本体部内に収容された食品から発生する水蒸気を外部に排気する、レーザー光線照射により前記蓋突条部の幅方向に穿設された幅を0.15〜1mmとする排気長孔部が備えられていて、前記排気長孔部が、前記蓋突条部の突条上面部の幅方向全体を跨いで穿設された第1排気長孔と、前記第1排気長孔の穿設長さよりも短く穿設された第2排気長孔から構成されることを特徴とする電子レンジ加熱食品用容器に係る。
請求項2の発明は、前記排気長孔部における前記第1排気長孔と前記第2排気長孔が、互いに隣接して交互に櫛歯状に配置されている請求項1に記載の電子レンジ加熱食品用容器に係る。
請求項3の発明は、前記蓋面部に囲み壁部が備えられ、前記蓋突条部が前記囲み壁部の内側に形成されている請求項1または2に記載の電子レンジ加熱食品用容器に係る。
請求項4の発明は、前記蓋突条部の突条上面部が、前記囲み壁部の壁上面部より低く形成されている請求項3に記載の電子レンジ加熱食品用容器に係る。
請求項5の発明は、前記蓋面部に蓋窪部が備えられ、前記蓋突条部が前記蓋窪部内に形成されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱食品用容器に係る。
請求項6の発明は、前記囲み壁部に凹溝部が備えられている請求項3または4に記載の電子レンジ加熱食品用容器に係る。
請求項7の発明は、前記蓋突条部が前記囲み壁部の突壁部側と連通接続部によって連通して接続されている請求項5または6に記載の電子レンジ加熱食品用容器に係る。
請求項8の発明は、前記蓋体部が合成樹脂シートから形成されている請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱食品用容器に係る。
請求項1の発明に係る電子レンジ加熱食品用容器によると、容器本体部と、前記容器本体部の開口部と嵌合する蓋体部とを備え、前記容器本体部内に食品を収容する電子レンジ加熱のための食品用容器であって、前記蓋体部の蓋面部に前記蓋面部から上方に隆起した蓋突条部が備えられ、前記蓋突条部に、電子レンジ加熱に際し前記容器本体部内に収容された食品から発生する水蒸気を外部に排気する、レーザー光線照射により前記蓋突条部の幅方向に穿設された幅を0.15〜1mmとする排気長孔部が備えられていて、前記排気長孔部が、前記蓋突条部の突条上面部の幅方向全体を跨いで穿設された第1排気長孔と、前記第1排気長孔の穿設長さよりも短く穿設された第2排気長孔から構成されるため、従前のU字状またはV字状の切れ込みによる舌片状の開口部を用いた水蒸気の排気に代わる新たな排気構造を提案するとともに、その位置にも鋭意検討を重ねることにより、封止性能改善、異物混入抑制を実現し、資材コストの軽減にも有利であり、しかも、簡便かつ迅速に排気長孔を穿設することができる。
請求項2の発明に係る電子レンジ加熱食品用容器によると、請求項1の発明において、前記排気長孔部における前記第1排気長孔と前記第2排気長孔が、互いに隣接して交互に櫛歯状に配置されているため、加熱時の水蒸気圧力を受けて蓋突条部は柔軟性を伴って変形可能となる。
請求項3の発明に係る電子レンジ加熱食品用容器によると、請求項1または2の発明において、前記蓋面部に囲み壁部が備えられ、前記蓋突条部が前記囲み壁部の内側に形成されているため、排気長孔部から噴出した水蒸気が液化して水滴となった際に水滴を留めておくことができる。
請求項4の発明に係る電子レンジ加熱食品用容器によると、請求項3の発明において、前記蓋突条部の突条上面部が、前記囲み壁部の壁上面部より低く形成されているため、上方に保護フィルムが貼着された場合においても間隙部が生じて水蒸気が排気長孔部から噴出する際の抵抗が少なくなる。
請求項5の発明に係る電子レンジ加熱食品用容器によると、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記蓋面部に蓋窪部が備えられ、前記蓋突条部が前記蓋窪部内に形成されているため、排気長孔部から噴出した水蒸気が液化して水滴となった際に水滴を留めておくことができる。
請求項6の発明に係る電子レンジ加熱食品用容器によると、請求項3または4の発明において、前記囲み壁部に凹溝部が備えられているため、囲み壁部の内部に滞留する水蒸気は凹溝部を通じて外部に抜け出やすくなる。
請求項7の発明に係る電子レンジ加熱食品用容器によると、請求項5または6の発明において、前記蓋突条部が前記囲み壁部の突壁部側と連通接続部によって連通して接続されているため、電子レンジ加熱時に食品から発生する水蒸が囲み壁部を経由して蓋突条部20に到達可能となって排気長孔部の第1排気長孔及び第2排気長孔から円滑に排気される。
請求項8の発明に係る電子レンジ加熱食品用容器によると、請求項1ないし7のいずれかの発明において、前記蓋体部が合成樹脂シートから形成されているため、安価かつ簡便に量産して製造でき、使い切り容器とすることができる。
本発明の第1実施形態に係る電子レンジ加熱食品用容器の分離状態の全体縦断面図である。 図1の蓋体部の全体平面図である。 水蒸気排気時の排気長孔部の模式図である。 他の例に係る蓋突条部の斜視図である。 第1実施形態の蓋体部の部分拡大平面図及び断面図である。 第2実施形態の蓋体部の部分拡大平面図及び断面図である。 蓋体部における水蒸気の流れを示す概略図である。 実施例1の蓋体部の写真である。 実施例2の蓋体部の写真である。 比較例の蓋体部の写真である。
本発明の実施形態に係る食品用容器1は、図1の分離状態の全体縦断面図のとおり、容器本体部100と、この容器本体部100の開口部101と嵌合する蓋体部10A(第1実施形態)の組み合わせから構成される。また、容器本体部100は後出の蓋体部10B(図6等の第2実施形態)とも組み合わせられる。容器本体部100の容器内部103に食品Cが収容され、蓋体部10A(10B)が被せられた状態のまま電子レンジのマイクロ波照射により加熱または加温される(加熱調理)。それゆえ、食品用容器1は「電子レンジ加熱食品用容器」である。
食品用容器1(容器本体部100と蓋体部10Aまたは10Bとの組み合わせ)は、主に、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、デパート、飲食店、惣菜専門店(デリカテッセン)、喫茶店、サービスエリア等の店舗にて販売される弁当、惣菜、麺料理類、スープ料理、さらにはコーヒー、ココア、紅茶、緑茶、薬草茶等の各種飲料類を包含する食品の包装にも使用され、電子レンジによる加熱調理を想定した容器である。食品用容器1は、主にワンウェイ(one−way)やディスポーザブル(disposable)等と称される1回のみの使用のための使い切り容器(使い捨て容器)である。使い切り容器とすることにより、食品の衛生管理に都合よい。
使い切り容器としての利用であるため、食品用容器1の蓋体部10A(10B)は安価かつ簡便に量産して製造できる合成樹脂シート(プラスチック樹脂シート)から形成される。具体的には、蓋体部10A(10B)は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)等の熱可塑性樹脂のシート(合成樹脂シート)、さらにはポリ乳酸等の生分解性の熱可塑性樹脂のシートである。合成樹脂シートの厚さは適宜ではあるものの、概ね1mm以下の厚さであり、通常、200ないし700μmの厚さである。そして、合成樹脂シートは真空成形により成形される。合成樹脂シートを原料とした際、その成形時の量産性、加工精度等を考慮すると真空成形が簡便かつ最適である。また、後述するように、レーザー光線照射による加工も考慮されるためである。
容器本体部100と蓋体部10A(10B)の組み合わせにおいて、合成樹脂シートの原料樹脂を同一種類としても異なる種類としてもよい。特に、食品用容器1は電子レンジによる加熱に対応するため、熱伝導を考慮して容器本体部側を発泡ポリスチレン製や紙製とすることもできる。使用する樹脂の種類は用途、内容物、包装対象により適宜選択される。続く図2等に開示の実施形態では、蓋体部10A(10B)はポリスチレン製とし、容器本体部100は発泡ポリスチレン製とする。両蓋体部の嵌合部位の構造は共通であるため、以降、第1実施形態の蓋体部10Aを代表例として用い、各部位の構造等を説明する。
容器本体部100では、上方から開口部101、胴部104、底部105により構成され、食品の量に十分対応した内容量の鉢状または椀状の容器となる。容器本体部100の開口部101では、外縁フランジ部107、開口周壁部106、その下端に嵌着凹部109が形成される。そして、蓋体部10Aの断面視U字の周壁部15は、蓋密着壁部16、周溝底部17、及び内側壁部18から形成され、蓋密着壁部16に嵌着凸部19が形成される。周壁部15の外縁には蓋フランジ部14が形成される。容器本体部100と蓋体部10Aの横断面形状は適宜であり図示の実施形態では円形としている。多角形や楕円形等の断面形状とすることも可能である。
図示の容器本体部100と蓋体部10Aの嵌合は、内嵌合と称される形態であり、蓋体部10Aの周囲が容器本体部100の開口部101に嵌り込む形態である。蓋体部10Aの周囲には、容器本体部100の開口部101と内嵌合するための断面視U字の周壁部15が設けられている。蓋体部10Aの周壁部15は、容器本体部100の開口部101の内側へ受け入れられ嵌合可能となる。図示を省略するものの、嵌合時、開口周壁部106に蓋密着壁部16は密着することにより、容器本体部100と蓋体部10Aの相互の密着が強固となる。また、蓋体部10Aの嵌着凸部19と容器本体部100の嵌着凹部109の密着も伴う。よって、蓋体部10Aは安易に容器本体部100から脱離し難くなる。当該嵌合は、第2実施形態の蓋体部10Bにおいても共通である。なお、嵌合形態は図示の内嵌合の他に、例えば蓋体部の縁が容器本体部の開口部に対して外側から被さる外嵌合とすることもできる。
図1の縦断面図に加えて図2の蓋体部の平面図にから理解されるように、第1実施形態の蓋体部10Aでは、その蓋面部11から上方に隆起した蓋突条部20が備えられる。この蓋突条部20に排気長孔部40が備えられる。図示の実施形態では、排気長孔部40が穿設された蓋突条部20とは別に、蓋面部11から上方に隆起した囲み壁部21が備えられる。図示の囲み壁部21は突壁部24の組み合わせからなる長方形状である。さらに蓋面部11の囲み壁部21の内側に蓋窪部25が備えられる。そして、図示の実施形態では、2列の蓋突条部20が囲み壁部21の内側に形成される。同時に、蓋突条部20は蓋窪部25に形成されていることになる。蓋窪部25は蓋面部11よりも低位置に形成されている。
蓋窪部25が備えられることにより、次述の排気長孔部40の第1排気長孔41と第2排気長孔42から噴出した水蒸気が液化して水滴となった際、水滴は蓋窪部25に溜まる。このため、水滴は蓋面部11に広がることは無く、蓋面部11の濡れる部位は少なくなる。図1中、符号12は蓋裏面部、28は壁上面部である。
蓋突条部20に穿設される排気長孔部40は、実施形態では第1排気長孔41と第2排気長孔42の2種類の排気長孔から構成される。第1排気長孔41は、蓋突条部20の幅方向(突条上面部22)の全体を跨いで穿設形成されている。第1排気長孔41は蓋突条部20の幅方向となる突条上面部22に直線状に形成されているのみならず、蓋突条部20の上下方向にも入り込んで形成される。具体的には、第1排気長孔41は縦断面視「Π」字状(横倒しコ字状)の立体的なスリット溝である(図3,4参照)。これに対し、第2排気長孔42は蓋突条部20の幅方向(突条上面部22)を部分的に跨いで第1排気長孔41の穿設長さよりも短く穿設される。図示からわかるように、蓋突条部20の幅方向(突条上面部22)の途中から始まるスリット溝であり、横倒し縦断面視「L」字状の立体的なスリット溝である(図3,4参照)。
排気長孔部40の第1排気長孔41と第2排気長孔42は、蓋突条部20において互いに隣接して交互に「櫛歯状」に配置されている。櫛歯状とは、排気長孔部40を構成する第1排気長孔41と第2排気長孔42がほぼ均等間隔に複数個、蓋突条部20の長さ方向(長尺方向)に平行に並んだ配置をいう。さらに、この例では、第1排気長孔41と第2排気長孔42が互いに隣接して交互となるように配置されている。つまり、当該排気長孔部40の配置は、第1排気長孔41、第2排気長孔42、第1排気長孔41、第2排気長孔42の連続である。
排気長孔部40(第1排気長孔41及び第2排気長孔42)は、当該食品用容器1ごと内容物の食品を電子レンジにより加熱した場合、容器本体部100内(容器内部103)に収容された食品C(図1参照)から発生する水蒸気を食品用容器1の外部に排気するための部位である。前述の説明にあるとおり、食品用容器1における容器本体部100と蓋体部10の組み合わせの内嵌合の構造において、開口部101における相互の嵌合と密着は強固である。そのため、内部発生の水蒸気は開口部101から外部に抜け出ることはほぼ無い。何らの水蒸気を排気する部位が存在しなければ、電子レンジ加熱時に不用意に蓋体部10が外れてしまうおそれがある。そこで、蓋体部10側に排気長孔部40が設けられることにより、内部発生の水蒸気は効率良く排気可能となる。
排気長孔部40(第1排気長孔41及び第2排気長孔42)の形成方法としては、蓋突条部20に対しレーザー光線が照射される。そこで、細いスリット状の排気長孔部40が蓋突条部20に穿設される。排気長孔部40の形成に際し、例えば、針刺しやドリル、カッター等の物理的な加工方法の場合、時間を多く要することに加え、十分な加工精度が得られない等の点が挙げられる。また、孔形成に際し、微粉末の発生の問題も払拭できず、事後の洗浄の手間も必要となる。そこで、簡便かつ迅速に蓋突条部20に排気長孔部を穿設可能な点から、レーザー光線の照射が用いられる。特に、レーザー光線の照射は、排気長孔部40を蓋突条部20に櫛歯状に複数個穿設する上で加工精度が良くしかも加工時間も短縮できるため好ましい。
レーザー光線は加工出力、加工精度等を得ることができる種類であれば、特段限定されず、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、アルゴンレーザー等の各種レーザーとそれらの照射装置が使用される。前述のように、蓋体部の材質が合成樹脂のシートから形成されている場合、排気長孔部を構成する第1排気長孔41及び第2排気長孔42のそれぞれはレーザー光線照射により簡単かつ短時間で穿設される。特に量産性に優れる。
個々の第1排気長孔41及び第2排気長孔42の幅(長方形形状と見立てたときの短辺側の長さ)は0.15ないし1mmである。より好ましい各排気長孔の幅は0.3ないし0.5mmである。通常、第1排気長孔41及び第2排気長孔42の幅はレーザー光線照射の加工の都合からそれぞれ共通とされる。なお、それぞれの排気長孔における幅を適度に変えることもできる。第1排気長孔41及び第2排気長孔42の幅の下限は、電子レンジ加熱時に発生した水蒸気の排気に十分な開口量を得るためである。幅の下限の0.15mmはおおよそ現状の加工技術を考慮した値である。各排気長孔の幅が0.15mmを下回る場合、それぞれの排気長孔は狭くなりすぎであり個々の排気長孔からの水蒸気の排気効率は低下すると考えられる。結果、容器本体部100に嵌合した蓋体部10が内部圧力により外れやすくなる。また、レーザー光線の照射装置の精度上の下限とも考えられる。
加えて、合成樹脂シートから形成された蓋体部10にレーザー光線を照射すると、当該照射部位において樹脂シートが溶融して孔が開く。しかし、設定の幅が狭すぎる場合、レーザー光線照射の熱により溶融した樹脂が冷却して固化する時点で互いに接合するおそれがある。そうすると、照射部位に所望の適切な幅の排気長孔が形成されず、十分な水蒸気排気が損なわれてしまう。そのため、不用意な再接合を生じにくくさせる便宜から、幅の下限は0.15mm、好ましくは0.3mmとしている。
第1排気長孔41及び第2排気長孔42の幅の上限は、食品用容器1の内部への異物混入を有効に抑制するための大きさとするためである。例えば、一般に異物として認識される微小な昆虫等の場合、幅が1mmよりも狭くなると侵入は阻まれる。さらに幅が0.5mmよりも小さいと、容器内部への侵入阻止の効果が非常に高まる。そこで、幅の上限は1mmとし、より好ましい幅の上限は0.5mmとしている。従って、各排気長孔の幅は前述の範囲に規定される。
排気長孔部40において、第1排気長孔41の長さ(排気長孔を長方形形状と見立てたときの長辺側の長さと両端の折れ曲がり部分の長さの合計)については、概ね10mmないし20mmである。極端に短いようであれば、排気長孔部40自体の開孔面積を得ることはできず、所望の水蒸気排気に支障を来たす。また20mmを越えて長くなると、蓋突条部20における排気長孔部40全体の穿設部分の強度も低下しやすくなり好ましくないためである。そのため、第1排気長孔41の長さは前述の範囲に規定される。
排気長孔部40において、第1排気長孔41よりも短い第2排気長孔42の長さ(排気長孔を長方形形状と見立てたときの長辺側の長さと片端の折れ曲がり部分の長さの合計)については、概ね5mmないし15mmである。極端に短いようであれば、排気長孔部40自体の開孔に寄与することはできず、所望の水蒸気排気に支障を来たす。また15mmを越えて長くなると、第1排気長孔41の長さと揃ってしまい排気長孔部40全体の穿設部分の強度も低下しやすくなり好ましくないためである。そのため、第2排気長孔42の長さは前述の範囲に規定される。
蓋突条部20における第1排気長孔41及び第2排気長孔42の配置は、前述のとおり各排気長孔が平行となる「櫛歯状」である。そこで、第1排気長孔41及び第2排気長孔42の相互の間隔は、概ね2ないし5mmである。第1排気長孔41及び第2排気長孔42の間隔が2mmを下回る場合、互いの排気長孔同士が近接する。このため、蓋突条部20に穿設された排気長孔部40の付近の強度は、蓋体部10A(10B)の合成樹脂シートの剛性を加味しても低下しやすくなる。従って、排気長孔部40の強度維持の観点から2mm以上の間隔が必要とされる。第1排気長孔41及び第2排気長孔42の間隔が5mmを上回る場合、逆に間隔が広くなりすぎて蓋突条部20の水蒸気圧力を受けた変形が円滑に進まず、内部発生の水蒸気排気の効率に寄与しないと考えられる。これらを踏まえ、第1排気長孔41及び第2排気長孔42の間隔は、概ね2ないし5mmの範囲とされる。
図2の蓋体部10Aから把握されるように、蓋面部11には、同蓋面部11から上方に隆起した補助囲み壁部31も備えられる。図示の補助囲み壁部31は補助突壁部34の組み合わせからなる長方形状である。補助囲み壁部31の内側は補助窪部35である。図示からわかるように、囲み壁部21と補助囲み壁部31はともに長方形形状であり、突壁部24と補助突壁部34を共通として一体化された枠形状である。載置の便宜から補助窪部35も蓋面部11よりも低位置に形成される。図中の符号38は補助壁上面部である。
容器本体部100内の食品の調味のための香辛料や調味料等を収容した小袋等(図示せず)は必要により補助窪部35に載置される。加えて、補助囲み壁部31の一部には、補助凹溝部37が備えられる。後出の図5,6のとおり、蓋体部10A,10B(蓋面部11)には包装用等の保護フィルムFが貼着される。この場合、囲み壁部21内の蓋突条部20に穿設された排気長孔部40(第1排気長孔41及び第2排気長孔42)から噴出した水蒸気が保護フィルムを伝い補助囲み壁部31側に流れ込む場合がある。そこで、水蒸気は補助凹溝部37を通じて補助窪部35内から外部に抜け出る。こうすると、補助窪部35に載置された小袋等の濡れは抑えられる。
また、蓋体部10Aの蓋面部11において、囲み壁部21と補助囲み壁部31の外周側に蓋傾斜部60,60が備えられる。さらに、蓋面部11の外周側には取手部61,61も備えられる。蓋体部の角を切り落とした形状となる蓋傾斜部60,60を介することにより、保護フィルムは蓋体部10(蓋面部11)へ貼着されやすくなる。加えて、食品用容器1は取手部61,61により持ちやすくなる。これまでに説明した補助囲み壁部31、蓋傾斜部60、取手部61の構造は、第2実施形態の蓋体部10Bにおいても共通である。
図3の模式図を用い、蓋体部10Aにおける水蒸気排気の様子を説明する。後出の蓋体部10Bにおいても排気の機構は同様である。電子レンジによる加熱前の蓋突条部20及び排気長孔部40の平面図(図3(a))及び側面図(同(b))である。排気長孔部40では第1排気長孔41及び第2排気長孔42は一定間隔の櫛歯状に蓋突条部20の突条上面部22に穿設される。第1排気長孔41の穿設部位は蓋突条部20を幅方向全体に跨いでいるため、両側の蓋突条部20の突条側面部23にも食い込んでいる。
これに対し、第2排気長孔42の穿設部位は突条上面部22の途中から始まり、第2排気長孔42の穿設部位は蓋突条部20を幅方向の一部を跨いで形成されているため、蓋突条部20の片側の突条側面部23にも食い込んでいる。図示から理解されるように、排気長孔部40の第1排気長孔41及び第2排気長孔42の長孔側端部43は短い「I」字状である。
電子レンジによる加熱時の様子は、蓋突条部20及び排気長孔部40の平面図(図3(c))及び側面図(同(d))である。加熱により容器本体部100内の内容物(食品)から発生した水蒸気に伴い食品用容器1の内部圧力は上昇する。すると、蓋体部10A(10B)は水蒸気の圧力を受けて蓋突条部20も湾曲して撓る。このとき、突条上面部22も水蒸気の圧力により膨張する。すると、第1排気長孔41の形状は加熱前の平面視長方形状(同(b))から僅かに膨らんで紡錘形状(同(d))になる。
さらに、蓋突条部20の湾曲の変形を受けて第1排気長孔41の長孔側端部43は当初の「I」字状から「V」字状に突条上面部22側が拡張するように形状が変形する。つまり、長孔側端部43の縦方向の切れ込みの突条上面部22側ほど拡張量が増すためである。同時に、第2排気長孔42においても、蓋突条部20の角部26を中心に突条上面部22及び突条側面部23の両側が当初の「I」字状から「V」字状に拡大変形可能となる。これも蓋突条部20の切れ込みの突条上面部22及び突条側面部23側ほど拡張量が増すためである。
この結果、まず、蓋突条部20は第1排気長孔41の開孔拡張に伴って蛇腹状(アコーディオン状)に膨張変形する。次に第2排気長孔42のV字状の開孔拡張も加わる。このため、蓋体部10A(10B)の膨張と連動して蓋突条部20は僅かながら弧状に湾曲変形可能となる。加えて、膨張時の第1排気長孔41と第2排気長孔42の開孔の仕方が異なることから、それぞれの開孔箇所において蓋突条部20や突条上面部22に不均一に波打ったような形状変形も生じると考えられる。各部位の立体的な変形が組み合わせられることにより、蓋突条部20の柔軟性を伴った変形と、立体的な各排気長孔の開孔により良好な水蒸気排気が実現されると考えられる。
図4の部分斜視図は蓋面部に隆起する蓋突条部の変形例の開示である。図4(a)の蓋突条部20aは縦断面視Λ字状(入字状)としており、この蓋突条部20aの幅方向全体に跨ぐようにして第1排気長孔41aが穿設され、同時に第1排気長孔41aよりも穿設長さよりも短くした第2排気長孔42aも穿設形成される。図4(b)の蓋突条部20bは縦断面視半円状としており、この蓋突条部20bの円弧部分全体に跨ぐようにして第1排気長孔41bが穿設され、同時に第1排気長孔41bの穿設長さよりも短くした第2排気長孔42bも穿設形成される。図示の蓋突条部20a及び20bであっても、前述の図3の説明と同様にそれぞれの蓋突条部は膨張圧力を受けての変形が可能であり、本発明の所望する水蒸気の排気効率は高められる。図示から示されるように、蓋突条部と各排気長孔の形状設計の自由度は高く意匠性も高められる。
図5は第1実施形態の蓋体部10Aにおける囲み壁部21部分を拡大して示す平面図及び断面図である。この囲み壁部21を被覆するように蓋体部10Aの蓋面部11を包装する保護フィルムFが貼着される。蓋突条部20は、囲み壁部21の内側に、同囲み壁部21の短辺側と平行に2本形成されている。この2本の蓋突条部20は囲み壁部21の突壁部24側と連通接続部29によって連通して接続されている。囲み壁部21の内側は蓋窪部25であるため、蓋窪部25は排気長孔部40から噴出した水蒸気の液化後の水滴溜まりとして機能する。保護フィルムFは囲み壁部21の壁上面部28に貼り付いているため、流通時の蓋突条部20と排気長孔部40は保護される。さらに、蓋突条部20の突条上面部22は、囲み壁部21の壁上面部28より低く形成されている。そのため、蓋突条部20と保護フィルムFとの間に間隙部Hが生じ、水蒸気が排気長孔部40から噴出する際の抵抗は少なくなる。
食品用容器が電子レンジによる加熱時、内部発生の水蒸気はこれまでの説明にあるとおり排気長孔部40の第1排気長孔41と第2排気長孔42を通じて十分に排気される。ただし、蓋突条部20は囲み壁部21により囲まれており保護フィルムFも上方に重なっている。このため、保護フィルムFの大きさや位置等の貼着状態いかんにより、囲み壁部21は保護フィルムFにより塞がれて排気長孔部40からの排気効率が低下するおそれもある。この対処として、囲み壁部21(突壁部24)の一部に凹溝部27が備えられる。そこで、囲み壁部21の内部の蓋窪部25に滞留する水蒸気は凹溝部27を通じて囲み壁部21内(蓋窪部25内)から効率良く外部に抜け出る。
図6は第2実施形態の蓋体部10Bにおける囲み壁部21部分を拡大して示す平面図及び断面図である。この例でも囲み壁部21を被覆するように包装する保護フィルムFが貼着される。蓋突条部20は、囲み壁部21の内側に、同囲み壁部21の長辺側と平行に2本形成されている。第1実施形態と同様に2本の蓋突条部20は囲み壁部21の突壁部24側と連通接続部29によって連通して接続されている。第2実施形態においても蓋突条部20の突条上面部22は、囲み壁部21の壁上面部28より低く形成されている。そのため、蓋突条部20と保護フィルムFとの間に間隙部Hが生じ、水蒸気が排気長孔部40から噴出する際の抵抗は少なくなる。第2実施形態においても囲み壁部21(突壁部24)の一部に凹溝部27が備えられる。そこで、囲み壁部21の内部の蓋窪部25に滞留する水蒸気は凹溝部27を通じて囲み壁部21内(蓋窪部25内)から効率良く外部に抜け出る。各実施形態において、凹溝部27の位置または個数は、囲み壁部21の形状、大きさ、内容物等を勘案して選択される。
また、図5(b)及び図6(b)からわかるように、蓋体部10A,10Bでは、蓋窪部25は囲み壁部21の内側に形成されており、蓋窪部25の窪底面部25aは蓋面部11の蓋面板部11aよりも容器本体部100の容器内部103側に掘り下げられている。つまり、蓋窪部25が蓋面板部11aよりも低い位置に形成される。そのため、蓋体部10Bの蓋裏面部12には複数の凹凸が形成される。
図7(a)は第1実施形態の蓋体部10A、同(b)は第2実施形態の蓋体部10Bの蓋突条部20付近の拡大断面図であり、水蒸気排気時を示す模式図となる。例えば、内容物の食品がうどん等である場合、油揚げが具材Gとして載置されることがある。油揚げのような具材の特徴として、平らであるとともに面積が広い。このような具材を含む食品を加熱すると、内部発生の水蒸気により具材が盛り上がることがある。また、具材の油揚げ自体の膨張もあり得る。そうすると、排気長孔部40の直下の蓋突条部20は具材Gにより塞がれてしまう可能性がある。このため、内部発生の水蒸気は蓋突条部20に到達できず、排気長孔部40からの排気は阻害されやすくなる。
この対処として、図7(a)及び(b)の断面図から理解されるように、いずれの実施形態においても蓋突条部20は囲み壁部21の突壁部24側と連通接続部29によって連通して接続されている。また、囲み壁部21は補助囲み壁部31と突壁部24と補助突壁部34を共通として一体化された枠形状である。従って、囲み壁部21と補助囲み壁部31の双方の直下が具材Gにより完全に塞がれてしまわない限り、いずれかに容器本体部100側(容器内部103側)への開口箇所が存在する。そうすると、電子レンジ加熱時、容器本体部に収容された食品から発生する水蒸気(図中の矢印Vp)は、囲み壁部21のいずれかの突壁部24または補助囲み壁部31のいずれかの補助突壁部34を経由して、蓋突条部20に到達可能となる(矢印Vp参照)。結果、水蒸気は蓋突条部20の排気長孔部40の第1排気長孔41及び第2排気長孔42から円滑に排気される。
加えて、図7(c)は第2実施形態の蓋体部10Bの取手部61,61方向による部分断面図である。同図から理解されるように、蓋窪部25は囲み壁部21の内側に形成され、蓋体部10Bの蓋裏面部12には複数の凹凸が形成されている。例えば、油揚げ等の平板状の具材Gが蓋裏面部12まで盛り上がる場合であっても、具材Gは適度に蓋裏面部12の凹凸形状により折り曲げられる。そうすると、囲み壁部21または補助囲み壁部31の直下に水蒸気の通り道が生じ、水蒸気は蓋突条部20の排気長孔部40の第1排気長孔41及び第2排気長孔42から円滑に排気される。
これまでの説明にあるように、本発明の食品用容器(電子レンジ加熱食品用容器)における排気長孔部の各排気長孔の幅を勘案すると、極めて微細であることから昆虫等の異物侵入を有効に抑制できる。従って、本発明の食品用容器は、電子レンジ加熱または加温時に舌片状の開口部を開封等の手間も必要なくなり、サービスや作業の簡素化が可能となる。特に、本発明の食品用容器は排気長孔部の個々の排気長孔については、形状選択や加工も容易である。そこで、本発明の食品用容器は多種類の食品から発生する水蒸気量にも対応可能な極めて好適な包装資材である。
[電子レンジ加熱食品用容器の作製]
電子レンジ加熱食品用容器は、容器本体部と蓋体部の組み合わせからなる物品とした。当該「電子レンジ加熱食品用容器」の作製に際し、対象を内容量の多い食品の包装を想定した。蓋体部には、耐熱二軸延伸ポリスチレン(耐熱OPS)樹脂のシート材を使用した。これを真空成形により円盤状の蓋体部に加工した(図8,9,10の写真参照)。蓋体部の最大直径は約175mm、蓋面部の最大直径は約135mmであった。蓋体部の材料厚みは0.3mmであった。実施例1,2の蓋体部の全体の成形形状と大きさは、比較例との性能対比の必要から写真のとおり蓋突条部を除いて共通形状とした。その上で、実施例1では、蓋突条部を囲み壁部内にその短辺側と平行に配置し、実施例2では蓋突条部を囲み壁部内にその長辺側と平行に配置した。実施例1は第1実施形態に対応し、実施例2は第2実施形態に対応する。
蓋体部に組み合わせる容器本体部には、耐熱発泡ポリスチレン製のシート材(ポリプロピレンフィルム被着品)を使用した。これを真空成形により横断面円形の鉢状(椀状またはボウル状)の容器本体部に加工した。容器本体部の開口部直径(内径)は約160mm、深さは70mmとし、容器本体部の内容量(食品収容可能な容量)は約800mLとした。
[排気長孔部の形成]
排気長孔部の形成に際し、樹脂加工分野において一般に使用される公知の炭酸ガスレーザーの照射装置を用いた。実施例1(図8の写真参照)及び実施例2(図9の写真参照)では、蓋面部から隆起した蓋突条部に対し、その幅方向の全体を跨ぐ第1排気長孔と蓋突条部と途中から始まる第2排気長孔の両方を3mmずつの均等間隔により交互に穿設し、蓋体部を作製した。なお、性能評価のため両実施例とも5個作製した。
〔実施例1〕
図8の写真の実施例1では、2本の蓋突条部の合計で第1排気長孔(長さは約12mm)を12個、第2排気長孔(長さは約8mm)を12個の穿設形成とした。両排気長孔それぞれの幅は共通であり約0.45mmであった。よって、排気長孔部の全体の開孔面積は約110mm2となる。
〔実施例2〕
図9の写真の実施例2では、2本の蓋突条部の合計で第1排気長孔(長さは約12mm)を12個、第2排気長孔(長さは約8mm)を14個の穿設形成とした。両排気長孔それぞれの幅は共通であり約0.45mmであった。よって、排気長孔部の全体の開孔面積は約115mm2となる。
〔実施例3,4〕
さらに、排気長孔の幅を変更した実施例3,4も作製した。実施例3は、実施例2と同形、同寸法の蓋体部を使用し、実施例2の同位置に第1排気長孔(長さは約12mm)を12個、第2排気長孔(長さは約8mm)を14個形成した。両排気長孔それぞれの幅は共通であり約0.7mmであった。よって、排気長孔部の全体の開孔面積は約155mm2となる。また、実施例4は、実施例2と同形、同寸法の蓋体部を使用し、実施例2の同位置に第1排気長孔(長さは約12mm)を12個、第2排気長孔(長さは約8mm)を14個形成した。両排気長孔それぞれの幅は共通であり約0.9mmであった。よって、排気長孔部の全体の開孔面積は約190mm2となる。
〔比較例1,2,3〕
これに対し比較例1では蓋突条部に囲まれた蓋窪部に直線状の排気長孔を縦横に並べて穿設した(図10の写真参照)。比較例1の排気長孔は50個であり、排気長孔の幅は約0.4mm、長さは約3.3mmである。排気長孔の合計の開孔面積は約65mm2となる。比較例2及び3は、いずれも比較例1と同じ大きさ・形状の排気長孔とし、その個数のみを増やした。比較例2の排気長孔は60個であり排気長孔の合計の開孔面積は約78mm2となる。比較例3の排気長孔は70個であり排気長孔の合計の開孔面積は約95mm2となる。比較例2,3についての写真は省略した。図10の上段は全体斜視の写真、下段は排気長孔部分の拡大斜視の写真である。比較例1,2,3についても性能評価のため10個ずつ蓋体部を作製した。
実施例及び比較例の個々の排気長孔は両端部分が丸まった長尺の長方形状であった。特に実施例の第1及び第2排気長孔は蓋突状部を跨ぐ構造のため折れ曲がり部位の長孔側端部が存在する。これに対し、各比較例は平面である。開孔面積の算出に際し、両端部分の丸くなった部位形状を無視し、単純に長方形形状とみなして「最大幅」と「最大長さ」の積とした。また、実施例については長孔側端部も含めた長さとした。
[嵌合強度の測定]
実際に販売される食品の種類は極めて多岐にわたる。そこで、発明者は、電子レンジによる加熱と水蒸気の発生を想定して各実施例及び比較例の蓋体部の容器本体部からの外れにくさ(嵌合強度)を評価することとした。具体的には、前出の容器本体部と形状等を似せて蓋体部と嵌合する開口部を備えた金属製容器を用意した。当該金属製容器に加圧ポンプ、空気圧計、流量計、配管類を接続して、同加圧ポンプを通じて空気を金属製容器内へ供給できるように加工した。そして、各実施例及び比較例の蓋体部を金属製容器の開口部に嵌合した。嵌合確認後、金属製容器内へ加圧空気を供給した。その後、加圧空気の供給(内部圧力の上昇)に伴って蓋体部が金属製容器から外れた時点の供給圧力(空気圧)(MPa)、供給流量(L/min)を読み取った。
[嵌合強度の結果]
実施例1,2,3,4及び比較例1,2,3の蓋体部のそれぞれについて実施した加圧試験の結果は表1,2となった。表中、順に排気長孔の合計個数(孔数)(個){実施例については第1排気長孔、第2排気長孔の個数}、開孔面積(mm2)、供給圧力(MPa)とその標準偏差、供給流量(L/min)とその標準偏差を示す。ここで、実施例1,2,3,4の開孔面積及び供給流量は5個の単純平均とし、比較例1,2,3の開孔面積及び供給流量は10個の単純平均とした。
Figure 2018047953
Figure 2018047953
[嵌合強度の考察]
供給圧力と供給流量が高いほど外れにくい(嵌合強度が高い)といえる。具体的には、比較例1,2,3の傾向から、開孔面積の増加に伴って外れにくさは向上した。排気長孔の個数と開孔面積は比例関係にあり、さらに供給圧力と供給流量も開孔面積に比例して増加した。比較例1と2の間では、開孔面積は約1.2倍となり(78mm2÷65mm2)、供給圧力は約1.3倍(0.13MPa÷0.01MPa)、供給流量は約1.25倍(214L/min÷171L/min)となった。同様に、比較例1と3の間では、開孔面積は約1.46倍となり(95mm2÷65mm2)、供給圧力は約1.4倍(0.14MPa÷0.01MPa)、供給流量は約1.3倍(225L/min÷171L/min)となった。
次に、実施例1の開孔面積と各比較例の開孔面積に着目した。例えば、比較例1の開孔面積は65mm2であり、実施例1の開孔面積は110mm2である。つまり、面積上、約1.70倍増加している。前述の比較例1における開孔面積の比例傾向を単純に当てはめると、実施例1側の供給圧力は約0.17MPa、供給流量は約290L/minを予想値とすることができる。しかしながら、表1の実施例1の結果のとおり、実測値の供給圧力は0.30MPa、供給圧力は397L/minであり、予想値の供給圧力の約1.76倍、供給圧力の約1.37倍に向上することが判明した。
さらに実施例2についても検証を試みた。実施例2の開孔面積は115mm2である。つまり、面積上、約1.77倍増加している。前述の比較例1における開孔面積の比例傾向を単純に当てはめると、実施例2側の供給圧力は約0.18MPa、供給流量は約303L/minを予想値とすることができる。しかしながら、表1の実施例2の結果のとおり、実測値の供給圧力は0.29MPa、供給圧力は384L/minであり、予想値の供給圧力の約1.61倍、供給圧力の約1.27倍に向上することが判明した。なお、実施例3,4は、実施例2よりもさらに排気長孔の幅を広げた例であり、いっそう排気効率が高まった。
この供給圧力と供給流量の増加の結果は、開孔面積に比例した供給流量等の増大のみでは説明できない。発明者は両実施例の蓋体部における加圧空気の供給時を観察すると、前掲の図3に示すように、蓋突条部自体が湾曲して膨張していることを確認した。つまり、両実施例の排気長孔部の開孔面積は、見かけ上の面積ではなく、蓋突条部の膨張に伴う湾曲変形を考慮して勘案する必要がある。そうすると、同図3に示したように、蓋体部の嵌合当初から蓋体部の膨張時に至ると第1及び第2排気長孔の開孔幅も拡張することが最も有力な理由といえる。
加えて、実施例1,2の排気長孔部は櫛歯状の配置であり、かつ、その形状は蓋突条部の側面部に食い込んでいるため、蛇腹状(アコーディオン状)に蓋突条部が変形することを補助するといえる。また、第1排気長孔と第2排気長孔の形状の相違から単純な湾曲ではなく、蓋突条部のより複雑化した変形を予想することができる。従って、第1排気長孔と第2排気長孔の開孔部位は、平面的な広がりに加えて、開孔部位自体の段差のような歪も想定できる。これらの要因により、排気長孔部の全体で見るといっそうの開孔面積増大につながったと勘案することができる。なお、実施例1と2との間における供給圧力と供給流量の相違は、囲み壁部内の蓋突条部の配置、大きさ、向き等による影響と考える。また、実施例3,4は、実施例2よりもさらに排気長孔の幅を広げた例であることから、排気効率が高まった。
以上のとおり、本発明の電子レンジ加熱食品用容器は、蓋面部上の蓋突条部を備え、かつこの蓋突条部の突条上面部の幅方向全体を跨いで穿設された第1排気長孔とこれよりも短い第2排気長孔を備えていることから、良好な水蒸気の排気が実現できる。従って、既存の切れ込み構造を備えた電子レンジ用の包装容器の代替として極めて有効となる。
1 食品用容器(電子レンジ加熱食品用容器)
10A,10B 蓋体部
11 蓋面部
11a 蓋面板部
12 蓋裏面部
15 周壁部
20 蓋突条部
21 囲み壁部
22 突条上面部
24 突壁部
25 蓋窪部
25a 窪底面部
26 排気囲み壁部
27 凹溝部
28 壁上面部
29 連通接続部
31 補助囲み壁部
34 補助突壁部
35 補助窪部
37 補助凹溝部
40 排気長孔部
41 第1排気長孔
42 第2排気長孔
43 長孔側端部
60 蓋傾斜部
61 取手部
100 容器本体部
101 開口部
103 容器内部
104 胴部
105 底部
106 開口周壁部
C 食品
F 保護フィルム
G 具材
H 間隙部
Vp 水蒸気

Claims (8)

  1. 容器本体部と、前記容器本体部の開口部と嵌合する蓋体部とを備え、前記容器本体部内に食品を収容する電子レンジ加熱のための食品用容器であって、
    前記蓋体部の蓋面部に前記蓋面部から上方に隆起した蓋突条部が備えられ、
    前記蓋突条部に、電子レンジ加熱に際し前記容器本体部内に収容された食品から発生する水蒸気を外部に排気する、レーザー光線照射により前記蓋突条部の幅方向に穿設された幅を0.15〜1mmとする排気長孔部が備えられていて、
    前記排気長孔部が、前記蓋突条部の突条上面部の幅方向全体を跨いで穿設された第1排気長孔と、前記第1排気長孔の穿設長さよりも短く穿設された第2排気長孔から構成される
    ことを特徴とする電子レンジ加熱食品用容器。
  2. 前記排気長孔部における前記第1排気長孔と前記第2排気長孔が、互いに隣接して交互に櫛歯状に配置されている請求項1に記載の電子レンジ加熱食品用容器。
  3. 前記蓋面部に囲み壁部が備えられ、前記蓋突条部が前記囲み壁部の内側に形成されている請求項1または2に記載の電子レンジ加熱食品用容器。
  4. 前記蓋突条部の突条上面部が、前記囲み壁部の壁上面部より低く形成されている請求項3に記載の電子レンジ加熱食品用容器。
  5. 前記蓋面部に蓋窪部が備えられ、前記蓋突条部が前記蓋窪部内に形成されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱食品用容器。
  6. 前記囲み壁部に凹溝部が備えられている請求項3または4に記載の電子レンジ加熱食品用容器。
  7. 前記蓋突条部が前記囲み壁部の突壁部側と連通接続部によって連通して接続されている請求項5または6に記載の電子レンジ加熱食品用容器。
  8. 前記蓋体部が合成樹脂シートから形成されている請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱食品用容器。
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