以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態である収納具の概略的正面図である。
収納具300は、自動車などの車両用座席に取り付け可能な袋状のカバーシート(以下、収納部ともいう)310を備え、ここではティッシュボックスを内部に収納可能なティッシュボックスカバーシートとして構成されている。カバーシート310の表面300S側には、ティッシュ取り出し口350が形成されており、ボックス領域340に収納されるティッシュボックスTBのティッシュ取り出し口形状に合わせた形状となっている。カバーシート310の上部側に当たるフック領域320には、収納具300を座席背面側に装着させるフック10が内包されている。
図2は、収納具および自動車などの車両座席を示した図である。ここでは、便宜上収納具300のフック10のみ図示している。
車両内に設置された座席Sには、ヘッドレストHRが、ヘッドレストステー200を介して座席上方側から装着されている。ヘッドレストステー200は、ここでは一本の棒状金属部材から成り、これを折り曲げて互いに平行な一対の支柱210L、210Rをその端部に形成した支持部材として構成されている。一対の支柱210L、210Rは、座席上面に形成された一対の装着穴220L、220Rに挿入される。
収納具300に収容されているフック10は、プレート状フック本体20と、一対の可動部30A、30Bとを備え、一対の取付穴10L、10Rが所定距離間隔離れて形成されている。一対の取付穴10L、10Rは、ともに横長の角丸四角形として構成されており、その中心距離間隔は、一対の支柱210L、210Rの距離間隔HDに応じた長さに定められている。またフック10は、一対の可動部30A、30Bをフック本体20に対して相対移動させる開閉駆動機構40を備える。
一対の可動部30A、30Bは、フック本体20の表面20Sに平行な方向に移動可能であり、それぞれ一対の取付穴10L、10Rを部分的にフック外部に向けて開放する。一対の取付穴10L、10Rに開口部が形成されると、収納部310のフック領域320に形成された一対の切り込み部312L、312R(図1参照)も合わせて開く。これにより、一対の支柱210L、210R(ヘッドレストステー200)を、一対の切り込み部312L、312Rとそれぞれ繋がる通し穴330L、330R(一対の取付穴10L、10R)に収容することが可能となる。
フック10を座席Sの背面側からヘッドレストステー200に対して装着させることにより、カバーシート310のボックス領域340は座席背面側に沿って垂れ下がり、収納具300はヘッドレストステー200に掛けられた(保持された)状態となる。その結果、収納具300のティッシュ取り出し口350は、後部座席側を向いた状態となり、搭乗者は収納具300からティッシュを容易に取り出すことができる。なお、人が搭乗していない座席に対しては、座席前方から取り付けることも可能である。
図3は、フック10の平面図である。図4は、一対の取付穴10L、10Rを部分的に開放させた状態のフック10の平面図である。図5は、フック10の側面図である。
フック本体20は、プレート本体の中央上下方向に沿った中央ラインCCに関して対称的であり、一対の可動部30A、30Bとともに一対の取付穴10L、10Rを形成する。ただし、ここでは一対の取付穴10L、10Rの並ぶ方向を横方向、それに垂直な方向を上下方向とする。一対の可動部30A、30Bも、同様に中央ラインCCに関して対称的形状および配置であり、その表面はフック本体表面20Sと同一平面上に位置する。また、一対の可動部30A、30Bは、フック本体表面20Sに設けられた開閉駆動機構40と一体的に繋がっている。
一対の取付穴10L、10Rをそれぞれ囲む一対の縁部15L、15Rは、図5に示すように、フック本体表面20S、裏面20Rから突出している。この一対の縁部15L、15Rは、それぞれ、可動部30Aの縁部15LBとフック本体20の縁部15LA、可動部30Bの縁部15RBとフック本体20の縁部15RAによって構成されている。縁部15LB、15RBは、それぞれ縁部15L、15Rのおよそ1/4を形成する周方向長さを有する。一対の取付穴10L、10Rは、縁部15L、15Rによって閉領域となる。
一対の取付穴10L、10Rは、中央ラインCCに垂直な横方向に沿って並んで形成されており、一対の取付穴10L、10Rの中心CL、CRを通る穴中心ラインCVに沿って、距離間隔DT(図5参照)だけ離れている。ここでは、距離間隔DTが一対の支柱210L、210Rの距離間隔HD(図2参照)に略等しい。
開閉駆動機構40は、留め具形状(洗濯バサミ形状)となっている一対のレバー40A、40Bを備え、中央ラインCCに関して対称的な位置に配置されるとともに、中央ラインCC上に設けられた軸80回りにそれぞれ軸回りすることが可能である(なお、以下では、揺動的な軸回りの動きに関し、軸回転とも表現する)。一対のレバー40A、40Bは、中央ラインCCから互いに離れる方向に延びる一対のレバー本体41A、41Bと、一対の柱状操作部50A、50Bを設けた先端部42A、42Bとを備え、一対の先端部42A、42Bは中央ラインCCに対して平行に延び、その表面に一対の操作部50A、50Bが設置されている。
一対の操作部50A、50Bは、穴中心ラインCV上に位置し、ユーザが指(親指と人差し指など)でつまむことが可能な距離間隔をもって配置されている。フック本体20に形成された弧状のガイドスリット90は、中央ラインCCに関して対称的形状であり、一対のレバー40A、40Bの移動方向を案内する。また、一対のレバー40A、40Bの下部には、ガイドスリット90から突出する一対の柱状係止部43A、43B(図5参照)がそれぞれ設けられており、ガイドスリット90の端部とそれぞれ接している。なお、一対の係止部43A、43Bのサイズを、ガイドスリット90の径方向幅よりも大きくしてもよい。
一対のレバー本体41A、41Bの間には、弾性部材であるリング状ばね(Cリングばねなど)60が設けられており、一対のレバー本体41A、41Bに形成された穴を通じてレバー内側からレバー外側に渡って延びており、両端部はレバー外側に形成された取付穴に取り付けられている。リング状ばね60は、中央ラインCCに関して対称的に配置され、一対のレバー40A、40Bがそれぞれ中央ラインCCに近づくように軸回転すると、一対のレバー40A、40Bを元の位置、すなわちガイドスリット90の両端部と接する位置に向けて力を作用させる。フック本体20の後方端部に設けられた一対のストッパー70A、70Bは、中央ラインCCに関して対称的に配置されており、それぞれ一対のレバー40A、40Bの移動範囲を制限する。
ユーザが一対の操作部50A、50Bを操作しない場合、開閉駆動機構40は、図3に示す位置に定められている。すなわち、一対のレバー40A、40Bは、一対の係止部43A、43Bがガイドスリット90の端部とそれぞれ接した位置にある。この閉じた位置の状態では、一対の取付穴10L、10Rは、ともに穴周囲(フック本体表面に沿った方向)に対して閉領域のままであり、ヘッドレストステー200(一対の支柱210L、210R)が入り込めるような開口部は形成されていない。
ユーザが、一対のレバー40A、40Bを互いに近づけるように一対の操作部50A、50Bをつまむと(力を加えると)、一対のレバー40A、40Bは軸80を中心として軸回りする。これに伴い、一対のレバー40A、40Bと連結する一対の可動部30A、30Bは、一対の取付穴10L、10Rの中心CL、CRから離れる方向であって、互いに近づく方向へ移動する。このとき、ガイドスリット90は、一対の係止部43A、43Bの移動方向、すなわち一対の可動部30A、30Bの移動方向を案内する。
一対の取付穴10L、10Rの略四半分の周囲を形成する一対の可動部30A、30B(縁部15LB、15RB)が移動することで、一対の取付穴10L、10Rの一部に開口部OL、ORが形成される。(図4参照)。すなわち、一対の取付穴10L、10Rがフック外部と(その表面に沿った方向に関して)繋がる。一対の支柱210L、210Rが通過できるように開口部OL、ORを形成すると、一対の支柱210L、210R(ヘッドレストステー200)は、開口部OL、ORを経由して一対の取付穴10L、10Rに入り込むことが可能となる。
上述したように、リング状ばね60は、一対の可動部30A、30Bが開く方向へ移動すると、閉じた位置へ戻すように力を作用させる。したがって、ユーザが一対の操作部50A、50Bをつまむ力を弱めると、一対の可動部30A、30Bは元の閉じた位置へ戻る。これによって、一対の支柱210L、210Rが再び閉領域となった一対の取付穴10L、10Rに収納され、フック10が一対の支柱210L、210Rに掛けられた状態となる。リング状ばね60は、一対の可動部30A、30Bが開こうとすれば閉じた位置に向けて復元力を作用させるので、一対の支柱210L、210Rがそれぞれ一対の取付穴10L、10Rの縁部15L、15Rと当接する間、閉領域が維持される。
このように本実施形態によれば、フック10は、フック本体20に対して開閉するように移動する一対の可動部30A、30Bと、開閉駆動機構40とを備える。開閉駆動機構40は、一対の可動部30A、30Bとそれぞれ連結する一対のレバー40A、40B、リング状ばね60を備え、一対のレバー40A、40Bにそれぞれ設けられた一対の操作部50A、50Bをユーザが操作することによって、一対の可動部30A、30Bが開く。
このようなフック10を構成することによって、ヘッドレストステー200を取り外すことなく、容易に収納具300をヘッドレストステー200に取り付けることが可能となる。特に、座席(着座)位置を電動調整するタイプの車両座席の場合、ヘッドレストステー200を車両座席から取り外すことができない。そのような車両座席に対しても、収納具300をヘッドレストステー200に取り付けることが可能となる。フック本体20は、2つの支柱210L、210R両方に取り付けられるため、自動車の揺れに対してふらつくことがなく、その位置が安定した装着を可能にする。
また、後部座席に着席している人がティシュを取り出すとき、自動車の揺れで不用意に収納具300に対し力を掛けてしまう場合がある。このとき、いわゆる衣類用ハンガーのようにあらかじめ開口部を設けたフック/ハンガー(ここでは、非開閉タイプのフックという)では、収納具300に対する力の掛け方、力の方向によってヘッドレストステー200からフックが取り外されてしまう恐れがある。しかしながら、本実施形態のフック10では、一対の取付穴10L、10Rが閉領域であるため、そのような事態を防ぐことができる。
本実施形態のフック10は1枚のプレート状に形成されるため、一対の通し穴330L、330Rを設けることによって、収納部310にフック10全体を収容することが可能となる。その結果、収納具300の美的外観が損なわれず、車内インテリアの質感を落とさずに済む。特に、高級車に多く見られる電動タイプの座席調整機能を備えた車両座席に対し、高級素材などを使用した収納部310を提供すれば、収納具300全体としての美的外観を維持することができ、車内インテリアの高級な質感を維持すことができる。
さらに、本実施形態のフック10には、以下説明するように、様々なアドバンテージが挙げられる。まず、フック本体20が単体(1つ)であるため、ヘッドレストステー200に対して収納具300を一度に取り付けることができる。また、フック本体20がプレート状であることから、ヘッドレストHRと座席Sとの間に隙間がほとんど生じていない座席調整位置でも、収納具300を確実に取り付けることが可能となる。特に、一対の可動部30A、30Bがフック本体表面20Sに平行な方向に沿って移動するため、一対の可動部30A、30Bが開閉途中で座席SあるいはヘッドレストHRに当たる事態を防ぐことができる。
さらに、一対の可動部30A、30Bがそれぞれ一対の取付穴10L、10Rの中心CL、CRから離れる方向へ移動するため、一対の支柱210L、210Rの通過幅(=径の大きさ)よりも十分大きな開口部OL、ORを形成することが可能となり、容易かつ速やかにフック10を収容することが可能である。また、一対の取付穴10L、10Rがフック本体20の横方向に関して長い角丸四角形であるため、一対の支柱210L、210Rの距離間隔HDが一対の取付穴10L、10Rの距離間隔DTと幾分相違するような座席に対しても、フック10を取り付けることが容易となる。
一対の可動部30A、30Bは、ヘッドレストステー200のある方向、すなわちフック本体20よりも前方側(取付方向側)に移動するとともに、互いに近づく方向に移動する。フック本体20の後方側に移動しないため、ユーザが一対の操作部50A、50Bを手で保持している状態で一対の可動部30A、30Bが接触するといった障害が起きず、収納部310の内面に当たって絡む恐れもない。また、一対の可動部30A、30Bがフック本体20の幅を超えるように移動しないため、収納部310が一対の可動部30A、30Bによって横方向に引っ張られるようなことが生じない。
フック10の開閉駆動機構40は、一対の可動部30A、30Bと接続する一対のレバー40A、40Bが軸80を中心に回ることによって、開閉動作を実行する。これは、開閉駆動機構40を簡素な機構として構成することを可能にする。特に、一対のレバー40A、40Bが軸80の設けられる中央ラインCCに対して対称的形状、配置であることにより、ユーザはバランスよくフック本体20を保持することが可能となり、一対の可動部30A、30Bが開く間も安定して保持しやすい。
また、各レバーを別々に動かすことが可能であるため、一対の支柱210L、210Rに対して一対の取付穴10L、10Rを順番に収容することが可能となり、可動部30A、あるいは可動部30Bの可動範囲をより拡大させながらフック10を取り付けることができる。例えば、一対の操作部50A、50Bを同時に操作する場合、一対の可動部30A、30Bいずれもおよそ15度前後の移動範囲に制限されるが、一方の操作部だけを操作することで、一方の可動部の移動範囲を、ストッパー70A、70Bと当たる30度前後まで拡大することができる。
例えばユーザは、右手の親指、人差し指をそれぞれ操作部50A、50Bに掛け、親指だけを動かすことによって可動部30Aを開けることができる。開口部OLを形成した取付穴10Lに一方の支柱210Lを入り込ませた後、親指による操作部50Aへの力を弱めることで、可動部30Aは閉じた位置に戻る。
それに合わせて、ユーザは、取付穴10Lに収容された支柱210Lをフック本体20の端部側と当たるように、フック本体20を横方向に沿って移動させればよい。これによって、もう一方の支柱210Rを取付穴10Rへ収容させる過程で、親指に力が加わることで可動部30Aが多少開いたとしても、支柱210Lが開口部OLを経由して抜け出るのを防ぐことができる。
一対のレバー40A、40Bの移動範囲は、それぞれストッパー70A、70Bによって制限されており、定められた移動範囲を超えて必要以上に一対の可動部30A、30Bを移動させないように、ストッパー70A、70Bが一対のレバー40A、40Bと当接する。一対の操作部50A、50Bの両方を指にかけて操作するとき、力の加減によって片方のレバーが過度に移動すると、レバー移動量に相違が生じてフック本体20の姿勢が不安定になる。しかしながら、一対のレバー40A、40Bがストッパー70A、70Bと接して停止することにより、一対のレバー40A、40Bを安定して軸回りさせることができる。
また、一対の操作部50A、50Bが軸80から離れた先端部42A、42Bに設けられているため、リング状ばね60の弾性力が大きくても、てこの原理によって一対の可動部30A、30Bを移動させることができる。
なお、一対の可動部30A、30Bの閉じた位置については、一対の取付穴10L、10Rを完全な閉領域とする必要はなく、一対の支柱210L、210Rが収容された状態から通り抜けできない程度に閉じた領域を形成すればよい。リング状ばね60以外の弾性部材を用いることも可能であり、さらには、弾性部材以外で一対の可動部30A、30Bを閉じる方向へ力を作用させることができる部材を設けてもよい。
また、一対の可動部材30A、30Bが移動するのに応じて力を作用させる構成ではなく、フック10に対してロック機構を設け、一対の可動部30A、30Bを閉じた位置、開いた位置いずれかに位置決めするようにしてもよい。例えば、フック表面に一対のレバーが乗り越え可能な高さをもつ突出部を設け、その突出部を一対のレバーが乗り越えることで位置が固定されるようにしてもよい。あるいは、ロック部材を一対のレバー40A、40Bへ押し付けて位置決めさせてもよい。また、一対の縁15L、15Rの一部に一対の支柱210L、210Rが嵌るような凹部を設けてもよい。
一方で、一対の取付穴10L、10Rの領域サイズが一対の支柱210L、210Rの径よりも十分大きければ、一対の可動部30A、30Bの縁部15LB、15RBと当たらない位置で一対の支柱210L、210Rを収容することが可能であり、ティッシュボックスTBのように軽い備品の場合においては、弾性部材、ロック機構など一対の可動部30A、30Bを位置決めさせる部材、機構を設けなくてもよい。
本実施形態では、一対の可動部30A、30Bがともに中央ラインCCに近づくように軸回りするが、それ以外の方向に沿って穴中心CL、CRから離れるように、一対の可動部を構成してもよい。例えば、可動部30A、30Bをフック本体20の左右両端部側に形成し、フック本体20からより外側に軸回転するように構成してもよい。
また、一対の可動部が、穴中心側へ向けて移動するように構成してもよい。例えば、穴周囲に軸回りする一対のバー状弾性可動部を構成し、一対の可動部が一対の支柱に当たることで一対の可動部が穴側に押し込まれ、一対の支柱との接触がなくなると、弾性力によって元の閉じた位置へ戻るように構成することも可能である。
さらに、一対の可動部がフック本体20の表面20Sに平行な方向以外に移動させてもよく、表面の垂線方向あるいは表面に対して斜め方向に移動させてもよい。一方、一対の可動部を一部伸縮可能な素材で成形し、一対の支柱に押し付けられると開口部を形成する方向にその部分だけ移動させるようにしてもよい。
開閉駆動機構については、一対のレバー以外で構成することも可能であり、一対の可動部を同時に連動させて移動させる機構を設けてもよい。この場合、一対の操作部の代わりに単体の操作部材を設けてもよい。また、一対の可動部を所定方向に沿って直線的にスライドさせるようにしてもよい。一対の可動部の可能な移動量に差を設けるように開閉させてもよい。さらには、ユーザが手で直接一対の可動部を保持し、一対のレバーを設けないように構成してもよい。また、フック本体を、複数の部材を連結させた部材として構成することも可能である。
次に、図6〜8を用いて第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、一対の可動部が一対の取付穴の周方向に沿って移動するとともに、開閉駆動機構が歯車機構によって構成される。
図6は、第2の実施形態におけるフックの平面図であり、図7は、フックの斜視図である。図8は、一対の取付穴を部分的に開放させた状態のフックの平面図である。
収納部(図示せず)の端部に収納されるフック100は、フック本体120と、一対の可動部130A、130Bとを備え、フック本体120の表面120Sには開閉駆動機構140が設けられている。一対の取付穴100L、100Rは、フック本体120と一対の可動部130A、130Bによって形成される。第1の実施形態と同様、一対の取付穴100L、100Rおよび開閉駆動機構140は、フック本体100の中央ラインCCに対して対称的な形状であり、対称的配置となっている。また、一対の取付穴100L、100Rの距離間隔は、第1の実施形態同様、一対の支柱210L、210Rの距離間隔HDに対応している。
一対の取付穴100L、100Rはともに円状の穴であり、一対の可動部130A、130Bは、ともにその円状に応じた弧状に形成されている。一対の可動部130A、130Bは、およそ穴の2/3の周方向長さを有し、フック本体表面120Sに設けられた弧状のガイド部材126A、127Aおよびガイド部材126B、127B(図7参照)によってそれぞれ形成される移動路122A、122Bに沿って移動する。
図7に示すように、一対の可動部130A、130Bには、弧状の歯部132A、132Bがその周方向外面側に沿って形成されている。そして、歯部132Aをその厚さ方向両側からカバーするように、一対の弧状フランジ134A1、134A2が取り付けられている。歯部132Bにおいても、同様に一対の弧状フランジ134B1、134B2が取り付けられている。一対の弧状フランジ134A1、134A2および一対の弧状フランジ134B1、134B2は、その幅が移動路122A、122Bの幅に対応している。
開閉駆動機構140では、一対のレバー140A、140Bが軸180を中心として軸回転するとともに、それぞれのレバー外側側面に一対の扇状第1歯車142A、142Bが取り付けられている。一対のレバー140A、140Bの端部141A、141Bに取り付けられた一対の操作部150A、150Bをユーザが操作することによって、一対のレバー140A、140Bおよび一対の扇状第1歯車142A、142Bが、軸180を中心にして回る。一対のレバー140A、140Bは、フック本体表面120Sより下方側に位置する扇状の支持面125に配置されている。
さらに開閉駆動機構140は、一対の扇状第1歯車142A、142Bとそれぞれ噛み合う一対の第2歯車147A、147Bを備えるとともに、一対の第2歯車147A、147Aよりもそれぞれフック上方側に同軸配置されていて連動する一対の第3歯車144A、144Bを備える。一対の第3歯車144A、144Bは、それぞれガイド部材127A、127Bに形成された開口部129A、129Bを介して可動部130Aの歯部132A、可動部130Bの歯部132Bと係合している。
受け板146およびフック本体背面側に取り付けられた支持板(図示せず)は、一対の軸149A、149Bを両側から支持し、また、受け板146は、開閉駆動機構140を保持するようにフック本体20に対して固定されている。一対の第2歯車147A、147B、一対の第3歯車144A、144Bは、一対の軸149A、149Bの方向(フック厚み方向)に沿って一体的に繋がった構造であり、一対の軸149A、149B周りに一体的に回転する。
ユーザが一対の操作部150A、150Bを操作すると、一対のレバー140A、140Bは互いに近づくように軸回りする。これに伴い、一対の第1扇状歯車142A、142Bがレバー移動量分だけ回る。一対のレバー140A、140Bが軸回転すると、一対の第2歯車147A、147Bが支持面125の端部175A、175Bに沿って回転し、これに連動して一対の第3歯車144A、144Bも回転する。その結果、第3歯車144Aと噛み合う可動部130Aは、時計回りに周方向に移動し、第3歯車144Bと噛み合う可動部130Bは、反時計周りに周方向に移動する(図6の矢印参照)。
ユーザが一対の操作部150A、150Bを操作してない状態(図6、7参照)では、一対の可動部130A、130Bは閉じた状態で位置決めされ、一対の取付穴100L、100Rは閉領域になっている。一対の可動部130A、130Bがそれぞれ開くように周方向に沿って移動すると、開口部OL、ORが形成される(図8参照)。
ユーザは、この状態で一対の支柱210L、210Rを一対の取付穴100L、100Rに収容する。リング状ばね160は、一対のレバー140A、140Bを閉じた位置へ戻す方向へ力を作用させることから、ユーザが一対の操作部150A、150Bに加える力を弱めると、一対の第1扇状歯車142A、142B、一対の第2歯車147A、147Bおよび一対の第3歯車144A、144Bは、それぞれ開くときとは反対方向に回転する。これにより、一対の可動部130A、130Bは閉じた位置へ戻る。
第1の実施形態と同様、フック本体120の中央部には扇状のガイドスリット190が形成され、一対のレバー140A、140Bには、ガイドスリット190からフック本体背面側に突出する一対の突出部(図示せず)が設けられている。ガイドスリット190の両端部は、一対のレバー140A、140Bの移動範囲を制限する。
第1の実施形態同様、一対のレバー140A、140Bは、別々に移動することが可能である。したがって、レバー140Aを動かすことによって、一連の第1扇状歯車142A、第2歯車147A、第3歯車144Aが回転し、可動部130Aが周方向に移動する。同様に、レバー140Bを動かすことによって、一連の第1扇状歯車142B、第2歯車147B、第3歯車144Bが回転し、可動部130Bが周方向に移動する。
このように第2の実施形態によれば、弧状に形成された一対の可動部130A、130Bが一対の取付穴100L、100Rの周方向に沿って移動可能であり、開閉駆動機構140が一対の可動部130A、130Bの歯部132A、132Bと噛み合って連結する。そして、一対のレバー140A、140Bに設けられた一対の操作部150A、150Bが操作されると、一対の可動部130A、130Bがそれぞれ一対の取付穴100L、100Rの周方向に沿って移動し、開口部OL、ORを形成する。
一対の可動部130A、130Bは、フック本体120から離れていくような動きはせず、フック本体120の表面上に定められた移動路122A、122Bに沿って移動する。したがって、一対の可動部130A、130Bが開く過程でフック全体の重心位置が大きく移動せず、ユーザは安定して一対のレバー140A、140Bを動かすことができる。特に、開閉駆動機構140が中央ラインCCに対して対称的な構造であるため、フック本体120をバランスよく保持することができる。
また、一対の可動部130A、130Bが、フック本体表面120S上で移動することにより、フック100を収納する収納部の上方端部側が一対の可動部130A、130Bの開閉動作に伴って伸縮することがなく、伸縮に対して耐久性が強くない収納部の生地でも使用することができる。そして収納部に対しては、一対の可動部130A、130Bの移動によって形成される開口部OL、OR、および一対の操作部150A、150Bの移動範囲にだけ合わせて切り口を設ければよいので、より簡易に収納部を製造することができる。
開閉駆動機構140が歯車機構であることにより、歯数、歯車径の大きさなどを細かく調整することによって、一対の可動部130A、130Bの移動量、移動スピードなどを調整することが可能になる。特に、一対のレバー140A、140Bに一対の第1扇状歯車142A、142Bを設けることにより、省スペースながら、てこの原理を利用したレバー操作の力を回転運動に切り替え、一対の可動部130A、130Bまで効率よく動力伝達することができる。
第1、第2の実施形態では、収納具がティッシュボックスを収納するシートとして構成されているが、ティッシュボックス以外の様々な備品(地図、本、エチケット袋、ジュースなど)を収納可能なポケットシートとして構成することも可能である。さらに、収納具の代わりとして、買い物袋、手提げ袋など荷物を掛けるヘッドレストフック(ヘッドレストハンガー)などの座席取付型ホルダとして構成することも可能である。
例えば、荷物を掛けるフック部分、あるいは、傘などをさしこみ可能な開口部を形成したホルダ部を、座席背面に沿うように上記フックに対して連結させ、ホルダとして構成することができる。この場合、重い荷物などを掛けても荷重に耐えられるようにフック本体を厚くするのが良い。あるいは、フック本体を板状のままにして、一対の可動部に対して弾性部材などが閉じる方向へ作用させる力を強くしてもよい。