以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る画像処理装置、画像形成装置および画像処理方法の実施形態を詳細に説明する。
以下では、画像形成装置としてカラープリンタ2000を例に挙げて説明する。ただし、本発明が適用される画像形成装置としてはこれに限らず、例えばコピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機(MFP:Multi Function Peripherals)に対して本発明を適用することもできる。
図1は、実施形態のカラープリンタ2000の概略構成を示す図である。カラープリンタ2000は、記録紙(記録媒体)にトナーを転写して印刷物を製造する。カラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタである。
図1に示すように、カラープリンタ2000は、光走査装置2010と、4つの感光体ドラム2030a,2030b,2030c,2030d(以下では、4つを総称する場合には「感光体ドラム2030」と称する)と、4つのクリーニングユニット2031a,2031b,2031c,2031d(以下では、4つを総称する場合には「クリーニングユニット2031」と称する)と、4つの帯電装置2032a,2032b,2032c,2032d(以下では、4つを総称する場合には「帯電装置2032」と称する)と、を備える。さらに、カラープリンタ2000は、4つの現像ローラ2033a,2033b,2033c,2033d(以下では、4つを総称する場合には「現像ローラ2033」と称する)と、4つのトナーカートリッジ2034a,2034b,2034c,2034d(以下では、4つを総称する場合には「トナーカートリッジ2034」と称する)とを備える。さらに、カラープリンタ2000は、転写ベルト2040と、転写ローラ2042と、定着ローラ2050と、給紙コロ2054と、レジストローラ対2056と、排紙ローラ2058と、給紙トレイ2060と、排紙トレイ2070と、通信制御装置2080と、濃度検出器2245と、4つのホームポジションセンサ2246a,2246b,2246c,2246d(以下では、4つを総称する場合には「ホームポジションセンサ2246」と称する)と、プリンタ制御装置2090とを備える。
通信制御装置2080は、ネットワーク等を介した上位装置(例えばコンピュータ)との双方向の通信を制御する。
プリンタ制御装置2090は、カラープリンタ2000に備えられるそれぞれの部を統括的に制御する。プリンタ制御装置2090は、CPU(Central Processing Unit)、CPUで実行されるコードで記述されたプログラムおよびプログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するAD変換回路等を有する。そして、プリンタ制御装置2090は、上位装置からの要求に応じてそれぞれの部を制御するとともに、上位装置からの画像データを光走査装置2010に送る。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、およびクリーニングユニット2031aは、一組で使用される。これらは、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(Kステーションという場合もある)を構成する。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、およびクリーニングユニット2031bは、一組で使用される。これらは、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(Cステーションという場合もある)を構成する。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、およびクリーニングユニット2031cは、一組で使用される。これらは、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(Mステーションという場合もある)を構成する。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、およびクリーニングユニット2031dは、一組で使用される。これらは、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(Yステーションという場合もある)を構成する。
それぞれの感光体ドラム2030は、後述の変調信号に基づく光源の発光に応じた潜像が書き込まれる「像担持体」の一例であり、何れも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、それぞれの感光体ドラム2030の表面は、被走査面となる。なお、感光体ドラム2030a,2030b,2030c,2030dは、回転軸が平行に並んで配置され、例えば全て同一の方向(例えば図1における面内で矢印方向)に回転する。
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、それぞれの感光体ドラム2030の中心軸に平行な方向をY軸方向、それぞれの感光体ドラム2030の配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
それぞれの帯電装置2032は、対応する感光体ドラム2030の表面をそれぞれ均一に帯電させる。光走査装置2010は、画像データ(ブラック画像データ、シアン画像データ、マゼンタ画像データ、イエロー画像データ)に基づいて、色毎に変調された光束を、対応する帯電された感光体ドラム2030の表面にそれぞれ照射する。これにより、それぞれの感光体ドラム2030の表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像データに対応した潜像がそれぞれの感光体ドラム2030の表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラム2030の回転に伴って対応する現像ローラ2033の方向に移動する。なお、この光走査装置2010の構成の詳細については後述する。
ところで、それぞれの感光体ドラム2030において、画像データが書き込まれる領域は、「有効走査領域」、「画像形成領域」、「有効画像領域」などと呼ばれている。
トナーカートリッジ2034aには、ブラックトナーが格納されている。ブラックトナーは、現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bには、シアントナーが格納されている。シアントナーは、現像ローラ2033bに供給される。トナーカートリッジ2034cには、マゼンタトナーが格納されている。マゼンタトナーは、現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dには、イエロートナーが格納されている。イエロートナーは、現像ローラ2033dに供給される。
それぞれの現像ローラ2033は、回転に伴って、対応するトナーカートリッジ2034からのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、それぞれの現像ローラ2033の表面のトナーは、対応する感光体ドラム2030の表面に接すると、この表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、それぞれの現像ローラ2033は、対応する感光体ドラム2030の表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでは、現像ローラ2033は、像担持体に書き込まれた潜像にトナーを付着させて顕像化させる「顕像化部」の一例である。
転写ベルト2040は、ベルト回転機構に掛け渡されて、一定方向に回転する。転写ベルト2040は、外側の面が、それぞれの感光体ドラム2030a,2030b,2030c,2030dの表面に、光走査装置2010とは反対側の位置で接触する。また、転写ベルト2040は、外側の面が、転写ローラ2042と接触する。
ここで、それぞれの感光体ドラム2030の表面上におけるトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラム2030の回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのそれぞれのトナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。転写ベルト2040上に形成されたカラー画像は、転写ベルト2040の移動に伴い、転写ローラ2042の方向に移動する。
給紙トレイ2060には、記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には、給紙コロ2054が配置されている。給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。
レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像は、記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。ここでは、転写ベルト2040および転写ローラ2042は、顕像化部により顕像化されたトナー像を記録媒体に転写するための転写部の一例である。
定着ローラ2050は、熱と圧力とを記録紙に加える。これにより、定着ローラ2050は、トナーを記録紙上に定着させることができる。トナーが定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。ここでは、定着ローラ2050は、転写部により転写されたトナー像を記録媒体上に定着させるための定着部の一例である。
それぞれのクリーニングユニット2031は、対応する感光体ドラム2030の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラム2030の表面は、再度対応する帯電装置2032に対向する位置に戻る。
濃度検出器2245は、転写ベルト2040の−X側(定着ローラ2050よりも転写ベルト2040の進行方向における上流側であって、4つの感光体ドラム2030よりも下流側の位置)に配置されている。濃度検出器2245は、一例として、図2に示されるように、3つの光学センサ2245a,2245b,2245cを有する。
光学センサ2245aは、転写ベルト2040における有効画像領域内の−Y側端部近傍(転写ベルト2040の幅方向の一方の端側)に対向する位置に配置される。光学センサ2245cは、転写ベルト2040における有効画像領域内の+Y側端部近傍(転写ベルト2040の幅方向の他方の端側)に対向する位置に配置される。光学センサ2245bは、主走査方向に関して、光学センサ2245aと光学センサ2245cのほぼ中央位置(転写ベルト2040の幅方向の中央位置)に配置されている。ここでは、主走査方向(Y軸方向)に関して、光学センサ2245aの中心位置をY1、光学センサ2245bの中心位置をY2、光学センサ2245cの中心位置をY3とする。
それぞれの光学センサ2245a,2245b,2245cは、何れも一例として、図3に示されるように、転写ベルト2040に向けて光(以下、検出用光ともいう)を射出するLED11、転写ベルト2040あるいは転写ベルト2040上のトナーパッドからの正反射光を受光する正反射光受光素子12、転写ベルト2040あるいは転写ベルト2040上のトナーパッドからの拡散反射光を受光する拡散反射光受光素子13を有している。それぞれの受光素子は、何れも受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。
ホームポジションセンサ2246aは、感光体ドラム2030aにおける回転のホームポジションを検出する。ホームポジションセンサ2246bは、感光体ドラム2030bにおける回転のホームポジションを検出する。ホームポジションセンサ2246cは、感光体ドラム2030cにおける回転のホームポジションを検出する。ホームポジションセンサ2246dは、感光体ドラム2030dにおける回転のホームポジションを検出する。
図4は、光走査装置2010の光学系の構成を示す図である。図5は、光源2200aからポリゴンミラー2104までの光路、および、光源2200bからポリゴンミラー2104までの光路の一例を示す図である。図6は、光源2200cからポリゴンミラー2104までの光路、および、光源2200dからポリゴンミラー2104までの光路の一例を示す図である。図7は、ポリゴンミラー2104からそれぞれの感光体ドラム2030への光路の一例を示す図である。
つぎに、図4を用いて、光走査装置2010の光学系の構成について説明する。光走査装置2010は、光学系として、4つの光源2200a,2200b,2200c,2200dと、4つのカップリングレンズ2201a,2201b,2201c,2201dと、4つの開口板2202a,2202b,2202c,2202dと、4つのシリンドリカルレンズ2204a,2204b,2204c,2204dとを有する。さらに、光走査装置2010は、光学系として、ポリゴンミラー2104と、4つの走査レンズ2105a,2105b,2105c,2105dと、6枚の折り返しミラー2106a,2106b,2106c,2106d,2108b,2108cとを有する。これらは、光学ハウジングの所定位置に組み付けられている。
なお、光走査装置2010は、電気系の回路も有するが、電気系の回路については図8以降において説明する。
それぞれの光源2200a,2200b,2200c,2200dは、複数の発光部が2次元配列された面発光レーザアレイを含んでいる。面発光レーザアレイの複数の発光部は、すべての発光部を副走査対応方向に伸びる仮想線上に正射影したときに、発光部間隔が等間隔となるように配置されている。それぞれの光源2200a,2200b,2200c,2200dは、一例として、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)である。
カップリングレンズ2201aは、光源2200aから射出された光束の光路上に配置され、通過する光束を略平行光束とする。カップリングレンズ2201bは、光源2200bから射出された光束の光路上に配置され、通過する光束を略平行光束とする。カップリングレンズ2201cは、光源2200cから射出された光束の光路上に配置され、通過する光束を略平行光束とする。カップリングレンズ2201dは、光源2200dから射出された光束の光路上に配置され、通過光束を略平行光束とする。
開口板2202aは、開口部を有し、カップリングレンズ2201aを介した光束を整形する。開口板2202bは、開口部を有し、カップリングレンズ2201bを介した光束を整形する。開口板2202cは、開口部を有し、カップリングレンズ2201cを介した光束を整形する。開口板2202dは、開口部を有し、カップリングレンズ2201dを介した光束を整形する。
シリンドリカルレンズ2204aは、開口板2202aの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。シリンドリカルレンズ2204bは、開口板2202bの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。シリンドリカルレンズ2204cは、開口板2202cの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。シリンドリカルレンズ2204dは、開口板2202dの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
カップリングレンズ2201aと開口板2202aとシリンドリカルレンズ2204aとからなる光学系は、Kステーションの偏向器前光学系である。カップリングレンズ2201bと開口板2202bとシリンドリカルレンズ2204bとからなる光学系は、Cステーションの偏向器前光学系である。カップリングレンズ2201cと開口板2202cとシリンドリカルレンズ2204cとからなる光学系は、Mステーションの偏向器前光学系である。カップリングレンズ2201dと開口板2202dとシリンドリカルレンズ2204dとからなる光学系は、Yステーションの偏向器前光学系である。
ポリゴンミラー2104は、Z軸に平行な軸まわりに回転する2段構造の4面鏡を有し、それぞれの鏡が偏向反射面となる。そして、1段目(下段)の4面鏡では、シリンドリカルレンズ2204bからの光束およびシリンドリカルレンズ2204cからの光束がそれぞれ偏向され、2段目(上段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204aからの光束およびシリンドリカルレンズ2204dからの光束がそれぞれ偏向されるように配置されている。
また、シリンドリカルレンズ2204aおよびシリンドリカルレンズ2204bからのそれぞれの光束は、ポリゴンミラー2104の−X側に偏向され、シリンドリカルレンズ2204cおよびシリンドリカルレンズ2204dからのそれぞれの光束はポリゴンミラー2104の+X側に偏向される。
それぞれの走査レンズ2105a,2105b,2105c,2105dは、光束を対応する感光体ドラム2030近傍に集光する光学的パワー、およびポリゴンミラー2104の回転に伴って、対応する感光体ドラム2030の面上で光スポットが主走査方向に等速で移動するような光学的パワーを有している。
走査レンズ2105aおよび走査レンズ2105bは、ポリゴンミラー2104の−X側に配置されている。走査レンズ2105cおよび走査レンズ2105dは、ポリゴンミラー2104の+X側に配置されている。
そして、走査レンズ2105aおよび走査レンズ2105bは、Z軸方向に積層されている。走査レンズ2105bは、1段目の4面鏡に対向している。走査レンズ2105aは、2段目の4面鏡に対向している。
また、走査レンズ2105cおよび走査レンズ2105dは、Z軸方向に積層されている。走査レンズ2105cは、1段目の4面鏡に対向している。走査レンズ2105dは、2段目の4面鏡に対向している。
ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204aからの光束は、走査レンズ2105a、折り返しミラー2106aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に移動する。すなわち、この光スポットは、感光体ドラム2030a上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204bからの光束は、走査レンズ2105b、折り返しミラー2106bおよび折り返しミラー2108bを介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動する。すなわち、この光スポットは、感光体ドラム2030b上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204cからの光束は、走査レンズ2105c、折り返しミラー2106cおよび折り返しミラー2108cを介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動する。すなわち、この光スポットは、感光体ドラム2030c上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204dからの光束は、走査レンズ2105d、折り返しミラー2106dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動する。すなわち、この光スポットは、感光体ドラム2030d上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dでの「副走査方向」である。
なお、それぞれの折り返しミラー2106a,2106b,2106c,2106d,2108b,2108cは、ポリゴンミラー2104から対応する感光体ドラム2030に至る光路長が互いに一致するとともに、対応する感光体ドラム2030における光束の入射位置および入射角が何れも互いに等しくなるように、それぞれ配置されている。
ポリゴンミラー2104とそれぞれの感光体ドラム2030との間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。ここでは、走査レンズ2105aと折り返しミラー2106aとからKステーションの走査光学系が構成されている。また、走査レンズ2105bと2枚の折り返しミラー2106b,2108bとからCステーションの走査光学系が構成されている。そして、走査レンズ2105cと2枚の折り返しミラー2106c,2108cとからMステーションの走査光学系が構成されている。さらに、走査レンズ2105dと折り返しミラー2106dとからYステーションの走査光学系が構成されている。なお、それぞれの走査光学系において、走査レンズ2105が複数のレンズから構成されていてもよい。
図8は、光走査装置2010の電気系の構成を示す図である。光走査装置2010は、電気系の構成として、インターフェイスユニット3101と、画像処理ユニット3102と、駆動制御ユニット3103とを備える。
インターフェイスユニット3101は、上位装置(例えばコンピュータ)から転送された画像データをプリンタ制御装置2090から取得する。そして、インターフェイスユニット3101は、取得した画像データを、後段の画像処理ユニット3102に渡す。
本例においては、インターフェイスユニット3101は、RGB形式、解像度が1200dpi、ビット数が8ビットの画像データを取得して、画像処理ユニット3102に渡す。
画像処理ユニット3102は、画像処理部として機能する。画像処理ユニット3102は、インターフェイスユニット3101から画像データを取得して、印刷方式に対応したカラーの画像データに変換する。一例として、画像処理ユニット3102は、RGB形式の画像データを、タンデム形式(CMYK形式)の画像データに変換する。また、画像処理ユニット3102は、データ形式の変換に加えて、各種の画像処理も実行する。
本例においては、画像処理ユニット3102は、CMYK形式、解像度が2400dpi、ビット数が1ビットの画像データを出力する。なお、画像処理ユニット3102から出力される画像データの解像度は、2400dpiに限られない。また、画像処理ユニット3102から出力される画像データの解像度を、第1の解像度という。
さらに、画像処理ユニット3102は、第1の解像度(2400dpi)の画像データのそれぞれの画素が、文字または線を構成する画素であるか否かを示すタグ情報を生成する。タグ情報とは、特定のオブジェクト(この例では、文字、線および図形の何れか)が描画される領域であるか否かを示す情報であると考えることもできる。この例では、画像処理ユニット3102から出力される画像データを構成する複数の画素の各々は、画像情報を表す第1の画素値と、タグ情報を表す(特定のオブジェクトが描画される領域であるか否かを表す)第2の画素値とを含んでいる。以下の説明では、画像処理ユニット3102から出力される画像データを「第1の画像データ」と称する場合がある。画像処理ユニット3102は、生成した第1の画像データを駆動制御ユニット3103へと渡す。
駆動制御ユニット3103は、画像処理ユニット3102から第1の画像データを取得して、光源駆動に対応した第2の解像度のカラーの画像データ(以下の説明では「第2の画像データ」と称する場合がある)に変換する。なお、第2の解像度は、第1の解像度より高い。本例においては、駆動制御ユニット3103は、CMYK形式、解像度が4800dpi、ビット数が1ビットの画像データに変換する。
駆動制御ユニット3103は、第2の解像度の画像データを画素の発光タイミングを示すクロック信号に変調して、色毎の独立した変調信号を生成する。そして、駆動制御ユニット3103は、光源2200a,2200b,2200c,2200dを、それぞれの色に対応した変調信号に応じて駆動して発光させる。なお、駆動制御ユニット3103は、解像度変換処理と変調処理とを一体的に行ってもよい。
また、駆動制御ユニット3103は、一例として、光源2200a,2200b,2200c,2200dの近傍に設けられたワンチップ化された単一の集積デバイスである。画像処理ユニット3102およびインターフェイスユニット3101は、駆動制御ユニット3103と比較して、光源2200a,2200b,2200c,2200dよりも遠くに配置される。そして、画像処理ユニット3102と駆動制御ユニット3103との間は、ケーブル3104により接続される。
このような構成の光走査装置2010は、画像データに応じた光を光源2200a,2200b,2200c,2200dから発光させて潜像を形成することができる。
図9は、インターフェイスユニット3101の構成を示す図である。インターフェイスユニット3101は、一例として、フラッシュメモリ3211と、RAM3212と、IF回路3213と、CPU3214とを有する。フラッシュメモリ3211、RAM3212、IF回路3213およびCPU3214は、それぞれバスで接続される。
フラッシュメモリ3211は、CPU3214で実行されるプログラム、および、CPU3214でのプログラムの実行に必要な各種データを格納する。RAM3212は、CPU3214がプログラムを実行する場合の作業用の記憶領域である。IF回路3213は、プリンタ制御装置2090と双方向の通信をする。
CPU3214は、フラッシュメモリ3211に格納されたプログラムに従って動作して、光走査装置2010の全体を制御する。そして、このような構成のインターフェイスユニット3101は、プリンタ制御装置2090から送信された入力画像データ(RGB形式、1200dpi、8ビット)を、画像処理ユニット3102へと渡す。
図10は、画像処理ユニット3102の構成を示す図である。画像処理ユニット3102は、属性分離部3220と、色変換部3221と、墨生成部3222と、ガンマ補正部3223と、位置補正部3224と、階調処理部3225と、タグ生成部3226とを有する。
属性分離部3220は、インターフェイスユニット3101から、入力画像データ(RGB形式、1200dpi、8ビット)を受け取る。ここで、入力画像データのそれぞれの画素には、属性情報が付加されている。属性情報は、その領域(画素)のソースとなるオブジェクトの種類を示す。例えば、画素が文字の一部であれば、属性情報には、「文字」を示す属性が示される。例えば、画素が線の一部であれば、属性情報には、「線」を示す属性が示される。また、画素が図形の一部であれば、属性情報には、「図形」を示す属性が示される。また、画素が写真の一部であれば、属性情報には、「写真」を示す属性が示される。
属性分離部3220は、入力画像データから属性情報および画像データを分離する。属性分離部3220は、分離した属性情報および画像データをタグ生成部3226に渡す。また、属性分離部3220は、画像データを色変換部3221に渡す。属性分離部3220から出力される画像データは、一例として、RGB、1200dpi/8ビットである。また、属性分離部3220から出力される属性データは、一例として、画像データと同一の解像度(1200dpi)で、ビット数が2ビットのデータである。
色変換部3221は、8ビットのRGB形式の画像データを、8ビットのCMY形式の画像データに変換する。墨生成部3222は、色変換部3221により生成されたCMY形式の画像データから、黒成分を生成してCMYK形式の画像データを生成する。ガンマ補正部3223は、墨生成部3222により生成されたCMYK形式の画像データを、テーブル等を用いて各色のレベルを線形変換する。
位置補正部3224は、ガンマ補正部3223から画像データを受け取り、ノイズまたは歪みを除去する。さらに、位置補正部3224は、変倍またはシフト等をして、画像の位置補正を行う。また、この際、位置補正部3224は、1200dpiの解像度を、2400dpiに変換する。そして、位置補正部3224は、1画素が複数ビット(本例においては8ビット)で表された2400dpi(第1の解像度)のCMYK形式の画像データを出力する。
階調処理部3225は、位置補正部3224から、2400dpi、8ビットのCMYK形式の画像データを受け取る。階調処理部3225は、例えば、ディザ処理または誤差拡散処理等により疑似中間調処理をすることにより、8ビットの画像データから、1ビットの面積階調データを生成する。
タグ生成部3226は、1200dpiの画像データのそれぞれの画素が、文字、線、図形を構成する画素であるか否かを示すタグ情報(特定のオブジェクトが描画される領域であるか否かを示すタグ情報)を生成する。タグ生成部3226は、一例として、属性情報を用いて、特定のオブジェクト(文字、線および図形の何れか)が描画される領域を設定し、設定した領域に含まれる全ての画素に対して、文字、線、図形を構成する画素であるか否かを示すタグ情報を割り当てる。この例では、タグ情報は1ビットで表され、文字、線、図形を構成する画素であることを示すタグ情報は「1」、文字、線、図形を構成する画素ではないことを示すタグ情報は「0」と表されるが、例えば反対であってもよい。例えば特定のオブジェクトが網点で表現される場合、特定のオブジェクトを表現する黒の画素と白の画素のそれぞれに対して、「1」を示すタグ情報が割り当てられることになる。
本例においては、タグ生成部3226は、文字または線を示す属性情報が付加されていた黒画素および白画素に、文字、線、図形を示すタグ情報を割り当てる。なお、ここで、黒画素とは、階調数を1ビットに低減した場合に画素値が1となる画素であり、光源2200から感光体ドラム2030へと光が出射される画素である。また、白画素とは、階調数を1ビットに低減した場合に画素値が0となる画素であり、光源2200から感光体ドラム2030へと光が出射されない画素である。
タグ生成部3226により生成されたタグ情報は、位置補正部3224および階調処理部3225を介して、駆動制御ユニット3103へと渡される。ここで、位置補正部3224は、画像データを1200dpiから2400dpiに高解像度化する処理および画像データの位置補正をする処理と同一の処理を、タグ情報に施す。これにより、位置補正部3224は、タグ情報も1200dpiから2400dpiに高解像度化し、高解像度化した後のそれぞれの画素にタグ情報を割り当てることができる。
そして、階調処理部3225は、第1の解像度(2400dpi)の1ビットの画像情報(面積階調データ)および、第1の解像度(2400dpi)の1ビットのタグ情報のそれぞれを、駆動制御ユニット3103へと送信する。本実施形態においては、階調処理部3225は、画像情報およびタグ情報を1つのパスで伝送する。より具体的には、階調処理部3225は、上位ビットが画像情報(CMYK)、下位ビットがタグ情報を表す、第1の解像度(2400dpi)の2ビットのデータを駆動制御ユニット3103へと送信する。
このように、画像処理ユニット3102は、画像情報を表す第1の画素値(この例では1ビット)と、タグ情報を表す第2の画素値(この例では1ビット)とをそれぞれ含む複数の画素で構成され、かつ、第1の解像度(2400dpi)である画像データ(第1の画像データ)を生成して、駆動制御ユニット3103へと送信することができる。また、画像処理ユニット3102は、一部または全部がハードウェアにより実現されていてもよいし、CPUがソフトウェアプログラムを実行することにより実現されてもよい。
図11は、駆動制御ユニット3103の構成を示す図である。駆動制御ユニット3103は、クロック生成部3232と、変調信号生成部3233と、光源駆動部3234とを有する。
クロック生成部3232は、画素の発光タイミングを示すクロック信号を発生する。クロック信号は、4800dpiに対応する分解能で画像データが変調可能な信号である。
変調信号生成部3233は、画像処理ユニット3102から、第1の画像データを取得する。そして、変調信号生成部3233は、第1の画像データに基づき、第1の解像度よりも高い第2の解像度の画像データを生成する。本例においては、変調信号生成部3233は、CMYK形式、2400dpi、1ビットの画像情報およびタグ情報に基づき、CMYK形式、4800dpi、1ビット相当の画像データを生成する。そして、変調信号生成部3233は、このような第2の解像度の画像データをクロック信号に変調して、4800dpiの画像を形成するための変調信号を生成する。
光源駆動部3234は、第2の解像度の画像データに応じた変調信号を受け取る。光源駆動部3234は、変調信号生成部3233から出力された色毎に独立した変調信号のそれぞれに応じて、対応する光源2200a,2200b,2200c,2200dを駆動する。これにより光源駆動部3234は、それぞれの光源2200a,2200b,2200c,2200dを変調信号に応じた光量で発光させることができる。
図12は、変調信号生成部3233の構成を示す図である。変調信号生成部3233は、バッファメモリ3251と、解像度変換部3252と、ガンマ変換部3253とを含む。
バッファメモリ3251は、画像処理ユニット3102から送られてくる、第1の画像データ(第1の解像度(2400dpi)の2ビットのデータ(上位ビットが画像情報(CMYK))、下位ビットがタグ情報))を蓄積する。なお、画像データが多階調で表現される場合は、画像データを表現するビット数は2ビット以上であってもよい。また、タグ情報を表すビット数も任意に変更可能である。バッファメモリ3251は、後段の解像度変換部3252からの読み出しに応じて、蓄積した第1の画像データを構成する画素を解像度変換部3252に渡す。
解像度変換部3252は、バッファメモリ3251に蓄積された第1の画像データを、第1の解像度より高い第2の解像度(4800dpi/1ビット相当)の画像データ(各画素は画像情報とタグ情報とを含む)に変換する。本実施形態においては、解像度変換部3252は、主走査方向が2400dpi/4ビット(上位ビットが画像情報(CMYK)、下位ビットがタグ情報)、副走査方向が4800dpi/1ビットのデータに変換する。
解像度変換部3252は、第1の画像データの中から対象画素を順次に選択し、対象画素毎に、解像度変換処理を実行する。解像度変換部3252は、変換後の第2の解像度の画像データをガンマ変換部3253に渡す。
ガンマ変換部3253は、解像度変換部3252から第2の解像度の画像データを受け取り、受け取った画像データをクロック信号に変調するとともに、光源2200の特性に応じたレベルにレベル変換することにより、変調信号を生成する。ガンマ変換部3253は、生成した変調信号を光源駆動部3234に送る。この例では、ガンマ変換部3253は、「生成部」として機能する。
図13は、解像度変換部3252による解像度変換前の第1の解像度(2400dpi)の画像情報およびタグ情報のビットの配置と、解像度変換後の第2の解像度(4800dpi)の画像情報およびタグ情報のビットの配置を示す図である。
本実施形態において、第1の解像度のデータは、主走査方向が2400dpi/2ビットで表され、副走査方向が2400dpi/1ビットで表される。さらに、主走査方向の2ビットのデータは、上位ビット(bit1)が画像情報(CMYK)を表し、下位ビット(bit0)がタグ情報を表す。
また、本実施形態において、第2の解像度のデータは、主走査方向が2400dpi/4ビットで表され、副走査方向が4800dpi/1ビットで表される。さらに、主走査方向の4ビットのデータは、上位ビット(bit3,bit2)が画像情報(CMYK)を表し、下位ビット(bit1,bit0)がタグ情報を表す。なお、第2の解像度のデータは、主走査方向が2400dpiである。しかし、第2の解像度のデータは、第1の解像度のデータから、主走査方向のビット数が2倍となっているので、4800dpi/2ビットに相当する。
図14は、解像度変換部3252の構成を示す図である。本実施形態においては、解像度変換部3252は、第1の画像データの中から対象画素を1画素ずつ順次に選択し、対象画素毎に解像度を変換する処理(図13に示したような変換処理)を実行する。
図14に示すように、解像度変換部3252は、イメージマトリクス取得部3261と、第1のパターンマッチング部3262と、第1の変換部3263と、通常パターン変換部3264と、検知部3266と、テストパターン入力部3267と、セレクタ3268と、判定部3269と、を含む。これらの機能は、それぞれハードウェア回路(半導体集積回路)で実現される。
イメージマトリクス取得部3261は、バッファメモリ3251から、対象画素および対象画素の周囲の画素を含む領域に相当するイメージマトリクスを取得する。イメージマトリクスは、第1の画像データのうち、対象画素および対象画素の周囲の画素を含む領域における画像情報およびタグ情報である。例えば、イメージマトリクスは、第1の画像データのうち、対象画素を中心とした矩形の領域における画像情報およびタグ情報である。本実施形態においては、イメージマトリクスは、第1の画像データのうち、対象画素を中心とした、9×9の画素領域における画像情報およびタグ情報である。つまり、イメージマトリクスは、第1の画像データのうち、対象画素を中心とした、9×9の画素領域の部分画像(第1の解像度の部分画像)であり、イメージマトリクスを構成する画素は、画像情報を表す画素値(第1の画素値)およびタグ情報を表す画素値(第2の画素値)を含む2ビットの情報で表される。
第1のパターンマッチング部3262は、前述のイメージマトリクス(イメージマトリクス取得部3261により取得されたイメージマトリクス)が、エッジかつ段差の部分を示す1以上の第1のパターンのいずれかと一致するか否かを判定する。本実施形態の第1のパターンマッチング部3262は、対象画素が文字または線のエッジを構成する画素であるか否か、対象画素が1200dpiの段差を構成する画素であるか否かを判断する。エッジを構成する画素とは、黒画素と白画素との境界の近傍の画素をいう。例えば、エッジを構成する画素は、黒画素と白画素の境界から、一定の範囲内の画素をいう。
第1のパターンマッチング部3262は、一例として、イメージマトリクス内における画像情報およびタグ情報の配置が、予め登録されている複数のパターン(第1のパターン)の何れかに一致していれば、対象画素が文字または線のエッジを構成する画素、かつ1200dpiの段差を構成する画素であると判断する。第1のパターンマッチング部3262は、一致していなければ、対象画素が文字または線のエッジを構成する画素、かつ1200dpiの段差を構成する画素ではないと判断する。図15の(A)および(B)は、第1のパターンの一例を示す図である。
第1のパターンマッチング部3262は、対象画素が文字または線のエッジを構成する画素、かつ1200dpiの段差を構成する画素であると判断した場合には、イメージマトリクス内における画像情報およびタグ情報の配置を識別するマッチング信号1を第1の変換部3263に渡す。第1のパターンマッチング部3262は、対象画素が文字または線のエッジを構成する画素、かつ1200dpiの段差を構成する画素ではないと判断した場合には、第1の変換部3263にマッチング信号1を渡さない。
第1の変換部3263は、対象画素がエッジかつ段差の部分を構成する画素の場合、対象画素に対して、細線化処理、スムージング処理、および、解像度変換処理を行って、第2の画像データ(以下の説明では「第1の画像処理パターン」と称する)に変換する。より具体的には、第1の変換部3263は、前述のイメージマトリクスが何れかの第1のパターンと一致する場合、該第1のパターンに紐付く細線化処理、スムージング処理、および、解像度変換処理を行う。さらに言えば、第1の変換部3263は、1以上の第1のパターンごとに、細線化処理、スムージング処理、および、解像度変換処理に対応する画像処理が紐付けられた画像処理情報を参照して、イメージマトリクスと一致する第1のパターンに紐付く画像処理を行う。この例では、第1の変換部3263は、第1のパターンマッチング部3262から前述のマッチング信号1を受信した場合、その受信したマッチング信号1が示す画像情報およびタグ情報の配置に対応する第1のパターンに紐付く画像処理を行う。
第1の変換部3263は、イメージマトリクスと一致する第1のパターンに紐付く画像処理を行った場合は、該画像処理により得られた第1の画像処理パターンと、イネーブル信号をセレクタ3268へ出力する。なお、これに限らず、例えば第1のパターンマッチング部3262が、前述のイメージマトリクスと何れかの第1のパターンとが一致した場合に、イネーブル信号をセレクタ3268へ出力する形態であってもよい。要するに、セレクタ3268は、第1の変換部3263による変換が行われる場合に、イネーブル信号を受信する形態であればよい。
例えば図16の(A)に示すように、エッジかつ段差を構成する画素として、画素A〜Iを想定する。図17は、画素A〜Iごとに、該画素を対象画素として含むイメージマトリックスと一致する第1のパターンに紐付く画像処理を行った後の状態を示す図である。この例では、図15に示すような9×9の第1のパターンを用いてパターンマッチングを実施して、エッジかつ段差を構成する画素を検出した場合、該画素を対象画素として含むイメージマトリクスと一致する第1のパターンに紐付く画像処理(細線化処理、スムージング処理、解像度変換処理に相当)を実行することで、図16の(A)の画素A〜Iは、図16の(B)に示すように、1200dpi相当の段差を均すよう4800dpiで変換される。画像処理を行う前のイメージを図18、画像処理を行った後のイメージを図19に示す。
以上のように、第1の変換部3263は、対象画素が文字または線のエッジを構成し、かつ、1200dpiの段差を構成する画素である場合、対象画素の画像情報およびタグ情報を、イメージマトリクス内の配置に対応して定められた第1のパターンに対応する第2の解像度の画像情報およびタグ情報に変換する。本実施形態においては、第1の変換部3263は、第2の解像度の画像情報およびタグ情報として(第1の画像処理パターンとして)、主走査方向が2400dpi/4ビット、副走査方向が4800dpi/1ビットのデータを出力する。
通常パターン変換部3264は、「第3の画像データ変換部」の一例であり、対象画素に対して前述の解像度変換処理を行って、第2の解像度の画像データ(「第3の画像データ」)に変換する。以下の説明では、通常パターン変換部3264による変換で得られた画像データを「通常パターン」と称する。本実施形態では、通常パターン変換部3264は、第2の解像度の画像情報およびタグ情報として、主走査方向が2400dpi/4ビット、副走査方向が4800dpi/1ビットのデータで表される通常パターン(細線化処理やスムージング処理は未実施)を出力する。そして、通常パターン変換部3264は、通常パターンをセレクタ3268へ送る。
検知部3266は、対象画素が、閾値以下の幅を示す細線構造に含まれる画素であるか否かを検知する。この例では、検知部3266は、細線構造を検知するための1以上のパターンを予め保持している。そして、検知部3266は、対象画素を含む前述のイメージマトリクスと一致するパターンが存在するか否かを判断することで、該対象画素が閾値以下の幅を示す細線構造に含まれる画素であるか否かを検知することができる。なお、検知方法はこれに限らず、公知の様々な技術を利用可能である。検知部3266は、対象画素が、閾値以下の幅を示す細線構造に含まれる画素であることを検知した場合、セレクタ3268に対して検知信号を出力する。つまり、セレクタ3268は、検知部3266により、対象画素が、閾値以下の幅を示す細線構造に含まれる画素であることが検知された場合に検知信号を受信する。
本実施形態では、CPU3214が上記閾値を設定する機能(設定部3271)を有している。設定部3271は、それぞれが所定の幅を有する線画像を示す複数のテストパターンの出力結果に基づいて、細線構造の幅の閾値を設定する。例えばテストパターンは、図20の(A)に示すような縦線であってもよいし、図20の(B)に示すような横線であってもよいし、図20の(C)または(D)に示すような斜線であってもよい。要するに、テストパターンは、縦線、横線、および、斜線のうちの何れかであればよい。
設定部3271は、出力結果を視認できないテストパターンの幅に応じて、閾値を設定する。設定部3271は、出力結果を視認できないテストパターンが複数存在する場合、その中で幅が最大のテストパターンの幅に応じて閾値を設定することができる。この例では、テストパターンの出力結果は該テストパターンに対応するトナー像であり、解像度変換部3252は、テストパターンの出力結果を視認できるか否かを判定するための判定部3269をさらに備える。判定部3269は、テストパターンに対応するトナー像のトナー量が基準値以上の場合は、該テストパターンの出力結果は視認できると判定し、基準値未満の場合は、該テストパターンの出力結果は視認できないと判定する判定部3269をさらに備える。上記基準値は、複数の記録媒体ごとに(用紙の種類ごとに)固有の値に予め設定される。
図21は、判定部3269の構成を示す図である。図21に示すように、判定部3269は、基準値保持部3281と、比較部3282とを備える。基準値保持部3281は、用紙の種類ごとに基準値を保持しており、プリンタ制御装置2090のCPUや設定部3271等から、印刷に用いられる記録紙の種類を示す情報を取得し、その取得した情報が示す記録紙の種類に対応する基準値を比較部3282に入力する。また、この例では、転写ベルト2040上のトナー量を検知するためのセンサー(例えば濃度検知センサー)が設けられており、該センシング結果(トナー量検知結果)が比較部3282に入力される。比較部3282は、比較結果を示す情報を判定結果としてCPU3214(設定部3271)へ送る。判定結果として、センシング結果が基準値以上を示す場合は、テストパターンの出力結果を視認できることを表し、センシング結果が基準値未満を示す場合は、テストパターンの出力結果を視認できないことを表す。
本実施形態では、設定部3271は、カラープリンタ2000に対する電力供給が開始されてから印刷開始前のタイミングで閾値を設定する。また、設定部3271は、連続して搬送される複数の記録紙の各々に対する印刷動作の合間を示す紙間において、カラープリンタ2000が有する機能を再調整するプロコン処理が行われた場合に、閾値を設定する。閾値の設定を行う場合、設定部3271は、予め用意されたテストパターンをセレクタ3268へ入力するためのテストパターン入力部3267に対して、テストパターンの入力を指示し、セレクタ3268に対して、テストパターンの選択を指示するためのテストパターン選択信号を入力する。後述のセレクタ3268は、テストパターン選択信号が入力された場合は、テストパターン入力部3267から入力されるテストパターンを選択して、前述のガンマ変換部3253へ出力する。これにより、光源2200は、テストパターンに応じた変調信号に従って発光し、潜像が感光体ドラム2030に書き込まれる。つまり、テストパターンに応じた潜像が感光体ドラム2030に書き込まれる。感光体ドラム2030に書き込まれた潜像は現像ローラ2033で顕像化され、その顕像化により得られたトナー像は、転写ローラ2042によって転写ベルト2040上に転写される。つまり、転写ベルト2040上には、テストパターンに応じたトナー像が形成される。そして、前述の判定部3269により、転写ベルト2040上のトナー量(つまりテストパターンに対応するトナー像のトナー量)が基準値以上であるか否かが判定され、設定部3271は、その判定結果に応じて閾値を設定する。閾値の設定を完了すると、設定部3271は、セレクタ3268に対するテストパターン選択信号の入力を停止する。
例えば細線化処理によって3ドット分の画素が削除される場合を想定する。任意の一つのテストパターンの幅が3ドットであり、このテストパターンの出力結果が視認可能である場合、6ドットの幅の細線構造を細線化処理しても、電子写真プロセスや紙種の影響により、細線化処理後の細線が消失してしまうことはない(テストパターンの出力結果から、6−3=3ドットの細線であれば、電子写真プロセスや紙種の影響により消失しないことが確認されているため)。一方、任意の一つのテストパターンの幅が2ドットであり、このテストパターンの出力結果が視認不可能である場合、5ドットの幅の細線構造を細線化処理してしまうと、電子写真プロセスや紙種の影響により、細線化処理後の細線が消失してしまう(テストパターンの出力結果から、5−3=2ドットの細線であれば、電子写真プロセスや紙種の影響により消失してしまうことが確認されているため)。本実施形態では、設定部3271は、幅が小さい順にテストパターンを出力する制御を行い、その都度、判定部3269からの判定結果を取得する。そして、テストパターンの出力結果は視認できないという判定結果から、テストパターンの出力結果は視認できるという判定結果に変化した場合、その変化直前の判定結果(テストパターンの出力結果は視認できないという判定結果)に対応するテストパターンの幅と、細線化処理で削除する画素の幅(削除幅)とを加算した値を、上記閾値として設定する。
上記のように、例えば細線化処理の削除幅が3ドットであって、2ドットの幅のテストパターン→3ドットの幅のテストパターンの順に出力していき、2ドットの幅のテストパターンの出力結果は視認できないと判定され、3ドットの幅のテストパターンの出力結果は視認できると判定された場合を想定する。この場合、設定部3271は、テストパターンの出力結果は視認できるという判定結果に変化する直前の判定結果に対応する2ドットの幅のテストパターンの幅(2ドット)と、削除幅(3ドット)とを加算した5ドットを上記閾値として設定することができる。
なお、上記に限らず、例えば設定部3271は、幅が大きい順にテストパターンを出力する制御を行い、テストパターンの出力結果は視認できるという判定結果から、テストパターンの出力結果は視認できないという判定結果に変化した場合、その変化直前の判定結果に対応するテストパターンの幅と、細線化処理の削除幅とを加算した値を、上記閾値として設定することもできる。
図22は、電源ON時に閾値を設定する場合のカラープリンタ2000の動作例を示すフローチャートである。カラープリンタ2000に対する電力供給が開始されると(ステップS1)、設定部3271は何れかのテストパターンを出力対象として決定する(ステップS2)。前述したように、設定部3271は、幅が小さいテストパターンから順番に出力対象として決定していく。次に、設定部3271は、ステップS2で決定したテストパターンを出力する制御を行う(ステップS3)。その後、判定部3269は、センシング結果を取得し、その取得したセンシング結果が基準値以上であるか否かを判定し(ステップS4)、その判定結果を設定部3271へ出力する。
設定部3271は、センシング結果が基準値未満の場合、つまりテストパターンの出力結果が視認不可能である場合は(ステップS5:No)、ステップS2に戻って次のテストパターンを決定する。一方、センシング結果が基準値以上の場合、つまりテストパターンの出力結果が視認可能である場合は(ステップS5:Yes)、直前の判定結果(この例では視認不可能を示す判定結果になる)に対応するテストパターンの幅と、細線化処理の削除幅とを加算した値を閾値として設定する(ステップS6)。
図23は、紙間において閾値を設定する場合のカラープリンタ2000の動作例を示すフローチャートである。前回の印刷よりX枚目を経過した場合(ステップS11:Yes)、または、機内温度がX度上昇した場合(ステップS12:Yes)などの再調整処理(プロコン処理)の実行条件が成立した場合は、プロコン処理が実行される(ステップS13)。なお、プロコン処理の実行条件はこれらに限らず任意に設定可能である。
プロコン処理が実行されると、電子写真プロセスも変化することが懸念されるので、改めて閾値を設定する処理が実行されることになる。ステップS14〜ステップS18の処理内容は、図22に示すステップS2〜ステップS6の処理内容と同様であるので、詳細な説明は省略する。
図14に戻って説明を続ける。セレクタ3268は、「選択部」の一例であり、第1の変換部3263から第1の画像処理パターン(第2の画像データ)が入力され、通常パターン変換部3264から通常パターン(第3の画像データ)が入力され、かつ、検知部3266により、対象画素が閾値以下の幅を示す細線構造に含まれる画素であると検知された場合は、通常パターンを選択する。一方、第1の変換部3263から第1の画像処理パターンが入力され、通常パターン変換部3264から通常パターンが入力され、かつ、検知部3266により、対象画素が閾値以下の幅を示す細線構造に含まれる画素であると検知されなかった場合は、第1の画像処理パターンを選択する。セレクタ3268により選択された第2の解像度の画像データ(第1の画像処理パターンまたは通常パターン)は、前述のガンマ変換部3253へ出力されることになる。
この例では、セレクタ3268は、検知信号を受信せず、かつ、イネーブル信号を受信した場合は、第1の画像処理パターンを選択する。また、セレクタ3268は、検知信号およびイネーブル信号を受信した場合は、通常パターンを選択する。また、セレクタ3268は、検知信号およびイネーブル信号を受信しない場合は、通常パターンを選択する。
以上の構成の解像度変換部3252は、第1の解像度の画像データを第2の解像度の画像データに変換できるとともに、文字または線のエッジに対して画像処理を施すことができる。例えば、解像度変換部3252は、黒の文字または線を細線化することができるし、白抜きの文字または線を太線化(黒線の細線化と考えてもよい)することもできる。
図24は、1つの対象画素を選択したときの解像度変換部3252の動作例を示すフローチャートである。なお、図24に示す第1のパス(第1のパターンマッチング部3262、第1の変換部3263の処理)、第2のパス(通常パターン変換部3264の処理)、第3のパス(検知部3266の処理)は互いに並列の関係にある。各ステップの詳細な内容は上述したとおりであるので適宜に説明を省略する。
まず、第1のパスを説明する。第1のパターンマッチング部3262は、対象画素がエッジかつ段差を構成する画素であるか否かを判断する(ステップS101)。ステップS101の結果が肯定の場合(ステップS101:Yes)、第1の変換部3263は、対象画素を第1の画像処理パターンに変換し、イネーブル信号を出力する(ステップS102)。そして、処理は後述のステップS106に移行する。一方、ステップS101の結果が否定の場合(ステップS101:No)、そのまま処理は後述のステップS106に移行する。
次に、第2のパスを説明する。通常パターン変換部3264は、対象画素を通常パターンに変換する(ステップS103)。処理は後述のステップS106に移行する。
次に、第3のパスを説明する。検知部3266は、対象画素が、前述の設定部3271により設定された閾値以下の幅を示す細線構造に含まれる画素であるか否かを検知する(ステップS104)。ステップS104の結果が肯定の場合(ステップS104:Yes)、検知部3266は検知信号を出力する(ステップS105)。そして、処理は後述のステップS106に移行する。一方、ステップS104の結果が否定の場合(ステップS104:No)、そのまま処理は後述のステップS106に移行する。
ステップS106において、セレクタ3268は、画像を選択して出力する。前述したように、セレクタ3268は、検知信号を受信した場合は、イネーブル信号を受信したか否かに関わらず、通常パターンを選択して出力する。また、セレクタ3268は、検知信号を受信せずにイネーブル信号を受信した場合は、第1の画像処理パターンを選択して出力する。さらに、セレクタ3268は、検知信号およびイネーブル信号を受信しない場合は、通常パターンを選択して出力する。
以上に説明したように、本実施形態では、テストパターンの出力結果に基づいて閾値を設定(電子写真プロセスや紙種の影響を考慮して閾値を設定)し、対象画素が、そのようにして設定した閾値以下の幅を示す細線構造に含まれる画素である場合は、第1の画像処理パターンおよび通常パターンのうち通常パターンを選択して出力する(つまり対象画素に対して細線化処理は行わない)ことで、細線化処理により細線が消えてしまうことを抑制できるという有利な効果を達成できる。
例えば対象画素が閾値以下の細線構造に含まれる場合であっても、そのまま細線化処理を行ってしまうと、図25の(A)に示すように細線が消失してしまう。そこで、本実施形態では、対象画素が閾値以下の細線構造に含まれる場合は、細線化処理を行わずに解像度変換処理のみを行うことで、細線が消失してしまうことを防いでいる(図25の(B))。そして、対象画素が閾値以下の細線構造に含まれず、エッジかつ段差の部分を構成する画素である場合は、細線化処理、スムージング処置および解像度変換処理を行う。この場合は、以上の画像処理を行っても細線が消失することは無い(図25の(C))。
また、前述したように、本実施形態では、CPU3214が上記閾値を設定する機能(設定部3271)を有している。ここでは、CPU3214と解像度変換部3252の組み合わせが「画像処理装置」に対応しているが、より拡張して光走査装置2010が「画像処理装置」に対応していると考えてもよい。さらに、解像度変換部3252が前述の設定部3271を有する形態であってもよい。この形態では、解像度変換部3252が「画像処理装置」に対応する。
以下、各部の処理内容を具体的な画像データ等を参照して具体的に説明する。
図26は、第1の解像度(2400dpi)の対象画素と、通常パターンへの変換後の第2の解像度(4800dpi)の画像情報およびタグ情報を示す図である。通常パターン変換部3264は、対象画素を、対象画素の値に応じたパターンの第2の解像度の画像情報およびタグ情報に変換する。
例えば、通常パターン変換部3264は、図26のAに示すように、対象画素の画像情報(第1の画素値)が0、タグ情報(第2の画素値)が0である場合には、主走査方向の画像情報の部分(上位2ビット)を0、タグ情報の部分(下位2ビット)を0としたデータを出力する。通常パターン変換部3264は、図26のBに示すように、対象画素の画像情報が1、タグ情報が0である場合には、主走査方向の画像情報の部分(上位2ビット)を1、タグ情報の部分(下位2ビット)を0としたデータを出力する。通常パターン変換部3264は、図26のCに示すように、対象画素の画像情報が0、タグ情報が1である場合には、主走査方向の画像情報の部分(上位2ビット)を0、タグ情報の部分(下位2ビット)を1としたデータを出力する。第2変換部3264は、図26のDに示すように、対象画素の画像情報が1、タグ情報が1である場合には、主走査方向の画像情報の部分(上位2ビット)を1、タグ情報の部分(下位2ビット)を1としたデータを出力する。
図27は、2400dpiの黒画素の線画の一例を示す図である。入力画像データには、それぞれの画素に、属性情報(画素のソースとなるオブジェクトの種類)が付加されている。例えば、図27の例では、黒画素に、ソースとなるオブジェクトが線画(文字または線のことを線画ともいう)を示す属性情報が付加されている。そして、本例においては、タグ生成部3226は、黒画素であり、かつ、属性情報が線画を示す画素である場合、その画素に線画を示すタグ情報を割り当てる。
なお、タグ生成部3226は、入力画像データが1200dpiの解像度であるので、1200dpiの解像度のタグ情報を生成する。そして、位置補正部3224は、1200dpiの解像度の入力画像データを、位置補正するとともに、2400dpi(第1の解像度)に高解像度化する。この場合において、位置補正部3224は、タグ情報も、入力画像データと同期させて位置補正するとともに、2400dpi(第1解像度)に高解像度化する。
図28は、イメージマトリクスの一例を示す図である。本実施形態において、イメージマトリクス取得部3261は、図28に示すように、対象画素を中心とした、9×9画素(主走査方向×副走査方向)の領域から構成されるイメージマトリクスを取得する。
図29、図30および図31は、対象画素が線画のエッジを構成する画素であるかを判断するためのイメージマトリクスの配置の例を示す図である。第1のパターンマッチング部3262は、取得したイメージマトリクスの画像情報およびタグ情報の配置が、図29のAからLまでの配置、図30のMからXまでの配置、または、図31のYからAJまでの配置の何れかに一致する場合、対象画素が線画のエッジであると判断する。
なお、図29、図30および図31では、黒色部分は、線画を示すタグ情報が割り当てられた黒画素を示し、ハッチング部分は、線画ではないことを示すタグ情報が割り当てられた白画素を示し、空白部分は、不問の画素(どのような画像情報およびタグ情報であってもよい画素)を示す。
また、図29〜図31の例での線画のエッジとは、黒画素と白画素の境界から、一定の範囲内の黒領域における画素である。本例においては、黒画素と白画素の境界から2画素分の範囲内の黒画素をいう。
図29のA、B、C、Dは、対象画素(数値1または2が付いた画素)が、2画素分の幅の線または文字のエッジとなる配置を表す。図29のE、F、G、Hは、対象画素(数値3または4が付いた画素)が、4画素分の幅の線または文字における、白画素に隣接する位置のエッジとなる配置を表す。図29のI、J、K、Lは、対象画素(数値5が付いた画素)が、4画素分の幅の線または文字における、白画素から1画素分離れた位置のエッジとなる配置を表す。
図30のM、N、O、P、Q、R、S、Tは、対象画素(数値6または7が付いた画素)が、線または文字におけるコーナーの白画素に隣接する位置のエッジとなる配置を表す。図30のU、V、W、Xは、対象画素(数値8が付いた画素)が、4画素以上の幅を有する線または文字における、白画素に隣接する位置のエッジとなる配置を表す。
図31のY、Z、AA、AB、AC、AD、AE、AFは、対象画素(数値9または10が付いた画素)が、線または文字におけるコーナーの、白画素から1画素分離れた位置のエッジとなる配置を表す。図31のAG、AH、AI、AJは、対象画素(数値11が付いた画素)が、4画素以上の幅を有する線または文字における、白画素から1画素分離れた位置のエッジとなる配置を表す。
図32は、第2の解像度に変換後のパターンの一例を示す図である。第1の変換部3263は、取得したイメージマトリクスが図29から図31に示された何れかの配置に一致した場合、中央の対象画素を、図32に示すa〜nの何れかの第2の解像度のパターンに変換する。
パターンaは、2×2の画素を全てオフ(非発光)とするパターンである。
また、パターンbは、2×2の画素の左上の1つの画素をオン(発光)とするパターンである。パターンcは、2×2の画素の右上の1つの画素をオンとするパターンである。パターンdは、2×2の画素の右下の1つの画素をオンとするパターンである。パターンeは、2×2の画素の左下の1つの画素をオンとするパターンである。
パターンfは、2×2の画素の左上および左下の2つの画素をオンとするパターンである。パターンgは、2×2の画素の左上および右上の2つの画素をオンとするパターンである。パターンhは、2×2の画素の右上および右下の2つの画素をオンとするパターンである。パターンiは、2×2の画素の左下および右下の2つの画素をオンとするパターンである。
パターンjは、2×2の画素の左上、左下および右下の3つの画素をオンとするパターンである。パターンkは、2×2の画素の左下、右上および右下の3つの画素をオンとするパターンである。パターンlは、2×2の画素の左上、左下および右上の3つの画素をオンとするパターンである。パターンmは、2×2の画素の左上、右上および右下の3つの画素をオンとするパターンである。
パターンnは、2×2の画素の全てをオンとするパターンである。
図33は、図30のUおよび図31のAGのイメージマトリクスに含まれる対象画素を高解像度化する場合の第1の変換例を示す図である。第1の変換部3263には、図29、図30および図31のそれぞれのイメージマトリクスの配置毎に、対象画素を図32の何れのパターンに変換するかが予め登録されている。例えば、第1の変換部3263には、線画を内側に狭めるようなパターンが登録されている。これにより、第1の変換部3263は、線画における黒領域を細くして、線画を細線化することができる。
例えば、図33に示されるように、第1の変換部3263は、イメージマトリクスの配置が図29のUの場合には、対象画素(数値8の位置の画素)を図32のパターンhに置き換え、イメージマトリクスの配置が図31のAGの場合には、対象画素(数値11の位置の画素)を図32のパターンnに置き換える。これにより、第1の変換部3263は、左側のエッジの黒画素を第2の解像度(4800dpi)で1画素分だけ少なくして、黒領域を細くすることができる。
図34は、2400dpiの黒画素の線画と、4800dpiに高解像度化した後の黒画素の線画の一例を示す図である。このような解像度変換部3252によれば、例えば、図34のAに示すような、2400dpiの黒画素の線または文字の一部分の画像データを、図34のBに示すように、4800dpiの解像度の画像データに変換することができる。さらに、解像度変換部3252によれば、図34のBに示すように、黒色の線または文字の一部分を細線化することができる。
図35は、図30のUおよび図31のAGのイメージマトリクスに含まれる対象画素を高解像度化する場合の第2の変換例を示す図である。
第1の変換部3263は、イメージマトリクスの配置と図32の各パターンとの対応付けを変更することにより、より黒領域を細くすることもできる。
例えば、図35に示されるように、第1の変換部3263は、イメージマトリクスの配置が図30のUの場合には、対象画素(数値8の位置の画素)を図32のパターンaに置き換え、イメージマトリクスの配置が図31のAGの場合には、対象画素(数値11の位置の画素)を図32のパターンnに置き換える。これにより、第1の変換部3263は、左側のエッジの黒画素を第2の解像度(4800dpi)で2画素分少なくして、黒領域を細くすることができる。
図36は、2400dpiの白抜きの線画の一例を示す図である。例えば、図36の例では、白画素に、ソースとなるオブジェクトが線画を示す属性情報が付加されている。この例では、タグ生成部3226は、白画素であり、かつ、属性情報が線画を示す画素である場合、その画素に線画を示すタグ情報を割り当てる。これにより、タグ生成部3226は、白抜きの線画に、文字または線を示すタグ情報を割り当てることができる。
図37および図38は、対象画素が、白抜きの線画のエッジを構成する画素であるかを判断するためのイメージマトリクスの配置の例を示す図である。第1のパターンマッチング部3262は、取得したイメージマトリクスの画像データおよびタグ情報の配置が、図37のBAからBLまでの配置、または、図39のBMからBXまでの配置の何れかに一致する場合、対象画素が線画のエッジであると判断する。
なお、図37および図38では、黒色部分は、線画を示さないタグ情報が割り当てられた黒画素を示し、ハッチング部分は、線画を示すタグ情報が割り当てられた白画素を示し、空白部分は、不問の画素(どのような画像データおよびタグ情報であってもよい画素)を示す。
また、白抜きの線画のエッジとは、黒画素と白画素の境界から、一定の範囲内の黒領域の画素である。本例においては、黒画素と白画素の境界から2画素分の範囲内の黒画素をいう。
図37のBA、BB、BC、BD、BE、BF、BG、BHは、対象画素(数値12または13が付いた画素)が、白抜きの線または文字におけるコーナーの白画素に隣接する位置のエッジとなる配置を表す。図37のBI、BJ、BK、BLは、対象画素(数値14が付いた画素)が、白抜きの線または文字における、白画素に隣接する位置のエッジとなる配置を表す。
図38のBM、BN、BO、BP、BQ、BR、BS、BTは、対象画素(数値15または16が付いた画素)が、白抜きの線または文字におけるコーナーの、白画素から1画素分離れた位置のエッジとなる配置を表す。図38のBU、BV、BW、BXは、対象画素(数値17が付いた画素)が、白抜きの線または文字における、白画素から1画素分離れた位置のエッジとなる配置を表す。
図39は、図37のBIおよび図39のBUのイメージマトリクスに含まれる対象画素を高解像度化する場合の変換例を示す図である。第1の変換部3263には、図37および図38のそれぞれのイメージマトリクスの配置毎に、対象画素を図32の何れのパターンに変換するかが予め登録されている。例えば、第1の変換部3263には、白抜きの線画を外側に広げるようなパターンが登録されている。これにより、第1の変換部3263は、白抜き線画における白領域を太くして、線画を太線化することができる。
例えば、図39に示されるように、第1の変換部3263は、イメージマトリクスの配置が図37のBIの場合には、対象画素(数値14の位置の画素)を図32のパターンfに置き換え、イメージマトリクスの配置が図38のBUの場合には、対象画素(数値17の位置の画素)を図32のパターンnに置き換える。これにより、第1の変換部3263は、右側のエッジの黒画素を第2解像度(4800dpi)で1画素分だけ少なくして、白抜きの領域を太くすることができる(黒画像の細線化と考えることもできる)。
図40は、2400dpiの白抜きの線画と、4800dpiに高解像度化した後の白抜きの線画の一例を示す図である。このような解像度変換部3252によれば、例えば、図40のAに示すような、2400dpiの白抜きの線または文字の一部分の画像データを、図40のBに示すように、4800dpiの解像度の画像データに変換することができる。さらに、解像度変換部3252によれば、図40のBに示すように、白抜きの線または文字の一部分を太線化することができる。
図41は、タグ情報の割り当て例を示す図である。タグ生成部3226は、1200dpiの画像データのそれぞれの画素が、文字または線を構成する画素であるか否かを示すタグ情報を生成する。そして、タグ生成部3226により生成されたタグ情報は、位置補正部3224および階調処理部3225を介して、駆動制御ユニット3103へと渡される。
ここで、位置補正部3224は、対応する画素(1200dpi)の濃度データおよびエッジ方向に応じて、タグ情報の割り当てを変更してもよい。例えば、図42に示すように、位置補正部3224は、画像データ(1200dpi)の画素の濃度を14段階に分け、エッジの方向を4方向に分けて、濃度および位相に応じて画素値(黒画素または白画素)およびタグ情報(タグ有り、タグ無し)を変更してもよい。これにより、解像度変換部3252は、より詳細な条件に一致する領域を第1の画像データから検出することができる。
以上の本実施形態に係るカラープリンタ2000によれば、画像データのデータ転送量を増加させることなく、高い解像度での画像処理を実行して高画質化を実現することができる。
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
例えば図42に示すように、解像度変換部3252は、第2のパターンマッチング部3301と第2の変換部3302とをさらに有する形態であってもよい。第2のパターンマッチング部3301は、前述のイメージマトリクス(イメージマトリクス取得部3261により取得されたイメージマトリクス)が、エッジの部分を示す1以上の第2のパターンのいずれかと一致するか否かを判定する。本変形例の第2のパターンマッチング3301は、対象画素が文字または線のエッジを構成する画素であるか否かを判断する。エッジを構成する画素とは、黒画素と白画素との境界の近傍の画素をいう。例えばエッジを構成する画素は、黒画素と白画素の境界から一定の範囲内の画素をいう。
第2のパターンマッチング部3301は、対象画素が文字または線のエッジを構成する画素であると判断した場合には、イメージマトリクス内における画像情報およびタグ情報の配置を識別するマッチング信号2を第2の変換部3302に渡す。第2のパターンマッチング部3301は、対象画素が文字または線のエッジを構成する画素ではないと判断した場合には、第2の変換部3302にマッチング信号2を渡さない。
第2の変換部3302は、対象画素がエッジを構成する画素の場合、対象画素に対して、細線化処理、および、解像度変換処理を行って(スムージング処理は行わない)、第2の解像度の画像データ(「第2の画像データ」の他の例)に変換する。以下の説明では、第2の変換部3302による変換で得られた画像データを「第2の画像処理パターン」と称する。この例では、第2の変換部3302は、前述のイメージマトリクスが何れかの第2のパターンと一致する場合、該第2のパターンに紐付く細線化処理および解像度変換処理を行う。さらに言えば、第2の変換部3302は、1以上の第2のパターン(エッジの部分を示すパターン)ごとに、細線化処理および解像度変換処理に対応する画像処理が紐付けられた第2の画像処理情報を参照して、イメージマトリクスと一致する第2のパターンに紐付く画像処理を行う。この例では、第2の変換部3302は、第2のパターンマッチング部3301から前述のマッチング信号2を受信した場合、その受信したマッチング信号2が示す画像情報およびタグ情報の配置に対応する第2のパターンに紐付く画像処理を行う。この例の第2の画像処理情報においては、複数の第2のパターンごとに、該第2のパターンに含まれる複数の画素(マトリクス状に配列された複数の画素)のうち、対象画素に対応する画素(この例ではマトリクス中央の画素)に対して、実行すべき画像処理が紐付けられている。
第2の変換部3302は、第2のパターンに紐付く画像処理を行った場合は、該画像処理により得られた第2の画像処理パターンと、第2のイネーブル信号をセレクタ3268へ出力する。なお、これに限らず、例えば第2のパターンマッチング部3301が、前述のイメージマトリクスと何れかの第2のパターンとが一致した場合に、第2のイネーブル信号をセレクタ3268へ出力する形態であってもよい。要するに、セレクタ3268は、第2の変換部3302による変換が行われる場合に、第2のイネーブル信号を受信する形態であればよい。
この例では、第2の変換部3302は、対象画素が文字または線のエッジを構成する画素である場合、対象画素の画像情報およびタグ情報を、イメージマトリクス内の配置に対応して定められた第2のパターンに対応する第2の解像度の画像情報およびタグ情報に変換する。本実施形態においては、第2の変換部3302は、第2の解像度の画像情報およびタグ情報として(第2の画像処理パターンとして)、主走査方向が2400dpi/4ビット、副走査方向が4800dpi/1ビットのデータを出力する。
図43は、本変形例のセレクタ3268が受信する信号と、セレクタ3268が選択する画像(選択画像)との関係を示す図である。図44に示す「1」は、対応する信号がセレクタ3268に入力されることを表し、「0」は、対応する信号がセレクタ3268に入力されないことを表す。また、「*」は、対応する信号がセレクタ3268に入力されるか否かは不問であることを表す。
図43に示すように、セレクタ3268は、検知信号を受信した場合は、イネーブル信号または第2のイネーブル信号を受信したか否かに関わらず、通常パターン(第3の画像データ)を選択する。また、セレクタ3268は、検知信号を受信せず、かつ、イネーブル信号を受信した場合は、第2のイネーブル信号を受信したか否かに関わらず、第1の画像処理パターン(第1の変換部3263から入力された第2の画像データ)を選択する。また、セレクタ3268は、検知信号およびイネーブル信号を受信せず、かつ、第2のイネーブル信号を受信した場合は、第2の画像処理パターン(第2の変換部3302から入力された第2の画像データ)を選択する。さらに、セレクタ3268は、検知信号、イネーブル信号および第2のイネーブル信号の何れも受信しない場合は、通常パターンを選択する。
要するに、解像度変換部3252は、対象画素が細線化処理の対象である場合、対象画素に対して細線化処理を行うとともに、第1の解像度よりも高い第2の解像度に変換する解像度変換処理を行って、第2の画像データに変換する機能(第2の画像データ変換部)を有する形態であればよい。前述の第1の変換部3263および前述の第2の変換部3302のうちの少なくとも1つは、この第2の画像データ変換部に含まれる。例えば上述の実施形態のような形態であってもよいし、第1のパターンマッチング部3262および第1の変換部3263が設けられずに、第2のパターンマッチング部3301および第2の変換部3302が設けられる形態であってもよい。