JP6825799B1 - あと施工アンカー及びその施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】適正な締付トルクの管理を容易に行うことができると共に、施工性と作業の安全性の向上を図ることができる緩み止めナットを有するあと施工アンカーを提供する。【解決手段】先端側にテーパー部21、後端側に雄ねじ部22が設けられ、雄ねじ部22の後端寄りに雄ねじ部22の谷径より小径の段落とし部23が形成されているテーパーボルト2と、先端側に拡開片33が設けられ、テーパーボルト2に外挿されるスリーブ3と、テーパーボルト2の雄ねじ部22に螺合され、ナット本体41の内周側に雄ねじ部22を付勢するように弾性リング43が突設されている緩み止めナット4を備え、緩み止めナット4のナット本体41の座面側にドームワッシャー44が固着されているあと施工アンカー1。【選択図】図3

Description

本発明は、既設のコンクリートに穿孔して打設されるあと施工アンカー及びその施工方法に関する。
従来、既設のコンクリートへの取付物の取り付けにおいて、コンクリートに穿孔を形成して打設されるあと施工アンカーが用いられており、例えばあと施工アンカーとして図8に示すスリーブ打込み式アンカー200が用いられている。このスリーブ打込み式アンカー200は、先端側に拡開片202が形成されたスリーブ201と、先端側にテーパー部204、後端側に雄ねじ部205が形成されたテーパーボルト203と、コンクリートから突出するテーパーボルト203に外挿される取付物の外側でテーパーボルト203の雄ねじ205に外挿されるワッシャー206、スプリングワッシャー207と、スプリングワッシャー207の外側からテーパーボルト203の雄ねじ205に螺入されるナット208とから構成される。スリーブ打込み式アンカー200は、コンクリート穿孔内でテーパー部204を拡開片202内に相対的に入り込ませ、拡開片202を拡開してコンクリートに打設される。
このようなあと施工アンカーでコンクリートに取付物を取り付ける際、対象となるコンクリートが道路や鉄道に隣接したコンクリート等で頻繁に振動が生ずるものであることも多い。頻繁に振動が生ずるコンクリートにあと施工アンカーで取付物を取り付ける場合、振動によってナットが緩んでくる懸念があるため、例えばテーパーボルト203の雄ねじ205と、雄ねじ部205に螺合されるナット208について、特許文献1の環状溝が設けられる雄ねじと、弾性リングが装着される緩み止めナットが用いられることがある。尚、特許文献1には、その他に、ナットの脱落防止手段として、ナットが螺合するボルトの雄ねじ部の先端部分に直径方向へ貫通するピン孔を加工し、ピン孔に割ピンを挿入する手段や、ナットの締結後に雄ねじ部を潰す手段があることが開示されている。
特許第3354910号公報
ところで、あと施工アンカーによる取付物の取り付けでは、ナットの締付状態を締付トルクで管理する施工管理が行われているが、特許文献1のような緩み止めナットは、ナット本体の内周に突出するように弾性リングが設けられ、この弾性リングがボルトの雄ねじに食い付くことで緩み止め機能を発現する特殊なものであるため、弾性リングがないJIS規格ナットに設定された標準的な締付トルク値ではなく、各メーカーが推奨するサイズ及び使用条件によって異なる推奨締付トルク値での締め付けが行われる。
緩み止めナットは、十分に締め付けないと緩みが発生しやすく、逆に推奨トルクを越えて締め付けすぎると、ボルトに過度な張力が発生したり、ネジ山が潰れる等の危険性があるため、推奨締付トルク値で締め付ける施工管理は極めて重要である。推奨締付トルク値は1つ1つの緩み止めナットに刻印されているわけではないので、施工時には緩み止めナットの推奨トルク値を確認の上で施工することになる。
しかしながら、緩み止めナットを有するあと施工アンカーで道路や鉄道等に関連する取付物が取り付けられるコンクリートは高所である場合が多く、高所で施工時に緩み止めナットの推奨トルク値を確認しながら施工することは多くの作業労力を要し、作業の危険性も増すことになる。そのため、適正な締付トルクの管理を容易に行うことができると共に、施工性と作業の安全性の向上を図ることができる緩み止めナットを有するあと施工アンカーが求められている。
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、適正な締付トルクの管理を容易に行うことができると共に、施工性と作業の安全性の向上を図ることができる緩み止めナットを有するあと施工アンカー及びその施工方法を提供することを目的とする。
本発明のあと施工アンカーは、先端側にテーパー部、後端側に雄ねじ部が設けられ、前記雄ねじ部の後端寄りの途中に前記雄ねじ部の谷径より小径の段落とし部が形成されているテーパーボルトと、先端側に拡開片が設けられ、前記テーパーボルトに外挿されるスリーブと、前記テーパーボルトの前記雄ねじ部に螺合される緩み止めナットと、前記緩み止めナットのナット本体の内周側に突設され、前記テーパーボルトの前記雄ねじ部を押すように付勢可能な突片を有する板バネで構成される弾性リングを備え、前記緩み止めナットの前記ナット本体の座面側にドームワッシャーが固着され、前記緩み止めナットの締め付けによる適正な締付トルクと前記ドームワッシャーのドーム形状が潰れて塑性変形することが対応設定されていることを特徴とする。
これによれば、適正な締付トルクとドームワッシャーのドーム形状が潰れることを対応させ、ドームワッシャーのドーム形状を潰すことを目安として緩み止めナットを締付け、適正な締付トルクで緩み止めナットを取り付けることができる。従って、適正な締付トルクの管理を容易に行うことができると共に、十分且つ適切な締付状態で緩み止めナットの緩み止め性能を発揮させることができる。また、緩み止めナットの推奨トルク値を別途確認しながらの施工を不要にすることができ、施工性と作業の安全性の向上を図ることができる。また、従来の雄ねじと雌ねじの摩擦抵抗を増大させるためにスプリングワッシャーを用いるあと施工アンカーや、緩み止めナットなどナットと別部材のワッシャーを用いるあと施工アンカーに比べ、テーパーボルトの雄ねじ部に組み付ける部品点数を減らすことができる。例えばスリーブ打込み式のあと施工アンカーの設置時には、スリーブ打込みの都合上、ナットやスプリングワッシャー、ワッシャーをテーパーボルトの雄ねじ部に組み付けておくことができず、アンカー定着後に取付物を介してワッシャー・スプリングワッシャー・ナットを順に雄ねじ部に嵌めて締め付け作業を行うこととなるため、テーパーボルトの雄ねじ部に組み付ける部品点数を減らすことは施工性の向上にもなる。更に、高所作業においては、万一の部品取り落としが大きな事故になる懸念があるため、アンカー構成部品が減じることは作業の安全性の向上にもなる。また、万一、交通振動等の振動によって緩み止めナットが緩んでしまい、テーパーボルトの雄ねじ部の後端側に移動してしまった場合にも、段落とし部に緩み止めナットが落ち込むため、緩み止めナットの脱落防止や緩み止めナットで取り付けられる取付物の脱落防止を図ることができる。
本発明のあと施工アンカーは、前記テーパーボルトの前記段落とし部が後端側に向かって漸次縮径するテーパー状に形成されていることを特徴とする。
これによれば、万一、交通振動等の振動によって緩み止めナットが緩んでしまい、テーパーボルトの雄ねじ部の後端側に移動してしまった場合にも、テーパー状の段落とし部に緩み止めナットが落ち込んで斜めになるため、ここから段落とし部よりも後端側に残っている雄ねじ部に再び緩み止めナットが振動によってはまる可能性を極めて少なくすることができる。従って、緩み止めナットや緩み止めナットで取り付けられている取付物が脱落する危険性を可及的に低減し、緩み止めナットの脱落防止や緩み止めナットで取り付けられる取付物の脱落防止をより確実に図ることができる。また、テーパー状の段落とし部を有するテーパーボルトは、既存のこの種のアンカーボルトの雄ねじ部の一部分にテーパー状の段落とし部を形成するだけで製造することができ、低い製造コストで得ることができる。
本発明のあと施工アンカーの施工方法は、本発明のあと施工アンカーの前記テーパーボルトと前記スリーブと前記弾性リングを備える前記緩み止めナットを用いる施工方法であって、前記テーパーボルトの前記テーパー部より後側に前記スリーブが外挿された組付体をコンクリートの穿孔に挿入する第1工程と、ハンマーで打込棒を打撃することにより前記打込棒で前記スリーブの後端を打撃して、前記テーパー部を前記拡開片の内側に相対的に入り込ませ、前記拡開片を拡開させる第2工程と、前記コンクリートから突出する前記テーパーボルトの前記雄ねじ部に取付物を外挿し、前記取付物の外側から前記緩み止めナットを前記段落とし部より先端側まで前記雄ねじ部に螺入し、前記ドームワッシャーが潰れて塑性変形するまで前記緩み止めナットを締め付ける第3工程を備えることを特徴とする。
これによれば、本発明のあと施工アンカーと同様の効果が得られることに加え、引張荷重に対する変位がより生じにくく、より引張剛性が高いあと施工アンカーの設置構造を得ることができる。
本発明によれば、緩み止めナットを有するあと施工アンカーの適正な締付トルクの管理を容易に行うことができると共に、施工性と作業の安全性の向上を図ることができる。
本発明による実施形態のあと施工アンカーの斜視図。 (a)は実施形態のあと施工アンカーでテーパーボルトにスリーブを外挿した状態の正面図、(b)は実施形態のあと施工アンカーにおける緩み止めナットの拡大側面図。 (b)は実施形態のあと施工アンカーでテーパーボルトにスリーブを外挿した状態の縦断面図。 (a)〜(f)は実施形態のあと施工アンカーを施工する工程の前半工程を説明する一部断面説明図。 (a)、(b)は実施形態のあと施工アンカーを施工する工程の後半工程を説明する一部断面説明図、(c)、(d)は実施形態のあと施工アンカーにおける緩み止めナットが緩んだ際の脱落防止を説明する断面説明図。 (a)は実施形態のあと施工アンカーの締付状態における緩み止めナットの周辺を示す拡大断面図、(b)は実施形態のあと施工アンカーで緩み止めナットが段落とし部に入った状態の緩み止めナットの周辺を示す拡大断面図。 実施例のあと施工アンカーと比較例のあと施工アンカーの引張試験の荷重変位曲線を示す図。 従来例のあと施工アンカーの斜視図。
〔実施形態のあと施工アンカー〕
本発明による実施形態のあと施工アンカー1は、図1〜図3に示すように、テーパーボルト2と、テーパーボルト2に外挿されるスリーブ3と、テーパーボルト2に螺合される緩み止めナット4とから構成される。
テーパーボルト2には、先端側にテーパー部21が設けられ、テーパー部21はテーパーボルト2の先端近傍領域において先端に向かって漸次拡径するように形成されている。テーパーボルト2の後端側には雄ねじ部22が設けられ、雄ねじ部22はテーパーボルト2の軸方向の略中央から後端にかけて形成されている。雄ねじ部22の後端寄りの途中には、雄ねじ部22の谷径より小径の段落とし部23が形成されており、段落とし部23はねじ山のない溝状に形成されている。本実施形態の段落とし部23は後端側に向かって漸次縮径するテーパー状に形成されている。尚、段落とし部23は、後述するように万一緩み止めナット4が移動したときに落とし込むためのものであり、強度を必要とするものではなく、雄ねじ部22の谷径より小径でテーパー状に加工されていてもあと施工アンカー1のアンカー性能が損なわれることはない。
スリーブ3には、略円筒状の本体31の先端側に先端から切り込まれたスリット32で区分される拡開片33が設けられている。スリーブ3は、拡開片33の非拡開状態ではテーパーボルト2のテーパー部21よりも後側に配置されてテーパーボルト2に外挿される。
緩み止めナット4は、ナット本体41の内周に雌ねじ42が形成され、雌ねじ42がテーパーボルト2の雄ねじ部22に螺合可能になっている。ナット本体41の頂部には、弾性リング43がナット本体41の内周側に突設され、弾性リング43は緩み止めナット4が螺合されるテーパーボルト2の雄ねじ部22を付勢可能になっている。図示例の弾性リング43は板バネで構成されており、対向する位置に一対の突片431・431が設けられており、突片431が雄ねじ部22を付勢して緩み止め機能を発揮するようになっている。また、図示例では、弾性リング43がナット本体41の頂部にカシメ固定で固着されている。
緩み止めナット4のナット本体41の座面側には、ドームワッシャー44が固着されている。ドームワッシャー44は、周壁441が断面視略弧状に湾曲した形状で形成され、その凸側をナット本体41の座面に当接するようにしてナット本体41に固着されている。図示例では、ドームワッシャー44がナット本体41の座面側にカシメ固定で固着されている。
本実施形態のあと施工アンカー1を施工して取付物110を取り付ける際には、先ず、所要の穿孔深さのマーキング511を施したビット51でコンクリート100に所要深さの穿孔101を形成し(図4(a)、(b)参照)、穿孔101内に残った切粉を吸引具等の清掃具52で清掃する(図4(c)参照)。そして、図4(d)に示すように、あと施工アンカー1におけるテーパーボルト2のテーパー部21より後側にスリーブ3が外挿された組付体をテーパー部21側からコンクリート100の穿孔101に挿入する。
その後、図4(e)、(f)に示すように、略有底筒状の打込棒53の先端をスリーブ3の後端に当接させ、打込棒53の底部をハンマー54で打撃することにより打込棒53でスリーブ3の後端を打撃し、テーパーボルト2のテーパー部21をスリーブ3の拡開片33の内側に相対的に入り込ませ、拡開片33を拡開させる。拡開した拡開片33はコンクリート100の穿孔101の孔壁に食い込んで、テーパーボルト2とスリーブ3のコンクリート100に対する一次定着が行なわれる。この工程の完了により、スリーブ3は穿孔101内に全長に亘って入り込み、コンクリート100の穿孔101の外側にテーパーボルト2の雄ねじ部22が突出した状態となる。
その後、図5(a)に示すように、コンクリート100から突出するテーパーボルト2の雄ねじ部22に取付物110を外挿し、取付物110の外側から、緩み止めナット4をドームワッシャー44を先端側にして雄ねじ部22に螺入する。更に、図5(b)、図6(a)に示すように、緩み止めナット4を段落とし部23より先端側まで雄ねじ部22に螺入し、ドームワッシャー44のドーム状の周壁441が略平らになって潰れるまで緩み止めナット4を締め付ける。尚、適正な締付トルクとドームワッシャー44のドーム形状が潰れることが対応するように設定、構成されている。
この緩み止めナット4の締付により、テーパーボルト2は穿孔101の孔口側に引っ張られてスリーブ3内に引き込まれ、穿孔101の孔底に空間が生ずる或いは孔底の空間が大きくなると共に、拡開片33が追従拡張されて穿孔101の孔壁への更なる食い込みが生じて、テーパー部21と拡開片33とコンクリート100との密着性が高まって引張剛性が増し、適正な締付状態となる。この適正な締付状態で設置されたあと施工アンカー1の剛性、取付物110の取付強度は非常に高いものとなる。尚、緩み止めナット4の雄ねじ部22への螺入時には緩み止めナット4が弾性リング43を介して雄ねじ部22側から押されるが、ドームワッシャー44のドーム状の周壁441が略平らになって潰れた緩み止めナット4の適正な締付状態では、緩み止めナット4が弾性リング43を介してコンクリート100側、取付物110側に押された状態となる。
あと施工アンカー1の設置、取付物110の取付後に、万一、コンクリート100の交通振動等で緩み止めナット4が緩んで、テーパーボルト2の雄ねじ部22の後端側に移動してしまった場合には、緩み止めナット4は段落とし部23に入り込み、本実施形態の後端側に向かって漸次縮径するテーパー状の段落とし部23では緩み止めナット4は段落とし部23で傾いて止まるようになっている(図5(c)、(d)、図6(b)参照)。
ここで実施例のあと施工アンカー1と比較例のあと施工アンカーの引張試験の結果を図7に示す。実施例のあと施工アンカー1の引張試験では、本実施形態のあと施工アンカー1のテーパーボルト2及びスリーブ3を図4(f)のようにコンクリート100に打設し、コンクリート100から突出するテーパーボルト2の雄ねじ部22に、取付物110と同等程度の厚さの金属板を介して緩み止めナット4を段落とし部23より先端側まで螺入し、ドームワッシャー44のドーム状の周壁441が略平らになって潰れるまで緩み止めナット4を締め付けてあと施工アンカー1の設置構造を一旦構成して後、緩み止めナット4と金属板を取り外し、設置したあと施工アンカー1のテーパーボルト2にセンターホールジャッキで抜き出す方向に引張荷重を負荷した。
比較例のあと施工アンカーには従来例のスリーブ打込み式アンカー200を使用した。比較例のスリーブ打込み式アンカー200の引張試験では、スリーブ打込み式アンカー200のテーパーボルト203及びスリーブ201を図4(f)に対応するようにコンクリートに打設し、この状態即ち従来例のスリーブ打込み式アンカー200の打設完了状態で、テーパーボルト203にセンターホールジャッキで抜き出す方向に引張荷重を負荷した。
図7の実施例の荷重変位曲線と比較例の荷重変位曲線から明らかなように、実施例のあと施工アンカー1の設置構造では、比較例と比べ、引張荷重が負荷されたときにボルト破断又はコンクリート破壊等の終局強度となるまでに、引張荷重の方向の変位が生じにくくなっている。即ち、実施例のあと施工アンカー1の設置構造は、設計荷重の範囲内であれば、引張荷重に対する変位がより生じにくく、より引張剛性が高い構造であることが分かる。
本実施形態によれば、適正な締付トルクとドームワッシャー44のドーム形状が潰れることを対応させ、ドームワッシャー44のドーム形状を潰すことを目安として緩み止めナット4を締付け、適正な締付トルクで緩み止めナット4を取り付けることができる。従って、適正な締付トルクの管理を容易に行うことができると共に、十分且つ適切な締付状態で緩み止めナット4の緩み止め性能を発揮させることができる。また、緩み止めナット4の推奨トルク値を別途確認しながらの施工を不要にすることができ、施工性と作業の安全性の向上を図ることができる。
また、従来の雄ねじと雌ねじの摩擦抵抗を増大させるためにスプリングワッシャーを用いるあと施工アンカーや、緩み止めナットなどナットと別部材のワッシャーを用いるあと施工アンカーに比べ、テーパーボルト2の雄ねじ部22に組み付ける部品点数を減らすことができる。例えばスリーブ打込み式アンカー200の設置時には、スリーブ打込みの都合上、ナット208やスプリングワッシャー207、ワッシャー206をテーパーボルト203の雄ねじ部205に組み付けておくことができず、アンカー定着後に取付物を介してワッシャー206・スプリングワッシャー207・ナット208を順に雄ねじ部205に嵌めて締め付け作業を行うこととなるため、テーパーボルト2の雄ねじ部22に組み付ける部品点数を減らすことは施工性の向上にもなる。更に、高所作業においては、万一の部品取り落としが大きな事故になる懸念があるため、アンカー構成部品が減じることは作業の安全性の向上にもなる。
また、万一、交通振動等の振動によって緩み止めナット4が緩んでしまい、テーパーボルト2の雄ねじ部22の後端側に移動してしまった場合にも、段落とし部23に緩み止めナット4が落ち込むため、緩み止めナット4の脱落防止や緩み止めナット4で取り付けられる取付物110の脱落防止を図ることができる。特に、本実施形態では、テーパー状の段落とし部23に緩み止めナット4が落ち込んで斜めになるため、段落とし部23よりも後端側に残っている雄ねじ部22に再び緩み止めナット4が振動によってはまる可能性を極めて少なくすることができる。従って、緩み止めナット4や取付物110が脱落する危険性を可及的に低減し、緩み止めナット4や取付物110の脱落防止をより確実に図ることができる。また、テーパー状の段落とし部23を有するテーパーボルト2は、既存のこの種のアンカーボルトの雄ねじ部の一部分にテーパー状の段落とし部23を形成するだけで製造することができ、低い製造コストで得ることができる。付言すると、割ピン方式の脱落防止構造では割ピンの差し込み作業が面倒である、割ピンを落下させる危険があるという問題があるのに対し、段落とし部23による脱落防止構造は、斯様な差し込み作業のような面倒な作業が不要で施工効率に優れ、割ピンを落下させるような危険性もなく安全性が高いものである。
また、本実施形態のあと施工アンカー1を上記施工方法でコンクリート100に打設した場合には、引張荷重に対する変位がより生じにくく、より引張剛性が高いあと施工アンカー1の設置構造を得ることができる。
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記内容や変形例も含まれる。
本発明のあと施工アンカーを構成するテーパーボルト、スリーブ、緩み止めナット、緩み止めナットを構成する弾性リング、板バネは、いずれも金属材料で形成すると好適であるが、本発明の趣旨の範囲内で、これらの部品の一部或いは全部を金属材料以外の材料で形成することも可能である。また、本発明における弾性リングは、上記例の板バネに限定されず、テーパーボルトの雄ねじ部を付勢して緩み止め機能を発揮できる適宜の弾性リングとすることが可能である。また、本発明における緩み止めナットの弾性リング、スプリングワッシャーの固着の仕方は本発明の趣旨の範囲内で適宜であり、上記例のカシメ固定に限定されない。
本発明は、既設のコンクリートにあと施工アンカーを打設して取付物を取り付ける際に利用することができる。
1…あと施工アンカー 2…テーパーボルト 21…テーパー部 22…雄ねじ部 23…段落とし部 3…スリーブ 31…本体 32…スリット 33…拡開片 4…緩み止めナット 41…ナット本体 42…雌ねじ 43…弾性リング 431…突片 44…ドームワッシャー 441…周壁 51…ビット 511…マーキング 52…清掃具 53…打込棒 54…ハンマー 100…コンクリート 101…穿孔 110…取付物 200…スリーブ打込み式アンカー 201…スリーブ 202…拡開片 203…テーパーボルト 204…テーパー部 205…雄ねじ 206…ワッシャー 207…スプリングワッシャー 208…ナット

Claims (3)

  1. 先端側にテーパー部、後端側に雄ねじ部が設けられ、前記雄ねじ部の後端寄りの途中に前記雄ねじ部の谷径より小径の段落とし部が形成されているテーパーボルトと、
    先端側に拡開片が設けられ、前記テーパーボルトに外挿されるスリーブと、
    前記テーパーボルトの前記雄ねじ部に螺合される緩み止めナットと、
    前記緩み止めナットのナット本体の内周側に突設され、前記テーパーボルトの前記雄ねじ部を押すように付勢可能な突片を有する板バネで構成される弾性リングを備え、
    前記緩み止めナットの前記ナット本体の座面側にドームワッシャーが固着され
    前記緩み止めナットの締め付けによる適正な締付トルクと前記ドームワッシャーのドーム形状が潰れて塑性変形することが対応設定されていることを特徴とするあと施工アンカー。
  2. 前記テーパーボルトの前記段落とし部が後端側に向かって漸次縮径するテーパー状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のあと施工アンカー。
  3. 請求項1又は2記載のあと施工アンカーの前記テーパーボルトと前記スリーブと前記弾性リングを備える前記緩み止めナットを用いる施工方法であって、
    前記テーパーボルトの前記テーパー部より後側に前記スリーブが外挿された組付体をコンクリートの穿孔に挿入する第1工程と、
    ハンマーで打込棒を打撃することにより前記打込棒で前記スリーブの後端を打撃して、前記テーパー部を前記拡開片の内側に相対的に入り込ませ、前記拡開片を拡開させる第2工程と、
    前記コンクリートから突出する前記テーパーボルトの前記雄ねじ部に取付物を外挿し、前記取付物の外側から前記緩み止めナットを前記段落とし部より先端側まで前記雄ねじ部に螺入し、前記ドームワッシャーが潰れて塑性変形するまで前記緩み止めナットを締め付ける第3工程を備えることを特徴とするあと施工アンカーの施工方法。
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