JP6825355B2 - 薄肉鋳片の製造装置及び薄肉鋳片の製造方法 - Google Patents

薄肉鋳片の製造装置及び薄肉鋳片の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属溜まり部に、溶融金属を供給して薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造装置及び薄肉鋳片の製造方法に関するものである。
金属の薄肉鋳片を製造する方法として、例えば、特許文献1、2に示すように、内部に水冷構造を有する冷却ドラムを備え、回転する一対の冷却ドラム間に形成された溶融金属溜まり部に溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させ、一対の冷却ドラムの外周面にそれぞれ形成された凝固シェル同士をドラムキス点で接合し、圧下して所定の熱さの薄肉鋳片を製造する双ドラム式連続鋳造装置を用いた製造方法が提供されている。このような双ドラム式連続鋳造装置を用いた製造方法は、各種金属において適用されている。
ここで、特許文献1,2においては、冷却ドラムの熱膨張による変形を抑制し、安定して鋳造を行うために、溶融金属溜まり部とは反対側の領域において、冷却ドラムを加熱あるいは冷却するように構成されている。
上述の双ドラム式連続鋳造装置において鋳造を開始する方法として、フライングスタート法とホールディングスタート法とがある。
フライングスタート法においては、冷却ドラムを回転した状態で溶融金属の注湯を実施する。この場合、注湯開始直後の湯流れの不安定による鋳片形状の不健全化が避けられなかった。
一方、ホールディングスタート法においては、溶融金属を溜めてから冷却ドラムの回転を開始することから、凝固シェルを十分に形成させてから冷却ドラムを回転することになり、湯流れの不安定による鋳片形状の不健全化を抑制することができる。
特開平05−092239号公報 特開2011−020126号公報
ここで、ホールディングスタート法によって鋳造を開始する際の状況について図6及び図7を参照して説明する。ホールディングスタート法においては、溶融金属3が溜まるまでは、注湯ノズル18からの吐出流が冷却ドラム11の周面の特定の箇所に衝突するため、図6(1)に示すように、冷却ドラム11の周面の一部が局所的に熱膨張して、径方向外側に向けて突出したドラム突出部35が形成される。このときの熱膨張によって形成されるドラム突出部35は、冷却ドラム11の周面から0.1mm程度突出することになる。一対の冷却ドラム11,11でそれぞれ0.1mm突出することから、冷却ドラム11,11間のギャップは合計0.2mm変化することになる。
次に、図6(2)に示すように、溶融金属3が貯留された状態で冷却ドラム11,11が回転される。このとき、注湯ノズル18からの吐出流の衝突は貯留された溶鋼金属3によって緩和され、冷却ドラム11の局所的な熱膨張は緩和される。なお、溶融金属3を貯めた部分においては、薄肉鋳片1の厚さが一旦厚くなり、初期肥大部1aが形成される。この初期肥大部1aが冷却ドラム11,11間を通過する際に、冷却ドラム11,11間のギャップが広がるため、ドラム突出部35についても大きな問題なく冷却ドラム11,11間を通過することになる。
次に、図6(3)に示すように、注湯ノズル18の吐出孔が溶融金属3中に浸漬され、定常状態となる。一対の冷却ドラム11,11の周面に形成された凝固シェル5が圧着され薄肉鋳片が形成される。
冷却ドラム11,11が1回転してドラム突出部35が再びドラムキス点に達すると、図7(4)に示すように、冷却ドラム11,11が後退して冷却ドラム11,11間のギャップが一旦広がる。
ドラム突出部35がドラムキス点を通過した後は、図7(5)に示すように、冷却ドラム11,11が前進して冷却ドラム11,11間のギャップが元に戻るが、ドラム突出部35のドラム回転方向後方側の形状が急激に変化しているため、冷却ドラム11,11の移動が追い付かず、薄肉鋳片1を十分に圧下することができず、凝固シェル5,5の圧着が不十分となる部分が生じる。
そして、図7(6)に示すように、凝固シェル5,5の圧着が不十分な箇所は、その板厚が肥大化する。圧着しなかった箇所の内部には、高温の溶融金属3が閉じ込められており、復熱して薄肉鋳片1が破断するおそれがある。
ここで、上述の特許文献1,2に記載された薄肉鋳片の製造装置及び薄肉鋳片の製造方法においては、定常状態における冷却ドラムの変形を抑制するものであり、鋳造開始時における上述の問題を抑制することができない。
また、冷却ドラムの局所的な変形を抑制するために、速やかに溶融金属を溜めて注湯ノズルを早期に浸漬させようとした場合には、溶融金属の吐出量及び吐出流速が増加し、却って局所的な変形が促進されてしまうおそれがある。一方、ゆっくり溶融金属を注湯した場合には、溶融金属の吐出流が衝突する時間が増加し、やはり局所的な変形が促進されてしまうおそれがある。このように、単に溶融金属の注湯条件を調整しただけでは、上述の課題を解決することはできなかった。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、ホールディングスタート法によって鋳造を開始した場合であっても、安定して鋳造を行うことが可能な薄肉鋳片の製造装置及び薄肉鋳片の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る薄肉鋳片の製造装置は、回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰を有し、これら一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属溜まり部に注湯ノズルを介して溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造装置であって、鋳造開始前に、前記冷却ドラムの回転を停止した状態で、前記冷却ドラムの周面のうち、ドラム周方向の位置としてドラムキス点からの俯角θが40°から90°の範囲内、並びにドラム幅方向の位置としてノズル吐出孔の配設幅以上であり、その幅端部位置がドラム端部から50mm以上の範囲の領域を局所的に加熱する予熱装置を有することを特徴としている。
この構成の薄肉鋳片の製造装置によれば、鋳造開始前に、前記冷却ドラムの回転を停止した状態で、前記冷却ドラムの周面のうち前記注湯ノズルからの吐出流が衝突する位置より上方の領域を局所的に加熱する予熱装置を有しているので、ドラム突出部のドラム回転方向後方側の部分を予め熱膨張させておくことができる。これにより、ドラム突出部が形成された際に、このドラム突出部のドラム回転方向後方側の形状がなだらかとなり、冷却ドラムの1回転目においてドラム突出部がドラムキス点を通過した際に冷却ドラムが円滑に移動することになり、薄肉鋳片を十分に圧下することができる。これにより、薄肉鋳片の内部に未凝固部が生じることを抑制でき、薄肉鋳片の破断を抑制することができる。
ここで、本発明に係る薄肉鋳片の製造装置においては、前記予熱装置は、予熱終了後に取り外し可能であることが好ましい。
この場合、予熱装置によって冷却ドラムを予熱した後に予熱装置を取り外すことができるので、鋳造時において溶融金属が予熱装置と接触することを防止でき、予熱装置の劣化を抑制することができる。また、予熱装置を取り外した後に、注湯ノズルやチャンバを設置することができ、鋳造開始準備作業の作業性低下を抑制することができる。
また、本発明に係る薄肉鋳片の製造装置においては、前記予熱装置は、IHヒータ方式であることが好ましい。
この場合、冷却ドラムの周面の一部を局所的に短時間で加熱することができる。よって、ドラム突出部のドラム回転方向後方側を精度良く加熱して熱膨張させることができ、冷却ドラムの1回転目においてドラム突出部がドラムキス点を通過した際に、冷却ドラムを円滑に移動させることができ、薄肉鋳片を十分に圧下することができる。
本発明に係る薄肉鋳片の製造方法は、回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属溜まり部に、注湯ノズルを介して溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法であって、鋳造開始前に、前記冷却ドラムの回転を停止した状態で、前記冷却ドラムの周面のうち、ドラム周方向の位置としてドラムキス点からの俯角θが40°から90°の範囲内、並びにドラム幅方向の位置としてノズル吐出孔の配設幅以上であり、その幅端部位置がドラム端部から50mm以上の範囲の領域を局所的に加熱する予熱工程を有し、その後、前記冷却ドラムの回転を停止した状態で、前記注湯ノズルから前記溶融金属を供給し、前記溶融金属を貯留させた状態で鋳造を開始することを特徴としている。
この構成の薄肉鋳片の製造方法によれば、鋳造開始前に、前記冷却ドラムの回転を停止した状態で、前記冷却ドラムの周面のうち前記注湯ノズルからの吐出流が衝突する位置より上方の領域を加熱する予熱工程を有しているので、ドラム突出部のドラム回転方向後方側の部分も熱膨張させることができる。これにより、ドラム突出部のドラム回転方向後方側の形状がなだらかとなり、冷却ドラムの1回転目においてドラム突出部がキス点を通過した際に冷却ドラムが円滑に移動することになり、薄肉鋳片を十分に圧下することができる。これにより、薄肉鋳片の内部に未凝固部が生じることを抑制でき、薄肉鋳片の破断を抑制することができる。
ここで、本発明に係る薄肉鋳片の製造方法においては、前記予熱工程において、前記冷却ドラムの周方向で加熱温度を変化させることが好ましい。
この場合、予熱工程において、冷却ドラムの周方向で加熱温度を変化させることにより、冷却ドラムの熱膨張量を調整することができ、ドラム突出部のドラム回転方向後方側の形状を精度良く制御することができる。
上述のように、本発明によれば、ホールディングスタート法によって鋳造を開始した場合であっても、安定して鋳造を行うことが可能な薄肉鋳片の製造装置及び薄肉鋳片の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造装置を示す説明図である。 図1における溶鋼溜まり部周辺の拡大説明図である。 図1に示す薄肉鋳片の製造装置において、予熱装置を設置した状態を示す説明図である。 本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造方法における鋳造開始時の状況を示す説明図である。 実施例におけるドラム突出部の形状を示すグラフである。(a)が比較例、(b)が本発明例である。 従来の薄肉鋳片の製造方法における鋳造開始時の状況を示す説明図である。 従来の薄肉鋳片の製造方法における鋳造開始時の状況を示す説明図である。
以下に、本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造方法及び薄肉鋳片の製造装置について、添付した図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
また、本実施形態では、溶融金属として溶鋼を用いており、鋼材からなる薄肉鋳片1を製造するものとされている。
本実施形態である薄肉鋳片の製造装置10は、図1に示すように、一対の冷却ドラム11、11と、薄肉鋳片1を曲げるベンダーロール12、12と、薄肉鋳片1を支持するピンチロール13、13と、一対の冷却ドラム11、11の幅方向端部に配設されたサイド堰15と、これら一対の冷却ドラム11、11とサイド堰15とによって画成された溶鋼溜まり部16に供給される溶鋼3を保持するタンディッシュ17と、このタンディッシュ17から溶鋼溜まり部16へと溶鋼3を供給する注湯ノズル18と、を備えている。
この薄肉鋳片の製造装置10においては、溶鋼3が回転する冷却ドラム11,11に接触して冷却されることにより、冷却ドラム11,11の周面の上で凝固シェル5、5が成長し、一対の冷却ドラム11,11にそれぞれ形成された凝固シェル5、5同士がドラムキス点Pで圧着されることによって、所定厚みの薄肉鋳片1が鋳造される。
図2に、図1における溶鋼溜まり部16周辺の拡大説明図を示す。本実施形態である薄肉鋳片の製造装置10においては、溶鋼溜まり部16及び冷却ドラム11,11の上方にチャンバ20が配設されている。
そして、本実施形態である薄肉鋳片の製造装置10においては、鋳造を開始する方法として、溶鋼3をある程度溜めてから冷却ドラム11の回転を開始するホールディングスタート法を採用する。
ここで、本実施形態である薄肉鋳片の製造装置10においては、図3(a)に示すように、鋳造開始前に、冷却ドラム11の回転を停止した状態で、冷却ドラム11の周面のうち注湯ノズル18からの吐出流が衝突する位置より上方の領域を局所的に加熱する予熱装置30を備えている。
この予熱装置30は、図3(b)に示すように、冷却ドラム11の幅方向中央部に配置されており、冷却ドラム11の端部から少なくとも50mmの領域Eは加熱しないように構成されている。
本実施形態においては、予熱装置30は、IHヒータ方式とされている。また、本実施形態においては、この予熱装置30は、着脱可能とされており、鋳造開始前に設置して冷却ドラム11の加熱を行い、所定時間加熱した後で予熱装置30を取り外し、図2に示すように、チャンバ20及び注湯ノズル18を設置することが可能な構成とされている。
さらに、本実施形態においては、予熱装置30は、冷却ドラム11の周方向において加熱温度が変化するように調整可能とされている。
本実施形態では、注湯ノズル18からの吐出流が衝突する位置は、ドラムキス点Pからの俯角をθで示すと、冷却ドラム11の軸線方向から見て図3(a)に示すように、θ=40°位置とされている。なお、この注湯ノズル18からの吐出流が衝突する位置は、注湯ノズル18の吐出孔位置、冷却ドラム11の外径、吐出流速等によって、幾何的、機械的に予め算出することができる。
そして、予熱装置30が配設される位置は、θ=40°〜90°の範囲内とされている。なお、予熱装置30の配置位置は、注湯ノズル18からの吐出流が衝突する位置のθ以上で、θ=85°以下の範囲内とすることが好ましく、注湯ノズル18からの吐出流が衝突する位置のθ+2°(本実施形態では42°)以上θ=80°以下の範囲内とすることがさらに好ましい。
予熱装置30のドラム幅方向での位置は、注湯ノズル18の吐出孔が配設された幅以上であることが好ましい。また、図3(b)に示すように、予熱装置30の幅端部位置は、冷却ドラム11の端部から少なくとも50mm以上であることが好ましく、100mm以上であることがさらに好ましい。
なお、IHヒータ方式の予熱装置30においては、端部を十分に加熱することができないため、冷却ドラム11の幅方向端部にまで予熱装置30を配置しても冷却ドラム11の端部から少なくとも50mmの領域Eを加熱しないように構成することができる。
以下に、上述した薄肉鋳片の製造装置10を用いた本実施形態である薄肉鋳片の製造方法について説明する。
図4(1)に示すように、一対の冷却ドラム11、11の間にダミーシート7を挿入する。このとき、一対の冷却ドラム11,11は回転を停止した状態とする。
この状態で、冷却ドラム11,11の上方に、上述の予熱装置30を設置し、冷却ドラム11の予熱を行う(予熱工程)。
なお、加熱温度が冷却ドラム11の周方向で変化するように構成されることが好ましく、予熱装置30による冷却ドラムの加熱温度が最も高くなる位置のθは、注湯ノズル18からの吐出流が衝突する位置のθ+5°以上、θ+10°以下の範囲内とすることが好ましい。本実施形態では、加熱温度が最も高くなる位置のθは48°であり、ドラム回転方向前方側ならびに後方側に向かうにしたがい加熱温度が漸次低くなるように設定されている。
ここで、予熱工程においては、上述の予熱装置を用いていることから、冷却ドラム11の周方向でθ=40°〜90°の範囲(好ましくはθ=40°〜85°、更に好ましくはθ=42°〜80°の範囲)、かつ、冷却ドラム11の幅方向で冷却ドラム11の幅両端部から50mm位置までの範囲(好ましくは幅両端部から100mm位置までの範囲)で、冷却ドラム11の周面が予熱される。
予熱装置30によって冷却ドラム11を加熱すると、図4(1)に示すように、冷却ドラムの周面が熱膨張して予熱突出部36が形成されることになる。ここで、上述のように、予熱装置30の加熱温度が、θ=48°の部分の加熱温度が最も高く、ドラム回転方向前方側ならびに後方側に向かうにしたがい加熱温度が漸次低くなるように設定されているので、予熱によって形成された予熱突出部36は、θ=48°の部分が最も突出し、ドラム回転方向前方側ならびに後方側に向かうにしたがい漸次突出高さが低くなっている。
予熱装置30によって冷却ドラム11を所定時間加熱した後、予熱装置30を取り外し、注湯ノズル18を設置する。その後、図4(2)に示すように、冷却ドラム11の回転を停止した状態で、注湯ノズル18から溶鋼3を供給する。すると、注湯ノズル18からの吐出流が衝突する位置において、冷却ドラム11が局所的に加熱され、熱膨張によってドラム突出部35が形成される。このとき、図4(2)に示すように、予熱突出部36によってドラム突出部35の回転方向後方側部分の傾斜がなだらかとなる。
溶鋼3が一定量貯留された後、冷却ドラム11、11を回転させる。冷却ドラム11の1回転目において、上述のドラム突出部35がドラムキス点Pを通過する際には、図4(3)に示すように、冷却ドラム11,11が後退して冷却ドラム11,11の間のギャップが大きくなる。
ドラム突出部35がドラムキス点Pを通過した後には、図4(4)に示すように、冷却ドラム11,11が前進して冷却ドラム11,11の間のギャップが小さくなる。
ここで、本実施形態では、予熱突出部36によってドラム突出部35のドラム回転方向後方側部分の傾斜がなだらかにされていることから、ドラム突出部35及び予熱突出部36の形状に追従して冷却ドラム11,11が円滑に移動することになる。
その後、冷却ドラム11,11には、溶鋼溜まり部16からの熱によって加熱され、上述のドラム突出部35及び予熱突出部36の影響は解消され、局所的な熱膨張がなくなり、定常状態となる。そして、冷却ドラム11、11の周面には凝固シェル5,5が形成されており、ドラムキス点Pにおいてこれら凝固シェル5,5が圧着されて薄肉鋳片1が製造される。
以上のような構成とされた本実施形態である薄肉鋳片の製造装置10及び薄肉鋳片の製造方法によれば、鋳造開始前に冷却ドラム11の周面のうち注湯ノズル18からの吐出流が衝突する位置より上方の領域を局所的に加熱する予熱装置30を有しているので、鋳造開始前に、注湯ノズル18からの吐出流が衝突する位置よりもドラム回転方向後方側の部分に予熱突出部36を形成することができ、注湯ノズル18からの吐出流が衝突する位置に形成されるドラム突出部35のドラム回転方向後方側の傾斜をなだらかにすることができる。これにより、冷却ドラム11の1回転目においてドラム突出部35がドラムキス点Pを通過した際に、冷却ドラム11、11がドラム突出部35及び予熱突出部36の形状に追従するように円滑に移動し、薄肉鋳片1を十分に圧下することができる。
よって、ドラム突出部35に起因して薄肉鋳片1の内部に未凝固部が生じることを抑制でき、薄肉鋳片1の破断を抑制することができる。
また、本実施形態である薄肉鋳片の製造装置10及び薄肉鋳片の製造方法においては、予熱装置30が、予熱終了後に取り外し可能とされているので、予熱装置30を取り外した後に、注湯ノズル18やチャンバ20を設置することができ、鋳造開始準備作業の作業性低下を抑制することができる。また、鋳造時において溶鋼3が予熱装置30と接触することを防止でき、予熱装置30の早期劣化を抑制することができる。
さらに、本実施形態である薄肉鋳片の製造装置10及び薄肉鋳片の製造方法においては、予熱装置30がIHヒータ方式とされているので、冷却ドラム11の周面の一部を局所的に短時間で加熱することができる。よって、ドラム突出部35のドラム回転方向後方側を精度良く加熱して熱膨張させることができ、予熱突出部36の形状を制御することができる。
また、本実施形態である薄肉鋳片の製造装置10及び薄肉鋳片の製造方法においては、予熱装置30の加熱温度が、θ=48°の近傍部分の加熱温度が最も高く、ドラム回転方向前方側ならびに後方側に向かうにしたがい加熱温度が漸次低くなるように設定されており、予熱によって形成された予熱突出部36は、θ=48°の部分が最も突出し、ドラム回転方向前方側ならびに後方側に向かうにしたがい漸次突出高さが低くなっているので、ドラム突出部35と合わさった結果、ドラム突出部35のドラム回転方向後方側をさらになだらかな形状とすることが可能となる。よって、冷却ドラム11の1回転目においてドラム突出部35がドラムキス点Pを通過した際に、冷却ドラム11、11がドラム突出部35及び予熱突出部36の形状に追従するように円滑に移動し、薄肉鋳片1を十分に圧下することができる。
さらに、本実施形態においては、予熱装置30によって、冷却ドラム11の幅方向で冷却ドラム11の幅両端部から50mm位置までの範囲(好ましくは幅両端部から100mm位置までの範囲)で、冷却ドラム11の周面が予熱されるように構成されているので、冷却ドラム11の幅方向端部に予熱突出部36が形成されることを抑制することができる。なお、冷却ドラム11の幅方向端部には、注湯ノズル18からの吐出流が直接衝突することがなく、ドラム突出部35が形成されないことから、予熱突出部36を設ける必要はない。逆に、冷却ドラム11の幅端部では、予熱突出部36を形成させないことで圧下を安定化させることができる。
また、本実施形態においては、予熱装置30によって、冷却ドラム11の周方向でθ=40°〜90°の範囲(好ましくはθ=85°以下、更に好ましくはθ=80°以下の範囲)で、冷却ドラム11の周面が予熱されるように構成されているので、ドラム突出部35のドラム回転方向後方側以外の領域を熱膨張させることがなく、その他の領域において圧下を安定化させることができる。
以上、本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造装置及び薄肉鋳片の製造方法について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、予熱装置をIHヒータ方式として説明したが、これに限定されることはなく、シリコニット発熱体を用いたヒータ等の他の方式の予熱装置を適用してもよい。
また、本実施形態では、予熱装置を取り外し可能なものとして説明したが、これに限定されることはなく、鋳造時に干渉しない構造であれば、常時設置する方式としてもよい。
さらに、本実施形態では、冷却ドラムの周方向で加熱温度を変化させるように構成したものとして説明したが、これに限定されることはない。
以下に、本発明の効果を確認すべく、実施した実験結果について説明する。
図1に示す薄肉鋳片の製造装置を用いて、炭素量0.05mass%の炭素鋼からなる薄肉鋳片の製造を行った。
ここで、冷却ドラムとして、周面に厚さ1mmのNiめっき膜を形成した銅製で内部冷却方式のものを使用した。なお、冷却ドラムの幅を1000mm、外径を500mmとした。また、定常鋳造の鋳片厚さを1.5mmとした。
注湯ノズルは、吐出孔の設置範囲幅が530mmで、水平方向に溶鋼を突出する構造のものを使用した。この注湯ノズルをドラムキス点から高さ200mm上方の位置で溶鋼が突出されるように設置した。これにより、注湯ノズルからの吐出流は、ドラムキス点からの俯角θ=40°の位置で冷却ドラムに衝突することになる。
冷却ドラムを停止した状態で、1580℃の溶鋼を3秒間注湯し、注湯ノズルの吐出孔が浸漬されるまで溶鋼を貯めた後、冷却ドラムの周速度40m/minで回転させ、薄肉鋳片の鋳造を実施した。
本発明例では、実施形態で説明したIHヒータ方式の予熱装置を用いて、鋳造開始前に冷却ドラムの周面の一部を予熱した。なお、予熱装置の幅は900mmとした。また、ドラムキス点からの俯角θ=42°〜80°の領域を加熱するように配置した。加熱温度はθ=48°近傍を最高温度の350℃とし、ドラム回転方向前方側ならびに後方側に向かうにしたがい加熱温度が漸次低くなるように設定した。
比較例では、鋳造開始前の予熱を実施しなかった。
その結果、比較例では、冷却ドラムの1回転目に薄肉鋳片のブレークアウトが発生し、鋳造を中止した。
一方、本発明例では、問題なく鋳造を開始でき、安定して鋳造を行うことができた。
ここで、図5に、比較例及び本発明例において、鋳造開始時における冷却ドラムの熱膨張量について確認した結果を示す。なお、冷却ドラムの熱膨張量(半径の増加分)は、非接触式距離計(例えば静電容量式変位計)によって直接測定した。なお、冷却ドラムの熱膨張量(半径の増加分)は、冷却ドラムの周面の温度測定を行い、数値解析によって算出することもできる。
冷却ドラムの予熱を実施しなかった比較例においては、図5(a)に示すように、注湯ノズルからの吐出流が衝突する位置(θ=40°)で熱膨張量が最大となった。また、吐出量の衝突位置よりも下方側(ドラム回転方向前方側)においても、溶鋼が流れることで熱膨張していることが確認される。そして、注湯ノズルからの吐出流が衝突する位置(θ=40°)よりもドラム回転方向後方側においては、急激に熱膨張量が小さくなっていることが確認される。すなわち、注湯ノズルからの吐出流の衝突によって形成されるドラム突出部のドラム回転方向後方側が急斜面とされている。
このため、比較例においては、冷却ドラムの1回転目にドラム突出部がドラムキス点を通過した後に、冷却ドラムの圧下が追い付かず、凝固シェルの圧着が不十分となる部分が生じ、ブレークアウトが生じたと推測される。
これに対して、冷却ドラムの予熱を実施した本発明例においては、図5(b)に示すように、予熱によってドラムキス点からの俯角θ=42°〜80°の領域に予熱突出部が形成された。なお、この予熱突出部は、ドラム回転方向後方側に向かうにしたがい漸次突出高さが低くなっている。よって、注湯ノズルからの吐出流が衝突する位置(θ=40°)よりもドラム回転方向後方側においては、熱膨張量が少しずつ小さくなっていることが確認される。すなわち、注湯ノズルからの吐出流の衝突によって形成されるドラム突出部のドラム回転方向後方側が緩斜面とされている。
このため、本発明例においては、冷却ドラムの1回転目にドラム突出部がドラムキス点を通過した後でも、冷却ドラムを十分に圧下することができ、安定して鋳造を実施できたと推測される。
以上の結果から、本発明に係る薄肉鋳片の製造方法及び薄肉鋳片の製造装置によれば、安定して鋳造を開始することができる薄肉鋳片の製造方法及び薄肉鋳片の製造装置を提供できることが確認された。
1 薄肉鋳片
3 溶鋼(溶融金属)
5 凝固シェル
7 ダミーシート
10 薄肉鋳片の製造装置
11 冷却ドラム
16 溶鋼溜まり部(溶融金属溜まり部)
30 予熱装置
35 ドラム突出部
36 予熱突出部

Claims (5)

  1. 回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰を有し、これら一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属溜まり部に注湯ノズルを介して溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造装置であって、
    鋳造開始前に、前記冷却ドラムの回転を停止した状態で、前記冷却ドラムの周面のうち、ドラム周方向の位置としてドラムキス点からの俯角θが40°から90°の範囲内、並びにドラム幅方向の位置としてノズル吐出孔の配設幅以上であり、その幅端部位置がドラム端部から50mm以上の範囲の領域を局所的に加熱する予熱装置を有することを特徴とする薄肉鋳片の製造装置。
  2. 前記予熱装置は、予熱終了後に取り外し可能であることを特徴とする請求項1に記載の薄肉鋳片の製造装置。
  3. 前記予熱装置は、IHヒータ方式であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薄肉鋳片の製造装置。
  4. 回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属溜まり部に、注湯ノズルを介して溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法であって、
    鋳造開始前に、前記冷却ドラムの回転を停止した状態で、前記冷却ドラムの周面のうち、ドラム周方向の位置としてドラムキス点からの俯角θが40°から90°の範囲内、並びにドラム幅方向の位置としてノズル吐出孔の配設幅以上であり、その幅端部位置がドラム端部から50mm以上の範囲の領域を局所的に加熱する予熱工程を有し、
    その後、前記冷却ドラムの回転を停止した状態で、前記注湯ノズルから前記溶融金属を供給し、前記溶融金属を貯留させた状態で鋳造を開始することを特徴とする薄肉鋳片の製造方法。
  5. 前記予熱工程において、前記冷却ドラムの周方向で加熱温度を変化させることを特徴とする請求項4に記載の薄肉鋳片の製造方法。
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