JP6740767B2 - 薄肉鋳片の製造方法及び薄肉鋳片の製造装置 - Google Patents

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本発明は、一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属溜まり部に、溶融金属を供給して薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法及び薄肉鋳片の製造装置に関するものである。
金属の薄肉鋳片を製造する方法として、例えば、特許文献1に示すように、内部に水冷構造を有する冷却ドラムを備え、回転する一対の冷却ドラム間に形成された溶融金属溜まり部に溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させ、一対の冷却ドラムの外周面にそれぞれ形成された凝固シェル同士をドラムキス点で接合し、圧下して所定の熱さの薄肉鋳片を製造する双ドラム式連続鋳造装置を用いた製造方法が提供されている。このような双ドラム式連続鋳造装置を用いた製造方法は、各種金属において適用されている。
従来、上述の双ドラム式連続鋳造装置において鋳造を開始する際には、例えば特許文献1に示すように、冷却ドラム間にダミーシートを挟持しておき、一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属溜まり部に溶融金属を供給し、溶融金属溜まり部に一定量の溶融金属が溜まった段階で冷却ドラムを回転させて、ダミーシートに連結するように薄肉鋳片を形成し、冷却ドラム間からダミーシート及びこのダミーシートに連結された薄肉鋳片を引き出している。
ここで、鋳造開始時点においては、溶融金属溜まり部への溶融金属の供給量や冷却ドラムの温度等の鋳造条件が安定していないため、ダミーシートに連結するように形成された薄肉鋳片の強度が不足し、ダミーシートを引き出した際に薄肉鋳片が破断するといったトラブルが発生し、鋳造を開始できないことがあった。
このため、例えば特許文献1においては、ダミーシートに連結するように補強部材を配置し、この補強部材を溶融金属で鋳包ませることにより、鋳造開始時の薄肉鋳片の強度を確保する技術が提案されている。
特開平04−266462号公報
ここで、従来の双ドラム式連続鋳造方法における溶湯供給開始からの経過時間と溶湯供給速度及びドラム周速度との関係を図8に示す。
従来の双ドラム式連続鋳造装置においては、鋳造開始時には、ダミーシートを冷却ドラムで挟み込み、冷却ドラムの回転を停止した状態で溶湯を供給している。そして、一定量の溶湯が溜まった時点で冷却ドラムの回転を開始して鋳造を開始している。なお、冷却ドラム間に溶湯を溜めすぎて凝固が過度となると、溶融金属溜まり部内で凝固した部分が楔となってしまうため、従来は比較的短時間で溶湯を供給している。
鋳造開始直後は、冷却ドラムを回転させる前に貯留された溶湯が凝固して凝固シェルが過剰に形成される。このため、鋳造開始直後には、溶湯供給速度を一旦少なくするとともに冷却ドラムの回転速度を徐々に上げて過剰分を排出し、その後、冷却ドラムの周速度を徐々に増速しつつ溶湯供給速度を上げていき、定常鋳造に移行する。
ここで、従来の双ドラム式連続鋳造装置における鋳造長さと鋳片厚みの関係を図9に示す。鋳造開始直後は、溶融金属溜まり部の溶湯が凝固して鋳片厚みは厚くなり、こぶ(肥大部)が形成される。その後、溶湯供給速度の低下により、鋳片厚みが急激に薄くなり、以降は補強部材が鋳込まれることによって厚くなる。最下端に形成されたこぶ(肥大部)の荷重に耐えるため、このこぶ(肥大部)が水平に移行するまでの長さで、鋳片厚みを厚くする必要がある。
以上のように、冷却ドラムを停止した状態で溶湯を供給して鋳造を開始する場合には、定常状態に達するまでの時間が長いために、非定常部の鋳造長さが長くなり、歩留まりが低下するといった問題があった。
また、鋳片の最下端にこぶ(肥大部)が形成されるため、鋳片が自重で破断しやすくなり、鋳片の製造を安定して行うことができなくなるおそれがあった。
さらに、鋳片の最下端に形成されたこぶ(肥大部)を支持するために、必要な補強部材の長さが長くなり、コスト高となるといった問題があった。
また、最下端のこぶ(肥大部)を冷却ドラムで圧下して排出する際に、冷却ドラムにダメージを与えるおそれがあった。
さらに、冷却ドラムの回転を停止した状態での湯面センシングと冷却ドラムの回転起動タイミング制御のために、複雑な設備と制御を要するといった問題があった。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、非定常部の鋳造長さが短く、かつ、鋳片の破断を抑制でき、安定して薄肉鋳片を製造することが可能な薄肉鋳片の製造方法及び薄肉鋳片の製造装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る薄肉鋳片の製造方法は、回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属溜まり部に溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法であって、前記溶融金属溜まり部への溶融金属の供給を開始する時点とする鋳造開始時には、前記一対の冷却ドラムの間にダミーシートを挿入してダミーシート保持機構により保持し、前記一対の冷却ドラムを回転させた状態で、前記溶融金属溜まり部に対して前記溶融金属を供給する構成とされており、前記ダミーシート保持機構は、アーム部と押圧手段を備え、前記アーム部は一端に前記ダミーシートを挟持して保持するロール部と、他端側に軸支部とが配設されており、前記鋳造開始時には、前記押圧手段によって前記軸支部を押圧することで前記ロール部が前記ダミーシートを挟持し、前記ダミーシートが前記冷却ドラムと接触することなく保持され、前記ダミーシートが下方に引き出されるにしたがって前記ロール部が下方に移動して前記ダミーシートの保持を解除する機構を有し、前記鋳造開始時から、前記溶鋼湯溜まり部における湯面高さが所定位置で安定した時点とする定常鋳造までの非定常時間tを、定常鋳造時におけるドラム周面上の凝固時間tの5倍以上とし、前記非定常時間tにおける溶湯供給速度Qinを、定常鋳造時における溶湯供給速度Qaveの12倍以下とすることを特徴としている。
この構成の薄肉鋳片の製造方法によれば、鋳造開始時に、前記一対の冷却ドラムの間にダミーシートを挿入して保持し、前記一対の冷却ドラムを回転させた状態で、前記溶融金属溜まり部に対して前記溶融金属を供給しているので、鋳造開始時にこぶ(肥大部)が形成されることを抑制できる。よって、薄肉鋳片の厚さを厚くしなくても、薄肉鋳片の破断を抑制することができる。また、非定常部の鋳造長さを短くすることができ、歩留まりの向上を図ることができる。さらに、湯面センシングや回転起動の制御を行う必要がなく、設備構成を簡単にすることができる。
尚、前記一対の冷却ドラムの間にダミーシートを挿入した後に、ダミーシートと前記冷却ドラムが接触していると、鋳造開始後に前記冷却ドラムにすり疵が入る場合があるので、ダミーシートは前記一対の冷却ドラムと非接触の状態で保持されているのが望ましい。
また、鋳造開始時から定常鋳造までの非定常時間tを、定常鋳造時におけるドラム周面上の凝固時間tの5倍以上としているので、凝固開始時おいて溶融金属溜まり部における湯面の上昇速度がある程度遅くなり、非定常部における薄肉鋳片の厚さの急激な変化を抑制でき、薄肉鋳片の破断を抑制することができる。
さらに、非定常時間tsにおける溶湯供給速度Qinを、定常鋳造時における溶湯供給速度Qaveの12倍以下としているので、溶湯の跳ね上がりや凝固シェルの再溶解を抑制でき、安定して薄肉鋳片の鋳造を行うことができる。
ここで、本発明に係る薄肉鋳片の製造方法においては、シール部材によって、前記ダミーシートと前記冷却ドラム及び前記サイド堰との間の空間の少なくとも一部を塞ぐことが好ましい。
この場合、シール部材によって、ダミーシートと冷却ドラム及びサイド堰との間の隙間から溶湯が漏れ出すことを抑制でき、鋳造をさらに安定して開始することが可能となる。なお、冷却ドラムを回転させた状態でもシール部材が冷却ドラムとともに回転しないように、シール部材を配置することが好ましい。
本発明に係る薄肉鋳片の製造装置は、回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰を有し、これら一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属溜まり部に溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造装置であって、前記一対の冷却ドラムの下流側に、ダミーシートを保持するダミーシート保持機構が設けられており、前記ダミーシート保持機構は、アーム部と押圧手段を備え、前記アーム部は、一端に前記ダミーシートを挟持して保持するロール部と、他端側に軸支部とが配設されており、前記押圧手段によって前記軸支部を押圧することで前記ロール部が前記一対の冷却ドラムの間に挿入された前記ダミーシートを保持する機構と、前記ダミーシートが下方に引き出された際には、前記ダミーシートを開放するよう前記ロール部が下方に移動する機構とを備えることを特徴としている。
この構成の薄肉鋳片の製造装置によれば、前記一対の冷却ドラムの下流側に、前記ダミーシートを保持するダミーシート保持機構が設けられているので、冷却ドラム間にダミーシートを挿入した状態で冷却ドラムを回転させることができる。よって、冷却ドラムを回転させた状態で溶融金属溜まり部に溶湯を供給して鋳造を開始することが可能となる。これにより、鋳造開始時にこぶ(肥大部)が形成されることを抑制でき、薄肉鋳片の厚さを厚くしなくても、薄肉鋳片の破断を抑制することができる。また、非定常部の長さを短くすることができ、歩留まりの向上を図ることができる。さらに、湯面センシングや回転起動の制御を行う必要がなく、設備構成を簡単にすることができる。
ここで、本発明に係る薄肉鋳片の製造装置においては、前記ダミーシートには、シール部材が配設されていることが好ましい。
この場合、前記ダミーシートにシール部材が配設されているので、このシール部材によってダミーシートと冷却ドラム及びサイド堰との間の隙間が小さくなり、溶湯が漏れ出すことを抑制でき、鋳造をさらに安定して開始することが可能となる。なお、シール部材がダミーシートに配設されているので、冷却ドラムを回転させた状態でもシール部材が冷却ドラムとともに回転することを抑制できる。
上述のように、本発明によれば、非定常部の鋳造長さが短く、かつ、鋳片の破断を抑制でき、安定して薄肉鋳片を製造することが可能な薄肉鋳片の製造方法及び薄肉鋳片の製造装置を提供することができる。
本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造装置を示す説明図である。 図1に示す薄肉鋳片の製造装置において、(a)鋳造開始時にダミーシートを保持した状態及び(b)鋳造開始後の状態を示す説明図である。 ダミーシートの配置を冷却ドラムの上方から見た説明図である。 ダミーシート保持装置において、(a)鋳造開始時にダミーシートを保持した状態及び(b)鋳造開始後の状態を示す説明図である。 鋳造開始時の溶湯供給条件を決定する際に使用されるパラメータの説明図である。 本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造方法における鋳造開始からの経過時間と溶湯速体積速度との関係を示すグラフである。 本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造方法における鋳造開始からの鋳造長さと鋳片厚みとの関係を示すグラフである。 従来の双ドラム式連続鋳造方法における溶湯供給開始からの経過時間と溶湯供給速度との関係を示すグラフである。 従来の双ドラム式連続鋳造方法における鋳造開始からの鋳造長さと鋳片厚みとの関係を示すグラフである。
以下に、本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造方法及び薄肉鋳片の製造装置について、添付した図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
また、本実施形態では、溶融金属として溶鋼を用いており、鋼材からなる薄肉鋳片1を製造するものとされている。
本実施形態である薄肉鋳片の製造装置10は、図1に示すように、一対の冷却ドラム11a、11bと、一対の冷却ドラム11a、11bの幅方向端部に配設されたサイド堰15と、これら一対の冷却ドラム11a、11bとサイド堰15とによって画成された溶鋼溜まり部16に対して溶鋼3を供給するタンディッシュ18及び浸漬ノズル19と、を備えている。
この薄肉鋳片の製造装置10においては、溶鋼3が回転する冷却ドラム11a,11bに接触して冷却されることにより、冷却ドラム11a,11bの周面の上で凝固シェル5、5が成長し、一対の冷却ドラム11a,11bにそれぞれ形成された凝固シェル5、5同士がドラムキス点で圧着されることによって、所定厚みの薄肉鋳片1が鋳造される。
そして、本実施形態である薄肉鋳片の製造装置10においては、図2に示すように、一対の冷却ドラム11a、11bの下流側に、鋳造を開始する際に一対の冷却ドラム11a、11bの間に挿入されるダミーシート7を保持するダミーシート保持機構20が配設されている。なお、図2(a)に示すように、ダミーシート7の上端側には、薄肉鋳片1に鋳込まれる補強部材9が配設されている。
ここで、鋳造開始時には、図2(a)及び図3に示すように、一対の冷却ドラム11a,11bの間にダミーシート7が挿入され、このダミーシート7が上述のダミーシート保持機構20によって保持される。本実施形態では、ダミーシート7は、ダミーシート保持機構20によって一対の冷却ドラム11a、11bに対して非接触の状態で保持されている。なお、冷却ドラム11a、11bには、熱膨張を考慮してドラム幅中央部の外径が小さくされたイニシャル凹クラウンが付されており、この凹クラウン同士によって形成されたドラムギャップ内にダミーシート7が挿入されている。
また、ダミーシート7にはシール部材8が配設されており、このシール部材8によって、ダミーシート7と冷却ドラム11a、11b及びサイド堰15との間の空間の少なくとも一部が塞がれている。なお、シール部材8としては、耐火物製繊維材等の耐熱性を有する軟質材を用いることができる。
上述のダミーシート保持機構20は、図2及び図4に示すように、アーム部21と、このアーム部21の一端側に配設されたロール部22と、アーム部21の他端側を軸支する軸支部23と、軸支部23をアーム部21の一端側に向けて押圧する押圧手段24(板ばね)と、を備えている。
このダミーシート保持機構20においては、図4(a)に示すように、ダミーシート7を保持する際には、押圧手段24によってロール部22がアーム部21の一端側に押圧されており、ロール部22によってダミーシート7を挟持するように構成されている。
そして、ダミーシート7が下方に引き出された際には、図4(b)に示すように、ロール部22が下方に移動し、ダミーシート7を解放するように構成されている。
以下に、上述した薄肉鋳片の製造装置10を用いた本実施形態である薄肉鋳片の製造方法について説明する。
まず、図2(a)及び図3に示すように、一対の冷却ドラム11a、11bの下流側から一対の冷却ドラム11a、11bの間にダミーシート7を挿入する。このとき、ダミーシート保持機構20により、ダミーシート7を挟持して保持する。本実施形態では、ダミーシート7は冷却ドラム11a、11bに対して非接触の状態で保持される。ここで、ダミーシート7に配設されたシール部材8によって、ダミーシート7と冷却ドラム11a、11b及びサイド堰15との間の空間の少なくとも一部が塞がれている。
そして、一対の冷却ドラム11a,11bを回転駆動させる。このとき、ダミーシートがダミーシート保持機構20によって保持されており、本実施形態では、ダミーシートが冷却ドラム11a、11bと非接触の状態で保持されており、シール部材8は冷却ドラム11a、11bの周面と滑らかに摺動するように構成されているので、冷却ドラム11a、11bを回転させても、ダミーシート7やシール部材8が一対の冷却ドラム11a、11b間に巻き込まれることはない。
なお、本実施形態では、冷却ドラム11a,11bの回転速度(周速度)は、定常鋳造時の回転速度(周速度)と同一に設定している。
冷却ドラム11a、11bを回転させた状態で、一対の冷却ドラム11a、11bとサイド堰15によって形成された溶鋼溜まり部16に向けて、タンディッシュ18から浸漬ノズル19を介して溶鋼3を供給する。
すると、溶鋼3が補強部材9を鋳包むように凝固した時点で、回転する冷却ドラム11a、11bに巻き込まれるようにしてダミーシート7が下方へ排出され、このダミーシート7に続いて薄肉鋳片1が排出される。
ここで、ダミーシート7が下方に排出された際には、図2(b)及び図4(b)に示すように、ダミーシート保持機構20のロール部22が下方に移動し、ダミーシート7の保持が解除される。
そして、溶鋼溜まり部16における湯面高さが所定位置で安定した時点で、凝固が安定して定常鋳造となる。
ここで、本実施形態では、鋳造開始時から定常鋳造までの非定常時間tを、定常鋳造時におけるドラム周面上の凝固時間tの5倍以上に設定している。
また、非定常時間tsにおける溶湯供給速度Qinを、定常鋳造時における溶湯供給速度Qaveの12倍以下に設定している。
以下に、鋳造開始時の条件を上述のように規定した理由について説明する。
図5に、鋳造開始時の条件を設定する際に用いたパラメータを示す。溶鋼溜まり部16に対して供給される溶鋼3の供給速度(溶湯体積速度)をQin、冷却ドラム11a、11b間から排出される薄肉鋳片1に相当する溶鋼3の排出速度(溶湯体積速度)をQout、溶鋼溜まり部16における湯面高さ(ドラム中心位置からの高さ)をH、ドラム周面における溶鋼3の接触部分の弧角をθ、薄肉鋳片1の厚さをdとする。この弧角θとドラム半径Rとから、ドラム周面における溶鋼の接触長さLを算出することができる。
また、単位時間当たりの凝固量を示す凝固係数をKとする。なお、凝固係数Kは、薄肉鋳片の組成、冷却条件で設定されるものであり、予め実験的に求めることができる。
図6に、本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造方法における鋳造開始からの経過時間と溶湯体積速度との関係を示す。
鋳造開始後には、溶湯供給速度Qinを溶湯排出速度Qoutよりも高くすることにより、溶鋼溜まり部16に溶鋼3を貯留して湯面高さHを上昇させる。すなわち、Qin−Qoutに応じて湯面高さHが上昇していく。
湯面高さHが上昇するにつれて、冷却ドラム周面での凝固長さLが長くなって、凝固厚すなわち薄肉鋳片1の厚さdが厚くなり、図6に示すように溶湯排出速度Qoutが徐々に上昇していく。
一方、溶湯供給速度Qinは、時間経過に伴って徐々に下げていき、非定常時間tが終了して定常鋳造になった時点で、Qin=Qoutとなり、これが定常状態における溶湯供給速度Qaveとなる。
なお、図6において、非定常時間tにおけるQinとQoutとの差の部分が、溶鋼溜まり部16に貯留された溶鋼量となる。
ここで、冷却ドラム11a、11bの周速度をVとする。すると、溶湯排出速度Qoutは、薄肉鋳片1の厚さdとドラム周速度Vと鋳片幅Wの積で決定される。薄肉鋳片1の厚さdは、湯面高さHと凝固係数Kとドラム半径Rにより、以下の式で算出される。
d=2×K×(R×arcsin(H/R)/V)0.5
溶湯供給速度Qinについては、鋳造開始直後は湯面高さHを速やかに上昇させ、所定の高さに近づくにつれて湯面高さHを緩やかに上昇させるために、溶湯供給速度Qinの時間変化パターンは、図6に示すように、例えば時間の二次関数となるように、下に凸にすることが好ましい。
ここで、溶湯供給速度Qinを低く設定すると、湯面高さHが緩やかに上昇し、定常状態までの時間が長くなる。逆に、溶湯供給速度Qinを高く設定することにより、湯面高さHを所定高さにするまでの時間を短縮することができる。ただし、たとえ瞬間的であっても過剰に勢いよく供給した場合には、溶鋼の跳ね上がりや凝固シェルの再溶解が発生してしまい、鋳造が安定しなくなるおそれがある。溶湯供給速度Qinの最大値は、装置サイズや湯面高さHや溶湯種別などに影響されるが、通常は定常状態における溶湯供給速度Qave の12倍以下であればよい。
また、非定常時間tを短くすることによって、非定常部の鋳造長さを短くすることができる。ただし、非定常時間tが短すぎると、上述の溶湯供給速度Qinの上限を超える場合があり好ましくない。あるいは、非定常時間tが、凝固係数Kと定常時の薄肉鋳片1の厚さdから計算される定常凝固時間t=(d/2K)0.5の5倍未満になると、溶鋼溜まり部16における湯面高さHの変化率が大きくなり、これにともなって非定常部における薄肉鋳片1の厚さが、鋳造長さ方向で薄から厚へと急激に変化し、薄肉鋳片1の搬送途中で板厚の薄い部分に応力が集中して破断するおそれがある。これらを防止するため、非定常時間tを定常鋳造時におけるドラム周面上の凝固時間tの5倍以上とする。また、非定常時間tが長いと鋳片の非定常部の鋳造長さが長くなり、歩留まりが低下する傾向であるので、非定常時間tは定常鋳造時におけるドラム周面上の凝固時間tの15倍以下が望ましい。
以上の要件を満たすように、溶湯供給速度Qinと非定常時間tを設定する。これらの条件は、数値解析シミュレーションで求めてもよく、また実験的に求めることも可能である。図7は、0.1%炭素鋼を用いた、凝固係数K=14.0、ドラム半径R=0.3m、ドラム周速度V=50m/min、薄肉鋳片1の厚さd=2mm、湯面高さh=230mm、非定常時間t=2.3s(定常凝固時間tの7.3倍)、溶湯供給速度Qin=1.16m/min(定常鋳造時における溶湯供給速度Qaveの11.7倍)のときの薄肉鋳片1の厚み変化の実例を示した。
図7に示すように、鋳造開始時おいても、薄肉鋳片1の厚さdに大きな変動はなく、こぶ(肥大部)が形成されない。さらに、速やかに定常状態となっており、非定常部の鋳造長さが短くなっている。
以上のような構成とされた本実施形態である薄肉鋳片の製造装置10及び薄肉鋳片の製造方法によれば、鋳造開始時において、一対の冷却ドラム11a、11bを回転させた状態で、溶鋼溜まり部16に対して溶鋼3を供給しているので、鋳造開始時にこぶ(肥大部)が形成されることを抑制でき、薄肉鋳片1の厚さを厚くしなくても、薄肉鋳片1の破断を抑制することができる。また、非定常部の長さを短くすることができ、歩留まりの向上を図ることができる。さらに、湯面センシングや回転起動の制御を行う必要がなく、設備構成を簡単にすることができる。
また、鋳造開始時から定常鋳造までの非定常時間tを、定常凝固時間tの5倍以上としているので、凝固開始時おいて溶鋼溜まり部16における湯面の上昇速度がある程度遅くなり、非定常部における薄肉鋳片1の厚さの急激な変化を抑制でき、薄肉鋳片1の破断を抑制することができる。
さらに、非定常時間tsにおける溶湯供給速度Qinを、定常鋳造時における溶湯供給速度Qaveの12倍以下としているので、溶鋼3の跳ね上がりや凝固シェルの再溶解を抑制でき、安定して薄肉鋳片1の鋳造を行うことができる。
以上、本発明の実施形態である薄肉鋳片の製造方法及び薄肉鋳片の製造装置10について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本実施形態では、冷却ドラム11a,11bの回転速度(周速度)は、定常鋳造時の回転速度(周速度)と同一に設定したものとして説明したが、これに限定されることはなく、鋳造開始時における冷却ドラム11a,11bの回転速度(周速度)は適宜変更してもよい。
また、本実施形態では、鋳造開始時の溶湯供給速度Qinを、図6に示すように、例えば時間の二次関数となるように下に凸にするものとして説明したが、これに限定されることはなく、鋳造開始時の溶湯供給速度Qinの上限が定常鋳造時における溶湯鋼供給速度Qaveの12倍以下とされていれば、鋳造開始時の溶湯供給速度Qinを他のパターンで変化させてもよい。
以下に、本発明の効果を確認すべく、実施した実験結果について説明する。
図1に示す薄肉鋳片の製造装置を用いて、炭素量0.1mass%の炭素鋼からなる薄肉鋳片の製造を行った。
ここで、冷却ドラム径を600mm、冷却ドラム幅を1000mmとした。また、定常鋳造の鋳片厚さを2.0mmとした。
本発明例及び比較例においては、上述の本発明の実施形態で示したように、鋳造開始時には、ダミーシートを冷却ドラムに非接触の状態で保持しておき、冷却ドラムを回転させた状態で溶鋼溜まり部に溶鋼を供給した。このときの条件を表1に示す。
また、従来例においては、鋳造開始時には、冷却ドラムでダミーシートを挟み込み、冷却ドラムを停止した状態で溶鋼溜まり部に溶鋼を供給した。
このとき、非定常部の鋳造長さ、及び、非定常部における鋳片厚さの変動幅について評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 0006740767
従来例においては、鋳片厚さの変動が大きく、鋳片の破断が発生するおそれがあった。また、非定常部の鋳造長さが長く、生産歩留が低くなった。
比較例1においては、非定常時間tが定常鋳造時におけるドラム周面上の凝固時間tの5倍未満となっており、鋳造長さ方向の鋳片厚さの変化率が大きく、鋳片をドラムから搬送する際に破断が発生した。
比較例2においては、非定常時間tにおける溶湯供給速度Qinが定常鋳造時における溶湯供給速度Qaveの12倍を超えており、溶鋼の跳ね上がりや凝固シェルの再溶解により凝固が安定せず、鋳片が破断した。
これに対して、本発明例においては、いずれも鋳片厚さの変動が小さく抑えられており、かつ従来例に比して非定常部の鋳造長さを短くすることができた。
以上の結果から、本発明に係る薄肉鋳片の製造方法及び薄肉鋳片の製造装置によれば、歩留まりが高く、安定して鋳造を開始することができる薄肉鋳片の製造方法及び薄肉鋳片の製造装置を提供できることが確認された。
1 薄肉鋳片
3 溶鋼(溶融金属)
5 凝固シェル
7 ダミーシート
8 シール部材
10 薄肉鋳片の製造装置
11a 一方の冷却ドラム
11b 他方の冷却ドラム
16 溶鋼溜まり部(溶融金属溜まり部)
20 ダミーシート保持機構

Claims (4)

  1. 回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属溜まり部に溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造方法であって、
    前記溶融金属溜まり部への溶融金属の供給を開始する時点とする鋳造開始時には、前記一対の冷却ドラムの間にダミーシートを挿入してダミーシート保持機構により保持し、前記一対の冷却ドラムを回転させた状態で、前記溶融金属溜まり部に対して前記溶融金属を供給する構成とされており、
    前記ダミーシート保持機構は、アーム部と押圧手段を備え、前記アーム部は一端に前記ダミーシートを挟持して保持するロール部と、他端側に軸支部とが配設されており、前記鋳造開始時には、前記押圧手段によって前記軸支部を押圧することで前記ロール部が前記ダミーシートを挟持し、前記ダミーシートが前記冷却ドラムと接触することなく保持され、前記ダミーシートが下方に引き出されるにしたがって前記ロール部が下方に移動して前記ダミーシートの保持を解除する機構を有し、
    前記鋳造開始時から、前記溶鋼湯溜まり部における湯面高さが所定位置で安定した時点とする定常鋳造までの非定常時間tを、定常鋳造時におけるドラム周面上の凝固時間tの5倍以上とし、
    前記非定常時間tにおける溶湯供給速度Qinを、定常鋳造時における溶湯供給速度Qaveの12倍以下とすることを特徴とする薄肉鋳片の製造方法。
  2. シール部材によって、前記ダミーシートと前記冷却ドラム及び前記サイド堰との間の空間の少なくとも一部を塞ぐことを特徴とする請求項1に記載の薄肉鋳片の製造方法。
  3. 回転する一対の冷却ドラムと一対のサイド堰を有し、これら一対の冷却ドラムと一対のサイド堰によって形成された溶融金属溜まり部に溶融金属を供給し、前記冷却ドラムの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する薄肉鋳片の製造装置であって、
    前記一対の冷却ドラムの下流側に、ダミーシートを保持するダミーシート保持機構が設けられており、
    前記ダミーシート保持機構は、アーム部と押圧手段を備え、
    前記アーム部は、一端に前記ダミーシートを挟持して保持するロール部と、他端側に軸支部とが配設されており、
    前記押圧手段によって前記軸支部を押圧することで前記ロール部が前記一対の冷却ドラムの間に挿入された前記ダミーシートを保持する機構と、前記ダミーシートが下方に引き出された際には、前記ダミーシートを開放するよう前記ロール部が下方に移動する機構とを備えることを特徴とする薄肉鋳片の製造装置。
  4. 前記ダミーシートには、シール部材が配設されていることを特徴とする請求項3に記載の薄肉鋳片の製造装置。
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