JP6822915B2 - 電極素材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電極素材、特に真空コンデンサ用固定電極および真空コンデンサ用可変電極として使用される3層クラッド構造を有する電極素材の製造方法に関するものである。
大電力送信機の発振回路、半導体製造装置用の高周波電源、誘導加熱装置のタンク回路等に真空コンデンサが用いられている。
真空コンデンサは、セラミックスなどによる絶縁筒の両端を端板により閉塞した真空容器の内部に相対抗する電極を配置して、これら電極により静電容量を作り出すコンデンサである。
この真空コンデンサには、静電容量が一定の固定タイプと、ベローズ等を使用することで容器内の真空を保ちつつ、片側電極を移動させることで静電容量を変化することが出来る可動タイプとがある。
真空コンデンサは、誘電体が真空であることから、高絶縁能力による耐電性、使用環境が特性に影響を与えにくい、真空誘電率が低いため静電容量が小さい等の優れた特徴を有している。
真空コンデンサの電極には、電気的損失が少なく、真空コンデンサの電極として適している銅が多く用いられている。また入手性や加工性が良いことも銅が多く用いられている要因の一つである。
反面、銅は非常に柔らかい材質であることが欠点となる。特に真空コンデンサの製造工程では、組立にろう付けによる接合を用いており、製造中の真空コンデンサは800℃程度の温度雰囲気にさらされ、銅自体が焼き鈍ってより柔らかくなってしまう。このため厚みが0.5mmも有しない真空コンデンサ電極は簡単に変形してしまう。電極変形は真空コンデンサ性能、特に耐電圧性能への影響が大きい。電極を変形させる可能性は、組立時の直接接触による変形、製造工程時のスパークコンディショニング時の電極間閃絡による変形、真空コンデンサ落下等による衝撃による変形などがある。ここではスパークコンディショニング時の電極変形に関して説明する。
真空コンデンサは、製造工程においてスパークコンディショニングを行う必要がある。スパークコンディショニングとは、真空コンデンサの耐電圧を所定の電圧まで上げていくための調質作業のことであり、おおよそのメカニズムは次のとおりである。
組み立てられたばかりの真空コンデンサの電極間の耐電圧性能は、期待する耐電圧性能の半分にも満たない値となっている。
これは電極表面に存在する微細な突起や、電極表面に付着する不純物質等が、電極間閃絡を引き起こすためである。発生した閃絡のアークは、真空の絶縁消弧能力によりすぐに消弧され、絶縁が回復する。この時のアークが電極表面の突起や不純物質等を電極表面から取り除くこととなり、耐電圧性能は改善され、閃絡は発生しなくなる。この作業を繰り返して所望の耐電圧値まで電圧を上げていく、これがスパークコンディショニングと呼ばれる調質作業である。
しかし、時に閃絡のアークは、より大きな突起を作り出したり、閃絡によって溶融した突起のベーパーが電極表面に付着したりする等、電極表面状態を悪化させることもある。この時、閃絡が収まらなくなったり、耐電圧の著しい低下を引き起こしたりすることもある。アークの閃絡は同じ箇所に集中し、閃絡回数も増加、場合によりアークが真空の消弧能力に勝ると、連続的な放電に移行することもある。結果、電極自体の溶融、部分変形、最悪は電極間ショートを引き起こすこととなる。
電極自体の強度を上げることが出来れば、真空コンデンサのスパークコンディショニングでの不良発生を抑制することができる。また、組立時、ハンドリングによる電極変形も起こりづらくなる。
さらに、この電極自体の強度を上げることで、スパークコンディショニングの電圧を上げられるため、真空コンデンサの高耐電圧化へと繋がっていく。
同じ電極ギャップであれば、より高い耐電圧値までスパークコンディショニングを行うことが可能となり、同じサイズの真空コンデンサの耐電圧性能を上げることができる。
また、同じ耐電圧値であるならば、より狭いギャップでの設計・製造が可能となり、真空コンデンサの小型化や静電容量アップへ発展していける。
そのため、今までにも、より高い耐電圧性能を求めた様々なアプローチがなされている。
特許文献1には、銅が電極に使用され、電極はニッケルもしくはクロムでコーティングされている。これらのコーティング金属は、硬く、融点が高いため使用されている。しかしコーティングすることで、電極性能はコーティング金属に依存することとなり、銅電極ならではの低損失、熱伝導性能を失っている。
特許文献2では、電極材質にステンレス、ニッケル、モリブデン、ニオブ、タンタル、チタン、タングステン、モネル、銅ニッケル合金、洋白とすることで高耐電圧化を実現している。しかしながら銅電極と比して損失が大きく、熱伝導性能も劣ることとなる。
特許文献3では、アルミニウムまたはアルミニウム合金を電極として使用し、表面を5μmの高さ最大表面粗さ及び2μm未満の高さの平均表面粗さに合わせて研磨する方法が開示されている。しかし、アルミニウムは非常に軟質の材料であり、機械研磨では疵が入り易いため、銅や銅合金に比べて表面粗さを低減するのは困難である。また、アルミニウムは銅よりも軟化点が低いことから、閃絡など電気化学的に平滑化する方法では、電子が衝突した際の発熱により歪みが生じやすい。この際に生じた歪みは、電極間距離の精度に著しく影響し、耐電圧特性が低下する。
特許文献4には、リチウムイオン二次電池の負極活性物質担持用銅被覆鋼箔の製法として、冷間圧接法または熱間圧接法により、芯材の鋼と外層材の銅材をクラッドする方法が開示されている。しかし、この方法で得られるクラッド材は、後述するように、本発明の用途には適していない。
特許第3885343号公報 特開平11-273998号公報 特開2015-188119号公報 特開2012-33470号公報
特許文献1および2のような方法では、電極としての導電性が低く大電流を流すのに適さないという課題があった。
また、特許文献3の方法では、表面粗さの低減が困難なことによる絶縁破壊のリスクや研磨時に歪やすいことによる耐電圧特性の低下が問題であった。
さらに、特許文献4には、圧接後の拡散焼鈍に関し、開示も示唆もされていない(段落0029以降の実施例の記載参照)。このため、特許文献4の方法で得られた電極素材は、クラッド接合界面の密着強度が弱く、真空コンデンサ用固定電極や可変電極としての用途には適さないと言える。
本発明者らは、真空コンデンサ用固定電極や可変電極としての用途に適する電極素材の特性を得るための製法について鋭意研究した。特に、真空コンデンサの電極は渦巻円筒状であるため、その渦巻円筒状への加工の際、円弧内外の引張および圧縮応力によってクラッド接合界面に剥離が生じないことが極めて重要であり、さらには、コンディショニング時の電極間閃絡による熱応力の影響を考慮する必要がある。
これらを鑑みて、本発明者らは、クラッド接合界面に剥離が生じさせないためには拡散焼鈍が必須であることを見出した。
即ち、本発明は、外層材を銅材とし、芯材をステンレス鋼として導電性と強度を具備し、研磨時の歪み防止と平滑性を向上させて、耐電圧特性を高めることができる真空コンデンサ用固定電極および可変電極に用いられる電極素材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するため鋭意研究を行い、3層のクラッドに関して以下の知見を得た。
(1)クラッド材は銅材を外層材として、芯材をステンレス鋼にすることが必要である。外層材を銅材にしたのは、その有する導電性が高いからである。そのため、銅材の種類としてはJISで規定されるC1000番台の表示の材料であれば良い。芯材をステンレス鋼にしたのは、その有する融点と剛性が高いからである。
(2)芯材のステンレス鋼は、該電極が高周波回路に使用する際の発熱防止の観点から、非磁性であるSUS304のようなオーステナイト系に分類されるステンレス鋼を用いることが好ましい。芯材としてオーステナイト系ステンレス鋼を用いれば、クラッド材の切断端面の耐食性を確保し、板厚が小さくても銅単体よりも剛性を大きくすることができ、さらに、非磁性であることにより真空コンデンサから発せられる微弱な磁場により誤作動などの問題を解決できるという利点を有する。
(3)3層構造のクラッド材は圧延法により製造される。該法は2工程の冷間圧延工程とその中間の熱処理工程を行うもので、このことにより、3層構造のクラッド材は優れた接合強度が得られる。
本発明は以上の知見からなされたもので、以下の構成を備えている。
[1]外層材を銅材とし、芯材をステンレス鋼とした3層クラッド構造を有する真空コンデンサ用固定電極又は真空コンデンサ用可変電極に用いられる電極素材を製造する方法において、
前記銅材で前記芯材を挟んだ状態で冷間圧延してクラッド材を得る第1の冷間圧延工程と、
前記第1の冷間圧延工程で得られたクラッド材を拡散焼鈍する熱処理工程と、
前記熱処理工程で拡散焼鈍されたクラッド材を冷間圧延する第2の冷間圧延工程と、
を備えた電極素材の製造方法であって、
下記(a)〜(f)を備えていることを特徴とする電極素材の製造方法。
(a)前記銅材の面積比率が20〜70%であること、
(b)前記第2の冷間圧延工程は、圧下率が10〜30%であること、
(c)前記第1の冷間圧延工程は、圧下率が30%以上であること、
(d)前記熱処理工程は、熱処理温度が800℃以上であること、
(e)前記熱処理工程は、保持時間が1分以上であること、及び、
(f)前記第1と第2の冷間圧延工程における圧下率の合計である累積圧下率は、50%以上であること。
[2]前記第1の冷間圧延工程は、圧下率が30〜90%であることを特徴とする[1]に記載の真空コンデンサ用固定電極又は真空コンデンサ用可変電極に用いられる電極素材を製造する方法。
[3]前記熱処理工程は、熱処理温度が800〜1080℃であることを特徴とする[1]または[2]に記載の真空コンデンサ用固定電極および可変電極に用いられる電極素材を製造する方法。
なお、本発明方法は、第1の冷間圧延工程と、熱処理工程と、第2の冷間圧延工程とをこの順序で実施することを要件としたものであり、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、各工程の前後に他の工程が入ることを許容するものである。
また、本発明における「外層材を銅材とし、芯材をステンレス鋼とした3層クラッド構造」とは、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、他の素材が介在されたクラッド構造をも包含するものである。
本発明によれば、外層材を銅材とし、芯材をステンレス鋼とすることで導電性と強度を具備し、該電極の研磨工程における歪み防止と平滑性を向上することができるようになった。これにより、耐電圧特性に優れた真空コンデンサ用固定電極又は真空コンデンサ用可変電極の電極素材を得ることができる。
以下、本発明に係る3層クラッド構造を有する真空コンデンサ用固定電極および可変電極素材の製造方法について説明する。
まず、本発明に係る電極素材(銅材を外層材として、ステンレス鋼を芯材とする3層クラッド材)について説明する。以下で、単に化学成分の表示の%としているのは質量%を意味する。
(外層材である銅材の組成)
外層材に用いられる銅材は、質量%で90%以上のCuを含有する材料であることが好ましい。Cuが90%以上の材料は導電性に優れるため、大電流を流すのに適すばかりか放熱性にも優れるからである。特に、Cu量が99.75%以上の純銅系の材料が好ましく、代表的な純銅系の材料として、JISで規格するC1000番台、C1100番台、C1200番台を挙げることができる。
(芯材であるステンレス鋼の組成)
芯材に用いられるステンレス鋼素材は、オーステナイト系ステンレス鋼に分類される鋼種で、磁性、剛性を考慮して、Ni量が7.5〜15%、Cr量が16〜20%であることが好ましい。C量は0.1%以下であることが好ましい。C量が0.1%を超えるとクラッド製造時の冷間圧延時に外層材の銅材との剥離が生じやすくなる惧れがあるからである。Ni、Cr、Cの含有量を上記の範囲とすることにより、外層材である銅材と組み合わせても、冷間加工性に優れ、非磁性、剛性を良好に維持することができる。
(銅材の面積比率)
銅材/ステンレス鋼材/銅材の三層クラッド構造の電極素材は、その板厚断面における銅材の面積比率が、20〜70であることが好ましい。面積比率が20%未満であると導電性と放熱性が低下し、70%を超えると剛性が減少する。スパークコンディショニングでの不良発生を抑制する点で、より好ましくは30〜60%である。
(面積率の測定方法)
面積率の測定は断面を研磨して光学顕微鏡により観察し、銅材と芯材の厚みを測定して、その比率を板厚断面における面積比率とした。
次に、3層クラッド材の電極素材を製造する方法について、図1を参酌して説明する。
(圧延法の適用)
まず、本発明は3層クラッド材の製造方法として圧延法を採用した。外層材と芯材の比率や、剛性を制御するのに適した方法だからである。
外層材である銅材は特に制限しないが、導電性の点で前記したJISで規定するC1000番台、C1100番台、C1200番台の純銅の板材を用いることが好ましい。また、芯材であるオーステナイト系ステンレス鋼は、剛性の点で上記した成分を有する板材であることが好ましい。
(前処理工程)
次に、圧延前の前処理としてクラッド素材の表面の前処理工程(a)で表面を活性させるため常法に従いブラッシング処理等を素材表面の全面についておこなう。各素材の表面を活性化させる処理であれば酸洗のような化学的処理、グラインダ、ブラストのような研磨、研削の他の機械的処理を行うことができる。
(第1の冷間圧延工程)
第1の冷間圧延工程(b)は、熱処理工程の前に行う冷間圧延で、クラッド素材を機械的に密着させる工程である。この冷間圧延は、1回又は必要に応じて複数回行う。
この冷間圧延は、表面の活性化の程度が減少する前にすることが好ましい。表面の活性化の程度が減少すると圧延工程での密着性が低下することがあるからである。
第1の冷間圧延工程(b)は、圧下率を30〜90%の範囲で行うことが好ましい。圧下率が30%未満では外層材と芯材の界面の化合物の破断が十分に行われず次工程の処理においても改善されず素材として欠陥が存在する惧れがある。圧下率が90%を超える圧延は製造上困難となる。
第1の冷間圧延工程(b)で供される冷間圧延機の種類は特に限定はないが、板幅方向の圧下力分布や板厚プロフィールが均一な圧延機が選ばれる。
第1の冷間圧延工程(b)後の圧延材は、通常は巻取機(図示せず)により巻取られる。
熱処理工程(圧接後の拡散焼鈍)
第1の冷間圧延工程後は熱処理工程(c)に供する。この熱処理工程はクラッド材の外層材(銅材)と芯材(ステンレス鋼)の金属元素の相互拡散を及び焼鈍を目的としている。これにより、外層材と芯材との界面は強固に結合される。
本発明において、熱処理工程は第1の冷間圧延により巻取られたコイルを温度800〜1080℃の範囲に加熱することにより行うことが好ましい。コイル温度が800℃未満では外層材である銅材と芯材であるステンレス鋼の界面間の拡散が生じにくく、十分な接合強度が得られなくなる惧れがある。また、1080℃を超えると外層材である銅材の融点(1083℃)に近くなり、銅材が溶融する恐れがある。
本熱処理工程に用いる熱処理炉はバッチ式であっても連続式熱処理炉であっても良い。保持時間は特に限定しないが、1〜20分であることが好ましい。1分未満の時間では拡散の効果が得られにくく、また、通常20分以内の熱処理により拡散および軟化も満足しているため、20分を超える熱処理は不要である。
(第2の冷間圧延工程)
熱処理工程に続いて第2の冷間圧延工程(d)に供する。この冷間圧延は、第1の冷間圧延工程、熱処理工程でで得られたクラッド材に対して、磁性を帯びることなく、その平坦度を高め、かつ、接合強度を高めることを意図して、1回又は必要に応じて複数回行う。第2の冷間圧延工程(d)での圧下率は10〜20%の範囲で行うことが好ましい。圧下率が10%未満では外層材と芯材からなるクラッド材の平坦度の高い形状が得られない惧れがあり、接合強度も低下することがある。また、圧下率が20%を超えると、芯材であるステンレスにおいて加工誘起マルテンサイト相が生成し磁性を帯びる惧れがあるため、大電力高周波用途において発熱する懼れがある。従って、第2の冷間圧延工程での圧下率は10〜20%の範囲とすることが好ましい。
第2の冷間圧延工程で使用される冷間圧延機は、板幅方向の圧下力分布や板厚プロフィールが均一な圧延機が選ばれるが、より薄物材の圧延となるため、平坦度を得る点から12段〜20段の多段圧延機を使用することが好ましい。
(累積圧下率)
前記第1の冷間圧延と第2の冷間圧延における圧下率の合計である累積圧延率は、50%以上で行うことが好ましい。
累積圧延率を50%以上で行うことにより、外層材である銅材の表面を確実に平滑化することができ、3μmの高さ最大表面粗さおよび1μm未満の高さの平均表面粗さまで粗さを確実に低減することができる。
この平滑化により、スパークコンディショニングにおいて電極表面の突起や不純物質等を電極表面から取り除き易くなり、耐電圧性能が改善される。
第2の冷間圧延後は通常はコイル巻取機(図示せず)によりコイル状に巻取られる。その後、必要に応じてスリット工程(図示せず)により板幅方向に分割裁断して出荷する。出荷前には所定の検査を行う。
図1は、前処理工程から第1の圧延工程に入る工程及び熱処理工程から第2の圧延工程に入る工程をそれぞれ示した概略説明図である。 図2は、熱処理工程後のクラッド界面の接合強度評価の説明図で、(a)は銅材とステンレス鋼のクラッド界面を剥離させ評価用の試験片の写真、(b)は銅材と2層クラッド材(ステンレス鋼と銅材)を、接合面とは反対方向に90度曲げを行い、各熱処理条件にて加熱を施し、その後、引張試験機にセッティングした状態を示す写真。
以下、本発明を実施態様に基づいて説明する。ただし、本発明はこれらの実施態様に限定されるものでない。
以下、本発明の実施例を本発明の条件から外れる比較例と共に説明する。
表1に示す外層材と表2に示す芯材を用いて、各種の3層クラッド材を作成した。
表3に3層クラッド材の各層の最終板厚および製造条件に対するスパークコンディショニング時の変形量や表面温度特性について示す。
各層の板厚測定は、3層クラッド材を板厚方向に断面研磨した後、光学顕微鏡観察により測定して求めた。
(界面の接合強度の評価)
第1の冷間圧延後のクラッド界面の接合強度評価は、JIS Z 2248に規定する曲げ試験において、90度曲げ(押金具の先端部の半径R=0.4mm)試験を破断するまで繰り返し曲げを行い、曲げ破断面を観察して、その破断面が接合部で剥離していない場合を合格とした。
次に、熱処理工程後のクラッド界面の接合強度評価について、図2を参酌して説明する。まず、第1の冷間圧延後の材料を、幅15mm、長さ55mmの寸法に切り出した後、銅材とステンレス鋼のクラッド界面を剥離させて評価用の試験片(a)を作成する。試験片寸法へ切断する際は、切断後の寸法精度が高いワイヤー放電加工が好ましい。また、クラッド界面の剥離は、接合部へ応力が集中する、180度密着曲げと曲げ戻しによる剥離方法が好ましい。剥離後は、銅材と2層クラッド材(ステンレス鋼と銅材)を、接合面とは反対方向に90度曲げを行い、各熱処理条件にて加熱を施す。その後、引張試験機にセッティング(b)し、25mm/分の速度で銅材と2層クラッド材を引張り、幅1mm当たりの引き剥がし強度(ピール強度)を求める。合格とする下限の引き剥がし強度をPbとするとき、Pb =350N/mm(銅材耐力)×t(銅材の板厚)×0.7で算出され、Pb>は不合格とした。
(平坦度の評価)
平坦度の評価は、第2の冷間圧延後に板幅方向に裁断し、シックネスゲージにてエッジ部の波打ち高さを測定し、1.0mm以下の高さであれば合格とした。なお、測定する際の長さは1Mとし、板幅方向の裁断量は、切断前の幅の30%としている。
(磁性の評価)
磁性の評価は、JIS C 2550に規定する直流磁気測定法を用い、比透磁率が1.05以下であれば合格とした。
(平滑性の評価)
平滑性の評価は、JIS B 0651に規定する触針式表面粗さ測定試験において、平均表面粗さが1μm未満かつ最大表面粗さが3μm未満であれば合格とした。
(電極素材としての評価)
以上の評価で合格基準を満たしているクラッド材は円筒状に加工され、該電極素材として表面温度特性評価およびスパークコンディショニングを行う。
表面温度特性としては、静電容量を500[pF]、使用周波数を13.56[MHz]、通電電流I(=ωCV:ωは角周波数、Cは静電容量、Vは印加電圧)を印加電圧Vにより可変して得た通電電流-表面温度特性が80Aで40℃以下、110Aで120℃以下であれば良好と判断した。
また、剛性については、スパークコンディショニングにて電圧15KVを印加し電極間距離が閃絡前と後で±10μを超える変形が起こらなければ良好と判断した。
(実施例)
表3において、本発明例は、クラッド材接合界面の密着性に優れ、高い平坦度と平滑性を備えた真空コンデンサ用固定電極および可変電極に用いられる電極素材を製造できることを確認した。該クラッドを用いた電極は、放熱性が高く比透磁率が小さいことから表面温度特性が良好で、かつ剛性が高いのでスパークコンディショニング時の変形を抑制することができ、前記電極素材としての特性を満足する製品であることが確認できた。
(比較例)
これに対して、No1〜3は銅材の面積比率が20%に満たないため、導電性と放熱性が低下し表面温度特性を満足することができなかった。
No6は、熱処理を実施していないため、クラッド材の接合弱く、円筒状の電極に加工する際にクラッド剥離が生じた。
No26も、熱処理を実施していないため、クラッド材の接合弱く、スパークコンディショニングの際にクラッド剥離が生じた。
No8は、第2の冷間圧延の圧下率が10%未満であったため、良好な平坦度を得ることができなかった。
No9、24は、第2の冷間圧延の圧下率が30%を超えたため、比透磁率が1.05を超える結果となった。
No13、28は、第1の冷間圧延の圧下率が30%未満であるため、熱処理工程前におけるクラッド材の接合が十分ではなかった。
No18、23は、熱処理時間が短く、No16は熱処理温度が低いため、クラッド材の接合が十分ではなかった。No29は、累積圧下率が50%未満でたったため、良好な平滑性を得ることができなかった。
No34〜36は、ステンレスの面積比率が20%未満であったため、剛性が低下してスパークコンディショニングの際に±10μmを超える変形が生じた。
No37〜39は、各銅単層の比較例である。
Figure 0006822915
Figure 0006822915
Figure 0006822915
Figure 0006822915
以上説明したように、本発明方法を適用して銅材/ステンレス鋼材/銅材の三層クラッド構造の電極素材を製造することにより、耐電圧特性に優れた真空コンデンサ―用固定電極、真空コンデンサ―用可変電極に用いられる電極素材を製造することができる。
1・・・外層材
2・・・芯材
3・・・圧延ロール

Claims (3)

  1. 外層材を銅材とし、芯材をステンレス鋼とした3層クラッド構造を有する真空コンデンサ用固定電極又は真空コンデンサ用可変電極に用いられる電極素材を製造する方法において、
    前記銅材で前記芯材を挟んだ状態で冷間圧延してクラッド材を得る第1の冷間圧延工程と、
    前記第1の冷間圧延工程で得られたクラッド材を拡散焼鈍する熱処理工程と、
    前記熱処理工程で拡散焼鈍されたクラッド材を冷間圧延する第2の冷間圧延工程と、
    を備えた電極素材の製造方法であって、
    下記(a)〜(f)を備えていることを特徴とする電極素材の製造方法。
    (a)前記銅材の面積比率が20〜70%であること、
    (b)前記第2の冷間圧延工程は、圧下率が10〜30%であること、
    (c)前記第1の冷間圧延工程は、圧下率が30%以上であること、
    (d)前記熱処理工程は、熱処理温度が800℃以上であること、
    (e)前記熱処理工程は、保持時間が1分以上であること、及び、
    (f)前記第1と第2の冷間圧延工程における圧下率の合計である累積圧下率は、50%以上であること。
  2. 前記第1の冷間圧延工程は、圧下率が30〜90%であることを特徴とする請求項1に記載の電極素材の製造方法。
  3. 前記熱処理工程は、熱処理温度が800〜1080℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の電極素材の製造方法。
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