JP6822268B2 - 熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、銅張積層板、プリント配線板及び半導体パッケージ - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、銅張積層板、プリント配線板及び半導体パッケージ Download PDF

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本発明は、熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、銅張積層板、プリント配線板及び半導体パッケージに関する。
熱硬化性樹脂は、その特有な架橋構造が高い耐熱性及び寸法安定性を発現するため、電子部品等の高い信頼性を要求される分野において広く使われている。特に銅張積層板及び層間絶縁材料においては、近年の配線の高密度化への要求から、微細配線形成のための高い銅箔接着性、穴あけ等の加工をする際の加工性も必要とされる。さらに近年、鉛フリーはんだによる電子部品の搭載により、従来よりも高い耐熱性が必要になってきている。
移動体通信機器である、基地局装置、サーバー及びルーター等のネットワーク関連電子機器、大型コンピュータなどでは、低損失かつ高速で、大容量の情報を伝送及び処理することが要求されている。電気信号は高周波数の方が、情報を高速に伝送及び処理することができるが、電気信号は、基本的に高周波になるほど減衰しやすく、より短い伝送距離で出力が弱くなり、損失が大きくなりやすいという性質を有する。したがって、低損失かつ高速通信の要求を満たすためには、プリント配線板自体の誘電特性(比誘電率、誘電正接)、特に高周波帯域での比誘電率及び誘電正接を低減させることが求められている。
従来、低損失で情報を伝送し得るプリント配線板を得るために、比誘電率及び誘電正接が低いフッ素系樹脂を使用した基板材料が使用されてきた。しかしながら、フッ素系樹脂は一般に溶融温度及び溶融粘度が高く、その流動性が比較的低いため、プレス成形時に高温高圧条件を設定する必要があるという問題点がある。しかも、上記の通信機器等に使用される高多層のプリント配線板用に使用するには、加工性、寸法安定性及び金属めっきとの接着性が不充分であるという問題点がある。
そこで、高周波用プリント配線板用途に対応する、フッ素系樹脂に替わる熱硬化性樹脂材料が研究されている。例えば、エポキシ樹脂を含有した樹脂組成物(特許文献1参照)、ポリフェニレンエーテルとビスマレイミドとを含有した樹脂組成物(特許文献2参照)、ポリフェニレンエーテルとシアネート樹脂とを含有した樹脂組成物(特許文献3参照)、スチレン−ブタジエン共重合体又はポリスチレンと、トリアリルシアヌレート又はトリアリルイソシアヌレートとを含有した樹脂組成物(例えば、特許文献4及び5参照)等が提案されている。
さらには、ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸又は不飽和酸無水物との反応生成物と、多官能性マレイミド等とを含有した樹脂組成物(例えば、特許文献6参照)等が提案されている。
特開昭58−069046号公報 特開昭56−133355号公報 特開昭56−141349号公報 特開昭61−286130号公報 特開平03−275760号公報 特開平06−179734号公報
しかしながら、特許文献1、2又は6に記載された樹脂組成物では、極性の高いエポキシ樹脂の影響によって硬化後の誘電特性に劣り、高周波用途には不向きであった。
特許文献3に記載された樹脂組成物では、誘電特性は優れるものの、耐熱性が不十分となることがあった。
特許文献4又は5に記載された樹脂組成物では、比誘電率がやや高いという傾向が見られた。
特許文献6に記載された樹脂組成物では、極性の高い不飽和カルボン酸及び不飽和無水物による変性の影響により、変性前のポリフェニレンエーテルを用いた場合よりも誘電特性が悪化するという問題があり、銅箔との接着性を高めるべくして極性基の多い化合物を用いると、誘電特性が低下することがわかった。
さらに、近年におけるプリント配線板の微細配線化の進展に伴い、従来から要求されている耐熱性、誘電特性、銅箔との接着性を良好に維持しつつも、配線部を埋め込むための成形性をより一層向上させることが求められているが、従来の材料では、これらの性能を十分満足しているとは言えず、改善が求められている。
そこで、本発明の課題は、成形性に優れ、銅箔との高接着性を維持しつつ、高耐熱性及び優れた誘電特性を達成し得る熱硬化性樹脂組成物、並びに該熱硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグ、銅張積層板、プリント配線板及び半導体パッケージを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、(A)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と無水マレイン酸に由来する構造単位とを有する共重合樹脂と、(B)分子両末端に水酸基を有するエポキシ変性ポリブタジエンと、(C)活性エステル化合物と、(D)マレイミド化合物及びその変性物からなる群から選ばれる1種以上と、を含有してなる熱硬化性樹脂組成物が、上記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、下記[1]〜[15]に関する。
[1](A)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と無水マレイン酸に由来する構造単位とを有する共重合樹脂と、
(B)分子両末端に水酸基を有するエポキシ変性ポリブタジエンと、
(C)活性エステル化合物と、
(D)マレイミド化合物及びその変性物からなる群から選ばれる1種以上と、
を含有してなる熱硬化性樹脂組成物。
[2]前記(A)成分が、下記一般式(A−i)で表される芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と下記式(A−ii)で表される無水マレイン酸に由来する構造単位とを有する共重合樹脂である、上記[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。

(式中、RA1は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、RA2は各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、水酸基又は(メタ)アクリロイル基である。xは、0〜3の整数である。)
[3]前記(A)成分において、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と無水マレイン酸に由来する構造単位との含有量比[芳香族ビニル化合物に由来する構造単位/無水マレイン酸に由来する構造単位](モル比)が、2〜9である、上記[1]又は[2]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[4]前記(B)成分が、下記一般式(B−1)で表されるエポキシ変性ポリブタジエンである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。

(式中、a、b及びcはそれぞれ、括弧内の構造単位の比率を表しており、aは0.05〜0.40、bは0.02〜0.30、cは0.30〜0.80であり、さらに、a+b+c=1.00、且つ(a+c)>bを満たす。yは、括弧内の構造単位の数を表し、10〜250の整数である。)
[5]前記(C)成分が、多価カルボン酸化合物と、下記一般式(C1−1)〜(C1−5)のいずれかで表されるフェノール性水酸基を有する芳香族化合物と、をエステル化してなる化合物である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。

(式中、k1及びk2は各々独立に、0又は1である。)
[6]前記(C)成分が、下記一般式(C−1)で表される化合物である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。

(式中、RC1及びRC2は各々独立に、前記一般式(C1−1)の残基、前記一般式(C1−2)の残基、前記一般式(C1−4)においてk1が1である化合物の残基、又は前記一般式(C1−5)においてk2が0である化合物の残基であり、nは1〜5の整数である)
[7]前記(C)成分の含有量が、固形分換算の(A)〜(D)成分の質量の総和100質量部に対して、1〜25質量部である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[8]前記(D)成分が、1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物及びその変性物からなる群から選ばれる1種以上である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[9]前記(D)成分が、下記一般式(D1−1)で表されるマレイミド化合物(D1)及び下記一般式(D2−1)〜(D2−3)のいずれかで表されるマレイミド化合物(D2)を、(d1)酸性置換基を有するモノアミン化合物及び(d2)ジアミン化合物と反応させてなる化合物である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。

(式中、RD1及びRD2は各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子であり、XD1は、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−、−C(=O)−、−S−、−S−S−又はスルホニル基である。p及びqは各々独立に、0〜4の整数である。)

(式中、sは、0〜10の整数である。)
[10](d1)酸性置換基を有するモノアミン化合物が下記一般式(d1−1)で表され、(d2)ジアミン化合物が下記一般式(d2−1)〜(d2−3)のいずれかで表される、上記[9]に記載の熱硬化性樹脂組成物。

(式中、Rd1は各々独立に、水酸基、カルボキシ基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる酸性置換基であり、Rd2は各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基又はハロゲン原子である。tは1〜5の整数、uは0〜4の整数であり、且つ、1≦t+u≦5を満たす。)

(式中、Xd1は、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−、スルホニル基、−C(=O)−、フルオレニレン基又はフェニレンジオキシ基であり、Rd3及びRd4は各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基又はスルホン酸基である。v及びwは各々独立に、0〜4の整数である。
d2及びXd3は各々独立に、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−又はスルホニル基である。)
[11]さらに、(E)ラジカル反応開始剤、(F)硬化促進剤、(G)難燃剤及び(H)無機充填材からなる群から選ばれる1種以上を含有してなる、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[12]上記[1]〜[11]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を含有してなるプリプレグ。
[13]上記[12]に記載のプリプレグと銅箔とを積層してなる銅張積層板。
[14]上記[13]に記載の銅張積層板を用いてなるプリント配線板。
[15]上記[14]に記載のプリント配線板を用いてなる、半導体パッケージ。
本発明によると、成形性に優れ、銅箔との高接着性を維持しつつ、高耐熱性及び優れた誘電特性を達成し得る熱硬化性樹脂組成物、並びに該熱硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグ、銅張積層板、プリント配線板及び半導体パッケージを提供することができる。
[熱硬化性樹脂組成物]
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、
(A)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と無水マレイン酸に由来する構造単位とを有する共重合樹脂(以下、「(A)成分」又は「(A)共重合樹脂」ともいう)と、
(B)分子両末端に水酸基を有するエポキシ変性ポリブタジエン(以下、「(B)成分」又は「(B)エポキシ変性ポリブタジエン」ともいう)と、
(C)活性エステル化合物(以下、「(C)成分」ともいう)と、
(D)マレイミド化合物及びその変性物からなる群から選ばれる1種以上(以下、「(D)成分」ともいう)と、
を含有してなる熱硬化性樹脂組成物である。
以下、本発明の熱硬化性樹脂組成物が含有する各成分について詳細に説明する。
<(A)共重合樹脂>
(A)成分は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と無水マレイン酸に由来する構造単位とを有する共重合樹脂である。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(A)成分を含有してなることにより、誘電特性に優れたものとなる。
(A)共重合樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、1−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジメチルスチレン等が挙げられる。これらの中でも、スチレンが好ましい。
(A)成分としては、下記一般式(A−i)で表される芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と下記式(A−ii)で表される無水マレイン酸に由来する構造単位とを有する共重合樹脂が好ましい。

(式中、RA1は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、RA2は各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、水酸基又は(メタ)アクリロイル基である。xは、0〜3の整数である。)
A1及びRA2が示す炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜3である。
A2が示す炭素数2〜5のアルケニル基としては、アリル基、クロチル基等が挙げられる。該アルケニル基の炭素数は、好ましくは3又は4である。
A2が示す炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニリル基等が挙げられる。該アリール基の炭素数は、好ましくは6〜12、より好ましくは6〜10である。
xは、好ましくは0又は1、より好ましくは0である。
一般式(A−i)で表される芳香族ビニル化合物に由来する構造単位においては、RA1が水素原子であり、且つxが0である下記式(A−i−1)で表される構造単位が好ましい。
(A)共重合樹脂中における、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と無水マレイン酸に由来する構造単位との含有量比[芳香族ビニル化合物に由来する構造単位/無水マレイン酸に由来する構造単位](モル比)は、好ましくは2〜9、より好ましくは3〜7、さらに好ましくは3〜5である。該含有量比が2以上であると、誘電特性及び耐熱性の改善効果が十分となる傾向にあり、9以下であると、相容性が良好となる傾向にある。
(A)共重合樹脂中における、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と無水マレイン酸に由来する構造単位との合計含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは実質的に100質量%である。
(A)共重合樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは5,000〜18,000、より好ましくは6,000〜17,000、さらに好ましくは8,000〜16,000、特に好ましくは10,000〜16,000、最も好ましくは12,000〜16,000である。なお、本明細書における重量平均分子量は、いずれも、溶離液としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(標準ポリスチレン換算)で測定された値である。
なお、スチレンと無水マレイン酸の共重合樹脂を用いて低誘電率化する方法は、プリント配線板用材料に応用すると、基材への含浸性及び銅箔との接着性が不十分となることより、一般的に避けられる傾向にある。そのため、(A)共重合樹脂を用いることも避けられがちであるが、本発明は、(A)共重合樹脂を用いながらも、(B)〜(D)成分を共に含有させることにより、誘電特性を優れたものとしながらも、銅箔との接着性、高耐熱性、誘電特性及び成形性に優れる熱硬化性樹脂組成物となることを見出して成し遂げられたものである。
(A)共重合樹脂は、芳香族ビニル化合物と無水マレイン酸とを共重合することにより製造することができる。また、芳香族ビニル化合物及び無水マレイン酸以外にも、各種の重合可能な成分を共重合させてもよい。各種の重合可能な成分としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、アクリロニトリル等のビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート等の(メタ)アクリロイル基を有する化合物などが挙げられる。
また、上記共重合によって得られた共重合体に、フリーデル・クラフツ反応、又はリチウム等の金属系触媒を用いた反応を通じて、アリル基等のアルケニル基、(メタ)アクリロイル基、水酸基などの置換基(一般式(A−i)中のRA2に相当する。)を導入してもよい。
(A)共重合樹脂としては、市販品を用いることもでき、市販品としては、「SMA(登録商標)EF30」(スチレン/無水マレイン酸=3、Mw=9,500)、「SMA(登録商標)EF40」(スチレン/無水マレイン酸=4、Mw=11,000)、「SMA(登録商標)EF60」(スチレン/無水マレイン酸=6、Mw=11,500)、「SMA(登録商標)EF80」(スチレン/無水マレイン酸=8、Mw=14,400)(以上、サートマー社製)等が挙げられる。これらの中でも、「SMA(登録商標)EF40」が好ましい。なお、上記「スチレン/無水マレイン酸」は、スチレンに由来する構造単位と無水マレインさんに由来する構造単位との含有量比[スチレン/無水マレイン酸]を意味する。
<(B)エポキシ変性ポリブタジエン>
(B)成分は、分子末端に水酸基を有するエポキシ変性ポリブタジエンである。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(B)成分を含有してなることにより、誘電特性を維持したまま優れた銅箔との接着性を有するものとなる。
銅箔との接着性向上を目的として、極性基を有するエポキシ樹脂を用いることもできるが、その場合、誘電特性が悪化する傾向にある。一方、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(B)成分を含有してなることにより、上記問題を生じずに銅箔との接着性を向上させることができる。さらに、(B)成分は、ポリブタジエンがエポキシ変性されていることにより、耐熱性の向上及び熱膨張係数の低下にも寄与する。
(B)エポキシ変性ポリブタジエンは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(B)成分は、分子末端に水酸基を有するものであり、分子両末端に水酸基を有することが好ましく、分子両末端にのみ水酸基を有することがより好ましい。また、(B)成分が有する水酸基の数は1つ以上であれば特に制限はないが、好ましくは1〜5、より好ましくは1又は2、さらに好ましくは2である。
(B)成分は、銅箔との接着性、耐熱性、熱膨張係数及び柔軟性の観点から、下記一般式(B−1)で表されるエポキシ変性ポリブタジエンであることが好ましい。

(式中、a、b及びcはそれぞれ、括弧内の構造単位の比率を表しており、aは0.05〜0.40、bは0.02〜0.30、cは0.30〜0.80であり、さらに、a+b+c=1.00、且つ(a+c)>bを満たす。yは、括弧内の構造単位の数を表し、10〜250の整数である。)
一般式(B−1)中の各構造単位の結合順序は順不同である。つまり、左に示された構造単位と、中心に示された構造単位と、右に示された構造単位とは、入れ違っていてもよく、それぞれを、(a)、(b)、(c)で表すと、−[(a)−(b)−(c)]−[(a)−(b)−(c)−]−、−[(a)−(c)−(b)]−[(a)−(c)−(b)−]−、−[(b)−(a)−(c)]−[(b)−(a)−(c)−]−、−[(a)−(b)−(c)]−[(c)−(b)−(a)−]−、−[(a)−(b)−(a)]−[(c)−(b)−(c)−]−、−[(c)−(b)−(c)]−[(b)−(a)−(a)−]−など、種々の結合順序があり得る。
銅箔との接着性、耐熱性、熱膨張係数及び柔軟性の観点から、aは好ましくは0.10〜0.30、bは好ましくは0.10〜0.30、cは好ましくは0.40〜0.80である。
一般式(B−1)において、a=0.20、b=0.20、c=0.60、及びy=10〜250の整数となるエポキシ化ポリブタジエンの市販品としては、「エポリード(登録商標)PB3600」(株式会社ダイセル製)等が挙げられ、柔軟性、耐衝撃性、機械的強度及び接着性の観点から、当該市販品を用いることが好ましい。
(B)成分は、例えば、分子両末端に水酸基を有するポリブタジエンを、過酸化水素又は過酸類によりエポキシ化することによって容易に製造される。
原料である分子両末端に水酸基を有するポリブタジエンとしては、下記一般式(B’−1)で表される液状ポリブタジエンが好ましい。つまり、(B)エポキシ変性ポリブタジエンとしては、下記一般式(B’−1)で表される液状ポリブタジエンをエポキシ化して得られるものであることが好ましい。

(式中、a、b、c及びyは、前記一般式(B−1)中のものと同じである。)
原料である分子両末端に水酸基を有するポリブタジエンとしては、市販品を使用できる。市販品としては、「Poly.BD R−15HT」、「Poly.BD R−45HT」(以上、出光興産株式会社製のポリブタジエン)等が挙げられる。
このような水酸基を有するポリブタジエンは、水酸基を有し、且つ、ブタジエンの1,4−ビニル結合構造が1,2−ビニル結合構造よりも多く含まれること[(a+c)>b]により、接着剤に強靱性が付与されて、耐衝撃性及び銅箔との接着性が向上する傾向がある。
<(C)活性エステル化合物>
(C)成分は活性エステル化合物である。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(C)成分を含有してなることにより、成形時の溶融粘度を低減することができ、特に優れた成形性が得られる傾向にある。
(C)活性エステル化合物としては、フェノールエステル化合物、チオフェノールエステル化合物、N−ヒドロキシアミンエステル化合物、複素環ヒドロキシ化合物のエステル化化合物等の反応活性の高いエステル基を有するものが挙げられる。
(C)活性エステル化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(C)活性エステル化合物は、1分子中に2個以上のエステル基を有する化合物が好ましい。
(C)活性エステル化合物は、(c1)多価カルボン酸化合物(以下、「(c1)成分」ともいう)と(c2)フェノール性水酸基を有する芳香族化合物(以下、「(c2)成分」ともいう)と、をエステル化してなる化合物であることが好ましい。
なお、(c1)成分と(c2)成分とをエステル化してなる化合物とは、少なくとも(c1)成分が有する1つ以上の水酸基と、(c2)成分が有する1つ以上のカルボキシ基とがエステル化反応(縮合反応)をすることでエステル結合を形成してなる化合物である。このような(C)活性エステル化合物は、直鎖状又は多分岐状であってもよい。
(c1)多価カルボン酸化合物は、1分子中に2個以上のカルボキシ基を有する化合物であり、該(c1)成分が、芳香族環を有する化合物であれば耐熱性を高くすることができる。(c1)多価カルボン酸化合物としては、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性の観点から、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、イソフタル酸、テレフタル酸がより好ましい。
(c2)フェノール性水酸基を有する芳香族化合物としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。
(c2)成分は、下記一般式(C1−1)〜(C1−5)のいずれかで表されるフェノール性水酸基を有する芳香族化合物であることが好ましい。すなわち、(C)成分は、(c1)成分と、下記一般式(C1−1)〜(C1−5)のいずれかで表されるフェノール性水酸基を有する芳香族化合物と、をエステル化してなる化合物であることが好ましく、下記一般式(C−1)で表される化合物であることがより好ましい。

(式中、k1及びk2は各々独立に、0又は1である。)

(式中、RC1及びRC2は各々独立に、前記一般式(C1−1)の残基、前記一般式(C1−2)の残基、前記一般式(C1−4)においてk1が1である化合物の残基、又は前記一般式(C1−5)においてk2が0である化合物の残基であり、nは1〜5の整数である。なお、本明細書中、残基とは、原料成分から結合に供された官能基を除いた部分の構造を意味し、例えば、前記一般式(C1−1)〜(C1−5)のいずれかで表されるフェノール性水酸基を有する芳香族化合物の残基とは、該芳香族化合物から、フェノール性水酸基を除いた部分の構造である。)
(C)活性エステル化合物は、公知の方法により製造することができる。具体的には、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物との縮合反応によって得ることができる。また、(C)活性エステル化合物としては、特開2004−277460号公報に記載の活性エステル化合物を使用することもでき、市販のものを用いることもできる。
市販されている活性エステル化合物としては、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含むもの、フェノールノボラックのアセチル化物、フェノールノボラックのベンゾイル化物等が好ましく、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含むものがより好ましい。具体的には、「HPC−8000−65T」(DIC株式会社製、エステル基当量223g/mol)、「SHC−5600TM65」(SHIN−A社製、エステル基当量238g/mol)、「EXB9460S−65T」(DIC株式会社製、エステル基当量223g/mol)、「DC808」(三菱化学株式会社製、エステル基当量149g/mol)、「YLH1026」(三菱化学株式会社製、エステル基当量200g/mol)、「YLH1030」(三菱化学株式会社製、エステル基当量201g/mol)、「YLH1048」(三菱化学株式会社製、エステル基当量245g/mol)等が挙げられる。
<(D)マレイミド化合物及びその変性物からなる群から選ばれる1種以上>
(D)成分は、マレイミド化合物及びその変性物からなる群から選ばれる1種以上である。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(D)成分を含有してなることにより、特に銅箔との接着性が向上する傾向にある。
(D)成分としては、1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有する化合物及びその変性物からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
(D)成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、以下、「(D)マレイミド化合物」との表記は、(D)成分であるマレイミド化合物と、(D)成分であるマレイミド化合物の変性物の原料として用いられる変性前のマレイミド化合物の両者を指すものとする。
(D)成分の重量平均分子量(Mw)は、有機溶媒への溶解性の観点及び機械強度の観点から、好ましくは400〜3,500、より好ましくは600〜1,000、さらに好ましくは350〜950である。
(D)マレイミド化合物としては、例えば、複数のマレイミド基のうちの任意の2個のマレイミド基の間に脂肪族炭化水素基を有するマレイミド化合物(以下、「脂肪族炭化水素基含有マレイミド」ともいう)、複数のマレイミド基のうちの任意の2個のマレイミド基の間に芳香族炭化水素基を含有するマレイミド化合物(以下、「芳香族炭化水素基含有マレイミド」ともいう)等が挙げられる。これらの中でも、銅箔との接着性、耐熱性及びガラス転移温度の観点から、芳香族炭化水素基含有マレイミドが好ましい。芳香族炭化水素基含有マレイミドは、任意に選択した2つのマレイミド基の組み合わせのいずれかの間に芳香族炭化水素基を含有していればよい。
(D)マレイミド化合物としては、銅箔との接着性、耐熱性及びガラス転移温度の観点から、1分子中に2個〜5個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物が好ましく、1分子中に2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物がより好ましい。
(D)マレイミド化合物としては、N,N’−エチレンビスマレイミド、N,N’−ヘキサメチレンビスマレイミド、ビス(4−マレイミドシクロヘキシル)メタン、1,4−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素基含有マレイミド;m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−(2−メチル−1,3−フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−(4−メチル−1,3−フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−(1,4−フェニレン)ビスマレイミド、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(3−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ケトン、1,4−ビス(4−マレイミドフェニル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、2,2’−ビス(4−マレイミドフェニル)ジスルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ジスルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、ポリフェニルメタンマレイミド等の芳香族炭化水素基含有マレイミドなどが挙げられる。
(D)マレイミド化合物は、銅箔との接着性、耐熱性及びガラス転移温度の観点から、下記一般式(D1−1)で表されるマレイミド化合物(D1)を含有することが好ましい。

(式中、RD1及びRD2は各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子であり、XD1は、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−、−C(=O)−、−S−、−S−S−又はスルホニル基である。p及びqは各々独立に、0〜4の整数である。)
D1及びRD2が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、銅箔との接着性、耐熱性、ガラス転移温度の観点から、好ましくはメチル基、エチル基である。該脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜3である。
D1及びRD2が示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
D1が示す炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、1,2−ジメチレン基、1,3−トリメチレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基等が挙げられる。これらの中でも、銅箔との接着性、耐熱性、誘電特性、ガラス転移温度、熱膨張係数及び成形性の観点から、好ましくはメチレン基である。該アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜3である。
D1が示す炭素数2〜5のアルキリデン基としては、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。これらの中でも、銅箔との接着性、耐熱性、誘電特性、ガラス転移温度、熱膨張係数及び成形性の観点から、イソプロピリデン基が好ましい。
D1としては、上記選択肢の中でも、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましい。さらに好ましいものは前述の通りである。
p及びqは各々独立に、0〜4の整数であり、銅箔との接着性、耐熱性、誘電特性、ガラス転移温度、熱膨張係数及び成形性の観点から、いずれも、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。
さらに、(D)マレイミド化合物は、銅箔との接着性、耐熱性、ガラス転移温度、誘電特性、熱膨張係数及び成形性の観点から、下記一般式(D2−1)〜(D2−3)のいずれかで表されるマレイミド化合物(D2)を含有することが好ましい。

(式中、sは、0〜10の整数である。)
一般式(D2−1)中、sは、0〜10の整数であり、入手容易性の観点から、好ましくは0〜5の整数、より好ましくは0〜3の整数である。特に、一般式(D2−1)で表される芳香族炭化水素基含有マレイミド化合物は、s=0〜3の混合物であることが好ましい。
(D)マレイミド化合物が、前記一般式(D1−1)で表されるマレイミド化合物(D1)と、前記一般式(D2−1)〜(D2−3)のいずれかで表されるマレイミド化合物(D2)と、を含有する場合、マレイミド化合物(D1)とマレイミド化合物(D2)との含有量比(質量比)は、20:80〜80:20が好ましく、30:70〜70:30がより好ましく、40:60〜60:40がさらに好ましい。なお、後述するプレ反応を行う場合においても、その原料として使用する(D)マレイミド化合物の組成が上記含有量比を満たすことが好ましい。
(D)成分は、銅箔との接着性、耐熱性、誘電特性、ガラス転移温度、熱膨張係数及び成形性の観点から、前記マレイミド化合物の変性物であってもよい。
マレイミド化合物の変性物としては、(D)マレイミド化合物を、(d1)酸性置換基を有するモノアミン化合物(以下、「(d1)成分」ともいう)及び(d2)ジアミン化合物(以下、「(d2)成分」ともいう)からなる群から選ばれる1種以上と反応(以下、「プレ反応」ともいう)させてなるものが好ましく、マレイミド化合物(D1)及びマレイミド化合物(D2)からなる群から選ばれる1種以上のマレイミド化合物を、(d1)成分及び(d2)成分からなる群から選ばれる1種以上と反応させてなる化合物がより好ましく、マレイミド化合物(D1)及びマレイミド化合物(D2)を、(d1)成分及び(d2)成分と反応させてなる化合物がさらに好ましい。
((d1)酸性置換基を有するモノアミン化合物)
(d1)成分は、下記一般式(d1−1)で表される化合物であることが好ましい。

(式中、Rd1は各々独立に、水酸基、カルボキシ基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる酸性置換基であり、Rd2は各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基又はハロゲン原子である。tは1〜5の整数、uは0〜4の整数であり、且つ、1≦t+u≦5を満たす。)
d1が示す酸性置換基としては、溶解性及び反応性の観点から、好ましくは水酸基、カルボキシ基であり、耐熱性も考慮すると、より好ましくは水酸基である。
tは1〜5の整数であり、銅箔との接着性、耐熱性、誘電特性、ガラス転移温度、熱膨張係数及び成形性の観点から、好ましくは1〜3の整数、より好ましくは1又は2、さらに好ましくは1である。
d2が示す炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜3である。
d2が示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
uは0〜4の整数であり、銅箔との接着性、耐熱性、誘電特性、ガラス転移温度、熱膨張係数及び成形性の観点から、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0〜2の整数、さらに好ましくは0又は1、特に好ましくは0である。
(d1)成分としては、銅箔との接着性、耐熱性、誘電特性、ガラス転移温度、熱膨張係数及び成形性の観点から、より好ましくは下記一般式(d1−1’)又は(d1−1’’)で表されるモノアミン化合物であり、さらに好ましくは下記一般式(d1−1’’)で表されるモノアミン化合物である。但し、一般式(d1−1’)又は(d1−1’’)中のRd1、Rd2及びuは、一般式(d1−1)中のものと同じであり、好ましいものも同じである。
(d1)成分としては、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、p−アミノベンゼンスルホン酸、3,5−ジヒドロキシアニリン、3,5−ジカルボキシアニリン等が挙げられる。これらの中でも、溶解性及び反応性の観点からは、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸、3,5−ジヒドロキシアニリンが好ましく、耐熱性の観点からは、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノールが好ましく、誘電特性、熱膨張係数及び製造コストも考慮すると、p−アミノフェノールがより好ましい。
(d1)成分は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
((d2)ジアミン化合物)
(d2)成分は、少なくとも2個のベンゼン環を有するジアミン化合物が好ましく、2つのアミノ基の間に少なくとも2個のベンゼン環を直鎖状に有するジアミン化合物がより好ましく、下記一般式(d2−1)〜(d2−3)のいずれかで表されるジアミン化合物がさらに好ましい。すなわち、マレイミド化合物(D1)及びマレイミド化合物(D2)を、(d1)成分及び(d2)成分と反応させてなる化合物は、(d1)成分が前記一般式(d1−1)で表され、(d2)成分が下記一般式(d2−1)〜(d2−3)のいずれかで表されるものであることが好ましい。

(式中、Xd1は、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−、スルホニル基、−C(=O)−、フルオレニレン基又はフェニレンジオキシ基であり、Rd3及びRd4は各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基又はスルホン酸基である。v及びwは各々独立に、0〜4の整数である。
d2及びXd3は各々独立に、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−又はスルホニル基である。)
d1が示す炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、プロピリデン基等が挙げられる。該アルキレン基としては、炭素数1〜3のアルキレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
d1が示す炭素数2〜5のアルキリデン基としては、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。該アルキリデン基としては、イソプロピリデン基が好ましい。
d1としては、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、−O−が好ましく、メチレン基、−O−がより好ましい。
d3及びRd4が示す炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜3である。
d3及びRd4が示す炭素数1〜5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。該アルコキシ基としては、メトキシ基が好ましい。
d3及びRd4が示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
v及びwは各々独立に、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。
d2及びXd3が示す炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基としては、一般式(d2−1)中のXd1と同様に説明される。
d2としては、単結合、炭素数2〜5のアルキリデン基、スルホニル基が好ましい。
d3としては、炭素数2〜5のアルキリデン基が好ましく、イソプロピリデン基がより好ましい。
(d2)成分としては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−ジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、ベンジジン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,4−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン等が挙げられる。これらの中でも、反応性、銅箔との接着性及び誘電特性の観点からは、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−ジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,4−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼンが好ましく、4,4’−ジアミノジフェニルメタンがより好ましい。また、製造コストの観点からは、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−ジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましく、4,4’−ジアミノジフェニルメタンがより好ましい。
(d2)成分は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記プレ反応は、好ましくは後述の有機溶媒の存在下、反応温度70〜200℃で0.1〜10時間反応させることにより実施することが好ましい。
反応温度は、より好ましくは70〜160℃、さらに好ましくは70〜130℃、特に好ましくは80〜120℃である。反応時間は、より好ましくは1〜6時間、さらに好ましくは2〜5時間である。
前記プレ反応における(d1)成分の使用量は、(D)マレイミド化合物のモル数を合計で1とすると、(d1)成分のモル数が0.25〜0.5の範囲で使用されることが好ましい。(d1)成分の使用量が0.25以上であると、反応性の低下を抑制できる傾向にあり、0.5以下であると、耐熱性、誘電特性及びガラス転移温度が良好となる傾向にある。
(d2)成分の使用量は、(D)マレイミド化合物のモル数を合計で1とすると、(d2)成分のモル数が0.1〜0.25の範囲で使用されることが好ましい。(d2)成分の使用量が0.1以上であると、反応性の低下を抑制できる傾向にあり、0.25以下であると、耐熱性及び誘電特性が良好となる傾向にある。
また、(D)マレイミド化合物、(d1)成分及び(d2)成分の反応において、三者の使用量は、(d1)成分及び(d2)成分が有する第1級アミノ基当量[−NH基当量と記す]の総和と、(D)マレイミド化合物のマレイミド基当量の総和との関係が、下記式を満たすことが好ましい。
1.5≦〔マレイミド基当量の総和〕/〔−NH基当量の総和〕≦10
〔マレイミド基当量総和〕/〔−NH基当量の総和〕を1.5以上とすることにより、ゲル化し難く、且つ耐熱性が低下し難い傾向にあり、また、10以下とすることにより、有機溶媒への溶解性、銅箔との接着性及び耐熱性が低下し難い傾向にあるため、好ましい。
同様の観点から、より好ましくは、
2≦〔マレイミド基当量の総和〕/〔−NH基当量の総和〕≦8 を満たし、
より好ましくは、
3≦〔マレイミド基当量の総和〕/〔−NH基当量の総和〕≦6 を満たす。
さらに好ましくは、
4≦〔マレイミド基当量の総和〕/〔−NH基当量の総和〕≦6 を満たす。
(有機溶媒)
前記プレ反応に用いる有機溶媒としては、当該反応に悪影響を及ぼさない限り特に制限はない。有機溶媒としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒;ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒を包含する窒素原子含有溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒を包含する硫黄原子含有溶媒;酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒などが挙げられる。
これらの中でも、溶解性の観点から、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、窒素原子含有溶媒が好ましく、低毒性であるという観点から、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、γ−ブチロラクトンがより好ましく、揮発性が高く、プリプレグの製造時に残溶媒として残り難いことも考慮すると、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミドがさらに好ましく、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましい。
有機溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機溶媒の使用量は、溶解性及び反応効率の観点から、(D)マレイミド化合物、(d1)成分及び(d2)成分の合計100質量部に対して、好ましくは25〜1,000質量部、より好ましくは50〜250質量部、さらに好ましくは50〜150質量部である。有機溶媒の使用量が前記下限値以上であると、溶解性を確保し易くなる傾向があり、前記上限値以下であると、反応効率の大幅な低下を抑制し易い傾向がある。
前記プレ反応は、必要に応じて、反応触媒の存在下で実施してもよい。反応触媒としては、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン系触媒;メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール系触媒;トリフェニルホスフィン等のリン系触媒などが挙げられる。
反応触媒は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
〔熱硬化性樹脂組成物中の(A)成分〜(D)成分の含有量〕
本発明の熱硬化性樹脂組成物中における各成分の含有量について説明する。以下の含有量の説明において、各成分は必ずしもそのままの構造で熱硬化性樹脂組成物中に含有されているわけではなく、つまり反応している成分もあるが、ここでは便宜上、各成分の使用量を「含有量」と称する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物中における(A)成分の含有量は、固形分換算の(A)〜(D)成分の質量の総和100質量部に対して、好ましくは5〜25質量部、より好ましくは10〜20質量部である。(A)成分の含有量が5質量部以上であると、誘電特性が良好となる傾向にあり、さらに溶解性が確保されて樹脂ワニス製作時に析出し難い傾向にある。また、25質量部以下であると、未反応成分が残り難いため、銅箔との接着性の低下を抑制できる傾向にある。
本発明の熱硬化性樹脂組成物中における(B)成分の含有量は、固形分換算の(A)〜(D)成分の質量の総和100質量部に対して、好ましくは5〜30質量部、より好ましくは10〜25質量部である。(B)成分の含有量が5質量部以上であると、銅箔との接着性が良好となる傾向にある。また、30質量部以下であると、耐熱性が良好となる傾向にある。
本発明の熱硬化性樹脂組成物中における(C)成分の含有量は、固形分換算の(A)〜(D)成分の質量の総和100質量部に対して、好ましくは1〜25質量部、より好ましくは3〜20質量部、さらに好ましくは4〜17質量部である。(C)成分の含有量が1質量部以上であると、成形性が良好となる傾向にある。また、25質量部以下であると、銅箔との接着性が良好となる傾向にある。
本発明の熱硬化性樹脂組成物中における(D)成分の含有量は、固形分換算の(A)〜(D)成分の質量の総和100質量部に対して、好ましくは45〜80質量部、より好ましくは50〜75質量部である。(D)成分の含有量が45質量部以上であると、耐熱性に優れる傾向にある。また、80質量部以下であると、熱硬化性樹脂組成物の流動性及び成形性が良好となる傾向にある。
<その他の成分>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(A)〜(D)成分以外のその他の成分を含有してなるものであってもよい。その他の成分としては、例えば、(E)ラジカル反応開始剤、(F)硬化促進剤、(G)難燃剤、(H)無機充填材、着色剤、酸化防止剤、還元剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、密着性向上剤、有機充填材等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、前記(A)〜(D)成分に加えて、さらに、(E)ラジカル反応開始剤、(F)硬化促進剤、(G)難燃剤及び(H)無機充填材からなる群から選ばれる1種以上を含有してなるものであることが好ましい。
((E)ラジカル反応開始剤)
(E)ラジカル反応開始剤(以下、「(E)成分」ともいう)は、熱硬化性樹脂組成物の硬化反応を開始又は促進させる効果を有する。
(E)成分としては、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド系ラジカル反応開始剤;p−メンタハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド系ラジカル反応開始剤などが挙げられる。これらの中でも、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンが好ましい。
(E)成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物が(E)成分を含有してなるものである場合、その含有量は、固形分換算の(A)〜(D)成分の質量の総和100質量部に対して、好ましくは0.01〜3質量部、より好ましくは0.05〜1.5質量部、さらにより好ましくは0.1〜0.7質量部である。
((F)硬化促進剤)
本発明の熱硬化性樹脂組成物に、(F)硬化促進剤(以下、「(F)成分」ともいう)を含有させることにより、硬化反応を促進させることができる。
(F)成分としては、イミダゾール類及びその誘導体;ホスフィン類及びホスホニウム塩、第三級ホスフィンとキノン類との付加物等の有機リン系化合物;第二級アミン、第三級アミン、第四級アンモニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、銅箔との接着性、耐熱性及び難燃性の観点から、イミダゾール類及びその誘導体が好ましい。
(F)成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(F)成分としては市販品を用いてもよい。市販品としては、「G−8009L」(イソシアネートマスクイミダゾール、第一工業製薬株式会社製)、「TPP−MK」(テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリルボレート、北興化学工業株式会社製)、「TPP−S」(トリフェニルホスフィントリフェニルボラン、北興化学工業株式会社製)等が挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物が(F)成分を含有してなるものである場合、その含有量は、硬化促進効果及び保存安定性の観点から、固形分換算の(A)〜(D)成分の質量の総和100質量部に対して、好ましくは0.01〜3質量部、より好ましくは0.05〜1.5質量部、さらに好ましくは0.1〜0.8質量部である。
((G)難燃剤)
本発明の熱硬化性樹脂組成物に、難燃剤を含有させることにより、難燃性が向上する。
(G)難燃剤としては、熱分解温度が300℃未満の水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム等の金属水和物;臭素、塩素等を含有する含ハロゲン系難燃剤;リン系難燃剤;スルファミン酸グアニジン、硫酸メラミン、ポリリン酸メラミン、メラミンシアヌレート等の窒素系難燃剤;シクロホスファゼン、ポリホスファゼン等のホスファゼン系難燃剤;三酸化アンチモン、モリブデン酸亜鉛等の無機系難燃助剤などが挙げられる。これらの中でも、環境保護の観点から、含ハロゲン系難燃剤以外の難燃剤が好ましく、耐熱性、銅箔との接着性、弾性率、熱膨張係数等の低下が少なく、且つ高難燃性を付与する観点からは、リン系難燃剤がより好ましい。
リン系難燃剤としては、無機系のリン系難燃剤と、有機系のリン系難燃剤がある。
無機系のリン系難燃剤としては、赤リン;リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム;リン酸アミド等の無機系含窒素リン化合物;リン酸;ホスフィンオキシドなどが挙げられる。
有機系のリン系難燃剤としては、芳香族リン酸エステル、1置換ホスホン酸ジエステル、2置換ホスフィン酸エステル、2置換ホスフィン酸の金属塩、有機系含窒素リン化合物、環状有機リン化合物、リン含有フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中でも、芳香族リン酸エステル、2置換ホスフィン酸の金属塩が好ましい。ここで、金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、チタン塩、亜鉛塩のいずれかであることが好ましく、アルミニウム塩であることが好ましい。また、有機系のリン系難燃剤の中では、芳香族リン酸エステルがより好ましい。
芳香族リン酸エステルとしては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジ−2,6−キシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、1,3−フェニレンビス(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)、ビスフェノールA−ビス(ジフェニルホスフェート)、1,3−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。
1置換ホスホン酸ジエステルとしては、フェニルホスホン酸ジビニル、フェニルホスホン酸ジアリル、フェニルホスホン酸ビス(1−ブテニル)等が挙げられる。
2置換ホスフィン酸エステルとしては、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル等が挙げられる。
2置換ホスフィン酸の金属塩としては、ジアルキルホスフィン酸の金属塩、ジアリルホスフィン酸の金属塩、ジビニルホスフィン酸の金属塩、ジアリールホスフィン酸の金属塩等が挙げられる。
有機系含窒素リン化合物としては、ビス(2−アリルフェノキシ)ホスファゼン、ジクレジルホスファゼン等のホスファゼン化合物;リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム等が挙げられる。
環状有機リン化合物としては、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド等が挙げられる。
これらの中でも、誘電特性及びガラス転移温度の観点から、芳香族リン酸エステル、2置換ホスフィン酸の金属塩及び環状有機リン化合物からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、芳香族リン酸エステル及び2置換ホスフィン酸の金属塩からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。
また、前記芳香族リン酸エステルは、誘電特性及びガラス転移温度の観点から、下記一般式(G−1)又は(G−2)で表される芳香族リン酸エステルであることが好ましく、前記2置換ホスフィン酸の金属塩は、下記一般式(G−3)で表される2置換ホスフィン酸の金属塩であることが好ましい。

(式中、RG1〜RG5は各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基又はハロゲン原子である。e及びfは各々独立に0〜5の整数であり、g、h及びiは各々独立に0〜4の整数である。
G6及びRG7は各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基である。Mは、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、カルシウム原子、マグネシウム原子、アルミニウム原子、チタン原子又は亜鉛原子である。jは、1〜4の整数である。)
G1〜RG5が示す炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜3である。RG1〜RG5が示すハロゲン原子としては、フッ素原子等が挙げられる。
e及びfは、0〜2の整数が好ましく、2がより好ましい。g、h及びiは、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
G6及びRG7が示す炭素数1〜5のアルキル基としては、RG1〜RG5の場合と同じものが挙げられる。
G6及びRG7が示す炭素数6〜14のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基等が挙げられる。該芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
jは金属イオンの価数を表しており、つまり、Mの種類に対応して1〜4の範囲内で変化する。
Mとしては、アルミニウム原子が好ましい。なお、Mがアルミニウム原子である場合、jは3である。
(G)難燃剤としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、「PX−200」(1,3−フェニレンビス(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)、リン含有量=9質量%、大八化学工業株式会社製)、「OP−935」(ジアルキルホスフィン酸アルミニウム塩、リン含有量=23.5質量%、クラリアント社製)等が挙げられる。
(G)難燃剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物が(G)難燃剤を含有してなるものである場合、その含有量は、難燃性の観点から、固形分換算の(A)〜(D)成分の質量の総和100質量部に対して、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、さらに好ましくは1〜8質量部である。
((H)無機充填材)
本発明の熱硬化性樹脂組成物に、(H)無機充填材を含有させることにより、熱膨張係数を低減し、弾性率、耐熱性及び難燃性を向上させることができる。
(H)無機充填材としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、マイカ、ベリリア、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、炭酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、焼成クレー等のクレー、タルク、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素、石英粉末、ガラス短繊維、ガラス微粉末、中空ガラス等が挙げられる。ガラスとしては、Eガラス、Tガラス、Dガラス等が好ましく挙げられる。これらの中でも、銅箔との接着性、耐熱性及び難燃性の観点からは、シリカ、アルミナ、マイカ、タルクが好ましく、シリカ、アルミナがより好ましく、シリカがさらに好ましい。
シリカとしては、破砕シリカ、フュームドシリカ、球状シリカが挙げられる。シリカは、熱膨張係数、及び熱硬化性樹脂組成物へ充填した際の流動性の観点から、球状シリカが好ましい。
(H)無機充填材の平均粒子径に特に制限はないが、0.01〜30μmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましく、0.5〜6μmがさらに好ましい。シリカの平均粒子径を0.01μm以上にすることで、高充填した際にも流動性を良好に保てる傾向にあり、また、30μm以下にすることで、粗大粒子の混入確率を減らして粗大粒子に起因する不良の発生を抑えることができる傾向にある。ここで、平均粒子径とは、粒子の全体積を100%として粒子径による累積度数分布曲線を求めた時、ちょうど体積50%に相当する点の粒子径のことであり、レーザー回折散乱法を用いた粒度分布測定装置等で測定することができる。
また、(H)無機充填材の比表面積は、好ましくは4cm/g以上、より好ましくは4〜9cm/g、さらに好ましくは5〜7cm/gである。
(H)無機充填材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(H)無機充填材は、カップリング剤で表面処理されたものであってもよい。つまり、直接、シリカ等の(H)無機充填材に乾式又は湿式で表面処理した後、配合時にそのまま又はスラリー化して用いる方法を採用することも好ましい。一方、(A)成分及び(B)成分を含む樹脂組成物中に表面未処理のシリカ等の(H)無機充填材を配合した後、表面処理剤を樹脂組成物中に添加する、いわゆるインテグラルブレンド処理方式を採用してもよい。
該カップリング剤としては、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、フェニルシラン系カップリング剤、アルキルシラン系カップリング剤、アルケニルシラン系カップリング剤、アルキニルシラン系カップリング剤、ハロアルキルシラン系カップリング剤、シロキサン系カップリング剤、ヒドロシラン系カップリング剤、シラザン系カップリング剤、アルコキシシラン系カップリング剤、クロロシラン系カップリング剤、(メタ)アクリルシラン系カップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、イソシアヌレートシラン系カップリング剤、ウレイドシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、スルフィドシラン系カップリング剤、イソシアネートシラン系カップリング剤等が挙げられる。これらの中でも、アミノシラン系カップリング剤が好ましい。
熱膨張係数の観点及び他の成分との密着性の観点からは、(H)無機充填材は、アミノシラン系カップリング剤で処理されたシリカであることが好ましい。
アミノシラン系カップリング剤としては、具体的には、下記一般式(H−1)で表されるケイ素含有基と、アミノ基とを有するシランカップリング剤が好ましい。

(式中、RH1は、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数2〜4のアシル基である。zは、0〜2の整数である。)
H1が示す炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。これらの中でも、メチル基が好ましい。
H1が示す炭素数2〜4のアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、アクリル基が挙げられる。これらの中でも、アセチル基が好ましい。
zは好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
アミノシラン系カップリング剤は、アミノ基を1つ有していてもよいし、2つ有していてもよいし、3つ以上有していてもよいが、通常は、アミノ基を1つ又は2つ有する。
アミノ基を1つ有するアミノシラン系カップリング剤としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリメトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンとその部分加水分解物、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンとその部分加水分解物、2−プロピニル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]カルバメート等が挙げられる。
アミノ基を2つ有するアミノシラン系カップリング剤としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ウレア、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ウレア等が挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物が(H)無機充填材を含有してなるものである場合、その含有量は、難燃性の観点から、固形分換算の(A)〜(D)成分の質量の総和100質量部に対して、好ましくは20〜110質量部、より好ましくは30〜90質量部、さらに好ましくは40〜80質量部、特に好ましくは45〜85質量部である。
(有機溶媒)
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、希釈することによって取り扱いを容易にするという観点及び後述するプリプレグを製造し易くする観点から、有機溶媒を含有させてもよい。本明細書では、有機溶媒を含有させた熱硬化性樹脂組成物を、樹脂ワニスと称することがある。
該有機溶媒としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶媒;ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶媒;メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、ブトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒などが挙げられる。
これらの中でも、溶解性の観点から、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、芳香族系溶媒、窒素原子含有溶媒が好ましく、メチルエチルケトンがより好ましい。
有機溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物における有機溶媒の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の取り扱いが容易になる程度に適宜調整すればよく、また、樹脂ワニスの塗工性が良好となる範囲であれば特に制限はないが、熱硬化性樹脂組成物の固形分濃度(有機溶媒以外の成分の濃度)が好ましくは30〜90質量%、より好ましくは40〜80質量%、さらに好ましくは50〜70質量%となるようにする。
(熱硬化性樹脂組成物の物性及び特性)
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、Bステージ状態で低い溶融粘度を有し、プレス成形性が良好かつ銅箔との接着性、誘電特性等に優れている。また、該熱硬化性樹脂組成物は、有機溶媒に対する溶解性にも優れている。
本発明の熱硬化性樹脂組成物の銅箔との接着性については、実施例に記載の方法によって測定した銅箔のピール強度でいうと、0.70kN/m以上であることが好ましく、0.75kN/m以上であることがより好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物の誘電特性は、実施例に記載の方法によって測定した比誘電率でいうと、4.0以下であることが好ましく、3.90以下であることがより好ましい。また、実施例に記載の方法によって測定した誘電正接は、0.009以下であることが好ましく、0.0085以下であることがより好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は、実施例に記載の方法によって測定したTgでいうと、180℃以上であることが好ましく、190℃以上であることが好ましい。
[プリプレグ]
本発明のプリプレグは、本発明の熱硬化性樹脂組成物を含有してなるものである。
本発明のプリプレグは、前記熱硬化性樹脂組成物をシート状補強基材に含浸又は塗工し、加熱等により半硬化(Bステージ化)させて製造することができる。
プリプレグのシート状補強基材としては、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。シート状補強基材の材質としては、紙、コットンリンターのような天然繊維;ガラス繊維及びアスベスト等の無機物繊維;アラミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン及びアクリル等の有機繊維;これらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、難燃性の観点から、ガラス繊維が好ましい。ガラス繊維基材としては、Eガラス、Cガラス、Dガラス、Sガラス等を用いた織布又は短繊維を有機バインダーで接着したガラス織布;ガラス繊維とセルロース繊維とを混沙したもの等が挙げられる。より好ましくは、Eガラスを使用したガラス織布である。
これらのシート状補強基材は、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット、サーフェシングマット等の形状を有する。なお、材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択され、1種を単独で使用してもよいし、必要に応じて、2種以上の材質及び形状を組み合わせることもできる。
熱硬化性樹脂組成物をシート状補強基材に含浸又は塗工させる方法としては、次のホットメルト法又はソルベント法が好ましい。
ホットメルト法は、熱硬化性樹脂組成物に有機溶媒を含有させず、(1)該組成物との剥離性の良い塗工紙に一旦コーティングし、それをシート状補強基材にラミネートする方法、又は(2)ダイコーターによりシート状補強基材に直接塗工する方法である。
一方、ソルベント法は、熱硬化性樹脂組成物に有機溶媒を含有させて樹脂ワニスを調製し、該樹脂ワニスにシート状補強基材を浸漬して、樹脂ワニスをシート状補強基材に含浸させ、その後、乾燥させる方法である。
シート状補強基材の厚さは、例えば、約0.03〜0.5mmを使用することができ、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性、耐湿性及び加工性の観点から好ましい。熱硬化性樹脂組成物を基材に含浸又は塗工した後、通常、好ましくは100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥して半硬化(Bステージ化)させることにより、本発明のプリプレグを得ることができる。
得られるプリプレグは、1枚を用いるか、又は必要に応じて好ましくは2〜20枚を重ね合わせて用いる。
[銅張積層板]
本発明の銅張積層板は、前記プリプレグと銅箔とを積層してなるものである。例えば、前記プリプレグを1枚用いるか又は必要に応じて2〜20枚重ね、その片面又は両面に銅箔を配置した構成で積層成形することにより製造することができる。
銅張積層板の成形条件としては、電気絶縁材料用積層板及び多層板の公知の成形手法を適用することができ、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力0.2〜10MPa、加熱時間0.1〜5時間で成形することができる。
また、本発明のプリプレグと内層用プリント配線板とを組合せ、積層成形して、多層板を製造することもできる。
銅箔の厚みに特に制限はなく、プリント配線板の用途等により適宜選択できる。銅箔の厚みは、好ましくは0.5〜150μm、より好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは5〜50μm、特に好ましくは5〜30μmである。
なお、銅箔にめっきをすることによりめっき層を形成することも好ましい。
めっき層の金属は、めっきに使用し得る金属であれば特に制限されない。めっき層の金属は、好ましくは、銅、金、銀、ニッケル、白金、モリブデン、ルテニウム、アルミニウム、タングステン、鉄、チタン、クロム、又はこれらの金属元素のうちの少なくとも1種を含む合金の中から選択されることが好ましい。
めっき方法としては特に制限はなく、公知の方法、例えば電解めっき法及び無電解めっき法が利用できる。
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、本発明の銅張積層板を用いてなるものである。
本発明のプリント配線板は、銅張積層板の金属箔に回路加工を施すことにより製造することができる。回路加工は、例えば、銅箔表面にレジストパターンを形成後、エッチングにより不要部分の銅箔を除去し、レジストパターンを剥離後、ドリルにより必要なスルーホールを形成し、再度レジストパターンを形成後、スルーホールに導通させるためのメッキを施し、最後にレジストパターンを剥離することにより行うことができる。このようにして得られたプリント配線板の表面にさらに上記の銅張積層板を前記したのと同様の条件で積層し、さらに、上記と同様にして回路加工して多層プリント配線板とすることができる。この場合、必ずしもスルーホールを形成する必要はなく、バイアホールを形成してもよく、両方を形成してもよい。このような多層化は必要枚数行えばよい。
[半導体パッケージ]
本発明の半導体パッケージは、本発明のプリント配線板を用いてなるものである。
本発明の半導体パッケージは、本発明のプリント配線板の所定の位置に半導体チップ、メモリ等を搭載して製造することができる。
次に、下記の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明をいかなる意味においても制限するものではない。
[評価方法]
<1.樹脂ワニス中の析出物の有無>
各例で作製した樹脂ワニスをナイロン製の#200篩いに通し、目視にて析出物の有無の確認をした。
<2.最低溶融粘度>
各例で作製したプリプレグを揉みほぐして採取した熱硬化性樹脂成分の粉末をタブレットとし、TMA試験装置「Q400EM」(TAインスツルメンツ社製)を用いて、100℃から180℃(昇温速度:10℃/分)まで上昇させながら所定の圧力で押し出したときの流れ値を測定し、下記式により算出した見掛けの溶融粘度の最低溶融粘度を測定した。
η=見かけの最低溶融粘度(単位:Pa・s)
P:押出圧力(単位:Pa)
R:押出型プラストメーターのノズルの半径(単位:cm)
L:押出型プラストメーターのノズルの長さ(単位:cm)
Q=流れ値(単位:cm/s)
<3.成形性>
銅厚18μm、残銅率51.3%のパターンを作製した成形性確認用基板の両面に、各例で作製した厚さ0.1mmのプリプレグを1枚ずつ重ね、さらに両面に18μmの銅箔「YGP−18」(日本電解株式会社製)を1枚ずつ重ね、温度210℃、圧力25kgf/cm(=2.45MPa)にて100分間加熱加圧成形して4層銅張積層板を作製した。この4層銅張積層板の外層銅を除去した後、樹脂の埋め込み性、ボイド、かすれ等を目視で確認した。ボイド及びかすれが確認されなかったものを「良好」とした。
<4.銅箔との接着性(銅箔ピール強度)>
各例で作製した銅張積層板を銅エッチング液「過硫酸アンモニウム(APS)」(株式会社ADEKA製)に浸漬することにより3mm幅の銅箔を形成して評価基板を作製し、引張り試験機「Ez−Test」(株式会社島津製作所製)を用いて銅箔のピール強度を測定し、銅箔との接着性の指標とした。銅箔ピール強度は、0.70kN/m以上が好ましく、0.75kN/m以上がより好ましい。
<5.誘電特性(比誘電率Dk、誘電正接Df)>
各例で作製した銅張積層板を銅エッチング液「過硫酸アンモニウム(APS)」(株式会社ADEKA製)に浸漬することにより銅箔を取り除いた後、2mm×85mmに切断し、ネットワークアナライザ「E8364B」(Aglient Technologies社製)を用い、空洞共振器摂動法により、5GHzでの銅張積層板の比誘電率及び誘電正接を測定した。
比誘電率及び誘電正接は小さいほど好ましく、比誘電率は4.0以下が好ましく、誘電正接は0.009以下が好ましい。
<6.ガラス転移温度(Tg)>
各例で作製した銅張積層板を銅エッチング液「過硫酸アンモニウム(APS)」(株式会社ADEKA製)に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置「Q400EM」(TAインスツルメンツ社製)を用い、評価基板の面方向(Z方向)の25〜280℃(昇温速度:10℃/分)における熱膨張特性を観察し、膨張量の変曲点をガラス転移温度とした。
ガラス転移温度は、180℃以上が好ましく、190℃以上がより好ましい。
[製造例1]
(BMIとBMI−2300変性物の調製)
マレイミド化合物として、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(ケイ・アイ化成株式会社製、商品名:BMI、前記一般式(D1−1)で表される化合物に相当する。)及びポリフェニルメタンマレイミド(大和化成株式会社製、商品名:BMI−2300、前記一般式(D2−1)で表される化合物に相当する。)を合計で1,000g(BMIが500g、BMI−2300が500g)、p−アミノフェノール(イハラケミカル工業株式会社製)[(d1)成分]0.25g(0.25mol)、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン(東京化成工業株式会社製)[(d2)成分]55.1g(0.19mol)及びN,N−ジメチルアセトアミド750.6gを混合し、125℃で240分間反応させ、BMIとBMI−2300の変性物の溶液を得た。なお、マレイミド化合物由来のマレイミド基当量と、(d1)成分及び(d2)成分由来の−NH基当量の総和との比(〔マレイミド基当量〕/〔−NH基当量の総和〕は4.57とした。
[製造例2]
(BMIとBMI−4000の変性物の調製)
製造例1において、マレイミド化合物を、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(ケイ・アイ化成株式会社製、商品名:BMI、前記一般式(D1−1)で表される化合物に相当する。)及び2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(大和化成株式会社製、商品名:BMI−4000、前記一般式(D2−2)で表される化合物に相当する。)を合計で1,000g(BMIが500g、BMI−4000が500g)に変更した点以外は、製造例1と同様にして、BMIとBMI−4000の変性物の溶液を得た。
[製造例3]
(BMIとBMI−5100の変性物の調製)
製造例1において、マレイミド化合物を、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(ケイ・アイ化成株式会社製、商品名:BMI、前記一般式(D1−1)で表される化合物に相当する。)及び3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(大和化成株式会社製、商品名:BMI−5100、前記一般式(D2−3)で表される化合物に相当する。)を合計で1,000g(BMIが500g、BMI−5100が500g)に変更した点以外は、製造例1と同様にして、BMIとBMI−5100の変性物の溶液を得た。
[実施例1〜18、比較例1〜3]
上記に示した各成分を下記表1及び表2に示す組成で配合(単位:質量部。但し、溶液の場合は固形分換算量を示す。)し、さらに固形分濃度(無機充填材を含む。)が65.5質量%になるようにメチルエチルケトンを追加し、各実施例及び各比較例の熱硬化性樹脂組成物(樹脂ワニス)を調製した。
得られた各熱硬化性樹脂組成物を厚さ0.1mmのEガラスクロス「#3313」(型番、日東紡積株式会社製)に含浸させ、135℃で3.5分間、加熱乾燥してプリプレグ(熱硬化性樹脂組成物の含有量:56±2質量%)を得た。
このプリプレグ8枚を重ねたものの両面に18μmの銅箔「YGP−18」(日本電解株式会社製)を重ね、温度210℃、圧力25kgf/cm(=2.45MPa)にて80分間加熱加圧成形し、厚さ0.8mm(プリプレグ8枚分)の両面銅張積層板を作製した。作製した銅張積層板を用いて、前記方法に従って各評価を実施した。結果を表1及び表2に示す。
以下、各例で使用した各成分について説明する。
(A)成分:共重合樹脂
・「SMA(登録商標)EF40」(スチレンと無水マレイン酸との共重合樹脂、スチレン/無水マレイン酸=4、Mw=11,000、サートマー社製)
(B)成分:分子末端に水酸基を有するエポキシ変性ポリブタジエン
・「エポリード(登録商標)PB3600」(分子両末端に水酸基を有するエポキシ変性ポリブタジエン、株式会社ダイセル製)
(C)成分:活性エステル化合物
・「SHC−5600TM65」(活性エステル化合物、SHIN−A社製)
・「HPC−8000−65T」(ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、DIC株式会社製)
(D)成分:マレイミド化合物及びその変性物からなる群から選ばれる1種以上
・BMIとBMI−2300の変性物:製造例1で合成したマレイミド化合物の変性物
・BMIとBMI−4000の変性物:製造例2で合成したマレイミド化合物の変性物
・BMIとBMI−5100の変性物:製造例3で合成したマレイミド化合物の変性物
(E)成分:ラジカル反応開始剤
・「パーブチル(登録商標)P」(α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、日油株式会社製)
(F)成分:硬化促進剤
・「G−8009L」(イソシアネートマスクイミダゾール(ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂と2−エチル−4−メチルイミダゾールの付加反応物)、第一工業製薬株式会社製)
(G)成分:難燃剤
・「PX−200」(1,3−フェニレンビス(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)、リン含有量=9質量%、大八化学工業株式会社製)
(H)成分:無機充填材
・「Megasil 525 ARI」(アミノシラン系カップリング剤により処理された球状シリカ、平均粒子径=1.9μm、比表面積=5.8m/g、シベルコ・ジャパン株式会社製)
・「F05−30」(非処理の破砕シリカ、平均粒子径=4.2μm、比表面積=5.8m/g、福島窯業株式会社製)
表1及び表2より、(C)活性エステル化合物を使用した実施例1〜18では、低い最低溶融粘度を有しており、成形性、誘電特性及び銅箔との接着性に優れていた。さらに、高ガラス転移温度を有し、有機溶媒に対する溶解性にも優れていた。
一方、(C)活性エステル化合物を用いていない比較例1〜3では、成形性評価においてボイドが発生した。
本発明の熱硬化性樹脂組成物及び該熱硬化性樹脂組成物を用いて形成されるプリプレグは、低い最低溶融粘度を有し、成形性に優れた銅箔との高接着性、優れた誘電特性、高ガラス転移温度を有するため、電子機器用の銅張積層板、プリント配線板及び半導体パッケージとして有用である。

Claims (15)

  1. (A)芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と無水マレイン酸に由来する構造単位とを有する共重合樹脂と、
    (B)分子両末端に水酸基を有するエポキシ変性ポリブタジエンと、
    (C)活性エステル化合物と、
    (D)マレイミド化合物及びその変性物からなる群から選ばれる1種以上と、
    を含有してなる熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記(D)成分が、マレイミド化合物を、(d1)酸性置換基を有するモノアミン化合物及び(d2)ジアミン化合物と反応させてなる化合物である、熱硬化性樹脂組成物
  2. 前記(A)成分が、下記一般式(A−i)で表される芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と下記式(A−ii)で表される無水マレイン酸に由来する構造単位とを有する共重合樹脂である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。

    (式中、RA1は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、RA2は各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、水酸基又は(メタ)アクリロイル基である。xは、0〜3の整数である。)
  3. 前記(A)成分において、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と無水マレイン酸に由来する構造単位との含有量比[芳香族ビニル化合物に由来する構造単位/無水マレイン酸に由来する構造単位](モル比)が、2〜9である、請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 前記(B)成分が、下記一般式(B−1)で表されるエポキシ変性ポリブタジエンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。

    (式中、a、b及びcはそれぞれ、括弧内の構造単位の比率を表しており、aは0.05〜0.40、bは0.02〜0.30、cは0.30〜0.80であり、さらに、a+b+c=1.00、且つ(a+c)>bを満たす。yは、括弧内の構造単位の数を表し、10〜250の整数である。)
  5. 前記(C)成分が、多価カルボン酸化合物と、下記一般式(C1−1)〜(C1−5)のいずれかで表されるフェノール性水酸基を有する芳香族化合物と、をエステル化してなる化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。

    (式中、k1及びk2は各々独立に、0又は1である。)
  6. 前記(C)成分が、下記一般式(C−1)で表される化合物である、請求項に記載の熱硬化性樹脂組成物。

    (式中、RC1及びRC2は各々独立に、前記一般式(C1−1)の残基、前記一般式(C1−2)の残基、前記一般式(C1−4)においてk1が1である化合物の残基、又は前記一般式(C1−5)においてk2が0である化合物の残基であり、nは1〜5の整数である)
  7. 前記(C)成分の含有量が、固形分換算の(A)〜(D)成分の質量の総和100質量部に対して、1〜25質量部である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  8. 前記(D)成分が、1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物を、(d1)酸性置換基を有するモノアミン化合物及び(d2)ジアミン化合物と反応させてなる化合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  9. 前記(D)成分が、下記一般式(D1−1)で表されるマレイミド化合物(D1)及び下記一般式(D2−1)〜(D2−3)のいずれかで表されるマレイミド化合物(D2)を、(d1)酸性置換基を有するモノアミン化合物及び(d2)ジアミン化合物と反応させてなる化合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。

    (式中、RD1及びRD2は各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子であり、XD1は、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−、−C(=O)−、−S−、−S−S−又はスルホニル基である。p及びqは各々独立に、0〜4の整数である。)

    (式中、sは、0〜10の整数である。)
  10. (d1)酸性置換基を有するモノアミン化合物が下記一般式(d1−1)で表され、(d2)ジアミン化合物が下記一般式(d2−1)〜(d2−3)のいずれかで表される、請求項9に記載の熱硬化性樹脂組成物。

    (式中、Rd1は各々独立に、水酸基、カルボキシ基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる酸性置換基であり、Rd2は各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基又はハロゲン原子である。tは1〜5の整数、uは0〜4の整数であり、且つ、1≦t+u≦5を満たす。)

    (式中、Xd1は、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−、スルホニル基、−C(=O)−、フルオレニレン基又はフェニレンジオキシ基であり、Rd3及びRd4は各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基又はスルホン酸基である。v及びwは各々独立に、0〜4の整数である。
    d2及びXd3は各々独立に、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、−O−又はスルホニル基である。)
  11. さらに、(E)ラジカル反応開始剤、(F)硬化促進剤、(G)難燃剤及び(H)無機充填材からなる群から選ばれる1種以上を含有してなる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を含有してなるプリプレグ。
  13. 請求項12に記載のプリプレグと銅箔とを積層してなる銅張積層板。
  14. 請求項13に記載の銅張積層板を用いてなるプリント配線板。
  15. 請求項14に記載のプリント配線板を用いてなる、半導体パッケージ。
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