JP6821370B2 - キャリア付金属箔、積層体、積層体の製造方法、プリント配線板の製造方法及び電子機器の製造方法 - Google Patents

キャリア付金属箔、積層体、積層体の製造方法、プリント配線板の製造方法及び電子機器の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、キャリア付金属箔、積層体、積層体の製造方法、プリント配線板の製造方法及び電子機器の製造方法に関する。
プリント配線板はここ半世紀に亘って大きな進展を遂げ、今日ではほぼすべての電子機器に使用されるまでに至っている。近年の電子機器の小型化、高性能化ニーズの増大に伴い搭載部品の高密度実装化や信号の高周波化が進展し、プリント配線板に対して導体パターンの微細化(ファインピッチ化)や高周波対応等が求められている。
プリント配線板はまず、銅箔とガラスエポキシ基板、BT樹脂、ポリイミドフィルムなどを主とする絶縁基板を貼り合わせた銅張積層体として製造される。貼り合わせは、絶縁基板と銅箔を重ね合わせて加熱加圧させて形成する方法(ラミネート法)、または、絶縁基板材料の前駆体であるワニスを銅箔の被覆層を有する面に塗布し、加熱・硬化する方法(キャスティング法)が用いられる。
ファインピッチ化に伴って銅張積層体に使用される銅箔の厚みも9μm、さらには5μm以下になるなど、箔厚が薄くなりつつある。ところが、箔厚が9μm以下になると前述のラミネート法やキャスティング法で銅張積層体を形成するときのハンドリング性が極めて悪化する。そこで、厚みのある金属箔をキャリアとして利用し、これに中間層を介して極薄銅層を形成したキャリア付銅箔が登場している。極薄銅層の表面を絶縁基板に貼り合わせて熱圧着後に、キャリアを、中間層を介して剥離するというのがキャリア付銅箔の一般的な使用方法である。
従来、キャリア箔の表面に、拡散防止層、中間層、電気銅めっきをこの順番に形成し、中間層としてCrまたはCr水和酸化物層を、拡散防止層としてNi、Co、Fe、Cr、Mo、Ta、Cu、Al、Pの単体または合金を用いることで加熱プレス後の良好な剥離性を保持する方法が特許文献1に開示されている。
または、中間層としてCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、Pまたはこれらの合金またはこれらの水和物で形成することが知られている。更に、加熱プレス等の高温使用環境における剥離性の安定化を図る上で、中間層の下地にNi、Feまたはこられの合金層をもうけると効果的であることが特許文献2および3に記載されている。
または、キャリアと、キャリア上に積層された中間層と、中間層上に積層された極薄銅層とを備えたキャリア付銅箔であって、前記中間層はニッケル、クロムを含み、前記中間層/極薄銅層間でJIS C 6471に準拠して剥離させたとき、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)のクロムの原子濃度(%)をe(x)とし、亜鉛の原子濃度(%)をf(x)とし、ニッケルの原子濃度(%)をg(x)とし、銅の原子濃度(%)をh(x)とし、酸素の合計原子濃度(%)をi(x)とし、炭素の原子濃度(%)をj(x)とし、その他の原子濃度(%)をk(x)とし、前記キャリアの中間層表面からの深さ方向分析の区間[0、1.0]において、E(x)=∫e(x)dx/(∫e(x)dx +∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx+ ∫k(x)dx)とし、前記E(x)を幅方向に20mm間隔で10点および長手方向に20mm間隔で10点測定したときのE(x)の標準偏差をσEとし、クロム濃度の変動係数をXE=σE×100/(E(x)の20点の算術平均値)とすると、XEが40.0%以下を満たし、前記E(x)の20点の算術平均値が1〜30%を満たすキャリア付銅箔が特許文献4に記載されている。
または、銅又は銅合金の支持体と極薄銅箔との間の支持体側に、酸化膜で覆われたニッケル層を有することを特徴とする銅又は銅合金の支持体を備えた複合銅箔及び該複合銅箔を使用したプリント基板が特許文献5に記載されている。
または、銅箔キャリアと、銅箔キャリア上に積層された中間層と、中間層上に積層された極薄銅層とを備えたキャリア付銅箔であって、前記中間層が電気伝導性酸化物を含むキャリア付銅箔が特許文献6に記載されている。
または、銅箔キャリアと、銅箔キャリア上に積層された中間層と、中間層上に積層された極薄銅層とを備えたキャリア付銅箔であって、前記中間層がスピネル型結晶構造を有する酸化物を有するキャリア付銅箔が特許文献7に記載されている。
または、圧延銅箔又は電解銅箔からなる銅キャリア、ニッケル層、銅層の構造からなる銅キャリア付銅箔であって、0.5kg/cm未満で剥離することができ、剥離により銅キャリア上にニッケル層を有すると同時に、銅層側にもニッケル層を有することを特徴とする銅キャリア付銅箔が特許文献8に記載されている。
または、圧延銅箔又は電解銅箔からなる銅キャリア(A)、該銅キャリア(A)上に形成した0.03〜2μm厚のニッケル層(B)、該ニッケル層(B)上に形成した0.3〜15nm厚の金、白金族金属又はこれらの合金からなる層(C)、さらに該金、白金族金属又はこれらの合金からなる層(C)上に形成した銅層(D)からなることを特徴とする銅キャリア付用銅箔が特許文献9に記載されている。
特開2006−022406号公報 特開2010−006071号公報 特開2007−007937号公報 特開2014−195871号公報 特開2002−368365号公報 特開2014−172183号公報 特開2014−172184号公報 WO2012−132572 WO2012−132578
キャリア付金属箔においては、絶縁基板への積層工程前にはキャリアから金属箔が容易に剥離してはならず、一方、絶縁基板への積層工程後に金属箔からキャリアが容易に剥離する必要がある。
特許文献1については、加熱プレス後の剥離性は良好であるが、極薄銅箔表面の状態に関しては言及されていない。また、同特許文献では、拡散防止層と中間層の順番はどちらでも良いと記載されているが、記載の実施例は全てキャリア箔、中間層、拡散防止層、電気銅めっきの順番であり、剥離の際に中間層/拡散防止層界面は剥離する恐れがある。そうなると電気銅めっき(極薄銅層)の表面に拡散防止層が残り、回路を形成する際のエッチング不良に繋がる。
特許文献2、3については、キャリア/極薄銅箔間の剥離強度等の特性を十分に検討したと考えられる記載が見られず、未だ改善の余地が残っている。
特許文献4については、キャリア付銅箔から極薄銅層を剥がした後、キャリアの剥離面のクロム濃度、及びクロム濃度の面内分布のバラツキを制御することで、剥離強度の面内分布を一定の範囲内に制御し、これにより、キャリア/極薄銅箔界面での剥離性の向上に極めて効果的であることを見出したものの、クロム自体には中間層に含まれるニッケル及び銅箔及び極薄銅層の銅の拡散をニッケル以上に抑制する効果がないことは、各金属の拡散を考慮する公知であり、クロム濃度のみで剥離強度のバラつきを制御することは不十分であることがわかった。
特許文献5、6、7については、酸化膜を均一に制御する条件が不明確であるため酸化膜の分布によって剥離強度が変動する問題が生じる。
特許文献8、9については、Niめっき表面の酸化方法が大気曝露であり、酸化膜が薄くて剥離ができない場合がある。
そこで、本発明は、絶縁基板への積層工程前にはキャリアと金属層の密着力が高い一方で、絶縁基板への積層工程によるキャリアと金属層の密着性の極端な上昇や低下が無く、キャリア/金属層で容易に剥離できるキャリア付金属箔を提供することを課題とする。
上記目的を達成するため、本発明者は鋭意研究を重ねたところ、キャリア付金属箔の幅方向および長手方向についてキャリアの一部、第一中間層及び金属層の一部を含む断面を、キャリアの厚み方向と同じ方向にSTEMで線分析を行い、分析結果を横軸に分析基準点からの距離(nm)、縦軸に検出元素濃度(at%)で示したときの第一中間層における酸素が5at%以上である領域の平均面積が所定範囲となるように制御することで、上記課題を解決することが可能なキャリア付金属箔を提供することができることを見出した。
本発明は上記知見を基礎として完成したものであり、一側面において、キャリア、酸素を含む第一中間層、金属層をこの順で有するキャリア付金属箔であって、前記キャリア付金属箔を幅方向(TD方向)に20mm間隔で5箇所および長手方向(MD方向)に20mm間隔で5箇所の合計10箇所について前記キャリア付金属箔のキャリアの一部、第一中間層及び金属層の一部を含む断面を、キャリアの厚み方向と同じ方向にSTEMで線分析を行い、分析結果を横軸に分析基準点からの距離(nm)、縦軸に検出元素濃度(at%)で示したとき、前記第一中間層において、前記10箇所の酸素が5at%以上である領域の平均面積が20nm・at%以上500nm・at%以下であるキャリア付金属箔である。
本発明のキャリア付金属箔は一実施形態において、前記10箇所の酸素が5at%以上である領域において、酸素濃度≧前記金属層の構成元素の合計濃度を満たす部位が存在する。
本発明のキャリア付金属箔は別の一実施形態において、前記第一中間層がCr、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Zn及びAlからなる群より選択される1種又は2種以上の元素を第一中間層構成元素として含む。
本発明のキャリア付金属箔は更に別の一実施形態において、前記キャリア付金属箔から前記キャリアをJIS C 6471に準拠して剥離させて、前記剥離されたキャリアの前記第一中間層側表面から、幅方向(TD方向)に20mm間隔で5箇所および長手方向(MD方向)に20mm間隔で5箇所の合計10箇所について、XPSによる深さ方向の分析を行ったとき、前記第一中間層構成元素の合計濃度/前記10箇所の前記酸素濃度≧1/3を満たす。
本発明のキャリア付金属箔は更に別の一実施形態において、前記キャリアと前記第一中間層との間に第二中間層を有する。
本発明のキャリア付金属箔は更に別の一実施形態において、前記第二中間層が、Cr、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Zn及びAlからなる群より選択される1種又は2種以上の元素を含む。
本発明のキャリア付金属箔は更に別の一実施形態において、前記第一中間層と前記金属層との間に第三中間層を有する。
本発明のキャリア付金属箔は更に別の一実施形態において、前記第三中間層が、Cr、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、In、Sn及びAlからなる群より選択される1種又は2種以上の元素を含む。
本発明のキャリア付金属箔は更に別の一実施形態において、前記キャリア付金属箔がキャリアの一方の面に金属層を有する場合において、前記金属層側及び前記キャリア側の少なくとも一方の表面、又は、両方の表面に、または、前記キャリア付金属箔がキャリアの両方の面に金属層を有する場合において、当該一方または両方の金属層側の表面に、粗化処理層、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を有する。
本発明のキャリア付金属箔は更に別の一実施形態において、前記防錆層及び前記耐熱層の少なくとも一方が、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛から選択される1つ以上の元素を含む。
本発明のキャリア付金属箔は更に別の一実施形態において、前記粗化処理層、前記耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層の上に樹脂層を備える。
本発明のキャリア付金属箔は更に別の一実施形態において、前記金属層上に樹脂層を備える。
本発明のキャリア付金属箔は更に別の一実施形態において、前記樹脂層が誘電体を含む。
本発明は別の一側面において、本発明のキャリア付金属箔を用いてプリント配線板を製造する方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付金属箔を用いて積層体を製造する方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付金属箔と樹脂とを含む積層体であって、前記キャリア付金属箔の端面の一部または全部が前記樹脂により覆われている積層体である。
本発明は更に別の一側面において、一つの本発明のキャリア付金属箔を前記キャリア側又は前記金属層側から、もう一つの本発明のキャリア付金属箔の前記キャリア側又は前記金属層側に積層した積層体である。
本発明は更に別の一側面において、本発明の積層体を用いたプリント配線板の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明の積層体に樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、前記樹脂層及び回路の2層を少なくとも1回形成した後に、前記積層体のキャリア付金属箔から前記金属層又は前記キャリアを剥離させる工程を含むプリント配線板の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付金属箔と絶縁基板とを準備する工程、前記キャリア付金属箔と絶縁基板とを積層する工程、前記キャリア付金属箔と絶縁基板とを積層した後に、前記キャリア付金属箔の銅箔キャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、その後、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって、回路を形成する工程を含むプリント配線板の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付金属箔の前記金属層側表面又は前記キャリア側表面に回路を形成する工程、前記回路が埋没するように前記キャリア付金属箔の前記金属層側表面または前記キャリア側表面に樹脂層を形成する工程、前記キャリアまたは前記金属層を剥離させる工程、及び、前記キャリアまたは前記金属層を剥離させた後に、前記金属層又は前記キャリアを除去することで、前記金属層側表面又は前記キャリア側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程を含むプリント配線板の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付金属箔の前記金属層側表面または前記キャリア側表面と樹脂基板とを積層する工程、前記キャリア付金属箔の樹脂基板と積層した側とは反対側の金属層側表面または前記キャリア側表面に樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、前記樹脂層及び回路の2層を少なくとも1回形成した後に、前記キャリア付金属箔から前記キャリアまたは前記金属層を剥離させる工程
を含むプリント配線板の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のプリント配線板の製造方法によって製造したプリント配線板を用いて電子機器を製造する方法である。
本発明によれば、絶縁基板への積層工程前にはキャリアと金属層の密着力が高い一方で、絶縁基板への積層工程によるキャリアと金属層の密着性の極端な上昇や低下が無く、キャリア/金属層で容易に剥離できるキャリア付金属箔を提供することができる。
A〜Cは、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、回路めっき・レジスト除去までの工程における配線板断面の模式図である。 D〜Fは、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、樹脂及び2層目キャリア付銅箔積層からレーザー穴あけまでの工程における配線板断面の模式図である。 G〜Iは、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、ビアフィル形成から1層目のキャリア剥離までの工程における配線板断面の模式図である。 J〜Kは、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、フラッシュエッチングからバンプ・銅ピラー形成までの工程における配線板断面の模式図である。 実施例1のSTEM分析結果である。 実施例1のXPS分析結果である。
<キャリア>
本発明に用いることのできるキャリアは金属箔または樹脂フィルムであり、例えば銅箔、銅合金箔、ニッケル箔、ニッケル合金箔、鉄箔、鉄合金箔、ステンレス箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、絶縁樹脂フィルム、ポリイミドフィルム、LCP(液晶ポリマー)フィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、PETフィルムの形態で提供される。本発明に用いることのできるキャリアは典型的には圧延銅箔や電解銅箔の形態で提供される。一般的には、電解銅箔は硫酸銅めっき浴からチタンやステンレスのドラム上に銅を電解析出して製造され、圧延銅箔は圧延ロールによる塑性加工と熱処理を繰り返して製造される。銅箔の材料としてはタフピッチ銅(JIS H3100 合金番号C1100)や無酸素銅(JIS H3100 合金番号C1020またはJIS H3510 合金番号C1011)といった高純度の銅の他、例えばSn入り銅、Ag入り銅、Cr、Zr又はMg等を添加した銅合金、Ni及びSi等を添加したコルソン系銅合金のような銅合金も使用可能である。なお、本明細書において用語「銅箔」を単独で用いたときには銅合金箔も含むものとする。
本発明に用いることのできるキャリアの厚さについても特に制限はないが、キャリアとしての役目を果たす上で適した厚さに適宜調節すればよく、例えば5μm以上とすることができる。但し、厚すぎると生産コストが高くなるので一般には35μm以下とするのが好ましい。キャリアの厚みは典型的には8〜70μmであり、より典型的には12〜70μmであり、より典型的には18〜35μmである。また、原料コストを低減する観点からはキャリアの厚みは小さいことが好ましい。そのため、キャリアの厚みは、典型的には5μm以上35μm以下であり、好ましくは5μm以上18μm以下であり、好ましくは5μm以上12μm以下であり、好ましくは5μm以上11μm以下であり、好ましくは5μm以上10μm以下である。なお、キャリアの厚みが小さい場合には、キャリアの通箔の際に折れシワが発生しやすい。折れシワの発生を防止するため、例えばキャリア付銅箔製造装置の搬送ロールを平滑にすることや、搬送ロールと、その次の搬送ロールとの距離を短くすることが有効である。
キャリアとして電解銅箔を使用する場合の製造条件の一例は、以下に示される。
<電解液組成>
銅:90〜110g/L
硫酸:90〜110g/L
塩素:50〜100ppm
レべリング剤1(ビス(3スルホプロピル)ジスルフィド):10〜30ppm
レべリング剤2(アミン化合物):10〜30ppm
上記のアミン化合物には以下の化学式のアミン化合物を用いることができる。
なお、本発明において記載されている、電解液、めっき液等は、特に記載が無い限り残部は水である。
(上記化学式中、R1及びR2はヒドロキシアルキル基、エーテル基、アリール基、芳香族置換アルキル基、不飽和炭化水素基、アルキル基からなる一群から選ばれるものである。)
<製造条件>
電流密度:70〜100A/dm2
電解液温度:50〜60℃
電解液線速:3〜5m/sec
電解時間:0.5〜10分間
<第一中間層>
キャリアの片面又は両面上には第一中間層を設ける。キャリアと第一中間層との間には他の層を設けてもよい。キャリアは、金属層を有する面とは反対側の面に、更に第一中間層及び金属層をこの順で有してもよい。
本発明で用いる第一中間層は酸素を含む必要がある。第一中間層に酸素が含んでいると第一中間層でキャリア成分や金属層成分の拡散が抑制され、キャリア/金属層で容易に剥離できるキャリア付金属箔を提供することができる。
第一中間層はCr、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Zn及びAlからなる群より選択される1種又は2種以上の元素を第一中間層構成元素として含むことが好ましい。
酸素を含む第一中間層を有するためには、各金属を大気酸化、大気加熱及び陽極酸化等により酸化させる方法や(第一中間層形成後に酸化)、予め酸素を有する第一中間層を形成してもよい。また各工程の処理条件は各工程に適した条件が適用される。
なお第一中間層はクロメート処理層を形成するのがより好ましい。クロムめっきは表面に緻密なクロム酸化物層を形成するため、電気めっきで金属箔を形成する際に電気抵抗が上昇し、ピンホールが発生しやすくなる恐れがある。クロメート処理層を形成した表面は、クロムめっきとくらべ緻密ではないクロム酸化物層が形成されるため、表面処理箔を電気めっきで形成する際の抵抗になり難く、ピンホールを減少させることができる。ここで、クロメート処理層として、亜鉛クロメート処理層を形成することにより、金属箔を電気めっきで形成する際の抵抗が、通常のクロメート処理層より低くなり、よりピンホールの発生を抑制することができる。なお、キャリアとして電解銅箔を使用する場合には、ピンホールを減少させる観点からシャイニー面に第一中間層を設けることが好ましい。
また、第一中間層がCuを含んでいるとキャリア/金属層界面での剥離強度の調整がしやすくなるため好ましい。但し、CuはキャリアがCu系の場合、第一中間層が酸系溶液である場合浸漬した際、第一中間層を設ける側の面とは逆側の面のCuが溶解する。そのためCu濃度の管理は非常に重要である。
また、第一中間層は更に亜鉛を含んでいることが好ましい。第一中間層に亜鉛を含んでいるとキャリア/金属層界面での剥離強度の調整がよりしやすくなる。なお亜鉛は第一中間層形成溶液に添加すると第一中間層の制御がしやすい。
ここで、クロメート処理層とは無水クロム酸、クロム酸、二クロム酸、クロム酸塩または二クロム酸塩を含む液で処理された層のことをいう。クロメート処理層はコバルト、鉄、ニッケル、モリブデン、亜鉛、タンタル、銅、アルミニウム、リン、タングステン、錫、砒素およびチタン等の元素(金属、合金、酸化物、窒化物、硫化物等どのような形態でもよい)を含んでもよい。クロメート処理層の具体例としては、純クロメート処理層や亜鉛クロメート処理層等が挙げられる。本発明においては、無水クロム酸または二クロム酸カリウム水溶液で処理したクロメート処理層を純クロメート処理層という。また、本発明においては無水クロム酸または二クロム酸カリウムおよび亜鉛を含む処理液で処理したクロメート処理層を亜鉛クロメート処理層という。
また、第一中間層は、例えば電解クロメートや浸漬クロメート等で形成することができる。なお、第一中間層を片面にのみ設ける場合、キャリアの反対面にはNiめっき層などの防錆層を設けることが好ましい。
<金属層>
第一中間層の上には金属層を設ける。なお、第一中間層と金属層との間には他の層を設けてもよい。金属層には各目的に合わせて元素から構成されることが好ましく、例えばCu系めっき層を用いてもよい。ここで、Cu系めっき層とは銅を含むめっき層のことである。Cu系めっき層は、銅を50質量%以上含むめっき層であることが好ましく、銅を60質量%以上含むめっき層であることが好ましく、銅を70質量%以上含むめっき層であることが好ましく、銅を80質量%以上含むめっき層であることが好ましく、銅を90質量%以上含むめっき層であることが好ましい。
また、金属層は、Cr、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、ZnおよびAlの群から選択される一種以上の元素を含んでもよい。また、金属層は、Cr、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、ZnおよびAlの群から選択される一種以上の元素からなる金属層でもよい。
また、金属層は、ニッケル、コバルト、鉄、タングステン、モリブテン、バナジウム、又は、ニッケル、コバルト、鉄、タングステン、モリブテン及びバナジウムからなる群から選択される1種以上の元素を含む合金のいずれか1種の層を含んでもよく、クロムおよびクロム合金のいずれか1種以上を含む層を含んでもよい。また、金属層は複数の層、例えば前述の層を複数有していてもよい。
金属層が極薄銅層の場合には、当該極薄銅層は硫酸銅、ピロリン酸銅、スルファミン酸銅、シアン化銅等の電解浴を利用した電気めっきにより形成することができる。一般的な電解銅箔で使用され、高電流密度での銅箔形成が可能であることから、硫酸銅浴を利用した電気めっきにより極薄銅層を形成することが好ましい。極薄銅層の厚みは特に制限はないが、一般的にはキャリアよりも薄く、例えば12μm以下である。典型的には0.5〜12μmであり、より典型的には1〜5μm、更に典型的には1.5〜5μm、更に典型的には2〜5μmである。なお、キャリアの両面に金属層を設けてもよい。
<第二中間層>
本発明のキャリア付金属箔は、キャリアと第一中間層との間に第二中間層を有することが好ましい。この第二中間層により、キャリア成分や金属層成分の拡散がより抑制され、キャリア及び第一中間層の間でより容易に剥離できるキャリア付金属箔を提供することができる。
第二中間層は、Cr、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Zn及びAlからなる群より選択される1種又は2種以上の元素を含むことが好ましい。
<第三中間層>
本発明のキャリア付金属箔は、第一中間層と金属層との間に第三中間層を有することが好ましい。この第三中間層により、キャリア成分や金属層成分の拡散がより抑制され、キャリアと第一中間層との間でより容易に剥離できるキャリア付金属箔を提供することができる。また、キャリア付金属箔を金属層側から樹脂に積層し、その後キャリア付金属箔から金属層を剥離した際、第三中間層は金属層のキャリア側表面に残存する。そのため、第三中間層にレーザーの吸収性が良好な元素を用いた場合、当該金属層のキャリア側表面からレーザーを用いて加工をする際に、レーザーの吸収性が向上し、レーザー加工性が向上するため好ましい。
第三中間層は、Cr、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、In、Sn及びAlからなる群より選択される1種又は2種以上の元素を含むことが好ましい。キャリア成分や金属層成分の拡散がより抑制され、キャリアと第一中間層との間でより容易に剥離できるキャリア付金属箔を提供することができると共に、金属層のレーザー加工性が向上するためである。
第二中間層及び第三中間層は、例えば電気めっき、無電解めっき及び浸漬めっきのような湿式めっき、或いはスパッタリング、CVD及びPDVのような乾式めっきにより形成することができる。コストの観点から電気めっきが好ましい。なお、キャリアが樹脂フィルムの場合には、CVD及びPDVのような乾式めっきまたは無電解めっき及び浸漬めっきのような湿式めっきにより第二中間層及び第三中間層を形成することができる。
<キャリア付金属箔>
本発明のキャリア付金属箔は、キャリア、第一中間層、金属層をこの順に有する。なお第二中間層をキャリア/第一中間層の間に、また第三中間層を第一中間層/金属層の間に有していても良い。キャリア付金属箔自体の使用方法は当業者に周知であるが、例えば金属層の表面を紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等の絶縁基板に貼り合わせて熱圧着後にキャリアを剥がし、絶縁基板に接着した金属層を目的とする導体パターンにエッチングし、最終的にプリント配線板を製造することができる。
<第一中間層、第二中間層の元素の付着量>
第一中間層及び/または第二中間層を構成する金属の合計付着量が1000〜50000μg/dm2であることが好ましい。1000μg/dm2未満であると第一中間層及び第二中間層の設ける効果が少なく、キャリア成分や金属層成分の拡散を抑制しにくく、適度な剥離強度を安定して得ることが難しくなる恐れがある。一方50000μg/dm2を超えると、これら元素による応力が大きくなりキャリアに反りが発生する恐れがある。第一中間層及び/又は第二中間層を構成する金属の合計付着量は、より好ましくは5000〜30000μg/dm2である。
第一中間層がクロメート処理層の場合には、Crの合計付着量が10〜50μg/dm2であることが好ましい。10μg/dm2未満であるとクロメート処理層を設ける効果が少ない場合がある(剥離強度が大きく変わらない)。一方、50μg/dm2未満であるとクロメート処理層が厚く、金属層の密着性が悪い場合もある。
<第三中間層の元素の付着量>
第三中間層を構成する金属の合計付着量が50〜50000μg/dm2であることが好ましい。50μg/dm2未満であると第三中間層の設ける効果が少なくなる恐れがある。一方50000μg/dm2を超えると、これら元素による応力が大きくなりキャリアに反りが発生する恐れがある。第三中間層を構成する金属の合計付着量は、より好ましくは250〜30000μg/dm2、更により好ましくは500〜25000μg/dm2である。
<キャリア付金属箔の構造>
本発明のキャリア付金属箔は、キャリア付金属箔を幅方向(TD方向)に20mm間隔で5箇所および長手方向(MD方向)に20mm間隔で5箇所の合計10箇所について前記キャリア付金属箔のキャリアの一部、第一中間層及び金属層の一部を含む断面を、キャリアの厚み方向と同じ方向にSTEMで線分析を行い、分析結果を横軸に分析基準点からの距離(nm)、縦軸に検出元素濃度(at%)で示したとき、前記第一中間層において、前記10箇所の酸素が5at%以上である領域の平均面積が20nm・at%以上500nm・at%以下となるように制御されている。当該平均面積が20nm・at%未満であると剥離強度が目標よりも高くなる。当該平均面積が500nm・at%を超える場合には金属層の密着性が悪くなり、また剥離強度が目標よりも低くなる等の問題が生じる。当該平均面積は、好ましくは50nm・at%以上300nm・at%以下、より好ましくは100nm・at%以上200nm・at%以下である。
また、前記10箇所の酸素が5at%以上である領域において、酸素濃度≧金属層の構成元素の合計濃度を満たす部位が存在するのが好ましい。前記10箇所の酸素が5at%以上である領域において、全ての部位が、酸素濃度<金属層の構成元素の合計濃度であると、剥離強度が目標よりも高くなるという問題が生じるおそれがある。
また、前記キャリア付金属箔から前記キャリアをJIS C 6471に準拠して剥離させて、前記剥離されたキャリアの前記第一中間層側表面から、幅方向(TD方向)に20mm間隔で5箇所および長手方向(MD方向)に20mm間隔で5箇所の合計10箇所について、XPSによる深さ方向の分析を行ったとき、前記第一中間層構成元素の合計濃度/前記10箇所の前記酸素濃度≧1/3を満たすのが好ましい。前記第一中間層構成元素の合計濃度/前記10箇所の前記酸素濃度が1/3より小さいと、剥離強度が低くなるという問題が生じるおそれがある。前記第一中間層構成元素の合計濃度/前記10箇所の前記酸素濃度は、1/2以上であるのがより好ましい。
<粗化処理およびその他の表面処理>
金属層の表面またはキャリアの表面のいずれか一方または両方には、例えば絶縁基板との密着性を良好にすること等のために粗化処理を施すことで粗化処理層を設けてもよい。粗化処理は、例えば、銅又は銅合金で粗化粒子を形成することにより行うことができる。粗化処理は微細なものであっても良い。粗化処理層は、銅、ニッケル、コバルト、リン、タングステン、ヒ素、モリブデン、クロム及び亜鉛からなる群から選択されたいずれかの単体又はいずれか1種以上を含む合金からなる層などであってもよい。また、銅又は銅合金で粗化粒子を形成した後、更にニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で二次粒子や三次粒子を設ける粗化処理を行うこともできる。その後に、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で耐熱層および/または防錆層を形成しても良く、更にその表面にクロメート処理、シランカップリング処理などの処理を施してもよい。または粗化処理を行わずに、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で耐熱層および/又は防錆層を形成し、さらにその表面にクロメート処理、シランカップリング処理などの処理を施してもよい。すなわち、粗化処理層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を形成してもよく、金属層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を形成してもよい。なお、上述の耐熱層、防錆層、クロメート処理層、シランカップリング処理層はそれぞれ複数の層で形成されてもよい(例えば2層以上、3層以上など)。
ここでクロメート処理層とは無水クロム酸、クロム酸、二クロム酸、クロム酸塩または二クロム酸塩を含む液で処理された層のことをいう。クロメート処理層はコバルト、鉄、ニッケル、モリブデン、亜鉛、タンタル、銅、アルミニウム、リン、タングステン、錫、砒素およびチタン等の元素(金属、合金、酸化物、窒化物、硫化物等どのような形態でもよい)を含んでもよい。クロメート処理層の具体例としては、無水クロム酸または二クロム酸カリウム水溶液で処理したクロメート処理層や、無水クロム酸または二クロム酸カリウムおよび亜鉛を含む処理液で処理したクロメート処理層等が挙げられる。
なお、キャリアの金属層を設ける側の表面とは反対側の表面に粗化処理層を設けることは、キャリアを当該粗化処理層を有する表面側から樹脂基板などの支持体に積層する際、キャリアと樹脂基板が剥離しにくくなるという利点を有する。上述のように金属層又はキャリアの表面の粗化処理層上にさらに耐熱層等の表面処理層を形成することで、積層させる樹脂基材に金属層またはキャリアからの銅等の元素が拡散することを良好に抑制することができ、樹脂基材との積層の際の熱圧着による密着性が向上する。
耐熱層、防錆層としては公知の耐熱層、防錆層を用いることが出来る。例えば、耐熱層および/または防錆層はニッケル、亜鉛、錫、コバルト、モリブデン、銅、タングステン、リン、ヒ素、クロム、バナジウム、チタン、アルミニウム、金、銀、白金族元素、鉄、タンタルの群から選ばれる1種以上の元素を含む層であってもよく、ニッケル、亜鉛、錫、コバルト、モリブデン、銅、タングステン、リン、ヒ素、クロム、バナジウム、チタン、アルミニウム、金、銀、白金族元素、鉄、タンタルの群から選ばれる1種以上の元素からなる金属層または合金層であってもよい。また、耐熱層および/または防錆層はニッケル、亜鉛、錫、コバルト、モリブデン、銅、タングステン、リン、ヒ素、クロム、バナジウム、チタン、アルミニウム、金、銀、白金族元素、鉄、タンタルの群から選ばれる1種以上の元素を含む酸化物、窒化物、珪化物を含んでもよい。また、耐熱層および/または防錆層はニッケル−亜鉛合金を含む層であってもよい。また、耐熱層および/または防錆層はニッケル−亜鉛合金層であってもよい。前記ニッケル−亜鉛合金層は、不可避不純物を除き、ニッケルを50wt%〜99wt%、亜鉛を50wt%〜1wt%含有するものであってもよい。前記ニッケル−亜鉛合金層の亜鉛及びニッケルの合計付着量が5〜1000mg/m2、好ましくは10〜500mg/m2、好ましくは20〜100mg/m2であってもよい。また、前記ニッケル−亜鉛合金を含む層または前記ニッケル−亜鉛合金層のニッケルの付着量と亜鉛の付着量との比(=ニッケルの付着量/亜鉛の付着量)が1.5〜10であることが好ましい。また、前記ニッケル−亜鉛合金を含む層または前記ニッケル−亜鉛合金層のニッケルの付着量は0.5mg/m2〜500mg/m2であることが好ましく、1mg/m2〜50mg/m2であることがより好ましい。耐熱層および/または防錆層がニッケル−亜鉛合金を含む層である場合、銅箔と樹脂基板との密着性が向上する。
例えば耐熱層および/または防錆層は、付着量が1mg/m2〜100mg/m2、好ましくは5mg/m2〜50mg/m2のニッケルまたはニッケル合金層と、付着量が1mg/m2〜80mg/m2、好ましくは5mg/m2〜40mg/m2のスズ層とを順次積層したものであってもよく、前記ニッケル合金層はニッケル−モリブデン、ニッケル−亜鉛、ニッケル−モリブデン−コバルト、ニッケル−スズ合金のいずれか一種により構成されてもよい。また、耐熱層および/または防錆層は、ニッケルまたはニッケル合金とスズとの合計付着量が2mg/m2〜150mg/m2であることが好ましく、10mg/m2〜70mg/m2であることがより好ましい。また、前述の耐熱層および/または防錆層は、[ニッケルまたはニッケル合金中のニッケル付着量]/[スズ付着量]=0.25〜10であることが好ましく、0.33〜3であることがより好ましい。当該耐熱層および/または防錆層を用いるとキャリア付金属箔をプリント配線板に加工して以降の回路の引き剥がし強さ、当該引き剥がし強さの耐薬品性劣化率等が良好になる。
なお、シランカップリング処理層を設けるために用いられるシランカップリング剤には公知のシランカップリング剤を用いてよく、例えばアミノ系シランカップリング剤又はエポキシ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤を用いてよい。また、シランカップリング剤にはビニルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、4−グリシジルブチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)プトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を用いてもよい。
前記シランカップリング処理層は、公知のシランカップリング剤を使用して形成してもよく、エポキシ系シラン、アミノ系シラン、メタクリロキシ系シラン、メルカプト系シラン、ビニル系シラン、イミダゾール系シラン、トリアジン系シランなどのシランカップリング剤などを使用して形成してもよい。なお、このようなシランカップリング剤は、2種以上混合して使用してもよい。中でも、アミノ系シランカップリング剤又はエポキシ系シランカップリング剤を用いて形成したものであることが好ましい。
ここで言うアミノ系シランカップリング剤とは、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)トリス(2−エチルヘキソキシ)シラン、6−(アミノヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−(1−アミノプロポキシ)−3,3−ジメチル−1−プロペニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ω−アミノウンデシルトリメトキシシラン、3−(2−N−ベンジルアミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、(N,N−ジメチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)プトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシランからなる群から選択されるものであってもよい。
シランカップリング処理層は、ケイ素原子換算で、0.05mg/m2〜200mg/m2、好ましくは0.15mg/m2〜20mg/m2、好ましくは0.3mg/m2〜2.0mg/m2の範囲で設けられていることが望ましい。前述の範囲の場合、基材と表面処理銅箔との密着性をより向上させることが出来る。
また、金属層、粗化処理層、耐熱層、防錆層、シランカップリング処理層またはクロメート処理層の表面に、国際公開番号WO2008/053878、特開2008−111169号、特許第5024930号、国際公開番号WO2006/028207、特許第4828427号、国際公開番号WO2006/134868、特許第5046927号、国際公開番号WO2007/105635、特許第5180815号、特開2013−19056号に記載の表面処理を行うことができる。
なお、粗化処理層、前記耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層はそれぞれ一層で構成されてもよいし、複数の層で構成されてもよい。
また、本発明のキャリア付金属箔は前記金属層上、あるいは前記粗化処理層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいはクロメート処理層、あるいはシランカップリング処理層の上に樹脂層を備えても良い。前記樹脂層は絶縁樹脂層であってもよい。
なお、樹脂層は一層で構成されてもよいし、複数の層で構成されてもよい。
前記樹脂層は接着剤であってもよく、接着用の半硬化状態(Bステージ状態)の絶縁樹脂層であってもよい。半硬化状態(Bステージ状態)とは、その表面に指で触れても粘着感はなく、該絶縁樹脂層を重ね合わせて保管することができ、更に加熱処理を受けると硬化反応が起こる状態のことを含む。
また前記樹脂層は熱硬化性樹脂を含んでもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。また、前記樹脂層は熱可塑性樹脂を含んでもよい。その種類は格別限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、多官能性シアン酸エステル化合物、マレイミド化合物、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルスルホン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ゴム変成エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、カルボキシル基変性アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ビスマレイミドトリアジン樹脂、熱硬化性ポリフェニレンオキサイド樹脂、シアネートエステル系樹脂、多価カルボン酸の無水物、架橋可能な官能基を有する線状ポリマー、ポリフェニレンエーテル樹脂、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、リン含有フェノール化合物、ナフテン酸マンガン、2,2−ビス(4−グリシジルフェニル)プロパン、ポリフェニレンエーテル−シアネート系樹脂、シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂、シアノエステル樹脂、フォスファゼン系樹脂、ゴム変成ポリアミドイミド樹脂、イソプレン、水素添加型ポリブタジエン、ポリビニルブチラール、フェノキシ、高分子エポキシ、芳香族ポリアミド、フッ素樹脂、ビスフェノール、ブロック共重合ポリイミド樹脂およびシアノエステル樹脂の群から選択される一種以上を含む樹脂を好適なものとしてあげることができる。
また前記エポキシ樹脂は、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであって、電気・電子材料用途に用いることのできるものであれば、特に問題なく使用できる。また、前記エポキシ樹脂は分子内に2個以上のグリシジル基を有する化合物を用いてエポキシ化したエポキシ樹脂が好ましい。また、前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ブロム化(臭素化)エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ゴム変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、N,N−ジグリシジルアニリン等のグリシジルアミン化合物、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のグリシジルエステル化合物、リン含有エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、の群から選ばれる1種又は2種以上を混合して用いることができ、又は前記エポキシ樹脂の水素添加体やハロゲン化体を用いることができる。
前記リン含有エポキシ樹脂として公知のリンを含有するエポキシ樹脂を用いることができる。また、前記リン含有エポキシ樹脂は例えば、分子内に2以上のエポキシ基を備える9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドからの誘導体として得られるエポキシ樹脂であることが好ましい。
前記樹脂層は公知の樹脂、樹脂硬化剤、化合物、硬化促進剤、誘電体(無機化合物及び/または有機化合物を含む誘電体、金属酸化物を含む誘電体等どのような誘電体を用いてもよい)、反応触媒、架橋剤、ポリマー、プリプレグ、骨格材、前述の樹脂、前述の化合物等を含んでよい。また、前記樹脂層は例えば国際公開番号WO2008/004399、国際公開番号WO2008/053878、国際公開番号WO2009/084533、特開平11−5828号、特開平11−140281号、特許第3184485号、国際公開番号WO97/02728、特許第3676375号、特開2000−43188号、特許第3612594号、特開2002−179772号、特開2002−359444号、特開2003−304068号、特許第3992225号、特開2003−249739号、特許第4136509号、特開2004−82687号、特許第4025177号、特開2004−349654号、特許第4286060号、特開2005−262506号、特許第4570070号、特開2005−53218号、特許第3949676号、特許第4178415号、国際公開番号WO2004/005588、特開2006−257153号、特開2007−326923号、特開2008−111169号、特許第5024930号、国際公開番号WO2006/028207、特許第4828427号、特開2009−67029号、国際公開番号WO2006/134868、特許第5046927号、特開2009−173017号、国際公開番号WO2007/105635、特許第5180815号、国際公開番号WO2008/114858、国際公開番号WO2009/008471、特開2011−14727号、国際公開番号WO2009/001850、国際公開番号WO2009/145179、国際公開番号WO2011/068157、特開2013−19056号に記載されている物質(樹脂、樹脂硬化剤、化合物、硬化促進剤、誘電体、反応触媒、架橋剤、ポリマー、プリプレグ、骨格材等)および/または樹脂層の形成方法、形成装置を用いて形成してもよい。
(樹脂層が誘電体(誘電体フィラー)を含む場合)
前記樹脂層は誘電体(誘電体フィラー)を含んでもよい。
上記いずれかの樹脂層または樹脂組成物に誘電体(誘電体フィラー)を含ませる場合には、キャパシタ層を形成する用途に用い、キャパシタ回路の電気容量を増大させることができるのである。この誘電体(誘電体フィラー)には、BaTiO3、SrTiO3、Pb(Zr−Ti)O3(通称PZT)、PbLaTiO3・PbLaZrO(通称PLZT)、SrBi2Ta29(通称SBT)等のペロブスカイト構造を持つ複合酸化物の誘電体粉を用いる。
前述の樹脂層に含まれる樹脂および/または樹脂組成物および/または化合物を例えばメチルエチルケトン(MEK)、トルエンなどの溶剤に溶解して樹脂液とし、これを前記金属層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいは前記クロメート皮膜層、あるいは前記シランカップリング剤層の上に、例えばロールコータ法などによって塗布し、ついで必要に応じて加熱乾燥して溶剤を除去しBステージ状態にする。乾燥には例えば熱風乾燥炉を用いればよく、乾燥温度は100〜250℃、好ましくは130〜200℃であればよい。
前記樹脂層を備えたキャリア付金属箔(樹脂付きキャリア付金属箔)は、その樹脂層を基材に重ね合わせたのち全体を熱圧着して該樹脂層を熱硬化せしめ、ついでキャリアを剥離して金属層を表出せしめ(当然に表出するのは該金属層の第一中間層側の表面である)、そこに所定の配線パターンを形成するという態様で使用される。
この樹脂付きキャリア付金属箔を使用すると、多層プリント配線基板の製造時におけるプリプレグ材の使用枚数を減らすことができる。しかも、樹脂層の厚みを層間絶縁が確保できるような厚みにしたり、プリプレグ材を全く使用していなくても銅張積層板を製造することができる。またこのとき、基材の表面に絶縁樹脂をアンダーコートして表面の平滑性を更に改善することもできる。
なお、プリプレグ材を使用しない場合には、プリプレグ材の材料コストが節約され、また積層工程も簡略になるので経済的に有利となり、しかも、プリプレグ材の厚み分だけ製造される多層プリント配線基板の厚みは薄くなり、1層の厚みが100μm以下である極薄の多層プリント配線基板を製造することができるという利点がある。
この樹脂層の厚みは0.1〜80μmであることが好ましい。樹脂層の厚みが0.1μmより薄くなると、接着力が低下し、プリプレグ材を介在させることなくこの樹脂付きキャリア付金属箔を内層材を備えた基材に積層したときに、内層材の回路との間の層間絶縁を確保することが困難になる場合がある。
一方、樹脂層の厚みを80μmより厚くすると、1回の塗布工程で目的厚みの樹脂層を形成することが困難となり、余分な材料費と工数がかかるため経済的に不利となる。更には、形成された樹脂層はその可撓性が劣るので、ハンドリング時にクラックなどが発生しやすくなり、また内層材との熱圧着時に過剰な樹脂流れが起こって円滑な積層が困難になる場合がある。
更に、この樹脂付きキャリア付金属箔のもう一つの製品形態としては、前記金属層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいは前記クロメート処理層、あるいは前記シランカップリング処理層の上に樹脂層で被覆し、半硬化状態とした後、ついでキャリアを剥離して、キャリアが存在しない樹脂付き銅箔の形で製造することも可能である。
<キャリア付金属箔の製造方法>
本発明のキャリア付金属箔の製造方法は、キャリア上に第一中間層を形成しその後金属層を形成する。キャリア/第一中間層の間に第二中間層を形成してもよい。また第一中間層/金属層の間に第三中間層を形成していてもよい。
本発明の第一中間層の形成は、クロメート処理、電気めっき、陽極酸化、空気酸化及び大気酸化等を用いて行う。クロメート処理や電気めっきの場合には、めっき液または処理液の液温を30〜60℃に制御することが好ましい。30℃以下にするとめっき液温を保持するための設備が必要である。まためっき液または処理液の液温が60℃を超えると耐熱塩ビ配管の使用がし難いなど生産ライン構成部材の選択性が狭まる問題が生じるおそれがある。電流密度や時間は、生産ラインを考慮して適宜設定することが好ましい。電流密度が小さいと、所定のめっきにするための時間がかかる。一方電流密度が高いと所定のめっきにするための時間が僅かでライン制御することが難しくなる。
本発明の第二中間層の形成方法は、めっきやスパッタで形成される。めっきの場合、液組成、pH、液温及び電流密度及び時間を、スパッタの場合にはスパッタ出力、アルゴン圧力及び時間等の条件を制御して第二中間層を形成させる。
本発明の第三中間層の形成方法は、第二中間層形成方法と同一である。
<プリント配線板、積層体、電子機器>
以下に、本発明に係るキャリア付金属箔を用いたプリント配線板の製造工程の例を幾つか示す。
本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付金属箔と絶縁基板とを準備する工程、前記キャリア付金属箔と絶縁基板を積層する工程、前記キャリア付金属箔と絶縁基板とを積層した後に、前記キャリア付金属箔の銅箔キャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、その後、セミアディティブ法、モディファイドセミアディティブ法、パートリーアディティブ法及びサブトラクティブ法の何れかの方法によって、回路を形成する工程を含む。絶縁基板は内層回路入りのものとすることも可能である。
本発明において、セミアディティブ法とは、絶縁基板又は銅箔シード層上に薄い無電解めっきを行い、パターンを形成後、電気めっき及びエッチングを用いて導体パターンを形成する方法を指す。
従って、セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付金属箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付金属箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付金属箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付金属箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した金属層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記金属層をエッチングにより除去することにより露出した前記樹脂にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記樹脂および前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付金属箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付金属箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付金属箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付金属箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した金属層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記金属層をエッチングにより除去することにより露出した前記樹脂の表面について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層及び金属層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
本発明において、モディファイドセミアディティブ法とは、絶縁層上に金属箔を積層し、めっきレジストにより非回路形成部を保護し、電解めっきにより回路形成部の銅厚付けを行った後、めっきレジストを除去し、前記回路形成部以外の金属箔を(フラッシュ)エッチングで除去することにより、絶縁層上に回路を形成する方法を指す。
従って、モディファイドセミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付金属箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付金属箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付金属箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付金属箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した金属層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記キャリアを剥がして露出した金属層表面にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストを設けた後に、電解めっきにより回路を形成する工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストを除去することにより露出した金属層をフラッシュエッチングにより除去する工程、
を含む。
モディファイドセミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付金属箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付金属箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付金属箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付金属箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した金属層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層及び金属層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
本発明において、パートリーアディティブ法とは、導体層を設けてなる基板、必要に応じてスルーホールやバイアホール用の孔を穿けてなる基板上に触媒核を付与し、エッチングして導体回路を形成し、必要に応じてソルダレジストまたはめっきレジストを設けた後に、前記導体回路上、スルーホールやバイアホールなどに無電解めっき処理によって厚付けを行うことにより、プリント配線板を製造する方法を指す。
従って、パートリーアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付金属箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付金属箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付金属箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付金属箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した金属層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について触媒核を付与する工程、
前記キャリアを剥がして露出した金属層表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記金属層および前記触媒核を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
前記金属層および前記触媒核を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して露出した前記絶縁基板表面に、ソルダレジストまたはめっきレジストを設ける工程、
前記ソルダレジストまたはめっきレジストが設けられていない領域に無電解めっき層を設ける工程、
を含む。
本発明において、サブトラクティブ法とは、銅張積層板上の銅箔の不要部分を、エッチングなどによって、選択的に除去して、導体パターンを形成する方法を指す。
従って、サブトラクティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付金属箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付金属箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付金属箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付金属箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した金属層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の表面に、電解めっき層を設ける工程、
前記電解めっき層または/および前記金属層の表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記金属層および前記無電解めっき層および前記電解めっき層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
を含む。
サブトラクティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付金属箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付金属箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付金属箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付金属箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した金属層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の表面にマスクを形成する工程、
マスクが形成されいない前記無電解めっき層の表面に電解めっき層を設ける工程、
前記電解めっき層または/および前記金属層の表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記金属層および前記無電解めっき層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
を含む。
スルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、及びその後のデスミア工程は行わなくてもよい。
本発明のプリント配線板の製造方法は、本発明のキャリア付金属箔の前記金属層側表面又は前記キャリア側表面に回路を形成する工程、前記回路が埋没するように前記キャリア付金属箔の前記金属層側表面または前記キャリア側表面に樹脂層を形成する工程、前記キャリアまたは前記金属層を剥離させる工程、及び、前記キャリアまたは前記金属層を剥離させた後に、前記金属層又は前記キャリアを除去することで、前記金属層側表面又は前記キャリア側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程を含んでもよい。また、本発明のプリント配線板の製造方法は、本発明のキャリア付金属箔の前記金属層側又は前記キャリア側表面に回路を形成する工程、前記回路が埋没するように前記キャリア付金属箔の前記金属層側表面又は前記キャリア側に樹脂層を形成する工程、前記樹脂層上に回路を形成する工程、前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記キャリア又は前記金属層を剥離させる工程、及び、前記キャリア又は前記金属層を剥離させた後に、前記金属層又は前記キャリアを除去することで、前記金属層側表面又は前記キャリア側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程を含んでもよい。また、前記樹脂層上に回路を形成する工程が、前記樹脂層上に別のキャリア付金属箔を金属層側又はキャリア側から貼り合わせ、前記樹脂層に貼り合わせたキャリア付金属箔を用いて前記回路を形成する工程であってもよい。また、前記樹脂層上に貼り合わせる別のキャリア付金属箔が、本発明のキャリア付金属箔であってもよい。
ここで、本発明のキャリア付金属箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例を図面を用いて詳細に説明する。なお、ここでは金属層として極薄銅層を挙げ、さらに粗化処理層が形成された極薄銅層を有するキャリア付銅箔を例に説明するが、これに限らず、粗化処理層が形成されていない金属層を有するキャリア付金属箔を用いても同様に下記のプリント配線板の製造方法を行うことができる。
まず、図1−Aに示すように、表面に粗化処理層が形成された金属層を有するキャリア付銅箔(1層目)を準備する。
次に、図1−Bに示すように、極薄銅層の粗化処理層上にレジストを塗布し、露光・現像を行い、レジストを所定の形状にエッチングする。
次に、図1−Cに示すように、回路用のめっきを形成した後、レジストを除去することで、所定の形状の回路めっきを形成する。
次に、図2−Dに示すように、回路めっきを覆うように(回路めっきが埋没するように)極薄銅層上に埋め込み樹脂を設けて樹脂層を積層し、続いて別のキャリア付銅箔(2層目)を極薄銅層側から接着させる。
次に、図2−Eに示すように、2層目のキャリア付銅箔からキャリアを剥がす。
次に、図2−Fに示すように、樹脂層の所定位置にレーザー穴あけを行い、回路めっきを露出させてブラインドビアを形成する。
次に、図3−Gに示すように、ブラインドビアに銅を埋め込みビアフィルを形成する。
次に、図3−Hに示すように、ビアフィル上に、上記図1−B及び図1−Cのようにして回路めっきを形成する。
次に、図3−Iに示すように、1層目のキャリア付銅箔からキャリアを剥がす。
次に、図4−Jに示すように、フラッシュエッチングにより両表面の極薄銅層を除去し、樹脂層内の回路めっきの表面を露出させる。
次に、図4−Kに示すように、樹脂層内の回路めっき上にバンプを形成し、当該はんだ上に銅ピラーを形成する。このようにして本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板を作製する。
なお、上述のプリント配線板の製造方法で、「極薄銅層」をキャリアに、「キャリア」を極薄銅層に読み替えて、キャリア付銅箔のキャリア側の表面に回路を形成して、樹脂で回路を埋め込み、プリント配線板を製造することも可能である。
本発明のキャリア付金属箔を用いて上述のような埋め込み法を行うと、金属層が薄いため、埋め込み回路を露出させるためのエッチングが短時間で完了し、生産性が飛躍的に向上する。
上記別のキャリア付銅箔(2層目)は、本発明のキャリア付金属箔を用いてもよく、従来のキャリア付金属箔を用いてもよく、さらに通常の銅箔を用いてもよい。また、図3−Hに示される2層目の回路上に、さらに回路を1層或いは複数層形成してもよく、それらの回路形成をセミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって行ってもよい。
本発明のキャリア付金属箔を用いてセミアディティブ法やモディファイドセミアディティブ法を行うと、極薄銅層が薄いため、フラッシュエッチングが短時間で完了し、生産性が飛躍的に向上する。
また、前記1層目に用いられるキャリア付金属箔は、当該キャリア付金属箔のキャリア側表面に基板を有してもよい。当該基板を有することで1層目に用いられるキャリア付金属箔は支持され、しわが入りにくくなるため、生産性が向上するという利点がある。なお、前記基板には、前記1層目に用いられるキャリア付金属箔を支持する効果を有するものであれば、全ての基板を用いることが出来る。例えば前記基板として本願明細書に記載のキャリア、プリプレグ、樹脂層や公知のキャリア、プリプレグ、樹脂層、金属板、金属箔、無機化合物の板、無機化合物の箔、有機化合物の板、有機化合物の箔を用いることができる。
キャリア側表面に基板を形成するタイミングについては特に制限はないが、キャリアを剥離する前に形成することが必要である。特に、前記キャリア付金属箔の前記金属層側表面に樹脂層を形成する工程の前に形成することが好ましく、キャリア付金属箔の前記金属層側表面に回路を形成する工程の前に形成することがより好ましい。
なお、埋め込み樹脂(レジン)には公知の樹脂、プリプレグを用いることができる。例えば、BT(ビスマレイミドトリアジン)レジンやBTレジンを含浸させたガラス布であるプリプレグ、味の素ファインテクノ株式会社製ABFフィルムやABFを用いることができる。また、前記埋め込み樹脂は熱硬化性樹脂を含んでもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。また、前記埋め込み樹脂は熱可塑性樹脂を含んでもよい。前記埋め込み樹脂の種類は格別限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、多官能性シアン酸エステル化合物、マレイミド化合物、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、ブロック共重合ポリイミド樹脂、ブロック共重合ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルスルホン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ゴム変成エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、カルボキシル基変性アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ビスマレイミドトリアジン樹脂、熱硬化性ポリフェニレンオキサイド樹脂、シアネートエステル系樹脂、多価カルボン酸の無水物などを含む樹脂や、紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルム、フッ素樹脂フィルムなどを好適なものとしてあげることができる。また、前記埋め込み樹脂(レジン)には本明細書に記載の樹脂層および/または樹脂および/またはプリプレグおよび/またはフィルムを使用することができる。
更に、本発明のプリント配線板に電子部品類を搭載することで、プリント回路板が完成する。本発明において、「プリント配線板」にはこのように電子部品類が搭載されたプリント配線板およびプリント回路板およびプリント基板も含まれることとする。
また、当該プリント配線板を用いて電子機器を作製してもよく、当該電子部品類が搭載されたプリント回路板を用いて電子機器を作製してもよく、当該電子部品類が搭載されたプリント基板を用いて電子機器を作製してもよい。
また、本発明のプリント配線板の製造方法は、本発明のキャリア付金属箔の前記金属層側表面または前記キャリア側表面と樹脂基板とを積層する工程、前記樹脂基板と積層した金属層側表面または前記キャリア側表面とは反対側のキャリア付金属箔の表面に、樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、前記樹脂層及び回路の2層を形成した後に、前記キャリア付金属箔から前記キャリアまたは前記金属層を剥離させる工程を含むプリント配線板の製造方法(コアレス工法)であってもよい。当該コアレス工法について、具体的な例としては、まず、本発明のキャリア付金属箔の金属層側表面またはキャリア側表面と樹脂基板とを積層して積層体(銅張積層板、銅張積層体ともいう)を製造する。その後、樹脂基板と積層した金属層側表面または前記キャリア側表面とは反対側のキャリア付金属箔の表面に樹脂層を形成する。キャリア側表面又は金属層側表面に形成した樹脂層には、さらに別のキャリア付金属箔をキャリア側又は金属層側から積層してもよい。
本発明の第一中間層が、単独のもの、第三中間層と積層されているもの、第二中間層と積層されているもの、第二中間層及び第三中間層と積層されているものをまとめて「中間層」とすると、樹脂基板を中心として当該樹脂基板の両表面側に、「キャリア/中間層/金属層」の順あるいは「金属層/中間層/キャリア」の順でキャリア付金属箔が積層された構成を有する積層体あるいは「キャリア/中間層/金属層/樹脂基板/金属層/中間層/キャリア」の順に積層された構成を有する積層体あるいは「キャリア/中間層/金属層/樹脂基板/キャリア/中間層/金属層」の順に積層された構成を有する積層体あるいは「金属層/中間層/キャリア/樹脂基板/キャリア/中間層/金属層」の順に積層された構成を有する積層体を上述のプリント配線板の製造方法(コアレス工法)に用いてもよい。
両端の金属層あるいはキャリアの露出した表面には、別の樹脂層を設け、さらに銅層又は金属層を設けた後、当該銅層又は金属層を加工することで回路を形成してもよい。さらに、別の樹脂層を当該回路上に、当該回路を埋め込むように設けても良い。また、このような回路及び樹脂層の形成を1回以上行ってもよい(ビルドアップ工法)。そして、このようにして形成した積層体(以下、積層体Bとも言う)について、それぞれのキャリア付金属箔の金属層またはキャリアをキャリアまたは金属層から剥離させてコアレス基板を作製することができる。なお、前述のコアレス基板の作製には、2つのキャリア付金属箔を用いて、後述する金属層/中間層/キャリア/キャリア/中間層/金属層の構成を有する積層体や、キャリア/中間層/金属層/金属層/中間層/キャリアの構成を有する積層体や、キャリア/中間層/金属層/キャリア/中間層/金属層の構成を有する積層体を作製し、当該積層体を中心に用いることもできる。これら積層体(以下、積層体Aとも言う)の両側の金属層またはキャリアの表面に樹脂層及び回路の2層を1回以上設け、樹脂層及び回路の2層を1回以上設けた後に、それぞれのキャリア付金属箔の金属層またはキャリアをキャリアまたは金属層から剥離させてコアレス基板を作製することができる。前述の積層体は、金属層の表面、キャリアの表面、キャリアとキャリアとの間、金属層と金属層との間、金属層とキャリアとの間には他の層を有してもよい。他の層は樹脂層や樹脂基板であってもよい。なお、本明細書において「金属層の表面」、「金属層側表面」、「キャリアの表面」、「キャリア側表面」、「積層体の表面」、「積層体表面」は、金属層、キャリア、積層体が、金属層表面、キャリア表面、積層体表面に他の層を有する場合には、当該他の層の表面(最表面)を含む概念とする。また、積層体は金属層/中間層/キャリア/キャリア/中間層/金属層の構成を有することが好ましい。当該積層体を用いてコアレス基板を作製した際、コアレス基板側に金属層が配置されるため、モディファイドセミアディティブ法を用いてコアレス基板上に回路を形成しやすくなるためである。また、金属層の厚みは薄いため、当該金属層の除去がしやすく、金属層の除去後にセミアディティブ法を用いて、コアレス基板上に回路を形成しやすくなるためである。
なお、本明細書において、「積層体A」または「積層体B」と特に記載していない「積層体」は、少なくとも積層体A及び積層体Bを含む積層体を示す。
なお、上述のコアレス基板の製造方法において、キャリア付金属箔または積層体(積層体A)の端面の一部または全部を樹脂で覆うことにより、ビルドアップ工法でプリント配線板を製造する際に、中間層または積層体を構成する1つのキャリア付金属箔ともう1つのキャリア付金属箔の間への薬液の染み込みを防止することができ、薬液の染み込みによる金属層とキャリアの分離やキャリア付金属箔の腐食を防止することができ、歩留りを向上させることができる。ここで用いる「キャリア付金属箔の端面の一部または全部を覆う樹脂」または「積層体の端面の一部または全部を覆う樹脂」としては、樹脂層に用いることができる樹脂を使用することができる。また、上述のコアレス基板の製造方法において、キャリア付金属箔または積層体において平面視したときにキャリア付金属箔または積層体の積層部分(キャリアと金属層との積層部分、または、1つのキャリア付金属箔ともう1つのキャリア付金属箔との積層部分)の外周の少なくとも一部を樹脂又はプリプレグで覆ってもよい。また、上述のコアレス基板の製造方法で形成する積層体(積層体A)は、一対のキャリア付金属箔を互いに分離可能に接触させて構成されていてもよい。また、当該キャリア付金属箔において平面視したときにキャリア付金属箔または積層体の積層部分(キャリアと金属層との積層部分、または、1つのキャリア付金属箔ともう1つのキャリア付金属箔との積層部分)の外周の全体にわたって樹脂又はプリプレグで覆われてなるものであってもよい。また、平面視した場合に樹脂又はプリプレグはキャリア付金属箔または積層体または積層体の積層部分よりも大きい方が好ましく、当該樹脂又はプリプレグをキャリア付金属箔または積層体の両面に積層し、キャリア付金属箔または積層体が樹脂又はプリプレグにより袋とじ(包まれている)されている構成を有する積層体とすることが好ましい。このような構成とすることにより、キャリア付金属箔または積層体を平面視したときに、キャリア付金属箔または積層体の積層部分が樹脂又はプリプレグにより覆われ、他の部材がこの部分の側方向、すなわち積層方向に対して横からの方向から当たることを防ぐことができるようになり、結果としてハンドリング中のキャリアと金属層またはキャリア付金属箔同士の剥がれを少なくすることができる。また、キャリア付金属箔または積層体の積層部分の外周を露出しないように樹脂又はプリプレグで覆うことにより、前述したような薬液処理工程におけるこの積層部分の界面への薬液の浸入を防ぐことができ、キャリア付金属箔の腐食や侵食を防ぐことができる。なお、積層体の一対のキャリア付金属箔から一つのキャリア付金属箔を分離する際、またはキャリア付金属箔のキャリアと銅箔(金属層)を分離する際には、樹脂又はプリプレグで覆われているキャリア付金属箔又は積層体の積層部分(キャリアと金属層との積層部分、または、1つのキャリア付金属箔ともう1つのキャリア付金属箔との積層部分)が樹脂又はプリプレグ等により強固に密着している場合には、当該積層部分等を切断等により除去する必要が生じる場合がある。
本発明のキャリア付金属箔をキャリア側又は金属層側から、もう一つの本発明のキャリア付金属箔のキャリア側または金属層側に積層して積層体を構成してもよい。また、前記一つのキャリア付金属箔の前記キャリア側表面又は前記金属層側表面と前記もう一つのキャリア付金属箔の前記キャリア側表面又は前記金属層側表面とが、必要に応じて接着剤を介して、直接積層させて得られた積層体であってもよい。また、前記一つのキャリア付金属箔のキャリア又は金属層と、前記もう一つのキャリア付金属箔のキャリア又は金属層とが接合されていてもよい。ここで、当該「接合」は、キャリア又は金属層が表面処理層を有する場合は、当該表面処理層を介して互いに接合されている態様も含む。また、当該積層体の端面の一部または全部が樹脂により覆われていてもよい。
キャリア同士、金属層同士、キャリアと金属層、キャリア付金属箔同士の積層は、単に重ね合わせる他、例えば以下の方法で行うことができる。
(a)冶金的接合方法:融接(アーク溶接、TIG(タングステン・イナート・ガス)溶接、MIG(メタル・イナート・ガス)溶接、抵抗溶接、シーム溶接、スポット溶接)、圧接(超音波溶接、摩擦撹拌溶接)、ろう接;
(b)機械的接合方法:かしめ、リベットによる接合(セルフピアッシングリベットによる接合、リベットによる接合)、ステッチャー;
(c)物理的接合方法:接着剤、(両面)粘着テープ
一方のキャリアの一部若しくは全部と他方のキャリアの一部若しくは全部若しくは金属層の一部若しくは全部とを、上記接合方法を用いて接合することにより、一方のキャリアと他方のキャリアまたは金属層を積層し、キャリア同士またはキャリアと金属層を分離可能に接触させて構成される積層体を製造することができる。一方のキャリアと他方のキャリアまたは金属層とが弱く接合されて、一方のキャリアと他方のキャリアまたは金属層とが積層されている場合には、一方のキャリアと他方のキャリアまたは金属層との接合部を除去しないでも、一方のキャリアと他方のキャリアまたは金属層とは分離可能である。また、一方のキャリアと他方のキャリアまたは金属層とが強く接合されている場合には、一方のキャリアと他方のキャリアとが接合されている箇所を切断や化学研磨(エッチング等)、機械研磨等により除去することにより、一方のキャリアと他方のキャリアまたは金属層を分離することができる。
また、このように構成した積層体に樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、前記樹脂層及び回路の2層を少なくとも1回形成した後に、前記積層体のキャリア付金属箔から前記金属層又はキャリアを剥離させる工程を実施することでプリント配線板を作製することができる。なお、当該積層体の一方または両方の表面に、樹脂層と回路との2層を設けてもよい。
前述した積層体に用いる樹脂基板、樹脂層、樹脂、プリプレグは、本明細書に記載した樹脂層であってもよく、本明細書に記載した樹脂層に用いる樹脂、樹脂硬化剤、化合物、硬化促進剤、誘電体、反応触媒、架橋剤、ポリマー、プリプレグ、骨格材等を含んでもよい。なお、キャリア付金属箔は平面視したときに樹脂又はプリプレグより小さくてもよい。
以下に、本発明の実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
1.キャリア付金属箔の製造
キャリアとして、厚さ35μmの長尺の電解銅箔(JX金属社製JTC)及び圧延銅箔(JX金属社製 タフピッチ銅箔 JIS H3100 合金番号C1100)を用意し、表面に第一中間層及び金属層を形成した。なお、キャリアとして電解銅箔を用いた場合は、S面(光沢面)側に第一中間層を設けた。また一部のサンプルについては第二中間層及び第三中間層も設けた。また一部のサンプルについては、第二中間層、第一中間層及び第三中間層の順に設けた。また、一部のサンプルについては、第二中間層、第一中間層の順に設けた。なお第一中間層、金属層、第二中間層及び第三中間層はキャリアの片面に設けた。第一中間層、金属層、第二中間層及び第三中間層の形成は、表1に記載の条件で行った。表1の「キャリア粗さRz[μm]」欄に第一中間層または第二中間層を設けた側のキャリアの表面の十点平均粗さRz(JIS B0601 1994)を記載した。電解銅箔のS面(光沢面)の粗さについては、電解銅箔製造装置の、銅を析出させる陰極ドラムの表面の粗さを調節することで制御した。陰極ドラムの表面の粗さを大きくすることで、電解銅箔のS面(光沢面)の粗さを粗くすることができる。また、陰極ドラムの表面の粗さを小さくすることで、電解銅箔のS面(光沢面)の粗さを大きくすることができる。また、圧延銅箔の表面粗さについては、圧延銅箔製造時に用いる圧延ロールの粗さを調整することで制御した。圧延ロールの表面の粗さを大きくすることで、圧延銅箔の表面の粗さを大きくすることができる。また、圧延ロールの表面の粗さを小さくすることで、圧延銅箔の表面の粗さを小さくすることができる。以下に、各処理条件を示す。なお、めっき液等の液組成の残部は水である。
・「Niめっき」:ニッケルめっき
(液組成)硫酸ニッケル:270〜280g/L、ホウ酸:30〜40g/L
(pH)2〜6
(液温)40〜60℃
(電流密度Dk)1〜10A/dm2
・「Ni−Moめっき」:ニッケル−モリブデン合金めっき
(液組成)硫酸ニッケル、モリブテン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム
(pH)3〜5
(液温)30〜40℃
(電流密度Dk)10〜20A/dm2
・「Coめっき」:コバルトめっき
(液組成)硫酸コバルト、ホウ酸、塩化コバルト、塩化カリウム
(pH)3〜5
(液温)40〜60℃
(電流密度Dk)1〜10A/dm2
・「Ni−Coめっき」:ニッケル−コバルト合金めっき
(液組成)硫酸ニッケル、硫酸コバルト、ほう酸
(pH)2〜4
(液温)40〜60℃
(電流密度Dk)1〜10A/dm2
・「亜鉛クロメート」:亜鉛クロメート処理
(液組成)重クロム酸カリウム:1〜10g/L、硫酸亜鉛:Zn0.05〜5g/L
(pH)2〜5
(液温)30〜60℃
(浸漬クロメート処理)時間10〜60秒
(電解クロメート処理)電流密度0.1〜1.5A/dm2、時間2〜20秒
・「Co−Moめっき」:コバルト−モリブデン合金めっき
(液組成)硫酸コバルト、モリブテン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム
(pH)3〜5
(液温)30〜40℃
(電流密度Dk)10〜20A/dm2
・「Ni−Wめっき」:ニッケル−タングステン合金めっき
(液組成)硫酸ニッケル、タングステン酸ナトリウム、クエン酸
(pH)4〜6
(液温)50〜60℃
(電流密度Dk)5〜20A/dm2
・「Co−Wめっき」:コバルト−タングステン合金めっき
(液組成)硫酸コバルト、タングステン酸ナトリウム、クエン酸
(pH)8〜9
(液温)50〜60℃
(電流密度Dk)5〜20A/dm2
・「陽極酸化」:次の条件で所定の時間陽極酸化した。
NaOH濃度 0.5〜20g/L
液温:20〜50℃
電流密度Dk:1〜10A/dm2
なお、第二中間層を設けた実施例、比較例については、キャリアに第二中間層を設けた後に、第二中間層の表面に対して上述の陽極酸化を行うことで、第二中間層上に第一中間層を形成した。
・「Cuめっき」:銅めっき
銅濃度:30〜120g/L
2SO4濃度:20〜120g/L
電解液温度:20〜80℃
電流密度Dk:10〜100A/dm2
・「Cuスパッタ」:Cuのスパッタ
Cu99mass%以上の組成のスパッタリングターゲットを用いて、以下の条件にて各金属の層を形成した。
装置:株式会社アルバック製のスパッタ装置
出力:DC50W
アルゴン圧力:0.2Pa
なお、実施例14には実施例2の極薄銅層の上に更に、粗化処理層、耐熱処理層、クロメート処理層、シランカップリング処理層を設けた。実施例15には実施例2の極薄銅層の上に更に、耐熱処理層、クロメート処理層、シランカップリング処理層を設けた。実施例16には実施例2の極薄銅層の上に更に、クロメート処理層、シランカップリング処理層を設けた。
・粗化処理
Cu:10〜20g/L
Co:1〜10g/L
Ni:1〜10g/L
pH:1〜4
温度:40〜50℃
電流密度Dk:20〜30A/dm2
時間:1〜5秒
Cu付着量:15〜40mg/dm2
Co付着量:100〜3000μg/dm2
Ni付着量:100〜1000μg/dm2
・耐熱処理
Zn:0〜20g/L
Ni:0〜5g/L
pH:3.5
温度:40℃
電流密度Dk:0〜1.7A/dm2
時間:1秒
Zn付着量:5〜250μg/dm2
Ni付着量:5〜300μg/dm2
・クロメート処理
2Cr27
(Na2Cr27或いはCrO3):2〜10g/L
NaOH或いはKOH:10〜50g/L
ZnO或いはZnSO47H2O:0.05〜10g/L
pH:7〜13
浴温:30〜60℃
電流密度Dk:0.1〜1.5A/dm2
時間:0.5〜100秒
Cr付着量:10〜150μg/dm2
・シランカップリング処理
ビニルトリエトキシシラン水溶液
(ビニルトリエトキシシラン濃度:0.1〜1.4wt%)
pH:4〜5
時間:5〜30秒
上記のようにして得られた実施例及び比較例のキャリア付金属箔について、以下の方法で各評価を実施した。
<金属層の厚み>
作製したキャリア付金属箔のCuめっき(金属層)の厚みは、重量法により測定した。
まず、キャリア付金属箔からCuめっき(金属層)を引き剥がし、引き剥がしたキャリア側と金属層側を濃度20質量%の塩酸で溶解してICP発光分析した。そしてサンプルの大きさ(面積)とICP分析の結果からCuめっき(金属層)の厚みを算出した。
<STEM分析>
キャリア付金属箔を幅方向(TD方向)に20mm間隔で5箇所および長手方向(MD方向)に20mm間隔で5箇所の合計10箇所についてキャリア付金属箔のキャリアの一部、第一中間層及び金属層の一部を含む断面を、キャリアの厚み方向と同じ方向にSTEMで線分析を行った。測定条件を以下に示す。なお、前述の断面はキャリア付金属箔のキャリアの厚み方向に平行な断面とした。
・装置=STEM(日立製作所社、型式HD−2000STEM)
・加速電圧=200kV
・倍率=100000〜1000000倍
・観察視野=1500nm×1500nm〜160nm×160nm試料支持にはMo製メッシュを用いて行った。
・測定間隔=1nm
線分析は、検出元素からカーボンを除外し、キャリア、第一中間層、第二中間層、第三中間層、金属層構成元素(質量%)を分析した。
また、金属層に絶縁基板BT樹脂(トリアジン−ビスマレイミド系樹脂、三菱瓦斯化学株式会社製)を大気中、圧力20kgf/cm2、220℃×2時間の条件下で熱圧着させたキャリア付銅箔についても同様に測定した。
そして、第一中間層において、前記10箇所の酸素が5at%以上である部分の領域の平均面積[nm・at%]を算出した。また酸素が5at%以上である部分の領域内の酸素濃度と金属層構成元素の合計濃度を比較し、前記10箇所の酸素が5at%以上である領域において、
酸素濃度≧金属層の構成元素の合計濃度
を満たす部位が存在するか否かを判定した。
<XPS分析>
キャリア付金属箔からキャリアを90°剥離法(JIS C 6471)に準拠して剥離させて、露出したキャリアの第一中間層側表面及び露出した金属層の第一中間層側表面から、幅方向(TD方向)に20mm間隔で5箇所および長手方向(MD方向)に20mm間隔で5箇所の合計10箇所について下記のXPS測定装置を用いてXPS分析を行った。
・装置:XPS測定装置(アルバックファイ社、型式PHI5000 Versa Probe II)
・到達真空度:4.8×10-8Pa
・X線:単色AlKα、出力25W、検出面積100μmφ、入射角90度、取り出し角45度
・イオン線:イオン種Ar+、加速電圧2kV、掃引面積3mm×3mm、スパッタリングレート2.9nm/min(SiO2換算)
分析した元素は、キャリア、第二中間層、第一中間層、第三中間層、金属層構成元素とCu、Zn、C及びOであった。これら元素を指定元素とした。また、指定元素の合計を100at%として、各元素の濃度(at%)を分析した。
深さ(nm)は、SiO2をスパッタリングの対象物とした際のスパッタリングレート2.9nm/min(SiO2換算)を用い、スパッタリングを行った時間(min)に基づいて以下の式から算出した。
測定している箇所の深さ(nm)=スパッタリングレート2.9nm/min(SiO2換算)×スパッタリングを行った時間(min)
そのため、深さ(nm)はSiO2をスパッタリングした場合における深さ(nm)(SiO2換算深さ(nm))を意味する。
そして、第一中間層構成元素の合計濃度と酸素濃度の関係について把握した。
<剥離強度>
キャリア付金属箔の表面処理箔側をBT樹脂(トリアジン−ビスマレイミド系樹脂、三菱瓦斯化学株式会社製)に、大気中、圧力:20kgf/cm2、220℃×2時間の条件下で熱圧着させて貼り付けた。続いて、ロードセルにてキャリア側を引っ張り、90°剥離法(JIS C 6471)に準拠して、長手方向に30mm間隔で10点および幅方向に30mm間隔で10点測定した。目標とする剥離強度は2〜30N/mである。
<金属層密着性>
キャリア付金属箔をキャリア側からプリプレグに積層し、金属張積層板を製造した。そして、金属張積層板のキャリア付金属箔の極薄金属層の上に回路を形成し、回路を埋没させるように樹脂層を積層した。その後、樹脂層上に回路、樹脂層を2回設けた後に、キャリアから極薄金属層を剥離し、その後、極薄金属層をエッチングすることにより4層回路基板を作成した。当該4層回路基板を10回作成し、4層回路基板作成中にキャリアから金属層が4〜7回剥離した場合には金属層密着性を「△」、剥離しなかった又は1〜3回剥離した場合には、金属密着性を「○」とした。
<レーザー加工性>
キャリア付銅箔と基材(三菱ガス化学(株)製:GHPL−832NX−A)に対して、220℃で2時間加熱の積層プレスを行った後、銅箔キャリアをJIS C 6471(1995、なお、銅箔を引き剥がす方法は、8.1 銅箔の引き剥がし強さ 8.1.1試験方法の種類(1)方法A(銅箔を銅箔除去面に対して90°方向に引き剥がす方法)とした。)に準拠して引き剥がし、極薄銅層の中間層側表面を露出させた。そして露出させたキャリア付銅箔の極薄銅層の中間層側表面に、レーザーを下記条件にて1ショットまたは2ショット照射し、照射後の穴形状を顕微鏡にて観察し、計測を実施した。表では、穴開けの「実数」として、100個の地点に穴開けを試みて実際に何個の穴が空けられなかったか(未開口穴数)を観察した。なお、穴の径は、穴を取り囲む最小円の直径とした。
・ガス種:CO2
・銅箔開口径(狙い):50μm径
・ビーム形状:トップハット
・出力:2.40W/10μs
・パルス幅:33μs
・ショット数:
1ショット(極薄銅層の厚みが0.8〜2μmの場合)
2ショット(極薄銅層の厚みが3〜5μmの場合)
以上の試験条件及び結果を表1〜2に示す。
(評価結果)
実施例1〜21は、いずれも第一中間層において、前記10箇所の酸素が5at%以上である領域の平均面積が20nm・at%以上500nm・at%以下であったため、キャリアと金属層との密着性及びキャリア/金属層での剥離性が良好であった。
比較例1〜2は、いずれも第一中間層において、前記10箇所の酸素が5at%以上である領域の平均面積が20nm・at%以上500nm・at%以下の範囲外であったため、キャリアと金属層との密着性及びキャリア/金属層での剥離性の少なくともいずれかが不良であった。
図5に、実施例1のSTEM分析結果を示す。
図6に、実施例1のXPS分析結果を示す。

Claims (21)

  1. キャリア、酸素を含む第一中間層、金属層をこの順で有するキャリア付金属箔であって、
    前記キャリア付金属箔を幅方向(TD方向)に20mm間隔で5箇所および長手方向(MD方向)に20mm間隔で5箇所の合計10箇所について前記キャリア付金属箔のキャリアの一部、第一中間層及び金属層の一部を含む断面を、キャリアの厚み方向と同じ方向にSTEMで線分析を行い、分析結果を横軸に分析基準点からの距離(nm)、縦軸に検出元素濃度(at%)で示したとき、
    前記第一中間層において、前記10箇所の酸素が5at%以上である領域の平均面積が20nm・at%以上500nm・at%以下であり、
    前記第一中間層がCr、Mo、W、Co、Ni及びZnからなる群より選択される1種又は2種以上の元素を第一中間層構成元素として含むキャリア付金属箔。
    (キャリア、第二中間層、酸素を含む第一中間層、金属層をこの順で有するキャリア付金属箔であって、前記第二中間層がNiめっきであり、前記第一中間層が亜鉛クロメート処理層であり、前記第二中間層のNiの付着量が1011〜2600μg/dm2であるキャリア付金属箔を除く。)
  2. 前記第一中間層がTi、Zr、V、Nb、Ta、MnFe及びAlからなる群より選択される1種又は2種以上の元素を第一中間層構成元素として含む請求項1に記載のキャリア付金属箔。
  3. 前記キャリアと前記第一中間層との間に第二中間層を有する請求項1または2に記載のキャリア付金属箔。
  4. 前記第二中間層が、Cr、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Zn及びAlからなる群より選択される1種又は2種以上の元素を含む請求項に記載のキャリア付金属箔。
  5. 前記第一中間層と前記金属層との間に第三中間層を有する請求項1〜のいずれか一項に記載のキャリア付金属箔。
  6. 前記第三中間層が、Cr、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、In、Sn及びAlからなる群より選択される1種又は2種以上の元素を含む請求項に記載のキャリア付金属箔。
  7. 前記キャリア付金属箔がキャリアの一方の面に金属層を有する場合において、前記金属層側及び前記キャリア側の少なくとも一方の表面、又は、両方の表面に、または、
    前記キャリア付金属箔がキャリアの両方の面に金属層を有する場合において、当該一方または両方の金属層側の表面に、
    粗化処理層、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を有する請求項1〜のいずれか一項に記載のキャリア付金属箔。
  8. 前記防錆層及び前記耐熱層の少なくとも一方が、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛から選択される1つ以上の元素を含む請求項に記載のキャリア付金属箔。
  9. 前記粗化処理層、前記耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層の上に樹脂層を備える請求項に記載のキャリア付金属箔。
  10. 前記金属層上に樹脂層を備える請求項1〜のいずれか一項に記載のキャリア付金属箔。
  11. 前記樹脂層が誘電体を含む請求項または10に記載のキャリア付金属箔。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のキャリア付金属箔を用いてプリント配線板を製造する方法。
  13. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のキャリア付金属箔を用いて積層体を製造する方
    法。
  14. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のキャリア付金属箔と樹脂とを含む積層体であって、前記キャリア付金属箔の端面の一部または全部が前記樹脂により覆われている積層体。
  15. 一つの請求項1〜11のいずれか一項に記載のキャリア付金属箔を前記キャリア側又は前記金属層側から、もう一つの請求項1〜11のいずれか一項に記載のキャリア付金属箔の前記キャリア側又は前記金属層側に積層した積層体。
  16. 請求項14または15に記載の積層体を用いたプリント配線板の製造方法。
  17. 請求項14または15に記載の積層体に樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、
    前記樹脂層及び回路の2層を少なくとも1回形成した後に、前記積層体のキャリア付金属箔から前記金属層又は前記キャリアを剥離させる工程
    を含むプリント配線板の製造方法。
  18. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のキャリア付金属箔と絶縁基板とを準備する工程、
    前記キャリア付金属箔と絶縁基板とを積層する工程、
    前記キャリア付金属箔と絶縁基板とを積層した後に、前記キャリア付金属箔の銅箔キャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、
    その後、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって、回路を形成する工程を含むプリント配線板の製造方法。
  19. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のキャリア付金属箔の前記金属層側表面又は前記キャリア側表面に回路を形成する工程、
    前記回路が埋没するように前記キャリア付金属箔の前記金属層側表面または前記キャリア側表面に樹脂層を形成する工程、
    前記キャリアまたは前記金属層を剥離させる工程、及び、
    前記キャリアまたは前記金属層を剥離させた後に、前記金属層又は前記キャリアを除去することで、前記金属層側表面又は前記キャリア側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程
    を含むプリント配線板の製造方法。
  20. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のキャリア付金属箔の前記金属層側表面または前記キャリア側表面と樹脂基板とを積層する工程、
    前記キャリア付金属箔の樹脂基板と積層した側とは反対側の金属層側表面または前記キャリア側表面に樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、
    前記樹脂層及び回路の2層を少なくとも1回形成した後に、前記キャリア付金属箔から前記キャリアまたは前記金属層を剥離させる工程
    を含むプリント配線板の製造方法。
  21. 請求項1620のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法によって製造したプリント配線板を用いて電子機器を製造する方法。
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