JP2014070263A - 電解銅箔及び電解銅箔の製造方法 - Google Patents

電解銅箔及び電解銅箔の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】常態抗張力が高く、熱履歴後の抗張力低下が小さく、且つ銅箔中の不純物濃度が少ない電解銅箔及び電解銅箔の製造方法を提供する。
【解決手段】銅箔中の硫黄濃度が10質量ppm以上50質量ppm以下であり、走査透過型電子顕微鏡による百万倍観察で得られるSTEM画像に対して10nm間隔の格子を形成し、各格子の交点を測定点として硫黄濃度を測定した場合に、硫黄濃度が銅箔中の硫黄濃度と比較し、10倍以上高くなる測定点が存在する電解銅箔である。
【選択図】なし

Description

本発明は電解銅箔に関し、特に、二次電池負極集電体に利用可能な電解銅箔及び電解銅箔の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池負極体に用いられる電解銅箔は、エネルギー密度の増加、充放電サイクル時の耐性、活物質塗布時の加熱処理、高エネルギータイプのバインダー仕様等の様々な要求により、高強度を発現し、且つ加熱処理後の抗張力低下の少ない材料が求められてきている。また、電子の集積媒体として使用されること等から、銅純度が高く、不純物含有量の少ない電解銅箔が求められてきている。
例えば、特許第3850155号(特許文献1)では、常温及び加熱後の引張強さ及び伸び率の向上を目的として、銅箔中の不純物含有量が少なく且つ常態抗張力の高い電解銅箔の例が記載されている。特開2008−101267号公報(特許文献2)及び特開2009−299100号公報(特許文献3)では、加熱後の屈曲性能を高く維持するために、常態抗張力が高く、熱履歴後の抗張力低下も少ない電解銅箔の例が開示されている。
特許第3850155号公報 特開2008−101267号公報 特開2009−299100号公報
しかしながら、特許文献1に記載された電解銅箔は、銅箔中の不純物含有量が少なく、常態抗張力は高いが、熱履歴後の抗張力低下が大きいという問題があり、二次電池負極体用銅箔に求められる特性としては十分ではない。また、特許文献2及び特許文献3に記載された電解銅箔は、常態抗張力が高く、熱履歴後の抗張力低下も少ないが、銅箔中の不純物濃度が高いため、二次電池負極体用銅箔に求められる特性としては未だ十分とはいえない。
上記課題を鑑み、本発明は、常態抗張力が高く、熱履歴後の抗張力低下が小さく、且つ銅箔中の不純物含有量が少ない電解銅箔及び電解銅箔の製造方法を提供する。
上記課題を解決するために、本発明者が鋭意検討した結果、銅箔中に適正な量の硫黄濃度を含有させ、かつ粒界及び粒内に硫黄を選択的に析出させることで、高強度を発現し、熱履歴後の抗張力低下が小さい電解銅箔が得られることを見出した。
かかる知見を基礎として完成した本発明は一側面において、銅箔中の硫黄濃度が10質量ppm以上50質量ppm以下であり、走査透過型電子顕微鏡による百万倍観察で得られるSTEM画像に対して10nm間隔の格子を形成し、各格子の交点を測定点として硫黄濃度を測定した場合に、硫黄濃度が銅箔中の硫黄濃度と比較し10倍以上、より好ましくは40倍以上高くなる測定点が存在する電解銅箔である。
本発明に係る電解銅箔は一実施態様において、常態抗張力が50kgf/mm2以上であり、250℃30分間加熱した後の抗張力が常態抗張力の90%以上であり、伸びが5.0%以上である。
本発明に係る電解銅箔は別の一実施態様において、銅箔中の窒素濃度が20質量ppm以下、塩素濃度が10質量ppm以下である。
本発明は別の一側面において、ニカワを2〜10質量ppm含み、銅箔中の硫黄濃度が10質量ppm以上50質量ppmとなるように調整した電解液を使用し、電解温度60〜65℃、電流密度60〜120A/dm2で電解することにより、上記電解銅箔を製造する電解銅箔の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、上記電解銅箔を用いた集電体である。
本発明は更に別の一側面において、上記電解銅箔を集電体に用いた二次電池である。
本発明によれば、常態抗張力が高く、熱履歴後の抗張力低下が小さく、且つ高い伸びを有する電解銅箔及び電解銅箔の製造方法が提供できる。
本発明の実施の形態に係る電解銅箔は、銅箔中の硫黄濃度が10質量ppm以上50質量ppm以下であり、走査透過型電子顕微鏡による百万倍観察で得られるSTEM画像に対して10nm間隔の格子を形成し、各格子の交点を測定点として硫黄濃度を測定した場合に硫黄濃度が銅箔中の硫黄濃度と比較し、高くなる測定点が存在する電解銅箔である。
銅箔中の不純物濃度、特に硫黄濃度を適切な範囲とし、且つ、粒界並びに粒内に不純物を選択的に高濃度で偏析させた電解銅箔とすることにより、高強度を発現し、且つ250℃30分間の加熱後においても、抗張力の低下を抑制可能な電解銅箔が得られる。
銅箔中に含まれる不純物としては、例えば、硫黄、窒素、塩素等が挙げられる。本発明の実施の形態に係る電解銅箔では、銅箔中の硫黄濃度を適正な範囲に調整することにより、高強度な電解銅箔が得られる。但し、硫黄濃度が高すぎると、リチウムイオン二次電池特性として重要な伸び特性の低下に繋がる場合がある。そのため、銅箔中の硫黄濃度は50質量ppm以下、より好ましくは40質量ppm以下とするのが好ましい。一方、硫黄濃度が少なすぎても高強度化の効果を得ることができない場合があるため、硫黄濃度の下限値は、例えば10質量ppm以上、より好ましくは15質量ppm以上とすることができる。銅箔中の窒素濃度は、20質量ppm以下が好ましく、銅箔中の塩素濃度は10質量ppm以下が好ましい。
銅箔中の硫黄濃度及びその他の不純物濃度の測定は、本発明の実施の形態に係る電解銅箔を燃焼分析することにより行われる。具体的には、N:不活性ガス融解−熱伝導度法、TC−436(LECO社製)、S:燃焼−赤外線吸収法、CS−400(LECO社製)、Cl:熱加水分解−イオンクロマトグラフ法、DX−500(日本ダイオネクス製)により測定される。
本発明の実施の形態に係る電解銅箔は、走査透過型電子顕微鏡(STEM)による百万倍観察を行った場合に以下の特徴を有している。即ち、電解銅箔をFIBにて、銅箔厚み方向に加工した薄片(厚さ:約0.1μm、幅:30μm、長さ:銅箔厚み)をSTEM観察用の試験試料として作製し、STEMの百万倍観察で得られるSTEM画像に対して縦横10nm間隔の直線を規定して格子を形成し、各格子の交点となる部分を測定点として各測定点の不純物濃度を測定した場合に、銅箔中の硫黄濃度よりも高くなる測定点が存在する。「銅箔中の硫黄濃度」とは、銅箔を燃焼させ、揮発したガス成分量から測定した硫黄濃度を指す。
言い換えれば、本発明の実施の形態に係る電解銅箔は、銅箔中の硫黄濃度が10質量ppm以上50質量ppm以下であり、走査透過型電子顕微鏡による百万倍観察で得られるSTEM画像に対して10nm間隔の格子を形成し、格子の交点を測定点として不純物濃度を測定した場合に、硫黄濃度が銅箔中の硫黄濃度と比較し、10倍以上、より好ましくは20倍以上、更に好ましくは40倍以上、更に好ましくは50倍以上、更に好ましくは100倍以上となる格子の交点が存在する。更に好ましくは、硫黄濃度が銅箔中の硫黄濃度と比較し130倍以上である、より好ましくは150倍以上、更に好ましくは200倍以上、更に好ましくは250倍以上、更に好ましくは300倍以上である。上限値に特に制限はないが、銅箔中の硫黄の含有量及び以下に示す製造方法を考慮すると、5000倍以下、より具体的には1000倍以下、更に具体的には500倍以下である。
電解銅箔においては、銅は硫化物を形成しやすいことから、銅箔中に、例えば10質量ppm以上50質量ppm以下の硫黄を含有させることにより、銅箔中にはCuS等の析出粒子が形成されると推測される。このような析出粒子が銅箔中に存在すると、転移の移動に対する抵抗力が増すため、機械的強さが向上し、常態抗張力が高くなる。また、析出粒子はピン止め効果により結晶粒の成長を抑制する効果があるため、熱履歴後でも抗張力の低下が小さくすることができる。
本発明に係る電解銅箔は、粒界並びに粒内に硫黄を選択的に偏析させた構造を具備することにより、電解銅箔に熱を加えた場合においても、強度の低下を抑制しつつ、集電体として必要な強度を保持できる。また、本発明に係る電解銅箔によれば、粒界並びに粒内に硫黄を選択的に偏析させた構造を具備することにより、従来の電解銅箔に比べて強度に加えて伸び性にも優れた電解銅箔が得られるため、二次電池負極集電体としてより好適な電解銅箔材料が得られる。
なお、STEMによる測定は、日本電子株式会社製JEM−2100Fにより行うことができる。
本発明の実施の形態に係る電解銅箔は、上記の特徴を具備することにより、常態抗張力が50kgf/mm2以上、より好ましくは50〜70kgf/mm2以上もの高い抗張力を発現し、250℃30分間加熱した後の抗張力が常態抗張力の90%以上に保持される。これにより、プレス加工性、スリット加工性に優れた電解銅箔が得られる。本発明において「抗張力」とは、IPC-TM-650に基づく引張強さ試験をした場合の値を示し、「常態抗張力」とは、常態(23℃)においてIPC-TM-650に基づく引張強さ試験をした場合の値を示す。
本発明の実施の形態に係る電解銅箔をIPC-TM-650に基づいて測定した場合の伸びは、例えば銅箔の厚さが10μmの場合に、5.0%以上を示し、より具体的には5.0〜10.0%、更に具体的には5.0〜8.0%である。これにより、強度と伸びのバランスに優れた電解銅箔が得られる。
本発明の実施の形態に係る電解銅箔は、従来の電解銅箔に比べて表面粗さRzが小さく、表面粗さRz2.0μm以下、更には1.8μm以下、更には0.6〜1.7μmである。「表面粗さRz」の値は、JIS-B-0601(1994)に基づく粗さ試験により測定した結果を示す。これにより、電解銅箔上に塗布される防錆層等との接着性が高くなり、電解銅箔として良好な製品ハンドリング性が得られる。
本発明の実施の形態に係る電解銅箔を製造する場合は、ニカワを2〜10質量ppm含み、銅箔中の硫黄濃度が10質量ppm以上50質量ppm以下となるように調整した電解液を使用し、電解温度60〜65℃、電流密度60〜120A/dm2で電解することにより行う。より具体的には、電解槽の中に、直径約3000mm、幅約2500mmのチタン製又はステンレス製の回転ドラムと、ドラムの周囲に3〜10mm程度の極間距離を置いて電極を配置した電解銅箔製造装置を用いて、製造することができる。なお、この装置の例は一例であり、装置の仕様に特に制限はない。
電解槽中には、銅濃度:80〜110g/L、硫酸濃度:70〜110g/Lの硫酸系電解液に対して、にかわ濃度:2.0〜10.0質量ppmを添加する。
そして、線速:1.5〜5.0m/s、電解液温:60〜65℃、電流密度:60〜120A/dm2に調節し、回転ドラムの表面に銅を析出させ、回転ドラムの表面に析出した銅を剥ぎ取り、連続的に電解銅箔を製造する。上記工程において、電解液温度を60〜65℃とし、電流密度を60〜120A/dm2として電解することが、上記の特性を有する電解銅箔を得るために好適な条件であり、特に電解液温の調整が特徴的である。
電解銅箔の表面又は裏面、さらには両面には、防錆処理を行うことが好ましい。防錆処理は、クロム酸化物単独の皮膜処理或いはクロム酸化物と亜鉛/亜鉛酸化物との混合物皮膜処理である。クロム酸化物と亜鉛/亜鉛酸化物との混合物皮膜処理とは、亜鉛塩または酸化亜鉛とクロム酸塩とを含むめっき浴を用いて電気めっきにより亜鉛または酸化亜鉛とクロム酸化物とより成る亜鉛−クロム基混合物の防錆層を被覆する処理である。
めっき浴としては、代表的には、K2Cr27、Na2Cr27等の重クロム酸塩やCrO3等の少なくとも一種と水酸化アルカリ並びに酸の混合水溶液が用いられる。また、上記水溶液と水溶性亜鉛塩、例えばZnO 、ZnSO4・7H2Oなど少なくとも一種との混合水溶液も用いることができる。
防錆処理前に必要に応じて粗化処理を施すことができる。粗化粒子として、銅、コバルト、ニッケルの1種のめっき又はこれらの2種以上の合金めっきを形成することができる。通常、銅、コバルト、ニッケルの3者の合金めっきにより、粗化粒子を形成する。さらに、二次電池用負極集電体用銅箔は、耐熱性及び耐候(耐食)性を向上させるために、表裏両面の粗化処理面上に、コバルト−ニッケル合金めっき層、亜鉛−ニッケル合金めっき層、クロメート層から選択した一種以上の防錆処理層又は耐熱層及び/又はシランカップリング層を形成することが望ましい。
必要に応じ、銅箔と活物質との接着力の改善を主目的として、防錆層上の両面もしくは析出面にシランカップリング剤を塗布するシラン処理が施してもよい。このシラン処理に使用するシランカップリング剤としては、オレフィン系シラン、エポキシ系シラン、アクリル系シラン、アミノ系シラン、メルカプト系シランを挙げることができるが、これらを適宜選択して使用することができる。塗布方法は、シランカップリング剤溶液のスプレーによる吹付け、コーターでの塗布、浸漬、流しかけ等いずれでもよい。
以下に本発明の実施例を示すが、以下の実施例に本発明が限定されることを意図するものではない。
(実施例1〜4)
電解槽の中に、直径約3133mm、幅2476.5mmのチタン製の回転ドラムと、ドラムの周囲に5mm程度の極間距離を置いて電極を配置した。この電解槽の中に、線速:1.5〜5.0m/s、銅濃度:90g/L、硫酸濃度:80g/L、にかわ濃度:3〜10.0質量ppmを導入して電解液とした。そして、電解液温:60℃、電流密度:85A/dm2に調節し、回転ドラムの表面に銅を析出させ、回転ドラムの表面に析出した銅を剥ぎ取り、連続的に電解銅箔を製造した。実施例1の電解銅箔の厚みは10μmとした。実施例2〜4の電解銅箔の厚みはそれぞれ6μm、12μm、18μmとした。なお、線速が高いほど、にかわ濃度が高いほど、硫黄の偏析が促進する傾向(すなわち銅箔中の硫黄濃度より、硫黄濃度がより高くなる箇所が存在する傾向)にあった。
(比較例1)
電解槽の中に、直径約3133mm、幅2476.5mmのチタン製の回転ドラムと、ドラムの周囲に5mm程度の極間距離を置いて電極を配置した。この電解槽の中に、銅濃度:90g/L、硫酸濃度:80g/L、さらに添加剤ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド:30ppm、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する化合物とアミン化合物とを付加反応させることにより得られる特定骨格を有するアミン化合物:30ppm、ジエチルチオ尿素:5ppm、塩素イオン:60ppmを導入して電解液とした。そして、電解液温:53℃、電流密度:60A/dm2に調節し、回転ドラムの表面に銅を析出させ、回転ドラムの表面に析出した銅を剥ぎ取り、連続的に厚さ10μmの電解銅箔を製造した。
(比較例2)
電解槽の中に、直径約3133mm、幅2476.5mmのチタン製の回転ドラムと、ドラムの周囲に5mm程度の極間距離を置いて電極を配置した。この電解槽の中に、銅濃度:90g/L、硫酸濃度:80g/Lを導入して電解液とした。そして、電解液温:53℃、電流密度:60A/dm2に調節し、回転ドラムの表面に銅を析出させ、回転ドラムの表面に析出した銅を剥ぎ取り、連続的に厚さ10μmの電解銅箔を製造した。
(比較例3)
電解槽の中に、直径約3133mm、幅2476.5mmのチタン製の回転ドラムと、ドラムの周囲に5mm程度の極間距離を置いて電極を配置した。この電解槽の中に、銅濃度:90g/L、硫酸濃度:80g/L、さらに添加剤ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド:30ppm、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する化合物とアミン化合物とを付加反応させることにより得られる特定骨格を有するアミン化合物:30ppm、塩素イオン:60ppmを導入して電解液とした。そして、電解液温:53℃、電流密度:60A/dm2に調節し、回転ドラムの表面に銅を析出させ、回転ドラムの表面に析出した銅を剥ぎ取り、連続的に厚さ10μmの電解銅箔を製造した。
−特性評価方法―
<燃焼分析による銅箔中の硫黄及びその他の不純物の分析>
実施例1〜4及び比較例1〜3の電解銅箔に対して、具体的には、N:不活性ガス融解−熱伝導度法、TC−436(LECO社製)、S:燃焼−赤外線吸収法、CS−400(LECO社製)、Cl:熱加水分解−イオンクロマトグラフ法、DX−500(日本ダイオネクス製)により測定した。
<STEM分析による銅箔観察視野中の格子の交点の硫黄濃度>
走査透過型電子顕微鏡(STEM)として日本電子株式会社製JEM-2100Fを使用し、実施例1〜4及び比較例1〜3の電解銅箔に対して、FIBにて、銅箔厚み方向に加工した薄片(厚さ:約0.1μm、幅:30μm、長さ:10μm)をSTEM観察用の試験試料として作製した。STEM観察用試料の厚み面(厚さ:約0.1μm)が照射ビームとほぼ垂直になるように設置し、STEM観察並びに解析を実施した。
そして、実施例1〜4及び比較例1〜3の電解銅箔の試験試料を観察して得られたSTEM画像に対して縦横(垂直・水平方向)に10nm間隔の直線を規定することにより格子を形成し、各格子の交点となる部分を測定点として、測定点の硫黄濃度をそれぞれ測定した。測定点は、あらかじめ面分析を実施した際に、局所的に偏析する部位(特異点)がある場合にはその部位が測定点に該当するように格子を形成して評価した。
<常態抗張力と熱履歴後の抗張力測定>
実施例1〜4及び比較例1〜3の電解銅箔に対し、常態(23℃)の場合と、実施例1及び比較例1〜3の電解銅箔を250℃30分間した後の電解銅箔についてそれぞれIPC-TM-650に基づく引張試験を実施した。結果を表1に示す。
<伸び>
実施例1〜4及び比較例1〜3の電解銅箔に対し、それぞれIPC-TM-650に基づく引張試験を実施した。結果を表1に示す。
Figure 2014070263
実施例1の電解銅箔は、燃焼分析の結果、銅箔中の硫黄濃度が50質量ppm以下と低く、また、STEM分析による濃度測定の結果、硫黄濃度が0.7質量%となる測定点(特異点)が存在し、銅箔中の硫黄濃度に比べて濃度が高かった。その結果、常態抗張力が高く、加熱後抗張力の値が常態抗張力の90%以上であった。伸びも比較例1に比べて高い値を示した。
実施例2〜4の電解銅箔も、銅箔中の硫黄濃度が低く、STEM分析による濃度測定の結果、燃焼分析結果で得られた硫黄濃度よりも硫黄濃度が高くなる測定点(特異点)が存在し、銅箔中の硫黄濃度に比べて濃度が高かった。その結果、常態抗張力が高く、加熱後抗張力の低下も小さく、伸びも比較例1に比べて高い値を示した。
比較例1は、STEM分析による濃度測定の結果、燃焼分析結果で得られた硫黄濃度よりも硫黄濃度が高くなる測定点(特異点)が存在するものの、燃焼分析の結果、銅箔中の硫黄濃度が190質量ppmと硫黄濃度が高いため、常態抗張力は高いが、伸びは3.5%小さかった。銅箔中の硫黄濃度が高すぎるため、伸びが3.5%と低く、本発明の条件を満足していなかった。また、加熱後の常態抗張力保持率も90%以下であり、本発明の好適な条件を満足していない。これは、たとえ特異点が存在してもマトリックス中の硫黄濃度を低くする特異点の効果が少ないためと考えられる。
比較例2は、燃焼分析の結果、硫黄濃度が低く、また、STEM分析による濃度測定の結果、燃焼分析結果で得られた銅箔中の硫黄濃度よりも硫黄濃度が高くなる測定点(特異点)は存在しなかった。その結果、伸びは比較的高い値を示したが、熱履歴前後の抗張力の変化が大きく、加熱後の常態抗張力保持率も90%以下であり、本発明の好適な条件を満足していない。
比較例3は、燃焼分析の結果、硫黄濃度が低く、伸びも比較的高い値を示したが、常態抗張力が35kgf/mm2を示しており、50kgf/mm2以下の低い値であった。また、STEM分析による濃度測定の結果、燃焼分析結果で得られた銅箔中の硫黄濃度よりも硫黄濃度が高くなる測定点(特異点)は存在せず、本発明の好適な条件を満足していない。比較例3は、硫黄濃度が低く、伸びも高い値を有しているが、特異点が存在しないため、抗張力(常態、加熱後)が低い値となったと考えられる。

Claims (7)

  1. 銅箔中の硫黄濃度が10質量ppm以上50質量ppm以下であり、
    走査透過型電子顕微鏡による百万倍観察で得られるSTEM画像に対して10nm間隔の格子を形成し、各格子の交点を測定点として硫黄濃度を測定した場合に、硫黄濃度が銅箔中の硫黄濃度と比較し、10倍以上高くなる測定点が存在する電解銅箔。
  2. 銅箔中の硫黄濃度が10質量ppm以上50質量ppm以下であり、
    走査透過型電子顕微鏡による百万倍観察で得られるSTEM画像に対して10nm間隔の格子を形成し、各格子の交点を測定点として硫黄濃度を測定した場合に、硫黄濃度が銅箔中の硫黄濃度と比較し、40倍以上高くなる測定点が存在する電解銅箔。
  3. 常態抗張力が50kgf/mm2以上であり、250℃30分間加熱した後の抗張力が前記常態抗張力の90%以上であり、伸びが5.0%以上である請求項1または2に記載の電解銅箔。
  4. 銅箔中の窒素濃度が20質量ppm以下、塩素濃度が10質量ppm以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の電解銅箔。
  5. ニカワを2〜10質量ppm含み、銅箔中の硫黄濃度が10質量ppm以上50質量ppmとなるように調整した電解液を使用し、電解温度60〜65℃、電流密度60〜120A/dm2で電解することにより、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解銅箔を製造することを特徴とする電解銅箔の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の電解銅箔を用いた集電体。
  7. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の電解銅箔を集電体に用いた二次電池。
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