JP6820186B2 - 基板取り扱い装置及び基板取り扱い方法 - Google Patents
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Description
低酸素雰囲気で基板を取り扱う場合、装置に真空チャンバーを設け、真空チャンバー内で基板を取り扱う方法が採用されることが多い。この場合、基板を真空チャンバー内に搬入し、いったん真空チャンバー内を真空排気して酸素を除去した後、必要に応じて窒素等の不活性ガスを導入しながら基板を取り扱う(真空ガス置換法)。
真空チャンバーの容積を小さくすれば真空排気に要する時間を短くできるが、基板の搬入搬出用の機構のためにある程度の空間が必要であり、容積を小さくすることには限界がある。
また、高い排気速度で真空チャンバー内を排気すると、真空チャンバー内に存在するパーティクルが舞い上がってしまい易く、パーティクルが基板に付着して基板を汚損してしまう問題が生じ易い。
これらの問題を考慮した従来技術として、特許文献1に開示された技術がある。特許文献1では、真空排気を行わずに大量の不活性ガスを流して酸素ガスのパージを継続しつつ、パージのために流した不活性ガスを排気し続けることで低酸素雰囲気を作り出している。
本願の発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、低酸素雰囲気で基板を取り扱う基板取り扱い装置であって、比較的安価なコストで且つ全体の所要時間が長くならない実用的な装置を提供することを目的とする。
カバー内にパージガスを導入して陽圧とすることで大気に比べて低酸素雰囲気とすることが可能なパージガス導入系と、
カバー内に配置され、カバー内で真空チャンバーを形成するチャンバー形成体と、
チャンバー形成体が形成した真空チャンバー内で基板を保持する基板保持体と、
取り扱いのために基板を搬入して基板保持体に保持させ、取り扱い後に基板を搬出する搬送系と、
チャンバー形成体が形成した真空チャンバー内を排気する排気口を含む排気系と
を備えており、
カバーは、搬送系による基板の搬入搬出のための開口である搬送用開口を備えており、搬送用開口を開閉するシャッターが設けられていて、シャッターが開いた状態ではカバー内の閉鎖空間は搬送用開口を通してカバー外の大気と連通した状態となる構造であり、
チャンバー形成体は、基板の搬入、搬出の際にはパージガス導入系により低酸素雰囲気とされた空間内で互いに離間し、基板が保持された状態では互いに密着する複数の部材であり、
排気系の排気口及び搬送用開口以外には、導入されたパージガスの排出口は設けられていないという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項1の構成において、前記チャンバー形成体を駆動して互いに離間させるとともに、前記チャンバー形成体を駆動して互いに密着させるチャンバー駆動機構を備えているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、前記請求項2の構成において、前記基板保持体は加熱源を備えたヒートステージであり、前記チャンバー駆動機構は、前記基板保持体をいずれかの前記チャンバー形成体と一体に移動させる機構であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、前記請求項1乃至3いずれかの構成において、前記チャンバー形成体により真空チャンバーが形成されている状態で当該真空チャンバー内にベントガスを導入して大気圧に戻すベントガス導入系が設けられており、ベントガス導入系は、カバー内への酸素ガスの進入を抑制するよう動作可能なものであって、パージガスの導入位置よりも前記搬送用開口に近い位置でベントガスを導入する系であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項5記載の発明は、前記請求項4の構成において、装置の各部が所定のシーケンスで動作するよう制御するコントローラが設けられており、
コントローラは、前記真空チャンバー内が大気圧に戻った後も前記カバー内への酸素ガスの進入を抑制するよう前記ベントガス導入系を動作させる制御を行うものであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項6記載の発明は、前記請求項1乃至5いずれかの構成において、ベース盤と、ベース盤の上側に位置してベース盤と向かい合う天板とが設けられており、前記カバーは、ベース盤と天板との間の空間を閉鎖空間とするものであり、
前記チャンバー形成体は、閉鎖空間内で天板に対して上下動するチャンバーベースを含んでおり、
チャンバーベースは、天板に気密に密着する周状のチャンバー側壁部を有しており、チャンバー側壁部は、水平方向内側が真空空間となり水平方向外側が非真空の空間となる部位であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項7記載の発明は、内部を閉鎖空間とするカバーと、
カバー内にパージガスを導入して陽圧とすることで大気に比べて低酸素雰囲気とすることが可能なパージガス導入系と、
カバー内に配置され、カバー内で真空チャンバーを形成するチャンバー形成体と、
チャンバー形成体が形成した真空チャンバー内で基板を保持する基板保持体と、
取り扱いのために基板を搬入して基板保持体に保持させ、取り扱い後に基板を搬出する搬送系と、
チャンバー形成体が形成した真空チャンバー内を排気する排気系と
を備えており、
カバーは、搬送系による基板の搬入搬出のための開口である搬送用開口を備えており、搬送用開口を開閉するシャッターが設けられていて、シャッターが開いた状態ではカバー内の閉鎖空間は搬送用開口を通してカバー外の大気と連通した状態となる構造であり、
チャンバー形成体は、基板の搬入、搬出の際にはパージガス導入系により低酸素雰囲気とされた空間内で互いに離間し、基板が保持された状態では互いに密着する複数の部材であり、排気系の排気口及び搬送用開口以外には、導入されたパージガスの排出口は設けられていない基板取り扱い装置において基板を取り扱う基板取り扱い方法であって、
シャッターを開いて搬送用開口を通して搬送系により基板を搬入して基板保持体に保持させる搬入工程と、
搬入工程の後、シャッターを閉じ、チャンバー形成体により真空チャンバーを形成して真空チャンバー内を排気系によって排気して真空雰囲気とする真空排気工程と、
真空排気工程の後、真空チャンバー内にベントガス導入系によってベントガスを導入して真空チャンバー内を大気圧に戻すベント工程と、
ベント工程の後、シャッターを開いて搬送用開口を通して基板を搬送系により搬出する搬出工程とを有しており、
搬出工程において、パージガス導入系によるパージガスの導入に加えてベントガス導入系によりベントガスを導入することで搬送用開口からの酸素ガスの進入を防止するという構成を有する。
また、請求項2記載の発明によれば、上記効果に加え、チャンバー駆動機構がチャンバー形成体を密着させて真空チャンバーを形成したり両者を離間させたりするので、装置の構造がよりシンプルになるという効果が得られる。
また、請求項3記載の発明によれば、上記効果に加え、ヒートステージによって基板が加熱されるのに加え、ヒートステージがチャンバー形成体と一体に移動するので、この点で装置の構造がよりシンプルになるという効果が得られる。
また、請求項4記載の発明によれば、上記効果に加え、ベントガス導入系が設けられているので真空チャンバー内の大気圧復帰が迅速に行えるとともに、当該ベントガス導入系は基板の搬入搬出の際のカバー内への酸素ガスの進入を抑制できるので、この点で真空チャンバー内を低酸素雰囲気にするのがさらに容易となるという効果が得られる。
図1は、実施形態の基板取り扱い装置の正面断面概略図である。図1に示す基板取り扱い装置は、低酸素雰囲気中で基板Sを取り扱う装置である。この実施形態では、低酸雰囲気中で基板Sを加熱しつつ基板Sに対して光照射する処理が基板Sの取り扱いとなっているが、これは一例であり、他の処理であっても良く、処理以外の基板Sの取り扱いであっても良い。
カバー1は例えばスチール製であり、板金加工によるものを採用することができる。カバー1は、内部を閉鎖空間とするものであるものの、後述するような真空チャンバーではなく、内部を気密空間とするものではない。
カバー1の上側開口は、天板31により塞がされている。天板31は、ベース盤4に立設された支柱41によって支えられている。例えば4本程度の支柱41がベース盤4の対角線上に設けられている。
具体的に説明すると、昇降の際のリニアガイドとして支柱41が兼用されている。チャンバーベース32には、各支柱41が配置された位置に貫通孔が設けられており、各貫通孔を通して各支柱41が配設されている。各貫通孔にはベアリング411が設けられている。
チャンバーベース32の下面中央には、駆動軸331が固定されている。ベース盤4の中央には挿通孔が形成されており、駆動軸331は挿通孔に挿通されている。駆動軸331は、ACサーボモータのような直線駆動源332の出力軸に固定されている。
直線駆動源332は、チャンバーベース32を上昇させチャンバー側壁部321が天板31に気密に当接する位置でチャンバーベース32を停止させるためのサーボ機構を含んでいる。チャンバー側壁部321が天板31に気密に当接すると、気密な窓板311を含む天板31とチャンバーベース32とより真空チャンバーが形成されるようになっている。
ヒートステージ5は、内部に抵抗発熱式のような不図示の加熱源を備えた台状の部材である。ヒートステージ5は、チャンバーベース32の上面に固定されている。ヒートステージ5が設けられた位置は、チャンバー側壁部321の内側であり、したがって上述したように真空チャンバーが形成されると、真空チャンバー内に位置する。
搬送系については、種々のものが採用できるが、例えば基板Sを支持するハンド61を先端に備えたロボットを採用することができる。ロボットは、多関節アーム型のものでも良いし、XYZの直線駆動機構を組み合わせたものであっても良い。
各受け渡しピン51の配置は、ハンド61の関係で干渉がない配置とされる。例えば、受け渡しピン51は正方形の各角の位置に配置され、ハンド61は、その正方形の一辺よりも短い幅の板状とされ、ハンド51が受け渡しピン51の間を通って昇降する構成とされる。
まず、パージガス導入系2は、カバー1内に不活性ガスを流してカバー1内を陽圧にすることでカバー1内を低酸素雰囲気にすることができる系である。カバー1は、真空チャンバーを形成するものではないので、ベース盤4や天板31との接合箇所等から僅かにガスが漏れるが、これを補う形で不活性ガスが常時流される。このため、カバー1内は、常時陽圧(大気圧より高い圧力)となる。図1に示すように、この実施形態では、天板31にパージガスノズル21が取り付けられている。パージガスノズル21の取付位置は、形成される真空チャンバーの外側であってカバー1内であれば特に制限はないが、この実施形態では天板31から吊り下げられている。尚、本明細書において、「ノズル」は、単に噴射用の開口を有する管の先端部分である場合を含む。
装置は基本的に枚葉式であり、基板Sを一枚ずつ取り扱う。スタンバイ状態では、シャッター11は閉じられた状態であり、チャンバー駆動機構33はチャンバーベース32を所定の下限位置(スタンバイ位置)に位置させている。したがって、受け渡しピン51の上端はヒートステージ5の上面(基板載置面)よりも高い位置にある。また、パージガス導入系2はパージガスの導入を継続しており、カバー1内は大気圧より少し高い圧力(例えば、シャッター11の開時は大気圧+1Pa、閉時は大気圧+20Pa程度)となっている。
この状態で、チャンバー駆動機構33が動作し、チャンバーベース32を所定距離上昇させる。この際の上昇距離は、チャンバーベース32のチャンバー側壁部321の上端が天板31の下面に当接する距離である。チャンバー駆動機構33に含まれるサーボ機構は、この距離を精度良く制御する。
尚、真空排気の際にはパーティクルの舞い上がりを防止するため、排気速度をあまり高くせずに緩やかに排気することが望ましい。また、基板Sを搬出する際のベントも同様で、緩やかにベントガスを導入して大気圧に戻すようにすることが望ましい。
このように、実施形態の装置は、カバー1により陽圧の低酸素雰囲気とされた空間内に限定的に真空チャンバーを形成してそこを排気系8で排気することで低酸素雰囲気中の基板Sの取り扱いを実現するので、不活性ガス導入、真空排気の双方について大がかりなものにならず、このため、所要時間が短く且つ安価なコストの基板取り扱い装置となっている。尚、カバー1は、内部にパージガスを導入することで内部を陽圧にすることができる程度の閉鎖性は必要であるが、真空チャンバーである必要はなく、真空に耐え得る厚さや気密性を有する必要はない。この点も、装置コストの低減に貢献している。
尚、実施形態では基板Sの取り扱いは加熱を含むものであったためヒートステージ5が採用されているが、加熱を行わないステージであっても良い。また、複数のピンの上に基板Sが載置される構成のようなステージ以外の基板保持体を採用される場合もあり得る。
尚、上記実施形態において、受け渡しピン51が貫通する貫通孔に配置されたシール部材52は、装置の動作を繰り返すうちに摩耗する場合がある。摩耗が問題となる場合には、シール部材52に代え、真空ベローズが採用され得る。真空ベローズの一端はピンベース53に気密に固定され、他端はチャンバーベース32の下面に気密に固定される。真空ベローズは、各受け渡しピン51について設けられ、チャンバーベース32の下方において各受け渡しピン51を気密に取り囲むものとされる。
11 シャッター
12 シャッター駆動機構
2 パージガス導入系
21 パージガスノズル
31 天板
311 窓板
32 チャンバーベース
321 チャンバー側壁部
33 チャンバー駆動機構
4 ベース盤
41 支柱
5 ヒートステージ
51 受け渡しピン
52 シール部材
6 搬送系
61 ハンド
7 光源
8 排気系
9 ベントガス導入系
91 ベントガスノズル
S 基板
Claims (7)
- 内部を閉鎖空間とするカバーと、
カバー内にパージガスを導入して陽圧とすることで大気に比べて低酸素雰囲気とすることが可能なパージガス導入系と、
カバー内に配置され、カバー内で真空チャンバーを形成するチャンバー形成体と、
チャンバー形成体が形成した真空チャンバー内で基板を保持する基板保持体と、
取り扱いのために基板を搬入して基板保持体に保持させ、取り扱い後に基板を搬出する搬送系と、
チャンバー形成体が形成した真空チャンバー内を排気する排気口を含む排気系とを備えており、
カバーは、搬送系による基板の搬入搬出のための開口である搬送用開口を備えており、搬送用開口を開閉するシャッターが設けられていて、シャッターが開いた状態ではカバー内の閉鎖空間は搬送用開口を通してカバー外の大気と連通した状態となる構造であり、
チャンバー形成体は、基板の搬入、搬出の際にはパージガス導入系により低酸素雰囲気とされた空間内で互いに離間し、基板が保持された状態では互いに密着する複数の部材であり、
排気系の排気口及び搬送用開口以外には、導入されたパージガスの排出口は設けられていないことを特徴とする基板取り扱い装置。 - 前記チャンバー形成体を駆動して互いに離間させるとともに、前記チャンバー形成体を駆動して互いに密着させるチャンバー駆動機構を備えていることを特徴とする請求項1記載の基板取り扱い装置。
- 前記基板保持体は加熱源を備えたヒートステージであり、前記チャンバー駆動機構は、前記基板保持体をいずれかの前記チャンバー形成体と一体に移動させる機構であることを特徴とする請求項2記載の基板取り扱い装置。
- 前記チャンバー形成体により真空チャンバーが形成されている状態で当該真空チャンバー内にベントガスを導入して大気圧に戻すベントガス導入系が設けられており、
ベントガス導入系は、カバー内への酸素ガスの進入を抑制するよう動作可能なものであって、前記パージガス導入系によるパージガスの導入位置よりも前記搬送用開口に近い位置でベントガスを導入する系であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の基板取り扱い装置。 - 装置の各部が所定のシーケンスで動作するよう制御するコントローラが設けられており、
コントローラは、前記真空チャンバー内が大気圧に戻った後も前記カバー内への酸素ガスの進入を抑制するよう前記ベントガス導入系を動作させる制御を行うものであることを特徴とする請求項4記載の基板取り扱い装置。 - ベース盤と、ベース盤の上側に位置してベース盤と向かい合う天板とが設けられており、前記カバーは、ベース盤と天板との間の空間を閉鎖空間とするものであり、
前記チャンバー形成体は、閉鎖空間内で天板に対して上下動するチャンバーベースを含んでおり、
チャンバーベースは、天板に気密に密着する周状のチャンバー側壁部を有しており、チャンバー側壁部は、水平方向内側が真空空間となり水平方向外側が非真空の空間となる部位であることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の基板取り扱い装置。 - 内部を閉鎖空間とするカバーと、
カバー内にパージガスを導入して陽圧とすることで大気に比べて低酸素雰囲気とすることが可能なパージガス導入系と、
カバー内に配置され、カバー内で真空チャンバーを形成するチャンバー形成体と、
チャンバー形成体が形成した真空チャンバー内で基板を保持する基板保持体と、
取り扱いのために基板を搬入して基板保持体に保持させ、取り扱い後に基板を搬出する搬送系と、
チャンバー形成体が形成した真空チャンバー内を排気する排気系と
を備えており、
カバーは、搬送系による基板の搬入搬出のための開口である搬送用開口を備えており、搬送用開口を開閉するシャッターが設けられていて、シャッターが開いた状態ではカバー内の閉鎖空間は搬送用開口を通してカバー外の大気と連通した状態となる構造であり、
チャンバー形成体は、基板の搬入、搬出の際にはパージガス導入系により低酸素雰囲気とされた空間内で互いに離間し、基板が保持された状態では互いに密着する複数の部材であり、排気系の排気口及び搬送用開口以外には、導入されたパージガスの排出口は設けられていない基板取り扱い装置において基板を取り扱う基板取り扱い方法であって、
シャッターを開いて搬送用開口を通して搬送系により基板を搬入して基板保持体に保持させる搬入工程と、
搬入工程の後、シャッターを閉じ、チャンバー形成体により真空チャンバーを形成して真空チャンバー内を排気系によって排気して真空雰囲気とする真空排気工程と、
真空排気工程の後、真空チャンバー内にベントガス導入系によってベントガスを導入して真空チャンバー内を大気圧に戻すベント工程と、
ベント工程の後、シャッターを開いて搬送用開口を通して基板を搬送系により搬出する搬出工程とを有しており、
搬出工程において、パージガス導入系によるパージガスの導入に加えてベントガス導入系によりベントガスを導入することで搬送用開口からの酸素ガスの進入を防止することを特徴とする基板取り扱い方法。
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