JP6820102B2 - トルク検出器及びトルク検出器の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、金属歪ゲージでは、ゲージ率が小さいため、微小な歪を高精度に検出することは困難である。
また、従来方式では、金属歪ゲージを少なくとも4つ以上配置する必要がある。よって、各金属歪ゲージの相対位置及び角度を厳密に合わせる必要があり、困難であるという課題がある。
一方、近年では、産業用ロボットに対し、人と隔たりなく共存するために、人又は物等の物体に接触した際に、瞬時に接触を検知して動作が止まるような安全性が求められている。しかしながら、産業用ロボットは、自身の重み及び保持する物体の重みを有し、更に動作スピードを考慮した堅牢な筐体であることから、従来の金属歪ゲージでは高精度にトルクを検出することは難しい。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るトルク検出器の構成例を示す図である。
トルク検出器は、回転軸体5(図4参照)に加わるトルクを検出する。回転軸体5は、軸方向における一端にモータ等の駆動系6が接続され、他端にロボットハンド等の負荷系が接続される。トルク検出器は、図1に示すように、歪センサ1を備えている。
図2では、フルブリッジ回路(ホイートストンブリッジ回路)を構成する4つの抵抗ゲージ13(R1〜R4)が、シリコン層11の辺方向に対して斜め方向(45度方向)に形成され、歪センサ1が2方向のせん断応力を検知する場合を示している。なおここでは、上記斜め方向の具体例として45度方向とした場合を示したが、上記斜め方向は45度方向に限定されず、歪センサ1の特性上、ある程度のずれ(例えば44度方向又は46度方向等)は許容される。
歪センサ1の製造方法では、図3に示すように、まず、シリコン層11に、イオン注入により複数の抵抗ゲージ13を形成する(ステップST1)。そして、複数の抵抗ゲージ13によりホイートストンブリッジ回路を形成する。
次いで、シリコン層11の裏面に、エッチングにより溝部111を形成する(ステップST2)。これにより、シリコン層11の抵抗ゲージ13が形成された箇所を薄肉部112とさせる。
次いで、シリコン層11の裏面と絶縁層12の上面とを、例えば陽極接合により接合する(ステップST3)。
図5Aに示すように、回転軸体5にトルクが加えられることで、回転軸体5に取付けられた歪センサ1が歪み、歪センサ1の表面に図5Bに示すようなせん断応力が発生する。図5では、色が濃い点ほど引張応力が強い状態であり、色が薄い点ほど圧縮応力が強い状態であることを示している。そして、回転軸体5の軸方向に対して斜め方向(45度方向)を向いた抵抗ゲージ13は、このせん断応力に応じて抵抗値が変化し、歪センサ1は、抵抗値の変化に応じた電圧を出力する。そして、トルク検出器は、この歪センサ1により出力された電圧から回転軸体5に加えられたトルクを検出する。
また、抵抗ゲージ13がシリコン層11の辺方向に対して斜め方向(45度方向)に形成されている。これにより、シリコン層11の膨張及び収縮による抵抗値変化はほとんど起こらない。また、4つの抵抗ゲージ13が受ける影響は同じであるため、出力変動は理論的にはゼロである。
なお、シリコン層11は、溝部111及び連通溝部113により、全体が薄くならないように、一部のみが薄くなるように構成される必要がある。
この発明の実施の形態1に係る歪センサ1の感度に影響するパラメータとしては、歪センサ1のサイズ(チップサイズ)、絶縁層12の厚み、シリコン層11と絶縁層12との間の接合層の厚み及び硬さ、薄肉部112のサイズ及び厚みが挙げられる。
この図11に示すように、歪センサ1は、サイズが大きい程、感度が高くなる。また、歪センサ1は、同じ面積の場合には、長方形よりも正方形の方が感度が高くなる。すなわち、図11Bに示す歪センサ1は、図11Aに示す歪センサ1に対して、面積は小さいが、図11Dに示すように感度は高くなっている。
このように、歪センサ1のサイズと感度はトレードオフの関係にあるが、小型化した分、薄肉部112を形成することやその他厚みを制御することで歪センサ1を高感度にできる。
絶縁層12が厚いと歪みを吸収してしまい、歪みの伝達効率が下がる。そのため、図12に示すように、歪センサ1は、絶縁層12の厚みが薄い程、感度が高くなる。一方、絶縁層12として必要な耐電圧を考慮した最低限の厚みは必要となる。また、接合層として接着剤を用いた場合、厚みと硬さにより感度が変わる。すなわち、歪センサ1は、接着剤としてエポキシ系等のヤング率の高いものを用いた場合や接合層が薄い程、感度が高くなる。また、歪センサ1は、接着剤を用いた場合によりもはんだ接合を用いた場合の方が、感度が高くなる。
この図13に示すように、歪センサ1に薄肉部112を構成することで、薄肉部112を設けない場合に対して、約1.4倍の高感度化が可能となる。また、最も高感度となる薄肉部112のサイズは、歪センサ1のサイズを変えてもほぼ同一である(図13の例では、歪センサ1のサイズに依らず、薄肉部112のサイズが(0.5a×0.5a)の場合が最も高感度となっている)。また、薄肉部112の厚みt2は、シリコン層11の厚みt1に対して半分以下とすることでより効果がある。
基板層として上記絶縁体又は金属を用いた場合でも、一般的な金属歪ゲージよりもゲージ率は高くなる。また、成膜によって抵抗ゲージ13を形成した場合には、シリコン層11にイオン注入により抵抗ゲージ13を形成した場合に対し、結晶方位によってゲージ率が変わることはなく、すなわち、方向を限定する必要がなくなる。
一方、ゲージ率は、成膜によって抵抗ゲージ13を形成した場合に対し、シリコン層11にイオン注入により抵抗ゲージ13を形成した場合の方が、4〜10倍以上高くなる。
5 回転軸体
6 駆動系
11 シリコン層(基板層)
12 絶縁層
13 抵抗ゲージ(拡散抵抗)
111 溝部
112 薄肉部
113 連通溝部
Claims (7)
- 外力に応じて歪みが生じるシリコン層と、
前記シリコン層に形成された抵抗ゲージと、
前記シリコン層の一面に形成され、当該シリコン層の前記抵抗ゲージが形成された箇所を薄肉部とさせる溝部と、
前記シリコン層の一面に形成され、前記溝部を当該シリコン層の側面に連通する連通溝部と、
前記シリコン層の一面に接合された絶縁層と
を備えたトルク検出器。 - 前記シリコン層は、表面の結晶方位が(100)である
ことを特徴とする請求項1記載のトルク検出器。 - 前記抵抗ゲージは、前記シリコン層に成膜されることで形成された
ことを特徴とする請求項1又は請求項2項記載のトルク検出器。 - 前記抵抗ゲージは、前記シリコン層の<110>方向に形成された
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のトルク検出器。 - 前記抵抗ゲージは、前記シリコン層の辺方向に対して斜め方向に形成された
ことを特徴とする請求項4記載のトルク検出器。 - 前記抵抗ゲージは、前記シリコン層の辺方向に沿って形成された
ことを特徴とする請求項4記載のトルク検出器。 - 外力に応じて歪みが生じるシリコン層に抵抗ゲージを形成するステップと、
前記シリコン層の一面に、当該シリコン層の前記抵抗ゲージが形成された箇所を薄肉部とさせる溝部を形成するステップと、
前記シリコン層の一面に、前記溝部を当該シリコン層の側面に連通する連通溝部を形成するステップと、
前記シリコン層の一面と絶縁層とを接合するステップと
を有するトルク検出器の製造方法。
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