JP6819640B2 - 電力バッファ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電力バッファ装置に関する。
従来、系統側の瞬時電力脈動を補償するための電力バッファ装置として、インバータに直流電力を入力する直流リンクのコンデンサ容量を小さくするために、直流リンクに並列に補助回路を接続するトポロジーが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、直流リンクに設けるコンデンサの容量を小さくするために、このコンデンサ(「パッシブコンデンサ」ともいう。)に補助回路を直列接続するトポロジーも提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。この補助回路は、パッシブコンデンサに直列に接続されたコンデンサ(「アクティブコンデンサ」ともいう。)の電圧を、ゼロを基準に調整することで直流リンクの電圧変動が小さくなるように動作する。具体的には、パッシブコンデンサのリプル電圧を打ち消すために、アクティブコンデンサに反転した電圧を生成している。しかし、パッシブコンデンサの容量を小さくすると、パッシブコンデンサのリプル電圧が高くなる。補助回路も、その高くなったリプル電圧を打ち消すために、アクティブコンデンサや補助回路のスイッチの耐圧を上げる必要がある。
ここで、直流リンクに大容量のコンデンサを使用することにより、直流リンクのサイズが大きくなっていた。また、補助回路を設けることによりコンデンサの容量を小さくする構成では、使用される高耐圧のスイッチのオン抵抗が大きくなり、損失が大きくなるという不都合が生じる場合があった。
特許第6265297号公報
Haoran Wan, Huai Wang, Frede Balaabjerg "A Voltage Control Method for an Active Capacitive DC-link Module with Series-Connected Circuit" 2017 IEEE 3rdInternational Future Energy Electronics Conference and ECCE Asia (IFEEC 2017-ECCE Asia), 3-7 June 2017, pp. 221-225
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、電力バッファ装置において、電力バッファ装置を小型化することが可能な技術を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための本発明は、電力が出力される電力出力部と該電力が入力される電力入力部とを接続する電力通電路間に接続された第1コンデンサを有し、該第1コンデンサの充放電によって、該電力通電路を介した前記電力の授受を行う電力バッファ装置であって、
前記電力通電路間に前記第1コンデンサと直列に接続され、両端の電圧が制御される被制御電圧コンデンサを複数有し、
複数の前記被制御電圧コンデンサには、該被制御電圧コンデンサの両端の電圧の合計が、前記第1コンデンサの両端の電圧に対して増減が反転するように変化する電圧が印加さ
れることを特徴とする電力バッファ装置である。
本発明によれば、第1コンデンサの耐電圧を大きくする必要がなく、第1コンデンサとしてより耐電圧が小さいコンデンサを選択することができ、第1コンデンサを含む電力バッファ装置の小型化、低コスト化も可能となる。また、複数の被制御電圧コンデンサによって、第1コンデンサの電圧の変化を分担することができるので、各被制御電圧コンデンサの耐電圧も小さくすることができる。これによっても、電力バッファ装置の小型化、低コスト化も可能とする。電力通電路は、一対の電力通電路から構成されてもよく、その数は限定されない。また、電力出力部から出力され、電力入力部に入力される電力は、直流および交流のいずれでもよい。増減が反転するように変化するとは、一方が増加するときには他方が減少し、一方が減少するときには他方が増加するように変化することであり、波形で見ると、それぞれの波形の高さ方向の上下が反転したようになる。
また、本発明においては、複数の前記被制御電圧コンデンサの少なくともいずれかには、前記第1コンデンサの両端の電圧の直流成分の少なくとも一部に対応する直流バイアス電圧が印加されるようにしてもよい。
これによれば、第1コンデンサの耐電圧を大きくする必要がなく、第1コンデンサとしてより耐電圧が小さいコンデンサを選択することができ、電力バッファ装置の小型化、低コスト化も可能となる。
また、本発明においては、複数の前記被制御電圧コンデンサのうちの、第1被制御電圧コンデンサ及び第2被制御電圧コンデンサの両端の電圧をそれぞれ制御する第1電圧制御回路及び第2電圧制御回路を含み、
前記第1電圧制御回路は、前記第1被制御電圧コンデンサの両端に接続される回路を相補的にオンオフ制御する複数のスイッチからなる第1スイッチ群と、該第1被制御電圧コンデンサの一端に直列に接続される第1リアクトルを含み、
前記第2電圧制御回路は、前記第2被制御電圧コンデンサの両端に接続される回路を相補的にオンオフ制御する複数のスイッチからなる第2スイッチ群と、該第2被制御電圧コンデンサの一端に直列に接続される第2リアクトルを含み、
前記第1スイッチ群と前記第2スイッチ群とが相補的にオンオフされるインターリーブ回路を構成し、
前記第1リアクトル及び第2リアクトルを結合リアクトルとしてもよい。
このようにすれば、リアクトルの数を減らすことができるので、電力バッファ装置の小型化、ローコスト化が可能となる。
また、本発明においては、前記電力出力部は、直流電力又は交流電力を、前記出力される直流電力に変換する第1電力変換回路であり、
前記電力入力部は、前記入力される直流電力を、直流電力又は交流電力に変換する第2電力変換回路であるようにしてもよい。
また、本発明においては、前記第1電力変換回路は、太陽光パネルによって発電された直流電力を、前記出力される直流電力に変換するDC/DCコンバータであり、
前記第2電力変換回路は、前記入力される直流電力を、系統電源又は負荷に入力される交流電力に変換するインバータであるようにしてもよい。
また、本発明は、上記電力バッファ装置と、前記第1電力変換回路と、前記第2電力変換回路とを備えた電力変換装置として構成することができる。
また、本発明は、上記した電力バッファ装置と、前記DC/DCコンバータと、前記インバータとを備えたパワーコンディショナとして構成することもできる。
本発明によれば、電力バッファ装置において、電力バッファ装置を小型化することが可能となる。
本発明の実施例1〜3に共通するパワーコンディショナの概略構成図である。 本発明の実施例1における直流リンクの概略構成図である。 本発明の実施例1における第1アクティブバッファ回路の回路図である。 本発明の実施例1における各コンデンサの電圧を示すグラフである。 本発明の実施例2における直流リンクの概略構成図である。 本発明の実施例2における第2アクティブバッファ回路の回路図である。 本発明の実施例2における各コンデンサの電圧を示すグラフである。 本発明の実施例3における直流リンクの概略構成図である。 本発明の実施例3における結合リアクトルを説明する図である。
〔適用例〕
以下、本発明の適用例について、図面を参照しつつ説明する。本発明は例えば、図1に示すようなパワーコンディショナ1の直流リンク6に適用される。ここで直流リンク6は電力バッファ装置の一例であり、DC/DCコンバータが電力出力部及び第1電力変換回路の一例であり、インバータが電力入力部及び第2電力変換回路の一例である。直流リンク6は図2に示すように、電力通電路の一例である一対の直流電源線LH,LL間に直列に接続されたアクティブコンデンサCa1及びCa2とパッシブコンデンサCpとを含む。アクティブコンデンサCa1の両端には、第1電圧制御回路の一例である第1アクティブバッファ回路8が接続されている。アクティブコンデンサCa2の両端には、第2電圧制御回路の一例である第2アクティブバッファ回路9が接続されている。ここで、パッシブコンデンサCpは第1コンデンサの一例であり、直流電源線LH,LLを介して流入、流出する電力によってパッシブコンデンサCpが充放電される。また、アクティブコンデンサCa1及びCa2はそれぞれ第1及び第2被制御電圧コンデンサの一例である。
図4に示すように、パッシブコンデンサCpの両端の電圧に対して増減が反転するように変化する電圧を、二つのアクティブコンデンサCa1及びCa2によって分担する。図7に示すように、パッシブコンデンサCpの両端の電圧の直流成分に対応する直流バイアスをさらにアクティブコンデンサCa2に印加する。このようにすることにより、太陽光パネル2の出力電圧が高く、直流リンク電圧Vdcが高くなる特定の条件のためにパッシブコンデンサの耐電圧を大きくする必要がなくなり、パッシブコンデンサCpとして耐電圧のより小さい、すなわちサイズが小さくコストも低いコンデンサを選択することができる。当然、パッシブコンデンサCpが実装された直流リンク6及びパワーコンディショナ1のサイズの小型化、低コスト化も可能となる。ここでは、パッシブコンデンサCpの両端の電圧に対して増減が反転するように変化する電圧、さらには、パッシブコンデンサCpの両端の電圧の直流成分に対応する直流バイアスを、二つのアクティブコンデンサCa1及びCa2によって分担しているが、二つ以上のアクティブコンデンサによって分担してもよいし、分担の仕方も適宜振り分けることができる。また、パッシブコンデンサCpの両端の電圧に対して増減が完全に反転するように変化する電圧に限らず、反転した電圧が増減の程度を減じたものになるようにすることもできる。
〔実施例1〕
以下では、本発明の実施例に係る直流リンクを含むパワーコンディショナについて、図面を用いて、より詳細に説明する。
アクティブバッファを備えた直流リンクを含むシステムの例として、太陽光パネルによって発電された直流電力を、交流電力に変換して系統電源に連系するパワーコンディショナ1について説明する。図1にパワーコンディショナ1の概略構成を示す。ここでは、パワーコンディショナを例として説明するが、本実施例に係る直流リンクは、無停電電源装置、車載充電器、サーボモーター等のシステムにも適用できる。
パワーコンディショナ1は、概略、太陽光パネル2から出力された直流電圧を調整するためのDC/DCコンバータ3、系統電源4に同期した交流電力を出力するインバータ5、DC/DCコンバータ3とインバータ5の間に設けられた直流リンク6、さらにDC/DCコンバータ3,インバータ5及び直流リンク6を制御する制御部7を含む。系統電源4に代えて、又はこれに加えて負荷に交流電力を出力するようにしてもよい。
太陽光パネル2から出力される電力は安定動作時には一定であるのに対して、インバータ5の出力には時間的な変動がある。このような出力の変動を吸収するのが直流リンク6である。
図2に直流リンク6の概略構成を示す。直流リンク6では、DC/DCコンバータ3を介して太陽光パネル2から入力される直流電圧をインバータ5に出力する一対の直流電源線LH,LLの間に、二つのアクティブコンデンサCa1,Ca2及びパッシブコンデンサCpが直列に接続されている。そして、アクティブコンデンサCa1,Ca2の両端には、アクティブコンデンサCa1,Ca2の電圧を調整するためのアクティブバッファ回路が接続されている。図上では省略しているが、直流電源線LH及びLLの左側がDC/DCコンバータ3の出力端に接続されており、直流電源線LH及びLLの右側がインバータの入力端に接続されている。
図3に第1アクティブバッファ回路8の回路図を示す。第1アクティブバッファ回路8及び第2アクティブバッファ回路9は同一の構成であるので、第1アクティブバッファ回路8について説明し、第2アクティブバッファ回路9についても同じ構成要素には同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
直列に接続された二つのスイッチが二組、コンデンサCa12と並列に接続されている。一方の組の二つのスイッチSW1,SW2の中点が、直列に接続されたリアクトルL1を介して、アクティブコンデンサCa1の一端に接続されるとともに、一対の直流電源線のLH側の端子に接続される。そして、他方の組の二つのスイッチSW3,SW4の中点が、アクティブコンデンサCa1の他端に接続されるとともに、一対の直流電源線のLL側の端子に接続される。直列に接続された二つのスイッチSW1及びSW2,SW3及びSW4はそれぞれ相補的にオンオフ制御され、並列に接続された上側の二つのスイッチSW1及びSW3並びに下側の二つのスイッチSW2及びSW4は相補的にオンオフ制御される。ここで、相補的にオンオフ制御するとは、二つのスイッチが少なくとも同時にオンとはならず、一方がオンのときに他方がオフとなるように制御されることを指す。スイッチSW1〜SW4は、具体的には、IGBT,MOS−FET,SiC,GaN又はトランジスタ等を用いることができる。
このとき、パッシブコンデンサCpの電圧を検出し、このうち交流成分を反転した電圧を、第1アクティブバッファ回路8のアクティブコンデンサCa1の電圧と、第2アクティブバッファ回路9のアクティブコンデンサCa2の電圧によって生成する。図3では図示を省略しているが、パッシブコンデンサCp及びコンデンサCa12(不図示のCa22についても同様)の電圧をそれぞれ検出するセンサが設けられ、ぞれぞれの出力が制御部に送信される。また、制御部からの制御信号に応じてSW1〜SW4が駆動されオンオ
フ制御される。
図4(a)にパッシブコンデンサCpの容量が200μFで、315Vを中心に変動する場合の、第1アクティブバッファ回路8及び第2アクティブバッファ回路9に接続されたアクティブコンデンサCa1,Ca2の電圧波形を示す。ここでは、上段が第1アクティブバッファ回路8に接続されたアクティブコンデンサCa1の電圧Va1、中段が第2アクティブバッファ回路9に接続されたアクティブコンデンサCa2の電圧Va2、下段がパッシブコンデンサCpの電圧Vcを示す。図4(b)はパッシブコンデンサCpの容量を100μFと小さくして、同様に315Vを中心に変動する場合の、第1アクティブバッファ回路8及び第2アクティブバッファ回路9に接続されたアクティブコンデンサCa1,Ca2の電圧波形を示す。ここでも、上段が第1アクティブバッファ回路8に接続されたアクティブコンデンサCa1の電圧Va1、中段が第2アクティブバッファ回路9に接続されたアクティブコンデンサCa2の電圧Va2、下段がパッシブコンデンサCpの電圧Vcを示す。図4(a),(b)のいずれにおいても、アクティブコンデンサCa1及びCa2の両端には、それぞれ、パッシブコンデンサCpの電圧の両端の電圧に対して増減が反転するように変化する電圧が印加される。また、アクティブコンデンサCa1及びCa2の両端の電圧の合計もパッシブコンデンサCpの電圧の両端の電圧に対して増減が反転するように変化する電圧が印加される。
パッシブコンデンサCpの容量を小さくした図4(b)の場合には、パッシブコンデンサCpのリプル電圧は高くなるが、高くなったリプル電圧を二つのアクティブバッファ回路8,9に接続されたアクティブコンデンサの電圧Va1,Va2によって打ち消すことにより、直流リンク6の直流電源線LH・LL間の電圧Vdcの変動が従来と変わらず、アクティブバッファ回路8(アクティブバッファ回路9についても同様である。)のコンデンサCa1,Ca12やスイッチSW1〜SW4の耐圧を上げる必要がなく、スイッチSW1〜SW4の損失が大きくなることもない。また、これにより、直流リンク6、ひいては直流リンク6を含むパワーコンディショナ1のシステム全体の小型化、ローコスト化が可能となる。
本実施例では、第1アクティブバッファ回路8のアクティブコンデンサCa1の電圧Va1と、第2アクティブバッファ回路9のアクティブコンデンサCa2の電圧Va2は、パッシブコンデンサCpの電圧Vcの交流成分を反転した電圧のそれぞれ1/2となるように制御している。ただし、第1アクティブバッファ回路8と第2アクティブバッファ回路9のアクティブコンデンサCa1,Ca2の電圧Va1,Va2は、両者の和がパッシブコンデンサCpの電圧Vcの交流成分を反転した電圧となればよく、それぞれの分担割合はこれに限定されない。また、アクティブコンデンサ及びこれに接続されるアクティブバッファ回路も二つに限られるものではなく、適宜の複数個のアクティブコンデンサ及びアクティブバッファ回路を設けるようにしてもよい。
また、一対の直流電源線LH,LLの間の、二つのアクティブコンデンサCa1,Ca2と、パッシブコンデンサCpとの配置は、図2に示されたものに限られない。二つのアクティブコンデンサCa1,Ca2の間にパッシブコンデンサCpを配置してもよいし、パッシブコンデンサCpをLH側に、二つのアクティブコンデンサCa1,Ca2をLL側に配置してもよい。
〔実施例2〕
実施例2は、パッシブコンデンサCpと直列に二つのアクティブコンデンサCa1,Ca2を接続した直列リンクである点では実施例と同じであるが、一つのアクティブコンデンサCa2に接続されるアクティブバッファ回路10が実施例1とは異なる。実施例2のアクティブバッファ回路10は、パッシブコンデンサCpの電圧Vcの交流成分を反転させた電圧の一部に加えて、パッシブコンデンサCpの電圧Vcの直流バイアス成分も保持するように制御する。このようにすれば、パッシブコンデンサCpのピーク電圧をさらに下げることが可能となる。従って、パッシブコンデンサCpの耐圧仕様が緩和され、パッ
シブコンデンサCpの小型化、ローコスト化、ひいては直流リンク6及びこれを含むパワーコンディショナ1のシステム全体の小型化、ローコスト化が可能となる。
図5に、実施例2の直流リンク11の概略構成を示す。一対の直流電源線LH・LL間に、パッシブコンデンサCpに直列に接続される二つのアクティブコンデンサCa1,Ca2を示す。第1アクティブバッファ回路8は実施例1の第1アクティブバッファ回路8と同じであるので、説明は省略する。図6は、実施例2の第2アクティブバッファ回路12の回路図である。第2アクティブバッファ回路12は、直列に接続された二つのnチャネルエンハンスメント形MOS−FET(Tr5,Tr6)がアクティブコンデンサCa2と並列に接続されている。一方のMOS−FET(Tr5)のドレインがアクティブコンデンサCaの一端を介して、直流電源線LH側の端子に接続されている。この一方のMOS−FET(Tr5)のソースに他方のMOS−FET(Tr6)のドレインが接続され、この他方のMOS−FET(Tr6)のソースはアクティブコンデンサCa2の他端を介して、直流電源線LL側の端子に接続されている。一方のMOS−FET(Tr5)のソースと他方のMOS−FET(Tr6)のドレイン間の中点に、リアクトルL2を介して、コンデンサCa22の一端が接続され、このコンデンサCa22の他端は、他方のMOS−FET(Tr6)のソースとアクティブコンデンサCa2の他端を介して、直流電源線LL側の端子に接続される。すなわち、直列に接続されたリアクトルL2とコンデンサCa22が、他方のMOS−FET(Tr6)と並列に接続されている。また、MOS−FET(Tr5,Tr6)のドレイン・ソース間には、ダイオードD5,D6がそれぞれ逆並列に接続され、MOS−FET(Tr5)とダイオードD5がスイッチSW5を構成し、MOS−FET(Tr6)とダイオードD6がスイッチSW6を構成している。図5では図示を省略しているが、パッシブコンデンサCp及びコンデンサCa22の電圧をそれぞれ検出するセンサが設けられ、ぞれぞれの出力が制御部に送信される。また、制御部からの制御信号に応じてSW5及びSW6が駆動されオンオフ制御される。
図7(a)に、パッシブコンデンサCpの容量が200μFで、315Vを中心に変動する場合の、第1アクティブバッファ回路8及び第2アクティブバッファ回路9に接続されたアクティブコンデンサCa1,Ca2の電圧波形Va1,Va2を示す。ここでは、上段が第1アクティブバッファ回路8に接続されたアクティブコンデンサCa1の電圧Va1、中段が第2アクティブバッファ回路9に接続されたアクティブコンデンサCa2の電圧Va2、下段がパッシブコンデンサCpの電圧Vcを示す。図7(b)はパッシブコンデンサCpの容量を100μFと小さくして、同様に315Vを中心に変動する場合の、第1アクティブバッファ回路8及び第2アクティブバッファ回路12に接続されたアクティブコンデンサCa2の電圧波形Va2を示す。ここでは、上段が第1アクティブバッファ回路8に接続されたアクティブコンデンサCa1の電圧Va1、中段が第2アクティブバッファ回路12に接続されたアクティブコンデンサCa2の電圧Va2、下段がパッシブコンデンサCpの電圧Vcを示す。ここでは、第1アクティブバッファ回路8は、上述した回路と同じであるが、第2アクティブバッファ回路12は、図6に示したものである。第2アクティブバッファ回路12に接続されたアクティブコンデンサCa2は、パッシブコンデンサCpの電圧Vcの交流成分を反転させた電圧を、第1アクティブバッファ回路8に接続されたアクティブコンデンサCa1と担うとともに、パッシブコンデンサCpの電圧Vcの直流バイアス成分も担う。このため、第2アクティブバッファ回路12に接続されたアクティブコンデンサCa2の電圧Va2は、図7(a)の中段の電圧波形に比べて、直流バイアス成分に対応する分だけ上方にシフトした波形となっている。また、図7(c)の下段のパッシブコンデンサCpの電圧波形Vcも、容量が小さくなっているため、リプル電圧は大きくなっているが、破線で示す波形から、第2アクティブバッファ回路12に接続されたアクティブコンデンサCa2が担う直流バイアス成分に対応する分だけ下方にシフトしており、ピーク電圧は低くなっている。これにより、パッシブコンデンサCpの耐圧仕様が緩和され、パッシブコンデンサCpの小型化、ローコスト化、ひい
ては、パッシブコンデンサCpを実装した直流リンク11及びこれを含むパワーコンディショナ1のシステム全体の小型化、ローコストが可能となる。また、実施例1と同様に、リプル電圧を二つのアクティブバッファ回路8,12に接続されたアクティブコンデンサCa1,Ca2の電圧によって打ち消すことにより、直流リンク11の電圧変動が従来と変わらず、アクティブバッファ回路8,12のアクティブコンデンサCa1,Ca11,Ca2,Ca22やスイッチSW1〜SW4,SW5,SW6の耐圧を上げる必要がなく、スイッチの損失が大きくなることもない。
〔実施例3〕
実施例3は、パッシブコンデンサCpと直列に二つのアクティブコンデンサCa1,Ca2を接続した直列リンクである点は実施例1及び2と同様であるが、二つのアクティブバッファ回路をインターリーブ回路にする場合に、それぞれに使われるリアクトルを別々のリアクトルではなく、1つの結合したリアクトルを用いる点が異なる。
図8に実施例3の直流リンク13を示す。第1アクティブバッファ回路14及び第2アクティブバッファ回路15の結合リアクトルL3以外の構成については、第1アクティブバッファ回路8及び第2アクティブバッファ回路9と同様であるので、同様の符号を用いることとして説明を省略する。すなわち、SW1〜SW4に対応する第1アクティブバッファ回路14のスイッチには、SW11〜SW14(これらは第1スイッチ群の一例である。)とし、SW1〜SW4に対応する第2アクティブバッファ回路15のスイッチには、SW21〜24(これらは第2スイッチ群の一例である。)とする。実施例1では、第1アクティブバッファ回路8に用いられるリアクトルL1と、第2アクティブバッファ回路9に用いられるリアクトルL2は、図9(a)に示すように、別々のリアクトルが用いられる。このとき、図9(a)に示すように、それぞれのコアCr1,Cr2に巻回されたコイルCl1,Cl2に電流ibuf(図3参照)が流れることにより、コアCr1,Cr2には矢印に示す磁力線が発生する。本実施例では、第1アクティブバッファ回路14と第2アクティブバッファ回路15がインターリーブ回路として相補的に制御される場合には、第1アクティブバッファ回路14のコイルCl31と第2アクティブバッファ回路15のコイルC32を共通のコアCrに巻回し、結合リアクトルL3を構成する。第1アクティブバッファ回路14のコイルCl31にibufの電流が流れることにより、コアCrには実線で示す磁力線が発生する。また、第2アクティブバッファ回路15のコイルCl32にibufの電流が流れることにより、コアCrには破線で示す磁力線が発生する。
このように、二つのアクティブバッファ回路14,15において結合リアクトルL3を用いることにより、リアクトルが一つで済むので、直流リンク13及びこれを含むパワーコンディショナ1のシステム全体の小型化、ローコスト化が可能となる。
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
電力が出力される電力出力部(3)と該電力が入力される電力入力部(5)とを接続する電力通電路(LH,LL)間に接続された第1コンデンサ(Cp)を有し、該第1コンデンサ(Cp)の充放電によって、該電力通電路(LH,LL)を介した前記電力の授受を行う電力バッファ装置(6,11,13)であって、
前記電力通電路(LH,LL)間に前記第1コンデンサ(Cp)と直列に接続され、両端の電圧が制御される被制御電圧コンデンサ(Ca1,Ca2)を複数有し、
複数の前記被制御電圧コンデンサ(Ca1,Ca2)には、該被制御電圧コンデンサ(Ca1,Ca2)の両端の電圧の合計が、前記第1コンデンサ(Cp)の両端の電圧に対して増減が反転するように変化する電圧が印加されることを特徴とする電力バッファ装置(6)。
<発明2>
複数の前記被制御電圧コンデンサ(Ca1,Ca2)の少なくともいずれかには、前記第1コンデンサ(Cp)の両端の電圧の直流成分の少なくとも一部に対応する直流バイアス電圧が印加されることを特徴とする請求項1に記載の電力バッファ装置(6)。
<発明3>
複数の前記被制御電圧コンデンサ(Ca1,Ca2)のうちの、第1被制御電圧コンデンサ(Ca1)及び第2被制御電圧コンデンサ(Ca2)の両端の電圧をそれぞれ制御する第1電圧制御回路(14)及び第2電圧制御回路(15)を含み、
前記第1電圧制御回路(14)は、前記第1被制御電圧コンデンサ(Ca1)の両端に接続される回路を相補的にオンオフ制御する複数のスイッチからなる第1スイッチ群(SW11〜SW14)と、該第1被制御電圧コンデンサ(Ca1)の一端に直列に接続される第1リアクトル(L3)を含み、
前記第2電圧制御回路(15)は、前記第2被制御電圧コンデンサ(Ca2)の両端に接続される回路を相補的にオンオフ制御する複数のスイッチからなる第2スイッチ群(SW21〜SW24)と、該第2被制御電圧コンデンサ(Ca2)の一端に直列に接続される第2リアクトル(L3)を含み、
前記第1スイッチ群と前記第2スイッチ群とが相補的にオンオフされるインターリーブ回路を構成し、
前記第1リアクトル及び第2リアクトルを結合リアクトル(L3)としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電力バッファ装置(6)。
<発明4>
前記電力出力部(3)は、直流電力又は交流電力を、前記出力される直流電力に変換する第1電力変換回路(3)であり、
前記電力入力部(5)は、前記入力される直流電力を、直流電力又は交流電力に変換する第2電力変換回路(5)であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電力バッファ装置(6)。
<発明5>
前記第1電力変換回路(3)は、太陽光パネル(2)によって発電された直流電力を、前記出力される直流電力に変換するDC/DCコンバータ(3)であり、
前記第2電力変換回路(5)は、前記入力される直流電力を、系統電源(4)又は負荷に入力される交流電力に変換するインバータ(5)であることを特徴とする請求項4に記載の電力バッファ装置(6)。
<発明6>
請求項4又は5に記載の電力バッファ装置(6)と、前記第1電力変換回路(3)と、前記第2電力変換回路(5)とを備えた電力変換装置(1)。
<発明7>
請求項5に記載の電力バッファ装置(6)と、前記DC/DCコンバータ(3)と、前記インバータ(5)とを備えたパワーコンディショナ(1)。
1 :パワーコンディショナ
2 :太陽光パネル
3 :DC/DCコンバータ
4 :系統電源
5 :インバータ
6,11,13 :直流リンク
7 :制御部
LH,LL :直流電源線
Ca1,Ca2 :アクティブコンデンサ
Cp :パッシブコンデンサ
SW1〜SW4,SW5〜SW6,SW11〜SW14,SW21〜SW24 :スイッ

8,14 :第1アクティブバッファ回路
9,12,15 :第2アクティブバッファ回路
L1〜L3 :リアクトル

Claims (7)

  1. 電力が出力される電力出力部と該電力が入力される電力入力部とを接続する電力通電路間に接続された第1コンデンサを有し、該第1コンデンサの充放電によって、該電力通電路を介した前記電力の授受を行う電力バッファ装置であって、
    前記電力通電路間に前記第1コンデンサと直列に接続され、両端の電圧が制御される被制御電圧コンデンサを複数有し、
    複数の前記被制御電圧コンデンサには、該被制御電圧コンデンサの両端の電圧の合計が、前記第1コンデンサの両端の電圧に対して増減が反転するように変化する電圧が印加されることを特徴とする電力バッファ装置。
  2. 複数の前記被制御電圧コンデンサの少なくともいずれかには、前記第1コンデンサの両端の電圧の直流成分の少なくとも一部に対応する直流バイアス電圧が印加されることを特徴とする請求項1に記載の電力バッファ装置。
  3. 複数の前記被制御電圧コンデンサのうちの、第1被制御電圧コンデンサ及び第2被制御電圧コンデンサの両端の電圧をそれぞれ制御する第1電圧制御回路及び第2電圧制御回路を含み、
    前記第1電圧制御回路は、前記第1被制御電圧コンデンサの両端に接続される回路を相補的にオンオフ制御する複数のスイッチからなる第1スイッチ群と、該第1被制御電圧コンデンサの一端に直列に接続される第1リアクトルを含み、
    前記第2電圧制御回路は、前記第2被制御電圧コンデンサの両端に接続される回路を相補的にオンオフ制御する複数のスイッチからなる第2スイッチ群と、該第2被制御電圧コンデンサの一端に直列に接続される第2リアクトルを含み、
    前記第1スイッチ群と前記第2スイッチ群とが相補的にオンオフされるインターリーブ回路を構成し、
    前記第1リアクトル及び第2リアクトルを結合リアクトルとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電力バッファ装置。
  4. 前記電力出力部は、直流電力又は交流電力を、前記出力される直流電力に変換する第1電力変換回路であり、
    前記電力入力部は、前記入力される直流電力を、直流電力又は交流電力に変換する第2電力変換回路であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電力バッファ装置。
  5. 前記第1電力変換回路は、太陽光パネルによって発電された直流電力を、前記出力される直流電力に変換するDC/DCコンバータであり、
    前記第2電力変換回路は、前記入力される直流電力を、系統電源又は負荷に入力される交流電力に変換するインバータであることを特徴とする請求項4に記載の電力バッファ装置。
  6. 請求項4又は5に記載の電力バッファ装置と、前記第1電力変換回路と、前記第2電力変換回路とを備えた電力変換装置。
  7. 請求項5に記載の電力バッファ装置と、前記DC/DCコンバータと、前記インバータとを備えたパワーコンディショナ。
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