JP6819102B2 - 化粧シート、化粧板及び化粧板の製造方法 - Google Patents

化粧シート、化粧板及び化粧板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、化粧シート、化粧板及び化粧板の製造方法に関する。
従来、建築物の内装に用いられる内装材には意匠性が求められており、このような内装材として化粧板が用いられている。特に、床面に用いられる化粧板の表面には、意匠性と共に耐傷性が求められる。
また、欧米の文化では住宅等の屋内でも土足で歩行することが通常となっているため、欧米の室内用の床には耐傷性を考慮して、主に低圧メラミンフロアが用いられている。しかしながら、低圧メラミンフロアは歩行の際に音が響き易く、触感が硬く、冷たいという問題がある。
近年、低圧メラミンフロアに代わり、化粧板基材としての一般的にコルクに代表されるチップボードに塩化ビニル樹脂の化粧シートを貼り合わせたフロア(いわゆるハイブリットフロア)が用いられている。チップボードとは、製材工場で廃棄される材木屑や、樹皮、小径丸太や解体工事現場で廃棄される建築廃材等を機械的に粉砕してチップ状とし、合成樹脂接着剤と共に圧縮成形して板材に成形して得られる基材である。
上述のハイブリットフロアは化粧板基材としてチップボードを用いることにより、環境に優しく、遮音、断熱効果があり、触感が柔らかいという点で優れており、更に化粧シートを貼り合わせることで、ロールラミネートにより生産性が向上し、施工時の色のばらつきが抑制される。しかしながら、欧州では環境問題を考慮して塩化ビニル系樹脂を用いない化粧板が求められている。
塩化ビニル系樹脂を用いない化粧板として、例えば、オレフィン系樹脂を使用した化粧シートを化粧板基材に貼り合せた化粧板が用いられている。オレフィン系樹脂を使用した化粧シートとしては、例えば、基材シート上に、絵柄模様層、透明性接着剤層、透明性樹脂層及び透明性表面保護層を順に有し、基材シート裏面に合成樹脂製バッカー層を有する床材用化粧シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の床材用化粧シートは、透明性樹脂層及び床材用化粧シートの厚みを特定の範囲とし、基材シート上に、絵柄模様層、透明性接着剤層、透明性樹脂層及び透明性表面保護層が形成された中間体シートの基材シート裏面に対して、溶融樹脂を特定の範囲の厚みで押出し成形することによって合成樹脂製バッカー層を形成することにより得られ、上記透明性樹脂層及び合成樹脂製バッカー層の少なくとも1種は、樹脂成分として熱可塑性樹脂を含有することを特徴としている。
このような化粧シートを用いた化粧板も優れた化粧板ではあるが、土足で歩行することを想定しておらず、更なる耐傷性が求められている。特に近年は、室内の床と屋外のウッドデッキとのデザインを統一し、段差を無くすことで部屋全体を広く見せる施工がおこなわれており、内装材として用いる場合であっても屋外から砂などの異物が持ち込まれ、歩行により砂などの異物が化粧板表面と擦れることで白化傷(擦傷)が生じ、長期に亘ると化粧シートの絵柄模様層が摩耗により削られるという問題がある。この問題は、特に化粧シートの表面保護層側から深いエンボス凹模様が形成されている場合に顕著である。
従って、歩行により砂などの異物が化粧板表面と擦れる場合であっても、白化傷の発生や絵柄模様層の摩耗による削れ(絵柄取られ)が抑制されている化粧シート、及びその化粧シートを用いた化粧板の開発が望まれている。
特許第5045180号公報
本発明は、少なくともコルクシート上に積層することにより化粧板として用いることに適した化粧シートであって、歩行により砂などの異物が化粧板表面と擦れる場合であっても、白化傷の発生や絵柄模様層の摩耗による削れ(絵柄取られ)が抑制されている化粧シート、並びにその化粧シートを用いた化粧板及び化粧板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、基材シート上に、少なくとも特定の厚みの透明性樹脂層及び特定の厚みの表面保護層をこの順に積層してなる化粧シートによれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の化粧シート、化粧板及び化粧板の製造方法に関する。
1.少なくともコルクシート上に積層することにより化粧板として用いるための化粧シートであって、
前記化粧シートは、厚み方向において順に、基材シートと、透明性樹脂層と、表面保護層とを備える積層体から構成されており、
(1)前記透明性樹脂層は、厚みが90μm以上300μm以下であり、
(2)前記表面保護層は、厚みが20μm以上40μm以下であ
(3)前記化粧シートは、前記表面保護層側からエンボス凹模様を有し、前記エンボス凹模様の一部又は全部は、前記エンボス凹模様を有していない部分の前記透明性樹脂層の表面を基準面として当該基準面からの凹み深さが40μm以上200μm以下である、
ことを特徴とする化粧シート。
.前記表面保護層は、1)前記表面保護層が単層から構成される場合には当該単層の厚みより大きい粒子径の微粒子を含有し、2)前記表面保護層が多層から構成される場合には当該多層を構成する最表層の厚みより大きい粒子径の微粒子を含有する、上記項1に記載の化粧シート。
.前記微粒子の含有量は、前記微粒子が含有される層の樹脂成分100質量部に対して5質量部以上30質量部以下である、上記項に記載の化粧シート。
.前記微粒子は、シリカ微粒子である、上記項又はに記載の化粧シート。
.前記基材シート及び前記透明性樹脂層は、非ハロゲン系熱可塑性樹脂を含有する、上記項のいずれかに記載の化粧シート。
.前記非ハロゲン系熱可塑性樹脂は、オレフィン系熱可塑性樹脂である、上記項に記載の化粧シート。
.前記表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂を含有する、上記項1〜のいずれかに記載の化粧シート。
.化粧板基材上に少なくともコルクシート及び上記項1〜のいずれかに記載の化粧シートがこの順に積層されている化粧板。
.前記化粧板基材は、中密度木質繊維板、高密度木質繊維板、パーティクルボード、針葉樹合板、広葉樹合板、早成樹合板、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン及びポリエチレンからなる群から選択される少なくとも一種である、上記項に記載の化粧板。
10.化粧板基材上に少なくともコルクシート及び上記項1〜のいずれかに記載の化粧シートを層構成がこの順となるように積層する工程を有する、化粧板の製造方法。
本発明の化粧シートは、少なくともコルクシート上に積層することにより化粧板として用いることに適した化粧シートであって、基材シート上に、少なくとも特定の厚みの透明性樹脂層及び特定の厚みの表面保護層がこの順に積層されていることにより、歩行により砂などの異物が化粧板表面と擦れる場合であっても、白化傷の発生や絵柄模様層の摩耗による削れ(絵柄取られ)が抑制されている。本発明の化粧シート及び化粧板は、床材用途に用いる化粧シート及び化粧板として有用である。
本発明の化粧シートの一例を模式的に示した断面図である。 本発明の化粧シートの一例を模式的に示した断面図である。 本発明の化粧シートの一例を模式的に示した断面図である。 本発明の化粧シートの平面図の一例である。 本発明の化粧シートの平面図(拡大図)の一例である。 本発明の化粧シートがエンボス凹模様を有する場合における、透明性樹脂層4の表面(エンボス凹模様を有さない部分の表面)を基準面として当該基準面からのエンボス凹模様の凹み深さX(最深部までの距離)を模式的に示した断面図である。図中、T1は透明性樹脂層4の厚みを示し、T2は表面保護層5の厚みを示す。 本発明の化粧シートがエンボス凹模様を有する場合における、エンボス凹模様の断面を拡大して(a)〜(f)に模式的に例示した断面図である。 本発明の化粧板の一例を模式的に示した断面図である。
1.化粧シート
本発明の化粧シートは、少なくともコルクシート上に積層することにより化粧板として用いることに適した化粧シートであって、厚み方向において順に、基材シートと、透明性樹脂層と、表面保護層とを備える積層体から構成されており、
(1)前記透明性樹脂層は、厚みが90μm以上300μm以下であり、
(2)前記表面保護層は、厚みが20μm以上40μm以下である、
ことを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の化粧シートは、少なくともコルクシート上に積層することにより化粧板として用いることに適した化粧シートであって、基材シート上に、少なくとも特定の厚みの透明性樹脂層及び特定の厚みの表面保護層がこの順に積層されていることにより、歩行により砂などの異物が化粧板表面と擦れる場合であっても、白化傷の発生や絵柄模様層の摩耗による削れ(絵柄取られ)が抑制されている。本発明の化粧シート及び化粧板は、床材用途に用いる化粧シート及び化粧板として有用である。
以下、図面を参照しながら化粧シートについて説明する。
図1は、本発明の化粧シートの一例を示す断面図である。図1に示す化粧シート1は、基材シート2上に絵柄模様層3、透明性樹脂層4及び表面保護層5が積層されており、表面保護層5側からエンボス凹模様を有している。
図2は、図1に例示される化粧シートにおいて、表面保護層5が単層から構成され、表面保護層5の厚みより大きい粒子径の微粒子A7を含有する態様を示している。
図3は、図2に例示される化粧シートにおいて、透明性樹脂層4上に表面保護層5(単層の表面保護層)と隣接するように艶調整層8を有する態様を示している。
以下、本発明の化粧シートを構成する各層について具体的に説明する。なお、以下の記載において、「〜」で表される数値範囲の下限上限は「以上以下」を意味する(例えば、α〜βならば、α以上β以下である)。
基材シート
基材シートは、その表面(おもて面)には絵柄模様層等が順次積層される。基材シートの材質は限定されないが、非ハロゲン系熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。
上記非ハロゲン系熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン(線状低密度ポリエチレンを含む),中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,エチレン−αオレフィン共重合体,ホモポリプロピレン,ポリメチルペンテン,ポリブテン,エチレン−プロピレン共重合体,プロピレン−ブテン共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、又は、これらの混合物等のオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体,ポリカーボネート,ポリアリレート等の熱可塑性エステル系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル,ポリメタアクリル酸エチル,ポリアクリル酸エチル,ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系熱可塑性樹脂、ナイロン−6,ナイロン−66等のポリアミド系熱可塑性樹脂、又は、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等が挙げられる。また、これらの非ハロゲン系熱可塑性樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。中でも、絵柄模様層の印刷適性及びエンボス加工適性に優れ、安価である点で、オレフィン系熱可塑性樹脂が好ましい。
基材シートは、着色されていてもよい。この場合は、上記のような非ハロゲン系熱可塑性樹脂に対して着色材(顔料又は染料)を添加して着色することができる。着色材としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料のほか、各種の染料も使用することができる。これらは、公知又は市販のものから1種又は2種以上を選ぶことができる。また、着色材の添加量も、所望の色合い等に応じて適宜設定すれば良い。
基材シートには、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤が含まれていてもよい。
基材シートの厚みは40〜100μmが好ましい。基材シートの厚みが40μm未満であると、化粧板基材に凹凸形状がある場合に当該凹凸の化粧板表面への表出を十分に抑制できないおそれがある。また、基材シートの厚みが100μmを超えると、化粧シートをロール状態で保存した際に巻きぐせがつくことにより、ロールラミネートが困難となるおそれがある。基材シートの厚みは、60〜80μmがより好ましい。基材シートは、単層又は多層のいずれで構成されていてもよい。
基材シートは、絵柄模様層を形成するインキの密着性を高めるために表面(おもて面)にコロナ放電処理を施してもよい。コロナ放電処理の方法・条件は、公知の方法に従って実施すれば良い。また、必要に応じて、基材シートの裏面にコロナ放電処理を施したり、後述する裏面プライマー層を形成したりしてもよい。
絵柄模様層
絵柄模様層は、化粧シートに所望の絵柄(意匠)を付与する任意層であり、絵柄の種類等は限定的ではない。例えば、木目模様、レザー模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得られるインキを用いた印刷法により、基材シート表面に形成すればよい。インキとしては、化粧シートのVOCを低減する観点からは水性組成物を用いることもできる。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤は、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等とともに用いてもよい。
結着材樹脂としては、親水性処理されたポリエステル系ウレタン樹脂のほか、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスチレン−アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂なども併用できる。より具体的には、例えば、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、水溶性フェノール系樹脂、その他の水溶性合成樹脂;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類等の水溶性天然高分子;等も使用することができる。また、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン−ポリアクリル系樹脂等が変性したものないし前記天然ゴム等の混合物、その他の樹脂を使用することもできる。上記結着材樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
絵柄模様層の形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の絵柄模様層を形成する場合には、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。その他、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法等を用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いたりしてもよい。
絵柄模様層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、層厚は0.1〜15μm程度である。
透明性樹脂層
透明性樹脂層は、透明性であり厚みが90μm以上300μm以下であれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。上記透明性樹脂層の材質は限定されないが、非ハロゲン系熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。本発明において、透明性樹脂層の厚みは、図2及び図6のT1で示される厚みであり、化粧シートの断面写真から10箇所の透明性樹脂層の厚みを測定した平均値である。
上記非ハロゲン系熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン(線状低密度ポリエチレンを含む),中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,エチレン−αオレフィン共重合体,ホモポリプロピレン,ポリメチルペンテン,ポリブテン,エチレン−プロピレン共重合体,プロピレン−ブテン共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、又は、これらの混合物等のオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体,ポリカーボネート,ポリアリレート等の熱可塑性エステル系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル,ポリメタアクリル酸エチル,ポリアクリル酸エチル,ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系熱可塑性樹脂、ナイロン−6,ナイロン−66等のポリアミド系熱可塑性樹脂、又は、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等が挙げられる。また、これらの非ハロゲン系熱可塑性樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。中でも、絵柄模様層の印刷適性及びエンボス加工適性に優れ、安価である点で、オレフィン系熱可塑性樹脂が好ましい。
なお、透明性樹脂層は、透明性を有する限り、着色されていてもよい。
透明性樹脂層の厚みは90μm以上300μm以下であれば良いが、その中でも150μm以上300μm以下が好ましく、200μm以上250μm以下がより好ましい。透明性樹脂層の厚みを90μm以上300μm以下に設定することにより、歩行により砂などの異物が本発明の化粧板表面と擦れる場合であっても、白化傷の発生や絵柄模様層の摩耗による削れ(絵柄取られ)を抑制することができる。この効果は、化粧シートの表面保護層側から深いエンボス凹模様が形成されている場合にも得られる。なお、これらの本発明の効果は、特定の厚みを有する透明性樹脂層と特定の厚みを有する表面保護層との組み合わせにより得られる。
表面保護層
本発明の化粧シートは、表面に表面保護層が形成されている。本発明の化粧シートの表面保護層の厚みは20μm以上40μm以下であればよいが、その中でも25μm以上40μm以下が好ましく、30μm以上35μm以下がより好ましい。本発明において、表面保護層の厚みは、図2及び図6のT2で示される厚みであり、後述する表面保護層の厚みより大きい粒子径の微粒子が存在しない部分の厚みを10箇所測定した平均値である。かかる表面保護層の厚みは、前記透明性樹脂層と同様に化粧シートの断面写真から特定できる。
表面保護層の厚みを20μm以上40μm以下に設定することにより、歩行により砂などの異物が本発明の化粧板表面と擦れる場合であっても、白化傷の発生や絵柄模様層の摩耗による削れ(絵柄取られ)を抑制することができる。この効果は、化粧シートの表面保護層側から深いエンボス凹模様が形成されている場合にも得られる。なお、これらの本発明の効果は、特定の厚みを有する透明性樹脂層と表面保護層との組み合わせにより得られる。
本発明の化粧シートが後述する艶調整層を有する場合、表面保護層は艶調整層と隣接するように形成されている。具体的には、表面保護層の裏面が艶調整層と隣接している。本発明の化粧シートが艶調整層を有する場合、表面保護層は透明性であることが好ましい。
表面保護層は、表面保護層の厚みより大きい粒子径の微粒子(微粒子A)を含有することが好ましい。微粒子Aは、表面保護層の耐傷性を高める添加剤として作用する。なお、本明細書において、微粒子Aの粒子径が表面保護層の厚みより大きいことは、SEM(走査型電子顕微鏡)により確認することができ、例えば、化粧シートを表面に対して垂直方向に切断し、得られた断面の表面保護層の箇所をSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察することにより確認することができる。なお、微粒子Aは上記SEMの確認において、200μm長さの観察において1つ以上の微粒子Aが存在することが好ましい。
上記微粒子Aの粒子径は、上記表面保護層の厚みより大きければ特に限定されない。微粒子Aの粒子径が表面保護層の厚み以下であると、表面保護層の耐傷性が十分でない。
上記微粒子Aの粒子径は、25〜50μmが好ましく、30〜45μmがより好ましい。微粒子Aの粒子径が大き過ぎると、表面保護層から脱落し易くなるおそれがある。
上記微粒子Aの含有量は、上記表面保護層の樹脂成分100質量部に対して5〜30質量部が好ましい。微粒子Aの含有量が多過ぎると、微粒子Aの頭出ししている部分が擦れて削れた際に、擦れた箇所の艶が上がって目立ち、耐傷性が十分でなくなる。また、微粒子Aの含有量が少な過ぎると表面保護層の耐傷性が十分でない。上記微粒子Aの含有量は、上記表面保護層の樹脂成分100質量部に対して5質量部以上30質量部以下が好ましく、10質量部以上20質量部以下がより好ましい。
なお、本明細書において、上記微粒子Aの粒子径は、SEM(走査型電子顕微鏡)により測定することができ、例えば、化粧シートを表面に対して垂直方向に切断し、得られた断面の表面保護層の任意の箇所をSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて撮影し、写り込んだ微粒子Aの粒子径(直径)を平均することにより測定することができる。
表面保護層は、単層又は多層のいずれで構成されていてもよい。多層の場合には、最もおもて側に位置する層(最表層)に微粒子Aを含有することが好ましく、最表層の厚みよりも2〜10μm大きな粒子径を有する微粒子Aを含有することが好ましい。この場合の微粒子Aの含有量は、最表層の樹脂成分100質量部に対して5質量部以上30質量部以下が好ましく、10質量部以上20質量部以下がより好ましい。
表面保護層は、擦れによる艶上がりを抑制するために、微粒子Aとは別に表面保護層の厚み以下の粒子径を有する微粒子(微粒子B)を含有してもよい。表面保護層中の微粒子Bの確認方法及び粒子径の測定方法については微粒子Aの場合と同様である。微粒子Bの含有量は、表面保護層(多層の場合には微粒子Bを含有する層)の樹脂成分100質量部に対して5質量部以上30質量部以下が好ましい。
上記微粒子A及びBは、粒径に応じて表面保護層に耐傷性を付与することができ、艶消し効果を発揮することができれば特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。上記微粒子A及びBとしては、例えば、シリカ微粒子、シリコーン樹脂等の無機粒子;架橋アルキル、架橋スチレン、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン、ナイロン等の有機物粒子等が挙げられる。これらの中でも、シリカ微粒子が好ましい。
上記表面保護層に含まれる樹脂成分としては限定的ではないが、電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂を含有することが好ましい。実質的には、これらの樹脂から形成されているものが好ましい。電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂により表面保護層を形成する場合には、化粧シートの耐摩耗性、耐衝撃性、耐汚染性、耐擦傷性、耐候性等を高め易い。これらの中でも、電離放射線硬化型樹脂がより好ましい。
電離放射線硬化型樹脂としては特に限定されず、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする透明性樹脂が使用できる。これらのプレポリマー又はモノマーは、単体又は複数を混合して使用できる。硬化反応は、通常、架橋硬化反応である。
具体的には、前記プレポリマー又はモノマーとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物が挙げられる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましい。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの分子量としては、通常250〜100000程度が好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、多官能モノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーが挙げられる。また、チオールとしては、例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオールが挙げられる。ポリエンとしては、例えば、ジオール及びジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルアルコールを付加したものが挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂を硬化させるために用いる電離放射線としては、電離放射線硬化型樹脂(組成物)中の分子を硬化反応させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常は紫外線又は電子線を用いればよいが、可視光線、X線、イオン線等を用いてもよい。
2液硬化型ウレタン系樹脂としては特に限定されないが、中でも主剤としてOH基を有するポリオール成分(アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール等)と、硬化剤成分であるイソシアネート成分(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート等)とを含むものが使用できる。
上記例示の樹脂については1種又は2種以上を併用して用いることができる。
表面保護層には、耐候性を向上させるために、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、トリアジン系などの紫外線吸収剤を添加するのが好ましい。紫外線を照射して樹脂層を硬化させる場合には、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミノキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン等、光重合促進剤(増感剤)としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を用いることができる。
また表面保護層には、抗菌性を付与する為に、抗菌剤を添加してもよい。抗菌剤としては、無機系抗菌剤、及び有機系抗菌剤がある。特に無機系抗菌剤は有機系抗菌剤に比べ一般に安全性が高く、耐久性、及び耐熱性にも優れているため望ましい。無機系抗菌剤とは、銀をはじめとする銅、亜鉛等の抗菌性金属を各種の無機物担体に担持したものである。抗菌剤の添加量は樹脂成分100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
また表面保護層には、必要に応じて、溶剤、染料、顔料等の着色剤、増量剤等の充填剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤等の各種添加剤を加えることができる。
表面保護層は、例えば、透明性樹脂層上又は後述する艶調整層上に電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂をグラビアコート、ロールコート等の公知の塗工法により塗工後、樹脂を硬化させることにより形成できる。
表面保護層の艶値は、表面保護層に含まれる樹脂成分、添加剤等の各物質の種類を選定する方法、上記各物質の含有量を適宜設定する方法、などによって調整できる。
(化粧シートの層構成)
本発明の化粧シートは、厚み方向において順に、基材シートと、透明性樹脂層と、表面保護層とを備える積層体から構成されていれば、その具体的構成(層構成)については限定されない。例えば、基材シート上に、絵柄模様層、透明性接着剤層、透明性樹脂層、プライマー層、及び表面保護層を順に積層してなる化粧シートが挙げられる。本明細書では、基材シートから見て表面保護層が積層されている方向を「上」又は「おもて面」と称し、基材シートから見て裏面プライマー層が積層されている方向を「下」又は「裏面」と称する。化粧シート又は化粧板の「おもて面(側)」又は「表面保護層(側)の面」とは、化粧シート又は化粧板の施工後に視認される面を意味する。
以下、かかる層構成の化粧シートを代表例として、上記に説明した基材シート、絵柄模様層、透明性樹脂層及び表面保護層以外の層について具体的に説明する。
透明性接着剤層
透明性樹脂層と絵柄模様層との密着性を高めるため、絵柄模様層上に透明性接着剤層を形成してもよい。透明性接着剤層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
接着剤としては特に限定されず、化粧シートの分野で公知の接着剤が使用できる。化粧シートの分野で公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら接着剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。
透明性接着剤層の厚みは特に限定されないが、厚みが0.1〜30μm程度、好ましくは1〜20μm程度である。
プライマー層
透明性樹脂層の上には、プライマー層を設けてもよい。プライマー層は、公知のプライマー剤を透明性樹脂層の表面に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μm程度である。
艶調整層
本発明の化粧シートには、艶調整層が形成されていてもよい。艶調整層が形成されている化粧シートの形態としては、例えば、図3の形態が挙げられる。
本発明の化粧シートに艶調整層が形成されている場合、前記艶調整層は、前記透明性樹脂層上に、前述の表面保護層と隣接するようにして形成される。より具体的には、艶調整層の裏面が前記透明性樹脂層(又は、本発明の化粧シートが前記プライマー層を有する場合は、当該プライマー層)のおもて面と隣接している。
艶調整層は、意匠性の観点から、(1)おもて面側(化粧シート又は化粧板の施工後に視認される面側)の面の一部分に形成されていてもよく、また、(2)おもて面側の全面(面全体)に形成されていてもよい。つまり、艶調整層は、(1)おもて面側の面を基準として、部分的に形成されていてもよく、また、(2)おもて面側の面を基準として、全体にわたって形成されていてもよい。図3の形態では、艶調整層がおもて面側の面の一部分に形成されており、且つ、表面保護層がおもて面側の全面に形成されている。
ここで、艶調整層の艶値をG、表面保護層の艶値をGとする。本発明の化粧シートが艶調整層を有する場合、艶調整層の艶値Gと前述の表面保護層の艶値Gとの関係は、G≠Gである。ここで、本明細書における前記Gと前記Gは、日本工業規格JIS Z8741に準拠して測定された値である。具体的には、本発明では、グロス計として日本電色工業株式会社製PG−3Dを用いて、入射角=60°の条件で艶値を測定している。なお、本明細書において、艶値を、光沢値又はグロス値ともいう。
前記(1)艶調整層がおもて面側の面の一部分に形成されている場合、又は、前記(2)艶調整層がおもて面側の全面に形成されている場合、のいずれであっても、化粧シート又は化粧板の施工後に視認される面には、艶調整層及び表面保護層の両者が視認され、且つ、前記艶調整層及び前記表面保護層のそれぞれの艶値の関係はG≠Gである。よって、本発明の化粧シートを被着材に貼着させた際に化粧シート表面に生じる凹凸形状(ダク)の影響はより抑制され、前記化粧シート又は化粧板の意匠性が向上する。そのため、艶調整層が形成されている本発明の化粧シートは、本発明として好ましい態様である。
次に、前記(1)艶調整層がおもて面側の面の一部分に形成されている場合(単に、前記(1)の場合、とも称する)について説明する。前記(1)の場合、化粧シート又は化粧板のおもて面の面積1cm当たりに占める艶調整層が形成されている領域の面積の割合は、20〜80%であることが好ましい。この場合、艶調整層の前記おもて面(視認される面)側が絵柄状となるように艶調整層が形成されることが好ましい。艶調整層が絵柄状であり、且つ、前記面積の割合が20〜80%であることにより、艶調整層と表面保護層の艶差がより明瞭となり、結果として意匠性をさらに向上させ、且つ、前記凹凸形状の影響をさらに抑制することが可能となる。なお、艶調整層が前記絵柄状となるように形成される場合、前記絵柄の種類は特に限定されない。前記絵柄の具体的な種類としては、例えば、前述の絵柄模様層で例示された各種絵柄と同様のものが挙げられる。
本明細書において、化粧シート又は化粧板のおもて面の面積1cm当たりに占める艶調整層が形成されている領域(艶調整層が存在する領域)の面積の割合を、艶調整層の占有面積割合と称する場合がある。前記艶調整層の占有面積割合は、艶調整層を形成するための版を作製する段階での製版データから算出している。前記艶調整層の占有面積割合は、当該版の形状から算出することもできる。
前記(1)の場合、前記凹凸形状の影響をさらに抑制する(前記凹凸形状をさらに見え難くする)ために、前記Gと前記Gの関係はG<Gが好ましい。より好ましくは、G<Gであり、且つ、G≦5である。
艶調整層の形成方法は、特に限定されず、例えば、前述の絵柄模様層と同様、公知の着色剤(染料、顔料等)、ビヒクル等とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)させて得られるインキにより形成することができる。着色剤及び溶剤については、それぞれ前述の絵柄模様層における着色剤及び溶剤で例示された着色剤及び溶剤と同様のものを使用することができる。
艶調整層を形成するインキのビヒクルとしてはウレタン系樹脂及び/又はポリビニルアセタール系樹脂を50質量%以上含有しているものが好ましい。前記ウレタン系樹脂は、ポリオール成分として、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等のポリオールと、イソシアネート成分として、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート等の脂肪族ないし脂環式イソシアネート等のイソシアネートとを反応させてなるウレタン樹脂(線状に架橋したもの、あるいは、網目状に架橋したもののいずれであってもよい)を挙げることができる。また、ポリビニルアセタール系樹脂は、ポリビニルアルコールとアルデヒド類との縮合(アセタール化)により得られる。ポリビニルアセタール系樹脂としては、ポリビニルホルマール(ホルマール樹脂)、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール(ブチラール樹脂)、ポリビニルへキシラール等を挙げることができる。中でも、溶剤に可溶でありインキ化し易く、視覚的凹凸感の発現(視覚的に凹部として認識されること)が良好であるなどの理由から、特にポリビニルブチラールが好ましい。
また、必要に応じて、艶値を調整するため、不飽和ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の艶調整樹脂を混合して用いてもよい。艶調整樹脂を使用する場合、その混合割合はビヒクルの全量に対して10〜50質量%の範囲が好ましい。また、艶調整層を形成するインキは、無着色であっても、顔料等の着色剤を加えて着色したものであってもよいものである。
また、艶調整層を形成するためのインキに体質顔料を配合してもよい。体質顔料を配合する場合、光の散乱を助長し、前記凹凸形状(ダク)消し効果を一層高めることができる。体質顔料としては特に限定されるものではないが、たとえば、シリカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等から適宜選択される。これらの中で、吸油度、粒径、細孔容積等の材料設計の自由度が高く、意匠性、白さ、インキとしての塗布安定性に優れた材料であるシリカが好ましく、特に微粉末のシリカが好ましい。なお、体質顔料を使用する場合、その含有量は、体質顔料以外のインキ(インキ組成物)100質量部に対して5〜15質量部が好ましい。
艶調整層の艶値Gは、上述のビヒクル、艶調整樹脂、着色剤(体質顔料含む)等の各物質の種類を選定する方法;上記各物質の含有量を適宜設定する方法;などによって、調整することができる。
艶調整層の形成に用いる印刷法としては、例えば、前述の絵柄模様層の形成に用いる印刷法と同様、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の艶調整層を形成する場合は、絵柄模様層の形成における各種コーティング法と同様の方法が挙げられる。
艶調整層がおもて面側の面の一部分に形成されている場合(前記(1)の場合)、艶調整層は絵柄状となるように形成されることが好ましい。特に、艶調整層は、ドット状、格子状、木目導管柄(状)等のパターン状に形成されていることがより好ましい。艶調整層が上記パターン状に形成されていることにより、艶調整層のある領域の艶が、艶調整層以外の領域(艶調整層のない領域)の艶よりも一層艶差が生じるので、凹部があるかのような目の錯覚を生じ独特の立体感として視認される。そのため、前記凹凸形状(ダク)がより一層目立たなくなる。
本発明の化粧シートに前述の絵柄模様層が形成されている場合、艶調整層を当該絵柄模様層の模様に連動(同調)するように形成することが好ましい。例えば、絵柄模様層が木目模様調で形成されている場合、木目導管柄調にパターン印刷して艶調整層を形成することで、より意匠性に優れた化粧シートが得られる。
艶調整層の厚さ(膜厚)としては、印刷適性や表面保護層形成用樹脂組成物との相互作用を考慮すると0.5μm〜5μmが好ましい。
裏面プライマー層
基材シートの裏面(絵柄模様層が積層される面と反対側の面)には、必要に応じて、裏面プライマー層を設けてもよい。例えば、基材シートと化粧板基材とを接着して化粧板を作製する際に効果的である。
裏面プライマー層は、公知のプライマー剤を基材シートに塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
裏面プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μm程度である。
エンボス形状
本発明の化粧シートは、表面保護層側からエンボス凹模様を有していてもよい。エンボス加工方法は限定されず、例えば表面保護層のおもて面を加熱軟化させてエンボス版により加圧・賦形後、冷却する方法が好ましい方法として挙げられるが、最終製品である化粧シート又は表面保護層の材質によっては、例えば、透明性樹脂層若しくは艶調整層のおもて面を加熱軟化させてエンボス版により加圧・賦形後、その上に表面保護層を形成してもよい。
エンボス加工には、公知の枚葉式又は輪転式のエンボス機が用いられる。凹形状としては、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
本発明の化粧シートは、基材シート上に、少なくとも特定の厚みの透明性樹脂層及び特定の厚みの表面保護層がこの順に積層されていることにより、歩行により砂などの異物が化粧板表面と擦れる場合であっても、白化傷の発生や絵柄模様層の摩耗による削れ(絵柄取られ)が抑制されており、この効果は本発明の化粧シートにおいて、表面保護層側から比較的深いエンボス凹模様が形成されている場合にも得られる。エンボス凹模様の一例の平面図を図4に示す。図4の凹模様は木目板導管溝であり、エンボス凹模様の一部を拡大した平面図を図5に示す。
ここで、比較的深いエンボス凹模様は、本明細書では、図6を用いて説明すると、透明性樹脂層4の表面(エンボス凹模様を有さない部分の表面:図6の点線)を基準面として当該基準面からのエンボス凹模様の凹み深さX(最深部までの距離)が0μm以上であると定義される。Xが0μm以上であると、一般的に砂などの異物により白化傷の発生や絵柄模様層の摩耗による削れ(絵柄取られ)が生じやすい状況になるが、本発明の化粧シートは、特定の厚みの透明性樹脂層及び特定の厚みの表面保護層が設けられていることにより、白化傷や絵柄模様層の削れ(絵柄取られ)が抑制されている。本明細書において、比較的深いエンボス凹模様は、0μm≦Xで表され、その中でも0μm≦X≦200μmであり、特に40μm≦X≦200μmである。
エンボス凹模様の断面形状は凹模様の種類やエンボス版の表面性状に依存するが、代表的な断面形状としては、図7の(a)〜(f)に模式的に例示できる。本発明では、図7の(a)〜(f)の中でも本発明の効果が得られ易いエンボス凹模様の断面形状としては、例えば、(a)、(d)及び(f)が挙げられる。ここで、(a)はエンボス凹模様の底部が平滑な形状をしている。(d)はエンボス凹模様の底部が丸みを帯びている形状をしており、且つエンボス凹模様と非エンボス凹模様との境界部が丸みを帯びている形状である。また、(f)は凹部のエンボス凹模様の底部が丸みを帯びている形状をしており、且つ凹部の途中には丸みを帯びた広がりを備えている。
なお、エンボス凹模様の断面形状の確認方法及び深さXの測定方法としては、例えば、図5に示すエンボス凹模様の場合には、エンボス凹部をA−A’で切断し、得られる断面をSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察することにより行える。
2.化粧板
本発明の化粧板は、化粧板基材上に少なくともコルクシート及び本発明の化粧シートがこの順に積層されている。図8には、化粧板基材9上にコルクシート10及び本発明の化粧シート1(表面保護層側とは反対面とコルクシート10とを貼り合わせる)がこの順に積層された化粧板の一例を示す。
化粧板基材としては限定的ではないが、例えば、中密度木質繊維板、高密度木質繊維板、パーティクルボード、針葉樹合板、広葉樹合板、早成樹合板、熱可塑性樹脂板(ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン等)等の少なくとも1種が挙げられる。
ここで、針葉樹としては、例えば、椴松、唐松、蝦夷松、杉、ヒノキ、パイン、セコイヤ、トウヒ等が挙げられる。広葉樹としては、例えば、ラワン、シナ、カバ、セン、ブナ、ナラ、メランチ等が挙げられる。また、早成樹としては、ポプラ、ファルカタ、アカシア、カメレレ、ユーカリ、ターミナリア等が挙げられる。
針葉樹合板、広葉樹合板、早成樹合板等の木質合板を用いる場合の木質単板の積層数(プライ数)は限定的ではないが、通常3〜7枚が好ましく、5〜7枚がより好ましい。また、木質合板作製時に用いる接着剤も限定されず、公知の木工用接着剤が広く使用できる。接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン−アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする接着剤が挙げられる。また、熱硬化型接着剤として、メラミン系、フェノール系、ユリア系(酢酸ビニル−尿素系など)等の接着剤も挙げられる。
化粧板基材の厚みは限定的ではないが、2〜15mm程度が好ましく、2〜12mm程度がより好ましい。
コルクシートとしては、例えば、化粧材を床材(フロアー材)として使用した際に良好な歩行感を与えることができるものであれば特に限定されず、コルクシート自体は種々の市販品を用いることができる。
本発明で用いるコルクシートとしては、コルク樫の樹皮のコルク組織を剥離及び加工した弾力性に富む素材であるいわゆる天然コルクだけでなく、コルクに似せて作られたいわゆる合成コルクのいずれも用いることができる。
コルクシートの密度としては、0.1〜0.5g/cm程度が好ましく、0.2〜0.5g/cm程度がより好ましい。
コルクシートの厚さとしては、化粧材に良好な歩行感を与える点では1.5mm以上が好ましく、2.0〜2.5mm程度がより好ましい。
なお、コルクシートは単層であってもよく、弾性率や密度が異なる複数のコルクシートの積層体であってもよい。
化粧シート、化粧板基材及びコルクシートをそれぞれ積層する積層方法は限定的でなく、例えば接着剤によりそれぞれを貼着する方法等を採用することができる。接着剤は、被着材の種類等に応じて公知の接着剤から適宜選択すればよい。例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー等のほか、ブタジエン−アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。これら接着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。本発明は、化粧板基材上に少なくともコルクシート及び本発明の化粧シートを層構成がこの順となるように積層する工程を有する化粧板の製造方法の発明も包含する。
このようにして製造された化粧板は、例えば、壁、天井、床等の建築物の内装材;バルコニー、ベランダ等の外装材;窓枠、扉、手すり等の建具の表面化粧板や家具;又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板等に用いることができる。特に、上記化粧板は床用化粧材として好適に用いることができる。
以下に実施例及び比較例並びに試験例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に示す内容に限定されない。
比較例1
基材シートとして、60μm厚のポリプロピレンフィルム(三菱樹脂株式会社製:アートプライ)を用意し、基材シートの裏面にコロナ放電処理を施した後、裏面プライマー層(厚さ2μm)を形成して、当該ポリプロピレンフィルムのおもて面に、厚さ2μmとなるように絵柄模様層をグラビア印刷により形成した。絵柄模様層上にウレタン系樹脂(大日精化工業株式会社製:セイカボンド E−263/C−75N)を用いて2μm厚さとなるように接着剤層を形成した。接着剤層上に、厚さ80μmとなるように透明ポリプロピレン系樹脂のシート(日本ポリプロ株式会社製:ノバテック PP)を押し出しラミネート方式で積層し、透明性樹脂層を形成した。
次いで、その表面にコロナ放電処理を施した後、2液硬化型ウレタン樹脂を塗工することによりプライマー層(表面保護層形成用プライマー層、厚さ2μm)を形成した。
プライマー層のおもて面に、ウレタンアクリレート系電子線硬化型樹脂(EB樹脂)を、硬化後厚み15μmとなるようにグラビアコート方式で塗工した後、酸素濃度200ppm以下の環境下、電子線照射装置を用いて加速電圧175KeV、5Mradの条件で電子線を照射して、上記電子線硬化型樹脂を硬化させることで表面保護層を形成した。
電子線硬化型樹脂は、塗膜厚み以下の粒子径のシリカ微粒子(粒子径12μm)を電子線硬化型樹脂100質量部に対して30質量部含有し、且つ、塗膜厚みより大きい粒子径のシリカ微粒子(粒子径18μm)を電子線硬化型樹脂100質量部に対して5質量部含有していた。
電子線硬化型樹脂の配合は、以下のとおりである。
・2官能ウレタンアクリレート(Tg=25(℃)、分子量1500)80質量部
・6官能ウレタンアクリレート(Tg=200(℃)以上、分子量1500)20質量部 上述のようにして形成された表面保護層を、赤外線非接触方式のヒーターで加熱することにより、基材シート1及び透明性樹脂層を軟化させて、直ちに熱圧によるエンボス加工を行い、表面保護層上に木目模様の凹模様(木目1)を形成し、化粧シートを作製した。凹模様の深さXは130μmであった。
最後に、基材シートの裏面にコロナ放電処理を施した後、裏面プライマー層(厚さ2μm)を形成して、化粧シートを作製した。また、表面保護層の艶値(入射角60°)を、日本電色工業株式会社製PG−3Dを使用して測定したところ、前記艶値(G)は13であった。なお、艶調整層の艶値Gは2であった。
実施例1〜20及び比較例2〜10
透明性樹脂層の厚さ及び表面保護層の厚さを表1に示す通りに変えた以外は、比較例1と同様にして化粧シートを作製した。
化粧板の作製
2.5mmの中密度木質繊維板(以下、MDF)を化粧板基材として用意した。また、2.0mmのコルクシートを別途用意した。MDF上にコルクシート及び前記(実施例1〜20及び比較例1〜10)で得られた化粧シートをそれぞれ積層することにより化粧板を作製した。
試験例
各化粧板について、耐傷性及び耐絵柄取られ性を調べた。耐傷性については、傷発生の荷重を引っ掻き硬度(クレメンス硬度)の測定試験及びホフマンスクラッチ試験の両方の観点から調べた。また、耐絵柄取られ性については、耐摩耗性試験(JAS規格)の観点から調べた。各試験方法を下記に示し、各試験結果を表1に示す。
(クレメンス硬度の測定試験)
JIS K 5600−5−5(1999)に準拠してクレメンス硬度の測定試験を行った。試験速度は30mm/sとした。化粧材表面を引っ掻く針としては、ダイヤモンド製を用いた。化粧材の表面に白化傷が発生した際の荷重を調べた。
(ホフマンスクラッチ試験)
米国BYK−GARDNER社製のホフマンスクラッチハードネステスターを用いて試験を行った。具体的には、化粧板表面に対して45°の角度で接するようにスクラッチ刃(φ7の円柱形の刃)をセットし、試験機を化粧材上で移動させた。徐々に荷重(錘)を高めていき、化粧板表面に擦り傷、圧痕等が生じるまで試験を繰り返し行い傷発生時の荷重を調べた。
(耐摩耗性試験(JAS規格))
フローリングの日本農林規格(耐摩耗性、摩耗A試験)に準拠して耐摩耗性を調べた。具体的には、絵柄模様層の絵柄取られが発生する回転数を調べた。
〔表1中、網掛け部分は比較例及びその結果を示す。〕
表1の結果から明らかな通り、透明性樹脂層及び表面保護層の厚みが所定範囲である実施例の化粧シートを用いて得られる化粧板は、耐傷性及び耐絵柄取られ性の両方の特性を同時に発揮する点で比較例により得られる化粧シートを用いた化粧板に比して優れた効果を有する。本発明の化粧シートを用いて得られる化粧板は、歩行により砂などの異物が化粧板表面と擦れる場合であっても、白化傷の発生や絵柄模様層の摩耗による削れ(絵柄取られ)が抑制されており、特に床用化粧材として有用である。
一般的に化粧シートの厚みが増加すると耐傷性等が向上すると考えられているが、化粧シートの厚みが増し過ぎるとそれによる欠点が生じてくる。例えば、1)コルクシートと化粧シートとの間に大きな気泡が残存した場合には、浮きが生じるため外観欠点にはならなくとも衝撃が加わった際に凹みや割れの原因となり易く、耐衝撃性が低下する。2)コルクシートと化粧シートとでは熱の影響による伸縮率の違いがあるため、伸縮率の違いによりコルクシートと化粧シートとの間で剪断能力が加わり、伸縮性の小さいコルクシートが材料破壊を起こし易い。3)化粧シートに反りが生じた際にコルクシート又は化粧板基材に対して剥離などのトラブルが発生し易くなる。4)コルクシートの有する吸音性能を活かし難くなる。これに対して、本発明の化粧シートは、透明性樹脂層及び表面保護層の厚みをそれぞれ所定範囲に設定することにより、上記の優れた効果を発揮するとともに、化粧シート全体の厚みを増し過ぎることも回避し、化粧シートの厚みが増し過ぎる場合の欠点を効果的に回避することが可能となる。
1.化粧シート
2.基材シート
3.絵柄模様層
4.透明性樹脂層
5.表面保護層
6.微粒子B
7.微粒子A
8.艶調整層
9.化粧板基材
10.コルクシート
A−A’.エンボス凹模様の断面を切り出す基準線の一例
T1.透明性樹脂層の厚み
T2.表面保護層の厚み

Claims (10)

  1. 少なくともコルクシート上に積層することにより化粧板として用いるための化粧シートであって、
    前記化粧シートは、厚み方向において順に、基材シートと、透明性樹脂層と、表面保護層とを備える積層体から構成されており、
    (1)前記透明性樹脂層は、厚みが90μm以上300μm以下であり、
    (2)前記表面保護層は、厚みが20μm以上40μm以下であ
    (3)前記化粧シートは、前記表面保護層側からエンボス凹模様を有し、前記エンボス凹模様の一部又は全部は、前記エンボス凹模様を有していない部分の前記透明性樹脂層の表面を基準面として当該基準面からの凹み深さが40μm以上200μm以下である、
    ことを特徴とする化粧シート。
  2. 前記表面保護層は、1)前記表面保護層が単層から構成される場合には当該単層の厚みより大きい粒子径の微粒子を含有し、2)前記表面保護層が多層から構成される場合には当該多層を構成する最表層の厚みより大きい粒子径の微粒子を含有する、請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記微粒子の含有量は、前記微粒子が含有される層の樹脂成分100質量部に対して5質量部以上30質量部以下である、請求項に記載の化粧シート。
  4. 前記微粒子は、シリカ微粒子である、請求項又はに記載の化粧シート。
  5. 前記基材シート及び前記透明性樹脂層は、非ハロゲン系熱可塑性樹脂を含有する、請求項1〜のいずれかに記載の化粧シート。
  6. 前記非ハロゲン系熱可塑性樹脂は、オレフィン系熱可塑性樹脂である、請求項に記載の化粧シート。
  7. 前記表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂を含有する、請求項1〜のいずれかに記載の化粧シート。
  8. 化粧板基材上に少なくともコルクシート及び請求項1〜のいずれかに記載の化粧シートがこの順に積層されている化粧板。
  9. 前記化粧板基材は、中密度木質繊維板、高密度木質繊維板、パーティクルボード、針葉樹合板、広葉樹合板、早成樹合板、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン及びポリエチレンからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項に記載の化粧板。
  10. 化粧板基材上に少なくともコルクシート及び請求項1〜のいずれかに記載の化粧シートを層構成がこの順となるように積層する工程を有する、化粧板の製造方法。
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