JP6818293B2 - 中性子吸収材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、中性子線を吸収、遮蔽する中性子吸収材、およびその製造方法に関する。
放射性物質から発せられる放射線のうち、電子線、X線、γ線等は、鉛等の重金属を用いて吸収、遮蔽することができるのに対し、中性子線の吸収、遮蔽を重金属で行うことは困難である。一方、中性子線は、使用済み核燃料や原子炉廃棄物等から発せられるため、中性子線を効率的に吸収、遮蔽することのできる中性子吸収材は、こうした材料を扱う上では非常に重要である。
一般的に、電気的に中性である中性子線を阻止、吸収することは、電子等と比べて困難であるため、中性子線を吸収する材料としては、原子核による中性子の捕獲反応断面積が比較的大きな材料(元素)が用いられている。こうした材料としては、エネルギーの低い熱中性子に対する捕獲反応断面積の大きなホウ素(B)、カドミウム(Cd)、キセノン(Xe)、ガドリニウム(Gd)、ハフニウム(Hf)等が知られている。特に、ホウ素は、その同位体のうちの一つである10Bの中性子の捕獲反応断面積が大きく、かつ比較的安価であるため、広く用いられている。天然のホウ素中の10Bの存在比は20%程度であり、残りの大部分は中性子吸収能が高くない11Bであるが、10Bを濃縮したホウ素材料を製造するコストは非常に高くなる。このため、実際にはホウ素材料としては上記の天然の組成のものが用いられる場合が多い。
ただし、これらの材料は、単体としての成形性や機械的性質が構造材料としては必ずしも好適ではなく、かつ構造材料として通常用いられる鋼材やセメント材等と比べて高価である。このため、これらの材料は、化合物として用いられ、かつ、母材となる他の材料に混合されて使用される場合が多い。例えば、使用済み燃料集合体を輸送するための容器において、ホウ素は、ホウ素の無機化合物である炭化ホウ素(BC)やホウ酸(B(OH))の粉末として、ステンレス鋼やアルミニウム合金等の金属材料に混合されて用いられる。このような金属材料は各種の構造材料として好適に用いられているため、これにホウ素が添加された中性子吸収材も、同様にして構造材料として好ましく用いることができる。
また、ホウ素と共に、弾性散乱によって中性子を減速させる効果の大きな水素原子を多く含む材料を同時に用いることも有効である。特許文献1に記載の中性子吸収材においては、水素原子を多く含むビニルエステル樹脂を主成分とする高分子材料が母材として用いられ、これにやはり水素原子を多く含むアルミナ水和物粉末が混合され、中性子吸収能の高いホウ素を含む炭化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸亜鉛等の粉末が混合されている。高分子材料は成形や塗布が容易であるため、この中性子吸収材を様々な態様で使用することができる。特許文献2には、この際の高分子材料として、エポキシアクリレート樹脂等を用い、アルミナ水和物又はホウ化亜鉛等を添加することによって、特に耐熱性、自己消火性の向上がなされることが記載されている。同様に、建築材料として広く用いられているコンクリート材も、水素原子を多く含むため、中性子吸収材として広く用いられている。
また、中性子線の線量が高い環境下では、一般的にγ線等、他の放射線の線量も高い。更に、中性子が前記のように水素原子等によって減速、散乱された場合には、γ線、陽子線等が発生する。また、10Bが中性子を吸収する際にもγ線が発せられる。このようなγ線や陽子線を遮蔽するためには、鉛等の重金属が有効であるため、特許文献3に記載の放射線遮蔽材においては、上記のような高分子材料中にホウ素化合物粉末と共に、鉛等の重金属粉末も混入し、高分子材料中の水素原子密度を6×1022個/cm以上と高くすることによって、特に高い中性子(放射線)吸収、遮蔽能を得ている。
特開2004−151096号公報 特開2005−512101号公報 特開2003−255081号公報
上記のような中性子吸収材において、十分な中性子吸収能を得るためには、中性子捕獲反応断面積の大きな10Bあるいはホウ素をより高濃度で含むことが望まれる。しかしながら、例えば母材となる金属材料にホウ素を混入する際に、ホウ素を高濃度で含有する場合にはその機械的特性、機械加工性等が大きく劣化するために、ホウ素の含有量はステンレス鋼において最大で1%程度、アルミニウム合金において最大で5%程度とすることしかできなかった。この際、ホウ素中における10Bの濃度を特に高めることによって、より中性子吸収能を高めることも可能であるが、前記の通り、この場合には中性吸収材が非常に高価となるため、実際には適用が困難である。また、この場合においても中性子吸収材全体における10Bの添加濃度は最大でも上記のような低濃度であるため、中性子吸収能は不十分であった。コンクリートについても同様であり、十分な中性子吸収能を得ることが困難であった。すなわち、このような金属材料やコンクリート材中に高濃度で10Bを添加して高い中性子吸収能を得ることは実際には困難であった。
一方、特許文献1〜3に記載のような、母材を高分子材料とした場合においては、ホウ素含有量を高めることができる。しかしながら、例えば、中性子吸収材を使用済み核燃料の輸送の際に用いる場合、使用済み核燃料からは崩壊熱が発生するために、中性子吸収材は高温に曝される。高分子材料は、上記のような金属材料やコンクリート材と比べて耐火性が低いために、こうした用途で構造材料として使用することが困難であり、比較的耐火性の高いエポキシアメタクリレートを用いた特許文献2に記載の中性子吸収材においても、その耐火性は不十分であった。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、高い中性子吸収能をもち、かつ耐火性の高い中性子吸収材を得ることを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明の請求項1に係る中性子吸収材は、ポリオール化合物で構成された第1成分と、イソシアネート化合物で構成され前記第1成分との反応によって硬化反応を発生させる第2成分との反応によって形成される熱硬化型ポリウレタン樹脂と、ホウ素を含有するホウ素含有粉末とが、前記ホウ素含有粉末の全体に対する濃度が40重量%〜80重量%となるように混合され、かつ前記熱硬化型ポリウレタン樹脂の発泡倍率が1.0以上2.0以下であり、JISK6253に準拠してタイプAのデュロメータを用いて測定された硬さが70以上であることを特徴とする。
この発明においては、ポリオール化合物で構成された第1成分と、イソシアネート化合物で構成された第2成分との反応によって形成されるウレタン樹脂中に、ホウ素含有粉末が、全体に対する濃度が40重量%〜80重量%となるように混合される。ウレタン樹脂は、この中性子吸収材の母材となり中性子線の減速に寄与し、ホウ素含有粉末は中性子を捕獲する。この際、この母材の発泡倍率は1.0以上2.0以下である、すなわち、この母材は低発泡材料とされる。また、この発明においては、この中性吸収材のデュロメータ硬さが70以上とされる、すなわち、この中性子吸収材は硬い材料である。
本発明の請求項2に係る中性子吸収材は、ポリオール化合物で構成された第1成分と、イソシアネート化合物で構成され前記第1成分との反応によって硬化反応を発生させる第2成分との反応によって形成される熱硬化型ポリウレタン樹脂と、ホウ素を含有するホウ素含有粉末とが、前記ホウ素含有粉末の全体に対する濃度が40重量%〜80重量%となるように混合され、かつ前記熱硬化型ポリウレタン樹脂の発泡倍率が1.0以上2.0以下であり、JISK6253に準拠してタイプAのデュロメータを用いて測定された硬さが70以上であるとともに、前記ホウ素含有粉末は、無機ホウ素化合物を含有することを特徴とする。
この発明においては、添加されるホウ素含有粉末において、ホウ素が無機ホウ素化合物の形態で含まれる。
本発明の請求項3に係る中性子吸収材は、ポリオール化合物で構成された第1成分と、イソシアネート化合物で構成され前記第1成分との反応によって硬化反応を発生させる第2成分との反応によって形成される熱硬化型ポリウレタン樹脂と、ホウ素を含有するホウ素含有粉末とが、前記ホウ素含有粉末の全体に対する濃度が40重量%〜80重量%となるように混合され、かつ前記熱硬化型ポリウレタン樹脂の発泡倍率が1.0以上2.0以下であり、JISK6253に準拠してタイプAのデュロメータを用いて測定された硬さが70以上であるとともに、鉛を含む重金属粉末又は鉛を含む重金属繊維状体を更に含有することを特徴とする。
この発明においては、重金属である鉛が、重金属粉末又は重金属繊維状体として、ホウ素含有粉末と共に母材中に添加される。
発明の請求項に係る中性子吸収材は、板状の形状を具備することを特徴とする。
この発明においては、この中性吸収材が板状(例えば略矩形体形状)とされる。
本発明の請求項に係る中性子吸収材は、厚さが20mm以上とされたことを特徴とする。
この発明においては、中性子吸収材は、厚さが20mm以上、すなわち、厚く設定される。
本発明の請求項6に係る中性子吸収材の製造方法は、ポリオール化合物で構成された第1成分と、イソシアネート化合物で構成され前記第1成分との反応によって硬化反応を発生させる第2成分との反応によって形成される熱硬化型ポリウレタン樹脂と、ホウ素を含有するホウ素含有粉末とが、前記ホウ素含有粉末の全体に対する濃度が40重量%〜80重量%となるように混合され、かつ前記熱硬化型ポリウレタン樹脂の発泡倍率が1.0以上2.0以下である中性子吸収材の製造方法であって、キレート剤又は界面活性剤が混合された水溶液中にホウ砂及び/又はホウ酸を混合、攪拌した水溶液を60℃以上とすることによって水熱反応を発生させた後に、水分を蒸発させることによって前記ホウ素含有粉末を得るホウ素含有粉末製造工程と、液状の前記第1成分に前記ホウ素含有粉末を混合するホウ素含有粉末混合工程と、前記ホウ素含有粉末が混合された前記第1成分と、前記第2成分とを混合及び攪拌する混合撹拌工程と、前記混合撹拌工程で得られた混合撹拌物を成形型に注入し発泡倍率を1.0以上2.0以下とするように固化させる成形工程と、を具備することを特徴とする。
この発明においては、ホウ素含有粉末製造工程で、キレート剤、界面活性剤と共にホウ砂、ホウ酸を水中に溶解し、水熱反応を発生させた後に水分を蒸発させることによって、高濃度に無機ホウ素化合物を含有するホウ素含有粉末を得る。その後、ホウ素含有粉末混合工程において、第1成分(ポリオール化合物)にホウ素含有粉末を混合し、その後の混合攪拌工程において、これと第2成分(イソシアネート化合物)とを混合、攪拌する。その後、この混合攪拌物を成形工程で低発泡倍率で成形することによって、前記の中性子吸収材が得られる。
本発明の請求項7に係る中性子吸収材の製造方法は、前記中性子吸収材の製造方法であって、液状の前記第1成分に前記ホウ素含有粉末を混合するホウ素含有粉末混合工程と、前記ホウ素含有粉末が混合された前記第1成分と、前記第2成分とを混合及び攪拌する混合撹拌工程と、前記混合撹拌工程で得られた混合撹拌物を成形型に注入し発泡倍率を1.0以上2.0以下とするように固化させる成形工程と、を具備することを特徴とする。
この発明においては、まず、ホウ素含有粉末混合工程において、第1成分(ポリオール化合物)にホウ素含有粉末を混合し、その後の混合攪拌工程において、これと第2成分(イソシアネート化合物)とを混合、攪拌する。その後、この混合攪拌物を成形工程で低発泡倍率で成形することによって、前記の中性子吸収材が得られる。
本発明の請求項8に係る中性子吸収材の製造方法は、キレート剤又は界面活性剤が混合された水溶液中にホウ砂及び/又はホウ酸を混合、攪拌した水溶液を60℃以上とすることによって水熱反応を発生させた後に、水分を蒸発させることによって前記ホウ素含有粉末を得るホウ素含有粉末製造工程を前記ホウ素含有粉末混合工程の前に具備することを特徴とする。
この発明においては、ホウ素含有粉末製造工程で、キレート剤、界面活性剤と共にホウ砂、ホウ酸を水中に溶解し、水熱反応を発生させた後に水分を蒸発させることによって、高濃度に無機ホウ素化合物を含有するホウ素含有粉末を得る。
本発明の請求項9に係る中性子吸収材の製造方法は、前記混合撹拌工程において、前記ホウ素含有粉末が混合された前記第1成分と前記第2成分の反応が始まる時点まで混合攪拌を行うことを特徴とする。
この発明においては、混合攪拌工程において、前記第1成分と前記第2成分の反応が始まる時点まで攪拌が行われ、低発泡倍率の中性子吸収材を得ることが可能となる。
本発明の請求項10に係る中性子吸収材の製造方法は、前記混合撹拌工程において、前記ホウ素含有粉末が混合された前記第1成分と前記第2成分を、共に体積又は重量が制御された状態で混合した後に、予め定められた時間だけ攪拌を行うことを特徴とする。
この発明においては、混合攪拌工程において、ホウ素含有粉末が混合された第1成分と、第2成分とが、適正な比率で混合された後に、低発泡倍率の中性子吸収材を得ることが可能な一定時間の間、攪拌が行われる。
本発明の請求項11に係る中性子吸収材の製造方法は、前記成形型への前記混合撹拌物の投入前に、前記成形型の温度を40℃〜60℃の範囲に設定することを特徴とする。
この発明においては、成形工程の前に予め成形型が予熱され、成形性や成形時間の短縮が図られる。
本発明の請求項12に係る中性子吸収材の製造方法において、前記成形型は、板材を成形する外形型であることを特徴とする。
この発明においては、成形工程で、板状の外形に対応した成形枠が用いられる。
本発明の中性子吸収材は以上のように構成されているので、高い中性子吸収能と高い耐火性を兼ね備える。ここで、使用する原材料に含まれるホウ素において、10Bが濃縮されていない場合でも、ホウ素自体の濃度が高いためにその中に含まれる10Bの濃度を高くして中性子吸収能を高めることができる。このため、この中性子吸収材を安価とすることができる。この際、目的や使用の態様によってこの中性子吸収材の発泡倍率を制御することもでき、これによって中性子吸収材の重量密度も制御することもできるが、この発泡倍率を小さく、2以下にすることによって、重量当たりの中性子吸収能や硬度を高めることができる。このため、中性子の吸収、遮蔽能をもつ構造材料(ブロック材等)として特に好ましく用いることができる。
この際、ホウ素含有粉末において、ホウ素が無機ホウ素化合物の形態で含まれる場合には、特に高い耐火性を得ることができる。
また、ホウ素含有粉末とともに重金属粉末や重金属繊維状体も含む場合には、中性子線以外の放射線、例えばγ線等の遮蔽も可能となる。また、中性子を吸収する際に副次的に発生するγ線等が放射されることが抑制されるため、放射線遮蔽能力をより高くすることができる。この場合においても、この中性子吸収材を上記と同様に構造材料として好ましく用いることができる。
また、この中性子吸収材のデュロメータ硬さを70以上とすることができ、この場合には、変形を避けたい各種の構造材料としてこの中性子吸収材を特に好ましく用いることができる。
この際、この中性子吸収材を板状とすることによって、これを連結して大型化する等、様々な態様で用いることができる。逆に、切削加工して、より小さくして用いることも容易である。この際、その厚さを20mm以上とすることによって、表面に入射した中性子線の約半分以上を吸収することができる。
また、本発明の中性子吸収材の製造方法は以上のように構成されているので、母材中に均一にホウ素含有粉末を分散させることができ、これによって均一で高い中性子吸収能を得ることができる。また、安価、容易にこの中性子吸収材を製造することができる。
また、ホウ素含有粉末製造工程で、ホウ砂、ホウ酸を水中に溶解してから水熱反応を発生させ、ホウ素を高濃度で含有する水溶液からホウ素含有粉末を抽出することにより、無機ホウ素化合物を含むホウ素含有粉末を特に安価、容易に得ることができ、この中性子吸収材を特に安価とすることができる。
また、通常知られる2液混合型の樹脂材料と同様の製造方法でこの中性子吸収材を製造することができる。このため、こうした樹脂材料の製造の際に用いられるような機器を用いて、自動的かつ正確な混合比、混合条件で混合攪拌工程を行うことができ、再現性よく効率的にこの中性子吸収材を製造することができる。
また、成形型を用いて成形を行うことにより、特に汎用性の高い板状等の中性子吸収材を容易に得ることができる。この際、成形型を予熱することによって、硬化前の材料がより成形型に流れやすくなるため、この中性子吸収材を成形型に忠実な形状で、成形時間を短縮して得ることができる。
本発明の実施例となる中性子吸収材とコンクリート材における中性子遮蔽能力を比較した図(横軸:厚さ)である。 本発明の実施例となる中性子吸収材とコンクリート材における中性子遮蔽能力を比較した図(横軸:重量)である。 本発明の実施の形態となる中性子吸収材の製造方法の一例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態となる中性子吸収材について説明する。この中性子吸収材においても、特許文献1〜3に記載の中性子吸収材と同様に高分子材料で構成された母材が用いられ、この母材に対してホウ素を含有する粉末(ホウ素含有粉末)が混入される。ただし、この中性子吸収材においては、より多くのホウ素成分あるいは10Bを含有することができ、かつ高い耐火性も得ることができる。
この母材として用いられる高分子材料は、熱硬化型ポリウレタン樹脂である。この熱硬化型ポリウレタン樹脂は、ポリオール化合物における水酸基(−OH)と、イソシアネート化合物におけるイソシアネート基(−NCO)とが反応することによって、ウレタン結合(−NH・CO・O−)が複数含まれるように形成された硬質の高分子材料である。ここで、ポリオール化合物は、水酸基OHを2個以上含む液状の化合物であり、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等である。イソシアネート化合物は、−N=C=Oの部分構造を含む液状の化合物であり、例えばトリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等である。ポリオール化合物(第1成分)とイソシアネート化合物(第2成分)を体積比約1:1で混合、撹拌することによって、常温で硬化して上記の熱硬化型ポリウレタン樹脂となる。この熱硬化型ポリウレタン樹脂は水素原子を多く含むため、中性子を減速させる材料として好適に用いることができる。
ここで、一般的には、発泡剤を混合することによって、この硬化反応時に発泡を生じさせることにより、熱硬化型ポリウレタン樹脂中に空孔を多く生じさせてその重量密度を低下させることもできる。この中性子吸収材においては、中性子吸収能を高めるためには、単位体積当たりの水素密度、あるいは添加されるホウ素密度を高めることが好ましいため、空孔を少なくすることが好ましい。また、例えばこの中性子吸収材を自立した、変形しにくいブロック材として用いるためには、重量密度や硬度が高いことが好ましく、このためにも発泡倍率が低いことが好ましい。このため、この中性子吸収材、あるいはその製造方法においては、発泡倍率を1.0以上2.0以下とすることが好ましく、中性子吸収性能、切削加工性、硬度、自立性をより重視する場合は、1.0以上1.2以下とすることがさらに好ましい。ここで、発泡倍率は一般に発泡体の密度を発泡前の素材の密度で割った値で定義される。第1成分と第2成分を用いる場合は、発泡前の素材の密度として、第1成分と第2成分の各々の密度に混合比(重量比)を乗算して求めた平均密度を素材の密度として用いる。ただし、逆に、使用態様に応じて、重量密度や加工性の調整のために、適度に発泡性をもたせてもよい。
上記の母材に添加されるのは、ホウ素を高濃度で含有するホウ素含有粉末であり、ホウ素含有粉末の濃度は、全体に対して40〜80重量%の範囲である。ここで、ホウ素としては、中性子捕獲断面積の大きな10Bが濃縮されたものではなく、10Bの含有量が20%程度である天然のホウ素を用いることができる。このホウ素含有粉末としては、特開平8−73212号公報に記載された、ホウ砂等を溶解した水溶液をスプレードライ(噴霧乾燥)することによって得られた粉末を、特に好ましく用いることができる。特開平8−73212号公報においては、この水溶液を例えば木材等に塗布することによって、木材を難燃化できることが記載されている。本実施の形態においては、この水溶液からホウ素を高濃度で含有する固体状のホウ素含有粉末を抽出し、上記の母材と混合して用いている。このホウ素含有粉末は、耐熱性の高い無機ホウ素化合物を含むため、ホウ素による中性子の吸収に寄与すると共に、この中性子吸収材の耐熱性(耐火性)の向上にも寄与する。この際、一般的にポリオール化合物の粘度はイソシアネート化合物の粘度よりも低いため、ホウ素含有粉末を予めポリオール化合物中に混合した後で、これにイソシアネート化合物を混合、撹拌することが、ホウ素含有粉末を均一に分散させる上では好ましい。
特開平8−73212号公報には、ホウ素を高濃度で含む水溶液を作成するために、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)等のキレート剤や界面活性剤が混合された水溶液中に粉体であるホウ砂やホウ酸を混合、攪拌することによって、ホウ砂またはホウ酸の溶解度(20℃において水100gに対して4.7g)を超える濃度で溶解させ、かつこの水溶液を60℃以上とすることによって水熱反応を発生させ、高濃度にホウ素を含有する水溶液を得ることができることが記載されている。この際、ホウ砂やホウ酸が溶解した水溶液はアルカリ性となるため、PH調整のために、更にリン酸等を混合することができる。このようにして得られた水溶液を噴霧乾燥することによって得られた粉末を、高濃度でホウ素を含むホウ素含有粉末として用いることができる。ここで、中性子吸収に寄与するのは10Bであり、天然のホウ素により多く含まれる11Bは中性子吸収には寄与しないが、この中性子吸収材はホウ素含有粉末を40〜80重量%と高濃度で含むため、天然のホウ素の一部(20%程度)を占める10B濃度も8〜16重量%程度となるため、ホウ素添加金属材料等と比べて、高くなる。
また、母材は水素原子を多量に含む高分子材料である熱硬化型ポリウレタン樹脂であるため、また中性子吸収材として低い発泡倍率とすることにより、この中性子吸収材における単位体積当たりの水素原子濃度も高くなる。このため、この中性子吸収材の中性子吸収能は高くなる。また、例えば金属材料に対して高濃度にホウ素を添加すると、機械的特性等が劣化したのに対し、上記の母材に高濃度にホウ素含有粉末を添加した場合には、これとは逆に、機械的特性や耐火性が向上する。特に、ホウ素が無機ホウ素化合物の形で含まれる場合には、熱硬化型ポリウレタン樹脂の耐火性、耐熱性が向上する。また、ホウ素含有粉末の添加によって、母材となる熱硬化型ポリウレタン樹脂自身よりも硬度を向上させることができ、例えばJISK6253に準拠したデュロメータ硬さを野球の軟球レベルの70以上とすることができる。このため、この中性子吸収材を例えば使用済み核燃料の保管容器中において使用済み核燃料間を仕切るブロック材として使用することもできる。この際、あらかじめ定められた形状、大きさでこの中性吸収材を量産した後で、切削、切断加工を行うことも容易である。また、中性吸収材を大きく成形して切断し、例えば板材を得ることもでき、さらに板材を切削加工することも可能である。この際、この中性子吸収材の母材は熱硬化型ポリウレタン樹脂であるため、特にウレタン系接着剤を用いて中性子吸収材同士の接合を容易に行うこともできる。このため、こうした板状の中性子吸収材を組み合わせてより大きな形状を形成することも容易であり、様々な態様でこの中性子吸収材を用いることができる。
上記の中性子吸収材の中性子吸収能力を、平均エネルギーが2MeV程度の高速中性子を発する中性子線源252Cfを用いて調べた。ここでは、ホウ素含有粉末の添加量を全体に対して40重量%とした上記の中性子吸収材(実施例1)と、従来より中性子遮蔽材として使用されているコンクリート材(比較例1)の、それぞれの厚さを変え、上記の中性子線の透過率の厚さ依存性をそれぞれ測定した。図1は、その測定結果であり、ここでは、透過後の中性子線強度を元の中性子線強度(遮蔽材の関与がない場合の中性子線強度)で規格化された値が規格化中性子数として縦軸で示されている。この結果より、同一の厚さで比べた場合、実施例1は、中性子線を比較例1よりもより吸収(遮蔽)することができる。特に、実施例1においては、中性子吸収材が20mm以上の厚さであれば、中性子数を約半減させることができる。比較例1となるコンクリート材において、これと同等の中性子吸収能をもつ厚さは30mmとなる。なお、中性子吸収材の厚みは使用目的や用途によって、適宜選択し得る。
また、上記の中性子吸収材(実施例1)の重量密度は、1.1g/cm程度であり、これはコンクリート材(比較例1)の2/3程度である。図2は、図1の横軸である厚さを特定の面積当たりの重量に変換・換算した結果である。実施例1の密度は比較例1よりも低いため、図2においては、両者の中性子吸収能力の差はより顕著となっている。すなわち、実施例1は、比較例1よりも高い中性子吸収能をもち、かつ、より軽いため、単位重量あたりの中性子遮蔽能力は特に高くなっている。
更に、ホウ素あるいは無機ホウ素化合物は難燃性の材料を構成することでも知られており、上記のホウ素含有粉末を上記の母材中に高濃度で混合することにより、この中性子吸収材の耐火性を、母材となる熱硬化型ポリ樹脂単体よりも向上させることができる。この際、中性子吸収材の硬度も、ホウ素含有粉末の添加によって向上する。以下に、この点について説明する。
ISO5660発熱性試験法(コーンカロリーメータ法)に準拠して、上記の中性子吸収材の耐火性を調べた。ここでは、試料として、後述するような、25mm厚とされた板状の上記の中性子吸収材(ホウ素含有粉末添加量:中性子吸収材全体に対して70重量%:実施例2)と、ホウ素含有粉末を全く添加せず上記の母材組成を100%とした比較例2を用いた。コーンカロリーメータ法の適用に際しては、被検体を水平に載置し、これを上側からヒーターで50kW/m(ヒーター温度736.5℃)で加熱し、着火させた際の平均発熱速度をコーンカロリーメータによって計測した。その結果、平均発熱速度は、比較例2で199kW/mであったのに対して、実施例2では116kW/mとなり、約1/2に減少した。このため、ホウ素含有粉末を高濃度に添加することによって、この中性子吸収材においては耐火性が高まることが確認できた。
ここで、例えば、機械的性質が上記の母材である熱硬化型ポリウレタン樹脂に近い硬質アクリル樹脂に対して同様の測定を行ったところ、平均発熱速度は330W/mであり、高分子材料の中でも、上記の母材となる熱硬化型ポリウレタン樹脂の平均発熱速度は低く、耐火性が高い材料である。この母材に対してホウ素含有粉末を多量に添加することによって、この耐火性が更に高まる。すなわち、母材として上記の熱硬化型ポリウレタン樹脂を用い、これにホウ素含有粉末を高濃度で添加することによって、特に耐火性が高まる。
また、上記と同様の試料に対して、JISK6253に準拠して硬さ(デュロメータ硬さ)が、タイプAのデュロメータを用いて測定された。その結果、硬さは比較例2で70だったのに対し、実施例2では95であり、耐火性と同様に、デュロメータ硬さも、実施例2で向上していることが確認できた。中性子吸収能が高くない比較例2の硬さも、ブロック材等の構造材料とするには十分であるが、実施例2においては、中性子吸収能が高まる上に、これよりも硬さも更に向上している。なお、デュロメータ硬さが増すことは、ブロック材等の構造材料としての外力による変形が少なくなり、また切削加工する際の加工性も増すため好ましい。
すなわち、上記の中性子吸収材においては、高濃度でホウ素含有粉末を添加することによって、これに用いられた母材単体と比べて耐火性、硬さが共に向上している。上記の中性子吸収材における上記のデュロメータ硬さは、70以上となる。このため、この中性子吸収材を構造材料として好ましく用いることができる。なお、一般的な切削用工具での加工を想定すると、デュロメータ硬さを80以上とすることが更に好ましい。
次に、上記の中性子吸収材の製造方法について説明する。ここでは、板状の中性子吸収材を得る場合について説明する。図3は、この製造工程の概要を示す図である。まず、前記のようなポリオール化合物でありイソシアネート化合物と反応することによって硬化する第1成分を準備する(S1)。一方、これとは別に、特開平8−73212号公報に記載された方法によって、前記の通り、ホウ砂等から水溶液を作成し、この水溶液で水熱反応を発生させることによって、ホウ素を高濃度に含有する水溶液を得る。この水溶液から、例えばスプレードライ法によって、ホウ素を高濃度で含有するホウ素含有粉末を得ることができる(S2:ホウ素含有粉末製造工程)。なお、このホウ素含有粉末製造工程(S2)は、この中性子吸収材の製造工程の一つとして実施すること以外に、ホウ素含有粉末製造のみの製造工程としての実施することや別のホウ素含有粉末製造メーカーの工程で量産品として実施することも含む。
次に、第1成分とホウ素含有粉末とを混合する(S3:ホウ素含有粉末混合工程)。一方、これらとは別に、前記のようなイソシアネート化合物でありポリオール化合物(第1成分)と反応することによって硬化する第2成分を準備する(S4)。
一方、最終的な中性子吸収材の形状(外形)に対応した金型(外形型:例えば150mm×150mm×25mm)を準備し、その内面に離型剤を塗布する。その後、前記のホウ素含有粉末混合後の第1成分と、第2成分とを、体積比が約1:1となるようにそれぞれ秤量し、これらを混合、攪拌し、ホウ素含有粉末が混合された第1成分と第2成分の反応が始まる時点まで混合攪拌を行った(S5:混合攪拌工程)後、この混合攪拌物を前記の金型中に流し込む。この際、混合される各成分の量は、混合・硬化時の発泡も考慮し、硬化後に金型が中性子吸収材で充満されるように設定される。この際、金型は、予め40〜60℃に予熱しておくことが好ましい。これによって、混合攪拌物が金型の隅々まで流れやすくなり、固化後の中性子吸収材の形状を金型に忠実な形状とすることができ、成形時間の短縮も図れる。
その後、金型の上側を蓋で封止すれば、硬化反応が始まるまでの時間(可使時間:ポットライフ)経過後に、常温で10〜20minの時間で熱硬化して固化する(S6:成形工程)。この際、発泡剤を用いて発泡倍率を調整してもよいが、発泡倍率は1.0以上2.0以下とすることが好ましい。
離型剤が金型に塗布されていたため、その後、硬化後の中性子吸収材を金型から容易に取り出すことができる(S7)。この場合に得られる中性子吸収材は板状であるため、これを組み合わせて各種の構造材料として用いることができる。なお、金型の構成は、要求される形状に応じて任意であり、その材質も、上記のような成形が行われる限りにおいて任意である。すなわち、成形型として、形状や態様に応じたものを用いることができる。
共に液状(ゲル状)の第1成分と第2成分を混合して硬化させるという点において、上記の製造方法は、通常の2液混合型のポリウレタン樹脂の製造方法と同様である。このため、上記の製造方法、特に混合撹拌工程は、治具を用いて作業者が手動で行うことも可能であるが、2液混合型のポリウレタン樹脂の製造方法に用いられる反応射出成形(RIM)用の機器を用いて自動的かつ効率的に行うことができる。この場合には、第1成分、第2成分を共に精密に秤量した状態で均一に混合してから成形工程を行うことができる。低圧式のRIM注入器(混合機)においては、第1成分、第2成分共に減圧雰囲気下で取り扱われるために混合の際に気泡が混入しにくくなる。高圧式のRIM注入機においては、高圧化で第1成分と第2成分とを衝突・混合させるために、両者を素早く均一に、再現性良く混合することができる。低圧式、高圧式のどちらを用いるかは、ホウ素含有粉末混合後の第1成分、第2成分の粘度等の特性を考慮して定めることができる。いずれの場合にも、このように適正な混合が自動的に行われる機器を用いることが好ましい。
また、自動的に行う混合撹拌工程においては、ホウ素含有粉末が混合された第1成分と第2成分を、共に体積又は重量が制御された状態で混合した後に、予め定められた時間だけ攪拌を行うことが好ましい。
また、上記のような2液を混合して硬化させて樹脂材料を得る場合には、一定の時間(可使時間)の経過後に硬化が開始する。このため、混合はこの可使時間内に十分に行うことが好ましく、この時間は、例えば25℃の温度においては60〜80s程度である。上記のような自動式の混合機を用いる場合においても、同様である。
上記の例では、上記の中性子吸収材を板状に成形する場合について説明したが、他の形状とすることができることも明らかである。この際、上記のように、接着剤を用いてこの中性子吸収材を結合してより大きな形状とする、あるいは逆にこの中性子吸収材を切削、切断加工してより小さな形状とすることも容易である。こうした場合には、上記のように、この中性子吸収材をこうした作業がしやすく汎用性の高い板状の形状として大量に生産することが好ましい。また、ホウ素含有粉末が混合された第1成分と第2成分とを混合した後に、これを塗布して用いることもできる。この場合においても、同様の硬化時間を経た後に、上記の中性子吸収材が塗布膜として得られる。この場合には、特にこの中性吸収材を放射線環境下の機器の補修用に好ましく用いることができる。
前記の通り、一般的にポリオール化合物(第1成分)の粘度はイソシアネート化合物(第2成分)の粘度よりも低い。また、第1成分と第2成分とが混合された後で硬化反応が開始した後でホウ素含有粉末を混合するのは困難である。このため、上記のように、ホウ素含有粉末を予め第1成分中に攪拌、混合した後で、これに第2成分を混合することが、ホウ素含有粉末の濃度を高める上では特に好ましい。ただし、状況に応じ、第2成分中にホウ素含有粉末を混合してもよい。
また、上記の製造方法によれば、機械的強度の高い母材中にホウ素含有粉末を高濃度で添加、分散させることができるため、この中性子吸収材の使用時にホウ素含有粉末が中性子吸収材から外部に出ることも抑制される。このため、例えば海水中にホウ素含有粉末が流れ出ることによって海水が汚染される、あるいはホウ素含有粉末が流れ出ることによって使用時に中性子吸収材の中性子の吸収、遮蔽能力が劣化する、等の問題も抑制される。
上記の例では、ホウ素含有粉末として、特開平8−73212号公報に記載の水溶液から抽出したものを用いたが、同様にホウ素あるいは無機ホウ素化合物を高濃度で含有する他の粉末を用いても、同様のホウ素濃度、水素濃度を得ることができるため、同様の水素吸収能を得ることができる。この際、母材となる熱硬化型ポリウレタン樹脂が同様であれば、同様にホウ素によって難燃性の特性も得ることができるため、耐火性も向上する。前記の通り、この際にはホウ素は無機化合物の形態で含まれることが特に好ましい。
また、上記の例では、母材中にホウ素含有粉末が混合されたものとしたが、ホウ素含有粉末以外の粉末成分を含有させてもよい。例えば、γ線等を吸収するために有効である鉛等の重金属を含む粒子で構成された粉末(重金属粉末)や、重金属を含む繊維状の構造(重金属繊維状体)を混合させてもよい。この場合には、中性子線と同時に存在するγ線や、中性子が前記のように水素原子で減速、散乱された際に発生するγ線や陽子線を、この重金属粉末に吸収させることによって、これらが外部に放射されることを抑制することができる。すなわち、重金属粉末も添加することによって、一般的な放射線遮蔽能力を高めることができる。ただし、重金属粉末の重量密度は高く、かつ重金属粉末自身による中性子吸収能は低いため、重金属粉末を高濃度で添加することによって、この中性子吸収材の単位重量当たりの中性子吸収能は低下する。このため、重金属粉末の添加量は、中性子の吸収、遮蔽能力の高いホウ素含有粉末や母材(熱硬化型ポリウレタン樹脂)組成や要求される中性子吸収能に応じて、設定される。
上記の中性子吸収材は原子力分野、特に使用済み核燃料等の取扱いの際の中性子線の吸収、遮蔽等において特に有効である。また、上記の中性子吸収材は、様々な環境下での構造材料としても使用できるため、原子力事故に対する環境保護等においても、有効である。

Claims (12)

  1. ポリオール化合物で構成された第1成分と、イソシアネート化合物で構成され前記第1成分との反応によって硬化反応を発生させる第2成分との反応によって形成される熱硬化型ポリウレタン樹脂と、
    ホウ素を含有するホウ素含有粉末とが、
    前記ホウ素含有粉末の全体に対する濃度が40重量%〜80重量%となるように混合され、かつ前記熱硬化型ポリウレタン樹脂の発泡倍率が1.0以上2.0以下であり、JISK6253に準拠してタイプAのデュロメータを用いて測定された硬さが70以上であることを特徴とする中性子吸収材。
  2. ポリオール化合物で構成された第1成分と、イソシアネート化合物で構成され前記第1成分との反応によって硬化反応を発生させる第2成分との反応によって形成される熱硬化型ポリウレタン樹脂と、
    ホウ素を含有するホウ素含有粉末とが、
    前記ホウ素含有粉末の全体に対する濃度が40重量%〜80重量%となるように混合され、かつ前記熱硬化型ポリウレタン樹脂の発泡倍率が1.0以上2.0以下であり、JISK6253に準拠してタイプAのデュロメータを用いて測定された硬さが70以上であるとともに、前記ホウ素含有粉末は、無機ホウ素化合物を含有することを特徴とする中性子吸収材。
  3. ポリオール化合物で構成された第1成分と、イソシアネート化合物で構成され前記第1成分との反応によって硬化反応を発生させる第2成分との反応によって形成される熱硬化型ポリウレタン樹脂と、
    ホウ素を含有するホウ素含有粉末とが、
    前記ホウ素含有粉末の全体に対する濃度が40重量%〜80重量%となるように混合され、かつ前記熱硬化型ポリウレタン樹脂の発泡倍率が1.0以上2.0以下であり、JISK6253に準拠してタイプAのデュロメータを用いて測定された硬さが70以上であるとともに、鉛を含む重金属粉末又は鉛を含む重金属繊維状体を更に含有することを特徴とする中性子吸収材。
  4. 板状の形状を具備することを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の中性子吸収材。
  5. 厚さが20mm以上とされたことを特徴とする請求項に記載の中性子吸収材。
  6. ポリオール化合物で構成された第1成分と、イソシアネート化合物で構成され前記第1成分との反応によって硬化反応を発生させる第2成分との反応によって形成される熱硬化型ポリウレタン樹脂と、
    ホウ素を含有するホウ素含有粉末とが、
    前記ホウ素含有粉末の全体に対する濃度が40重量%〜80重量%となるように混合され、かつ前記熱硬化型ポリウレタン樹脂の発泡倍率が1.0以上2.0以下である中性子吸収材の製造方法であって、
    キレート剤又は界面活性剤が混合された水溶液中にホウ砂及び/又はホウ酸を混合、攪拌した水溶液を60℃以上とすることによって水熱反応を発生させた後に、水分を蒸発させることによって前記ホウ素含有粉末を得るホウ素含有粉末製造工程と、
    液状の前記第1成分に前記ホウ素含有粉末を混合するホウ素含有粉末混合工程と、
    前記ホウ素含有粉末が混合された前記第1成分と、前記第2成分とを混合及び攪拌する混合撹拌工程と、
    前記混合撹拌工程で得られた混合撹拌物を成形型に注入し発泡倍率を1.0以上2.0以下とするように固化させる成形工程と、
    を具備することを特徴とする中性子吸収材の製造方法。
  7. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の中性子吸収材の製造方法であって、
    液状の前記第1成分に前記ホウ素含有粉末を混合するホウ素含有粉末混合工程と、
    前記ホウ素含有粉末が混合された前記第1成分と、前記第2成分とを混合及び攪拌する混合撹拌工程と、
    前記混合撹拌工程で得られた混合撹拌物を成形型に注入し発泡倍率を1.0以上2.0以下とするように固化させる成形工程と、
    を具備することを特徴とする中性子吸収材の製造方法。
  8. キレート剤又は界面活性剤が混合された水溶液中にホウ砂及び/又はホウ酸を混合、攪拌した水溶液を60℃以上とすることによって水熱反応を発生させた後に、水分を蒸発させることによって前記ホウ素含有粉末を得るホウ素含有粉末製造工程を前記ホウ素含有粉末混合工程の前に具備することを特徴とする請求項7に記載の中性子吸収材の製造方法。
  9. 前記混合撹拌工程において、前記ホウ素含有粉末が混合された前記第1成分と前記第2成分の反応が始まる時点まで混合攪拌を行うことを特徴とする請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載の中性子吸収材の製造方法。
  10. 前記混合撹拌工程において、前記ホウ素含有粉末が混合された前記第1成分と、前記第2成分を、共に体積又は重量が制御された状態で混合した後に、予め定められた時間だけ攪拌を行うことを特徴とする請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載の中性子吸収材の製造方法。
  11. 前記成形型への前記混合撹拌物の投入前に、前記成形型の温度を40℃〜60℃の範囲に設定することを特徴とする請求項から請求項10までのいずれか1項に記載の中性子吸収材の製造方法。
  12. 前記成形型は、板材を成形する外形型であることを特徴とする請求項から請求項11までのいずれか1項に記載の中性子吸収材の製造方法。
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