JP2003255081A - 放射線遮蔽材組成物 - Google Patents
放射線遮蔽材組成物Info
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- JP2003255081A JP2003255081A JP2002057410A JP2002057410A JP2003255081A JP 2003255081 A JP2003255081 A JP 2003255081A JP 2002057410 A JP2002057410 A JP 2002057410A JP 2002057410 A JP2002057410 A JP 2002057410A JP 2003255081 A JP2003255081 A JP 2003255081A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 中性子線,およびガンマ線を高いレベルで遮
蔽でき、かつ低放射化性を有し、耐熱性に優れ、熱中性
子吸収材および重金属の分散性も良好な遮蔽材の組成物
または硬化物を原料とする材料をその作成手段や原子炉
施設等からの放射線を遮蔽する方法も含めて提供するこ
と。 【解決手段】 本発明の放射線遮蔽材組成物は、硬化性
樹脂原料、原子番号が22以上の重金属又は原子番号が
22以上の重金属を含む化合物、及び熱中性子吸収材よ
り成る。本発明の放射線遮蔽材組成物によれば、中性子
とガンマ線の双方の遮蔽材として優れた遮蔽性能を示す
極低放射化遮蔽材を得ることができる。
蔽でき、かつ低放射化性を有し、耐熱性に優れ、熱中性
子吸収材および重金属の分散性も良好な遮蔽材の組成物
または硬化物を原料とする材料をその作成手段や原子炉
施設等からの放射線を遮蔽する方法も含めて提供するこ
と。 【解決手段】 本発明の放射線遮蔽材組成物は、硬化性
樹脂原料、原子番号が22以上の重金属又は原子番号が
22以上の重金属を含む化合物、及び熱中性子吸収材よ
り成る。本発明の放射線遮蔽材組成物によれば、中性子
とガンマ線の双方の遮蔽材として優れた遮蔽性能を示す
極低放射化遮蔽材を得ることができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガンマ線,中性子
線を同時に高いレベルで遮蔽し、極低放射化を可能とす
る組成物、該組成物を硬化させてなる硬化物とその硬化
法、および得られた硬化物の放射線遮蔽材としての用途
に関するものである。さらに詳しくは原子炉、照射済み
燃料、放射性同位元素等放射能を有する物質等から放出
される中性子とガンマ線とが混在した放射線を中性子吸
収の結果発生する二次ガンマ線を含めて高いレベルで遮
蔽でき、実用的な遮蔽物質の中では最も遮蔽効果が大き
く、また、使用期間中あるいは使用後における生成放射
能を無視できる程度に少なくできる熱硬化性樹脂組成物
または硬化物またはそれらの製造方法に関する発明であ
る。本発明によれば、比較的容易な設備で、複雑な形状
や大型のサイズにも対応した成型体を提供することがで
きる。
線を同時に高いレベルで遮蔽し、極低放射化を可能とす
る組成物、該組成物を硬化させてなる硬化物とその硬化
法、および得られた硬化物の放射線遮蔽材としての用途
に関するものである。さらに詳しくは原子炉、照射済み
燃料、放射性同位元素等放射能を有する物質等から放出
される中性子とガンマ線とが混在した放射線を中性子吸
収の結果発生する二次ガンマ線を含めて高いレベルで遮
蔽でき、実用的な遮蔽物質の中では最も遮蔽効果が大き
く、また、使用期間中あるいは使用後における生成放射
能を無視できる程度に少なくできる熱硬化性樹脂組成物
または硬化物またはそれらの製造方法に関する発明であ
る。本発明によれば、比較的容易な設備で、複雑な形状
や大型のサイズにも対応した成型体を提供することがで
きる。
【0002】
【従来の技術】放射線遮蔽材としては、放射線遮蔽能を
もつ素材を配合した樹脂、ゴム、コンクリート、セラミ
ックス、ガラス、金属等が発明されている。複雑な形
状、大型のサイズの遮蔽材を比較的簡易な設備で作成で
きるという点においては、樹脂材料はその他のどの材料
よりも有利である。樹脂やゴムについては、中性子線遮
蔽材と放射線、特にガンマ線遮蔽材と組み合わせた系と
して以下のような技術が存在する。
もつ素材を配合した樹脂、ゴム、コンクリート、セラミ
ックス、ガラス、金属等が発明されている。複雑な形
状、大型のサイズの遮蔽材を比較的簡易な設備で作成で
きるという点においては、樹脂材料はその他のどの材料
よりも有利である。樹脂やゴムについては、中性子線遮
蔽材と放射線、特にガンマ線遮蔽材と組み合わせた系と
して以下のような技術が存在する。
【0003】特開平08−201581号公報(放射線
遮蔽用組成物並びにその用途),特開昭53−1057
00号公報(放射線遮蔽材)では熱可塑性樹脂と放射線
遮蔽材との組み合わせによる放射線遮蔽用組成物、特開
平05−271466号公報(透明放射線遮蔽材及びそ
の製造方法),特開平05−098067号公報(透明
放射線遮蔽材及びその製造方法)では、熱硬化性樹脂と
遮蔽材との組み合わせによる放射線遮蔽材、特開平02
−189350号公報(ゴム組成物)では、ゴムと硼酸
鉛の組み合わせによる放射線遮蔽材、特開平03−01
2598号公報(放射線防護用手袋)ではゴムと遮蔽材
の組み合わせを用いた放射線防護用手袋、特開昭58−
208699号公報(放射線を遮蔽・制御するFRP及
び高分子樹脂積層成型構造物)では、各種遮蔽材(及び
強化繊維)と高分子樹脂との組み合わせにより放射線を
遮蔽・制御する積層成型構造物、が各々開示されてい
る。
遮蔽用組成物並びにその用途),特開昭53−1057
00号公報(放射線遮蔽材)では熱可塑性樹脂と放射線
遮蔽材との組み合わせによる放射線遮蔽用組成物、特開
平05−271466号公報(透明放射線遮蔽材及びそ
の製造方法),特開平05−098067号公報(透明
放射線遮蔽材及びその製造方法)では、熱硬化性樹脂と
遮蔽材との組み合わせによる放射線遮蔽材、特開平02
−189350号公報(ゴム組成物)では、ゴムと硼酸
鉛の組み合わせによる放射線遮蔽材、特開平03−01
2598号公報(放射線防護用手袋)ではゴムと遮蔽材
の組み合わせを用いた放射線防護用手袋、特開昭58−
208699号公報(放射線を遮蔽・制御するFRP及
び高分子樹脂積層成型構造物)では、各種遮蔽材(及び
強化繊維)と高分子樹脂との組み合わせにより放射線を
遮蔽・制御する積層成型構造物、が各々開示されてい
る。
【0004】上記公報に開示された技術によれば、放射
線遮蔽材としてある程度の効果を得ることができる。し
かしながら、特開平08−201581号公報,特開昭
53−105700号公報に記載の組成物においては軟
化点が80℃程度までの熱可塑性樹脂を用いているため
に、100℃程度の環境下での形状保持性に問題があ
る。
線遮蔽材としてある程度の効果を得ることができる。し
かしながら、特開平08−201581号公報,特開昭
53−105700号公報に記載の組成物においては軟
化点が80℃程度までの熱可塑性樹脂を用いているため
に、100℃程度の環境下での形状保持性に問題があ
る。
【0005】特開平05−271466号公報,特開平
05−098067号公報に記載の遮蔽材は、樹脂10
0部に対する鉛含有量が最大30部程度と少ないので、
放射線特にガンマ線の遮蔽に高性能を期待することは難
しい。特開平02−189350号公報に記載の遮蔽材
は、ゴム100部に対する硼酸鉛含有量が最大60部程
度と少ないので、放射線特にガンマ線の遮蔽に高性能を
期待することは難しい。
05−098067号公報に記載の遮蔽材は、樹脂10
0部に対する鉛含有量が最大30部程度と少ないので、
放射線特にガンマ線の遮蔽に高性能を期待することは難
しい。特開平02−189350号公報に記載の遮蔽材
は、ゴム100部に対する硼酸鉛含有量が最大60部程
度と少ないので、放射線特にガンマ線の遮蔽に高性能を
期待することは難しい。
【0006】特開平03−012598号公報に記載の
手袋は、塊状の材料ではないため、高強度の放射線を遮
蔽するには適していない。特開昭58−208699号
公報に記載の構造物では各層において単独の遮蔽材が含
まれるのみであり各種放射線をまとめて遮蔽することが
困難であり、それを補うために積層成型体としており、
積層する技術も必要となる。
手袋は、塊状の材料ではないため、高強度の放射線を遮
蔽するには適していない。特開昭58−208699号
公報に記載の構造物では各層において単独の遮蔽材が含
まれるのみであり各種放射線をまとめて遮蔽することが
困難であり、それを補うために積層成型体としており、
積層する技術も必要となる。
【0007】一方、原子炉や照射済み核燃料等の放射線
源から放出される放射線にはガンマ線と高エネルギーか
ら熱エネルギーまでの中性子が混在しており、これらの
放射線を全て効果的に遮蔽する技術が必要である。一般
に、中性子遮蔽に対しては、従来水素が最も効果的な元
素と考えられ使用されてきた。しかし中性子エネルギー
が高くなると水素の遮蔽効果が減少するという問題があ
る。原子炉等から出るエネルギーの高い中性子の遮蔽で
は、この水素の遮蔽効果が減少するエネルギー領域の中
性子を遮蔽することも重要である。水素の遮蔽効果の減
少を補うものとして非弾性散乱により高エネルギー中性
子を減速させる効果のある重金属があげられる。また、
熱中性子等の中性子を吸収した場合には通常エネルギー
が極めて高く透過力の強い二次ガンマ線が発生する。二
次ガンマ線の発生を抑えるには熱中性子吸収材が、ま
た、その透過を抑えるには比重の大きな鉛のような重金
属が必要である。
源から放出される放射線にはガンマ線と高エネルギーか
ら熱エネルギーまでの中性子が混在しており、これらの
放射線を全て効果的に遮蔽する技術が必要である。一般
に、中性子遮蔽に対しては、従来水素が最も効果的な元
素と考えられ使用されてきた。しかし中性子エネルギー
が高くなると水素の遮蔽効果が減少するという問題があ
る。原子炉等から出るエネルギーの高い中性子の遮蔽で
は、この水素の遮蔽効果が減少するエネルギー領域の中
性子を遮蔽することも重要である。水素の遮蔽効果の減
少を補うものとして非弾性散乱により高エネルギー中性
子を減速させる効果のある重金属があげられる。また、
熱中性子等の中性子を吸収した場合には通常エネルギー
が極めて高く透過力の強い二次ガンマ線が発生する。二
次ガンマ線の発生を抑えるには熱中性子吸収材が、ま
た、その透過を抑えるには比重の大きな鉛のような重金
属が必要である。
【0008】本発明者らはこれらのことを勘案し水素含
有量の高い樹脂のような物質、熱中性子吸収材、重金属
を適切な割合で配合し、中性子および二次的に発生する
ものを含めてガンマ線を同等に遮蔽することが最も効果
的な遮蔽方法と考え、このような特性を有する遮蔽材の
開発に取り組んできた。一方、樹脂等の水素含有率の高
い物質、重金属、熱中性子吸収材を組み合わせ中性子遮
蔽性能に重点を置いた遮蔽材は多く開発されてきている
が、原子炉施設等において発生する中性子に対する遮蔽
性能に関しては、現状においては極めて高価なこと、安
定性に問題があること等のため実用化には適していない
水素化ジルコニウム、水素化チタン、及び水素化リチウ
ムを除けば高密度ポリエチレンが最も性能が良い。
有量の高い樹脂のような物質、熱中性子吸収材、重金属
を適切な割合で配合し、中性子および二次的に発生する
ものを含めてガンマ線を同等に遮蔽することが最も効果
的な遮蔽方法と考え、このような特性を有する遮蔽材の
開発に取り組んできた。一方、樹脂等の水素含有率の高
い物質、重金属、熱中性子吸収材を組み合わせ中性子遮
蔽性能に重点を置いた遮蔽材は多く開発されてきている
が、原子炉施設等において発生する中性子に対する遮蔽
性能に関しては、現状においては極めて高価なこと、安
定性に問題があること等のため実用化には適していない
水素化ジルコニウム、水素化チタン、及び水素化リチウ
ムを除けば高密度ポリエチレンが最も性能が良い。
【0009】高密度ポリエチレンは実用材料の中では、
最も中性子遮蔽性能が良い材料である。その理由は水素
含有量が最も大きなことにある。しかし、水素含有量が
ポリエチレンより少なくても、水素含有量の不足を重金
属で補うことにより高密度ポリエチレンとほぼ同等の性
能を持つ遮蔽材を開発できる可能性がある。従来開発さ
れてきた遮蔽材では重金属は主にガンマ線の遮蔽のため
に用いられており、重金属の高エネルギー中性子遮蔽効
果に関する配慮が十分なされていなかったので、この点
に工夫をこらしてポリエチレンと同等な中性子遮蔽効果
を持つ材料を開発できる可能性がある。
最も中性子遮蔽性能が良い材料である。その理由は水素
含有量が最も大きなことにある。しかし、水素含有量が
ポリエチレンより少なくても、水素含有量の不足を重金
属で補うことにより高密度ポリエチレンとほぼ同等の性
能を持つ遮蔽材を開発できる可能性がある。従来開発さ
れてきた遮蔽材では重金属は主にガンマ線の遮蔽のため
に用いられており、重金属の高エネルギー中性子遮蔽効
果に関する配慮が十分なされていなかったので、この点
に工夫をこらしてポリエチレンと同等な中性子遮蔽効果
を持つ材料を開発できる可能性がある。
【0010】また、原子炉施設の使用期間終了等に伴う
遮蔽材の使用終了時においては、放射化した遮蔽材はそ
の保管や環境汚染の観点から問題が多い。従って、それ
らが問題とならない程度の放射能しか発生しない極低放
射化遮蔽材の開発が望まれている。
遮蔽材の使用終了時においては、放射化した遮蔽材はそ
の保管や環境汚染の観点から問題が多い。従って、それ
らが問題とならない程度の放射能しか発生しない極低放
射化遮蔽材の開発が望まれている。
【0011】以上のように、樹脂を用いて放射線を遮蔽
する技術として、各種樹脂と遮蔽材との組み合わせがあ
るが、上記のような原子炉等の放射線遮蔽分野におい
て、ガンマ線と中性子に対する高い遮蔽効果、極低放射
化性、実用的な耐熱性等高性能、高機能を有する遮蔽材
を、簡略な装置を用いて単一の成型体として作り出す方
法を開発することは困難であった。
する技術として、各種樹脂と遮蔽材との組み合わせがあ
るが、上記のような原子炉等の放射線遮蔽分野におい
て、ガンマ線と中性子に対する高い遮蔽効果、極低放射
化性、実用的な耐熱性等高性能、高機能を有する遮蔽材
を、簡略な装置を用いて単一の成型体として作り出す方
法を開発することは困難であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上のことから、本発
明においては、原子力施設等の中性子およびガンマ線が
混在する放射線場において、簡略な装置で作成できかつ
実用的に使用できる遮蔽材として最高の遮蔽性能、実用
的な耐熱性を有し、遮蔽材の分散性がよく、また極低放
射化特性を有する放射線遮蔽材組成物およびその硬化
物、それらの製造方法方法およびそれらを用いることに
よる原子力施設等からの放射線の遮蔽方法を提供するこ
とを課題とする。
明においては、原子力施設等の中性子およびガンマ線が
混在する放射線場において、簡略な装置で作成できかつ
実用的に使用できる遮蔽材として最高の遮蔽性能、実用
的な耐熱性を有し、遮蔽材の分散性がよく、また極低放
射化特性を有する放射線遮蔽材組成物およびその硬化
物、それらの製造方法方法およびそれらを用いることに
よる原子力施設等からの放射線の遮蔽方法を提供するこ
とを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、特定の硬化性
樹脂原料、重金属を含む化合物、及び熱中性子吸収材よ
りなる組成物が上記課題を解決し得るという知見を得
た。本発明は、上記知見に基づいてなされたものであ
り、硬化性樹脂原料、原子番号が22以上の重金属又は
原子番号が22以上の重金属を含む化合物、及び熱中性
子吸収材より成る放射線遮蔽材組成物を提供するもので
ある。また、本発明は、上記組成物からなる硬化物また
は注型材を提供するものである。
樹脂原料、重金属を含む化合物、及び熱中性子吸収材よ
りなる組成物が上記課題を解決し得るという知見を得
た。本発明は、上記知見に基づいてなされたものであ
り、硬化性樹脂原料、原子番号が22以上の重金属又は
原子番号が22以上の重金属を含む化合物、及び熱中性
子吸収材より成る放射線遮蔽材組成物を提供するもので
ある。また、本発明は、上記組成物からなる硬化物また
は注型材を提供するものである。
【0014】また、本発明は前記硬化性樹脂原料を予備
重合化する工程を含む、上記放射線遮蔽材組成物の製造
方法を提供するものである。すなわち本発明において
は、高エネルギー中性子線およびガンマ線に高い遮蔽効
果を示す重金属を含む化合物、中性子遮蔽効果の大きい
水素元素含有率の高い硬化性樹脂原料、および熱中性子
吸収材を組み合わせることにより中性子線とガンマ線の
両方に対し遮蔽効果を有し、重金属と硬化性樹脂原料と
の配合比率を調整することにより任意に中性子線遮蔽効
率とガンマ線遮蔽効率とをコントロールすることがで
き、原子炉のように核分裂線源を扱う施設等において実
用的な遮蔽材としては最も高い遮蔽効果を実現できる放
射線遮蔽材組成物を提供できる。
重合化する工程を含む、上記放射線遮蔽材組成物の製造
方法を提供するものである。すなわち本発明において
は、高エネルギー中性子線およびガンマ線に高い遮蔽効
果を示す重金属を含む化合物、中性子遮蔽効果の大きい
水素元素含有率の高い硬化性樹脂原料、および熱中性子
吸収材を組み合わせることにより中性子線とガンマ線の
両方に対し遮蔽効果を有し、重金属と硬化性樹脂原料と
の配合比率を調整することにより任意に中性子線遮蔽効
率とガンマ線遮蔽効率とをコントロールすることがで
き、原子炉のように核分裂線源を扱う施設等において実
用的な遮蔽材としては最も高い遮蔽効果を実現できる放
射線遮蔽材組成物を提供できる。
【0015】好ましい実施態様として重金属として鉛、
熱中性子吸収材として硼素化合物を挙げることができ、
放射化されやすい不純物量を制御することにより使用期
間および使用後の廃棄の際に放射化が問題とならないほ
どの極低放射化性を有する放射線遮蔽材組成物およびそ
の硬化物及び注型材およびそれらの製造方法である。遮
蔽材の分散を良好にしかつ硬化反応を制御しやすくする
ために、予備重合により粘度を高め反応性官能基を減少
させた硬化性樹脂原料を経由し、放射線遮蔽材組成物を
製造することができる。
熱中性子吸収材として硼素化合物を挙げることができ、
放射化されやすい不純物量を制御することにより使用期
間および使用後の廃棄の際に放射化が問題とならないほ
どの極低放射化性を有する放射線遮蔽材組成物およびそ
の硬化物及び注型材およびそれらの製造方法である。遮
蔽材の分散を良好にしかつ硬化反応を制御しやすくする
ために、予備重合により粘度を高め反応性官能基を減少
させた硬化性樹脂原料を経由し、放射線遮蔽材組成物を
製造することができる。
【0016】また、前記硬化性樹脂原料は、6.0×1
022個/cm3以上の水素原子密度を有することが好ま
しく、放射線遮蔽材組成物の水素原子密度は5.8×1
022個/cm3以上であることが好ましい。また、前記
硬化性樹脂原料としては、反応性化合物の単体または混
合物を用いることができ、該反応性化合物としては、反
応性モノマーの単体またはその混合物、多官能性化合物
の単体または混合物が挙げられる。また、前記硬化性樹
脂原料は、分子内に水素数20以上の置換基を有する反
応性モノマーの単体またはその混合物を含有するもので
あることが好ましく、該反応性モノマーは、分子内に炭
素数10以上のアルキル基を有する化合物であることが
好ましい。
022個/cm3以上の水素原子密度を有することが好ま
しく、放射線遮蔽材組成物の水素原子密度は5.8×1
022個/cm3以上であることが好ましい。また、前記
硬化性樹脂原料としては、反応性化合物の単体または混
合物を用いることができ、該反応性化合物としては、反
応性モノマーの単体またはその混合物、多官能性化合物
の単体または混合物が挙げられる。また、前記硬化性樹
脂原料は、分子内に水素数20以上の置換基を有する反
応性モノマーの単体またはその混合物を含有するもので
あることが好ましく、該反応性モノマーは、分子内に炭
素数10以上のアルキル基を有する化合物であることが
好ましい。
【0017】前記硬化性樹脂原料は、(メタ)アクリル
酸の長鎖脂肪族エステル(エステル置換のアルキル基の
炭素数10以上)の単体またはその混合物を含有するこ
とが好ましく、また多官能性化合物の単体または混合物
を含有してもよい。前記硬化性樹脂原料は、多官能アク
リル樹脂の単体および/または混合物を含有してもよ
く、硬化性樹脂原料の予備重合物を含んでいてもよい。
酸の長鎖脂肪族エステル(エステル置換のアルキル基の
炭素数10以上)の単体またはその混合物を含有するこ
とが好ましく、また多官能性化合物の単体または混合物
を含有してもよい。前記硬化性樹脂原料は、多官能アク
リル樹脂の単体および/または混合物を含有してもよ
く、硬化性樹脂原料の予備重合物を含んでいてもよい。
【0018】本発明の放射線遮蔽材組成物は、ラジカル
重合開始剤により硬化し得るものが好ましく、その場合
20℃〜100℃の温度で硬化し得ることが好ましい。
また、前記硬化性樹脂原料は、ジアシルパーオキサイド
および第3級アミンを含有してもよい。
重合開始剤により硬化し得るものが好ましく、その場合
20℃〜100℃の温度で硬化し得ることが好ましい。
また、前記硬化性樹脂原料は、ジアシルパーオキサイド
および第3級アミンを含有してもよい。
【0019】本発明の放射線遮蔽材組成物は、過酸化ラ
ウロイルおよびN,N−ジメチルアニリンを開始剤とし
て使用することができる。
ウロイルおよびN,N−ジメチルアニリンを開始剤とし
て使用することができる。
【0020】本発明の放射線遮蔽材組成物に含有される
熱中性子吸収材中の硼素原子含有量は、硬化性樹脂原料
100質量部に対して10質量部以下であることが好ま
しく、熱中性子吸収材としての硼素化合物の平均粒径は
1mm以下であることが好ましく、100μm以下であ
ることが更に好ましい。
熱中性子吸収材中の硼素原子含有量は、硬化性樹脂原料
100質量部に対して10質量部以下であることが好ま
しく、熱中性子吸収材としての硼素化合物の平均粒径は
1mm以下であることが好ましく、100μm以下であ
ることが更に好ましい。
【0021】本発明の放射線遮蔽材組成物は、硬化性樹
脂原料100質量部に対して、重金属を含む化合物が重
金属元素量として100〜1000質量部含有すること
が好ましく、重金属の平均粒径が200μm以下である
ことが好ましく、50μm以下であることが更に好まし
い。本発明の放射線遮蔽材組成物は、(メタ)アクリル
酸の炭素数10以上のアルキル基を含む長鎖脂肪族エス
テルを予備重合して得られた予備重合物に、多官能の
(メタ)アクリル樹脂モノマーと平均粒径100μm以
下の硼酸粉とアンチモン含量が1ppm以下でかつ平均
粒径100μm以下の鉛粉を配合し、ジアシルパーオキ
サイドおよび第3級アミン促進剤を配合した組成物、お
よびその組成物を100℃以下の温度で硬化させたとき
熱重量測定で測定した200℃での重量減少が1%以下
でありかつその大きさが、6〜8cm厚みの硬化物また
は注型材を作成したとき、厚み方向の任意の一方の端か
ら5〜15mm位置の密度が同他方の端から5〜15m
m位置の密度の80%以上であることが好ましい。
脂原料100質量部に対して、重金属を含む化合物が重
金属元素量として100〜1000質量部含有すること
が好ましく、重金属の平均粒径が200μm以下である
ことが好ましく、50μm以下であることが更に好まし
い。本発明の放射線遮蔽材組成物は、(メタ)アクリル
酸の炭素数10以上のアルキル基を含む長鎖脂肪族エス
テルを予備重合して得られた予備重合物に、多官能の
(メタ)アクリル樹脂モノマーと平均粒径100μm以
下の硼酸粉とアンチモン含量が1ppm以下でかつ平均
粒径100μm以下の鉛粉を配合し、ジアシルパーオキ
サイドおよび第3級アミン促進剤を配合した組成物、お
よびその組成物を100℃以下の温度で硬化させたとき
熱重量測定で測定した200℃での重量減少が1%以下
でありかつその大きさが、6〜8cm厚みの硬化物また
は注型材を作成したとき、厚み方向の任意の一方の端か
ら5〜15mm位置の密度が同他方の端から5〜15m
m位置の密度の80%以上であることが好ましい。
【0022】本発明の放射線遮蔽材組成物の製造方法に
ついて説明すると、本発明の放射線遮蔽材組成物の製造
方法は、前記硬化性樹脂原料を予備重合化する工程を含
む。また、予備重合化の手段として、ラジカル重合反応
を用いることが好ましく、ラジカル重合は、熱により開
始することができる。また、ラジカル重合の開始手段と
しては、例えば前記硬化性樹脂原料100質量部に対し
て過酸化ベンゾイルを0.01〜5質量部加えて加熱す
る、前記硬化性樹脂原料100質量部に対して光重合開
始剤を0.01〜10質量部加えて光を照射する、放射
線(電子線又はガンマ線)を照射することによりラジカ
ル重合反応を開始させる等の手段がある。
ついて説明すると、本発明の放射線遮蔽材組成物の製造
方法は、前記硬化性樹脂原料を予備重合化する工程を含
む。また、予備重合化の手段として、ラジカル重合反応
を用いることが好ましく、ラジカル重合は、熱により開
始することができる。また、ラジカル重合の開始手段と
しては、例えば前記硬化性樹脂原料100質量部に対し
て過酸化ベンゾイルを0.01〜5質量部加えて加熱す
る、前記硬化性樹脂原料100質量部に対して光重合開
始剤を0.01〜10質量部加えて光を照射する、放射
線(電子線又はガンマ線)を照射することによりラジカ
ル重合反応を開始させる等の手段がある。
【0023】また、前記硬化性樹脂原料を撹拌する工程
を有するが、撹拌終了時の温度における粘度を500〜
100,000mPa・sとすることが好ましい。また、
硬化前の硬化性樹脂原料の45℃の温度における粘度
を、500〜100,000mPa・sとすることが好ま
しい。また、本発明の放射線遮蔽材組成物の製造方法に
おいては、多官能性化合物を配合する工程を有すること
が好ましく、重金属および熱中性子吸収材を配合した後
に脱泡工程を有することが好ましい。
を有するが、撹拌終了時の温度における粘度を500〜
100,000mPa・sとすることが好ましい。また、
硬化前の硬化性樹脂原料の45℃の温度における粘度
を、500〜100,000mPa・sとすることが好ま
しい。また、本発明の放射線遮蔽材組成物の製造方法に
おいては、多官能性化合物を配合する工程を有すること
が好ましく、重金属および熱中性子吸収材を配合した後
に脱泡工程を有することが好ましい。
【0024】本発明の硬化物及び注型材は、本発明の放
射線遮蔽材組成物からなるものである。具体的には、本
発明の放射線遮蔽材組成物を硬化させて製造する。本発
明の放射線遮蔽材組成物の硬化方法は、酸素の少ない雰
囲気下でラジカル重合を行うことが好ましい。例えば、
窒素雰囲気下で行うことができ、また空気と接触する面
を少なくできるような型を使用してもよいし、重合の際
に空気と接触する面に空気遮断性の膜を形成する物質を
配合してもよい。本発明の硬化物及び注型材は、粉砕し
アセトン抽出を行った際に抽出される成分量が、全質量
に対し5質量%以下であることが好ましく、また熱重量
測定で評価した200℃の温度における質量減量が1質
量%以下であることが好ましい。
射線遮蔽材組成物からなるものである。具体的には、本
発明の放射線遮蔽材組成物を硬化させて製造する。本発
明の放射線遮蔽材組成物の硬化方法は、酸素の少ない雰
囲気下でラジカル重合を行うことが好ましい。例えば、
窒素雰囲気下で行うことができ、また空気と接触する面
を少なくできるような型を使用してもよいし、重合の際
に空気と接触する面に空気遮断性の膜を形成する物質を
配合してもよい。本発明の硬化物及び注型材は、粉砕し
アセトン抽出を行った際に抽出される成分量が、全質量
に対し5質量%以下であることが好ましく、また熱重量
測定で評価した200℃の温度における質量減量が1質
量%以下であることが好ましい。
【0025】また、本発明の硬化物又は注型材は、6〜
8cm厚みの硬化物または注型材を作成したとき、厚み
方向の任意の一方の端から5〜15mm位置の密度が、
同他方の端から5〜15mm位置の密度の80%以上で
ある。また、100℃の温度まで加熱しても流動化を起
こさないものである。
8cm厚みの硬化物または注型材を作成したとき、厚み
方向の任意の一方の端から5〜15mm位置の密度が、
同他方の端から5〜15mm位置の密度の80%以上で
ある。また、100℃の温度まで加熱しても流動化を起
こさないものである。
【0026】本発明の放射線遮蔽材組成物、硬化物及び
注型材は、放射線遮蔽材として用いることができ、この
放射線遮蔽材は核分裂線源に対し中性子、1次ガンマ
線、二次ガンマ線の合計線量の減衰率が、遮蔽体の厚さ
が20cm以上の領域においてコンクリート、水、ポリ
エチレン、鉄及び鉛より大きく、20cm以下でも最も
遮蔽性能が良いポリエチレンとほぼ同等である。
注型材は、放射線遮蔽材として用いることができ、この
放射線遮蔽材は核分裂線源に対し中性子、1次ガンマ
線、二次ガンマ線の合計線量の減衰率が、遮蔽体の厚さ
が20cm以上の領域においてコンクリート、水、ポリ
エチレン、鉄及び鉛より大きく、20cm以下でも最も
遮蔽性能が良いポリエチレンとほぼ同等である。
【0027】また、本発明の放射線遮蔽材は、熱中性子
線量(熱中性子フルエンス)で10 17/cm2の照射後
2週間経過時点における放射化量が1グラム当たり74
Bq以下であることが好ましい。
線量(熱中性子フルエンス)で10 17/cm2の照射後
2週間経過時点における放射化量が1グラム当たり74
Bq以下であることが好ましい。
【0028】本発明の放射線遮蔽材組成物、硬化物及び
注型材は、中性子線及び/又はガンマ線の遮蔽に用いる
ことができる。本発明の放射線遮蔽材組成物、硬化物及
び注型材の成型体または注型体は、そのまま用いること
もでき、小片を容器に充填したものを用いることもで
き、枠などの各種部材で固定して用いることもできる。
注型材は、中性子線及び/又はガンマ線の遮蔽に用いる
ことができる。本発明の放射線遮蔽材組成物、硬化物及
び注型材の成型体または注型体は、そのまま用いること
もでき、小片を容器に充填したものを用いることもで
き、枠などの各種部材で固定して用いることもできる。
【0029】本発明の放射線遮蔽材組成物、硬化物及び
注型材成型体または成型体の小片を複合材料用マトリッ
クスで固定した複合材料を中性子線および/またはガン
マ線の遮蔽に用いてもよい。
注型材成型体または成型体の小片を複合材料用マトリッ
クスで固定した複合材料を中性子線および/またはガン
マ線の遮蔽に用いてもよい。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明で述べている硬化性樹脂原
料とは、反応性化合物の単体または混合物であり、より
具体的には反応性モノマーおよびその予備硬化物及び/
又は多官能性化合物及びその予備硬化物またはそれらの
任意の混合物を指す。
料とは、反応性化合物の単体または混合物であり、より
具体的には反応性モノマーおよびその予備硬化物及び/
又は多官能性化合物及びその予備硬化物またはそれらの
任意の混合物を指す。
【0031】<原料>中性子線遮蔽能を高いレベルに、
また、ガンマ線及び中性子の減衰率を任意に設計できる
ように、水素含有率の高い樹脂原料、重金属、熱中性子
吸収材等を使用することを考えた。水素含有率の高い樹
脂原料として、(メタ)アクリル酸の長鎖脂肪族置換基
をもつ反応性の樹脂原料(モノマー)がある。長鎖脂肪
族置換基としては、ステアリル基、ラウリル基等の炭素
数10以上、好ましくは14以上のアルキル基が望まし
い。硬化性樹脂の種類としては、ラジカル開始剤で高分
子量化するビニル基を有する樹脂や、各種硬化剤で硬化
するエポキシ樹脂が挙げられる。ビニル基を有する樹脂
としては、例えばメタクリル酸エステル、アクリル酸エ
ステル等が挙げられる。これらのモノマーを1種類もし
くは2種類以上を混合して用いる。これらのモノマーの
具体例として、(メタ)アクリル酸ステアリル,(メ
タ)アクリル酸ヘプタデシル,(メタ)アクリル酸ヘキ
サデシル,(メタ)アクリル酸ペンタデシル,(メタ)
アクリル酸テトラデシル,(メタ)アクリル酸トリデシ
ル,(メタ)アクリル酸ラウリル,(メタ)アクリル酸
ウンデシル,(メタ)アクリル酸デシル,(メタ)アク
リル酸2−エチルヘキシル等があげられる。
また、ガンマ線及び中性子の減衰率を任意に設計できる
ように、水素含有率の高い樹脂原料、重金属、熱中性子
吸収材等を使用することを考えた。水素含有率の高い樹
脂原料として、(メタ)アクリル酸の長鎖脂肪族置換基
をもつ反応性の樹脂原料(モノマー)がある。長鎖脂肪
族置換基としては、ステアリル基、ラウリル基等の炭素
数10以上、好ましくは14以上のアルキル基が望まし
い。硬化性樹脂の種類としては、ラジカル開始剤で高分
子量化するビニル基を有する樹脂や、各種硬化剤で硬化
するエポキシ樹脂が挙げられる。ビニル基を有する樹脂
としては、例えばメタクリル酸エステル、アクリル酸エ
ステル等が挙げられる。これらのモノマーを1種類もし
くは2種類以上を混合して用いる。これらのモノマーの
具体例として、(メタ)アクリル酸ステアリル,(メ
タ)アクリル酸ヘプタデシル,(メタ)アクリル酸ヘキ
サデシル,(メタ)アクリル酸ペンタデシル,(メタ)
アクリル酸テトラデシル,(メタ)アクリル酸トリデシ
ル,(メタ)アクリル酸ラウリル,(メタ)アクリル酸
ウンデシル,(メタ)アクリル酸デシル,(メタ)アク
リル酸2−エチルヘキシル等があげられる。
【0032】しかしながら、原料をそのまま使用する
と、重金属が直ちに沈降してしまい、重金属が樹脂で十
分に固定されない状態になることも多い。ガンマ線およ
び高エネルギー中性子の遮蔽性能の高い重金属の粉体を
樹脂中に十分均一に分散させるために、樹脂原料をあら
かじめ高粘度にしておく方法が好ましい。このような方
法としては、具体的には、B型粘度計での粘度測定値を
500〜100,000mPa・sとすることが好まし
く、更に好ましくは粘度を1,000〜20,000m
Pa・sとする。
と、重金属が直ちに沈降してしまい、重金属が樹脂で十
分に固定されない状態になることも多い。ガンマ線およ
び高エネルギー中性子の遮蔽性能の高い重金属の粉体を
樹脂中に十分均一に分散させるために、樹脂原料をあら
かじめ高粘度にしておく方法が好ましい。このような方
法としては、具体的には、B型粘度計での粘度測定値を
500〜100,000mPa・sとすることが好まし
く、更に好ましくは粘度を1,000〜20,000m
Pa・sとする。
【0033】本発明においては、予備重合させて粘度を
向上させる方法を採用した。その手段として、熱分解性
のラジカル開始剤を加えて加熱する方法や、光分解性の
ラジカル開始剤を加えて紫外線を照射する方法や、電子
線や放射線を照射する方法が挙げられる。これらの手法
は単独で用いてもよく、又は併用してもよい。粘度が高
くなりすぎた場合には、ラジカル開始剤を加えた、もし
くは加えていない反応性化合物ないしは粘度の低い予備
重合物で希釈して粘度調整してもよい。
向上させる方法を採用した。その手段として、熱分解性
のラジカル開始剤を加えて加熱する方法や、光分解性の
ラジカル開始剤を加えて紫外線を照射する方法や、電子
線や放射線を照射する方法が挙げられる。これらの手法
は単独で用いてもよく、又は併用してもよい。粘度が高
くなりすぎた場合には、ラジカル開始剤を加えた、もし
くは加えていない反応性化合物ないしは粘度の低い予備
重合物で希釈して粘度調整してもよい。
【0034】加熱による方法では、ジアシルパーオキサ
イドやパーオキシジカーボネート,ケトンパーオキサイ
ド,パーオキシケタール,ハイドロパーオキサイド,ジ
アルキルパーオキサイド,パーオキシエステル等各種有
機過酸化物又はアゾ化合物類を配合して使用してもよ
い。
イドやパーオキシジカーボネート,ケトンパーオキサイ
ド,パーオキシケタール,ハイドロパーオキサイド,ジ
アルキルパーオキサイド,パーオキシエステル等各種有
機過酸化物又はアゾ化合物類を配合して使用してもよ
い。
【0035】たとえば、過酸化ベンゾイルや過酸化ラウ
ロイル,過酸化デカノイル,過酸化オクタノイル,過酸
化アセチル,過酸化プロピオニル,ビス(4−t−ブチ
ルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート,1,1
−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3−5−トリメ
チルシクロヘキサン,t−ブチルヒドロパーオキサイ
ド,ジクミルパーオキサイド,t−ブチルオアーオキシ
アセテート,2,2'−アゾビスイソブチロニトリル,
2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル),2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリ
ル),2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジ
メチルバレロニトリル),ジメチル2,2'−アゾビス
(2メチルプロピオネート),1,1'−アゾビス(シ
クロヘキサン−1−カルボニトリル),2,2'−アゾ
ビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオン
アミド],1,[(シアノ−1−メチルエチル)アゾ]
ホルムアミド,2,2'−アゾビス(N−ブチル−2−
メチルプロピオンアミド),2,2'−アゾビス(N−
シクロヘキシル−2−メチルプロピンアミド)等を配合
してもよい、これらは単独で用いてもよく、又は二種類
以上を配合してもよい。また、促進剤を併用してもよ
い。
ロイル,過酸化デカノイル,過酸化オクタノイル,過酸
化アセチル,過酸化プロピオニル,ビス(4−t−ブチ
ルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート,1,1
−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3−5−トリメ
チルシクロヘキサン,t−ブチルヒドロパーオキサイ
ド,ジクミルパーオキサイド,t−ブチルオアーオキシ
アセテート,2,2'−アゾビスイソブチロニトリル,
2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル),2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリ
ル),2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジ
メチルバレロニトリル),ジメチル2,2'−アゾビス
(2メチルプロピオネート),1,1'−アゾビス(シ
クロヘキサン−1−カルボニトリル),2,2'−アゾ
ビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオン
アミド],1,[(シアノ−1−メチルエチル)アゾ]
ホルムアミド,2,2'−アゾビス(N−ブチル−2−
メチルプロピオンアミド),2,2'−アゾビス(N−
シクロヘキシル−2−メチルプロピンアミド)等を配合
してもよい、これらは単独で用いてもよく、又は二種類
以上を配合してもよい。また、促進剤を併用してもよ
い。
【0036】紫外線照射による方法では、メチルベンゾ
イルホルメート,ベンゾインイソブチルエーテル,ベン
ゾインイソプロピルエーテル,ベンゾインイソブチルエ
ーテル,ベンゾインブチルエーテル,ベンゾイン,ベン
ゾインアルキルエーテル,p−イソプロピル−α−ヒド
ロキシイソブチルフェノン,α−ヒドロキシイソブチル
フェノン,p−t−ブチルトリクロロアセトフェノン,
p−t−ブチルジクロロアセトフェノン,2,2−ジメ
トキシ−2−フェニルアセトフェノン,1−ヒドロキシ
シクロヘキシルフェニルケトン,α,α−ジクロロ−4
−フェノキシアセトフェノン,1−フェニル−1,2−
プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキ
シム,2−クロロチオキサンソン,2−エチルアンスラ
キノン,ジベンゾスバロン,メチルチオキサンソン,2
−エチルアンスラキノン,ベンゾフェノンアクリレー
ト,ベンジル,メチルオルソベンゾインベンゾエート,
チオキサントン系化合物等を配合して用いてもよい。
イルホルメート,ベンゾインイソブチルエーテル,ベン
ゾインイソプロピルエーテル,ベンゾインイソブチルエ
ーテル,ベンゾインブチルエーテル,ベンゾイン,ベン
ゾインアルキルエーテル,p−イソプロピル−α−ヒド
ロキシイソブチルフェノン,α−ヒドロキシイソブチル
フェノン,p−t−ブチルトリクロロアセトフェノン,
p−t−ブチルジクロロアセトフェノン,2,2−ジメ
トキシ−2−フェニルアセトフェノン,1−ヒドロキシ
シクロヘキシルフェニルケトン,α,α−ジクロロ−4
−フェノキシアセトフェノン,1−フェニル−1,2−
プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキ
シム,2−クロロチオキサンソン,2−エチルアンスラ
キノン,ジベンゾスバロン,メチルチオキサンソン,2
−エチルアンスラキノン,ベンゾフェノンアクリレー
ト,ベンジル,メチルオルソベンゾインベンゾエート,
チオキサントン系化合物等を配合して用いてもよい。
【0037】電子線照射による方法では、反応性化合物
単独に適用できる他、上記熱および/または紫外線照射
用のラジカル重合開始用の試薬を配合しても使用でき
る。上記樹脂原料は重合反応について1官能型であるも
のも多く、その場合には、重合反応をさせても架橋構造
をとらないため、硬化させることは困難である。そこ
で、架橋剤として多官能化合物を配合することが好まし
い。ここでいう多官能化合物とは、1分子中に重合反応
に対しての官能基を2個以上有するものを指す。具体的
には、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパ
ン,テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール,
トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール,ジ(メ
タ)アクリル酸ペンタエリスリトール,ジ(メタ)アク
リル酸エチレン,ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリ
コール,ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコー
ル,ジ(メタ)アクリル酸デカエチレングリコール,ジ
(メタ)アクリル酸ペンタデカエチレングリコール,ジ
(メタ)アクリル酸ペンタコンタヘクタエチレングリコ
ール,ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブタンジオール,
ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオール,ジ(メ
タ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール,ジ(メタ)
アクリル酸1,9−ノナンジオール,ジ(メタ)アクリ
ル酸1,10−デカンジオール,ジ(メタ)アクリル酸
グリセリン,(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−
アクリロイロキシプロピル,ビスフェノールAのエチレ
ンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート,ジ(メ
タ)アクリル酸ポリエチレングリコール,ジ(メタ)ア
クリル酸ネオペンチルグリコール,(メタ)アクリル酸
アリル,ジ(メタ)アクリル酸フタル酸ジエチレングリ
コール,アルキル変性ジペンタエリスリトールの(メ
タ)アクリレート,イプシロン−カプロラクトン変性ジ
ペンタエリスリトールの(メタ)アクリレート,ジ(メ
タ)アクリル酸カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン
酸ネオペンチルグリコールエステル,ジ(メタ)アクリ
ル酸ジグリシジルビスフェノールA,ジペンタエリスリ
トールモノヒドロキシ(メタ)アクリレート,ジ(メ
タ)アクリル酸ネオペンチルグリコールヒドロキシピバ
リン酸エステル,ジ(メタ)アクリル酸1,4−プロパ
ンジオール,2−プロペノイックアシッド〔2−〔1,
1−ジメチル−2−〔(1−オキソ−2−プロペニル)
オキシ〕エチル〕−5−エチル−1,3−ジオキサン−
5−イル〕メチルエステル,リン酸2−(メタ)アクリ
ロイロキシエチル,ジビニルベンゼン,不飽和ポリエス
テル樹脂,ビニルエステル樹脂,ジアリルフタレート樹
脂,等が挙げられる。
単独に適用できる他、上記熱および/または紫外線照射
用のラジカル重合開始用の試薬を配合しても使用でき
る。上記樹脂原料は重合反応について1官能型であるも
のも多く、その場合には、重合反応をさせても架橋構造
をとらないため、硬化させることは困難である。そこ
で、架橋剤として多官能化合物を配合することが好まし
い。ここでいう多官能化合物とは、1分子中に重合反応
に対しての官能基を2個以上有するものを指す。具体的
には、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパ
ン,テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール,
トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール,ジ(メ
タ)アクリル酸ペンタエリスリトール,ジ(メタ)アク
リル酸エチレン,ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリ
コール,ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコー
ル,ジ(メタ)アクリル酸デカエチレングリコール,ジ
(メタ)アクリル酸ペンタデカエチレングリコール,ジ
(メタ)アクリル酸ペンタコンタヘクタエチレングリコ
ール,ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブタンジオール,
ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオール,ジ(メ
タ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール,ジ(メタ)
アクリル酸1,9−ノナンジオール,ジ(メタ)アクリ
ル酸1,10−デカンジオール,ジ(メタ)アクリル酸
グリセリン,(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−
アクリロイロキシプロピル,ビスフェノールAのエチレ
ンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート,ジ(メ
タ)アクリル酸ポリエチレングリコール,ジ(メタ)ア
クリル酸ネオペンチルグリコール,(メタ)アクリル酸
アリル,ジ(メタ)アクリル酸フタル酸ジエチレングリ
コール,アルキル変性ジペンタエリスリトールの(メ
タ)アクリレート,イプシロン−カプロラクトン変性ジ
ペンタエリスリトールの(メタ)アクリレート,ジ(メ
タ)アクリル酸カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン
酸ネオペンチルグリコールエステル,ジ(メタ)アクリ
ル酸ジグリシジルビスフェノールA,ジペンタエリスリ
トールモノヒドロキシ(メタ)アクリレート,ジ(メ
タ)アクリル酸ネオペンチルグリコールヒドロキシピバ
リン酸エステル,ジ(メタ)アクリル酸1,4−プロパ
ンジオール,2−プロペノイックアシッド〔2−〔1,
1−ジメチル−2−〔(1−オキソ−2−プロペニル)
オキシ〕エチル〕−5−エチル−1,3−ジオキサン−
5−イル〕メチルエステル,リン酸2−(メタ)アクリ
ロイロキシエチル,ジビニルベンゼン,不飽和ポリエス
テル樹脂,ビニルエステル樹脂,ジアリルフタレート樹
脂,等が挙げられる。
【0038】本発明放射線遮蔽材組成物において用いら
れる硬化性樹脂原料は、6.0×1022個/cm3以上
の水素原子密度を有することが好ましい。また、硬化性
樹脂原料が、分子内に水素数20以上の置換基を有する
反応性モノマーの単体またはその混合物を含有すること
が好ましく、前記反応性モノマーが、分子内に炭素数1
0以上のアルキル基を有する化合物であることが好まし
い。また前記硬化性樹脂原料が、(メタ)アクリル酸の
長鎖脂肪族エステル(エステル置換のアルキル基の炭素
数10以上)の単体またはその混合物を含有する、もの
であってもよい。
れる硬化性樹脂原料は、6.0×1022個/cm3以上
の水素原子密度を有することが好ましい。また、硬化性
樹脂原料が、分子内に水素数20以上の置換基を有する
反応性モノマーの単体またはその混合物を含有すること
が好ましく、前記反応性モノマーが、分子内に炭素数1
0以上のアルキル基を有する化合物であることが好まし
い。また前記硬化性樹脂原料が、(メタ)アクリル酸の
長鎖脂肪族エステル(エステル置換のアルキル基の炭素
数10以上)の単体またはその混合物を含有する、もの
であってもよい。
【0039】比較的簡易な設備を用いて大きなサイズの
ものでも硬化反応が暴走して硬化物又は注型材に悪影響
を及ぼすことがないように、常温〜中温で硬化させるこ
とができる樹脂硬化系にするために硬化触媒系を選択し
た。硬化触媒系の中には酸化還元反応でコバルト等の重
金属系の促進剤を用いる系も知られているが、これらの
促進剤を用いると、中性子線による放射化の問題が生じ
る。したがって硬化触媒としてはアシル系有機過酸化物
を用い、硬化促進剤として第3級アミンを用いることが
好ましい。アシル系有機過酸化物としては、過酸化ベン
ゾイル、過酸化ラウロイル等を用いることができる。第
3級アミンとしてはN,N−ジメチルアニリン、N,N
−ジメチルトルイジン、トリ−n−オクチルアミン,ト
リプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエチルアミ
ン、トリメチルアミン,テトラメチルエチレンジアミン
等を用いることができる。
ものでも硬化反応が暴走して硬化物又は注型材に悪影響
を及ぼすことがないように、常温〜中温で硬化させるこ
とができる樹脂硬化系にするために硬化触媒系を選択し
た。硬化触媒系の中には酸化還元反応でコバルト等の重
金属系の促進剤を用いる系も知られているが、これらの
促進剤を用いると、中性子線による放射化の問題が生じ
る。したがって硬化触媒としてはアシル系有機過酸化物
を用い、硬化促進剤として第3級アミンを用いることが
好ましい。アシル系有機過酸化物としては、過酸化ベン
ゾイル、過酸化ラウロイル等を用いることができる。第
3級アミンとしてはN,N−ジメチルアニリン、N,N
−ジメチルトルイジン、トリ−n−オクチルアミン,ト
リプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエチルアミ
ン、トリメチルアミン,テトラメチルエチレンジアミン
等を用いることができる。
【0040】熱中性子吸収材としては、低放射化の観点
から硼素を含む炭化硼素、窒化硼素、硼酸、無水硼酸、
硼酸鉛等のおのおのの粉体を用いることが好ましいが、
カドミウム、ガドリニウム、ユーロピウム、サマリウム
等の化合物の粉体も使用可能である。硬化性樹脂への分
散性をよくするために、粒子径の小さいものが好まし
い。
から硼素を含む炭化硼素、窒化硼素、硼酸、無水硼酸、
硼酸鉛等のおのおのの粉体を用いることが好ましいが、
カドミウム、ガドリニウム、ユーロピウム、サマリウム
等の化合物の粉体も使用可能である。硬化性樹脂への分
散性をよくするために、粒子径の小さいものが好まし
い。
【0041】ガンマ線および高速中性子遮蔽材として
は、例えばウラン、タングステン、鉛、ビスマス、鉄等
の原子番号が22以上の重金属又は原子番号が22以上
の重金属を含む化合物の粉体を使用できる。実用性(安
価)と中性子遮蔽効果のみを考慮すれば鉄が好ましい
が、実用性、低放射化性とガンマ線遮蔽性能を考慮すれ
ば鉛が選択される。鉛を含む化合物としては、鉛粉、酸
化鉛、硝酸鉛、硼酸鉛等が使用できる。樹脂への分散性
をよくするために、粒子径の小さいものが好ましい。粒
子形状は問わない。硬化性樹脂原料100質量部に対し
て、重金属を含む化合物が重金属元素量として100〜
1000質量部含まれることが好ましく、重金属の平均
粒径が200μm以下であることが好ましく、平均粒径
が50μm以下であることが更に好ましい。
は、例えばウラン、タングステン、鉛、ビスマス、鉄等
の原子番号が22以上の重金属又は原子番号が22以上
の重金属を含む化合物の粉体を使用できる。実用性(安
価)と中性子遮蔽効果のみを考慮すれば鉄が好ましい
が、実用性、低放射化性とガンマ線遮蔽性能を考慮すれ
ば鉛が選択される。鉛を含む化合物としては、鉛粉、酸
化鉛、硝酸鉛、硼酸鉛等が使用できる。樹脂への分散性
をよくするために、粒子径の小さいものが好ましい。粒
子形状は問わない。硬化性樹脂原料100質量部に対し
て、重金属を含む化合物が重金属元素量として100〜
1000質量部含まれることが好ましく、重金属の平均
粒径が200μm以下であることが好ましく、平均粒径
が50μm以下であることが更に好ましい。
【0042】中性子、二次ガンマ線を含めたガンマ線を
同時に効果的に遮蔽するためにはこれらの材料を適切に
配合する必要がある。中性子とガンマ線の同時遮蔽、お
よび高いレベルの中性子遮蔽を考えれば密度は2g/c
m3〜3g/cm3が望ましい。実際的には、この範囲で
樹脂原料、重金属又は重金属を含む化合物、熱中性子吸
収材の割合を変えながら放射線輸送計算を実施し、配合
比率に関するデータを求め、さらに、硬化物への加工
性、硬化物の物性に対する影響を勘案して最終的な配合
比率を決定する必要がある。
同時に効果的に遮蔽するためにはこれらの材料を適切に
配合する必要がある。中性子とガンマ線の同時遮蔽、お
よび高いレベルの中性子遮蔽を考えれば密度は2g/c
m3〜3g/cm3が望ましい。実際的には、この範囲で
樹脂原料、重金属又は重金属を含む化合物、熱中性子吸
収材の割合を変えながら放射線輸送計算を実施し、配合
比率に関するデータを求め、さらに、硬化物への加工
性、硬化物の物性に対する影響を勘案して最終的な配合
比率を決定する必要がある。
【0043】放射線源から大量の中性子が放出される場
合、本樹脂組成物を遮蔽材として用いた場合も不純物に
よる放射化の可能性がある。放射化物が生成されると、
遮蔽材自体が放射線を出すので被曝の原因となる、取扱
に支障が出る、あるいは廃棄の際放射化物として隔離保
管をせねばならない、環境汚染の原因となる等の悪影響
が生じる。そこで、不純物を本樹脂組成物中には極力入
れないようにする。最も混入する可能性のある材料は鉛
源であり、鉛源中の不純物量は700mg/kg以下の
ものを用いることが好ましい。鉛では放射化を受けやす
い不純物としてアンチモンがあるが、鉛中のアンチモン
含有量は1ppm程度あるいはそれ以下のものを用いこ
とが好ましい。
合、本樹脂組成物を遮蔽材として用いた場合も不純物に
よる放射化の可能性がある。放射化物が生成されると、
遮蔽材自体が放射線を出すので被曝の原因となる、取扱
に支障が出る、あるいは廃棄の際放射化物として隔離保
管をせねばならない、環境汚染の原因となる等の悪影響
が生じる。そこで、不純物を本樹脂組成物中には極力入
れないようにする。最も混入する可能性のある材料は鉛
源であり、鉛源中の不純物量は700mg/kg以下の
ものを用いることが好ましい。鉛では放射化を受けやす
い不純物としてアンチモンがあるが、鉛中のアンチモン
含有量は1ppm程度あるいはそれ以下のものを用いこ
とが好ましい。
【0044】硬化性樹脂原料は、ジアシルパーオキサイ
ドおよび第3級アミンを含有してもよく、また過酸化ラ
ウロイルおよびN,N−ジメチルアニリンを開始剤とし
て使用してもよい。
ドおよび第3級アミンを含有してもよく、また過酸化ラ
ウロイルおよびN,N−ジメチルアニリンを開始剤とし
て使用してもよい。
【0045】<製造方法>反応性化合物の予備重合物を
作成する際の予備重合反応の開始に、ラジカル重合開始
剤(および促進剤の併用を含む)と熱、ラジカル重合開
始剤(および促進剤の併用を含む)と光、放射線や電子
線を使用することができる。反応性化合物またはその予
備重合物またはそれらの混合物に、多官能化合物又はそ
の予備重合物又はそれらの混合物、熱中性子吸収材、重
金属又は重金属を含む化合物、ラジカル重合開始剤を配
合するが、配合の順番に制限はない。必要に応じて促進
剤を配合し、型に流し込んで加熱硬化させる。配合後に
適宜脱泡工程を入れてもよい。配合における攪拌につい
ては攪拌棒のような手作業からニーダー、ブラベンダ
ー、らいかい機、攪拌スクリュー、攪拌棒、ミキサー等
一般に工業分野で使用されている各種手法を用いること
ができる。脱泡については、各種真空ポンプ等減圧にで
きる装置とその減圧に耐え得る容器を用いて行う。その
容器の加熱装置の有無は問わない。
作成する際の予備重合反応の開始に、ラジカル重合開始
剤(および促進剤の併用を含む)と熱、ラジカル重合開
始剤(および促進剤の併用を含む)と光、放射線や電子
線を使用することができる。反応性化合物またはその予
備重合物またはそれらの混合物に、多官能化合物又はそ
の予備重合物又はそれらの混合物、熱中性子吸収材、重
金属又は重金属を含む化合物、ラジカル重合開始剤を配
合するが、配合の順番に制限はない。必要に応じて促進
剤を配合し、型に流し込んで加熱硬化させる。配合後に
適宜脱泡工程を入れてもよい。配合における攪拌につい
ては攪拌棒のような手作業からニーダー、ブラベンダ
ー、らいかい機、攪拌スクリュー、攪拌棒、ミキサー等
一般に工業分野で使用されている各種手法を用いること
ができる。脱泡については、各種真空ポンプ等減圧にで
きる装置とその減圧に耐え得る容器を用いて行う。その
容器の加熱装置の有無は問わない。
【0046】本発明の組成物にラジカル重合開始剤(お
よび促進剤の併用を含む)を加えて型に流し込み、加熱
することで硬化を進めるが、加熱方法に特に制限はな
い。型への流し込み方法については特に制限はない。一
度に流し込んでもよいし、複数回に分けて流し込み、そ
の間に硬化を進めてもよい。光照射や放射線照射等別の
方法で反応を開始させて重合反応の反応熱を利用して硬
化させてもよい。なお、酸素の少ない雰囲気で行うこと
が望ましい。硬化途中で型の向きを変えて重金属の分散
性を向上させてもよい。本発明の組成物ならびに硬化物
又は注型材では板状の成型体のみならず鋳型により自在
な形状の成型体を実用的な大きさで作成できる。それら
の成型体を単独でもしくは成型体同士を組み合わせて用
いたり、成型体もしくは成型体の小片を遮蔽材として容
器に充填して用いたり、また枠などの各種部材で固定し
て用いたり、各種樹脂、各種ゴム、各種コンクリート、
各種金属、各種合金、各種パテ等の複合材料用マトリッ
クスで固定した形態で用いたりすることで、原子炉や原
子炉利用施設、原子炉用燃料貯蔵容器、原子炉使用済み
原料、放射線同位元素、核融合炉、加速器等における各
種放射線源、放射性廃棄物等における各種放射線源等か
ら放出される中性子やガンマ線を実用的に遮蔽できる方
法も提供できる。
よび促進剤の併用を含む)を加えて型に流し込み、加熱
することで硬化を進めるが、加熱方法に特に制限はな
い。型への流し込み方法については特に制限はない。一
度に流し込んでもよいし、複数回に分けて流し込み、そ
の間に硬化を進めてもよい。光照射や放射線照射等別の
方法で反応を開始させて重合反応の反応熱を利用して硬
化させてもよい。なお、酸素の少ない雰囲気で行うこと
が望ましい。硬化途中で型の向きを変えて重金属の分散
性を向上させてもよい。本発明の組成物ならびに硬化物
又は注型材では板状の成型体のみならず鋳型により自在
な形状の成型体を実用的な大きさで作成できる。それら
の成型体を単独でもしくは成型体同士を組み合わせて用
いたり、成型体もしくは成型体の小片を遮蔽材として容
器に充填して用いたり、また枠などの各種部材で固定し
て用いたり、各種樹脂、各種ゴム、各種コンクリート、
各種金属、各種合金、各種パテ等の複合材料用マトリッ
クスで固定した形態で用いたりすることで、原子炉や原
子炉利用施設、原子炉用燃料貯蔵容器、原子炉使用済み
原料、放射線同位元素、核融合炉、加速器等における各
種放射線源、放射性廃棄物等における各種放射線源等か
ら放出される中性子やガンマ線を実用的に遮蔽できる方
法も提供できる。
【0047】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例を比較例と併
せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるも
のではない。下記実施例および比較例中「%」は「質量
%」を表す。硬化物のアセトン抽出量は、以下の方法で
求めた。硬化物を乳鉢で砕いた粉体約2gを精秤し、こ
れにアセトン(特級)20mLを加えて超音波洗浄機に
より15分間超音波処理した。分析用5Cろ紙でろ過
し、ろ液からアセトンを留去した後の残渣を精秤した。
これより処理粉体質量に対する残渣質量を百分率で表し
た。
せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるも
のではない。下記実施例および比較例中「%」は「質量
%」を表す。硬化物のアセトン抽出量は、以下の方法で
求めた。硬化物を乳鉢で砕いた粉体約2gを精秤し、こ
れにアセトン(特級)20mLを加えて超音波洗浄機に
より15分間超音波処理した。分析用5Cろ紙でろ過
し、ろ液からアセトンを留去した後の残渣を精秤した。
これより処理粉体質量に対する残渣質量を百分率で表し
た。
【0048】熱重量測定法では、熱天秤を用いて硬化物
をHe雰囲気下、室温(20℃)〜200℃まで10℃
/分の昇温条件で測定した。常温(20℃)での重量に
対する200℃での重量減少を求めた。樹脂原料ならび
に放射線遮蔽材組成物の粘度は、B型粘度計により測定
した(JIS K7117−1に準拠)。
をHe雰囲気下、室温(20℃)〜200℃まで10℃
/分の昇温条件で測定した。常温(20℃)での重量に
対する200℃での重量減少を求めた。樹脂原料ならび
に放射線遮蔽材組成物の粘度は、B型粘度計により測定
した(JIS K7117−1に準拠)。
【0049】原料及び組成物及び硬化物の密度は、電子
天秤で測定した重量を、Beckman式空気比較式比
重計で求めた体積で除した値で求めた。重金属中の不純
物含有量は誘導結合プラズマ質量分析法により分析した
71元素の半定量値のうち、鉛の値を除く70値の総計
より求めた。
天秤で測定した重量を、Beckman式空気比較式比
重計で求めた体積で除した値で求めた。重金属中の不純
物含有量は誘導結合プラズマ質量分析法により分析した
71元素の半定量値のうち、鉛の値を除く70値の総計
より求めた。
【0050】重金属中のアンチモン含有量は、誘導結合
プラズマ質量分析法により測定した。原料及び組成物及
び硬化物中の水素原子密度については、原料の化学式と
含有率そして密度とアボガドロ数より計算した。計算方
法の詳細は以下の通りである。例えば、原料A,Bを配
合して硬化物を作成し、A,Bの化学式が例えばA:C
caHhaOoa,B:CcbHhbOobとし、A,Bをそれぞれ
(a),(b)の重量で配合して作成した硬化物の平均密度
測定値をρとする(C,H,Oは元素記号;ca,ha,・
・・は自然数)。アボガドロ数をNaとし、各元素の原
子量を元素記号に[]をつけて表す。このとき、(硬化
物中の水素原子密度)=〔(a)×[H]×ha/
([C]×ca+[H]×ha+[O]×oa)+
(b)×[H]×hb/([C]×cb+[H]×hb
+[O]×ob)〕/〔(a)+(b)〕×ρ/[H]
×Naとなる。
プラズマ質量分析法により測定した。原料及び組成物及
び硬化物中の水素原子密度については、原料の化学式と
含有率そして密度とアボガドロ数より計算した。計算方
法の詳細は以下の通りである。例えば、原料A,Bを配
合して硬化物を作成し、A,Bの化学式が例えばA:C
caHhaOoa,B:CcbHhbOobとし、A,Bをそれぞれ
(a),(b)の重量で配合して作成した硬化物の平均密度
測定値をρとする(C,H,Oは元素記号;ca,ha,・
・・は自然数)。アボガドロ数をNaとし、各元素の原
子量を元素記号に[]をつけて表す。このとき、(硬化
物中の水素原子密度)=〔(a)×[H]×ha/
([C]×ca+[H]×ha+[O]×oa)+
(b)×[H]×hb/([C]×cb+[H]×hb
+[O]×ob)〕/〔(a)+(b)〕×ρ/[H]
×Naとなる。
【0051】硬化物の放射線遮蔽性能は、最も信頼性の
高い計算法とされるANISNコードによる1次元計算
で計算した。放射線源は原子力施設において最も重要
で、遮蔽において最もよく扱われる核分裂線源とした。
すなわち核分裂等方面線源を高性能遮蔽材からなる遮蔽
体の入口面に設けた。中性子及びガンマ線の発生率は核
分裂当たりそれぞれ2.5個及び7.4個とした。中性子スペ
クトルは0.453×exp(-1.036E)×sinh((2.29E)^0.5)、ガ
ンマ線スペクトルは14.0×exp(-1.10E)とした。計算に
使用した核定数ファイルはVITAMIN-B6である。計算にお
いては角度分点数としてS128をとりルジャンドル展開項
数はP3でうち切った。収束基準は2×10-4とした。
高い計算法とされるANISNコードによる1次元計算
で計算した。放射線源は原子力施設において最も重要
で、遮蔽において最もよく扱われる核分裂線源とした。
すなわち核分裂等方面線源を高性能遮蔽材からなる遮蔽
体の入口面に設けた。中性子及びガンマ線の発生率は核
分裂当たりそれぞれ2.5個及び7.4個とした。中性子スペ
クトルは0.453×exp(-1.036E)×sinh((2.29E)^0.5)、ガ
ンマ線スペクトルは14.0×exp(-1.10E)とした。計算に
使用した核定数ファイルはVITAMIN-B6である。計算にお
いては角度分点数としてS128をとりルジャンドル展開項
数はP3でうち切った。収束基準は2×10-4とした。
【0052】硬化物の低放射化性については、日本原子
力研究所の研究用原子炉JRR−4で速中性子で4.2
×1014個/cm2、熱中性子で6.6×1015個/c
m2を照射し、原子炉照射後14日にゲルマニウム検出
器で残留放射能を測定した。
力研究所の研究用原子炉JRR−4で速中性子で4.2
×1014個/cm2、熱中性子で6.6×1015個/c
m2を照射し、原子炉照射後14日にゲルマニウム検出
器で残留放射能を測定した。
【0053】(実施例1)<予備重合>1Lのポロプロ
ピレン製ディスポーザブルカップに40℃の温度で溶解
したメタクリル酸ステアリル(ライトエステル S:共
栄社化学(株)製)600g,過酸化ベンゾイル(ナイ
パーBO;等量のDOPで希釈したもの:日本油脂
(株)製)4.8gを仕込み、100℃ウォーターバス
上で加熱攪拌した。26分30秒後に加熱を止めて攪拌
しながら氷水で冷却した。この予備重合物の粘度は48
00mPa・s(測定温度46℃)であった。
ピレン製ディスポーザブルカップに40℃の温度で溶解
したメタクリル酸ステアリル(ライトエステル S:共
栄社化学(株)製)600g,過酸化ベンゾイル(ナイ
パーBO;等量のDOPで希釈したもの:日本油脂
(株)製)4.8gを仕込み、100℃ウォーターバス
上で加熱攪拌した。26分30秒後に加熱を止めて攪拌
しながら氷水で冷却した。この予備重合物の粘度は48
00mPa・s(測定温度46℃)であった。
【0054】<本配合>上記予備重合物504gを1L
のポリプロピレン製ディスポーザブルカップ(約10c
mφ×14cm)に入れ、過酸化ラウロイル(パーロイ
ルL:日本油脂(株)製)を5.04gを加え、60℃
オーブン中で1時間加熱溶解させた。トリメタクリル酸
トリメチロールプロパン(化学用:和光純薬工業(株)
製)15.1g、硼酸(特級:和光純薬工業(株)製)
の粉砕物17.7g、60℃で予熱しておいた鉛粉(ガ
スアトマイズ粉Pb(A)―300:東洋金属粉
(株):アンチモン含有量測定値<0.2mg/kg、
不純物含有量<520mg/kg)1008gを配合
し、60℃の真空乾燥器中で脱泡した。
のポリプロピレン製ディスポーザブルカップ(約10c
mφ×14cm)に入れ、過酸化ラウロイル(パーロイ
ルL:日本油脂(株)製)を5.04gを加え、60℃
オーブン中で1時間加熱溶解させた。トリメタクリル酸
トリメチロールプロパン(化学用:和光純薬工業(株)
製)15.1g、硼酸(特級:和光純薬工業(株)製)
の粉砕物17.7g、60℃で予熱しておいた鉛粉(ガ
スアトマイズ粉Pb(A)―300:東洋金属粉
(株):アンチモン含有量測定値<0.2mg/kg、
不純物含有量<520mg/kg)1008gを配合
し、60℃の真空乾燥器中で脱泡した。
【0055】<硬化>N,N−ジメチルアニリン(特
級:和光純薬工業(株)製)1.51gを配合し、60
℃の真空乾燥器中で脱泡した後、雰囲気を窒素に置換し
た。そのまま60℃まで加熱し、N,N−ジメチルアニ
リンを配合した時点から2.5時間硬化反応を進めた。
室温まで放冷した後、硬化物を取り出した。<評価>硬
化物を60℃の温度に加熱し、ナイフで切断したところ
上面、下面それぞれ端部から5mm未満の部分を除いて
目視で遮蔽材の分散は均一であった。本硬化物は75m
m厚みであり、中央部分の密度は2.38g/cm3で
あった。上面又は下面からそれぞれ5〜15mmの部分
の密度は2.24g/cm3、2.51g/cm3であ
り、前者は後者の89%であった。
級:和光純薬工業(株)製)1.51gを配合し、60
℃の真空乾燥器中で脱泡した後、雰囲気を窒素に置換し
た。そのまま60℃まで加熱し、N,N−ジメチルアニ
リンを配合した時点から2.5時間硬化反応を進めた。
室温まで放冷した後、硬化物を取り出した。<評価>硬
化物を60℃の温度に加熱し、ナイフで切断したところ
上面、下面それぞれ端部から5mm未満の部分を除いて
目視で遮蔽材の分散は均一であった。本硬化物は75m
m厚みであり、中央部分の密度は2.38g/cm3で
あった。上面又は下面からそれぞれ5〜15mmの部分
の密度は2.24g/cm3、2.51g/cm3であ
り、前者は後者の89%であった。
【0056】この硬化物を乳鉢で細かく砕いたもののア
セトン抽出量は、1.1%であった。またこの乳鉢粉砕
物を熱重量測定で評価したところ、全質量に対しての2
00℃での重量減少は0.16質量%であった。硬化物
を100℃の温度まで加温しても流動化しなかった。
セトン抽出量は、1.1%であった。またこの乳鉢粉砕
物を熱重量測定で評価したところ、全質量に対しての2
00℃での重量減少は0.16質量%であった。硬化物
を100℃の温度まで加温しても流動化しなかった。
【0057】計算で求めた硬化物中の水素原子密度は
6.0×1022個/cm3であった。本発明品は、ポリ
エチレン樹脂単独にはおよばないものの、ポリメチルメ
タクリレート樹脂単独よりも水素原子数密度が高いこと
がわかる。放射線遮蔽性の計算の結果を以下に示した。
線源は核分裂により放出される中性子及び1次ガンマ線
である。以下に全中性子、全ガンマ線、及び全中性子+
全ガンマ線に対して遮蔽材の名前とその後の()の中に
遮蔽厚さ50,100,150cmでの実効線量を単位
平方cm当たり核分裂により発生する中性子1個当たり
に規格したpSv単位で示した。計算に使用した原子密
度は本硬化手法により直径40cm厚さ6cmの遮蔽板
を5枚作成し、それぞれに対して体積と重量及び原材料
の使用量を測定し決定した。その結果得られた 1 cm3当
たりの原子密度、炭素3.15×1022、水素6.04×1022、酸
素3.88×1021、鉛4.51×1021、硼素2.66×1020、窒素1.
15×1019を用いた。
6.0×1022個/cm3であった。本発明品は、ポリ
エチレン樹脂単独にはおよばないものの、ポリメチルメ
タクリレート樹脂単独よりも水素原子数密度が高いこと
がわかる。放射線遮蔽性の計算の結果を以下に示した。
線源は核分裂により放出される中性子及び1次ガンマ線
である。以下に全中性子、全ガンマ線、及び全中性子+
全ガンマ線に対して遮蔽材の名前とその後の()の中に
遮蔽厚さ50,100,150cmでの実効線量を単位
平方cm当たり核分裂により発生する中性子1個当たり
に規格したpSv単位で示した。計算に使用した原子密
度は本硬化手法により直径40cm厚さ6cmの遮蔽板
を5枚作成し、それぞれに対して体積と重量及び原材料
の使用量を測定し決定した。その結果得られた 1 cm3当
たりの原子密度、炭素3.15×1022、水素6.04×1022、酸
素3.88×1021、鉛4.51×1021、硼素2.66×1020、窒素1.
15×1019を用いた。
【0058】
(A)全中性子線量
本硬化物 (6.11x10-2, 1.14x10-4, 3.14x10-7)
コンクリート(7.07x100 , 1.12x10-1, 9.13x10-4)
ポリエチレン(2.65x10-2, 3.92x10-5, 1.02x10-7)
(B)全ガンマ線量
本硬化物 (1.69x10-2, 1.05x10-4, 7.98x10-7)
コンクリート(5.85x10-1, 2.57x10-2, 8.77x10-4)
ポリエチレン(1.00x100 , 1.04x10-1, 1.16x10-2)
(C)全中性子線量+全ガンマ線量
本硬化物 (7.79x10-2, 2.20x10-4, 1.11x10-6)
コンクリート(7.65x100 , 1.38x10-1, 1.79x10-3)
ポリエチレン(1.03x100 , 1.05x10-1, 1.17x10-2)
【0059】以上に示したように全中性子線量ではポリ
エチレンの遮蔽効果が最も良好であったが、本硬化物の
線量もポリエチレンの2〜3倍程度であり遜色のないも
のであった。一方、コンクリートは線量が本硬化物の1
00〜3000倍である。全ガンマ線量では本硬化物が
最も良好であり、コンクリートは線量で本硬化物の約3
5〜1000倍、ポリエチレンでは約60〜14000
倍である。遮蔽上最も重要な全中性子線量+全ガンマ線
量は本硬化物が最もよくコンクリートは線量で本硬化物
の約100〜1600倍、ポリエチレンでは約13〜1
0000倍であった。これらの結果は、本硬化物の遮蔽
性能が格段に優れていることを示している。中性子及び
ガンマ線に対する遮蔽性能を個別に比較すれば本硬化物
より良いものもあるが、実際的な利用を考えると本硬化
物より遮蔽性能の良いものは見あたらない。
エチレンの遮蔽効果が最も良好であったが、本硬化物の
線量もポリエチレンの2〜3倍程度であり遜色のないも
のであった。一方、コンクリートは線量が本硬化物の1
00〜3000倍である。全ガンマ線量では本硬化物が
最も良好であり、コンクリートは線量で本硬化物の約3
5〜1000倍、ポリエチレンでは約60〜14000
倍である。遮蔽上最も重要な全中性子線量+全ガンマ線
量は本硬化物が最もよくコンクリートは線量で本硬化物
の約100〜1600倍、ポリエチレンでは約13〜1
0000倍であった。これらの結果は、本硬化物の遮蔽
性能が格段に優れていることを示している。中性子及び
ガンマ線に対する遮蔽性能を個別に比較すれば本硬化物
より良いものもあるが、実際的な利用を考えると本硬化
物より遮蔽性能の良いものは見あたらない。
【0060】原子炉照射後14日の残留放射能は4.4
Bq/g以下であり、極低放射化性が確認された。この
放射能濃度は極めて小さい値である。放射性同位元素等
による放射線障害の防止に関する法律(昭和32年6月
10日法律第67号)に関連する科学技術庁告示15号
(昭和63年5月18日、放射線を放出する同位元素の
数量等を定める件)によれば法律の規制対象となる放射
性同位元素の濃度は74Bq/g以上となっている。上
記中性子照射量は本遮蔽材の耐放射線性からほぼ使用期
間に受容できる最大中性子量(樹脂系の材料では多くて
も速中性子が10 15個/cm2程度)に近い値であるの
で、その範囲での利用であれば放射能を考慮する必要が
ない。
Bq/g以下であり、極低放射化性が確認された。この
放射能濃度は極めて小さい値である。放射性同位元素等
による放射線障害の防止に関する法律(昭和32年6月
10日法律第67号)に関連する科学技術庁告示15号
(昭和63年5月18日、放射線を放出する同位元素の
数量等を定める件)によれば法律の規制対象となる放射
性同位元素の濃度は74Bq/g以上となっている。上
記中性子照射量は本遮蔽材の耐放射線性からほぼ使用期
間に受容できる最大中性子量(樹脂系の材料では多くて
も速中性子が10 15個/cm2程度)に近い値であるの
で、その範囲での利用であれば放射能を考慮する必要が
ない。
【0061】(実施例2)<予備重合>300mLのポ
リプロピレン製ディスポーザブルカップに40℃の温度
で溶解したステアリルアクリレート(一級:和光純薬工
業(株)製)を216g、ベンゾフェノン(特級:和光
純薬工業(株)製)を5.47g、メチルベンゾイルホ
ルメート(商品名VICURE55:アクゾ ノーベル
(株)製)を6.07g溶解させた。これにUV照射装
置トスキュア401(形名HC−04131−B)(東
芝ライテック(株)製)を用いて紫外線を照射を10秒
間行ったのち樹脂を攪拌する作業を、樹脂粘度が1,0
00〜5,000mPa・sの範囲に上昇するまで繰り
返した。
リプロピレン製ディスポーザブルカップに40℃の温度
で溶解したステアリルアクリレート(一級:和光純薬工
業(株)製)を216g、ベンゾフェノン(特級:和光
純薬工業(株)製)を5.47g、メチルベンゾイルホ
ルメート(商品名VICURE55:アクゾ ノーベル
(株)製)を6.07g溶解させた。これにUV照射装
置トスキュア401(形名HC−04131−B)(東
芝ライテック(株)製)を用いて紫外線を照射を10秒
間行ったのち樹脂を攪拌する作業を、樹脂粘度が1,0
00〜5,000mPa・sの範囲に上昇するまで繰り
返した。
【0062】<本配合>上記予備重合物50.4gを3
00mLの製ディスポーザブルカップ(約10cmφ×
14cm)に入れ、パーロイルL 0.504gを加
え、60℃オーブン中で1時間加熱溶解させた。トリメ
タクリル酸トリメチロールプロパン1.51g、硼酸の
粉砕物1.77g、60℃で予熱しておいたPb(A)
―300 100.8gを配合し、60℃の真空乾燥器
中で脱泡した。
00mLの製ディスポーザブルカップ(約10cmφ×
14cm)に入れ、パーロイルL 0.504gを加
え、60℃オーブン中で1時間加熱溶解させた。トリメ
タクリル酸トリメチロールプロパン1.51g、硼酸の
粉砕物1.77g、60℃で予熱しておいたPb(A)
―300 100.8gを配合し、60℃の真空乾燥器
中で脱泡した。
【0063】<硬化>N,N−ジメチルアニリン 0.
15gを配合し、60℃の温度の真空乾燥器中で脱泡し
た後、雰囲気を窒素に置換した。そのまま60℃まで加
熱し、N,N−ジメチルアニリンを配合した時点から2
時間硬化反応を進めた。室温まで放冷したのち、硬化物
を取り出した。 <評価>硬化物を60℃の温度に加熱し、ナイフで切断
したところ上面、下面それぞれ端部5mm未満の部分を
除いて目視で遮蔽材の分散は均一であった。
15gを配合し、60℃の温度の真空乾燥器中で脱泡し
た後、雰囲気を窒素に置換した。そのまま60℃まで加
熱し、N,N−ジメチルアニリンを配合した時点から2
時間硬化反応を進めた。室温まで放冷したのち、硬化物
を取り出した。 <評価>硬化物を60℃の温度に加熱し、ナイフで切断
したところ上面、下面それぞれ端部5mm未満の部分を
除いて目視で遮蔽材の分散は均一であった。
【0064】(実施例3)<予備重合>約20cm×4
0cmのポリエチレン袋に、70℃の温度で溶解したス
テアリルアクリレートを350mL入れて封をした。コ
ッククロフト・ウォルトン型電子加速器を用いて、加速
電圧2MeV、電子線強度0.75mA、コンベア速度
1.25m/min.の条件で電子線照射を行い、80
℃における粘度が4,400mPa・sの樹脂を得た。 <本配合><硬化>上記予備重合物を用いた他は実施例
2と同様にして硬化物を作成した。 <評価>硬化物を60℃の温度に加熱し、ナイフで切断
したところ上面、下面それぞれ端部5mm未満の部分を
除いて目視で遮蔽材の分散は均一であった。
0cmのポリエチレン袋に、70℃の温度で溶解したス
テアリルアクリレートを350mL入れて封をした。コ
ッククロフト・ウォルトン型電子加速器を用いて、加速
電圧2MeV、電子線強度0.75mA、コンベア速度
1.25m/min.の条件で電子線照射を行い、80
℃における粘度が4,400mPa・sの樹脂を得た。 <本配合><硬化>上記予備重合物を用いた他は実施例
2と同様にして硬化物を作成した。 <評価>硬化物を60℃の温度に加熱し、ナイフで切断
したところ上面、下面それぞれ端部5mm未満の部分を
除いて目視で遮蔽材の分散は均一であった。
【0065】(実施例4)予備重合物として、45℃で
の粘度が20,000mPa・sの予備重合物をステア
リルメタクリレートで希釈して45℃における粘度を
5,000mPa・sにした以外は実施例1と同様にし
て硬化物を作成した。 <評価>硬化物を60℃の温度に加熱し、ナイフで切断
したところ上面、下面それぞれ端部5mm未満の部分を
除いて目視で遮蔽材の分散は均一であった。
の粘度が20,000mPa・sの予備重合物をステア
リルメタクリレートで希釈して45℃における粘度を
5,000mPa・sにした以外は実施例1と同様にし
て硬化物を作成した。 <評価>硬化物を60℃の温度に加熱し、ナイフで切断
したところ上面、下面それぞれ端部5mm未満の部分を
除いて目視で遮蔽材の分散は均一であった。
【0066】(比較例1)ステアリルメタクリレート予
備重合物の代わりにステアリルメタクリレートを使用し
た他は実施例1<本配合>と同様に配合した。攪拌後5
分経過後に、鉛粉が容器底に沈澱していることが確認さ
れた。 (比較例2)45℃で推定200,000mPa・sの
ステアリルメタクリレート予備重合物を用いた他は実施
例1<本配合>と同様の方法で配合したが、脱泡が非常
に困難であった。この予備重合物は粘度が高かったので
粘度計のローターを約半分入れて測定し、100,00
0mPa・sとなったので、樹脂粘度はその2倍と推定
した。
備重合物の代わりにステアリルメタクリレートを使用し
た他は実施例1<本配合>と同様に配合した。攪拌後5
分経過後に、鉛粉が容器底に沈澱していることが確認さ
れた。 (比較例2)45℃で推定200,000mPa・sの
ステアリルメタクリレート予備重合物を用いた他は実施
例1<本配合>と同様の方法で配合したが、脱泡が非常
に困難であった。この予備重合物は粘度が高かったので
粘度計のローターを約半分入れて測定し、100,00
0mPa・sとなったので、樹脂粘度はその2倍と推定
した。
【0067】(比較例3)ナイパーBOを配合しなかっ
た以外は、実施例と同様の方法で予備重合物の作成を行
った。粘度上昇は見られなかった。 (比較例4)トリメチロールプロパントリメタクリレー
トを配合しなかった以外は、実施例1と同様の方法で作
成した。配合物の粘度は向上したが、流動性があり硬化
していないことが確認された。
た以外は、実施例と同様の方法で予備重合物の作成を行
った。粘度上昇は見られなかった。 (比較例4)トリメチロールプロパントリメタクリレー
トを配合しなかった以外は、実施例1と同様の方法で作
成した。配合物の粘度は向上したが、流動性があり硬化
していないことが確認された。
【0068】(比較例5)パーロイルLを配合しなかっ
た他は、実施例1と同様の方法で作成した。流動性があ
り硬化していないことが確認された。 (比較例6)鉛粉として、試薬の鉛粉(一級:和光純薬
工業(株)製:アンチモン含有量測定値:360mg/
kg、不純物含有量>700mg/kg)を用いた他
は、実施例1と同様の方法で作成した。低放射化性を調
べたところ、残留放射能は74Bq/g以上であった。
Ge検出器の測定結果を解析した結果放射能の主なもの
は鉛の不純物であるアンチモン由来のものであることが
明らかとなった。この鉛粉中のアンチモン量は約400
mg/kgであり、残留放射能はアンチモンの放射化が
主原因と考えられた。
た他は、実施例1と同様の方法で作成した。流動性があ
り硬化していないことが確認された。 (比較例6)鉛粉として、試薬の鉛粉(一級:和光純薬
工業(株)製:アンチモン含有量測定値:360mg/
kg、不純物含有量>700mg/kg)を用いた他
は、実施例1と同様の方法で作成した。低放射化性を調
べたところ、残留放射能は74Bq/g以上であった。
Ge検出器の測定結果を解析した結果放射能の主なもの
は鉛の不純物であるアンチモン由来のものであることが
明らかとなった。この鉛粉中のアンチモン量は約400
mg/kgであり、残留放射能はアンチモンの放射化が
主原因と考えられた。
【0069】(比較例7)硬化触媒および促進剤とし
て、過酸化ラウロイルの代わりに過酸化メチルエチルケ
トンを5g用い、N,N−ジメチルアニリンの代わりに
ナフテン酸コバルトを5g用いた他は、実施例1と同様
の方法で作成した。低放射化性を調べたところ、残留放
射能は74Bq/g以上であった。
て、過酸化ラウロイルの代わりに過酸化メチルエチルケ
トンを5g用い、N,N−ジメチルアニリンの代わりに
ナフテン酸コバルトを5g用いた他は、実施例1と同様
の方法で作成した。低放射化性を調べたところ、残留放
射能は74Bq/g以上であった。
【0070】(比較例8)窒素雰囲気下でラジカル重合
を行わず、通常の空気中で行った以外は、実施例1と同
様の方法で作成した。この場合、表面から2mm程度の
未硬化が残った。
を行わず、通常の空気中で行った以外は、実施例1と同
様の方法で作成した。この場合、表面から2mm程度の
未硬化が残った。
【0071】
【発明の効果】本発明の放射線遮蔽材組成物は、上述の
構成よりなるので、中性子とガンマ線双方を考慮した実
際的な遮蔽材として最も優れた遮蔽性能を示し、極低放
射化性を有し、耐熱性も優れ、遮蔽材の分散も良好とな
る。
構成よりなるので、中性子とガンマ線双方を考慮した実
際的な遮蔽材として最も優れた遮蔽性能を示し、極低放
射化性を有し、耐熱性も優れ、遮蔽材の分散も良好とな
る。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
G21F 1/08 G21F 1/08
3/00 3/00 N
(72)発明者 林 隆行
大阪府摂津市鳥飼西五丁目1番1号 株式
会社カネカテクノリサーチ材料分析センタ
ー内
Fターム(参考) 4J002 AA021 BG031 DA066 DA106
DK007
Claims (47)
- 【請求項1】 硬化性樹脂原料、原子番号が22以上の
重金属又は原子番号が22以上の重金属を含む化合物、
及び熱中性子吸収材より成る放射線遮蔽材組成物。 - 【請求項2】 前記重金属が鉛である請求項1に記載の
放射線遮蔽材組成物。 - 【請求項3】 前記熱中性子吸収材が、硼素を含む化合
物である請求項1又は2に記載の放射線遮蔽材組成物。 - 【請求項4】 前記硬化性樹脂原料が、6.0×1022
個/cm3以上の水素原子密度を有する、請求項1〜3
のいずれか1項に記載の放射線遮蔽材組成物。 - 【請求項5】 水素原子密度が5.8×1022個/cm
3以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の放
射線遮蔽材組成物。 - 【請求項6】 前記硬化性樹脂原料が、分子内に水素数
20以上の置換基を有する反応性モノマーの単体または
その混合物を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に
記載の放射線遮蔽材組成物。 - 【請求項7】 前記反応性モノマーが、分子内に炭素数
10以上のアルキル基を有する化合物である請求項6に
記載の放射線遮蔽材組成物。 - 【請求項8】 前記硬化性樹脂原料が、(メタ)アクリ
ル酸の長鎖脂肪族エステル(エステル置換のアルキル基
の炭素数10以上)の単体またはその混合物を含有す
る、請求項1〜7のいずれか1項に記載の放射線遮蔽材
組成物。 - 【請求項9】 前記硬化性樹脂原料が、多官能性化合物
の単体または混合物を含有する、請求項1〜8のいずれ
か1項に記載の放射線遮蔽材組成物。 - 【請求項10】 前記多官能性化合物が多官能性アクリ
ル樹脂である、請求項9に記載の放射線遮蔽材組成物。 - 【請求項11】 前記硬化性樹脂原料が、予備重合物を
含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の放射線遮蔽
材組成物。 - 【請求項12】 ラジカル重合開始剤により硬化し得る
請求項1〜11のいずれか1項に記載の放射線遮蔽材組
成物。 - 【請求項13】 20℃〜100℃の温度で硬化し得る
請求項12に記載の放射線遮蔽材組成物。 - 【請求項14】 前記硬化性樹脂原料が、ジアシルパー
オキサイドおよび第3級アミンを含有する、請求項12
又は13に記載の放射線遮蔽材組成物。 - 【請求項15】 過酸化ラウロイルおよびN,N−ジメ
チルアニリンを開始剤として使用する請求項14に記載
の放射線遮蔽材組成物。 - 【請求項16】 熱中性子吸収材中の硼素原子含有量
が、硬化性樹脂原料100質量部に対して10質量部以
下である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の放射
線遮蔽材組成物。 - 【請求項17】 熱中性子吸収材としての硼素化合物の
平均粒径が1mm以下である請求項16に記載の放射線
遮蔽材組成物。 - 【請求項18】 硬化性樹脂原料100質量部に対し
て、重金属を含む化合物が重金属元素量として100〜
1000質量部含まれる、請求項1〜17のいずれか1
項に記載の放射線遮蔽材組成物。 - 【請求項19】 重金属の平均粒径が200μm以下で
ある請求項18に記載の放射線遮蔽材組成物。 - 【請求項20】 請求項1〜19のいずれか1項に記載
の組成物からなる硬化物または注型材。 - 【請求項21】 前記硬化性樹脂原料を予備重合化する
工程を含む、1〜19のいずれか1項に記載の放射線遮
蔽材組成物製造方法。 - 【請求項22】 前記硬化性樹脂原料の予備重合化の手
段として、ラジカル重合反応を用いる、請求項21に記
載の放射線遮蔽材組成物製造方法。 - 【請求項23】 ラジカル重合反応を熱により開始させ
る請求項22に記載の放射線遮蔽材組成物製造方法。 - 【請求項24】 前記硬化性樹脂原料100質量部に対
して過酸化ベンゾイルを0.01〜5質量部加えて加熱
することによりラジカル重合反応を開始させる、請求項
23に記載の放射線遮蔽材組成物製造方法。 - 【請求項25】 前記硬化性樹脂原料100質量部に対
して光重合開始剤を0.01〜10質量部加えて光を照
射することによりラジカル重合反応を開始させる、請求
項22に記載の放射線遮蔽材組成物製造方法。 - 【請求項26】 電子線を照射することによりラジカル
重合反応を開始させる請求項22に記載の放射線遮蔽材
組成物製造方法。 - 【請求項27】 ガンマ線を照射することによりラジカ
ル重合反応を開始させる、請求項22に記載の放射線遮
蔽材組成物製造方法。 - 【請求項28】 前記硬化性樹脂原料を撹拌する工程を
有し、撹拌終了時の温度における粘度を500〜10
0,000mPa・sとする、請求項21〜27のいずれ
か1項に記載の放射線遮蔽材組成物製造方法。 - 【請求項29】 多官能性化合物を配合する工程を有す
る、請求項21〜28のいずれか1項に記載の放射線遮
蔽材組成物製造方法。 - 【請求項30】 重金属および熱中性子吸収材を配合し
た後に脱泡工程を有する、請求項21〜29のいずれか
1項に記載の放射線遮蔽材組成物製造方法。 - 【請求項31】 請求項21〜30のいずれか1項に記
載の放射線遮蔽材組成物製造方法により得られた放射線
遮蔽材組成物。 - 【請求項32】 請求項31に記載の放射線遮蔽材組成
物を硬化させて得られた硬化物及び注型材。 - 【請求項33】 前記硬化前の硬化性樹脂原料の45℃
の温度における粘度を、500〜100,000mPa・
sとする請求項32に記載の放射線遮蔽材組成物硬化方
法。 - 【請求項34】 前記硬化を酸素の少ない雰囲気下で行
う、請求項32に記載の放射線遮蔽材組成物硬化方法。 - 【請求項35】 請求項33又は34に記載の放射線遮
蔽材組成物硬化方法により得られた硬化物又は注型材。 - 【請求項36】 粉砕しアセトン抽出を行った際に抽出
される成分量が、全質量に対し5質量%以下である、請
求項20、32及び35のいずれか1項に記載の硬化物
または注型材。 - 【請求項37】 熱重量測定により測定した200℃の
温度における質量減量が1質量%以下である、請求項2
0、32及び35のいずれか1項に記載の硬化物または
注型材。 - 【請求項38】 6〜8cm厚みの硬化物または注型材
を作成したとき、厚み方向の任意の一方の端から5〜1
5mm位置の密度が同他方の端から5〜15mm位置の
密度の80%以上である、請求項20、32及び35の
いずれか1項に記載の硬化物または注型材。 - 【請求項39】 100℃の温度まで加熱しても流動化
を起こさない、請求項20、32及び35のいずれか1
項に記載の硬化物または注型材。 - 【請求項40】 核分裂線源に対し中性子、一次ガンマ
線、二次ガンマ線の合計線量の減衰率が、遮蔽体の厚さ
が20cm以上の領域においてコンクリート、水、ポリ
エチレン、鉄及び鉛より大きい、請求項1〜19及び3
1のいずれか1項に記載の放射線遮蔽材組成物、請求項
32、35〜39のいずれか1項に記載の硬化物または
注型材よりなる放射線遮蔽材。 - 【請求項41】 熱中性子フルエンスで1017/cm2
の照射後2週間経過時点における放射化量が1グラム当
たり74Bq以下である、請求項1〜19及び31のい
ずれか1項に記載の放射線遮蔽材組成物、請求項32、
35〜39のいずれか1項に記載の硬化物または注型材
よりなる放射線遮蔽材。 - 【請求項42】 請求項1〜19及び31のいずれか1
項に記載の放射線遮蔽材組成物、請求項20、32、3
5〜39のいずれか1項に記載の硬化物又は注型材の成
型体または成型体の小片を各種部材で固定した材料を中
性子線および/またはガンマ線の遮蔽に用いる方法。 - 【請求項43】 請求項1〜19及び31のいずれか1
項に記載の放射線遮蔽材組成物、請求項20、32、3
5〜39のいずれか1項に記載の硬化物又は注型材の成
型体または成型体の小片を容器に充填したものを中性子
線および/またはガンマ線の遮蔽に用いる方法。 - 【請求項44】 請求項1〜19及び31のいずれか1
項に記載の放射線遮蔽材組成物、請求項20、33、4
1のいずれか1項に記載の硬化物又は注型材の成型体ま
たは成型体の小片を複合材料用マトリックスで固定した
複合材料を中性子線および/またはガンマ線の遮蔽に用
いる方法。 - 【請求項45】 (メタ)アクリル酸の炭素数10以上
のアルキル基を含む長鎖脂肪族エステルを予備重合して
得られた予備重合物に、多官能の(メタ)アクリル樹脂
モノマーと平均粒径100μm以下の硼酸粉とアンチモ
ン含量が1mg/kg以下でかつ平均粒径100μm以
下の鉛粉を配合し、ジアシルパーオキサイドおよび第3
級アミン促進剤を配合した組成物、およびその組成物を
100℃以下の温度で硬化させたとき熱重量測定で測定
した200℃での重量減少が1%以下でありかつその大
きさが、6〜8cm厚みの硬化物または注型材を作成し
たとき、厚み方向の任意の一方の端から5〜15mm位
置の密度が同他方の端から5〜15mm位置の密度の8
0%以上である放射線遮蔽材組成物。 - 【請求項46】 請求項45に記載の組成物を硬化させ
て得られる硬化物又は注型材。 - 【請求項47】 請求項45に記載の放射線遮蔽材組成
物、又は請求項44に記載の硬化物又は注型材を中性子
線および/またはガンマ線の遮蔽に用いる方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002057410A JP2003255081A (ja) | 2002-03-04 | 2002-03-04 | 放射線遮蔽材組成物 |
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---|---|---|---|
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---|---|
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---|---|---|---|
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