JP6817615B2 - 金属粉末製造方法及び金属粉末製造装置 - Google Patents

金属粉末製造方法及び金属粉末製造装置 Download PDF

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Description

本願発明は、水アトマイズ、すなわち溶融銀柱の状態で流下させた溶融銀に水を噴霧することで銀粒子を生成する工程、を含む銀粉末製造方法と、当該製造方法を使用可能な銀粉末製造装置に関する。
銀粉末は、装飾品の他に厚膜導電性ペースト、スルーホール用ペースト、導電性接着剤、インダクター、MLCC用電極、LTCC用電極、太陽電池用電極等のエレクトロニクス分野での原料として幅広く使用されている。上記エレクトロニクス分野で導電性ペースト等の原料として使用される銀粉末には、純度の高さ、結晶化、小さな平均粒径、粒径分布の一定の広がり、及び非球形の粒子形態の存在が求められる。高い電気伝導度と、導電性ペースト等の焼結時の低収縮性を確保するためである。
このような用途に適した銀粉末の製造方法として現在、湿式還元法、粉砕法、噴霧熱分解法、アトマイズ法が知られている。
湿式還元法は、銀を硝酸等で溶解した後、沈殿剤と還元剤を添加して銀粉末を調製する方法であり、微細な粒径の銀粉末を製造することができる。しかし、溶媒中の分散性を維持するために界面活性剤を添加することから純粋な銀粉末を得ることができない欠点がある。また、固液分離、乾燥工程を含めて製造時間が非常に長く、大量の溶媒を使用するため環境負荷も大きい。
粉砕法は,銀の塊をボールミル等で粉砕する方法である。粉砕の際に大きな機械的エネルギーを要すること、及び長時間の粉砕処理を必要とする欠点がある。
噴霧熱分解法は、銀の原料塩を水溶液とし、超音波やノズルからの噴霧し、数百度に加熱した電気炉を通過させて銀粉末を製造する方法である。生産効率が低く、又、熱分解後の排ガス処理にコストがかかる点を考慮すると、現状では工業生産に適さない方法である。
アトマイズ法は、湿式還元法に比べて純粋な金属や合金を溶媒レスで短時間に製造でき、生産効率が高く、エネルギー損失も少ない方法である。
アトマイズ法にはガスアトマイズ法と水アトマイズ法がある。ガスアトマイズ法で製造される金属粉末の粒径は10μm以上と大きく、一般にエレクトロニクス分野での使用には適さない。一方、水アトマイズ法で製造される金属粉末の粒径は微細であり、エレクトロニクス分野で使用することができる。
従来の水アトマイズ法には、溶融金属を流下させる溶湯ノズル孔の目詰まりや、ブロッキング現象のために、しばしば製造が中断され、長時間の連続操業が難しいという欠点があった。
ここでブロッキング現象について説明する。水アトマイズ法においては、溶融金属柱の状態で流下する溶融金属に噴霧ノズルから水を噴霧し、溶融金属を粉砕して金属微粒子を生成する。噴霧ノズルは通常、溶融金属柱を囲うように配置された環状のノズルである。ブロッキング現象とは、粉砕された後、本来下方へ進行するべき溶融金属の一部が半凝固状態で、噴霧された水の衝撃を受けて上方に向けて飛散し、噴霧ノズルに付着・堆積したり、生成した金属微粒子が上方に飛散し、噴霧ノズルに付着・堆積して、溶融金属の流下経路を妨げることを言う。
ブロッキング現象の防止方法に係る従来技術はいくつか存在する。
1つの方法は、環状の噴霧ノズルから逆円錐状に噴霧される噴霧水の角度(逆円錐の頂角)を小さく設定し、斜め上方から鉛直に近い急な角度で溶融金属柱に向けて水を噴霧することで、溶融金属の一部が上方に向けて飛散しにくいようにする方法である。しかし当該方法には、上記頂角を小さく設定すると噴霧水が溶融金属柱に加える衝撃が小さくなり、金属粉末の製造効率が落ちるという欠点がある。
本願発明者は後述するように、噴霧された水の、溶融金属柱に衝突した後の進行方向を変更して再び溶融金属柱に衝突させることにより、上記頂角を小さく設定した場合に製造効率が低下するという上記欠点を回避できることを発見した。この発見は現時点で本願発明者が知る限り、先行技術文献には一切記載されていない。それを次に説明する。
図10に示すのは、特開2007−291454号公報(特許文献1)に開示された、溶融金属柱に衝突した後の噴霧水の進行方向を変化させる進行方向変更手段を有する金属粉末製造装置101である。当該装置101は、溶融金属1Qを供給する供給部102と、供給部102の下方に設けられた液体噴出部203と、液体噴出部203の下方に設けられたノズル106および筒状体109Aとを有している。ノズル106は、液体ジェット1S4(第2の液体)を噴射するオリフィス164を有しており、この液体ジェット1S4に、分散液1C1が衝突すると、分散液1C1の進行方向は強制的に変化する。すなわち、ノズル106は、分散液1C1の進行方向を変化させる進行方向変更手段を構成する。
特許文献1の金属粉末製造装置101において進行方向変更手段を設ける目的は、アモルファス化が進行した金属粉末を得るためである。進路変更手段がないと、溶融金属が分裂して生じた多数の液滴1Q1の周囲を覆うように形成された水蒸気層のために、液滴1Q1と液体ジェット1S1の間の熱伝導が妨げられて十分な冷却速度が得られず、結晶化の進行した金属粉末が得られる。進路変更手段を設けることで、半固化状態の液滴1Q1と水蒸気層とを、これらの慣性の大きさの違いを利用して分離し、冷却速度を確保し、アモルファス化が進行した金属粉末を得ることができる。しかし、進路変更手段として液体ジェット1S4(第2の液体)の噴射を用いる特許文献1の方法によっては、エレクトロニクス分野における高電導度の導電性ペースト等の原材料に適した、結晶化の進行した金属粉末を得ることはできない。又、特許文献1には、進路変更手段を用いることで、前記頂角が小さい場合にも金属粉末の製造効率が落ちないようにできる旨の記載は一切ない。
ブロッキング現象は、逆円錐状に噴霧される水が溶融金属柱と衝突する収束点近傍で生じる何らかの外乱をきっかけとして、原因不明のまま突発的に生じることも多い。このような外乱の発生を減らすためには、環状の噴霧ノズルから、なるべく全周均一に途切れなく安定して水を噴霧することが望ましい。
図11に示すのは、上述の特許文献1に開示された、従来の環状の噴霧ノズル203の拡大断面図である。液体ジェット1S1を生成するための噴霧ノズル203は、第1の部材204と第2の部材205の間に形成された間隙237を水の流路232とする。流路232は、下端部に開口するオリフィス234と、水200Sを一時的に貯留する貯留部235と、貯留部235からオリフィス234に水200Sを導入する導入路236とにより構成される。
オリフィス234が下端部に開口しているため、水200Sは縦断面がくさび状をなす導入路236の中を斜め下方へと進行し、オリフィス234から直接、斜め下方の収束点へと向かう液体ジェット1S1として噴射される。本願発明者は、水200Sが噴霧ノズル203の中を斜め下方へと進行することを特徴とする、このような従来の噴霧ノズル203の構成では、液体ジェットに生じた周方向の乱れや時間的な変動が減衰しにくく、全
周均一に途切れなく安定して水を噴霧することが困難であることを見出した。
ブロッキング現象の防止方法に係る他の従来技術として、溶融金属の一部が仮に上方に向かって飛散しても、噴霧ノズルに付着・堆積しにくくすることを意図した技術が複数ある。
そのような従来技術の1つとして図12に示すのは、特開昭62−151503号公報(特許文献2)に開示された、高圧流体300Wを溶融金属300Mに向けて噴射するための噴霧ノズル302の、噴射出口より上方側の壁面303に沿って、流体ノズル308から付着防止用流体を流すことにより金属粉末の壁面303への付着を防止する、金属粉末の製造方法の一実施例である。
この技術は、溶融金属300Mの飛沫が壁面303に向かって飛散しても、壁面303に衝突する前に付着防止用流体に接触して急冷凝固し、当該流体とともに下方へ押し流されることにより、壁面303に付着・堆積しないようにすることを意図したものである。しかし、この方法では、高圧流体300Wの噴流が引き起こす吸い込み気流により付着防止用流体が吹き飛ばされて壁面303の一部が露出した場合や、多量の溶融金属300Mが壁面303に触れて接触した場合の焼付を防止できない。
別の従来技術として図13に示すのは、特開昭64−203号公報(特許文献3)に開示された、高圧流体400Wを溶融金属400Mの落下流に向けて噴射するための噴霧ノズル402の、前記落下流を囲む内壁面407を、溶融金属400Mとの接触角が90°〜180°の濡れ性を有する材質により構成することで、前記溶融金属の飛沫が内壁面407に付着することを防止する、金属粉末の製造方法である。
この技術は、溶融金属400Mの飛沫が内壁面407に向かって飛散しても、内壁面407が溶融金属400Mで濡れない性質を有するために、当該飛沫の内壁面407への付着が防止され、内壁面407に付着・堆積しないようにすることを意図したものである。確かに理論上は、溶融金属400Mとの接触角が90°〜180°の濡れ性を有する材質で内壁面407を構成すれば、付着は起こらない。しかし、現実には内壁面407の表面は粗くて微細な凹凸を有し、局所的に接触角が90°未満となる領域が生じて、そのような領域に溶融金属400Mが付着・堆積し、やがてはブロッキング現象へと発展する事象がしばしば起きる。
更に別の従来技術として図14に示すのは、特開平5−9513号公報(特許文献4)に開示された、水噴射ノズル505又はその保護ガイド506の表面に特定の耐火材料からなる被覆層507を構成し、更に水噴射ノズル505又はその保護ガイド506を冷却することで、溶融金属の飛沫の付着閉塞(ブロッキング現象)を防止する方法である。被覆層507は、Si、BN又はAlNのうち1種又は2種以上を含み、気孔率が5容積%以上である耐火材料からなり、溶融金属の飛沫が接触すると700℃以上でSi、BN又はAlNが分解するから、溶融金属が付着しない。又、冷却水514により水噴射ノズル505又はその保護ガイド506を内部から冷却することで、被覆層507を低温に保ち、昇温による被覆層507の分解を低減している。
この技術は、水噴射ノズル505への溶融金属の付着を防ぎブロッキング現象を防止する上では有用である。しかし、溶融金属の飛沫の衝突により被覆層507が局所的に分解するから、製造される金属粉末に被覆層507由来の不純物が混入する。すなわち、製造される金属粉末の純度が低いので、エレクトロニクス分野の高電導度の導電性ペースト等の原料として使用することができないという欠点がある。
溶融金属は溶湯ノズルから溶融金属柱の状態で流下する。本願発明者は後述するように、溶湯ノズル孔における目詰まりを防止したり、流下する溶融金属の揺動に起因するブロッキング現象を防止するためには、溶融金属の動粘度を小さく保つことが有効であることを発見した。
図15に示すのは、特開平8−143914号公報(特許文献5)に開示された、噴霧する高圧水の水温に応じて金属の溶湯へのS添加量を変化させる水アトマイズ方法を使用する装置である。この装置は、溶湯落下手段601と、高圧水を噴霧する噴霧ノズル603と、粉末回収用チャンバ605と、回収ポンプ611と、冷却タンク609と、クーリングタワー613と、再循環ポンプ615と、水温計617と、温度表示装置619を備える。噴霧した高圧水を回収し、再循環させて再利用するので、時間経過に伴い、噴霧される高圧水の水温が上昇して粘性が低下する。それに合わせて、金属の溶湯へのS添加量を低下させることで溶湯の粘度を低下させ、噴霧水の水温上昇に伴う粘度低下とのバランスを保ち、水温の影響を受けることなく、ほぼ同じ様な粉末を製造することができる。
特許文献5に開示された、金属の溶湯の粘度を調整するというアイデアは、溶湯ノズル孔の目詰まりの防止や、流下する溶融金属の揺動に起因するブロッキング現象の防止にも有効である。しかし、Sの添加量を調整することで金属の溶湯の粘度を調整するから、製造される金属粉末に不純物が混入することが避けられない。すなわち、製造される金属粉末の純度が低く、エレクトロニクス分野の高電導度の導電性ペースト等の原料として使用することができないという欠点がある。
特開2007−291454号公報 特開昭62−151503号公報 特開昭64−203号公報 特開平5−9513号公報 特開平8−143914号公報
特許文献1に開示された金属粉末製造装置は、溶融金属柱に衝突した後の噴霧水の進路を変更する進路変更手段を有し、アモルファス化が進行した金属粉末を得ることができるが、エレクトロニクス分野における高電導度の導電性ペースト等の原材料に適した、結晶化の進行した金属粉末を得ることはできない。
又、特許文献1に開示された従来の環状の噴霧ノズルの構成では、液体ジェットに生じた周方向の乱れや時間的な変動が減衰しにくく、全周均一に途切れなく安定して水を噴霧することが困難である。
特許文献2に開示された金属粉末の製造方法は、噴霧ノズルの噴射出口から上方側の壁面に沿って付着防止用流体を流すことにより金属粉末の壁面への付着を防止することを意図しているが、気流で付着防止用流体が吹き飛ばされて壁面が露出した場合や、多量の溶融金属が壁面に触れて接触した場合の焼付を防止できない。
特許文献3に開示された金属粉末の製造方法は、噴霧ノズルの内壁面を、溶融金属との接触角が90°〜180°の濡れ性を有する材質により構成することで、溶融金属の飛沫が内壁面に付着することを防止することを意図しているが、現実の内壁面は微細な凹凸を有し、局所的に接触角が90°未満となる領域が生じて、そのような領域に溶融金属400Mが付着・堆積し、やがてはブロッキング現象へと発展する事象がしばしば起きる欠点がある。
特許文献4に開示されたブロッキング現象の防止方法は、水噴射ノズル等の表面に、溶
融金属の飛沫が接触すると分解する耐火材料からなる被覆層を構成し、更に水噴射ノズル等を冷却することで、溶融金属の飛沫の付着閉塞(ブロッキング現象)を防止することを意図しているが、製造される金属粉末に分解した被覆層由来の不純物が混入するため、エレクトロニクス分野の高電導度の導電性ペースト等の原料に適した高純度の金属粉末を得ることができない。
特許文献5に開示された合金鋼粉末の製造方法は、噴霧水の水温に応じてSの添加量を調整することで金属の溶湯の粘度を調整し、安定した品質の金属粉末を得ることを意図したものであるが、Sを溶湯に添加するから、製造される金属粉末に不純物が混入することが避けられず、エレクトロニクス分野の高電導度の導電性ペースト等の原料に適した高純度の金属粉末を得ることができないという欠点がある。
本願発明の目的は、生産効率が高く、溶湯ノズル孔の目詰まりやブロッキング現象を起こさないので長時間の安定稼働ができ、エレクトロニクス分野の高電導度の導電性ペースト等の原料に適した高純度の銀粉末を得ることのできる銀粉末製造方法及び銀粉末製造装置を提供することである。
本願発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本願発明の第1の形態は、溶融銀を溶融銀柱の状態で流下させ、前記溶融銀柱が中心軸となるように配置された環状の噴霧ノズルから水を前記溶融銀柱に噴霧して、前記溶融銀を微粒子化する工程を少なくとも有する銀粉末製造方法であり、前記水は略逆円錐面に沿ってその頂部である第1収束部に収束するように噴霧され、前記頂部の位置を前記溶融銀柱の内部に設定して、前記第1収束部において前記溶融銀を微粒子化し、前記第1収束部を経た前記水は略円錐面に沿って進行し、軸対称な吸引管の内面の第1円環部に当たって反射し、第2略逆円錐面に沿ってその頂部である第2収束部に収束するように進行し、前記第2収束部において、前記第1収束部で微粒子化されなかった前記溶融銀柱の溶融銀を微粒子化し、及び/又は、前記第1収束部で微粒子化により生成した銀粒子を更に粉砕して微粒子化することを特徴とする銀粉末製造方法である。
本願発明の第2の形態は、前記水を、いずれも内縁側ほど上方に湾曲した2つの円環面で挟まれた間隙を流路として、外縁側から内縁側に向けて進行させた後、円環状反射面に当てて下方に向けて反射することで、前記水が前記略逆円錐面に沿って全周途切れなく噴霧され、前記間隙を画成する2つの円環面の間隔は内縁側に向かって減少する銀粉末製造方法である。
本願発明の第3の形態は、前記略逆円錐面の頂角の大きさをθとしたとき25°≦θ≦30°が成立し、前記第2収束部が前記吸引管の下端より上方に位置するように、前記吸引管の径及び長さが設定される銀粉末製造方法である。
本願発明の第4の形態は、前記噴霧ノズルの前記溶融銀柱に対向する表面であって、流下する前記溶融銀に向かい合う表面に硬質炭素薄膜を形成し、前記硬質炭素薄膜はダイヤモンド薄膜又はDLC膜であり、更に前記硬質炭素薄膜の表面に水を流すことにより水膜を形成して、前記硬質炭素薄膜への銀の付着とブロッキング現象を防止する銀粉末製造方法である。
本願発明の第5の形態は、前記溶融銀が溶湯ノズルから流下し、前記溶融銀の温度を1400℃以上1600℃以下とすることで、前記溶融銀の動粘度を0.22mm/s以下に低下させて前記溶湯ノズルの目詰まりとブロッキング現象を防止し、製造される銀粉末の粒径を小さくする銀粉末製造方法である。
本願発明の第6の形態は、前記溶湯ノズル孔の直径が1mm以上3mm以下であり、前記溶融銀が流下する平均質量流量が0.5kg/min以上4.5kg/min以下であり、前記溶湯ノズル孔の直径が小さいほど製造される銀粉末の粒径が小さくなる銀粉末製造方法である。
本願発明の第7の形態は、前記溶湯ノズルの材質が窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムのいずれかであり、好ましくは窒化アルミニウム又は窒化ケイ素であり、更に好ましくは窒化ケイ素である銀粉末製造方法である。
本願発明の第8の形態は、水から脱イオン水を製造するための脱イオン工程を有し、前記水として脱イオン水を噴霧することで製造される銀粉末の純度を高くする銀粉末製造方法である。
本願発明の第9の形態は、溶融銀を溶融銀柱の状態で流下させるための溶湯ノズルと、水を略逆円錐面に沿ってその頂部である第1収束部に収束するように噴霧するための噴霧ノズルと、前記頂部の位置を前記溶融銀柱の内部に設定する水平位置調整手段を少なくとも有する銀粉末製造装置であり、前記噴霧ノズルは軸対称な吸引管を有し、前記吸引管の径及び長さは、噴霧された前記水が前記第1収束部において前記溶融銀を微粒子化し、前記第1収束部を経た前記水が略円錐面に沿って進行し、前記吸引管の内面の第1円環部に当たって反射し、第2略逆円錐面に沿ってその頂部である第2収束部に向かって進行するように設定されることを特徴とする銀粉末製造装置である。
本願発明の第10の形態は、前記噴霧ノズルは、離間して対面する上側環状部材と下側環状部材からなり、前記水は、両環状部材で挟まれた間隙を流路として両環状部材の外縁側から内縁側へ向かって進行し、互いに対面する前記下側環状部材の上面と、最内縁部を除く前記上側環状部材の下面はいずれも、少なくともそれらの内縁部において内縁側ほど上方に湾曲した円環面の形状を有し、前記間隙を画成する2つの前記円環面の間隔は内縁側に向かって減少し、前記上側環状部材の下面の前記最内縁部は、前記上側環状部材に係る前記円環面の上縁部と段差なく接続する円環状反射面であり、前記流路を進行した前記水を、前記円環状反射面に当てて下方に向けて反射することで、前記水が前記略逆円錐面に沿って前記第1収束部に収束するように全周途切れなく噴霧される銀粉末製造装置である。
本願発明の第11の形態は、前記略逆円錐面の頂角の大きさをθとしたとき25°≦θ≦30°が成立し、前記第2収束部が前記吸引管の下端より上方に位置するように、前記吸引管の径及び長さが設定される銀粉末製造装置である。
本願発明の第12の形態は、前記噴霧ノズルの前記溶融銀柱に対向する表面であって、流下する前記溶融銀に向かい合う表面は硬質炭素薄膜で被覆され、前記硬質炭素薄膜はダイヤモンド薄膜又はDLC膜であり、更に前記硬質炭素薄膜の表面は流水による水膜で被覆され、前記硬質炭素薄膜への銀の付着とブロッキング現象を防止する銀粉末製造装置である。
本願発明の第13の形態は、銀を加熱して溶融銀とするための加熱手段と、前記溶融銀の温度を調節するための温度制御手段を少なくとも有し、前記溶融銀の温度を1400℃以上1600℃以下とすることで、前記溶融銀の動粘度を0.22mm/s以下に低下させて前記溶湯ノズルの目詰まりとブロッキング現象を防止し、製造される銀粉末の粒径を小さくする銀粉末製造装置である。
本願発明の第14の形態は、前記溶湯ノズル孔の直径が1mm以上3mm以下であり、前記溶融銀が流下する平均質量流量が0.5kg/min以上4.5kg/min以下であり、前記溶湯ノズル孔の直径が小さいほど製造される銀粉末の粒径が小さくなる銀粉末製造装置である。
本願発明の第15の形態は、前記溶湯ノズルの材質が窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムのいずれかであり、好ましくは窒化アルミニウム又は窒化ケイ素であり、更に好ましくは窒化ケイ素である銀粉末製造装置である。
本願発明の第16の形態は、水から脱イオン水を製造するための脱イオン装置を有し、前記水として脱イオン水を噴霧することで製造される銀粉末の純度を高くする銀粉末製造装置である。
本願発明の第1の形態によれば、溶融銀を2箇所で微粒子化することにより、効率良く銀粉末を製造することができる銀粉末製造方法を提供できる。
すなわち本形態によれば、溶融銀柱が中心軸となるように配置された環状の噴霧ノズルから、水が略逆円錐面に沿ってその頂部である第1収束部に収束するように噴霧され、前記第1収束部において前記溶融銀を微粒子化し、前記第1収束部を経た前記水は略円錐面に沿って進行し、軸対称な吸引管の内面の第1円環部に当たって反射し、第2略逆円錐面に沿ってその頂部である第2収束部に収束するように進行し、前記第2収束部において、前記第1収束部で微粒子化されなかった前記溶融銀柱の溶融銀を微粒子化し、及び/又は、前記第1収束部で微粒子化により生成した銀粒子を更に粉砕して微粒子化するから、ブロッキング現象防止のために前記略逆円錐面の頂角を小さく設定したとしても、高い生産効率で銀粉末を製造することができる。
本願発明の第2の形態によれば、水を、いずれも内縁側ほど上方に湾曲した2つの円環面で挟まれた間隙を流路として、外縁側から内縁側に向けて進行させた後、円環状反射面に当てて下方に向けて反射し、前記間隙を画成する2つの円環面の間隔は内縁側に向かって減少するから、前記水を前記略逆円錐面に沿って全周途切れなく噴霧することができる。水が全周途切れなく噴霧され、周方向にほぼ一様に噴霧されるから、噴霧水が溶融銀柱に及ぼす力積のベクトル和がほぼゼロとなり、溶融銀柱の揺動や吸い込み気流の乱れに起因するブロッキング現象の発生を抑制することができる銀粉末製造方法を提供できる。
本願発明者等は、水を一度、円環状反射面に当てて下方に向けて反射する構成を採用することで、水を全周途切れなくほぼ均一に噴霧可能であることを見出した。その理由は定かではないが、水が内縁側に向かってその間隔が減少する2つの円環面の間を重力に逆らって斜め上向きに上昇する際に、水の速度の周方向の非一様成分や時間変動成分が減衰すること、及び、水が円環状反射面に当たって反射する際に、水の速度の周方向の非一様性や時間的な変動が平均化・均一化されて、水を全周途切れなくほぼ均一に噴霧することができるものと思量する。
本願発明の第3の形態によれば、前記略逆円錐面の頂角の大きさθを25°≦θ≦30°を満たす小さな角に設定するから、噴霧水の衝撃を受けて溶融銀が吹き上げることに起因するブロッキング現象が発生しにくく、かつ、溶融銀を第1収束部と第2収束部の2箇所で粉砕して溶融銀を微粒子化するから、生産効率の高い銀粉末製造方法を提供できる。本形態においては、吸引管の形状(径及び長さ)が、前記第2収束部が前記吸引管の下端より上方に位置するように設定されるから、吸引管内で吸い込み気流の乱れが生じにくく
、噴霧水の揺動や溶融銀柱の揺動に起因するブロッキング現象の発生を抑制することができる。
更に、本形態の変形例においては、吸引管の形状(径及び長さ)が、第2収束部を経た水が第2略円錐面に沿って進行し、吸引管の内面の第2円環部に当たるように設定されるから、吸引管内で吸い込み気流の乱れが生じにくく、噴霧水の揺動や溶融銀柱の揺動に起因するブロッキング現象の発生をより確実に防止することができる。
本願発明の第4の形態によれば、噴霧ノズルの溶融銀柱に対向する表面であって、流下する溶融銀に向かい合う表面に硬質炭素薄膜を形成し、前記硬質炭素薄膜はダイヤモンド薄膜又はDLC膜であり、更に前記硬質炭素薄膜の表面に水を流すことにより水膜を形成するから、前記硬質炭素薄膜への銀の付着とブロッキング現象を防止する銀粉末製造方法を提供できる。
硬質炭素薄膜と溶融銀の接触角は90°〜180°の範囲にあるため、硬質炭素薄膜は溶融銀に対して濡れない性質を有する。又、噴霧ノズルの表面にCVD、PVD、メッキ、スパッタリング等の方法で硬質炭素薄膜を形成し、その表面を微視的にも平坦に形成することが可能であるから、溶融銀の飛沫が接触しても付着・堆積は起こりにくい。しかし、多量の溶融銀の飛沫が接触して焼付を起こすと硬質炭素薄膜が昇温により脆弱となって剥離し、剥離部分から溶融銀の付着・堆積が進行してブロッキング現象を引き起こすおそれがある。そこで、接触する溶融銀の飛沫を洗い流し、かつ硬質炭素薄膜を冷却する目的で、その表面に水膜を形成するものである。
本願発明の第5の形態によれば、溶融銀の温度を1400℃以上1600℃以下とすることで、溶融銀の動粘度を0.22mm/s以下に低下させて、溶湯ノズル孔からの銀の溶湯のスムーズな流れ出しを実現し、溶湯ノズル孔の目詰まりとブロッキング現象を防止し、製造される銀粉末の粒径を小さくする銀粉末製造方法を提供できる。
溶融銀の温度は、銀の融点(962℃)から1600℃の範囲であればどの温度であってもよいが、ブロッキング現象を起こさずにアトマイズするには1400℃から1600℃の範囲が好ましい。
何故ならば、溶融銀の温度が1300℃未満では、溶湯ノズルの材質によらず、溶湯ノズル孔から銀の溶湯がスムーズに流れ出さない故、上記温度は1300℃以上とすることが望ましいが、更に溶湯ノズル孔の目詰まりやブロッキング現象を防止するためには、溶融銀の動粘度が0.22mm/s以下となる1400℃以上の温度が望ましい。(溶融銀の粘度の温度依存性については「溶融合金の粘度推定式」平居正純 鉄と鋼 8巻p.399-406 (1992)を参照。)又、溶融銀の温度が1600℃を超えると、溶融銀を保持する黒鉛るつぼの支持部材等の高温耐性を維持するためのコストが無視できなくなる故、1600℃以下の温度が望ましいからである。
尚、他の条件が同じであれば、溶融銀の動粘度が小さいほど、製造される銀粉末の粒径分布は粒径が小さい方へとシフトし、平均粒径及び粒径の最頻値は小さくなる。
本願発明の第6の形態によれば、溶湯ノズル孔の直径が1mm以上3mm以下であり、溶融銀が流下する平均質量流量が0.5kg/min以上4.5kg/min以下であり、溶湯ノズル孔の直径が小さいほど製造される銀粉末の粒径が小さくなる銀粉末製造方法を提供できる。
本形態においては、噴霧水により第1収束部と第2収束部の2箇所で溶融銀を効率よく粉砕して銀粉末を製造できるので、ブロッキング現象防止のために前記略逆円錐面の頂角を小さく設定したとしても、溶湯ノズル孔の直径を上記範囲内に設定し、0.5kg/m
in以上4.5kg/min以下の比較的大きな平均質量流量で溶融銀を流下させて、短時間に多量の銀粉末を製造することができる。又、上記範囲内で、より小さな溶湯ノズル孔の直径を選択することにより、製造される銀粉末の平均粒径を小さくすることができる。
本願発明の第7の形態によれば、溶湯ノズルの材質が窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムのいずれかであり、好ましくは窒化アルミニウム又は窒化ケイ素であり、更に好ましくは窒化ケイ素である銀粉末製造方法を提供できる。
溶湯ノズル孔における銀の溶湯の目詰まりを防止するためには、熱伝導率の大きな材質で溶湯ノズルを構成することが望ましい。そこで、セラミックス製のノズル材質として最も熱伝導率の高い窒化アルミニウムが望まれる。しかし、窒化アルミニウムはウルツ鉱型結晶特有の熱膨張が起こるために、使用中に脆性破壊する欠点がある。そこで、熱伝導率が高く、且つ、脆性破壊が起こらない窒化ケイ素がノズル素材として適している。その他、溶湯ノズルの材質として、炭化ケイ素、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等を用いてもよい。
本願発明の第8の形態によれば、水から脱イオン水を製造するための脱イオン工程を有し、前記水として脱イオン水を噴霧することで製造される銀粉末の純度を高くする銀粉末製造方法を提供できる。本形態の製造方法によれば、不純物が少なく、エレクトロニクス分野の用途に適した銀粉末を製造することができる。
本願発明の第9の形態によれば、流下する溶融銀柱に噴霧ノズルから水を噴霧して、溶融銀を第1収束部と第2収束部の2箇所で微粒子化することにより、高い生産効率で銀粉末を製造することができる銀粉末製造装置を提供できる。
本願発明の第10の形態によれば、水を、いずれも内縁側ほど上方に湾曲した2つの円環面で挟まれた間隙を流路として、外縁側から内縁側に向けて進行させた後、円環状反射面に当てて下方に向けて反射し、前記間隙を画成する2つの円環面の間隔は内縁側に向かって減少するように構成した噴霧ノズルを用いることにより、前記水を前記略逆円錐面に沿って全周途切れなく噴霧し、溶融銀柱の揺動や吸い込み気流の乱れに起因するブロッキング現象の発生を抑制する銀粉末製造装置を提供できる。
本願発明の第11の形態によれば、前記略逆円錐面の頂角の大きさθを25°≦θ≦30°を満たす小さな角に設定するからブロッキング現象が発生しにくく、かつ、溶融銀を第1収束部と第2収束部の2箇所で粉砕して溶融銀を効率よく微粒子化するから、生産効率の高い銀粉末製造装置を提供できる。本形態においては、吸引管の形状(径及び長さ)が、前記第2収束部が前記吸引管の下端より上方に位置するように設定されるから、吸引管内で吸い込み気流の乱れが生じにくく、ブロッキング現象の発生を抑制することができる。
本形態の変形例においては、吸引管の形状(径及び長さ)が、第2収束部を経た水が第2略円錐面に沿って進行し、吸引管の内面の第2円環部に当たるように設定されるから、吸引管内で吸い込み気流の乱れが生じにくく、ブロッキング現象の発生をより確実に防止することができる。
本願発明の第12の形態によれば、噴霧ノズルの溶融銀柱に対向する表面であって、流下する溶融銀に向かい合う表面に硬質炭素薄膜を形成し、前記硬質炭素薄膜はダイヤモンド薄膜又はDLC膜であり、更に前記硬質炭素薄膜の表面に水を流すことにより水膜を形
成するから、前記硬質炭素薄膜への銀の付着とブロッキング現象を防止する銀粉末製造装置を提供できる。
本願発明の第13の形態によれば、溶融銀の温度を1400℃以上1600℃以下とすることで、溶融銀の動粘度を0.22mm/s以下に低下させて溶湯ノズル孔の目詰まりとブロッキング現象を防止し、製造される銀粉末の粒径を小さくする銀粉末製造装置を提供できる。
本願発明の第14の形態によれば、溶湯ノズル孔の直径が1mm以上3mm以下であり、溶融銀が流下する平均質量流量が0.5kg/min以上4.5kg/min以下であり、溶湯ノズル孔の直径が小さいほど製造される銀粉末の粒径が小さくなる銀粉末製造装置を提供できる。本形態においては、ブロッキング現象防止のために前記略逆円錐面の頂角を小さく設定したとしても、大きな平均質量流量で溶融銀を流下させて、短時間に多量の銀粉末を製造することができる。
本願発明の第15の形態によれば、熱伝導率が高く、且つ/又は、脆性破壊が起こりにくい素材を溶湯ノズルに用いることにより、溶湯ノズル孔の目詰まりを防止する銀粉末製造装置を提供できる。
本願発明の第16の形態によれば、噴霧する水として脱イオン水を使用することで、不純物が少なく、エレクトロニクス分野の用途に適した銀粉末を製造する銀粉末製造装置を提供できる。尚、求められる銀粉末の純度や、製造コスト面の要請に応じて、脱イオン水の替わりに、蒸留水やRO水等の、純水或いは超純水を使用してもよい。
本願発明の一実施形態の銀粉末製造装置の全体概念図である。 本願発明の一実施形態における、噴霧ノズル3、及び水の進行経路を示す断面図である。 本願発明の一実施形態における、その表面に硬質炭素薄膜43と流水による水膜44が形成された噴霧ノズル3の断面図である。 本願発明の一実施形態における、黒鉛るつぼ21、及び溶湯ノズル2の断面図である。 本願発明の一実施形態の銀粉末製造方法を使用して製造された銀粉末83のSEM画像である。 図5の銀粉末の粒度分布を示すグラフである。 図5の銀粉末の粉末X線回折図である。 図5の銀粉末を原料とする銀ペースト、及び2つの比較試料の、熱機械分析による収縮曲線である。 図5の銀粉末を原料とする銀ペースト、及び2つの比較試料の、焼成温度による電気抵抗値の違いを示すグラフである。 従来の金属粉末製造装置101の断面図である。 従来の金属粉末製造装置101の環状の噴霧ノズル203の断面図である。 金属粉末の付着防止手段303を備えた、従来の噴霧ノズルの断面図である。 金属粉末の付着防止手段407を備えた、従来の噴霧ノズルの断面図である。 金属粉末の付着防止手段507及び514を備えた、従来の噴霧ノズルの断面図である。 金属の溶湯の粘度を調整する工程を含む、従来の合金鋼粉末の製造方法の概念図である。
以下に、本願発明に係る銀粉末製造方法及び銀粉末製造装置の実施形態を図面に従って詳細に説明する。
図1は本願発明の銀粉末製造装置の1つの実施形態を示す全体概念図であり、図2は本形態における噴霧ノズル3の断面図である。加熱手段25と温度・BR>ァ御手段26を備えたタンディッシュ炉22内には黒鉛るつぼ21が配置され、黒鉛るつぼ21内の銀は加熱手段25により加熱されて溶融銀6となり、黒鉛るつぼ21に取着された溶湯ノズル2から、溶融銀柱61の状態で流下する。環状の噴霧ノズル3から第1収束部34に収束するように略逆円錐面33に沿って噴霧された水は、略逆円錐面33の頂部である第1収束部34において溶融銀6を微粒子化し、銀粒子62が生成する。第1収束部34を経た前記水は、略円錐面35に沿って進行し、軸対称な吸引管52の内面の第1円環部53で反射して、第2収束部37に収束するように第2略逆円錐面36に沿って進行する。前記水は第2収束部37において、第1収束部34で微粒子化されなかった溶融銀6を微粒子化し、及び/又は第1収束部34で微粒子化された銀粒子62を更に微粒子化して、銀粒子62が生成する。吸引管52が十分に長い場合には、第2収束部37を経た前記水は、第2略円錐面38に沿って進行し、軸対称な吸引管52の内面の第2円環部54に当たる。
水槽タンク71の下部には前記水とともに、生成した銀粒子61が堆積する。堆積した銀粒子71は、ポンプ8の吸引送出作用により前記水とともにフィルター手段81へと輸送される。フィルター手段81において、前記水と銀粒子61が分離される。分離された銀粒子61は、乾燥機82で乾燥され、銀粉末83が得られる。
高純度の銀粉末を製造するため、噴霧ノズル3から噴霧される前記水は脱イオン水である。銀粉末製造装置1は脱イオン装置9を有し、脱イオン装置9は工業用水入口91と脱イオン水出口92を有する。工業用水等の水が脱イオン装置9を通過すると、脱イオン化されて脱イオン水となる。脱イオン水入口91には工業用水等の水が供給され、脱イオン水出口92から流出する脱イオン水は、圧力を加えた高圧水として噴霧ノズル3へと導かれる。
銀粉末製造蔵置1は、溶融銀柱61の水平位置を調整する水平位置調整手段24を備える。水平位置調整手段24により、前記略逆円錐面33の頂部である第1収束部34を溶融銀柱6の内部に設定することができるから、溶融銀柱61の溶融銀6を第1収束部34において効率良く粉砕して銀粒子62を生成し、又、第1収束部34を経た水の進行経路の軸対称性を確保して、前記水の大部分を前記略円錐面35に沿って進行させた後、第1円環部53で反射させ、更に第2略逆円錐面36に沿って進行させ、第2収束部37で再び溶融銀柱61と衝突させることができる。
図2に示すように、噴霧ノズル3は水が進行する円環状のスリット部(間隙31)を有する。噴霧ノズル3は上側環状部材4と下側環状部材5を間隙31を隔てて対向させてなり、水は間隙31を流路として、水の進行方向を示す矢印32の向きに、両環状部材の外縁側から内縁側へ向かって進行する。上側環状部材4の下面は湾曲した上側円環面41を含み、下側環状部材5の上面は湾曲した下側円環面51を含み、互いに対向する上側円環面41と下側円環面51の間隔は内縁側ほど狭くなっている。上側環状部材4の下面の最内縁部は、上側円環面41の上縁部と段差なく接続する円環状反射面42である。間隙31内を外縁側から内縁側へ向かって進行した前記水を、円環状反射面42に当てて下方に向けて反射することで、前記水は略逆円錐面33に沿って第1収束部34に収束するように全周途切れなく、全周ほぼ均一に噴霧される。
下側環状部材5はその下部に軸対称な吸引管52を備え、吸引管52の内面は、吸引管52を除く下側環状部材5の内面と段差なく滑らかに接続している。したがって、当該接続部分の近傍における吸い込み気流の乱れの発生を抑制することができる。
吸引管52の内面の形状は直円筒形に限られない。当該内面は一般に、滑らかな曲線を軸の周りに回転して得られる回転面の形状を有する。
1つの実施形態においては、吸引管52の形状は、第1収束部34を経た水が反射する前記第1円環部53が、吸引管52の内面に存在するように選択される。この形状の選択により、第1収束部34だけでなく、第2収束部37においても溶融銀6及び/又は銀粒子62を再び微粒子化することが可能となるから、短時間に多量の銀粒子を効率良く生成することができる。
当該実施形態において、特に吸引管52の内面の形状が直円筒の場合には、吸引管52の内直径をDとし、吸引管52の長さ(より正確には円環状反射面42から吸引管52の下端までの距離)をLとし、略逆円錐面33の頂角の大きさをθとして、次の(式1)の関係が成立する。
(式1) L・tan(θ/2) > D
ただし、重力による影響を無視して、略逆円錐面33の頂角、略円錐面35の頂角、第2略逆円錐面36の頂角、及び第2略円錐面の頂角は、すべて大きさが等しくθであるとみなす近似を行った。
ブロッキング現象の防止のためには、後述するように、頂角θは25°以上30°以下に設定することが好ましい。この場合、関係 L/D ≧ 5 が満足されていれば、(式1)の条件を満たすことができる。
別の実施形態においては、吸引管52の形状は、第2収束部37が吸引管52の最下端部より上方に位置するように選択される。この形状選択により、吸い込み気流の乱れを抑制し、ブロッキング現象の発生を防止することができる。
当該実施形態において、特に吸引管52の内面の形状が直円筒の場合には、上記の近似のもとで、形状パラメータD、L、θの間には次の(式2)の関係が成立する。
(式2) L・tan(θ/2) > (3/2)・D
頂角θを25°以上30°以下に設定する場合、関係 L/D ≧ 7 が満足されていれば、(式2)の条件を満たすことができる。
更に別の実施形態においては、吸引管52の形状は、第2収束部37を経た水が反射する前記第2円環部54が、吸引管52の内面に存在するように選択される。この形状選択により、吸い込み気流の乱れを抑制し、ブロッキング現象の発生をより確実に防止することができる。
当該実施形態において、特に吸引管52の内面の形状が直円筒の場合には、上記の近似のもとで、形状パラメータD、L、θの間には次の(式3)の関係が成立する。
(式3) L・tan(θ/2) > 2D
頂角θを25°以上30°以下に設定する場合、関係 L/D > 9 が満足されていれば、(式3)の条件を満たすことができる。
流下する溶融銀6の平均質量流量が2kg/分である溶融銀柱61に、25°以上30°以下の頂角θで噴霧ノズル3から200L/min以上の体積流量で水を噴霧すれば、溶融銀6を第1収束部と第2収束部の2箇所において効率よく微粒子化することができる。この場合、吸い込み気流の乱れを抑制し、ブロッキング現象の発生を確実に防止するためには、直円筒形状の吸引管の場合、吸引管52の径及び長さを関係 L/D ≧ 7 を
満たすように設定することが好ましい。
噴霧ノズル3から噴霧される水が形成する角度θ、即ち略逆円錐面33の頂角θを30°以下とすることで、噴霧される水が引き起こす吸い込み気流による吸引力が強くなり、噴霧ノズル3への銀粒子62及び溶融銀6の飛沫の付着・堆積を抑制することができ、且つ、製造される銀粉末83の粒度が小さくなる。
一方、前記角度θを小さく設定しすぎると、銀粉末83の製造効率が低下する。そこで、前記角度θは通常25°以上30°以下の範囲とする。しかし、好ましい角度θの範囲は、噴霧ノズル3の直径、噴霧圧力、噴霧される水の体積流量等に応じて変わるので、必ずしも上記の範囲に限定されるものではない。
図3は、本願発明の1つの実施形態において、上側環状部材43の上面の溶融銀柱61に対向する表面に硬質炭素薄膜43を形成し、更に硬質炭素薄膜43の上に水を流して、流水による水膜44を形成した噴霧ノズル3の断面図である。噴霧ノズル3から略逆円錐面33に沿って噴霧された水は、第1収束部34において溶融銀柱61の溶融銀6を微粒子化し、銀粒子62が生成する。硬質炭素薄膜43及び流水による水膜44は、銀粒子62や溶融銀6の飛沫が噴霧ノズル3の上面の溶融銀柱61に対向する表面に付着・堆積してブロッキング現象を引き起こすことを防止する。したがって、本実施形態においては安定的に銀粉末83を製造することができる。
硬質炭素薄膜43はダイヤモンド薄膜又はDLC膜であり、いずれも銀と化学的に反応しない素材である。流水による水膜44の形成は、噴霧ノズル3への銀の付着・堆積を防ぐために行われる操作であるが、硬質炭素薄膜43を形成することでその効果が一層有効になる。硬質炭素薄膜43は、噴霧ノズル3の表面にCVD、PVD、メッキ、スパッタリングなどの手法を用いて形成される。
硬質炭素薄膜43の厚さ、及び流水による水膜44の厚さは、ブロッキング現象を防ぐことができる限りにおいて、限定されるものではない。ブロッキング現象を防止する上で好ましい硬質炭素薄膜43の厚さ、及び、好ましい流水による水膜44の厚さは、噴霧ノズル3から噴霧される水の体積流量、流下する溶融銀6の平均質量流量、略逆円錐面33の頂角θ、吸引管52の形状(径及び長さ)等に依存し、特に、噴霧ノズル3から噴霧される水の体積流量に依存する。
図4は、本願発明の1つの実施形態における黒鉛るつぼ21と、それに取着した溶湯ノズル2、及び、溶湯ノズル2を貫通する溶湯ノズル孔23を示す。黒鉛るつぼ21内の溶融銀6は、溶湯ノズル2の溶湯ノズル孔23を通って、溶融銀柱61の状態で流下する。
アトマイズ法で金属を溶融する際には従来、加熱手段24を備えたタンディッシュ炉22として高周波誘導加熱炉が用いられ、そこでは黒鉛るつぼと黒鉛製ノズルが利用されてきた。黒鉛の熱伝導率は80W/(m・K)から140W/(m・K)と非常に高いが、黒鉛には脆いという欠点がある。アトマイズ法で溶湯ノズル孔23の目詰まりを防ぐには溶湯ノズル孔23の直径を大きくするとよい。しかし、製造される銀粉末の粒度を細かくする観点からは逆に、溶湯ノズル孔23の直径を小さくする必要がある。溶湯ノズル2として黒鉛製ノズルを用いた場合、溶湯ノズル孔23の直径を小さくしすぎると、脆いためアトマイズ中に溶湯ノズル孔23の先端で銀の溶湯(溶融銀6)が目詰まりしてアトマイズが中断する問題がある。
本願発明の1つの実施形態においては、溶湯ノズル2の材質を窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムのいずれかとし
、より好ましくは窒化アルミニウム又は窒化ケイ素とし、更に好ましくは窒化ケイ素にすることで、溶湯ノズル孔23での銀の目詰まりを防ぎ、安定した銀粉末を製造することができる。熱伝導率が高い窒化アルミニウム及び窒化ケイ素は溶湯ノズル2の素材として適しており、その中でも脆性破壊が起こらない窒化ケイ素は、溶湯ノズル2の素材として特に適している。
溶湯ノズル孔23の直径は1mmから3mmの範囲とする。当該直径が小さいほど製造される銀粉末83の粒度が小さくなる。
本願発明の1つの実施形態においては、噴霧ノズル3から噴霧する水を脱イオン水とすることで、高純度の銀粉末83を製造することができる。当該実施形態において更に、噴霧ノズル3の表面に硬質炭素薄膜43と流水による水膜44を形成する場合には、銀粉末83の純度を高くする観点から、流水による水膜44は脱イオン水を流すことにより形成することが好ましい。
以下、実施例により本願発明を説明する。
<実施例1> 銀の塊状物40kgを高周波溶解炉22内の黒鉛るつぼ21に充填し、窒素雰囲気中1370℃まで昇温して溶解した。溶解後、窒化ケイ素の溶湯ノズル2から銀の溶湯を流下させながら、ダイヤモンド薄膜43と流水による水膜44を備えた円環状の噴霧ノズル3を用いて水を噴霧した。水の噴霧圧力は80MPa、体積流量は220L/minとした。前記水及び流水は脱イオン水を用いた。溶湯ノズル孔23の直径は1.8mm、流下する溶融銀6の平均質量流量は2kg/min、吸引管52は直円筒形状で、その内直径Dは3cm、長さLは25cmであった。噴霧ノズル3からの水の噴霧により銀は粉砕されて、銀粒子62が生成し、水槽タンク7で貯留した後、フィルタープレス81で濾過し、乾燥機82において60℃で乾燥し、銀粉末83を得た。
図5は、実施例1で得られた銀粉末83のSEM画像(JEOL JSM-6510)であり、図6は、同じく粒度分布(日機装 MT3300EXII)を示す。SEM画像から、銀粉末83には球状、楕円状、破砕状等の形状の粒子が含まれている。粒度分布から、体積基準の平均粒径は8.2μm、個数基準の平均粒径は2.5μmであった。
図7は、実施例1で得られた銀粉末83の粉末X線回折図(Shimazu XRD-6100)である。X線源にはCuKα線を用い、印加電圧および印加電流はそれぞれ40kVおよび30mAとして、2θが30°〜90°の範囲を0.02°のステップ幅で測定した。銀へ結晶化しており、銀の粉末X線回折データ(JCPDS 04-0783)と一致している。デバイ・シェーラーの式(式4)から求められる結晶子の大きさは18.4nmであった。
(式4) τ = Kλ/(βcosθ)
ここで、Kは形状因子、λはX線波長、βはピーク半値全幅、θはブラッグ角、τは結晶子の大きさである。
図8は、実施例1で得られた銀粉末83を原料とする銀ペーストの、熱機械分析(リガク TMA8310)による収縮曲線である。銀粉末83を、エチルセルロースをブチルカルビトールアセテートに溶かしたビヒクルと混合して銀ペーストを調製した。銀粉末83、エチルセルロースおよびブチルカルビトールアセテートの混合比は重量比で85wt%:2wt%:13wt%とした。このときの銀ペーストの粘度は約200Pa・sとした。銀ペーストをPETフィルム上にドクターブレードで約250μmの膜厚で塗工した後、100℃で2時間乾燥した。PETフィルムから膜を剥がし、13mmφの円盤型にくり抜いて試料を加熱し、5℃/minの昇温速度で900℃まで昇温した。(a)と(b)は本願発明に関わる結果であり、(b)に係る銀粉末は、分級機を用いて(a)の銀粉末83の粒度を2.5μm以下にし、(c)の粒度とほぼ同じにしたものである。(c)は湿式
還元法で製造した銀粉末の結果である。(c)に比べて(a)の収縮率が小さいのは(a)の銀粉末には粗大な粒子が含まれているためである。
表1は、実施例1で得られた銀粉末83に含まれる不純物含有量を2つの比較試料と対照して示す。銀粉末83は希硝酸により溶解後、100ppmに希釈してICP発光分光分析装置(Horiba ULTIMA2)により測定した。比較試料1は、私水(工業用水)をそのまま用いて水アトマイズして製造した銀粉末である。比較試料2は湿式還元法で製造した銀粉末である。実施例1の銀粉末83は、比較試料1及び比較試料2に比べて不純物が少なく、エレクトロニクス分野の用途に適している。
図8は、実施例1で得られた銀粉末83を原料として用いた銀ペーストの焼結後の電気抵抗率が、焼結温度によってどう変わるかを、2つの比較試料と対照して示す。銀粉末83を、エチルセルロースをブチルカルビトールアセテートに溶かしたビヒクルと混合して銀ペーストを調製した。銀粉末83、エチルセルロースおよびブチルカルビトールアセテートの混合比は重量比で85wt%:2wt%:13wt%とした。このときの銀ペーストの粘度は約200Pa・sとした。銀ペーストをPETフィルム上にドクターブレードで約250μmの膜厚で塗工した後、100℃で2時間乾燥した。PETフィルムから膜を剥がし、13mmφの円盤型にくり抜いて5つのサンプルを準備した。各々のサンプルを加熱し、5℃/minの昇温速度でそれぞれ500℃、600℃、700℃、800℃、又は900℃まで昇温した。室温まで冷却した後、各サンプルに白金電極を取り付けてマルチメーター(三菱化学 MCP-T360)で比抵抗を測定した。
丸印は本願発明の実施例1に関わる結果、三角印は私水(工業用水)でアトマイズした銀粉末の結果、四角印は湿式還元法で製造した銀粉末の結果である。本願発明の銀粉末83は不純物含有量が少ないため、いずれの焼結温度においても焼結後のサンプルが最も小さい電気抵抗率を示し、エレクトロニクス分野の用途に適している。
<実施例2> 表2は溶湯ノズル2の材質による銀の目詰まりの発生の有無を示す。溶湯ノズル2の素材には黒鉛、アルミナ、窒化ケイ素を用いた。1370℃で25kgの銀を溶解し、圧力80MPa、体積流量220L/minの水を噴霧して水アトマイズした。流下する溶融銀6の平均質量流量は2kg/min、溶湯ノズル孔23の直径は1.8m
mであった。
溶湯ノズル2の材質が黒鉛やアルミナの場合には、25kgの銀のアトマイズ中に黒鉛るつぼ21の不純物がノズルに堆積して溶湯ノズル孔23の目詰まりを起こす。一方、窒化ケイ素の場合には、40kgの銀をアトマイズしても目詰まりが起きない。窒化ケイ素は高温での靱性、耐熱衝撃性に最も優れ、熱膨張係数も小さいので、窒化ケイ素からなる溶湯ノズル2は、アトマイズ中の温度変化に対して最も信頼性が高い。
<実施例3> 表3は、噴霧ノズル3におけるブロッキング現象の発生の有無が、噴霧される水の角度(頂角θ)によってどう変わるかを示す。溶湯ノズル2にはアルミナを用いた。1370℃で25kgの銀を溶解し、平均質量流量2kg/minで溶融銀を流下させ、圧力80MPa、体積流量220L/minの水を噴霧してアトマイズした。内直径Dが3cm、長さLが25cmの直円筒形状の吸引管52を用いた。頂角θを小さくすることで、溶融銀の飛沫が上方に向かって飛散しにくくなり、又、吸い込み気流による吸引力のため、噴霧ノズル3への銀の付着が起こりにくくなる。また、頂角θを小さくすると、銀の溶湯の粉砕が促進されて、製造される銀粉末の粒度がやや小さくなる。
<実施例4> 表4は、噴霧ノズル3におけるブロッキング現象の発生の有無が、吸引管52の形状(長さの比L/D)によってどう変わるかを示す。溶湯ノズル2にはアルミナを用い、溶湯ノズル孔の直径は1.8mmであった。1370℃で25kgの銀を溶解し、平均質量流量2kg/minで溶融銀を流下させ、圧力80MPa、体積流量220L/minの水を噴霧してアトマイズした。頂角θは25°、直円筒形状の吸引管52の内直径Dは3cmとした。長さの比L/Dが大きいほど、吸い込み気流の乱れが少なくなるため、ブロッキング現象は発生しにくくなる。
本願発明に係る水アトマイズ法で製造した銀粉末は、高純度で且つ結晶化が進行しており、導電性ペーストの原料として使用した場合には、低い焼結温度で高い電気電導度を示す。太陽電池向け電極ペースト、導電性ペースト、インダクターに使えば省エネ機器やモバイル機器の信頼性向上に繋がる。又、製造効率が高く、且つ長時間の安定生産が可能な製造方法であるため、製造コストを低下させることができる。本願発明の銀粉末製造方法及び新粉末製造装置は、エレクトロニクス分野に関係する多くの業界において広く利用できるものである。
1 銀粉末製造装置
2 溶湯ノズル
3 噴霧ノズル
4 上側環状部材
5 下側環状部材
6 溶融銀
7 水槽タンク
8 ポンプ
9 脱イオン装置
21 黒鉛るつぼ
22 タンディッシュ炉
23 溶湯ノズル孔
24 水平位置調整手段
25 加熱手段
26 温度制御手段
31 間隙
32 水の進行方向を示す矢印
33 略逆円錐面
34 第1収束部
35 略円錐面
36 第2略逆円錐面
37 第2収束部
38 第2略円錐面
41 上側円環面
42 円環状反射面
43 硬質炭素薄膜
44 流水による水膜
51 下側円環面
52 吸引管
53 第1円環部
54 第2円環部
61 溶融銀柱
71 堆積した銀粒子
81 フィルター手段
82 乾燥機
83 銀粉末
91 工業用水入口
92 脱イオン水出口

Claims (16)

  1. 溶融金属を溶融金属柱の状態で流下させ、前記溶融金属柱が中心軸となるように配置された環状の噴霧ノズルから水を前記溶融金属柱に噴霧して、前記溶融金属を微粒子化する工程を少なくとも有する金属粉末製造方法であり、前記水は略逆円錐面に沿ってその頂部である第1収束部に収束するように噴霧され、前記頂部の位置を前記溶融金属柱の内部に設定して、前記第1収束部において前記溶融金属を微粒子化し、前記第1収束部を経た前記水は略円錐面に沿って進行し、軸対称な吸引管の内面の第1円環部に当たって反射し、第2略逆円錐面に沿ってその頂部である第2収束部に収束するように進行し、前記第2収束部において、前記第1収束部で微粒子化されなかった前記溶融金属柱の溶融金属を微粒子化し、及び/又は、前記第1収束部で微粒子化により生成した金属粒子を更に粉砕して微粒子化することを特徴とする金属粉末製造方法。
  2. 前記略逆円錐面の頂角の大きさをθとしたとき25°≦θ≦30°が成立し、前記第2収束部が前記吸引管の下端より上方に位置するように、前記吸引管の径及び長さが設定される請求項1に記載の金属粉末製造方法。
  3. 溶融金属を溶融金属柱の状態で流下させ、前記溶融金属柱が中心軸となるように配置された環状の噴霧ノズルから水を前記溶融金属柱に噴霧して、前記溶融金属を微粒子化する工程を少なくとも有する金属粉末製造方法であり、
    前記水を、いずれも内縁側ほど上方に湾曲した2つの円環面で挟まれた間隙を流路として、外縁側から内縁側に向けて進行させた後、円環状反射面に当てて下方に向けて反射することで、前記水が略逆円錐面に沿って全周途切れなく噴霧され、前記間隙を画成する2つの円環面の間隔は内縁側に向かって減少することを特徴とする金属粉末製造方法。
  4. 前記噴霧ノズルの前記溶融金属柱に対向する表面であって、流下する前記溶融金属に向かい合う表面に硬質炭素薄膜を形成し、前記硬質炭素薄膜はダイヤモンド薄膜又はDLC膜であり、更に前記硬質炭素薄膜の表面に水を流すことにより水膜を形成して、前記硬質炭素薄膜への金属の付着とブロッキング現象を防止する請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属粉末製造方法。
  5. 前記溶融金属は溶湯ノズルから流下し、
    前記溶融金属の温度を、1600℃以下で且つ前記溶融金属の動粘度が0.22mm2/s以下に低下する温度に調節することで、前記溶湯ノズルの目詰まりとブロッキング現象を防止し、製造される金属粉末の粒径を小さくする請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属粉末製造方法。
  6. 前記溶湯ノズルの溶湯ノズル孔の直径が1mm以上3mm以下であり、前記溶融金属が流下する平均質量流量が0.5kg/min以上4.5kg/min以下であり、前記溶湯ノズル孔の直径が小さいほど製造される金属粉末の粒径が小さくなる請求項5に記載の金属粉末製造方法。
  7. 前記溶湯ノズルの材質が窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムのいずれかであり、好ましくは窒化アルミニウム又は窒化ケイ素であり、更に好ましくは窒化ケイ素である請求項5又は6に記載の金属粉末製造方法。
  8. 水から脱イオン水を製造するための脱イオン工程を有し、前記水として脱イオン水を噴霧することで製造される金属粉末の純度を高くする請求項1〜7に記載の金属粉末製造方法。
  9. 溶融金属を溶融金属柱の状態で流下させるための溶湯ノズルと、水を略逆円錐面に沿ってその頂部である第1収束部に収束するように噴霧するための噴霧ノズルと、前記頂部の位置を前記溶融金属柱の内部に設定する水平位置調整手段を少なくとも有する金属粉末製造装置であり、前記噴霧ノズルは軸対称な吸引管を有し、前記吸引管の径及び長さは、噴霧された前記水が前記第1収束部において前記溶融金属を微粒子化し、前記第1収束部を経た前記水が略円錐面に沿って進行し、前記吸引管の内面の第1円環部に当たって反射し、第2略逆円錐面に沿ってその頂部である第2収束部に向かって進行するように設定されることを特徴とする金属粉末製造装置。
  10. 前記略逆円錐面の頂角の大きさをθとしたとき25°≦θ≦30°が成立し、前記第2収束部が前記吸引管の下端より上方に位置するように、前記吸引管の径及び長さが設定される請求項9に記載の金属粉末製造装置。
  11. 溶融金属を溶融金属柱の状態で流下させるための溶湯ノズルと、水を略逆円錐面に沿ってその頂部である第1収束部に収束するように噴霧するための噴霧ノズルと、前記頂部の位置を前記溶融金属柱の内部に設定する水平位置調整手段を少なくとも有する金属粉末製造装置であり、
    前記噴霧ノズルは、離間して対面する上側環状部材と下側環状部材からなり、前記水は、両環状部材で挟まれた間隙を流路として両環状部材の外縁側から内縁側へ向かって進行し、互いに対面する前記下側環状部材の上面と、最内縁部を除く前記上側環状部材の下面はいずれも、少なくともそれらの内縁部において内縁側ほど上方に湾曲した円環面の形状を有し、前記間隙を画成する2つの前記円環面の間隔は内縁側に向かって減少し前記上側環状部材の下面の前記最内縁部は、前記上側環状部材に係る前記円環面の上縁部と段差なく接続する円環状反射面であり、前記流路を進行した前記水を、前記円環状反射面に当てて下方に向けて反射することで、前記水が前記略逆円錐面に沿って前記第1収束部に収束するように全周途切れなく噴霧されることを特徴とする金属粉末製造装置。
  12. 前記噴霧ノズルの前記溶融金属柱に対向する表面であって、流下する前記溶融金属に向かい合う表面は硬質炭素薄膜で被覆され、前記硬質炭素薄膜はダイヤモンド薄膜又はDLC膜であり、更に前記硬質炭素薄膜の表面は流水による水膜で被覆され、前記硬質炭素薄膜への金属の付着とブロッキング現象を防止する請求項9〜11のいずれか一項に記載の金属粉末製造装置。
  13. 金属を加熱して溶融金属とするための加熱手段と、前記溶融金属の温度を調節するための温度制御手段を少なくとも有し、前記溶融金属の温度を1600℃以下で、かつ、前記溶融金属の動粘度が0.22mm2/s以下に低下する温度に調節することで、前記溶湯ノズルの目詰まりとブロッキング現象を防止し、製造される金属粉末の粒径を小さくする請求項9〜12のいずれか一項に記載の金属粉末製造装置。
  14. 前記溶湯ノズルの溶湯ノズル孔の直径が1mm以上3mm以下であり、前記溶融金属が流下する平均質量流量が0.5kg/min以上4.5kg/min以下であり、前記溶湯ノズル孔の直径が小さいほど製造される金属粉末の粒径が小さくなる請求項13に記載の金属粉末製造装置。
  15. 前記溶湯ノズルの材質が窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムのいずれかであり、好ましくは窒化アルミニウム又は窒化ケイ素であり、更に好ましくは窒化ケイ素である請求項9〜14のいずれか一項に記載の金属粉末製造装置。
  16. 水から脱イオン水を製造するための脱イオン装置を有し、前記水として脱イオン水を噴霧することで製造される金属粉末の純度を高くする請求項9〜15に記載の金属粉末製造装置。
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