JP5094668B2 - Ni−W系合金微粒子の製造方法並びにNi−W合金微粒子の製造方法 - Google Patents

Ni−W系合金微粒子の製造方法並びにNi−W合金微粒子の製造方法 Download PDF

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本発明は、ニッケル(Ni)−タングステン(W)系合金微粒子並びにNi−W合金微粒子の製造方法に関し、より具体的には、Niに対するWの含有比率を従来より大幅に高めることを可能としたNi−W系合金微粒子の製造方法並びにNi−W合金微粒子の製造方法に関する。
積層セラミックコンデンサは、セラミック誘電体と内部電極とを交互に層状に重ねて圧着し、焼成して一体化させたものであり、このような積層セラミックコンデンサの内部電極を形成する際には、内部電極材料である金属微粉末をペースト化し、該ペーストを用いてセラミック基材上に印刷し、該印刷した基材を複数枚重ねて加熱圧着して一体化した後、還元性雰囲気中で加熱焼成を行うのが一般的である。この内部電極材料として、従来は白金(Pt),パラジウム(Pd)が使用されていたが、近時にはこれらPt,Pd等の貴金属の代わりにNi等の卑金属を用いる技術が開発され、進歩してきている。
しかしながら、Niを用いる場合には、上述のようにこれをペースト化してセラミック基材上に印刷し、該印刷した基材を複数枚重ねて加熱圧着して一体化した後、還元性雰囲気中で加熱焼成を行う際に、Ni微粉末の粒径にもよるが、700℃近傍より急激な熱収縮を引き起す傾向がある。一方、積層セラミックコンデンサを作製する際の焼成温度はセラミック誘電体の構成成分に依存して変化するが、チタン酸バリウム(BaTiO)やチタン酸ストロンチウム(SrTiO)等の複合酸化物系セラミック誘電体を用いる場合には1200℃以上の焼成温度が必要である。このような高温では電極を形成するNi微粉末は誘電体よりも収縮が激しいため、積層した誘電体層とNi層との間の熱歪みにより両者間にデラミネーション,クラック,曲がり等が生じて積層セラミックコンデンサの性能が低下することになる。
この対策として、積層セラミックコンデンサの製造に用いるペースト用のNi微粉末の熱収縮曲線をセラミック基材の熱収縮曲線に近づけるために、急激な熱収縮が生じ始める温度をより高温側へシフトさせることが重要視される。これに対しては、Ni微粒子をWを含む合金微粒子に置き換えることによりその融点を上昇させるという技術が、例えば、特許文献1に提案されている。この技術は、内部電極層を構成する導電材の融点を上昇させるために、導電材としてNiとWとの合金を用いるものである。
ところで、Ni−W合金(もしくは固溶体、以下、合金で代表させる)微粒子中におけるWの含有量を増やすことは容易なことではないという問題がある。
これは、Niの融点は1728Kであるのに対して、Wの融点は3655K(いずれも共立出版:化学大辞典による)と高温であるためであり、上述の特許文献1に開示されている技術では、Ni:W=80:20の合金をターゲットとして用いて、スパッタリング法によりこのターゲットと同比率の合金薄膜を得ている。
また、特許文献2には、不活性ガスと水素ガスを含む還元性雰囲気中において、酸化タングステン(WO)のようなタングステン化合物を熱プラズマにより気化させ、得られたタングステン蒸気を凝結させて微粉化することにより、平均粒径が100nm以下であり、粒径の幾何標準偏差が1.35以下であるタングステン超微粉を製造する技術が開示されている。
このように、熱プラズマを用いることにより、金属の超微粉を得ることは、例えば特許文献3にも示されている。特許文献3に示される技術では、銅と高融点金属(具体的にはタングステン)からなる複合銅微粉を、水素を含む不活性ガスあるいは窒素を含む不活性ガスの熱プラズマ中で気化させて、高融点金属が銅微粒子の表面に粒子状態または膜状態で存在する複合銅微粉を製造している。
特開2004−221304号公報 特開2007−211333号公報 特開2007−211332号公報
前述のように、Ni−W合金微粒子中におけるWの含有量を増やすことは容易なことではない。これについて具体的に説明すると、以下の通りである。
すなわち、特許文献1に開示されている技術では、ターゲットとして、メッキ法,蒸着法等によって作成される合金を用いているが、この方法では、Ni−W合金微粒子中におけるWの含有量を所望の値に調整するには、大変な手間が掛かるという問題がある。つまり、薄膜製造用の合金微粒子を製造する前に、ターゲットを作製する手間が掛かりすぎるという問題がある。
本発明者は、鋭意研究を続けた結果、先の特許文献2,特許文献3に示されているような、W成分として金属Wではなく、酸化タングステン(WO)を用いること、並びに、合金微粒子製造用材料としてのNi粒子および上記WO粒子を反応させるために熱プラズマを用いる技術を応用することにより、Ni−W合金微粒子中におけるWの含有量を増やすことが可能であることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明の目的とするところは、前記従来技術に基づく問題点を解消した、Ni−W合金微粒子中におけるWの含有量を所望の値にすることが可能であるNi−W系合金微粒子の製造方法並びにNi−W合金微粒子の製造方法を提供することにある。
より具体的には、例えば積層セラミックコンデンサの内部電極層を構成する導電材の融点を上昇させるために有効な、NiとWとの合金を用いる導電材の融点を所望の値にすることが可能であるNi−W系合金微粒子の製造方法並びにNi−W合金微粒子の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係るNi−W系合金微粒子の製造方法は、合金微粒子製造用材料としてのニッケルを主成分とする一種以上の粒子および酸化タングステン粒子を分散させて熱プラズマ炎中に供給し、前記合金微粒子製造用材料粒子を蒸発させ気相状態の合金を含む混合物とし、この混合物を冷却し任意に規定される粒径での分級を実施することにより前記混合物中から平均粒径が1〜100nmのNi−W系合金微粒子を回収することを特徴とする。
本発明に係るNi−W系合金微粒子の製造方法においては、前記ニッケルを主成分とする一種以上の粒子は、Ag,Au,Al,Bi,Co,Cr,Cu,Fe,In,Mn,Mo,Nb,Pd,Pt,Sn,Ti,V,Znの各元素から選ばれる元素を含むものであることが好ましい。
また、本発明に係るNi−W合金微粒子の製造方法は、合金微粒子製造用材料としてのニッケル粒子および酸化タングステン粒子を分散させて熱プラズマ炎中に供給し、前記合金微粒子製造用材料粒子を蒸発させ気相状態の合金を含む混合物とし、この混合物を冷却し任意に規定される粒径での分級を実施することにより前記混合物中から平均粒径が1〜100nmのNi−W合金微粒子を回収することを特徴とする。
本発明によれば、Ni−W系合金微粒子中におけるWの含有量を所望の値にすることが可能であるNi−W系合金微粒子の製造方法を実現できるという顕著な効果を奏する。
また、本発明によれば、Ni−W合金微粒子中におけるWの含有量を所望の値にすることが可能であるNi−W合金微粒子の製造方法を実現できるという顕著な効果を奏する。
以下、図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るNi−W合金微粒子の製造方法を実施するための微粒子製造装置10の全体構成を示す模式図である。図2は、図1中に示したプラズマトーチ12付近の部分拡大図である。図3は、図1中に示したチャンバ16の天板17、およびこの天板17に備えられた気体射出口28aおよび気体射出口28b付近を拡大して示す断面図である。また、図4は、サイクロン19を拡大して示す断面図である。
図1に示す微粒子製造装置10は、熱プラズマを発生させるプラズマトーチ12と、合金微粒子製造用材料をプラズマトーチ12内へ供給する材料供給装置140と、合金微粒子(1次合金微粒子)15を生成するための冷却槽としての機能を有するチャンバ16と、生成された1次合金微粒子15から任意に規定された粒径以上の粒径を有する粗大粒子を除去するサイクロン19と、サイクロン19により分級された所望の粒径を有する合金微粒子(2次合金微粒子)18を回収する回収部20とを含んで構成される。
図2に示すプラズマトーチ12は、石英管12aと、その外側を取り巻く高周波発振用コイル12bとで構成されている。プラズマトーチ12の上部には、合金微粒子製造用材料であるNi粒子およびWO(酸化タングステン)粒子と、噴霧ガスとをプラズマトーチ12内に供給するための後述する供給管140aがその中央部に設けられており、プラズマガス供給口12cがその周辺部(同一円周上)に形成されている。
プラズマガスは、プラズマガス供給源22からプラズマガス供給口12cへ送り込まれる。プラズマガスとしては、例えばアルゴン,窒素,水素等が挙げられる。プラズマガス供給源22には、例えば2種類のプラズマガスが準備されている。プラズマガスは、プラズマガス供給源22からリング状のプラズマガス供給口12cを介して、矢印Pで示されるようにプラズマトーチ12内に送り込まれる。そして、高周波発振用コイル12bに高周波電流が印加されて、熱プラズマ炎24が発生する。
なお、石英管12aの外側は、同心円状に形成された管(図示されていない)で囲まれており、この管と石英管12aとの間に冷却水を循環させて石英管12aを水冷し、プラズマトーチ12内で発生した熱プラズマ炎24により石英管12aが高温になりすぎるのを防止している。
材料供給装置140は、管26と供給管140aを介してプラズマトーチ12の上部に接続され、合金微粒子製造用材料を分散させてプラズマトーチ12内へ供給する。本実施形態では、微粒子製造装置(図1参照)10の材料供給装置140として、粉末材料を使用するのに適した装置を使用して、合金微粒子を製造する。但し、ここで、粉末材料は熱プラズマ炎中に供給される際に、分散されている必要がある。
そこで、本実施形態における材料供給装置は、粉末材料を分散状態(いわゆる、一次粒子の状態)に維持しつつ定量的にプラズマトーチ内部の熱プラズマ炎中に供給することができるものが好ましい。そのような機能を有する材料供給装置として、例えば特許第3217415号公報に開示されている粉体分散装置のような装置が利用可能である。
以下、まず、本実施形態に用いる微粒子製造装置10について説明する。
図5に、合金微粒子製造用材料として粉末材料を使用する場合の材料供給装置140の概略構成を示した。図5に示す材料供給装置140は、主に、粉末材料を貯蔵する貯蔵槽142と、粉末材料を定量搬送するスクリューフィーダ160と、スクリューフィーダ160で搬送された粉末材料が最終的に散布される前に、これを一次粒子の状態に分散させる分散部170とから構成されている。
貯蔵槽142には、図示されていないが、排気用配管および給気用配管が設けられる。また、貯蔵槽142はオイルシール等で密封された圧力容器であり、内部の雰囲気を制御することができるように構成されている。また、貯蔵槽142の上部には粉末材料を供給する供給口(図示されていない)が設けられており、粉末材料144がこの供給口から貯蔵槽142内部に供給され、貯蔵される。
貯蔵槽142の内部には、貯蔵された粉末材料144の凝集を防止するために、攪拌軸146とそれに接続された攪拌羽根148とが設けられる。攪拌軸146は、オイルシール150aと軸受け152aとによって、貯蔵槽142内で回転可能に配設されている。また、貯蔵槽142外部にある攪拌軸146の端部は、モータ154aに接続されており、図示しない制御装置によってその回転が制御される。
貯蔵槽142の下部には、スクリューフィーダ160が設けられ、粉末材料144の定量的な搬送を可能にする。スクリューフィーダ160は、スクリュー162と、スクリュー162の軸164と、ケーシング166と、スクリュー162の回転動力源であるモータ154bとを含み構成されている。スクリュー162および軸164は、貯蔵槽142内の下部を横切って設けられている。軸164は、オイルシール150bと軸受け152bとによって貯蔵槽142内で回転可能に配設されている。
また、貯蔵槽142外部にある軸164の端部は、モータ154bに接続されており、図示しない制御装置によってその回転が制御される。さらに、貯蔵槽142の下部の開口部と、後述する分散部170とを接続し、スクリュー162を包む筒状通路であるケーシング166が設けられる。ケーシング166は、後述する分散部170の内部途中まで延設されている。
図5に示すように、分散部170は、ケーシング166の一部に外挿固定された外管172と、軸164の先端部に植設された回転ブラシ176を有し、スクリューフィーダ160によって定量搬送された粉末材料144を一次分散させることができる。
外管172の外挿固定された端部と反対の端部は、その形状が円錐台形状であり、その内部にも円錐台形状の空間である粉体分散室174を有する。また、その端部には分散部170で分散された粉末材料を搬送する搬送管182が接続される。
ケーシング166の先端が開口し、その開口部を越えて外管172内部の粉体分散室174まで軸164が延設され、軸164の先端には回転ブラシ176が設けられる。外管172の側面には気体供給口178が設けられており、また、ケーシング166の外壁と外管172の内壁とによって設けられる空間は、供給された気体が通過する気体通路180としての機能を有する。
回転ブラシ176は、ナイロン等の比較的柔軟な材質、あるいは鋼線等の硬質な材質からなる針状部材で、ケーシング166の先端部近傍の内部から粉体分散室174の内部まで、軸164の径外方に延出して密集植設されることによって形成される。このときの上記針状部材の長さは、ケーシング166内の周壁に針状部材の先端部が当接する程度の長さである。
分散部170では、分散・搬送用の気体(キャリアガス)が、図示しない圧力気体供給源から気体供給口178、気体通路180を通って回転ブラシ176の径方向外側から回転ブラシ176に噴出され、定量的に搬送される粉末材料144が、回転ブラシ176の針状部材間を通過することで一次粒子に分散される。
ここで、粉体分散室174の円錐台形の母線と軸164とのなす角度が、30°程度の角度をなすように設けられている。また、粉体分散室174の容積は小さいほうが好ましく、容積が大きいと回転ブラシ176で分散された粉末材料144が搬送管182に入る前に分散室の内壁に付着し、これが再飛散するために供給される分散粉体の濃度が一定しなくなるという問題を生じる。
搬送管182は、その一端は外管172と接続され、他端はプラズマトーチ12に接続される。また、搬送管182は、その管径の10倍以上の管長を有し、少なくとも途中に分散粉体を含む気流が流速20m/sec以上になる管径部分を設けることが好ましい。これにより分散部170で一次粒子の状態に分散された粉末材料144の凝集を防止し上記の分散状態を維持したまま、粉末材料144をプラズマトーチ12内部に散布することができる。
本実施形態に係る微粒子製造装置10は、上述したような材料供給装置140を図1,図2に示すプラズマトーチ12に接続し、これを用いて本実施形態における合金微粒子の製造方法を実施することができる。
合金微粒子製造用材料として使用する粉末材料は、熱プラズマ炎中で蒸発させることができるものであり、その粒径が50μm以下である粉末材料であることが好ましい。
以下、本態様における合金微粒子の製造方法についてより詳細に説明する。
押し出し圧力をかけられた噴霧ガスが、図示されていない材料供給装置140内の噴霧ガス供給源から合金微粒子製造用材料であるNi粒子およびWO(酸化タングステン)粒子(以下、単に合金微粒子製造用材料ともいう)と共に、図2中に矢印Gで示されるように供給管140aを介してプラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中へ供給される。供給管140aは、合金微粒子製造用材料をプラズマトーチ内の熱プラズマ炎24中に噴出するための噴出ノズル機構を有しており、これにより、合金微粒子製造用材料をプラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中に噴出することができる。噴霧ガスとしてはアルゴン,窒素,水素等が単独または適宜組み合わせて用いられる。
一方、図1に示したように、チャンバ16がプラズマトーチ12の下方に隣接して設けられている。プラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中に噴霧された粉末材料は、蒸発して気相状態の合金を含む混合物になり、その直後にこの合金を含む混合物がチャンバ16内で急冷され、1次合金微粒子15が生成される。つまり、チャンバ16は冷却槽としての機能を有する。
また、ここでは、合金微粒子をより一層効率的に製造する方法の一つとして、上記気相状態の混合物を急冷するための気体供給装置28を備えている。以下、この気体供給装置28について説明する。
図1,図3に示す気体供給装置28は、熱プラズマ炎24の尾部(プラズマガス供給口12cと反対側の熱プラズマ炎の端、つまり、熱プラズマ炎の終端部)に向かって、所定の角度で気体を射出する気体射出口28aと、チャンバ16の側壁に沿って上方から下方に向かって気体を射出する気体射出口28bと、チャンバ16内に供給する気体に押し出し圧力をかけるコンプレッサ28cと、チャンバ16内に供給する上記気体の供給源28dと、それらを接続する管28eとから構成されている。なお、コンプレッサ28cは、ブロアでもよい。
なお、上記気体射出口28aから射出する気体は、後に詳述するように、チャンバ16内で生成される1次合金微粒子15を急冷する作用以外にも、気体射出口28bから射出する気体とともに、サイクロン19における1次合金微粒子15の分級に寄与する等の付加的作用を有するものである。
上述のコンプレッサ28cと気体供給源28dは、管28eを介してチャンバ16の天板17に接続されている。
ここで、上記気体射出口28bは、気体供給装置28の外側部天板部品17b内に形成されたスリットであり、生成した1次合金微粒子15がチャンバ16の内壁部に付着するのを防止するとともに、1次合金微粒子15を下流のサイクロン19で任意の分級点で分級できる流速を与えられる量の気体を射出できることが好ましい。上記気体射出口28bからは、チャンバ16の内壁に沿って上方から下方に向かって気体が射出される。
気体供給源28d(図1および図3参照)から矢印Sに示されるように管28eを介して天板17(詳しくは、外側部天板部品17bおよび上部外側部天板部品17c)内に供給された気体は、ここに設けられた通気路を介して気体射出口28bから(後述するように、気体射出口28aからも)射出される。
材料供給装置140からプラズマトーチ12内に射出された合金微粒子製造用材料は、熱プラズマ炎24中で反応して蒸発した気相状態の合金を含む混合物となる。そして、この気相状態の合金を含む混合物は、上記気体射出口28aから射出される(矢印Q参照)気体によりチャンバ16内で急冷され、1次合金微粒子15が生成される。この際、気体射出口28bから射出される(矢印R参照)気体により、1次合金微粒子15がチャンバ16の内壁に付着することが防止される。
チャンバ16の側方下部には、生成された1次合金微粒子15を所望の粒径で分級するためのサイクロン19が設けられている。このサイクロン19は、図4に示すように、チャンバ16から1次合金微粒子15を供給する入口管19aと、この入口管19aと接続され、サイクロン19の上部に位置する円筒形状の外筒19bと、この外筒19b下部から下側に向かって連続し、かつ、径が漸減する円錐部19cと、この円錐部19c下側に接続され、上述の所望の粒径以上の粒径を有する粗大粒子を回収する粗大粒子回収チャンバ19dと、後に詳述する回収部20に接続され、外筒19bに突設される内管19eとを備えている。
入口管19aから、チャンバ16内にて生成された1次合金微粒子15を含んだ気流が、外筒19b内周壁に沿って吹き込まれ、これにより、この気流が図4中に矢印Tで示すように外筒19bの内周壁から円錐部19c方向に向かって流れることで、旋回する下降流が形成される。
そして、上述の旋回する下降流は、円錐部19c内周壁でさらに加速され、その後反転し、上昇流となって内管19eから系外に排出される。また、気流の一部は、粗大粒子回収チャンバ19dに流入する前に円錐部19cで反転し、内管19eから系外に排出される。粒子には、旋回流により遠心力が与えられ、遠心力と抗力とのバランスにより、粗大粒子は壁方向に移動する。また、気流から分離した粒子は、円錐部19c側面に沿って下降し、粗大粒子回収チャンバ19dで回収される。ここで、十分に遠心力が与えられない合金微粒子は、円錐部19c内周壁での反転気流とともに、系外へ排出される。
また、内管19eを通して、後に詳述する回収部20から負圧(吸引力)が生じるようになっている。そして、この負圧(吸引力)によって、上述の旋回する気流から分離された合金微粒子が、図4中の矢印Uで示すように吸引され、内管19eを通して回収部20に送られるようになっている。
サイクロン19内の気流の出口である内管19eの延長上には、2次合金微粒子18を回収する回収部20が設けられている。この回収部20は、回収室20aと、回収室20a内に設けられたフィルター20bと、回収室20a内下方に設けられた管を介して接続された真空ポンプ(図示せず)とを備えている。サイクロン19から送られた合金微粒子は、真空ポンプ(図示せず)で吸引されることにより、回収室20a内に引き込まれ、フィルター20bの表面で留まった状態にされて回収される。
なお、プラズマトーチ12内に射出された合金微粒子製造用材料が熱プラズマ炎24中で気相状態になる必要があるため、熱プラズマ炎24の温度は、合金微粒子製造用材料の沸点よりも高いことが必要である。一方、熱プラズマ炎24の温度が高いほど、容易に原材料が気相状態となるので好ましいが、特に温度は限定されず、原材料に応じて温度を適宜選択してよい。例えば、熱プラズマ炎24の温度を6000℃とすることもできるし、理論上は、10000℃程度に達するものと考えられる。
また、プラズマトーチ12内における圧力雰囲気は、大気圧以下であることが好ましい。ここで、大気圧以下の雰囲気については、特に限定されないが、例えば5Torr〜750Torrとすることが考えられる。
次に、熱プラズマ炎24中で合金微粒子製造用材料が蒸発し気相状態となった合金を含む混合物を、チャンバ16内で急冷することにより、1次合金微粒子15が生成される。詳しくは、熱プラズマ24中で気相状態となった合金を含む混合物が、気体射出口28aを介して矢印Qで示される方向に射出される気体によって急冷され、1次合金微粒子15が生成される。
従って、上記気体射出口28aから射出される気体の量は、1次合金微粒子を生成する過程において、前記合金微粒子製造用材料を蒸発させ気相状態の混合物とした後、この混合物を急冷するに十分な供給量であることが必要であるが、これとともに、前記気体射出口28bから射出される気体の量、さらには、下記の熱プラズマ炎中に供給する気体の量と合わせて、1次合金微粒子15を下流のサイクロン19で任意の分級点で分級できる流速が得られ、かつ、熱プラズマ炎の安定を妨げない程度の量であることが好ましい。
なお、上述の気体射出口28aから射出される気体の量と気体射出口28bから射出される気体の量とを合わせた射出量は、上記熱プラズマ炎中に供給する気体の200%〜5000%とするのがよい。ここで、上述の熱プラズマ炎中に供給する気体とは、熱プラズマ炎を形成するシースガス,セントラルガスおよび微粒子製造用材料噴霧用ガス(噴霧ガスまたはキャリアガス)を合わせたものを指している。
また、熱プラズマ炎の安定を妨げない限り、上記射出される気体の供給方法や供給位置などは、特に限定されない。本実施形態に係る装置では、天板17に円周状のスリットを形成して気体を射出しているが、熱プラズマ炎からサイクロンまでの経路上で、確実に気体を供給可能な方法や位置であれば、他の方法,位置でも構わない。
最終的にチャンバ16内で生成した1次合金微粒子は、サイクロン19の入口管19aから、気流とともに外筒19bの内周壁に沿って吹き込まれ、これにより、この気流が図4中の矢印Tで示すような外筒19bの内周壁に沿って流れることにより、旋回流を形成して下降する。そして、この旋回流は円錐部19c内周壁でさらに加速され、その後反転し、上昇流となって、内管19eから系外に排出される。また、気流の一部は、粗大粒子回収チャンバ19dに流入する前に円錐部19c内周壁で反転し、内管19eから系外に排出される。
粒子には、旋回流により遠心力が与えられ、遠心力と抗力とのバランスにより、粗大粒子は壁方向に移動する。また、気流から分離された粒子は、円錐部19c側面に沿って下降し、粗大粒子回収チャンバ19dで回収される。ここで、十分に遠心力が与えられない合金微粒子は、円錐部19c内周壁での反転気流とともに、系外へ排出される。このときのサイクロン19内への気流の流速は、好ましくは、10m/s以上である。
一方、合金微粒子は、回収部20からの負圧(吸引力)によって、図4中の矢印Uで示すように吸引され、内管19eを通して回収部20に送られ、回収部20のフィルター20bで回収される。このときのサイクロン19内の内圧は、大気圧以下であることが好ましい。また、合金微粒子の粒径は、目的に応じて任意の粒径が規定される。
なお、本発明に係る合金微粒子の製造方法においては、微粒子の生成方法は、上記の方法に限定されず、いかなる方法を用いてもよい。
また、本発明に係る合金微粒子の製造方法においては、使用するサイクロンの個数は、1つに限定されず、2つ以上でもよい。
ここで、キャリアガスまたは噴霧ガスとしては、一般には、窒素,アルゴンまたは水素等の使用が考えられる。なお、キャリアガスまたは噴霧ガスは、必ずしも供給しなくてもよい。
本実施形態に係る製造方法により製造される合金微粒子は、その粒度分布幅が狭い、すなわち、均一な粒径を有し、1μm以上の粗大粒子の混入が殆んどなく、具体的には、その平均粒径が1〜100nmである。
また、本実施形態に係る製造方法では、ガスを供給し、装置内の流速を任意に制御することで、装置内に設けたサイクロンで合金微粒子を分級可能としている。また、これには、凝固した微粒子同士が衝突し凝集しないように希釈され、より微細な微粒子を生成する効果がある。そこで、本実施形態に係る製造方法では、反応条件を変えることなく、気体の流速、もしくはサイクロン内径を変えることで、任意の分級点で粗大粒子を分離できるため、粒径が微細かつ均一で、品質のよい高純度の合金微粒子を高い生産性で製造することが可能になる。
さらに、本実施形態に係る製造方法では、サイクロン内で旋回流を生じるため滞留時間が長くなり、サイクロン内で合金微粒子が冷却されるようになるので、これまで冷却機構として用いていたフィンや冷却路を設ける必要がなくなる。そのため、フィン内に堆積した微粒子除去のための装置の稼動を停止させる必要がなくなり、装置の稼動時間を長期化することが可能になる。さらに、サイクロン全体を水冷ジャケット構造とすることで、冷却効果をより一層高めることができる。
以下に、上記実施形態について、具体的実施例を説明する。
上記実施形態に係る合金微粒子の製造方法により、NiとWから構成される合金微粒子である、Ni−W合金微粒子を製造した。なお、ここでは、合金微粒子製造用材料となるNi粒子並びにWO粒子が、熱プラズマ炎中で容易に蒸発するように、粒径が50μm以下の粉末材料を使用した。
ここで、プラズマトーチ12の高周波発振用コイル12bには、約4MHz、約80kVAの高周波電圧を印加し、プラズマガス供給源22からはプラズマガスとしてアルゴンガス40リットル/min、水素10リットル/minの混合ガスを供給し、プラズマトーチ12内にアルゴン−水素熱プラズマ炎を発生させた。また、材料供給装置140の噴霧ガス供給源からは10リットル/minの噴霧ガスを供給した。
合金微粒子製造用材料となる粉末材料を、噴霧ガスであるアルゴンガスと共に、プラズマトーチ12内の熱プラズマ炎中に供給した。
また、気体供給装置28によって、チャンバ16内に供給される気体としては、アルゴンを使用した。このときのチャンバ内流速は5m/secで、供給量は、1m/minとした。
なお、サイクロン19内の圧力は50kPaとし、また、チャンバ16からサイクロン19への合金微粒子の供給速度は、10m/s(平均値)とした。
上記のような条件で生成されたNi−W合金微粒子の比表面積(1グラムあたりの表面積)から換算した粒子径は、50nmであった。また、生成されたNi−W合金微粒子の収率は、供給した粉末材料100gあたりに回収された前記合金微粒子の量が55gであったことから、55%であった。
図7に、本実施例において回収した合金微粒子の、X線回折法による結晶構造の解析結果を示す。
図7に示す例では、合金微粒子製造用材料としてのNi粒子とWO粒子との供給質量比率をNi:WO=80:25.2(これは、Ni:W=80:20に相当する)とした場合(a)に、結果として回収されたもの(b)には酸化物が含まれず、全ての粒子がNi−W合金になっていることを示しているものである。また、回収されたNi−W合金微粒子中におけるNiとWとの存在質量比率は、Ni:W=85:15であった。
〔比較例〕
以下に、上記実施形態に対する比較例を説明する。
図6は、合金微粒子製造用材料としてNi粒子とW粒子とを分散させて熱プラズマ炎中に供給して、合金微粒子製造用材料粒子を蒸発させ気相状態の合金を含む混合物とし、これを冷却後、回収した場合における、X線回折法による結晶構造の解析結果を示すものである。
図6に示す例は、合金微粒子製造用材料としてのNi粒子とW粒子との供給比率をNi:W=80:20とした場合(a)に、結果として回収されたもの(b)全ての粒子がNi−W合金になっていることを示しているものである。また、回収されたNi−W合金微粒子中におけるNiとWとの存在比率は、Ni:W=95:5であった。
つまり、原料に金属Wを用いた場合には、Ni−W合金微粒子中におけるWの含有量を増やすことは、この製造方法では困難であるということを示すものである。
図6の結果を、先に説明した図7に示す結果と比較すれば明らかなように、本実施例によれば、合金微粒子製造用材料としてNi粒子およびWO粒子を用いること、並びに、このNi粒子およびWO粒子を反応させるために熱プラズマを用いることにより、Ni−W合金微粒子中におけるWの含有量をほぼ3倍に増やすことができたという顕著な効果が得られたものである。
すなわち、図6に示す従来の方法では、合金微粒子製造用材料としてのNi粒子とW粒子との供給質量比率をNi:W=80:20とした場合(a)に、得られる合金微粒子中におけるNi粒子とW粒子との存在質量比率がNi:W=95:5になってしまった(b)のに対して、本実施例に示す方法(図7参照)では、合金微粒子製造用材料としてのNi粒子とWO粒子との供給質量比率をNi:WO=80:25.2(Ni:W=80:20)とした場合(a)に、得られる合金微粒子中におけるNi粒子とW粒子との存在質量比率がNi:W=85:15となり、Ni−W合金微粒子中におけるWの含有量を所望の値にすることが可能となる。
より具体的には、積層セラミックコンデンサの内部電極層を構成する導電材の融点を上昇させるために有効な、NiとWとの合金を用いる導電材の融点を所望の値にすることが可能であるNi−W合金微粒子の製造方法を実現することができる。
上記Ni−W合金微粒子中におけるWの存在比率と、この合金のNiの結晶面(111)のピークシフトとの関係の一例を、図8に示す。
図8からも明らかなように、本実施例に示されるような方法によれば、Ni−W合金微粒子中におけるWの存在比率を広範囲に変更することが可能であり、Wの存在質量比率が30%と高い場合でも、全ての粒子をNi−W合金にすることができる。これを用いて、Ni−W合金微粒子の融点を任意の値に調整することが可能になり、積層セラミックコンデンサの内部電極層を構成する導電材の特性を所望の値に調製することが可能になる。
また、図6,図7に示した結果をより明確にしたものを図9に示す。
図9に示すのは、Ni−W合金微粒子製造用材料としてのW源として、金属Wを用いた場合と、その酸化物であるWOを用いた場合における、原料中のW濃度とこれらから製造されたNi−W合金中のW濃度との関係の一例を示すものである。
図9からも明らかなように、W源として酸化物であるWOを用いた場合には、金属Wを用いた場合に比較して、略3倍量のWを製造されたNi−W合金微粒子中に存在させる(含有させる)ことができる。
このようにNi−W合金微粒子中に存在させる(含有させる)Wの量を増加させることにより、Ni−W合金の融点を上げることが可能になり、積層セラミックコンデンサの内部電極を形成する際などに極めて有効な効果が得られる。
上記実施例において用いた合金粒子の製造方法により、NiとWおよびCuから構成される合金微粒子である、Ni−W−Cu合金微粒子を製造した。なお、ここでは、合金微粒子製造用材料となるNi粒子,WO粒子並びにCu粒子が、熱プラズマ炎中で容易に蒸発するように、粒径が50μm以下の粉末材料を使用した。
ここで、プラズマトーチ12の高周波発振用コイル12bには、約4MHz、約80kVAの高周波電圧を印加し、プラズマガス供給源22からはプラズマガスとしてアルゴンガス40リットル/min、水素10リットル/minの混合ガスを供給し、プラズマトーチ12内にアルゴン−水素熱プラズマ炎を発生させた。また、材料供給装置140の噴霧ガス供給源からは、10リットル/minの噴霧ガスを供給した。
合金微粒子製造用材料となる粉末材料を、噴霧ガスであるアルゴンガスとともに、プラズマトーチ12内の熱プラズマ炎中に供給した。
また、気体供給装置28によってチャンバ16内に供給される気体としては、アルゴンを使用した。このときのチャンバ内流速は5m/secで、供給量は、1m/minとした。
なお、サイクロン19内の圧力は50kPaとし、また、チャンバ16からサイクロン19への合金微粒子の供給速度は、10m/s(平均値)とした。
上記のような条件で生成されたNi−W−Cu合金微粒子の比表面積(1グラムあたりの表面積)から換算した粒子径は、50nmであった。また、生成されたNi−W−Cu合金微粒子の収率は、供給した粉末材料100gあたりに回収された前記合金微粒子の量が50gであったことから、50%であった。
図10に、本実施例において回収した合金微粒子の、X線回折法による結晶構造の解析結果を示す。
図10に示す例では、合金微粒子製造用材料としてのNi粒子,WO粒子およびCu粒子の供給質量比率をNi:WO:Cu=80:18.9:5とした場合に、結果として回収されたものには、Ni−Wの場合と同様に酸化物が含まれず、全ての粒子がNi−W−Cu合金になっていることを示しているものである。また、回収されたNi−W−Cu合金微粒子中におけるNiとWおよびCuとの存在質量比率は、Ni:W:Cu=81:16:3であった。
上記実施例においては、先の実施例の場合(2成分系)に加えて、Cuという第3の成分を用いた例を示したが、ここで用いる第3の成分としては、Ag,Au,Al,Bi,Co,Cr,Cu,Fe,In,Mn,Mo,Nb,Pd,Pt,Sn,Ti,V,Znの各元素から選ばれる元素を含むことができる。
なお、第3の成分を用いる場合における各材料の混合比率に関しては、該当する成分についての相図を参照するのがよい。
ところで、先に、図3に示した気体射出口28aから射出する気体については、付加的な作用・効果が得られるものであるが、ここで、他の実施形態として追加説明しておくことにする。
前述の通り、本実施形態に係る微粒子製造装置は、気相状態の混合物を急冷することを主たる目的とする気体供給装置28を備えることを特徴としている。以下、この気体供給装置28について追加説明する。
図1,図3に示す気体供給装置28は、熱プラズマ炎24の尾部に向かって、前述のような所定の角度で気体を射出する気体射出口28aと、チャンバ16の側壁に沿って上方から下方に向かって気体を射出する気体射出口28bと、チャンバ16内に供給される気体に押し出し圧力をかけるコンプレッサ28cと、チャンバ16内に供給される上記気体の供給源28dと、それらを接続する管28eとから構成されている。
なお、コンプレッサ28cと気体供給源28dは、管28eを介してチャンバ16の天板17に接続されている。ここで、熱プラズマ炎の尾部とは、プラズマガス供給口12cと反対側の熱プラズマ炎の端、つまり、熱プラズマ炎の終端部である。
図3に示すように、気体射出口28aと気体射出口28bとは、チャンバ16の天板17に形成されている。ここで、天板17は、円錐台形状で上側の一部が円柱である内側部天板部品17aと、円錐台形状の孔を有する外側部天板部品17bと、内側部天板部品17aを垂直に移動させる移動機構を有する上部外側部天板部品17cとを含み構成されている。
ここで、内側部天板部品17aと上部外側部天板部品17cとが接する部分(内側部天板部品17aでは上部の円柱部分)にはネジが切ってあり、内側部天板部品17aが、回転することで垂直方向に位置を変えることができ、内側部天板部品17aは、外側部天板部品17bとの距離を調節できる。また、内側部天板部品17aの円錐部分の勾配と、外側部天板部品17bが有する孔の円錐部分の勾配は同一であり、お互いがかみ合う構造になっている。
また、気体射出口28aとは、内側部天板部品17aと外側部天板部品17bとが形成した間隙、つまり、スリット幅が調節可能であって、天板と同心である円周状に形成されたスリットである。ここで、気体射出口28aは、熱プラズマ炎24の尾部に向かって気体を射出することができる形状であればよく、上述のようなスリット形状に限定されるものではなく、例えば、円周上に多数の孔を配したものでもよい。
また、上部外側部天板部品17cの内部には、管28eを介して送られる気体が通過するための通気路17dが設けられる。上記気体は、通気路17dを通過し、上述した内側部天板部品17aと外側部天板部品17bとが形成するスリットである気体射出口28aに送られる。気体射出口28aに送られた気体は、図1および図3中の矢印Qで示される方向に、熱プラズマ炎の尾部(終端部)に向かって、前述のように、所定の供給量および所定の角度で射出される。
ここで、上記所定の供給量について説明する。前述のように(段落0056参照)、前記気相状態の混合物を急冷するのに十分な供給量とは、例えば、前記気相状態の混合物を急冷するのに必要な空間を形成するチャンバ内に供給する気体のチャンバ16内における平均流速(チャンバ内流速)を、0.001〜60m/secとすることが好ましく、0.5〜10m/secとすることがより好ましい。これは、熱プラズマ炎24中に噴霧され蒸発した気相状態の混合物を急冷し合金微粒子を生成させ、生成した合金微粒子同士の衝突による凝集を防止するのに十分な気体の供給量である。
なお、この供給量は、気相状態の混合物を急冷して凝固させるのに十分な量であり、また、凝固し生成した直後の合金微粒子同士が衝突することで凝集しないように気相状態の混合物を希釈するのに十分な量である必要があり、チャンバ16の形状や大きさによりその値を適宜定めるのがよい。
ただし、この供給量は、熱プラズマ炎の安定を妨げることのないように制御されることが好ましい。
なお、上記実施形態並びに実施例は、本発明の一例を示したものであり、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更や改良を行ってもよいことはいうまでもない。
本発明の一実施形態に係る合金微粒子の製造方法を実施するための微粒子製造装置の全体構成を示す模式図である。 図1中のプラズマトーチ付近を拡大して示す断面図である。 図1中のチャンバの天板およびこの天板に備えられた気体射出口付近を拡大して示す断面図である。 図1中のサイクロンを拡大して示す断面図である。 粉末材料を使用する場合の材料供給装置の概略構成を示す断面図である。 従来の合金微粒子製造方法(比較例)における、X線回折法による結晶構造の解析結果を示す図である。 本発明の一実施例における、X線回折法による結晶構造の解析結果を示す図である。 一実施例における、Wの存在比率と、製造されるNi−W合金のNiの結晶面ピークとの関係の一例を示すグラフである。 一実施例における、製造時のW源として金属Wを用いた場合とWOを用いた場合との、Ni−W合金中のWの存在比率の比較結果を示すグラフである。 本発明の他の実施例における、X線回折法による結晶構造の解析結果を示す図である。
符号の説明
10 微粒子製造装置
12 プラズマトーチ
12a 石英管
12b 高周波発振用コイル
12c プラズマガス供給口
15 1次合金微粒子
16 チャンバ
17 天板
17a 内側部天板部品
17b 外側部天板部品
17c 上部外側部天板部品
17d 通気路
18 微粒子(2次合金微粒子)
19 サイクロン
19a 入口管
19b 外筒
19c 円錐部
19d 粗大粒子回収チャンバ
19e 内管
20 回収部
20a 回収室
20b フィルター
20c 管
22 プラズマガス供給源
24 熱プラズマ炎
26 管
28 気体供給装置
28a 気体射出口
28b 気体射出口
28c コンプレッサ
28d 気体供給源
28e 管
140 材料供給装置
140a 供給管
142 貯蔵槽
144 粉末材料
146 攪拌軸
148 攪拌羽根
150a、150b オイルシール
152a、152b 軸受け
154a、154b モータ
160 スクリューフィーダ
162 スクリュー
164 軸
166 ケーシング
170 分散部
172 外管
174 粉体分散室
176 回転ブラシ
178 気体供給口
180 気体通路
182 搬送管

Claims (3)

  1. 合金微粒子製造用材料としてのニッケルを主成分とする一種以上の粒子および酸化タングステン粒子を分散させて熱プラズマ炎中に供給し、
    前記合金微粒子製造用材料粒子を蒸発させ気相状態の合金を含む混合物とし、
    この混合物を冷却し任意に規定される粒径での分級を実施することにより前記混合物中から平均粒径が1〜100nmのニッケル−タングステン系合金微粒子を回収する
    ことを特徴とするニッケル−タングステン系合金微粒子の製造方法。
  2. 前記ニッケルを主成分とする一種以上の粒子は、Ag,Au,Al,Bi,Co,Cr,Cu,Fe,In,Mn,Mo,Nb,Pd,Pt,Sn,Ti,V,Znの各元素から選ばれる元素を含むものである請求項1に記載のニッケル−タングステン系合金微粒子の製造方法。
  3. 合金微粒子製造用材料としてのニッケル粒子および酸化タングステン粒子を分散させて熱プラズマ炎中に供給し、
    前記合金微粒子製造用材料粒子を蒸発させ気相状態の合金を含む混合物とし、
    この混合物を冷却し任意に規定される粒径での分級を実施することにより前記混合物中から平均粒径が1〜100nmのニッケル−タングステン合金微粒子を回収する
    ことを特徴とするニッケル−タングステン合金微粒子の製造方法。
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