JP6817493B2 - 一本鎖rnaの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、一本鎖RNAの製造方法に関する。
本願は、2018年3月30日に、日本に出願された特願2018−069560号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
遺伝子の発現を抑制可能な核酸分子として、特許文献1では、核酸化合物が報告されている。かかる核酸としては、核酸化合物のリンカー部分にアミノ酸構造を有するものも知られている。また、これらの核酸化合物は、生体内で分解され難く高い生体安定性を有しており、免疫応答を回避できるという特性を持っている。
かかる優れた特性を有する核酸化合物は、約50塩基程度の長い鎖長のため、合成方法においてより簡便な方法が求められている。
国際公開第2012/017919号
本発明は、一本鎖RNAの簡便な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、20塩基長程度の3つのRNAを合成した後に、ある種のRNAリガーゼを用いてライゲーションを行うことで、50塩基長以上の一本鎖RNAを容易に製造することができるという知見を得た。
さらに、前記3本の一本鎖RNAのうちの第一と第二の2本からなる一本鎖のRNAと第三のRNAとをある種のRNAリガーゼを用いてライゲーションを行うことにより、目的とする50塩基長以上の一本鎖RNAを容易に製造することができることを見出した。
本発明は、これら知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものであり、次の一本鎖RNAの製造方法を提供するものである。
[1]5’末端にリン酸基を有する第1の一本鎖RNA及び第2の一本鎖RNAと5’末端に水酸基を有する第3の一本鎖RNAに、国際生化学・分子生物学連合が酵素番号として定めるEC6.5.1.3に分類され、ニック修復活性を有するRNAリガーゼを作用させ、前記第1の一本鎖RNAと、前記第2の一本鎖RNAと、前記第3の一本鎖RNAとを連結する工程を含む一本鎖RNAの製造方法であって、
a)前記第1の一本鎖RNAが、5’末端側から順に、X1領域、W1領域、Lwリンカー領域及びW2領域からなる一本鎖RNAであり、
b)前記第2の一本鎖RNAが、5’末端側から順に、Z2領域、Lzリンカー領域、Z1領域及びY1領域からなる一本鎖RNAであり、
c)前記第3の一本鎖RNAが、5’末端側から順に、X2領域及びY2領域からなる一本鎖RNAであり、
d)前記X1領域と前記X2領域とが、互いに相補的な、2以上の同数のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含み、
e)前記Y1領域と前記Y2領域とが、互いに相補的な、2以上の同数のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含み、
f)前記Z1領域と前記Z2領域とが、互いに相補的な、1以上の同数のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含み、
g)前記W1領域及び前記W2領域が、それぞれ独立に、任意の数のヌクレオチド配列を含み、
h)前記Lzリンカー領域及び前記Lwリンカー領域が、それぞれ独立に、アミノ酸から誘導される原子団を有するリンカー領域であり、
i)前記第1の一本鎖RNAと、前記第2の一本鎖RNAと、前記第3の一本鎖RNAとの連結により生成する一本鎖RNAが、5’末端側から順に、前記X2領域、前記Y2領域、前記Z2領域、前記Lzリンカー領域、前記Z1領域、前記Y1領域、前記X1領域、前記W1領域、前記Lwリンカー領域及び前記W2領域からなる連結一本鎖RNAである、
製造方法。
[2]前記Lzリンカー領域が、下記式(I)で表される二価の基である、[1]に記載の製造方法。
Figure 0006817493
(式中、Y11及びY21は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、Y12及びY22は、それぞれ独立して、水素原子、又はアミノ基で置換されていてもよいアルキル基を表すか、或いはY12とY22とがその末端で互いに結合し炭素数3〜4のアルキレン基を表し、
11に結合している末端の酸素原子は、前記Z1領域及び前記Z2領域のいずれか一方の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合しており、
21に結合している末端の酸素原子は、前記Z2領域又は前記Z1領域の前記Y11とは結合していない他方の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合している。)
[3]前記Lzリンカー領域が、下記式(I)で表される二価の基であり、前記Lwリンカー領域が、下記式(I’)で表される二価の基である、[2]に記載の製造方法。
Figure 0006817493

(式中、Y11及びY21は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、Y12及びY22は、それぞれ独立して、水素原子、又はアミノ基で置換されていてもよいアルキル基を表すか、或いはY12とY22とがその末端で互いに結合して炭素数3〜4のアルキレン基を表し、
11に結合している末端の酸素原子は、前記Z1領域および前記Z2領域のいずれか一方の領域の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合しており、
21に結合している末端の酸素原子は、前記Z2領域および前記Z1領域のY11とは結合していない他方の領域の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合している。)
Figure 0006817493
(式中、Y’11及びY’21は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、Y’12及びY’22は、それぞれ独立して、水素原子、又はアミノ基で置換されていてもよいアルキル基を表すか、或いはY’12とY’22とがその末端で互いに結合し炭素数3〜4のアルキレン基を表し、
Y’11に結合している末端の酸素原子は、前記W1領域及び前記W2領域の何れか一方の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合しており、
Y’21に結合している末端の酸素原子は、前記W2領域又は前記W1領域のY’11とは結合していない他方の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合している。)
[4]前記式(I)で表される二価の基が、下記式(II−A)又は(II−B)で表される二価の基である、[2]又は[3]に記載の製造方法。
Figure 0006817493
(式中、n及びmは、それぞれ独立して、1から20の何れかの整数を表す。)
[5]前記式(I’)で表される二価の基が、下記式(II−A)又は(II−B)で表される二価の基である、[3]又は[4]に記載の製造方法。
Figure 0006817493
(式中、n及びmは、それぞれ独立して、1から20の何れかの整数を表す。)
[6]前記W1領域、前記X1領域、前記Y1領域及び前記Z1領域からなる領域、並びに前記X2領域、前記Y2領域及び前記Z2領域からなる領域の少なくとも一方に、遺伝子の発現を抑制するヌクレオチド配列を含む、[1]〜[5]のいずれか一つに記載の製造方法。
[7]前記第1の一本鎖RNAと前記第2のRNA鎖から生成する一本鎖RNAであって、5’末端側から順に、前記Z2領域、前記Lzリンカー領域、前記Z1領域、前記Y1領域、前記X1領域、前記W1領域、前記Lwリンカー領域及び前記W2領域からなる一本鎖RNAを、前記第3のRNAと反応させる、[1]]〜[6]のいずれか一つに記載の製造方法。
[8]前記第2の一本鎖RNAと前記第3のRNA鎖から生成する一本鎖RNAであって、5’末端側から順に、前記X2領域、前記Y2領域、前記Z2領域、前記Lzリンカー領域、前記Z1領域及び前記Y1領域からなる一本鎖RNAを、前記第1のRNAと反応させる、[1]]〜[6]のいずれか一つに記載の製造方法。
[9]5’末端にリン酸基を有する第1の一本鎖RNA及び第2の一本鎖RNAに、国際生化学・分子生物学連合が酵素番号として定めるEC6.5.1.3に分類され、ニック修復活性を有するRNAリガーゼを作用させ、前記第1の一本鎖RNAと前記第2の一本鎖RNAとを連結する工程を含む一本鎖RNAの製造方法であって、
a)前記第1の一本鎖RNAが、5’末端側から順に、Y2a領域、Lzリンカー領域、Y1a領域、X1a領域、W1a領域、Lwリンカー領域及びW2a領域からなる一本鎖RNAであり、
b)前記第2の一本鎖RNAが、X2a領域からなる一本鎖RNAであり、
c)前記X1a領域と前記X2a領域とが、互いに相補的な、4以上の同数のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含み、
d)前記Y1a領域と前記Y2a領域とが、互いに相補的な、1以上の同数のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含み、
e)前記W1a領域及びW前記2a領域が、それぞれ独立に、任意の数のヌクレオチド配列を含み、
f)前記Lwリンカー領域及び前記Lzリンカー領域が、それぞれ独立に、アミノ酸から誘導される原子団を有するリンカー領域であり、
g)前記第1の一本鎖RNAと前記第2の一本鎖RNAとの連結により生成する一本鎖RNAが、5’末端側から順に、前記X2a領域、前記Y2a領域、前記Lzリンカー領域、前記Y1a領域、前記X1a領域、前記W1a領域、前記Lwリンカー領域及び前記W2a領域からなる連結一本鎖RNAである、
製造方法。
[10]前記Lzリンカー領域が下記式(I)で表される二価の基である、[9]に記載の製造方法。
Figure 0006817493
(式中、Y11及びY21は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、Y12及びY22は、それぞれ独立して、水素原子、又はアミノ基で置換されていてもよいアルキル基を表すか、或いはY12とY22とがその末端で互いに結合し炭素数3〜4のアルキレン基を表し、
11に結合している末端の酸素原子は、前記Y1a領域及び前記Y2a領域のいずれかの一方の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合しており、
21に結合している末端の酸素原子は、前記Y1a領域及び前記Y2a領域のY11とは結合していない他方の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合している。)
[11]前記Lzリンカー領域が、下記式(I)で表される二価の基であり、前記Lwリンカー領域が、下記式(I’)で表される二価の基である、[9]に記載の製造方法。
Figure 0006817493
(式中、Y11及びY21は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、Y12及びY22は、それぞれ独立して、水素原子、又はアミノ基で置換されていてもよいアルキル基を表すか、或いはY12とY22とがその末端で互いに結合して炭素数3〜4のアルキレン基を表し、
11に結合している末端の酸素原子は、前記Y1a領域および前記Y2a領域のいずれか一方の領域の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合しており、
21に結合している末端の酸素原子は、前記Y2a領域および前記Y1a領域のY11とは結合していない他方の領域の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合している。)
Figure 0006817493
(式中、Y’11及びY’21は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、Y’12及びY’22は、それぞれ独立して、水素原子、又はアミノ基で置換されていてもよいアルキル基を表すか、或いはY’12とY’22とがその末端で互いに結合し炭素数3〜4のアルキレン基を表し、
Y’11に結合している末端の酸素原子は、前記W1a領域および前記W2a領域のいずれか一方の領域の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合しており、
Y’21に結合している末端の酸素原子は、前記W2a領域および前記W1a領域のY’11とは結合していない他方の領域の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合している。)
[12]前記式(I)で表される二価の基が、式(II−A)又は(II−B)で表される二価の基である、[10]又は[11]に記載の製造方法。
Figure 0006817493
(式中、n及びmは、それぞれ独立して、1から20の何れかの整数を表す。)
[13]前記式(I’)で表される二価の基が、式(II−A)又は(II−B)で表される二価の基である、[11]又は[12]に記載の製造方法。
Figure 0006817493
(式中、n及びmは、それぞれ独立して、1から20の何れかの整数を表す。)
[14]前記Y1a領域、前記X1a領域及び前記W1a領域からなる領域、並びに前記X2a領域、前記Y2a領域からなる領域の少なくとも一方に、遺伝子の発現を抑制するヌクレオチド配列を含む、[9]〜[13]のいずれか一つに記載の製造方法。
[15]前記RNAリガーゼが、T4バクテリオファージ由来のT4 RNAリガーゼ2、KVP40由来のリガーゼ2、Trypanosoma brucei RNAリガーゼ、Deinococcus radiodurans RNAリガーゼ、またはLeishmaniatarentolae RNAリガーゼである、[1]〜[14]のいずれか一つに記載の製造方法。
[16]前記RNAリガーゼが、配列番号21、22、または23に記載のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるRNAリガーゼである、[1]〜[15]のいずれか一つに記載の製造方法。
[17]前記RNAリガーゼが、T4バクテリオファージ由来のT4 RNAリガーゼ2またはKVP40由来のRNAリガーゼ2である、[1]〜[15]のいずれか一つに記載の製造方法。[18]前記リガーゼが、T4バクテリオファージ由来のT4 RNAリガーゼ 2である、[1]〜[17]のいずれか一つに記載の製造方法。
本発明の方法によれば、一本鎖RNAの簡便な製造方法が提供される。
本発明の一実施形態にかかる第1〜第3の一本鎖RNAの一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態にかかる第1〜第3の一本鎖RNAの一例を示す模式図である。 実施例1及び2で使用した配列を示す図である。 実施例1で合成した連結一本鎖RNAを示す図である。 実施例1の液体クロマトグラフィーの結果を示す図である。 実施例2で合成した連結一本鎖RNAを示す図である。 実施例2の液体クロマトグラフィーの結果を示す図である。 本発明の一実施形態にかかる第1〜第2の一本鎖RNAの一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態にかかる第1〜第2の一本鎖RNAの一例を示す模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本明細書において「含む(comprise)」とは、「本質的にからなる(essentially consist of)」という意味と、「のみからなる(consist of)」という意味をも包含する。
本発明において「遺伝子」とは、特に言及しない限り、二本鎖DNA、一本鎖DNA(センス鎖又はアンチセンス鎖)、及びそれらの断片が含まれる。また、本発明において「遺伝子」とは、特に言及しない限り、調節領域、コード領域、エクソン、及びイントロンを区別することなく示すものとする。
本明細書において、ヌクレオチド数の数値範囲は、例えば、その範囲に属する正の整数を全て開示するものであり、具体例として、「1〜4ヌクレオチド」との記載は、「1ヌクレオチド」、「2ヌクレオチド」、「3ヌクレオチド」、および「4ヌクレオチド」の全ての開示を意味する。また、「1〜4塩基」との記載は、「1塩基」、「2塩基」、「3塩基」、および「4塩基」の全ての開示を意味する。本明細書において、「ヌクレオチド数」及び「塩基数」は、相互に互換的に、ヌクレオチド配列の長さを表す。
[第一の態様]
本発明の第一の態様に係る製造方法は、5’末端にリン酸基を有する第1の一本鎖RNA及び第2の一本鎖RNAと5’末端に水酸基を有する第3の一本鎖RNAに、国際生化学・分子生物学連合が酵素番号として定めるEC6.5.1.3に分類され、ニック修復活性を有するRNAリガーゼを作用させ、前記第1の一本鎖RNAと、前記第2の一本鎖RNAと、前記第3の一本鎖RNAとを連結する工程を含む一本鎖RNAの製造方法であって、
a)第1の一本鎖RNAが、5’末端側から順に、X1領域、W1領域、Lwリンカー領域及びW2領域からなる一本鎖RNAであり、
b)第2の一本鎖RNAが、5’末端側から順に、Z2領域、Lzリンカー領域、Z1領域及びY1領域からなる一本鎖RNAであり、
c)第3の一本鎖RNAが、5’末端側から順に、X2領域及びY2領域からなる一本鎖RNAであり、
d)前記X1領域と前記X2領域とが、互いに相補的な、2以上の同数のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含み、
e)前記Y1領域と前記Y2領域とが、互いに相補的な、2以上の同数のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含み、
f)前記Z1領域と前記Z2領域とが、互いに相補的な、1以上の同数のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含み、
g)前記W1領域及び前記W2領域が、それぞれ独立に、任意の数のヌクレオチド配列を含み、
h)前記Lzリンカー領域及び前記Lwリンカー領域が、それぞれ独立に、アミノ酸から誘導される原子団を有するリンカー領域であり、
i)前記第1の一本鎖RNAと、前記第2の一本鎖RNAと、前記第3の一本鎖RNAとの連結により生成する一本鎖RNAが、5’末端側から順に、前記X2領域、前記Y2領域、前記Z2領域、前記Lzリンカー領域、前記Z1領域、前記Y1領域、前記X1領域、前記W1領域、前記Lwリンカー領域及び前記W2領域からなる連結一本鎖RNAであることを特徴とする。
この態様は、前記第1の一本鎖RNAと前記第2のRNA鎖から生成する一本鎖RNAであって、5’末端側から順に、前記Z2領域、前記Lzリンカー領域、前記Z1領域、前記Y1領域、前記X1領域、前記W1領域、前記Lwリンカー領域及び前記W2領域からなる一本鎖RNAを、前記第3のRNAと反応させる形態あるいは、前記第2の一本鎖RNAと前記第3のRNA鎖から生成する一本鎖RNAであって、5’末端側から順に、前記X2領域、前記Y2領域、前記Z2領域、前記Lzリンカー領域、前記Z1領域、前記Y1領域からなる一本鎖RNAを、前記第1のRNAと反応させる形態で実施することができる。
本態様にかかる製造方法により生成される連結一本鎖RNAについては、国際公開第2012/005368号、国際公開第2012/017919号、国際公開第2013/103146号などを参照することができる。
本態様にかかる製造方法で用いる第1の一本鎖RNAの塩基数(Lwリンカー領域は除く)は、特に制限されず、下限は、例えば4塩基であり、好ましくは8塩基であり、上限は、例えば160塩基であり、好ましくは30塩基である。第1の一本鎖RNAの塩基数の範囲としては、例えば、4〜160塩基が挙げられ、好ましくは8〜30塩基が例示される。
本態様にかかる製造方法で用いる第2の一本鎖RNAの塩基数(Lzリンカー領域は除く)は、特に制限されず、下限は、例えば6塩基であり、好ましくは8塩基であり、上限は、例えば150塩基であり、好ましくは30塩基である。第2の一本鎖RNAの塩基数の範囲としては、例えば、6〜150塩基が挙げられ、好ましくは8〜30塩基が例示される。
本態様にかかる製造方法で用いる第3の一本鎖RNAの塩基数は、特に制限されず、下限は、例えば4塩基であり、好ましくは8塩基であり、上限は、例えば160塩基であり、好ましくは30塩基である。第3の一本鎖RNAの塩基数の範囲としては、例えば、4〜160塩基が挙げられ、好ましくは8〜30塩基が例示される。
X1領域とX2領域とは、互いに相補的なヌクレオチド配列を含む。当該相補的なヌクレオチド配列の塩基数は、下限は2塩基であり、好ましくは4塩基であり、上限は、例えば150塩基であり、好ましくは24塩基である。当該相補的なヌクレオチド配列の塩基数の範囲としては、例えば、2〜150塩基が挙げられ、好ましくは4〜24塩基が例示される。
Y1領域とY2領域とは、互いに相補的なヌクレオチド配列を含む。当該相補的なヌクレオチド配列の塩基数は、下限は2塩基であり、好ましくは4塩基であり、上限は、例えば100塩基であり、好ましくは30塩基である。当該相補的なヌクレオチド配列の塩基数の範囲としては、例えば、2〜100塩基が挙げられ、好ましくは4〜30塩基が例示される。
Z1領域とZ2領域とは、互いに相補的なヌクレオチド配列を含む。当該相補的なヌクレオチド配列の塩基数は、下限は1塩基、好ましくは2塩基、より好ましくは4塩基であり、上限は、例えば100塩基であり、好ましくは30塩基である。当該相補的なヌクレオチド配列の塩基数の範囲としては、例えば、1〜100塩基が挙げられ、好ましくは2〜30塩基が例示され、より好ましくは4〜30塩基が例示される。
W1領域及びW2領域のそれぞれが含むヌクレオチド配列の塩基数は、特に制限されず、下限は、例えば1塩基であり、好ましくは4塩基であり、上限は、例えば100塩基であり、好ましくは10塩基である。前記ヌクレオチド配列の塩基数の範囲としては、例えば、1〜100塩基が挙げられ、好ましくは4〜10塩基が例示される。
本態様にかかる製造方法により製造される一本鎖RNAの塩基数(リンカー領域は除く)は、特に制限されず、下限は、例えば38塩基であり、好ましくは42塩基であり、上限は、例えば300塩基であり、好ましくは80塩基である。前記一本鎖RNAの塩基数の範囲としては、例えば、38〜300塩基が挙げられ、好ましくは42〜80塩基が例示される。
本態様にかかる製造方法により製造される一本鎖RNAは、Z1領域、Y1領域、X1領域及びW1領域からなる領域(A1領域)、並びにX2領域、Y2領域及びZ2領域からなる領域(B1領域)の少なくとも一方に、遺伝子の発現を抑制するヌクレオチド配列を含むことが望ましい。遺伝子の発現を抑制する方法としては、特に制限されず、好ましくはRNA干渉法である。
RNA干渉(RNAi)とは、標的遺伝子のmRNA配列の少なくとも一部と同一の配列からなるセンスRNA及びこれと相補的な配列からなるアンチセンスRNAからなる二本鎖RNAを細胞内に導入することにより、標的遺伝子のmRNAが分解され、その結果タンパク質への翻訳阻害を誘導し、標的遺伝子の発現が阻害される現象をいう。RNA干渉の機構の詳細については未だに不明な部分もあるが、DICERといわれる酵素(RNase III核酸分解酵素ファミリーの一種)が二本鎖RNAと接触し、二本鎖RNAがsiRNAと呼ばれる小さな断片に分解されるのが主な機構と考えられている。
標的となる遺伝子は、特に制限されず、所望の遺伝子を適宜選択することができる。標的となる遺伝子の発現を抑制するヌクレオチド配列は、遺伝子発現を抑制可能な配列である限り特に制限されず、公知のデータベース(例えば、GenBankなど)等に登録されている標的遺伝子の配列情報を基に常法により設計することが可能である。当該ヌクレオチド配列は、標的となる遺伝子の所定の領域に対して、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上、最も好ましくは100%の同一性を有する。
RNA干渉により、標的遺伝子の発現を抑制するヌクレオチド配列としては、例えば、標的遺伝子のmRNA配列の少なくとも一部と同一の配列からなるセンスRNAを用いることができる。RNA干渉により、標的遺伝子の発現を抑制するヌクレオチド配列の塩基数は、特に制限されず、例えば19〜30塩基であり、好ましくは19〜21塩基である。
A1領域およびB1領域のいずれか一方または両者は、同じ標的遺伝子に対する同一の発現抑制配列を2つ以上有してもよいし、同じ標的に対する異なる発現抑制配列を2つ以上有してもよいし、異なる標的遺伝子に対する異なる発現抑制配列を2つ以上有してもよい。A1領域が、2つ以上の発現抑制配列を有する場合、各発現抑制配列の配置箇所は、特に制限されず、X1領域、Y1領域およびZ1領域のいずれか一領域または二領域以上でもよいし、二領域以上に架かる領域であってもよい。B1領域が、2つ以上の発現抑制配列を有する場合、各発現抑制配列の配置箇所は、X2領域、Y2領域およびZ2領域のいずれか一領域または二領域以上でもよいし、二領域以上に架かる領域であってもよい。発現抑制配列は、標的遺伝子の所定領域に対して、90%以上の相補性を有していることが好ましく、より好ましくは95%であり、さらに好ましくは98%であり、特に好ましくは100%である。
かかる連結一本鎖RNAは、5’末端にリン酸基を有する第1の一本鎖RNA及び第2の一本鎖RNAと5’末端に水酸基を有する第3の一本鎖RNAにリガーゼを作用させ、前記第1の一本鎖RNAと前記第2の一本鎖と前記第3の一本鎖とを連結する工程で製造される(図1参照)。
連結一本鎖RNAは、分子内において相補性のある配列部分が並び、分子内で部分的に二重鎖を形成しうる。連結一本鎖RNA分子は、図1に示すように、X1領域とX2領域とが互いに相補性を有するヌクレオチド配列を含み、さらにY1領域とY2領域が互いに相補性を有するヌクレオチド配列を含み、さらにZ1領域とZ2領域とが互いに相補性を有するヌクレオチド配列を含み、これらの相補性を有する配列との間で、二重鎖が形成され、LwおよびLzのリンカー領域が、その長さに応じてループ構造をとる。図1は、あくまでも、前記領域の連結順序および二重鎖部を形成する各領域の位置関係を示すものであり、例えば、各領域の長さ、リンカー領域(LwおよびLz)の形状等は、これらに限定されない。
Z1領域、Y1領域、X1領域及びW1領域からなるA1領域およびX2領域とY2領域とからなるB領域の少なくとも一方が、RNA干渉により標的遺伝子の発現を抑制する配列を少なくとも一つ含んでいてもよい。例えば、A1領域に標的遺伝子のmRNA配列の少なくとも一部と同一の配列からなるセンスRNA配列を含み、B1領域に前記センスRNAと相補的なアンチセンスRNA配列を含んでいてもよい。あるいは、例えば、B1領域に標的遺伝子のmRNA配列の少なくとも一部と同一の配列からなるセンスRNA配列を含み、A1領域に前記センスRNAと相補的なアンチセンスRNA配列を含んでいてもよい。
本態様にかかる製造方法により製造される一本鎖RNAは、リボヌクレオチドのみからなるものであってもよく、デオキシヌクレオチド、非ヌクレオチドなどを含むものであってもよく、さらには、リボヌクレオチド中のホスホロジエステル結合の酸素原子が一部硫黄原子に置換されたホスホロチオエステル結合を含むものであってもよい。本態様にかかる製造方法により製造される一本鎖RNAは、好ましくはリボヌクレオチドのみから構成されるものである。
Lzリンカー領域及びLwリンカー領域は、それぞれ独立に、アミノ酸から誘導される原子団を有するリンカー領域であり、ここでのアミノ酸は天然アミノ酸及び人工アミノ酸のいずれであってもよく、また、置換基又は保護基を有するものであってもよい。
Lzリンカー領域としては、例えば、下記式(I)で表される二価の基が挙げられる。
Figure 0006817493
(式中、Y11及びY21は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、Y12及びY22は、それぞれ独立して、水素原子、又はアミノ基で置換されていてもよいアルキル基を表すか、或いはY12とY22とがその末端で互いに結合し炭素数3〜4のアルキレン基を表し、
11に結合している末端の酸素原子は、Z1領域及びZ2領域のいずれか一方の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合しており、
21に結合している末端の酸素原子は、Z2領域及びZ1領域のY11とは結合していない他方の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合している。)
また、Lwリンカー領域としては、下記式(I’)で表される二価の基が挙げられる。
Figure 0006817493
(式中、Y’11及びY’21は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、Y’12及びY’22は、それぞれ独立して、水素原子又はアミノ基で置換されていてもよいアルキル基を表すか、或いはY’12とY’22とがその末端で互いに結合し炭素数3〜4のアルキレン基を表し、
リンカーLw領域のY’11に結合している末端の酸素原子は、W1領域及びW2領域の何れか一方の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合しており、
Y’21に結合している末端の酸素原子は、W2領域及びW1領域のY’11とは結合していない他方の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合している。)
前記炭素数1〜20のアルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、好ましくは炭素数4〜6のアルキレン基である。前記アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、及びヘキシレン基等が挙げられる。
前記アミノ基で置換されていてもよいアルキル基におけるアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基である。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロビル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、及びヘキシル基等が挙げられる。前記アミノ基で置換されていてもよいアルキル基としては、前記例示したアルキル基の水素原子の一部がアミノ基で置換されたものもまた例示される。
前記アミノ基で置換されていてもよいアルキル基が有し得るアミノ基の数は特に制限されず、好ましくは1である。また、前記アミノ基で置換されていてもよいアルキル基におけるアミノ基の置換位置も特に制限されず、いずれの位置であってもよい。アミノ基で置換されたアルキル基としては、例えば、4−アミノブチル基が挙げられる。
上記式(I)及び(I’)のいずれかで表される二価の基の好ましい具体例としては、下記式(II−A)又は(II−B)で表される二価の基が挙げられる。
Figure 0006817493
(式中、n及びmは、それぞれ独立して、1から20の何れかの整数を表す。)
n及びmは、好ましくは4〜6であり、nとmは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本態様にかかる製造方法で用いる第1〜第3の一本鎖RNAの一例を図1及び図2に示す。図1の上の模式図では第1〜第3の一本鎖RNAを示し、図1の下の模式図ではリガーゼで結合させて一本鎖RNAとした状態を示している。図2では第1〜第3の一本鎖RNAを直線状に並べた状態を示している。
本明細書及び図面において示す配列においては、「p」の略号は、5’末端の水酸基がリン酸基で修飾されていることを示す。また、配列中の「P」の略号は、下記構造式(III−A)で表されるアミダイトを用いて導入される構造であって、下記式で表される構造を示す。
Figure 0006817493
本態様にかかる製造方法で用いる第1〜第3の一本鎖RNAの製造方法は、特に制限されず、公知の固相合成法、液相合成法等や、公知の核酸合成装置等を用いて化学的に合成することができる。そのような合成方法としては、例えば、ホスホロアミダイト法、H−ホスホネート法、国際公開第2013/027843号に記載の方法などが挙げられる。
一本鎖RNAの5’位のリン酸化には、5’末端のリン酸化用のアミダイトを固相合成にて使用してもよい。5’リン酸化アミダイトは市販のアミダイトを使用することができる。また、固相合成にて、5’末端が水酸基であるRNA分子を合成しておき、脱保護を行った後に、市販のリン酸化剤にてリン酸化することで5’末端にリン酸基を有する一本鎖RNAを調製することができる。リン酸化剤としては、たとえば下記構造式(III−a)で示される市販のChemical Phosphorylation Reagent(Glen Research)などが知られている(欧州特許出願公開第0816368号明細書)。
Figure 0006817493
また、Lz及びLwのリンカー領域については、以下に示すようなアミダイトを使用して、同様に核酸合成機にて調製することができる。リンカー領域のアミダイトとしては、例えば、下記構造式(III−b)に示されるプロリン骨格を有するアミダイトは国際公開第2012/017919号の実施例A4に記載の方法にて調製でき、下記構造式(III−c)、(III−d)及び(III−e)のそれぞれで表される下記のアミダイトは国際公開第2013/103146号の実施例A1〜A3に記載の方法にて調製することができる。
Figure 0006817493
Figure 0006817493
Figure 0006817493
Figure 0006817493
本態様にかかる製造方法において使用するRNAリガーゼは、国際生化学・分子生物学連合が酵素番号として定めるEC6.5.1.3に分類され、ニック修復活性を有する。当該RNAリガーゼとは、ATP + (ribonucleotide)n-3'-hydroxyl + 5'-phospho-(ribonucleotide)m <=> (ribonucleotide)n+m + AMP + diphosphateの反応を触媒する酵素であって、二本鎖核酸におけるニックを修復する活性を有するものである。
かかるRNAリガーゼとしては、たとえば、T4バクテリオファージ由来のT4 RNAリガーゼ2が例示される。このRNAリガーゼ2は、例えば、(New England BioLabs)から購入できる。さらに、RNAリガーゼとしては、ビブリオファージ(vibriophage)KVP40由来のリガーゼ2、Trypanosoma brucei RNAリガーゼ、Deinococcus radiodurans RNAリガーゼ、若しくはLeishmania tarentolae RNAリガーゼが例示される。かかるRNAリガーゼは、たとえば、非特許文献(Structure and Mechanism of RNA Ligase, Structure, Vol.12, PP.327-339.)に記載の方法で各生物から抽出および精製することで得られたものを用いることもできる。
T4バクテリオファージ由来のT4 RNAリガーゼ2としては、配列番号10に記載のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であって、二本鎖ニック修復活性を有するRNAリガーゼも使用可能である。かかるRNAリガーゼ2としては、配列番号10に記載のアミノ酸配列の酵素のほかに、その変異体であるT39A,F65A,F66A(RNA ligase structures reveal the basis for RNA specificity and conformational changes that drive ligation forward, Cell. Vol.127,pp.71-84.参照)などを例示することができる。かかるRNAリガーゼ2は、例えば、前記文献の記載に基づき、ATCC(登録商標)11303としてATCC(American Type Culture Collection)に寄託されている、Escherichia coli bacteriophage T4を用いる方法やPCR等の方法で得ることが可能である。
KVP40由来のRNAリガーゼ2は、非特許文献(Characterization ofbacteriophage KVP40 and T4 RNA ligase 2, Virology, vol. 319, PP.141-151.)に記載の方法で取得することができる。具体的には、例えば、以下のような方法で取得できる。すなわち、バクテリオファージKVP40(例えば、寄託番号Go008199としてJGIに寄託されている)から抽出したDNAのうち、オープンリーディングフレーム293を、NdeIおよびBamHIによって制限酵素消化したのちに、ポリメラーゼ連鎖反応により増幅させる。得られたDNAをプラスミドベクターpET16b(Novagen)に組み込む。または、当該のDNA配列をPCRによって人工合成することもできる。ここで、DNA配列解析により、所望の変異体を得ることができる。続いて、得られたベクターDNAをE.coli BL21(DE3)に組み込み、0.1mg/mLアンピシリンを含むLB培地中にて培養する。イソプロピル−β−チオガラクトシドを0.5mMになるように添加し、37℃で3時間培養する。その後の操作はすべて4℃で行うことが好ましい。まず、遠心操作により菌体を沈殿させ、沈殿物を−80℃にて保管する。凍った菌体にバッファーA[50mM Tris−HCl(pH7.5),0.2M NaCl,10%スクロース]を加える。そして、リゾチームとTriton X−100を加え、超音波によって菌体を破砕し、目的物を溶出させる。その後、アフィニティクロマトグラフィやサイズ排除クロマトグラフィなどを利用して目的物を単離する。そして、得られた水溶液を遠心ろ過し、溶離液をバッファーに置換することによりリガーゼとして使用することができる。
このようにして、KVP40由来のRNAリガーゼ2を得ることができる。KVP40由来のRNAリガーゼ2としては、配列番号11のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であって、二本鎖ニック修復活性を有するRNAリガーゼが使用可能である。
Deinococcus radiodurans RNAリガーゼは非特許文献(An RNA Ligase from Deinococcus radiodurans, J Biol Chem., Vol. 279, No.49, PP. 50654-61.)に記載の方法で取得することができる。例えば、ATCC(登録商標)BAA−816としてATCCに寄託されている生物学的な材料から、前記リガーゼを得ることも可能である。Deinococcus radiodurans RNAリガーゼとしては、配列番号12のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であって、二本鎖ニック修復活性を有するRNAリガーゼを使用可能である。かかるリガーゼとしては、具体的には、配列番号12のアミノ酸配列からなるRNAリガーゼに加えて、配列番号12のRNAリガーゼにおいて、K165AあるいはE278Aの変異を有するアミノ酸配列からなるRNAリガーゼが例示される(An RNA Ligase from Deinococcus radiodurans, J Biol Chem., Vol. 279, No.49, PP. 50654-61.)。
Trypanosoma brucei RNAリガーゼは非特許文献(Assiciation of Two Novel Proteins TbMP52 and TbMP48 with the Trypanosoma brucei RNA Editing Complex, Vol.21, No.2, PP.380-389.)に記載の方法で取得することができる。
Leishmania tarentolae RNAリガーゼは非特許文献(The Mitochondrial RNA Ligase from Leishmania tarentolae Can Join RNA Molecules Bridged by a Complementary RNA, Vol. 274, No.34, PP.24289-24296)に記載の方法で取得することができる。
中でも、RNAリガーゼとしては、T4バクテリオファージ由来のT4 RNAリガーゼ 2が好ましい。
本態様にかかる製造方法おいて、第1〜第3の一本鎖RNAにRNAリガーゼを作用させる反応条件は、RNAリガーゼが機能し所望の一本鎖RNAを製造できる条件である限り特に制限されず、適宜設定することができる。
RNAリガーゼの使用量は、連結する第1〜第3の一本鎖RNAの量、反応温度及び反応時間に応じて、適切な使用量を適宜設定することができる。RNAリガーゼの反応時間は、例えば、0.5〜144時間の範囲から選択される。RNAリガーゼ処理のpHは、使用酵素の至適pHに対応して適宜設定することができ、例えば、pH4〜9の範囲から選択される。RNAリガーゼ処理の温度は、使用酵素の至適温度に対応して適宜設定することができ、例えば、0〜50℃の範囲から選択される。
第1〜第3の一本鎖RNAにRNAリガーゼを作用させる反応液には、これらの他に、緩衝液、金属塩、ATP等が含まれていてもよい。緩衝液としては、例えばトリス−塩酸緩衝液、ATP緩衝液、リン酸カリウム緩衝液、グリシン−塩酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液等が挙げられる。金属塩としては、例えば、マグネシウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩等が挙げられる。
RNAリガーゼを作用させて製造した一本鎖RNAを含む粗生成物は、RNAを沈殿、抽出及び精製する方法を用いることで通常、単離することができる。具体的には、反応後の溶液にエタノール、イソプロピルアルコールなどのRNAに対して溶解性の低い溶媒を加えることでRNAを沈殿させる方法や、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(例えば、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール=25/24/1)の溶液を反応溶液に加え、RNAを水層に抽出させる方法が採用される。その後、逆相カラムクロマトグラフィー、陰イオン交換カラムクロマトグラフィー、アフィニティカラムクロマトグラフィー等の公知の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の手法などにより単離、精製することができる。
[第二の態様]
次いで本発明の第二の態様について説明する。
本発明の第二の態様は、5’末端にリン酸基を有する第1の一本鎖RNA及び第2の一本鎖RNAに、国際生化学・分子生物学連合が酵素番号として定めるEC6.5.1.3に分類され、ニック修復活性を有するRNAリガーゼを作用させ、前記第1の一本鎖RNAと、前記第2の一本鎖RNAとを連結する工程を含む一本鎖RNAの製造方法である。前記第1の一本鎖RNAと、前記第2の一本鎖RNAとのを連結により生成する一本鎖RNAは、5’末端側から順に、X2a領域、Y2a領域、Lzリンカー領域、Y1a領域、X1a領域、W1a領域、Lwリンカー領域及びW2a領域からなる連結一本鎖RNAである(図9参照)。本態様にかかる製造方法は、以下のa)〜g)により規定される。
a)第1の一本鎖RNAは、5’末端側から順に、Y2a領域、Lzリンカー領域、Y1a領域、X1a領域、W1a領域、Lwリンカー領域及びW2a領域からなる一本鎖RNAである。
b)第2の一本鎖RNAは、X2a領域からなる一本鎖RNAである。
c)X1a領域とX2a領域とは、互いに相補的な、4以上の同数のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含む。
d)Y1a領域とY2a領域は、互いに相補的な、1以上の同数のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含む。
e)W1a領域及びW2a領域は、それぞれ独立に、任意の数のヌクレオチド配列を含む。
f)Lwリンカー領域及びLzリンカー領域が、それぞれ独立に、アミノ酸から誘導される原子団を有するリンカー領域である。Lwリンカー領域およびLzリンカー領域は、前記第一の態様において説明したとおりである。
前記連結一本鎖RNAは、Y1a領域とX1a領域とW1a領域とからなるA領域、および、X2a領域とY2a領域とからなるB領域の少なくとも一方に、遺伝子の発現を抑制するヌクレオチド配列を含んでいてもよい。そのようなヌクレオチド配列として、RNA干渉法により標的遺伝子の発現を抑制する配列を含んでいてもよい。
A領域およびB領域のいずれか一方または両者は、同じ標的遺伝子に対する同一の発現抑制配列を2つ以上有してもよいし、同じ標的に対する異なる発現抑制配列を2つ以上有してもよいし、異なる標的遺伝子に対する異なる発現抑制配列を2つ以上有してもよい。A領域が、2つ以上の発現抑制配列を有する場合、各発現抑制配列の配置箇所は、特に制限されず、X1a領域およびY1a領域のいずれか一領域または両者でもよいし、両者に架かる領域であってもよい。B領域が、2つ以上の発現抑制配列を有する場合、各発現抑制配列の配置箇所は、X2a領域およびY2a領域のいずれか一領域または両者でもよいし、両者に架かる領域であってもよい。発現抑制配列は、標的遺伝子の所定領域に対して、90%以上の相補性を有していることが好ましく、より好ましくは95%であり、さらに好ましくは98%であり、特に好ましくは100%である。
かかる連結一本鎖RNAは、5’末端にリン酸基を有する第1の一本鎖RNAと3’末端に水酸基を有する第2の一本鎖RNAとにリガーゼを作用させ、前記第1の一本鎖RNAと前記第2の一本鎖とを連結する工程で製造される(図9参照)。
連結一本鎖RNAは、分子内において相補性のある配列部分が並び、分子内で部分的に二重鎖を形成しうる。連結一本鎖RNA分子は、図9に示すように、X1a領域とX2a領域が互いに相補性を有するヌクレオチド配列を含み、さらにY1a領域とY2a領域が互いに相補性を有するヌクレオチド配列を含み、これらの相補性を有する配列との間で、二重鎖が形成され、LwおよびLzのリンカー領域が、その長さに応じてループ構造をとる。図9は、あくまでも、前記領域の連結順序および二重鎖部を形成する各領域の位置関係を示すものであり、例えば、各領域の長さ、リンカー領域(LwおよびLz)の形状等は、これらに限定されない。
Y1a領域とX1a領域とW1a領域とからなるA領域およびX2a領域とY2a領域とからなるB領域の少なくとも一方が、RNA干渉により標的遺伝子の発現を抑制する配列を少なくとも一つ含んでいてもよい。連結一本鎖RNAにおいて、A領域とB領域とは、完全に相補的でもよいし、1もしくは数ヌクレオチドが非相補的であってもよいが、完全に相補的であることが好ましい。前記1若しくは数個のヌクレオチドは、例えば、1〜3個のヌクレオチド、好ましくは1または2個のヌクレオチドである。Y1a領域は、Y2a領域の全領域に対して相補的なヌクレオチド配列を有している。Y1a領域とY2a領域とは、互いに完全に相補的なヌクレオチド配列であり、1以上の同数のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列である。X1a領域は、X2a領域の全領域に対して相補的なヌクレオチド配列を有している。X1a領域とX2a領域とは、互いに完全に相補的なヌクレオチド配列であり、2以上の同数のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列である。本実施形態の製造方法では、W1a領域およびW2a領域は、任意の数のヌクレオチド配列を含む領域であり、必須の配列ではなく、ヌクレオチドの数が0の態様であってもよく、1以上のヌクレオチドを含む態様であってもよい。
以下に各領域の長さを例示するが、これに限定されない。
連結一本鎖RNA分子において、W2a領域のヌクレオチド数(W2an)と、X2a領域のヌクレオチド数(X2an)およびY2領域のヌクレオチド数(Y2an)との関係は、例えば、下記式(1)の条件を満たす。W1a領域のヌクレオチド数(W1an)と、X1a領域のヌクレオチド数(X1an)およびY1a領域のヌクレオチド数(Y1an)との関係は、例えば、下記式(2)の条件を満たす。
W2an≦X2an+Y2an ・・・(1)
W1an≦X1an+Y1an ・・・(2)
連結一本鎖RNA分子において、X1領域のヌクレオチド数(X1an)とY1a領域のヌクレオチド数(Y1an)との関係は、特に制限されず、例えば、下記式のいずれかの条件を満たす。
X1an=Y1an ・・・(3)
X1an<Y1an ・・・(4)
X1an>Y1an ・・・(5)
本実施形態の方法において、X1a領域のヌクレオチド数(X1an)、即ちX2a領域のヌクレオチド数(X2an)は、2以上であり、好ましくは4以上であり、より好ましくは10以上である。
Y1a領域のヌクレオチド数(Y1an)、即ちY2a領域のヌクレオチド数(Y2an)は、1以上であり、好ましくは2以上であり、より好ましくは4以上である。
W1a領域は、好ましくは、W2a領域の全領域またはW2a領域の部分領域に対して相補的なヌクレオチド配列を含む。W1a領域とW2a領域とは、1もしくは数ヌクレオチドが非相補的であってもよいが、完全に相補的であることが好ましい。
より詳しくは、W2a領域は、W1a領域よりも、1ヌクレオチド以上短いヌクレオチド配列からなることが好ましい。この場合、W2a領域のヌクレオチド配列全体が、W1a領域の任意の部分領域の全てのヌクレオチドと相補的となる。W2a領域の5’末端から3’末端までのヌクレオチド配列は、W1a領域の3’末端のヌクレオチドから始まり5’末端に向かってのヌクレオチド配列と相補性のある配列であることがより好ましい。
連結一本鎖RNA分子において、X1a領域のヌクレオチド数(X1an)とX2a領域の塩基数(X2an)との関係、Y1a領域のヌクレオチド数(Y1an)とY2a領域のヌクレオチド数(Y2an)との関係、並びにW1a領域のヌクレオチド数(W1an)とW2a領域のヌクレオチド数(W2an)との関係は、下記式(6)、(7)および(8)の条件をそれぞれ満たす。
X1an=X2an ・・・(6)
Y1an=Y2an ・・・(7)
W1an≧W2an ・・・(8)
連結一本鎖RNAにおいて、リンカー領域(Lw、Lz)を除くヌクレオチド数の合計は、下限が、典型的には、38であり、好ましくは42であり、より好ましくは50であり、さらに好ましくは51であり、特に好ましくは52であり、上限が、典型的には、300であり、好ましくは200であり、より好ましくは150であり、さらに好ましくは100であり、特に好ましくは80である。
連結一本鎖RNAにおいて、LwおよびLzのリンカー領域の長さは、特に制限されない。これらのリンカー領域は、例えば、X1a領域とX2a領域とが二重鎖を形成可能な長さ、あるいはY1a領域とY2a領域とが二重鎖を形成可能な長さであることが好ましい。LwおよびLzの各リンカー領域は、アミノ酸から誘導される原子団を有する領域である。これらのリンカー領域(Lw、Lz)は、通常、非ヌクレオチドのリンカー領域である。
リンカー領域の主鎖を形成する原子の数は、その上限は、典型的には、100であり、好ましくは80であり、より好ましくは50である。
Lwリンカー領域は、例えば、上記式(I)で表される二価の基であり、Lzリンカーは、例えば、上記式(I’)で表される二価の基である。
第二の態様において、第1および第2の一本鎖RNAにRNAリガーゼを作用させる反応条件は、RNAリガーゼが機能し所望の一本鎖RNAを製造できる条件である限り特に制限されず、適宜設定することができる。
RNAリガーゼとしては、前記第一の態様において例示したものと同じものが使用できる。RNAリガーゼの使用量は、連結する第1〜第3の一本鎖RNAの量、反応温度及び反応時間に応じて、適切な使用量を適宜設定することができる。RNAリガーゼの反応時間は、例えば、0.5〜144時間の範囲から選択される。RNAリガーゼ処理のpHは、使用酵素の至適pHに対応して適宜設定することができ、例えば、pH4〜9の範囲から選択される。RNAリガーゼ処理の温度は、使用酵素の至適温度に対応して適宜設定することができ、例えば、0〜50℃の範囲から選択される。
第1および第2の一本鎖RNAにRNAリガーゼを作用させる反応液には、これらの他に、緩衝液、金属塩、ATP等が含まれていてもよい。緩衝液としては、例えばトリス−塩酸緩衝液、ATP緩衝液、リン酸カリウム緩衝液、グリシン−塩酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液等が挙げられる。金属塩としては、例えば、マグネシウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩等が挙げられる。
RNAリガーゼを作用させて製造した一本鎖RNAを含む粗生成物は、RNAを沈殿、抽出及び精製する方法を用いることで通常、単離することができる。具体的には、反応後の溶液にエタノール、イソプロピルアルコールなどのRNAに対して溶解性の低い溶媒を加えることでRNAを沈殿させる方法や、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(例えば、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール=25/24/1)の溶液を反応溶液に加え、RNAを水層に抽出させる方法が採用される。その後、逆相カラムクロマトグラフィー、陰イオン交換カラムクロマトグラフィー、アフィニティカラムクロマトグラフィー等の公知の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の手法などにより単離、精製することができる。
本発明の方法により製造した一本鎖RNAの中で、標的となる遺伝子の発現を抑制できるものは、遺伝子が原因となる疾患の治療又は予防剤として使用することができる。
20塩基長程度の一本鎖RNAを化学合成する場合は、約50塩基長あるいはそれ以上の一本鎖RNAを化学合成する場合と比べて収率及び収量の点で優れている。そのため、約50塩基長程度又はそれ以上の一本鎖RNAを化学合成するより、20塩基長程度の一本鎖RNAを化学合成しライゲーションして連結することで、高い収率及び収量が得られる上、ライゲーションされなかったRNA鎖は精製で容易に除去可能であるため品質においても優れている。
それ故、本発明の製造方法によれば、約50塩基長又はそれ以上の一本鎖RNAを高い収率、収量及び品質で製造することができる。また、RNA干渉により標的遺伝子の発現を抑制するヌクレオチド配列を含ませることにより、結果として、RNA干渉法に利用できる一本鎖RNAを、効率的に製造可能となり、コストの低減が期待される。
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。しかし、本発明はこれら実施例等になんら限定されるものではない。
・実施例1
1.第1の一本鎖RNAの合成
以下に示す一本鎖RNA(図3の鎖I)を合成した。当該鎖は11塩基長からなり、第1の一本鎖RNAに対応する。
鎖I:pCUCUGCUUCPG (5'-3')
当該一本鎖RNAは、ホスホロアミダイト法に基づき、核酸合成機(商品名NTS M−4MX−E、日本テクノサービス株式会社)を用いて3’側から5’側に向かって合成した。
当該合成には、RNAアミダイトとして、国際公開第2013/027843号の実施例2に記載のウリジンEMMアミダイト、実施例3に記載のシチジンEMMアミダイト、実施例4に記載のアデノシンEMMアミダイト、実施例5に記載のグアノシンEMMアミダイト、及び国際公開第2012/017919号の実施例A3に記載のプロリンアミダイト(IIIb)を使用し、5’リン酸化にはChemical Phosphorylation Reagent(Glen Research)を使用し、固相担体として多孔質ガラスを使用し、デブロッキング溶液として高純度トリクロロ酢酸トルエン溶液を使用し、縮合剤として5−ベンジルメルカプト−1H−テトラゾールを使用し、酸化剤としてヨウ素溶液を使用し、キャッピング溶液としてフェノキシ酢酸溶液とN−メチルイミダゾール溶液とを使用して行った。
固相合成後の固相担体からの切出しと脱保護は、国際公開第2013/027843号に記載の方法に従った。すなわち、アンモニア水溶液とエタノールとを加え、しばらく静置した後に固相担体をろ過し、その後、テトラブチルアンモニウムフルオリドを用いて水酸基の脱保護を行った。得られたRNAを注射用蒸留水によって用いて所望の濃度となるように溶解した。
2.第2の一本鎖RNAの合成
以下に示す一本鎖RNA(図1の鎖II)を合成した。当該鎖は26塩基長からなり、第2の一本鎖RNAに対応する。
鎖II:pCAUAUACCPGGUAUAUGCUGUGUGUA (5'-3')(配列番号1)
当該一本鎖RNAは、上記と同様の方法により合成した。
3.第3の一本鎖RNAの合成
以下に示す一本鎖RNA(図1の鎖III)を合成した。前記鎖は16塩基長からなり、第3の一本鎖RNAに対応する。
鎖III:AGCAGAGUACACACAG (5'-3')(配列番号2)
当該一本鎖RNAは、上記と同様の方法により合成した。
4.ライゲーション
次に、ライゲーション反応を、16.2μM RNA 二本鎖、50units/μL T4 RNAリガーゼ 2、50mM Tris−HCl(pH7.5)、2mM MgCl、1mM DTT、400μM ATPの組成で、反応スケール0.2mLで行った。
上記第1〜第3のRNAをライゲーションすることで得られる連結一本鎖RNAを下記及び図4に示す。
5'-AGCAGAGUACACACAGCAUAUACCPGGUAUAUGCUGUGUGUACUCUGCUUCPG-3'(配列番号3、4)
具体的には、まず、第1のRNA鎖が5.8μM、第2のRNA鎖が5.8μM、第3の鎖が7.6μMとなるよう、500mM Tris−HCl(pH7.5)、20mM MgCl、10mM DTT、4000μM ATP緩衝液(10x緩衝液)128μL及び注射用蒸留水を1.5mLチューブ内に加え、37℃水浴中に10分静置した。その後、T4 RNAリガーゼ 2(New England BioLabs)を上記の組成と反応スケールになるように加え、37℃で3時間インキュベートした。反応後、0.2M エチレンジアミン四酢酸5μLに反応液50μLを加え、この溶液を表1のLC条件で分析した。
Figure 0006817493
HPLC分析の結果、反応後、第1の一本鎖RNA、第2の一本鎖RNA及び第3の一本鎖RNAが減少し、リテンションタイムが遅れた新たなピークが2本観察された(図5)。
この溶出ピークを質量分析測定によって分子量を確認したところ、リテンションタイムの小さいピークは、第1の一本鎖RNAと第2の一本鎖RNAとが結合した第4の一本鎖RNAであることが確認できた。また、リテンションタイムの大きいピークは、第1の一本鎖RNAと第2の一本鎖RNAと第3の一本鎖RNAとが結合した目的の連結一本鎖RNAであることが確認できた(測定値:17025.4836、理論値17025.4672)。
反応後の溶液をHPLC(波長260nm)によって各成分に分離し、得られたクロマトグラムにおける原料及び生成物の面積値からそれぞれを定量した。
その定量値から、以下の式にて転化率を算出した結果、転化率は22%であった。
転化率={連結一本鎖RNA量/(第2の一本鎖RNA量+第4の一本鎖RNA量+連結一本鎖RNA量)}
・実施例2
1.第1の一本鎖RNAの合成
以下に示す一本鎖RNA(図3の鎖IV)を合成した。当該鎖は14塩基長からなり、第1の一本鎖RNAに対応する。
鎖IV:pGUACUCUGCUUCPG (5'-3')(配列番号5)
当該一本鎖RNAは、上記と同様の方法により合成した。
2.第2の一本鎖RNAの合成
以下に示す一本鎖RNA(図3の鎖V)を合成した。当該鎖は19塩基長からなり、第2の一本鎖RNAに対応する。
鎖V:pUACCPGGUAUAUGCUGUGU (5'-3') (配列番号6)
3.第3の一本鎖RNAの合成
以下に示す一本鎖RNA(図3の鎖VI)を合成した。当該鎖は20塩基長からなり、第3の一本鎖RNAに対応する。
鎖VI:AGCAGAGUACACACAGCAUA (5'-3')(配列番号7)
4.ライゲーション
上記第1〜第3のRNAをライゲーションすることで得られる連結一本鎖RNAを下記及び図6に示す。
5'-AGCAGAGUACACACAGCAUAUACCPGGUAUAUGCUGUGUGUACUCUGCUUCPG-3'(配列番号3、4)
上記と同様にライゲーション及び分析を行った。
HPLC分析の結果、反応後、第1の一本鎖RNA、第2の一本鎖RNA及び第3の一本鎖RNAが減少し、リテンションタイムが遅れた新たなピークが2本観察された。
この溶出ピークを質量分析測定によって分子量を確認したところ、リテンションタイムの小さいピークは、第2の一本鎖RNAと第3の一本鎖核RNAが結合した第4の一本鎖核酸であることが確認できた。また、リテンションタイムの大きいピークは、第1の一本鎖RNAと第2の一本鎖RNAと第3の一本鎖RNAとが結合して目的の連結一本鎖RNAであることが確認できた(測定値:17025.4779、理論値:17025.4672)。
反応後の溶液をHPLC(波長260nm)によって各成分に分離し、得られたクロマトグラムにおける原料及び生成物の面積値からそれぞれを定量した。
その定量値から、以下の式にて転化率を算出した結果、転化率は71%であった。
転化率={連結一本鎖RNA量/(第2の一本鎖RNA量+第4の一本鎖RNA量+連結一本鎖RNA量)}
・実施例3
1.第1の一本鎖RNAと第2の一本鎖RNAから生成する一本鎖RNA合成
以下に示す一本鎖RNA(図3の鎖VII)を合成した。当該鎖は37塩基長からなり、第1の一本鎖RNAと第2の一本鎖RNAから生成するRNAに対応する。
鎖VII:pCAUAUACCPGGUAUAUGCUGUGUGUACUCUGCUUCPG (5'-3')(配列番号4)
当該一本鎖RNAは、上記と同様の方法により合成した。
2.ライゲーション
上記第1の一本鎖RNAと第2の一本鎖RNAから生成するRNAおよび第3の一本鎖RNA(図3の鎖III)をライゲーションすることで得られる連結一本鎖RNAを下記及び図6に示す。
5'-CAUAUACCPGGUAUAUGCUGUGUGUACUCUGCUUCPG-3'(配列番号3、4)
次に、ライゲーション反応を、16.2μM RNA二本鎖、50units/μL T4 RNAリガーゼ2、50mM Tris−HCl(pH7.0)、2mM MgCl、1mM DTT、400μM ATPの組成で、反応スケール21mLで行った。
反応後、反応液を表2に記載の条件を用いて、カラムクロマトグラフィー精製した。得られた画分をHPLCにより分析し、純度90%以上の画分(クロマトグラムにおいて検出されるピークの総面積に対して目的物のピーク面積が占める比率が、90%以上の割合となる画分)を集めて混合した。その結果、純度91%、総収率11%で目的物を得ることができた。また、得られた試料を質量分析測定によって測定した結果、計算値と合致していることから、目的物が得られていることが確認できた(測定値:17025.4752、理論値:17025.4672)。ここで、総収率とは、仕込んだ固相担体の量に対する、ライゲーション反応後の生成物を精製して得られた一本鎖RNAの量の割合である。前記RNAの量は、波長260nmの紫外線の吸光度に基づき求められる。吸光度が1を示す場合のRNAの濃度を33μg/mLとして求めた値である。
Figure 0006817493
・実施例4
1.第1の一本鎖RNAと第2の一本鎖RNAから生成する一本鎖RNA合成
以下に示す一本鎖RNA(図3の鎖VIII)を合成した。当該鎖は33塩基長からなり、第1の一本鎖RNAと第2の一本鎖RNAから生成するRNAに対応する。
鎖VIII:pUACCPGGUAUAUGCUGUGUGUACUCUGCUUCPG (5'-3')(配列番号4)
当該一本鎖RNAは、上記と同様の方法により合成した。
2.ライゲーション
上記第1の一本鎖RNAと第2の一本鎖RNAから生成するRNAおよび第3のRNA(図3、鎖VI)をライゲーションすることで得られる連結一本鎖RNAを下記及び図6に示す。
5'-AGCAGAGUACACACAGCAUAUACCPGGUAUAUGCUGUGUGUACUCUGCUUCPG-3'(配列番号3、4)
次に、ライゲーション反応を、16.2μM RNA二本鎖、50units/μL T4 RNAリガーゼ2、50mM Tris−HCl(pH7.0)、2mM MgCl、1mM DTT、400μM ATPの組成で、反応スケール19mLで行った。
反応後、反応液を表2に記載の条件を用いて、カラムクロマトグラフィー精製した。得られた画分をHPLCにより分析し、純度90%以上の画分(クロマトグラムにおいて検出されるピークの総面積に対して目的物のピーク面積が占める比率が、90%以上の割合となる画分)を集めて混合した。その結果、純度94%、総収率11%で目的物を得ることができた。また、得られた試料を質量分析測定によって測定した結果、計算値と合致していることから、目的物が得られていることが確認できた(測定値:17025.4831、理論値:17025.4672)。ここで、総収率とは、仕込んだ固相担体の量に対する、ライゲーション反応後の生成物を精製して得られた一本鎖RNAの量の割合である。前記RNAの量は、波長260nmの紫外線の吸光度に基づき求められる。吸光度が1を示す場合のRNAの濃度を33μg/mLとして求めた値である。
・実施例5
1.第1の一本鎖核酸と第2の一本鎖核酸から生成する一本鎖核酸合成
以下に示す一本鎖核酸(図3の鎖IX)を合成した。当該鎖は31塩基長からなり、第1の一本鎖RNAと第2の一本鎖RNAから生成するRNAに対応する。
鎖IX:pCCPGGUAUAUGCUGUGUGUACUCUGCUUCPG (5'-3')(配列番号4)
当該一本鎖RNAは、上記と同様の方法により合成した。
2.第3の一本鎖RNAの合成
以下に示す一本鎖RNA(図3の鎖X)を合成した。当該鎖は22塩基長からなり、第2の一本鎖核酸に対応する。
鎖X:AGCAGAGUACACACAGCAUAUA (5'-3')(配列番号8)
3.ライゲーション
上記第1〜第3のRNAをライゲーションすることで得られる連結一本鎖RNAを下記及び図6に示す。
5'-AGCAGAGUACACACAGCAUAUACCPGGUAUAUGCUGUGUGUACUCUGCUUCPG-3'(配列番号3、4)
次に、ライゲーション反応を、16.2μM RNA二本鎖、50units/μL T4 RNAリガーゼ2、50mM Tris−HCl(pH7.0)、2mM MgCl、1mM DTT、400μM ATPの組成で、反応スケール17mLで行った。
反応後、反応液を表2に記載の条件を用いて、カラムクロマトグラフィー精製した。得られた画分をHPLCにより分析し、純度90%以上の画分(クロマトグラムにおいて検出されるピークの総面積に対して目的物のピーク面積が占める比率が、90%以上の割合となる画分)を集めて混合した。その結果、純度93%、総収率12%で目的物を得ることができた。また、得られた試料を質量分析測定によって測定した結果、計算値と合致していることから、目的物が得られていることが確認できた(測定値:17025.5004、理論値:17025.4672)。ここで、総収率とは、仕込んだ固相担体の量に対する、ライゲーション反応後の生成物を精製して得られた一本鎖RNAの量の割合である。前記RNAの量は、波長260nmの紫外線の吸光度に基づき求められる。吸光度が1を示す場合のRNAの濃度を33μg/mLとして求めた値である。
・実施例6
1.第1の一本鎖RNAと第2の一本鎖RNAから生成する一本鎖RNA合成
以下に示す一本鎖RNA(図3の鎖XI)を合成した。当該鎖は30塩基長からなり、第1の一本鎖RNAと第2の一本鎖RNAから生成するRNAに対応する。
鎖XI:pCPGGUAUAUGCUGUGUGUACUCUGCUUCPG (5'-3')(配列番号4)
当該一本鎖RNAは、上記と同様の方法により合成した。
2.第3の一本鎖RNAの合成
以下に示す一本鎖RNA(図3の鎖XII)を合成した。当該鎖は23塩基長からなり、第2の一本鎖RNAに対応する。
鎖XII:AGCAGAGUACACACAGCAUAUAC (5'-3')(配列番号9)
3.ライゲーション
上記第1〜第3のRNAをライゲーションすることで得られる連結一本鎖RNAを下記及び図6に示す。
5'-AGCAGAGUACACACAGCAUAUACCPGGUAUAUGCUGUGUGUACUCUGCUUCPG-3'(配列番号3、4)
次に、ライゲーション反応を、16.2μM RNA二本鎖、50units/μL T4 RNAリガーゼ2、50mM Tris−HCl(pH7.0)、2mM MgCl、1mM DTT、400μM ATPの組成で、反応スケール18mLで行った。
反応後、反応液を表2に記載の条件を用いて、カラムクロマトグラフィー精製した。得られた画分をHPLCにより分析し、純度90%以上の画分(クロマトグラムにおいて検出されるピークの総面積に対して目的物のピーク面積が占める比率が、90%以上の割合となる画分)を集めて混合した。その結果、純度93%、総収率17%で目的物を得ることができた。また、得られた試料を質量分析測定によって測定した結果、計算値と合致していることから、目的物が得られていることが確認できた(測定値:17025.5031、理論値:17025.4672)。ここで、総収率とは、仕込んだ固相担体の量に対する、ライゲーション反応後の生成物を精製して得られた一本鎖RNAの量の割合である。前記RNAの量は、波長260nmの紫外線の吸光度に基づき求められる。吸光度が1を示す場合のRNAの濃度を33μg/mLとして求めた値である。

Claims (15)

  1. 5’末端にリン酸基を有する第1の一本鎖RNA及び第2の一本鎖RNAと5’末端に水酸基を有する第3の一本鎖RNAに、国際生化学・分子生物学連合が酵素番号として定めるEC6.5.1.3に分類され、ニック修復活性を有するRNAリガーゼを作用させ、前記第1の一本鎖RNAと、前記第2の一本鎖RNAと、前記第3の一本鎖RNAとを連結する工程を含む一本鎖RNAの製造方法であって、
    a)前記第1の一本鎖RNAが、5’末端側から順に、X1領域、W1領域、Lwリンカー領域及びW2領域からなる一本鎖RNAであり、
    b)前記第2の一本鎖RNAが、5’末端側から順に、Z2領域、Lzリンカー領域、Z1領域及びY1領域からなる一本鎖RNAであり、
    c)前記第3の一本鎖RNAが、5’末端側から順に、X2領域及びY2領域からなる一本鎖RNAであり、
    d)前記X1領域と前記X2領域とが互いに相補的な、上の同数のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含み、
    e)前記Y1領域と前記Y2領域とが互いに相補的な、以上の同数のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含み、
    f)前記Z1領域と前記Z2領域とが互いに相補的な、以上の同数のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含み、
    g)前記W1領域及び前記W2領域が、それぞれ独立に、任意の数のヌクレオチド配列を含み、
    h)前記Lzリンカー領域及び前記Lwリンカー領域が、それぞれ独立に、アミノ酸から誘導される原子団を有するリンカー領域であり、
    i)前記第1の一本鎖RNAと、前記第2の一本鎖RNAと、前記第3の一本鎖RNAとの連結により生成する一本鎖RNAが、5’末端側から順に、前記X2領域、前記Y2領域、前記Z2領域、前記Lzリンカー領域、前記Z1領域、前記Y1領域、前記X1領域、前記W1領域、前記Lwリンカー領域及び前記W2領域からなる連結一本鎖RNAであり、
    前記Lzリンカー領域が、下記式(I)で表される二価の基であり、前記Lwリンカー領域が、下記式(I’)で表される二価の基である、
    製造方法
    Figure 0006817493
    (式中、Y 11 及びY 21 は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、Y 12 及びY 22 は、それぞれ独立して、水素原子、又はアミノ基で置換されていてもよいアルキル基を表すか、或いはY 12 とY 22 とがその末端で互いに結合して炭素数3〜4のアルキレン基を表し、
    11 に結合している末端の酸素原子は、前記Z1領域および前記Z2領域のいずれか一方の領域の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合しており、
    21 に結合している末端の酸素原子は、前記Z2領域および前記Z1領域のY 11 とは結合していない他方の領域の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合している。)
    Figure 0006817493
    (式中、Y’ 11 及びY’ 21 は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、Y’ 12 及びY’ 22 は、それぞれ独立して、水素原子、又はアミノ基で置換されていてもよいアルキル基を表すか、或いはY’ 12 とY’ 22 とがその末端で互いに結合し炭素数3〜4のアルキレン基を表し、
    Y’ 11 に結合している末端の酸素原子は、前記W1領域および前記W2領域のいずれか一方の領域の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合しており、
    Y’ 21 に結合している末端の酸素原子は、前記W2領域および前記W1領域のY’ 11 とは結合していない他方の領域の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合している。)
  2. 前記式(I)で表される二価の基が、下記式(II−A)又は(II−B)で表される二価の基である、請求項に記載の製造方法。
    Figure 0006817493
    (式中、n及びmは、それぞれ独立して、1から20の何れかの整数を表す。)
  3. 前記式(I’)で表される二価の基が、下記式(II−A)又は(II−B)で表される二価の基である、請求項に記載の製造方法。
    Figure 0006817493
    (式中、n及びmは、それぞれ独立して、1から20の何れかの整数を表す。)
  4. 前記第1の一本鎖RNAと、前記第2の一本鎖RNAと、前記第3の一本鎖RNAとの連結により生成する一本鎖RNAが、前記Z1領域、前記Y1領域、前記X1領域及び前記W1領域からなる領域、並びに前記X2領域、前記Y2領域及び前記Z2領域からなる領域の少なくとも一方に、遺伝子の発現を抑制するヌクレオチド配列を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記第1の一本鎖RNAと前記第2のRNA鎖から生成する一本鎖RNAであって、5’末端側から順に、前記Z2領域、前記Lzリンカー領域、前記Z1領域、前記Y1領域、前記X1領域、前記W1領域、前記Lwリンカー領域及び前記W2領域からなる一本鎖RNAを、前記第3のRNAと反応させる、請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記第2の一本鎖RNAと前記第3のRNA鎖から生成する一本鎖RNAであって、5’末端側から順に、前記X2領域、前記Y2領域、前記Z2領域、前記Lzリンカー領域、前記Z1領域及び前記Y1領域からなる一本鎖RNAを、前記第1のRNAと反応させる、請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 5’末端にリン酸基を有する第1の一本鎖RNA及び第2の一本鎖RNAに、国際生化学・分子生物学連合が酵素番号として定めるEC6.5.1.3に分類され、ニック修復活性を有するRNAリガーゼを作用させ、前記第1の一本鎖RNAと前記第2の一本鎖RNAとを連結する工程を含む一本鎖RNAの製造方法であって、
    a)前記第1の一本鎖RNAが、5’末端側から順に、Y2a領域、Lzリンカー領域、Y1a領域、X1a領域、W1a領域、Lwリンカー領域及びW2a領域からなる一本鎖RNAであり、
    b)前記第2の一本鎖RNAが、X2a領域からなる一本鎖RNAであり、
    c)前記X1a領域と前記X2a領域とが、互いに相補的な、10以上の同数のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含み、
    d)前記Y1a領域と前記Y2a領域とが、互いに相補的な、1以上の同数のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列を含み、
    e)前記W1a領域及びW前記2a領域が、それぞれ独立に、任意の数のヌクレオチド配列を含み、
    f)前記Lwリンカー領域及び前記Lzリンカー領域が、それぞれ独立に、アミノ酸から誘導される原子団を有するリンカー領域であり、
    g)前記第1の一本鎖RNAと前記第2の一本鎖RNAとの連結により生成する一本鎖RNAが、5’末端側から順に、前記X2a領域、前記Y2a領域、前記Lzリンカー領域、前記Y1a領域、前記X1a領域、前記W1a領域、前記Lwリンカー領域及び前記W2a領域からなる連結一本鎖RNAであ
    前記Lzリンカー領域が、下記式(I)で表される二価の基であり、前記Lwリンカー領域が、下記式(I’)で表される二価の基である、
    製造方法
    Figure 0006817493
    (式中、Y 11 及びY 21 は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、Y 12 及びY 22 は、それぞれ独立して、水素原子もしくはアミノ基で置換されていてもよいアルキル基を表すか、或いはY 12 とY 22 とがその末端で互いに結合して炭素数3〜4のアルキレン基を表し、
    11 に結合している末端の酸素原子は、前記Y1a領域および前記Y2a領域のいずれか一方の領域の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合しており、
    21 に結合している末端の酸素原子は、前記Y2a領域および前記Y1a領域のY 11 とは結合していない他方の領域の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合している。)
    Figure 0006817493
    (式中、Y’ 11 及びY’ 21 は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、Y’ 12 及びY’ 22 は、それぞれ独立して、水素原子もしくはアミノ基で置換されていてもよいアルキル基を表すか、或いはY’ 12 とY’ 22 とがその末端で互いに結合し炭素数3〜4のアルキレン基を表し、
    Y’ 11 に結合している末端の酸素原子は、前記W1a領域および前記W2a領域のいずれか一方の領域の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合しており、
    Y’ 21 に結合している末端の酸素原子は、前記W2a領域および前記W1a領域のY’ 11 とは結合していない他方の領域の末端ヌクレオチドのリン酸エステルのリン原子と結合している。)
  8. 前記式(I)で表される二価の基が、式(II−A)又は(II−B)で表される二価の基である、請求項に記載の製造方法。
    Figure 0006817493
    (式中、n及びmは、それぞれ独立して、1から20の何れかの整数を表す。)
  9. 前記式(I’)で表される二価の基が、式(II−A)又は(II−B)で表される二価の基である、請求項に記載の製造方法。
    Figure 0006817493
    (式中、n及びmは、それぞれ独立して、1から20の何れかの整数を表す。)
  10. 前記第1の一本鎖RNAと、前記第2の一本鎖RNAとの連結により生成する一本鎖RNAが、前記Y1a領域、前記X1a領域及び前記W1a領域からなる領域、並びに前記X2a領域、前記Y2a領域からなる領域の少なくとも一方に、遺伝子の発現を抑制するヌクレオチド配列を含む、請求項のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 前記RNAリガーゼが、T4バクテリオファージ由来のT4 RNAリガーゼ2、KVP40由来のリガーゼ2、Trypanosoma brucei RNAリガーゼ、Deinococcus radiodurans RNAリガーゼ、またはLeishmaniatarentolae RNAリガーゼである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
  12. 前記RNAリガーゼが、配列番号10、11、または12に記載のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるRNAリガーゼである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
  13. 前記RNAリガーゼが、T4バクテリオファージ由来のT4 RNAリガーゼ2またはKVP40由来のRNAリガーゼ2である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
  14. 前記リガーゼが、T4バクテリオファージ由来のT4 RNAリガーゼ 2である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の製造方法。
  15. 下記鎖II、III、及びV〜XIIからなる群より選択される配列からなる一本鎖RNA。
    鎖II:pCAUAUACCPGGUAUAUGCUGUGUGUA
    鎖III:AGCAGAGUACACACAG
    鎖V:pUACCPGGUAUAUGCUGUGU
    鎖VI:AGCAGAGUACACACAGCAUA
    鎖VII:pCAUAUACCPGGUAUAUGCUGUGUGUACUCUGCUUCPG
    鎖VIII:pUACCPGGUAUAUGCUGUGUGUACUCUGCUUCPG
    鎖IX:pCCPGGUAUAUGCUGUGUGUACUCUGCUUCPG
    鎖X:AGCAGAGUACACACAGCAUAUA
    鎖XI:pCPGGUAUAUGCUGUGUGUACUCUGCUUCPG
    鎖XII:AGCAGAGUACACACAGCAUAUAC
    配列中の「p」の略号は、5’末端の水酸基がリン酸基で修飾されていることを示す。また、配列中の「P」の略号は、下記構造式(III−A)で表されるアミダイトを用いて導入される構造であって、下記式で表される構造を示す。)
    Figure 0006817493
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