JP6815683B1 - 電極付心臓ネット - Google Patents

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Abstract

【課題】 電極付心臓ネットにおいて、心室に施すペーシングの効果を向上させる。【解決手段】 電極付心臓ネット100は、非導電性または導電性の糸を編んで形成した非導電部101、103、105、107、除細動電極102、108、およびペーシング電極104、106を接続して形成されている。除細動電極102、108は、除細動のための電極であり、心臓の周囲をほぼ水平にカバーするように形成されており、上下に配置されている。ペーシング電極104、106は、心臓の動作のセンシングおよび心室ペーシングのための電極であり、心臓の周囲をほぼ水平にカバーするとともに、スパイラルエントリーの中心を覆うように形成され、除細動電極102、108の間に配置されている。こうすることにより、心臓に周囲から興奮刺激を与えることができ、ペーシングを、それぞれ効果的に行うことが可能となる。【選択図】 図1

Description

本発明は、心臓疾患への処置として心臓に装着される心臓ネットのうち、電極を有する電極付心臓ネットに関する。
心臓疾患のうち、脈が病的に速くなる頻脈への処置として、植込み型除細動器(ICD: Implanted Cardioverter Defibrillator)が利用されることがある。植込み型除細動器は、血管を通じて心臓内部の所定位置に電極を埋め込み、これを植込み型除細動器本体と電気的に接続し、必要に応じて植込み型除細動器本体から電極に通電して心臓に除細動用の電気ショックを与える方法で利用されることが多い。このように、心臓内部に電極を埋め込むことは、患者に対する侵襲の程度が高く、患者に与える負担も大きいため、心臓内部ではなく皮下に電極を設ける方法や、心臓の外部に装着するネット等を利用して電極を設置する方法も提案されている。
心臓の外部にネット等を利用して電極を配置する技術としては、例えば、以下の先行技術が挙げられる。
米国特許公開公報US2002/10103511は、ジャケットと呼ばれる心臓に覆い被せるためのネットに、導線を編み込むようにして取付け、これを植込み型除細動器からの電気パルスを受ける電極として利用する技術を開示している。
米国特許公報6076013は、心臓ネットの格子部分に電極を配置し、心臓の動作状態の検知や、心室のペーシングに利用する技術を開示している。
日本特許公開公報2009-536560は、心臓に覆い被せる心臓ハーネスに、平板状の電極を配置する技術、およびハーネスを構成する金属製の素線の被覆を一部除去することにより電極として利用する技術を開示している。
日本特許公開公報2016-537178は、心臓に装着するネットの格子の部分に電極を設ける技術を開示している。
日本特許公開公報2011-56182は、平板パッド状の電極組立体に、除細動用の電極と、ペーシング用の電極をそれぞれ設ける技術を開示している。
また、心臓疾患には、心臓リモデリングと呼ばれる肥大現象により心臓の働きが低下する心不全もある。かかる心不全に対しては、心臓リモデリングを抑制するために、心臓を弾力性の心臓ネットで覆う処置が有効であることも知られている。
上述した通り、電極は、心臓に生じた心室細動を除去する除細動、心室の頻脈を抑止するための心室ペーシング、および心臓の動作状況の検出、即ちセンシングなど種々の目的で利用される。しかし、心室頻脈を抑止するために行われる両心室ペーシングでは、十分な効果が得られないケースが約30%程度も存在すると言われている。これらのケースにおいても、電極が、より適した態様で設けられれば、効果が得られることも期待されるのである。かかる課題は、植込み型除細動器もしくは心室再同期治療機能付き植込み型除細動器に共通する。
本発明は、かかる課題を解決し、心臓の外部にネットを介して電極を設置する方法において、ペーシングの効果を向上させる技術を提供することを目的とする。
本発明は、
植込み型除細動器((ICD: Implanted Cardioverter Defibrillator)もしくは心室再同期治療機能付き植込み型除細動器(CRT/D:Cardiac Resynchronization Therapy Defibrillator)からなる本体機器と接続されるペーシング電極と非導電部とを接合して形成され、心臓外部を覆うように装着される電極付心臓ネットであって、
前記非導電部は、非導電糸による伸縮可能な網であり、
前記ペーシング電極は、ペーシングのために心室の1/2高さより下側に配置され、心室周囲をほぼ水平に半周以上カバーする帯状の形状を有する電極付心臓ネットとして構成することができる。
従来技術では、ペーシング用の電極は、心臓内部に設ける方法、皮下に設ける方法、ネット等を介して心臓外部に設ける方法のいずれにおいても、点または平板状の電極でしかなかった。従来、ペーシングについて十分な効果が得られていなかったのは、このような点または平板の電極からでは、興奮刺激が目的とする心筋に到達するまでに時間を要したり、偏りが生じたりすることが原因と考えられる。これに対して、本発明によれば、ペーシング電極が心室周囲を半周以上カバーするように設けられている。従って、心室のほぼ全周から同期して興奮刺激を与えることができるため、ペーシングの効果を向上させることが可能となる。特に高頻脈ペーシングに有用である。
また、本発明では、ペーシング電極は、心室の1/2高さより下側に配置してあるため、心臓から血液を送り出すように心室を収縮させるのに効果的である。
さらに、本発明の非導電部は伸縮可能な網で形成してあるため、全体として心臓に電極を安定的に配置することができる利点もある。非導電糸としては、生体適合性材料であれば種々の繊維を利用できる。例えば、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン等とすることができる。非導電糸は、単繊維であってもよいし、それらをより合わせた糸であってもよい。また、種々の編み方を利用できるが、一例として、天竺編み、メッシュ編みなどが適用可能である。などによって構成することができる。天竺編み以外の方法を用いても良い。
本発明において、
「心室周囲を半周以上」とは、心室をほぼ水平に切った断面図の重心とペーシング電極の両端とをそれぞれ結んだ場合の中心角が180度以上であることと定義できる。
「ほぼ水平」とは厳密に水平ということを意味しているものではなく、ある程度の傾きを有していても差し支えない。心臓から血液を送り出す心室の動きを考えた場合に、ほぼ同期して収縮する領域にペーシング電極が配置される方向を意味している。
ペーシング電極は、ペーシングのみならず、心臓の動作状況を検出するセンシングの機能を兼用させてもよい。
本発明において、ペーシング電極は、金属の線材、板材など種々の形態をとることができるが、
前記ペーシング電極は、導電糸による伸縮可能な網であるものとしてもよい。
上記態様によれば、網の伸縮性により、ペーシング電極も安定的に、かつ心臓に沿うように配置することが可能となる。網については、非導電部と同用、天竺編み、メッシュ編みなど種々の編み方で構成できる。導電糸としては、種々の材料を適用可能であるが、例えば、タングステン、ステンレス、白金、白金イリジウム合金、ニチノールその他のニッケルチタン合金、カーボンナノチューブ(CNT:Carbon Nano Tube)、導電性フィラーが充填された樹脂材料などを用いることができる。採用する材料は、導電性、生体適合性、網の形成し易さである編み編成性、および強度、コストなどを考慮して選択すればよい。導電糸も、単繊維であってもよいし、より線であってもよい。
心臓ネットは、心臓リモデリングと呼ばれる肥大現象により心臓の働きが低下する心不全に対する処置として有用であることが知られている。かかる目的に対する心臓ネットは、心臓に適度な圧迫感を与えるものが好ましい。この圧迫感は、予めシミュレーションによって適した値範囲を求めることができる。本発明の電極付心臓ネットにも、こうして求められた圧迫感を与え得る弾力性を持たせることにより、心臓リモデリングを抑制する圧迫機能を併せもつものとして形成することも可能である。
しかし、以下の理由から、本発明の電極付心臓ネットは、心臓リモデリングに対する圧迫機能を敢えて有しないものとしても良い。植込み型除細動器もしくは心室再同期治療機能付き植込み型除細動器を利用する患者の全てが、心臓リモデリングを伴うとは限らず、圧迫機能を要するという訳ではない。また、圧迫機能を要する患者に対しては、本発明の電極付心臓ネットの上から、さらに、圧迫機能を有する心臓ネットを装着する方法も考えられる。このように考えると、本発明の電極付心臓ネットを、あえて圧迫機能を有しない構成とすることにより、本発明の電極付心臓ネットは、圧迫機能の要否によって編み方を変えるまでなく、双方の患者に適用することができる。また、非導電糸、導電糸という2種類の素材によって、所望の圧迫感を与える心臓ネットを編むという困難さを回避することもできる利点がある。
本発明においては、
前記ペーシング電極は、前記心室の全周をカバーするものとしてもよい。
こうすることにより、心室の全周囲から興奮刺激を与えることができ、ペーシングの効果を一層、向上させることができる。
本発明においては、
前記ペーシング電極として、前記本体機器と並列に接続される第1のペーシング電極および第2のペーシング電極を上下に配置してもよい。
上述の態様は、2つのペーシング電極を備える態様である。植込み型除細動器もしくは心室再同期治療機能付き植込み型除細動器からなる本体機器が、モノポーラ電極用の場合には、第1および第2のペーシング電極は、それぞれ1本の帯状電極となる。本体機器が、バイポーラ電極用の場合には、第1および第2のペーシング電極は、それぞれ正極および負極を構成する2本の帯状電極で構成されることになる。
このように2つのペーシング電極を上下に配置する場合、以下に示す種々の利用方法によってペーシングの効果を一層高めることが可能となる。第1の利用方法として、心臓の下側の電極、上側の電極から、時間差で電流を流すことにより、心臓が血液を送り出す収縮運動に同期した興奮刺激を与えることができる。また、第2の利用方法として、第1および第2の電極に、同時に電流を流すことにより、両電極の間に、心筋の不応期を比較的幅広く同期させることができ、これを、心室細動を誘引するスパイラルリエントリーなどの興奮信号の異常伝達を遮るブロックラインとして機能させることができる。これらの作用によって、上記態様は、一層、ペーシング効果を高めることが可能となるのである。特に、頻脈に対するペーシングとして有用性が高い。
上記態様は、本発明を、2つのペーシング電極を備えるものに限定する趣旨ではなく、ペーシング電極は、1つのみを備えてもよいし、3つ以上を備えてもよい。
本発明において、
前記ペーシング電極は、心室細動を誘引するスパイラルリエントリーの中心を覆うように配置されているものとしてもよい。
心臓において興奮を伝達する信号が、正常な場合には、心房から心室に一方通行で伝えられるものであるが、異常な場合には、信号が心室部分で旋回する回路、いわゆるスパイラルリエントリーを形成することがある。そして、このスパイラルリエントリーが、心室頻脈を誘引する原因の一つであることが知られている。かかる原因を踏まえれば、ペーシング電極を、スパイラルリエントリーの中心を覆うことにより、心室頻脈を効果的に抑止することが期待される。
スパイラルリエントリーの位置は、患者ごとに、予めシミュレーション、テスト等によって特定することができる。また、スパイラルリエントリーの位置は、厳密に一箇所に定まっている訳ではないが、変動するとしても、ある程度の範囲に収まる場合が多い。また、ペーシング電極は、スパイラルリエントリーの中心から少しでも外れると全く効果がなくなってしまう訳ではない。従って、シミュレーション等によって特定されたスパイラルリエントリーの中心を覆うようにペーシング電極を配置しておけば、多少、スパイラルリエントリーが発生する箇所が変動したとしても、心室頻脈を抑止する効果が十分に得られるものと期待される。
本発明においては、
さらに、導電糸による伸縮可能な網で構成され、前記本体機器と接続され心臓の除細動用に用いられる除細動電極を備えるものとしてもよい。
上記態様によれば、心臓の外部に広い範囲で除細動用の電極を配置することができるため、心臓内部に電極を埋める方法よりも低い電力で効果的に除細動を行うことができる。また、除細動電極も導電糸の網で構成するため、心臓の適切な位置に、心臓に沿わせて比較的安定して配置することが可能となる利点もある。
また、上記態様によれば、以下に示す利点もある。一般に心臓の除細動の電気ショックのために利用される電力は、心室ペーシングのための電力よりも大きい。従って、比較的大きい電力を扱う除細動用の除細動電極と、比較的小さい電力、電流を扱う心室ペーシング用のペーシング電極とを分けることにより、それぞれの目的に適した電極を形成しやすい利点がある。
さらに、除細動を行うためには、心室細動が生じているか否かを精度良く検出することが重要となるが、上記態様において、ペーシング電極にセンシングの機能も兼用させれば、センシング専用の電極を設けなくても、精度よく検出を行うことが可能となる利点もある。
ペーシング電極と除細動電極を設ける態様の場合、
前記除細動電極は、心臓の上下に配置されており、
前記ペーシング電極は、上下に配置された前記除細動電極の間に配置されているものとしてもよい。
除細動用の電極について、心臓の全包囲、心臓の上下、左右、前後のそれぞれの配置で除細動の効果を確認したところ、上下の配置において、最も小さい電力で効果が得られることが見いだされた。従って、この結果によれば、除細動電極は、上下に配置することが好ましいことになる。また、ペーシング電極を、除細動電極の間に配置すれば、その配置の自由度が高まるため、心室ペーシングに適した位置に配置することが可能となる。
除細動電極は、ペーシング電極と同様、心臓をほぼ水平に半周以上カバーするように配置してもよい。また、パッド状の電極として形成してもよい。
ペーシング電極と除細動電極を設ける態様の場合、
前記除細動電極の面積は、前記ペーシング電極の面積よりも大きいものとしてもよい。
除細動用の電気ショックに用いられる電力は、心室ペーシングのための電力よりも多いのが通常である。従って、除細動電極とペーシング電極の面積を上記態様のように設定することにより、それぞれの電力を無駄なく扱うことが可能となる。
両者のサイズは、電力等に基づいて任意に設定可能である。
以上で述べた種々の態様において、
前記非導電部は、吸収糸で形成されているものとしてもよい。
こうすることにより、非導電部が、体内で感染症などを引き起こすリスクを低減することができる。
本発明の電極付心臓ネットが、心臓リモデリングを抑制するための圧迫感を心臓に与えない構成の場合、非導電部は、電極を保持する役割だけを負うものとなる。従って、心臓に装着した後は、電極の形状によっては、それ以上、非導電部で保持する必要がないこともあり得る。上記態様は、このように非導電部が、心臓に圧迫感を付与する機能を有しない場合に特に有用である。
また、非導電部を吸収糸で構成した場合、非導電部が吸収された後でも、電極を適正な位置に保持しておく必要がある。かかる観点から、電極は、心臓を周回する形状とすることが好ましい。こうしておけば、電極を、その弾性力によって、心臓上の適切な位置に保持することが可能となる。
本発明においては、
さらに、コネクタを有しており、
前記コネクタは、前記本体機器と接続するための規格化されたリードを差し込むためのジャックが取り付けられており、
前記ジャックには、前記電極付心臓ネットの各電極からの導線が接続されているものとしてもよい。
こうすることにより、電極付心臓ネットと本体機器とを比較的容易に接続でき、また不意の断線を抑制することができる。一般に、植込み型除細動器もしくは心室再同期治療機能付き植込み型除細動器からなる本体機器と心臓の電極との間には、規格化された種々のリードが既に存在している。従って、電極付心臓ネットと本体機器とは、これらのリードを利用して接続することが利便性、信頼性という点で好ましい。
この場合、規格化されたリードと、電極付心臓ネットとの接続については、種々の方法が考えられる。例えば、リードの先端のプラグを外し、リード内の導線を露出させた上で、これらの導線と電極付心臓ネットの各電極とを接続する方法が考えられる。しかし、かかる方法では、いずれかの電極との接続部分で断線が生じたとき、電極付心臓ネットおよび本体機器を含む植込み型除細動装置全体を取り替えなくてはならなくなってしまう。また、規格化されたリードの先端の導線を露出させる時点で、そのリードの信頼性を低下させるおそれもある。
これに対し、上記態様では、コネクタを用いることにより、電極付心臓ネットと本体機器との間は、規格化されたリードをそのまま用いて接続することが可能となる。さらに、電極付心臓ネットと本体機器とを、それぞれ個別に体内に装着または設置した上で、両者をリードで接続すれば良いから、装着する際の作業性を向上させることもできる。また、電極付心臓ネットに対してコネクタの相対的な位置が安定するように両者を配置できれば、電極付心臓ネットの電極に接続された導線に外力が作用することを抑制でき、この部分での断線を抑制することが可能となる。さらに、本体機器の故障が生じたときでも、電極付心臓ネットは装着したまま、本体のみを交換すれば済む利点もある。
電極への導線は、種々の態様で接続することができる。例えば、電極を構成する導電糸の一部を、そのまま外部に延長して、導線として利用してもよい。
また導線は、各電極を構成する網に編み込まれているものとしてもよい。
こうすることにより、比較的簡易な構成で、導線を接続することができる。また、電極を構成する導電糸の一部を延長するよりも、簡易に製造することができる利点がある。
導線は、種々の態様で編み込むことができるが、一例として、
前記導線は、各電極を構成する網にループを形成して編み込まれているものとしてもよい。
こうすることにより、導線自体にも伸縮性を与えることができるため、より断線を抑制することが可能となる。また、導線と電極との接触面積を向上させることができ、導電性確保を図ることができる。
導線は、さらに種々の態様で取り付けることができ、例えば、各電極に対して、複数の導線を取り付けるようにしてもよい。こうすることにより、一部の導線が断線した場合でも、電極付心臓ネットを交換するまでなく、他の導線を利用して本体機器と接続することが可能となる。
本発明は、以上で説明した種々の特徴を、必ずしも全て備えている必要はなく、適宜、その一部を省略したり、組み合わせたりしてもよい。
また、本発明は、電極付心臓ネットの態様の他、種々の態様で構成可能である。
例えば、
本発明は、
上述したいずれか記載の電極付心臓ネットと、
植込み型除細動器もしくは心室再同期治療機能付き植込み型除細動器からなる本体機器とを導線で接続した植込み型除細動装置として構成してもよい。
また、コンピュータによって、電極付心臓ネットを設計する設計方法であって、
コンピュータが実行するステップとして、
シミュレーションにより患者のスパイラルリエントリーの位置を特定するステップと、
前記特定された中心を覆うように電極の配置を決定するステップとを備える電極付心臓ネットの設計方法とすることもできる。
植込み型除細動装置の全体構成を示す説明図である。 除細動電極の配置に応じた除細動の成功率を示すグラフである。 電極の配置例を示す説明図である。 電極付心臓ネットの製造工程を示すフローチャートである。
図1は、植込み型除細動装置の全体構成を示す説明図である。実施例における植込み型除細動装置は、植込み型除細動器本体200と、電極付心臓ネット100とをリード130で接続して構成されている。
植込み型除細動器本体200は、既存の種々の機器を利用可能であり、植込み型除細動器(ICD: Implanted Cardioverter Defibrillator)もしくは心室再同期治療機能付き植込み型除細動器(CRT/D:Cardiac Resynchronization Therapy Defibrillator)のいずれであってもよい。本実施例では、心臓の動作の検出、即ちセンシング、および、心室ペーシング、並びに除細動の機能を有するものを利用する。モノポーラ、バイポーラのいずれを用いても良い。
リード130は、植込み型除細動器本体200との接続用として規格化されたものを用いる。規格としては、DF1、DF4、IF1などが挙げられる。
電極付心臓ネット100は、心臓に下側から覆い被せるようにして装着するためのネットである。電極付心臓ネット100は、非導電部101、103、105、107、除細動電極102、108、およびペーシング電極104、106を接続して形成されている。非導電部101、103、105、107は、非導電糸を天竺編みその他の方法で編んで形成された伸縮性の網である。非導電糸としては、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン等を用いることができる。非導電糸として、吸収糸を用いることも可能である。
本実施例においては、ペーシング電極104、106は、心臓の動作状態を検出するセンシングにも用いられる。
除細動電極102、108、およびペーシング電極104、106は、それぞれ導電糸を天竺編みその他の方法で編んで形成された伸縮性の網である。導電糸としては、種々の材料を適用可能であるが、例えば、タングステン、ステンレス、白金、白金イリジウム合金、ニチノールその他のニッケルチタン合金、カーボンナノチューブ(CNT:Carbon Nano Tube)、導電性フィラーが充填された樹脂材料などを用いることができる。細線の太さは、任意に定め得るが、例えば、20〜30マイクロメートル前後とすることができる。
本実施例では、除細動電極102、108と、ペーシング電極104、106とで異なる材料を用いた。ペーシング電極104、106には、CNT単体からなる繊維を利用した。一方、除細動電極には、白金細線を利用した。一般に、除細動は、比較的短時間に大電流を流すのに対し、ペーシングは、継続的に小電流を流す形で利用される。従って、除細動電極が0.5〜2オーム程度のインピーダンスとするのに対し、ペーシング電極は150オーム程度とされる。こうすることにより、ペーシング電極に流れる電流を抑制し、バッテリを長持ちさせることができる。また、除細動電極、ペーシング電極に異なる素材を用いることにより、それぞれでの消費電力の違いに応じた電極を構成することが可能となる。
非導電部101、103、105、107、除細動電極102、108、およびペーシング電極104、106の接続は、電極付心臓ネット100を下端、即ち除細動電極108または上端、即ち非導電部101側から編み込む過程で、それぞれ部位に応じて非導電糸、導電糸に切り換えることで実現してもよい。また、それぞれの部位を個別に編んだ上で、相互につなぎ合わせるようにしてもよい。
除細動電極102、108は、除細動のための電極である。ペーシング電極104、106は、心臓の動作のセンシングおよび心室ペーシングのための電極である。本実施例では、除細動電極102、108は、それぞれ心臓の周囲をほぼ水平にカバーするように形成されており、上下に配置されている。ペーシング電極104、106も、心臓の周囲をほぼ水平にカバーするように帯状に形成されており、除細動電極102、108の間に配置されている。
本実施例では、除細動電極102、108の幅は、ペーシング電極104、106よりも広くなっており、結果として、電極102、108の面積はペーシング電極104、106の面積よりも大きくなっている。一般に心臓の除細動用の電力は、心室ペーシングのための電力よりも大きい。除細動電極102、108は心臓の除細動用の電極であり、ペーシング電極104、106であるため、両者を供給される電力に応じた面積とすることによって、それぞれの機能に応じた電力を有効に活用することができる。
図1に示した形状および配置は、一例に過ぎない。除細動電極102、108およびペーシング電極104、106の形状、面積、部位は、それぞれの機能を考慮して任意に決めることが可能である。例えば、除細動電極は、必ずしも心臓を周回するように設ける必要はなく、パッド状の電極としてもよい。
除細動電極102、108、およびペーシング電極104、106は、導線110、111、112、113によってコネクタ120に接続されている。導線111〜113は、それぞれの電極に編み込むように取り付けられている。図中に、除細動電極108と導線113との接続領域Aの拡大図を右下に示した。図示するように、除細動電極108は、導線糸108hが編み込まれている。図の例は、天竺編みである。
導線113は、この編み目に編み込んで取り付けられる。図の例では、導線113は、網目に適宜、ループを形成しながら編み込まれている。こうすることにより、電極付心臓ネット100の伸縮に合わせて、導線113も伸縮することができ、断線を抑制することができる。また、導線113と電極との接触面積を向上させることができ、導電性確保を図ることができる。導線113には、この他、直線状に編み込む方法、ジグザグに編み込む方法など種々の編み込み方を適用することができる。また、導線113として、撚線を用いる場合は、先端をバラした上で、撚線を構成する単線ごとに編み込むようにしてもよい。導線110〜112も、同様に、それぞれの電極に編み込まれている。
コネクタ120には、リード130の先端に設けられているプラグに適合したジャック121が取り付けられている。導線110〜113は、除細動、センシング、および心室ペーシングの機能を実現するよう、ジャック121に電気的に接続されている。こうすることにより、電極付心臓ネット100と植込み型除細動器本体200とをリード130で電気的に接続することができる。
植込み型除細動器を体内に取り付ける際には、植込み型除細動器本体200および電極付心臓ネット100をそれぞれ装着した上、リード130をコネクタ120に接続する。このようにコネクタ120を利用することにより、植込み型除細動器を取り付ける作業性の向上を図ることができる。また、コネクタ120を利用することにより、導線110〜113に外力が作用することを抑制でき、導線110〜113の脱落を抑制することができる。
図2は、除細動電極の配置に応じた除細動の成功率を示すグラフである。除細動電極は、除細動のための電極であり、図1に示した位置以外にも種々の配置が可能である。そこで、電極を種々の位置に配置して、除細動に対する効果を確認した。図2の上側に、それぞれのケースに対応した電極の配置を模式的に示した。図2中のグラフL1は上下に電極を配置したケースの結果、グラフL2は心臓の左右に対向するように電極を配置したケースの結果、グラフL3は心臓の前後に対向するように電極を配置したケースの結果、グラフL4は心臓全体を包含するように電極を配置したケースの結果をそれぞれ示している。図示する通り、同じ除細動エネルギーに対して、上下に電極を配置したケース(グラフL1)では、他のいずれのケースよりも、除細動の成功率が高くなっていることが分かる。即ち、除細動のためには、上下に電極を配置することが好適であると考えられる。図1に示した本実施例における除細動電極102、108は、かかる結果に基づき、心臓の上下に配置されている。もっとも、こうした実験結果は、除細動電極の配置について、上下以外の配置を否定するものではない。
次に、図1で示した電極の配置について、詳しく説明する。
図3は、電極の配置例を示す説明図である。この例では、ペーシング電極106は、心室に形成されるスパイラルリエントリーの中心を覆う形状、面積および配置とする。図中の曲線Sがスパイラルリエントリーを表し、点Cがその中心を表している。スパイラルリエントリーとは、心房から心室に一方通行に伝達されるべき興奮の信号が、何らかの異常によって図示するように旋回する回路を形成したものを言う。スパイラルリエントリーは、心室頻脈を誘引すると言われている。そこで、図示する態様では、このスパイラルリエントリーの中心である点Cを覆うようにペーシング電極106を配置した。こうすることにより、心室頻脈を誘引するスパイラルリエントリーに、直接的に電気刺激を与えることができ、心室頻脈を抑止する効果を高めることができる。
スパイラルリエントリーの発生位置は、シミュレーション、テスト等によって特定することが可能である。ただし、スパイラルリエントリーの位置は、厳密に一定の箇所に発生するとは限らないし、その特定に誤差が生じることもある。従って、ペーシング電極106の形状、面積については、点Cの誤差および変動を考慮して、これをカバーできるように決定することが好ましい。
本実施例では、ペーシング電極106は、心室の周囲をほぼ水平にカバーする帯状の電極であり、心室の高さHの半分(H/2)よりも下側に配置されている。こうすることにより、血液を送り出す心臓の動きに合うように興奮刺激を効果的に与えることが可能となる。植込み型除細動器本体200がモノポーラタイプである場合には、ペーシング電極106は一本の帯となるし、バイポーラタイプである場合には、ペーシング電極106は、正極、負極の帯を2本上下に並べた態様とすることができる。
また、本実施例では、ペーシング電極106の上側に、ペーシング電極104を設けた。ペーシング電極104も、ペーシング電極106と同用、心室の周囲をほぼ水平にカバーする帯状の電極である。また、植込み型除細動器本体200がモノポーラタイプである場合には、ペーシング電極104は一本の帯となるし、バイポーラタイプである場合には、ペーシング電極104は、正極、負極の帯を2本上下に並べた態様とすることができる。
ペーシング電極104の位置は、任意に設定することができる。ペーシング電極104は、必ずしも心室高さの半分(H/2)よりも下側である必要はない。
ペーシング電極104、106の高さ方向の幅は、任意に設定可能であるが、約10ミリメートル以下が好ましく、5ミリメートル以下、さらには2ミリメートル前後とすることがより好ましい。本実施例では、2ミリメートル前後とした。ペーシング電極104、106は、消費電力を抑制できるよう150オーム程度のインピーダンスが実現されるように設定することが好ましい。
ペーシング電極104、106を上下に配置することにより、種々の利用方法が可能である。第1の利用方法として、心臓の下側の電極、上側の電極から、時間差で電流を流すことにより、心臓が血液を送り出す収縮運動に同期した興奮刺激を与えることができる。また、第2の利用方法として、第1および第2の電極に、同時に電流を流すことにより、両電極の間に、心筋の不応期を比較的幅広く同期させることができ、これを、心室細動を誘引するスパイラルリエントリーなどの興奮信号の異常伝達を遮るブロックラインとして機能させることができる。これらの作用によって、上記態様は、一層、ペーシング効果を高めることが可能となる。特に、頻脈に対するペーシングとして有用性が高い。
もっとも、ペーシング電極106のみを設ける態様、または3つ以上のペーシング電極を設ける態様をとることも可能である。
図の下側に、心臓の水平断面を示した。右心室RV、左心室LVおよびその周囲の心臓の壁を模式的に示した。ペーシング電極106は、図示する通り、心臓の全周を覆うように配置されている。ペーシング電極106に電流を流すと、心臓には、図中の矢印で示すように周囲から同期して興奮刺激が与えられることになる。従って、血液を送り出すように心臓を効果的に収縮させることが可能となるのである。また、両心室をカバーすることにより、両心室の動きを同期させることも可能となる。
もっとも、ペーシング電極106は、必ずしも全周をカバーする必要はない。ペーシング電極106に代えて図中のペーシング電極106Aを設けてもよい。ペーシング電極106Aは、左心室LV側をカバーしているが、右心室RV側はカバーしていない。ペーシング電極106Aの両端と、この断面図における心臓の重心CGとを結んだ中心角ANGは、180度よりも大きい。このように心室の半周以上をカバーしていれば、心臓の周囲から興奮刺激を与えることによる効果は得られるものと考えられる。
図の例では、ペーシング電極106Aは、左心室LV側をカバーしているが、逆に右心室RV側をカバーするように配置してもよいし、両心室の一部をカバーするように配置してもよい。種々の配置が可能である。
また、ペーシング電極106、104の一方は全周をカバーし、他方は一部をカバーするようにしてもよい。
ペーシング電極の配置、除細動電極との位置関係を考慮して、任意の位置に設定可能である。逆に、除細動電極についても、ペーシング電極の位置を考慮して、図1に示した周回形状かつ上下の配置に限らず、他の配置をとってもよい。
しかし、植込み型除細動器は、通常、心室頻脈が検出されたときに、まずペーシング電極に通電して心室ペーシングを試み、それでも心室細動が停止しないときに、除細動電極を利用して除細動を行うという順序で利用されることになる。この意味では、除細動は、心臓の異常を停止する最後の砦と呼ぶべき動作であり、心室ペーシングよりも重要性が高いと言える。従って、ペーシング電極よりも除細動電極を優先して、両者の形状、面積、位置を決定することがより好ましいと考えられる。
図4は、電極付心臓ネットの製造工程を示すフローチャートである。電極付心臓ネットを製造する際の手順を示したものであり、全ステップを、コンピュータによって自動的に行うことを意味するものではない。もちろん、可能な限り、コンピュータを利用することを否定するものでもない。従って、本製造工程を実施する主体は、コンピュータの場合もあれば、設計者(人間)の場合もある。以下の説明では、両者を含めて、実施者を主語として説明する。
この製造工程では、まず、実施者は、シミュレーション、テスト等によってスパイラルリエントリーの中心位置である点Cを特定する(ステップS10)。シミュレーションについては、公知の種々の方法をとることができる。特定の患者に専用の電極付心臓ネットを製造する際には、対象となる患者のデータを利用してこのシミュレーションを行えばよい。複数の患者に適用する汎用的な電極付心臓ネットを製造する際には、複数の患者のデータを利用してこのシミュレーションを行い。統計的に、スパイラルリエントリーが発生する確率が高い中心位置を特定すればよい。
スパイラルリエントリーの位置を特定すると、次に、実施者は、除細動電極、即ち除細動電極102、108の位置および形状を設定する(ステップS11)。設定のための条件を図示した。条件1としては、ペーシング用電極であるペーシング電極104、106の上下に配置することである。ペーシング用電極の位置等は、次のステップで設定するため、ペーシング用電極を配置するスペースを空けて上下に配置すればよい。ただし、スパイラルリエントリーの中心に被らないよう、その位置および形状を決めることが好ましい。
条件2としては、心臓をほぼ水平に周回させる形状である。除細動電極102、108に例示した通りである。こうすることにより、心臓の周囲から電気ショックを与えることができ、除細動を効果的に行うことができる。また、心臓を周回する形で除細動電極を形成すれば、心臓の動きなどによる位置のずれを抑制することもできる。非導電部を吸収糸で形成する場合には、心臓を周回する形とすることは、電極の位置を安定させるという意味で、特に有用性が高い。
また、条件3としては、除細動用電力に応じた幅とすることである。本実施例では、非常に細線の導電糸を用いて電極を形成するため、電極の幅が狭くなれば、抵抗が増大する傾向にある。本実施例の電極付心臓ネットを用いる場合に供給される除細動用の電力は、従来の心臓内部に電極を埋め込むタイプの植込み型除細動器で利用される電力よりも格段に小さい。しかしながら、除細動では、心臓ペーシングに比較して大きい電力が使用されるのが通常である。従って、除細動電極102、108の形状及び位置を設定する場合には、そこに供給される電力を踏まえて、十分、効率的に除細動を行うことができるように、その幅を設定することが好ましい。
除細動電極を設定するための条件1〜3は、必ずしも全てを満たす必要はない。例えば、スパイラルリエントリーの位置(点C)などを考慮して、条件1〜3の一部または全部を緩和して設定するようにしてもよい。
こうして除細動電極102、108の位置および形状を設定すると、実施者は、次にペーシング用電極、即ちペーシング電極104、106の位置および形状を設定する(ステップS12)。設定のための条件を図示した。条件1は、スパイラルリエントリーの中心位置(点C)を覆うという条件である。こうすることにより、心臓ペーシングを効果的に行うことができる。条件2は、中心角(図3のANG参照)を180度以上とすることである。こうするすることにより、一層、心臓ペーシングの効果を高めることができる。ペーシング電極104、106を設定するための条件1、2は、必ずしも全てを満たす必要はない。例えば、除細動電極の位置などを考慮して、条件1、2の一部または全部を緩和して設定するようにしてもよい。また、ペーシング電極106のみを設けるようにしてもよいし、3つ以上を設けるようにしてもよい。
なお、ステップS10〜S12は、順序を入れ替えることもできる。本実施例で、除細動電極102、108の設定(ステップS11)を、ペーシング電極104、106の設定(ステップS12)よりも優先した理由は、既に述べた通り、除細動電極102、108の重要性の方が高いと考えるからである。
こうして除細動電極、ペーシング電極の設定が完了すると、全体の編み込みを行う(ステップS13)。非導電部101、103、107は、除細動電極102、108およびペーシング電極104、106の形状および位置が決まれば、それをつなぎ合わせるように自ずと形状を定めることができる。全体の編み込みは、a)電極付心臓ネットを編み込む途中で、適宜、導電糸、非導電糸を切り換えることで、非導電部、除細動電極、ペーシング電極を形成する方法、b)非導電部、除細動電極、ペーシング電極を個別に編んだ上で、これらを接続する方法のいずれを採用してもよい。
最後に、各電極に導線を編み込む(ステップS14)。導線の図示は省略した。各導線の先端は、図1で示したコネクタ120に接続してもよいし、リード130に直接接続してもよい。
以上の工程により、電極付心臓ネットを製造することができる。また、リード130によって植込み型除細動器本体200と接続すれば、全体として植込み型除細動器を構成することができる。
以上で説明した本実施例の電極付心臓ネットおよびそれを利用した植込み型除細動器によれば、以下に示す種々の効果を得ることができる。
まず、本実施例では、心室の半周以上をカバーするようにペーシング電極106を設けるため、図3で説明した通り、ペーシングを効果的に行うことが可能となる。
また、本実施例では、各電極および非導電部を伸縮可能な網で構成するため、心臓に沿った形で電極を配置することも可能であり、伸縮性があるため、心臓との電気的接触性も良好となる。この結果、それぞれの機能を効果的に果たすことが可能となる。
本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を変更しない範囲で、種々の変形例を構成することが可能である。
本発明は、植込み型除細動器に利用することができる。
100、100A 電極付心臓ネット
101、103 、105、107 非導電部
102、108 除細動電極
104、106 ペーシング電極
108h 導線糸
110〜113 導線
120 コネクタ
121 ジャック
130 リード
200 植込み型除細動器本体

Claims (12)

  1. 植込み型除細動器もしくは心室再同期治療機能付き植込み型除細動器からなる本体機器と接続されるペーシング電極と非導電部とを接合して形成され、心臓外部を覆うように装着される電極付心臓ネットであって、
    前記非導電部は、非導電糸による伸縮可能な網であり、
    前記ペーシング電極は、ペーシングのために心室の1/2高さより下側に配置され、心室周囲をほぼ水平に半周以上カバーする帯状の形状を有する電極付心臓ネット。
  2. 請求項1記載の電極付心臓ネットであって、
    前記ペーシング電極は、導電糸による伸縮可能な網である電極付心臓ネット。
  3. 請求項1記載の電極付心臓ネットであって、
    前記ペーシング電極は、前記心室の全周をカバーする電極付心臓ネット。
  4. 請求項1記載の電極付心臓ネットであって、
    前記ペーシング電極として、前記本体機器と並列に接続される第1のペーシング電極および第2のペーシング電極を上下に配置した電極付心臓ネット。
  5. 請求項1記載の電極付心臓ネットであって、
    前記ペーシング電極は、心室細動を誘引するスパイラルリエントリーの中心を覆うように配置されている電極付心臓ネット。
  6. 請求項1記載の電極付心臓ネットであって、
    さらに、導電糸による伸縮可能な網で構成され、前記本体機器と接続され心臓の除細動用に用いられる除細動電極を備える電極付心臓ネット。
  7. 請求項6記載の電極付心臓ネットであって、
    前記除細動電極は、心臓の上下に配置されており、
    前記ペーシング電極は、上下に配置された前記除細動電極の間に配置されている電極付心臓ネット。
  8. 請求項6記載の電極付心臓ネットであって、
    前記除細動電極の面積は、前記ペーシング電極の面積よりも大きい電極付心臓ネット。
  9. 請求項1〜8いずれか記載の電極付心臓ネットであって、
    前記非導電部は、吸収糸で形成されている電極付心臓ネット。
  10. 請求項1〜8いずれか記載の電極付心臓ネットであって、
    さらに、コネクタを有しており、
    前記コネクタは、前記本体機器と接続するための規格化されたリードを差し込むためのジャックが取り付けられており、
    前記ジャックには、前記電極付心臓ネットの各電極からの導線が接続されている電極付心臓ネット。
  11. 請求項10記載の電極付心臓ネットであって、
    前記導線は、各電極を構成する網にループを形成して編み込まれている電極付心臓ネット。
  12. 請求項1〜11いずれか記載の電極付心臓ネットと、植込み型除細動器もしくは心室再同期治療機能付き植込み型除細動器からなる本体機器とを導線で接続した植込み型除細動装置
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