JP2011056182A - 除細動電極組立体、除細動電極部分組立体、および植込み型除細動システム - Google Patents

除細動電極組立体、除細動電極部分組立体、および植込み型除細動システム Download PDF

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Abstract

【課題】除細動電極組立体、除細動電極部分組立体、および植込み型除細動システムにおいて、心臓の電気的興奮を検出するセンシング電極部を、心臓の外部近傍に容易に配置し、かつ安定した位置に保持することができるようにする。
【解決手段】胸腔内の心臓の外部側に設置され、ICD本体に接続される心外除細動電極組立体2であって、心室細動等を除去するためにICD本体からの電気エネルギーを被設置面に印加する除細動電極10と、除細動電極10をICD本体に電気的に接続する除細動電極リード部17と、シート状の絶縁材料からなり、除細動電極10を電極設置面9aに露出させて保持する絶縁ベース9と、電極設置面9a上で除細動電極10と離間した位置に配置され、心臓の電気的興奮を検出するセンシング電極部13と、センシング電極部13をICD本体に電気的に接続するリード部14と、を備えるものを用いる。
【選択図】図4

Description

本発明は、胸腔内で心臓の外部に設置される除細動電極組立体、除細動電極部分組立体、および植込み型除細動システムに関する。
一般に、心臓の不整脈は、心臓の電気生理学的特性の異常によって心房又は心室に発生するものである。頻脈は、急速な鼓動を特徴とする不整脈であり、このうち、頻脈は細動となる場合がある。細動が生じている間には、心臓がまとまりのない不規則な収縮を行い、結果として心臓の血液圧送能力を失うことになる。心臓の出力に対する心房の寄与は少ないため、一般に、心房の細動は生命を脅かすものではない。しかし、心室の細動の場合には、心臓の出力が即座に停止し、全身への血液の供給不足により、死に至る可能性が高くなる。
上記の心室の細動を除去するためには、高エネルギーのショックを心臓に加え、個々の組織区域の無秩序な収縮を鎮めるとともに、心筋において細胞から細胞まで組織的に広がる活動電位を再構築し、心臓組織の同期的な収縮を回復させる手段が用いられる。
これを行うものが植込み型除細動器(ICD:Implantable Cardioverter Defibrillator)であり、右心室側に設置されたRV−Def電極と左胸皮下に設置されたICD本体との間で、高エネルギーショックを行うことが多い。この時には、20J〜40Jの高いエネルギーを必要とする。
これに対して、より低エネルギーで心室細動を除去する(除細動する)ため、ICDに接続された2つの除細動電極を心臓の近傍に配置して、これらの除細動電極間で電気エネルギーを印加することが提案されている。
このような除細動に用いるための除細動電極として、特許文献1には、第1表面及び第2表面を有する絶縁性の素子と、絶縁性の素子の第1表面に配置されかつ絶縁性の素子の第1表面の無導体領域によって互いに離間した少なくとも2つの導電素子とからなる細動除去パッチ電極が記載されている。
この細動除去パッチ電極は、無導体領域がヒンジの機能を有する。このため、折り畳んだ状態で内視鏡またはカニューレを通して胸腔内に挿入し、胸腔内で弾性復元力によって平面状に開くことができるので、開胸手術をすることなく心臓の表面上または近傍へ容易に取り付けることができる。
特許第2744879号公報
しかしながら、上記のような従来の除細動電極には、以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術では、心臓の近傍に除細動電極を設置することができるため、従来の一方の電極をICD本体とする場合に比べて低エネルギーで除細動を行うことはできるものの、ICDによって除細動を行うには、心室細動を検出したり心室細動の発生を抑制したりするために各種の経静脈リードを別に心臓内に設置しなければならないという問題がある。
経静脈リードの種類や数は、患者の症例によっても異なるが、少なくとも心室細動を検出するために心臓の電気的興奮を検出する何らかのセンシング電極を有することは必須である。また、このセンシング電極は、除細動に先立って心室細動の停止または抑制を試みるために心臓に低エネルギーの電気的刺激を与えるペーシング電極を兼ねていることが好ましい。
このような経静脈リードの例としては、右心房内に配置されるRAリード、右心室内に配置されるRVリード、左心室部を対象として冠状静脈に配置される冠状静脈(CS)リード等を挙げることができる。
すなわち、特許文献1に記載の除細動電極では、経静脈リードに代わる機能を有しないため、別に経静脈リードを組み合わせて除細動システムを構成しなければならない。このため除細動電極の留置とともに経静脈リードの留置も必要となるという問題がある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、心臓の電気的興奮を検出するセンシング電極部を、心臓の外部近傍に容易に配置し、かつ安定した位置に保持することができる除細動電極組立体、除細動電極部分組立体、および植込み型除細動システムを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、胸腔内で心臓の外部側の被設置面に設置され、植込み型除細動器に接続される除細動電極組立体であって、前記植込み型除細動器からの電気エネルギーを前記被設置面に印加する除細動電極と、該除細動電極を前記植込み型除細動器に電気的に接続する除細動電極リードと、シート状の絶縁材料からなり、前記除細動電極を一方のシート表面に露出させて保持する絶縁部材と、前記一方のシート表面上で前記除細動電極と離間した位置に配置され、心臓の電気的興奮を検出するセンシング電極部と、該センシング電極部を前記植込み型除細動器に電気的に接続するセンシング電極リードと、を備える構成とする。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の除細動電極組立体において、前記絶縁部材は、前記センシング電極部を着脱可能に保持する複数のセンシング電極保持部を備え、
前記センシング電極部は、前記絶縁部材の前記複数の保持部のいずれかに保持されている構成とする。
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の除細動電極組立体において、前記複数のセンシング電極保持部は、前記センシング電極部を前記被設置面に沿う方向に位置移動可能な溝形状を有する構成とする。
請求項4に記載の発明では、請求項1または2に記載の除細動電極組立体において、前記複数のセンシング電極保持部は、前記絶縁部材の厚さ方向に貫通して設けられ、前記センシング電極部を前記絶縁部材の他方のシート表面側から着脱できるようにした保持孔部を備える構成とする。
請求項5に記載の発明では、請求項1または2に記載の除細動電極組立体において、前記除細動電極リードおよび前記センシング電極リードを一体に被覆する絶縁管部材を備える構成とする。
請求項6に記載の発明では、請求項2に記載の除細動電極組立体において、前記除細動電極、前記除細動電極リード、および前記複数のセンシング電極保持部は、前記絶縁部材に一体に固定されて除細動電極部分組立体を構成し、前記センシング電極部と、該センシング電極部に電気的に接続された前記センシング電極リードとは、前記除細動電極部分組立体に対して分離可能に設けられた構成とする。
請求項7に記載の発明では、胸腔内で心臓の外部側の被設置面に設置され、心臓の電気的興奮を検出するセンシング電極部とともに植込み型除細動器に接続して用いられる除細動電極部分組立体であって、前記植込み型除細動器からの電気エネルギーを前記被設置面に印加する除細動電極と、該除細動電極を前記植込み型除細動器に電気的に接続する除細動電極リードと、シート状の絶縁材料からなり、前記除細動電極を一方のシート表面に露出させて保持する絶縁部材と、前記一方のシート表面上で前記除細動電極と離間した位置に設けられ、前記センシング電極部を着脱可能に保持するための複数のセンシング電極保持部と、を備える構成とする。
請求項8に記載の発明では、植込み型除細動システムにおいて、請求項1または2に記載の除細動電極組立体と、該除細動電極組立体に設けられた前記除細動電極リードおよび前記センシング電極リードに電気的に接続される植込み型除細動器と、を備える構成とする。
本発明の除細動電極組立体、除細動電極部分組立体、および植込み型除細動システムによれば、心臓の電気的興奮を検出するセンシング電極部を絶縁部材のシート表面上に配置することができるので、センシング電極部を心臓の外部近傍に容易に配置し、かつ安定した位置に保持することができるという効果を奏する。
本発明の第1の実施形態に係る植込み型除細動システムの概略構成を示す模式的な構成図、およびそのA−A断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る植込み型除細動システムの心内除細動電極組立体の配置を示す模式的な斜視部分断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る植込み型除細動システムに用いる心内除細動電極組立体の構成を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態に係る除細動電極組立体の概略構成を示す模式的な平面図、そのB−B断面図、およびC視の側面図である。 本発明の第1の実施形態に係るセンシング電極部の構成を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態に係る除細動電極組立体に用いる除細動電極リード、センシング電極リード、および絶縁管部材の模式的な断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る植込み型除細動システムの除細動時の電圧波形の一例を示す模式的なグラフである。 本発明の第2の実施形態に係る植込み型除細動システムの概略構成を示す模式的な構成図である。 本発明の第2の実施形態に係る除細動電極組立体の概略構成を示す模式的な平面図、そのD−D断面図、およびE視の側面図である。 本発明の第3の実施形態に係る除細動電極組立体の概略構成を示す模式的な平面図、およびそのF視の側面図である。 本発明の第3の実施形態に係る除細動電極組立体のセンシング電極保持部およびセンシング電極部の構成を示す平面視の模式的な拡大図、およびそのG−G断面図である。 本発明の第3の実施形態の変形例(第1変形例)に係る除細動電極組立体の概略構成を示す模式的な平面図、およびそのJ視の側面図である。 本発明の第3の実施形態の変形例(第1変形例)に係る除細動電極組立体のセンシング電極保持部およびセンシング電極部の構成を示す平面視の模式的な拡大図、およびそのK−K断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る除細動電極組立体の概略構成を示す模式的な平面図、そのL視の側面図、およびM−M断面図である。 本発明の第4の実施形態に係るセンシング電極部の構成を示す模式図である。 本発明の第4の実施形態の変形例(第2変形例)に係る除細動電極組立体の概略構成を示す模式的な平面図である。
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る除細動電極組立体および植込み型除細動システムについて説明する。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る植込み型除細動システムの概略構成を示す模式的な構成図である。図1(b)は、図1(a)におけるA−A断面図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る植込み型除細動システムの心内除細動電極組立体の配置を示す模式的な斜視部分断面図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る植込み型除細動システムに用いる心内除細動電極組立体の構成を示す模式図である。図4(a)は、本発明の第1の実施形態に係る除細動電極組立体の概略構成を示す模式的な平面図である。図4(b)、(c)は、それぞれ図4(a)におけるB−B断面図およびC視の側面図である。図5は、本発明の第1の実施形態に係るセンシング電極部の構成を示す模式図である。図6は、本発明の第1の実施形態に係る除細動電極組立体に用いる除細動電極リード、センシング電極リード、および絶縁管部材の模式的な断面図である。
なお、各図面は、模式図のため形状や寸法は誇張されている(以下の図面も同じ)。
本実施形態の植込み型除細動システム100は、図1(a)に示すように、心内除細動電極組立体3、心外除細動電極組立体2(除細動電極組立体)、および植込み型除細動器(以下、ICD)本体1(植込み型除細動器)を備え、これらが患者Pの胸腔内に設置されたものである。
心内除細動電極組立体3は、ICD本体1のケーシングを一方の電極として除細動を行う従来の植込み型除細動システムに採用されている心臓H内の除細動電極であり、一般にRVリードと呼ばれているものである。
心内除細動電極組立体3の構成は、図2に示すように、先端側が、上大静脈V1を経由して、心臓H内の右心房H3、および右心室H1にわたって配置される全体として線状の部材であり、心内除細動電極組立体3の基端側は、図1、3に示すように、コネクタ8a、8b、8cを介して、ICD本体1の接続端子部1Bと電気的に接続されている。
心内除細動電極組立体3の表面は、一部の電極部を除いて、絶縁性を有するリードチューブ7aに覆われている。
電極部としては、先端側から、右心室H1における心臓Hの電気的興奮を検出するセンシング電極部6、心室細動を除去するためにパルス状の電圧波形によって電気エネルギーを印加するためのRV−def電極4、およびSVC−def電極5が配置されている。
RV−def電極4、SVC−def電極5は、センシング電極部6を右心室H1の先端部に当接させたときに、RV−def電極4が右心室H1内に、SVC−def電極5が右心房H3から上大静脈V1に至る経路内に、それぞれ位置するように間隔をおいて配置されている。
また、リードチューブ7aの内部には、センシング電極部6、RV−def電極4、およびSVC−def電極5と、それぞれと個別に接続された3系統のリード(不図示)が互いに絶縁された状態で挿通されている。
SVC−def電極5よりも基端側には、リードチューブ7a内に3系統のリードが1つに束ねられ1本化されたリード部7が形成されている。
リード部7の基端部では、それぞれセンシング電極部6、RV−def電極4、およびSVC−def電極5に接続された3系統のリードがそれぞれ分岐された分岐リード7A、7B、7Cが形成され、それぞれの基端において、内蔵されたリードがコネクタ8a、8b、8cと電気的に接続されている。
本実施形態では、コネクタ8aはIS1コネクタ、コネクタ8b、8cはDF1コネクタからなり、ICD本体1の接続端子部1Bに、それぞれねじ締結によって強固に固定されている。
いずれのリードも、リードチューブ7a内において互いに絶縁を保って電気エネルギーを伝達できるものであれば特に限定されない。
本実施形態では、一例として、導電性の線材をコイル状に巻いて、外径φ2mmのポリウレタンチューブ内に挿通させた構成を採用している。線材としては、中心部にAg(銀)の線材を配置して、その外周を非磁性で高硬度を有する金属材料であるMP35N合金によって被覆した2層構造の線材を採用することができる。
この場合、中心部にAgを含むことにより電気抵抗を小さくすることができ、MP35N合金によって被覆されることで引張り強度を向上することができる。さらに線材がコイル状に整形されることで、繰返し曲げ強度も高強度とすることができる。
また、リードの端部は、各電極およびコネクタ8a、8b、8cとの間で、例えば、レーザー溶接などによって接続されている。
センシング電極部6は、心内除細動電極組立体3の先端に設けられ、右心室H1の内壁に当接されるチップ電極6aと、チップ電極6aよりも基端側に離して設けられ、リードチューブ7aの表面にコイル状に巻き付けられたリング電極6bとで構成される双極型(バイポーラ型)の電極である。このため、チップ電極6a、リング電極6bのそれぞれにリードが接続され、2本のリードが1系統をなして、リードチューブ7a内に挿通されている。例えば、チップ電極6aに接続されたコイル状のリードを絶縁チューブで被覆し、リング電極6bに接続されたリードは、この絶縁チューブの外周に巻き付けられたコイル状に形成され、さらにその外周が絶縁チューブで被覆された同軸のコイル状に設けられている。
センシング電極部6の材質は、例えば、生体適合性に優れた白金系材料、好ましくは白金イリジウム合金からなる。
センシング電極部6は、右心室H1における電気的興奮を検出して、ICD本体1に送出するセンシング電極として用いられる。ただし、本実施形態では、ICD本体1から電気エネルギーの供給を受けて、心臓Hに電気的刺激を行い、心臓Hのペーシングを行うペーシング電極として用いることができる。
本実施形態のRV−def電極4は、除細動を行うための2つの除細動電極の一方を構成するものであり、白金系材料(好ましくは、白金イリジウム合金の単線)からなる導線をコイル状に整形し、リードチューブ7aの外周面に巻きつけられて設置されている。
また、SVC−def電極5の構成も、RV−def電極4と同様の構成を有する。
心外除細動電極組立体2は、除細動を行うための2つの除細動電極の他方を構成するものであり、図1、2に示すように、被設置面である左室側の心嚢膜H0上に設置される。
心外除細動電極組立体2の概略構成は、図4(a)、(b)、(c)に示すように、絶縁ベース9(絶縁部材)、除細動電極10、除細動電極リード部17(除細動電極リード)、センシング電極部13、およびリード部14(センシング電極リード)を備える。
絶縁ベース9は、平面視で略小判型(略楕円状)のシート状の絶縁部材からなる。以下では、絶縁ベース9の略小判型の最大外形が測られる方向を絶縁ベース9の長径方向DLと称し、長径方向DLと直交する方向を絶縁ベース9の短径方向DSと称する。また、誤解のおそれがない場合には、それぞれ単に、長径方向DL、短径方向DSと称する。
絶縁ベース9の長径、短径の大きさの例としては、例えば、それぞれ65mm、45mm程度が好適である。
絶縁ベース9の材質としては、弾性、可撓性、及び絶縁性を有するとともに生体適合性を有するシリコーン製材料を採用している。
本実施形態では、絶縁ベース9の厚さは、例えば、0.5mm程度となるように設定されている。このため、絶縁ベース9は非常に柔軟性に富むものとなっており、心嚢膜H0に取付けても、心臓Hの拍動に伴って表面の曲率が多様に変化する心嚢膜H0の変形に追従して変形することができる。この結果、心嚢膜H0との接触を保つことができる。また、心臓Hの拍動を妨げることもないため、不整脈を誘発しにくい硬さを備えている。
なお、絶縁ベース9の厚さ寸法は埋設物(例えば、外径φ1のセンシング電極部13)がない部分の厚さで、埋設物がある場合には埋設物を被覆する部分の厚さが0.5mmであり、被覆面9bには凹凸があってもよい。
絶縁ベース9のシート表面は、厚さ方向に対向する2つのシート表面の一方の面が、心嚢膜H0に設置時に心嚢膜H0に向けられる面であり、除細動電極10、センシング電極部13が配置される電極設置面9aとなっており、他方の面は、除細動電極10およびセンシング電極部13を心臓Hの外部側から被覆する被覆面9bとなっている。
絶縁ベース9の側周部9dには、心外除細動電極組立体2を心嚢膜H0に縫合して固定するための取付部9cが4箇所に設けられている。取付部9cの形状、個数、配置位置は、心外除細動電極組立体2を心嚢膜H0上にバランスよく固定できれば、適宜の形状、個数、配置位置を採用することができる。
本実施形態の取付部9cは、一例として、側周部9dから側方に向かって張り出された平面視円弧形状を有する帯状体とされ、側周部9dとの間に略半月状の孔部が形成された形状を採用している。
取付部9cの寸法は、例えば、帯状の断面直径がφ1mm〜φ2mm程度であり、円弧形状の直径はφ5mm程度とされている。
また、4箇所の取付部9cの平面視の位置関係は、それぞれの孔部の中心が絶縁ベース9の長径方向DLに長い長方形の頂点に略重なるような位置関係とされている。
また、本実施形態の取付部9cは、絶縁ベース9と一体成形された同材質のシリコーン製材料からなる。このため、絶縁ベース9と同様に弾力性、柔軟性に富んでおり、細い帯状体とされたことと相俟って、伸縮変形が容易となっている。
除細動電極10は、心室細動を除去するためにICD本体1からの電気エネルギーを被設置面に印加するもので、本実施形態では、生体適合性に優れた白金系材料(好ましくは、白金イリジウム合金の撚り線)が三角波状に屈曲もしくは波形状に蛇行された形状に整形された複数の線状電極が、電極設置面9a上に配置されたものである。
また、複数の除細動電極10は、本実施形態では、一例として、除細動電極10A、10B、10C、10Dの4本がそれぞれ絶縁ベース9の長径方向DLに沿う方向に延ばして設けられ、かつ、絶縁ベース9の短径方向DSに略等しい間隔をあけて並列に配置されている。
除細動電極10A、10B、10C、10Dは、図4(a)に示すように、電極設置面9aを見たときに短径方向DSにおいて、この順番に図示の右側から左側に向かって配列されている。
また、各除細動電極10は、いずれも長径方向DLの両端部が絶縁ベース9の内部に埋設されている。
また、各除細動電極10は、絶縁ベース9の長径方向DLのそれぞれの端部において互いに隣接するもの同士が、絶縁ベース9の内部に埋設された導電部11によって電気的に接続されている。
導電部11は、絶縁ベース9に埋設されているため、各除細動電極10同士の導通を取ることができれば、適宜の導電部材を採用することができる。絶縁ベース9の変形や伸縮に追従して変形できるように、例えば、生体適合性に優れた白金系材料(好ましくは、白金イリジウム合金の撚り線)などからなる線状部材を採用することができる。
導電部11の形状は、本実施形態では、絶縁ベース9の短径方向DSに沿っては略整列され、隣接する除細動電極10の間、すなわち、除細動電極10A、10Bの間、除細動電極10B、10Cの間、および除細動電極10C、10Dの間で、それぞれ絶縁ベース9の長径方向DLに張り出した円弧状の形状を有する。
このため、各除細動電極10の両端部にそれぞれ設けられた3つの導電部11は、全体として絶縁ベース9の短径方向DSに延ばされ、円弧波状に湾曲および屈曲された形状を有しており、これにより、絶縁ベース9の短径方向DSに伸縮可能な形状とされている。
したがって、心臓Hの拍動に伴って、各除細動電極10の間の絶縁ベース9が短径方向DSに伸縮する場合でも、導電部11が容易に湾曲され絶縁ベース9の変形が妨げられないようになっている。
また、絶縁ベース9の長径方向DLの一方の側の導電部11は、除細動電極10とICD本体1とを電気的に接続する除細動電極リード部17の端部と、溶接や機械的なカシメ接続等により強固に固定され、電気的にも接続されている。
本実施形態では、除細動電極リード部17は、短径方向DSの中心側の2本である除細動電極10B、10Cに接続された導電部11に接続されている。このため、導電部11に接続された除細動電極リード部17は、絶縁ベース9の長径方向の頂部から外部に延出されている。
このように、本実施形態では、4本の除細動電極10が、導電部11によって、電気的に接続されているため、万一、除細動電極10のいずれかが破断された場合でも、少なくとも1本が連続していれば、破断された除細動電極10も含めて導通されているため、すべての除細動電極10に電気エネルギーを印加する除細動電極としての機能が維持される構成になっている。
また、各除細動電極10の長手方向(本実施形態では、長径方向DLに沿う方向)の中間部は、長手方向に沿って複数設けられた位置固定部10aにおいて、電極設置面9aとの位置が部分的に固定され、それ以外の部位では、電極設置面9a上で摺動可能に配置されている。なお、図4(a)では見易さのため、除細動電極10Dのみに位置固定部10aを図示している。
長径方向DLに隣接する位置固定部10aの間隔は、その間に配置された除細動電極10の長径方向DLへの伸縮可能量が、心臓Hの拍動による心嚢膜H0の変形にならって絶縁ベース9が変形する際の最大変形量よりも大きくなるように設定されている。
すなわち、長径方向DLに隣接する位置固定部10aの間には、除細動電極10の屈曲部または蛇行部が少なくとも1以上含まれており、絶縁ベース9の伸縮が大きくなると予想される部位ほど、屈曲部または蛇行部が含まれる数が多くなるように、位置固定部10aの間隔が設定されている。
図4(a)に示した位置固定部10aの位置は、一例であって、適宜の位置に設けることができる。例えば、位置固定部10aの位置は、屈曲または蛇行の頂点部に設けてもよいし、頂点部を避けて設けてもよい。また、長径方向DLに隣接する位置固定部10aの間隔は、長径方向DLに沿って等間隔に設けてもよいし、不等間隔に設けてもよい。
また、本実施形態では各除細動電極10の長手方向の中間部の一部を絶縁ベース9に埋設することにより位置固定部10aを形成したが、絶縁ベース9の電極設置面9a上にわずかに隆起部を設けて、この隆起部に除細動電極10の一部を埋設してもよい。
また、位置固定部10aは、埋設部には限定されない。例えば、除細動電極10の一部を絶縁ベース9と縫合したり、接着したりして固定してもよい。
また、除細動電極10の一部を電極設置面9aとの間で把持して固定する把持固定部材を介して固定してもよい。また、除細動電極10の一部を、絶縁ベース9に埋設された他の金属部材などにかしめるなどして固定してもよい。
除細動電極10は、心臓Hの拍動によって、絶縁ベース9とともに常時変形を繰り返すものなので、除細動電極10に用いる撚り線としては、耐引っ張り強度と屈曲耐久性とを兼ね備える構成とすることが好ましい。
本実施形態では、一例として、素線径がφ0.0254mmの白金イリジウム素線を、7本を一つの束として7束が撚られた49(=7×7)素線からなる撚り線構造を採用している。
このため、除細動電極10の外径はφ0.27mm程度となり、強靭な耐引っ張り強度と屈曲耐久性を有する。したがって、生体内での長期間安定して用いることができる。
除細動電極リード部17は、除細動電極10をICD本体1に電気的に接続するもので、リード部7に用いられているのと同様な構成を採用することができる。本実施形態では、中心部にAgの線材を配置して、その外周をMP35N合金によって被覆した2層構造の線材がコイル状に巻かれたリード17b(図6参照)を、ポリウレタンチューブからなるリードチューブ17aで被覆した構成を採用している。リードチューブ17aの外径は、例えば、φ2mmとしている。
なお、図4(a)、(b)、(c)では、簡単のため、リード部14の基端側を1本の破線または実線で描いているが、図5に示すように、基端側も先端側と同様の外径を有している。
除細動電極リード部17の先端部は、絶縁ベース9の内部で導電部11に接続され、長径方向DLの端部の側周部9d近傍の被覆面9b絶縁ベース9の外部側に延出されている。
本実施形態では、図4(a)に示すように、本実施形態では、3つの導電部11のうちの中央の導電部11に接続され、電極設置面9a側から除細動電極10Aを右手に見た場合に、絶縁ベース9の長径方向DLの上側の頂部近傍から延出されている。
除細動電極リード部17の他方の端部にはDF1コネクタからなるコネクタ15aが設けられ、ICD本体1の接続端子部1Aにねじ締結によって強固に固定されている。
除細動電極リード部17は、絶縁ベース9から単独で延出されてICD本体1に接続されるようにしてもよいが、本実施形態では、絶縁ベース9の外部側では、図4(a)、図6に示すように、後述するリード部14とともに、マルチルーメンチューブ16(絶縁管部材)に挿通されている。
マルチルーメンチューブ16は、軸方向に貫通する孔部16a、16bが軸方向に並列して設けられており、マルチルーメンチューブ16は孔部16aに挿通されている。また、リード部14は孔部16bに挿通されている。
マルチルーメンチューブ16の材質は、例えば、リードチューブ17aと同様のポリウレタン樹脂を採用することができる。
センシング電極部13は、心嚢膜H0を介して心臓Hの電気的興奮を検出するためのセンシング電極であり、絶縁ベース9の電極設置面9a上に一部が露出した状態で埋設され、リード部14を介してICD本体1に電気的に接続されている。
また、本実施形態のセンシング電極部13は、ICD本体1から電気エネルギーの供給を受けて、心嚢膜H0を介して心臓Hに電気的刺激を行い、心臓Hのペーシングを行うペーシング電極としても用いることができる。
本実施形態のセンシング電極部13は、リード部14の先端に設けられたチップ電極13aと、チップ電極13aよりも基端側に離して設けられ、リード部14の外表面に円筒状に巻き付けられたリング電極13bとで構成される双極型(バイポーラ型)の電極を採用している。
チップ電極13a、リング電極13bの材質は、例えば、生体適合性に優れた白金系材料、好ましくは白金イリジウム合金からなる。
リード部14は、センシング電極部13をICD本体1に電気的に接続するもので、リード部7のリードチューブ17aと同様な構成を有するリードチューブ14aの内部に、互いに絶縁されたリード14b、14dが挿通された全体として線状の部材からなる。
本実施形態のリード14b、14は、いずれも、中心部にAgの線材を配置して、その外周をMP35N合金によって被覆した2層構造の線材がコイル状に巻かれた部材からなり、図5、6に示すように、チップ電極13aに一端が接続されたリード14dはその外周を絶縁チューブ14cで被覆され、絶縁チューブ14cの外周に、リング電極6bに一端が接続されたリード14bがコイル状に巻き付けられて、さらにその外周がリードチューブ14aで被覆され、同軸に配置された二重のコイル状に構成されている。
リード14b、14dの他端は、IS1コネクタからなるコネクタ15bに、例えば、レーザー溶接などによって接続されている。
また、コネクタ15bは、ICD本体1の接続端子部1Aにねじ締結によって強固に固定されている。
センシング電極部13の寸法は、一例として、チップ電極13aはφ1mm×長さ2mm、リング電極13bはφ1mm×長さ3mmがそれぞれ好適である。また、チップ電極13aとリング電極13bとの間隔は、例えば、5mmから10mmが好適である。
チップ電極13aの表面には、ポーラス白金コーティング又は、ポーラスイリジウムコーティング又は、酸化イリジウムコーティングが被膜されており、チップ電極13aの電極表面積を形状比で増加させている。これにより、電気的興奮を検出し、もしくは電気的刺激を与えるために、チップ電極13aとリング電極13bとの間の生体インピーダンスを適切な値に調整することができ、効率的な検出および刺激を行うことができるようになっている。
また、リード部14の外径d0はφ1程度とされている。
このため、センシング電極部13およびリード部14の先端部を絶縁ベース9に径方向の半分程度を埋設して、センシング電極部13が被覆面9b側に露出しないように、絶縁ベース9に固定することが可能である。
本実施形態のセンシング電極部13の絶縁ベース9上における埋設位置は、図4(a)に示すように、絶縁ベース9を長径方向DLが上下に沿うように配置し、マルチルーメンチューブ16が設けられた側を上側として電極設置面9aを見たときに、右側から1本目、2本目に位置する除細動電極10A、10Bの間で、それぞれの除細動電極10の下側の端部近傍の位置とされ、チップ電極13aを下側に向けて、センシング部材12の先端部の軸方向が長径方向DLに沿う姿勢で埋設されている。
ただし、この配置は一例であって、除細動電極10とセンシング電極部13とが接触しない電極設置面9a上、すなわち、電極非埋設領域であればどの位置に配置してもよい。
また、リード部14はリング電極13bの近傍のみが電極設置面9a上に露出され、より基端側では絶縁ベース9の内部に埋設された状態で、長径方向DLに沿って配置され、図示上側の導電部11の下側で交差して、被覆面9b側に接続されたマルチルーメンチューブ16の孔部16bに到達し、孔部16bの内部に挿通されて、絶縁ベース9の外部に延出されている。
マルチルーメンチューブ16は、図1(a)、図5に示すように、ICD本体1の近傍まで延ばされている。マルチルーメンチューブ16のICD本体1側の端部からは、除細動電極リード部17およびリード部14が延出されて二股に分岐された状態で、それぞれの端部に設けられたコネクタ15a、15bが接続端子部1Aに接続されている。
このような構成の心外除細動電極組立体2の製造方法としては、例えば、適宜の金型内に、互いに接続された除細動電極10および導電部11と、導電部11に接続されマルチルーメンチューブ16に挿通された除細動電極リード部17と、マルチルーメンチューブ16に挿通されたリード部14およびセンシング電極部13とを、位置決めして配置し、この状態で金型に絶縁ベース9を形成するシリコーン製材料を流し込んで一体成形を行う方法を採用することができる。
ICD本体1は、接続端子部1A、1Bに接続された心外除細動電極組立体2、心内除細動電極組立体3を通して、心臓Hの除細動を行うものであり、従来の植込み型除細動器と同様な構成を採用することができる。すなわち、ケーシングの内部に、電池、除細動を行うための電気エネルギーを蓄えるコンデンサ、心電図を検出する回路、検出された心電図を判定する回路、およびコンデンサから電気エネルギーを放出する除細動駆動回路等を備えている。
本実施形態では、患者Pの左胸皮下に植え込んで用いられる。
次に、本実施形態の心内除細動電極組立体3、心外除細動電極組立体2の設置方法について説明する。
術者は、X線透視しながら、患者Pの鎖骨下の静脈に設けた開口部より、心内除細動電極組立体3をチップ電極6a側から静脈内に侵入させ、チップ電極6aが右心室H1内の目的の位置に位置するように挿入位置を調整して設置する。そして、静脈の外部に延出されたリード部7のコネクタ8a、8b、8cをICD本体1の接続端子部1Bに接続する。
心外除細動電極組立体2を設置するには、まず、絶縁ベース9を除細動電極10が内側となるように長径方向DLを軸方向としてロール状に巻いて筒状形状とする。
絶縁ベース9は、薄肉で柔軟性、可撓性に富んでおり、除細動電極10、リード部14、センシング電極部13は、いずれも長径方向DLに沿って設けられているため、容易に巻くことができる。その際、除細動電極10は撚り線からなるため、ロール状に巻かれても塑性変形したり傷がついたりすることはない。また、短径方向DSに沿って設けられた導電部11も絶縁ベース9の変形に追従して変形することができる。
このため、実施形態の例では、例えば、φ15mm以下の筒状形状が得られる。このように巻かれた絶縁ベース9は、一般的にφ15mmからφ20mm程度の内径を有するトロッカーに挿通させることが可能である。
術者は、このような筒状形状にされた絶縁ベース9を、マルチルーメンチューブ16の設けられたのと反対側の端部から、患者Pの体外から胸腔内に貫通されたトロッカーを経由して胸腔内に侵入させる。
胸腔内に侵入された絶縁ベース9は、絶縁ベース9の弾性復元力により、筒状形状から板状に展開される。
次に、術者は、別のトロッカーを経由して挿入した胸腔鏡により胸腔内を目視で観察しながら、さらに別のトロッカーを経由した把持鉗子を操作し、展開された絶縁ベース9の電極設置面9aを心嚢膜H0に向けて、心臓Hの左室側の心嚢膜H0上に移動させ、心嚢膜H0に除細動電極10、センシング電極部13が当接した状態に配置する。
このとき、絶縁ベース9の配置位置は、患者Pの症例などに応じて、センシング電極部13が心臓Hの電気的興奮を検出すべき部位の心嚢膜H0上に位置するように配置する。
例えば、図1(a)では、絶縁ベース9の長径方向DLが心臓Hの軸(心房から心室に向かう軸)に略平行な向きに設置される。このような位置関係に、除細動電極10を配置することによって、心室細動を停止させるための電気エネルギーの閾値を小さくすることができる。
また、マルチルーメンチューブ16が設けられた長径方向DLの端部が患者Pの上側に向かう位置に配置されている。
このような配置により、本実施形態では、センシング電極部13は、左心室の前側に位置している。
ただし、センシング電極部13の配置位置は、例えば、従来、CSリードによって検出していた部位に設定するようにしてもよい。センシング電極部13の配置位置の設定は、例えば、絶縁ベース9上の埋設位置を変更してもよいし、絶縁ベース9の縫合位置を位置調整してセンシング電極部13の位置合わせを行ってもよい。
この場合、センシング電極部13は、従来のCSリードと同様な位置での心電図を取得したり、電気刺激を与えたりすることが可能となるため、CSリードの設置は省略することができる。
従来のCSリードは主として、左心室への電気刺激や電気的興奮の検出を目的としているが、上大静脈経由で心臓内に侵入させ、冠状静脈洞開口を経て、左心室心筋表面の静脈分枝に設置するため、比較的、設置手技に熟練度が必要とされる。また、疾病や患者個人差により、静脈ルートが異なり、設置できない場合もまれに発生する。
センシング電極部13のCSリードの代わりに用いることで、静脈ルートを用いることなく設置することができるので、患者の個人差によらず、CSリードを配置すべき目的の位置に確実にセンシング電極あるいはペーシング電極を設置することが可能となる。
次に、縫合糸Sが取付けられた縫合針を把持鉗子により操作し、絶縁ベース9の4つの取付部9cを、心嚢膜H0と縫合することにより、図1(a)に示すように、絶縁ベース9を心嚢膜H0に固定する。
この縫合は、取付部9cの内側穴方向に針と縫合糸Sを貫通後、心嚢膜H0に針と縫合糸Sを貫通させて結紮する。このため、心臓Hの心筋には針と縫合糸Sは貫通されず、絶縁ベース9は心嚢膜H0のみに固定される。この結果、心臓Hは絶縁ベース9が固定される前と同様に、心嚢膜H0内で自由に動くことができるため、不整脈を発生する危険性を防止することができる。
また、この縫合時は、円弧状の取付部9cを側周部9dの側方に向かって、心嚢膜H0の表面の接線方向に引張りながら縫合することが好ましい。
このように引っ張ることで、取付部9cが略三角形状に伸びて変形し、絶縁ベース9が側周部9dから側方に引っ張り力を受けるため、絶縁ベース9の電極設置面9a側が、凸状の曲率を有する心嚢膜H0に押圧され、電極設置面9a上に設けられた除細動電極10、センシング電極部13を心嚢膜H0に確実に接触させることができる。このため、除細動のための電気エネルギーの損失が少なくなり、電気エネルギーを心臓H側に効率的に伝達することができる。
なお、取付部9cは、弾力性を有するシリコーン製材料が帯状に形成されているため、伸び変形が容易である。このため、心臓Hが拍動して心嚢膜H0が変形しても、取付部9cは容易に心嚢膜H0の接線方向に伸びることができるので、心臓Hの収縮拡張の動作への影響を与えることはない。
このようにして、心外除細動電極組立体2は心嚢膜H0上に設置されたら、除細動電極リード部17およびリード部14をコネクタ15a、15bを介してICD本体1の接続端子部1Aに接続される。
次に、心外除細動電極組立体2、心内除細動電極組立体3が接続されたICD本体1を患者Pの左胸皮下に植え込む。
これにより、図1(a)に示すように、植込み型除細動システム100が患者Pの胸腔内に設置される。
次に、植込み型除細動システム100による除細動の動作について説明する。
図7は、本発明の第1の実施形態に係る植込み型除細動システムの除細動時の電圧波形の一例を示す模式的なグラフである。横軸は時間、縦軸は電圧を示す。
植込み型除細動システム100では、センシング電極部6、13によって、それぞれ右心室H1、左心室H2における心臓Hの電気的興奮を検知することができる。ICD本体1は、これらの検知信号を受けて心電図を取得し、心電図に異常があると判定された場合には、予めプログラムされた動作を行う。
例えば、心室細動の発生を検知した場合、センシング電極部6、センシング電極部13の検知信号に基づいて、センシング電極部6、13の少なくともいずれかによって、心臓Hに電気的刺激を与えて、心室細動の抑制または停止を試みるペーシング動作を行う。
ペーシング動作を行っても、心室細動が継続する場合には、除細動回路を駆動して、RV−def電極4と除細動電極10との間に電気エネルギーを印加する。本実施形態では、除細動の電圧波形は、図7に、曲線201に示すようなバイフェージック波形を採用している。このとき、RV−def電極4は正極、除細動電極10は負極として、電気エネルギーを印加する。また、電気エネルギーとしては、数ジュール〜十数ジュールの値を採用することができる。
これにより、心臓Hの細動を除去することができる。
細動時には心臓に無秩序な電気伝導が複数発生しており、これらを外部からの電気エネルギーにより沈黙させることが必要とされる。このために、従来、大きな電気エネルギーを作用させることにより、無秩序な電気伝導は抑えることが行なわれてきた。
例えば、従来の植込み型除細動器によれば、心外除細動電極組立体2を有しないため、RV−def電極と皮下に植え込まれる除細動器本体の金属ケースの間で電気エネルギー印加される場合が多く、この場合、20J〜40Jの大きな電気エネルギーを必要としていた。
一方、本実施形態の植込み型除細動システム100によれば、RV−def電極4と、心嚢膜H0上の除細動電極10との間で電気エネルギーを印加するため、電極間の距離が従来よりも相対的に短くなり、生体インピーダンスが小さくなっている。このため、印加する電気エネルギーがより小さくても心室細動を停止させることができる。
高い電気エネルギーを用いた除細動では、組織損傷のおそれもあり、患者の負担が大きいが、本実施形態では、より小さな電気エネルギーで細動を停止することができるため、患者Pの負担を格段に低減することができる。
また、心外除細動電極組立体2は、除細動電極10およびセンシング電極部13が、心嚢膜H0と接触されて心臓Hに近接されているため、それぞれから電気エネルギーを放出する際には、電気エネルギーが効率的に心臓Hに伝達される。
また、除細動電極10およびセンシング電極部13は、心嚢膜H0との接触部の反対側の被覆面9bには露出していないため、心嚢膜H0上で絶縁部材である絶縁ベース9に覆われている。このため、除細動電極10およびセンシング電極部13から心臓Hに対して電気エネルギーを放出する場合に、心臓Hと反対の胸腔側に電気エネルギーがもれないため、心臓Hに対して効率的に電気エネルギーを印加することができる。
以上に説明したように、本実施形態の植込み型除細動システム100によれば、RV−def電極4と心嚢膜H0上に設置された除細動電極10との間で心臓Hに電気エネルギーを印加するため、従来に比べて小さな電気エネルギーで除細動を行うことができて、患者Pの負担を低減することができる。また、従来と同様の電池容量であっても電池が長持ちするため、従来に比べて長期間の使用が可能であり、電池交換の頻度を低減することができて、患者Pの負担を低減することができる。
また、ICD本体1のコンデンサをより低容量とすることができるので、ICD本体1の小型化を図ることができる。
また、心外除細動電極組立体2は、トロッカーを通して胸腔内に挿入し、心嚢膜H0上に設置することができるため、静脈や心臓Hの内部に除細動電極やセンシング電極を挿入する場合に比べて、容易に設置することができる。また、除細動電極10とセンシング電極部13とが一体化されているため、一度に設置することができて効率的である。
また、センシング電極部13は、心嚢膜H0に固定された絶縁ベース9に固定されているため、センシング電極部13を心臓Hに対して安定した位置に保持することができる。
また、センシング電極部13をCSリードの代わりに用いる場合には、静脈内に設置しなくてよいため、CSリードにより血栓が発生して別の疾病を誘発したり、CSリードの電極の移動に伴う電気的刺激の損失や電気的興奮を検出できなくなる等の障害の発生を軽減することが可能である。
また、本実施形態では、除細動電極リード部17およびリード部14をマルチルーメンチューブ16に一体化しているため、それぞれを胸腔内に別々に配置する場合に比べて、胸腔内でのリードの本数を低減することができる。このため、肺動作への影響を低減することができる。
また、胸腔内のリードは肺動作や心臓Hの鼓動により、繰り返し曲げや引っ張りの作用を受けるが、除細動電極リード部17およびリード部14をマルチルーメンチューブ16内に併設することにより、除細動電極リード部17、リード部14の強度と耐久性を向上することができる。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る除細動電極組立体および植込み型除細動システムについて説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る植込み型除細動システムの概略構成を示す模式的な構成図である。図9(a)は、本発明の第2の実施形態に係る除細動電極組立体の概略構成を示す模式的な平面図である。図9(b)、(c)は、それぞれ図9(a)におけるD−D断面図、およびE視の側面図である。
本実施形態の植込み型除細動システム101は、図8に示すように、上記第1の実施形態の心内除細動電極組立体3に代えて、心外除細動電極組立体20(除細動電極組立体)を備える。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
心外除細動電極組立体20は、図9(a)、(b)、(c)に示すように、上記第1の実施形態の心外除細動電極組立体2のセンシング部材12、マルチルーメンチューブ16に代えて、センシング部材12A、12B、マルチルーメンチューブ16Aを備えるものである。
マルチルーメンチューブ16Aは、マルチルーメンチューブ16の孔部16a、16bに加えた、さらに孔部16b追加した3つの孔部(ルーメン)を備えるもので、マルチルーメンチューブ16と同様の位置に設けられている。
なお、図9(a)、(b)、(c)では、図4(a)、(b)、(c)と同様にセンシング部材12A、12Bの形状の一部を模式的に1本の破線または実線で描いている。
センシング部材12Aは、図5に示すように、上記第1の実施形態のセンシング部材12と同様の構成のセンシング電極部13を有し、リード部14と同様の構成からなり、外径がd0とされ、必要に応じて長さのみを変えたリード部14A(センシング電極リード)を有する。
センシング部材12Aのセンシング電極部13は、センシング部材12のセンシング電極部13と同様に、電極非埋設領域であればどこに配置してもよいが、本実施形態では、図9(a)に示すように、除細動電極10C、10Dの間で、それぞれの除細動電極10の下側(長径方向DLに沿う方向のうちマルチルーメンチューブ16Aが設けられたのと反対側)の端部近傍に配置されている。
センシング電極部13の配置姿勢は、チップ電極13aを下側に向けてセンシング部材12Aの先端部の軸方向が長径方向DLに沿う姿勢とされ、センシング部材12のセンシング電極部13と同様に、径方向の半分程度が絶縁ベース9に埋設されている。
また、リング電極13bから基端側に延ばされたリード部14Aは、一部のみが電極設置面9a上に露出され、基端側に向かうにつれて絶縁ベース9の内部に埋設されていき、側周部9dの近傍で、被覆面9b側に設けられたマルチルーメンチューブ16Aの孔部16b内に延出されている。
また、孔部16bに挿通されたリード部14Aの端部は、マルチルーメンチューブ16Aの絶縁ベース9と反対側の端部で外部に延出されてからコネクタ15bが接続されている。
センシング部材12Bは、図5に示すように、上記第1の実施形態のセンシング部材12と同様の構成のセンシング電極部13を有し、リード部14と同様の構成からなり必要に応じて長さのみを変えたリード部14B(センシング電極リード)を有する。
センシング部材12Bのセンシング電極部13は、センシング部材12のセンシング電極部13と同様に、電極非埋設領域であればどこに配置してもよいが、本実施形態では、除細動電極10B、10Cの間で、それぞれの除細動電極10の上側(長径方向DLに沿う方向のうちマルチルーメンチューブ16Aが設けられた側)の端部近傍に配置されている。
センシング電極部13の配置姿勢は、チップ電極13aを上側に向けて、センシング部材12Bの先端部の軸方向が長径方向DLに沿う姿勢とされ、センシング部材12のセンシング電極部13と同様に、径方向の半分程度が絶縁ベース9に埋設されている。
また、リング電極13bよりも基端側のリード部14Bは、一部のみが露出され、上側に向けてJ字状に湾曲された状態で、絶縁ベース9の内部に埋設され、絶縁ベース9の内部を通ってマルチルーメンチューブ16Aのもう1つの孔部16b内に延出されている。
また、リード部14Bの基端部は、マルチルーメンチューブ16Aの端部から延出され、コネクタ15bが接続されている。
絶縁ベース9上におけるセンシング部材12A、12Bのそれぞれのセンシング電極部13の位置関係は、心外除細動電極組立体20を右心室H1側の心嚢膜H0上で、長径方向DLが心臓Hの軸に沿うようにしてマルチルーメンチューブ16Aが接続された側を心臓の上側に向けて配置したときに、センシング部材12A、12Bの各センシング電極部13が、それぞれ心臓Hの外側でRVリード、RAリードの配置位置と略等価となる部位上に配置されるように設定しておく。
本実施形態のマルチルーメンチューブ16Aは、絶縁ベース9からICD本体1の植込み位置の近傍に到達できる長さを有し、内部には、2つの孔部16b、16b内にリード部14A、14Bが、孔部16aに除細動電極リード部17が、それぞれ挿通されている。
また、マルチルーメンチューブ16Aの絶縁ベース9と反対側の端部では、リード部14A、14B、除細動電極リード部17が、それぞれ外部に延出され3本に分岐されている。
このため、マルチルーメンチューブ16Aは、リード部14A、14b、除細動電極リード部17をそれぞれの中間部で、それぞれの絶縁を保ちつつ1本に束ねる部材となっている。
このような構成の心外除細動電極組立体20は、心外除細動電極組立体2と同様の成形により製造することができる。
また、心外除細動電極組立体20は、配置位置が右室側となるのみで、心外除細動電極組立体2と同様に、トロッカーを経由して心嚢膜H0上に配置することができる。
心外除細動電極組立体20の配置位置は、図8に示すように、絶縁ベース9の長径方向DLが心臓Hの軸に略平行な向きに設置されるとともに、マルチルーメンチューブ16Aが設けられた長径方向DLの端部が患者Pの上側に向かう位置に配置されている。これにより、右心房H3、右心室H1が、絶縁ベース9の電極設置面9a側が当接するように覆われる。
心外除細動電極組立体20の縫合は、センシング部材12Aのセンシング電極部13が、RVリードの配置位置に略等価な部位の心嚢膜H0上に位置し、センシング部材12Bのセンシング電極部13が、RAリードの配置位置の略等価な部位の心嚢膜H0上に位置するように、絶縁ベース9の心嚢膜H0上での位置を調整してから、心外除細動電極組立体2の縫合と同様にして行われる。
このような構成の植込み型除細動システム101では、心外除細動電極組立体20に設けられたセンシング部材12A、12Bの各センシング電極部13と、心外除細動電極組立体2に設けられたセンシング部材12のセンシング電極部13とによって、従来、RVリード、RAリード、CSリードで検出されていた右室側、左室側の心臓Hの電気的興奮を検出して、ICD本体1によって心電図をとり、心臓Hの機能を異なる3つの部位の心電図に基づいて診断することができる。
また、ICD本体1による心電図の解析によって心電図に異常が検出された場合には、ICD本体1は必要に応じて3つのセンシング電極部13のうちの少なくともいずれかのセンシング電極部13によって、心臓Hに電気刺激を与えて、心室細動の抑制または停止を試みるペーシング動作を行うことができる。
また、ペーシング動作を行っても、心室細動が継続する場合には、ICD本体1の除細動回路を駆動して、心外除細動電極組立体20の除細動電極10と心外除細動電極組立体2の除細動電極10との間に、上記第1の実施形態と同様の電圧波形で、電気エネルギーを印加することができる。このとき、心外除細動電極組立体20の除細動電極10は正極、心外除細動電極組立体2の除細動電極10は負極として、電気エネルギーを印加する。
また、電気エネルギーとしては、心外除細動電極組立体20、2の配置距離が、心臓Hを挟んで近接されているため、第1の実施形態と同様に、数ジュール〜十数ジュールの値を採用することができる。
これにより、心臓Hの細動を除去することができる。
このように、本実施形態では、上記第1の実施形態と同様に、ICDシステム101の設置時、経時使用時、除細動時に、いずれも患者Pの負担を低減することができる。
また、本実施形態では、静脈から設置していた心内除細動電極組立体3に代えて、心臓Hの外側の心嚢膜H0上に心外除細動電極組立体20を設置するので、上記第1の実施形態に比べてもより容易にセンシング電極部および除細動電極を配置することができる。
また、除細動電極10は、右室側、左室側の心嚢膜H0上にそれぞれ2次元的に広がる範囲にそれぞれ略対向して配置されるため、電気エネルギーを心臓Hに対してより効率的に作用させることができる。
また、静脈および心臓H内に留置する電極リードをまったく用いることなく、センシング、ペーシング、および除細動を行うことができるので、心外除細動電極組立体2を含む上記第1の実施形態に比べても、血栓が発生するのを防止することができ、より長期間にわたって、安定して使用することができる。
また、センシング電極部13は、心外除細動電極組立体20の絶縁ベース9に設置されており、センシング電極部13を心嚢膜H0に接触させて心臓Hに電気伝達を行う。したがって、心臓Hに縫合したりねじ込んだりして、物理的損傷を与えないため、周辺組織と心臓Hとの癒着等を低減することができる。このため、心臓Hの鼓動に影響を与えにくくなる。
経静脈リードを、上大静脈を経由して、各心臓内のポイントに設置する従来技術の場合、静脈系には経静脈リードとして、RAリードとRVリードとCSリードの最大3本が設置される場合がある。
これらのリードは血液中に設置されるため、血流阻害や血栓が発生しないように様々な表面処理や形状改善を行なう必要がある。また、長期間植え込まれるため、心臓の鼓動による屈曲曲げ疲労に耐えるため、強靭な特性をリードの配線材料に求められることになる。さらに、これらのリードの電極部が目的位置からずれると、ペーシング電圧閾値の変動や、電気的興奮の検出の変動になり、リードの設置には注意を要するものであった。
本実施形態によれば、経静脈リードを一切用いないので、これらの課題をすべて解決することができる。
すなわち、本実施形態によれば、設置に静脈ルートを使用しないため、血流を阻害したり、血栓を発生させたりすることは皆無となる。
また、心臓の鼓動の動作変位量と比較して、心嚢膜上の動作変位量は小さく、屈曲曲げ疲労の影響が小さい。このため、心嚢膜上に設置されたリードは、寿命が長くなり、断線の発生も軽減することができる。また、胸腔内から心嚢膜上に設置するため、目的の位置に確実にペーシング電極を設置することが可能である。したがって、信頼性の高い電気的刺激や電気的興奮の検出を実現することができる。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る除細動電極組立体および植込み型除細動システムについて説明する。
図10(a)は、本発明の第3の実施形態に係る除細動電極組立体の概略構成を示す模式的な平面図である。図10(b)は、図10(a)におけるF視の側面図である。図11(a)は、本発明の第3の実施形態に係る除細動電極組立体のセンシング電極保持部およびセンシング電極部の構成を示す平面視の模式的な拡大図である。図11(b)は、図11(a)におけるG−G断面図である。
本実施形態の心外除細動電極組立体30(除細動電極組立体)は、図8に示すように、上記第2の実施形態の植込み型除細動システム101の心外除細動電極組立体20に代えて用いることができるものである。以下、上記第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
心外除細動電極組立体30は、図10(a)、(b)に示すように、上記第2の実施形態の心外除細動電極組立体20の絶縁ベース9、センシング部材12A、12Bに代えて、絶縁ベース31(絶縁部材)、先端部にセンシング電極部13がそれぞれ設けられたセンシング部材36A、36Bを備えるものである。
なお、図10(a)、(b)では、図9(a)、(c)と同様にセンシング部材36A、36Bの形状の一部を模式的に1本の破線または実線で描いている。
絶縁ベース31は、絶縁ベース9の電極設置面9a上に、除細動電極10を設置する電極設置部32と、センシング電極部13の近傍でセンシング部材36A、36Bを着脱可能に保持する複数の保持突起33(センシング電極保持部)とを備えた、平面視略小判型で全体としてシート状の部材である。このため、平面視では絶縁ベース9と同じ位置の4箇所に取付部9cを備えている。
本実施形態の絶縁ベース31は、電極設置部32、保持突起33はいずれも、絶縁ベース9と同様なシリコーン製材料からなる。
電極設置部32は、上記第2の実施形態の心外除細動電極組立体20の除細動電極10A、10B、10C、10Dを、電極設置面9aから高さh1だけ突出された表面上に設置するために電極設置面9a上に設けられた突起部である。本実施形態では、絶縁ベース31の長径方向DLに沿って延ばして設けられ、各除細動電極10の平面視の外形よりもわずかに外側まで延びる平面視矩形状の厚肉部からなる。
電極設置部32上に設けられた各除細動電極10は、心外除細動電極組立体20と同様に、適宜、長径方向DLに間隔をおいて設けられた位置固定部10aによって、電極設置部32内に一部が埋設されている。なお、図10(a)では見易さのため、除細動電極10A、10B、10Cにおける位置固定部10aの図示は省略している。
各除細動電極10の両端部は、電極設置部32の長手方向の端部から絶縁ベース31の内部に埋設され、心外除細動電極組立体20と同様に設けられた導電部11と接続されている。
保持突起33は、センシング電極部13の近傍でセンシング部材36A、36Bを着脱可能に保持できる突起部であれば、特に形状は限定されない。本実施形態では、一例として、図11(a)、(b)に示すように、長径方向DLに沿って平行に設けられた1対の支持部33dと、この支持部33dの間に短径方向DSに設けられた保持部33cとからなる平面視H字状の突起部を採用している。
保持部33cの長径方向DLに沿う幅はw1とされ、保持突起33の電極設置面9aからの高さは、電極設置部32の高さと略等しいh2とされている。
保持部33cには、短径方向DSの中心部に、長径方向DLに沿ってセンシング部材36A、36Bの先端部を保持する保持溝33bが設けられている。
保持溝33bの横断面形状は、上面側に短径方向DS方向に幅d1(ただし、d1<d0)だけ離間された開口部33aを有し、内部の短径方向DSの最大溝幅が、開口幅d1よりも広い断面形状を有している。保持部33cは、弾力性に富んだシリコーン製材料のため、このような溝形状により、開口幅d1より大きな外径d(ただし、d<d0)を有する円柱部材を開口部33a側から押し込むと、保持部33cの弾性復元力によって押し込まれた円柱部材を溝内に保持することができる。
具体的な横断面形状としては、例えば、内接円径がdよりわずかに小さいC字状や多角形状などの形状を採用することができる。本実施形態では、開口部33aが一辺を構成する五角形状の横断面を採用している。
保持突起33は、保持部33cの間の隙間を距離pに設定した1対を1組として、電極設置面9a上で、4列の電極設置部32の間に挟まれた長径方向DLに延びる領域に、それぞれ3組ずつ合計9組、18個が設けられている。
長径方向DLに並んだ3組の保持突起33の間には、電極設置面9aから被覆面9b側に厚さ方向に貫通する貫通孔31bが設けられている。
貫通孔31bの形状は、センシング部材36A、36Bの先端を被覆面9b側から挿入できる大きさを有していれば、適宜の形状を採用することができる。本実施形態では、角穴状に設けている。
センシング部材36A、36Bは、上記第2の実施形態のセンシング部材12A、12Aのリード部14A、14Bの先端部において、チップ電極13aとリング電極13bと間、およびリング電極13bの基端側に2つの被保持部35を設けたものである。
2つの被保持部35の配置ピッチは、1組の保持突起33の長径方向DLの配置ピッチpと同一とされている。
被保持部35の形状は、1組の保持突起33の保持溝33bに保持される適宜の形状を採用することができる。本実施形態では、一例として、外径d0のリードチューブ14aを軸方向幅w2の範囲で、直径dの同軸円柱状にくびれさせた形状を採用している。ここで、被保持部35の軸方向幅w2は、保持部33cの長径方向DLの幅w1よりもわずかに大きい寸法とする。
このような構成により、センシング部材36A(36B)は、図11(a)、(b)に示すように、2つの被保持部35を絶縁ベース31上のいずれか1組の保持突起33の保持溝33bに嵌め込んで絶縁ベース31に装着することができる。すなわち、保持部33cは、柔軟性、弾力性に富んだシリコーン製材料からなるため、各被保持部35を1組の保持突起33の開口部33a上に位置合わせして電極設置面9a側に押し込むと、保持部33cが変形して、被保持部35が保持溝33b内に押し込まれる。このため、被保持部35は、保持部33cの弾性復元力によって保持溝33b内に保持される。
また、被保持部35の外径dは、リードチューブ14aの外径より小さいため、リードチューブ14aとの間の段差によって、保持部33cの長径方向DLの側面に保持位置が規制され、長径方向DLには引き抜くことができなくなる。
また、チップ電極13a、リング電極13bの外径もリードチューブ14aと等しいため、このような装着状態では、チップ電極13a、リング電極13bの電極設置面9aからの最大高さは、高さh2以上となる。このため、チップ電極13a、リング電極13bの高さ方向の頂部は、確実に保持突起33の上面よりも上側(配置時の心嚢膜H0側)に露出される。また、高さh2と略同じ高さh1の電極設置部32上に配置された各除細動電極10の高さと略同じ高さに固定される。
また、装着されたセンシング部材36A(36B)は、装着時と反対に、センシング部材36A(36B)を電極設置面9aの上方に引き上げる力を作用させると、保持部33cが変形して、開口部33aから上方に取り外すことができる。
なお、心外除細動電極組立体30が心嚢膜H0に設置された状態では、絶縁ベース31が心嚢膜H0側に押圧されているため、リード部14A、14Bを電極設置面9aの上方側に引き上げる力は作用しないため、自然に外れることはない。
このような着脱は、絶縁ベース31を心嚢膜H0に装着する前に行うことはもちろん可能であるが、本実施形態では、貫通孔31bを設けているため、一端、絶縁ベース31を心嚢膜H0上に固定した後でも、縫合を外すことなく、着脱することができる。
例えば、鉗子を用いて絶縁ベース31を心嚢膜H0から離間する方向に引っ張って、心嚢膜H0との間に隙間を形成しつつ、リード部14A、14Bの先端部を、開口部33aを通して心嚢膜H0側に引き出すことにより、保持突起33から取り外すことができる。取り外されたリード部14A、14Bの先端部は、貫通孔31bを通して被覆面9b側に引き抜いたり、他の保持突起33上に配置して、位置を変えて装着したりすることができる。
このような構成により、本実施形態では、除細動電極10、除細動電極リード部17、および複数の保持突起33は、絶縁ベース31に一体に固定されて除細動電極部分組立体37を構成している。
また、センシング電極部13とセンシング電極部13に電気的に接続されたリード部14とは、除細動電極部分組立体37に対して分離可能に設けられている。
図10(a)には、心外除細動電極組立体20に置き換えて用いるため、一例として、上記第2の実施形態のセンシング部材12A、12Bと同様に、センシング部材36Aのセンシング電極部13が除細動電極10C、10Dの間の下側、センシング部材36Bのセンシング電極部13が除細動電極10B、10Cの間の上側にそれぞれ嵌め込んで装着された心外除細動電極組立体30が示されている。
ただし、本実施形態では、リード部14A、14Bは、絶縁ベース31には埋設されず、装着位置に隣接する貫通孔31bを通して、被覆面9b側に配回され、被覆面9b上を通って、除細動電極リード部17が側周部9dから延出される位置の近傍にそれぞれ別々に延ばされている。
このように本実施形態では、リード部14A、14Bを絶縁ベース31に埋設されていないため、絶縁ベース31の柔軟性がより向上される。
このような心外除細動電極組立体30は、上記第2の実施形態の心外除細動電極組立体20とまったく同様にして、心嚢膜H0上に設置することができる。
その際、チップ電極13a、リング電極13bの高さ方向の頂部は、各除細動電極10と略同じ高さに整列されるので、除細動電極10とセンシング電極部13との配置高さにより大きな差がある場合に比べて、より均一に心嚢膜H0に接触させることができる。
このように、除細動電極10とセンシング電極部13との取付部のみを厚肉にしているため、例えば、ある程度太いセンシング部材36A、36Bを取り付けた場合でも、絶縁ベース31の厚さは部分的に厚くなるだけであり、全体を厚肉にする場合に比べて高い柔軟性を保つことができる。
また、心外除細動電極組立体30は、除細動電極10と、2つのセンシング電極部13とが、心外除細動電極組立体20と同様な位置関係に配置されているため、植込み型除細動システム101の心外除細動電極組立体20と同様の効果を奏することができる。
さらに、心外除細動電極組立体30によれば、センシング部材36A、36Bが、絶縁ベース31に着脱可能に固定されているため、センシング電極部13の装着位置、配置向きを容易に変更することができる。
例えば、センシング部材36Bを取り外し、センシング部材36Aを、除細動電極10A、10Bの間の下側にチップ電極13aが下向きになるように装着することで、上記第2の実施形態の心外除細動電極組立体2と同様の位置関係にセンシング電極部13を配置することができる。したがって、心外除細動電極組立体30のセンシング電極部13の位置を組み替えた2枚使用して、植込み型除細動システム101と同様の構成を実現することができる。
また、このようにセンシング電極部13の位置を変更できるため、例えば、心嚢膜H0上に心外除細動電極組立体30を設置後、症例に応じて、センシング電極部13の位置を変更することができる。例えば、心臓Hに心筋梗塞部が有る場合等、センシング電極部13の設置位置が不適切となった場合には、その部分を避けてセンシング電極部13を設置できる。また、症状が改善し、ペーシングを行うセンシング電極部13が不要となった場合には、リード部とともに容易に除去することができる。
経静脈リードをペーシング電極やセンシング電極として用いる場合は、設置場所が、静脈系の場所に限定され、その場所は刺激や検出のために最適な場所であるとは限らない。
しかしながら、本実施形態によれば、静脈系の位置に限らず、保持突起33が設けられた位置の範囲であればどこでもセンシング電極部13を配置することができる。このため、センシング電極部13の設置位置の選択の幅が広がり、症例に応じて心臓Hに刺激を与えたい部分や電気的興奮を検出したい部分により近い位置を選択することできる。
[第1変形例]
次に、本実施形態の変形例(第1変形例)に係る除細動電極組立体について説明する。
図12(a)は、本発明の第3の実施形態の変形例(第1変形例)に係る除細動電極組立体の概略構成を示す模式的な平面図である。図12(b)は、図12(a)におけるJ視の側面図である。図13(a)は、本発明の第3の実施形態の変形例(第1変形例)に係る除細動電極組立体のセンシング電極保持部およびセンシング電極部の構成を示す平面視の模式的な拡大図である。図13(b)は、図13(a)におけるK−K断面図である。
本変形例の心外除細動電極組立体30A(除細動電極組立体)は、上記第3の実施形態の心外除細動電極組立体30と同様に、センシング電極部を着脱可能に設けたもので、図8に示すように、上記第2の実施形態の植込み型除細動システム101の心外除細動電極組立体20に代えて用いることができるものである。以下、上記第2、第3の実施形態と異なる点を中心に説明する。
心外除細動電極組立体30Aは、図12(a)、(b)に示すように、上記第3の実施形態の心外除細動電極組立体30の絶縁ベース31、センシング部材36A、36Bに代えて、絶縁ベース31A(絶縁部材)、センシング部材12A、12Bを備えるものである。
なお、図12(a)、(b)では、図9(a)、(c)と同様にセンシング部材12A、12Bの形状の一部を模式的に1本の破線または実線で描いている。
絶縁ベース31Aは、上記第3の実施形態の絶縁ベース31の各保持突起33をそれぞれ保持突起33A(センシング電極保持部)に代えたものである。
保持突起33Aは、センシング部材12A、12Bのセンシング電極部13を着脱可能、かつ装着後に、センシング電極部13を取り外すことなく装着位置を調整できるようにした電極設置面9a上の突起部である。
本変形例の保持突起33Aは、図13(a)、(b)に示すように、電極設置面9aからの高さがh2とされた平面視矩形状のブロック状突起の側面を長径方向DLに貫通して設けられ、上側に開口部30eが形成された保持溝33fを設けたものである。
保持溝33fの横断面形状は、直径d0よりわずかに小さい円の優弧状の円弧からなるC字状溝を採用している。このため、開口部33eの開口幅は、短径方向DSに幅d2(ただし、d2<d0)とされている。
ただし、保持溝33fの形状は、直径d0の円柱部材を着脱可能、かつ円柱部材の軸方向に移動可能に保持できれば、このようなC字状溝には限定されない。例えば、上記第3の実施形態の保持溝33bと同様な多角形状で、内接円径がd0よりもわずかに小さくした溝形状も好適である。
本変形例の保持突起33Aは、上記第3の実施形態の保持突起33と同じ位置に同数配置しているが、本変形例では、センシング部材12A、12Bを1対の保持突起33Aで保持できれば、配置ピッチはpには限定されない。
このような構成により、図13(a)、(b)に示すように、センシング部材12A(12B)の先端部を隣接する2つの保持突起33Aの開口部30e上に配置して、保持溝33f内に押し込むことにより、センシング部材12A(12B)を保持突起33Aに保持させることができる。
センシング部材12A(12B)の被保持部には保持突起33Aから弾性復元力が作用するため、長径方向DLの位置が固定される。
高さ方向の位置は、上記第3の実施形態と同様に、チップ電極13a、リング電極13bの一部が、保持突起33Aの上面から上側(配置時の心嚢膜H0側)に突出した状態で、電極設置部32上の除細動電極10と略同じ高さに固定される。
また、装着されたセンシング部材12A(12B)は、装着時と反対に、センシング部材12A(12B)を電極設置面9aの上方に引き上げる力を作用させると、保持部33cが変形して、開口部33aから上方に取り外すことができる。
さらに、本変形例では、センシング部材12A(12B)の先端部は、チップ電極13a、リング電極13b、リードチューブ14aもいずれも外径d0の円柱状のため、センシング部材12A(12B)に外力を加えて保持溝33fの溝延設方向に移動させると、チップ電極13a、リング電極13bを溝延設方向、本変形例では長径方向DLに位置移動させ、保持位置を位置調整することができる。
このような着脱、位置調整は、絶縁ベース31Aを心嚢膜H0に装着する前に行うことはもちろん可能であるが、本変形例では、貫通孔31bを設けているため、一端、絶縁ベース31を心嚢膜H0上に固定した後でも、縫合を外すことなく、着脱、位置調整を行うことができる。
このような構成により、本変形例では、除細動電極10、除細動電極リード部17、および複数の保持突起33Aは、絶縁ベース31Aに一体に固定されて除細動電極部分組立体37Aを構成している。
また、センシング電極部13とセンシング電極部13に電気的に接続されたリード部14とは、除細動電極部分組立体37Aに対して分離可能に設けられている。
図12(a)に示す心外除細動電極組立体30Aは、各センシング電極部13が心外除細動電極組立体20と同様な位置となる位置に、センシング部材12A、12Bを配置している。
本変形例によれば、上記第3の実施形態と同様に、例えば、心嚢膜H0上に心外除細動電極組立体30Aを設置後、症例に応じて、センシング電極部13の位置を変更することができる。例えば、心臓Hに心筋梗塞部が有る場合等、センシング電極部13の設置位置が不適切となった場合には、その部分を避けてセンシング電極部13を設置できる。
その際、上記第3の実施形態では、移動位置は、他の1対の保持突起33が設けられた位置に限定されるのに対して、本変形例では、1対の保持突起33Aに保持されている範囲で、長径方向DLに位置調整することもできるので、より細かな位置調整を行うことができる。
またセンシング電極部13は、長径方向DL方向に抜き差しすることもできるので、心外除細動電極組立体30Aを心嚢膜H0上に設置した状態で、貫通孔31bから侵入させたセンシング電極部13を長径方向DL方向に進退させて適宜の保持突起33Aに着脱させることもできる。また設置位置によっては、貫通孔31bを通さず、側周部9d側から電極設置面9aと心嚢膜H0との間に侵入させ、長径方向DL方向に移動して、保持突起33Aに装着することも可能である。
これらの場合には、センシング電極部13を着脱する際に、開口部33eから引き抜かなくてもよいので、絶縁ベース31Aを心嚢膜H0から離間させなくてもよいか、離間させるとしても離間させる隙間をより狭くすることができるため、上記第3の実施形態に比べて、より着脱が容易となる。
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係る除細動電極組立体および植込み型除細動システムについて説明する。
図14(a)は、本発明の第4の実施形態に係る除細動電極組立体の概略構成を示す模式的な平面図である。図14(b)、(c)は、図14(a)におけるL視の側面図、およびM−M断面図である。図15は、本発明の第4の実施形態に係るセンシング電極部の構成を示す模式図である。
本実施形態の心外除細動電極組立体40(除細動電極組立体)は、上記第3の実施形態の心外除細動電極組立体30と同様に、センシング電極部を着脱可能に設けたもので、図8に示すように、上記第2の実施形態の植込み型除細動システム101の心外除細動電極組立体20に代えて用いることができるものである。以下、上記第2、第3の実施形態と異なる点を中心に説明する。
心外除細動電極組立体40は、図14(a)、(b)、(c)に示すように、上記第3の実施形態の心外除細動電極組立体30の絶縁ベース31、センシング部材36A、36Bに代えて、絶縁ベース41(絶縁部材)、センシング部材45A、45Bを備えるものである。
なお、図14(a)、(b)では、図9(a)、(c)と同様にセンシング部材45A、45Bの形状の一部を模式的に1本の破線または実線で描いている。
絶縁ベース41は、上記第3の実施形態の絶縁ベース31の保持突起33、貫通孔31bを削除し、除細動電極10A、10Bが設けられた電極設置部32の間、除細動電極10B、10Cが設けられた電極設置部32の間、および除細動電極10C、10Dが設けられた電極設置部32の間の電極設置面9a上に、長径方向DLに沿ってそれぞれ6個、8個、6個並べて配置された保持突起42(センシング電極保持部)を備えるものである。
保持突起42は、電極設置面9a上に設けられた高さh2の円環状の突起部であり、中心には、被覆面9bに貫通して後述するセンシング部材45A、45Bの被保持部43aの外径d3よりも小さな内径を有する保持孔部42aが形成されている。
保持突起42の長径方向DLの個数、設置間隔は適宜設定することができ、図14(a)に示す個数、設置間隔は一例である。
また、保持孔部42aの形状は、後述する被保持部43aを被覆面9b側から着脱可能に保持できる形状であれば円孔には限定されない。
センシング部材45A、45Bは、図15に示すように、同一の構成、形状からなる。以下では、配置位置を区別しない場合には、単にセンシング部材45と称する場合がある。
センシング部材45は、センシング部材12からリング電極13bおよびリング電極13bのリードを構成するリード14d、絶縁チューブ14cを削除し、チップ電極13aが設けられた先端部に、長さh3にわたってリードチューブ14aの外径d0よりも小さい外径d3を有する同軸の円柱形状を有する被保持部43aが設けられたものである。このため、被保持部43aとリードチューブ14aとの境界部には、径方向の段差部が形成されている。
センシング部材45は、特に断面は図示しないが、チップ電極13aに接続されたリード14bがリードチューブ14aに被覆されたリード部43(センシング電極リード)を備えている。
被保持部43aは、リードチューブ14aの外径を成形して形成してもよいし、例えば合成樹脂などからなる絶縁性の別部材をリードチューブ14aの先端に連結した構成としてもよい。
被保持部43aの長さh3は、被保持部43aを被覆面9b側から保持突起42に装着したときに、チップ電極13aの先端面の電極設置面9aからの高さが、電極設置部32上に設けられた除細動電極10の電極設置面9aからの高さと略整列するように設定されている。このため、図14(c)に示すように、センシング部材45の取り付け状態では、チップ電極13aの先端は、保持突起42の先端よりも突出されている。
このような構成により、センシング部材45では、チップ電極13aをセンシング電極部とする単極型(ユニポーラ型)の電極が構成されている。
このため、センシング部材45では、コネクタ15bは、ユニポーラ型に対応するIS1コネクタであるコネクタ44に置き換えられている。
本実施形態によれば、センシング部材45の被保持部43aをチップ電極13a側から、被覆面9b側の保持突起42の保持孔部42aの開口に挿入することにより、保持孔部42a内に装着することができる。このとき、チップ電極13aの先端は、被保持部43aとリードチューブ14aとの段差部が、被覆面9bに係止されることによって、被覆面9bから高さが位置決めされる。
また、センシング部材45の基端側を被覆面9bから離れる方向に引き抜くことにより、センシング部材45を絶縁ベース41から引き抜くことができる。
このように本実施形態では、チップ電極13aを被覆面9b側から被覆面9bに直交する方向に着脱することができるので、心外除細動電極組立体40が心嚢膜H0上に配置された状態において、絶縁ベース41を心嚢膜H0から離間させることなく、センシング部材45のみを操作して着脱することができる。このため、センシング部材45の着脱が容易である。
このような構成により、本実施形態では、除細動電極10、除細動電極リード部17、および複数の保持突起42は、絶縁ベース41に一体に固定されて除細動電極部分組立体47を構成している。
また、センシング電極部であるチップ電極13aと、チップ電極13aに電気的に接続されたリード部14とは、除細動電極部分組立体47に対して分離可能に設けられている。
図14(a)には、心外除細動電極組立体20に置き換えて用いるため、一例として、上記第2の実施形態のセンシング部材12A、12Bと同様に、センシング部材45Aのチップ電極13aが除細動電極10C、10Dの間の下側、センシング部材45Bのチップ電極13aが除細動電極10B、10Cの間の上側にそれぞれ嵌め込んで装着された心外除細動電極組立体40が示されている。
ただし、本実施形態では、リード部43は、絶縁ベース41には埋設されず、被覆面9b側に配回され、被覆面9b上を通って、除細動電極リード部17が側周部9dから延出される位置の近傍にそれぞれ別々に延ばされている。
このような心外除細動電極組立体40は、上記第2の実施形態の心外除細動電極組立体20、上記第3の実施形態の心外除細動電極組立体30とまったく同様にして、心嚢膜H0上に設置することができる。
そして、心外除細動電極組立体40は、除細動電極10と、2つのチップ電極13aからなるユニポーラ型のセンシング電極部とが、心外除細動電極組立体20と同様な位置関係に配置されているため、植込み型除細動システム101の心外除細動電極組立体20と同様の効果を奏することができる。
また、本実施形態によれば、センシング部材45のリードチューブ14aの内部には、リード14bのみを挿通させればよいため、上記第2、第3の実施形態に比べて、チップ電極13a、リードチューブ14aの外径を小さくすることができる。この場合、保持突起42の大きさも小さくすることができるので、電極設置面9a上により多くの保持突起42を設けることができ、センシング部材45の設置位置の自由度を高めることができる。
さらに、心外除細動電極組立体40によれば、センシング部材45A、45Bが、絶縁ベース41に被覆面9b側から、被覆面9bに直交する方向に着脱可能に固定されているため、チップ電極13aの配置位置を他の保持突起42の位置に容易に変更することができる。このため、上記第3の実施形態と同様の効果を奏する。
[第2変形例]
次に、本実施形態の変形例(第2変形例)に係る除細動電極組立体について説明する。
図16は、本発明の第4の実施形態の変形例(第2変形例)に係る除細動電極組立体の概略構成を示す模式的な平面図である。
本変形例の心外除細動電極組立体40A(除細動電極組立体)は、図16に示すように、上記第4の実施形態の除細動電極部分組立体47に、4つのセンシング部材45A、45B、45C、45Dを着脱可能に設けたものである。
ただし、本変形例では、センシング部材45C、45Dは、それぞれセンシング部材45A、45Bに長径方向DLに隣接する位置に装着され、センシング部材45A、45Cの間の1対のチップ電極13aと、センシング部材45B、45Dの間の1対のチップ電極13aとが、それぞれバイポーラ型電極を構成し、それぞれ1つのセンシング電極部として、ICD本体1に接続できるようにしたものである。以下、上記第4の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本変形例では、センシング部材45を2本組み合わせてバイポーラ型電極を構成して、心臓Hのセンシング、ペーシング動作を行うことができる。また、対となるセンシング部材45の位置や互いの間隔を保持突起42が設けられた範囲で変更することができるので、センシング電極部13のような電極間隔が固定されたバイポーラ型電極を用いる場合に比べて、センシング電極部の配置位置や電極間隔の変更が容易となる。
なお、上記の第2の実施形態の説明では、センシング電極保持部として、絶縁部材に設けられた柔軟性を有する突起部を用いた場合の例で説明したが、センシング電極部を着脱可能に保持することができれば、粘着剤やクリップ部材などを用いて着脱できるようにした構成を採用してもよい。
また、上記の第3、第4の実施形態の説明では、センシング電極リード、除細動電極リードが、それぞれ別々に胸腔内に配置される場合の例で説明したが、センシング電極部の着脱に必要なセンシング電極リードの遊びを先端側に残した状態で、例えばマルチルーメンチューブを通したり、結束部材を用いて束ねたりすることなどによって、部分的に1本化した構成としてもよい。
また、上記の説明では、バイポーラ型のセンシング電極部を用いた場合に、電極の配置が、長径方向DLに沿うように配置された場合の例で説明したが、センシング電極部と、除細動電極とは互いに絶縁されていればよく、電極の向きは特定の方向に整列されている必要なない。したがって、センシング電極部は、例えば、短径方向DS方向など、長径方向DLと異なる方向に向けて固定されていてもよい。
また、上記の各実施形態、各変形例に説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせを代えて実施することができる。
1 植込み型除細動器(ICD)本体(植込み型除細動器)
1A、1B 接続端子部
2、3、20、30、30A、40、40A 心外除細動電極組立体
3 心内除細動電極組立体
9、31、41 絶縁ベース(絶縁部材)
9a 電極設置面
9b 被覆面
9c 取付部
10、10A、10B、10C、10D 除細動電極
10a 位置固定部
11 導電部
12、12A、12B、36A、36B、45、45A、45B、45C、45D センシング部材
13 センシング電極部
13a チップ電極
13b リング電極
14、14A、14B、43 リード部(センシング電極リード)
14a、17a リードチューブ
14b、14d、17b リード
15a、15b、44 コネクタ
16、16A マルチルーメンチューブ(絶縁管部材)
17 除細動電極リード部(除細動電極リード)
17a リードチューブ
31b 貫通孔
32 電極設置部
33、33A、42 保持突起(センシング電極保持部)
33b、33f 保持溝
33c 保持部
35、43a 被保持部
37、37A、47 除細動電極部分組立体
42a 保持孔部
44 コネクタ
100、101 植込み型除細動システム
DL 長径方向
DS 短径方向
H 心臓
H0 心嚢膜
H1 右心室
H2 左心室
H3 右心房
P 患者
S 縫合糸
V1 上大静脈

Claims (8)

  1. 胸腔内で心臓の外部側の被設置面に設置され、植込み型除細動器に接続される除細動電極組立体であって、
    前記植込み型除細動器からの電気エネルギーを前記被設置面に印加する除細動電極と、
    該除細動電極を前記植込み型除細動器に電気的に接続する除細動電極リードと、
    シート状の絶縁材料からなり、前記除細動電極を一方のシート表面に露出させて保持する絶縁部材と、
    前記一方のシート表面上で前記除細動電極と離間した位置に配置され、心臓の電気的興奮を検出するセンシング電極部と、
    該センシング電極部を前記植込み型除細動器に電気的に接続するセンシング電極リードと、
    を備えることを特徴とする除細動電極組立体。
  2. 前記絶縁部材は、
    前記センシング電極部を着脱可能に保持する複数のセンシング電極保持部を備え、
    前記センシング電極部は、
    前記絶縁部材の前記複数の保持部のいずれかに保持されていることを特徴とする請求項1に記載の除細動電極組立体。
  3. 前記複数のセンシング電極保持部は、
    前記センシング電極部を前記被設置面に沿う方向に位置移動可能な溝形状を有することを特徴とする請求項1または2に記載の除細動電極組立体。
  4. 前記複数のセンシング電極保持部は、
    前記絶縁部材の厚さ方向に貫通して設けられ、前記センシング電極部を前記絶縁部材の他方のシート表面側から着脱できるようにした保持孔部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の除細動電極組立体。
  5. 前記除細動電極リードおよび前記センシング電極リードを一体に被覆する絶縁管部材を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の除細動電極組立体。
  6. 前記除細動電極、前記除細動電極リード、および前記複数のセンシング電極保持部は、前記絶縁部材に一体に固定されて除細動電極部分組立体を構成し、
    前記センシング電極部と、該センシング電極部に電気的に接続された前記センシング電極リードとは、前記除細動電極部分組立体に対して分離可能に設けられたことを特徴とする請求項2に記載の除細動電極組立体。
  7. 胸腔内で心臓の外部側の被設置面に設置され、心臓の電気的興奮を検出するセンシング電極部とともに植込み型除細動器に接続して用いられる除細動電極部分組立体であって、
    前記植込み型除細動器からの電気エネルギーを前記被設置面に印加する除細動電極と、
    該除細動電極を前記植込み型除細動器に電気的に接続する除細動電極リードと、
    シート状の絶縁材料からなり、前記除細動電極を一方のシート表面に露出させて保持する絶縁部材と、
    前記一方のシート表面上で前記除細動電極と離間した位置に設けられ、前記センシング電極部を着脱可能に保持するための複数のセンシング電極保持部と、
    を備えることを特徴とする除細動電極部分組立体。
  8. 請求項1または2に記載の除細動電極組立体と、
    該除細動電極組立体に設けられた前記除細動電極リードおよび前記センシング電極リードに電気的に接続される植込み型除細動器と、
    を備えることを特徴とする植込み型除細動システム。
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