JP6814761B2 - 配列対称形に修飾されたIgG4二重特異性抗体 - Google Patents

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Description

本発明は、野生型抗体と比較してジスルフィド結合の配置が変更されている二重特異性IgG4抗体及び前記の改善された抗体を作製する方法に関する。更なる態様において、本開示は、二重特異性抗体を調製する効率的な方法を提供する。
組換えタンパク質、モノクローナル抗体(mAbs)及び核酸に基づいた薬物を取り巻く生物薬剤産業は急速に成長している。抗体操作により、抗体断片又は別の形態の設計及び産生がもたらされた。治療剤として抗体に基づくタンパク質を選択する場合、産生量、タンパク質の品質及び貯蔵安定性など他の態様と共に好ましい分子形態が考慮される。
全ての免疫グロブリン(Ig)分子の基本的な構造は、ジスルフィド結合によりカップリングされる2本の同一の重鎖(HC)及び2本の同一の軽鎖(LC)を含む。各LCは、可変(V)及び定常(C)ドメインからなる。HCに基づいて、5つの主要なIgクラスが認識されている:IgG、IgA、IgD、IgE及びIgM。IgGの場合、HCは、1つの可変ドメイン(V)と3つの定常ドメイン(C1〜3)からなる。C2及びCHドメインは、エフェクター機能の刺激に関与してIgG分子に柔軟性を与えるヒンジ領域によってFabフラグメント(V及びC)に連結される分子のFc部分を形成する。2つの抗原認識部位は、V及びVドメインの末端に位置する。IgGは、4つの異なるアイソタイプに更に細分される:IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4。
Fc媒介エフェクター機能、すなわち抗体依存性細胞傷害(ADCC)又は補体依存性細胞傷害(CDC)は、アイソタイプ依存性である。各アイソタイプは、体内で特定の機能を果たすように進化してきた。IgG1アイソタイプは、長い半減期、強いADCC活性、補体活性のため、治療用として現在最も広く使用されている。他のアイソタイプは、標的及び望ましい効果に応じた治療剤として利用される。例えば、標的抗原が簡単に中和され、エフェクター機能があまり重要でない場合、IgG2及びIgG4など別アイソタイプを使用できる。別法として、再操作されたFc/エフェクター機能を備えるIgGを考えることもできる。
IgG2は、付随するするエフェクター機能を最小限しか持たないが、二量体化しやすく、これについては完全には理解されていない。
IgG4は、エフェクター機能誘導の相対的欠如ゆえに、依然として有用なアイソタイプである。しかし、IgG4にはいくつか特有の実用上の問題点もあり、すなわち短い血清半減期及び「Fabアーム交換」(力学的重鎖交換又は重鎖交換とも呼ぶ)を受ける能力であり、1つの抗体の重鎖及び付着している軽鎖は、別の抗体の重鎖及び付着している軽鎖で交換されて、2本の重鎖及び付着している2本の軽鎖からなる別の全抗体が形成される(van der Neut Kolfschotenら、2007年、Science 317巻、1554〜1557頁)。
in vivoにおけるFabアーム交換の結果、可変ドメインが異なるため、異なる標的抗原を共に係合できる二重特異性抗体が得られる。これは、二重特異性であるが、機能的には一価であると観察された循環IgG4を高いパーセンテージで作製する(Schuurman,J.、Van Ree,R.、Perdok,G.J.、Van Doorn,H.R.、Tan,K.Y.、Aalberse,R.C.、1999年、「ヒト正常免疫グロブリンG4は二重特異性になり得る:それは2つの異なる抗原結合部位を有する。(Normal human immunoglobulin G4 can be bispecific:it has two different antigen−combining sites)」Immunology 97巻、693〜698頁)。
in vitroにおいて、非還元SDS−PAGEでIgG4抗体を分析する場合、通常、ヒンジ領域内における重鎖内ジスルフィド結合形成のため重鎖間ジスルフィド結合を欠くことに起因して、共有結合的に会合した単一の重鎖−軽鎖対を各々含むいわゆる「半分子」が形成されることが観察された。「半分子」の重鎖は、その重鎖と対をなす相手と非共有結合的に会合することができ、その会合はCH3:CH3ドメイン相互作用によって維持される。溶液において、サイズ排除クロマトグラフィーなどの方法を使用して、完全な大きさはおよそ150kDaであるが非還元SDS−PAGEでは75kDaのLC:HC対合(いわゆる「半分子」)を含むそのような「半分子」が実際に観察される。
ヒンジ内の241位(Kabat付番方式に従った付番で)でのSerからProへの変異は、非還元SDS−PAGEによるこれら「半分子」の出現を低下させる(Angal,S.ら、1993年、「SDS−PAGE分析において観察されるように、単一のアミノ酸置換が、キメラマウス/ヒト(IgG4)抗体の異質性を無効にする(A single amino acid substitution abolishes the heterogeneity of chimeric mouse/human (IgG4) antibody as observed during SDS−PAGE analysis)」Mol Immunol 30巻、105〜108頁)。加えて、この点突然変異はIgG4の小型構造には影響せず、それにより、IgG4は補体を活性化する能力の低下を維持できる。
S241P変異の発見の後、IgG4抗体における重鎖間相互作用を理解し、IgG4エフェクター機能を低下させ、構造的な安定性を向上させるために、IgG4に対する更なる変異が研究された。Schuurmanら(Schuurman,Jら、2001年、「IgG4の重鎖間ジスルフィド結合は、重鎖内ジスルフィド結合と平衡している(The inter−heavy chain disulphide bonds of IgG4 are in equilibrium with intra−heavy chain disulphide bonds)」Molecular Immunology 38巻、1〜8頁)において、観察されたIgG4の重鎖間ジスルフィド結合の不安定性は、IgG4変異体を使用して研究された。変異体M1において、重鎖−軽鎖間(C−C1)ジスルフィド結合に関わっているCys131(EU付番方式に従った付番で、又はKabat付番方式に従ってCys127)がセリンによって置きかえられ、この変異体が、軽鎖のダイマー及び重鎖のダイマーを形成することが見出された。変異体M2において、ヒンジにおける重鎖間ジスルフィド結合に関わっているシステイン226(EU付番方式に従った付番で226、又はKabat付番方式に従って239)はセリンによって置きかえられ、この変異体がIgG4と比較して重鎖間結合がより安定しており、重鎖内ジスルフィド結合の形成を防ぐことが見出された。
IgG4抗体の凝集体形成を低下させるために、IgG4抗体のC2及びC3ドメインにおける変異についても研究した。米国特許出願公開第2008/0063635号Takahashiらは、IgG4の変異体について研究し、その変異体においてCH3ドメインの409位(EU付番方式に従った付番で409、又はKabat付番方式に従った付番で440)のアルギニンがリシン、トレオニン、メチオニン又はロイシンで置換されており、低pHにおける凝集体形成を阻害した。L235、D265、D270、K322、P329及びP331(EU付番方式に従った付番でL235、D265、D270、K322、P329及びP331、又はKabat付番方式に従った付番でL248、D278、D283、K341、P348及びP350)における更なる変異も教示され、CDC活性が減弱される。WO2008/145142 Van de Winkelらは、ヒンジ領域にS228P(EU付番方式に従った付番でS228、又はKabat付番方式に従ってS241)変異がなくても、409位のアルギニン残基、405位のPhe残基又は370位のLys(EU付番方式に従った付番でR409、F405及びK370、又はKabat付番方式に従った付番でR440、F436及びK393)の置換によってFabアーム交換を受ける能力が低下した安定なIgG4抗体について開示している。
本発明は、野生型抗体、特に野生型IgG4抗体及び断片と比較して改善された生物物理学的特性を含めて有利な特性を有する新たな変異体抗体を提供する。特に、驚くべきことに、軽鎖中のシステインとジスルフィド結合を形成するIgG4抗体の重鎖内システイン残基の位置の交換は、野生型IgG4抗体と比較して安定性が改善されたIgG4抗体をもたらすことが見出された。変異体IgG4抗体は、有利なFabアーム交換特性を有する二重特異性抗体を形成することが可能であることも見出された。
in vitroにおいて、高濃度の抗体を利用する及び/又はグルタチオンなどの化学的刺激剤を利用することによってFab−アームの交換を促進して、治療剤用として安定且つ適切である二重特異性形態を生成することができる。二重特異性な実体は単一の構築物として発現させにくい可能性があるので、これは医薬生物学的製剤分野での適用を有する。
一態様において、本発明は、可変領域、C1ドメイン及びヒンジ領域を各々備える2本の重鎖を含むクラスIgG4の対称形二重特異性抗体を提供し、各重鎖において:
a.軽鎖中のシステインと鎖間ジスルフィド結合を形成するC1ドメイン中のシステインは別のアミノ酸で置換されており;
b.上部ヒンジ領域に位置する1個又は複数のアミノ酸はシステインで置換されており、各重鎖の定常領域配列は類似しているか又は同一であり、各重鎖の可変領域は異なっている。
一実施形態において、例えば図1bに示すように、軽鎖中のシステインと鎖間ジスルフィド結合を形成するC1ドメイン中のシステインは、Kabat付番方式に従った付番で127位のシステインである。
一実施形態において、重鎖の一方又は両方において、C1ドメイン中の、Kabat付番方式に従った付番で127位の鎖間システインは、別のアミノ酸で置換されている。
図1bに示すように、システインで置換されており、上部ヒンジ領域に位置する1個又は複数のアミノ酸は、Kabat付番方式に従った付番で226、227、228、229、230、237及び238から選択できる(上部ヒンジ領域において下線を引いたアミノ酸)。一実施形態において、図1b及び2aに示すように、システインで置換されており、上部ヒンジ領域に位置する1個又は複数のアミノ酸は、Kabat付番方式に従った付番で227、228、229及び230から選択される位置の1個又は複数のアミノ酸である。
一実施形態において、229位のシステインに対する変異は、Fabアーム交換を低下させる。
一実施形態において、230位のシステインに対する変異は、241位における例えばプロリン、アラニン、グリシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン及びバリンから選択される無極性アミノ酸への変異と組合せて利用される。
一実施形態において、Fabアームは、例えばアルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、リシン、トレオニン及びチロシン、トレオニンなどから選択される極性残基に対する変異の利用を増大させることができる。
一実施形態において、241位における、例えばプロリン、アラニン、グリシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン及びバリンから選択される無極性アミノ酸への変異が提供され、利用される。
更なる態様において、本発明は、可変領域、C1ドメイン及びヒンジ領域を各々備える2本の重鎖を含むクラスIgG4の対称形二重特異性抗体も提供し、各重鎖において:
a.Kabat付番方式に従った付番で127位のシステインは別のアミノ酸で置換されており、
b.Kabat付番方式に従った付番で239位のシステイン又は242位のシステインは別のアミノ酸で置換されており、各重鎖の定常領域配列は類似しているか又は同一であり、各重鎖における可変領域は異なっている。
本発明によって提供される抗体は、エフェクター機能が全くなく、野生型IgG4抗体と比較して有利な特性、例えば熱的安定性の改善など、安定性の改善を示すことができる。
理論に束縛されるものではないが、本開示による抗体中の修飾されたヒンジはIgG4分子に固有の内部歪みを軽減し、それによって安定性の改善が促進されるという仮説が立てられる。
例えばin vitroで高濃度の抗体を利用する及び/又はグルタチオンなど交換の化学的刺激剤を利用することによって、IgG4抗体における重鎖交換の天然の過程を促進して、本開示による二重特異性IgG4抗体の調製を容易にすることができる。
野生型IgG4分子に勝って安定性が改善され及び/又は重鎖交換が改善されたという点で、本開示の抗体は有益になり得る。本発明の抗体は野生型IgG4と比較して低下した重鎖交換を実証することができ、本抗体は、IgG4と比較して低下した交換傾向のため、及び天然に循環しているIgG4抗体と比較してin vivoにおいて二重特異性抗体濃度が相対的に低いため、in vivoで野生型IgG4と殆ど又は全く交換しないことを実証する二重特異性抗体を提供する。
理論に束縛されるものではないが、本発明により記載される構築物に類似する型との交換の方が、本開示の構築物と野生型IgG4との交換より有利と考えられる。
本発明の二重特異性抗体は、in vivo濃度より高い濃度、例えば0.5mM以下の濃度で、野生型IgG4と比較して低下した重交換を実証し得る。本発明の二重特異性抗体は、野生型IgG4と比較して低下した重鎖交換を実証するが、IgG1 wt及びIgG4 S241Pと比較して、in vitroで異なる抗原特異性を有する2つの抗体から二重特異性抗体を創出するのに十分な重鎖交換の程度を実証している。本明細書における構築物の定常領域における対称性は、抗体の内部歪みを最小限に抑え、従って安定性を助けるので有利である。
従って、本発明は、重鎖交換を引き起こす条件下で、第1のIgG4抗体を第2のIgG4抗体とex vivoで混合するステップを含む対称形二重特異性抗体を生成する方法も提供し、第1の抗体における可変領域の抗原特異性は、第2の抗体における可変領域の抗原特異性と異なる。
本開示の方法は、日常の技術及び天然に存在するプロセスの刺激だけを利用する、二重特異性対称形抗体の効率的な調製を可能にする。
野生型IgG1並びに野生型IgG4のヒトC1及びヒンジ配列(ヒンジ残基に下線を引く)、並びにκ軽鎖定常配列を示す図である。 鎖間C−C1ジスルフィド結合を形成するシステインを示している(下線を引く)ヒトκ軽鎖定常配列;鎖間C−C1ジスルフィド結合を形成する(IgG1の上部ヒンジ並びにIgG2、3及び4のN末端C1中の)システインの位置を示している(下線を引く)、ヒトIgG1、2、3及び4重鎖N末端C1残基並びにヒンジ領域配列;鎖間C−C1ジスルフィド結合を形成するN末端C1配列中のシステインの位置を示している(下線を引く)ヒトIgD重鎖N末端C1残基及びヒンジ領域配列の一部;鎖間C−C1ジスルフィド結合を形成するN末端C1中のシステインの位置を示している(下線を引く)ヒトIgM重鎖N末端C1、C末端C1残基及び選択されたN末端C2残基;本発明の抗体において、下線を引いた残基が1個又は複数の残基がシステインで置換され得る位置を示している、IgG3及びIgG4の上部ヒンジ、IgDのヒンジ並びにIgMのC末端C1及びC2中の残基を示す図である。 軽鎖中のシステインと鎖間ジスルフィド結合を形成するC1システイン残基(C127)、野生型IgG1と野生型IgG4の上部及びコアヒンジ残基、並びに本発明のIgG4抗体において変異が導入された位置を示す図である。 軽鎖中のシステインと鎖間ジスルフィド結合を形成するC1システイン残基(C127)、野生型IgG3のヒンジ残基、及び本発明のIgG3抗体において1個又は複数の残基がシステインで置換される位置を示す図である。 軽鎖中のシステインと鎖間ジスルフィド結合を形成するC1システイン残基(C127)、野生型IgMの選択されたC1及びC2残基、並びに本発明のIgM抗体において1個又は複数の残基がシステインで置換される位置を示す図である。 軽鎖中のシステインと鎖間ジスルフィド結合を形成するC1システイン残基(C128)、野生型IgDのヒンジ残基、及び本発明のIgD抗体において1個又は複数の残基がシステインで置換されている位置を示す図である。 本発明によるIgG4抗体に導入した変異を示す図である。 図3aに示したIgG4抗体の変異した重鎖中の残基の位置、及び軽鎖(LC)又は変異した別の重鎖(HC)のいずれかにあるシステインと形成できると予測されるジスルフィド結合を示す図である。システインがLC又はHC中のシステインと結合できる場合、下線を引いた鎖が予測される主たるジスルフィド結合配置である。 本発明によるIgG4抗体に導入した変異を示す図である。 図4aに示したIgG4抗体のシステイン残基の位置、及び軽鎖(LC)又は重鎖(HC)のいずれかにあるシステインと形成できると予測されるジスルフィド結合を示す図である。システインがLC又はHC中のシステインと結合できる場合、下線を引いた鎖が予測される主たるジスルフィド結合配置である。 本発明によるIgG4抗体のC1及びヒンジ領域の配列を示す図である。 本発明によるIgG4抗体のC1、ヒンジ領域、C2及びC3の配列を示す図である。 上のゲルが抗ヒトFc抗体を使用した結果を示し、下のゲルが抗κ抗体を使用した結果を示す、本発明による抗体のウェスタンブロット分析を示す図である。 上のゲルが抗ヒトFc抗体を使用した結果を示し、下のゲルが抗ヒトκ抗体を使用した結果を示す、本発明による抗体のウェスタンブロット分析を示す図である。 上のゲルが抗ヒトFc抗体を使用した結果を示し、下のゲルが抗ヒトκ抗体を使用した結果を示す、本発明による抗体のウェスタンブロット分析を示す図である。 上のゲルが抗ヒトFc抗体を使用した結果を示し、下のゲルが抗ヒトκ抗体を使用した結果を示す、本発明による抗体のウェスタンブロット分析を示す図である。 Fab及びC2ドメインの熱安定性を示す本発明の抗体の熱蛍光分析の結果を示す図である。 Fab及びC2ドメインの熱安定性を示す本発明の抗体の熱蛍光分析の結果を示す図である。 Fab及びC2ドメインの熱安定性を示す本発明の抗体の熱蛍光分析の結果を示す図である。 Fab及びC2ドメインの熱安定性を示す本発明の抗体の熱蛍光分析の結果を示す図である。 本発明の選択された抗体の熱安定性の順位を示す図である。 2つのGSH濃度及び様々な時点における野生型IgG1、野生型IgG4並びに様々な変異体の重鎖交換を示す図である。 2つのGSH濃度及び様々な時点における野生型IgG4及び様々な変異体の重鎖交換を示す図である。 2つのGSH濃度及び様々な時点における野生型IgG4及び様々な変異体の重鎖交換を示す図である。 野生型IgG4と比較した、0.5mM GSHでの様々な変異体の重鎖交換のパーセンテージ交換を示す図である。 野生型IgG4と比較した、5mM GSHでの様々な変異体の重鎖交換のパーセンテージ交換を示す図である。 241位に別の残基を有するIgG4変異体の対称的アーム交換分析を示す図である。IgG4 WTは、IgG4 Pより多く交換した。S241GとS241Aの交換活性は互いに同程度であり、IgG4 WTより著しく小さく、およそ半分であった。S241Tは、IgG4 WTと類似のレベルで交換した。
配列の簡単な説明
配列番号1〜223は、様々なヒンジを示す。
配列番号224は、天然のIgG1ヒンジを示す。
配列番号225は、天然のIgG4ヒンジを示す。
配列番号226は、野生型IgG1抗体のCH1及びヒンジ領域配列を示す。
配列番号227は、野生型IgG4抗体のCH1及びヒンジ領域配列を示す。
配列番号228は、ヒト野生型κ軽鎖の定常領域の一部を示す。
配列番号229は、IgG4下部ヒンジ配列(22ページに記載)を示す。
配列番号230は、ヒトIgG1抗体のC1ドメインのN末端配列の一部を示す。
配列番号231は、ヒトIgG1抗体のヒンジ領域を示す。
配列番号232は、ヒトIgG2抗体のC1ドメインのN末端配列の一部を示す。
配列番号233は、ヒトIgG2抗体のヒンジ領域を示す。
配列番号234は、ヒトIgG3抗体のC1ドメインのN末端配列の一部を示す。
配列番号235は、ヒトIgG3抗体のヒンジ領域を示す。
配列番号236は、ヒトIgG4抗体のC1ドメインのN末端配列の一部を示す。
配列番号237は、ヒトIgG4抗体のヒンジ領域を示す。
配列番号238は、ヒトIgGD抗体のC1ドメインのN末端配列の一部を示す。
配列番号239は、ヒトIgGD抗体のヒンジ領域の一部を示す。
配列番号240は、ヒトIgGM抗体のC1ドメインのN末端配列の一部を示す。
配列番号241は、ヒトIgGM抗体のC1ドメインのC末端配列の一部を示す。
配列番号242は、ヒトIgGM抗体のC2ドメインの一部を示す。
配列番号243〜278は、抗体6、7、8、15、16、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、44、45、46、47、2、3、48、28P、44P、1、4、5、5P、9、10、11、12、13並びに14それぞれの、C1ドメイン及びヒンジ領域配列を示す。
配列番号279は、野生型IgG4 C2及びC3ドメイン配列を示す。
配列番号280は、野生型IgG4 C2及び野生型IgG1 C3ドメイン配列を示す。
配列番号281〜306は、抗体6、7、8、15、16、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、44、45、46、47、2、3、48、28P並びに44PそれぞれのC1ドメイン、ヒンジ領域、C2ドメイン及びC3ドメイン配列を示す。
配列番号306〜316は、抗体1、4、5、5P、9、10、11、12、13並びに14それぞれのC1ドメイン、ヒンジ領域、C2ドメイン及びC3ドメイン配列を示す。
配列番号317、318、320及び321は、様々なヒンジ配列を示す。
配列番号319は、抗体配列中の位置である。
本発明は、ここでより詳細に記載される。
本明細書で使用する、対称形抗体とは、抗体又は抗体断片であり、可変領域の外側の領域において重鎖は類似の又は同一の配列を有する。
本明細書で使用する、類似とは、アミノ酸配列が、分析される配列全体に渡って95%以上の同一性である、例えば96、97、98又は99%の同一性である。パーセンテージ同一性は、当業者に公知のソフトウェアを使用して評価することができる。
本明細書で使用する、同一とは、分析される配列に渡って、例えば配列全体に渡って100%の配列同一性があることを指す。
一実施形態において、本開示の抗体の重鎖配列は、例えば鎖間ジスルフィド結合、例えば対応する野生型断片中に天然に存在する結合又は遺伝子操作されて鎖中の望ましい位置に存在する結合、を介して共有結合している。
一態様において、本開示の抗体は、両方の重鎖配列又は断片が、IgG1型ヒンジを有するという点を特徴とする。
野生型IgG1の上部及びコアヒンジは、配列EPKSCDKTHTCPPCP(配列番号224)を有する。
野生型IgG4の上部及びコアヒンジは、配列EPKYGPPCPSCP(配列番号225)を有する。
本明細書で使用する、IgG1型ヒンジとは、1個又は複数、例えば1、2若しくは3個など1〜5個のアミノ酸がIgG4ヒンジ、特にEPKYGPP(配列番号319)とCPSCの間に挿入され及び/又はIgG4ヒンジ中の1個又は複数アミノ酸YGPPが、例えばIgG1ヒンジ内のアミノ酸に対応するよう置きかえられ、特にG(IgG4ヒンジ中のYGPP由来)がCで置きかえられ又はY(IgG4ヒンジ中のYGPP由来)がC若しくはSで置きかえられることを指すものとする。
従って、本発明は、上部ヒンジ、コア及び下部ヒンジを持つIgG4重鎖を含む対称形二重特異性抗体も提供し、重鎖又はその中の各重鎖の前記上部ヒンジ及びコアは、15アミノ酸など、長さ13〜17である。
一実施形態において、第1のIgG4重鎖を持つ対称形二重特異性抗体は、長さ15アミノ酸の上部ヒンジ及びコアを有する。
一実施形態において、重鎖の上部ヒンジ及びコアは、IgG4ヒンジに見出される天然の12アミノ酸及び更なる3個のアミノ酸、例えば3個のアラニン残基若しくは3個のグリシン残基又はその組合せを含む。
一実施形態において、ヒンジは、以下の配列のうち1つである:

一実施形態において、本開示のIgG4重鎖中の上部ヒンジ及びコアは、IgG1型ヒンジ、すなわちEPKSCDKTHTCPPC配列番号25又は

などその誘導体からなる。
一実施形態において、本開示による抗体は、上部ヒンジ及びコアを含む。
一実施形態において、上部ヒンジ及びコア領域は、以下の配列の1つから選択される:



一実施形態において、重鎖配列又はその断片の一方若しくは両方のコアヒンジ領域は、CPPCP配列番号318配列を有する。
理論に束縛されるものではないが、この配列は、「in vivo」型濃度で抗体アームの動的交換を遮断する可能性があると考えられ、例えば0.5mM未満の還元剤の濃度、特に5μM程度の還元剤の濃度が生理的に妥当であると考えられる(Zilmerら、2005年、Drug Design Reviews、第2巻、2号、121〜127頁、2005年)。
本発明の一実施形態において、二重特異性抗体の各重鎖は、上記の配列から選択される同一の上部及びコアヒンジ領域を有し、同一の下部ヒンジ領域を有してもよい。更なる実施形態において、二重特異性抗体の各重鎖は、同一のC1領域を有し、同一のC2及びC3領域を有してもよい。従って、各重鎖は、同一の重鎖定常領域配列を有してもよい。
本明細書で使用する「異なる可変領域」とは、前記可変領域が異なる抗原に対して特異性を有する場所を指すものとする。すなわち各可変領域に特異的な抗原は、異なる抗原又は異なる抗原部分、例えば異なるエピトープである。
本明細書で使用する「特異的」とは、結合ドメインが、特異的でない他の抗原に対するより大きい親和性及び結合活性(例えば10、20、50、10又は1000倍大きい)で標的抗原を認識したという事実のことを指す。特異的結合領域は、どんな非標的抗原にも結合しないことを意味するものではなく、むしろ、標的との相互作用とは、それを使用して、同じファミリータンパク質の抗原を含む複雑な抗原の混合物から標的抗原(特異的である)を精製することができるような相互作用である。
一実施形態において、本開示による抗体は、単離されている。
本明細書で使用する、単離されているとは、人体から単離された抗体、例えば、組換え技術によって調製され、クロマトグラフィーなどの技術を使用して精製され、及び/又は医薬製剤である抗体を指すものとする。
本発明は、本発明の抗体をコードする配列を含む発現ベクター及び発現ベクターを含む宿主細胞も提供する。
本発明は、疾患又は障害の処置に使用する、上で定義した抗体も提供する。上で定義した抗体を治療上有効な量で投与するステップを含む、疾患又は障害の処置方法が更に提供される。
一実施形態において、本開示による抗体は、本明細書に開示される重鎖配列からそれぞれ独立に選択される1つ又は2つの重鎖配列を含む。文脈上別段の指示がない限り、用語「タンパク質」及び「ポリペプチド」は、本明細書において互換的に使用される。「ペプチド」とは、10個以下のアミノ酸を指すものとする。
文脈上別段の指示がない限り、用語「ポリヌクレオチド」は、遺伝子、DNA、cDNA、RNA、mRNAなどを含む。
本明細書では、本明細書の文脈において「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」のことと解釈されるべきである。
本発明の文脈において用語「野生型」とは、天然に存在できる又は環境から単離できる抗体を意味し、遺伝子工学によって生産されるいかなる変異も含まない。
本明細書における置換変異体の指定は、文字の後の番号とその後の文字からなる。最初の文字は、野生型タンパク質におけるアミノ酸を指定している。番号はアミノ酸置換が作られるアミノ酸位置を指し、2番目の文字は、野生型アミノ酸を置きかえるために使用されるアミノ酸を指定している。抗体の可変及び定常ドメインの残基は、Kabatらによって考案された方式に従って、従来通り付番される。この方式は、Kabatら、1987年「免疫学的対象のタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)」米国保健社会福祉省、NIH、米国(以下「Kabatら(上記)」)に規定される。
Kabat残基指定は、アミノ酸残基の線形付番とそのまま一致するわけではない。基本的な可変ドメイン構造の、フレームワークか相補性決定領域(CDR)かに関わらず、実際の線形アミノ酸配列は構成成分の短縮又はそれへの挿入に対応して、厳密なKabat付番より少ない若しくは追加のアミノ酸を含有することができる。「標準的な」Kabat付番配列と抗体の配列中の相同性残基との整列によって、所与の抗体について残基の正しいKabat付番を決定できる。別法として、アミノ酸残基の付番は、EUインデックス又はEU付番方式よって実行されてもよい(Kabatら、「免疫学的対象のタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)」、第5版、公衆衛生局、米国国立衛生研究所、Bethesda、MD.(1991年)にも記載される)。抗体のアミノ酸残基の更なる付番方式は、IMGT付番方式である(Lefranc、M.−P.ら、Dev.Comp.Immunol. 29巻、185〜203頁(2005年))。
EU付番方式又はIMGT付番方式が使用されると指示した場合を除き、本明細書においてはKabat付番方式が使用される。
4つのIgG4アイソタイプの間で、鎖間ジスルフィド結合配置は各アイソタイプにとって固有であるのに対して、重鎖及び軽鎖内の鎖内ジスルフィド結合配置は類似している[(Wypych,J.、Li,M.、Guo,A.、Zhang,Z.、Martinez,T.、Allen,M.J.、Fodor,S.、Kelner,D.N.、Flynn,G.C.、Liu,Y.D.、Bondarenko,P.V.、Ricci,M.S.、Dillon,T.M.、Balland,A.、2008年。「ヒトIgG2抗体は、ジスルフィド媒介構造的アイソフォームを示す(Human IgG2 antibodies display disulphide−mediated structual isoforms)」J Biol Chem. 283巻、16194〜16205頁)に概説される]。
図1bに示すように、4つのIgG4アイソタイプのヒンジ領域配列は異なっている。完全な又は遺伝的ヒンジ領域は、通常、残基226〜251(Kabat付番方式に基づく付番)からなる。図1bは、4つのIgG4アイソタイプのヒンジ領域の上部、コア及び下部部分を示す。IgG1アイソタイプの場合、上部ヒンジ領域は残基226〜238であり、コアヒンジ領域は残基239〜243であり、下部ヒンジ領域は残基244〜251である。IgG4アイソタイプの場合、上部ヒンジ領域は残基226〜238であり、コアヒンジ領域は残基239〜243であり、下部ヒンジ領域は残基244〜251である。IgG4内の鎖間ジスルフィド結合配置を修飾することによって本発明による新たな変異体IgG4抗体が開発され、特に軽鎖(LC)と重鎖(HC)の間のC−C1鎖間ジスルフィド結合配置が修飾された。
図1bは、IgGアイソタイプ1〜4についてヒトIgG重鎖及び軽鎖配列の部分を示し、C−C1鎖間ジスルフィド結合を形成するシステインの位置(下線を引く)を示している。IgG1のC−C1間のジスルフィド結合は、LC C214(Kabat付番方式)とヒンジ領域の直前にあるHCのC233(Kabat付番方式)との間で形成される。対照的に、IgG2、3及び4のC1−Cジスルフィド結合は、LC C214とHCの鎖内ジスルフィド結合に対するN末端C127との間で形成される。C−C1ジスルフィド結合形成に関わるシステイン残基を囲むLC及びHC配列が、図1bに示され、整列された。
本発明は、C−C1ジスルフィド結合が熱安定性、構造安定性及び抗体の親和性を含めたIgG4抗体の特性にどのような影響を及ぼすかについて研究した。
IgG4の変異体は、C1の127位のシステイン残基の別のアミノ酸での置換、並びに上部ヒンジ領域内の1個又は複数のアミノ酸、好ましくは、Kabat付番方式に従った付番で227、228、229及び230から選択される位置のアミノ酸をシステインで置換することによって生成された。227、228、229又は230位は、IgG1システイン233が置かれている位置か又はその近傍である。
各重鎖は、IgG4ヒンジ領域のシステイン残基239と242の一方又は両方の、別のアミノ酸での置換を含めて更なる変異を含んでもよい。238と239位の間の3個のアミノ酸によりIgG4ヒンジ領域を延長して、IgG1ヒンジと同じ長さにする変異が、いくつかの抗体にも含まれた。S241P変異も、いくつかの抗体に導入された。
ヒンジ内の241位(Kabat付番方式に従った付番で)でのSerからProへの変異の導入によって、IgG4の半分子の形成を低下させることができる(Angal,S.ら、1993年、「単一のアミノ酸置換が、キメラマウス/ヒト(IgG4)抗体の異質性を無効にする(A single amino acid substitution abolishes the heterogeneity of chimeric mouse/human (IgG4) antibody)」Mol Immunol 30巻、105〜108頁)。加えて、この点突然変異はIgG4の小型構造には影響せず、それにより、IgG4は補体を活性化する能力の低下を維持できた。
しかし、これらの変異した抗体のin vitroにおける交換は、例えば2、3、4、5、6、7、8、9mMなど1〜10mM以上の高濃度の抗体を使用することによって促進することができる。本発明による変異体IgG4抗体が有利な特性、例えば安定性の改善、を示すことが見出された。
一実施形態において、本発明による変異体IgG4抗体は、野生型IgG4抗体と比較して増大した熱安定性を示す。驚くべきことに、変異を受けて、C1ドメインの127位のシステインが別のアミノ酸で置きかえられ、重鎖ヒンジ領域の227〜230位の間にシステインが導入された変異体IgG4抗体は、野生型IgG4抗体と比較して熱安定性が改善されることが見出された。127位のシステインを取り除く変異により、重鎖と軽鎖の間で鎖間ジスルフィド結合(C−C1)が形成される位置が変更され、軽鎖は、重鎖ヒンジ領域の227〜230位の間に導入されるシステインとジスルフィド結合を形成するようになる。従って一実施形態において、システイン127が別のアミノ酸と置換されているIgG4抗体が提供され、軽鎖のシステインは、227、228、229又は230位の操作されたシステインにジスルフィド結合で連結されている。
驚くべきことに、熱安定性の更なる改善はIgG4ヒンジ領域に3個のアミノ酸を追加して、IgG4ヒンジ領域を長くすることによっても見出された。
驚くべきことに、変異を受けて、C1ドメインの127位システインが別のアミノ酸で置きかえられ、重鎖ヒンジ領域の239位又は242位のシステインが別のアミノ酸で置きかえられた変異体IgG4抗体は、野生型IgG4抗体と比較して熱安定性が改善することも見出された。
一実施形態において、本発明の抗体はいわゆる半分子形成の低下を示し、半分子は1本の軽鎖と1本の重鎖(HL)の形状をなす。C239に変異を含むがC242に変異を持たない本発明の抗体は一般に、半分子形成の低下を示す。理論に束縛されるものではないが、これは、239位のシステインの除去により重鎖内での鎖内ジスルフィド結合の形成が低下し、従って、C239又はC242に変異を持たない抗体と比較して半分子の数が低下するためと考えられる。C242に変異を持つがC239に変異を持たない抗体は、C239に変異を持つがC242に変異を持たない抗体と比較して、より多くの半分子を形成するように見える。理論に束縛されるものではないが、239位のシステインは、242位のシステインと比較してより反応性があり、重鎖ヒンジシステイン又は軽鎖システインのいずれかとジスルフィド結合を形成することが可能であると考えられる。
C239とC242両方の変異を持つ抗体は、2本の重鎖間で鎖間ジスルフィド結合形成がないため半分子を高い割合で形成する。しかし、C239とC242両方の変異を含む抗体は、非共有結合による重鎖結合のため全抗体分子を形成することがなお可能である。半分子形成の低下は、S241P変異を持つ抗体においても観察される。
本発明による抗体は、野生型IgG4抗体と比較して、標的抗原に対して同等の親和性も示す。
本発明の二重特異性抗体の重鎖定常領域への変異については、以下に詳細に記載される。アミノ酸を置きかえる方法は、分子生物学の技術分野で周知である。そのような方法には、例えば、アミノ酸を削除及び/若しくは置換するためにPCRなどの方法を使用する部位特異的突然変異誘発法又は合成配列の新規の設計がある。
図2aは、野生型IgG1、野生型IgG4のヒンジ残基及び本発明の抗体において変異が導入された位置を示す。Kabat付番方式に基づく付番。
本発明による抗体は127位(C127)に変異を含み、システイン残基は別のアミノ酸、好ましくはチオール基を含有しないアミノ酸に置きかえられる。置きかえ又は置換とは、抗体重鎖において本来なら鎖間システイン127が見出されるはずの場所で別のアミノ酸がその位置にあることを意味する。C127位の変異は、システインから別の適切なアミノ酸にアミノ酸残基を変える、127位のアミノ酸をコードしているヌクレオチドのうち1つ、2つ又は3つに対する任意の適切な変異であることができる。適切なアミノ酸の例としては、セリン、トレオニン、アラニン、グリシン又は任意の極性アミノ酸があげられる。特に好ましいアミノ酸は、セリンである。
127位のシステインの別のアミノ酸での置換により、通常、野生型IgG4の軽鎖中のシステインとジスルフィド結合を形成するC1ドメイン中のシステインが取り除かれる。従って、鎖間ジスルフィド結合によって軽鎖と重鎖の対合を形成するには、軽鎖は、重鎖のヒンジ領域に位置するシステインとジスルフィド結合を形成しなければならない。
本発明の第1の態様において、本発明による抗体は、Kabat付番方式に従った付番で227、228、229及び230から選択される位置で1個又は複数のアミノ酸がシステインで置換されている重鎖を含む。従って、本発明による抗体は、以下の変異の1つ又は複数を保有してもよい:S227C;K228C;Y229C;G230C。
一実施形態において、227、228、229及び230から選択される残基の1個だけが、システイン残基で置換されている。
一実施形態において、本発明の抗体は、変異Y229C又はG230Cを保有する。
重鎖ヒンジ領域の227、228、229及び230から選択される位置にシステイン残基を含むことにより、鎖間ジスルフィド結合のための新たな位置が提供されて、重鎖と軽鎖の間に形成される。この新たな鎖間ジスルフィド結合配置により野生型IgG4抗体と比較して熱安定性が改善されたIgG4抗体が提供されることが、本発明者によって見出された。
更なる変異が、本発明のこの態様の抗体に導入されてもよい。一実施形態において、重鎖の、Kabat付番方式に従った付番で239位のシステイン(C239)及び/又は242位のシステイン(C242)は、別のアミノ酸、好ましくはチオール基を含有しないアミノ酸で置換されている。置きかえ又は置換とは、抗体重鎖において本来ならシステイン239及び/又はシステイン242が見出されるはずの場所で別のアミノ酸がその位置にあることを意味する。C239及び/又はC242の変異は、システインから別の適切なアミノ酸にアミノ酸残基を変えるアミノ酸をコードしているヌクレオチドのうち1つ、2つ又は3つに対する任意の適切な変異であることができる。適切なアミノ酸の例としては、セリン、トレオニン、アラニン、グリシン又は任意の極性アミノ酸があげられる。特に好ましいアミノ酸は、セリンである。
一実施形態において、重鎖の239位のシステインは別のアミノ酸で置換されており、重鎖の242位のシステインは別のアミノ酸で置換されている。この実施形態において、C239とC242両方の置換により、本来なら別の重鎖の対応するシステインと重鎖間ジスルフィド結合を形成する重鎖ヒンジ領域中の両方のシステイン残基が取り除かれる。得られた半分子は、2本の重鎖間での非共有結合により全抗体分子を形成することができる。
別の実施形態において、重鎖の239位のシステインは、別のアミノ酸で置換されている。この実施形態において、242位のシステインは、別のアミノ酸で置換されていない。
更に別の実施形態において、重鎖の242位のシステインは、別のアミノ酸で置換されている。この実施形態において、239位のシステインは、別のアミノ酸で置換されていない。
C239又はC242のいずれか置換は、重鎖中に1個のシステインが残っており、そのシステインは別の重鎖中のシステインと重鎖間ジスルフィド結合を形成することが可能である。理論に束縛されるものではないが、ヒンジ領域における1個のシステインの置換、特にC239の置換は、ヒンジ領域における鎖内ジスルフィド結合の形成を低下させ、従って、半抗体分子の形成を低下させ得ると考えられる。
本発明の一実施形態において、227位のセリンがシステインで置換されている場合、好ましくは、抗体はC239及びC242位に変異を含まない。別の実施形態において、227位のセリンがシステインで置換されている場合、好ましくは、重鎖の239位のシステインは別のアミノ酸で置換されているが、242位のシステインは別のアミノ酸で置換されていない。
一実施形態において、本発明の抗体は、変異を受けて、アミノ酸226〜243の間に1個又は複数のアミノ酸が挿入されているIgG4重鎖を含む。挿入されるアミノ酸の数は、1〜10、1〜5、1〜3個であってよく、好ましくは1、2、3又は4個のアミノ酸が挿入される。アミノ酸は、好ましくはアミノ酸238と239の間に挿入される。アラニン、グリシン、セリン又はトレオニン及びその組合せなど任意の適切なアミノ酸をヒンジ領域に挿入できる。好ましくは3個のアラニン(AAA)、3個のグリシン(GGG)、3個のセリン(SSS)若しくは3個のトレオニン(TTT)又はトレオニン、ヒスチジン及び別のトレオニン(THT)が挿入される。変異を受けて、ヒンジ領域に3個のアミノ酸が挿入されているIgG4重鎖を含む本発明の抗体は、熱安定性が改善することが見出された。
本発明による抗体に導入できる更なる変異は、変異S241Pである。この変異は半分子の形成を低下させると以前に示した(Angal,S.ら、1993年、「単一のアミノ酸置換が、キメラマウス/ヒト(IgG4)抗体の異質性を無効にする(A single amino acid substitution abolishes the heterogeneity of chimeric mouse/human (IgG4) antibody)」Mol Immunol 30巻、105〜108頁)。驚くべきことに、S241P変異を含む本発明の変異体抗体は、IgG4P(S241Pを含むIgG4)と比較してin vitroにおける強力な還元条件下でいくつかの重鎖交換を実証することが見出された。これにより、in vitroで本発明の変異体IgG4抗体から二重特異性抗体を創出可能になる。本発明による抗体は、ヒンジ領域に1つ又は複数の更なる変異を含んでもよい。例えば、抗体は、以下の変異S227P、Y229S、P237D及びP238Kの1つ又は複数を更に含んでもよい。
一実施形態において、本発明による抗体は、残基226〜243(上部ヒンジ及びコアヒンジ)のIgG1ヒンジ領域を効果的に含む。従って、本発明の抗体はヒンジ領域を含み、230位のグリシンがシステインで置換されて、227位のセリンがプロリンで置換され、229位のチロシンがセリンで置換され、237位のプロリンがアスパラギン酸で置換され、238位のプロリンがリシンで置換され、アミノ酸配列トレオニン−ヒスチジン−トレオニンが238位と239位の間に挿入され、241位のセリンがプロリンで置換されている。図2aに示すように、これらの変異は、S227P、Y229S、G230C、P237D、P238KTHT及びS241Pと書くこともできる。IgG4ヒンジ領域へのこれらの更なる変異の導入により、熱安定性が改善された抗体を得られることが見出された。
本発明による抗体は、好ましくは、残基244〜251(APEFLGGP配列番号229)のIgG4下部ヒンジを有する。理論に束縛されるものではないが、IgG4下部ヒンジ領域は、IgG4抗体のエフェクター機能の欠如に寄与していると考えられる。
本発明の第2の態様において、対称形二重特異性抗体が提供され、重鎖の一方又は両方において、127位の鎖間システインは、上記の通り別のアミノ酸で置換されており、重鎖中の、Kabat付番方式に従った付番で239位システイン又は242位システインは別のアミノ酸で置換されている。この第2の態様において、227、228、229及び230位の残基のいずれも、システイン残基で置換されていない。
可変ドメイン、C1ドメイン及びヒンジ領域を各々備える2本の重鎖を含むクラスIgG4の対称形二重特異性抗体であって、各重鎖において、Kabat付番方式に従った付番で127位の鎖間システインは別のアミノ酸で置換されており;Kabat付番方式に従った付番で239位のシステイン及び/又は242位のシステインは別のアミノ酸で置換されており、各重鎖の定常領域配列は類似しているか又は同一であり、各重鎖における可変領域は異なっている。
本発明の第2の態様による抗体は、驚くべきことに、野生型IgG4抗体と比較して熱安定性が改善されていることが見出された。
本発明の第2態様において、抗体は、1個又は複数の更なる変異を含んでもよい。一実施形態において、抗体は、上述の通り、変異を受けて、アミノ酸226〜243の間、好ましくはアミノ酸238と239の間に3個のアミノ酸が挿入されているIgG4重鎖を含む。更なる実施形態において、抗体は変異S241Pを含む。更なる実施形態において、抗体は、以下の変異S227P、Y229S、P237D及びP238Kのうち1つ又は複数を更に含んでもよい。
図3a及び4aは、本発明によるIgG4抗体に導入された変異も示す。図3b及び4bは、本発明のIgG4抗体中のシステイン残基の位置を示し、軽鎖(LC)又は別の重鎖(HC)中のシステインに対する予測されるシステイン結合も示す。(LC又はHC)を示すシステイン残基の場合、システインは、軽鎖又は重鎖中のシステインに結合していることが可能だが、LC又はHCのいずれかに下線が引かれている場合、これが支配的に存在すると考えられるジスルフィド結合である。
一実施形態において、本発明は、可変領域、C1ドメイン及びヒンジ領域を各々備える2本の重鎖を含む抗体を提供し、表1に示すように、各重鎖は2、3、6、7、8、15、16、28、28P、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、44、44P、45、46、47及び48から選択される抗体の変異を含む。従って、本発明は、可変領域、C1ドメイン及びヒンジ領域を各々備える2本の重鎖を含む抗体を提供し、各重鎖は、以下の配列の1つを含む:

好ましい実施形態において、本発明の抗体は、可変領域、C1ドメイン及びヒンジ領域を各々備える2本の重鎖を含み、以下の配列の1つを含む:

。より好ましくは、本発明の抗体は、可変領域、C1ドメイン及びヒンジ領域を各々備える2本の重鎖を含み、各重鎖は、以下の配列の1つを含む:

更に好ましい実施形態において、本発明は、可変領域、C1ドメイン、ヒンジ領域、C2ドメイン及びC3ドメインを各々備える2本の重鎖を含む抗体を提供し、表1に示すように、各重鎖は、2、3、6、7、8、15、16、28、28P、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、44、44P、45、46、47及び48から選択される抗体の変異を含む。従って、本発明は、可変領域、C1ドメイン、ヒンジ領域、C2ドメイン及びC3ドメインを各々備える2本の重鎖を含む抗体を提供し、各重鎖は、以下の配列の1つを含む:

本発明の特に好ましい抗体は、可変領域、C1ドメイン及びヒンジ領域を各々備える2本の重鎖を含み、重鎖は配列番号36(抗体28P)、配列番号37(抗体44P)又は配列番号35(抗体48)を含む。本発明の更に特に好ましい抗体は、可変領域、C1ドメイン、ヒンジ領域、C2ドメイン及びC3ドメインを各々備える2本の重鎖を含み、重鎖は配列番号62(抗体28P)、配列番号63(抗体44P)又は配列番号61(抗体48)を含む。抗体28P、44P及び48は、熱安定性の著しい改善を呈し、半分子形成の低下を更に呈するので、特に好ましい。
下の表1は、抗体の例を、野生型IgG4配列と比較して導入された変異と共に列挙している。表1は、野生型IgG1及びIgG4抗体及び対照抗体も含む。

図3a及び4aは、本発明によるIgG4抗体に導入された変異も示す。図3b及び4bは、本発明のIgG4抗体中のシステイン残基の位置を示し、軽鎖(LC)又は別の重鎖(HC)中のシステインに対する予測されるシステイン結合も示す。(LC又はHC)を示すシステイン残基の場合、システインは、軽鎖又は重鎖中のシステインに結合していることが可能だが、LC又はHCのいずれかに下線が引かれている場合、これが支配的に存在すると考えられるジスルフィド結合である。
好ましい実施形態において、本発明は、可変領域、C1ドメイン及びヒンジ領域を各々備える2本の重鎖を含む抗体を提供し、表1に示すように、各重鎖は、2、3、6、7、8、15、16、28、28P、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、44、44P、45、46、47及び48から選択される抗体の変異を含む。従って、本発明は、可変領域、C1ドメイン及びヒンジ領域を各々備える2本の重鎖を含む抗体を提供し、各重鎖は、以下の配列の1つを含む:

好ましい実施形態において、本発明の抗体は、可変領域、C1ドメイン及びヒンジ領域を各々備える2本の重鎖を含み、以下の配列の1つを含む:

。より好ましくは、本発明の抗体は、可変領域、C1ドメイン及びヒンジ領域を各々備える2本の重鎖を含み、各重鎖は、以下の配列の1つを含む:

更に好ましい実施形態において、本発明は、可変領域、C1ドメイン、ヒンジ領域、C2ドメイン及びC3ドメインを各々備える2本の重鎖を含む抗体を提供し、表1に示すように、各重鎖は、2、3、6、7、8、15、16、28、28P、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、44、44P、45、46、47及び48から選択される抗体の変異を含む。従って、本発明は、可変領域、C1ドメイン、ヒンジ領域、C2ドメイン及びC3ドメインを各々備える2本の重鎖を含む抗体を提供し、各重鎖は、以下の配列の1つを含む:

本発明の特に好ましい抗体は、可変領域、C1ドメイン及びヒンジ領域を各々備える2本の重鎖を含み、重鎖は配列番号267(抗体28P)、配列番号268(抗体44P)又は配列番号266(抗体48)を含む。本発明の更に特に好ましい抗体は、可変領域、C1ドメイン、ヒンジ領域、C2ドメイン及びC3ドメインを各々備える2本の重鎖を含み、重鎖は配列番号305(抗体28P)、配列番号306(抗体44P)又は配列番号304(抗体48)を含む。抗体28P、44P及び48は、熱安定性の著しい改善を呈し、半分子形成の低下を更に呈するので、特に好ましい。
抗体2、3及び8が、いわゆる半分子(HL)を有意な量形成することが示された。これらの変異体は、in vitroの非変性条件下で全抗体分子(H2L2)を形成するが、重鎖間及び/又は重鎖と軽鎖の間のどんな非共有結合性会合も、非還元SDS−PAGE条件下で取り除かれる。半分子の形成を低下させることが望ましいとしばしば教示されるが、半分子を形成する傾向が増大した抗体は、特定の用途の場合に有利となり得る。安定な半分子(HL)を形成するが、抗体重鎖が、別の重鎖と共有結合性又は非共有結合性会合を形成できないため全抗体(H2L2)が殆ど若しくは全く形成されない抗体は特に興味深いものである。安定な半分子を形成する抗体は、一価の抗体の産生に有利になり得る。半分子を形成する抗体は、異なる特異性を有する半分子からの全抗体の形成により二重特異性抗体を作製するのに有用な方法を提供することもでき、その全抗体は二重特異性であり、各抗原に対しては一価である。そのような二重特異性抗体の重鎖は非共有結合的に会合することになる。
おそらく軽鎖C末端システインとヒンジC239間のジスルフィドの効率的な形成から、抗体3は、ヒンジ領域にC239を保持するが、ヒンジ間重鎖ジスルフィド結合を形成できないと思われる。軽鎖ジスルフィドは、ヒンジ領域のC242よりもC239に効果的に接着するので、抗体2と3との比較から、軽鎖のC末端システインの「及ぶ範囲」の程度が示される。更に、抗体3は、抗体2と比較して安定性が増大している。
本発明による変異抗体については、IgG4アイソタイプに関連して前述されており、IgG4抗体と同じジスルフィド結合配置を有する他の抗体アイソタイプ又はクラスにIgG4抗体で作られた変異を適用して、抗体を改善できることは当業者なら理解されよう。IgG4抗体と同じジスルフィド結合配置を有する抗体の具体的な例は、IgG3抗体、IgM抗体及びIgD抗体である。図1bに示すように、IgG3及びIgMはC1ドメインの127位にシステインを有し、IgDはC1ドメインの128位にシステインを有し、それは軽鎖中のシステインと鎖間ジスルフィド結合を形成するIgG4のC1ドメインのC127に相当する。更に、IgG3及びIgDの上部ヒンジ領域並びにIgMのC1ドメインのC末端領域及びC2ドメインのN末端領域は、IgG1の上部ヒンジ領域の残基に相当するシステイン残基を含有しないことも図1bから分かる。従って、本発明は、IgG3抗体、IgD抗体及びIgM抗体を更に提供し、軽鎖中のシステインと鎖間ジスルフィド結合を形成するC1ドメイン中のシステインは別のアミノ酸で置換されており、IgG1又はIgG4の上部ヒンジ領域と構造的に類似した位置にある1個又は複数のアミノ酸はシステインで置換されている。
従って、本発明は、可変領域、C1ドメイン及びヒンジ領域を各々備える2本の重鎖を含むクラスIgG3の対称形二重特異性抗体も提供し、各重鎖において:
a.軽鎖中のシステインと鎖間ジスルフィド結合を形成するC1ドメイン中のシステインは別のアミノ酸で置換されており;
b.上部ヒンジ領域に位置する1個又は複数のアミノ酸はシステインで置換されており、各重鎖の定常領域配列は類似しているか又は同一であり、各重鎖の可変領域は異なっている。
本発明のIgG3抗体態様の好ましい実施形態において、図1b及び2bに示すように、軽鎖中のシステインと鎖間ジスルフィド結合を形成するC1ドメイン中のシステインは、Kabat付番方式に従った付番で127位のシステインである。
本発明のIgG3抗体態様の好ましい実施形態において、図1b及び2bに示すように、システインで置換できる上部ヒンジ領域に位置する1個又は複数のアミノ酸は、Kabat付番方式に従った付番で226、227、228、229、230、232及び233から選択される位置の1個又は複数のアミノ酸である。
本発明は、可変領域、C1ドメイン及びC2ドメインを各々備える2本の重鎖を含むクラスIgMの対称形二重特異性抗体を更に提供し、各重鎖において:
a.軽鎖中のシステインと鎖間ジスルフィド結合を形成するC1ドメイン中のシステインは別のアミノ酸で置換されており;
b.C1ドメイン又はC2ドメインに位置する1個又は複数のアミノ酸はシステインで置換されており、各重鎖の定常領域配列は類似しているか又は同一であり、各重鎖の可変領域は異なっている。
本発明のIgM抗体態様の好ましい実施形態において、図1b及び2cに示すように、軽鎖中のシステインと鎖間ジスルフィド結合を形成するC1ドメイン中のシステインは、Kabat付番方式に従った付番で127位のシステインである。
本発明のIgM抗体態様の好ましい実施形態において、C1ドメインのC末端又はC2ドメインのN末端に位置する1個又は複数のアミノ酸は、システインで置換されている。図1b及び2cで示すように、システインで置換できるC1ドメインのC末端に位置する好ましいアミノ酸は、Kabat付番方式に従った付番で223、223A、223B及び223Cから選択される位置の1個又は複数のアミノ酸である。図1b及び2cに示すように、システインで置換できるC2ドメインのN末端に位置する好ましいアミノ酸は、Kabat付番方式に従った付番で243G、243H及び243Iから選択される位置の1個又は複数アミノ酸である。従って、アミノ酸223〜243のいずれか1個又は複数はシステインで置換されてもよい。
本発明は、可変領域、C1ドメイン、ヒンジ領域を各々備える2本の重鎖を含むクラスIgDの対称形二重特異性抗体を更に提供し、各重鎖において:
a.軽鎖中のシステインと鎖間ジスルフィド結合を形成するC1ドメイン中のシステインは別のアミノ酸で置換されており;
b.ヒンジ領域に位置する1個又は複数のアミノ酸はシステインで置換されており、各重鎖の定常領域配列は類似しているか又は同一であり、各重鎖の可変領域は異なっている。
本発明のIgD抗体態様の好ましい実施形態において、図1b及び2dに示すように、軽鎖中のシステインと鎖間ジスルフィド結合を形成するC1ドメイン中のシステインは、Kabat付番方式に従った付番で128位のシステインである。
IgD抗体のヒンジ領域は、Kabat付番方式に従って、R224〜P243と定義できる。
本発明のIgD抗体態様の好ましい実施形態において、図1b及び2dに示すように、システインで置換されておりヒンジ領域に位置する1個又は複数のアミノ酸は、Kabat付番方式に従った付番で227、228、229、230、231、232及び233から選択される位置の1個又は複数アミノ酸である。
本発明によって提供されるIgG3、IgD又はIgM抗体は、IgG4抗体に関連して前述した通りヒンジ領域に1つ又は複数の更なる変異を含んでもよい。
本発明のこの態様において、抗体は、好ましくはクラスIgG4である。
本明細書で使用される用語「抗体」とは、完全な(全)抗体並びにVドメイン、C1ドメイン及びヒンジ領域を各々備える2本の重鎖を含む機能的に活性な断片を含む。本発明による抗体は、好ましくは少なくとも1本の軽鎖を含む。従って、本発明における用語「抗体」とは、2、3又は4価の抗体、Fab’及びF(ab’)断片のダイマー並びに2組の軽鎖と重鎖の対合を含む全抗体分子に及ぶ。
当技術分野で周知であるように、典型的なFab’分子は重鎖と軽鎖の対を含み、それにおいて重鎖は可変領域V、定常ドメインC1及びヒンジ領域を含み、軽鎖は可変領域V及び定常ドメインCを含む。
一実施形態において、本開示によるFab’のダイマーが提供され、例えば二量体化はヒンジを介してもよい。
一実施形態において、重鎖は、C2ドメイン及びC3ドメイン並びに任意でC4ドメインを含む。一実施形態において、抗体は、2本の重鎖を含み、その各々が本発明の第1又は第2の態様において定義されている。本発明による抗体は、好ましくは2本の軽鎖も含み、軽鎖の定常領域は、好ましくは同一である。抗体が2本の重鎖及び2本の軽鎖を含むこの実施形態において、好ましくは、本発明の第1又は第2の態様によって定義されているように重鎖定常領域配列の両方が同一であり、軽鎖定常領域配列の両方が同一である。
好ましい実施形態において、本発明の抗体は、2本の軽鎖及び2本の重鎖を含む全抗体であり、各重鎖は、Kabat付番方式に従った付番で127位のシステインが別のアミノ酸で置換されているIgG4 C1と、IgG1の上部及び中間部ヒンジ領域と、IgG4下部ヒンジ領域と、C2ドメインと、C3ドメインとを含む。
IgG4抗体の完全なヒンジ領域は、通常、残基226〜251(Kabat付番方式に基づく付番)からなる。しかし、ヒンジ領域は必要に応じて短縮されても延長されてもよい。例えば、本発明の第1の態様による抗体、野生型アミノ酸が、227、228、229又は230位においてシステイン残基で置換されており、ヒンジ領域が、227、228、229又は230位の新たなシステイン残基の後で終わってもよい。本発明による抗体は、ヒンジ領域のN末端及び/又はC末端に位置する1個又は複数の更なるアミノ酸も含んでもよい。加えて、軽鎖の鎖間システインからのヒンジシステイン(単数又は複数)の距離、ヒンジのシステイン間の距離及び柔軟性などヒンジの特性に影響を及ぼし得るヒンジ中の他のアミノ酸の組成など、ヒンジの他の特性を制御することができ、例えばグリシンをヒンジに組み込んで回転柔軟性を増大させることができ、又はプロリンを組み込んで柔軟性を低下させることができる。別法として、ヒンジに荷電性又は疎水性残基の組合せを組み込んで、多量体化又は精製特性を与えることもできる。他の修飾されたヒンジ領域は、完全に合成でもよく、長さ、組成及び柔軟性など望ましい特性を持つように設計することもできる。
本発明において利用される定常領域ドメインは、存在する場合、特にFcドメインにおいて、好ましくはIgG4アイソタイプであり、抗体エフェクター機能は必要でない。従って、配列番号64に示すように、好ましくは、各重鎖は、IgG4 C2ドメイン及びC3ドメインを含む。
Fc定常領域ドメインの配列バリアントも使用できることはいうまでもない。
一実施形態において、各重鎖は、IgG4 C2及びC3ドメインを含み、409位(EU付番)のアルギニンはリシン、トレオニン、メチオニン又はロイシンで置換されており、低pHにおける凝集体形成を阻害した(米国特許出願公開第2008/0063635号Takahashiら)。L235、D265、D270、K322、P331及びP329(EU付番方式に従って付番される)における変異も教示されて、CDC活性が減弱される(米国特許出願公開第2008/0063635号Takahashiら)。
409位のアルギニン残基、405位のPhe残基又は370位のLys(EU付番方式に従って付番される)の置換によってFabアーム交換を受ける能力が低下した安定なIgG4抗体について開示しているWO2008/145142 Van de Winkelら、に教示されるように、各重鎖は変異を含むことができる。
一実施形態において、配列番号280に示すように、各重鎖はIgG4 C2ドメイン及びIgG1 C3ドメインを含む。
抗体が変異したIgG3、IgD又はIgM抗体である本発明の実施形態において、各重鎖は、好ましくはC2ドメイン及びC3ドメイン並びに任意でC4ドメインを含む。IgG3抗体において、各重鎖は、好ましくはIgG3 C2ドメイン及びIgG3 C3ドメインを含む。IgD抗体において、各重鎖は、好ましくは、IgD C2ドメイン及びIgD C3ドメインを含む。IgM抗体において、各重鎖は、好ましくはIgM C2ドメイン、IgM C3ドメイン及びIgM CHドメインを含む。
一実施形態において、C1ドメインのC127の変異は、他のIgG同位体(1、2、3)又は他の抗体クラスの相当する位置に作られてもよい。これらの変異体抗体は、1つ又は複数の更なる変異を、例えばヒンジ領域並びに/又はC2ドメイン及び/若しくはC3ドメインに含んでもよい。ヒンジ領域並びにC2及びC3ドメインにおける特異的な変異の例については、本発明の他の態様と関連して以前に記載されている。
上記の変異体抗体の具体的な例は、表1に列挙される変異体IgG4抗体4、5、5P、9、10、11及び14である。
従って、本発明は2本の重鎖を含む抗体を提供し、各重鎖はC1ドメイン及びヒンジ領域を含み、各重鎖は、表1に示すように、4、5、5P、9、10、11及び14から選択される抗体の変異を含む。従って、本発明は2本の重鎖を含む抗体を提供し、各重鎖はC1ドメイン及びヒンジ領域を含み、各重鎖は、以下の配列の1つを含む:

更なる実施形態において、本発明は2本の重鎖を含む抗体を提供し、各重鎖はC1ドメイン、ヒンジ領域、C2ドメイン及びC3ドメインを含み、各重鎖は、表1に示すように、4、5、5P、9、10、11及び14から選択される抗体の変異を含む。従って、本発明は2本の重鎖を含む抗体を提供し、各重鎖はC1ドメイン、ヒンジ領域、C2ドメイン及びC3ドメインを含み、各重鎖は、以下の配列の1つを含む:

抗体4(C127S、C239S及びC242S)及び14(C239S及びC242S)が、いわゆる半分子(HL)を有意な量形成することが示された。これらの変異体は、in vitroの非変性条件下で全抗体分子(H2L2)を形成するが、重鎖間及び/又は重鎖と軽鎖の間のどんな非共有結合性会合も、非還元SDS−PAGE条件下で取り除かれる。半分子の形成を低下させることが望ましいとしばしば教示されるが、半分子を形成する傾向が増大した抗体は、特定の用途、例えばin vitroにおける半分子の形成の場合に有利となり得え、重鎖交換を容易にし、本開示による二重特異性IgG4抗体の調製を容易にすることができある。
抗体2、3及び8が、上記の通り、有意な量の半分子を形成したことも示され、従って、半分子の形成が望まれる状況で使用することもできる。
おそらく軽鎖C末端システインとヒンジC239間のジスルフィドの効率的な形成から、抗体3は、ヒンジ領域にC239を保持するが、ヒンジ間重鎖ジスルフィド結合を形成できないと思われる。軽鎖ジスルフィドは、ヒンジ領域のC242よりもC239に効果的に接着するので、抗体2と3との比較から、軽鎖のC末端システインの「及ぶ範囲」の程度が示される。更に、抗体3は、抗体2と比較して安定性が増大している。
抗体5(G230C)、5P(G230C及びS241P)、9(G230C及びC239S)、10(G230C及びC242S)及び11(G230C、C239S及びC242S)は、軽鎖中のシステインがジスルフィド結合を形成することができる2個のシステイン(C1の127位及び上部ヒンジの230位のシステイン)を含む。従って、これらの抗体は、重鎖C1又はヒンジ領域に非ジスルフィド結合システインを含むことができ、そのシステインを都合よく使用して、非ジスルフィド結合システインでエフェクター分子を付着させることができる。更に抗体5は、C239及びC242に2個のヒンジシステインを含み、従って、非ジスルフィド結合のシステインの遊離チオールを活性化して、エフェクター分子を挿入するのに必要な穏やかな還元ステップに対して耐性になる。更に抗体11は、239及び242にヒンジシステインを含まず、従って、ヒンジ中のこれらの位置にどのエフェクター分子が付着する機会も低下させる。
本明細書で使用される用語「抗体」とは、完全な(全)抗体並びにVドメイン、C1ドメイン及びヒンジ領域を各々備える2本の重鎖を含む機能的に活性な断片を含む。本発明による抗体は、好ましくは少なくとも1本の軽鎖を含む。従って、本発明における用語「抗体」とは、2、3又は4価の抗体、Fab’及びF(ab’)断片、1本の軽鎖と重鎖の対合を含む半抗体分子又は半分子並びに2本の軽鎖と重鎖の対合を含む全抗体分子に及ぶ。
当技術分野で周知であるように、典型的なFab’分子は重鎖と軽鎖の対を含み、それにおいて重鎖は可変領域V、定常ドメインC1及びヒンジ領域を含み、軽鎖は可変領域V及び定常ドメインCを含む。一実施形態において、本開示によるFab’のダイマーが提供され、例えば二量体化はヒンジを介してもよい。
一実施形態において、重鎖は、C2ドメイン及びC3ドメイン並びに任意でC4ドメインを含む。一実施形態において、抗体は、2本の重鎖を含み、その各々が本発明の第1又は第2の態様において上で定義されている。本発明による抗体は、好ましくは2本の軽鎖も含む。抗体が2本の重鎖を含むこの実施形態において、好ましくは、本発明の第1又は第2の態様によって上で定義されているように重鎖配列の両方は同一である。好ましい実施形態において、本発明の抗体は、2本の軽鎖及び2本の重鎖を含む全抗体であり、各重鎖は、Kabat付番方式に従った付番で127位のシステインが別のアミノ酸で置換されているIgG4 C1と、IgG1の上部及び中間部ヒンジ領域と、IgG4下部ヒンジ領域と、C2ドメインとC3ドメインとを含む。
IgG4抗体の完全なヒンジ領域は、通常、残基226〜251(Kabat付番方式に基づく付番)からなる。しかし、ヒンジ領域は必要に応じて短縮されても延長されてもよい。例えば、本発明の第1の態様による抗体、野生型アミノ酸が、227、228、229又は230位においてシステイン残基で置換されており、ヒンジ領域が、227、228、229又は230位の新たなシステイン残基の後で終わってもよい。本発明による抗体は、ヒンジ領域のN末端及び/又はC末端に位置する1個又は複数の更なるアミノ酸も含んでもよい。加えて、軽鎖の鎖間システインからのヒンジシステイン(単数又は複数)の距離、ヒンジのシステイン間の距離及び柔軟性などヒンジの特性に影響を及ぼし得るヒンジ中の他のアミノ酸の組成など、ヒンジの他の特性を制御することができ、例えばグリシンをヒンジに組み込んで回転柔軟性を増大させることができ、又はプロリンを組み込んで柔軟性を低下させることができる。別法として、ヒンジに荷電性又は疎水性残基の組合せを組み込んで、多量体化又は精製特性を与えることもできる。他の修飾されたヒンジ領域は、完全に合成でもよく、長さ、組成及び柔軟性など望ましい特性を持つように設計することもできる。
本発明において利用される定常領域ドメインは、存在する場合、特にFcドメインにおいて、好ましくはIgG4アイソタイプであり、抗体エフェクター機能は必要でない。従って、配列番号279に示すように、好ましくは、各重鎖は、IgG4 C2ドメイン及びC3ドメインを含む。
一実施形態において、抗体は、モノクローナル、完全ヒト、ヒト化又はキメラ抗体断片である。一実施形態において、抗体は、完全ヒト又はヒト化である。
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術(Kohler及びMilstein、Nature、1975年、256巻、495〜497頁)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら、Immunology Today、1983年、4巻、72頁)及びEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら、「Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy」、77〜96頁、Alan R.Liss、Inc.、1985年)など当技術分野において公知のどんな方法によって調製されてもよい。
本発明において使用する抗体は、例えば、Babcook、J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1996年、93巻(15号)、7843〜7848頁、WO92/02551、WO2004/051268及びWO2004/106377に記載される方法により、特異的抗体を産生するために選択した単一リンパ球から生成される免疫グロブリン可変領域cDNAをクローニングし、発現させることによる、単一リンパ球抗体法を使用して生成されてもよい。
ヒト化抗体とは、ヒト以外の種由来の1つ又は複数の相補性決定領域(CDR)とヒト以外の種由来の1つ又は複数のドナー残基を任意で含むヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域とを有するヒト以外の種由来の抗体分子である(米国特許第5,585,089号を参照のこと)。
本発明において使用する抗体は、当技術分野において公知の様々なファージディスプレイ法を使用して生成することもでき、またBrinkmanら、J.Immunol.Methods、1995年、182巻、41〜50頁;Amesら、J.Immunol.Methods、1995年、184巻、177〜186頁;Kettleboroughら、Eur.J.Immunol.、1994年、24巻、952〜958頁;Persicら、Gene、1997年 187巻、9〜18頁;Burtonら、Advances in Immunology、1994年、57巻、191〜280頁;WO90/02809;WO91/10737;WO92/01047;WO92/18619;WO93/11236;WO95/15982;、WO95/20401;米国特許第5,698,426号;第5,223,409号;第5,403,484号;第5,580,717号;第5,427,908号;第5,750,753号;第5,821,047号;第5,571,698号;第5,427,908号;第5,516,637号;第5,780,225号;第5,658,727号;第5,733,743号及び第5,969,108号に開示されているそれらを含むことができる。また、トランスジェニックマウス、又は他の哺乳動物を含めた他の生物を使用して、ヒト化抗体を生成することができる。
完全ヒト抗体とは、重鎖と軽鎖両方の可変領域及び定常領域(存在する場合)が、全てヒト起源又はヒト起源の配列と実質的に同一な抗体のことであり、必ずしも同じ抗体由来ということではない。完全ヒト抗体の例としては、例えば上述のファージディスプレイ法によって作製された抗体並びにマウス免疫グロブリン可変及び/又は定常領域遺伝子がヒト対応物によって置きかえられたマウスによって作製された抗体があり得、例えば欧州特許第0546073号B1、米国特許第5,545,806号、米国特許第5,569,825号、米国特許第5,625,126号、米国特許第5,633,425号、米国特許第5,661,016号、米国特許第5,770,429号、欧州特許第0438474号B1及び欧州特許第0463151号B1に一般論として記載されている。本発明に使用する抗体出発材料は、抗体可変及び定常領域(単数又は複数)をコードしているDNAの操作及び再発現を含む組換えDNA技術の使用によって調製することができる。標準的な分子生物学技術を使用して、要望通りアミノ酸若しくはドメインを修飾、追加、削除することができる。可変又は定常領域に対するどんな変更も、本明細書で使用される用語「可変」及び「定常」領域になお包含される。
抗体出発材料は、例えばマウス、ラット、ウサギ、ハムスター、ラクダ、ラマ、ヤギ又はヒトを含めて、どんな種から得てもよい。抗体の部分は、1超の種から得られてもよく、例えば抗体はキメラであってもよい。1例において、定常領域は1つの種に由来し、可変領域は別に由来する。抗体出発材料は、修飾されていてもよい。別の例において、抗体の可変領域は、組換えDNA操作技術を使用して創出された。そのような操作された変形は、天然抗体のアミノ酸配列における又はそれに対する挿入、欠失若しくは交換によって、例えば天然抗体可変領域から創出されたものを含む。この型の特定の例としては、少なくとも1つのCDR及び、任意で、1つの抗体由来の1個又は複数のフレームワークアミノ酸並びに第2の抗体由来の可変領域ドメインの残りを含有するこれらの操作された可変領域ドメインがある。これらの抗体を創出し、製造する方法は、当技術分野で周知である(例えば、Bossら、米国特許第4,816,397号;Cabillyら、米国特許第6,331,415号;Shraderら、WO92/02551;Wardら、1989年、Nature、341巻、544頁;Orlandiら、1989年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86巻、3833頁;Riechmannら、1988年、Nature、322巻、323頁;Birdら、1988年、Science、242巻、423頁;Queenら、米国特許第5,585,089号;Adair、WO91/09967;Mountain及びAdair、1992年、Biotechnol.Genet.Eng.Rev、10巻、1〜142頁;Vermaら、1998年、Journal of Immunological Mehod、216巻、165〜181頁を参照のこと)。
一実施形態において、結合ドメインを形成している可変ドメイン対を含む抗体は、同起源の対である。本明細書で使用する、同起源の対とは、可変ドメインの天然の対を指すものとし、すなわち単一抗体又は抗体発現細胞から単離される。
可変ドメインは、最適化及び/又はヒト化することができた。
同起源の対から得られる最適化/ヒト化された可変ドメインは、最適化/ヒト化後もなお同起源の対と見なされることになる。
従って、本発明は、ヒト、ヒト化又はキメラ分子に及ぶ。
一実施形態において、分子は、標的抗原を特異的に結合する。本明細書で使用する、特異的結合とは、標的抗原に対して高い親和性を有し(それに対して特異的である)、特異的でない抗原に低い又はかなり低い親和性(又は、全くない)で結合する分子を指すものとする。親和性を測定する方法は、当業者に公知であり、BIAcore(商標)のようなアッセイを含む。
本発明の抗体分子は、最適には高い結合親和性を有し、具体的にはナノモル又はピコモルである。親和性は、BIAcore(商標)を含めた、当技術分野において公知の任意の適切な方法を使用して測定することができる。一実施形態において、本発明の分子は、約100pM以上の結合親和性を有する。一実施形態において、本発明の分子は、約50pM以上の結合親和性を有する。一実施形態において、本発明の分子は、約40pM以上の結合親和性を有する。一実施形態において、本発明の分子は、約30pM以上の結合親和性を有する。一実施形態において、本発明の分子は、完全ヒト又はヒト化であり、約100pM以上の結合親和性を有する。
本明細書で使用する、天然に存在するドメインの誘導体とは、天然に存在する配列中の1、2、3、4若しくは5個のアミノ酸を置きかえ又は欠失させて、例えば望ましくない特性を取り除くことによってなどドメインの特性を最適化するが、ドメインを特徴づける特徴(単数又は複数)を保持し続けているものを指すものとする。一実施形態において、本発明の抗体分子は、1つ又は複数のアルブミン結合ペプチドを含む。in vivoにおいてペプチドはアルブミンを結合し、分子の半減期を増大させる。
アルブミン結合ペプチドは、分子の1つ又は複数の可変領域、ヒンジ若しくはC末端又は分子抗原結合特性に干渉しない任意の位置から付加されてもよい。
アルブミン結合ペプチドの例は、WO2007/106120に提供されている。
抗体が様々な翻訳後修飾を受け得ることは、当業技術者によってよく理解されよう。これらの修飾の型及び程度は、分子を発現させるのに使用する宿主細胞系及び培養条件によってしばしば決まる。そのような修飾には、グリコシル化、メチオニン酸化、ジケトピペラジン形成、アスパラギン酸異性化及びアスパラギン脱アミドにおける変化があり得る。よくある修飾は、カルボキシペプチダーゼの作用によるカルボキシ末端の塩基性残基(リシン又はアルギニンなど)の欠失である(Harris,RJ. Journal of Chromatography 705巻:129〜134頁、1995年に記載の通り)。
必要に応じて、本発明に使用する分子は、1つ又は複数のエフェクター分子(単数又は複数)にコンジュゲートされてもよい。いうまでもなく、エフェクター分子は、単一のエフェクター分子、又は本発明の抗体分子に付着できる単一部分を形成するように連結された2つ以上のそのような分子、を含むことができる。エフェクター分子に連結されている本発明による抗体を得ることが望ましい場合、これは抗体が直接に又はカップリング剤を介してエフェクター分子と連結される標準的な化学的又は組換えDNA手順によって調製できる。抗体にそのようなエフェクター分子をコンジュゲートする技術は、当技術分野で周知である(Hellstromら、Controlled Drug Delivery、第2版、Robinsonら編、1987年、623〜53頁;Thorpeら、1982年、Immunol.Rev. 62巻:119〜58頁及びDubowchikら、1999年、Pharmacology and Therapeutics 83巻、67〜123頁を参照のこと)。特定の化学的手順には、例えば、WO93/06231、WO92/22583、WO89/00195、WO89/01476及びWO03031581に記載されるものがある。別法として、エフェクター分子がタンパク質又はポリペプチドである場合、結合は、例えばWO86/01533及び欧州特許第0392745号に記載の組換えDNA手順を使用して達成することができる。
本明細書では用語エフェクター分子には、例えば、抗腫瘍薬、薬物、毒素、生物学的に活性なタンパク質、例えば酵素、他の抗体若しくは抗体断片、合成若しくは天然に存在するポリマー、核酸及びその断片、例えばDNA、RNA及びその断片、放射性核種、特に放射性ヨウ化物、放射性同位元素、キレート化金属、ナノ粒子並びに蛍光化合物又はNMR若しくはESR分光法によって検出できる化合物などのレポータ基がある。
エフェクター分子の例としては、細胞に有害である(例えば、殺す)任意の薬剤を含めた、細胞毒素又は細胞毒性物質があり得る。例としては、コンブレスタチン、ドラスタチン、エポチロン、スタウロスポリン、マイタンシノイド、スポンギスタチン、リゾキシン、ハリコンドリン、ロリジン、ヘミアスタリン、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン及びその類似体又はホモログがある。
エフェクター分子としては、それだけには限らないが、代謝拮抗物質(例えばメトトレキセート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えばメクロレタミン、チオエパ(thioepa)クロラムブシル、メルファラン、カルマスティン(BSNU)及びロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC及びcis−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えばダウノルビシン(以前はダウノマイシン)及びドキソルビシン)、抗生物質(例えばダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、アントラマイシン(AMC)、カリケアマイシン又はデュオカルマイシン)、及び細胞分裂阻止剤(例えばビンクリスチン及びビンブラスチン)がある。
他のエフェクター分子には、111In及び90Y、Lu177、ビスマス213、カリホルニウム252、イリジウム192及びタングステン188/レニウム188などのキレート化放射性核種;又は、それだけには限らないがアルキルホスホコリン、トポイソメラーゼI阻害剤、タキソイド及びスラミンなどの薬物があり得る。他のエフェクター分子には、タンパク質、ペプチド及び酵素がある。対象の酵素としては、それだけには限らないが、タンパク質分解酵素、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼがある。対象のタンパク質、ポリペプチド及びペプチドとしては、それだけには限らないが、免疫グロブリン、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素若しくはジフテリア毒素などの毒素、インスリンなどのタンパク質、腫瘍壊死因子、α−インターフェロン、β−インターフェロン、神経成長因子、血小板由来増殖因子若しくは組織プラスミノーゲン活性化因子、血栓剤若しくは抗血管新生剤、例えばアンジオスタチン若しくはエンドスタチン、又はリンホカイン、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−2(IL−2)、顆粒白血球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、神経成長因子(NGF)若しくは他の増殖因子などの生物学的応答調節物質及び免疫グロブリンがある。
他のエフェクター分子には、例えば診断に有用な検出可能な物質があり得る。検出可能な物質の例としては、様々な酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性核種、陽電子放出金属(ポジトロン断層撮影法用)、及び非放射性常磁性金属イオンがある。診断用としての抗体にコンジュゲートできる金属イオンについては、一般に米国特許第4,741,900号を参照のこと。好適な酵素には、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ又はアセチルコリンエステラーゼがあり;好適な補欠分子族には、ストレプトアビジン、アビジン及びビオチンがあり;好適な蛍光材料には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル及びフィコエリトリンがあり;好適な発光物質には、ルミノールがあり;好適な生物発光物質としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、エクオリンがあり;好適な放射性核種としては、125I、131I、111In及び99Tcがある。
別の例において、エフェクター分子は、in vivoにおける抗体の半減期を増大させ、及び/又は抗体の免疫原性を低下させ及び/又は上皮性関門を通る免疫系への抗体の送達を増強する。この型の好適なエフェクター分子の例としては、WO05/117984に記載されるポリマー、アルブミン、アルブミン結合タンパク質又はアルブミン結合化合物などがある。
エフェクター分子がポリマーである場合、それは、一般的に、合成又は天然に存在するポリマーでもよく、例えば任意に置換された直鎖若しくは分枝鎖ポリアルキレン、ポリアルケニルエン若しくはポリオキシアルキレンポリマー、又は分枝若しくは非分枝ポリサッカリド、例えばホモ−若しくはヘテロ−ポリサッカリドである。
上述の合成ポリマー上に存在できる具体的な任意の置換基には、1つ又は複数のヒドロキシ、メチル又はメトキシ基がある。
合成ポリマーの具体的な例には、任意で置換される直鎖若しくは分枝鎖ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニールアルコール)又はその誘導体、特にメトキシポリ(エチレングリコール)又はその誘導体など任意で置換されるポリ(エチレングリコール))がある。
具体的な天然に存在するポリマーには、ラクトース、アミロース、デキストラン、グリコーゲン又はその誘導体がある。
本明細書では「誘導体」とは、反応性誘導体、例えばマレイミドなどチオール選択的反応基を含むものとする。反応基は、直接又はリンカー部分を介してポリマーと連結することができる。いうまでもなく、そのような基の残基は、場合によっては、開示の抗体とポリマーとの連結基として産物の一部を形成することになる。
ポリマーのサイズは、要求通り変化させることができ、一般に、平均分子量500Da〜50000Da、例えば20000〜40000Daなど5000〜40000Daになる。ポリマーサイズは、産物の使用目的、例えば、腫瘍など特定の組織に局在させる又は循環半減期を延長する能力、に基づいて特別に選択することができる(総説についてはChapman、2002年、Advanced Drug Delivery Reviews、54巻、531〜545頁を参照のこと)。従って、例えば腫瘍処置用として、例えば産物を循環させて組織に侵入させることを意図する場合、例えば約5000Daの分子量を持つ低分子量ポリマーを使用することが有利になり得る。産物を循環させておく用途の場合、例えば20000Da〜40000Daの分子量を有する高分子量ポリマーを使用することが有利になり得る。
適切なポリマーとしては、ポリ(エチレングリコール)若しくは、特にメトキシポリ(エチレングリコール)又はその誘導体などのポリアルキレンポリマーがあり、特に約15000Da〜約40000Daの分子量を有する。
1例において、本発明に使用する抗体は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)部分に付着される。一つの特定の例において、PEG分子は、抗体中に位置する利用可能な任意のアミノ酸側鎖又は末端アミノ酸官能基、例えば任意の遊離アミノ、イミノ、チオール、ヒドロキシル若しくはカルボキシ基を介して付着させることができる。そのようなアミノ酸は、抗体中に天然に存在してもよく、組換えDNA法を使用して抗体中に操作されてもよい(例えば米国特許第5,219,996号;米国特許第5,667,425号;WO98/25971を参照のこと)。1例において、本発明の分子は修飾された抗体であり、その修飾は、重鎖のC末端に、エフェクター分子の付着を可能にする1個又は複数のアミノ酸を追加することである。複数の部位を使用して、2つ以上のPEG分子を付着させることができる。
一実施形態において、PEG分子は、軽鎖のシステイン171に連結されており、例えば参照により本願明細書に組み込むWO2008/038024を参照のこと。
最適には、PEG分子は、抗体中に位置する少なくとも1個のシステイン残基のチオール基を介して共有結合している。修飾抗体に付着する各ポリマー分子は、抗体中に位置するシステイン残基の硫黄原子に共有結合することができる。共有結合は、一般にジスルフィド結合、特に硫黄−炭素結合になる。チオール基を付着点として使用する場合、適切に活性化されたエフェクター分子、例えばマレイミドなどのチオール選択的誘導体及びシステイン誘導体を使用することができる。上記の通り、ポリマー修飾された抗体の調製における出発材料として、活性化ポリマーを使用することができる。活性化ポリマーは、α−ハロカルボン酸又はエステル、例えばヨードアセトアミド、イミド、例えばマレイミド、ビニルスルホン若しくはジスルフィド、などのチオール反応基を含有する任意のポリマーであってもよい。そのような出発材料は、商業的に入手することができ(例えばNektar、以前はShearwater Polymers Inc.、Huntsville、AL、USA)又は従来通りの化学的手順を使用して市販の開始材料から調製することもできる。特定のPEG分子としては、20Kのメトキシ−PEG−アミン(Nektar、以前はShearwater;Rapp Polymere;及びSunBioから入手可能)及びM−PEG−SPA(Nektar、以前はShearwaterから入手可能)がある。
本発明は、本明細書に記載した抗体分子をコードしている単離されたDNAも提供する。
更なる態様において、前記DNAを含むベクターが提供される。
ベクターを構築できる一般的な方法、トランスフェクション法及び培養方法は、当業者に周知である。この点において、「Current Protocols in Molecular Biology」、1999年、F.M.Ausubel(編)、Wiley Interscience、New York及びCold Spring Harbor Publishingによって作成されたManiatis Manualを参照のこと。
更なる態様において、前記ベクター及び/又はDNAを含む宿主細胞が提供される。
任意の適切な宿主細胞/ベクター系を使用して、本発明の分子をコードしているDNA配列を発現させることができる。細菌、例えば大腸菌、及び他の微生物系を使用することができ又は真核生物、例えば哺乳動物、宿主細胞発現系を使用することもできる。好適な哺乳動物宿主細胞としては、CHO、骨髄腫又はハイブリドーマ細胞がある。
本発明は、本発明の抗体分子をコードしているDNAからタンパク質発現を導くのに適切な条件下で本発明のベクター(及び/又はDNA)を含有する宿主細胞を培養するステップと、抗体分子を単離するステップとを含む、本明細書に記載の抗体分子を産生するプロセスも提供する。
重鎖と軽鎖の両方を含む産物を産生する場合、2つのベクター、軽鎖ポリペプチドをコードしている第1のベクター及び重鎖ポリペプチドをコードしている第2のベクター、で細胞系をトランスフェクトすることができる。別法として、単一のベクターを使用することができ、ベクターは軽鎖及び重鎖ポリペプチドをコードしている配列を含む。
本開示による抗体分子を、それを作っている宿主細胞から適切なレベルで発現させ、製品化する。
抗体は、どんな標的抗原に対して特異的であってもよい。抗原は、細胞結合型タンパク質、例えば細菌細胞、酵母細胞、T細胞、内皮細胞又は腫瘍細胞などの細胞の細胞表面タンパク質でも可溶性タンパク質でもよい。対象の抗原は、疾患又は感染中に上方制御されるタンパク質、例えば受容体及び/又はそれに対応するリガンドなど、医学的に関連する任意のタンパク質でもよい。細胞表面タンパク質の特定の例としては、接着分子、例えばβ1インテグリンなどのインテグリン、例えばVLA−4、E−セレクチン、Pセレクチン又はL−セレクチン、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD11a、CD11b、CD18、CD19、CD20、CD23、CD25、CD33、CD38、CD40、CD40L、CD45、CDW52、CD69、CD134(OX40)、ICOS、BCMP7、CD137、CD27L、CDCP1、CSF1又はCSF1−受容体、DPCR1、DPCR1、デュデュリン2、FLJ20584、FLJ40787、HEK2、KIAA0634、KIAA0659、KIAA1246、KIAA1455、LTBP2、LTK、MAL2、MRP2、ネクチン様2、NKCC1、PTK7、RAIG1、TCAM1、SC6、BCMP101、BCMP84、BCMP11、DTD、癌胎児性抗原(CEA)、ヒト乳脂グロブリン(HMFG1及び2)、MHCクラスI及びMHCクラスII抗原、KDR及びVEGF、PD−1、DC−SIGN、TL1A、DR3、IL−7受容体A並びに必要に応じてその受容体がある。
可溶性抗原としては、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−8、IL−12、IL−13、IL−14、IL−16若しくはIL−17など、IL17A及び/又はIL17Fなどのインターロイキン、ウイルス性抗原、例えばRSウイルス又はサイトメガロウイルス抗原、IgEなどの免疫グロブリン、インターフェロンα、インターフェロンβ又はインターフェロンγなどのインターフェロン、腫瘍壊死因子TNF(以前は腫瘍壊死因子αとして公知であり、本明細書においてTNF又はTNFαと呼ぶ)、腫瘍壊死因子β、G−CSF又はGM−CSFなどのコロニー刺激因子、並びにPDGF−α及びPDGF−βなどの血小板由来増殖因子、WISP−1並びに必要に応じてその受容体がある。他の抗原としては、細菌細胞表面抗原、細菌毒素、インフルエンザ、EBV、HepA、B及びCなどのウイルス、バイオテロリズム剤、放射性核種及び重金属、ヘビ及びクモ毒並びに毒素がある。
一実施形態において、重鎖交換を引き起こす条件下で、第1のIgG4抗体を第2のIgG4抗体とex vivoで混合するステップを含む対称形二重特異性抗体を生成する方法が提供され、第1の抗体における可変領域の抗原特異性は、第2の抗体における可変領域の抗原特異性と異なる。
重鎖交換を引き起こすin vitro条件には、還元条件がある。適切な還元剤としては、GSH、2−メルカプトエタノール、2−メルカプトエチルアミン、TBP、TCEP、システイン−HCl及びDTTがある。
還元剤の適切な濃度は、0.5〜5mMなど、0.01〜10mMである。加えて、還元は、酸化還元緩衝液、すなわち異なる相対比率の酸化及び還元された試薬の変形、例えばGSH:GSSG及びCys:diCysなどを使用して実現することができる。
適切な条件は、抗体の比が1:1又は1:2など、0.5:5〜5:05である。
適切な温度は、37℃など、15〜40℃である。
還元条件は、ホモ二量体とヘテロ二量体の間で還元的に安定するよう選択できる。
別の実施形態において、本開示が混合細胞培養を利用して調製される場合、抗体には、例えば約50%の交換が起こる。これは、望ましい二重特異性の1〜2g/Lの間で生じ得る。
一実施形態において、本明細書に記載されるプロセス若しくは方法から得た又は得られる抗体若しくは断片が提供される。
一実施形態において、抗体を使用して、対象の抗原の活性を機能的に変更することができる。例えば、抗体は、前記抗原の活性を直接若しくは間接的に中和、拮抗又は作用することができる。
本発明の抗体分子は、病状の処置及び/又は予防に有用である。
従って、例えば医薬製剤において治療上有効な量を投与することにより処置に使用される本発明による抗体が提供される。一実施形態において、本発明による抗体は、例えば吸入により肺に局所的に投与される。
本発明によって提供される抗体は、炎症性疾患及び障害、免疫疾性患及び障害、線維性障害及びがんを含めた疾患又は障害の処置に有用である。
用語「炎症性疾患」又は「障害」及び「免疫性疾患又は障害」には、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、スティル病、マックルウェルズ疾患、乾癬、クローン病、潰瘍性大腸炎、SLE(全身性エリテマトーデス)、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、脈管炎、I型糖尿病、移植並びに移植片対宿主病が含まれる。
用語「線維性障害」としては、特発性肺線維症(IPF)、全身性硬化症(又は硬皮症)、腎線維症、糖尿病性腎症、IgA腎症、高血圧症、末期腎不全、腹膜線維症(連続携行式腹膜透析)、肝硬変、加齢黄斑変性(ARMD)、網膜症、心反応性線維症、瘢痕化、ケロイド、火傷、皮膚潰瘍、血管形成術、冠状動脈バイパス外科手術、関節形成及び白内障手術がある。
用語「がん」としては、上皮から生じ、皮膚やより一般的には、体器官の内膜、例えば:乳房、卵巣、前立腺、肺、腎臓、膵臓、胃、膀胱又は腸に見出される悪性新生物がある。がんは、隣接する組織に浸潤し、遠くの器官、例えば:骨、肝臓、肺又は脳に拡散(転移する)する傾向がある。本発明は、本発明の抗体を薬学的に許容できる1つ又は複数の添加剤、賦形剤若しくは担体と組合せて含む医薬又は診断組成物も提供する。従って、薬剤の製造用として本発明の抗体の使用が提供される。通常、組成物は、薬学的に許容できる担体を通常は含むことになる無菌の医薬組成物の一部として供給されることになる。本発明の医薬組成物は、加えて、薬学的に許容できるアジュバントを含んでもよい。
本発明は、薬学的に許容できる1つ又は複数の添加剤、賦形剤又は担体に本発明の抗体を添加し、一緒に混合するステップを含む医薬若しくは診断組成物の調製プロセスも提供する。本開示の抗体は、医薬若しくは診断組成物中の唯一の活性成分であってもよく、他の抗体成分、例えば抗TNF、抗IL−1β、抗T細胞、抗IFNγ若しくは抗LPS抗体又はキサンチンなどの非抗体成分を含めた他の活性成分を伴ってもよい。他の適切な活性成分としては、耐性を誘導可能な抗体、例えば、抗CD3又は抗CD4抗体がある。
更なる実施形態において、本開示による抗体若しくは組成物は、更なる薬学的に活性な薬剤、例えば副腎皮質ステロイド(フルチカゾンプロピオン酸など)並びに/又はβ2アゴニスト(サルブタモール、サルメテロール又はフォルモテロールなど)、又は細胞成長及び増殖の阻害剤(ラパマイシン、シクロホスフミド(cyclophosphmide)、メトトレキセートなど)又は別のCD28及び/若しくはCD40阻害剤と組合せて利用される。一実施形態において、阻害剤は小分子である。別の実施形態において、阻害剤は標的に特異的な抗体である。
医薬組成物は、治療上有効な量の本発明の抗体を適切に含む。本明細書で使用される用語「治療上有効な量」とは、標的となる疾患若しくは症状を処置、改善又は予防するのに、或いは検出可能な治療的又は予防的効果を呈するのに必要な治療剤の量のことを指す。治療上有効な量は、細胞培養アッセイ又は動物モデル、通常はげっ歯類、ウサギ、イヌ、ブタ若しくは霊長類、のいずれかで最初に推定することができる。動物モデルを使用して、適当な濃度範囲及び投与経路も決定できる。次いで、そのような情報を使用して、ヒトに投与する場合の有用な用量及び経路を決定することができる。
ヒト対象に対する正確な治療上有効な量は、病状の重症度、対象の全体的な健康、対象の年齢、体重及び性別、食事、投与の時間及び頻度、混合薬(単数又は複数)、療法に対する反応感度並びに耐性/応答によって決まることになる。この量は、日常の実験によって決定することができ、臨床医の判断の範囲内である。一般に、治療上有効な量は、0.01mg/kg〜50mg/kg、例えば0.1mg/kg〜20mg/kgになる。医薬組成物は、用量当たり予め定められた量の本発明の活性薬剤を含有する単位用量形態で便利に存在してもよい。
組成物は、患者に個別に投与されても、他の薬剤、薬物又はホルモンと組合せて(例えば同時に、順次、別々に)投与されてもよい。
本発明の抗体が投与される用量は、処置しようとする症状の性質、例えば疾患/炎症が存在する範囲及び分子を予防的に使用するか又は現状の処置に使用するかで決まる。用量の頻度は、抗体の半減期及びその効果の継続時間で決まることになる。抗体の半減期が短い場合(例えば2〜10時間)、1日当たり1回又は複数の用量を投与する必要があり得る。別法として、抗体の半減期が長い場合(例えば2〜15日)、1日に1回、1週間に1回又は更に1〜2ヵ月間に1回の投薬量しか投与する必要がない場合もある。薬学的に許容できる担体は、それ自身が、組成物を受ける個体にとって有害な抗体の産生を誘導するべきでなく、また毒性であるべきでもない。適切な担体は、タンパク質、ポリペプチド、リポソーム、ポリサッカリド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー及び不活性ウイルス粒子など大きくて、ゆっくりと代謝される高分子であることができる。
薬学的に許容できる塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩及び硫酸塩などの鉱酸塩又は酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩及び安息香酸などの有機酸塩を使用することができる。
治療用組成物中の薬学的に許容できる担体は、水、食塩水、グリセリン及びエタノールなどの液体も追加で含有できる。加えて、湿潤、乳化剤又はpH緩衝物質などの補助物質が、そのような組成物に存在していてもよい。そのような担体により、患者に経口摂取させるための錠剤、丸剤、糖衣剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤及び懸濁剤として医薬組成物を製剤化することが可能になる。
好適な投与形態としては、例えばボーラス注射若しくは持続点滴による、例えば注射又は点滴による非経口投与に適切な形態がある。産物が注射又は点滴用である場合、油性又は水性媒体の懸濁剤、液剤若しくは乳剤の形態をとってもよく、懸濁、防腐、安定化及び/又は分散助剤などの製剤化剤を含有してもよい。別法として、本開示の分子は、使用前に適当な無菌の液体で再構成するための乾燥形態であってもよい。
一旦製剤化されたら、本発明の組成物は対象に直接投与することができる。処置される対象は、動物であり得る。しかし、1つ又は複数の実施形態において、組成物はヒト対象に対する投与に適合される。
本開示による製剤において、適切には、最終製剤のpHは抗体の等電点の値と同等でない、例えば製剤のpHが7である場合、pIは8〜9又はそれ以上が適当になる場合がある。理論に束縛されるものではないが、これにより、安定性が改善される、例えば抗体が溶液中に留まる、最終製剤を最終的に提供できると考えられる。
この発明の医薬組成物は、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、脊髄内、髄腔内、心室内、経皮的、経皮的(例えば、WO98/20734を参照のこと)、皮下、腹膜内、鼻腔内、腸内、局所、舌下、膣内又は直腸経路を含むがこれに限定されない任意の数の経路で投与することができる。ハイポスプレーを使用して本発明の医薬組成物を投与することもできる。通常、治療用組成物は注射可能な液剤又は懸濁剤のいずれかとして調製することができる。注射する前に液体溶媒中の液剤又は懸濁剤に適する固形剤を調製することもできる。
組成物の直接送達は、一般に、皮下、腹膜内、静脈内若しくは筋肉内注射又は組織の間質腔に送達されることによって達成されることになる。組成物は、病変に投与することもできる。投薬処置は、単一用量計画でも複数用量計画でもよい。
組成物中の活性成分が抗体になることはいうまでもない。従って、それは、消化管における分解の影響を受けやすいことになる。従って、組成物を、消化管を使用する経路で投与しようとする場合、組成物は、抗体を分解から保護するが、一旦消化管から吸収されたら抗体を遊離する薬剤を含有する必要があろう。
薬学的に許容できる担体の徹底的な議論は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company、N.J.1991年)に利用可能である。
一実施形態において、製剤は、吸入を含めた局所投与用の製剤として提供される。
適切な吸入可能な調製物としては、吸入可能な粉剤、推進用ガスを含有する定量エアロゾル剤又は推進用ガスを含まない吸入可能な液剤がある。活性物質を含有する本開示による吸入可能な粉剤は、上述の活性物質単独から又は生理的に許容できる添加剤と上述の活性物質との混合物からなってもよい。
これらの吸入可能な粉剤としては、単糖類(例えばグルコース又はアラビノース)、二糖類(例えばラクトース、サッカロース、マルトース)、オリゴ及びポリサッカリド(例えばデキストラン)、多価アルコール(例えばソルビトール、マンニトール、キシリトール)、塩(例えば塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)又はこれら互いの混合物があり得る。モノ−又はジサッカリドが適切に使用され、ラクトース又はグルコースの使用は、特に限定されないが水和物の形態である。
肺に沈着させるための粒子は、1〜9ミクロン、例えば0.1〜5μm、特に1〜5μmなど10ミクロン未満の粒子サイズを必要とする。活性成分(抗体など)の粒子サイズは、最も重要である。
吸入可能なエアロゾルを調製するために使用できる推進用ガスは、当技術分野において公知である。適切な推進用ガスは、n−プロパン、n−ブタン又はイソブタンなどの炭化水素並びにメタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパン又はシクロブタンの塩素化及び/若しくはフッ化誘導体などのハロゲン化炭化水素から選択される。上述した推進用ガスは、それ自身で又はその混合物で使用されてもよい。
特に適切な推進用ガスは、TG 11、TG 12、TG 134a及びTG227から選択されるハロゲン化アルカン誘導体である。上述のハロゲン化炭化水素のうち、TG134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)及びTG227(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)並びにその混合物が特に適している。
推進体ガスを含有している吸入可能なエアロゾル剤は、共溶媒、安定剤、表面活性剤(界面活性剤)、酸化防止剤、潤滑剤及びpHを調整する手段など他の成分を含有してもよい。これら成分の全ては、当技術分野において公知である。本発明による推進体ガスを含有している吸入可能なエアロゾル剤は、最大5重量%の活性物質を含有することができる。本発明によるエアロゾル剤は、例えば、0.002〜5重量%、0.01〜3重量%、0.015〜2重量%、0.1〜2重量%、0.5〜2重量%又は0.5〜1重量%の活性成分を含有する。
別法として、肺への局所投与は、例えばネビュライザなどの装置、例えば、圧縮器に接続されたネビュライザを利用する液剤又は懸濁剤製剤の投与によることもできる(例えば、Pari Respiratory Equipment、Inc.、Richmond、Va.によって製造される、Pari Master(R)圧縮器に接続されたPari LC−Jet Plus(R)ネビュライザ)。
本発明の抗体は、溶剤に分散されている、例えば液剤又は懸濁剤の形態で送達することができる。それは、適当な生理溶液、例えば生理食塩水又は他の薬理的に許容できる溶剤若しくは緩衝液に懸濁することができる。当技術分野において公知の緩衝液は、pH約4.0〜5.0になるように、二ナトリウムエデト酸0.05mg〜0.15mg、NaCl 8.0mg〜9.0mg、ポリソルベート0.15mg〜0.25mg、無水クエン酸0.25mg〜0.30mg及びクエン酸ナトリウム0.45mg〜0.55mgを1mLの水に含有できる。懸濁液は、例えば、凍結乾燥された分子を利用することができる。
治療的な懸濁液又は溶液製剤は、1つ又は複数の添加剤を含有することもできる。添加剤は、当技術分野で周知であり、緩衝液(例えば、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液及び重炭酸緩衝液)、アミノ酸、尿素、アルコール、アスコルビン酸、リン脂質、タンパク質(例えば、血清アルブミン)、EDTA、塩化ナトリウム、リポソーム、マンニトール、ソルビトール及びグリセリンがある。液剤又は懸濁剤は、リポソーム若しくは生分解性微小球に封入することができる。一般に、製剤は無菌の製造プロセスを利用する実質的に無菌の形態で提供されることになる。
これは、当業者になじみの方法によって、製剤に使用する緩衝した溶剤/溶液を濾過するステップと、無菌の緩衝した溶剤溶液に分子を無菌的に懸濁するステップと、無菌容器へ製剤を分注するステップとによる産生及び殺菌を含むことができる。
本開示による噴霧可能な製剤は、例えば、アルミ箔包装材料に包装した単回用量単位(例えば、密封プラスチック製容器又はバイアル)として提供されてもよい。各バイアルは、例えば、2mLの溶剤/溶液緩衝液に単位用量を含有する。
本開示の抗体は、噴霧化による送達に特に適していると考えられる。
本明細書の文脈において含む(comprising)とは、含む(including)を意味するものとする。技術的には、本発明の適当な実施形態を組合せることができる。
本発明を、以下の実施例を参照してここで記載するが、それは単なる例示であり、本発明の範囲を制限するものと決して解釈されるべきでない。
1.IgG4重鎖の突然変異生成及び変異IgG4重鎖を生成する単一の遺伝子ベクター。
アミノ酸変異を、Quickchange(登録商標)Lightening Multi Site Directed Mutagenesis(SDM)キット又はQuickchange(登録商標)II DSMキット(Stratagene(登録商標)から入手した)(それぞれ、カタログ番号210516及び200521)を使用して実行し、製造業者の説明書に従って実行した。
DNA配列決定によって変異を確認した。以下の表にある抗体1〜47のIgG4重鎖を作製した:

抗体48(配列番号266)の重鎖を、PCR及び制限酵素クローニングによって生成した。IgG1上部及びコアヒンジ領域配列並びに制限部位BglIIをコードしているフォワードオリゴと制限酵素DraIIIをコードしているリバースオリゴによってPCR産物を生成した。次いでPCR断片を、上述の酵素で消化し、適当な可変領域を含有するhG4単一遺伝子ベクターにライゲーションした。
2.変異IgG4抗体の発現
全ての変異体DNAを、CHOK1細胞にトランスフェクトした。細胞(2x10個細胞/mL)を、Earles Balance Salt Solution(Sigma)1mLに再懸濁し、DNA 400μg(重鎖DNA 200μg及びκ軽鎖DNA 200μg)と混合した。一定分量800μLを、0.4cmのキュベット(Biorad)に移した。500mL培養の場合、6個のキュベットを以下のパラメータで電気穿孔した:1ms、9.6アンペア;10ms、0アンペア;40ms、3.2アンペア)。トランスフェクトした細胞を、5%CO加湿環境で、37℃で、140rpmで振盪しながら24時間インキュベートし、トランスフェクション2日後からは32℃で10〜13日間継続した。トランスフェクション4日後に、培養物に1M酪酸ナトリウム1.6mLを添加した。一旦細胞が生存率40%になったら又は13日目までに、上清を採取した。培養物を4000rpmで45分間遠心分離した。上清を0.22μM Stericupフィルタ(Millipore)に通して精製した。
3.変異IgG4抗体の精製
上清(200〜500mL)を、プロテインA HiTrap MabSelect SuReカラム(GE Healthcare、Amersham UK)5mLを使用して精製した。上清の1/50量の2M トリスHCl pH8.5を添加することによってサンプルを調製した。サンプルを、1mL/分でカラムにロードした。このカラムを、PBS pH7.4で洗浄した。サンプルを溶出するために、0.1Mクエン酸ナトリウム pH3.4を1mL/分間でカラムに通し、0.5mLの画分を採取した。各々に、2MトリスHCl pH8.5 0.125mLを添加することによってピーク画分を中和した。紫外線検出を、280nmに設定した。
4.精製した変異IgG4抗体の特性評価
SDS PAGE分析:
粗上清を、1200rpmで5分間遠心分離し、OCTETで定量した。適当な量の抗体、4xローディング緩衝液(Invitrogen)及び100mM NEM 2μLを添加することによって、抗体サンプル(25〜30ng)を調製した。dHOを使用して総体積を20μLにした。次いで、サンプルを100℃で3分間煮沸し、4〜20%トリス−グリシンゲルの1.5mmのウェル15個にロードした。1xTank緩衝液中で、150Vで1.5時間ゲルを泳動した。8分間転写するよう設定したiBlot乾式転写システムを使用して、ニトロセルロース膜に抗体を転写した。膜を、振盪プラットフォーム上のPBS−TM中で、室温(RT)で1時間インキュベートし、続けてウサギ抗ヒトIgG Fc HRPコンジュゲート抗体(Jackson Immunoresearch)又はヤギ抗ヒトκ軽鎖HRPコンジュゲート抗体(Bethyl)と振とうしながらRTで1時間インキュベートした。続けてPBS−Tを用いて各5分間、3回洗浄した。製造業者(Pierce)の説明書に従ってMetal enhanced DAB substrate kitを使用して、ブロットを明らかにした。
ウェスタンブロット分析の結果を、図7、8、9及び10に示す。図7〜10において、Hが重鎖を、Lが軽鎖を表す場合、H2L2は2本の重鎖と2本の軽鎖を含む全抗体分子であり、HLは1本の重鎖と1本の軽鎖を含む半分子である。
図7は、抗体15、16、6、7、8、17、18、19、5、5P、9、10、11、1、2、3、4、12、13及び14に対するウェスタンブロット分析を示す。図7から、ヒンジ変異C239SとC242Sの両方があるためH2L2がない又は極めて少ない抗体4、8及び14を除いて、抗体は十分なレベルのH2L2を示すことが分かる。しかし、抗体4、8及び14は、重鎖間での非共有結合によりH2L2を形成することができる。変異体3もH2L2を殆ど示さず、おそらく軽鎖C末端(LC)システインとヒンジC239とのジスルフィドの効率的な形成のため、この変異体はC239を保持するがヒンジにおいて重鎖間ジスルフィドを形成することができない。変異C239Sを含むがC242Sを含まない抗体(抗体2、6、9及び12)は、C239SもC242Sも含まない抗体又はC242Sを含むがC239Sを含まない抗体と比較して、HLの形成が低下していることも分かる。S241P変異を含む抗体5P及び16も、HL形成の低下を示す。変異体2と3の比較は、重鎖とジスルフィド結合を形成するための軽鎖のC末端システインの「及ぶ範囲」の程度を示し、軽鎖システインは、重鎖のC242よりC239に効果的に接着するように見える。
図8は、抗体15、6、7、8、28、29、30、31、17、19、32、33、33、34、35、36、37、38及び39に対するウェスタンブロット分析を示す。図8から、ヒンジ領域に変異C239S及びC242Sがあり、従って2本の重鎖間にジスルフィド結合が形成されないためH2L2がない又は極めて少ない抗体8、31、35及び39を除いて、抗体は十分なレベルのH2L2を示すことが分かる。しかし、抗体8、31、35及び39は、重鎖間での非共有結合によりH2L2を形成することができる。変異C239Sを含むがC242Sを含まない抗体(抗体6、29、33及び37)は、C239SもC242Sも含まない抗体又はC242Sを含むがC239Sを含まない抗体と比較して、HLの形成が低下していることも分かる。変異体15は、軽鎖とC1のG230Cとの間にジスルフィド結合を形成することができ、従って、重鎖間ジスルフィドが完全に組み立てられてジスルフィド結合されたタンパク質が得られる。更に、変異体15(C127S G230C)、28(C127S Y229C)、32(C127S K228C)及び36(C127S S227C)の比較から、上部ヒンジに導入されたシステインの位置は、LC−HC間ジスルフィド結合形成を改善することが示された。G230及びY229は、システインを導入するのに特に好ましい位置である。変異体28(C127S Y229C)は、低レベルのHL及びH2を示し、従ってジスルフィド結合異質性が低い。
図9は、抗体15、6、7、8、44、45、46、47、17及び19に対するウェスタンブロット分析を示す。図9から、ヒンジ領域に変異C239S及びC242Sがあり、従って2本の重鎖間にジスルフィド結合が形成されないためH2L2がない又は極めて少ない抗体8及び47を除いて、抗体は十分なレベルのH2L2を示すことが分かる。しかし、抗体8及び47は、重鎖間での非共有結合によりH2L2を形成することができる。変異C239Sを含むがC242Sを含まない抗体(抗体6及び45)は、C239SもC242Sも含まない抗体又はC242Sを含むがC239Sを含まない抗体と比較して、HLの形成が低下していることも分かる。特に、変異体44は、上部ヒンジにおける3個のアミノ酸の挿入がHL及びH2の形成も低下させ得ることを示し、従って、相当する変異体15よりジスルフィド異質性は低レベルである。
図10は、抗体48、17、18及び19に対するウェスタンブロット分析を示す。図10から、抗体48が十分なレベルのH2L2及び極めて少ないHLを示すことが分かる。変異体48は、IgG4上部ヒンジ配列の代わりに、IgG1上部ヒンジ配列EPKSCDKTHT配列番号320を含有し、コアヒンジS241P変異を伴う。それゆえに、変異体48は、上部及びコアヒンジ配列EPKSCDKTHTCPPCP配列番号321を有する。変異体48は、野生型IgG4抗体17と比較してジスルフィド結合異質性がより低レベルであり、IgG4 S241P変異体18及び野生型IgG1抗体19と比較してジスルフィド結合異質性はおよそ同程度に低レベルである。
熱蛍光アッセイ:
SYPRO(登録商標)Orangeを使用する熱蛍光アッセイにおいて、精製したmAbの熱安定性を分析して、タンパク質の熱的変性プロセスを観察した。1mg/mL mAb 5μL、30x色素5μL、及びPBS 40μLを、一緒に添加した。混合物10μLを、384ウェルPCR光学プレートに4連で分注し、7900HT Fast Real−Time PCR System(Agilent Technologies UK Ltd、Wokingham UK)で行った。このPCRシステムは、20℃〜99℃に設定される正確な温度制御のための加熱装置を含有し;電荷結合素子がウェル内の蛍光変化を同時に観察する。
図11、12、13、14及び15は、野生型IgG1及びIgG4抗体と比較してIgG4抗体変異体の熱安定性分析の結果を示す。
変異体15と野生型IgG4(変異体17)との比較は、ジスルフィド配置の変更によるFab Tmの増大を示す。変異体15と28の比較は、G230C変異を含む変異体15と比較してY229C変異を含む変異体28のFab Tmの更なる改善を示す。変異体15と44の比較は、G230C変異体のFab Tmが、上部ヒンジにおける3個のアミノ酸の挿入によって更に更に増大し得ることを示す。変異体17と18の比較は、S241P中間部ヒンジ変異がHL形成を著しく低下させるにもかかわらずFab Tmを増大させないことを示す。野生型IgG4(変異体17)と変異体15の両方と比較した場合、変異体48は、Fab Tmも著しく改善されている。
図15は、本発明による選択されたIgG4変異体の熱安定性の全体の順位を示す。変異体48、44、44P、46、45、6、29、30、28、28P、31、8、47及び15の全ては、野生型IgG4(変異体17)及び野生型IgG4 S241P(変異体18)と比較して著しく高いFab Tm値を示す。
5.Fabアーム交換
a)in vitro重鎖交換
第1のIgG4抗体とその潜在的交換相手を、リン酸緩衝食塩水(PBS)(mMで:150 NaCl、10 NaHPO;pH7.4)中に、合計濃度100μg/mLで、1:1のモル比で混合した。ジスルフィド結合を還元できるように、最終濃度0、0.5又は5mMになるように還元グルタチオン(GSH;Sigma)をサンプルに補充した。実験開始時(t=0時間)に、一定分量の混合物を採取し、(潜在的な反応性のチオール基を不活性化するために)最終濃度10mMのNーエチルマレイミド(NEM;Sigma)で失活させ、残りの混合物と並行して37℃で16時間インキュベートした(t=16時間)。インキュベーション後、t=16時間のサンプルを上述の通り失活させた。
b)in vitroにおける重鎖交換の検出及び定量化
PBS中に1%BSA(PB)で連続希釈した、実施例5a)にて得られた失活させた反応サンプルを、PB中で1μg/mLビオチン化抗原1(第1の抗体の抗原)と撹拌(200r.p.m)しながらRTで1時間プレインキュベーションしたサンドイッチMSDアッセイを使用して機能的に活性な二重特異性抗体の存在を決定した後に、PBで予めブロッキングしたストレプトアビジンコートMSDプレート(Meso Scale Diagnostics)に移した。撹拌しながらRTで1時間インキュベーションした後、PBS/0.1% Tween(登録商標)−20でウェルを3回洗浄し、その後、1μg/mLスルホタグ付き抗原2(PB中の第2の抗体の抗原)とインキュベートした。インキュベーション後、プレートを上述の通り洗浄し、製品のリード緩衝液及びImage Sector 6000機器をそれぞれ使用して、シグナルを明らかにし、測定した。ビオチン化抗原を非ビオチン化代替物と置換した対照並行反応物からバックグラウンド値を得て、全てのシグナルから差し引いた。少なくとも3件の独立した実験からの複製値を、全ての計算に使用した。
MSDシグナルが高いほど、起こった重鎖交換の量は多かった。
以下の抗体を、分析した:
図16〜20は、in vitroにおけるFabアーム交換定量の結果を示し、y軸はMSDシグナルを示し、棒のレベルが高いほどFabアーム交換量は多い。
図16は、2つのGSH濃度並びに様々な時点における野生型IgG1、野生型IgG4及び変異体IgG4P、28、28P、15、44、44P及び48の重鎖交換を示す。
図17は、2つのGSH濃度並びに様々な時点における野生型IgG4及び変異体15、44及び48の重鎖交換を示す。リース(lease)交換を有する変異体48で示されるように、IgG4ヒンジがIgG1型になるよう変異を受けるほど交換は低下することが分かる。
図18は、2つのGSH濃度並びに様々な時点における野生型IgG4及び変異体15及び28の重鎖交換を示す。229位の変異(変異体28)は、230位の変異(変異体15)と比較してより大きく、両方の還元剤濃度で4〜16時間の間交換を低下させることが分かる。
図19は、野生型IgG4と比較した、0.5mM GSHにおける変異体IgG4P、15、28、44及び48のパーセンテージ交換を示す。交換は、以下の通りに順位付けできる:IgG4 wt>15=44>48>28。
図20は、野生型IgG4と比較した、5mM GSHにおける様々な変異体のパーセンテージ交換を示す。交換は、IgG4 wt>15=44>48>28と順位付けできる。
文献(Labrijn 2011年、Lewis 2009年、Stubenrauch 2010年、Labrijn 2009年)とよく一致して、IgG4コアヒンジのS241P変異が、Fabアーム交換を防ぐためのツールを意味することを示している。本発明の変異体二重特異性抗体は、血漿の生理的GSH濃度4〜6μMより100倍高い0.5mM GSHにおいて示された交換よりも少ないFabアーム交換を実証できたことも分かる(Zilmer.ら、2005年、Drug Design Reviews)。従って、二重特異性抗体は、還元条件下でのFabアーム交換によりin vitroで創出することができ、そしてその条件はIgG4 wtと比較して、in vivoにおけるFabアーム交換を著しく低下させることができた。
抗体親和性:
標的となる可溶性サイトカインに対する本発明の選択された変異体IgG4抗体の親和性は、Biacore(商標)によって測定できる。アッセイ形態は、抗Fc表面におけるIgGの捕捉、それに続く可溶性サイトカインの滴定である。
用語「k」(s−1)とは、抗体抗原相互作用の解離速度定数のことを指す。前記値は、koff値とも呼ぶ。
本明細書で使用される用語「k」(M−1−1)とは、抗体抗原相互作用の会合速度定数のことを指す。
本明細書で使用される用語「K」(M)又は「K」(pM)とは、抗体抗原相互作用の解離平衡定数のことを指す。
サイズ排除(SEC)HPLC分析:
S200カラムを使用して、およそ50μgの精製抗体をHPLCで処理した。Ab1〜19を使用して分析した。この結果は、ヒトIgG4分子のDSB配置に対する変更にもかかわらず、非共有結合的に会合したH2L2が形成されることを示している。

Claims (20)

  1. 可変ドメイン、C1ドメイン、C 2ドメイン、C 3ドメイン及びヒンジ領域を各々備える2本の重鎖を含むクラスIgG4の対称形二重特異性抗体であって、
    各重鎖において:
    Kabat付番方式に従った付番で127位の鎖間システインが別のアミノ酸で置換されており;並びに
    Kabat付番方式に従った付番で239位のシステイン及び/又は242位のシステインがチオール非含有アミノ酸で置換されており、
    各重鎖の定常領域配列が分析される配列全体に渡って95%以上の同一性であるか又は同一であり、各重鎖の可変領域が異なっている、上記対称形二重特異性抗体。
  2. 第1の重鎖の239位のシステイン及び242位のシステインが、チオール非含有アミノ酸によって置換されている、請求項1に記載の対称形二重特異性抗体。
  3. チオール非含有アミノ酸がセリンである、請求項2に記載の対称形二重特異性抗体。
  4. 127位のシステインがチオール非含有アミノ酸によって置換されている、請求項1又は2に記載の対称形二重特異性抗体。
  5. チオール非含有アミノ酸がセリンである、請求項4に記載の対称形二重特異性抗体。
  6. 重鎖の一方又は両方が変異を受けて、Kabat付番方式に従った付番でアミノ酸226〜243の間に3個のアミノ酸が挿入されている、請求項1から5までのいずれか一項に記載の対称形二重特異性抗体。
  7. 重鎖の一方又は両方が変異を受けて、Kabat付番方式に従った付番で238位と239位の間に3個のアミノ酸が挿入されている、請求項6に記載の対称形二重特異性抗体。
  8. Kabat付番方式に従った付番で第1の重鎖の238位と239位の間に3個のアラニンが挿入されている、請求項7に記載の対称形二重特異性抗体。
  9. トレオニン、ヒスチジン及び更なるトレオニンが、Kabat付番方式に従った付番で重鎖の一方又は両方の238位と239位の間に挿入されている、請求項7に記載の対称形二重特異性抗体。
  10. Kabat付番方式に従った付番で重鎖の一方又は両方の241位のセリンが、プロリンで置換されている、請求項1から9までのいずれか一項に記載の対称形二重特異性抗体。
  11. 重鎖の一方又は両方において、230位のグリシンがシステインで置換され、227位のセリンがプロリンで置換され、229位のチロシンがセリンで置換され、237位のプロリンがアスパラギン酸で置換され、238位のプロリンがリシンで置換され、アミノ酸配列トレオニン−ヒスチジン−トレオニンが、238位と239位の間に挿入され、241位のセリンがプロリンで置換されている、請求項1から10までのいずれか一項に記載の対称形二重特異性抗体。
  12. 各重鎖のヒンジ領域が同一である、請求項1から11までのいずれか一項に記載の対称形二重特異性抗体。
  13. 各重鎖が、長さ12〜17アミノ酸、例えば長さ15アミノ酸の上部ヒンジ領域及びコア領域を含む、請求項1から12までのいずれか一項に記載の対称形二重特異性抗体。
  14. 2本の軽鎖を更に含む、請求項1から13までのいずれか一項に記載の対称形二重特異性抗体。
  15. 各々の重鎖において、Kabat付番方式に従った付番で230位のグリシンがシステインに置換されている、請求項1から14までのいずれか一項に記載の対称形二重特異性抗体。
  16. 請求項1から15までのいずれか一項に記載の抗体をコードする配列を含む発現ベクター。
  17. 請求項16に記載のベクターを含む宿主細胞。
  18. 疾患又は障害の処置に使用する、請求項1から15までのいずれか一項に記載の抗体。
  19. 重鎖交換を引き起こす条件下で、第1のIgG4抗体を第2のIgG4抗体とex vivoで混合するステップを含む対称形二重特異性抗体を生成する方法であって、第1の抗体における可変領域の抗原特異性が、第2の抗体における可変領域の抗原特異性と異なり、かつ第1のIgG4抗体及び第2のIgG4抗体が、請求項1〜15までのいずれか一項に定義されるC1ドメイン及びヒンジ領域を各々備える、上記方法。
  20. 重鎖交換を引き起こす条件が還元条件、例えば適切な緩衝液の存在下である、請求項19に記載の方法。
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