JP6814284B2 - 回転角度検出器付き電動機、電動機の回転角度検出器、及び、電動機の回転角度検出器の故障を検知する方法 - Google Patents
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Description
本発明は、回転角度検出器付き電動機、電動機の回転角度検出器、及び、電動機の回転角度検出器の故障を検知する方法に関する。
従来、直流電動機の速度を制御する装置が知られている(特許文献1参照。)。この装置は、電源電圧を調整して指令電圧V1に応じた電圧を直流電動機に印加する電圧制御器と、直流電動機の実際の回転速度に比例する検出速度を出力する速度検出器と、直流電動機の電動機電流を増幅して検出電流を出力する電流検出器とを備えている。また、指令電圧、検出速度及び検出電流に基づいて、検出速度が零であるときに、その原因が、速度検出器の故障によるものか、或いは、大きな回転負荷が直流電動機に急激に作用したことによるものかを判定する速度検出異常判定器を備えている。
しかしながら、上述の装置は、直流電動機の端子間電圧を検出していないため、端子間電圧が異常である場合、検出速度が零である原因が速度検出器の故障によるものか否かを誤って判定してしまうおそれがある。また、電流検出器が異常である場合にも、検出速度が零である原因が速度検出器の故障によるものか否かを誤って判定してしまうおそれがある。
上述の点に鑑み、直流整流子電動機の回転に関する情報を取得する装置の故障をより確実に検知することが望まれる。
本発明の実施例に従った装置は、電動機と、前記電動機の回転角度を検出する回転角度検出器とを備え、前記電動機は、複数の整流子片からなる整流子を有し、前記回転角度検出器は、前記電動機の端子間電圧を検出する電圧検出部の検出結果、及び、前記電動機を流れる電流を検出する電流検出部の検出結果に基づいて前記電動機の回転角速度を算出する回転角速度算出部と、前記電動機を流れる電流に含まれるリップル成分を検出するリップル検出部と、前記電圧検出部、前記電流検出部、及び、前記リップル検出部の出力に基づいて前記電圧検出部、前記電流検出部、及び、前記リップル検出部のそれぞれの故障を検知する故障検知部と、を含み、前記故障検知部は、前記電圧検出部、前記電流検出部、及び、前記リップル検出部のうちの2つの出力が通常回転を示し且つ残りの1つの出力が通常回転を示さない状態が所定期間にわたって継続した場合に、該残りの1つが故障していると判断する。
上述の手段により、直流整流子電動機の回転に関する情報を取得する装置の故障をより確実に検知できる。
以下、図を参照し、本発明の実施例に係る回転角度検出器100について説明する。図1は、本発明の実施例に係る回転角度検出器100の構成例を示す概略図である。
回転角度検出器100は、電動機10の回転角度を検出する装置である。図1の例では、回転角度検出器100は、電動機10の端子間電圧Vと電動機10を流れる電流Imとに基づいて電動機10の回転角度を検出する。
電動機10は、整流子を備えた直流整流子電動機である。電動機10は、例えば、自動車のウィンドウの昇降、ドアミラーの角度の調整、空調装置における送風量の調整、ヘッドライトの光軸の調整等で使用される。
図2は整流子20の概略図である。図2に示すように、整流子20は、スリット20sによって互いに隔てられた8つの整流子片20aで構成されている。各整流子片20aの円弧の中心角であるスリット間角度θcは約45度である。
電動機10は、4つのスイッチSW1〜SW4を介して電源に接続されている。そして、スイッチSW1とスイッチSW3とが閉状態となったときに時計回りに順回転し、スイッチSW2とスイッチSW4とが閉状態となったときに反時計回りに逆回転するように構成されている。電源に接続されている図1の例では、順回転する電動機10を流れる電流が正の値を有し、逆回転する電動機10を流れる電流が負の値を有する。惰性回転中は、スイッチSW2とスイッチSW3とが閉状態となり、順回転する電動機10を流れる電流は負の値を有し、逆回転する電動機10を流れる電流は正の値を有する。本実施例では、惰性回転中も回転を検出するために、電動機10と電流検出部10bは、閉ループ中に存在する。なお、本実施例では、電動機10は、電気抵抗値が十分大きいため、電動機10の2つの端子を短絡しても、惰性で回転する。一方、電動機10は、電気抵抗値が小さい場合には、電動機10の2つの端子を短絡すると、急速に減速する。惰性回転中の電動機10の減速を抑制するためには、抵抗器を通る閉ループを形成すればよい。
電圧検出部10aは、電動機10の端子間電圧Vを検出する。電流検出部10bは、電動機10を流れる電流Imを検出する。
回転角度検出器100は、主に、電圧フィルタ部30、回転角速度算出部31、回転角度算出部32、電流フィルタ部33、第1信号生成部34、第2信号生成部35、回転情報算出部36、故障検知部38等の要素を含む。各要素は、電気回路で構成されていてもよく、ソフトウェアで構成されていてもよい。
電圧フィルタ部30は、電圧検出部10aが出力する端子間電圧Vの波形を滑らかにする。電圧フィルタ部30は、例えば、回転角速度算出部31が電動機10の回転角速度を精度良く算出できるように端子間電圧Vの波形を滑らかにする。図1の例では、電圧フィルタ部30は、ローパスフィルタであり、電圧検出部10aが出力する端子間電圧Vの波形のうちの高周波成分をノイズとして除去した端子間電圧V'を出力する。
回転角速度算出部31は、電動機10の端子間電圧V'と電動機10を流れる電流Imとに基づいて電動機10の回転角速度を算出する。図1の例では、回転角速度算出部31は、式(1)に基づいて回転角速度ωを算出する。
回転角速度算出部31は、一定の制御周期毎に電動機10の回転角速度ωを算出し、算出した回転角速度ωを回転角度算出部32に対して出力する。
回転角度算出部32は、電動機10の回転角度を算出する。回転角度算出部32は、式(2)に基づいて回転角度θを算出する。
また、回転角度算出部32は、第2信号生成部35からの同期指令に応じて回転角度θをゼロにリセットする。
電流フィルタ部33は、電流検出部10bが出力する電流Imに含まれる特定の周波数成分であるリップル成分Irを出力する。また、電流フィルタ部33は、リップル検出部RDを構成している。電流フィルタ部33は、例えば、第1信号生成部34が電流Imのリップル成分Irを検出できるようにリップル成分Irの周波数を通すバンドパスフィルタで構成される。バンドパスフィルタで構成される電流フィルタ部33は、電流検出部10bが出力する電流Imの波形のうちのリップル成分Ir以外の周波数成分を除去する。本実施例で利用するリップル成分Irは、整流子片20aとブラシとの接触・分離に起因して生成される。そのため、リップル成分Irの1周期の間に電動機10が回転する角度はスリット間角度θcに等しい。
第1信号生成部34は、電動機10が一定の角度だけ回転したことを、リップル成分Irの波形から推定した信号を生成する。この信号は、リップル成分Irの周期に応じた信号である。一定の角度は、リップル成分Irの1周期に対応する角度でもよいし、半周期に対応する角度でもよい。この実施例では、電動機10がスリット間角度θcだけ回転する毎に、リップル成分Irの波形から推定した信号(第1パルス信号Pa)を生成する。また、第1信号生成部34は、リップル検出部RDを構成している。第1信号生成部34は、例えば、電流フィルタ部33が出力するリップル成分Irの波形に基づいて第1パルス信号Paを生成する。
図3Aは、第1信号生成部34が第1パルス信号Paを生成するタイミングの一例を示す図である。第1信号生成部34は、リップル成分Irの1周期毎に第1パルス信号Paを生成する。例えば、リップル成分Irが基準電流値Ibを超える度に第1パルス信号Paを生成する。図3Aの例では、時刻t1、t2、t3、・・・、tn等で第1パルス信号Paを生成している。T1、T2、T3、・・・、Tn等は、リップル成分Irの周期を示し、θ1、θ2、θ3、・・・、θn等は、第1信号生成部34が第1パルス信号を生成したときの回転角度θを示す。回転角度θは、回転角度算出部32が算出した値である。このように、第1信号生成部34は、典型的には、回転角度θがスリット間角度θcだけ増加する毎に、すなわち、回転角速度ωがゼロでない状態が継続したときに第1パルス信号Paを生成する。一方、第1信号生成部34は、典型的には、回転角度θがゼロの状態が継続したとき、すなわち、回転角速度ωがゼロの状態が継続したときには第1パルス信号Paを生成しない。
但し、第1信号生成部34は、例えば、電動機10の電源オフ後の惰性回転期間において電流Im及びそのリップル成分Irが小さくなった場合、リップル成分Irを検出できずに、第1パルス信号Paを生成できないことがある。また、第1信号生成部34は、例えば、電動機10の電源オン直後に突入電流が発生した場合、その突入電流に応じて第1パルス信号Paを誤って生成してしまうことがある。このような第1パルス信号Paの生成漏れ又は誤生成は、回転角度検出器100が出力する電動機10の回転に関する情報(以下、「回転情報」とする。)の信頼性を低下させてしまう。
そこで、回転角度検出器100は、第2信号生成部35により、電動機10の回転角度を表す信号をより高精度に生成できるようにしている。
第2信号生成部35は、電動機10が所定角度だけ回転したことを表す信号を生成する。第2信号生成部35は、例えば、回転角度算出部32が出力する回転角度信号と第1信号生成部34が出力する第1パルス信号Paとに基づいてスリット間角度θc毎に第2パルス信号Pbを生成する。第2パルス信号Pbは、電動機10が所定角度だけ回転したことを表す情報の一例である。第1パルス信号Paは、リップル成分Irの波形のみから推定した信号であるため、誤って出力されることがある。一方、第2パルス信号Pbは、第1パルス信号Paと、回転角度信号の双方から推定した信号であるため、誤差を一定値以下にできる。
図4は、第2信号生成部35が第2パルス信号Pbを生成するタイミングの一例を示す図である。第1閾値θu及び第2閾値θdは、第1パルス信号Paの受付可否の閾値であり、例えば、回転角度θと電動機10の実際の回転角度との最大位相差に基づいて設定される。
第2信号生成部35は、回転角度θが第1閾値θu以上で且つスリット間角度θc未満のときに第1信号生成部34が最初に生成した第1パルス信号Paに基づいて、第2パルス信号Pbを生成する。第1閾値θuは、予め設定される値であってもよく、動的に設定される値であってもよい。図4は、回転角度θが第1閾値θu以上で且つスリット間角度θc未満の角度範囲である受付範囲をドットパターンで示す。図4の例では、第1信号生成部34が第1パルス信号Pa1、Pa2、Pa4を生成したときの回転角度θ1、θ2、θ5が第1閾値θu以上で且つスリット間角度θc未満である。すなわち、回転角度θ1、θ2、θ5のそれぞれがスリット間角度θcに達するまでの残りの角度が角度α未満である。角度αは、例えば、回転角度θと電動機10の実際の回転角度との最大誤差に基づき設定される。この場合、第2信号生成部35は、時刻t1、t2、t5において第1信号生成部34が生成した第1パルス信号Pa1、Pa2、Pa4がノイズでないとみなす。そのため、第2信号生成部35は、時刻t1、t2、t5において第2パルス信号Pb1、Pb2、Pb4を生成する。第2パルス信号Pbを生成すると、第2信号生成部35は、回転角度算出部32に対して同期指令を出力する。なお、回転角度θがスリット間角度θc未満、且つ、第1閾値θu以上の場合に、リップル成分Irと同じ周波数成分を持つノイズが発生すると、誤った第1パルス信号Paが出力され、第2パルス信号Pbが生成されるおそれがある。しかし、次のタイミングで、本当のリップル成分Irが検出され、回転角度検出器100は、正しい回転角度を検出できる。したがって、回転角度検出器100が検出する回転角度は、ノイズによって、一時的に誤って検出されても、正しい回転角度に戻る。また、誤差の範囲は、角度α未満であり、実用上、問題無い範囲である。
また、第2信号生成部35は、回転角度θの大きさが所定角度に達したときに第2パルス信号Pbを生成する。所定角度は、例えば、スリット間角度θcである。但し、回転角度θは、回転角度算出部32が算出した角度であり、誤差が含まれる。図4の例では、時刻t3、t7、t9において回転角度θ3、θ7、θ9の絶対値がスリット間角度θcに達したときに第2パルス信号Pb3、Pb5、Pb6を生成している。第2パルス信号Pbを生成すると、第2信号生成部35は、回転角度算出部32に対して同期指令を出力する。回転角度算出部32は、同期指令を受けると回転角度θをゼロにリセットする。
すなわち、第2信号生成部35は、例えば、時刻t2において、第2パルス信号Pb2を生成した後で第1パルス信号Paを受け取ることがない状態のまま、回転角度θの絶対値がスリット間角度θcに達したときに第2パルス信号Pb3を生成する。
このように、第2信号生成部35は、何らかの理由で第1パルス信号Paが生成されなかった場合であっても、回転角度算出部32によって算出された回転角度θの絶対値がスリット間角度θcに達しさえすれば、第2パルス信号Pbを生成する。そのため、第1パルス信号Paの生成漏れを確実に防止できる。
また、第2信号生成部35は、第1信号生成部34が第1パルス信号Paを生成したときの回転角度θが第2閾値θd未満の場合、第2パルス信号Pbを生成しない。第2閾値θdは、予め設定される値であってもよく、動的に設定される値であってもよい。このような状況は、典型的には、回転角度θの大きさが所定角度に達したことで第2パルス信号Pbが生成された後に発生する。図4は、回転角度θがゼロ以上で且つ第2閾値θd未満の角度範囲である受付範囲をドットパターンで示す。図4の例では、時刻t3で回転角度θの絶対値がスリット間角度θcに達したことで第2パルス信号Pb3が生成された後の時刻t4において、第1信号生成部34が第1パルス信号Pa3を生成している。このときの回転角度θ4は、第2閾値θd未満である。すなわち、時刻t3でリセットされた後に積算された回転角度θ4は未だ角度β未満である。この場合、第2信号生成部35は、時刻t4で第1信号生成部34が生成した第1パルス信号Pa3を、時刻t3で生成した第2パルス信号Pb3に統合可能と判定できる。具体的には、電動機10の実際の回転角度がスリット間角度θcに達する前に、回転角度算出部32が出力する回転角度θが、スリット間角度θcに達した場合に発生する。すなわち、実際の回転角度がスリット間角度θcに達していないにもかかわらず、回転角度算出部32が算出した回転角度θがスリット間角度θcに達したために、第2パルス信号Pb3が生成された場合に発生する。第2パルス信号Pb3を生成した直後に第1パルス信号Pa3が生成された時点が、実際の回転角度がスリット間角度θcに達した瞬間である。このため、第2信号生成部35は、第1パルス信号Pa3を生成した時点で、回転角度算出部32に対して同期指令を出力する。この場合、第2信号生成部35は、時刻t4では第2パルス信号Pbを生成しない。図4の「×」に向かう破線矢印は、第1パルス信号Pa3に基づいて第2パルス信号Pbが生成されなかったことを表す。他の図における「×」に向かう破線矢印についても同様である。
また、第1信号生成部34が、第1パルス信号Paを短時間に連続して生成することがある。上述したとおり、図3Aにおいて、リップル成分Irが基準電流値Ibを超える度に、第1信号生成部34が、第1パルス信号Paを生成する。リップル成分Irが基準電流値Ibを超える直前や直後は、微小なノイズが重畳されても、第1パルス信号Paが誤って生成される。この場合、第1信号生成部34が、第1パルス信号Paを生成する間隔が角度β(第2閾値θd)未満となる。図4の例では、第1信号生成部34が、時刻t2で、第1パルス信号Pa2を生成する。第2信号生成部35は、第2パルス信号Pb2を生成すると共に、回転角度算出部32に同期指令を出力する。回転角度算出部32は、回転角度θをリセットする。その後、第1信号生成部34が、時刻t2'で、第1パルス信号Pa2'を生成する。時刻t2'の時点での回転角度θは、第2閾値θd未満である。この場合、第2信号生成部35は、第2パルス信号Pbを生成せず、同期指令も出力しない。図4の「×」に向かう破線矢印は、第1パルス信号Pa3に基づいて第2パルス信号Pbが生成されなかったことを表す。なお、リップル成分Irが基準電流値Ibを超える直前や直後は、微小なノイズが重畳された場合、短時間に連続して複数発生する第1パルス信号Paの何れが、スリット間角度θcに達したことを示す第1パルス信号Paか判断できない。しかし、この場合、複数の第1パルス信号Paは、短い期間内(角度β未満)に生成されるため、最初の第1パルス信号Paの時点で、回転角度θがスリット間角度θcに達したと見なしても、実用上、問題ない。また、リップル成分Irが基準電流値Ibを超える度に、同様のノイズが発生したとしても、誤差は、角度β未満に抑えられる。つまり、誤差が累積しない。このため、実用上問題ない範囲に誤差を抑えることができる。
また、第2信号生成部35は、第1信号生成部34が第1パルス信号Paを生成したときの回転角度θが第2閾値θd以上で且つ第1閾値θu未満の場合、すなわち、回転角度θが角度範囲R1内にある場合、第2パルス信号Pbを生成することはなく、回転角度算出部32に対して同期指令を出力することもない。図4の例では、時刻t6において第1信号生成部34が第1パルス信号Pa5を生成したときの回転角度θ6は、第2閾値θd以上で且つ第1閾値θu未満である。すなわち、回転角度θ6がスリット間角度θcに達するまでの残りの角度が角度αより大きく、時刻t5でリセットされた後に積算された回転角度θ6が角度β以上である。この場合、第2信号生成部35は、第1パルス信号Pa5がノイズに基づくものと判定できる。そのため、第2信号生成部35は、時刻t6では第2パルス信号Pbを生成することはなく、回転角度算出部32に対して同期指令を出力することもない。すなわち、ノイズに基づく第1パルス信号Pa5による影響を排除できる。
また、第2信号生成部35は、第1信号生成部34が第1パルス信号Paを生成したときの回転角度θが第2閾値θd未満の場合、第2パルス信号Pbを生成しない。但し、第2信号生成部35は、第1信号生成部34が第1パルス信号Paを生成したときの回転角度θが第2閾値θd未満の場合、回転角度算出部32に対して同期指令を出力する場合と、同期指令を出力しない場合がある。第1パルス信号Paが生成される前に、回転角度θがスリット間角度θcに達した後で、回転角度θが第2閾値θd未満のときに第1パルス信号Paが生成されると、第2信号生成部35は、同期指令を回転角度算出部32に送る。但し、第1パルス信号Paが生成される前に、回転角度θがスリット間角度θcに達した後で、回転角度θが第2閾値θd未満のときに複数の第1パルス信号Paが生成されると、2番目以降の第1パルス信号Paは無視される。すなわち、第2信号生成部35は、同期指令を出力しない。また、回転角度θがスリット間角度θcに達する前に第1パルス信号Paが生成された後、回転角度θが第2閾値θd未満のときに第1パルス信号Paが生成されても、第2信号生成部35は、同期指令を出力しない。つまり、第1パルス信号Paが第2閾値θd(角度β)未満の間に、複数の第1パルス信号Paが生成された場合、2番目以降の第1パルス信号Paは無視される。すなわち、第2信号生成部35は、同期指令を出力しない。図4の例では、時刻t4'において第1信号生成部34が第1パルス信号Pa3'を生成したときの回転角度θ4'は、第2閾値θd未満である。しかしながら、第1パルス信号Pa3'は、直近の第2パルス信号Pb3が生成された後の2番目の第1パルス信号Paである。そのため、第2信号生成部35は、第1パルス信号Pa3'を受け取ったときには、第2パルス信号Pbを生成することはなく、回転角度算出部32に対して同期指令を出力することもない。
以上の構成により、回転角度検出器100は、電動機10の回転角度θの検出誤差を実用上問題ない範囲に抑えることができる。特に、回転角度検出器100では、誤差が累積されることがない。このため、電動機10の回転数にかかわらず、誤差を一定範囲内に抑えることができる。発明者は、次の前提が成り立つことを発見し、上述した回転角度検出器100を発明した。(1)微小ノイズによるリップル成分Irの誤検出は、リップル成分Irが基準電流値Ibを超える直前か直後に限定される。この場合、正しく生成された第1パルス信号Paの前後の短時間(角度αだけ前から角度βだけ後まで)のみ、誤った第1パルス信号Paが生成される。(2)大きなノイズは、電源オン直後の突入電流等によるもので、スリット間角度θcより充分長い間隔で発生する。(3)回転角度算出部32が、端子間電圧V'と電流Imから算出する回転角度θの誤差は、スリット間角度θcより充分に小さい。
以上の構成により、第2信号生成部35は、例えば、電動機10の電源オフ後の惰性回転期間において電流Im及びそのリップル成分Irが小さくなり、第1信号生成部34がリップル成分Irの波形に基づいて第1パルス信号Paを生成できない場合であっても、第2パルス信号Pbを生成できる。
また、第2信号生成部35は、例えば、電動機10の電源オン直後に突入電流が発生し、第1信号生成部34がその突入電流に応じて第1パルス信号Paを誤って生成してしまった場合であっても、その第1パルス信号Paに対応する第2パルス信号Pbを生成しない。すなわち、その第1パルス信号Paによる影響を排除できる。
また、第2信号生成部35は、例えば、第1信号生成部34がノイズ等の影響により第1パルス信号Paを誤って生成してしまった場合であっても、その第1パルス信号Paに対応する第2パルス信号Pbを生成することはなく、回転角度算出部32に対して同期指令を出力することもない。
そのため、回転角度検出器100は、第1パルス信号Paと回転角度信号の双方に基づき生成される第2パルス信号Pbに基づいて電動機10の回転情報を算出することで、電動機10の回転情報の信頼性を向上させることができる。
また、第2信号生成部35は、電動機10の回転方向を表す方向信号を出力する。例えば、第2信号生成部35は、回転方向が順回転方向であれば、回転角度θとして正の値を出力し、回転方向が逆回転方向であれば、回転角度θとして負の値を出力する。回転角度θは、電動機10を流れる電流が正の値のときに正の値を有し、電動機10を流れる電流が負の値のときに負の値を有する。但し、惰性回転中は、回転角度θは、電動機10を流れる電流が負の値のときに正の値を有し、電動機10を流れる電流が正の値のときに負の値を有する。
回転情報算出部36は、電動機10の回転情報を算出する。電動機10の回転情報は、例えば、基準回転位置からの回転量(回転角度)、基準回転位置からの回転数等を含む。電動機10が自動車のウィンドウの昇降に使用される場合には、電動機10の回転情報は、基準位置に対するウィンドウの上縁の相対位置、ウィンドウの開き量等に変換された値でもよい。また、ある期間における回転角速度ωの平均値、最大値、最小値、中間値等の統計値を含んでいてもよい。図1の例では、回転情報算出部36は、第2信号生成部35の出力に基づいて電動機10の回転情報を算出する。例えば、電動機10の回転が開始した後に生成された第2パルス信号Pbの数にスリット間角度θcを乗ずることで、電動機10の回転が開始した後の回転量を算出する。その際、回転情報算出部36は、第2信号生成部35が第2パルス信号Pbと共に出力する方向信号に基づいて第2パルス信号Pbの数をインクリメントするかデクリメントするかを決定する。或いは、回転情報算出部36は、順回転方向を表す方向信号と共に受けた第2パルス信号Pbの数と、逆回転方向を表す方向信号と共に受けた第2パルス信号Pbの数とを別々に計数し、それらの差に基づいて電動機10の回転量を算出してもよい。
故障検知部38は、回転角度検出器100の故障を検知する。本実施例では、故障検知部38は、検知対象としての電圧検出部10a、電流検出部10b、及び、リップル検出部RDのそれぞれの出力が通常回転を示すか否かに基づいて電圧検出部10a、電流検出部10b、及び、リップル検出部RDのそれぞれの故障を検知する。そして、故障を検知した場合、故障検知信号を外部に向けて出力する。
故障検知部38は、例えば、電圧検出部10a、電流検出部10b、及び、リップル検出部RDのうちの2つの出力が通常回転を示し且つ残りの1つの出力が通常回転を示さない異常状態が所定期間にわたって継続した場合に、その残りの1つが故障していると判断する。
故障検知部38は、例えば、電圧検出部10aの出力が通常回転を示し、電流検出部10bの出力が通常回転を示し、且つ、リップル検出部RDの出力が通常回転を示さない第1異常状態が所定期間にわたって継続した場合に、リップル検出部RDが故障していると判断する。
第1異常状態は、例えば、電圧検出部10a及び電流検出部10bのそれぞれの出力に基づいて算出される回転角速度ωがゼロでないにもかかわらず、リップル検出部RDが第1パルス信号Paを出力していない状態である。
電流Im、周期T、端子間電圧Vのそれぞれの正常範囲は、不揮発性記憶媒体等に予め設定されているが、動的に算出され或いは設定されてもよい。また、正常範囲は、電動機10の通常回転時における正常範囲(以下、「第1正常範囲」とする。)である。電動機10の停止時における正常範囲は含まれない。
また、故障検知部38は、例えば、電圧検出部10aの出力が通常回転の場合の電圧値の範囲内であり、電流検出部10bの出力が通常回転の場合の電流値の範囲外であり、且つ、リップル検出部RDから通常回転を示す信号が出力される第2異常状態が所定期間にわたって継続した場合に、電流検出部10bが故障していると判断する。
第2異常状態は、例えば、端子間電圧Vが第1正常範囲内にあり、且つ、第1パルス信号Paの周期Tが第1正常範囲内にあるにもかかわらず、電流Imが第1正常範囲外にある状態である。
正常範囲内にある電流Imの大きさは、例えば、ストール電流値の大きさ以下である。ストール電流値は、例えば、端子間電圧Vを内部抵抗Rmで除した値に係数K1を乗じて算出される。係数K1は、固定値であってもよく、可変値であってもよい。
また、故障検知部38は、例えば、電圧検出部10aの出力が通常回転の場合の電圧値の範囲外であり、電流検出部10bの出力が通常回転の場合の電流値の範囲内であり、且つ、リップル検出部RDから通常回転を示す信号が出力される第3異常状態が所定期間にわたって継続した場合に、電圧検出部10aが故障していると判断する。
第3異常状態は、例えば、電流Imが第1正常範囲内にあり、且つ、リップル検出部RDが出力する第1パルス信号Paの周期Tが第1正常範囲内であるにもかかわらず、端子間電圧Vが第1正常範囲外にある状態である。
故障検知部38は、判断保留時間としての異常状態の継続期間を計測するタイマ部38Tを有する。判断保留時間は、検知対象が故障しているとの判断を保留する時間を意味する。故障検知部38は、タイマ部38Tが計測した判断保留時間が所定期間を超えたときに、その異常状態において通常回転の場合と異なる出力を行っていた1つの検知対象が故障していると判断する。
次に、図5を参照し、回転角度検出器100が電動機10の回転量を算出する処理(以下、「回転量算出処理」とする。)の流れについて説明する。図5は、回転量算出処理のフローチャートである。回転角度検出器100は、電動機10の駆動中にこの回転量算出処理を実行する。
最初に、回転角度検出器100は、端子間電圧V及び電流Imを取得する(ステップST1)。図1の例では、回転角度検出器100は、電圧検出部10aが出力する端子間電圧V、及び、電流検出部10bが出力する電流Imを所定の制御周期毎に取得する。
その後、回転角度検出器100は、回転角速度ω及び回転角度θを算出する(ステップST2)。図1の例では、回転角度検出器100の回転角速度算出部31は、端子間電圧Vと電流Imを式(1)に代入して回転角速度ωを所定の制御周期毎に算出する。そして、回転角度検出器100の回転角度算出部32は、制御周期毎に算出される回転角速度ωを積算して回転角度θを算出する。
その後、回転角度検出器100は、回転角度θが所定角度未満であるか否かを判定する(ステップST3)。図1の例では、回転角度検出器100の第2信号生成部35は、回転角度θがスリット間角度θc未満であるか否かを判定する。
回転角度θがスリット間角度θc以上であると判定した場合(ステップST3のNO)、第2信号生成部35は、スリット間角度θcまでのタイミングで第1パルス信号Paが生成されなかったと判定する。この場合、第2信号生成部35は、第1パルス信号Paが生成されていないことを示すためにフラグFを"False"にする(ステップST3A)。フラグFは、第1パルス信号Paが生成されたか否かを示すためのフラグである。フラグFの初期値は、第1パルス信号Paが生成されていないことを示す"False"である。フラグFが"True"であることは、第1パルス信号Paが既に生成されたことを示す。そして、第2パルス信号Pbを生成し(ステップST10)、且つ、回転角度θをゼロにリセットする(ステップST11)。これは、第1パルス信号Paが生成される前に回転角度θがスリット間角度θcに達した場合であり、図4の例において時刻t3、t7、t9で回転角度θが回転角度θ3、θ7、θ9に達した場合に対応する。
一方、回転角度θがスリット間角度θc未満であると判定した場合(ステップST3のYES)、第2信号生成部35は、第1パルス信号Paが生成されたか否かを判定する(ステップST4)。図1の例では、第1信号生成部34によって第1パルス信号Paが生成されたか否かを判定する。
回転角度θがスリット間角度θc未満の段階(ステップST3のYES)で第1パルス信号Paが未だ生成されていないと第2信号生成部35が判定した場合(ステップST4のNO)、回転角度検出器100は、回転量を算出する(ステップST7)。そして、回転情報算出部36は、第2信号生成部35の出力に基づいて電動機10の回転量を算出する。この場合、算出される回転量に変化はない。これは、図4の例において時刻t0で回転角度θが回転角度θ0になっている場合に対応する。
その後、回転角度検出器100は、回転角速度ωがゼロになったか否かを判定する(ステップST8)。そして、回転角度検出器100は、回転角速度ωがゼロになっていないと判定した場合(ステップST8のNO)、処理をステップST1に戻し、回転角速度ωがゼロになったと判定した場合(ステップST8のYES)、回転量算出処理を終了させる。
第1パルス信号Paが生成されたと判定した場合(ステップST4のYES)、第2信号生成部35は、回転角度θが第1閾値θu未満であるか否かを判定する(ステップST5)。第1閾値θu未満のタイミングで生成された第1パルス信号Paは、ノイズに基づく慨然性が高いためである。
回転角度θが第1閾値θu以上であると判定した場合(ステップST5のNO)、第2信号生成部35は、第1パルス信号Paが生成されたか否かを示すためにフラグFを"True"にする(ステップST5A)。そして、第2信号生成部35は、第2パルス信号Pbを生成し(ステップST10)、且つ、回転角度θをゼロにリセットする(ステップST11)。回転角度θが、第1閾値θu以上のときに第1パルス信号Paが発生した場合、第1パルス信号Paが発生した時点の実際の回転角度が、スリット間角度θcに近いためである。これは、図4の例において時刻t1、t2、t5で第1パルス信号Pa1、Pa2、Pa4が生成された場合に対応する。
回転角度θが第1閾値θu未満であると判定した場合(ステップST5のYES)、第2信号生成部35は、現時点では、第1パルス信号Paがノイズに基づくものでないとは判定できない。回転角度θは、多少の誤差を含む場合がある。また、第1パルス信号Paの生成時期が、ノイズ等の影響で、若干ずれることがある。このため、回転角度θがスリット間角度θcに達する時期と、第1パルス信号Paの生成時期がずれる場合がある。このため、回転角度θがスリット間角度θcに達する時期と、第1パルス信号Paの生成時期のどちらが早いか分からないためである。そこで、第2信号生成部35は、直近の第2パルス信号Pbを生成した後で最初に受け取った第1パルス信号Paに関し、回転角度θが第2閾値θd未満であるか否かを判定する(ステップST6)。
最初の第1パルス信号Paに関する回転角度θが第2閾値θd未満であると判定した場合(ステップST6のYES)、第2信号生成部35は、フラグFを調べる(ステップST6A)。フラグFは、第1パルス信号Paが、連続して発生したことを判断するためのフラグである。フラグFが"True"の場合、第1パルス信号Paは、連続して発生した2番目以降の第1パルス信号Paである。フラグFが"True"の場合(ステップST6AのYES)、回転角度検出器100は、回転量を算出する(ステップST7)。これは、図4の例において時刻t2'、t4'で第1パルス信号Pa2'、Pa3'が生成されたときに対応する。フラグFが"False"の場合(ステップST6AのNO)、第2信号生成部35は、フラグFを"True"にする(ステップST6B)。その後、第2信号生成部35は、回転角度θをゼロにリセットする(ステップST11)。回転角度θが第2閾値θd未満の場合、第1パルス信号Paが生成されたときの実際の回転角度が、スリット間角度θcに近いためである。すなわち、第2閾値θd未満の場合、第1パルス信号Paが、直前に生成した第2パルス信号Pbに対応すると判定できるためである。これは、図4の例において時刻t4、t8で第1パルス信号Pa3、Pa6が生成された場合に対応する。すなわち、第1パルス信号Pa3、Pa6が第2パルス信号Pb3、Pb5に対応すると判定できる。
最初の第1パルス信号Paに関する回転角度θが第2閾値θd以上であると判定した場合(ステップST6のNO)、すなわち、角度範囲R1内であると判定した場合、第2信号生成部35は、その第1パルス信号Paがノイズに基づくものであると判定する。この場合、第2信号生成部35は、第2パルス信号Pbを生成することはなく、回転角度θをリセットすることもない。そして、回転情報算出部36は、第2信号生成部35の出力に基づいて電動機10の回転量を算出する。これは、図4の例において時刻t6で第1パルス信号Pa5が生成されたときに対応する。すなわち、第2信号生成部35は、第1パルス信号Pa5をノイズに基づくものと判定している。
その後、回転角度検出器100は、電動機10の回転量を算出する(ステップST7)。図1の例では、回転角度検出器100の回転情報算出部36は、電動機10の回転が開始した後に生成された第2パルス信号Pbの数にスリット間角度θcを乗ずることで、電動機10の回転が開始した後の回転量を算出する。
次に、図6を参照し、回転角度検出器100が算出した電動機10の回転量の信頼性に関する実験結果について説明する。図6は、合成パルス信号及びホールパルス信号のそれぞれの推移を示す図である。
合成パルス信号は、第2パルス信号Pbの複数パルスを1パルスに合成することで得られる信号である。図6の例では、スリット間角度θcは90度である。第1パルス信号Pa及び第2パルス信号Pbは、基本的に、電動機10の回転軸が90度回転する度に生成されている。そして、合成パルス信号は、第2パルス信号Pbの2パルスを1パルスに合成して生成されている。すなわち、回転角度検出器100は、電動機10の回転軸が180度回転する度に合成パルス信号を1つ生成するように構成されている。
ホールパルス信号は、ホールセンサが出力したパルス信号である。ホールセンサは、第2パルス信号Pbとホールパルス信号との比較のために電動機10の回転軸に取り付けられた磁石が作る磁束を検出する。図6の例では、回転角度検出器100は、電動機10の回転軸が180度回転する度にホールパルス信号を1つ生成するように構成されている。
図6の「×」に向かう破線矢印は、第1パルス信号Paに基づいて第2パルス信号Pbが生成されなかったことを表す。すなわち、第1パルス信号Paがノイズとして無視されたことを表す。また、図6の8つの実線矢印は、第1パルス信号Paの生成漏れの際に第2パルス信号Pbが追加されたことを表す。
図6の例では、電動機10の順回転を開始させてからその順回転を停止させるまでの期間に生成された合成パルス信号及びホールパルス信号のそれぞれの数が等しいことが確認された。すなわち、第2パルス信号Pbに基づいて算出される電動機10の回転量が、ホールセンサによって検出される電動機10の回転量に等しいことが確認された。
次に、図7を参照し、故障検知部38が検知対象の故障を検知する処理(以下、「故障検知処理」とする。)について説明する。図7は、故障検知処理のフローチャートである。故障検知部38は、所定の制御周期で繰り返しこの故障検知処理を実行する。
最初に、故障検知部38は、3つの検知対象のそれぞれの出力のうちの2つが通常回転を示し且つ残りの1つが通常回転を示さないかを判定する(ステップST11)。すなわち、3つの検知対象が異常状態であるか否かを判定する。本実施例では、3つの検知対象は、電圧検出部10a、電流検出部10b及びリップル検出部RDである。
電圧検出部10aの出力である端子間電圧Vは、例えば、所定の下限電圧値(例えば7[V])より大きく、且つ、所定の上限電圧値(例えば18[V])より小さい場合に通常回転を示すと判定され、それ以外の場合に通常回転を示さないと判定される。
電流検出部10bの出力である電流Imは、例えば、所定の下限電流値(例えば0.5[A])より大きく、且つ、所定の上限電流値(例えば、20[A])より小さい場合に通常回転を示すと判定され、それ以外の場合に通常回転を示さないと判定される。上限電流値はストール電流値であってもよい。
リップル検出部RDの出力である第1パルス信号Paは、例えば、周期Tが所定の下限周期より大きく、且つ、所定の上限周期より小さい場合に通常回転を示すと判定され、それ以外の場合に通常回転を示さないと判定される。
3つの検知対象が異常状態であると判定した場合(ステップST11のYES)、故障検知部38は、判断保留時間の計測を開始する(ステップST12)。判断保留時間の計測を既に開始している場合にはその計測を継続する。本実施例では、故障検知部38は、タイマ部38Tによる計時を開始させ或いは継続させる。
その後、故障検知部38は、判断保留時間が閾値を超えたか否かを判定する(ステップST13)。閾値は、3つの検知対象のうちの何れが通常回転を示さないと判定されているかに応じて異なっていてもよく、同じであってもよい。
判断保留時間が閾値を超えたと判定した場合(ステップST13のYES)、故障検知部38は、出力が通常回転を示さないと判定されているその残りの1つの検知対象が故障していると判断する(ステップST14)。このとき、故障検知部38は、故障検知信号を外部に向けて出力してもよい。
判断保留時間が閾値を超えていないと判定した場合(ステップST13のNO)、故障検知部38は、その残りの1つの検知対象が故障していると判断することなく、今回の故障検知処理を終了させる。すなわち、判断保留時間が閾値を超えたと判定するまでは、検知対象のうちの1つが故障しているとの判断を保留する。故障の誤検知を防止するためである。
3つの検知対象が異常状態でないと判定した場合(ステップST11のNO)、故障検知部38は、判断保留時間をリセットする(ステップST15)。本実施例では、故障検知部38は、判断保留時間をゼロにリセットした上でタイマ部38Tによる計時を停止させる。
また、故障検知部38は、これまでの異常状態とは別の異常状態になったと判定した場合には、判断保留時間をゼロにリセットした上でタイマ部38Tによる計時を再開させる。例えば、第1異常状態であると判定されてから、ある程度の時間が既にカウントアップされている場合であっても、判断保留時間が閾値を超える前に第1異常状態が解消され且つ第2異常状態になったと判定された場合には、第1異常状態に関する判断保留時間をゼロにリセットし、第2異常状態に関する判断保留時間のタイマ部38Tによる計時を開始させる。
このように、回転角度検出器100は、電圧検出部10a、電流検出部10b及びリップル検出部RDのうちの2つが通常回転を示し且つ残りの1つが通常回転を示さない状態が所定時間にわたって継続する場合に、その残りの1つが故障していると判断できる。
次に、図8を参照し、故障検知部38がリップル検出部RDの故障を検知する処理(以下、「第1故障検知処理」とする。)について説明する。図8は、第1故障検知処理のフローチャートである。故障検知部38は、所定の制御周期で繰り返しこの第1故障検知処理を実行する。
最初に、故障検知部38は、端子間電圧Vが第1正常範囲内であるか否かを判定する(ステップST21)。そして、端子間電圧Vが第1正常範囲内であると判定した場合(ステップST21のYES)、電流Imが第1正常範囲内であるか否かを判定する(ステップST22)。そして、電流Imが第1正常範囲内であると判定した場合(ステップST22のYES)、リップルが検出されていないか否か(「リップル検出無し」か「リップル検出有り」か)を判定する(ステップST23)。
その後、リップル検出無しと判定した場合(ステップST23のYES)、すなわち、第1異常状態であると判定した場合、故障検知部38は、非検出時間の計測を開始する(ステップST24)。非検出時間は、判断保留時間の一例であり、リップルが検出されていない時間を表す。非検出時間の計測を既に開始している場合にはその計測を継続する。
その後、故障検知部38は、非検出時間が閾値を超えたか否かを判定する(ステップST25)。閾値は、望ましくは、惰性回転期間よりも長い期間である。惰性回転中におけるリップル検出無しの状態に基づき、リップル検出部RDが故障していると誤って判断されてしまうのを防止するためである。
非検出時間が閾値を超えたと判定した場合(ステップS25のYES)、故障検知部38は、リップル検出部RDが故障していると判断する(ステップST26)。このとき、故障検知部38は、リップル検出部RDの故障に関する故障検知信号を外部に向けて出力してもよい。
非検出時間が閾値を超えていないと判定した場合(ステップST25のNO)、故障検知部38は、リップル検出部RDが故障していると判断することなく、今回の第1故障検知処理を終了させる。すなわち、非検出時間が閾値を超えたと判定するまでは、リップル検出部RDが故障しているとの判断を保留する。故障の誤検知を防止するためである。
端子間電圧Vが第1正常範囲内にないと判定した場合(ステップST21のNO)、電流Imが第1正常範囲内にないと判定した場合(ステップST22のNO)、或いは、リップル検出有りと判定した場合(ステップST23のNO)、故障検知部38は、非検出時間をリセットする(ステップST27)。本実施例では、故障検知部38は、非検出時間をゼロにリセットした上で非検出時間の計測を停止する。なお、ステップST21からステップST23における3つの判定は順不同であり、3つの判定が同時に行われてもよい。
このように、故障検知部38は、端子間電圧Vと電流Imから電動機10が回転中であると判断できる場合に、所定の期間が経過しても第1パルス信号Paが検出されないときには、リップル検出部RDが故障していると判断できる。
次に、図9を参照し、故障検知部38が電流検出部10bの故障を検知する処理(以下、「第2故障検知処理」とする。)について説明する。図9は、第2故障検知処理のフローチャートである。故障検知部38は、所定の制御周期で繰り返しこの第2故障検知処理を実行する。
最初に、故障検知部38は、通常回転時と同様にリップルが検出されているか否かを判定する(ステップST31)。通常回転時と同様にリップルが検出されている状態は、例えば、リップル検出部RDが出力する第1パルス信号Paの周期Tが所定値未満の状態である。
そして、通常回転時と同様にリップルが検出されていると判定した場合(ステップST31のYES)、端子間電圧Vが第1正常範囲内であるか否かを判定する(ステップST32)。そして、端子間電圧Vが第1正常範囲内であると判定した場合(ステップST32のYES)、電流Imが第1正常範囲外であるか否かを判定する(ステップST33)。
その後、電流Imが第1正常範囲外であると判定した場合(ステップST33のYES)、すなわち、第2異常状態であると判定した場合、故障検知部38は、電流異常継続時間の計測を開始する(ステップST34)。電流異常継続時間は、判断保留時間の一例であり、電流Imが第1正常範囲外にある状態が継続している時間を表す。電流異常継続時間の計測を既に開始している場合にはその計測を継続する。
その後、故障検知部38は、電流異常継続時間が閾値を超えたか否かを判定する(ステップST35)。閾値は、望ましくは、惰性回転中の電動機10が1回転するのに要する期間よりも長い期間である。電流Imに含まれるノイズに基づき、電流検出部10bが故障していると誤って判断されてしまうのを防止するためである。
電流異常継続時間が閾値を超えたと判定した場合(ステップS35のYES)、故障検知部38は、電流検出部10bが故障していると判断する(ステップST36)。このとき、故障検知部38は、電流検出部10bの故障に関する故障検知信号を外部に向けて出力してもよい。
電流異常継続時間が閾値を超えていないと判定した場合(ステップST35のNO)、故障検知部38は、電流検出部10bが故障していると判断することなく、今回の第2故障検知処理を終了させる。すなわち、電流異常継続時間が閾値を超えたと判定するまでは、電流検出部10bが故障しているとの判断を保留する。故障の誤検知を防止するためである。
通常回転時と同様にはリップルが検出されていないと判定した場合(ステップST31のNO)、端子間電圧Vが第1正常範囲内にないと判定した場合(ステップST32のNO)、或いは、電流Imが第1正常範囲内にあると判定した場合(ステップST33のNO)、故障検知部38は、電流異常継続時間をリセットする(ステップST37)。本実施例では、故障検知部38は、電流異常継続時間をゼロにリセットした上で電流異常継続時間の計測を停止する。なお、ステップST31からステップST33における3つの判定は順不同であり、3つの判定が同時に行われてもよい。
このように、故障検知部38は、通常回転時と同様にリップルが検出されて電動機10が回転中であると判断できる場合で、所定の期間にわたって端子間電圧Vが正常範囲内であり且つ電流Imが第1正常範囲外(例えばゼロ)であるときには、電流検出部10bが故障していると判断できる。
次に、図10を参照し、故障検知部38が電圧検出部10aの故障を検知する処理(以下、「第3故障検知処理」とする。)について説明する。図10は、第3故障検知処理のフローチャートである。故障検知部38は、所定の制御周期で繰り返しこの第3故障検知処理を実行する。
最初に、故障検知部38は、通常回転時と同様にリップルが検出されているか否かを判定する(ステップST41)。そして、通常回転時と同様にリップルが検出されていると判定した場合(ステップST41のYES)、電流Imが第1正常範囲内であるか否かを判定する(ステップST42)。そして、電流Imが第1正常範囲内であると判定した場合(ステップST42のYES)、端子間電圧Vが第1正常範囲外であるか否かを判定する(ステップST43)。
その後、端子間電圧Vが第1正常範囲外であると判定した場合(ステップST43のYES)、すなわち、第3異常状態であると判定した場合、故障検知部38は、電圧異常継続時間の計測を開始する(ステップST44)。電圧異常継続時間は、判断保留時間の一例であり、端子間電圧Vが正常範囲外にある状態が継続している時間を表す。電圧異常継続時間の計測を既に開始している場合にはその計測を継続する。
その後、故障検知部38は、電圧異常継続時間が閾値を超えたか否かを判定する(ステップST45)。閾値は、望ましくは、惰性回転中の電動機10が1回転するのに要する期間よりも長い期間である。端子間電圧Vに含まれるノイズに基づき、電圧検出部10aが故障していると誤って判断されてしまうのを防止するためである。
電圧異常継続時間が閾値を超えたと判定した場合(ステップS45のYES)、故障検知部38は、電圧検出部10aが故障していると判断する(ステップST46)。このとき、故障検知部38は、電圧検出部10aの故障に関する故障検知信号を外部に向けて出力してもよい。
電圧異常継続時間が閾値を超えていないと判定した場合(ステップST45のNO)、故障検知部38は、電圧検出部10aが故障していると判断することなく、今回の第3故障検知処理を終了させる。すなわち、電圧異常継続時間が閾値を超えたと判定するまでは、電圧検出部10aが故障しているとの判断を保留する。故障の誤検知を防止するためである。
通常回転時と同様にはリップルが検出されていないと判定した場合(ステップST41のNO)、電流Imが第1正常範囲内にないと判定した場合(ステップST42のNO)、或いは、端子間電圧Vが第1正常範囲内にあると判定した場合(ステップST43のNO)、故障検知部38は、電圧異常継続時間をリセットする(ステップST47)。本実施例では、故障検知部38は、電圧異常継続時間をゼロにリセットした上で電圧異常継続時間の計測を停止する。なお、ステップST41からステップST43における3つの判定は順不同であり、3つの判定が同時に行われてもよい。
このように、故障検知部38は、通常回転時と同様にリップルが検出されて電動機10が回転中であると判断できる場合で、所定の期間にわたって電流Imが第1正常範囲内であり且つ端子間電圧Vが第1正常範囲外(例えばゼロ)であるときには、電圧検出部10aが故障していると判断できる。
上述のように、整流子20を備えた電動機10の回転に関する情報を取得する回転角度検出器100は、電動機10の端子間電圧Vを検出する電圧検出部10aの検出結果、及び、電動機10を流れる電流Imを検出する電流検出部10bの検出結果に基づいて電動機10の回転角速度ωを算出する回転角速度算出部31と、電動機10を流れる電流Imに含まれるリップル成分Irを検出するリップル検出部RDと、電圧検出部10a、電流検出部10b、及び、リップル検出部RDの出力に基づいて電圧検出部10a、電流検出部10b、及び、リップル検出部RDのそれぞれの故障を検知する故障検知部38と、を含む。そして、故障検知部38は、電圧検出部10a、電流検出部10b、及び、リップル検出部RDのうちの2つの出力が通常回転を示し且つ残りの1つの出力が通常回転を示さない状態が所定期間にわたって継続した場合に、その残りの1つが故障していると判断する。具体的には、回転角度検出器100は、電流Imのリップル成分Irに基づいて生成される第1パルス信号Pa、及び、端子間電圧V及び電流Imに基づいて算出される回転角度θのそれぞれに基づき、電動機10の回転状態を個別に推定できる。すなわち、別々の方法で導き出される2つのパラメータである第1パルス信号Paと回転角度θとを用いて電動機10の回転状態を別々に推定できる。そのため、第1のパラメータを用いて推定された回転状態と、第2のパラメータを用いて推定された回転状態とが顕著に異なる場合、一方のパラメータの導出に関連する検知対象が故障していると判断できる。そして、3つの検知対象のうちの2つが正常であることを確認できれば、残りの1つが故障していると判断できる。その結果、追加コスト無しで、検知対象の故障をより確実に検知できる。なお、回転角度検出器100は、3つの検知対象のそれぞれの出力のうちの2つが正常で且つ残りの1つが異常であるかを判定することで、3つの検知対象のそれぞれの故障を検知可能な構成であってもよく、3つの検知対象のうちの特定の2つの故障を検知可能な構成であってもよく、3つの検知対象のうちの特定の1つの故障を検知可能な構成であってもよい。
また、回転角度検出器付き電動機は、電動機10と、電動機10の回転角度を検出する回転角度検出器100とを備えている。電動機10は、複数の整流子片20aからなる整流子20を有する。
また、回転角度検出器100は、3つの検出部である電圧検出部10a、電流検出部10b及びリップル検出部RDのうちの2つの出力が通常回転を示し且つ残りの1つの出力が通常回転を示さない状態の継続期間を計測するタイマ部38Tを有していてもよい。そして、故障検知部38は、タイマ部38Tが計測した継続期間が所定期間を超えたときに、その残りの1つが故障していると判断してもよい。この構成により、回転角度検出器100は、故障の誤検出をより確実に防止できる。
また、整流子20を備えた電動機10の回転情報を取得する回転角度検出器100は、端子間電圧Vと電流Imとに基づいて回転角度θを算出する回転角度算出部32と、電流Imに含まれるリップル成分Irに基づいて第1パルス信号Paを生成する第1信号生成部34と、第1パルス信号Paと回転角度θとに基づいて電動機10が所定角度だけ回転したことを表す第2パルス信号Pbを生成する第2信号生成部35と、第2信号生成部35の出力に基づいて回転情報を算出する回転情報算出部36とを含む。そのため、ホールセンサ等の回転センサが無くても、電動機10の回転情報を高い信頼性で取得できる。これは、センサインタフェース回路、ハーネス等の回転センサを利用するために必要な部品を省略できることを意味する。そのため、軽量化、低コスト化、小型化等を実現できる。
また、回転角度検出器100は、電流Imのリップル成分Irに基づいて生成される第1パルス信号Paと、端子間電圧V及び電流Imに基づいて算出される回転角度θとを用いて第2パルス信号Pbを生成する。すなわち、別々の方法で導き出される2つのパラメータである第1パルス信号Paと回転角度θとを用いて第2パルス信号Pbを生成する。そのため、一方のパラメータが適切に導出されなかった場合であっても他方のパラメータでその不具合を補うことができる。その結果、電動機10の回転情報をより高い信頼性で取得できる。
回転角度算出部32は、例えば、端子間電圧Vと電流Imとに基づいて算出される電動機10の回転角速度ωを積算して回転角度θを算出するように構成される。そのため、回転角度算出部32は、電動機10の起動直後の期間、惰性回転期間等を含めた全期間に亘って回転角度θを安定的且つ継続的に算出できる。そして、第2信号生成部35は、例えば、回転角度θが所定角度に達したときに、第2パルス信号Pbを即時に生成するように構成される。そのため、第2信号生成部35は、第1パルス信号Paの生成漏れが発生した場合であっても、安定的且つ継続的に算出される回転角度θに基づき、所定角度だけ回転したことを表す第2パルス信号Pbをリアルタイムに生成できる。そのため、回転角度検出器100は、電動機10の回転情報を遅滞なく算出できる。
第2信号生成部35は、例えば、回転角度θが所定角度に達したときに、回転角度θをゼロにリセットする指令を回転角度算出部32に出力するように構成される。そのため、回転角度検出器100は、回転角度算出部32が算出する回転角度θの最大値が所定角度に制限されるので、回転角度θの記憶に必要なメモリのサイズを小さくできる。
所定角度は、例えば、整流子片20aの円弧の中心角、すなわちスリット間角度θcである。そのため、回転角度検出器100は、回転角度算出部32が算出する回転角度θの累積誤差の最大値をスリット間角度θcとすることができる。
受付範囲は、例えば、電動機10がスリット間角度θcだけ回転する毎に生じる回転角度θの最大誤差の範囲である。すなわち、回転角速度算出部31が、実際よりも、回転角速度ωを大きく算出した場合に、実際の回転角度に基づく第1パルス信号Paが生成される(誤差を含んだ)回転角度θの最大値が第2閾値θdである。また、回転角速度算出部31が、実際よりも、回転角速度ωを小さく算出した場合に、実際の回転角度に基づく第1パルス信号Paが生成される(誤差を含んだ)回転角度θの最小値が第1閾値θuである。そのため、回転角度検出器100では、回転角度算出部32が算出する回転角度θの誤差が累積されない。つまり、電動機10が何回転しても、誤差を−αから+βの範囲とすることができる。
第2信号生成部35は、例えば、第1パルス信号Paを受けたときに、回転角度θが第1閾値θu以上であれば、第2パルス信号Pbを生成するように構成される。第1閾値θuは、例えば、所定角度(スリット間角度θc)より小さい値として予め設定されている。この構成により、第2信号生成部35は、回転角度θが、第1閾値θu以上のときに生成された第1パルス信号Paをノイズに基づくものではないと見なす。そして、第1パルス信号Paが生成されなくても、回転角度θが所定角度(スリット間角度θc)に達したら、第2パルス信号Pbを生成する。そのため、第1パルス信号Paの生成漏れによる回転情報の算出結果への影響を確実に排除できる。
また、第2信号生成部35は、例えば、第1パルス信号Paを受けたときに、回転角度θが第1閾値θu未満であれば、第2パルス信号Pbを生成しないように構成される。この構成により、第2信号生成部35は、回転角度θが第1閾値θu未満のときに生成された第1パルス信号Paをノイズに基づくものであると判定できる。そして、ノイズに基づいて生成された第1パルス信号Paに対応する第2パルス信号Pbが生成されてしまうのを防止できる。そのため、ノイズに基づいて生成された第1パルス信号Paによる回転情報の算出結果への影響を確実に排除できる。
また、第2信号生成部35は、例えば、第1パルス信号Paを受けたときに、回転角度θが第2閾値θdより小さければ、回転角度θをゼロにリセットする指令を回転角度算出部32に出力するように構成される。第2閾値θdは、例えば、所定角度(スリット間角度θc)より位相がβだけ遅れた値として予め設定されている。この構成により、第2信号生成部35は、第1パルス信号Paの生成漏れの発生に先立って第2パルス信号Pbを生成した直後に第1パルス信号Paを受けた場合、その第1パルス信号Paをノイズに基づくものではないと見なす。そして、その第1パルス信号Paを、直前に生成した第2パルス信号Pbに対応付けることができる。そのため、第1パルス信号Paの生成タイミングのずれによる回転情報の算出結果への影響を確実に排除できる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施例に制限されることはない。本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
本願は、2017年5月9日に出願した日本国特許出願2017−093294号に基づく優先権を主張するものであり、これらの日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。
10・・・電動機 10a・・・電圧検出部 10b・・・電流検出部 20・・・整流子 20a・・・整流子片 20s・・・スリット 30・・・電圧フィルタ部 31・・・回転角速度算出部 32・・・回転角度算出部 33・・・電流フィルタ部 34・・・第1信号生成部 35・・・第2信号生成部 36・・・回転情報算出部 38・・・故障検知部 38T・・・タイマ部 100・・・回転角度検出器 RD・・・リップル検出部 SW1〜SW4・・・スイッチ
Claims (7)
- 電動機と、
前記電動機の回転角度を検出する回転角度検出器とを備え、
前記電動機は、複数の整流子片からなる整流子を有し、
前記回転角度検出器は、
前記電動機の端子間電圧を検出する電圧検出部の検出結果、及び、前記電動機を流れる電流を検出する電流検出部の検出結果に基づいて前記電動機の回転角速度を算出する回転角速度算出部と、
前記電動機を流れる電流に含まれるリップル成分を検出するリップル検出部と、
前記電圧検出部、前記電流検出部、及び、前記リップル検出部の出力に基づいて前記電圧検出部、前記電流検出部、及び、前記リップル検出部のそれぞれの故障を検知する故障検知部と、を含み、
前記故障検知部は、前記電圧検出部、前記電流検出部、及び、前記リップル検出部のうちの2つの出力が通常回転を示し且つ残りの1つの出力が通常回転を示さない状態が所定期間にわたって継続した場合に、該残りの1つが故障していると判断する、
回転角度検出器付き電動機。 - 前記電圧検出部、前記電流検出部、及び、前記リップル検出部のうちの2つの出力が通常回転を示し且つ残りの1つの出力が通常回転を示さない状態の継続期間を計測するタイマ部を有し、
前記故障検知部は、前記タイマ部が計測した継続期間が所定期間を超えたときに、該残りの1つが故障していると判断する、
請求項1に記載の回転角度検出器付き電動機。 - 前記故障検知部は、前記電圧検出部の出力が通常回転を示し、前記電流検出部の出力が通常回転を示し、且つ、前記リップル検出部の出力が通常回転を示さない状態が所定期間にわたって継続した場合に、前記リップル検出部が故障していると判断する、
請求項1又は2に記載の回転角度検出器付き電動機。 - 前記故障検知部は、前記電圧検出部の出力が通常回転を示さず、前記電流検出部の出力が通常回転を示し、且つ、前記リップル検出部の出力が通常回転を示す状態が所定期間にわたって継続した場合に、前記電圧検出部が故障していると判断する、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の回転角度検出器付き電動機。 - 前記故障検知部は、前記電圧検出部の出力が通常回転を示し、前記電流検出部の出力が通常回転を示さず、且つ、前記リップル検出部の出力が通常回転を示す状態が所定期間にわたって継続した場合に、前記電流検出部が故障していると判断する、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の回転角度検出器付き電動機。 - 整流子を備えた電動機の回転角度を検出するための電動機の回転角度検出器であって、
前記電動機の端子間電圧を検出する電圧検出部の検出結果、及び、前記電動機を流れる電流を検出する電流検出部の検出結果に基づいて前記電動機の回転角速度を算出する回転角速度算出部と、
前記電動機を流れる電流に含まれるリップル成分を検出するリップル検出部と、
前記電圧検出部、前記電流検出部、及び、前記リップル検出部の出力に基づいて前記電圧検出部、前記電流検出部、及び、前記リップル検出部のそれぞれの故障を検知する故障検知部と、を含み、
前記故障検知部は、前記電圧検出部、前記電流検出部、及び、前記リップル検出部のうちの2つの出力が通常回転を示し且つ残りの1つの出力が通常回転を示さない状態が所定期間にわたって継続した場合に、該残りの1つが故障していると判断する、
回転角度検出器。 - 電動機の回転角度を検出する回転角度検出器の故障を検知する方法であって、
前記回転角度検出器は、前記電動機の端子間電圧を検出する電圧検出部の検出結果、及び、前記電動機を流れる電流を検出する電流検出部の検出結果に基づいて前記電動機の回転角速度を算出する回転角速度算出部と、前記電動機を流れる電流に含まれるリップル成分を検出するリップル検出部と、を含み、
当該方法は、前記電圧検出部、前記電流検出部、及び、前記リップル検出部のうちの2つの出力が通常回転を示し且つ残りの1つの出力が通常回転を示さない状態が所定期間にわたって継続した場合に、該残りの1つが故障していると判断するステップを有する、
方法。
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