JP6051611B2 - 直流モータの回転数演算装置 - Google Patents

直流モータの回転数演算装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6051611B2
JP6051611B2 JP2012140346A JP2012140346A JP6051611B2 JP 6051611 B2 JP6051611 B2 JP 6051611B2 JP 2012140346 A JP2012140346 A JP 2012140346A JP 2012140346 A JP2012140346 A JP 2012140346A JP 6051611 B2 JP6051611 B2 JP 6051611B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rotational speed
unit
ripple
rotation speed
current
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012140346A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014007807A (ja
Inventor
大和 ▲高▼橋
大和 ▲高▼橋
石川 仁司
仁司 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Aisin Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aisin Seiki Co Ltd, Aisin Corp filed Critical Aisin Seiki Co Ltd
Priority to JP2012140346A priority Critical patent/JP6051611B2/ja
Publication of JP2014007807A publication Critical patent/JP2014007807A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6051611B2 publication Critical patent/JP6051611B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、直流モータの回転数演算装置に関し、より詳細には、例えば直流モータの電機子電流に含まれる電流リップルを検出する方法を用いてセンサレスで回転数を演算する装置の信頼性向上に関する。
直流モータの一種に、回転電機子にコンミテータを備えてブラシから通電方向を切り換える方式の直流ブラシモータがあり、例えば車両用シート装置のスライド用や高さ調整用、リクライニング角度調整用などに適用されている。直流ブラシモータでは、回転電機子が回転してブラシとコンミテータの接触が切り替わることに起因して電流リップルが発生し、電機子電流に重畳する。したがって、直流の電機子電流に含まれる交流分の電流リップルを抽出して波形整形し、極大点、極小点、ゼロクロス点などの特異点を検出することにより、回転電機子の回転数を知ることができ、回転数センサや累積回転量センサの代わりになる。つまり、これらのセンサを別途設けずとも回転数を検出でき、上記例では車両用シートのスライド位置やシート高さ、リクライニング角度などをセンサレスで検出できる。
本願出願人は、この種のリップル検出装置を特許文献1に開示している。特許文献1のリップル検出装置は、2種類の遮断特性の異なるバンドパスフィルタを通過した電流波形に対し、2種類のリップル検出方法を用いて直流モータの回転を検出する。2種類のバンドパスフィルタの遮断周波数は、検出されている電流リップルに合わせて可変に制御し、かつ相互に異なる値としている。これにより、片側のバンドパスフィルタおよびリップル検出方法が良好にリップル検出できなくとも、両方の遮断周波数を比較照合する遮断周波数確認手段により、適正化および是正をすることができる。
つまり、2種類の遮断特性の異なるバンドパスフィルタを用いて検出を2系統化したことにより、検出の信頼性を高めている。また、この種の装置で発生しがちな1/2周波数ノイズ(二分の一周波数ノイズ)や2倍周波数ノイズなどの影響を抑制するために、検出したリップル周期が著変した場合にリップル抜けまたはリップル増しが発生したと判定してリップル周期を補正することが行われている。さらに、リップル周期の統計的なばらつきの影響を抑制するために、各種の平均化手法が併用されている。
特開2011−109881号公報
ところで、特許文献1における検出の2系統化では、バンドパスフィルタの遮断周波数が異なり、またリップル検出方法も異なるとはいえ、波形処理の基本的な方式は2系統で同じである。このため、電流リップル波形の性状によっては、2系統とも本来の電流リップルを検出できなくなるおそれが皆無でない。例えば、電流リップル波形が1/2周波数ノイズの成分を多く含んでいると、2系統でともに2個のリップルを1個と誤って認識し、遮断周波数を1/2周波数ノイズに合わせ込んでしまい(1/2周波数ロック)、誤りから抜けられなくなってしまうおそれがある。これにより、直流モータの回転数および直流モータに駆動される可動部材の位置を正しく検出できなくなり、誤ったまま動作し続けてしまうおそれがある。
また、検出の2系統化では、同等規模の回路構成が2系統必要になり、回路規模が大きくなる。例えば、リップル検出処理を主にディジタル演算回路で実現すると、2系統分の演算を行うCPUの負荷が大きくなり、演算の時間遅れが生じる。また、例えば、リップル検出処理を主にアナログ波形処理回路で実現すると、回路を構成する素子数が多くなり、回路基板が大形化する。
本発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたもので、センサレスで直流モータの回転数を演算するときの演算信頼性を高め、検出および演算の精度を従来と同等以上にしてかつ装置構成を簡易にできる直流モータの回転数演算装置を提供することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する請求項1に係る直流モータの回転数演算装置の発明は、直流モータの回転電機子に流れる電機子電流を検出する電流検出部と、前記電機子電流に含まれる電流リップルを抽出してリップル波形を求めるフィルタ部と、前記リップル波形に基づいてリップル周期を求め第1回転数に換算するリップル検出部とを含む第1回転数演算部と、前記回転電機子に印加される電機子電圧を検出する電圧検出部と、前記電機子電流および前記電機子電圧と第2回転数との関係を予め求めて記憶した回転数記憶部と、検出された前記電機子電流および前記電機子電圧に基づき前記回転数記憶部を用いて前記第2回転数を求める回転数導出部とを含む第2回転数演算部と、前記第1回転数演算部で演算した前記第1回転数が前記第2回転数演算部で演算した前記第2回転数の所定の誤差範囲内に有るときに前記第1回転数を有効な回転数と判定し、前記第1回転数が前記第2回転数の前記所定の誤差範囲内に無いときに有効な回転数が得られなかったと判定する有効性判定部とを備える。
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記回転数記憶部は、前記第2回転数をnとし、前記電機子電流をImとし、前記電機子電圧をVBとし、k1、k2、およびk3を定数として、
演算式n=k1×Im+k2×(VB+k3)
により前記第2回転数を記憶する。
請求項3に係る発明は、請求項1または2において、前記第1回転数演算部の前記リップル検出部は、前記リップル波形が所定の振幅閾値だけ変化したタイミングを検出し、当該タイミングの発生時間間隔を前記リップル周期とする。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記有効性判定部における前記所定誤差範囲は0.5倍を超え2倍未満の範囲である。
請求項5に係る発明は、請求項4において、前記所定誤差範囲は0.7倍から1.3倍までの範囲である。
請求項1に係る直流モータの回転数演算装置の発明では、第1回転数演算部および第2回転数演算部は電機子電流に基づき相互に異なる処理演算方法で直流モータの回転数をそれぞれ演算し、有効性判定部は第1回転数演算部で演算した第1回転数が第2回転数演算部で演算した第2回転数の所定誤差範囲内に有るか否かにより第1回転数の有効性を判定する。ここで、第1回転数演算部には、通常時の第1回転数の演算精度が高く、仮にノイズの影響などを受けたときに演算精度が大きく低下するおそれのある処理演算方法を用い、第2回転数演算部には、通常時の第2回転数の演算精度が相対的に低くとも、ノイズの影響などを受け難く演算精度が大きく低下することのない処理演算方法を用いる。
また、第1回転数演算部は、フィルタ部およびリップル検出部を含んで構成されている。このため、第1回転数演算部は、通常時に直流モータのブラシとコンミテータの接触が切り替わることを電流リップルで検出でき、リップル検出精度および第1回転数の演算精度が高められる。反面、第1回転数演算部は、仮にノイズの影響などを受けると、第1回転数が1/2倍になったり2倍になったりして演算精度が大きく低下するおそれがある。しかしながら、このおそれは第2回転数演算部および有効性判定部によって排除できる。つまり、第1回転数演算部の特長である高い演算精度と、第2回転数演算部の特長である高い信頼性とを兼ね備えることができる。
さらに、第2回転数演算部は、電圧検出部、回転数記憶部、および回転数導出部を含んで構成されている。このため、第2回転数演算部は、直流モータに入力された電流および電圧の大きさに基づいて第2回転数を演算する。ここで、電流と電圧の積はパワーであるので、直流モータに駆動される可動部材の負荷が一定であれば、パワーと回転数の間には正の相関関係が成り立つ。このように、第2回転数演算部では、第2回転数の演算精度が相対的に低くとも、ノイズの影響などを受け難く演算精度が大きく低下し得ない特長を有し、常に概ね正しい第2回転数を演算することができる。
たがって、有効性判定部は、第2回転数を参照することで、第1回転数が有効であるか否かを確実に判定でき、高い信頼性を確保できる。また、第2回転数演算部は、電流および電圧をパラメータとする演算式や一覧表形式のマップを用いて第2回転数を容易に求めることができるので、装置構成が簡易になる。このように、特長の異なる2つの回転数演算部を併用することで、第1回転数演算部では従来と同等以上の演算精度を確保しつつ、第2回転数演算部によりノイズの影響などを排除して総合的に従来よりも高い信頼性を確保できる。
請求項2に係る発明では、第2回転数演算部は、電流および電圧をパラメータとする演算式を用いて簡易に第2回転数を求めることができるので、装置構成が簡易になる。
請求項3に係る発明では、第1回転数演算部のリップル検出部は、リップル波形が所定の振幅閾値だけ変化したタイミングを検出し、当該タイミングの発生時間間隔をリップル周期とする。第1回転数演算部の演算処理方法にはリップル振幅検出方法を用いることができ、求められたリップル周期の逆数から第1回転数を演算できる。これにより、通常時の第1回転数の演算精度が極めて高くなる。
請求項4に係る発明では、有効性判定部における所定誤差範囲は0.5倍を超え2倍未満の範囲とされている。さらに、請求項5に係る発明では、所定誤差範囲は0.7倍から1.3倍までの範囲とされている。つまり、有効性判定部は、第1回転数が第2回転数の0.5倍を超え2倍未満、好ましくは0.7倍から1.3倍までの範囲に有るときに第1回転数を有効な回転数と判定するので、この種の装置で発生しがちな1/2周波数ノイズおよび2倍周波数ノイズの影響を確実に排除できる。
実施形態の直流モータの回転数演算装置の構成を示すブロック構成図である。 リップル検出部が行うリップル振幅検出方法を説明する波形図である。 電流電圧/回転数変換部の回転数記憶部の機能を例示説明する図である。 有効性判定部の機能を説明する図である。 実施形態の回転数演算装置を用いて様々な使用条件で実験を行った場合の有効性判定の結果を示す図である。 従来技術のリップル検出装置の一構成例を示す図である。 従来技術のリップル検出装置で1/2周波数ロックが発生したときを示す波形図である。
本発明の実施形態の直流モータの回転数演算装置1について、図1〜図5を参考にして説明する。図1は、実施形態の直流モータの回転数演算装置1の構成を示すブロック構成図である。回転数演算装置1は、車両用シートを前後にスライド移動させる直流モータ9の回転電機子に流れる電機子電流Imに基づき、センサレスで回転数を演算する装置である。さらに、演算された回転数に回転方向が考慮されて累積回転数が求められ、最終的に車両用シートのスライド位置が演算される。回転数演算装置1は、シャント抵抗21、第1回転数演算部に相当するフィルタ部3およびリップル検出部4、第2回転数演算部に相当する電流電圧/回転数変換部5、および有効性判定部6などで構成されている。
直流モータ9は、電機子巻線および対をなしたコンミテータを有する回転子と、対をなしたブラシを有する固定子とを備えた直流ブラシモータである。直流モータ9は、図略の正逆切替部により正転駆動および逆転駆動が可能とされ、可動部材である図略の車両用シートを前後方向にスライド移動させるように駆動する。
バッテリ91は、車載された直流電源であり、車載の電装品の大多数に共用で用いられる。バッテリ91の正側端子91pは直流モータ9の一方のブラシに接続されて電源電圧VBが給電される。直流モータ9の他方のブラシは、シャント抵抗21を経由してバッテリ91の負側端子91nに接続され、閉回路が形成される。したがって、直流モータ9の電機子に加えられる電機子電圧は、概ね電源電圧VBに一致する。
バッテリ91の電源電圧VBは、消耗時には低下し、充電実施中は上昇するので、正側端子91pが電圧用AD変換器92のアナログ入力ピンに接続されて電源電圧VBの大きさが測定されるようになっている。電圧用AD変換器92のディジタル出力ピンは電流電圧/回転数変換部5に接続されており、ディジタル量の電圧検出信号DVが送出される。電圧用AD変換器92は、本発明の電圧検出部に相当し、例えば、16ビットの高精度分解能を有するものを使用できる。
シャント抵抗21は、前述した閉回路に流れる電機子電流Imの波形をオーム則により電圧波形Wmに変換する。したがって、電圧波形Wmは電機子電流Imの波形と相似になる。シャント抵抗21の両端は、電流用AD変換器22のアナログ入力ピンに接続され、電圧波形Wmの大きさが測定されるようになっている。電流用AD変換器22のディジタル出力ピンは、フィルタ部3および電流電圧/回転数変換部5に接続されており、ディジタル量の電流検出信号DIが送出される。電流用AD変換器22にも、例えば、16ビットの高精度分解能を有するものを使用できる。シャント抵抗21および電流用AD変換器22は、本発明の電流検出部に相当する。
フィルタ部3は、電機子電流Imの波形に相当する電流検出信号DIにフィルタ処理を施してリップル波形Wrplを抽出し、リップル検出部4に出力する。フィルタ部3には、ディジタル演算方式で上側遮断周波数fHおよび下側遮段周波数fLが可変のバンドパスフィルタを用いることができる。フィルタ部3は、電機子電流Imの直流分や1/2周波数成分、倍周波数成分、および高周波のノイズ分などを除去してリップル波形Wrplを抽出し、リップル検出部4に送出する。
遮断周波数設定部35は、次に説明するリップル検出部4から出力された検出パルス波形Wplsに基づいて、フィルタ部3の上側遮断周波数fHおよび下側遮段周波数fLを可変に設定する。フィルタ部3および遮断周波数設定部35には、公知の各種技術を応用できるので詳細な説明は省略する。
リップル検出部4は、所定の振幅閾値Vrth、Vfthを用いてリップル波形Wrplから電流リップルを検出し、検出パルス波形Wplsを出力する。図2は、リップル検出部4が行うリップル振幅検出方法を説明する波形図である。図2の横軸は共通の時間tであり、波形は上側から順番にリップル波形Wrpl、検出パルス波形Wpls、および立上り検出フラグFである。
図2の時刻t11で、リップル波形Wrplが最小値となり以降増加に転じている。リップル波形Wrplが最小値から立上り振幅閾値Vrthだけ増加した時刻t12に、リップル検出部4は検出パルス波形Wplsを立ち上げる。さらに、同じ時刻t12に、立上り検出フラグFを出力する。リップル波形Wrplが時刻t13で最大値となり、この後に立下り振幅閾値Vfthだけ減少した時刻t14に、リップル検出部4は、検出パルス波形Wplsを立ち下げる。
以上でリップル検出の1サイクルが終了し、リップル波形の繰り返しに対応して毎回のリップル検出が繰り返される。図2の例では、時刻t15に、次の検出パルス波形Wplsが立ち上げられ、立上り検出フラグFが出力されている。なお、立上り検出フラグFに代えて、検出パルス波形Wplsを立ち下げたタイミングに同期して(時刻t14)、立下り検出フラグを出力するようにしてもよい。リップル検出部4は、検出パルス波形Wplsを遮断周波数設定部35および有効性判定部6に受け渡す。検出パルス波形Wplsの立上りの発生時間間隔がリップル周期であり、リップル周期の逆数がリップル周波数すなわち第1回転数N1となる。つまり、検出パルス波形Wplsは第1回転数N1の情報を内包している。
第1回転数演算部としてのフィルタ部3およびリップル検出部4は、通常時に直流モータ9のブラシとコンミテータの接触が切り替わることを電流リップルで検出するので、第1回転数N1の演算精度は極めて高い。しかしながら、後に従来技術で例示説明するように、仮にノイズの影響などを受けたときに第1回転数N1が1/2倍になったり2倍になったりして演算精度が大きく低下するおそれが皆無でない。
一方、電流電圧/回転数変換部5は、回転数記憶部および回転数導出部を含んで構成されている。図3は、電流電圧/回転数変換部5の回転数記憶部の機能を例示説明する図である。図3の横軸は電機子電流Imの大きさ、縦軸は直流モータ9の回転数nであり、電源電圧VBの変動範囲をパラメータとして3本のグラフが例示されている。電源電圧VBの変動範囲としては、例えば乗用車用のバッテリ91で定格値VBN=12V(破線示)、最大値VBH=15.1V(実線示)、および最小値VBL=8V(一点鎖線示)程度を考慮する。
駆動する負荷が重くなるにつれて、図示されるように電機子電流Imが増加して、回転数nがリニアに減少する。また、電源電圧VBが高いほど、回転数nは大きくなる傾向を示している。図示した電機子電流Imおよび電源電圧VB(電機子電圧)と回転数nとの関係は、予め実験的に求めて記憶しておくことができる。具体的な記憶の方法としては、実験結果を回帰演算して定量化した演算式や一覧表形式のマップなどを用いることができる。
本実施形態において、回転数記憶部は直流モータ9の回転数nを次の演算式により記憶している。
n=k1×Im+k2×(VB+k3)
ただし、k1、k2、およびk3は、回帰演算により求めた定数である。なお、直流モータ9の種類が異なれば当然定数k1〜k3は異なる。また、直流モータ9の種類に応じて、異なる形の演算式を適用することもできる。
電流電圧/回転数変換部5の回転数導出部は、検出された電機子電流Imおよび電源電圧VBに基づき、回転数記憶部の演算式を用いて第2回転数N2を求める。ここで、電機子電流Imは、電流検出信号DIから電流リップルなどの交流成分を除去して直流分を求めることにより得られ、電源電圧VBは、電圧検出信号DVから得られる。したがって、回転数導出部は、電流検出信号DIおよび電圧検出信号DVに基づいて図3上の一点を特定し、第2回転数N2を求めることができる。電流電圧/回転数変換部5は、求めた第2回転数N2を有効性判定部6に受け渡す。
第2回転数演算部としての電流電圧/回転数変換部5は、第2回転数N2の演算精度が相対的に低くとも、ノイズの影響などを受け難く演算精度が大きく低下しない処理演算方法と言うことができる。
有効性判定部6は、検出パルス波形Wplから前述した第1回転数N1を求め、以降に説明する比較を行って第1回転数N1の有効性を判定する。図4は、有効性判定部6の機能を説明する図である。図中にプロットされた四角形は第2回転数N2を示し、四角形から上下に同じだけ延びた帯域は所定の誤差範囲Rを示し、プロットされた黒丸は第1回転数N1を示している。
本実施形態において、所定の誤差範囲Rは、第2回転数N2の0.7倍から1.3倍までの範囲に設定されている。したがって、誤差範囲Rの上限RH=1.3×N2、下限RL=0.7×N2となる。有効性判定部6は、第1回転数N1が誤差範囲R内に有るか否かを判定する。図4に示される例では、第1回転数N1が誤差範囲R内に有るので、第1回転数N1は有効と判定される。この場合に、有効性判定部6は、検出パルス波形Wplsをスルーして、制御CPU7に受け渡す。また、仮に、第1回転数N1が誤差範囲R内に無いとき、有効性判定部6は、検出パルス波形Wplsをスルーするとともに、エラーフラグFerrを立てて制御CPU7に受け渡す(図1参照)。
図5は、実施形態の回転数演算装置1を用いて様々な使用条件で実験を行った場合の有効性判定の結果を示す図である。図5の横軸は電機子電流Imの大きさ、縦軸は直流モータ9の回転数nであり、尺度は図3と同一である。実験では、3台の直流モータ9を用いるとともに、使用条件に相当する実験パラメータとして電源電圧VBの変動、駆動する車両用シート上の負荷の有無、周囲温度の常温と高温の違い、直流モータの正転および逆転を変化させた。そして、各々の実験ケースについて、図4に示される第1回転数N1、第2回転数N2、および誤差範囲Rの関係をプロットした。
その結果、図5に示されるように、使用条件が様々に異なる全ての実験ケースで、黒丸の第1回転数N1は四角形の第2回転数N2の0.7倍から1.3倍までの誤差範囲R内に収まっていた。これは、様々な使用条件の変化を考慮して設定した誤差範囲Rが妥当であったことを示している。また、全ての実験ケースを通じて、1/2周波数ロックを始めとする不具合は生じていなかったことがわかる。
制御CPU7は、エラーフラグFerrが立っていないとき、検出パルス波形Wplsから累積回転量を演算して車両用シートのスライド位置を演算する通常時の処理を行う。また、制御CPU7は、エラーフラグFerrが立ったときにはエラー時の処理を行う。エラー時の具体的な処理内容としては、例えば、警報を発して乗員に報知したり、現在の車両用シートのスライド位置を御破算にして予め定められた基準位置で位置較正を行ったり、装置1を初期化および再起動して正常復帰を試みたりすることができる。
次に、実施形態の直流モータの回転数演算装置1の作用および効果について、従来技術と比較して説明する。図6は、従来技術のリップル検出装置8の一構成例を示す図である。従来技術では、第1および第2フィルタ部31、32と第1および第2リップル検出部41,42とが2系統化され、ディジタル量の電流検出信号DIに対して類似した演算処理を行っていた。このため、遮断周波数設定部36が第1および第2フィルタ部31、32の上側および下側遮断周波数を異なる値に制御するとはいえ、第1および第2リップル検出部41,42がともに誤るおそれが皆無でなかった。すると、比較判定部71は、第1および第2リップル検出部41、42から受け取った第1および第2検出パルス波形Wpls1、Wpls2がともに誤っているので、誤りを認識できなかった。
図7は、従来技術のリップル検出装置8で1/2周波数ロックが発生したときを示す波形図である。図7の横軸は共通の時間tであり、波形は上から順番に電機子電流Im、第1フィルタ部31から出力された第1リップル波形Wrpl1、および第1リップル検出部41の立上り検出フラグF1である。
図7の時刻t1でバッテリ91の電源電圧VBが直流モータ9に給電開始されている。すると、その直後から電機子電流Imとして過渡的に大きな起動時電流が流れ、立上り検出フラグF1および検出パルス波形Wpls1は安定していない。時刻t2の頃に、電機子電流Imが落ち着いてくると、以降は立上り検出フラグF1および検出パルス波形Wpls1が安定して出力される。ところが、時刻t3を過ぎると、立上り検出フラグF1の発生頻度が半分程度近くまで低下している。この状態が1/2周波数ロックである。1/2周波数ロックが第1フィルタ部31および第1リップル検出部41だけでなく第2系統の第2フィルタ部32および第2リップル検出部42でも発生すると、比較判定部71は誤りを認識できなくなる。これにより、車両用シート9のスライド位置を誤りながらも、そのまま動作し続けるおそれがあった。
これに対して、実施形態の回転数演算装置1によれば、仮に、フィルタ部3およびリップル検出部4で1/2周波数ロックが発生しても、電流電圧/回転数変換部5は第2回転数N2を大きく誤ることは無い。したがって、有効性判定部6は、1/2周波数ロックに起因した過小な第1回転数N1が第2回転数N2の誤差範囲R内に無いことを判定して、エラーフラグFerrを立てることができる。これにより、制御CPU7はエラー時の処理を行い、誤りから抜け出して正常に復帰できる。
以上説明した実施形態の直流モータの回転数演算装置1では、第1回転数演算部としてフィルタ部3およびリップル検出部4を用い、第2回転数演算部として電流電圧/回転数変換部5を用い、有効性判定部6は第1回転数演算部で演算した第1回転数N1の有効性を判定する。ここで、フィルタ部3およびリップル検出部4はリップル振幅検出法を用いるので、通常時の第1回転数N1の演算精度が極めて高くなる特長を有し、反面、仮にノイズの影響などを受けたときに第1回転数N1が1/2倍になったり2倍になったりして演算精度が大きく低下するおそれがある。一方、電流電圧/回転数変換部5は、電機子電流Imおよび電源電圧VBをパラメータとする演算式を用いるので、第2回転数N2の演算精度が相対的に低くとも、ノイズの影響などを受け難い特長を有する。このように、特長の異なる2つの回転数演算部を併用することで、第1回転数演算部では従来と同等以上の演算精度を確保しつつ、第2回転数演算部によりノイズの影響などを排除して従来よりも高い信頼性を確保できる。
また、電流電圧/回転数変換部5は、電流および電圧をパラメータとする演算式を用いて簡易に第2回転数N2を求めることができるので、装置構成が簡易になる。さらに、有効性判定部6における誤差範囲Rは0.7倍から1.3倍までの範囲に適正に設定されており、使用条件が様々に異なっていても、この種の装置で発生しがちな1/2周波数ノイズおよび2倍周波数ノイズの影響を確実に排除できる。
なお、リップル検出部4のリップル振幅検出法は、他の検出法、例えば、ゼロクロス検出法や最大値/最小値検出法などに代えることもできる。また、本実施形態で説明した第1および第2回転数演算部は一例であり、適宜その他の処理演算方法を組み合わせることもできる。本発明は、その他にもさまざまな変形や応用が可能である。
1:回転数演算装置
21:シャント抵抗(電流検出部) 22:電流用AD変換器(電流検出部)
3:フィルタ部 35:遮断周波数設定部
4:リップル検出部
5:電流電圧/回転数変換部
6:有効性判定部
7:制御CPU
8:従来技術のリップル検出装置
9:直流モータ 91:バッテリ 92:電圧用AD変換器(電圧検出部)
VB:電源電圧 Im:電機子電流 Wm:電圧波形
DI:電流検出信号 DV:電圧検出信号
Wrpl、Wrpl1:リップル波形 Wpls:検出パルス波形
F、F1:立上り検出フラグ
Vrth:立上り振幅閾値 Vfth:立下り振幅閾値
N1:第1回転数 N2:第2回転数 R:誤差範囲
Ferr:エラーフラグ

Claims (5)

  1. 直流モータの回転電機子に流れる電機子電流を検出する電流検出部と、
    前記電機子電流に含まれる電流リップルを抽出してリップル波形を求めるフィルタ部と、前記リップル波形に基づいてリップル周期を求め第1回転数に換算するリップル検出部とを含む第1回転数演算部と、
    前記回転電機子に印加される電機子電圧を検出する電圧検出部と、前記電機子電流および前記電機子電圧と第2回転数との関係を予め求めて記憶した回転数記憶部と、検出された前記電機子電流および前記電機子電圧に基づき前記回転数記憶部を用いて前記第2回転数を求める回転数導出部とを含む第2回転数演算部と、
    前記第1回転数演算部で演算した前記第1回転数が前記第2回転数演算部で演算した前記第2回転数の所定の誤差範囲内に有るときに前記第1回転数を有効な回転数と判定し、前記第1回転数が前記第2回転数の前記所定の誤差範囲内に無いときに有効な回転数が得られなかったと判定する有効性判定部とを備える直流モータの回転数演算装置。
  2. 請求項1において、前記回転数記憶部は、前記第2回転数をnとし、前記電機子電流をImとし、前記電機子電圧をVBとし、k1、k2、およびk3を定数として、
    演算式n=k1×Im+k2×(VB+k3)
    により前記第2回転数を記憶する直流モータの回転数演算装置。
  3. 請求項1または2において、前記第1回転数演算部の前記リップル検出部は、前記リップル波形が所定の振幅閾値だけ変化したタイミングを検出し、当該タイミングの発生時間間隔を前記リップル周期とする直流モータの回転数演算装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、前記有効性判定部における前記所定誤差範囲は0.5倍を超え2倍未満の範囲である直流モータの回転数演算装置。
  5. 請求項4において、前記所定誤差範囲は0.7倍から1.3倍までの範囲である直流モータの回転数演算装置。
JP2012140346A 2012-06-22 2012-06-22 直流モータの回転数演算装置 Expired - Fee Related JP6051611B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012140346A JP6051611B2 (ja) 2012-06-22 2012-06-22 直流モータの回転数演算装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012140346A JP6051611B2 (ja) 2012-06-22 2012-06-22 直流モータの回転数演算装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014007807A JP2014007807A (ja) 2014-01-16
JP6051611B2 true JP6051611B2 (ja) 2016-12-27

Family

ID=50105100

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012140346A Expired - Fee Related JP6051611B2 (ja) 2012-06-22 2012-06-22 直流モータの回転数演算装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6051611B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101856325B1 (ko) 2016-05-23 2018-05-09 현대자동차주식회사 리플 전류 센싱 모터 제어 장치 및 방법
KR101905954B1 (ko) 2016-05-24 2018-10-08 현대자동차주식회사 리플 전류 센싱형 모터 제어 장치 및 방법
CN110178305B (zh) 2016-12-28 2022-07-29 阿尔卑斯阿尔派株式会社 电动机旋转信息获取装置及电动机旋转信息获取方法
WO2018207698A1 (ja) * 2017-05-09 2018-11-15 アルプス電気株式会社 回転角度検出器付き電動機、電動機の回転角度検出器、及び、電動機の回転角度検出器の故障を検知する方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2760267B2 (ja) * 1993-02-26 1998-05-28 オムロン株式会社 モータ駆動装置
JP2687872B2 (ja) * 1994-02-17 1997-12-08 オムロン株式会社 電動開閉制御装置
JP5261070B2 (ja) * 2008-08-18 2013-08-14 アイシン精機株式会社 直流モータの回転状態検出装置及び直流モータの制御装置
JP5489667B2 (ja) * 2009-11-20 2014-05-14 アイシン精機株式会社 直流モータのリップル検出装置、リップル検出方法、およびリップル検出プログラム
JP5306154B2 (ja) * 2009-11-20 2013-10-02 アイシン精機株式会社 直流モータのリップル検出装置、リップル検出方法、およびリップル検出プログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014007807A (ja) 2014-01-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6051611B2 (ja) 直流モータの回転数演算装置
JP6479650B2 (ja) 二次電池状態検出装置および二次電池状態検出方法
JP4742103B2 (ja) 絶縁抵抗検出装置
US10505370B2 (en) Safety detection device and method of grid-connected inverter
JP5570455B2 (ja) 漏電検知装置
US20100171457A1 (en) Detection of the angular position of the rotor of a brush motor without using sensors
WO2008004422A1 (en) Digital filter device, phase detection device, position detection device, ad conversion device, zero cross detection device, and digital filter program
JP2008283762A (ja) 直流モータのリプル検出装置、モータ回転位置検出装置及びリプル検出方法
FR2988234A1 (fr) Procede de charge sans contact d'une batterie d'un vehicule automobile electrique
JP5773932B2 (ja) 電動モータの回転情報検出方法、電動モータの回転情報検出装置、電動モータ制御装置
CN109286353B (zh) 一种电机控制模式故障检测方法及装置
EP3103178B1 (fr) Procédé et circuit de détection d'un arc électrique dans un circuit, et dispositif de commutation utilisant un tel circuit
US10775209B2 (en) Control circuit and method for checking the plausibility of a rotor position angle
JP2014007804A (ja) 直流モータのリップル検出装置
JP2017083388A (ja) 漏電検出装置および漏電検出方法
JP7169935B2 (ja) 漏電判定装置
JP5941718B2 (ja) 信号処理回路、車載用電子制御装置、および信号処理回路の車載用電子制御装置への実装方法
JP5710321B2 (ja) リプル抽出装置、制御装置、車両用シート及びリプル抽出方法
JP2007236032A (ja) モータのリップル検出装置および回転数検出装置
JP5261070B2 (ja) 直流モータの回転状態検出装置及び直流モータの制御装置
JP6276601B2 (ja) トリガ検出回路及びトリガ検出icチップ
JP5405903B2 (ja) 車両用電装品の制御装置
JP6019796B2 (ja) 直流モータの回転状態検出装置
JP2018074662A (ja) モータ制御装置及び直流モータの電流リップル検出方法
JP7243543B2 (ja) 漏電判定装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150515

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160329

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160331

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160527

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161101

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161114

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6051611

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees