以下、本発明の複数の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
本実施形態に係る操作システムは、車両で用いられるシステムであって、ユーザのジェスチャによる操作命令の実行を許可するか禁止するかを、車両走行状態に基づいて判定する。ユーザは、例えば、車両の運転者や同乗者である。ジェスチャは、例えば、身ぶりや手ぶり、指先の動き、視線、瞬きなどの、ユーザの身体の動きである。
図1は、第1実施形態に係る操作システム1の機能構成例を示す図である。操作システム1は、ウェアラブルデバイス100と、通信端末200と、車載機300とを備える。ウェアラブルデバイス100と通信端末200は、互いに通信可能に有線又は無線で接続されている。また、通信端末200と車載機300は、互いに通信可能に有線又は無線で接続されている。ウェアラブルデバイス100及び通信端末200は、車載機300の外部の通信機器と呼ぶことができる。
なお、ウェアラブルデバイス100と通信端末200の接続方法は、例えば、WiFi(登録商標)等の無線接続、Bluetooth(登録商標)やNFC(Near Field Communication)等の近距離無線接続、USB(Universal Serial Bus)を用いた有線接続、などである。通信端末200と車載機300の接続方法も同様である。
ウェアラブルデバイス100は、ユーザのジェスチャを検知するとともに当該ジェスチャに対応する操作命令を特定し、通信端末200に送信する。操作命令は、車載機300に機能を実行させるための命令である。ウェアラブルデバイス100は、例えば、腕時計型、指輪型、眼鏡型、衣服型、ヘッドマウント型などの種々の形態のデバイスであり、ユーザに装着されて使用される。
通信端末200は、ウェアラブルデバイス100から受信した操作命令を、車載機300に転送する。通信端末200は、例えば、ユーザの使用する携帯電話等の移動端末である。もちろん、通信端末200は、操作命令を転送できるものであれば、例えばスマートフォン、フィーチャーフォン、PDA(Personal Digital Assistance)、タブレット端末、PC(Personal Computer)、ルータ等であってもよい。
車載機300は、車両に搭載され、経路情報、施設情報、渋滞情報、事故情報等、各種の情報を地図情報に重畳させて表示させる情報処理装置である。すなわち、車載機300は、いわゆるカーナビゲーション装置の機能を有する。車載機300は、カーナビゲーション機能だけでなく、例えば、音楽や映像の再生機能、車両側の空調等の設備の制御機能など、様々な機能を有してもよい。また、車載機300は、カーナビゲーション機能を備えず、音楽や映像の再生機など、オーディオ関連の機能のみを備えるものであってもよい。なお、車載機300は、車両に着脱可能に搭載されるものであってもよい。また、車載機300は、スマートフォン、タブレット端末等の装置であってもよい。
本実施形態では、車載機300は、通信端末200から操作命令を受信すると、当該操作命令の実行を許可するか禁止するかを、車両走行状態に基づいて判定する。操作命令の実行を許可する場合、車載機300は、当該操作命令に対応する機能を実行する。なお、操作命令に対応する機能は、例えば、目的地、出発地、経由地等の地点設定、地図の拡大及び縮小、現在位置の表示、楽曲の再生及び停止、曲送り、曲戻し、テレビチャンネルの選択、録画の開始、録画の停止、カーソルの移動、メニューの選択、など様々な詳細な機能を含むことができる。
ウェアラブルデバイス100は、制御部120を含んで構成される。制御部120は、ウェアラブルデバイス100を統合的に制御する。制御部120は、操作検知部121と、操作命令送信部122とを含む。
操作検知部121は、ユーザのジェスチャを検知する。具体的には、操作検知部121は、後述するセンサ135から出力されるセンサ情報を用いて、ユーザのジェスチャを検知する。加速度センサ及び角速度センサを備える腕時計型のウェアラブルデバイス100を例に挙げると、操作検知部121は、これらのセンサから出力されるセンサ情報を用いて、ユーザの一連の手の動きを検知することができる。ジェスチャの検知は、一般的な技術を用いることができるため、詳細な説明を省略する。
また、操作検知部121は、検知したジェスチャに対応する操作命令を特定する。具体的には、操作検知部121は、複数のジェスチャのパターンデータにそれぞれ操作命令を関連付けた情報を有する。操作検知部121は、検知したジェスチャに一致するあるいは類似するパターンデータを特定することで、当該ジェスチャに対応する操作命令を特定する。なお、各操作命令は、車載機300のいずれかの機能に対応付けられている。
また、操作検知部121は、検知したジェスチャに対応する操作命令を特定した場合、そのときの時刻(以下、「操作時刻」という)を取得する。なお、操作検知部121は、ジェスチャを検知した時刻を操作時刻として取得してもよい。
操作命令送信部122は、操作検知部121で取得された操作命令と操作時刻を、後述する通信装置133又は近距離通信装置134を介して通信端末200に送信する。
通信端末200は、制御部220を含んで構成される。制御部220は、通信端末200を統合的に制御する。制御部220は、操作命令転送部221を含む。
操作命令転送部221は、ウェアラブルデバイス100から送信された操作命令と操作時刻を、後述する通信装置234又は近距離通信装置235を介して受信する。また、操作命令転送部221は、受信した操作命令と操作時刻を、後述する通信装置234又は近距離通信装置235を介して、車載機300に送信する。
車載機300は、制御部320と、記憶部340とを含んで構成される。制御部320は、車載機300を統合的に制御する。制御部320は、操作命令受信部321と、車両情報取得部322と、判定部323と、操作実行部324と、現在位置算出部325と、距離検出部326と、出力制御部327とを含む。記憶部340は、制御部320の処理に必要な情報を格納する。記憶部340は、車両情報記憶部341と、条件記憶部342と、地図情報記憶部343とを含む。
図2は、第1実施形態に係る車両情報記憶部341のデータ構成例を示す図である。
車両情報記憶部341には、所定時間毎(例えば1秒毎)に取得された車両情報が格納される。車両情報は、車両の状態に関する情報である。具体的には、各車両情報は、時刻341aと、ギアポジション341bと、車速341cと、ヨーレート341dと、角速度341eと、操作距離341fと、現在位置341gと、道路種別341hとを含む。
時刻341aは、車両情報が取得された取得時刻である。ギアポジション341bは、車両のギアのポジション、例えばパーキング、バック、ニュートラル、ドライブ、ロー等である。車速341cは、車両の走行速度である。ヨーレート341dは、車両の旋回等により生じる車両の鉛直軸回りの角速度である。角速度341eは、車両の揺れや振動等により生じる角速度である。操作距離341fは、ウェアラブルデバイス100と車載機300の距離である。現在位置341gは、車両の地図上の現在位置(「マップマッチ位置」ともいう)である。道路種別341hは、車両の現在位置が位置する地図上の道路の種別、例えば一般道路や高速道路等である。
図3は、第1実施形態に係る条件記憶部342のデータ構成例を示す図である。
条件記憶部342には、操作命令の実行を許可するか禁止するか(フィルタリングするか否か)を判定するための複数のフィルタリング条件が格納される。また、条件記憶部342には、各フィルタリング条件について、当該フィルタリング条件が満たされた場合の操作命令の有効性(有効(許可)又は無効(禁止))を示す情報が格納される。具体的には、各フィルタリング条件は、識別子342aと、車両走行状態342bと、条件342cとを含む。各フィルタリング条件には、操作の有効性342dが関連付けられる。
識別子342aは、フィルタリング条件の識別子である。図3では、識別子342aは、自然数が設定されている。車両走行状態342bは、フィルタリング条件に対応する車両走行状態の識別子である。車両走行状態は、車両の走行に関する状況を示す。図3では、車両走行状態342bは、駐停車中、車線変更、カーブ走行、交差点付近、高速走行、悪路の走行、及びバック走行が設定されている。
条件342cは、参照要素と、条件式とを含む。参照要素は、条件式で参照される車両情報を示す。参照要素は、車両情報記憶部341に格納される車両情報と同様の項目(時刻、ギアポジション、車速、ヨーレート、角速度、現在位置、及び道路種別、操作距離を除く)を有している。図3では、「○」は参照される要素を示し、「−」は非参照の要素を示す。条件式は、フィルタリング条件の条件式である。各条件式については、図5中で詳述する。
図1の説明に戻る。地図情報記憶部343は、カーナビゲーション機能に使用される地図情報を格納する。地図情報は、例えば、地図上の道路を構成するリンクの情報(長さ、開始位置及び終了位置の座標、方位、旅行時間、接続される他のリンクの識別子など)、リンク同士を結ぶノードの座標情報、交差点の情報、道路の種別情報、道路の幅情報などを含む。地図情報は、一般的なカーナビゲーション装置等が備える地図情報を使用することができるので、詳細な説明を省略する。
操作命令受信部321は、通信端末200から送信された操作命令と操作時刻を、後述する通信装置354又は近距離通信装置355を介して受信する。
車両情報取得部322は、車両情報を取得して、車両情報記憶部341に格納する。具体的には、車両情報取得部322は、車両情報(ギアポジション、車速、ヨーレート、角速度、操作距離、現在位置、及び道路種別)を、所定時間毎(例えば1秒毎)に各種センサや他の機能部から取得して、車両情報記憶部341に格納する。時刻341aには、車両情報を取得した時刻が設定される。
ギアポジション341bは、後述する車内通信装置356を介して車両側の後述するギアポジションセンサ401又はECU(Electric Control Unit)から取得することができる。車速341cは、車内通信装置356を介して車両側の後述する速度センサ402又はECUから取得することができる。ヨーレート341dは、車内通信装置356を介して車両側の後述するヨーレートセンサ403又はECUから取得することができる。角速度341eは、後述するジャイロセンサ361から取得することができる。操作距離341fは、距離検出部326から取得することができる。現在位置341g及び道路種別341hは、現在位置算出部325から取得することができる。
判定部323は、ユーザのジェスチャに基づく操作命令の実行を許可するか禁止するかを、車両走行状態に基づいて判定する。具体的には、判定部323は、操作命令受信部321が操作命令及び操作時刻を受信すると、当該操作時刻の車両情報を車両情報記憶部341から読み出す。判定部323は、操作時刻に一致する時刻341aを有する車両情報を読み出してもよいし、操作時刻に一致する時刻341aが存在しない場合は、当該操作時刻の直前又は直後の時刻341aを有する車両情報を読み出してもよい。また、判定部323は、条件記憶部342に格納されている各フィルタリング条件を参照し、読み出した車両情報を参照要素として用いて各条件式が満たされるか否かを判定し、条件式が満たされるフィルタリング条件を特定する。
また、判定部323は、特定したフィルタリング条件に関連付けられた操作の有効性342dを参照する。操作の有効性342dが有効を示す場合、判定部323は、受信された操作命令の実行を許可すると判定し、当該操作命令を操作実行部324に通知する。操作の有効性342dが無効を示す場合、判定部323は、受信された操作命令の実行を禁止すると判定し、当該操作命令を操作実行部324に通知せずに無視する。
操作実行部324は、判定部323から通知された操作命令に対応する機能を実行する。具体的には、操作実行部324は、上記で例示列挙したような機能の中から、操作命令に対応する機能を選択し、当該機能を実行する。例えば、地図情報を表示するナビゲーション機能が実行されている間に、地図を拡大する操作命令を受け付けた場合、操作実行部324は、地図を拡大する処理を実行する。また例えば、地図情報を表示するナビゲーション機能が実行されている間に、楽曲を再生する操作命令を受け付けた場合、操作実行部324は、楽曲を記憶部340から読み出し、再生を開始する。
なお、操作実行部324は、後述する入力装置357を介して入力されるユーザの操作に応じて、各種の機能を実行してもよい。また、操作実行部324は、ユーザの操作に係わらず、車載機300の有する様々な機能(カーナビゲーション機能、音楽や映像の再生機能、車両側の空調等の設備の制御機能など)を実行してもよい。
現在位置算出部325は、地図情報を用いて車両の現在位置を算出する。具体的には、現在位置算出部325は、後述する測位センサ362からGPS(Global Positioning System)における現在位置を取得する。また、現在位置算出部325は、取得したGPSの現在位置を、地図上の道路を構成するリンク上に位置するようにマッチングさせ(「マップマッチング」ともいう)、地図上の現在位置を特定する。また、現在位置算出部325は、現在位置が置かれているリンクが含まれる道路の種別を特定する。本実施形態では、これらの地図上の現在位置及び道路種別が、車両情報として車両情報取得部322により取得される。
距離検出部326は、車載機300からウェアラブルデバイス100までの距離を検出する。距離を検出する方法は、特に限定されないが、例えば、通信の受信信号強度を用いて距離を検出することができる。具体的には、距離検出部326は、後述する通信装置354又は近距離通信装置355から、ウェアラブルデバイス100からの受信信号強度を取得することができる。この場合、距離検出部326は、予め登録されたウェアラブルデバイス100の識別子を用いて、その受信信号強度を取得する。また、距離検出部326は、予め定めた所定の換算式を用いて、取得した受信信号強度を距離に変換すればよい。なお、距離検出部326は、車載機300から通信端末200までの距離を検出して、これを車載機300からウェアラブルデバイス100までの距離として用いてもよい。
本実施形態では、車載機300は、車両の前側のダッシュボードの中央部に設置されているものとする。前部座席(運転席又は助手席)のユーザにウェアラブルデバイス100が装着されている場合、短い距離が検出され、後部座席のユーザにウェアラブルデバイス100が装着されている場合、長い距離が検出される。
出力制御部327は、操作実行部324により実行された機能の処理結果の出力を制御する。例えば、出力制御部327は、ナビゲーション機能の処理結果として、地図に現在位置を重畳した画像を生成して後述するディスプレイ359に表示させたり、音声を生成して後述するスピーカ360に出力させたりする。また例えば、出力制御部327は、地図を拡大する機能の処理結果として、拡大した地図に現在位置を重畳した画像を生成してディスプレイ359に表示させる。また例えば、出力制御部327は、楽曲の再生が開始された場合、音声を生成して後述するスピーカ360に出力させる。
図4は、第1実施形態に係る操作システムのハードウェア構成例を示す図である。
ウェアラブルデバイス100は、演算装置131と、記憶装置132と、通信装置133と、近距離通信装置134と、センサ135と、これらの構成要素をつなぐバス136とを含む。
演算装置131は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算ユニットを含む。記憶装置132は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリ装置である。通信装置133は、WiFi等の規格の無線通信モジュールである。近距離通信装置134は、例えばBluetoothやNFC等の規格の無線通信モジュールである。センサ135は、例えば加速度センサ、角速度センサ等を含むユーザの動きを検知するモーションセンサである。
上記した制御部120の各機能部は、演算装置131が所定のプログラムを読み込み実行することにより構築される。そのため、記憶装置132には、各機能部の処理を実現するためのプログラムが記憶されている。
通信端末200は、演算装置231と、記憶装置232と、外部記憶装置233と、通信装置234と、近距離通信装置235と、入力装置236と、出力装置237と、これらの構成要素をつなぐバス238とを含む。
演算装置231は、例えばCPUなどの演算ユニットを含む。記憶装置232は、例えばRAMなどのメモリ装置である。外部記憶装置233は、例えばハードディスクやSSD(Solid State Drive)、その他各種の記録媒体に情報を書き込み、あるいは情報を読み出す装置である。通信装置234は、WiFi等の規格の無線通信モジュールである。近距離通信装置235は、例えばBluetoothやNFC等の規格の無線通信モジュールである。入力装置236は、例えばタッチパネル、キー、マイクロフォンなどの情報の入力を受け付ける装置である。出力装置237は、例えばディスプレイやスピーカを含む情報を出力する装置である。なお、通信端末200は、携帯電話網に接続する通信モジュールを含んでもよい。
上記した制御部220の各機能部は、演算装置231が所定のプログラムを読み込み実行することにより構築される。そのため、外部記憶装置233には、各機能部の処理を実現するためのプログラムが記憶されている。
車載機300は、演算装置351と、記憶装置352と、外部記憶装置353と、通信装置354と、近距離通信装置355と、車内通信装置356と、入力装置357と、出力装置358(ディスプレイ359、スピーカ360)と、ジャイロセンサ361と、測位センサ362と、加速度センサ363と、これらの構成要素をつなぐバス364とを含む。
演算装置351は、例えばCPUなどの演算ユニットを含む。記憶装置352は、例えばRAMなどのメモリ装置である。外部記憶装置353は、例えばハードディスクやSSD、その他各種の記録媒体に情報を書き込み、あるいは情報を読み出す装置である。通信装置354は、WiFi等の規格の無線通信モジュールである。近距離通信装置355は、例えばBluetoothやNFC等の規格の無線通信モジュールである。なお、車載機300は、携帯電話網に接続する通信モジュールを含んでもよい。
車内通信装置356は、例えば車両に設けられたCAN(Controller Area Network)400等に接続され、車両内のECUや各種センサ(ギアポジションセンサ401、速度センサ402、ヨーレートセンサ403、操舵角センサ404等)と通信する通信モジュールである。ギアポジションセンサ401は、車両のシフトレバーの位置を検出する。速度センサ402は、車両の車速を検出する。ヨーレートセンサ403は、車両の鉛直軸回りの角速度を検出する。操舵角センサ404は、ハンドルの操舵角を検出する。
入力装置357は、例えばタッチパネル、キー、マイクロフォンなどの情報の入力を受け付ける装置である。出力装置358は、例えばディスプレイ359やスピーカ360を含む情報を出力する装置である。ジャイロセンサ361は、光ファイバジャイロや振動ジャイロなどで構成され、移動体の回転による角速度を検出する。測位センサ362は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率とを3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在位置、進行速度及び進行方位を測定する。加速度センサ363は、車両に加わる多軸の加速度を計測する。
上記した制御部320の各機能部は、演算装置351が所定のプログラムを読み込み実行することにより構築される。そのため、外部記憶装置353には、各機能部の処理を実現するためのプログラムが記憶されている。記憶部340は、記憶装置352あるいは外部記憶装置353により実現される。記憶部340の一部は、通信装置354を介してアクセス可能なネットワーク上のストレージによって実現されてもよい。
なお、上記した操作システム1の構成要素は、ウェアラブルデバイス100、通信端末200、及び車載機300の構成を、理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。そのため、構成要素の分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。ウェアラブルデバイス100、通信端末200、及び車載機300の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
また、制御部120、制御部220、及び制御部320の各機能部の少なくとも一部は、CPUに限らずASIC(Application Specific Integrated Circuit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の他のハードウェアにより構築されてもよい。また、各機能部の処理が一つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
図5は、第1実施形態に係る操作命令の実行判定処理の流れの一例を示したフロー図である。本図では、通信端末200を省略している。なお、車両情報記憶部341には車両情報が格納されており、条件記憶部342はフィルタリング条件が格納されており、地図情報記憶部343には地図情報が記憶されている。
まず、操作検知部121は、ユーザのジェスチャを検知する(ステップS10)。具体的には、操作検知部121は、センサ135から出力されるセンサ情報を用いて、ユーザのジェスチャを検知する。
次に、操作検知部121は、ステップS10で検知したジェスチャに対応する操作命令を特定する(ステップS20)。具体的には、操作検知部121は、複数のジェスチャのパターンデータにそれぞれ操作命令を関連付けた情報を参照して、検知したジェスチャに一致するあるいは類似するパターンデータを特定することで、当該ジェスチャに対応する操作命令を特定する。また、操作検知部121は、操作時刻を取得する。
次に、操作命令送信部122は、ステップS20で特定された操作命令と操作時刻を、通信端末200に送信する(ステップS30)。なお、操作命令転送部221は、ウェアラブルデバイス100から操作命令と操作時刻を受信すると、これらの情報を車載機300に転送する。
次に、操作命令受信部321は、操作命令と操作時刻を通信端末200から受信する(ステップS40)。
次に、判定部323は、操作距離が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS50)。具体的には、判定部323は、ステップS50で受信された操作時刻に一致する時刻341aを有する車両情報を、車両情報記憶部341から読み出す。また、判定部323は、読み出した車両情報の操作距離341fが所定値(例えば、500mm)以上であるか否かを判定する。
操作距離341fが所定値以上でないと判定した場合(ステップS50でNO)、判定部323は、車両情報に基づいて操作は有効か否かを判定する(ステップS60)。具体的には、判定部323は、ステップS40で受信された操作時刻に一致する時刻341aを有する車両情報を、車両情報記憶部341から読み出す。また、判定部323は、条件記憶部342に格納されている各フィルタリング条件(識別子「1」〜「10」)を参照し、車両情報の参照要素を用いて各条件式が満たされるかを判定する。
本実施形態では、複数のフィルタリング条件のうちいずれか1つが満たされるものとする。以下、図3に例示される各フィルタリング条件について詳細に説明する。
フィルタリング条件(識別子「1」、車両走行状態「駐停車中」)については、判定部323は、読み出した車両情報のギアポジション341bがパーキングに位置する、又は、読み出した車両情報の車速341cが0km/hであるかを判定する。
フィルタリング条件(識別子「2」、車両走行状態「車線変更」)については、判定部323は、さらに、ステップS40で受信された操作時刻の前所定時間内(例えば1秒以内)の時刻341aを有する車両情報を、車両情報記憶部341から読み出す。また、判定部323は、読み出した各車両情報のヨーレート341dのいずれかが、所定の値以上であるかを判定する。
フィルタリング条件(識別子「3」、車両走行状態「カーブ走行」)については、判定部323は、さらに、ステップS40で受信された操作時刻の前所定時間内(例えば1秒以内)の時刻341aを有する車両情報を、車両情報記憶部341から読み出す。また、判定部323は、読み出した各車両情報のヨーレート341dのいずれかが、所定の値以上であるかを判定する。
フィルタリング条件(識別子「4」、車両走行状態「交差点付近」)については、判定部323は、読み出した車両情報の車速341cが30km/h未満であり、かつ、読み出した車両情報の現在位置341gが交差点(車両の進行方向の交差点)から30m以内であるかを判定する。なお、現在位置と交差点との距離は、地図情報を用いて特定することができる。
フィルタリング条件(識別子「5」、車両走行状態「交差点付近」)については、判定部323は、読み出した車両情報の車速341cが30km/h以上80km/h未満であり、かつ、読み出した車両情報の現在位置341gが交差点(車両の進行方向の交差点)から100m以内であるかを判定する。
フィルタリング条件(識別子「6」、車両走行状態「交差点付近」)については、判定部323は、読み出した車両情報の車速341cが80km/h以上であり、かつ、読み出した車両情報の現在位置341gが交差点(車両の進行方向の交差点)から300m以内であるかを判定する。
フィルタリング条件(識別子「7」、車両走行状態「高速走行」)については、判定部323は、読み出した車両情報の車速341cが100km/h以上であり、かつ、読み出した車両情報の道路種別341hが高速道路であるかを判定する。
フィルタリング条件(識別子「8」、車両走行状態「高速走行」)については、判定部323は、読み出した車両情報の車速341cが80km/h以上であり、かつ、読み出した車両情報の道路種別341hが一般道路であるかを判定する。
フィルタリング条件(識別子「9」、車両走行状態「悪路の走行」)については、判定部323は、さらに、ステップS40で受信された操作時刻の前所定時間内(例えば1秒以内)の時刻341aを有する車両情報を、車両情報記憶部341から読み出す。また、判定部323は、読み出した各車両情報の角速度341eのいずれかが所定の値以上であり、かつ、読み出した車両情報の道路種別341hのいずれかが一般道路であるかを判定する。
フィルタリング条件(識別子「10」、車両走行状態「バック走行」)については、判定部323は、読み出した車両情報のギアポジション341bがバックに位置するかを判定する。
以上のようにして、判定部323は、いずれのフィルタリング条件の条件式が満たされるかを判定する。判定部323は、条件式が満たされたフィルタリング条件に関連付けられた操作の有効性342dを参照し、有効か否かを判定する。図3の例では、フィルタリング条件(識別子「1」、車両走行状態「駐停車中」)は、有効が設定されており、他のフィルタリング条件は、無効が設定されている。もちろん、フィルタリング条件は、図3で示した例に限られない。例えば、車両が走行中に操作を有効とするフィルタリング条件を含んでいてもよい。
操作は無効であると判定した場合(ステップS60でNO)、判定部323は、操作を禁止する(ステップS70)。具体的には、判定部323は、ステップS40で受信された操作命令を操作実行部324に通知せずに無視することにより、当該操作命令の実行を禁止する。そして、判定部323は、本フローチャートに示す処理を終了する。
なお、ステップS70の処理で操作命令が禁止された場合、出力制御部327は、ユーザのジェスチャ操作が無効であることを示す情報を出力してもよい。具体的には、出力制御部327は、図6(第1実施形態に係る操作の無効を通知する画面例を示す図)に示すように、ジェスチャ操作が無効であることを示す画像390を生成し、ディスプレイ359に表示させる。もちろん、出力制御部327は、ジェスチャ操作が無効であることを示す音声を生成し、スピーカ360に出力させてもよい。
操作距離341fが所定値以上であると判定した場合(ステップS50でYES)、又は、操作は有効であると判定した場合(ステップS60でYES)、判定部323は、操作を許可する(ステップS80)。具体的には、判定部323は、ステップS40で受信された操作命令を操作実行部324に通知することにより、当該操作命令の実行を許可する。そして、判定部323は、本フローチャートに示す処理を終了する。なお、操作実行部324は、ステップS80で通知された操作命令に対応する機能を実行する。
図7は、第1実施形態に係る操作システムの第1の動作例を説明する図である。図8は、第1の動作例で用いられる車両情報の一例を示す図である。
第1の動作例は、車両が停車した状態で、ユーザの何らかのジェスチャが検知された場合である。
まず、ウェアラブルデバイス100は、車両が停車した状態で、15時5分12秒に、ユーザのジェスチャを検知する(W110)。それから、ウェアラブルデバイス100は、検知したジェスチャに対応する、「音楽再生」を示す操作命令を特定する(W120)。それから、ウェアラブルデバイス100は、特定した操作命令とその操作時刻(15時5分12秒)を、通信端末200を介して車載機300に送信する(W130)。
それから、車載機300は、受信した操作時刻の車両情報を取得する(C140)。それから、車載機300は、取得した車両情報のギアポジション又は車速が、「駐停車中」のフィルタリング条件を満たすと判定する(C150)。図8に示すように、15時5分12秒のギアポジション341bは「パーキング」であり、車速341cは0km/hである。それから、車載機300は、「駐停車中」のフィルタリング条件における操作は「有効」と判定する(C160)。その結果、車載機300は、「音楽再生」を許可し、実行する(C170)。
図9は、第1実施形態に係る操作システムの第2の動作例を説明する図である。図10は、第2の動作例で用いられる車両情報の一例を示す図である。
第2の動作例は、車両が高速道路を走行中に、車線変更のためのユーザのハンドル操作が、ジェスチャとして検知された場合である。
まず、ウェアラブルデバイス100は、車両が高速道路を走行中に、16時30分30秒に、ユーザのジェスチャを検知する(W210)。それから、ウェアラブルデバイス100は、検知したジェスチャに対応する、「曲送り」を示す操作命令を特定する(W220)。それから、ウェアラブルデバイス100は、特定した操作命令とその操作時刻(16時30分30秒)を、通信端末200を介して車載機300に送信する(W230)。
それから、車載機300は、受信した操作時刻の車両情報と、その操作時刻の前所定時間内の車両情報を取得する(C240)。それから、車載機300は、取得した車両情報のヨーレートが、「車線変更」のフィルタリング条件を満たすと判定する(C250)。図10では、16時30分30秒のヨーレートと、16時30分30秒の前所定時間内(例えば2秒内)の2つのヨーレートとのいずれかが、所定の値以上であるものとする。それから、車載機300は、「車線変更」のフィルタリング条件における操作は「無効」と判定する(C260)。その結果、車載機300は、「曲送り」を禁止し、実行しない(C270)。
以上、本発明の第1実施形態について説明した。本実施形態によれば、ユーザのジェスチャによる操作の許可又は禁止を適切に制御することができる。
例えば、本実施形態の車載機300は、ウェアラブルデバイス100から操作命令を受け付けた場合に、操作時刻の車両情報が、いずれの車両走行状態の条件を満たすかを判定し、条件を満たす車両走行状態に関連付けられた操作の有効性を基に、操作命令の実行を許可又は禁止する。これにより、ウェアラブルデバイス100から多数の様々なジェスチャに基づく操作命令を受け付けても、ユーザのジェスチャ操作を車両走行状態に応じて適切に許可又は禁止することができる。
また例えば、本実施形態の車載機300は、ウェアラブルデバイス100から操作命令を受け付けた場合に、車載機300とウェアラブルデバイス100の間の距離に応じて、操作命令の実行を許可又は禁止する。これにより、運転者以外のユーザ(例えば後部座席のユーザ)については、ジェスチャによる操作を許可し、利便性を向上することができる。一方、運転者については、所定の車両走行状態を除いては、ジェスチャによる操作を禁止することができる。
[第2実施形態]
第1実施形態の操作システム1では、ウェアラブルデバイス100は、操作命令及び操作時刻を、通信端末200を介して車載機300に送信する。第2実施形態の操作システム1Aは、通信端末200を含まず、ウェアラブルデバイス100が操作命令及び操作時刻を車載機300に直接送信する。以下、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略し、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
図11は、第2施形態に係る操作システム1Aの機能構成例を示す図である。操作システム1Aは、ウェアラブルデバイス100と、車載機300とを備える。ウェアラブルデバイス100と車載機300は、互いに通信可能に有線又は無線で接続されている。
操作命令送信部122Aは、操作検知部121で取得された操作命令と操作時刻を、通信装置133又は近距離通信装置134を介して車載機300に送信する。操作命令受信部321Aは、ウェアラブルデバイス100から送信された操作命令と操作時刻を、通信装置354又は近距離通信装置355を介して受信する。
この第2実施形態は、第1実施形態と比べてシステム構成が簡略化されるため、操作命令及び操作時刻の送信に掛かる時間が短縮され、ユーザがジェスチャをしてから機能が実行されるまでの時間を短縮することができる。
なお、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、これら以外にも様々な実施形態及び変形例が含まれる。
ある変形例では、ウェアラブルデバイス100は、ユーザの生体情報、例えば血圧、脈拍、発汗量、体温などを検知してもよい。この場合、操作検知部121は、ユーザの生体情報を検知し、検知した生体情報に対応する操作命令を特定する。具体的には、操作検知部121は、複数の生体情報の値や値の変化パターンにそれぞれ操作命令を関連付けた情報を有する。操作検知部121は、検知した生体情報の値や値の変化パターンに一致するあるいは類似する値や値の変化パターンを特定することで、当該生体情報に対応する操作命令を特定する。このようにすれば、ユーザの生体情報による操作の許可又は禁止を適切に制御することができる。
上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態や変形例の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態や変形例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部及び処理手段などは、それらの一部又は全部を、プロセッサが各々の機能を実現するプログラムにより実現しても良い。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの記憶装置、又は、ICカード、SD(Secure Digital)メモリカード、DVDなどの記憶媒体に置くことができる。なお、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。