JP6813038B2 - 金属板の調質圧延方法 - Google Patents

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Description

本発明は、缶や自動車などに用いられる冷延鋼板(金属板)を調質圧延する金属板の調質圧延方法に関する。
冷延鋼板を、調質圧延する際に、コルゲーションと呼ばれる欠陥が発生し易いことが知られている。これらの欠陥の発生原理としては、調質圧延する際に発生する幅方向の圧縮荷重により生じる座屈が原因であると説明されている。
そして、これらの欠陥の発生に対する対策としては、例えば特許文献1には、ミル出側張力を鋼板の降伏応力付近まで上げることにより鋼板幅方向の応力を低減する方法が開示されている。あるいは、ミル荷重を低減することにより幅方向の応力を低減する方法もある。
また、特許文献2や特許文献3には、調質圧延機の出側にある補助ロールをパスラインから押し上げて流出角度を大きくする方法が開示されている。
特開平11−57804号公報 特開2001−259703号公報 特開2013−226569号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたように、出側張力を調整する方法については、張力を高くするほどコルゲーションの発生は防止できるものの、降伏応力に近い張力を得るための設備が大掛かりなものとなるという問題がある。
また、ミル荷重を低減する方法の場合、ミル荷重を下げすぎると必要な鋼板粗度を確保できないという問題が生じる。
さらに、特許文献2、3の方法では、流出角度を大きくしたとしても、鋼板がワークロールに押し付けられる面圧が小さい場合、もしくは、鋼板の形状が悪く鋼板がワークロールに押し付けられる面圧が小さい場合に幅方向の圧縮荷重による座屈が発生しやすくなってしまうという問題がある。
またさらに、発明者の検討によると、出側流出角度を付与すると反りが生じやすくなるという問題がある。
ここで、反りとは鋼板が表方向、または裏方向に湾曲する形状不良のことであり、一般に図8に示すように圧延時の長手方向に反るものを長手方向反り・L反り、巾方向に反るものを巾方向反り・C反りと呼ぶ。圧延時上面方向に反るものを上反り、下面方向に反るものを下反りとし、上反りを+、下反りを−の反り量で表記する。
反り発生の問題に関し、板厚が厚い鋼板であれば、鋼板の自重によって相殺されるため、大きな問題とはならないものの、本願が対象とする缶用鋼板などの板厚が薄い鋼板の場合には、反りが残存して加工の際の障害になる。
上述のように、コルゲーション防止には出側流出角度を付与することが効果的であるが、出側流出角度を付与することで反りが生じやすくなるので、コルゲーション防止と反り抑制の両方を実現する必要がある。
この点、特許文献3には、出側に補助ロールを複数設置し、パスライン高さを変更することで反りを制御する方法が開示されている。
しかし、この方法では、設備が大掛かりなものとなるという問題が生じる。
本発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、缶や自動車などに用いられる冷延鋼板を調質圧延する際に発生しやすいコルゲーションと呼ばれる欠陥や反りを効果的に防止できる金属板の調質圧延方法を提供することを目的としている。
(1)本発明に係る金属板の調質圧延方法は、調質圧延機のワークロールの出側に設けた補助ロールを、パスラインから押し上げるか又は押し下げて金属板を前記ワークロールに沿わせて圧延を行う金属板の調質圧延方法であって、
前記ワークロールに沿わせた金属板の下面又は上面に流体を噴射して、前記金属板を前記ワークロール側に押し付ける面圧を加えた状態で圧延することを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記金属板と前記ワークロール間に働く面圧を下記式で規定される所定の面圧S以上とすることを特徴とするものである。
S=h/R×E×Δε/100
但し、 S:所定の面圧[MPa]
h:板厚[m]
R:ワークロール半径[m]
E:金属のヤング率[MPa]
Δε:圧延後金属板最大伸び率差[%]
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記補助ロールとして、幅方向中央部のロール径が幅方向両端部よりも大径となるクラウン形状、又は幅方向両端部のロール径が幅方向中央部よりも大径となる逆クラウン形状のロールを使用することを特徴とするものである。
(4)また、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、前記金属板の出側張力の上限値を200MPaとして設定することを特徴とするものである。
(5)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記補助ロール半径をR2とし、下記式で規定される所定のロール半径をr2としたときに、前記補助ロール半径R2がr2/8≦R2≦r2を満たすことを特徴とするものである。
2×r2=h×E/(Y-T)-h
但し、 h:板厚[m]
E:金属のヤング率[MPa]
Y:金属の降伏応力[MPa]
T:圧延張力[MPa]
本発明は、調質圧延機のワークロールの出側に設けた補助ロールを、パスラインから押し上げるか又は押し下げて金属板を前記ワークロールに沿わせて圧延を行う金属板の調質圧延方法であって、前記ワークロールに沿わせた金属板の下面又は上面に流体を噴射して、前記金属板を前記ワークロール側に押し付ける面圧を加えた状態で圧延するようにしたので、缶や自動車などに用いられる冷延鋼板を調質圧延する際に発生しやすいコルゲーションと呼ばれる欠陥や反りを効果的に防止することができる。
実施の形態1における金属板の調質圧延方法の説明図である。 実施の形態1における金属板の調質圧延方法において、所定の面圧の求め方を説明する説明図である。 圧延後金属板最大伸び率差Δεの求め方を説明する説明図である。 実施の形態2の補助ロールのクラウン形状の説明図である。 実施の形態2において補助ロールをクラウン形状とすることで、板中央部の圧縮歪を低減できる理由を説明するための説明図である。 実施例における鋼板に発生する欠陥の説明図である。 実施例における反りの評価方法の説明図である。 実施例における鋼板に発生する反り(C反り、L反り)の説明図である。
[実施の形態1]
本実施の形態に係る金属板の調質圧延方法(以下、単に「調質圧延方法」という)は、図1に示すように、調質圧延機のワークロール1の出側に設けた補助ロール3を、パスラインから押し上げて金属板5をワークロール1に沿わせて圧延を行う金属板の調質圧延方法であって、ワークロール1に沿わせた金属板5の下面に流体7を噴射して、金属板5をワークロール1側に押し付ける面圧を加えた状態で圧延することを特徴とするものである。
以下、本発明の構成要素を詳細に説明する。
<金属板>
金属板5は、缶や自動車などに用いられる冷延鋼板(ステンレス鋼板、ハイテン、電磁鋼板を含む)であり、例えば冷延を行ったままの鋼板、または、冷延後焼鈍を施した鋼板、または、冷延、焼鈍後、再度冷延を行ったものなどを含む。
<調質圧延>
調質圧延とは、2Hiや4Hi、6Hiの圧延機を用いて、0.1〜1.5%ほどの圧下を施すものである。ワークロール1の半径は125〜325mmが想定される。金属板5の寸法としては板幅200〜1400mm、板厚0.05〜0.5mmが想定される。
また、本発明の調質圧延方法は、図1に示すように、調質圧延機のワークロール1の出側に設けた補助ロール3を、パスラインから押し上げて金属板5をワークロール1に沿わせて圧延を行うものである。
補助ロール3によって、金属板5をパスラインから押し上げることで、出側流出角度θを付与することができる。出側流出角度θは15°以上が望ましく、より望ましくは36°以上である。もっとも、補助ロール3によって流出角度を付与する場合、構造上の制約から70°程が出側流出角度の限界である。
なお、コルゲーションの発生を防止するために必要な流出角度は、鋼板の厚さ・板幅・変形抵抗、またワークロール径によって変化するため、必要に応じて補助ロール3を上下させ流出角度を変化させる機能を有することが望ましい。
図1の例では、補助ロール3を上側のワークロール1側に設けて、金属板5を上側のワークロール1に沿わせるようにしているが、補助ロール3の位置はこれに限られず、補助ロール3を下側のワークロール1側に設けて、金属板5を下側のワークロール1に沿わせるようにしてもよい。
もっとも、ワークロール1と補助ロール3が近すぎると、直交ずれによる通板不安定リスクが高まり、他方、遠すぎると設備が大型化するため、ワークロール1と補助ロール3の中心間の距離で350〜1800mmが望ましい。
<流体噴射>
本発明は、ワークロール1に沿わせた金属板5の下面に流体7を噴射して、金属板5をワークロール1側に押し付ける面圧を加えた状態で圧延することを特徴としている。
流体7は、図1に示すように、金属板5がワークロール1に巻き付いている部分に噴射する。この流体噴射をするための装置としては、図1に示すように、流体7を噴射するノズル9や、ノズル9に流体7を供給する供給管11、供給管11に流体7を供給するポンプ、タンク等からなる流体供給装置13が挙げられる。
噴射される流体7は、必要な面圧を付与するための圧力が得られれば、気体、液体のいずれでもよい。
また、噴射される流体7による圧力は金属板5の幅方向全体に付与することが望ましい。このため、ノズル9については、金属板5の幅方向に複数のノズル9を設けて、噴射される流体7が金属板5の幅方向で一部重なるように噴射するのが望ましい。
また、長手方向に関しては、ロールバイト出側から50mmの範囲を含めて圧力を付与することが望ましく、さらに金属板5がワークロール1に巻きついている部分全体に付与することがさらに望ましい。
ここで、座屈を抑制するのに必要な所定の面圧Sについて、以下説明する。
金属板がワークロールに押し付けられる面圧P[MPa]は、噴射された流体により金属板に付与される面圧PS[MPa]と張力により金属板に付与される面圧PT[MPa]とを加算した値となるので、下式(1)によって与えられる。
P=PS+PT ・・・(1)
PTは、圧延出側張力[MPa]をT、板厚[m]をh、ワークロール半径[m]をRとすると、下式(2)で与えられる。
PT=T×h/R ・・・(2)
(1)式、(2)式から、金属板がワークロールに押し付けられる面圧Pは下式(3)で与えられる。
P=Ps+(T×h/R) ・・・(3)
ここで、金属板5が座屈しないために、付与されるべき最小の面圧を所定の面圧S[MPa]とすれば、P≧Sとなるように、PS及びPTを調整すればよい。
所定の面圧S[MPa]の求め方を、図2、図3に基づいて説明する。
金属板厚をh[m]、巻付角をθ[rad]、板幅をw[m]、ワークロール半径をR[m]、金属板がワークロールから離れようとするを圧力S[MPa](=所定の面圧)、金属板の伸び率差により伸びが大きい部分にかかる圧縮応力U[MPa]として、図2に示すように、金属板5におけるワークロール1に巻き付いている部分(以下、「巻付部」という)の力のつり合いは下式(4)となる。
式(4)から、S=h/R×Uとなる。
ここで、圧延後金属板最大伸び率差をΔε[%]、金属板のヤング率をE[MPa]とすれば、U=E×Δε/100となる。
なお、圧延後金属板最大伸び率差Δεは、図3に示すように、圧延後金属板を長手方向に裁断した場合の、裁断後長手方向長さが最も短いものの長さをl、最も長いものと短いものの差をΔlとしたとき、下式(5)で与えられる。
Δε=Δl/l×100 ・・・・(5)
したがって、所定の面圧Sは、下式(6)で与えられる。
S=h/R×E×Δε/100 ・・・・(6)
但し、
h:板厚[m]
R:ワークロール半径[m]
E:金属板のヤング率[MPa]
Δε:圧延後金属板最大伸び率差[%]
以上から、金属板とワークロール間に働く面圧P[MPa]を上記式(6)で規定される所定の面圧S以上となるように、噴射された流体により金属板に付与される面圧PS[MPa]と張力により鋼板に付与される面圧PT[MPa]を調整すればよい。
本発明によれば、ワークロール1に沿わせた金属板5の下面に流体7を噴射して、金属板5をワークロール1側に押し付ける面圧を加えた状態で圧延するようにしたので、張力によって与えられる面圧を流体7の噴射によって補って、金属板5が座屈しないための所定の面圧を付与することができる。これにより、缶や自動車などに用いられる冷延鋼板を調質圧延する際に発生しやすいコルゲーションと呼ばれる欠陥や反りを効果的に防止できる。
なお、発明者が検討したところ、従来提案されている方法では、板厚が薄い、または板幅が広く形状が悪くなりやすい(伸び率差が大きくなりやすい)金属板についてはコルゲーションが解消しないことが分かった。また、降伏応力が低い材料については高張力がかけられないため、従来提案されている方法では、金属板についてはコルゲーションが解消しないことも分かった。
従来技術と本発明により、コルゲーション防止可能な条件を発明者が調査した結果を表1に示す。
表1に示されるように、本発明によれば、従来方法ではコルゲーション防止ができなかった金属板、例えば板厚の薄いもの、板幅の広いもの、降伏応力の低いものについても、コルゲーション防止ができることが分かる。
[実施の形態2]
例えば、圧延後に幅中央の伸び率が大きい場合、幅中央に長手方向圧縮応力がかかりやすく、コルゲーションが発生しやすくなる。この場合、流体7の噴射圧力を高くしたり、張力を高くしたりすることも考えられる。
しかしながら、設備の制約や通板安定上の観点から高張力をかけることが難しい場合や、流体7による高圧噴射が困難な場合がある。
そこで、本実施の形態は、このような場合にもコルゲーションを防止することができる方法を提供するものであり、具体的には、実施の形態1を前提としつつ、補助ロール3として、幅方向中央部のロール径が幅方向両端部よりも大径となるクラウン形状の補助ロール15(図4参照)を使用することを特徴とするものである。
このようなクラウン形状の補助ロール15を用いることで、金属板5における長手方向圧縮応力が小さくなり、コルゲーションを防止することができる。
補助ロール15のクラウン形状は、図4に示すように、金属板5の幅中央にあたる部分(図中a点)の補助ロール半径をR2+ΔR2、金属板5の幅端にあたる部分(図中b点)の補助ロール半径をR2としている。補助ロール15のクラウン形状は幅方向両端をつなぐ線が2次曲線等の曲線で形成されるのが望ましい。
このような補助ロール15を用いることで、金属板5における長手方向圧縮応力が小さくなる理由を、図5に基づいて説明する。
金属板5の幅中央は、図5の点線を通り、幅端は実線部を通る。この時、金属板5の幅中央と幅端で、点A(ワークロール最下点)から点B(金属板出側での金属板が補助ロール15から離れる点)までの板長の差ΔLtotalは、下式(7)で表わすことができる。
ΔLtotal≒ΔR2×θ2 ・・・・(7)
また、金属板端部の板長Ltotalは、下式(8)で表わすことができる。
Ltotal≒R1×θ1+R2×θ2+(LR 2−(R1+R2)2)0.5 ・・・・(8)
なお、θ1≒θ1 、θ2≒θ2 、L≒Lとしている。
よって、金属板5の幅中央部には板長差により、下式(9)の引張方向歪みが付与される。
ΔLtotal/Ltotal=ΔR2×θ2/(R1×θ1+R2×θ2+(LR 2−(R1+R2)2)0.5) ・・・・(9)
以上のように、クラウン形状の補助ロール15を用いることで、金属板5の幅中央部に引張方向歪みを付与することができ、これによって金属板5の中央部の長手方向圧縮応力を小さくでき、この圧縮応力に起因するコルゲーションを防止することができる。
なお、本実施の形態における、所定の面圧S[MPa]は式(10)で与えられる。
S=h/R1×E×(Δε/100−ΔR2×θ2/(R1×θ1+R2×θ2+(LR 2−(R1+R2)2)0.5))・・(10)
但し、
S:所定の面圧[MPa]
h:板厚[m]
E:金属板のヤング率[MPa]
Δε:圧延後金属最大伸び率差[%]
R1:ワークロール半径[m]
R2:補助ロール半径[m]
ΔR2:補助ロール半径変化量[m]
θ1:ワークロールへの巻付角[rad]
θ2:補助ロールへの巻付角[rad]
LR:ワークロールと補助ロールの中心間の距離[m]
ΔLtotal:幅中央部と幅端部での板長差[m]
Ltotal:板端部の板長[m]
なお、上記の例では、圧延後に幅中央の伸び率が大きい場合について述べたが、圧延後に幅両端の伸び率が幅中央よりも大きくなり、幅両端部に長手方向圧縮応力がかかりやすくなって、これに起因したコルゲーションが発生する場合がある。
このような場合には、補助ロール15として、幅方向両端部のロール径が幅方向中央部よりも大径となるいわゆる逆クラウン形状のロールを使用するようにすればよい。
補助ロール15として、逆クラウン形状のロールを使用することで、金属板5の幅両端部の長手方向圧縮応力を小さくでき、この圧縮応力に起因するコルゲーションを防止することができる。
なお、この場合の所定の面圧S[MPa]は式(11)で与えられる。
S=h/R1×E×(Δε/100−ΔR2×θ2/(R1×θ1+R2×θ2+(LR 2−(R1+R2)2)0.5))・・(11)
但し、
S:所定の面圧[MPa]
h:板厚[m]
E:金属板のヤング率[MPa]
Δε:圧延後金属最大伸び率差[%]
R1:ワークロール半径[m]
R2:補助ロール半径[m]
ΔR2:補助ロール半径変化量[m]
θ1:ワークロールへの巻付角[rad]
θ2:補助ロールへの巻付角[rad]
LR:ワークロールと補助ロールの中心間の距離[m]
ΔLtotal:幅中央部と幅端部での板長差[m]
Ltotal:板端部の板長[m]
また、発明者の検討によると、出側張力が大きくなると反りが発生しやすくなるので、反りを防止するためには、出側張力は200MPa以下に設定し、より好ましくは、コルゲーションが発生しない範囲で小さく設定するのが望ましい。
また、発明者の検討によると、圧延時に発生した反りを軽減させる方法として、補助ロール3による曲げ戻しにより板厚方向応力分布を均一化することも有効である。このためには、補助ロール3による曲げ戻しの際に、金属板5に塑性変形を生じさせる必要があり、そのためには、補助ロール半径R2を下記式で規定される所定のロール半径r2以下とすることが望ましい。また、補助ロール半径R2が小さすぎると補助ロール3での曲げ方向に反りが発生することが考えられるため、これを防止するため、補助ロール半径R2はr2/8以上とすることが望ましい。なお、反り防止のために規定する補助ロール半径R2は実施の形態1で示したように、クラウン形状及び逆クラウン形状ではない、通常の円筒状の補助ロール3を前提としている。
2×r2=h×E/(Y-T)-h
但し、 h:板厚[m]
E:金属のヤング率[MPa]
Y:金属の降伏応力[MPa]
T:圧延張力[MPa]
本発明の効果を確認する実験を行ったので以下これについて説明する。
実施例1の実験は、主として流体を噴射することの効果を確認するためのものであり、図1に示したワークロールを用い、表2に記載した条件を用い、出側張力・噴射条件を変えて、調質圧延を行った。補助ロールは、幅中央部と幅端部での半径の差が0.0mmのものを用いた。
また、鋼板がワークロールに巻き付いている部分に噴射する流体としては水を使用し、噴射に用いたポンプのスペックを表3に示す。
噴射された水により鋼板に付与される圧力は、ポンプの吐出圧力、吐出量から式(12)のように求めた。
水を噴射した範囲は鋼板幅方向全体であり、また、長手方向に関しては、ロールバイト出側から120mmまでの範囲に対して行った。
表2に示した条件で、張力60MPa、噴射なしで圧延後の鋼板長手1m分を幅方向20mmで裁断し、式(5)の圧延後鋼板最大伸び率差Δεを求めたところ、鋼板幅中央の伸び率が大きく、Δε=0.04%であった。
上記調質圧延後、目視による外観検査を行い、図6(a)(b)に示すコルゲーションなどの欠陥の発生を確認した。なお、図6(a)は、一般に縦スジと呼ばれる欠陥で、図6(b)は、一般に蛇腹と呼ばれる欠陥である。ここに評価基準としては以下のようにした。
○ ・・・ 目視でコルゲーションは認められない
× ・・・ 目視でコルゲーションが認められる
さらに、圧延後の鋼板サンプルを水平な定盤上に圧延時の上面を上にして静置し、走査式レーザ距離計により幅方向の表面凹凸プロフィルを測定し、最大値と最小値の差をスジ深さとしたとき、スジ深さ0.05mm以下のものを◎とした。
また、図7のように長さ500mm程の切板を採取し、吊り下げたときの反り量を計測した。ここに評価基準としては以下のようにした。
L反りの判定式
○:|圧延後鋼板のL反り量|≦30
×:|圧延後鋼板のL反り量|>30
C反りの判定式
○:|圧延後鋼板のC反り量|≦12
×:|圧延後鋼板のC反り量|>12
実験結果を表4に示す。
表4において、PS[MPa]は噴射された流体により金属板に付与される面圧、PT[MPa]は張力により鋼板に付与される面圧、P[MPa]は金属板とワークロール間に働く面圧=PS+PTを示している。表6、8、10においても同様である。
試験No.1〜3は、流体噴射を実施しておらず、コルゲーションが発生している。試験No.4〜6は、流体噴射を実施しており、コルゲーションが認められない。特に試験No.6は面圧が高く、P≧Sを満たす面圧が得られ、外観検査結果は極めて良好である。
実施例2は、主として補助ロールをクラウン形状にすることの効果を確認する実験であり、実験条件を表5に、実験結果を表6に示す。補助ロールは、表5に示す通り、幅中央部と幅端部での半径の差が0.0もしくは0.1mmのものを用いた。圧延後鋼板最大伸び率差Δεを求めたところ、板厚が薄く板幅が広い影響で幅中央の伸び率が大きく、Δε=0.05%であった。
板厚が薄く板幅が広い影響で幅中央の伸び率が大きいため比較例である試験No.7ではコルゲーション防止が困難であり、実際にコルゲーションが発生している。
試験No.8では流体噴射を実施しており、コルゲーションが消失している。
クラウン形状の補助ロールを用いた試験No.9では表面状態がさらに改善しており、クラウン形状の補助ロールの使用が、板厚が薄く板幅が広い影響で幅中央の伸び率差が大きくなりやすい材料のコルゲーション防止に効果的であることを示している。
実施例3は、圧延対象の鋼板の降伏応力が80MPaと低いため高張力がかけられない場合における、本発明の効果を確認するものである。
実験条件を表7に、実験結果を表8に示す。補助ロールは、表7に示す通り、幅中央部と幅端部での半径の差が0.0もしくは0.1mmのものを用いた。
圧延後鋼板最大伸び率差Δεを求めたところ、幅中央の伸び率が大きく、Δε=0.04%であった。
出側張力として比較的低い40MPaをかけているため比較例である試験No.10ではコルゲーション防止が困難であり、実際にコルゲーションが発生している。
試験No.11では流体噴射を実施しており、コルゲーションが消失している。
クラウン形状の補助ロールを用いた試験No.12では表面状態がさらに改善しており、板幅方向のロール径分布を持たせた補助ロールの使用が、低降伏応力材のコルゲーション防止に効果的であることを示している。
実施例4は、ハンドリング性・成形性の観点で反り形状の要求が厳しい金属板の場合について、本発明の効果を確認するものである。
実験条件を表9に、実験結果を表10に示す。補助ロールは、表7に示す通り、幅中央部と幅端部での半径の差が0.0mmのものを用いた。
圧延後鋼板最大伸び率差Δεを求めたところ、幅中央の伸び率が大きく、Δε=0.04%であった。
試験No.13〜17全てにおいて流体噴射を実施しており、コルゲーションが消失している。
試験No.13では張力が200MPaより大きく、L反りC反り両方ともNGとなっている。試験No.14では張力が200MPaより大きく、C反りがNGとなっている。
他方、張力を200MPa以下とした試験No.15ではL反りC反り共に許容範囲内であった。
補助ロール半径R2を所定のロール半径r2以下でかつr2/8以上とした試験No.16ではL反りC反り共に許容範囲内であった。
他方、試験No.17では補助ロール半径R2を所定のロール半径r2の1/8以下となっており、L反りがNGとなっている。試験No.16、17の結果から、補助ロール半径R2をr2/8以上、r2以下とすることが有効であることが分かる。
1 ワークロール
3 補助ロール
5 金属板
7 流体
9 ノズル
11 供給管
13 流体供給装置
15 補助ロール(実施の形態2)

Claims (5)

  1. 上側のワークロールと下側のワークロールからなるワークロールを有する調質圧延機における前記ワークロールの出側に設けた補助ロールを、パスラインから押し上げるか又は押し下げて金属板を前記ワークロールに沿わせて圧延を行う金属板の調質圧延方法であって、
    前記補助ロールをパスラインから押し上げた場合には前記金属板の下面に前記金属板を前記上側のワークロールに押し付けるように流体を噴射し、前記補助ロールをパスラインから押し下げた場合には前記金属板の上面に前記金属板を前記下側のワークロールに押し付けるように流体を噴射して、前記金属板を前記ワークロール側に押し付ける面圧を加えた状態で圧延することを特徴とする金属板の調質圧延方法。
  2. 前記金属板と前記ワークロール間に働く面圧を下記式で規定される所定の面圧S以上とすることを特徴とする請求項1に記載の金属板の調質圧延方法。
    S=h/R×E×Δε/100
    但し、 S:所定の面圧[MPa]
    h:板厚[m]
    R:ワークロール半径[m]
    E:金属のヤング率[MPa]
    Δε:圧延後金属板最大伸び率差[%]
  3. 前記補助ロールとして、幅方向中央部のロール径が幅方向両端部よりも大径となるクラウン形状、又は幅方向両端部のロール径が幅方向中央部よりも大径となる逆クラウン形状のロールを使用することを特徴とする請求項1又は2に記載の金属板の調質圧延方法。
  4. 前記金属板の出側張力の上限値を200MPaとして設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属板の調質圧延方法。
  5. 前記補助ロール半径をR2とし、下記式で規定される所定のロール半径をr2としたときに、前記補助ロール半径R2がr2/8≦R2≦r2を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の金属板の調質圧延方法。
    2×r2=h×E/(Y-T)-h
    但し、 h:板厚[m]
    E:金属のヤング率[MPa]
    Y:金属の降伏応力[MPa]
    T:圧延張力[MPa]
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