以下において、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を貼付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
<経路案内システムの構成>
本発明の実施形態に係る経路案内システムは、図1に示すように、経路案内装置1、交通情報収集装置2及び車載装置3を備える。経路案内装置1は例えば交通管理センター4に設置されている。交通情報収集装置2は、例えば道路上に設置されている。車載装置3は車両V1に搭載されており、他の車両V2,V3,…Vnにも車載装置3と同様の車載装置が搭載されているものとする。
交通情報収集装置2は、例えば車両感知器であり、単位時間当たりに道路を通過した車両台数を含む道路交通情報を収集する。交通情報収集装置2は、収集した道路交通情報を経路案内装置1及び複数の車両V1〜Vnに送信する。
車載装置3は、ナビゲーション装置等で構成することができる。車載装置3は、第1の通信部10、第1の中央演算処理装置(CPU)11、第1の記憶装置12及び表示部13を備える。第1の通信部10は、交通情報収集装置2から道路交通情報を受信する。第1の通信部10は更に、経路案内装置1と各種情報を送受信する。
第1のCPU11は、目的地設定部21、車両情報取得部22及び表示制御部23を備えるコントローラである。目的地設定部21は、車両V1の乗員(例えば運転者)からの入力情報に基づいて、第1の記憶装置12の地図情報記憶部31に記憶された地図情報を読み出して、地図上における車両V1の目的地を設定する。乗員からの入力情報は、例えば表示部13のタッチパネルや車室内のスイッチ等を介して入力される。目的地設定部21により設定された目的地の情報は、第1の通信部10を介して経路案内装置1に送信される。
車両情報取得部22は、車両V1の現在位置及び車両V1の走行状態を含む車両情報を取得する。車両V1の現在位置は、例えば全地球測位システム(GPS)等から取得可能である。車両V1の走行状態は例えば車速であり、車両V1に取り付けた車速センサにより検出可能である。車両情報取得部22により取得した車両情報は、第1の通信部10を介して経路案内装置1に送信される。
表示制御部23は、経路案内装置1から第1の通信部10を介して受信した経路案内情報に基づいて、経路案内装置1により案内された経路を表示するように表示部13を制御する。表示部13としては、例えばディスプレイ等の出力装置が使用可能である。例えば、表示部13は、経路案内装置1により案内された経路を地図上に重畳した画像を表示する。なお、表示部13の代わりに、図示を省略した音声出力装置が、経路案内装置1により案内された経路を音声で乗員に対して提示してもよい。
第1の記憶装置12としては、半導体記憶装置、磁気記憶装置又は光学記憶装置等が使用できる。第1の記憶装置12は、地図情報記憶部31及び嗜好性記憶部32を備える。地図情報記憶部31は地図情報を記憶する。嗜好性記憶部32は、車両V1の乗員の嗜好性(道路選好性)を記憶する。乗員の嗜好性は、所要時間、走行距離、道路幅、車線数、交差点数、渋滞等の道路の特性に対する嗜好性を意味する。
乗員の嗜好性は、例えば嗜好性記憶部32に予め記憶されていてもよい。或いは、車両情報取得部22が、車両V1の走行履歴等から乗員の嗜好性を抽出して、抽出した乗員の嗜好性を嗜好性記憶部32に逐次記憶させてもよい。車両V1の乗員が複数存在する場合には、嗜好性記憶部32は、各乗員の嗜好性をそれぞれ記憶する。
経路案内装置1は、例えば交通管理センター4に設置されている。経路案内装置1は、第2の通信部40、第2のCPU41及び第2の記憶装置42を備える。第2の通信部40は、交通情報収集装置2から道路交通情報を受信する。第2の通信部40は更に、複数の車両V1〜Vnのそれぞれと各種情報を送受信する。
第2のCPU41は、経路案内機能を有するコントローラである。第2のCPU41は、交通量予測部51、経路探索部52、渋滞予測部53、車両配分部54及び経路案内部55を備える。交通量予測部51は、所定の時間毎に、所定の目的地から出発地までの区間(以下、「OD区間」ともいう。)に流入する交通量(交通需要)を逐次予測する。所定の時間の開始時刻、終了時刻、間隔等は適宜設定可能であり、第2の記憶装置42に予め記憶されていてもよい。所定のOD区間の出発地や目的地は適宜設定可能であり、第2の記憶装置42に予め記憶されていてもよい。
交通量予測部51は、例えば、第2の記憶装置42の地図情報記憶部61に記憶された地図情報と、第2の記憶装置42の走行履歴記憶部62に記憶された複数の車両V1〜Vnの走行履歴に基づいて、所定の時間におけるOD区間の統計的な交通量を予測する。交通量予測部51は更に、複数の車両V1〜Vnの目的地の情報等に基づいて、複数の車両V1〜Vnの行動を予測し、基礎的な交通量を予測する。交通量予測部51は更に、通信ネットワーク等から得られるOD区間の周辺で開催されるイベント情報、複数の車両V1〜Vnの乗員の個人スケジュール、天気予報等の各種の情報に基づいて、特定時刻且つ特定箇所の交通量を予測する。交通量予測部51は更に、予測された統計的な交通量、基礎的な交通量、特定時刻且つ特定箇所の交通量を重合することにより、所定の時間毎の所定のOD区間の交通量を予測する。予測された交通量は、第2の記憶装置42の交通量記憶部63に記憶される。
経路探索部52は、地図情報記憶部31に記憶されたOD区間の位置情報と、GPS等から受信したリアルタイムの道路情報等に基づいて、OD区間で選択可能な経路を探索する。経路の探索方法は特に限定されず、例えばダイクストラ法が採用可能である。経路探索部52は、例えば経路が短い順に複数の経路を探索してもよい。なお、経路探索部52により探索される経路の本数は適宜設定可能であり、第2の記憶装置42に予め記憶されていてもよい。経路探索部52は、例えば図2に示すように、出発地POから目的地PDまでのOD区間において3本の経路A,B,Cを探索する。経路探索部52により探索された経路は、第2の記憶装置42の経路記憶部64に記憶される。
渋滞予測部53は、経路探索部52により探索された複数の経路毎に、所定の時間における渋滞の発生を予測する。渋滞の発生を予測するために、まず、渋滞予測部53は、経路探索部52により探索された複数の経路毎に許容される車両台数(許容台数)を設定する。例えば、渋滞予測部53は、地図情報記憶部31に記憶された地図情報に基づいて、複数の経路毎の道路容量を取得する。道路容量は、これを超えると渋滞が発生する流入交通量を表す。道路容量としては、経路毎に予め規定されている設計道路容量を採用してもよく、或いは走行履歴記憶部62の走行履歴情報から導出される実効的な飽和交通量を採用してもよい。
渋滞予測部53は更に、交通量予測部51により予測されたOD区間の交通量(換言すれば、各経路の流入台数の総和)が、各経路の道路容量の総和以下であるか否かを判定する。各経路の流入台数の総和が各経路の道路容量の総和以下と判定される場合には、流入車両を適切に分散させることができれば渋滞は発生しない。このため、渋滞予測部53は、各経路の許容台数を各経路の道路容量と等しく設定する。一方、各経路の流入台数の総和が各経路の道路容量の総和を超えると判定される場合には、流入車両を分散させても複数の経路のいずれかでは渋滞が必至となる。このため、渋滞予測部53は、各経路の道路容量に基づいて、各経路の許容台数の総和と各経路の流入台数の総和とが一致するように、各経路の許容台数をそれぞれ設定する。即ち、各経路の少なくともいずれかにおいては、許容台数が道路容量よりも大きく設定される。
例えば、予測交通量を道路容量に応じて比例配分してもよい。即ち、複数の経路中のi番目の経路の許容台数NPiは、i番目の経路の道路容量をNCi、複数の経路の流入台数の総和をNQとして、以下の式(1)で求めることができる。
NPi=NCi*(NQ/ΣNCi) …(1)
また、渋滞予測部53は、走行履歴記憶部62から抽出した各経路の過飽和時の挙動から渋滞程度を経路間で応分に配分するように許容台数を設定してもよい。なお、許容台数の総和と流入台数の総和とを必ずしも一致させなくてもよく、許容台数の総和が流入台数の総和以上となるように、各経路の許容台数をそれぞれ設定してもよい。
渋滞予測部53は更に、経路探索部52により探索された各経路に流入する車両台数(流入台数)をそれぞれ予測する。各経路の流入台数を予測するために、例えば、渋滞予測部53は、地図情報記憶部31に記憶された地図情報を読み出して、各経路の特性を取得する。図3Aに、各経路A〜Cの特性(道路特性テーブル)の一例を示す。各経路A〜Cの特性は、「所要時間」、「走行距離」、「道路幅」、「車線数」、「交差点数」、「渋滞」等の特徴要素を含み、各特徴要素の強度を図3Aに示すような値になるように数値化している。なお、各経路の特性は図3Aに示す各特徴要素に特に限定されず、例えば「過去の事故の発生頻度」や、「規制速度」等を特徴要素として含んでいてもよい。
図3Aにおいて、各特徴要素の数値が大きいほど、その特徴要素の特性が良好であり、走行しやすいことを意味する。即ち、「所要時間」の数値が大きいほど走行に要する時間が短いことを意味する。また、「走行距離」の数値が大きいほど、走行距離が短いことを意味する。また、「道路幅」の数値が大きいほど、道路幅が広いことを意味する。また、「車線数」の数値が大きいほど、車線数が多いことを意味する。また、「交差点数」の数値が大きいほど、交差点数が少ないことを意味する。また、「渋滞」の数値が大きいほど、渋滞の頻度が低いことを意味する。例えば、図3A中の「所要時間」に着目した場合、経路Aが最も時間が短く、経路Cが最も時間を要する。なお、各特徴要素の相対的な大きさは適宜設定可能である。
渋滞予測部53は更に、嗜好性記憶部65に記憶された各車両の乗員の嗜好性のうち、経路探索部52により探索された各経路に流入する各車両の乗員の嗜好性を取得する。図3Bに、各車両の乗員の嗜好性(道路選好テーブル)の一例を示す。図3Bに示すように、各車両の乗員の嗜好性は、図3Aに示した経路の特性と関連付けられており、「所要時間」、「走行距離」、「道路幅」、「車線数」、「交差点数」、「渋滞」等の特徴要素の強度を数値化している。また、各車両の乗員が複数存在する場合には、乗員のIDや車室内のカメラによる画像認識等により現在の乗員(例えば運転者)と特定し、特定された乗員の嗜好性を取得する。
図3Bにおいては、各特徴要素の数値が大きいほど、その特徴要素に対する乗員の嗜好性が強く、その特徴要素の特性が良好なほど乗員が満足しやすい(換言すれば、乗員はその特徴要素の特性が良好な経路を選好しやすい)ことを意味する。即ち、「所要時間」の数値が大きいほど、所要時間に対する乗員の嗜好性が強く、乗員は所要時間が短いと満足しやすいことを意味する。また、「走行距離」の数値が大きいほど、走行距離に対する乗員の嗜好性が強く、乗員は走行距離が短いほど満足しやすいことを意味する。また、「道路幅」の数値が大きいほど、道路幅に対して乗員の嗜好性が強く、乗員は道路幅が広いほど満足しやすいことを意味する。また、「車線数」の数値が大きいほど、車線数に対する乗員の嗜好性が強く、乗員は車線数が多いほど満足しやすいことを意味する。また、「交差点数」の数値が大きいほど、交差点数に対する乗員の嗜好性が強く、乗員は交差点数が少ないほど満足しやすいことを意味する。また、「渋滞」の数値が大きいほど、渋滞に対する乗員の嗜好性が強く、乗員は渋滞の頻度が少ないほど満足しやすいことを意味する。
渋滞予測部53は、複数の経路に流入する車両毎に、各経路の特性と、乗員の嗜好性との合致度を示す選好スコアを算出する。例えば、渋滞予測部53は、図3Aに示した各経路A〜Cの特性と、図3Bに示した各車両の乗員の嗜好性とを用いて、図3Cに示すように選好スコアを車両毎に算出する。選好スコアが高いほど、その経路の特性と乗員の嗜好の合致度が高く、その経路を選択した場合に乗員が満足しやすいことを意味する。図3Cでは、経路Bの選好スコアが最大となり、乗員の嗜好性が経路Bの特性に最も近いことが分かる。選好スコアは、例えば、各経路の特性と乗員の嗜好との対応する特徴要素の数値を乗算し、各特徴要素の乗算値を直列的に加算することにより、算出可能である。
渋滞予測部53は、複数の経路に流入する車両毎に、各経路に対する選好スコアに応じて、各車両の流入経路を予測する。例えば、渋滞予測部53は、複数の経路に流入する車両毎に、選好スコアが最も大きい経路を流入経路として予測する。例えば図3Cに示すように、経路Bの選考スコアが最大の場合には、経路Bを流入経路として予測する。渋滞予測部53は更に、流入経路の予測結果に基づいて、各経路に流入する車両台数(流入台数)を予測する。
渋滞予測部53は、経路探索部52により探索された複数の経路毎に、予測された流入台数が、設定された許容台数以下であるか否かを判定する。流入台数が許容台数以下と判定された場合、その経路では渋滞が発生しないと予測し、その経路を「非渋滞路」と識別する。一方、流入台数が許容台数を超えると判定された場合、その経路で渋滞が発生すると予測し、その経路を「渋滞路」と識別する。渋滞予測部53は更に、渋滞路に対しては、流入台数と許容台数の差分である過剰台数を算出する。
車両配分部54は、渋滞予測部53により識別された渋滞路に流入すると予測される車両群のうち、非渋滞路の特性に対する乗員の嗜好性の合致度が一致する車両を優先するように、渋滞路に流入する車両群の一部を非渋滞路に配分する。車両配分部54は、例えば、渋滞予測部53により算出された各経路に対する選好スコアのうち、渋滞予測部53により識別された非渋滞路に対する選好スコアを抽出して、非渋滞路に対する選好スコアが大きい順に、渋滞路での過剰台数分だけ、非渋滞路に配分する。なお、車両配分部54は、渋滞予測部53により算出した非渋滞路に対する選好スコアを利用してもよいが、車両配分部54が自ら非渋滞路に対する選好スコアを算出してもよい。また、車両配分部54は、渋滞予測部53により識別された非渋滞路が複数有る場合には、任意の非渋滞路を配分先として決定してもよいが、例えば許容台数と流入台数の差分が相対的に大きい(換言すれば、許容台数の空きが相対的に多い)非渋滞路から順に選択してもよい。
渋滞路に流入する車両群の一部を非渋滞路に配分した結果、配分先の非渋滞路において流入台数が許容台数を超えて新たな渋滞路になる場合、車両配分部54は更に、新たな渋滞路に流入する車両群の一部を更に他の非渋滞路に配分する。車両配分部54による配分結果は、第2の記憶装置42の配分記憶部66に記憶される。経路案内部55は、車両配分部54による配分結果に基づいて、各車両を配分された経路に案内するための経路案内情報を、第2の通信部40を介して各車両に送信する。
第2の記憶装置42としては、半導体記憶装置、磁気記憶装置又は光学記憶装置等が使用できる。第2の記憶装置42は、地図情報記憶部61、走行履歴記憶部62、交通量記憶部63、経路記憶部64、嗜好性記憶部65及び配分記憶部66を有する。地図情報記憶部61は、地図情報を記憶する。地図情報は、地図上の各道路について、所要時間、走行距離、道路幅、車線数、交差点数、渋滞等の特性を含む。走行履歴記憶部62は、第2の通信部40により受信された各車両の走行履歴を記憶する。各車両の走行履歴は、各車両の現在位置、目的地、過去の走行経路、走行地点に関連付けられた車速等の走行状態等を含む。
交通量記憶部63は、交通量予測部51により予測された所定のOD区間の交通量を記憶する。経路記憶部64は、経路探索部52により探索された複数の経路の情報を記憶する。嗜好性記憶部65は、第2の通信部40により受信された各車両の乗員の嗜好性を記憶する。配分記憶部66は、車両配分部54による車両毎の経路の配分結果を記憶する。
<第1の実施例>
次に、第1の実施例として、表1を参照しながら、流入台数の総和が道路容量の総和より少ない場合の流入車両配分の一例を説明する。
図2に示すように、本線である経路Bと2つの迂回路である経路A,Cが設定されており、表1の「道路容量」の欄に示すように、経路A,B,Cのそれぞれの道路容量は200台、500台、100台とする。渋滞予測部53は、所定の時間における経路A,B,Cの流入車両の総和を300台と予測する。経路A,B,Cの流入台数の総和が、経路A,B,Cの道路容量の総和である800台未満のため、渋滞予測部53は、表1の「許容台数」の欄に示すように、経路A,B,Cのそれぞれの許容台数を、道路容量と等しい200台、500台、100台に設定する。
渋滞予測部53は、300台の各車両について、経路A,B,Cに対する選好スコアを算出する。渋滞予測部53は、300台の各車両を最も選好スコアの高い経路に割り当てることにより、表1の「予測台数」の欄に示すように、経路A,B,Cのそれぞれの流入車両を30台、200台、70台と予測する。経路A,B,Cのそれぞれにおいて、流入台数が許容台数以下であるため、経路A,B,Cのいずれも非渋滞路と識別する。よって、表1の「配分台数」の欄に示すように、車両配分部54は、経路A,B,Cのそれぞれで予測した配分を、最終的な車両配分とする。なお、経路A,B,Cの流入車両の総和が道路容量の総和未満の場合でも、経路A,B,Cの少なくともいずれかに車両が集中的に流入して、渋滞路が発生する場合もある。
<第2の実施例>
次に、第2の実施例として、表2を参照しながら、流入台数の総和が道路容量より多い場合の流入車両配分方法の一例を説明する。
図2に示すように、本線である経路Bと2つの迂回路である経路A,Bが設定されており、表2の「道路容量」の欄に示すように、経路A,B,Cのそれぞれの道路容量が200台、500台、100台とする。渋滞予測部53は、所定の時間における経路A,B,Cの流入車両の総和を1000台と予測する。予測された流入台数の総和が、経路A,B,Cの道路容量の総和である800台より大きいので、渋滞予測部53は、経路A,B,Cの許容台数の総和が流入台数の総和以上となるように、経路A,B,Cのそれぞれの許容台数を設定する。ここでは、1000台の流入台数を経路A,B,Cの道路容量で比例配分することにより、表2の「許容台数」の欄に示すように、経路A,B,Cのそれぞれの許容台数を250台、625台、125台に設定する。
渋滞予測部53は、1000台の各車両について、経路A,B,Cの選好スコアを算出する。渋滞予測部53は、300台の各車両を最も選好スコアの高い経路に割り当てることにより、表2の「予測台数」の欄に示すように、経路A,B,Cのそれぞれの流入車両を70台、800台、130台と予測する。経路Aの流入台数は許容台数以下であるため、渋滞予測部53は、経路Aを非渋滞路と識別する。一方、経路B,Cの流入台数は許容台数を超えるため、渋滞予測部53は、経路B,Cを渋滞路と識別する。
車両配分部54は、渋滞路である経路Bに流入すると予測される800台から、過剰台数分の175台を、非渋滞路である経路Aの選好スコアの大きい順に抽出し、経路Aに配分する。車両配分部54は更に、渋滞路である経路Cに流入すると予測される130台から、過剰台数分の5台を、非渋滞路である経路Aの選好スコアの大きい順に抽出し、経路Aに配分する。この結果、表2の「配分台数」の欄に示すように、経路A,B,Cのそれぞれに250台、625台、125台が配分され、最終的な車両配分とする。
<第3の実施例>
次に、第3の実施例として、表3を参照しながら、流入台数の総和が道路容量の総和と一致する場合の流入車両配分の一例を説明する。
図2に示すように、本線である経路Bと、2つの迂回路である経路A,Cが設定されており、表3の「道路容量」の欄に示すように、経路A,B,Cのそれぞれの道路容量は3台、6台、3台とする。渋滞予測部53は、所定の時間における経路A,B,Cの流入台数の総和を12台と予測する(説明の便宜上、流入台数を仮想的に少ない台数としている)。流入台数の総和が、経路A,B,Cの道路容量の総和である12台と等しいため、渋滞予測部53は、表3の「許容台数」の欄に示すように、経路A,B,Cのそれぞれの許容台数を、道路容量と等しい3台、6台、3台に設定する。
渋滞予測部53は、12台の各車両について、経路A,B,Cの選好スコアを算出する。渋滞予測部53は、12台の各車両を最も選好スコアの高い経路に割り当てることにより、表2の「予測台数」の欄に示すように、経路A,B,Cのそれぞれの流入車両を2台、9台、1台と予測する。経路Bの流入台数が許容台数を超えているため、渋滞予測部53は、経路Bを渋滞路と識別する。一方、経路A,Cの流入台数が許容台数以下であるため、渋滞予測部53は、経路A,Cを非渋滞路と識別する。
車両配分部54は、渋滞路である経路Bに流入すると予測される9台のうちの過剰分の3台を、非渋滞路である経路Cの選好スコアの大きい順に抽出し、経路Cに配分する。この結果、経路Bは非渋滞路となるが、経路Cが4台となり、渋滞路と識別される。車両配分部54は更に、渋滞路である経路Cに流入すると予測される4台のうちの1台を、非渋滞路である経路Aの選好スコアの大きい順に抽出し、経路Aに配分する。この結果、表2の「配分台数」の欄に示すように、経路A,B,Cのそれぞれに3台、6台、3台が配分され、最終的な車両配分とする。
次に、第3の実施例における車両配分部54による車両配分方法の詳細を、表4〜表10を参照しながら説明する。表4〜表10の「ID」の欄は経路A,B,Cに流入すると予測された12台の車両を識別する番号である。
渋滞予測部53は、表4の「経路A」,「経路B」,「経路C」の「選好スコア」の欄に示すように、ID=1〜12に対応する各車両の経路A,B,Cの選好スコアを算出する。渋滞予測部53は、ID=1〜5,9〜12に対応する9台の車両について、経路Bに対する選好スコアが最大であるため、表4の「暫定割り当て」の欄に示すように、経路Bに流入すると予測する。同様に、渋滞予測部53は、ID=6,8に対応する2台の車両について、経路Aに対する選好スコアが最大であるため、経路Aに流入すると予測する。渋滞予測部53は、ID=7に対応する1台の車両について、経路Cに対する選好スコアが最大であるため、経路Cに流入すると予測する。渋滞予測部53は、予測された流入台数が許容台数以下となる経路A、Cを非渋滞路と識別し、流入台数が許容台数を超えた経路Bを渋滞路と識別する。
車両配分部54は、渋滞路である経路Bに流入すると予測されたID=1〜5,9〜12に対応する9台の車両のうち、過剰分の3台の車両を、非渋滞路である経路A,Cのいずれかに配分する。例えば、非渋滞路である経路Aの許容台数と流入台数の差分が1台であるのに対して、非渋滞路である経路Cの許容台数と流入台数の差分が2台と大きいため、車両配分部54は、過剰分の3台の車両の配分先を経路Cに決定する。
車両配分部54は、経路Bに流入すると予測されているID=1〜5,9〜12に対応する9台の車両について、表5に示すように、経路Cの選好スコアの高い順にソートする。渋滞路である経路Bの過剰分が3台であるため、表5のリストの上位1〜3番目のID=10,3,5に対応する3台の車両を経路Cに移動(配分)する。この結果、経路A〜Cのそれぞれの流入台数が2台、6台、4台となる。渋滞予測部53は、流入台数が許容台数以下となる経路A,Bを非渋滞路と識別し、経路Bの車両を受け入れることで流入台数が許容台数を超えた経路Cを渋滞路と識別する。
車両配分部54は更に、渋滞路と識別された経路Cに配分されたID=3,5,7,10に対応する4台の車両について、表6に示すように、非渋滞路である経路Aの選好スコアの高い順にソートする。
経路Cの過剰分が1台であるため、このリストの最上位のID=5に対応する1台の車両を非渋滞路である経路Aに移動する。この結果、表7に示すように、経路A,B,Cとも流入台数が許容台数と一致し、最終的な割り当てが確定する。
なお、経路A〜Cの流入車両を予測した段階で、渋滞路である経路Bの車両を最初に非渋滞路である経路Cに移動させた後、非渋滞路である経路Aに移動させる場合を例示したが、渋滞路である経路Bの車両を最初に非渋滞路である経路Aに移動させてもよい。この場合、車両配分部54は、経路Cに流入すると予測されたID=1〜5,9〜12に対応する車両について、表8に示すように、経路Aの選好スコアの高い順にソートする。
経路Bの過剰分が3台であるため、表8のリストの上位3番目までのID=2,11,1に対応する3台の車両を経路Cに移動する。この結果、経路A〜Cのそれぞれの流入台数は5台、6台、1台となる。渋滞予測部53は、流入台数が許容台数以下である経路B,Cを非渋滞路と識別し、流入台数が許容台数を超えた経路Aを渋滞路と識別する。車両配分部54は更に、経路Aに配分されているID=1,2,6,8,11に対応する車両について、表9に示すように、非渋滞路である経路Cに対する選好スコアの高い順にソートする。
表9のリストの上位から、渋滞路である経路Cの過剰分である1台のID=5に対応する車両を非渋滞路である経路Aに移動する。この結果、表10に示すように、経路A,B,Cとも流入台数が許容台数と一致し、最終的な車両配分が確定する。
<経路案内方法>
次に、図4のフローチャートを参照しながら、本発明の実施形態に係る経路案内方法の一例を説明する。
ステップS10において、交通量予測部51が、所定の時間及び所定のOD区間毎の交通量を予測する。ステップS11において、経路探索部52が、交通量予測部51により交通量が予測されるOD区間について複数の経路を探索する。
ステップS12〜S14において、渋滞予測部53が、経路探索部52により探索された複数の経路毎に渋滞の発生を予測する。まず、ステップS12において、渋滞予測部53が、経路探索部52により探索された複数の経路毎の許容台数を設定する。ステップS13において、経路探索部52により探索された複数の経路毎の流入台数を予測する。ステップS14において、渋滞予測部53が、経路探索部52により探索された複数の経路毎に、設定された許容台数と予測された流入台数を用いて、各経路での渋滞の発生を予測する。
ステップS15において、車両配分部54が、渋滞予測部53により渋滞が発生すると予測された渋滞路に流入すると予測される車両群のうち、非渋滞路の特性に対する乗員の嗜好性の合致度が一致する車両を優先するように、渋滞路に流入する車両群の一部を非渋滞路に配分する。
ステップS16において、経路案内部55が、車両配分部54による配分結果に基づいて、各車両を配分された経路に案内するための経路案内情報を、第2の通信部40を介して各車両V1〜Vnに送信する。表示制御部23は、経路案内情報に応じて、案内された経路を乗員に対して表示するように表示部13を制御する。
<許容台数の設定処理>
次に、図5のフローチャートを参照しながら、図4のステップS12における各経路の許容台数の設定処理の一例を説明する。
ステップS21において、渋滞予測部53が、地図情報記憶部61に記憶された地図情報等から、各経路の道路容量を取得する。ステップS22において、渋滞予測部53が、交通量予測部51により予測されたOD区間の交通量(換言すれば、各経路の流入台数の総和)が、ステップS21において取得された各経路の交通容量の総和以下か否かを判定する。各経路の流入台数の総和が各経路の交通容量の総和以下の場合、ステップS23に移行し、渋滞予測部53が、各経路の交通容量を許容台数として設定する。
一方、ステップS22において、各経路の流入台数の総和が各経路の交通容量の総和を超えると判定された場合、渋滞が必至であり、ステップS24に移行する。ステップS24において、渋滞予測部53が、各経路の流入台数の総和が各経路の許容台数の総和と一致するように各経路の許容台数を設定する。
<各経路の流入車両の予測方法>
次に、図6のフローチャートを参照しながら、図4のステップS13における各経路の流入車両の予測処理の一例を説明する。
ステップS30において、渋滞予測部53が、地図情報記憶部61に記憶された地図情報から、各経路の特性を取得する。ステップS31において、渋滞予測部53が、嗜好性記憶部65に記憶された各車両の乗員の嗜好性のうち、所定のOD区間に流入する各車両の乗員の嗜好性を取得する。
ステップS32において、渋滞予測部53が、ステップS30において取得した各経路の特性と、ステップS31において取得した各車両の乗員の嗜好性とから、車両毎に各経路に対する選好スコアを算出する。ステップS33において、渋滞予測部53が、各経路に対する選好スコアに基づいて、各車両の選好スコアが最大となる経路を各車両の流入経路と予測する。
ステップS34において、渋滞予測部53が、所定のOD区間に流入すると予測された全車両の流入経路を予測したか判定する。全車両の流入経路を予測したと判定された場合、処理を完了する。一方、全車両の流入経路を予測していないと判定された場合、ステップS32に戻り、全車両の流入経路を予測するまで処理を繰り返す。
<渋滞予測方法及び車両配分方法>
次に、図7のフローチャートを参照しながら、図4のステップS14における各経路の渋滞予測処理及びステップS15における各車両の経路配分処理の一例を説明する。
ステップS40において、渋滞予測部53が、各経路の流入台数を算出する。ステップS41において、渋滞予測部53が、複数の経路毎に、流入台数と許容台数とを比較し、流入台数が許容台数以下である場合には非渋滞路と識別する。渋滞予測部53は、流入台数が許容台数を超えた場合には渋滞が発生すると予測して、渋滞路と識別する。
ステップS42において、車両配分部54が、複数の経路のうち渋滞路が存在するか否かを判定する。渋滞路が無い場合には、複数の経路に適切に車両が分散できているため、処理を完了する。一方、渋滞路が存在する場合には、ステップS43に移行する。
ステップS43において、車両配分部54が、渋滞路に流入する車両群の選好スコアに応じて、渋滞路に流入する車両群の一部を非渋滞路に配分する。例えば、渋滞路に流入する車両群のうち、配分先の非渋滞路に対する選好スコアが大きい順に、渋滞路の過剰台数分だけ、非渋滞路に配分する。
ステップS44において、車両配分部54が、全渋滞路に対して車両の配分処理を行ったか判定する。全渋滞路に対して車両の配分処理を行っていないと判定された場合には、ステップS43に戻り、未処理の渋滞路に対して車両の配分処理を行う。一方、ステップS44において全渋滞路に対して車両の配分処理を行ったと判定された場合には、車両の配分結果、非渋滞路であった経路が渋滞路となる可能性がある。このため、ステップS40に戻り、渋滞路又は非渋滞路の識別を行う。したがって、非渋滞路がなくなるまで一連の処理が繰り返される。
本発明の実施形態に係る経路案内プログラムは、図4に示した経路案内方法の手順を、経路案内システムを構成するコンピュータに実行させる。即ち、本発明の実施形態に係る経路案内プログラムは、所定のOD区間の交通量を予測するステップ、所定のOD区間について複数の経路を探索するステップ、複数の経路毎の渋滞を予測するステップ、渋滞が予測された渋滞路に流入する車両群毎の乗員の嗜好性と、複数の経路のうちの渋滞路とは異なる非渋滞路の特性との合致度に応じて、車両群の一部を非渋滞路に配分するように選択するステップ、選択された車両を非渋滞路に案内するステップ等を、第2のCPU41等を構成するコンピュータに実行させる。本発明の実施形態に係る経路案内プログラムは、例えば第2の記憶装置42に格納可能である。
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、所定のOD区間に複数の経路が存在するときに、所定の時間において複数の経路毎に流入する車両群を予測することにより渋滞路を予測する。そして、渋滞路に流入すると予測された車両群の一部を、渋滞路とは異なる非渋滞路の特性に対する乗員の嗜好性の合致度が一致する車両を優先するように非渋滞路に配分する。これにより、渋滞路に流入すると予測された車両群の一部を非渋滞路に迂回させて渋滞路での渋滞を緩和することができるとともに、非渋滞路に対して乗員が満足しやすい車両を非渋滞路に迂回させることができる。したがって、複数の経路に流入する車両群全体で、乗員の満足度を低減しないように車両群を分散させて、渋滞を緩和することができる。
更に、渋滞を予測する際に、複数の経路毎に許容台数を設定し、車両群の乗員の嗜好性と各経路の特性との合致度を算出し、合致度に応じて複数の経路毎の流入台数を予測し、複数の経路毎に、流入台数が許容台数を超えたときに渋滞を予測する。これにより、乗員が自らの嗜好性から選択する可能性が高い経路を各車両の流入経路として予測することができる。更に、予測された経路を含む経路案内情報を対応する各車両に送信し、各車両の表示部等が予測された経路を推奨経路として提示することで、乗員は複数の経路のうち、自らの満足しやすい経路を把握することができる。
更に、許容台数を設定する際に、複数の経路の交通容量の総和が、複数の経路の流入台数の総和以上の場合には、複数の経路毎に交通容量を許容台数として設定する。一方、交通容量の総和が、流入台数の総和未満の場合には、複数の経路の許容台数の総和が流入台数の総和以上となるように複数の経路毎の許容台数を設定する。即ち、所定のOD区間への流入台数が多く、複数の経路のいずれかで渋滞が必至の場合でも、複数の経路に流入する車両群の台数に応じて、複数の経路の少なくともいずれかの許容台数を交通容量よりも増大させている。このため、複数の経路に流入する車両群をすべて複数の経路のいずれかに配分可能となる。したがって、複数の経路に流入する車両群を適切に分散させることができ、渋滞を平準化することができる。
更に、非渋滞路に配分する際に、非渋滞路が複数存在する場合には、許容台数と流入台数との差分が相対的に大きい非渋滞路に車両群の一部を配分する。これにより、許容台数の空きが多く、渋滞路での過剰台数分の車両をより多く受け入れ可能な非渋滞路から選択していくので、車両の配分処理を効率よく行うことができる。
更に、非渋滞路に配分する際に、車両群の一部が非渋滞路に配分された結果、非渋滞路の流入台数が許容台数を超える場合には、非渋滞路に配分された車両群の一部を、更に他の非渋滞路に配分する。これにより、複数の非渋滞路に許容台数分だけ車両が配分されていくので、最終的には、渋滞路に流入する車両群を複数の非渋滞路に適切に分散させることができる。
更に、経路案内装置1を交通管理センター4に設置し、複数の車両V1〜Vnは経路案内装置1からの経路案内情報を受信して表示する。これにより、広範囲、大規模な交通流に対して適切な経路案内を行うことができる。
(変形例)
本発明の実施形態の変形例に係る経路案内システムは、図8に示すように、経路案内装置1、交通情報収集装置2及び車載装置3を備える。経路案内装置1及び交通情報収集装置2は、第1の実施形態に係る構成と同様であるので、重複した説明を省略する。複数の車両V1〜Vnは、所定のOD区間に流入しようとしている車両群である。複数の車両V1〜Vnは、交通管理センター4に設置された経路案内装置1から、進入経路の混雑状況や許容台数の情報を受信する。車載装置3は、車両V1に搭載されているが、他の車両V2〜Vnも車載装置3と同様の車載装置を有するものとする。
本発明の実施形態の変形例においては、車載装置3が、車車間通信部14を更に備える点が、図1に示した第1の実施形態に係る車両V1の構成と異なる。車車間通信部14は、他の車両V2〜Vnの車車間通信部と各種情報の送受信を行う。
また、第1のCPU11が、嗜好性補正部24及び車両配分部25を更に備える点が、図1に示した第1の実施形態に係る第1のCPU11の構成と異なる。第1の記憶装置12の嗜好性記憶部32は、過去の走行履歴等から作成されたシーンに応じた乗員の嗜好性を記憶する。嗜好性補正部24は、現時点での個別のシーンや状況に応じて、嗜好性記憶部32に記憶されている乗員の嗜好性とは異なる希望経路がある場合には、車両V1の乗員の現在の嗜好性で、嗜好性記憶部32に記憶されている乗員の嗜好性を更新する。
車両配分部25は、嗜好性記憶部32に記憶されている乗員の嗜好性に基づいて、地図情報記憶部31に記憶された地図上情報を用いて、複数の経路のうちの経路を予測する。車両配分部25は、予測された経路を、車車間通信部14を介して他の車両V2〜Vnに送信する。車両配分部25は更に、車車間通信部14を介して他の車両V2〜Vnで予測された経路を受信する。このように、複数の車両V1〜Vnは互いに希望経路を提示し、合意に至るように交渉を行う。複数の車両V1〜Vn間の合意は、例えば渋滞路に流入予定の車両の乗員が、スイッチやタッチパネルを介して非渋滞路に迂回することを許可することにより達成できる。この結果、複数の車両V1〜Vnのそれぞれは、複数の車両V1〜Vn全体で合意した経路に進入することができる。
本発明の実施形態の変形例によれば、本発明の実施形態と同様に、所定のOD区間に複数の経路が存在するときに、所定の時間において複数の経路毎に流入する車両群を予測することにより渋滞路を予測する。そして、渋滞路に流入すると予測された車両群の一部を、渋滞路とは異なる非渋滞路の特性に対する乗員の嗜好性の合致度が一致する車両を優先するように非渋滞路に配分する。これにより、渋滞路に流入すると予測された車両群の一部を非渋滞路に迂回させて渋滞路での渋滞を緩和することができるとともに、非渋滞路に対して乗員が満足しやすい車両を非渋滞路に迂回させることができる。したがって、複数の経路に流入する車両群全体で、乗員の満足度を低減しないように車両群を分散させて、渋滞を緩和することができる。
更に、複数の経路に流入する複数の車両V1〜Vnの間で車両配分を行うことにより、複数の車両V1〜Vnの個別のリアルタイムのシーンや走行状況、乗員希望を反映した車両配分を行うことができる。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであ経路理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、本発明の実施形態において、経路案内装置1から所定のOD区間に流入する全車両V1〜Vnに経路案内情報を送信する場合を例示したが、必ずしも全車両V1〜Vnに経路案内情報を送信しなくてもよい。例えば、所定のOD区間のうち、非渋滞路に流入すると予測された車両については各自の経路選択に任せて、経路案内情報を送信しなくてもよい。また、渋滞路に流入すると予測された車両群のうち、非渋滞路に配分された車両のみに経路案内情報を送信し、配分先が渋滞路のままの車両には経路案内情報を送信しなくてもよい。
また、本発明の実施形態において、車両配分部54は、渋滞路の過剰台数分だけ非渋滞路に配分する場合を例示したが、必ずしも渋滞路の過剰台数分だけ配分しなくてもよい。例えば、渋滞路の過剰台数が100台である場合に、渋滞路の過剰台数未満である80台の車両を非渋滞路に配分しても、渋滞を緩和することができる。また、渋滞路の過剰台数よりも多い台数を非渋滞路に配分してもよい。
また、本発明の実施形態において、車両配分部54は、渋滞路の車両群のうち、非渋滞路に対する選好スコアが最上位から高い順に連続して車両を配分する場合を例示したが、必ずしも最上位から高い順に連続して車両を配分しなくてもよい。即ち、所定の時間において、所定のOD区間に流入する複数の車両全体で総合的に選好スコアが高い経路に配分されるように、選好スコアが相対的に高い車両を優先して非渋滞路に配分すればよい。例えば、選好スコアが最上位の車両の配分先は渋滞路のままとし、2番目に大きい車両から順に非渋滞路に配分してもよい。また、選好スコアが上位の車両から順に連続的に抽出しなくてもよく、離散的に抽出してもよい。また、本明細書において、非渋滞路の特性に対する乗員の嗜好性の合致度が一致する車両とは、非渋滞路の特性に対する乗員の嗜好性の合致度が相対的に高く、非渋滞路の特性に対して乗員の嗜好性がより合致している車両を意味する。
また、本発明の実施形態において、渋滞予測部53が、流入台数が許容台数以下である経路を非渋滞路として識別する場合を例示したが、流入台数が許容台数と同数の非渋滞路は迂回対象から除いてもよい。即ち、渋滞予測部53は、非渋滞路が、流入台数が許容台数と同数の非渋滞路(迂回不可能路)であるか、流入台数が許容台数未満の非渋滞路(迂回可能路)であるかを更に識別してもよい。そして、車両配分部54は、渋滞路の過剰な車両を、渋滞予測部53により識別された迂回可能路にのみ配分してもよい。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。