以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化がなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
また、以下に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置と方向とを意味する用語が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、実際に実施される際の方向とは関係しないものである。
<実施の形態>
以下、本実施の形態に関する基板処理装置について説明する。
<基板処理装置の構成について>
図1は、本実施の形態に関する基板処理装置の構成を概略的に例示する横断面図である。図2は、図1におけるA−A’断面を例示する縦断面図である。
基板処理装置は、処理液で基板100を処理するために基板100を収容するチャンバ10内において、基板100を回転させるスピンチャック20と、遮断板30と、排除機構40と、外部ノズル50と、下面ノズル60と、上面ノズル70と、スキャンノズル80と、支持機構90とを備える。
スピンチャック20は、1枚の基板100を水平な姿勢で保持する。スピンチャック20は、基板100の中心を通る回転軸線1000まわりに基板100を回転させる。
スピンチャック20は、スピンベース21と、中空軸22と、中空軸22を回転軸線1000まわりに回転させる電動モータ23と、チャックピン24とを備える。
中空軸22は、回転軸線1000に沿って形成される。スピンベース21は、水平方向に沿う円盤形状である。スピンベース21の上面の周縁部には、基板100を把持するための複数のチャックピン24が周方向に間隔を空けて配置される。電動モータ23によって中空軸22が回転することによって、基板100が回転軸線1000まわりに回転する。以下では、基板100の径方向内側を単に「径方向内側」といい、基板100の径方向外側を単に「径方向外側」という場合がある。
遮断板30は、基板100の径以上の径を有する円板状に形成される。遮断板30は、スピンチャック20の上方でほぼ水平に配置される。遮断板30の上面、すなわち、遮断板30のz軸正方向に向く面には、中空軸36が固定される。
基板処理装置は、中空軸36を介して遮断板30を支持する遮断板支持部材31と、遮断板支持部材31を介して遮断板30に連結され、かつ、遮断板30の昇降を駆動する遮断板昇降機構32と、遮断板30を回転軸線1000まわりに回転させる遮断板回転機構33とを備える。
遮断板昇降機構32は、下位置(後述する図14に例示される位置)から上位置(後述する図9に例示される位置)までの任意の位置(高さ)に遮断板30を位置させる。下位置とは、遮断板30の可動範囲において、遮断板30の下面が基板100に最も近接する位置である。下位置では、基板100の上面と遮断板30の下面との間の距離は、たとえば、2.5mm以下である。上位置とは、遮断板30の可動範囲において、遮断板30の下面が基板100から最も離間する位置である。
遮断板昇降機構32は、後述するエンコーダを備える。当該エンコーダは、遮断板30のz軸方向における位置に対応する信号を出力する。後述する制御ユニットは、当該信号を受信することによって、遮断板30のz軸方向における位置を制御することができる。
遮断板回転機構33は、遮断板支持部材31の先端に内蔵された電動モータを備える。電動モータには、遮断板支持部材31内に配された複数の配線34が接続される。複数の配線34は、当該電動モータに送電するためのパワーラインと、遮断板30の回転情報を出力するためのエンコーダラインとを備える。後述する制御ユニットは、遮断板30の回転情報を検知することによって、遮断板30の回転を制御することができる。
排除機構40は、スピンチャック20を平面視において囲んで配置される排気桶49と、平面視において、スピンチャック20と排気桶49との間に配置されるカップ41およびカップ42と、基板100の径方向外側へ排除される処理液を受けるガード43、ガード44およびガード45とを備える。
基板処理装置は、ガード43、ガード44およびガード45の昇降をそれぞれ駆動するガード昇降機構46、ガード昇降機構47およびガード昇降機構48を備える。
排気桶49は、円筒状の筒部と、筒部の径方向外側に筒部から突出する突出部と、突出部の上端に取り付けられた蓋部とを備える。複数のガード昇降機構は、排気桶49の筒部の周方向における突出部の、径方向内側に配置される。
カップ41およびカップ42は、円筒状であり、排気桶49よりも径方向内側でスピンチャック20を囲んで配置される。カップ42は、カップ41よりも径方向外側に配置される。カップ42は、たとえば、ガード45と一体であり、ガード45とともに昇降する。カップ41またはカップ42の底部に導かれた処理液は、回収配管または廃液配管(ここでは、図示しない)を通じて、回収または廃棄される。
ガード43、ガード44およびガード45は、平面視において、基板100、スピンチャック20および遮断板30を囲んで配置される。
ガード43は、排気桶49の筒部よりも径方向内側でスピンチャック20を取り囲む筒状部43Aと、筒状部43Aから径方向内側に延びる延設部43Bとを備える。
ガード43は、ガード昇降機構46によって、ガード43の上端が基板100よりも下方に位置する下位置と、ガード43の上端が基板100よりも上方に位置する上位置との間で昇降される。ガード43は、ガード昇降機構46によって昇降されることで、下位置と上位置との間の遮断板対向位置に位置することができる。ガード43が遮断板対向位置に位置することで、延設部43B(の上方端)が遮断板30に水平方向から対向する。
ガード昇降機構46は、後述するエンコーダを備える。当該エンコーダは、ガード43のz軸方向における位置に対応する信号を出力する。後述する制御ユニットは、当該信号を受信することによって、ガード43のz軸方向における位置を制御することができる。
ガード44は、ガード43の筒状部43Aよりも径方向内側でスピンチャック20を取り囲む筒状部44Aと、筒状部44Aから径方向内側に延びる延設部44Bとを備える。延設部44Bは、径方向内側へ向かうにしたがって上方へ向かうように水平方向に対して傾斜している。延設部44Bは、延設部43Bに下方から対向している。
ガード44は、ガード昇降機構47によって、ガード44の上端が基板100よりも下方に位置する下位置と、ガード44の上端が基板100よりも上方に位置する上位置との間で昇降される。ガード44は、ガード昇降機構47によって昇降されることで、下位置と上位置との間の基板対向位置および遮断板対向位置に位置することができる。ガード44が基板対向位置に位置することで、延設部44B(の上方端)が基板100に水平方向から対向する。また、ガード44が遮断板対向位置に位置することで、延設部44B(の上方端)が遮断板30に水平方向から対向する。
ガード昇降機構47は、後述するエンコーダを備える。当該エンコーダは、ガード44のz軸方向における位置に対応する信号を出力する。後述する制御ユニットは、当該信号を受信することによって、ガード44のz軸方向における位置を制御することができる。
ガード45は、ガード44の筒状部44Aよりも径方向内側でスピンチャック20を取り囲む筒状部45Aと、筒状部45Aから径方向内側に延びる延設部45Bとを備える。延設部45Bは、延設部44Bに下方から対向している。
ガード45は、ガード昇降機構48によって、ガード45の上端が基板100よりも下方に位置する下位置と、ガード45の上端が基板100よりも上方に位置する上位置との間で昇降される。ガード45は、ガード昇降機構48によって昇降されることで、下位置と上位置との間の基板対向位置に位置することができる。ガード45が基板対向位置に位置することで、延設部45B(の上方端)が基板100に水平方向から対向する。
ガード昇降機構48は、後述するエンコーダを備える。当該エンコーダは、ガード45のz軸方向における位置に対応する信号を出力する。後述する制御ユニットは、当該信号を受信することによって、ガード45のz軸方向における位置を制御することができる。
ガード43が遮断板対向位置に位置する状態で、ガード43は、スピンチャック20に保持された基板100と遮断板30とともに周囲の雰囲気から隔離された処理空間Aを形成する。ここで、周囲の雰囲気とは、たとえば、遮断板30よりも上方の雰囲気、または、ガード43よりも径方向外側の雰囲気のことである。処理空間Aは、ガード44が基板対向位置に位置する状態で、ガード44によって下方から区画される。
下面ノズル60は、基板100の下面に加熱流体を供給する。下面ノズル60は、中空軸22に挿通される。下面ノズル60は、基板100の下面中央に臨む吐出口を上端に有する。下面ノズル60には、温水などの加熱流体が、加熱流体供給管65を介して加熱流体供給源から供給される。加熱流体供給管65には、流路を開閉するための加熱流体バルブ51が設けられる。温水は、室温よりも高温の水であり、たとえば、80℃以上、かつ、85℃以下の水である。加熱流体は、温水に限らず、高温の窒素ガスなどの気体であってもよく、基板100を加熱することができる流体であればよい。
外部ノズル50は、基板100の上方に位置し、かつ、基板100の上面にフッ酸などの薬液を供給する。外部ノズル50は、ガード43の外部から延びて形成され、かつ、平面視において基板100の占有範囲内へと進入可能である。ここで、基板100の占有範囲とは、平面視において基板100と重なる範囲をいう。外部ノズル50には、薬液が、薬液供給管53を介して薬液供給源から供給される。薬液供給管53には、その流路を開閉する薬液バルブ54が設けられる。
ここで、薬液とは、フッ酸に限られず、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(たとえば、クエン酸、または、蓚酸など)、有機アルカリ(たとえば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなど)、界面活性剤、腐食防止剤のうちの少なくとも1つを含む液であってもよい。これらを混合した薬液の例としては、SPM(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:硫酸過酸化水素水混合液)、SC1(ammonia hydrogen peroxide mixture:アンモニア過酸化水素水混合液)などが挙げられる。
外部ノズル50は、外部ノズル移動機構52(図1を参照)によって、鉛直方向および水平方向に移動される。外部ノズル50は、水平方向への移動によって、基板100の上面の回転中心位置に対向する中央位置と、基板100の上面に対向しない退避位置との間で移動させることができる。基板100の上面の回転中心位置とは、基板100の上面における回転軸線1000との交差位置である。基板100の上面に対向しない退避位置とは、平面視においてスピンベース21の外側の位置である。外部ノズル50は、段階的に折れ曲がった形状を有する。
上面ノズル70は、基板100の上面に液体を供給するノズルである。本実施の形態では、上面ノズル70は、中空軸36に挿通されたノズル収容部材に共通に収容される、DIWノズル13と、中央IPAノズル11と、不活性ガスノズル12とを含む。
DIWノズル13は、基板100の上面の中央領域にリンス液としての脱イオン水(DIW:Deionized Water)を供給する。中央IPAノズル11は、有機溶剤としてのIPAを基板100の上面の中央領域に供給する。不活性ガスノズル12は、基板100の上面の中央領域に窒素ガス(N2)などの不活性ガスを供給する。ここで、基板100の上面の中央領域とは、基板100の上面における回転軸線1000との交差位置を備える基板100の上面の中央辺りの領域である。
DIWノズル13、中央IPAノズル11、および、不活性ガスノズル12それぞれの先端は、遮断板30の下面と略同一の高さに配置される。DIWノズル13、中央IPAノズル11、および、不活性ガスノズル12それぞれは、処理空間Aが形成された状態であっても、基板100の上面の中央領域にDIW、IPAおよび不活性ガスをそれぞれ供給することができる。
DIWノズル13には、DIW供給源から、DIW供給管55を介して、DIWが供給される。DIW供給管55には、その流路を開閉するためのDIWバルブ56が設けられる。
なお、DIWノズル13は、DIW以外のリンス液を供給するリンス液ノズルであってもよい。ここで、リンス液には、DIWのほかにも、炭酸水、電界イオン水、オゾン水、希釈濃度(たとえば、10ppm以上、かつ、100ppm以下程度)の塩酸水、還元水(水素水)などが挙げられる。
中央IPAノズル11には、IPA供給源から、中央IPA供給管57を介して、IPAが供給される。中央IPA供給管57には、流路を開閉するための中央IPAバルブ58と、中央IPAノズル11に供給されるIPAの流量を調整する中央IPA流量調整バルブ64とが設けられる。
中央IPAノズル11は、本実施の形態では、IPAを供給する構成であるが、水よりも表面張力が小さい低表面張力液体を基板100の上面の中央領域に供給する中央低表面張力液体ノズルとして機能すればよい。
低表面張力液体としては、基板100の上面および基板100に形成されたパターンと化学反応しない、すなわち、反応性が乏しい、IPA以外の有機溶剤を用いることができる。より具体的には、IPA、HFE(ハイドロフルオロエーテル)、メタノール、エタノール、アセトンおよびTrans−1,2ジクロロエチレンのうちの少なくとも1つを備える液を低表面張力液体として用いることができる。また、低表面張力液体は、単体成分のみからなる必要はなく、他の成分と混合した液体であってもよい。たとえば、IPA液と純水との混合液であってもよいし、IPA液とHFE液との混合液であってもよい。
不活性ガスノズル12には、窒素ガスなどの不活性ガスが、不活性ガス供給管59を介して不活性ガス供給源から供給される。不活性ガス供給管59には、その流路を開閉する不活性ガスバルブ66が設けられる。不活性ガスとは、窒素ガスに限らず、基板100の上面およびパターンに対して不活性なガスのことであり、たとえば、アルゴンなどの希ガス類であってもよい。
スキャンノズル80は、処理空間Aが形成された状態で処理空間A内に配置されるようにガード43の内壁から延び、かつ、基板100の上面にIPAを供給する。スキャンノズル80は、ガード43の内壁に回転可能に連結され、かつ、当該連結部位から基板100の占有範囲における処理空間A内に配置されるように延びる。基板処理装置は、ガード43に連結され、かつ、基板100の上面と遮断板30の下面との間でスキャンノズル80を移動させ、走査させるスキャンノズル移動機構14とを備える。
スキャンノズル80には、IPAが、IPA供給管61を介してIPA供給源から供給される。IPA供給管61には、流路を開閉するためのIPAバルブ62とスキャンノズル80に供給されるIPAの流量を調整するIPA流量調整バルブ63とが設けられる。
スキャンノズル80は、水平方向に延び、かつ、平面視で湾曲する。具体的には、スキャンノズル80は、ガード43の筒状部43Aに対応する円弧形状を有する。スキャンノズル80の先端には、基板100の上面に向けて鉛直方向に(下方に)IPAを吐出する吐出口が設けられる。
スキャンノズル80は、基板100の上面に沿って水平方向への走査する。また、スキャンノズル80は、基板100の上面の回転中心位置に対向する中央位置と、基板100の上面に対向しない退避位置との間で移動することができる。退避位置は、平面視において、スピンベース21の外側の位置であり、より具体的には、ガード43の筒状部43Aに径方向内側から隣接する位置であってもよい。
スキャンノズル移動機構14は、後述するエンコーダを備える。当該エンコーダは、スキャンノズル80のxy平面における回動角度を示す信号を出力する。後述する制御ユニットは、当該信号を受信することによって、スキャンノズル80のxy平面における回動角度を制御することができる。
ガード43の延設部43Bは、水平方向に対して傾斜する傾斜部43Cと、水平方向に平坦な平坦部43Dとを一体的に備える。図1に例示されるように、平坦部43Dと傾斜部43Cとは、基板100の回転方向に並んで配置される。平坦部43Dは、径方向外側に向かうにしたがって傾斜部43Cよりも上方に位置する。平坦部43Dは、平面視における径方向外側で、スキャンノズル80とスキャンノズル移動機構14とに重なるように配置される。平坦部43Dは、平面視において、少なくとも、退避位置にあるスキャンノズル80と重なるように配置されていればよい。
ガード43とガード44との間には、スキャンノズル80を収容可能な収容空間Bが形成される。収容空間Bは、ガード43の筒状部43Aに対応して基板100の回転方向に延びており、平面視において円弧形状を有する。収容空間Bは、筒状部43Aと平坦部43Dと延設部44Bとによって区画される空間である。退避位置に位置するスキャンノズル80は、収容空間Bに収容された状態で、平坦部43Dに下方から近接して配置される。
支持機構90は、支持具75と、台座71と、支持具72と、ベローズ74とを備える。支持具75は、ガード昇降機構46に取り付けられ、かつ、スキャンノズル移動機構14をガード43に固定する。台座71は、支持具75によって支持され、かつ、駆動機構16を固定する。支持具72は、ガード43に連結され、かつ、支持具75よりも径方向内側で台座71を支持する。スキャンノズル移動機構14の支持具75によって固定される部分は、平面視において、ガード昇降機構46と重なる。ベローズ74は、ガード43とチャンバ10の天板10aとの間に配置され、かつ、上下に伸縮可能である。ベローズ74の下端は、スキャンノズル移動機構14の上端に固定される。また、ベローズ74の上端は、チャンバ10の天板10aに固定される。
図3は、本実施の形態に関する、スキャンノズル移動機構14の構造を概略的に例示する縦断面図である。スキャンノズル移動機構14は、ノズル支持部材15と、駆動機構16と、駆動力伝達部材18とを備える。
ノズル支持部材15は、スキャンノズル80を支持する。駆動機構16は、ガード43に連結され、かつ、ノズル支持部材15を駆動する。駆動力伝達部材18は、駆動機構16の駆動力をノズル支持部材15に伝達する。駆動機構16および駆動力伝達部材18は、処理空間A(図2を参照)の外側に配置される。
駆動機構16は、上下に延びる回転軸86と、回転軸86を回転する回転駆動源である駆動モータ81とを備える。駆動モータ81は、略直方体のモータハウジングを備える。また、駆動モータ81は、台座71を覆って形成されるカバー73を貫通して配置される。また、駆動モータ81は、その長手方向がz軸方向に沿うように、台座71の上面から上方に延びるモータ支持具82によって固定される。
また、駆動機構16は、駆動モータ81の回転角度を検知するためのエンコーダ87を備える。駆動モータ81の上端には、電源ケーブルなどの配線が連結される。
駆動力伝達部材18は、駆動機構16の回転軸86に固定されたプーリー83と、ノズル支持部材15に固定されたプーリー84と、プーリー83とプーリー84との間に掛け渡された伝達ベルト85とを備える。
駆動機構16の駆動モータ81が回転軸86を回転させると、伝達ベルト85がプーリー83およびプーリー84の周囲を回転する。そして、回転軸86の回転が、プーリー84を介してノズル支持部材15を回動させる。
ノズル支持部材15は、中心軸線まわりに回動する回動軸の形態を有する。スキャンノズル80およびノズル支持部材15は、一体に形成されていてもよい。
エンコーダ87は、駆動モータ81の端部に設けられ、かつ、駆動モータ81の回転角度を検知する。そして、エンコーダ87は、当該回転角度を示す角度信号を出力する。角度信号が示す回転角度は、たとえば、平面視において基板100とスキャンノズル80とが重なる角度範囲内に基準線(基準位置)が設けられる場合に、ノズル支持部材15を回動軸とする当該基準線からのスキャンノズル80の平面視における回動角度に対応するものである。エンコーダ87によって出力された角度信号は後述する制御ユニットによって受信され、制御ユニットにおいて、当該角度信号がスキャンノズル80の回動角度に一致するための必要な変換が行われる。
ノズル支持部材15の上端は、カバー73よりも上方に位置する。ノズル支持部材15およびスキャンノズル80は、中空軸の形態を有する。ノズル支持部材15の内部空間とスキャンノズル80の内部空間とは、連通する。ノズル支持部材15には、上方からIPA供給管61が挿通される。
ノズル支持部材15は、カバー73および台座71を貫通して設けられる。また、ノズル支持部材15は、ガード43の平坦部43Dに形成された貫通孔43Eに挿通される。ノズル支持部材15と貫通孔43Eの内壁との間には、ゴムなどのシール部材43Fが配置される。これによって、ノズル支持部材15と貫通孔43Eの内壁との間がシールされる。
図4は、本実施の形態に関する、遮断板昇降機構32の構造を概略的に例示する縦断面図である。図4は、図1におけるB−B’断面に沿う縦断面図である。遮断板昇降機構32は、駆動源98と、昇降ヘッド91と、回転伝達機構92と、支持具93と、支持具94とを備える。
駆動源98は、上下に延びる回転軸98Aを備える。昇降ヘッド91は、遮断板30とともに駆動源98によって上下動される。回転伝達機構92は、回転軸98Aの回転を昇降ヘッド91に伝達することによって、昇降ヘッド91を上下動させる。支持具93は、駆動源98を支持する。支持具94は、昇降ヘッド91を上下動可能に支持する。
駆動源98は、上下に延びる回転軸98Aを回転する回転駆動源である駆動モータ98Bを備える。駆動モータ98Bは、略直方体のモータハウジングを有する。駆動モータ98Bは、その長手方向がz軸方向に沿うように、チャンバ10の底板10bから上方に延びる支持具93によって固定される。駆動源98は、駆動モータ98Bの回転角度を検知するためのエンコーダ99を備える。駆動源98の回転軸98Aは、駆動モータ98Bによって支持される。回転軸98Aは、駆動モータ98Bの下端から下方に延びている。
昇降ヘッド91は、z軸方向に延びる四角柱状であり、かつ、駆動源98の側方に配置される。昇降ヘッド91には、駆動源98側とは反対側から駆動源98側に昇降ヘッド91を切り欠く凹部91Aが形成される。昇降ヘッド91は、凹部91Aを下方から区画する下板部91Bと、凹部91Aを上方から区画する上板部91Cとを有する。
支持具94は、チャンバ10の底板10bから上方に延びる略角筒状である。昇降ヘッド91は、支持具94に支持される。具体的には、昇降ヘッド91は、支持具94の駆動源98側の面の両側方の面に摺動可能に支持される。
回転伝達機構92は、上下に延びるねじ軸92Aと、回転軸98Aの回転をねじ軸92Aに伝達する伝達ベルト92Bと、昇降ヘッド91に固定され、かつ、ねじ軸92Aと螺合するナット92Cとを備える。
ねじ軸92Aは、たとえば、軸受92Dを介して支持具94に回転可能に支持される。ねじ軸92Aは、下板部91Bに設けられた挿通孔に挿通されており、その先端は、昇降ヘッド91の凹部91A内に位置する。伝達ベルト92Bは、回転軸98Aの下端と、ねじ軸92Aの下端に取り付けられたプーリー92Eとに掛け渡される。ナット92Cは、凹部91A内に収容され、かつ、下板部91Bにねじなどにより固定される。
次に、遮断板昇降機構32の動作について説明する。
駆動源98の駆動モータ98Bが回転軸98Aを回転させると、伝達ベルト92Bが回転軸98Aおよびプーリー92Eの周囲を回転する。そして、伝達ベルト92Bは、プーリー92Eを介してねじ軸92Aを回転させる。
回転軸98Aの回転は、ねじ軸92Aに伝達される。そして、ねじ軸92Aの回転は、ねじ軸92Aに螺合するナット92Cの昇降運動、すなわち、ナット92Cが固定された昇降ヘッド91のz軸方向の直線運動に変換される。したがって、昇降ヘッド91とともに遮断板30(図2を参照)が昇降する。
一方で、駆動源98の駆動モータ98Bが回転軸98Aの回転を停止させると、ねじ軸92Aと螺合するナット92Cの昇降運動は停止されるので、遮断板30の昇降が停止される。
エンコーダ99は、駆動モータ98Bの端部に設けられ、かつ、駆動モータ98Bの回転角度を検知する。そして、エンコーダ99は、当該回転角度を示す角度信号を出力する。角度信号が示す回転角度は、たとえば、z軸方向における基板100の上面の位置に基準位置が設けられる場合に、当該基準位置からの遮断板30のz軸方向距離に対応するものである。エンコーダ99によって出力された角度信号は後述する制御ユニットによって受信され、制御ユニットにおいて、当該角度信号を遮断板30のz軸方向位置に一致させるための必要な変換が行われる。
基板処理装置は、複数の配線34を介して遮断板30に電気的に連結され、かつ、上下に伸縮可能なコイル状の複数の配線95と、遮断板30とともに昇降し、かつ、複数の配線95の伸縮をガイドする配線ガイド96とを備える。
複数の配線95は、配線34と同数設けられる。それぞれの配線95には、配線34が1本ずつ接続される。複数の配線95は、全体としてz軸方向に延びる筒状を形成しており、z軸方向に延びる円筒状空間95Aを区画している。配線ガイド96は、遮断板支持部材31から下方に延びる軸状である。配線ガイド96は、コイル状の複数の配線95によって区画される円筒状空間95Aに挿通される。
昇降ヘッド91とともに遮断板30が下降する際、コイル状の配線95は、円筒状空間95Aを下降する配線ガイド96によってガイドされながらz軸方向にピッチを縮めることでz軸方向に収縮する。逆に、昇降ヘッド91とともに遮断板30が上昇する際、コイル状の配線95は、円筒状空間95Aを上昇する配線ガイド96によってガイドされながらz軸方向にピッチを広げることでz軸方向に伸長する。
基板処理装置は、遮断板昇降機構32を収容し、かつ、遮断板昇降機構32をチャンバ10内の雰囲気から隔離する隔離部材97を備える。隔離部材97は、チャンバ10の底板10bに固定されたハウジング97Aと、ハウジング97Aと遮断板支持部材31との間に設けられ、上下に伸縮可能な遮断板用ベローズ97Bおよび遮断板用ベローズ97Cを備える。
ハウジング97Aは、駆動源98と昇降ヘッド91の下側部分とを収容する。遮断板用ベローズ97Bおよび遮断板用ベローズ97Cは、たとえば、テフロン(登録商標)製である。遮断板用ベローズ97Bは、昇降ヘッド91の上側部分を収容する。遮断板用ベローズ97Cは、複数の配線95を収容する。遮断板用ベローズ97Bおよび遮断板用ベローズ97Cは、昇降ヘッド91の昇降運動に合わせて遮断板支持部材31が昇降運動する際にz軸方向に伸縮する。
図5は、本実施の形態に関する、ガード昇降機構46の構造を概略的に例示する縦断面図である。ガード昇降機構46は、駆動源122と、昇降ヘッド124と、回転伝達機構126と、支持具128と、支持具130とを備える。
駆動源122は、上下に延びる回転軸122Aを備える。昇降ヘッド124は、ガード43とともに駆動源122によって上下動される。回転伝達機構126は、回転軸122Aの回転を昇降ヘッド124に伝達することによって、昇降ヘッド124を上下動させる。支持具128は、駆動源122を支持する。支持具130は、昇降ヘッド124を上下動可能に支持する。
駆動源122は、上下に延びる回転軸122Aを回転する回転駆動源である駆動モータ122Bを備える。駆動モータ122Bは、略直方体のモータハウジングを有する。駆動モータ122Bは、その長手方向がz軸方向に沿うように、チャンバ10の底板10bから上方に延びる支持具128によって固定される。駆動源122は、駆動モータ122Bの回転角度を検知するためのエンコーダ132を備える。駆動源122の回転軸122Aは、駆動モータ122Bによって支持される。回転軸122Aは、駆動モータ122Bの下端から下方に延びている。
昇降ヘッド124は、z軸方向に延びる四角柱状であり、かつ、駆動源122の側方に配置される。昇降ヘッド124には、駆動源122側とは反対側から駆動源122側に昇降ヘッド124を切り欠く凹部124Aが形成される。昇降ヘッド124は、凹部124Aを下方から区画する下板部124Bと、凹部124Aを上方から区画する上板部124Cとを有する。
支持具130は、チャンバ10の底板10bから上方に延びる略角筒状である。昇降ヘッド124は、支持具130に支持される。具体的には、昇降ヘッド124は、支持具130の駆動源122側の面の両側方の面に摺動可能に支持される。
回転伝達機構126は、上下に延びるねじ軸126Aと、回転軸122Aの回転をねじ軸126Aに伝達する伝達ベルト126Bと、昇降ヘッド124に固定され、かつ、ねじ軸126Aと螺合するナット126Cとを備える。
ねじ軸126Aは、たとえば、軸受126Dを介して支持具130に回転可能に支持される。ねじ軸126Aは、下板部124Bに設けられた挿通孔に挿通されており、その先端は、昇降ヘッド124の凹部124A内に位置する。伝達ベルト126Bは、回転軸122Aの下端と、ねじ軸126Aの下端に取り付けられたプーリー126Eとに掛け渡される。ナット126Cは、凹部124A内に収容され、かつ、下板部124Bにねじなどにより固定される。
次に、ガード昇降機構46の動作について説明する。
駆動源122の駆動モータ122Bが回転軸122Aを回転させると、伝達ベルト126Bが回転軸122Aおよびプーリー126Eの周囲を回転する。そして、伝達ベルト126Bは、プーリー126Eを介してねじ軸126Aを回転させる。
回転軸122Aの回転は、ねじ軸126Aに伝達される。そして、ねじ軸126Aの回転は、ねじ軸126Aに螺合するナット126Cの昇降運動、すなわち、ナット126Cが固定された昇降ヘッド124のz軸方向の直線運動に変換される。したがって、昇降ヘッド124とともにガード43(図2を参照)が昇降する。
一方で、駆動源122の駆動モータ122Bが回転軸122Aの回転を停止させると、ねじ軸126Aと螺合するナット126Cの昇降運動は停止されるので、ガード43の昇降が停止される。
エンコーダ132は、駆動モータ122Bの端部に設けられ、かつ、駆動モータ122Bの回転角度を検知する。そして、エンコーダ132は、当該回転角度を示す角度信号を出力する。角度信号が示す回転角度は、たとえば、z軸方向における基板100の上面の位置に基準位置が設けられる場合に、当該基準位置からのガード43のz軸方向距離に対応するものである。エンコーダ132によって出力された角度信号は後述する制御ユニットによって受信され、当該角度信号がガード43のz軸方向位置に一致するための必要な変換が行われる。
基板処理装置は、ガード昇降機構46を収容し、かつ、ガード昇降機構46をチャンバ10内の雰囲気から隔離する隔離部材134を備える。隔離部材134は、チャンバ10の底板10bに固定されたハウジング134Aと、ハウジング134Aとガード43との間に設けられ、上下に伸縮可能なガード用ベローズ134Bを備える。
ハウジング134Aは、駆動源122と昇降ヘッド124の下側部分とを収容する。ガード用ベローズ134Bは、たとえば、テフロン(登録商標)製である。ガード用ベローズ134Bは、昇降ヘッド124の上側部分を収容する。ガード用ベローズ134Bは、昇降ヘッド124の昇降運動に合わせてガード43が昇降運動する際にz軸方向に伸縮する。
なお、他のガード昇降機構47およびガード昇降機構48については、ほぼ同様の構造であるため説明を省略する。
図6は、本実施の形態に関する、基板処理装置の機能的構成を例示するブロック図である。制御ユニット3は、マイクロコンピュータを備えており、所定の制御プログラムにしたがって、基板処理装置に備えられた制御対象を制御する。具体的には、制御ユニット3は、プロセッサ(CPU)3Aと、制御プログラムが格納されたメモリ3Bとを含み、プロセッサ3Aが制御プログラムを実行することによって、基板処理のための様々な制御を実行するように構成される。
特に、制御ユニット3は、搬送ロボット、スキャンノズル移動機構14、電動モータ23、遮断板回転機構33、遮断板昇降機構32、ガード昇降機構46、ガード昇降機構47、ガード昇降機構48、外部ノズル移動機構52、およびバルブ類などの動作を制御する。
図7は、制御ユニット3の機能的構成を例示するブロック図である。図7に例示されるように、制御ユニット3は、変換部301と、制御部302とを備える。それぞれの構成の機能については、後述する。
<基板処理装置の動作について>
図8は、本実施の形態に関する、基板処理装置による基板処理を例示するフローチャートである。図8においては、主として、制御ユニット3が動作プログラムを実行することによって実現される処理が示される。また、図9から図15は、本実施の形態に関する、基板処理の動作を説明するための縦断面図である。
基板処理装置による基板処理では、たとえば、図8に例示されるように、基板搬入(S1)、薬液処理(S2)、DIWリンス処理(S3)、有機溶剤処理(S4)、乾燥処理(S5)および基板搬出(S6)がこの順番で実行される。
まず、基板処理装置による基板処理では、未処理の基板100は、搬送ロボットによってキャリヤから基板処理装置に搬入され、スピンチャック20に渡される(S1)。この後、基板100は、搬送ロボットによって搬出されるまで、スピンチャック20に水平に保持される。
次に、図9に例示されるように、薬液処理(S2)について説明する。搬送ロボットが基板処理装置外に退避した後、基板100の上面を薬液で洗浄する薬液処理(S2)が実行される。
具体的には、まず、制御部302は、不活性ガスバルブ66を開き、基板100の上面に向けて不活性ガスノズル12から不活性ガス(たとえば、N2ガス)を供給させる。このときの不活性ガスの流量は、たとえば、10リットル/min、または、それ未満の流量である。
そして、制御部302は、スキャンノズル移動機構14を制御することによって、スキャンノズル80を退避位置に位置させる。スキャンノズル80を退避位置に配置した状態で、制御部302は、ガード昇降機構46およびガード昇降機構47を制御することによって、ガード43およびガード44をz軸方向に互いに近づけた状態で基板100よりも上方に配置する。これによって、退避位置に位置するスキャンノズル80は、ガード43の延設部43Bの平坦部43Dと、ガード43の筒状部43Aと、ガード44の延設部44Bとによって区画される収容空間B内に収容される。また、制御部302は、ガード昇降機構48を制御することによって、ガード45を基板対向位置に配置する。
制御部302は、上記の制御、すなわち、スキャンノズル80を退避位置に位置させる制御、および、ガード43、ガード44およびガード45の移動制御に際し、たとえば、スキャンノズル80、ガード43、ガード44およびガード45の位置を、変換部301において基板100の上面を基準位置とする共通の座標系における位置座標に変換した上で、動作制御に用いることができる。
具体的には、変換部301は、まず、エンコーダ87から出力される、駆動モータ81の回転角度を示す角度信号を、共通の座標系における基準線(基準位置)からのスキャンノズル80の回動角度に変換する。同様に、変換部301は、エンコーダ132から出力される、駆動モータ122Bの回転角度を示す角度信号を、共通の座標系における基準位置からのガード43およびスキャンノズル80のz軸方向距離に変換する。スキャンノズル80はガード43に取り付けられているため、ガード43のz軸方向位置に基づいてスキャンノズル80のz軸方向位置を把握することができる。ガード44およびガード45についても同様に、駆動モータの回転角度を示す角度信号を、共通の座標系における基準位置からのガード44およびガード45のz軸方向距離に変換する。
そして、制御部302は、変換部301によって変換された角度信号により、たとえば、図16における基準座標CRDに例示されるような基準位置z0の3次元座標系におけるスキャンノズル80(回転角度θ、支点の位置座標x1)、ガード43(位置座標z1)、ガード44(位置座標z2)およびガード45(位置座標z3)の位置関係を特定した上で、スキャンノズル80、ガード43、ガード44およびガード45の位置を移動させることができる。
このような制御によれば、スキャンノズル80、ガード43、ガード44およびガード45の位置が、共通の座標系に基づいてそれぞれ3次元的に正確に把握される。そのため、各部材間の距離を高い精度で認識することができる。したがって、たとえば、実空間における各部材間に禁止距離Lをあらかじめ定義することによって、各部材の位置座標が禁止距離L以上の間隔を確保しつつ同時に動作するように各部材の動作を制御することができる。たとえば、スキャンノズル80が中心位置から退避位置に完全に移動し終える前に、スキャンノズル80とガード44との禁止距離Lよりも近づかない範囲内で、ガード43およびガード44をz軸方向に互いに近づけ始めるなどの制御も可能になる。ここで、禁止距離Lは、各部材を移動させる駆動系による誤差範囲を考慮して設定された領域であり、各部材間の組み合わせによって異なる幅の禁止距離Lが定義されてもよい。なお、各部材の共通の座標系における位置座標の把握は、制御動作中に常に行っておく必要はなく、たとえば、他の部材と干渉しうる領域にある構成が位置する間だけ、干渉しあう部材同士の共通の座標系における位置座標を把握してもよい。
次に、制御部302は、電動モータ23を駆動してスピンベース21を所定の薬液速度で回転させる。薬液速度は、たとえば、300rpmである。制御部302は、遮断板回転機構33を制御することによって、遮断板30を回転させてもよい。このとき、遮断板30は、スピンベース21と同期回転する。同期回転とは、同じ方向に同じ回転速度で回転することをいう。そして、制御部302は、遮断板昇降機構32を制御して遮断板30を上位置(第1の位置P1)に配置する。制御部302は、外部ノズル移動機構52を制御することによって、外部ノズル50を基板100の上方の薬液処理位置に配置する。すなわち、制御部302は、外部ノズル50を、基板の占有範囲内に進入させる。
薬液処理位置は、外部ノズル50から吐出される薬液が基板100の上面の回転中心に着液する位置であってもよい。そして、制御部302は、薬液バルブ54を開く。それにより、回転状態の基板100の上面に向けて、外部ノズル50から薬液が供給される。供給された薬液は遠心力によって基板100の上面全体に行き渡る。
遠心力によって基板外に飛び散った薬液(図9において、基板100側方の太線矢印で示されるもの)は、ガード44の延設部44Bとガード45の延設部45Bとの間を通って、ガード44の筒状部44Aによって受けられる。筒状部44Aによって受けられた薬液は、カップ42(図2を参照)へと流れる。
このとき、スキャンノズル80は、ガード43の平坦部43Dおよび筒状部43Aとガード44の延設部44Bとによって区画された収容空間Bに収容される。ここで、収容空間Bは、基板100の占有範囲外の空間である。そのため、基板100の上面から飛散した薬液によるスキャンノズル80の汚染を抑制または防止することができる。
次に、図10および図11に例示されるように、DIWリンス処理(S3)について説明する。一定時間の薬液処理(S2)の後、基板100上の薬液をDIWに置換することによって、基板100の上面から薬液を排除するためのDIWリンス処理(S3)が実行される。具体的には、図10に例示されるように、制御部302は、薬液バルブ54を閉じる。そして、制御部302は、外部ノズル移動機構52を制御することによって、外部ノズル50を基板100の上方からスピンベース21の側方へと退避させる。すなわち、制御部302は、外部ノズル50を基板100の占有範囲外に退避させる。
さらに、制御部302は、ガード昇降機構46、ガード昇降機構47およびガード昇降機構48を制御することによって、ガード43、ガード44およびガード45をそれぞれ基板100よりも上方に配置する。この状態でも、先ほどと同様に収容空間Bが形成されており、退避位置に位置するスキャンノズル80は、収容空間B内に収容される。
そして、制御部302は、DIWバルブ56を開く。それによって、回転状態の基板100の上面に向けてDIWノズル13からDIWが供給される。供給されたDIWは遠心力によって基板100の上面全体に行き渡る。このDIWによって基板100上の薬液が洗い流される。
DIWリンス処理においても、不活性ガスノズル12による不活性ガスの供給と、スピンベース21による基板100の回転とが継続される。DIWリンス処理における不活性ガスの流量は、たとえば、10リットル/minまたはそれ未満の流量である。
基板100は、所定の第1DIWリンス速度で回転される。第1DIWリンス速度は、たとえば300rpmである。制御部302は、遮断板回転機構33を制御することによって、遮断板30を回転させてもよい。このとき、遮断板30は、スピンベース21と同期回転する。制御部302は、遮断板昇降機構32を制御することによって、遮断板30が上位置(第1の位置P1)に位置する状態を維持する。
遠心力によって基板100外に飛び散ったDIW(図10において、基板100側方の太線矢印で示されるもの)は、ガード45の延設部45Bの下方を通って、ガード45に筒状部45Aによって受けられる。筒状部45Aによって受けられたDIWは、カップ41(図2を参照)へと流れる。
このとき、スキャンノズル80は、ガード43の平坦部43Dおよび筒状部43Aとガード44の延設部44Bによって区画された収容空間Bに収容される。そのため、基板100の上面から飛散した薬液およびDIWによるスキャンノズル80の汚染を抑制または防止することができる。
そして、図11に例示されるように、回転状態の基板100の上面に向けてDIWノズル13からDIWが供給されている状態で、制御部302は、遮断板昇降機構32を制御することによって、遮断板30を上位置から第1近接位置(第2の位置P2)に下降させる。ここで、第1近接位置(第2の位置P2)とは、遮断板30の下面が基板100の上面に近接する位置であり、かつ、基板100の上面と遮断板30の下面との間の距離が7mm以下となる位置である。本実施の形態とは異なり、制御部302は、遮断板30を上位置から第1近接位置(第2の位置P2)でなく第2近接位置(第2の位置P2)に移動させてもよい。ここで、第2近接位置(第2の位置P2)とは、遮断板30の下面が基板100の上面に近接する位置であり、かつ、第1近接位置(第2の位置P2)よりも上方の位置である。遮断板30が第2近接位置(第2の位置P2)に位置するときの遮断板30の下面は、遮断板30が第1近接位置に位置するときの遮断板30の下面よりも上方に位置し、かつ、基板100の上面との距離が15mm程度である。
そして、制御部302は、ガード昇降機構46、ガード昇降機構47およびガード昇降機構48を制御することによって、ガード43を遮断板対向位置に配置し、かつ、ガード44を基板対向位置に配置する。これによって、基板100、遮断板30、ガード43およびガード44によって処理空間Aが形成される。
ここで、制御部302は、上記の制御、すなわち、遮断板30を第1近接位置または第2近接位置に位置させる制御、および、ガード43およびガード44の移動制御に際し、たとえば、遮断板30、ガード43およびガード44の位置を、変換部301において基板100の上面を基準位置とする共通の座標系における位置座標に変換した上で、動作制御に用いることができる。
具体的には、変換部301は、まず、エンコーダ99から出力される、駆動モータ98Bの回転角度を示す角度信号を、共通の座標系における基準位置からの遮断板30のz軸方向距離に変換する。同様に、変換部301は、エンコーダ132から出力される、駆動モータ122Bの回転角度を示す角度信号を、共通の座標系における基準位置からのガード43のz軸方向距離に変換する。ガード44についても同様に、駆動モータの回転角度を示す角度信号を、共通の座標系における基準位置からのガード44のz軸方向距離に変換する。
そして、制御部302は、変換部301によって変換された角度信号による、たとえば、図16における基準座標CRDに例示されるような基準位置z0の3次元座標系における遮断板30(位置座標z4)、ガード43(位置座標z1)およびガード44(位置座標z2)の位置関係を特定した上で、遮断板30、ガード43およびガード44の位置を移動させることができる。
このような制御によれば、遮断板30、ガード43およびガード44の位置が、共通の座標系に基づいてそれぞれ正確に把握される。そのため、各部材の間隔を高い精度で認識することができる。したがって、たとえば、基板100の上面と遮断板30の下面との間の距離を高い精度で調整することができる。また、たとえば、ガード43の位置を、z軸方向に移動する遮断板30に対向する位置に高い精度で合わせることができるため、処理空間Aの密閉度を高めることができる。
そして、制御部302は、不活性ガスバルブ66を制御することによって、不活性ガスノズル12から供給される不活性ガスの流量を所定の置換流量にする。置換流量は、たとえば、300リットル/minである。これによって、処理空間A内の雰囲気が不活性ガスで置換される。
さらに、制御部302は、電動モータ23を制御することによって、スピンベース21を所定の第2DIWリンス速度で回転させる。ここで、第2DIWリンス速度は、たとえば、300rpmである。制御部302は、遮断板回転機構33を制御することによって、遮断板30を回転させてもよい。このとき、遮断板30は、スピンベース21と同期回転する。
遠心力によって基板100外に飛び散った薬液およびDIW(図11において、基板100側方の太線矢印で示されるもの)は、ガード43の傾斜部43Cとガード44の延設部44Bとの間を通って、または、ガード43の平坦部43Dとガード44の延設部44Bとの間を通って、ガード43の筒状部43Aによって受けられる。
収容空間Bを上方から区画する平坦部43Dは、径方向外側に向かうにしたがって傾斜部43Cよりも上方に位置するように傾斜部43Cよりも上方に突出する。また、退避位置に位置するスキャンノズル80が平坦部43Dに下方から隣接する。そのため、基板100の上面から飛散した薬液およびDIWが平坦部43Dと延設部44Bとの間を通る場合であっても、退避位置に位置するスキャンノズル80が傾斜部43Cの下方から隣接する構成と比較して、スキャンノズル80の汚染を抑制することができる。
次に、図12から図14に例示されるように、有機溶剤処理(S4)について説明する。一定時間のDIWリンス処理(S3)の後、基板100上のDIWを、水よりも表面張力の低い低表面張力液体である有機溶剤(たとえば、IPA)に置換する有機溶剤処理(S4)が実行される。有機溶剤処理が実行される間、基板100を加熱してもよい。具体的には、制御部302が、加熱流体バルブ51を開いて、下面ノズル60から加熱流体を供給させることで基板100を加熱する。
図12に例示されるように、有機溶剤処理では、まず、基板100の上面のDIWをIPAで置換するIPA置換ステップが実行される。
制御部302は、遮断板昇降機構32を制御することによって、遮断板30を第1近接位置から第2近接位置に上昇させる。
そして、制御部302は、ガード43およびガード44を遮断板30の上昇速度と同一速度で上昇させるようにガード昇降機構46、ガード昇降機構47、および、ガード昇降機構80を制御する。これにより、ガード43は遮断板30に対して遮断板対向位置を維持したまま上昇する。また、ガード44は、基板100に対して基板対向位置を維持したまま上昇する。これによって、制御部302は、基板100の上方に処理空間Aを維持しつつ、遮断板30を第1近接位置から第2近接位置に上昇させることができる。
上記の制御、すなわち、基板100の上方に処理空間Aを維持しつつ、遮断板30を第1近接位置から第2近接位置に上昇させる制御は、たとえば、遮断板30、ガード43およびガード44の位置を、基板100の上面を基準位置とする共通の座標系における位置座標に変換した上で動作を制御することによって、より高い精度で行うことができる。
基板100の上方に処理空間Aを維持しつつ、遮断板30を第1近接位置から第2近接位置に上昇させる上述の制御は、z軸方向の位置が相互に独立して変化し得る複数の部材(遮断板30、およびガード43、ガード44)の相互の位置関係を精密に調整しながら行う必要がある。さもないと、上昇中にガード43が遮断板30に対して遮断板対向位置を維持できなくなったり、ガード44が基板100に対して基板対向位置を維持できなくなったりするおそれがある。こうなると上述の制御中に処理空間Aの密閉度が失われて、当該空間Aの不活性ガスの濃度が低下するおそれがある。遮断板30、ガード43およびガード43の位置を、基板100の上面を基準位置とする共通の座標系における位置座標に変換した上で上述の制御を行う場合、共通の基準の下で各部材を昇降させることができるので、より高い精度で実行することができる。
さらに、制御部302は、DIWバルブ56を閉じる。それによって、DIWノズル13からのDIWの供給が停止される。そして、制御部302は、中央IPAバルブ58を開く。これにより、回転状態の基板100の上面に向けて中央IPAノズル11(図2を参照)からIPAが供給される。供給されたIPAは遠心力によって基板100の上面全体に行き渡り、基板100上のDIWがIPAによって置換される。基板100上のDIWがIPAによって置換されるまでの間、制御部302は、電動モータ23を駆動してスピンベース21を所定の置換速度で回転させる。置換速度は、たとえば、300rpmである。
遠心力によって基板外に飛び散ったDIWおよびIPA(図12における、基板100側方の太線矢印で示されるもの)は、ガード43の傾斜部43Cとガード44の延設部44Bとの間を通って、または、ガード43の平坦部43Dとガード44の延設部44Bとの間を通って、ガード43の筒状部43Aによって受けられる。
収容空間Bを上方から区画する平坦部43Dは、径方向外側に向かうにしたがって傾斜部43Cよりも上方に位置するように傾斜部43Cよりも上方に突出する。また、退避位置に位置するスキャンノズル80が平坦部43Dに下方から隣接する。そのため、基板100の上面から飛散したDIWおよびIPAが平坦部43Dと延設部44Bとの間を通る場合であっても、退避位置に位置するスキャンノズル80が傾斜部43Cの下方から隣接する構成と比較して、スキャンノズル80の汚染を抑制することができる。
次に、図13に例示されるように、有機溶剤処理では、IPAの液膜110を形成する液膜形成ステップが実行される。
基板100の上面に中央IPAノズル11からIPAを供給し続けることによって、基板100の上面にIPAの液膜110が形成される。IPAの液膜110を形成するために、制御部302は、電動モータ23を駆動してスピンベース21を所定の液膜形成速度で回転させる。液膜形成速度は、たとえば、300rpmである。
制御部302は、遮断板回転機構33を制御することによって、遮断板30を回転させてもよい。このとき、遮断板30は、スピンベース21と同期回転する。そして、上面ノズル70による基板100上へのIPAの液膜110の形成と並行して、制御部302は、スキャンノズル移動機構14を制御することによって、収容空間Bから処理位置へ向けてスキャンノズル80を移動させる。すなわち、制御部302は、スキャンノズル80を基板100の占有範囲内における処理空間Aに進入させる。
ここで、処理位置とは、基板100の中央領域から基板100の周縁側へ僅かにずれた位置、たとえば、30mm程度ずれた位置である。スキャンノズル80は、遮断板30が少なくとも第2近接位置よりも上方に位置するときに、遮断板30の下面と基板100の上面との間の隙間においてxy方向に移動可能である。なお、スキャンノズル80は、遮断板30が第1近接位置に位置するときに、遮断板30の下面と基板100の上面との間の隙間においてxy方向に移動可能であってもよい。
スキャンノズル80を遮断板30の下面と基板100の上面との間の隙間においてxy方向に移動させる上述の制御は、z軸方向の位置が相互に独立して変化し得る複数の部材(遮断板30、スキャンノズル80、およびガード43、ガード44)の相互の位置関係を精密に調整しながら行う必要がある。さもないと、スキャンノズル80が遮断板30に衝突するといった、部材間の相互干渉が発生するおそれがある。遮断板30、スキャンノズル80、ガード43およびガード44の位置を、基板100の上面を基準位置とする共通の座標系における位置座標に変換した上で上述の制御を行う場合、共通の基準の下でこれらの部材を並行して動作させることができるので、個別の座標系の下で制御する場合よりも高い精度で実行することができる。
次に、図14に例示されるように、有機溶剤処理では、基板100の上面のIPAの液膜110を排除する液膜排除ステップが実行される。
液膜排除ステップでは、まず、制御部302は、中央IPAバルブ58を閉じて、中央IPAノズル11による基板100の上面へのIPAの供給を停止させる。そして、制御部302は、不活性ガスバルブ66を制御することによって、不活性ガスノズル12から基板100の上面の中央領域に向けて垂直に、たとえば、3リットル/minで不活性ガス(たとえば、N2ガス)を吹き付け、液膜110の中央領域に小さな開口111(たとえば、直径30mm程度)を開けて基板100の上面の中央領域を露出させる。
液膜排除ステップでは、必ずしも不活性ガスの吹き付けによって開口111を形成する必要はない。たとえば、基板100の下面の中央領域への下面ノズル60による加熱流体の供給によって基板100を加熱して中央領域のIPAを蒸発させ、不活性ガスの吹き付けはしないで、液膜110の中央領域に開口111を形成させてもよい。また、基板100の上面への不活性ガスの吹き付けと、加熱流体による基板100の下面の中央領域の加熱との両方によって液膜110に開口111を形成してもよい。
制御部302は、電動モータ23を制御することによって、スピンベース21の回転が所定の液膜排除速度になるまで徐々に減速させる。液膜排除速度は、たとえば、10rpmである。なお、液膜排除速度は、10rpmに限られず、10rpm以上、かつ、30rpm以下の範囲で変更可能である。制御部302は、遮断板回転機構33を制御することによって、遮断板30を回転させてもよい。このとき、遮断板30は、スピンベース21と同期回転する。
基板100の回転による遠心力によって開口111が拡大し、基板100の上面からIPA液膜が徐々に排除される。不活性ガスノズル12による不活性ガスの吹き付けは、基板100の上面から液膜110が排除されるまでの間、すなわち、液膜排除ステップが完了するまで継続してもよい。不活性ガスの吹き付け力によりIPAの液膜110に力が付加されるため、開口111の拡大が促進される。
開口111を拡大させる際、制御部302は、IPAバルブ62を制御することによって、スキャンノズル80から基板100の上面へのIPAの供給を開始する。スキャンノズル80から供給されるIPAの温度は、室温より高いことが好ましく、たとえば、50℃である。その際、制御部302は、スキャンノズル80から供給されるIPAの着液点を開口111の外側に設定する。開口111の外側とは、開口111の周縁に対して回転軸線1000とは反対側をいう。
開口111の拡大に伴って、制御部302は、スキャンノズル移動機構14を制御することによって、スキャンノズル80を基板100の周縁へ向けて移動させる。これによって、液膜110には、十分なIPAが供給される。そのため、蒸発または遠心力によって開口111の周縁よりも外側のIPAが局所的になくなることを抑制することができる。有機溶剤処理(S4)は、たとえば、スキャンノズル80による液膜110へのIPA供給位置が基板100の周縁に到達した時点で終了する。または、有機溶剤処理(S4)は、開口111の周縁が基板100の周縁に到達した時点で終了してもよい。
次に、図15に例示されるように、乾燥処理(S5)について説明する。有機溶剤処理(S4)を終えた後、基板100の上面の液成分を遠心力によって振り切るための乾燥処理(S5:スピンドライ)が実行される。
具体的には、制御部302は、加熱流体バルブ51、IPAバルブ62および不活性ガスバルブ66を閉じ、スキャンノズル移動機構14を制御してスキャンノズル80を退避位置へ退避させる。そして、制御部302は、遮断板昇降機構32を制御して遮断板30を下位置へ移動させる。
そして、制御部302は、電動モータ23を制御することによって、基板100を乾燥速度で高速回転させる。回転速度は、たとえば、800rpmである。これによって、基板100上の液成分を遠心力によって振り切る。制御部302は、遮断板回転機構33を制御することによって、遮断板30を回転させてもよい。このとき、遮断板30は、スピンベース21と同期回転させてもよい。
その後、制御部302は、電動モータ23を制御してスピンチャック20の回転を停止させる。そして、制御部302は、遮断板昇降機構32を制御して遮断板30を上位置に退避させる。そして、制御部302は、ガード昇降機構46、ガード昇降機構47およびガード昇降機構48を制御することによって、ガード43、ガード44およびガード45を基板100よりも下方の下位置へ移動させる。
その後、搬送ロボットが、基板処理装置に進入して、スピンチャック20から処理済みの基板100をすくい取って、基板処理装置外へと搬出する(S6)。そして、基板100は、搬送ロボットによってキャリヤに収納される。
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果を例示する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。
以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、基板100を水平姿勢に保持する保持部と、遮断板30と、ガード43と、外部ノズル50と、スキャンノズル80と、制御部302とを備える。遮断板30は、保持部に保持された基板100の上方に位置し、かつ、基板100に対して接近および離脱する方向である第1の方向に移動可能である。ガード43は、平面視において基板100を囲んで設けられ、かつ、遮断板30とともに、基板100上に処理空間Aを形成可能である。外部ノズル50は、ガード43の外部から延びて、平面視において基板100の占有範囲内へと進入可能であり、かつ、基板100の上面に第1の処理液を供給する。スキャンノズル80は、ガード43の内壁に連結されて当該連結部位から延び、平面視において基板100の占有範囲内へと進入可能であり、かつ、基板100の上面に沿って走査しつつ基板100の上面に第2の処理液を供給する。制御部302は、少なくとも、遮断板30、スキャンノズル80、および、外部ノズル50の動作を制御する。ここで、第1の方向において、第1の位置と、および、第1の位置よりも基板100の上面に近い第2の位置とが定義される。制御部302は、遮断板30を前記第1の位置に位置させ、かつ、外部ノズル50を占有範囲内に進入させた状態で、外部ノズル50から第1の処理液を供給させる。また、制御部302は、遮断板30を第2の位置に位置させ、かつ、外部ノズル50を占有範囲外に退避させた状態で、処理空間Aに進入させたスキャンノズル80から第2の処理液を供給させる。ここで、保持部は、たとえば、スピンチャック20に対応するものである。また、第1の方向は、たとえば、図2におけるz軸方向に対応するものである。また、第1の位置は、たとえば、図8における遮断板30の位置に対応するものである。また、第2の位置は、たとえば、図11または図12における遮断板30の位置に対応するものである。
このような構成によれば、基板100の上面にIPAを供給するスキャンノズル80が、ガード43の内壁に連結されて当該連結部位から延び、かつ、平面視において基板100の占有範囲内へと進入可能に形成される。そのため、基板100の処理に用いられるスキャンノズル80と、遮断板30またはガード43との干渉が抑制される。そして、遮断板30を基板100の上面に近接させた状態で、不活性ガスノズル12から不活性ガスを供給して処理空間A内の雰囲気を不活性ガスで置換することによって、基板100と遮断板30との間の雰囲気の酸素濃度および湿度を速やかに低減することができる。また、スキャンノズル80は、処理空間A内に配置される。そのため、スキャンノズル80は、処理空間A内の雰囲気を不活性ガスで置換した状態、すなわち、雰囲気中の酸素濃度および湿度を低減させた状態で、基板100の上面にIPAを供給することができる。また、基板100の上面へのIPAの供給を清浄な雰囲気の中で実行することができる。
なお、これらの構成以外の本願明細書に例示される他の構成については適宜省略することができる。すなわち、少なくともこれらの構成を備えていれば、以上に記載された効果を生じさせることができる。
しかしながら、本願明細書に例示される他の構成のうちの少なくとも1つを以上に記載された構成に適宜追加した場合、すなわち、以上に記載された構成としては記載されなかった本願明細書に例示される他の構成を以上に記載された構成に追加した場合でも、同様に以上に記載された効果を生じさせることができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、スキャンノズル80は、第1の方向と交差する方向である第2の方向に移動可能である。そして、制御部302は、遮断板30を第1の位置に位置させ、かつ、スキャンノズル80を前記占有範囲外に退避させた状態で、外部ノズル50から第1の処理液を供給させる。ここで、第2の方向は、たとえば、図2におけるz軸方向と交差する方向、すなわち、xy平面に沿う方向に対応するものである。このような構成によれば、外部ノズル50が動作する際にはスキャンノズル80が退避位置に位置することで、基板100の上面から飛散した薬液によるスキャンノズル80の汚染を抑制または防止することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、ガード43は、スキャンノズル80とともに第1の方向に移動可能である。このような構成によれば、ガード43のz軸方向の位置を制御することによって、スキャンノズル80のz軸方向の位置を制御することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、第1のエンコーダと、第2のエンコーダと、変換部301とを備える。第1のエンコーダは、遮断板30の、第1の方向における位置に関する信号である第1の信号を出力する。第2のエンコーダは、ガード43の、第1の方向における位置に関する信号である第2の信号を出力する。変換部301は、第1の信号と第2の信号とを、共通の基準位置z0に対する位置座標に変換する。そして、制御部302は、変換部301において変換された第1の信号に対応する位置座標と第2の信号に対応する位置座標とを用いて、遮断板30の第1の方向における位置とガード43の第1の方向における位置との位置関係を特定する。ここで、第1のエンコーダは、たとえば、エンコーダ99に対応するものである。また、第2のエンコーダは、たとえば、エンコーダ132に対応するものである。このような構成によれば、遮断板30のz軸方向における位置と、ガードのz軸方向における位置との位置関係を、共通の基準位置z0に対する位置座標に変換された第1および第2の信号に基づいて把握することができるため、それぞれの構成の位置が、共通の座標系に基づいて3次元的に把握される。そのため、各構成間の距離を高い精度で認識することができる。したがって、複数の構成を駆動させる際に、構成間の相対距離を容易に認識することができるため、それぞれの構成が移動できる範囲を拡張しつつ、タクトタイムの短縮によって複数の構成による稼働率を高めることができる。また、構成間の相対距離を高い精度で認識することができるため、処理空間Aにおけるスキャンノズル80の動作などの、構成間の相対距離が比較的近い場合であっても、適切に構成を動作させることができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、制御部302は、処理空間Aが形成された状態を維持しつつ、遮断板30とガード43とを同時に第1の方向に移動させる。このような構成によれば、たとえば、スキャンノズル80を処理空間A内で動作させる場合に、処理空間Aの密閉状態を維持したまま、処理空間A内におけるスキャンノズル80の作業領域の上下幅を調整することができる。また、遮断板30とガードとが、共通の基準位置z0に対する位置座標に基づいて動作制御されている場合には、処理空間Aの密閉状態を高い精度で維持することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、変換部301は、共通の基準位置z0を基板100の上面とする。このような構成によれば、位置座標の基準位置が基板100の上面であることによって、基板100の処理に際し、基板100の処理に用いられるそれぞれの構成の製造誤差および駆動誤差の影響を抑えることができる。なお、基板100の上面の位置は、たとえば、スピンチャック20の上端の位置などから算出することができる。
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、第3のエンコーダを備える。第3のエンコーダは、スキャンノズル80の、第2の方向における位置に関する信号である第3の信号を出力する。変換部301は、第3の信号を、共通の基準位置z0に対する位置座標に変換する。そして、制御部302は、変換部301において変換された第1の信号に対応する位置座標、第2の信号に対応する位置座標および第3の信号に対応する位置座標を用いて、遮断板30の第1の方向における位置とスキャンノズル80の第1および第2の方向における位置との位置関係を特定する。ここで、第3のエンコーダは、たとえば、エンコーダ87に対応するものである。このような構成によれば、スキャンノズル80、ガード43、ガード44およびガード45の位置が、共通の座標系に基づいてそれぞれ3次元的に正確に把握される。そのため、それぞれの構成の間の距離を高い精度で認識することができる。したがって、たとえば、それぞれの構成が干渉しない範囲内で、スキャンノズル80を退避位置に完全に移動し終える前に、ガード43およびガード44をz軸方向に互いに近づけることなどの制御も可能である。
また、以上に記載された実施の形態によれば、制御部302は、変換部301において変換された第1の信号に対応する位置座標、第2の信号に対応する位置座標および第3の信号に対応する位置座標を用いて、遮断板30とスキャンノズル80とが、あらかじめ定められた禁止距離Lよりも離間するように制御する。このような構成によれば、構成のそれぞれの位置が、共通の座標系における位置座標に基づいて3次元的に把握される。そのため、各構成間の距離を高い精度で認識することができる。また、たとえば、基板100の上面においてスキャンノズル80が動作する際には、遮断板30は基板100の上面に配置しないなどの、他の構成が動作することに起因して空間的に固定された制限領域を設ける必要がない。よって、それぞれの構成の動作範囲の拡張、および、タクトタイムの短縮を実現することができる。
<以上に記載された実施の形態における変形例について>
以上に記載された実施の形態では、エンコーダ87、エンコーダ99、および、エンコーダ132は、回転の変位を測定する、いわゆるロータリーエンコーダであったが、以上に記載された実施の形態とは異なり、たとえば、昇降ヘッド91の昇降運動を直接測定するリニアエンコーダが備えられていてもよい。
また、以上に記載された実施の形態では、スキャンノズル80は、ノズル支持部材15の回転軸線まわりに移動する構成であったが、以上に記載された実施の形態とは異なり、スキャンノズル80が延びる方向に直線的に移動する構成であってもよい。
また、以上に記載された実施の形態では、外部ノズル50は、水平方向に移動する移動ノズルであるが、以上に記載された実施の形態とは異なり、基板100の上面の回転中心に向けて薬液を吐出するように配置された固定ノズルであってもよい。具体的には、外部ノズル50は、DIWノズル13、不活性ガスノズル12および中央IPAノズル11とともに中空軸36に挿通されたノズル収容部材に挿通される形態を有していてもよい。
また、DIWリンス処理において、遮断板30を第2近接位置に配置する代わりに(図11を参照)、遮断板30を第1近接位置に配置させてもよい。この状態で、制御ユニット3は、ガード昇降機構46およびガード昇降機構47を制御することによって、ガード43およびガード44をz軸方向に互いに近接させつつ、ガード44を遮断板対向位置または遮断板対向位置よりも上方に配置してもよい。
さらに、この状態で、制御ユニット3は、ガード昇降機構48を制御することによって、ガード45を基板100よりも上方に位置させてもよい。遠心力によって基板外に飛び散った薬液およびDIWは、ガード45の延設部45Bの下方を通って、ガード45に筒状部45Aによって受けられる。スキャンノズル80が収容空間Bに収容されるため、基板100の上面から飛散した薬液およびDIWによるスキャンノズル80の汚染が抑制または防止される。この場合、処理空間Aは、有機溶剤処理のIPA置換ステップで形成され、不活性ガスによる処理空間A内の雰囲気の置換は、IPA置換ステップで行われる。
また、基板処理装置は、有機溶剤処理において基板100を加熱するヒーターを含んでいてもよい。ヒーターは、スピンベース21に内蔵されていてもよいし、遮断板30に内蔵されていてもよいし、スピンベース21と遮断板30との両方に内蔵されていてもよい。有機溶剤処理で基板100を加熱する場合は、下面ノズル60、スピンベース21に内蔵されたヒーターおよび遮断板30に内蔵されたヒーターのうちの少なくとも1つが用いられる。
また、有機溶剤処理では、遮断板30は、スピンベース21と必ずしも同期回転している必要はなく、遮断板30の回転数とスピンベース21の回転数が異なっていてもよい。
また、処理液供給ノズルの構成は、たとえば、IPAなどの有機溶剤を基板100の上面に供給するスキャンノズル80に限られず、処理液を基板100の上面に供給する構成であればよい。すなわち、処理液供給ノズルは、水よりも表面張力の低い低表面張力液体を基板100の上面に供給する低表面張力液体ノズルであってもよいし、薬液を基板100の上面に供給する外部ノズルであってもよいし、DIWなどのリンス液を基板100の上面に供給するリンス液ノズルであってもよい。
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面において例示であって、本願明細書に記載されたものに限られることはないものとする。
したがって、例示されていない無数の変形例、および、均等物が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。